説明

ナビゲーションシステム及びナビゲーション方法

【課題】地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすいように、出発地から目的地までの推奨経路を地図表示し案内する。
【解決手段】出発地及び目的地の情報と、出発地と目的地間の推奨経路の情報を有する鳥瞰図データに基づいて推奨経路を案内する表示機能を備えたナビゲーションシステムであって、出発地と目的地との成す第1のベクトルと、出発地と目的地を固定して、出発地に対する推奨経路上の遷移位置と目的地との成す第2のベクトルとを演算し、第1のベクトルに第2のベクトルを一致させて遷移位置を出発地に合わせるデータ変換処理を鳥瞰図データに施す鳥瞰図データ作成部4と、鳥瞰図データ作成部4によってデータ変換された鳥瞰図データに基づいて、出発地に合わせられた前記遷移位置と目的地の位置を固定して、画面上に遷移位置から目的地までの推奨経路を示す鳥瞰図を表示する表示部9とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までの推奨経路を案内する表示機能を備えたナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やカーナビゲーション装置に設けられたナビゲーションシステムでは、出発地から目的地までの経路(推奨経路)を案内する際、建物や道路等の地物を上空から斜めに見下ろして表現する鳥瞰図(俯瞰図)にて地図表示するものが知られている(特開2005−017052号公報、図6、図7等を参照)。
【0003】
また、鳥瞰図表示によると、現在位置が画面手前、目的地が画面奥に見えるように、現在位置の上空から目的地に向けて見下ろすように鳥瞰図を表示した場合、推奨経路が建物の陰に隠れてしまう場合があるため、目的地が画面手前、現在位置が画面奥となるように視線方向を変更して鳥瞰図を表示することで、推奨経路が建物の手前に見えるように表示することも提案されている(特開2004−233333号公報、図2等を参照)。
【0004】
また、鳥瞰図を表示している際に推奨経路上の現在位置が建物の陰に隠れる状態になると、鳥瞰図表示を止め、平面地図や平面鳥瞰図(鳥瞰図から立体的な建物等を省略した図)に切り替え表示することで、推奨経路と現在位置を視認しやすくすることも提案されている(特開2006−317503号公報、図2等を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−017052号公報
【特許文献2】特開2004−233333号公報
【特許文献3】特開2006−317503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1〜3に開示されている発明は、鳥瞰図等によって臨場感が得られるようにしたものであるが、鳥瞰図等を視認しやすくすること(視覚的に見やすくすること)を主目的として成されたものであるため、必ずしも地図本来の情報をユーザにとって理解しやすくして表示しているとは言えなかった。
【0007】
例えば、特許文献2(特開2004−233333号公報)の発明では、同公報の図2にて説明されているように、視線方向を変更して、画面手前側に推奨道路や現在位置を表示し、画面奥側に立体的な建物等を表示することで、推奨道路や現在位置を見やすくしているが、その視線方向の変更に伴って鳥瞰図の方位(東西南北の方位)も変化してしまうため、ユーザにとって方向感覚が掴みにくくなり、違和感を与えたり間違えやすい等の問題がある。
【0008】
また、特許文献1〜3に開示されている発明のように、見やすい鳥瞰図を表示することを主目的としただけでは、地図情報を理解しやすくするという本来的な目的を十分に達成することができず、例えば地図を読むことが不得意なユーザや、方向感覚に疎いユーザにとって、理解しやすいとはいえなかった。
【0009】
本発明は、こうした従来技術の課題に鑑みて成されたものであり、例えば地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすいように、出発地から目的地までの推奨経路を地図表示し案内するナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、出発地及び目的地の情報と前記出発地と目的地間の推奨経路の情報を有する鳥瞰図データに基づいて前記推奨経路を案内する表示機能を備えたナビゲーションシステムであって、前記出発地と前記目的地との成す第1のベクトルと、前記出発地と目的地を固定して、前記出発地に対する前記推奨経路上の遷移位置と前記目的地との成す第2のベクトルとを演算し、前記第1のベクトルに前記第2のベクトルを一致させて前記遷移位置を前記出発地に合わせるデータ変換処理を前記鳥瞰図データに施す鳥瞰図データ作成手段と、前記鳥瞰図データ作成手段によって前記データ変換された鳥瞰図データに基づいて、前記出発地に合わせられた遷移位置と前記目的地の位置を固定して、画面上に前記遷移位置から目的地までの推奨経路を示す鳥瞰図を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、出発地及び目的地の情報と前記出発地と目的地間の推奨経路の情報を有する鳥瞰図データに基づいて前記推奨経路を案内表示するナビゲーション方法であって、前記出発地と前記目的地との成す第1のベクトルと、前記出発地と目的地を固定して、前記出発地に対する前記推奨経路上の遷移位置と前記目的地との成す第2のベクトルとを演算し、前記第1のベクトルに前記第2のベクトルを一致させて前記遷移位置を前記出発地に合わせるデータ変換処理を前記鳥瞰図データに施す鳥瞰図データ作成工程と、前記データ変換された鳥瞰図データに基づいて、前記出発地に合わせられた遷移位置と前記目的地の位置を固定して、画面上に前記遷移位置から目的地までの推奨経路を示す鳥瞰図を表示する表示工程と、を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のナビゲーションシステムの基本構成を表したブロック図である。
図1において、このナビゲーションシステム1は、現在位置検出部2、ナビゲーション処理部3、鳥瞰図データ作成部4、記憶部5、通信部6、表示制御部7、操作部8、表示部9を備えて構成され、図示しないマイクロプロセッサ(MPU)の制御の下で動作する所謂コンピュータシステム構成で実現されている。そして、ナビゲーションシステム1は、例えばカーナビゲーション装置や、携帯電話、マイクロコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)等の移動体に内蔵または搭載されるようになっている。
【0013】
通信部6は、図示しない地図情報配信センタからインターネット等の通信ネットワークを介して配信されてくる地図データ(時空間地理情報)を受信し、その地図データを記憶部5にダウンロード記憶させるようになっている。
【0014】
また、図示しないが、DVDやCD、メモリカード等の記録媒体に記憶されている地図データを読み取る情報読取装置を備え、その読み取った地図データを記憶部5にダウンロード記憶させることも可能となっている。
【0015】
記憶部5は、上述の地図情報配信センタから配信されてくる地図データ(時空間地理情報)をダウンロード記憶するため、ハードディスクドライブ(HDD)や、SDRAM、フラッシュROM等の記憶媒体を備えて構成されている。
【0016】
操作部8には、ユーザが所望の操作指令を入力するための操作スイッチや操作キーが設けられている。
【0017】
表示制御部7は、鳥瞰図データ作成部4で作成される後述の地図表示用データDmapに基づいて映像データを生成し、その映像データによって、タッチパネル型の液晶表示装置等から成る表示部9に鳥瞰図を地図表示させる。
【0018】
更に、表示制御部7は、表示部9の画面上に鳥瞰図を表示させる他、所定の表示領域にメニューを表示させ、そのメニューをユーザがタッチ操作すると、操作部8を操作した場合と同等の操作指令を入力することができるようになっている。
【0019】
現在位置検出部2は、内蔵されているGPS(Global Positioning System)受信機や自律航法センサ等を用いて移動体の現在位置を検出し、現在位置データPRSを出力する。
【0020】
ナビゲーション処理部3は、ユーザが操作部8又は表示部9のメニュー表示を介して入力される所定の指令に従って、ナビゲーション処理を行う。詳細については後述するが、例えば、ユーザが出発地Sと目的地Gの緯度経度を入力設定して、ナビゲーション処理開始の指令をすると、ナビゲーション処理部3は、記憶部5に記憶されている出発地Sから目的地Gまでの経路を含む地図データを利用して、マップマッチング等の処理を行って、出発地Sから目的地Gまでの最適な推奨経路(少なくともノードとリンクをエンティティとして構成される推奨経路)BRDをルート探索する。
【0021】
鳥瞰図データ作成部4は、ユーザが入力設定した出発地S及び目的地Gと、ナビゲーション処理部3でルート探索された推奨経路BRDと、背景地図とを含む地図データを記憶部5から取得し、その取得した地図データを利用して鳥瞰図データDcgを作成すると共に、出発地Sと目的地Gの位置をマークで示すための出発地マークデータDsと目的地マークデータDgを作成し、更に、現在位置検出部2で検出された現在位置データPRSに基づいて移動体の現在位置を三角印等のマーク(現在地マークMprs)で示すための現在地マークデータDprsを作成し、鳥瞰図データDcgに出発地マークデータDsと目的地マークデータDgと現在地データDprsを合成して地図表示用データDmapを作成して、表示制御部7に供給する。そして、表示制御部7が地図表示用データDmapに基づいて映像データを生成し、表示部9にて鳥瞰図を地図表示させる。
【0022】
なお、詳細については後述するが、本実施形態のナビゲーションシステム1は、「ナビゲーション表示モード」と「デモンストレーション表示モード」との2つの動作モードを有している。操作部8又は表示部9に表示された後述のメニュー表示を介して、ユーザから「ナビゲーション表示モード」が指令されると、ユーザが実際に移動したときの現在位置を現在地マークMprsによって表示部9の画面上に表示させる。つまり、「ナビゲーション表示モード」が指令された場合には、鳥瞰図データ作成部4は、現在位置検出部2で検出された現在位置データPRSに基づいて作成した現在地マークデータDprsによって現在地マークMprsを表示させるようになっている。したがって、「ナビゲーション表示モード」では、目的地Gまでの推奨経路BRDを表示しつつ、ユーザ(別言すれば移動体)の実際の現在位置を現在地マークMprsによって提示(表示)する。
【0023】
一方、ユーザから「デモンストレーション表示モード」が指令されると、ユーザが実際に移動しなくとも、現在地マークMprsを推奨経路BRDに沿って出発地Sから目的地Gまで移動させて表示する。つまり、「デモンストレーション表示モード」が指令された場合には、鳥瞰図データ作成部4は、現在位置検出部2で検出された現在位置データPRSに基づいて作成した現在地マークデータDprsによって現在地マークMprsを表示させるのではなく、推奨経路BRDに沿って擬似的に移動した場合の各地点における緯度経路の情報に基づいて現在地マークデータDprsを作成し、その擬似的な現在地マークデータDprsによって現在地マークMprsを表示させることで、ユーザが実際に移動しなくとも、あたかも移動した如く模擬表示を行うようになっている。したがって、「デモンストレーション表示モード」では、目的地Gまでの推奨経路BRDを表示しつつ、推奨経路BRDに沿って現在地マークMprsが自動的に目的地Gに向かって移動していく映像をデモンストレーション表示する。
【0024】
次に、かかる構成を有するナビゲーションシステム1の動作について、図2〜図8を参照して詳述する。
【0025】
図2は、表示部9の画面上に表示されるメニュー表示等を示した図である。このメニュー表示をユーザがタッチ操作し、本ナビゲーションシステム1に対して所望の指令を入力することができるようになっている。
【0026】
まず、メニュー表示について説明する。表示部9の画面には、地図表示領域と、メニュー表示領域と、状態表示領域とに分けて、分割表示(窓表示)がなされるようになっている。
【0027】
地図表示領域には、上述した推奨経路BRDと現在地マークMprs等によって目的地Gまでガイドするための鳥瞰図が地図表示される。
メニュー表示領域には、「ビュータイプ」「方位モード」「出発地」「目的地」「テクスチャ」「交差点拡大」「透過率」「デモ表示」「移動速度」の項目と、「描画」「自動/手動」「デモ表示起動」「一時停止」「スクリーンショット」「終了」の表記が付されたアイコンが表示されている。そして、操作部8がこれらの項目とアイコンを管理し、ユーザから入力設定された情報に従って、ナビゲーションシステム1の動作を指令するようになっている。
【0028】
「ビュータイプ」の項目には、背後ビュー、サテライトビュー、アロービュー、ガイドビュー等の地図表示の形式を入力設定するための入力ボックスが表示されている。この入力ボックスをユーザが接触する毎に地図表示の形式が切り替わり、所望の地図表示の形式を入力することができる。例えば、ユーザがデフォルト(標準設定)となっている背後ビューを選択すると、ユーザが頭上の背後から景色を見下ろしたような三次元の鳥瞰図を地図表示させることができる。
【0029】
「方位モード」の項目には、標準方位モード、固定方位モードのいずれか1つを入力設定するための入力ボックスが表示されている。標準方位モードがデフォルトとなっており、方位モードの項目の入力ボックスをユーザが接触する毎に所望のモードに切り替えられるようになっている。
【0030】
「標準方位モード」とは、地図表示領域の中心位置より下側領域の所定位置に現在地マークMprs、上側領域の所定位置に目的地マーク(G)を夫々固定して、目的地Gまでの推奨経路BRDを表示するモードである。
【0031】
「固定方位モード」とは、常に地図表示領域の中心位置を通るy方向に沿って、地図表示領域の中心位置より下側領域の所定位置に現在地マークMprs、上側領域の所定位置に目的地マーク(G)を夫々固定して、目的地Gまでの推奨経路BRDを表示するモードである。つまり、地図表示領域を左右2分割(等分割)する縦方向の仮想線をy座標軸(以下「固定中心軸」と称する)とすると、現在地と目的地Gをその固定中心軸に一致させ、地図表示領域の中心位置より下側領域の所定位置に現在地マークMprs、上側領域の所定位置に目的地マーク(G)を夫々固定して、目的地Gまでの推奨経路BRDを表示するモードである。
【0032】
「出発地」の項目には、出発地Sの緯度と経度を入力するための入力ボックスが表示され、その入力ボックスに接触した後、操作部8に設けられている数字キーを操作して、出発地Sの緯度と経度をデータ入力するようになっている。
【0033】
「目的地」の項目には、目的地Gの緯度と経度を入力するための入力ボックスが表示され、その入力ボックスに接触した後、操作部8に設けられている数字キーを操作して、目的地Gの緯度と経度をデータ入力するようになっている。
【0034】
「描画アイコン」は、出発地、目的地、現在地を示すマーク表示と、推奨経路を含んだ鳥瞰図の表示を開始させるために設けられている。
【0035】
「テクスチャ」の項目には、チェックボックスが表示されており、ユーザがチェックボックスに触れる毎に、チェックオン、チェックオフの切替えを行うことができるようになっている。そして、図示するようにチェックオンにすると、地図表示される家形に対してテクスチャオンに設定することができ、テクスチャオフが初期値となっている。
【0036】
「交差点拡大」の項目には、チェックボックスが表示されており、ユーザがチェックボックスに触れる毎に、チェックオン、チェックオフの切替えを行うことができるようになっている。そして、図示するようにチェックオンにしておくと、上述した「ナビゲーション表示モード」または「デモンストレーション表示モード」の地図表示に際して、現在地マークMprsが推奨経路BRD上の交差点に近づくと、その交差点の周辺の拡大地図が地図表示領域の所定領域に鳥瞰図に重ねて表示される。チェックオフにしておくと、拡大表示をしないように設定しておくことができる。
【0037】
「透過率」の項目には、スライドボリュームの絵柄が表示されており、ユーザがスライドボリュームの摘みに触れて移動させると、移動させた位置に応じて、鳥瞰図内の建物等の透過率を設定することができるようになっている。つまり、鳥瞰図データ作成部4が鳥瞰図データDcgを作成する際、建物等の透明度を調整し、推奨経路BRDを透視できるようにするための鳥瞰図データDcgを作成する。
【0038】
「デモ表示」の項目には、ON/OFF表記が付されたスイッチが表示されている。あたかもユーザが実際に移動したかのようにデモンストレーション表示を行うために設けられている。そして、ユーザがONの表記に触れると「デモンストレーション表示モード」をオン、OFFの表記に触れると「デモンストレーション表示モード」をオフにして「ナビゲーション表示モード」に初期設定できるようになっている。
【0039】
「デモ表示起動アイコン」は、デモ表示の項目がONに初期設定されている場合に機能し、ユーザがデモ表示起動アイコンに触れてオン操作すると、デモンストレーション表示を開始させるようになっている。
【0040】
「一時停止アイコン」は、デモ表示の項目がONに初期設定されている場合に機能する。そして、ユーザがデモ表示起動アイコンに触れてオン操作した後、一時停止アイコンに触れると、一時停止させることができるようになっている。また、一時的停止の状態でユーザが一時停止アイコンに触れると、再動作させることができる。
【0041】
「移動速度」の項目には、スライドボリュームの絵柄が表示されており、ユーザがスライドボリュームの摘みに触れて移動させると、鳥瞰図データ作成部4に指令して、スライドボリュームの摘みの移動位置に応じて、デモンストレーション表示の速度を調整させることができるようになっている。なお、このスライドボリュームは、上述した一時停止の状態においても設定できるようになっている。
【0042】
「スクリーンショットアイコン」は、地図表示領域に表示されている鳥瞰図を静止画のデータとして保存するために設けられている。ユーザがスクリーンショットアイコンに触れると、スクリーンショットオン(キャプチャオン)となり、表示制御部7が、オン操作された瞬間の鳥瞰図を静止画データとして記憶部5内の所定フォルダに保存させる。操作部8に設けられている静止画再生ボタンをオン操作すると、表示制御部7がその静止画を地図表示領域に表示させ、ユーザに提示するようになっている。
【0043】
「終了アイコン」は、デモンストレーション表示を終了させるために設けられている。
【0044】
次に、図示した状態表示領域には、出発地Sから目的地Gまでの距離を100%とし、推奨経路に沿って移動した距離をパーセント表示するルーラーが表示されている。デモンストレーション表示の起動中にユーザがこのルーラーの動きを見ると、目的地Gに到達するための移動速度を予め予測することができ、また、ナビゲーション表示が行われているときにユーザがこのルーラーの動きを見ると、目的地Gに到達するまでの相対的な残存距離を知ることができるようになっている。
【0045】
次に、以上に説明したメニュー表示をユーザが操作して、ナビゲーションシステム1を実際に利用した場合の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
〔デモンストレーション表示モード/固定方位モード〕
まず、ユーザがデモンストレーション表示モードと固定方位モードを入力設定した場合の動作についてに説明する。
なお、ビュータイプが背後ビュー、透過率が所望の透過率に既に設定され、テクスチャがオフに設定され、移動速度の項目に所望の移動速度が既に設定され、交差点拡大のチェックボックスがオンに設定されているものとする。
【0047】
図3において、ユーザが出発地Sと目的地Gの緯度経度を入力設定して描画アイコンを操作すると、ナビゲーション処理部3が、その緯度経度の情報を取得して、記憶部5内の作業用記憶領域に格納する(ステップST1)。
【0048】
次に、ステップST2において、ナビゲーション処理部3が、出発地Sと目的地Gの緯度経度の情報と記憶部5に記憶されている地図データを利用して、最適な推奨経路BRDをルート探索し、更に、鳥瞰図データ作成部4が、推奨経路BRDと出発地S及び目的地Gと背景地図とを含む所定の縮尺率の地図データを記憶部5から取得する。より具体的には、少なくとも推奨経路BRDと出発地S及び目的地Gの全てが図2に示した地図表示領域の範囲内に入ることを条件として、より詳細な(縮尺率の小さい)地図データを特定して取得する。
【0049】
更に、鳥瞰図データ作成部4が、推奨経路BRDの距離DSTを算出し、固定値(例えば、100)で距離DSTを除算して、その除算値に移動速度の項目で設定されている移動速度の値を乗算することで、移動速度に比例した基準移動距離ΔDSTを求め、その基準移動距離ΔDSTを記憶部5の作業記憶領域に記憶する。例えば、移動速度が1に設定されていれば、基準移動距離ΔDSTは、DST/100の値となり、移動速度が2に設定されていれば、基準移動距離ΔDSTは、2×DST/100の値となる。
【0050】
次に、ステップST3において、鳥瞰図データ作成部4が、所定の幾何学的手法(幾何学的解析アルゴリズム)によって、取得した地図データを回転処理することで、出発地Sを地図表示領域の下側の位置、目的地Gを地図表示領域の上側の位置とし、且つ出発地Sと目的地Gを固定中心軸上に一致させ、更に、少なくとも推奨経路BRDと出発地S及び目的地Gの全てが地図表示領域の範囲内に収まるように、地図データの範囲を特定する。
【0051】
次に、ステップST4において、鳥瞰図データ作成部4が、上述の特定した範囲内の地図データ(以下「範囲特定地図データ」と称する)を利用して、出発地Sの上方から目的地Gを見下ろしたように視覚的に感じさせる鳥瞰図データDcgを作成する。
【0052】
ここで、鳥瞰図データ作成部4は、次の処理によって鳥瞰図データDcgを作成する。まず、図4(a)の幾何学図にて模式的に示すように、出発地Sの緯度経度と目的地Gの緯度経度に基づいて、平面地図上における出発地Sから目的地Gを結ぶ方位ベクトルVsgを演算する。
【0053】
なお、説明の便宜上、図4(a)には方位ベクトルVsgが傾いて描かれているが、固定方位モードの場合には、方位ベクトルVsgの方向が図2に示した地図表示領域の固定中心軸の方向に一致することになる。つまり、固定方位モードの場合には、鳥瞰図データ作成部4が上述の回転処理を行うことで、出発地Sと目的地Gの緯度経度に対しても回転処理を施し、その出発地Sと目的地Gの回転処理後の緯度経度に基づいて、方位ベクトルVsgを演算する。このため、方位ベクトルVsgの方向が図2に示した地図表示領域の固定中心軸に一致することになる。
【0054】
そして、その方位ベクトルVsgの延長線上に位置し、出発地Sより所定距離mだけ後方に位置する地点SBの緯度経度を推定演算する。更に、地点SBから所定高さHの位置を見下ろし視点Pとし、見下ろし視点Pから目的地Gを見下ろす角度(俯角)θを演算する。そして、範囲特定地図データに含まれている建物等の地物に関するポリゴンデータを俯角θに基づいて遠近法に準じたデータ変換処理をすることで、出発地Sが表示部9の画面上の手前側に見え、目的地Gが画面奥側に見えるように視覚的に感じさせる鳥瞰図データDcgを作成する。
【0055】
次に、ステップST5において、鳥瞰図データ作成部4が、表示部9の画面上に鳥瞰図を表示した場合に、出発地Sと目的地Gと推奨経路BRDが地図表示領域の範囲内に過不足なく表示されるように、鳥瞰図データDcgに対して倍率調整(ズーム調整)する。具体的には、図4(a)に示した目的地Gと見下ろし視点P間の距離Lを調整し、その調整した距離Lに応じて鳥瞰図データDcgに対して倍率調整(ズーム調整)し、出発地S及び目的地Gと推奨経路BRDの全てが地図表示領域の中心(真ん中)から約80パーセントの範囲内に収まる鳥瞰図データDcgを作成する。
そして、倍率調整した鳥瞰図データDcgを、記憶部5の作業記憶領域に格納する。
【0056】
なお、本実施形態では、図4(a)に示した目的地Gと見下ろし視点P間の距離Lを調整して鳥瞰図データDcgに対し倍率調整(ズーム調整)を行っているため、俯角θは常に一定である。ただし、他の倍率調整方法として、図4(a)に示した出発地Sと後方の地点SB間の距離mと、地点SB上方の見下ろし視点Pの高さHとを調整することで、俯角θも調整し、その調整した見下ろし視点Pから目的地Gを見下ろすように、鳥瞰図データDcgに対して倍率調整を施してもよい。
【0057】
次に、ステップST6において、鳥瞰図データ作成部4が、範囲特定地図データに基づいて、出発地Sと目的地Gをマーク表示するための出発地マークデータDsと目的地マークデータDgを作成し、更に、推奨経路BRD上の現在位置をマーク表示するための現在地マークデータDprsを作成する。そして、これらのマークデータDs,Dg,Dprsを記憶部5の作業記憶領域に格納する。なお、未だデモンストレーションが開始されていないときには、現在地を出発地Sと同じ位置として、現在地マークデータDprsを作成する。
【0058】
次に、ステップST7において、鳥瞰図データ作成部4が、記憶部5の作業記憶領域に記憶しておいた鳥瞰図データDcgと出発地マークデータDsと目的地マークデータDgと現在地マークデータDprsを取得して、鳥瞰図データDcgに出発地マークデータDsと目的地マークデータDgと現在地マークデータDprsを合成して地図表示用データDmapを作成し、表示制御部7を介して表示部9に供給することで、デモンストレーション表示のための鳥瞰図を地図表示させる。
【0059】
図5(a)は、デモンストレーション表示のための鳥瞰図を例示した図であり、表示部9の地図表示領域内に、固定中心軸に沿って出発地マーク(S)と目的地マーク(G)が表示され、更に、推奨経路BRDの全てが表示されると共に黄色等の着色が施されることで他の道路と識別できるように表示され、更に、現在地マークMprsが推奨経路BRD上に重ねて表示される。更に、交差点A,Bの名称や信号機等の付属情報も表示される。
【0060】
なお、ステップST7において表示される図5(a)のような鳥瞰図は、デモンストレーションの開始前に提示(表示)されるものであり、以下の説明では、スタンバイ地図画像と呼ぶこととする。
【0061】
次に、ユーザがデモ表示起動アイコンをオン操作すると、ステップST8に移行する。
ステップST8では、鳥瞰図データ作成部4が、所定周期(固定の周期)で推奨経路BRDに沿って移動距離ΔDST分だけ移動した場合の位置(以下「遷移位置」と称する)XYprsを演算する。
【0062】
次に、ステップST9において、鳥瞰図データ作成部4が、作業記憶領域に記憶されている目的地マークデータDgと鳥瞰図データDcgを取得して、遷移位置XYprsから目的地Gへの新たな方位ベクトルVsgnsを演算し、目的地Gを固定してその方位ベクトルVsgnsを固定中心軸へ一致させる分だけ、取得した鳥瞰図データDcgを回転させる。別言すれば、図4(b)に例示するように、目的地Gを固定したまま、方位ベクトルVsgnsと固定中心軸との差分ベクトルの分だけ、鳥瞰図データDcgを回転させるデータ変換処理を行い、方位ベクトルVsgnsを固定中心軸に一致させる。
【0063】
更に、回転させた鳥瞰図データDcgに対して、図4(a)に示したのと同様の倍率調整を施して、遷移位置XYprsを出発地Sの位置に合わせる。つまり、図4(a)に示した方位ベクトルVsgを方位ベクトルVsgnsに置き換えて、目的地Gを固定させたまま、方位ベクトルVsgnsのスカラー量(別言すれば、距離Lに相当する)を調整することで、回転させた鳥瞰図データDcgに対して倍率調整(ズーム調整)を行って、遷移位置XYprsを出発地Sの位置に合わせる。
そして、上述の回転させ且つ倍率調整を施すことで得られた鳥瞰図データを、新たな鳥瞰図データDcgnsとして、記憶部5の作業記憶領域に格納(記憶)させる。
【0064】
こうして、新たな鳥瞰図データDcgnsを作成すると、その鳥瞰図データDcgnsは、推奨経路BRDのうち、遷移位置XYprsと目的地Gとの間の推奨経路の部分を含む鳥瞰図を回転させてズームアップ(拡大)させた鳥瞰図であって、目的地Gが固定したままとなって、遷移位置XYprが出発地Sに位置に合わせされた鳥瞰図を表示部9の地図表示領域において表示させる鳥瞰図データにデータ変換されることとなる。
【0065】
次に、ステップST10において、鳥瞰図データ作成部4が、出発地Sを現在地とする現在地マークデータDprsを作成し、その現在地マークデータDprsと目的地マークデータDgを、上述した新たな(データ変換した)鳥瞰図データDcgnsに合成して、新たな地図表示用データDmapを作成し、表示制御部7を介して表示部9に供給する。これにより、図5(b)に例示するような鳥瞰図データDcgnsに基づく鳥瞰図が地図表示領域に表示される。つまり、目的地のマーク(G)が固定中心軸上の固定した位置に表示され、現在地である遷移位置XYprsが出発地Sと同じ位置に固定されて、出発地のマーク(S)の代わりに現在地マークMprsが表示され、遷移位置XYprsが出発地Sと同じ位置に偏倚した分だけ、回転と倍率調整が施された鳥瞰図が地図表示される。
【0066】
別言すると、目的地Gを揺動自在な支点、推奨経路BRDをクランク状の長溝、固定された出発地Sを長溝に遊嵌するピンに例えるならば、ピンに対する長溝の位置が偏倚するのに応じて、鳥瞰図全体が揺動するように、表示される。
【0067】
次に、ステップST11において、推奨経路BRDに沿って移動距離ΔDST分ずつ移動した位置が目的地Gに到達したか否か、鳥瞰図データ作成部4が判断し、未だ到達していなければステップST8からの処理を繰り返し、到達していれば、到達した状態での地図表示のままにし、前述した終了アイコンが操作されると、デモンストレーション表示を終了(完了)し、スタンバイ地図画像(図5(a)参照)の表示に戻る。
【0068】
図5(b)〜図7(b)は、上述のステップST8〜ST11の処理によって表示される鳥瞰図を例示した図である。
これらの図に示されるように、デモンストレーション表示が行われると、目的地Gが常に固定されて表示され、推奨経路BRDに沿って移動距離ΔDST分ずつ移動したときの推奨経路BRD上の位置が出発地Sに固定されてマーク表示Mprsとして表示され、目的地までの残存する推奨経路の部分が揺動しながら次第にズームアップされて表示されていく。
【0069】
このように、目的地Gと、推奨経路BRD上を移動したときの位置が、常に地図表示領域内の固定した位置にマーク表示されるため、移動した位置を現在地として、目的地Gとの位置や方向の関係を容易に理解することが可能である。このため、地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすいように表示して、デモンストレーションすることができる。
【0070】
また、ステップST8〜ST11では説明しなかったが、現在地マークMprsが交差点に近づくと、鳥瞰図データ作成部4が、その交差点周辺を拡大する地図データ(最も縮尺率の小さい地図データ)を記憶部5から取得して表示部5に供給し、図5(b)に例示するように、地図表示領域の所定領域内に、鳥瞰図に重ねて表示させる。このため、移動すべき方向を変える場合などに、ユーザに対して有効な情報を提供することができる。
【0071】
更に、図5(a)〜図7(b)に例示するように、移動した位置が目的地Gに近づくに従って、鳥瞰図が次第にズームアップされて表示されるため、このデモンストレーション表示をユーザが見ることで、確実に目的地Gに到達するための予備知識を得ることができ、優れた利便性を提供することができる。
【0072】
〔デモンストレーション表示モード/標準方位モード〕
次に、ユーザが標準方位モードを設定してデモンストレーション表示を指令した場合の動作について説明する。なお、基本的な動作は、固定方位モードと同様であるため、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0073】
標準方位モードが設定されていると、図3に示したステップST1、ST2の処理を行った後、ステップST3において、鳥瞰図データ作成部4が、所定の幾何学的手法(幾何学的解析アルゴリズム)によって、記憶部5に記憶されている地図データを取得して回転処理することで、出発地Sを地図表示領域の下側の位置、目的地Gを地図表示領域の上側の位置とし、更に、少なくとも推奨経路BRDと出発地S及び目的地Gの全てが地図表示領域の範囲内に収まるように、地図データの範囲を特定する。
【0074】
つまり、固定方位モードでは出発地Sと目的地Gの方向を固定中心軸に一致させるが、標準方位モードでは、この固定中心軸に一致させるという条件を外して、少なくとも推奨経路BRDと出発地S及び目的地Gの全てが地図表示領域の範囲内に収まるように、地図データの範囲を特定する。
更に、その範囲特定した地図データを利用して、出発地Sと目的地Gを地図表示領域内の固定した位置に決める。
【0075】
そして、図3に示したステップST4〜ST7の処理を行う。これにより、図8に例示するように、出発地Sと目的地Gを結ぶ方向が自動的に方位ベクトルVsgの方向として設定され、その方位ベクトルVsgの方向に沿って出発地Sと目的地Gが固定してマーク表示されると共に、推奨経路BRDと現在地マークMprsが表示され、この鳥瞰図の表示がスタンバイ地図画像となる。
【0076】
次に、ユーザがデモンストレーションを起動させると、図3に示すステップST8以降の処理に移行し、ステップST9において、自動的に設定された地図表示領域内における目的地Gの位置を固定し、移動距離ΔDSTずつ移動したときの推奨経路BRDの位置(遷移位置)XYprsが、固定された出発地Sへ偏倚するように、鳥瞰図データに対して回転と倍率調整が施され、次のステップST10において、回転と倍率調整が施された鳥瞰図データに基づいて鳥瞰図が地図表示される。
【0077】
そして、ステップST11において、移動した位置が目的地Gに到達したか否かを鳥瞰図データ作成部4が判断し、未だ到達していなければステップST8からの処理を繰り返し、到達していれば処理を停止し、前述した終了アイコンが操作されると、デモンストレーション表示を終了(完了)し、スタンバイ地図画像(図8を参照)の表示に戻る。
【0078】
このように、標準方位モードが設定された場合にも、固定方位モードが設定された場合と同様に、目的地Gを固定すると共に、推奨経路BRDに沿って移動した位置を出発地Sへ偏倚させて固定して、地図表示をするので、ユーザにとって理解しやすいデモンストレーション表示を提供することができる。
そして、このデモンストレーション表示をユーザが見ることで、確実に目的地Gに到達するための予備知識を得ることができ、優れた利便性を提供することができる。
【0079】
〔ナビゲーション表示モード〕
次に、ナビゲーション表示モードが設定された場合の動作について説明する。なお、上述した〔デモンストレーション表示モード/固定方位モード〕と〔デモンストレーション表示モード/標準方位モード〕の場合と基本的に同じ処理が行われるため、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0080】
ユーザがデモ表示の項目をオフに設定し、方位モードを固定方位モードに設定し、出発地Sと目的地Gの移動経度を入力設定すると、固定方位モードでのナビゲーション表示が開始される。また、デモ表示の項目をオフに設定し、方位モードを標準方位モードに設定し、出発地Sと目的地Gの移動経度を入力設定すると、標準方位モードでのナビゲーション表示が開始される。
【0081】
固定方位モードでのナビゲーション表示が開始されると、図3に示したステップST1〜ST7において、前述した〔デモンストレーション表示モード/固定方位モード〕と同様の処理が行われて、図5(a)に例示したのと同様のスタンバイ地図画像が表示され、自動的にステップST8以降の処理が開始される。
そして、ステップST8〜ST11の処理において、鳥瞰図データ作成部4が現在地マークデータDprsを現在位置検出部2で検出される現在位置データPRSに基づいて作成する。
【0082】
この結果、固定方位モードでのナビゲーション表示の場合には、目的地Gが地図表示領域の固定中心軸上に固定されて表示され、更に、図5(a)〜図7(b)に例示した鳥瞰図内に表示され、固定した出発地Sの位置に表示される現在地マークMprsが、実際に移動体が移動した位置を示すことになる。
【0083】
このため、地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすい地図を提示することができる。
【0084】
また、移動体が目的地G側に向かって移動するときには、図5(a)から図7(b)の順で次第に、目的地Gと現在地マークMprsが所定の位置に固定表示されたままで、ズームアップされた鳥瞰図が表示され、移動体が現在地S側へ戻ると、図7(b)から図5(a)の順で、目的地Gと現在地マークMprsが所定の位置に固定表示されたままで、ズームダウンされた鳥瞰図が表示されることになる。
【0085】
このため、ユーザが目的地Gに近づくに従って、目的地Gまでの経路を特定しやすくなり、特に、地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすい地図を提示することができる。
【0086】
一方、標準方位モードでのナビゲーション表示が開始されると、図3に示したステップST1〜ST7において、前述した〔デモンストレーション表示モード/標準方位モード〕と同様の処理が行われて、図8に例示したのと同様のスタンバイ地図画像が表示され、自動的にステップST8以降の処理が開始される。
【0087】
そして、ステップST8〜ST11の処理において、鳥瞰図データ作成部4が現在地マークデータDprsを現在位置検出部2で検出される現在位置データPRSに基づいて作成する。
【0088】
この結果、標準方位モードでのナビゲーション表示の場合には、自動的に決められ固定される出発地Sの位置に、移動体が移動した実際の位置が現在地マークMprsで表示されることになる。更に、目的地も自動的に決められ固定されて表示される。
【0089】
このため、推奨経路BRDにおける、移動体が移動した位置と目的地の関係が理解しやすくなり、地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすい地図を提示することができる。
【0090】
また、移動体が目的地G側に向かって移動するときには、図5(a)から図7(b)の順で次第に、目的地Gと現在地マークMprsが所定の位置に固定表示されたままで、ズームアップされた鳥瞰図が表示され、移動体が現在地S側へ戻ると、図7(b)から図5(a)の順で、目的地Gと現在地マークMprsが所定の位置に固定表示されたままで、ズームダウンされた鳥瞰図が表示されることになる。
【0091】
このため、ユーザが目的地Gに近づくに従って、目的地Gまでの経路を特定しやすくなり、特に、地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすい地図を提示することができる。
また、ユーザがナビゲーション表示とデモンストレーション表示を組み合わせて利用することで、より確実且つ容易に所望の目的地Gに到達することが可能である。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態のナビゲーションシステム1によれば、次の効果が得られる。
デモンストレーション表示の場合にも、また、ナビゲーション表示の場合にも、移動した位置と目的地Gが固定されて、鳥瞰図が地図表示されるので、地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすいように、地図表示することができる。
【0093】
また、デモンストレーション表示を行うことで、ユーザが実際に出発地Sから目的地Gに向かって推奨経路BRDに沿って移動を開始する前に、予備知識を得ることができる。 このため、地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザに対し、目的地Gへ確実に誘導するための予備知識を提供することができる。
【0094】
また、ナビゲーション表示を行ってユーザが移動している途中であっても、デモンストレーション表示を行うことことができるため、ユーザが確実に目的地Gへ到達することができ、更に地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザを目的地Gへ確実に誘導することができる。
【0095】
なお、本実施形態では、図1に示したように、現在位置検出部2が設けられているが、現在位置検出部2を省略した構成としてもよい。つまり、ナビゲーション表示の機能を省略した構成としてもよい。かかる構成によると、デモンストレーション表示の機能は存在するので、そのデモンストレーション表示の機能をユーザが利用することで、例えば地図を読むことが不得意なユーザや方向感覚に疎いユーザにとって理解しやすいように地図表示し、予備知識を得ることが可能である。
【0096】
また、ナビゲーションシステム1の構成をハードウェア構成としてもよいし、コンピュータが実行するコンピュータプログラムによって同機能を発揮させる所謂ソフトウェア構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】表示部の画面に表示されるメニュー等を説明するための説明である。
【図3】図1に示したナビゲーションシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】鳥瞰図データの作成原理を説明するための説明図である。
【図5】表示部に表示される鳥瞰図を例示する説明図である。
【図6】更に、表示部に表示される鳥瞰図を例示する説明図である。
【図7】更に、表示部に表示される鳥瞰図を例示する説明図である。
【図8】更に、表示部に表示される鳥瞰図を例示する説明図である。
【符号の説明】
【0098】
1…ナビゲーションシステム
2…現在位置検出部
4…鳥瞰図データ作成部
7…表示制御部
9…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地及び目的地の情報と前記出発地と目的地間の推奨経路の情報を有する鳥瞰図データに基づいて前記推奨経路を案内する表示機能を備えたナビゲーションシステムであって、
前記出発地と前記目的地との成す第1のベクトルと、前記出発地と目的地を固定して、前記出発地に対する前記推奨経路上の遷移位置と前記目的地との成す第2のベクトルとを演算し、前記第1のベクトルに前記第2のベクトルを一致させて前記遷移位置を前記出発地に合わせるデータ変換処理を前記鳥瞰図データに施す鳥瞰図データ作成手段と、
前記鳥瞰図データ作成手段によって前記データ変換された鳥瞰図データに基づいて、前記出発地に合わせられた遷移位置と前記目的地の位置を固定して、画面上に前記遷移位置から目的地までの推奨経路を示す鳥瞰図を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記鳥瞰図データ作成手段は、前記第1のベクトルを前記表示手段の画面中央の縦方向に沿ったベクトルとすること、
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記鳥瞰図データ作成手段は、前記推奨経路に沿って前記出発地から目的地へ移動する前記遷移位置に基づいて前記第1のベクトルを演算して前記データ変換処理を行い、前記表示手段に、データ変換された鳥瞰図データに基づいて鳥瞰図を表示させることで、デモンストレーションを行うこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記鳥瞰図データ作成手段は、ユーザからの指示に従って、前記遷移位置の移動速度を調節すること、
を特徴とする請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記ナビゲーションシステムを備える移動体の現在位置を検出する現在位置検出手段を更に備え、
前記鳥瞰図データ作成手段は、ユーザからの指示に従って、前記現在位置検出手段で検出される現在位置を前記遷移位置として前記データ変換を行い、前記表示手段に、データ変換された鳥瞰図データに基づいて鳥瞰図を表示させることで、ナビゲーションを行うこと、
を特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
出発地及び目的地の情報と前記出発地と目的地間の推奨経路の情報を有する鳥瞰図データに基づいて前記推奨経路を案内表示するナビゲーション方法であって、
前記出発地と前記目的地との成す第1のベクトルと、前記出発地と目的地を固定して、前記出発地に対する前記推奨経路上の遷移位置と前記目的地との成す第2のベクトルとを演算し、前記第1のベクトルに前記第2のベクトルを一致させて前記遷移位置を前記出発地に合わせるデータ変換処理を前記鳥瞰図データに施す鳥瞰図データ作成工程と、
前記データ変換された鳥瞰図データに基づいて、前記出発地に合わせられた遷移位置と前記目的地の位置を固定して、画面上に前記遷移位置から目的地までの推奨経路を示す鳥瞰図を表示する表示工程と、
を備えることを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−25040(P2009−25040A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186035(P2007−186035)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】