説明

ナビゲーションシステム

【課題】目的地とされる頻度の高い施設の情報を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、使用者により「□□県の温泉」が検索条件として入力されると、その検索条件を施設情報管理サーバに送信する。施設情報管理サーバは、その検索条件に対応する施設名をデータベースから抽出する。ここで、□□県の温泉に該当する施設の中に、目的地として設定される頻度の高いものが存在する場合には、そのような施設を識別可能な状態で施設名を表示させるための表示データを作成し、ナビゲーション装置に送信する。ナビゲーション装置は、「目的地の設定画面2」に示すように、表示データに基づき施設名を表示することで「□□県の温泉」を使用者に提供する。このとき、目的地として設定される頻度の高い施設が識別可能に表示されるため、使用者は、人気のある施設を容易に把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステムにおいて、例えば特許文献1に記載のように、使用者のニーズを分析し、その分析結果に応じた情報の提供を行う構成のものが提案されている。
具体的には、このナビゲーションシステムは、情報配信センタと車両に搭載されるナビゲーション装置とがインターネットを介して互いにデータ通信可能に構成されている。そして、ナビゲーション装置は、使用者が検索した施設についてその検索頻度をジャンルごとに算出し、検索頻度の高いジャンルを使用者の好みを表すユーザ情報として情報配信センタに送信する。一方、情報配信センタは、ナビゲーション装置から受信したユーザ情報に応じた情報をそのナビゲーション装置に配信する。
【特許文献1】特開2004−201149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ナビゲーションシステムは、使用者により設定操作された目的地までの経路案内を行う機能を有しており、使用者は、目的地として設定可能な多数の施設の中から所望の施設を決定し、目的地として設定する。このため、目的地とされる頻度の高い施設の情報が使用者に提供されるとしたならば、使用者は設定操作を容易に行うことが可能となる。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のナビゲーションシステムのように検索頻度に応じた情報を提供する構成では、目的地とされる頻度の高い施設の情報を提供するには適さないことが考えられる。すなわち、一般に、検索操作は、雑誌等のメディアにより紹介された施設や検索操作を容易に行うことのできる施設に対して集中して行われることが多く、検索頻度の高い施設の傾向と実際に目的地とされる施設の傾向とが一致しないからである。
【0005】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、目的地とされる頻度の高い施設の情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のナビゲーションシステムでは、集計手段が、使用者からの操作に従い目的地を設定する設定手段により目的地が設定された回数を、施設ごとに集計する。そして、情報提供手段が、集計手段により集計された設定回数の多い施設の情報を使用者に提供する。
【0007】
なお、ここでいう施設とは、経路を案内する際の目的地として設定可能な場所のことであり、例えば、建物、公園、交差点といった地図上の特定の場所が含まれる。
このような構成のナビゲーションシステムによれば、実際に目的地として設定された実績を設定回数により評価し、その評価結果に応じた情報を目的地とされる頻度の高い施設の情報として使用者に提供することができる。
【0008】
ところで、このようなナビゲーションシステムとしては、例えば、目的地とされる頻度の高い施設の情報のみを提供する構成とすることも考えられるが、請求項2に記載の構成とすることが好ましい。
【0009】
すなわち、請求項2に記載のナビゲーションシステムでは、情報提供手段は、設定手段により目的地として設定可能な施設の候補を設定回数の多い施設が識別できる状態で表示することにより、設定回数の多い施設の情報を使用者に提供するように構成されている。そして、設定手段は、情報提供手段により表示された候補の中から選択操作に従い目的地を設定する。
【0010】
このような構成のナビゲーションシステムによれば、使用者は、目的地の設定時に、目的地として設定可能な施設の候補の中から目的地とされる頻度の高い施設の情報を識別することができる。この結果、設定頻度を加味した施設の選択を行うことができる。
【0011】
ここで、情報提供手段により提供される設定回数の多い施設の情報としては、具体的には、例えば、請求項3のナビゲーションシステムのように、集計手段により集計された設定回数が閾値以上である施設の情報とすることが考えられる。このようにすれば、目的地として設定される頻度の高い施設を客観的な基準で判断することができる。なお、閾値は、例えば、予め設定されたものであってもよく、使用者により設定可能なものであってもよい。
【0012】
一方、請求項4に記載のナビゲーションシステムでは、情報提供手段が、集計手段により設定回数が集計された施設のうち設定回数の多い一定数の施設の情報を、設定回数の多い施設の情報として提供する。
【0013】
このような構成のナビゲーションシステムによれば、設定頻度の高い施設として提供される情報が過剰に増加してしまうことを防ぐことができる。
すなわち、例えば請求項3に記載のように設定回数が閾値以上である施設の情報を提供する場合、使用期間が長くなるに伴い、設定回数の多い施設として提供される情報が増加し続けることが考えられ、このように提供される施設が多くなりすぎると、かえって効果が損なわれてしまうことになる。これに対し、請求項4に記載のように一定数の施設の情報を提供する構成によれば、使用期間に関係なく常に一定数の施設の情報を提供することができる。
【0014】
ところで、請求項5に記載のように、本ナビゲーションシステムを構成する設定手段及び情報提供手段は、車両に搭載されて用いるものとすることができ、集計手段は、複数の車両と通信可能な管理装置に設けられて用いるものとすることができる。
【0015】
このような構成のナビゲーションシステムによれば、目的地とされる頻度の高い施設の情報を複数の使用者の間で共有することができる。このため、使用者は、人気のある施設の情報を設定頻度により知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.全体構成]
図1は、本実施形態のナビゲーションシステム1の概略構成を表すブロック図である。
【0017】
同図に示すように、本ナビゲーションシステム1は、車両(自動車)に搭載された状態で用いられるナビゲーション装置10と、車両外部の管理センタに設けられた施設情報管理サーバ20とによって構成されている。施設情報管理サーバ20は、複数の車両に搭載されたナビゲーション装置10からの情報を集中管理する。
【0018】
ナビゲーション装置10は、表示部11、SW入力部12、GPS受信部13、地図データ記憶部14、通信部15、制御部16等を備えている。
表示部11は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT等があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0019】
SW入力部12は、使用者(例えば車両の運転者や同乗者)から各種指令を入力するためのものであり、本実施形態のナビゲーション装置10では、表示部11の表示画面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部11の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。なお、タッチパネルと表示部11とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式等各種の方式があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0020】
GPS受信部13は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波を図示しないGPSアンテナを介して受信し、車両の現在位置(緯度、経度等)を検出するためのものである。なお、本ナビゲーション装置10では、車両に設けられた図示しない車速センサにより検出される車両の走行速度等に基づき、GPSアンテナにより検出される車両の現在位置を補正するようにしている。
【0021】
地図データ記憶部14は、ハードディスク装置(HDD)によって構成されており、地図データ(道路データ、地形データ、施設位置データ等)が記憶されている。なお、地図データ記憶部14は、ハードディスク装置に限定されるものではなく、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体製メモリ等の可搬型記憶媒体から地図データを読み出す構成とすることも可能である。
【0022】
通信部15は、無線によるデータ通信を施設情報管理サーバ20との間で行うためのものである。具体的には、通信部15は、インターネットへの接続が可能な公衆無線回線網を介してインターネット上の施設情報管理サーバ20との間でデータ通信を行う。なお、このようなデータ通信としてはG−BOOK(登録商標)等が知られている。
【0023】
制御部16は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、各種処理を実行する。例えば、GPS受信部13からの検出信号に基づき車両の現在位置を算出するとともに、地図データ記憶部14に記憶されている地図データから現在位置周辺の地図を読み出して、車両の現在位置を表す自車位置マークとともに表示部11に表示させる現在位置表示処理や、自車両の現在位置から目的地として設定された施設までの最適な経路を検索して案内する経路案内処理等を実行する。また、ROMには、各ナビゲーション装置10に固有に割り当てられたユーザ名が記憶されており、さらに、後述する施設検索処理(図3)を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0024】
一方、施設情報管理サーバ20は、通信部21、制御部22、記憶部23等を備えている。
通信部21は、無線によるデータ通信を複数のナビゲーション装置10との間で行うものである。
【0025】
制御部22は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、本施設情報管理サーバ20を構成する各部を統括制御する。また、ROMには、後述する情報管理処理(図4)を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0026】
記憶部23は、記憶情報の書き換えが可能な不揮発性の記憶媒体であり、例えばハードディスク装置が用いられる。そして、記憶部23には施設情報データベース(図示せず)と、目的地設定履歴データベース(図2)とが記憶されている。
【0027】
施設情報データベースは、ナビゲーション装置10において上述した経路案内処理を実行する際に目的地として設定可能な全施設に関する情報を管理するデータベースである。具体的には、各施設に関する情報として、施設ジャンル(例えば温泉、コンビニ、レストラン等の業種)、施設名、施設住所、電話番号、その他施設情報、及び、位置座標(以下、これらの情報をまとめて「施設情報」という。)が記憶されている。
【0028】
また、目的地設定履歴データベースは、施設情報データベースに登録されている各施設について、どのナビゲーション装置10においてどの程度目的地として設定されたかの情報を管理するデータベースである。
【0029】
すなわち、具体的な処理については後述するが、ナビゲーション装置10において目的地が設定されると、その情報が施設情報管理サーバ20に送信される。そして、施設情報管理サーバ20は、目的地として設定された施設についての施設情報を施設情報データベースから抽出し、その施設情報を、目的地として設定したナビゲーション装置10のユーザ名と対応させて、目的地設定履歴データベースに登録する。
【0030】
具体的には、施設情報及びユーザ名が共に一致する情報が目的地設定履歴データベースに登録されていない場合には、施設情報及びユーザ名を新たに登録する。このとき、施設情報及びユーザ名に対応させて、優先度(目的地として設定された合計回数を示す値)を「1」として登録する。一方、施設情報及びユーザ名が共に一致する情報が目的地設定履歴データベースに既に登録されている場合には、既に記憶されている情報の優先度を更新(優先度に1を加算)する。
【0031】
このような処理により、目的地データベースには、図2に示すように、優先度、ユーザ名及び施設情報からなる情報(以下「目的地設定履歴」という)が記憶される。そして、ナビゲーション装置10において目的地の設定操作が行われるたびに、目的地設定履歴の追加や、既に登録されている目的地設定履歴の優先度の更新が行われる。
【0032】
[2.ナビゲーションシステムにおいて行われる処理]
次に、本ナビゲーションシステム1においてナビゲーション装置10の制御部16が行う施設検索処理について図3のフローチャートを用いて説明する。なお、本施設検索処理は、施設を検索するための施設検索操作が、使用者によりSW入力部12で行われた場合に開始される。
【0033】
この施設検索処理が開始されると、まずS101で、検索する施設の条件である検索条件の入力操作が、使用者によりSW入力部12で行われるまで待機する。そして、検索条件の入力操作が行われた場合にS102へ移行する。なお、検索条件としては施設のジャンルや施設住所等がある。
【0034】
S102では、S101で入力された検索条件及びROMに記憶されているユーザ名を、施設情報管理サーバ20に通信部15を介して送信する。
続いて、S103では、S102で送信した検索条件及びユーザ名に対する応答として施設情報管理サーバ20から送信される表示データを、通信部15を介して受信する。ここで、表示データとは、表示部11の表示画面に施設名を表示させるためのものであり(図5の「目的地の設定画面1」及び「目的地の設定画面2」参照)、S101で入力された検索条件に対応する施設の施設名と、施設名の表示態様情報(施設名の表示順序や施設名に星印を付す等といった表示ルールを表す情報)とが含まれている。
【0035】
続いて、S104では、S103で受信した表示データに基づき、施設名を表示部11に表示させる。具体的には、表示データに含まれる表示態様情報に従い、表示データに含まれる施設名を表示部11に表示させる。
【0036】
続いて、S105では、S104で表示させた施設名の中の一つを目的地として選択する目的地選択操作が、使用者によりSW入力部12で行われたか否かを判定する。
そして、S105で、目的地選択操作が行われていないと判定した場合には、S106へ移行し、その他の操作(目的地選択操作以外の操作であり、例えば、別の検索条件により施設を検索するための再検索操作や、施設の検索を終了するための検索終了操作)が、使用者によりSW入力部12で行われたか否か判定する。
【0037】
そして、S106で、その他の操作が行われていないと判定した場合には、S105へ戻る。
一方、S106で、その他の操作が行われたと判定した場合には、本施設検索処理を終了する。なお、この場合には、その他の操作の内容に従い必要な処理が実行される。
【0038】
また、S105で、目的地選択操作が行われたと判定した場合には、S107へ移行し、S105で選択された施設を目的地として設定する。
続いて、S108では、S107で目的地として設定された施設の施設名及びROMに記憶されているユーザ名を通信部15を介して施設情報管理サーバ20に送信する。
【0039】
続いて、S109では、地図データ記憶部14に記憶されている地図データ、GPS受信部13で検出された車両の位置等に基づき、現在位置からS107で設定された目的地までの最適な経路を検索して案内する経路案内処理を開始し、本施設検索処理を終了する。
【0040】
次に、本ナビゲーションシステム1において施設情報管理サーバ20の制御部22が行う情報管理処理について図4のフローチャートを用いて説明する。
この情報管理処理が開始されると、まず、S201で、ナビゲーション装置10から送信される検索条件及びユーザ名を通信部21を介して受信したか否かを判定する。なお、検索条件及びユーザ名は、上述の施設検索処理(図3)におけるS102で送信される。
【0041】
そして、S201で、検索条件及びユーザ名を受信したと判定した場合には、S202へ移行する。S202では、記憶部23の施設情報データベースから、S201で受信した検索条件に対応する施設情報に含まれる施設名を抽出する抽出処理を行う。具体的には、施設情報に含まれる情報の中に、S201で受信した検索条件と一致するものが含まれている場合にその施設の施設名を抽出する。
【0042】
続いて、S203では、S202で抽出した施設名の施設の中に、目的地として設定される頻度の高いもの(以下「高頻度施設」という。)が存在するか否かを判定する。具体的には、S202で抽出した施設名の施設のそれぞれについて、目的地設定履歴データベースに同一の施設名を有し、かつ、優先度が閾値(本実施形態では2)以上の目的地設定履歴が存在するか否かを判定する。そして、そのような目的地設定履歴が存在する施設については高頻度施設と判定し、そのような目的地設定履歴が存在しない施設については高頻度施設でないと判定する。
【0043】
そして、S203で、S202で抽出した施設名の施設の中に高頻度施設が存在しないと判定した場合には、S204へ移行し、抽出した施設名をナビゲーション装置10の表示部11に五十音順に一覧表示させるための表示データを作成する。具体的には、S202で抽出した施設名と、施設名を五十音順に表示させる内容の表示態様情報とが含まれた表示データを作成する。そして、S206へ移行する。
【0044】
一方、S203で、S202で抽出した施設名の施設の中に高頻度施設が存在すると判定した場合には、S205へ移行し、抽出した施設名をナビゲーション装置10の表示部11に次の(A)〜(C)の規則で一覧表示させるための表示データを作成する。
【0045】
(A)S202で抽出した施設名の施設のうち、高頻度施設と高頻度施設でない施設とにグループ分けし、高頻度施設のグループの施設名を高頻度施設でない施設のグループの施設名よりも上位に表示する。
【0046】
(B)各グループ内で、施設名を五十音順に表示する。
(C)高頻度施設のグループの施設名には、星印を付す。
具体的には、S202で抽出した施設名と、施設名を上記(A)〜(C)の規則に従い表示させる内容の表示態様情報とからなる表示データを作成する。このため、この表示データに基づく表示画面においては、図5の「目的地の設定画面2」に示すように、検索条件に対応する施設名の中から高頻度施設(図5では□○温泉)を容易に識別することが可能となる。そして、S206へ移行する。
【0047】
S206では、S204又はS205で作成した表示データを、S201で受信したユーザ名に対応するナビゲーション装置10に通信部21を介して送信する送信処理を行う。つまり、検索条件を送信したナビゲーション装置10に対し、検索条件に対応する施設名を一覧表示するための表示データを返信するのである。
【0048】
また、S201で、検索条件及びユーザ名を受信していないと判定した場合には、S207へ移行し、ナビゲーション装置10から送信される施設名及びユーザ名を通信部21を介して受信したか否かを判定する。なお、施設名及びユーザ名は、上述の施設検索処理(図3)におけるS108で送信される。
【0049】
そして、S207で、施設名及びユーザ名を受信していないと判定した場合には、S201へ戻る。
一方、S207で、施設名及びユーザ名を受信したと判定した場合には、S208へ移行し、ナビゲーション装置10において目的地が設定された回数を施設ごとかつナビゲーション装置10ごと(ユーザ名ごと)に集計する優先度集計処理を行う。具体的には、S207で受信した施設名及びユーザ名が共に一致する目的地設定履歴が目的地設定履歴データベースに登録されていない場合には、S207で受信した施設名に対応する施設情報と、S207で受信したユーザ名と、優先度「1」とを、目的地設定履歴として目的地設定履歴データベースに新たに追加する。一方、S207で受信した施設名及びユーザ名が共に一致する目的地設定履歴が目的地設定履歴データベースに既に登録されている場合には、既に記憶されている目的地設定履歴の優先度に1を加算する。このような処理を行うことで、ナビゲーション装置10において目的地が設定された回数が施設ごとかつユーザ名ごとに集計される。そして、S201へ戻る。
【0050】
[3.処理の具体例]
次に、以上のように構成されたナビゲーションシステム1によって実現される処理の具体例について、図5を用いて説明する。
【0051】
[3.1.検索条件に対応する施設の中に高頻度施設が存在しない場合]
ナビゲーション装置10の使用者が、「□□県の温泉」の情報を取得するために「□□県」及び「温泉」を検索条件として入力すると(S101:YES)、ナビゲーション装置10は、その入力された検索条件を施設情報管理サーバ20に送信する(S102)。
【0052】
施設情報管理サーバ20は、ナビゲーション装置10から検索条件を受信すると(S201:YES)、その検索条件に対応する施設名(具体的には、施設住所が□□県でかつ施設ジャンルが温泉の施設情報に含まれる施設名)を施設情報データベースから抽出する(S202)。ここで、□□県の温泉に該当する施設の中には高頻度施設が存在しないため(S203:NO)、抽出した施設名を五十音順に一覧表示させるための表示データを作成し(S204)、ナビゲーション装置10に送信する(S206)。
【0053】
ナビゲーション装置10は、施設情報管理サーバ20から表示データを受信すると(S103)、図5の「目的地の設定画面1」に示すように、表示データに基づき施設名を表示することで「□□県の温泉」を使用者に提供する(S104)。そして、使用者が、表示された施設名の中から目的地として「□○温泉」を選択すると(S105:YES)、ナビゲーション装置10は、使用者により「□○温泉」が目的地として設定されたという設定結果を施設情報管理サーバ20に送信する(S108)。
【0054】
施設情報管理サーバ20は、ナビゲーション装置10から設定結果を受信すると(S207:YES)、目的地設定履歴データベースに、「□○温泉」及び送信元のナビゲーション装置10を表す目的地設定履歴を追加(又は既存の目的地設定履歴の優先度を更新)する(S208)。
【0055】
[3.2.検索条件に対応する施設の中に高頻度施設が存在する場合]
ナビゲーション装置10の使用者が、「□□県の温泉」の情報を取得するために「□□県」及び「温泉」を検索条件として入力すると(S101:YES)、ナビゲーション装置10は、その入力された検索条件を施設情報管理サーバ20に送信する(S102)。
【0056】
施設情報管理サーバ20は、ナビゲーション装置10から検索条件を受信すると(S201:YES)、その検索条件に対応する施設名(具体的には、施設住所が□□県でかつ施設ジャンルが温泉の施設情報に含まれる施設名)を施設情報データベースから抽出する(S202)。ここで、□□県の温泉に該当する施設の中には高頻度施設が存在するため(S203:YES)、抽出した施設名を高頻度施設が識別可能な状態で一覧表示させるための表示データを作成し(S205)、ナビゲーション装置10に送信する(S206)。
【0057】
ナビゲーション装置10は、施設情報管理サーバ20から表示データを受信すると(S103)、図5の「目的地の設定画面2」に示すように、表示データに基づき施設名を表示することで「□□県の温泉」を使用者に提供する(S104)。このとき、高頻度施設については表示順序が上位でかつ星印が付されているため、使用者は高頻度施設(換言すれば、人気のある施設)を容易に把握することができる。
【0058】
なお、使用者が、表示された施設名の中から目的地とする施設を選択すると(S105:YES)、ナビゲーション装置10は、上述した「検索条件に対応する施設の中に高頻度施設が存在しない場合」と同様に、使用者により選択された施設が目的地として設定されたという設定結果を施設情報管理サーバ20に送信する(S108)。そして、施設情報管理サーバ20は、ナビゲーション装置10から設定結果を受信すると(S207:YES)、目的地設定履歴データベースに、目的地として設定された施設及び送信元のナビゲーション装置10を表す目的地設定履歴を追加(又は既存の目的地設定履歴の優先度を更新)する(S208)。
【0059】
[4.実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態のナビゲーションシステム1によれば、実際に目的地として設定された実績を優先度(設定回数)により評価しているため、人気の高い施設の情報として信憑性の高い情報を使用者に提供することができる。具体的には、ナビゲーション装置10において検索された施設を表示する際に、高頻度施設を識別可能に表示するようにしているため、使用者は、施設の人気を加味して目的地を設定することができる。特に、優先度が閾値以上である施設を高頻度施設としているため、人気の高い施設を客観的な基準で判断することができる。
【0060】
また、本ナビゲーションシステム1では、施設情報管理サーバ20が、複数のナビゲーション装置10からの情報(どの施設がどのナビゲーション装置10においてどの程度目的地として設定されたかの情報)を一括管理するようにしている。このため、人気の高い施設の情報を複数のナビゲーション装置10の使用者間で共有することができる。
【0061】
[5.特許請求の範囲との対応]
なお、本実施形態のSW入力部12と、施設検索処理(図3)におけるS101,S107の処理とが、本発明の設定手段に相当し、表示部11と、施設検索処理(図3)におけるS104の処理とが、本発明の情報提供手段に相当する。また、情報管理処理(図4)におけるS208の処理が、本発明の集計手段に相当する。
【0062】
[6.他の形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0063】
上記実施形態のナビゲーションシステム1は、高頻度施設を識別可能に表示するため、高頻度施設の施設名の表示順序を上位としかつ星印を付すようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、高頻度施設の施設名のカラー、サイズ、フォント等を他の施設名と区別するように表示することで、高頻度施設を識別可能に表示することができる。
【0064】
また、上記実施形態のナビゲーションシステム1では、施設名の表示順序として五十音順を例示しているが、これ以外の順序であってもよい。例えば、優先度の大きなものから順に表示されるようにすれば、使用者は、施設の人気の度合いをより詳細に把握することができる。
【0065】
さらに、上記実施形態のナビゲーションシステム1では、施設名の表示順序が全ナビゲーション装置10で同じ順序(五十音順)で表示されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、ナビゲーション装置10ごとに異なる表示順序で施設名を表示するよう構成してもよい。具体的には、施設情報管理サーバ20の目的地設定履歴データベースに含まれるユーザ名ごとに表示順序(例えば、五十音順、アルファベット順、優先度の大きなもの順)をそれぞれ設定しておき、各ナビゲーション装置10から検索条件及びユーザ名が施設情報管理サーバ20に送信された場合に、施設情報管理サーバは、受信したユーザ名に対応する表示順序で施設名を表示させるための表示データを作成する。このような構成のナビゲーションシステムによれば各ナビゲーション装置10の使用者の嗜好に合わせて施設名の提供を行うことが可能である。
【0066】
ところで、上記実施形態のナビゲーションシステム1では、各施設について目的地として設定された回数(優先度)がユーザ名ごとに別々に管理されており、同一の施設について複数の目的地設定履歴が存在し得る。このため、上記実施形態の構成では、多数のナビゲーション装置10において目的地として設定された施設であっても、各ナビゲーション装置10における設定回数が少なければ高頻度施設として判定されないことが考えられる。そこで、施設ごとかつユーザ名ごとの優先度が閾値以上である場合に高頻度施設であると判定するのではなく、施設ごとの優先度(異なるユーザ名の優先度を合計した優先度)が閾値以上である場合に高頻度施設であると判定するようにしてもよい。このようにすれば、多数の使用者に人気のある施設の情報を確実に提供することができる。
【0067】
また、上記実施形態のナビゲーションシステム1において、閾値は固定値とされているが、これに限定されるものではなく、例えば、使用者がSW入力部12から閾値を入力することにより自由に設定できるようにしてもよい。このようにすることで、目的地とされる高頻度施設の情報の数を調整することができる。
【0068】
ところで、上記実施形態のナビゲーションシステム1では、使用者により入力された検索条件に対応する施設名を表示する際に、高頻度施設を識別可能とすることで人気の高い施設の情報を使用者に提供するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、人気の高い施設の近くを走行している際にその施設名を画面に表示させるといったように、検索条件の入力とは関係のないタイミングで情報を提供するように構成することも可能である。
【0069】
また、上記実施形態のナビゲーションシステム1では、優先度が閾値以上の施設をすべて高頻度施設としているため、高頻度施設の数が過剰に増加してしまうことが考えられる。そこで、高頻度施設の最大数を制限するようにしてもよい。例えば、最大数を5とし、優先度が閾値以上の施設が6以上存在する場合には高頻度施設を5つに絞り込む。その際、高頻度施設を絞り込む条件としては、例えば、優先度が上位のものを優先するという手法が好ましい。また、閾値自体を設けず、単に優先度が上位のものを、決められた最大数の範囲内で提供する構成とすることも可能である。
【0070】
上記実施形態のナビゲーションシステム1では、施設情報管理サーバ20において施設名及び表示態様情報が含まれた表示データを作成するようにしているが、これに限定されるものものではない。例えば、施設情報管理サーバ20が、施設名及び表示態様情報を表示データとして送信する代わりに施設名及び各施設名の優先度を送信し、ナビゲーション装置10が、受信した優先度に基づき施設名の表示順序等の表示ルールを設定するようにしてもよい。
【0071】
さらに、上記実施形態のナビゲーションシステム1では、ナビゲーション装置10から施設情報管理サーバ20へ情報を送信するたびにユーザ名を送信するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、ナビゲーション装置10と施設情報管理サーバ20との間で通信のコネクションが確立されてからコネクションが切断されるまでの間は、一度ユーザ名を送信すればそのユーザ名に基づきナビゲーション装置10の識別が可能となるため、ユーザ名の送信処理を省略することが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、複数のナビゲーション装置10と施設情報管理サーバ20とからなるナビゲーションシステム1を例示したが、これに限定されるものではなく、本発明は、ナビゲーション装置単体によっても実現することができる。具体的には、例えば、施設情報管理サーバ20の記憶部23に相当する構成を、ナビゲーション装置10に設ける。そして、ナビゲーション装置10の制御部16により、施設検索処理(図3)及び情報管理処理(図4)に相当する処理を実行する。ただし、この場合には、他のナビゲーション装置10からの情報は取得されないため、目的地設定履歴データベース(図2)においては、当該ナビゲーション装置10の情報(自身の情報)のみが記憶されることになり、ユーザ名の記憶が不要となる。また、施設検索処理(図3)及び情報管理処理(図4)における送受信処理(S102,S103,S108,S201,S206,S207)も不要となり、送受信処理のタイミングで図3の処理と図4の処理とが交互に切り替わって実行される形となる。このような構成によっても、当該ナビゲーション装置10において過去に目的地として設定した回数の多い施設の情報を使用者に提供することができる。
【0073】
また、上記実施形態のナビゲーションシステム1では、高頻度施設の施設名を、表示順序が上位かつ星印の符号を付した状態で表示することで、抽出された施設名の中から高頻度施設の施設名を使用者が識別可能な状態とするよう構成されているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、抽出された施設名のうち高頻度施設の施設名のみを表示する構成とすることも可能である。
【0074】
さらに、上記実施形態のナビゲーションシステム1では、設定頻度の高い施設名を表示部11に表示することにより、人気の高い施設の情報を使用者に提供するように構成されているが、表示以外の手法により情報の提供するよう構成してもよい。例えば、設定頻度の高い施設名を音声で出力することにより、人気の高い施設の情報を使用者に提供するよう構成することも可能である。また、表示や音声出力等の手法を組み合わせることにより、人気の高い施設の情報を使用者に提供するよう構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施形態のナビゲーションシステムのブロック図である。
【図2】施設管理サーバの記憶部に記憶されている目的地設定履歴データベースの説明図である
【図3】ナビゲーション装置の制御部により行われる施設検索処理のフローチャートである。
【図4】施設情報管理サーバの制御部により行われる情報管理処理のフローチャートである。
【図5】本ナビゲーションシステムにより行われる処理の説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1…ナビゲーションシステム、10…ナビゲーション装置、11…表示部、12…SW入力部、13…GPS受信部、14…地図データ記憶部、15…通信部、16…制御部、20…施設情報管理サーバ、21…通信部、22…制御部、23…記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地として設定された施設までの経路を案内するナビゲーションシステムにおいて、
使用者により行われる操作に従い目的地を設定する設定手段と、
前記設定手段により目的地が設定された回数を施設ごとに集計する集計手段と、
前記集計手段により集計された設定回数の多い施設の情報を使用者に提供する情報提供手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記情報提供手段は、前記設定手段により目的地として設定可能な施設の候補を設定回数の多い施設が識別できる状態で表示することにより、前記設定回数の多い施設の情報を使用者に提供するように構成されており、
前記設定手段は、前記情報提供手段により表示された候補の中からの選択操作に従い目的地を設定すること
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記情報提供手段は、前記集計手段により集計された設定回数が閾値以上である施設の情報を、前記設定回数の多い施設の情報として使用者に提供することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記情報提供手段は、前記集計手段により設定回数が集計された施設のうち設定回数の多い一定数の施設の情報を、前記設定回数の多い施設の情報として提供することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記設定手段及び前記情報提供手段は車両に搭載されて用いられるものであり、一方、前記集計手段は複数の車両と通信可能な管理装置に設けられて用いられるものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−14669(P2008−14669A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183596(P2006−183596)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】