説明

ナビゲーションシステムおよび地点選択方法

【課題】電子ペンなどの読取機器が読取るパターンを地図に印刷することなく、その地図の印刷物および読取機器を用いて地点の緯度経度値を得ること。
【解決手段】ナビゲーションシステム1は、シート部材3での位置を示す座標値へ変換可能な所定のパターン27が印刷されて、地図11と重ねられるシート部材を有する。読取機器4は、シート部材3を地図11に重ねた状態において地図11中のランドマークおよび所定の地点を読み取り、読取座標値を生成する。記憶手段53は、ランドマークの緯度経度値を記憶する。地点演算手段68は、記憶手段53に記憶されているランドマークの緯度経度値を、読取機器4が生成するランドマークの読取座標値に対応付け、さらに、読取機器4が生成する2つの読取座標値の相対関係に基づいて、ランドマークの緯度経度値から、読取機器4が読み取った所定の地点の緯度経度値を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムおよび地点選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、位置情報をドットパターンで記録した紙と、ドットパターンを読み取ることで位置情報を取得し電子的に読み取り可能な位置情報に変換する電子ペンと、を備える地図情報処理システムを開示している。そして、この地図情報処理システムでは、電子ペンにより取得した紙の位置情報を、電子地図上の座標へ変換する。
【0003】
特許文献2は、入力軌跡の位置を示すため位置情報を提供可能なドットパターンを印刷した透明シートを、パソコンディスプレイの前面に装着し、この透明シートのドットパターンを入力手段により読取って入力軌跡データを生成する情報処理装置を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−294942号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献2】特開2003−256137号公報(要約など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地図が印刷された紙に特許文献1などの技術を応用することで、電子ペンなどで読み取った地点の緯度経度値を得ることが可能になると予想される。この緯度経度値がナビゲーションシステムにおいて利用可能になれば、ユーザは、ナビゲーションシステムの液晶画面において地点を選択する必要がなくなる。
【0006】
しかしながら、このように地図が印刷される紙媒体自体にドットパターンを印刷して、これを電子ペンにより読み取る場合、電子ペンにより読み取るすべての紙媒体には、ドットパターンを印刷する必要がある。しかも、ドットパターンを読み取ることで電子ペンが生成する、その紙媒体中の位置を示す位置情報を、電子ペンにより読み取られた地点の緯度経度値へ変化するためのデータベースが必要となる。このデータベースは、少なくとも紙媒体毎に作成する必要がある。そのため、出版されている各種の地図帳などを電子ペンに対応させるためには膨大な作業が必要となる。
【0007】
本発明は、電子ペンなどの読取機器が読取るパターンを地図に印刷することなく、その地図の印刷物および読取機器を用いて地点の緯度経度値を得ることができるナビゲーションシステムおよび地点選択方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るナビゲーションシステムは、地図と重ねた状態でその地図を透視することができ、そのシート部材での位置を示す座標値へ変換可能な所定のパターンが印刷されているシート部材と、シート部材を地図に重ねた状態において地図中のランドマークおよび所定の地点を読み取り、シート部材におけるこれらの読取座標値を生成する読取機器と、ランドマークの緯度経度値を記憶する記憶手段と、地点演算手段と、を有するものである。そして、この地点演算手段は、記憶手段に記憶されているランドマークの緯度経度値を、読取機器が生成するランドマークの読取座標値に対応付け、さらに、読取機器が生成する2つの読取座標値の相対関係に基づいて、ランドマークの緯度経度値から、読取機器が読み取った所定の地点の緯度経度値を演算する。
【0009】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、記憶手段は、ランドマークの名称および緯度経度値を対応付けて記憶する。また、地点演算手段は、ランドマークの名称に基づいて記憶手段から選択される緯度経度値を、読取機器が読み取ったランドマークの読取座標値に対応付ける。
【0010】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、地点演算手段は、読取機器による筆跡に基づいてランドマークの名称を認識し、記憶手段においてその認識した名称に合致するランドマークの名称に対応付けられている緯度経度値を、読取機器が読み取ったランドマークの読取座標値に対応付ける。
【0011】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、記憶手段および地点演算手段は、読取機器と通信可能なナビゲーション本体に設けられている。
【0012】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、地点演算手段は、読取機器が生成する2つの読取座標値を用いて、読取機器が読み取った2つの地点のシート部材での距離を演算し、この距離を地図の縮尺により拡大した距離を、読取機器が読み取った2つの地点の相対距離として、所定の地点の緯度経度値を演算する。
【0013】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、シート部材には、それを所定の向きで地図へ重ねるための基準線、基準マークあるいは文字が印刷される。また、地点演算手段は、シート部材に印刷された基準線、基準マークあるいは文字に対する座標値の関係に基づいて、読取機器が生成する2つの読取座標値を用いて、読取機器が読み取ったランドマークに対する所定の地点の相対方向を決定し、所定の地点の緯度経度値を演算する。
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、基準線、基準マークあるいは文字は、シート部材に対して横向きに印刷される。また、地点演算手段は、基準線、基準マークあるいは文字が東西方向であるとして、読取機器が読み取ったランドマークに対する所定の地点の相対方向を決定する。
【0015】
本発明に係る地点選択方法は、地図と重ねた状態でその地図を透視することができるシート部材であって、そのシート部材での位置を示す座標値へ変換可能な所定のパターンが印刷されているシート部材を読取機器により読取って、記憶手段に緯度経度値が記憶されているランドマークの読取座標値を取得するステップと、記憶手段に記憶されている緯度経度値と読取座標値とを対応付けるステップと、読取機器が読み取るランドマークの読取座標値および所定の地点の読取座標値の相対関係に基づいて、ランドマークの緯度経度値から、読取機器が読み取った所定の地点の緯度経度値を演算するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、電子ペンなどの読取機器が読取るパターンを地図に印刷することなく、その地図の印刷物および読取機器を用いて地点の緯度経度値を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムおよび地点選択方法を、図面に基づいて説明する。以下の説明では、ナビゲーションシステムは、カーナビゲーションシステムを例に説明する。また、地点選択方法は、カーナビゲーションシステムの動作を例に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム1を示すシステム構成図である。カーナビゲーションシステム1は、地図が印刷された印刷物としての地図シート2と、後述する所定のパターンとしてのドットパターンが印刷された透明なシート部材としての透明シート3と、透明シート3に印刷されたドットパターンを読み取る読取機器としての電子ペン4と、自動車のたとえばダッシュボード上に設置されて、電子ペン4とUSB(Universal Serial Bus)ケーブル5により接続されるナビゲーション本体6と、を有する。電子ペン4とナビゲーション本体6とは、USBケーブル5により接続されることにより、互いに通信可能となる。
【0019】
なお、電子ペン4とナビゲーション本体6とは、USBケーブル5以外のケーブルにより接続されることにより互いに通信可能となっても、あるいは、ブルートゥース、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信により互いに通信可能となってもよい。
【0020】
図1中の地図シート2には、所定の縮尺の1つの地図11が印刷される。この地図11は、地図シート2の上縁が北となるように印刷されている。また、この地図11中には、A駅、警察署などのランドマークの名称を示す文字が、それぞれの所在地に横書きで印刷されている。なお、地図シート2には、複数の地図が印刷されていてもよい。また、その複数の地図の縮尺は、互いに異なるものであってもよい。
【0021】
図2は、図1中の透明シート3の印刷内容を示す説明図である。透明シート3には、図2(A)に示すように、複数の横向きの基準線21と、複数の縮尺マーク22と、目的地マーク23と、基準設定マーク24とが、人により読取可能に印刷されている。
【0022】
また、図2(B)に示すように、透明シート3には、電子ペン4により読み取り可能な複数のドット26からなるドットパターン27が印刷されている。この複数のドット26は、たとえば赤外線を吸収するインクにより、複数の縮尺マーク22、目的地マーク23、基準設定マーク24などの可読情報と重ねて印刷される。
【0023】
ドットパターン27を構成する各ドット26は、図2(B)中に図示する複数の縦点線と複数の横点線との交点を基準として上下左右のいずれかの方向へずれた位置に印刷される。そして、この複数のドット26は、たとえば6×6個のドット26の組合せにより、透明シート3中の読み取り位置を示す座標値を得ることができる。この座標値は、たとえば透明シート3の左上角を基準として、x要素およびy要素からなる二次元の座標値である。この座標値により、地図シート2における電子ペン4による読取位置は、一意に特定することが可能である。なお、実際の透明シート3には、複数のドット26は、図2(B)よりも細かい密度(たとえば3ミリメール間隔)で印刷されている。この場合、透明シート3中の位置は、二次元の座標値によりたとえば3ミリメール単位で特定することが可能である。
【0024】
また、図2(B)中に図示する複数の縦点線は、透明シート3の左右の縁と略平行であり、且つ、複数の横点線は、透明シート3の上下の縁と略平行である。そのため、ドットパターン27により得られる二次元の座標値の一方の要素(図2で言えばx成分の要素)は、読取位置が透明シート3の左右方向において移動することで変化し、他方の要素(図2で言えばy成分の要素)は、読取位置が透明シート3の上下方向において移動することで変化する。そのため、後述する図3のように地図シート2に透明シート3を重ねたとき、座標値のx軸方向が地図11の東西方向となり、座標値のy軸方向が地図11の南北方向となる。
【0025】
図3は、透明シート3を地図シート2に重ねた状態を示す説明図である。図3では、透明シート3と地図シート2とが、透明シート3の横向きの基準線21の向きと、地図シート2の地図11中の横文字(A駅、警察署などの文字)の向きとが一致するように合わせて重ねられている。これにより、透明シート3の座標値のx軸の向きが地図11の東西方向と一致し、透明シート3の座標値のy軸の向きが地図11の南北方向と一致するようになる。なお、後述するように、ユーザは、この重ね状態において、地図11中のランドマークおよび所望の地点とを電子ペン4により読み取ることになる。
【0026】
図4は、図1中の電子ペン4の構成を示すブロック図である。電子ペン4は、図1に示すように、ペン形状のハウジング31を有する。このハウジング31内には、図4に示すように、赤外線LED(Light Emitting Diode)32、赤外線カメラ33、筆圧センサ34、USBI/F(Universal Serial Bus Interface)35、これらが接続されるマイクロコンピュータ36、これらへ電力を供給する図示外のバッテリなどが配設される。
【0027】
また、電子ペン4のマイクロコンピュータ36は、タイマ37、読取データ38を記憶するメモリ39、図示外のCPU(Central Processing Unit)などを有する。CPUは、メモリ39に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン4のマイクロコンピュータ36には、筆跡データ生成部40、メモリ管理部41、送信部42などが実現される。
【0028】
赤外線LED32は、赤外線を発光する。赤外線カメラ33は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサであり、赤外線の受光パターンのデータをマイクロコンピュータ36へ周期的に出力する。そして、赤外線LED32および赤外線カメラ33は、電子ペン4のペン先に向けて配設される。そのため、電子ペン4のペン先がたとえば地図シート2に当たっている状態では、赤外線LED32がペン先へ向かって出射した赤外線は地図シート2により反射され、赤外線カメラ33はこの反射光による赤外線の受光パターンデータをマイクロコンピュータ36へ周期的に出力する。また、筆圧センサ34は、電子ペン4のペン先に作用する筆圧を検出し、筆圧データをマイクロコンピュータ36へ出力する。
【0029】
USBI/F35には、USBケーブル5が接続される。そして、USBI/F35は、USBケーブル5の他端に接続される他の装置(たとえば図1中のナビゲーション本体6)との間でデータを送受信する。USBI/F35は、受信したデータをマイクロコンピュータ36へ出力し、マイクロコンピュータ36から供給されるデータを送信する。
【0030】
マイクロコンピュータ36中のタイマ37は、時刻や経過時間などを計測する。
【0031】
筆跡データ生成部40は、赤外線カメラ33から周期的に供給される各赤外線パターンのデータを解析し、各パターン中のドットパターン27に対応する読取座標値を生成する。
【0032】
送信部42は、USBI/F35による通信を管理し、たとえばメモリ39に記憶されている読取データ38などを、送信データとしてUSBI/F35へ供給する。
【0033】
メモリ管理部41は、メモリ39に記憶される読取データ38を管理する。図5は、メモリ39に記憶される読取データ38の一例を示す説明図である。図6は、メモリ39に記憶される読取データ38の他の一例を示す説明図である。なお、以下の説明において図5の読取データ38と図6の読取データ38とを区別する場合、図5の読取データ38をランドマーク用読取データ38と呼び、図6の読取データ38を地点選択用読取データ38とよぶ。
【0034】
図5および図6に示す読取データ38は、複数の読取座標値、複数の時刻、複数の筆圧値を有する。読取座標値は、筆跡データ生成部40が赤外線パターンに基づいて生成した読取座標値である。時刻は、タイマ37が計測する時刻である。筆圧値は、筆圧センサ34の検出値である。そして、読取データ38は、筆跡データ生成部40が周期的に生成する複数の読取座標値を蓄積記憶する。
【0035】
なお、図5のランドマーク用読取データ38は、図3の状態においてユーザが電子ペン4により透明シート3に「A駅」の文字を書込み、電子ペン4により地図11中のA駅をチェックし、電子ペン4により「1:10000」の縮尺マーク22をチェックし、さらに、基準設定マーク24をチェックすることにより生成される読取データ38である。
【0036】
また、図6の地点選択用読取データ38は、図3の状態においてユーザが電子ペン4により地図11中の所定の地点(図3中の「○」の箇所に相当する地点。ここでは目的地)をチェックし、目的地マーク23をチェックすることにより生成される読取データ38である。
【0037】
図7は、図1中のナビゲーション本体6の構成を示すブロック図である。ナビゲーション本体6は、車両の移動の加速度を検出するジャイロセンサ51、図示外のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信機52、HDD(Hard Disk Drive)53、キーデバイス54、タッチパネル55、液晶デバイス56、USBケーブル5が接続されるUSBI/F57、これらが接続されるマイクロコンピュータ58などを有する。記憶手段としてのHDD53は、ランドマークの緯度経度値を有するナビゲーションデータ59、座標変換テーブル60、受信データ61、対応付けデータ62、縮尺データ63、目的地データ64、案内経路データ65などを記憶する。
【0038】
また、ナビゲーション本体6のマイクロコンピュータ58は、図示外のメモリ、図示外のCPUなどを有する。CPUは、HDD53に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体6のマイクロコンピュータ58には、現在位置生成部66、受信部67、案内経路生成部68、UI(User Interface)部69などとしての機能が実現される。
【0039】
現在位置生成部66は、GPS受信機52が受信した電波に基づいて車両の現在位置の緯度経度値を生成したり、その緯度経度値をジャイロセンサ51の加速度に基づく移動量で補正した緯度経度値を生成したりする。
【0040】
UI部69は、液晶デバイス56による表示を制御する。また、UI部69は、キーデバイス54やタッチパネル55からの操作データを取得し、操作データに応じた処理を実行したり、操作データに応じた処理を案内経路生成部68などへ指示する。たとえば、UI部69は、案内経路を表示する操作がなされたと判断したら、HDD53から案内経路データ65およびナビゲーションデータ59中の地図11表示データを読み込み、案内経路を地図11と重ねて液晶デバイス56に表示させる。
【0041】
受信部67は、USBI/F57による通信を管理する。そして、受信部67は、USBI/F57の受信データ61を取得し、HDD53に記憶させる。これにより、HDD53には、USBI/F57が受信した受信データ61が記憶される。なお、上述するようにナビゲーション本体6のUSBI/F57には、USBケーブル5により電子ペン4のUSBI/F35が接続される。電子ペン4のUSBI/F35は、読取データ38を送信する。この場合、ナビゲーション本体6のHDD53には、受信部67により取得された読取データ38が、受信データ61として記憶されることになる。
【0042】
座標変換テーブル60は、電子ペン4が生成する読取座標値を、所定のデータへ変換するためのものである。座標変換テーブル60は、たとえば図2中の複数の縮尺マーク22、目的地マーク23および基準設定マーク24に関する情報として、それぞれのマークと重ねて印刷されるドットパターン27から得られる座標値の範囲情報と、それぞれのマークに対応する指示データとを有する。なお、この指示データは、縮尺マーク22であれば1種類の縮尺を指示するものであり、目的地マーク23であれば目的地の設定を指示するものであり、基準設定マーク24であれば基準とするランドマークの設定を指示するものである。
【0043】
ナビゲーションデータ59は、たとえば地図表示データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数の施設データなどを有する。地図表示データは、液晶デバイス56に地図11を表示するためデータであり、たとえば地図シート2中の地図11をデータ化したものである。ノードデータは、この道路地図11中の交差点や曲がり角の地点のデータであり、その地点の名称(たとえば交差点名など)、緯度経度値などの属性データを有する。リンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータであり、その道路の名称、接続されるノードの情報などの属性データを有する。施設データは、道路地図11中に存在する施設(たとえば駅や警察署など)に関するデータであり、その施設の名称、所在地の緯度経度値などの属性データを有する。
【0044】
案内経路生成部68は、ナビゲーションデータ59を用いて、たとえば現在地から指定された目的地までの案内経路を探索して、案内経路を生成する。特に、案内経路生成部68は、電子ペン4により生成された読取データ38に対応する受信データ61がHDD53に記憶されている場合、その受信データ61に基づいて目的地データ64を生成し、その目的地までの案内経路を生成する。案内経路生成部68は、生成した案内経路データ65をHDD53に記憶させる。また、案内経路生成部68は、読取データ38から目的地データ64を生成する際に、対応付けデータ62、縮尺データ63などを生成し、HDD53に記憶させる。対応付けデータ62は、電子ペン4により選択されたランドマークの緯度経度値と、その読取座標値とを対応付けるデータである。縮尺データ63は、座標変換テーブル60から抽出されて、電子ペン4により読み取られた地図11の縮尺を示すデータである。
【0045】
なお、上述したナビゲーション本体6の図示外のCPUが実行するプログラムは、ナビゲーション本体6の出荷前にHDD53に記録されたものであっても、ナビゲーション本体6の出荷後にHDD53に記録されたものであってもよい。また、プログラムの一部が、ナビゲーション本体6の出荷後にHDD53に記録されたものであってもよい。ナビゲーション本体6の出荷後にHDD53に記録されるプログラムは、たとえばメモリカードやCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などのコンピュータ読取可能な記録媒体に記録されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。また、電子ペン4の図示外のCPUが実行するプログラムについても同様である。
【0046】
また、座標変換テーブル60およびナビゲーションデータ59は、HDD53に記憶されている。この他にも、たとえば、座標変換テーブル60およびナビゲーションデータ59は、ナビゲーション本体6と脱着可能なメモリカードやCD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記録されていても、ナビゲーション本体6が通信可能な、インターネット、ネットワークなどの伝送媒体上のサーバ装置などに記録されていてもよい。特に、座標変換テーブル60とナビゲーションデータ59とは、別々の記録媒体や別々のサーバ装置に記録されていてもよい。
【0047】
そして、座標変換テーブル60は、メモリカードなどのナビゲーション本体6に着脱可能な記録媒体に記憶されることで、たとえば地図シート2などとともにユーザへ提供することが可能となる。この場合、ユーザは、地図シート2を変更したら、これにあわせてナビゲーション本体6に装着するメモリカードを変更することで、カーナビゲーションシステム1において、電子ペン4により生成される読取座標値とテーブルとの整合性を維持することができる。また、1つのメモリカードで供給される座標変換テーブル60は、複数の地図シート2などにおいて共通に使用することができるものであってもよい。
【0048】
次に、以上の構成を有する実施の形態に係るナビゲーションシステムの動作を説明する。ここでは特に、透明シート3を地図シート2に重ねた状態で、地図11中のランドマークおよび所望の目的地の地点を電子ペン4により読み取り、これにより案内経路の探索に使用する目的地をナビゲーション本体6に設定する場合の動作について説明する。図8は、電子ペン4により目的地を設定する場合に、図7中の案内経路生成部68が実行する処理を示すフローチャートである。
【0049】
図3に示すように、透明シート3は、その複数の横向きの基準線21が地図11中の横文字の向きと揃うように、地図シート2に重ねられる。この状態でユーザは、電子ペン4を用いて透明シート3に「A駅」の文字を書込み、地図11中のA駅をチェックし、「1:10000」の縮尺マーク22をチェックし、さらに、基準設定マーク24をチェックする。電子ペン4の筆跡データ生成部40は、この作業中に赤外線カメラ33が周期的に生成する複数の赤外線パターンのデータを解析し、各パターンに対応する複数の読取座標値を生成し、メモリ管理部41へ供給する。
【0050】
メモリ管理部41は、新たな読取座標値が供給されると、タイマ37から現在時刻を取得し、筆圧センサ34から筆圧データを取得し、これらをメモリ39に蓄積記憶させる。これにより、メモリ39には、電子ペン4による筆跡を示す複数の読取座標値を有する、図5に示すランドマーク用読取データ38が記憶される。
【0051】
そして、電子ペン4のUSBI/F35は、ナビゲーション本体6のUSBI/F57とUSBケーブル5により接続されると、ナビゲーション本体6のUSBI/F57と通信可能になる。電子ペン4の送信部42は、電子ペン4のメモリ39から読取データ38を読み込み、USBI/F35へ供給する。電子ペン4のUSBI/F35は、供給された読取データ38を、USBケーブル5を介してナビゲーション本体6のUSBI/F57へ送信する。ナビゲーション本体6の受信部67は、USBI/F57が受信したデータを取得し、HDD53に記憶させる。これにより、ナビゲーション本体6のHDD53には、図5のランドマーク用読取データ38と同一内容の受信データ61が記憶される。
【0052】
ナビゲーション本体6の案内経路生成部68は、HDD53に受信データ61が保存されている場合、図8のフローチャートを実行する。案内経路生成部68は、まず、その受信データ61が基準を設定するものであるか否か(ステップST1)と、目的地を設定するものであるか否か(ステップST2)とを判断する。案内経路生成部68は、たとえば座標変換テーブル60を用いて受信データ61を探索し、基準設定マーク24と重ねて印刷されるドットパターン27から得られる座標値の範囲内の読取座標値が存在する場合、ステップST1において基準を設定するものであると判断し、目的地マーク23と重ねて印刷されるドットパターン27から得られる座標値の範囲内の読取座標値が存在する場合、ステップST2において目的地を設定するものであると判断する。なお、読取座標値は、いずれの範囲内の読取座標値が存在しない場合には、その受信データ61に基づく目的地の設定処理は実行せず、このステップST1およびST2による判断処理を繰り返し実行する。
【0053】
上述したように図5のランドマーク用読取データ38が受信データ61として記憶されている場合、案内経路生成部68は、受信データ61中の基準設定マーク24をチェックしたときの読取座標値により、基準を設定するものである(ステップST1でYes)と判断する。案内経路生成部68は、基準となるランドマークの設定処理を開始する。このランドマークの設定処理では、案内経路生成部68は、対応付けデータ62および縮尺データ63を生成し、HDD53に保存する。
【0054】
対応付けデータ62の生成処理において、案内経路生成部68は、まず、HDD53に記憶される読取データ38中の、ランドマーク名称の手書き入力のための複数の読取座標値を仮想的な二次元空間にマッピングする(ステップST3)。なお、案内経路生成部68は、読取データ38中のすべての読取座標値を仮想的な二次元空間にマッピングするようにしてもよい。
【0055】
なお、ユーザは、図5のランドマーク用読取データ38を生成するために、電子ペン4を用いて透明シート3に「A駅」の文字を書込み、地図11中のA駅をチェックし、「1:10000」の縮尺マーク22をチェックし、さらに、基準設定マーク24をチェックしている。一般的に、「A駅」の文字を書込むときとA駅をチェックするときとの間には、「A駅」の文字を書込む間に生じる時間間隔より長い時間間隔が発生する。案内経路生成部68は、たとえば読取データ38の先頭から順番に時刻を取得し、これらの時間間隔の間に設定された所定の時間間隔より長い時間間隔を検出したら、その1つ前までの複数の読取座標値を取得してマッピングすればよい。
【0056】
複数の読取座標値を仮想的な二次元空間にマッピングした後、案内経路生成部68は、そのマッピングデータに対して文字認識処理を実行する(ステップST4)。案内経路生成部68は、たとえばパターンマッチングによる文字認識処理などにより、図5中の複数の読取座標値に基づいて「A駅」の文字を認識する。なお、案内経路生成部68は、文字を認識できないときには、この基準ランドマークの設定処理を中断により終了するようにしてもよい。
【0057】
文字を認識すると、案内経路生成部68は、その認識した文字と合致する名称を有するランドマーク候補の緯度経度値を、ナビゲーションデータ59から抽出する(ステップST5)。たとえば「A駅」の文字を認識した場合、案内経路生成部68は、ナビゲーションデータ59において「A駅」の施設名称に対応付けられている施設データの緯度経度値を抽出する。
【0058】
その後、案内経路生成部68は、抽出した緯度経度値と、HDD53に記憶される読取データ38中の、ランドマークの地図11中の位置をチェックしたときの読取座標値とを対応付けて、HDD53に記憶させる(ステップST6)。これにより、HDD53には、ユーザが電子ペン4により指定したランドマークの緯度経度値と、そのランドマークと重なるドットパターン27により得られる読取座標値とを対応付けた対応付けデータ62が記憶される。
【0059】
対応付けデータ62をHDD53に記憶させると、案内経路生成部68は、縮尺データ63の生成処理を開始する。案内経路生成部68は、たとえば座標変換テーブル60を用いて受信データ61を探索し、いずれかの縮尺マーク22と重ねて印刷されるドットパターン27から得られる座標値の範囲内の読取座標値が存在するか否かを判断する(ステップST7)。
【0060】
図5のランドマーク用読取データ38中には、「1:10000」の縮尺マーク22をチェックした時の読取座標値が含まれている。案内経路生成部68は、この読取座標値により縮尺マーク22を指定する読取座標値が存在すると判断し、座標変換テーブル60においてその判断した縮尺マーク22に対応付けられている縮尺「1:10000」を縮尺データ63としてHDD53に記憶させる(ステップST8)。
【0061】
以上の処理により、ナビゲーション本体6のHDD53には、ランドマーク用読取データ38に基づいて対応付けデータ62および縮尺データ63が記憶される。その後、UI部69は、HDD53に記憶されたこれらの保存データを読み込み、液晶デバイス56に表示させる(ステップST9)。これにより、ユーザは、電子ペン4および透明シート3を用いて地図11中で指定した所定のランドマークが、基準として登録されたことなどを知ることができる。
【0062】
目的地を設定する場合、ユーザは、図3に示すように、透明シート3を地図シート2に重ねた状態で、電子ペン4により地図11中の所望の地点(たとえば図3中の○の箇所)をチェックする。また、ユーザは、目的地マーク23をチェックする。これにより、電子ペン4のメモリ39には、図6に示す地点選択用読取データ38が記憶される。
【0063】
電子ペン4の送信部42は、この地点選択用読取データ38を読み込んで、ナビゲーション本体6の受信部67へ送信する。受信部67は、新たに受信した地点選択用読取データ38を受信データ61としてHDD53に保存する。
【0064】
また、案内経路生成部68は、HDD53に受信データ61が保存されている場合、その受信データ61が基準を設定するものであるか否か(ステップST1)と、目的地を設定するものであるか否か(ステップST2)とを判断する。図6の地点選択用読取データ38が受信データ61として記憶されている場合、案内経路生成部68は、受信データ61中の目的地マーク23をチェックしたときの読取座標値により、ステップST2において目的地を設定するものであると判断する。案内経路生成部68は、目的地の設定処理を開始する。この目的地の設定処理では、案内経路生成部68は、目的地データ64を生成し、HDD53に保存する。
【0065】
目的地の設定処理において、案内経路生成部68は、まず、HDD53に記憶される読取データ38中の、目的地の位置を示す複数の読取座標値を読み込み、電子ペン4により指定された地点を示す代表座標値を生成する(ステップST10)。案内経路生成部68は、たとえば、目的地設定のための複数の読取座標値の平均値を演算し、その平均値による座標値を代表座標値とすればよい。図6中の○印の場合、その丸印の中心が代表座標値となる。
【0066】
目的地を示す代表座標値を生成した後、案内経路生成部68は、その目的地の、ランドマークに対する相対的な方向および距離を演算する(ステップST11およびST12)。案内経路生成部68は、たとえばHDD53に記憶される対応付けデータ62中の読取座標値とこの代表座標値とを用いて、相対距離および相対方向を演算する。
【0067】
相対距離は、たとえば以下の手順で演算すればよい。すなわち、案内経路生成部68は、まず、対応付けデータ62中のランドマークの読取座標値とこの代表座標値とを用いて、この2つの地点の透明シート3での距離を演算する。次に、案内経路生成部68は、その透明シート3でのその2つの地点の距離を、縮尺データ63により拡大する。たとえば縮尺データ63が「1:10000」である場合、案内経路生成部68は、その透明シート3でのその2つの地点の距離に「10000」を乗算し、2つの地点の相対距離として演算する。
【0068】
また、相対方向は、たとえば以下の手順で演算すればよい。すなわち、案内経路生成部68は、まず、二次元の代表座標値の各要素から、対応付けデータ62中の読取座標値の各要素を演算する。これにより、対応付けデータ62中の読取座標値を基準として、座標値による二次元空間における代表座標値の相対的な位置関係が得られる。
【0069】
次に、案内経路生成部68は、この座標値の相対的な位置関係に基づいて、ランドマークを基準とした目的地の方向を決定する。上述したように図3のように地図シート2に透明シート3が重ねられた場合、座標値のx軸方向は地図11の東西方向となる。案内経路生成部68は、この関係に基づいて、目的地の相対方向を決定する。なお、図3において「A駅」がランドマークである場合、○印の目的地は、相対的に南の方向となる。
【0070】
ランドマークに対する目的地の相対距離および相対方向を演算した後、案内経路生成部68は、目的地の緯度経度値を演算する(ステップST13)。具体的には、相対距離を相対方向による角度に基づいて南北方向を示す緯度成分と東西方向を示す経度成分とに分け、それぞれを対応付けデータ62中の緯度経度値に成分加算する。案内経路生成部68は、演算により生成した目的地の緯度経度値をHDD53に保存する(ステップST14)。これにより、HDD53には、図5のランドマーク用読取データ38および図6の地点選択用読取データ38に基づく目的地の緯度経度値が目的地データ64として記憶される。
【0071】
ナビゲーション本体6のUI部69は、HDD53からこの目的地データ64を読み出し、液晶デバイス56に表示させる(ステップST15)。UI部69は、たとえば目的地データ64とともにナビゲーションデータ59中の地図表示データを読み込み、目的地を示すマークと地図11と重ねて液晶デバイス56に表示させる。
【0072】
その後、タッチパネル55やキーデバイス54に対するユーザ操作により経路探索が指示されると、案内経路生成部68は、HDD53中の目的地データ64およびナビゲーションデータ59を用いて、たとえば現在位置から目的地へ至る案内経路を探索する。また、案内経路生成部68は、探索により生成した案内経路をHDD53に記憶させる。これにより、HDD53には、案内経路データ65が記憶される。
【0073】
また、ナビゲーション本体6が設置された自動車が移動し始めたり、所定の案内開始操作がなされたりすると、ナビゲーション本体6のUI部69は、HDD53に保存されている案内経路データ65による経路案内を開始する。UI部69は、液晶デバイス56に、たとえばナビゲーションデータ59に基づく地図11上に、現在位置生成部66が生成する現在位置を示すマークと、案内経路の一部とを重ねて表示させる。UI部69は、現在位置が案内経路の曲がり角などに近づくとその旨を音声などにより報知し、経路を案内する。
【0074】
以上のように、この実施の形態のカーナビゲーションシステム1では、ドットパターン27が印刷された透明シート3を地図11に重ねて、電子ペン4により地図11中のランドマークおよび目的地などの所定の地点を読み取る。ナビゲーション本体6のHDD53は、ナビゲーションデータ59としてこのランドマークの緯度経度値を記憶し、案内経路生成部68は、これらを対応付ける(ステップST3〜ST6)。さらに、案内経路生成部68は、電子ペン4が生成する2つの読取座標値の相対関係に基づいて、ランドマークの緯度経度値から、電子ペン4が読み取った目的地(所定の地点)の緯度経度値を演算する(ステップST10〜ST13)。なお、電子ペン4は、目的地以外のたとえば出発地や立寄り地などの案内経路の生成に用いる他の地点を読取るようにしてもよい。
【0075】
したがって、カーナビゲーションシステム1は、ドットパターン27が印刷されていない地図11を電子ペン4により読み取り、その読み取られた地図11中の地点(目的地など)の緯度経度値を得ることができる。つまり、電子ペン4が読取るパターンを地図11に印刷することなく、カーナビゲーションシステム1は、その地図11の地図シート2および電子ペン4を用いて目的地などの地点の緯度経度値を得ることができる。
【0076】
しかも、たとえば、電子ペン4が読取るパターンを地図11に印刷する場合には、カーナビゲーションシステム1において、地図11とドットパターン27の座標値とを対応付ける必要は無く、地図11と読取座標値との間の整合性をとる必要がない。しかも、電子ペン4は、透明シート3に印刷されたドットパターン27のみを読取座標値へ変換すればよく、たとえば、複数ページからなる地図帳に印刷されるドットパターン27を変換する場合のように多くのパターンを座標値へ変換する能力を持たなくてよい。電子ペン4が変換する必要があるドットパターン27のパターン数および座標値は、必要最小限に削減される。
【0077】
また、この実施の形態では、HDD53のナビゲーションデータ59は、ランドマークの緯度経度値と対応付けてその名称を記憶し、案内経路生成部68は、ランドマークの名称に基づいてナビゲーションデータ59から選択される緯度経度値を、電子ペン4が読み取ったランドマークの読取座標値に対応付ける。したがって、カーナビゲーションシステム1は、地図11中に表示されているランドマークあるいはユーザに既知のランドマークを用いて、地図11中の所定の地点の緯度経度値を得ることができる。
【0078】
また、この実施の形態では、案内経路生成部68は、電子ペン4による筆跡に基づいてランドマークの名称を認識し、ナビゲーションデータ59においてその認識した名称に合致するランドマークの名称に対応付けられている緯度経度値を、電子ペン4が読み取ったランドマークの読取座標値に対応付ける。したがって、ユーザは、ランドマークの名称を電子ペン4の筆跡により指定することができる。ユーザは、たとえばランドマークの地点を電子ペン4により選択するときに、その電子ペン4を用いてランドマークの名称を筆跡により指定することができる。
【0079】
また、この実施の形態では、HDD53および案内経路生成部68は、電子ペン4と通信可能なナビゲーション本体6に設けられている。したがって、ユーザは、ナビゲーション本体6において、たとえば、ランドマークの名称を選択したりしなくて済む。ユーザは、たとえば、電子ペン4をナビゲーション本体6と通信させる前に、電子ペン4を用いて、ランドマークの名称、ランドマークおよび所定の地点をまとめて指定することができる。
【0080】
また、この実施の形態では、案内経路生成部68は、電子ペン4が生成する2つの読取座標値を用いて、電子ペン4が読み取った2つの地点の透明シート3での距離を演算し、この距離を地図11の縮尺により拡大した距離を、電子ペン4が読み取った2つの地点の相対距離として、所定の地点の緯度経度値を演算する。
【0081】
したがって、案内経路生成部68は、電子ペン4が読み取った地点の緯度経度値を演算により得ることができる。つまり、案内経路生成部68は、2つの地点の相対距離を演算するために、地図11の縮尺以外の特別な情報を必要としない。しかも、案内経路生成部68は、ランドマークから所定の地点までの相対距離を自動的に演算することができる。
【0082】
また、この実施の形態では、透明シート3には、それを所定の向きで地図11へ重ねるための横向きの基準線21が印刷され、ユーザはこの横向きの基準線21の向きと地図11中の横文字の向きとが一致するように地図シート2上に透明シート3を載置する。また、案内経路生成部68は、透明シート3に印刷されたこの基準線21が東西方向であるとして、ランドマークに対する目的地などの地点の相対方向を決定し、その地点の緯度経度値を演算する。
【0083】
したがって、案内経路生成部68は、2つの地点の相対方向を決定するために特別な情報を必要としない。しかも、案内経路生成部68は、ランドマークを基準とした所定の地点の相対方向を自動的に演算することができる。さらに、たとえば地図11の輪郭や地図11が印刷された用紙の縁と透明シート3の縁とを合わせる場合に比べて、ユーザは、透明シート3を地図11に対して正確に合わせることができ、その結果として、目的地などの地点の緯度経度値としてより確からしい値のものを得ることができる。
【0084】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0085】
たとえば上記実施の形態では、地図11は地図シート2に印刷されている。この他にも、たとえば、地図11は、一定の縮尺により描画されたものであれば、地図帳などの製本された印刷物に印刷されているものであってもよい。また、1枚の地図シート2に、複数の地図11が印刷されていてもよい。
【0086】
上記透明シート3は、透明なものである。この他にも、たとえば、透明シート3は、地図11と重ねたときその地図11を透けて視認できるものであればよく、半透明なものであってもよい。また、透明シート3は、地図シート2などの地図11の上に糊などにより貼着することができるものであってもよい。このような貼着可能なシートとしては、たとえば液晶デバイスに貼着する透過型液晶シートなどがある。
【0087】
上記透明シート3に印刷される複数の横向きの基準線21は、複数の縦向きの基準線21であってもよい。さらに他にもたとえば、上記透明シート3には、複数の基準線21の替わりに、透明シート3の向きを地図シート2の向きと合わせるためのものとして、枠やトンボなどの基準マークや、文字などが印刷されていてもよい。
【0088】
上記透明シート3には、ドットパターン27の替わりに、透明シート3中の位置を示す座標値がコード化されたバーコードや、QR(Quick Response)コードなどが印刷されていてもよい。
【0089】
上記透明シート3のサイズは、地図シート2のサイズや地図11のサイズと異なるサイズであってもよい。上記透明シート3は、地図11上で指定するランドマークおよび所定の地点との間の距離以上の対角線の長さを有するものであればよい。
【0090】
上記電子ペン4の送信部42は、図5の読取データ38を読取った後、USBケーブル5によりナビゲーション本体6に接続されている。この他にも、たとえば、送信部42は、電子ペン4とナビゲーション本体6とをUSBケーブル5により接続した状態で読取ったデータを順次送信するようにしてもよい。この変形例の場合、電子ペン4は、たとえば、図8のフローチャートのステップ毎の指示に基づいて、地図11中のランドマーク、縮尺マーク22、目的地マーク23、基準設定マーク24などを所定の順番で読取るものであってもよい。この他にも、たとえば、上記電子ペン4は、これらの情報を1回で読取るようにしても、3回以上に分けて読取るようにしてもよい。
【0091】
上記実施の形態では、対応付けデータ62に記憶される緯度経度値は、電子ペン4により手書き入力された文字に基づいて、ナビゲーションデータ59から抽出されたものである。この他にも、たとえば、対応付けデータ62に記憶される緯度経度値は、ナビゲーション本体6におけるランドマーク選択により、ナビゲーションデータ59から抽出されるようにしてもよい。また、対応付けデータ62に記憶される緯度経度値は、ナビゲーション本体6とは別体のメモリやインターネットから取得したものであってもよい。
【0092】
上記実施の形態では、ナビゲーション本体6の案内経路生成部68は、座標変換テーブル60により、電子ペン4により各種のマークが読取られたことを確認し、設定している。この他にも、たとえば、座標変換テーブル60を無くし、案内経路生成部68は、電子ペン4に設けられた図示外のスイッチの操作に基づいて各種の設定をするようにしてもよい。
【0093】
上記実施の形態では、案内経路生成部68は、電子ペン4を用いて書込んだ文字を認識することで、ランドマークの名称を得るようにしている。この他にも、たとえば、案内経路生成部68は、ナビゲーション本体6に対する操作に基づいてランドマークの名称を得るようにしてもよい。ナビゲーション本体6に対する操作としては、たとえば、タッチパネル55や入力キーを用いた施設の選択操作や、音声認識による操作などであってもよい。
【0094】
上記実施の形態では、案内経路生成部68は、電子ペン4を用いて縮尺を得るようにしている。この他にも、たとえば、案内経路生成部68は、ナビゲーション本体6に対する操作に基づいて縮尺を得るようにしてもよい。
【0095】
上記実施の形態では、案内経路生成部68は、1つのランドマークに基づいて、所定の地点の相対距離や相対方向を判断し、その地点の緯度経度値を演算している。この他にも、たとえば、案内経路生成部68は、2つ以上のランドマークに基づいて、所定の地点の緯度経度値を演算するようにしてもよい。2つ以上のランドマークに基づいて所定の地点の方向を決定する場合、三角法などにより決定することができる。したがって、透明シート3に基準線21などを印刷しなくてもよい。
【0096】
上記実施の形態では、地図11と重ねられた透明シート3のドットパターン27は、ペン形状の電子ペン4により読取られる。この他にも、たとえば、透明シート3のパターンは、カメラ付き携帯手電話端末などの、地図11とともに携帯可能な読取機器を使用するようにしてもよい。
【0097】
上記実施の形態では、電子ペン4が読取った読取データ38は、ナビゲーション本体6へ送信され、このナビゲーション本体6による経路探索および経路案内に利用される。この他にも、たとえば、電子ペン4が読取った読取データ38は、携帯電話端末、携帯情報端末などの携帯機器へ送信され、この携帯機器での経路探索および経路案内に利用されるようにしてもよい。さらに、ナビゲーション本体6が探索した経路は、携帯機器による経路案内に利用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、目的地などの設定により案内経路を生成したり、その案内経路で案内したりするナビゲーションシステムなどにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムを示すシステム構成図である。
【図2】図2は、図1中の透明シートの印刷内容を示す説明図である。
【図3】図3は、透明シートを地図シートに重ねた状態を示す説明図である。
【図4】図4は、図1中の電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、メモリに記憶される読取データの一例を示す説明図である。
【図6】図6は、メモリに記憶される読取データの他の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、図1中のナビゲーション本体の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、電子ペンにより目的地を設定する場合に、図7中の案内経路生成部が実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 カーナビゲーションシステム(ナビゲーションシステム)
3 透明シート(シート部材)
4 電子ペン(読取機器)
6 ナビゲーション本体
11 地図
21 基準線
27 ドットパターン(所定のパターン)
53 HDD(記憶手段)
68 案内経路生成部(地点演算手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図と重ねた状態でその地図を透視することができ、そのシート部材での位置を示す座標値へ変換可能な所定のパターンが印刷されているシート部材と、
上記シート部材を上記地図に重ねた状態において上記地図中のランドマークおよび所定の地点を読み取り、上記シート部材におけるこれらの読取座標値を生成する読取機器と、
ランドマークの緯度経度値を記憶する記憶手段と、
上記記憶手段に記憶されている上記ランドマークの緯度経度値を、上記読取機器が生成する上記ランドマークの読取座標値に対応付け、さらに、上記読取機器が生成する2つの読取座標値の相対関係に基づいて、上記ランドマークの緯度経度値から、上記読取機器が読み取った上記所定の地点の緯度経度値を演算する地点演算手段と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記ランドマークの名称および緯度経度値を対応付けて記憶し、
前記地点演算手段は、前記ランドマークの名称に基づいて前記記憶手段から選択される緯度経度値を、前記読取機器が読み取ったランドマークの読取座標値に対応付けること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記地点演算手段は、前記読取機器による筆跡に基づいて前記ランドマークの名称を認識し、前記記憶手段においてその認識した名称に合致するランドマークの名称に対応付けられている緯度経度値を、前記読取機器が読み取ったランドマークの読取座標値に対応付けること、
を特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記記憶手段および前記地点演算手段は、前記読取機器と通信可能なナビゲーション本体に設けられていることを特徴とする請求項3記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記地点演算手段は、前記読取機器が生成する2つの読取座標値を用いて、前記読取機器が読み取った2つの地点の前記シート部材での距離を演算し、この距離を前記地図の縮尺により拡大した距離を、前記読取機器が読み取った2つの地点の相対距離として、前記所定の地点の緯度経度値を演算すること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記シート部材には、それを所定の向きで前記地図へ重ねるための基準線、基準マークあるいは文字が印刷され、
前記地点演算手段は、前記シート部材に印刷された上記基準線、基準マークあるいは文字に対する前記座標値の関係に基づいて、前記読取機器が生成する2つの読取座標値を用いて、前記読取機器が読み取ったランドマークに対する前記所定の地点の相対方向を決定し、前記所定の地点の緯度経度値を演算すること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記基準線、基準マークあるいは文字は、前記シート部材に対して横向きに印刷され、
前記地点演算手段は、前記基準線、基準マークあるいは文字が東西方向であるとして、前記読取機器が読み取ったランドマークに対する前記所定の地点の相対方向を決定すること、
を特徴とする請求項6記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
地図と重ねた状態でその地図を透視することができるシート部材であって、そのシート部材での位置を示す座標値へ変換可能な所定のパターンが印刷されているシート部材を読取機器により読取って、記憶手段に緯度経度値が記憶されているランドマークの読取座標値を取得するステップと、
上記記憶手段に記憶されている上記緯度経度値と上記読取座標値とを対応付けるステップと、
上記読取機器が読み取る上記ランドマークの読取座標値および所定の地点の読取座標値の相対関係に基づいて、上記ランドマークの緯度経度値から、上記読取機器が読み取った上記所定の地点の緯度経度値を演算するステップと、
を有することを特徴とする地点選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−185940(P2008−185940A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21376(P2007−21376)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】