説明

デジタル地図画像上でのルート情報の表示

3次元立面斜視図である地図ビュー及びルート情報を含む表示画像を生成する方法及び装置が開示される。方法は、(a)表示画像内に表示される地図オブジェクトに関連する高さ情報から、3次元立面斜視図においてオブジェクトがルート情報への視線を遮るかを判定すること(30)と、(b)地図オブジェクトが視線を遮ると判定されるか否かに依存する形式で地図オブジェクトを表示すること(32)とを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル地図ビューと重ね合わされたルート情報を含む表示画像を生成する装置及び方法に関する。特に本発明は、ポータブルナビゲーションデバイス(いわゆるPND)を含むナビゲーションデバイスに適するが、それらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
通常、ナビゲーションデバイスは、デジタル地図から生成された地図ビューにより構成され且つナビゲーションルートを示すルート情報と重ね合わされた画像を表示するように構成される。ルート情報は事前に記録されてもよいが、通常は、ナビゲーションデバイスが適切なソフトウェアを使用してルート計画アルゴリズムを実行した結果として得られる。ナビゲーションデバイスは、自身のリアルタイムの現在地を判定するため及び判定された現在地に従って地図ビューを動的に調整するために位置判定システム(全地球測位システム(GPS)等)を更に含んでもよい。以下を含む種々の地図ビューが知られている。
【0003】
(i)地表面における2次元の情報を含む2次元地図ビュー。例えば、道路及び建物は地面における土地面積の形状により表される。そのような2次元情報は、平面図として(すなわち、従来の紙の地図と同一の方法で地図を垂直に見下ろす)か又は従来の平坦な紙の地図を斜めの角度から閲覧しているような人工斜視図で閲覧されてもよい。しかし、いずれの場合も、情報が2次元の地上情報に過ぎないという意味で地図ビューは「平坦」である。
【0004】
(ii)1つ以上のデジタル地図の特徴又はオブジェクトが3次元で提示される3次元立面斜視図。例えば、建物はその外観及び高さを示して描写される。これは、実世界により近い表現である。
【0005】
特に、ナビゲーション中に相対的に大きい表示縮尺及び/又は建物が密集した地域の地図を閲覧する場合、多くのユーザは3次元立面斜視図が2次元平面図より直感的であることを発見する。これは、表示内に描写されるオブジェクトの3次元斜視及び高さ情報が目視する場合のそれら特徴により類似しているためである。例えば地上の歩行者又は運転者は、地上の建物の抽象的な土地面積ではなく、ある特定の高さの建物の外観を見る。従って、3次元斜視情報は、ユーザが表示と自身が見ているものとを一致させ且つナビゲーションルートに従うのを支援するより直感的な視覚的手がかりを多くのユーザに提供できる。
【0006】
上記は、例えばハンドヘルドか又は車内で使用するためのポータブルナビゲーションデバイス(PND)に特に当てはまる。車内で使用する場合、(i)運転者に現在のナビゲーション情報を提供し、(ii)運転者が車両を適切に運転し且つ位置付けられるように今後のルートの指示を提供し、且つ(iii)運転者が車両を安全に運転できるようにするため運転者の注意力をそれ程必要としない、非常に直感的なナビゲーション表示が望ましい。
【0007】
3次元立面斜視図は直感的であるため望ましいが、結果として、ユーザが地図ビュー内で見ることができるものに関して表示がより複雑になる場合がある。例えば3次元情報の量は、地図ビューが生成される仰角に依存する。90度の仰角は地図を垂直に見下ろすことに対応するため(2次元平面図として)、各地図オブジェクトは3次元的に見えず、別のオブジェクトの前方に存在する1つの地図オブジェクトによる隠蔽がない。仰角が小さくなるにつれ、地図オブジェクトは3次元の高さ及び形式を拡張するようになり、遠近感が増す。建物等の高い地図オブジェクトは、より低い建物又は地表面の道路等の表示内の地図情報の別の項目を隠蔽する場合がある。この状況はそのような隠蔽が発生しなくなるまで仰角を大きくすることにより改善されるが、それによりビュー内の3次元情報の量が必然的に減少するため、ビューの直感性に関する利点は減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これらの相反する問題を解決するために考案された。
【0009】
本発明の特徴及び利点は、(i)地図オブジェクトの3次元形状がルート情報を隠蔽する場合でも、そのルート情報が少なくとも部分的に可視のままである3次元立面斜視図を提示する機能及び(ii)上述の相反する問題を回避することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的のために、本発明の現時点で好適な実施形態は、3次元立面斜視図である地図ビュー及びルート情報を含む表示画像を生成する技術であって、
(a)表示画像内に表示される地図オブジェクトに関連する高さ情報から、オブジェクトが3次元立面斜視図においてルート情報への視線を遮るかを判定することと、
(b)地図オブジェクトが視線を遮ると判定されるか否かに依存する形式で地図オブジェクトを表示することとから成る方法を提供する。
【0011】
本技術は、本技術を実現する方法又は装置、あるいは実行される場合に本技術を実現するコンピュータプログラムとして定義されてもよい。
【0012】
地図オブジェクトがルート情報への視線を遮ると判定される場合、地図オブジェクトは、地図オブジェクトの後方においてルート情報を少なくとも部分的に表示できる形式で表示されてもよい。例えば地図オブジェクトは、少なくとも部分的に透明な形式で又はワイヤフレーム形式として表示されてもよい。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、好適な実施形態の以下の説明から明らかになるだろう。重要であると考えられる特徴が上述されたが、添付の請求の範囲において、出願人は、強調されたか否かに関わらず、本明細書で説明され且つ/又は図面に示されたいかなる新規の特徴又は着想も保護されることを請求する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態において地図ビューを生成するための情報の流れを概略的に示す図である。
【図2】3次元地図オブジェクトに対してデジタル地図に格納された情報を概略的に示す図である。
【図3】地図オブジェクトによる視線の遮蔽及び地図オブジェクトの表示形式の調整を評価する第1の技術を概略的に示すフローチャートである。
【図4】第1の粗評価ステップの機能を概略的に示す図である。
【図5】第2のより精細な評価ステップの機能を概略的に示す図である。
【図6】第1の実施形態の技術を使用して生成された地図ビューのスクリーンショットを概略的に示す図である。
【図7】別の表示技術を概略的に示すフローチャートである。
【図8】ナビゲーション装置を概略的に示す斜視図である。
【図9】ナビゲーション装置のハードウェアを概略的に示すブロック図である。
【図10】ハードウェア及びソフトウェアにより確立された機能動作関係を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面を参照して、図示される例により本発明の教示の種々の態様及びそれらの教示を実施する構成を以下に説明する。
【0016】
次に、ルート情報が重ね合わされたデジタル地図表示(特に、3次元立面斜視図)を生成するあらゆるシステムを参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。まず、本発明と関連する好適な技術を説明し、その後、本発明を実現する装置の一例を説明する。
【0017】
図1は、デジタル地図10からの情報を処理して地図ビュー及び地図ビュー内に重ね合わされたルート情報を含む表示画像24を生成するために第1の実施形態において使用された情報の流れを概略的に示す。図1は、本発明を実現するための限定的なアーキテクチャを表すことを意図しないことが理解されるだろう。その代わり、図1は、単に種々の処理段階の間の情報の流れの一例を示す。デジタル地図10は、特に道路の位置及び建物等の他の地図オブジェクトを表す情報を格納する。地図オブジェクトの少なくとも一部は、地図オブジェクトの高さを含む3次元情報と共に格納される。図2は、建物12の形態の地図オブジェクトの一例を示す。建物は、デジタル地図10において、地面における建物の土地面積の形状を定義する第1の情報12a及び建物の高さを定義する第2の情報12bとして表される。第1の情報12aは一連の接続点を表してもよく、通常は閉じた形状を定義する(しかし、形状は、例えば建物の内側の空地又は中庭を表す1つ以上の内部空間を有してもよい)。この種の表現により、建物が土地面積の一意の投影である規則的な形状を有すると仮定して、非常に圧縮された形態で建物の形状を格納できる。建物は、建物の高さ12bに土地面積12aを投影し且つ3次元固体構造体を描画するための適切な色又は陰影を用いて構造体の外観をレンダリングすることにより、地図ビューにおいて相対的に容易に3次元表示可能である。他の3次元形状又は重要な目標物は、例えば3次元ワイヤメッシュ情報により、より正確に表されてもよい。
【0018】
図1を再度参照すると、デジタル地図10からの情報はルート計算モジュール14及び地図ビュー生成器モジュール16に供給される。ルート計算モジュール14は、ユーザにより選択された開始地理位置と終了地理位置との間のナビゲーションルートを計画するように構成される。ユーザは、ユーザにより選択可能な1つ以上の中間場所の通過、あるいは特定の種類の道路又は他の交通ルートの使用等の追加のルート条件を更に提供してもよい。ルート計算モジュール14は、表示用地図ビュー内にルート情報を重ね合わせるため、地図ビュー生成モジュール16に計算したルート情報を提供する。通常、地図ビュー生成モジュール16は、例えば地図ビュー制御器18及び制御器18に応答するグラフィック生成器20を含むサブモジュールを備える。地図ビュー制御器18は、デジタル地図10から検索される情報、地図ビューとして情報を表示する方法及び地図ビュー内にルート情報を重ね合わせる方法を制御することにより地図ビューを管理する。3次元立面斜視図を作成するために、制御器18は、地表面と比較して、斜視図が作成される標高及び視野仰角を更に管理する。また、地図ビュー制御器モジュール16は、デジタル地図(例えば、地図ビュー内に表示された地図の一部分)上の場所「ウィンドウ」を動的に制御する。例えば場所ウィンドウは、GPS又は他の衛星/無線信号を用いた位置決めシステム等のオプションの位置決めモジュール22により判定されてもよいため、ユーザのリアルタイムの現在地に依存してもよい。あるいは、場所ウィンドウは、ユーザにより選択された場所であってもよい。グラフィック生成器20は、制御器18により管理された地図ビュー情報に基づいて1画素毎に表示画像24を生成又は構成するための1つ以上のグラフィックエンジンを含む。グラフィックエンジンは、道路レンダラ20a、建物レンダラ20b及び地図ビュー内にルート情報を重ね合わせるためのルート情報レンダラ20c、並びに他のカスタムのグラフィックコマンド又はグラフィックエンジンを含むか又はそれらを実現するためのコマンドを実行してもよい。
【0019】
図3を参照すると、本実施形態の特徴は、(i)3次元立面斜視図において、建物等の地図オブジェクトがルート情報への視線を遮るかを判定すること(階段30)及び(ii)視線が遮られるかの判定に依存する表示形式で地図ビューにおいて地図オブジェクトを表示すること(階段32)により、3次元立面斜視図の生成を管理する技術を実現することである。図3〜図6はこの技術を更に詳細に示す。
【0020】
地図オブジェクトが視線を遮るかを判定するステップ30は、2つのステップ30a及び30bに分割される。ステップ30aは粗評価を適用し、地図ビューにおいて(i)閲覧位置又はカメラ位置36と(ii)ルート情報40の位置との間に位置付けられない地図オブジェクトを考慮の対象から除外する。ステップ30bは、残りの(すなわち、除外されなかった)地図オブジェクト毎により精細な評価を適用する。2つのステップ30a及び30bが実行されるが、不適切な地図オブジェクトを迅速且つ容易に除外するステップ30aの機能により、より面倒なステップ30bが実行される地図オブジェクトの数は減少する。以下において、更に詳細に説明する。
【0021】
図3及び図4を参照すると、ステップ30aは、カメラ閲覧位置36及びナビゲーションルート40に対して候補位置34を判定することにより機能する。地図オブジェクト毎に、オブジェクトを構成する点のいずれかが候補領域34の内側にあるかに関して評価される。規則的な形状の地図オブジェクト(例えば、図2の建物)の場合、構造体の隅点毎に評価されてもよい。不規則な形状の地図オブジェクトの場合、オブジェクトを含む規則的な形状のバウンディングボックスを考慮し且つバウンディングボックスの隅点を評価するのが計算上最も容易である。候補領域34の内側の表示点すれすれに通る地図オブジェクトは、カメラ閲覧位置36とナビゲーションルート40との間に位置し、表示画像においてナビゲーションルート40を隠蔽する危険性があるため、ステップ30bで処理するために識別される。完全に候補領域34の外側の地図オブジェクトは、ナビゲーションルート40を隠蔽する危険性がないため除外される。候補領域34は、カメラ閲覧位置36及びナビゲーションルート40に沿った複数の点38により定義された多角形形状を有する。3つ以上の点38を含む単一の不規則な形状の多角形を考慮できるが、2つの点38の間のナビゲーションルートの直線部分39を定義するナビゲーションルート40に沿った2つの点38の間により定義された三角形形状のセグメントの形態で候補領域34を処理するのが計算上効率的だろう。点38は、ナビゲーションルート40において重要な点又は方向の変化の発生を示す中間地点又はノードであるのが好ましい。2つの点38は、ナビゲーションルート40に沿って連続しているのが好ましい。処理は、全ての点38が処理されるまで三角形のセグメント毎に繰り返される。点38は、(i)ナビゲーションルートの終端に到達するまで及び/又は(ii)ナビゲーションルートが地図ビューの縁端を出る(すなわち、表示画像の縁端に到達するまで、並びに/あるいは(iii)ナビゲーションルートがカメラ閲覧位置36からある特定の距離(例えば、最大約2000m)を超えて延在するまで選択される。この距離を超える場合、表示解像度に対して縮小された画像縮尺等の他の要因により表示の精度が限定される可能性があるため、閲覧の隠蔽の修正は必要ないと考えられてもよい。図3において、ステップ30aは、ナビゲーションルート40に沿った位置38を判定するサブステップ42と、候補領域34を判定するサブステップ44と、候補領域34内又は候補領域34と重なり合う各地図オブジェクトの記録を作成するサブステップ46とから成る。サブステップ46において記録されたこれらの地図オブジェクトのみがステップ30bにより引き続き処理され、他の地図オブジェクトは、ルート情報が隠蔽されたかを判定するために更なる考慮の対象から除外される。例えば、図4において、建物B1及びB2、並びにB3は、ステップ30bで更に考慮するためにステップ30aにおいて選択されるだろう。これに対して、建物B4〜B8を除外することにより、ステップ30bに対する処理の負担を軽減する。
【0022】
図3及び図5を参照すると、ステップ30bは、地図オブジェクトの位置及び高さの関数として、候補領域34において各地図オブジェクトを検分するのに必要な視野仰角を評価することにより機能する。これは、点P2と点P3との間の直線部分39を所定のセグメント長、例えば約5mのサブセグメント50に分割することにより評価される。セグメント50上のある特定の点52(例えば、セグメント50の中点)から仮想の直角三角形54が評価される。三角形54は、点52により定義された頂点、地表面において(又は投影されて)候補領域34の内側にあることが判明した地図オブジェクトの点56及び地図オブジェクトの高さにおける(又は投影された)同一の地図オブジェクトの点58を有する。地図オブジェクトを検分するのに必要な視線角に対応する仰角(Θ)は、三角法を使用して算出される。カメラ位置36に対する現在の視野角が角度Θ未満の場合、地図オブジェクトはルート情報40を隠蔽するように考慮される。現在の視野角が角度Θ以上の場合、地図オブジェクトはルート情報40を隠蔽しないように考慮される。図3において、ステップ30bは、セグメント50を作成するサブステップ60と、仮想の三角形54を判定するサブステップ62と、角度Θを判定するサブステップ64と、現在の視野仰角を角度Θと比較するサブステップ66と、視野仰角が地図オブジェクトに対する角度Θ未満である地図オブジェクトを記録するサブステップ68とから成り、地図オブジェクトがルート情報40を隠蔽しないことを示す。例えば、図4において、ここで建物B1及びB3は、より精細な評価ステップ30bの結果除外されてもよく、建物B2は、P2の領域において視線を遮るものとして評価されてもよい。
【0023】
ステージ32において、各地図オブジェクトの表示形式は、地図オブジェクトがルート情報40への視線を遮るかの判定に依存して制御される。現在の実施形態において、オブジェクトの透明度は地図ビューにおいて変動する。透明度は「α」パラメータにより制御される。αパラメータは、0(完全に透明である)と1(完全に不透明である)との間で変動してもよい。視線を遮らない地図オブジェクトは、不透明に(α=1)表示される。視線を遮る地図オブジェクトは、好ましくは0.8未満又は0.6未満であり、例えば約0.4である1未満のαパラメータで少なくとも部分的に透明に表示される。部分αパラメータを設定する代わりに、地図オブジェクトは、完全に透明な壁(α=0)を使用して3次元ワイヤケージ形式として表示されてもよい。表示画像がリアルタイムで更新されること及び表示の向きの変化、カメラの高さの変化又はナビゲーションルートに沿った相対的な動きに依存して地図オブジェクトが表示内で「隠蔽しない」から「隠蔽する」に変化する可能性があることを想定すると、地図ビューにおいて既に表示された地図オブジェクトの透明度の急激な変化を回避するのが好ましい。その代わり、「所望のα」パラメータが設定され、地図オブジェクトを表示するために使用された実際のαが次第に変動するため、オブジェクトは、例えば約0.5秒間にわたって次第に透明度を変更する。
【0024】
図6は、上記の技術を使用して生成された表示画像を示す。ルート情報40への視線を遮らない建物B1及びB3(特に)は、完全に不透明に表示される。ルート情報40への視線を遮らない建物B2が部分的に透明に表示されることにより、建物B2を通してルート情報40を明確に見られる。(図6において、この部分的な透明度は破線で示される。)これにより、完全な3次元立面斜視図の生成が可能になり、ユーザは、ビューにおいてルート情報40が隠蔽される危険性を伴わず、そのようなビューと関連する直感性から利益を得られる。
【0025】
上記の技術は、一般に地図ビュー制御器18(図1)により実行され、地図オブジェクトがグラフィック生成器20により配置及びレンダリングされる前に地図オブジェクトにアクセスできる。視線が遮られるか否かの評価はグラフィック生成器20により実現された特定のレンダリング技術に左右されないため、これは最大限の汎用性を提供する。図7は、そのような遮蔽を検出及び補正するためにグラフィック生成器20を使用する別のおそらくあまり微細でない技術を示し、依然として本発明の技術を使用する。図7において、地図ビューは、3次元地図オブジェクトの前に、地図の背景(ステップ80)、道路(ステップ82)、ルート情報(ステップ84)をこの階層順序でレンダリングすることにより作成される。これは、3次元地図オブジェクトが定義される前に、地図ビューにおいてルート情報40が定義されることを意味する。各地図オブジェクトを配置すると(ステップ86)、地図オブジェクトのワイヤケージフレームが最初に地図ビューに配置される。ワイヤケージを示す表示点のいずれかが既に存在するルート情報40と交差するか又はルート情報40を横断するかに関して判断される(ステップ88)。そのような交差は、各グラフィックエンジンにより生成された衝突又は交差事象として検出されてもよい。ルート情報40は一意の色でレンダリングされてもよく、ルート情報40の交差又は横断はこの色との「衝突」により検出可能である。ワイヤケージがルート情報40と交差するか又はルート情報40を横断する場合、これは地図オブジェクトがルート情報への視線を遮ることを示し、地図オブジェクトは、少なくとも部分的に透明な形式で表示又はレンダリングされるか(ステップ90)、あるいは要望に応じてワイヤケージオブジェクトとして残される。ステップ88においてワイヤケージがルート情報40と交差しないか又はルート情報40を横断しない場合、これは視線を遮るものがないことを示し、地図オブジェクトは、不透明に表示又はレンダリングされる(ステップ92)。
【0026】
好適な機能技術を説明したが、次に図8〜図10は、これら技術のうちの1つ以上を実現する物理装置又はシステムを示す。システムは、ポータブルナビゲーションデバイス(PND)、車載ナビゲーションデバイス、ポータブル地図ビューワ、位置決めシステム(例えば、全地球測位システム(GPS)等の衛星を用いた位置決めシステム)を含むデバイス、ポータブルデジタルアシスタント(PDA)、携帯型コンピュータ又は非携帯型コンピュータ等の自律デバイスを備えてもよい。あるいは、システムは、デジタル地図を格納するサーバ及びインターネット又はイントラネット等の1つ以上のネットワークを介してサーバから受信した情報に基づいてデジタル地図の表示を生成するように構成されたリモート端末又はコンピュータを備えてもよい。
【0027】
図8は、PND100の形態である実施形態の一例を示す。PNDは限られた表示サイズ、限られた処理能力及び速度、並びに重量及び電源の制限等の設計制約が最も厳しく、設計が最も困難であるため、PNDを選択した。一般に、PND100は、表示画面104を含むPNDの電子ハードウェアを収容する筐体102を備える。PNDは、ドックブラケット106により車内で使用するのに適するように形成される。ドックブラケット106は、筐体102上の相補的連結部分と取り外し可能か又は分離可能なドッキング結合のために連結部分108を含む。ブラケット106は、車両(不図示)の適切な表面にブラケット106を取り付けるために吸引カップ又は接着パッド等の取り付け要素110を更に含む。
【0028】
図9は、ナビゲーションデバイス100の電子構成要素152を例示するブロック図である。尚、ナビゲーションデバイス100のブロック図は全ての構成要素を含むものではなく、多くの構成要素の例を示すに過ぎない。
【0029】
ナビゲーションデバイス100は、入力装置220及び表示画面104に接続されたプロセッサ210を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル及び/又は情報を入力するために利用される他の何らかの既知の入力装置を含むことができ、表示画面104は、例えばLCDディスプレイ等の何らかの種類の表示画面を含むことができる。特に好適な構成において、入力装置220及び表示画面104は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に一体化され、それによりユーザは、複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つを操作するために表示画面104の一部分に触れるだけでよい。
【0030】
ナビゲーションデバイスは、可聴出力装置(例えば、スピーカ)等の出力装置260を含んでもよい。出力装置260がナビゲーションデバイス100のユーザに対して可聴情報を生成できるため、同様に、入力装置220は入力音声コマンドを受信するマイク及びソフトウェアを更に含むことができると理解される。
【0031】
ナビゲーションデバイス100において、プロセッサ210は、接続225を介して入力装置220に動作可能に接続され且つ入力装置220から入力情報を受信するように設定される。また、プロセッサ210は、情報を出力するために、出力接続245を介して表示画面104及び出力装置260のうちの少なくとも一方に動作可能に接続される。更にプロセッサ210は、接続235を介してメモリ230に動作可能に接続される。メモリ230は、不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリ、書き込み可能及び/又は読み出し専用メモリ、半導体メモリ(RAM及び/又はFLASH等)、磁気ディスク等の磁気メモリ、並びに光ディスク等の光メモリを含む何らかの適切な媒体を含むことができる。メモリ230は、実行可能なソフトウェアを含む種々の情報及び上述のデジタル地図10を格納する。
【0032】
プロセッサ210は、接続275を介して入出力(I/O)ポート270との間で情報を送受信するように更に構成される。この場合、I/Oポート270は、ナビゲーションデバイス100の外部のI/O装置280に接続可能である。外部I/O装置280は、例えばイヤホン等の外部聴取装置を含んでもよいが、これに限定されない。更に、I/O装置280への接続は、例えばハンズフリー操作のため及び/又は音声起動操作のため、イヤホン又はヘッドホンへの接続のため及び/又は移動電話等への接続のためのカーステレオユニット等の他の何らかの外部装置への有線接続又は無線接続であってもよい。この場合、移動電話接続は、ナビゲーションデバイス100とインターネット又は他の何らかのネットワーク等との間のデータ接続を確立するため及び/あるいはインターネット又は他の何らかのネットワーク等を介するサーバへの接続を確立するために使用されてもよい。
【0033】
図9は、接続255を介するプロセッサ210とアンテナ/受信機250との間の動作可能な接続を更に示す。この場合、アンテナ/受信機250は、既知の方法でナビゲーションデバイス100のリアルタイムの現在地を判定できる位置決めシステムの信号(GPS信号、あるいは他の無線信号又は衛星信号等)を受信するように構成可能である。図中符号250で示すアンテナ及び受信機は図示のため概略的に組み合わされるが、アンテナ及び受信機は別個に配置された構成要素であってもよく、アンテナは、例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよいことが理解されるだろう。
【0034】
更に、図9に示す電子構成要素が従来の方法で電源(不図示)により電力を供給されることが当業者には理解されるだろう。当業者により理解されるように、図9に示す構成要素の異なる構成が本出願の範囲内にあると考えられる。例えば図9に示す構成要素は、有線接続及び/又は無線接続等を介して互いに通信していてもよい。また、接続は互いに独立するものとして示されるが、接続の一部又は全ては1つ以上の通信バスを共有してもよい。
【0035】
図10を参照すると、プロセッサ210及びメモリ230は、協働してナビゲーションデバイス100の機能ハードウェア構成要素152とデバイスにより実行されたソフトウェアとの間のインタフェースとして機能するBIOS(基本入出力システム)150を確立する。その後、プロセッサ210は、アプリケーションソフトウェア156が実行可能な環境を提供するオペレーティングシステム154をメモリ230からロードする。
【0036】
ナビゲーションデバイス100により提供された機能性に依存して、アプリケーションソフトウェア156は、位置判定モジュール22、ルート計算モジュール14及び地図ビュー生成モジュール16のうちの1つ以上を含んでもよい。地図ビュー生成モジュール16は、地図オブジェクトが地図ビューにおいてルート情報への視線を遮ると判断されるかに依存して3次元地図オブジェクトに対する表示形式が制御される3次元立面斜視図を実現する。
【0037】
本発明の種々の態様及び実施形態を上述したが、本発明の範囲は本明細書に記載の特定の構成に限定されるのではなく、添付の請求の範囲の範囲に含まれる全ての構成、並びにそれらに対する変形及び変更を含むことが理解されるだろう。
【0038】
尚、添付の請求の範囲は本明細書で説明した特徴の特定の組み合わせを記載するが、本発明の範囲は、以下に請求される特定の組み合わせに限定されるのではなく、特定の組み合わせが添付の請求の範囲において特に列挙されたかに関係なく、本明細書で開示された特徴又は実施形態のどのような組み合わせも含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元立面斜視図である地図ビュー及びルート情報を含む表示画像を生成する方法であって、
(a)前記表示画像内に表示される地図オブジェクトに関連する高さ情報から、前記3次元立面斜視図において前記オブジェクトが前記ルート情報への視線を遮るかを判定する工程(30)と、
(b)前記地図オブジェクトが前記視線を遮ると判定されるか否かに依存する形式で前記地図オブジェクトを表示する工程(32)と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記表示する工程(32)は、前記地図オブジェクトが前記視線を遮るという判定に応答して、前記地図オブジェクトの後方において前記ルート情報を少なくとも部分的に表示できる形式で前記地図オブジェクトを表示する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記形式は、少なくとも部分的に透明な形式及び/又はワイヤフレーム形式から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
地図オブジェクトの透明度への変化を徐々に実現することにより、前記地図ビューが円滑に変化する工程を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記判定する工程(30)は、
カメラ閲覧位置と前記ルート情報との間の各位置に存在する1つ以上の地図オブジェクトを識別し且つ他の地図オブジェクトを除外する粗判断工程(30a)と、
前記粗判断工程(30a)において識別された前記地図オブジェクト毎に、(i)前記地図オブジェクトの前記高さ及び(ii)前記カメラ閲覧位置と前記ルート情報との間の前記地図オブジェクトの前記各位置に基づいて前記地図オブジェクトが前記視線を遮るかを評価する精細な判断工程(30b)と
を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記粗判断工程(30a)は、
頂点をカメラ閲覧位置(36)に有し及び前記ルート情報上の点(38)により定義された2つ以上の更なる角を有する多角形として定義された候補領域(34)を識別するサブ工程(44)を含み、
前記カメラ閲覧位置(36)は、前記3次元立面斜視図が整列される閲覧位置を示すことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記多角形は、前記カメラ閲覧位置(36)及び前記ルート情報上の2点(38)により定義された三角形であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記精細な判断工程は、前記地図オブジェクトを介して遮られない視線に必要となる立面図の閾値角度(シータ(theta))を判定する工程と、前記地図ビューに対する現在の仰角が前記遮られない視線に対する閾値を満たすかを判断する工程と
を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記立面図の閾値角度を判定する工程は、
前記ルート情報上の前記点(38)の間の幾何学的な線(39)を解析セグメント(50)に分割するサブ工程(60)と、
セグメント(50)毎に、前記セグメント(50)上の点(52)と、地図上の地表面における前記地図オブジェクトの点(56)と、前記地図オブジェクトの前記高さにおける前記地図オブジェクトの前記同一の点(58)との間に構成された直角三角形(54)の斜辺と隣接する縁端との間の前記交差の角度を示す前記仰角(シータ(theta))を判定するサブ工程(62、64)と
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カメラ閲覧位置からの距離が所定の距離閾値を上回る地図オブジェクトを無視する工程を更に含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータプロセッサにより実行される場合に、請求項1乃至10のいずれか1項により特定された方法を実現する実行可能なソフトウェアを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムを含むか又は搭載する記憶媒体(230)。
【請求項13】
ルート情報と重ね合わされた3次元立面図地図ビューを含む表示画像を生成するように構成されるルートナビゲーション装置(100)であって、
前記装置は、前記地図オブジェクトが前記地図ビューにおいて前記ルート情報への視線を遮ると判定されるか否かに依存する表示形式で3次元地図オブジェクトを表示するように構成されることを特徴とするルートナビゲーション装置(100)。
【請求項14】
前記表示形式は、(i)前記3次元地図オブジェクトが前記ルート情報への視線を遮らないと判定される場合に、第1の略不透明な表示形式及び(ii)前記3次元地図オブジェクトが前記ルート情報への視線を遮ると判定される場合に、第2の少なくとも部分的に透明な表示形式又はワイヤフレーム表示形式から選択されることを特徴とする請求項13に記載のルートナビゲーション装置。
【請求項15】
前記第2の表示形式は、前記地図ビューにおける前記オブジェクトの後方のルート情報が前記オブジェクトを介して可視になることを可能にすることを特徴とする請求項14に記載のルートナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−524022(P2011−524022A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510834(P2011−510834)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004560
【国際公開番号】WO2009/143869
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】