トナー収容器、画像形成装置、トナー収容器製造方法、及びトナー収容器再生方法。
【課題】シーリング部材190Yの張り直し作業や交換作業を容易に行うことができるトナーカートリッジを提供する。
【解決手段】トナーを収容する円筒状収容器101Yと、これの先端部を自らの内部に受け入れた状態で、円筒状収容器101Yを回転可能に保持するキャップ部150Yと、キャップ部150Yと円筒状収容器101Yとの間に介在するシーリング部材190Yとを具備するトナーカートリッジにおいて、キャップ部150Yのフック部152Yに引っ掛けるために円筒状収容器101Yの先端部に形成する外周突起104Yとして、従来よりも幅広のものを形成し、この外周突起104Yの側面をシール受け面として機能させ、このシール受け面にシーリング部材190Yを貼り付けた。
【解決手段】トナーを収容する円筒状収容器101Yと、これの先端部を自らの内部に受け入れた状態で、円筒状収容器101Yを回転可能に保持するキャップ部150Yと、キャップ部150Yと円筒状収容器101Yとの間に介在するシーリング部材190Yとを具備するトナーカートリッジにおいて、キャップ部150Yのフック部152Yに引っ掛けるために円筒状収容器101Yの先端部に形成する外周突起104Yとして、従来よりも幅広のものを形成し、この外周突起104Yの側面をシール受け面として機能させ、このシール受け面にシーリング部材190Yを貼り付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナーカートリッジ等のトナー収容器やこれを用いる画像形成装置に関するものである。また、トナー収容器を製造するトナー収容器製造方法や、使用済みのトナー収容器を再生するトナー収容器再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のトナー収容器の1つとして、円筒状収容器と、これの先端部を回転自在に保持するキャップ部とを具備する円筒回転方式のトナーカートリッジが知られている(例えば特許文献1に記載のもの)。図1は、従来の円筒回転方式のトナーカートリッジにおける先端部を示す分解断面図である。同図において、トナーカートリッジ500は、リング状のシーリング部材501と、蓋の役割を果たすキャップ部510と、長筒状の円筒状収容器530とを有している。同図では、便宜上、キャップ部510とシーリング部材501と円筒状収容器530とを切り離して示しているが、実際には、図2に示すように、それらは互いに一体的に組み付けられている。また、便宜上、円筒状収容器530については、筒軸線方向の先端部だけを示している。
【0003】
図1に示すように、キャップ部510は、比較的大きな大径円筒構造部511と比較的小さな小径円筒構造部514とを同じ軸線上で重ねた2重円筒状の構造になっている。キャップ部510における大径側の端には円筒状収容器530の先端部を受け入れるための開口が形成されているが、小径側の端は閉塞している。
【0004】
キャップ部510の大径円筒構造部511の内周面には、筒内側に向けて突出するフック部512が設けられている。このフック部512は、キャップ開口側がテーパー状になっているのに対し、反対側が周面からほぼ垂直に立ち上がる壁状になっている。このようにほぼ垂直に立ち上がっている面が、後述の外周突起533を引っ掛けるための引っ掛け面となっている。
【0005】
一方、円筒状収容器530の先端には、容器開口531が設けられている。また、円筒状収容器530の先端部の外周面には、全周に渡って延在する外周突起533が設けられている。更に、円筒状収容器530には、容器外側から内側に向けてエンボス加工部のように窪む螺旋溝532が設けられている。この螺旋溝532は、容器の外側から見ると螺旋状の凹部になっているが、容器の内側から見ると螺旋状の凸部になっている。
【0006】
キャップ部510に対しては、図中矢印で示すように、リング状のシーリング部材501と、円筒状収容器530の先端部とが挿入される。このとき、円筒状収容器530の外周突起533は、キャップ部510のフック部512におけるテーパー状の出っ張りを乗り越えていく。そして、円筒状収容器530の先端が、シーリング部材501に密着する。この状態では、円筒状収容器530の外周突起530が、フック部514の引っ掛け面に引っ掛かるため、円筒状収容器530はキャップ部510から外れることなく、図2に示すようにキャップ部510によって回転可能に保持される。
【0007】
画像形成装置の本体内において、トナーカートリッジ500の円筒状収容器530が図示しない駆動手段によって回転駆動されると、円筒状収容器530内に収容されている図示しないトナーが、螺旋溝532の螺旋運動によって図中右側から左側に向けて移動する。そして、円筒状収容器530の容器開口(図1の531)を通ってキャップ部510のキャップ512内に移動する。その後、キャップ部510のトナー排出口514から外部へと排出された後、作像手段の一部である図示しない現像装置内に補給される。
【0008】
以上の構成において、リング状のリーリング部材501については、取れないようにキャップ部510の裏面に両面テープで貼り付けていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、キャップ部510の内径は人の掌よりも小さいことから、頂壁513に貼り付けたシーリング部材501を剥がすことが非常に困難になる。すると、シーリング部材501を誤ってずれた位置に貼り付けてしまった場合の張り直し作業や、トナーカートリッジ500をリサイクル使用する場合のシーリング部材501の交換作業に手間がかかって、コストアップを引き起こしてしまう。
【0010】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シーリング部材の張り直し作業や交換作業を容易に行うことができるトナー収容器及び画像形成装置を提供することである。また、かかるトナー収容器を製造するトナー収容器製造方法や、かかるトナー収容器を使用後に再生するトナー収容器再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器において、前記シーリング部材を固定するためのシール受け面を前記円筒状収容器に設けるとともに、前記シーリング部材を前記シール受け面に固定したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のトナー収容器において、前記シール受け面から立ち上がる外壁を前記シール受け面の外周縁部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のトナー収容器において、前記外壁の高さを前記シーリング部材の厚みよりも大きくしたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3のトナー収容器において、前記シーリング部材としてリング状のものを用い、前記シール受け面としてリング状の形状のものを設け、且つ、前記シール受け面から立ち上がる内壁を前記シール受け面の内周縁部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のトナー収容器において、リング状の前記シーリング部材の外径D1よりも自らの外径D3が小さく、且つ前記シーリング部材の内径D2よりも自らの内径D4が大きいリング状の突起を、前記シール受け面に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のトナー収容器において、リング状の前記シーリング部材の外径D1よりも自らの外径D5が小さく、且つ前記シーリング部材の内径D2よりも自らの内径D6が大きいリング状の突起を、前記キャップ部における前記シール受け面との対向面に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4乃至6の何れかのトナー収容器において、法線方向に段差のある凹凸パターンを円状の前記外壁の内周面に設けるとともに、前記凹凸パターンに係合可能な係合凹凸パターンをリング状の前記シーリング部材の外縁部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、トナーを用いて画像を作像する作像手段と、これに補給するためのトナーを収容し且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器とを備える画像形成装置において、前記トナー収容器として、請求項1乃至7の何れかのトナー収容器を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器を製造するトナー収容器製造方法において、前記円筒状収容器として、前記シーリング部材を固定するためのシール受け面を設けたものを用い、そのシール受け面に前記シーリング部材を固定した前記円筒状収容器の先端部を前記キャップ部に係合させて、前記トナー収容器を製造することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器を使用済みの状態から再生するトナー収容器再生方法において、使用済みのトナー収容器の前記キャップ部から前記円筒状収容器を引き抜く工程と、引き抜いた前記円筒状収容器に設けられたシール受け面から前記シーリング部材を取り外す工程と、前記シール受け面に新たな前記シーリング部材を固定する工程と、前記円筒状収容器内にトナーを充填する工程と、トナー充填済みの前記円筒状収容器を前記キャップ部に係合させる工程とを実施して、再生トナー収容器を得ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
これらの発明においては、シーリング部材をトナー収容器の円筒状収容器の先端部に設けたシール受け面に固定することで、動作中のトナー収容器からシーリング部材が外れてしまうことを防止することができる。しかも、シール受け面が設けられている円筒状収容器の先端部には、キャップ部の内側とは異なり、人の手のアクセスを邪魔する壁が存在していないので、円筒状収容器の先端部のシール受け面に固定したシーリング部材に対しては、人の手によって容易に除去作業を施すことが可能である。よって、シーリング部材の張り直し作業や交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の円筒回転方式のトナーカートリッジにおける先端部を示す分解断面図。
【図2】円筒収容器をキャップ部に取り付けた状態の同先端部を示す断面図。
【図3】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図4】同プリンタにおけるY用のプロセスカートリッジを示す拡大構成図。
【図5】同プリンタにおけるY用のトナーカートリッジを示す斜視図。
【図6】同トナーカートリッジを示す分解斜視図。
【図7】同プリンタのトナー補給装置を示す斜視図。
【図8】同トナーカートリッジの円筒収容器の先端部を示す拡大斜視図。
【図9】組み立て前の同トナーカートリッジの先端部分を示す拡大縦断面図。
【図10】組み立て後の同先端部分を示す拡大縦断面図。
【図11】シーリング部材を貼り付けた状態の円筒収容器の先端部を示す拡大斜視図。
【図12】第1実施例に係るプリンタの円筒状収容器の先端部を示す斜視図。
【図13】同円筒状収容器の先端部を示す断面図。
【図14】第2実施例に係るプリンタの円筒状収容器の先端部を示す斜視図。
【図15】同円筒状収容器の先端部を示す断面図。
【図16】第3実施例に係るプリンタにおけるY用のトナーカートリッジの先端部を示す分解断面図。
【図17】円筒状収容器の先端部をキャップ部に挿入した状態の同先端部を示す断面図。
【図18】同円筒状収容器の先端部を示す拡大斜視図。
【図19】同円筒状収容器の先端を前方から示す正面図。
【図20】同トナーカートリッジのシーリング部材を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図3は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、本プリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ1Yを例にすると、図4に示すように、ドラム状の感光体2Y、ドラムクリーニング装置3Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。このプロセスカートリッジ1Yは、プリンタ本体に一体的に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0015】
帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体2Yの表面を一様帯電せしめる。同図においては、図示しない電源によって帯電バイアスが印加されながら、図中反時計回りに回転駆動される帯電ローラ6Yを感光体2Yに当接させることで、感光体2Yを一様帯電せしめる方式の帯電装置4Yを示した。帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーのように、感光体2Yに対して非接触で帯電処理を施すものを用いてもよい。帯電装置4Yによって一様帯電せしめられた感光体2Yの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザ光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
【0016】
現像装置5Yは、第1搬送スクリュウ7Yが配設された第1剤収容部8Yを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(以下、Tセンサという)9Y、第2搬送スクリュウ10Y、現像ロール11Y、ドクターブレード12Yなどが配設された第2剤収容部13Yも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ7Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第1剤収容部8Y内のY現像剤を図紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送する。そして、第1剤収容部8Yと第2剤収容部13Yとの間の仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て、第2剤収容部13Y内に進入する。第2剤収容部13Y内の第2搬送スクリュウ10Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、Y現像剤を図紙面に直交する方向の中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1剤収容部13Yの底部に固定されたTセンサ9Yによってそのトナー濃度が検知される。
【0017】
このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ10Yの図中上方には、図中反時計回りに回転駆動せしめられる非磁性パイプ14Y内にマグネットローラ15Yを内包する現像ロール11Yが平行配設されている。第2搬送スクリュウ10Yによって搬送されるY現像剤は、マグネットローラ15Yの発する磁力によって非磁性パイプ14Y表面に汲み上げられる。そして、非磁性パイプ14Yと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード12Yによってその層厚が規制された後、感光体2Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体2Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体2Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール11Yの非磁性パイプ14Yの回転に伴って第2搬送スクリュウ10Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第1剤収容部8Y内に戻る。
【0018】
Tセンサ9YによるY現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。Y現像剤の透磁率は、Y現像剤のYトナー濃度と相関を示すため、Tセンサ9YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。上記制御部はRAMを備えており、この中にTセンサ9Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像装置に搭載されたM,C,K用のTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。現像装置5Yについては、Tセンサ9Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、後述するY用のトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。この駆動により、現像に伴ってYトナーを消費してYトナー濃度を低下させたY現像剤に対して第1剤収容部8Yで適量のYトナーが供給される。このため、第2剤収容部13Y内のY現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色用のプロセスカートリッジ(1M,C,K)の現像剤についても、同様のトナー供給制御が実施される。
【0019】
潜像担持体としての感光体2Y上に形成されたYトナー像は、後述する中間転写ベルトに中間転写される。ドラムクリーニング装置3Yは、中間転写工程を経た後の感光体2Y表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体2Y表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体2Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。先に示した図3において、他色用のプロセスカートリッジ1M,C,Kでも、同様にして感光体2M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト41上に重ね合わせて中間転写される。
【0020】
プロセスカートリッジ1Y,M,C,Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各プロセスカートリッジ1Y,M,C,Kにおける各感光体に照射する。これにより、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体2Y,M,C,Kに照射するものである。光源として、レーザーダイオードを用いるものの代わりに、LEDを用いるものを採用してもよい。
【0021】
光書込ユニット20の図中下側には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録体たる転写紙Pが複数枚重ねられた転写紙束の状態で収容されており、一番上の転写紙Pには、第1給紙ローラ31a、第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第1給紙カセット31内の一番上の転写紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第2給紙カセット32内の一番上の転写紙Pが、給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた転写紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。
【0022】
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、転写紙Pを搬送ローラ対34から送られてくる転写紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0023】
各プロセスカートリッジ1Y,M,C,Kの図中上方には、中間転写体たる中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット40が配設されている。この転写ユニット40は、中間転写ベルト40の他、ベルトクリーニング装置42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,M,C,K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これら8つのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ45Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト41を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0024】
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで2次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で転写紙Pに一括2次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0025】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニング装置42によってクリーニングされる。
【0026】
2次転写ニップの図中上方には、加圧ローラ61や定着ベルトユニット62などを備える定着装置60が配設されている。この定着装置60の定着ベルトユニット62は、定着ベルト64を、加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回りに無端移動せしめる。加熱ローラ63は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包しており、定着ベルト64を裏面側から加熱する。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回りに回転駆動される加圧ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
【0027】
2次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着装置60内に送られる。そして、定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が定着せしめられる。
【0028】
このようにして定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
【0029】
転写ユニット40の上方には、Y,M,C,Kトナーを収容するトナー収容器たる4つのトナーカートリッジ100Y,M,C,Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,M,C,K内の図示しないY,M,C,Kトナーは、それぞれプロセスカートリッジ1Y,M,C,Kの現像装置に適宜供給される。これらトナーカートリッジ100Y,M,C,Kは、プロセスカートリッジ1Y,M,C,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
【0030】
以上の構成の本プリンタにおいては、4つのプロセスカートリッジ1Y,M,C,Kや光書込ユニット20などにより、トナー像を作像する作像手段が構成されている。
【0031】
図5はY用のトナーカートリッジ100Yを示す斜視図である。同図において、Y用のトナーカートリッジ100Yは、図示しないYトナーを収容する円筒状収容器101Yと、キャップ部150Yとを有している。また、後述する図示しないシーリング部材も有している。
【0032】
キャップ部150Yは、図6に示すように、円筒状収容器101Yの筒軸線方向の先端部を覆うように自らの内部に円筒状収容器101Yの先端部を受け入れている。円筒状収容器101Yの周面には、容器の外側から内側に向けて螺旋状に窪む螺旋溝102Yが形成されている。また、図示しないトナー補給装置の原動ギヤに噛み合うためのギヤ部103Yや、円周方向の全周に渡って突出する外周突起104Yも、円筒状収容器101Yの周面に形成されている。更に、円筒状収容器101Yの筒軸線方向の先端には、丸穴状の容器開口105Yが筒軸線方向の前方を向くように形成されている。
【0033】
また、キャップ部150Yは、比較的大径の円筒状の構造体である大径円筒構造部151Yと、比較的小径の円筒状の構造体である小径円筒構造部161Yとを軸線方向に同心上に重ねた2段円筒構造を有している。
【0034】
図7は、本プリンタにおけるトナー補給装置を示す斜視図である。同図において、トナー補給装置70は、4つのトナーカートリッジ100Y,M,C,Kを載置するカートリッジ載置台77、それぞれのトナーカートリッジの円筒状収容器101Y,M,C,Kを個別に回転駆動する円筒駆動部78などを備えている。カートリッジ載置台77上にセットされたトナーカートリッジ100Y,M,Cは、キャップ部150Y,M,C,Kをトナー補給装置70の円筒駆動部78に係合させている。図中矢印X1で示すように、円筒駆動部78に係合しているトナーカートリッジ100Kをカートリッジ載置台77上で円筒駆動部78から遠ざける方向にスライド移動させると、トナーカートリッジ100Kのキャップ部が円筒駆動部78から外れる。このようにして、トナー補給装置70からトナーカートリッジ100Kを取り外すことができる。
【0035】
トナーカートリッジ100Kが装着されていない状態のトナー補給装置70においては、図中矢印X2で示すように、カートリッジ載置台77上でトナーカートリッジ100Kを円筒駆動部78に近づける方向にスライド移動させると、トナーカートリッジ100Kのキャップ部が円筒駆動部78に係合する。このようにして、トナー補給装置70にトナーカートリッジ100Kを装着することができる。他色用のトナーカートリッジ100Y,M,Cについても、同様の操作を行うことでトナー補給装置70に脱着することができる。
【0036】
トナーカートリッジ100Y,M,C,Kの円筒状収容器101Y,M,C,Kの先端部外周面には、それぞれ上述した図示しないギヤ部が形成されている。トナーカートリッジ100Y,M,C,Kのキャップ部150Y,M,C,Kが円筒駆動部78に係合すると、円筒駆動部78に設けられた図示しないY,M,C,K用の原動ギヤが、円筒状収容器101Y,M,C,Kのギヤ部に噛み合う。そして、円筒駆動部78のY,M,C,K用の原動ギヤが図示しない駆動系によって回転駆動することで、円筒状収容器101Y,M,C,Kがキャップ部150Y,M,C,K上で回転駆動される。
【0037】
先に示した図5において、円筒状収容器101Yがこのようにしてキャップ部150Y上で回転駆動すると、円筒状収容器101Y内のYトナーが上述のスクリュー状の螺旋溝102Yに沿って回転軸線方向における後端側から先端側に向けて移動する。そして、円筒状収容器101Yの先端に設けられた図示しない容器開口(図6の105Y)を通ってキャップ部150Y内に流入する。
【0038】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図8は、円筒収容器101Yの先端部を示す拡大斜視図である。円筒収容器101Yの外周突起104Yは、従来とは異なり、円筒収容器101Yの最先端に設けられている。そして、円筒収容器101Yの外周面からの法線方向の突出量が、従来よりも大きくなっている。このように突出量を大きくしたことで、外周突起104Yの側面をリング状のシール部材190Yよりも大きな面積のリングにして、シール受け面を構成している。シール部材190Yの片面には、同じ大きさのリング形状に加工した両面テープ191Yを貼り付けている。そして、その両面テープ191Yにより、シール部材190Yを外周突起104Yの側面であるシール受け面に貼り付けている。
【0039】
図9は、組み立て前のトナーカートリッジ100Yの先端部分を示す拡大縦断面図である。同図に示すキャップ部150Yの大径円筒構造部151Yにおいて、筒軸線方向の一端側(図中右側)は円状に大きく開口している。この開口が、筒状収容器101Yの先端部を受け入れるための受入用開口になっている。一方、大径円筒構造部151Yの筒軸線方向の他端側には、小径円筒構造部161Yが連結している。この連結位置(重ね位置)では、大径円筒構造部151Yが小径円筒構造部161Yよりも法線方向にリング状に出っ張っている。このようにリング状に出っ張っている箇所が、大径円筒構造部151Yのリング状頂壁153Yである。このリング状頂壁153Yの内面には、大径円筒構造部151Yの外周壁よりも小さな径の筒状内壁154Yが立設せしめられている。
【0040】
円筒状収容器101Yの先端部は先細になっており、細くなり始める位置よりもやや後端側では、筒外周面の全周に渡って突出するギヤ部103Yが設けられている。上述したように、そして、円筒状収容器101Yの最先端の位置には、外周面から従来よりも大きな突出量で突出する外周突起104Yが形成されている。この外周突起104Yの先端面であるシール受け面に、リング状のシーリング部材190Yが貼り付けられている。
【0041】
キャップ部150Yの大径円筒構造部151Yの内周面には、筒軸線方向の端部の付近にフック部152Yが筒内側に向けて突出するように設けられている。このフック部152Yは、筒軸線方向の後端側が先端側に向けて斜めに立ち上がるテーパー状の形状になっているのに対し、先端側は大径円筒構造部151Yの内周面からほぼ垂直に立ち上がっている。このようにほぼ垂直に立ち上がる面が、外周突起104Yを引っ掛けるための引っ掛け面となっている。
【0042】
円筒状収容器101Yの先端部が、キャップ部105Yに挿入される際、円筒状収容器101Yの外周突起104Yが、キャップ部105Yの大径円筒構造部151Yのフック部152Yを乗り越える。そして、円筒状収容器101Yの先端に貼り付けられた発泡ポリウレタンからなるシーリング部材190Yが、図10に示すように、大径円筒構造部151Y内の筒状内壁154Yに突き当たって密着する。この状態では、円筒状収容器101Yの外周突起104Yが、フック部152Yの引っ掛け面に引っ掛かる。これにより、円筒状収容器5101Yがキャップ部150Yから外れることなく、キャップ部150Yによって回転可能に保持される。
【0043】
実施形態に係るプリンタにおいては、シーリング部材190Yの片面の全域に接触する、円筒状収容器101Yのシール受け面(外周突起104Yの側面)に、シーリング部材190Yを貼り付けたことで、回転する円筒状収容器104Yと摺擦するシーリング部材190Yの縒れの発生を抑えることができる。しかも、キャップ部150Yに受け入れられる円筒状収容器101Yの先端部には、図11に示すように、キャップ部の筒状の周壁のような、人の手のアクセスを邪魔する壁が存在しない。よって、先端部のシール受け面である外周突起104Yの側面に貼り付けたシーリング部材190Yに対しては、人の手によって容易に除去することが可能である。従って、シーリング部材190Yの張り直し作業や交換作業を容易に行うことができる。
【0044】
なお、外周突起104Yの側面によって構成されているリング状のシール受け面のリング幅(図9のW)については、1.5[mm]以上とすることが望ましい。実施形態に係るプリンタでは、そのリング幅Wを5[mm]にしている。また、シーリング部材190Yの厚みも3[mm]にしている。シーリング部材190Yとシール受け面とを貼り付けるための両面テープとしては、日東電工社製のN0.5000NSを用いた。また、シーリング部材190Yの素材である発泡ポリウレタン樹脂としては、INOAC社製のポロンLE−20LFを用いている。また、円筒状収容器101Yとしては、ポリエチレンテレフタレートを射出成型したものを用いている。シール受け面も同時に射出成型しているので、平面性に優れたシール受け面とすることができる。
【0045】
外周突起104Yについては、円筒状収容器101Yの直径30[mm]の先端部から5[mm]立ち上げてその外径を40[mm]にしている。また、外周突起104Yの厚みについては、1.5[mm]にしている。
【0046】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例について説明する。
[第1実施例]
図12は、第1実施例に係るプリンタの円筒状収容器101Yの先端部を示す斜視図である。また、図13は、円筒状収容器101Yの先端部を示す断面図である。この円筒状収容器101Yにおいては、外周突起104Yの側面からなるリング状のシール受け面から立ち上がる外壁106Yを、シール受け面の外周縁部に設けている。このように外壁106Yを設けることで、シーリング部材190Yをシール受け面に貼り付ける際の位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0047】
外壁106Yの高さ(図13のh1)については、シーリング部材190Yの厚み(図12のt1)よりも大きくしている。このように高さ設定すると、先に図9に示したキャップ部150Yに円筒状収容器101Yの先端部を挿入する際に、シーリング部材190Yを外壁106Yで保護してフック部152Yにぶつけることがなくなるので、挿入作業の際のシーリング部材190Yの破損を回避することができる。
【0048】
なお、第1実施例では、外壁106Yの高さh1を4[mm]にし、且つシーリング部材190Yの厚みt1を3[mm]にしている。
【0049】
[第2実施例]
図14は、第2実施例に係るプリンタの円筒状収容器101Yの先端部を示す斜視図である。また、図15は、円筒状収容器101Yの先端部を示す断面図である。この円筒状収容器101Yは、外周突起104Yの側面であるシール受け面の外周縁部で立ち上がる外壁106Yに加えて、リング状のシール受け面の内周縁部で立ち上がる内壁107Yを設けている。そして、外壁106Yと内壁107Yとの間に、シーリング部材190Yを挿入して、シール受け面上に保持させている。シーリング部材190Yの外側を外壁106Yで囲むとともに、シーリング部材190Yの内側を内壁107Yで囲むことにより、シーリング部材190Yをシール受け面や図示しないキャップ部に摺擦させても、シーリング部材190Yを位置ズレさせることがなくなる。このため、シーリング部材190Yをシール受け面に貼り付けずに、シール受け面上に保持させている。本願の請求項に係る発明において、「シーリング部材を固定する」とは、このように保持させている態様も含む概念である。
【0050】
このように、シーリング部材190Yの貼り付けを不要にしたことで、製造コストを低減することができる。なお、第2実施例では、シーリング部材190Yの厚みt1を3[mm]にし、外壁106Yの高さh1を4[mm]にし、且つ内壁107Yの高さh2を4[mm]にしている。シーリング部材190Yのリング幅については3[mm]にしている。また、シーリング部材190Yの素材である発泡ポリウレタンとしては、INOAC社製のポロンLE−20LF
【0051】
[第3実施例]
図16は、第3実施例に係るプリンタにおけるY用のトナーカートリッジ100Yの先端部を示す分解断面図である。同図に示す円筒状収容器101Yにおいて、外壁106Yと内壁107Yとに囲まれるシール受け面には、リング状突起108Yが設けられている。このリング状突起108Yの外径D3は、シーリング部材190Yの外径D1よりも小さい。また、リング状突起108Yの内径D4は、シーリング部材190Yの内径D2よりも大きい。
【0052】
キャップ部150Yにおける、円筒状収容器101Yのシール受け面との対向面にも、リング状突起159Yが設けられている。このリング状突起159Yの外径D5はシーリング部材190Yの外径D1よりも小さい。また、リング状突起159Yの内径D6はシーリング部材190Yの内径D2よりも大きい。
【0053】
円筒状収容器101Yの先端部がキャップ部150Y内に挿入されると、図17に示すように、シーリング部材190Yが、キャップ部150Yのリング状突起159Yと、円筒状収容器101Yのリング状突起108Yとの間に挟まれて変形する。これにより、キャップ部150Yと円筒状収容器101Yとの間の気密性が確保される。
【0054】
第3実施例においては、シーリング部材160Yの内径D2を32[mm]、外径D1を36[mm]にしている。キャップ部150Yのリング状突起159Y、円筒状収容器101Yのリング状突起108Yについては、何れも、外径D3、D5を34.5[mm]にするとともに、内径D2、D4を33.5[mm]にしている。それらリング状突起の高さは何れも1.5[mm]である。
【0055】
図18は、円筒状収容器101Yの先端部を示す拡大斜視図である。この円筒状収容器101Yにおいては、法線方向に段差のある凹凸パターンを円状の外壁106Yの内周面に設けている。また、その凹凸パターンに係合可能な係合凹凸パターンをリング状のシーリング部材190Yの外縁部に設けている。かかる構成では、それらパターンを互いに係合させることで、シーリング部材160Yを外壁106Yの凸部に引っ掛けて、シーリング部材160Yの円筒状収容器101Yとの連れ回りを回避することができる。
【0056】
外壁106Yの内側においては、図19に示す凹凸パターンの凸部の内径D9が38[mm]に設定されている。また、シーリング部材190Yにおいては、図20に示す係合凹凸パターンの凹部の深さαが2[mm]に設定されている。シーリング部材190Yの厚みは3[mm]、リング幅は3[mm]である。シーリング部材190Yの素材の発泡ポリウレタンとしては、INOAC社製のポロンLE−20LFを用いている。
【0057】
以上、第1実施例に係るプリンタにおいては、円筒状収容器101Yのシール受け面から立ち上がる外壁106Yをシール受け面の外周縁部に設けている。かかる構成では、シーリング部材190Yをシール受け面に貼り付ける際の位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0058】
また、第1実施例に係るプリンタにおいては、外壁106Yの高さh1をシーリング部材160Yの厚みt1よりも大きくしている。かかる構成では、キャップ部150Yに円筒状収容器101Yの先端部を挿入する際に、シーリング部材190Yを外壁106Yで保護してその破損を回避することができる。
【0059】
また、第2実施例に係るプリンタにおいては、シーリング部材190Yとしてリング状のものを用い、シール受け面としてリング状の形状のものを設け、且つ、シール受け面から立ち上がる内壁107Yをシール受け面の内周縁部に設けている。かかる構成では、シーリング部材190Yをシール受け面や図示しないキャップ部に摺擦させても、シーリング部材190Yを位置ズレさせることがなくなるので、シーリング部材190Yの貼り付け作業を不要にして低コスト化を図ることができる。
【0060】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、シーリング部材190Yの外径D1よりも自らの外径D3が小さく、且つシーリング部材190Yの内径D2よりも自らの内径D4が大きいリング状突起108Yを、シール受け面に設けている。更に、シーリング部材190Yの外径D1よりも自らの外径D5が小さく、且つシーリング部材190Yの内径D2よりも自らの内径D6が大きいリング状突起159Yを、キャップ部150Yにおけるシール受け面との対向面に設けている。かかる構成では、シーリング部材190Yを、キャップ部150Yのリング状突起159Yと、円筒状収容器101Yのリング状突起108Yとの間に挟み込んで変形させることで、キャップ部150Yと円筒状収容器101Yとの間の気密性を良好に確保することができる。
【0061】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、法線方向に段差のある凹凸パターンを円状の外壁106Yの内周面に設けるとともに、その凹凸パターンに係合可能な係合凹凸パターンをシーリング部材190Yの外縁部に設けている。かかる構成では、それらパターンを互いに係合させることで、シーリング部材160Yを外壁106Yの凸部に引っ掛けて、シーリング部材160Yの円筒状収容器101Yとの連れ回りを回避することができる。
【符号の説明】
【0062】
1Y,M,C,K:プロセスカートリッジ(作像手段の一部)
20:光書込ユニット(作像手段の一部)
100Y,M,C,K:トナーカートリッジ(トナー収容器)
101Y:円筒状収容器
104Y:外周突起
150Y:キャップ部
151Y:大径円筒構造部
152Y:フック部
153Y:リング状頂壁
154Y:型抜き穴
161Y:小径円筒構造部
190Y:シーリング部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特許第3628539号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナーカートリッジ等のトナー収容器やこれを用いる画像形成装置に関するものである。また、トナー収容器を製造するトナー収容器製造方法や、使用済みのトナー収容器を再生するトナー収容器再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のトナー収容器の1つとして、円筒状収容器と、これの先端部を回転自在に保持するキャップ部とを具備する円筒回転方式のトナーカートリッジが知られている(例えば特許文献1に記載のもの)。図1は、従来の円筒回転方式のトナーカートリッジにおける先端部を示す分解断面図である。同図において、トナーカートリッジ500は、リング状のシーリング部材501と、蓋の役割を果たすキャップ部510と、長筒状の円筒状収容器530とを有している。同図では、便宜上、キャップ部510とシーリング部材501と円筒状収容器530とを切り離して示しているが、実際には、図2に示すように、それらは互いに一体的に組み付けられている。また、便宜上、円筒状収容器530については、筒軸線方向の先端部だけを示している。
【0003】
図1に示すように、キャップ部510は、比較的大きな大径円筒構造部511と比較的小さな小径円筒構造部514とを同じ軸線上で重ねた2重円筒状の構造になっている。キャップ部510における大径側の端には円筒状収容器530の先端部を受け入れるための開口が形成されているが、小径側の端は閉塞している。
【0004】
キャップ部510の大径円筒構造部511の内周面には、筒内側に向けて突出するフック部512が設けられている。このフック部512は、キャップ開口側がテーパー状になっているのに対し、反対側が周面からほぼ垂直に立ち上がる壁状になっている。このようにほぼ垂直に立ち上がっている面が、後述の外周突起533を引っ掛けるための引っ掛け面となっている。
【0005】
一方、円筒状収容器530の先端には、容器開口531が設けられている。また、円筒状収容器530の先端部の外周面には、全周に渡って延在する外周突起533が設けられている。更に、円筒状収容器530には、容器外側から内側に向けてエンボス加工部のように窪む螺旋溝532が設けられている。この螺旋溝532は、容器の外側から見ると螺旋状の凹部になっているが、容器の内側から見ると螺旋状の凸部になっている。
【0006】
キャップ部510に対しては、図中矢印で示すように、リング状のシーリング部材501と、円筒状収容器530の先端部とが挿入される。このとき、円筒状収容器530の外周突起533は、キャップ部510のフック部512におけるテーパー状の出っ張りを乗り越えていく。そして、円筒状収容器530の先端が、シーリング部材501に密着する。この状態では、円筒状収容器530の外周突起530が、フック部514の引っ掛け面に引っ掛かるため、円筒状収容器530はキャップ部510から外れることなく、図2に示すようにキャップ部510によって回転可能に保持される。
【0007】
画像形成装置の本体内において、トナーカートリッジ500の円筒状収容器530が図示しない駆動手段によって回転駆動されると、円筒状収容器530内に収容されている図示しないトナーが、螺旋溝532の螺旋運動によって図中右側から左側に向けて移動する。そして、円筒状収容器530の容器開口(図1の531)を通ってキャップ部510のキャップ512内に移動する。その後、キャップ部510のトナー排出口514から外部へと排出された後、作像手段の一部である図示しない現像装置内に補給される。
【0008】
以上の構成において、リング状のリーリング部材501については、取れないようにキャップ部510の裏面に両面テープで貼り付けていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、キャップ部510の内径は人の掌よりも小さいことから、頂壁513に貼り付けたシーリング部材501を剥がすことが非常に困難になる。すると、シーリング部材501を誤ってずれた位置に貼り付けてしまった場合の張り直し作業や、トナーカートリッジ500をリサイクル使用する場合のシーリング部材501の交換作業に手間がかかって、コストアップを引き起こしてしまう。
【0010】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シーリング部材の張り直し作業や交換作業を容易に行うことができるトナー収容器及び画像形成装置を提供することである。また、かかるトナー収容器を製造するトナー収容器製造方法や、かかるトナー収容器を使用後に再生するトナー収容器再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器において、前記シーリング部材を固定するためのシール受け面を前記円筒状収容器に設けるとともに、前記シーリング部材を前記シール受け面に固定したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のトナー収容器において、前記シール受け面から立ち上がる外壁を前記シール受け面の外周縁部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のトナー収容器において、前記外壁の高さを前記シーリング部材の厚みよりも大きくしたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3のトナー収容器において、前記シーリング部材としてリング状のものを用い、前記シール受け面としてリング状の形状のものを設け、且つ、前記シール受け面から立ち上がる内壁を前記シール受け面の内周縁部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のトナー収容器において、リング状の前記シーリング部材の外径D1よりも自らの外径D3が小さく、且つ前記シーリング部材の内径D2よりも自らの内径D4が大きいリング状の突起を、前記シール受け面に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のトナー収容器において、リング状の前記シーリング部材の外径D1よりも自らの外径D5が小さく、且つ前記シーリング部材の内径D2よりも自らの内径D6が大きいリング状の突起を、前記キャップ部における前記シール受け面との対向面に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4乃至6の何れかのトナー収容器において、法線方向に段差のある凹凸パターンを円状の前記外壁の内周面に設けるとともに、前記凹凸パターンに係合可能な係合凹凸パターンをリング状の前記シーリング部材の外縁部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、トナーを用いて画像を作像する作像手段と、これに補給するためのトナーを収容し且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器とを備える画像形成装置において、前記トナー収容器として、請求項1乃至7の何れかのトナー収容器を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器を製造するトナー収容器製造方法において、前記円筒状収容器として、前記シーリング部材を固定するためのシール受け面を設けたものを用い、そのシール受け面に前記シーリング部材を固定した前記円筒状収容器の先端部を前記キャップ部に係合させて、前記トナー収容器を製造することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器を使用済みの状態から再生するトナー収容器再生方法において、使用済みのトナー収容器の前記キャップ部から前記円筒状収容器を引き抜く工程と、引き抜いた前記円筒状収容器に設けられたシール受け面から前記シーリング部材を取り外す工程と、前記シール受け面に新たな前記シーリング部材を固定する工程と、前記円筒状収容器内にトナーを充填する工程と、トナー充填済みの前記円筒状収容器を前記キャップ部に係合させる工程とを実施して、再生トナー収容器を得ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
これらの発明においては、シーリング部材をトナー収容器の円筒状収容器の先端部に設けたシール受け面に固定することで、動作中のトナー収容器からシーリング部材が外れてしまうことを防止することができる。しかも、シール受け面が設けられている円筒状収容器の先端部には、キャップ部の内側とは異なり、人の手のアクセスを邪魔する壁が存在していないので、円筒状収容器の先端部のシール受け面に固定したシーリング部材に対しては、人の手によって容易に除去作業を施すことが可能である。よって、シーリング部材の張り直し作業や交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の円筒回転方式のトナーカートリッジにおける先端部を示す分解断面図。
【図2】円筒収容器をキャップ部に取り付けた状態の同先端部を示す断面図。
【図3】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図4】同プリンタにおけるY用のプロセスカートリッジを示す拡大構成図。
【図5】同プリンタにおけるY用のトナーカートリッジを示す斜視図。
【図6】同トナーカートリッジを示す分解斜視図。
【図7】同プリンタのトナー補給装置を示す斜視図。
【図8】同トナーカートリッジの円筒収容器の先端部を示す拡大斜視図。
【図9】組み立て前の同トナーカートリッジの先端部分を示す拡大縦断面図。
【図10】組み立て後の同先端部分を示す拡大縦断面図。
【図11】シーリング部材を貼り付けた状態の円筒収容器の先端部を示す拡大斜視図。
【図12】第1実施例に係るプリンタの円筒状収容器の先端部を示す斜視図。
【図13】同円筒状収容器の先端部を示す断面図。
【図14】第2実施例に係るプリンタの円筒状収容器の先端部を示す斜視図。
【図15】同円筒状収容器の先端部を示す断面図。
【図16】第3実施例に係るプリンタにおけるY用のトナーカートリッジの先端部を示す分解断面図。
【図17】円筒状収容器の先端部をキャップ部に挿入した状態の同先端部を示す断面図。
【図18】同円筒状収容器の先端部を示す拡大斜視図。
【図19】同円筒状収容器の先端を前方から示す正面図。
【図20】同トナーカートリッジのシーリング部材を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図3は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、本プリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ1Yを例にすると、図4に示すように、ドラム状の感光体2Y、ドラムクリーニング装置3Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像装置5Y等を備えている。このプロセスカートリッジ1Yは、プリンタ本体に一体的に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0015】
帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体2Yの表面を一様帯電せしめる。同図においては、図示しない電源によって帯電バイアスが印加されながら、図中反時計回りに回転駆動される帯電ローラ6Yを感光体2Yに当接させることで、感光体2Yを一様帯電せしめる方式の帯電装置4Yを示した。帯電ローラ6Yの代わりに、帯電ブラシを当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャーのように、感光体2Yに対して非接触で帯電処理を施すものを用いてもよい。帯電装置4Yによって一様帯電せしめられた感光体2Yの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザ光によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。
【0016】
現像装置5Yは、第1搬送スクリュウ7Yが配設された第1剤収容部8Yを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(以下、Tセンサという)9Y、第2搬送スクリュウ10Y、現像ロール11Y、ドクターブレード12Yなどが配設された第2剤収容部13Yも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとからなる図示しないY現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ7Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第1剤収容部8Y内のY現像剤を図紙面に直交する方向の手前側から奥側へと搬送する。そして、第1剤収容部8Yと第2剤収容部13Yとの間の仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て、第2剤収容部13Y内に進入する。第2剤収容部13Y内の第2搬送スクリュウ10Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、Y現像剤を図紙面に直交する方向の中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中のY現像剤は、第1剤収容部13Yの底部に固定されたTセンサ9Yによってそのトナー濃度が検知される。
【0017】
このようにしてY現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ10Yの図中上方には、図中反時計回りに回転駆動せしめられる非磁性パイプ14Y内にマグネットローラ15Yを内包する現像ロール11Yが平行配設されている。第2搬送スクリュウ10Yによって搬送されるY現像剤は、マグネットローラ15Yの発する磁力によって非磁性パイプ14Y表面に汲み上げられる。そして、非磁性パイプ14Yと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード12Yによってその層厚が規制された後、感光体2Yと対向する現像領域まで搬送され、感光体2Y上のY用の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体2Y上にYトナー像が形成される。現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール11Yの非磁性パイプ14Yの回転に伴って第2搬送スクリュウ10Y上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第1剤収容部8Y内に戻る。
【0018】
Tセンサ9YによるY現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。Y現像剤の透磁率は、Y現像剤のYトナー濃度と相関を示すため、Tセンサ9YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。上記制御部はRAMを備えており、この中にTセンサ9Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像装置に搭載されたM,C,K用のTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。現像装置5Yについては、Tセンサ9Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、後述するY用のトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。この駆動により、現像に伴ってYトナーを消費してYトナー濃度を低下させたY現像剤に対して第1剤収容部8Yで適量のYトナーが供給される。このため、第2剤収容部13Y内のY現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他色用のプロセスカートリッジ(1M,C,K)の現像剤についても、同様のトナー供給制御が実施される。
【0019】
潜像担持体としての感光体2Y上に形成されたYトナー像は、後述する中間転写ベルトに中間転写される。ドラムクリーニング装置3Yは、中間転写工程を経た後の感光体2Y表面に残留したトナーを除去する。これによってクリーニング処理が施された感光体2Y表面は、図示しない除電装置によって除電される。この除電により、感光体2Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。先に示した図3において、他色用のプロセスカートリッジ1M,C,Kでも、同様にして感光体2M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト41上に重ね合わせて中間転写される。
【0020】
プロセスカートリッジ1Y,M,C,Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各プロセスカートリッジ1Y,M,C,Kにおける各感光体に照射する。これにより、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体2Y,M,C,Kに照射するものである。光源として、レーザーダイオードを用いるものの代わりに、LEDを用いるものを採用してもよい。
【0021】
光書込ユニット20の図中下側には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録体たる転写紙Pが複数枚重ねられた転写紙束の状態で収容されており、一番上の転写紙Pには、第1給紙ローラ31a、第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第1給紙カセット31内の一番上の転写紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第2給紙カセット32内の一番上の転写紙Pが、給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた転写紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。
【0022】
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、転写紙Pを搬送ローラ対34から送られてくる転写紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0023】
各プロセスカートリッジ1Y,M,C,Kの図中上方には、中間転写体たる中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット40が配設されている。この転写ユニット40は、中間転写ベルト40の他、ベルトクリーニング装置42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,M,C,K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これら8つのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ45Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト41を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0024】
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで2次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で転写紙Pに一括2次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0025】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニング装置42によってクリーニングされる。
【0026】
2次転写ニップの図中上方には、加圧ローラ61や定着ベルトユニット62などを備える定着装置60が配設されている。この定着装置60の定着ベルトユニット62は、定着ベルト64を、加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回りに無端移動せしめる。加熱ローラ63は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包しており、定着ベルト64を裏面側から加熱する。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63掛け回し箇所には、図中時計回りに回転駆動される加圧ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
【0027】
2次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着装置60内に送られる。そして、定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が定着せしめられる。
【0028】
このようにして定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
【0029】
転写ユニット40の上方には、Y,M,C,Kトナーを収容するトナー収容器たる4つのトナーカートリッジ100Y,M,C,Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y,M,C,K内の図示しないY,M,C,Kトナーは、それぞれプロセスカートリッジ1Y,M,C,Kの現像装置に適宜供給される。これらトナーカートリッジ100Y,M,C,Kは、プロセスカートリッジ1Y,M,C,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
【0030】
以上の構成の本プリンタにおいては、4つのプロセスカートリッジ1Y,M,C,Kや光書込ユニット20などにより、トナー像を作像する作像手段が構成されている。
【0031】
図5はY用のトナーカートリッジ100Yを示す斜視図である。同図において、Y用のトナーカートリッジ100Yは、図示しないYトナーを収容する円筒状収容器101Yと、キャップ部150Yとを有している。また、後述する図示しないシーリング部材も有している。
【0032】
キャップ部150Yは、図6に示すように、円筒状収容器101Yの筒軸線方向の先端部を覆うように自らの内部に円筒状収容器101Yの先端部を受け入れている。円筒状収容器101Yの周面には、容器の外側から内側に向けて螺旋状に窪む螺旋溝102Yが形成されている。また、図示しないトナー補給装置の原動ギヤに噛み合うためのギヤ部103Yや、円周方向の全周に渡って突出する外周突起104Yも、円筒状収容器101Yの周面に形成されている。更に、円筒状収容器101Yの筒軸線方向の先端には、丸穴状の容器開口105Yが筒軸線方向の前方を向くように形成されている。
【0033】
また、キャップ部150Yは、比較的大径の円筒状の構造体である大径円筒構造部151Yと、比較的小径の円筒状の構造体である小径円筒構造部161Yとを軸線方向に同心上に重ねた2段円筒構造を有している。
【0034】
図7は、本プリンタにおけるトナー補給装置を示す斜視図である。同図において、トナー補給装置70は、4つのトナーカートリッジ100Y,M,C,Kを載置するカートリッジ載置台77、それぞれのトナーカートリッジの円筒状収容器101Y,M,C,Kを個別に回転駆動する円筒駆動部78などを備えている。カートリッジ載置台77上にセットされたトナーカートリッジ100Y,M,Cは、キャップ部150Y,M,C,Kをトナー補給装置70の円筒駆動部78に係合させている。図中矢印X1で示すように、円筒駆動部78に係合しているトナーカートリッジ100Kをカートリッジ載置台77上で円筒駆動部78から遠ざける方向にスライド移動させると、トナーカートリッジ100Kのキャップ部が円筒駆動部78から外れる。このようにして、トナー補給装置70からトナーカートリッジ100Kを取り外すことができる。
【0035】
トナーカートリッジ100Kが装着されていない状態のトナー補給装置70においては、図中矢印X2で示すように、カートリッジ載置台77上でトナーカートリッジ100Kを円筒駆動部78に近づける方向にスライド移動させると、トナーカートリッジ100Kのキャップ部が円筒駆動部78に係合する。このようにして、トナー補給装置70にトナーカートリッジ100Kを装着することができる。他色用のトナーカートリッジ100Y,M,Cについても、同様の操作を行うことでトナー補給装置70に脱着することができる。
【0036】
トナーカートリッジ100Y,M,C,Kの円筒状収容器101Y,M,C,Kの先端部外周面には、それぞれ上述した図示しないギヤ部が形成されている。トナーカートリッジ100Y,M,C,Kのキャップ部150Y,M,C,Kが円筒駆動部78に係合すると、円筒駆動部78に設けられた図示しないY,M,C,K用の原動ギヤが、円筒状収容器101Y,M,C,Kのギヤ部に噛み合う。そして、円筒駆動部78のY,M,C,K用の原動ギヤが図示しない駆動系によって回転駆動することで、円筒状収容器101Y,M,C,Kがキャップ部150Y,M,C,K上で回転駆動される。
【0037】
先に示した図5において、円筒状収容器101Yがこのようにしてキャップ部150Y上で回転駆動すると、円筒状収容器101Y内のYトナーが上述のスクリュー状の螺旋溝102Yに沿って回転軸線方向における後端側から先端側に向けて移動する。そして、円筒状収容器101Yの先端に設けられた図示しない容器開口(図6の105Y)を通ってキャップ部150Y内に流入する。
【0038】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
図8は、円筒収容器101Yの先端部を示す拡大斜視図である。円筒収容器101Yの外周突起104Yは、従来とは異なり、円筒収容器101Yの最先端に設けられている。そして、円筒収容器101Yの外周面からの法線方向の突出量が、従来よりも大きくなっている。このように突出量を大きくしたことで、外周突起104Yの側面をリング状のシール部材190Yよりも大きな面積のリングにして、シール受け面を構成している。シール部材190Yの片面には、同じ大きさのリング形状に加工した両面テープ191Yを貼り付けている。そして、その両面テープ191Yにより、シール部材190Yを外周突起104Yの側面であるシール受け面に貼り付けている。
【0039】
図9は、組み立て前のトナーカートリッジ100Yの先端部分を示す拡大縦断面図である。同図に示すキャップ部150Yの大径円筒構造部151Yにおいて、筒軸線方向の一端側(図中右側)は円状に大きく開口している。この開口が、筒状収容器101Yの先端部を受け入れるための受入用開口になっている。一方、大径円筒構造部151Yの筒軸線方向の他端側には、小径円筒構造部161Yが連結している。この連結位置(重ね位置)では、大径円筒構造部151Yが小径円筒構造部161Yよりも法線方向にリング状に出っ張っている。このようにリング状に出っ張っている箇所が、大径円筒構造部151Yのリング状頂壁153Yである。このリング状頂壁153Yの内面には、大径円筒構造部151Yの外周壁よりも小さな径の筒状内壁154Yが立設せしめられている。
【0040】
円筒状収容器101Yの先端部は先細になっており、細くなり始める位置よりもやや後端側では、筒外周面の全周に渡って突出するギヤ部103Yが設けられている。上述したように、そして、円筒状収容器101Yの最先端の位置には、外周面から従来よりも大きな突出量で突出する外周突起104Yが形成されている。この外周突起104Yの先端面であるシール受け面に、リング状のシーリング部材190Yが貼り付けられている。
【0041】
キャップ部150Yの大径円筒構造部151Yの内周面には、筒軸線方向の端部の付近にフック部152Yが筒内側に向けて突出するように設けられている。このフック部152Yは、筒軸線方向の後端側が先端側に向けて斜めに立ち上がるテーパー状の形状になっているのに対し、先端側は大径円筒構造部151Yの内周面からほぼ垂直に立ち上がっている。このようにほぼ垂直に立ち上がる面が、外周突起104Yを引っ掛けるための引っ掛け面となっている。
【0042】
円筒状収容器101Yの先端部が、キャップ部105Yに挿入される際、円筒状収容器101Yの外周突起104Yが、キャップ部105Yの大径円筒構造部151Yのフック部152Yを乗り越える。そして、円筒状収容器101Yの先端に貼り付けられた発泡ポリウレタンからなるシーリング部材190Yが、図10に示すように、大径円筒構造部151Y内の筒状内壁154Yに突き当たって密着する。この状態では、円筒状収容器101Yの外周突起104Yが、フック部152Yの引っ掛け面に引っ掛かる。これにより、円筒状収容器5101Yがキャップ部150Yから外れることなく、キャップ部150Yによって回転可能に保持される。
【0043】
実施形態に係るプリンタにおいては、シーリング部材190Yの片面の全域に接触する、円筒状収容器101Yのシール受け面(外周突起104Yの側面)に、シーリング部材190Yを貼り付けたことで、回転する円筒状収容器104Yと摺擦するシーリング部材190Yの縒れの発生を抑えることができる。しかも、キャップ部150Yに受け入れられる円筒状収容器101Yの先端部には、図11に示すように、キャップ部の筒状の周壁のような、人の手のアクセスを邪魔する壁が存在しない。よって、先端部のシール受け面である外周突起104Yの側面に貼り付けたシーリング部材190Yに対しては、人の手によって容易に除去することが可能である。従って、シーリング部材190Yの張り直し作業や交換作業を容易に行うことができる。
【0044】
なお、外周突起104Yの側面によって構成されているリング状のシール受け面のリング幅(図9のW)については、1.5[mm]以上とすることが望ましい。実施形態に係るプリンタでは、そのリング幅Wを5[mm]にしている。また、シーリング部材190Yの厚みも3[mm]にしている。シーリング部材190Yとシール受け面とを貼り付けるための両面テープとしては、日東電工社製のN0.5000NSを用いた。また、シーリング部材190Yの素材である発泡ポリウレタン樹脂としては、INOAC社製のポロンLE−20LFを用いている。また、円筒状収容器101Yとしては、ポリエチレンテレフタレートを射出成型したものを用いている。シール受け面も同時に射出成型しているので、平面性に優れたシール受け面とすることができる。
【0045】
外周突起104Yについては、円筒状収容器101Yの直径30[mm]の先端部から5[mm]立ち上げてその外径を40[mm]にしている。また、外周突起104Yの厚みについては、1.5[mm]にしている。
【0046】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例について説明する。
[第1実施例]
図12は、第1実施例に係るプリンタの円筒状収容器101Yの先端部を示す斜視図である。また、図13は、円筒状収容器101Yの先端部を示す断面図である。この円筒状収容器101Yにおいては、外周突起104Yの側面からなるリング状のシール受け面から立ち上がる外壁106Yを、シール受け面の外周縁部に設けている。このように外壁106Yを設けることで、シーリング部材190Yをシール受け面に貼り付ける際の位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0047】
外壁106Yの高さ(図13のh1)については、シーリング部材190Yの厚み(図12のt1)よりも大きくしている。このように高さ設定すると、先に図9に示したキャップ部150Yに円筒状収容器101Yの先端部を挿入する際に、シーリング部材190Yを外壁106Yで保護してフック部152Yにぶつけることがなくなるので、挿入作業の際のシーリング部材190Yの破損を回避することができる。
【0048】
なお、第1実施例では、外壁106Yの高さh1を4[mm]にし、且つシーリング部材190Yの厚みt1を3[mm]にしている。
【0049】
[第2実施例]
図14は、第2実施例に係るプリンタの円筒状収容器101Yの先端部を示す斜視図である。また、図15は、円筒状収容器101Yの先端部を示す断面図である。この円筒状収容器101Yは、外周突起104Yの側面であるシール受け面の外周縁部で立ち上がる外壁106Yに加えて、リング状のシール受け面の内周縁部で立ち上がる内壁107Yを設けている。そして、外壁106Yと内壁107Yとの間に、シーリング部材190Yを挿入して、シール受け面上に保持させている。シーリング部材190Yの外側を外壁106Yで囲むとともに、シーリング部材190Yの内側を内壁107Yで囲むことにより、シーリング部材190Yをシール受け面や図示しないキャップ部に摺擦させても、シーリング部材190Yを位置ズレさせることがなくなる。このため、シーリング部材190Yをシール受け面に貼り付けずに、シール受け面上に保持させている。本願の請求項に係る発明において、「シーリング部材を固定する」とは、このように保持させている態様も含む概念である。
【0050】
このように、シーリング部材190Yの貼り付けを不要にしたことで、製造コストを低減することができる。なお、第2実施例では、シーリング部材190Yの厚みt1を3[mm]にし、外壁106Yの高さh1を4[mm]にし、且つ内壁107Yの高さh2を4[mm]にしている。シーリング部材190Yのリング幅については3[mm]にしている。また、シーリング部材190Yの素材である発泡ポリウレタンとしては、INOAC社製のポロンLE−20LF
【0051】
[第3実施例]
図16は、第3実施例に係るプリンタにおけるY用のトナーカートリッジ100Yの先端部を示す分解断面図である。同図に示す円筒状収容器101Yにおいて、外壁106Yと内壁107Yとに囲まれるシール受け面には、リング状突起108Yが設けられている。このリング状突起108Yの外径D3は、シーリング部材190Yの外径D1よりも小さい。また、リング状突起108Yの内径D4は、シーリング部材190Yの内径D2よりも大きい。
【0052】
キャップ部150Yにおける、円筒状収容器101Yのシール受け面との対向面にも、リング状突起159Yが設けられている。このリング状突起159Yの外径D5はシーリング部材190Yの外径D1よりも小さい。また、リング状突起159Yの内径D6はシーリング部材190Yの内径D2よりも大きい。
【0053】
円筒状収容器101Yの先端部がキャップ部150Y内に挿入されると、図17に示すように、シーリング部材190Yが、キャップ部150Yのリング状突起159Yと、円筒状収容器101Yのリング状突起108Yとの間に挟まれて変形する。これにより、キャップ部150Yと円筒状収容器101Yとの間の気密性が確保される。
【0054】
第3実施例においては、シーリング部材160Yの内径D2を32[mm]、外径D1を36[mm]にしている。キャップ部150Yのリング状突起159Y、円筒状収容器101Yのリング状突起108Yについては、何れも、外径D3、D5を34.5[mm]にするとともに、内径D2、D4を33.5[mm]にしている。それらリング状突起の高さは何れも1.5[mm]である。
【0055】
図18は、円筒状収容器101Yの先端部を示す拡大斜視図である。この円筒状収容器101Yにおいては、法線方向に段差のある凹凸パターンを円状の外壁106Yの内周面に設けている。また、その凹凸パターンに係合可能な係合凹凸パターンをリング状のシーリング部材190Yの外縁部に設けている。かかる構成では、それらパターンを互いに係合させることで、シーリング部材160Yを外壁106Yの凸部に引っ掛けて、シーリング部材160Yの円筒状収容器101Yとの連れ回りを回避することができる。
【0056】
外壁106Yの内側においては、図19に示す凹凸パターンの凸部の内径D9が38[mm]に設定されている。また、シーリング部材190Yにおいては、図20に示す係合凹凸パターンの凹部の深さαが2[mm]に設定されている。シーリング部材190Yの厚みは3[mm]、リング幅は3[mm]である。シーリング部材190Yの素材の発泡ポリウレタンとしては、INOAC社製のポロンLE−20LFを用いている。
【0057】
以上、第1実施例に係るプリンタにおいては、円筒状収容器101Yのシール受け面から立ち上がる外壁106Yをシール受け面の外周縁部に設けている。かかる構成では、シーリング部材190Yをシール受け面に貼り付ける際の位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0058】
また、第1実施例に係るプリンタにおいては、外壁106Yの高さh1をシーリング部材160Yの厚みt1よりも大きくしている。かかる構成では、キャップ部150Yに円筒状収容器101Yの先端部を挿入する際に、シーリング部材190Yを外壁106Yで保護してその破損を回避することができる。
【0059】
また、第2実施例に係るプリンタにおいては、シーリング部材190Yとしてリング状のものを用い、シール受け面としてリング状の形状のものを設け、且つ、シール受け面から立ち上がる内壁107Yをシール受け面の内周縁部に設けている。かかる構成では、シーリング部材190Yをシール受け面や図示しないキャップ部に摺擦させても、シーリング部材190Yを位置ズレさせることがなくなるので、シーリング部材190Yの貼り付け作業を不要にして低コスト化を図ることができる。
【0060】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、シーリング部材190Yの外径D1よりも自らの外径D3が小さく、且つシーリング部材190Yの内径D2よりも自らの内径D4が大きいリング状突起108Yを、シール受け面に設けている。更に、シーリング部材190Yの外径D1よりも自らの外径D5が小さく、且つシーリング部材190Yの内径D2よりも自らの内径D6が大きいリング状突起159Yを、キャップ部150Yにおけるシール受け面との対向面に設けている。かかる構成では、シーリング部材190Yを、キャップ部150Yのリング状突起159Yと、円筒状収容器101Yのリング状突起108Yとの間に挟み込んで変形させることで、キャップ部150Yと円筒状収容器101Yとの間の気密性を良好に確保することができる。
【0061】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、法線方向に段差のある凹凸パターンを円状の外壁106Yの内周面に設けるとともに、その凹凸パターンに係合可能な係合凹凸パターンをシーリング部材190Yの外縁部に設けている。かかる構成では、それらパターンを互いに係合させることで、シーリング部材160Yを外壁106Yの凸部に引っ掛けて、シーリング部材160Yの円筒状収容器101Yとの連れ回りを回避することができる。
【符号の説明】
【0062】
1Y,M,C,K:プロセスカートリッジ(作像手段の一部)
20:光書込ユニット(作像手段の一部)
100Y,M,C,K:トナーカートリッジ(トナー収容器)
101Y:円筒状収容器
104Y:外周突起
150Y:キャップ部
151Y:大径円筒構造部
152Y:フック部
153Y:リング状頂壁
154Y:型抜き穴
161Y:小径円筒構造部
190Y:シーリング部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特許第3628539号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、
前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、
且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器において、
前記シーリング部材を固定するためのシール受け面を前記円筒状収容器に設けるとともに、
前記シーリング部材を前記シール受け面に固定したことを特徴とするトナー収容器。
【請求項2】
請求項1のトナー収容器において、
前記シール受け面から立ち上がる外壁を前記シール受け面の外周縁部に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項3】
請求項2のトナー収容器において、
前記外壁の高さを前記シーリング部材の厚みよりも大きくしたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項4】
請求項2又は3のトナー収容器において、
前記シーリング部材としてリング状のものを用い、前記シール受け面としてリング状の形状のものを設け、且つ、前記シール受け面から立ち上がる内壁を前記シール受け面の内周縁部に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項5】
請求項4のトナー収容器において、
リング状の前記シーリング部材の外径D1よりも自らの外径D3が小さく、且つ前記シーリング部材の内径D2よりも自らの内径D4が大きいリング状の突起を、前記シール受け面に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項6】
請求項5のトナー収容器において、
リング状の前記シーリング部材の外径D1よりも自らの外径D5が小さく、且つ前記シーリング部材の内径D2よりも自らの内径D6が大きいリング状の突起を、前記キャップ部における前記シール受け面との対向面に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れかのトナー収容器において、
法線方向に段差のある凹凸パターンを円状の前記外壁の内周面に設けるとともに、前記凹凸パターンに係合可能な係合凹凸パターンをリング状の前記シーリング部材の外縁部に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項8】
トナーを用いて画像を作像する作像手段と、これに補給するためのトナーを収容し且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器とを備える画像形成装置において、
前記トナー収容器として、請求項1乃至7の何れかのトナー収容器を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、
前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、
且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器を製造するトナー収容器製造方法において、
前記円筒状収容器として、前記シーリング部材を固定するためのシール受け面を設けたものを用い、そのシール受け面に前記シーリング部材を固定した前記円筒状収容器の先端部を前記キャップ部に係合させて、前記トナー収容器を製造することを特徴とするトナー収容器製造方法。
【請求項10】
トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、
前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、
且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器を使用済みの状態から再生するトナー収容器再生方法において、
使用済みのトナー収容器の前記キャップ部から前記円筒状収容器を引き抜く工程と、引き抜いた前記円筒状収容器に設けられたシール受け面から前記シーリング部材を取り外す工程と、前記シール受け面に新たな前記シーリング部材を固定する工程と、前記円筒状収容器内にトナーを充填する工程と、トナー充填済みの前記円筒状収容器を前記キャップ部に係合させる工程とを実施して、再生トナー収容器を得ることを特徴とするトナー収容器再生方法。
【請求項1】
トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、
前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、
且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器において、
前記シーリング部材を固定するためのシール受け面を前記円筒状収容器に設けるとともに、
前記シーリング部材を前記シール受け面に固定したことを特徴とするトナー収容器。
【請求項2】
請求項1のトナー収容器において、
前記シール受け面から立ち上がる外壁を前記シール受け面の外周縁部に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項3】
請求項2のトナー収容器において、
前記外壁の高さを前記シーリング部材の厚みよりも大きくしたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項4】
請求項2又は3のトナー収容器において、
前記シーリング部材としてリング状のものを用い、前記シール受け面としてリング状の形状のものを設け、且つ、前記シール受け面から立ち上がる内壁を前記シール受け面の内周縁部に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項5】
請求項4のトナー収容器において、
リング状の前記シーリング部材の外径D1よりも自らの外径D3が小さく、且つ前記シーリング部材の内径D2よりも自らの内径D4が大きいリング状の突起を、前記シール受け面に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項6】
請求項5のトナー収容器において、
リング状の前記シーリング部材の外径D1よりも自らの外径D5が小さく、且つ前記シーリング部材の内径D2よりも自らの内径D6が大きいリング状の突起を、前記キャップ部における前記シール受け面との対向面に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れかのトナー収容器において、
法線方向に段差のある凹凸パターンを円状の前記外壁の内周面に設けるとともに、前記凹凸パターンに係合可能な係合凹凸パターンをリング状の前記シーリング部材の外縁部に設けたことを特徴とするトナー収容器。
【請求項8】
トナーを用いて画像を作像する作像手段と、これに補給するためのトナーを収容し且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器とを備える画像形成装置において、
前記トナー収容器として、請求項1乃至7の何れかのトナー収容器を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、
前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、
且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器を製造するトナー収容器製造方法において、
前記円筒状収容器として、前記シーリング部材を固定するためのシール受け面を設けたものを用い、そのシール受け面に前記シーリング部材を固定した前記円筒状収容器の先端部を前記キャップ部に係合させて、前記トナー収容器を製造することを特徴とするトナー収容器製造方法。
【請求項10】
トナーを収容する円筒状収容器と、前記円筒状収容器の先端部を自らの内部に受け入れた状態で、前記円筒状収容器を円方向に回転可能に保持するキャップ部と、前記先端部とこれを受け入れた前記キャップ部の内面との間に介在するシーリング部材とを有し、
前記円筒状収容器の回転に伴って、前記円筒状収容器内のトナーを前記先端部に設けられた開口から前記キャップ部の内側に排出し、前記キャップ部内のトナーを前記キャップ部に設けられたトナー排出口から外部に排出し、
且つ画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたトナー収容器を使用済みの状態から再生するトナー収容器再生方法において、
使用済みのトナー収容器の前記キャップ部から前記円筒状収容器を引き抜く工程と、引き抜いた前記円筒状収容器に設けられたシール受け面から前記シーリング部材を取り外す工程と、前記シール受け面に新たな前記シーリング部材を固定する工程と、前記円筒状収容器内にトナーを充填する工程と、トナー充填済みの前記円筒状収容器を前記キャップ部に係合させる工程とを実施して、再生トナー収容器を得ることを特徴とするトナー収容器再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−180348(P2011−180348A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44052(P2010−44052)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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