説明

ナビゲーション装置、および地図表示方法

【課題】 現在表示している地図画面と同じ表示形態で、隣接する範囲の地図画面を表示すること。
【解決手段】 制御装置105は、GPSユニット102で検出した自車両の現在位置を含む所定範囲の地図画面を現在位置画面としてモニタ106に表示する。そして、使用者によってタッチパネル106aが操作され、隣接地図画面の表示が指示されると、隣接地図範囲決定部105bは、現在位置画面と同一の表示形態で、自車両の現在位置から延在する道路を含む現在位置画面に隣接する範囲を隣接地図として決定し、隣接地図画面表示部105cは、隣接地図の地図画面を隣接地図画面としてモニタ106に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置、およびナビゲーション装置における地図表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次のようなナビゲーション装置が特許文献1によって知られている。このナビゲーション装置によれば、目的地を設定したルート誘導状態で自車両の現在位置を含む地図を画面に表示しているときに、画面枠外の進行方向前方の分岐点を含む地図に簡易な操作で切り替えて表示することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−357426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置によれば、画面枠外の進行方向前方の分岐点を含む地図に表示を切り替える際に、切り替え前の地図と、切り替えた後の地図との間で縮尺などの表示形態が変化すると、使用者にとって見にくい表示となる可能性があるという問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自車両の現在位置を検出し、検出した自車両の現在位置を含む所定範囲の地図画面を、現在位置画面として生成し、現在位置画面と同一の表示形態で、自車両の現在位置から延在する道路を含む現在位置画面に隣接する範囲の地図画面を、隣接地図画面として生成し、モニタへの地図画面の表示を、現在位置画面と、隣接地図画面との間で切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現在位置画面と隣接地図画面とを同一の表示形態でモニタに表示するようにした。これによって、使用者は、画面が切り替わった場合でも、継続して同一の表示形態で地図画面を見ることができることから、使用者にとって見やすい表示とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本実施の形態におけるナビゲーション装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、車両に搭載され、自車両の車速を検出する車速センサ101と、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信して自車両の現在位置を検出するGPSユニット102と、自車両の進行方向を検出するジャイロセンサ103と、地図ディスク104aから地図データを読み取るディスク読取装置104と、CPUやメモリ、およびその他周辺回路で構成される制御装置105と、道路地図や各種情報を表示するモニタ106と、ガイダンス音声などの音声を出力するスピーカ107とを備えている。
【0008】
地図ディスク104aには、複数のスケール(縮尺率)の地図データが格納されており、格納されている地図データは、道路地図をノードとリンクで表現した道路データを含んでいる。道路データでは、交差点にノードが対応し、各ノード間を結ぶ線分、すなわち道路区間がリンクに対応する。本実施の形態では、各ノードには識別番号としてノードIDが付与されており、各リンクには識別番号としてリンクIDが付与されている。
【0009】
モニタ106は、使用者がモニタ表面を押圧することによって操作可能なタッチパネル106aを有しており、使用者はこのタッチパネル106aを使用して、ナビゲーション装置100を操作して、目的地を設定したり、その他の種々の操作を行うことができる。
【0010】
制御装置105は、経路探索部105aと、隣接地図範囲決定部105bと、隣接地図画面表示部105cとを機能的に備えている。経路探索部105aは、GPSユニット102で検出された自車両の現在位置から使用者によって設定された目的地までの経路を、ディスク読取装置104を介して地図ディスク104aから読み込んだ地図データに基づいて探索する。そして、探索した目的地までの経路を、GPSユニット102で検出した自車両の現在位置周辺の地図上に描画した現在位置画面をモニタ106に表示する。
【0011】
図2は、経路探索部105aによって探索された経路を地図上に描画した現在位置画面2aの具体例を示す図である。この現在位置画面2aにおいては、地図ディスク104aから読み込んだ自車両周辺のあらかじめ設定されたスケールの地図上に、経路探索部105aによって探索された現在位置画面2aに表示可能な範囲の経路(現在位置経路)2bと、地図上における自車両の現在位置を示す自車位置マーク2cと、後述する隣接地図を表示する際に使用者が押下するための「この先」ボタン2dとが表示されている。なお、現在位置画面2aに表示する自車両周辺の地図範囲は、モニタ106の表示可能サイズ、およびあらかじめ設定されている表示する地図のスケールによって決定される。
【0012】
隣接地図範囲決定部105bは、使用者によってタッチパネル106aが操作され、現在位置画面2a上に表示された「この先」ボタン2dが押下されたことを検出した場合には、現在位置画面2aに表示された地図範囲外の進行方向前方に隣接する範囲の地図を表示した隣接地図範囲を決定する。例えば、図2に示した現在位置画面2aに表示した地図の周辺地図が図3に示すようになっている場合には、この周辺地図の中から、現在位置画面2aに表示された地図範囲の進行方向前方に隣接し、かつ現在位置経路2bから延在する経路(隣接経路)3bの中心位置が画面の中心3cと略一致するような地図範囲を抽出して、隣接地図範囲3aとして決定する。ここで、隣接経路3bの中心位置とは、隣接経路3b全体を微小な点に分割した場合の、各点からの距離が等しくなる地点をいう。
【0013】
なお、隣接地図範囲決定部105bは、隣接地図範囲3aの地図の表示形態を、現在位置画面2aに表示された地図と同一の表示形態でモニタ106に表示できるように、隣接地図範囲3aを決定する。本実施の形態では、表示形態として、隣接地図範囲3aの地図と、現在位置画面2aに表示された地図のスケールとが同一になるように隣接地図範囲3aを決定する例について説明する。
【0014】
隣接地図範囲決定部105bは、具体的には次のように処理して、図3に示した周辺地図から隣接地図範囲3aを抽出する。まず、周辺地図上における隣接地図範囲3aの中心3cとなり得る地点を推定する。このために、図4に示すように、現在位置画面2aの幅をW、高さをHとし、現在位置画面2aの中心4aの座標値を、2次元座標空間(X−Y座標系)における原点(x0,y0)として設定する。
【0015】
図4に示すように、隣接地図範囲3aの1辺と、現在位置画面2aの1辺とが接することになることから、この場合には、隣接地図範囲3aの中心3cの座標値(x,y)は、次式(1)で表される軌跡上のいずれかの点に存在することになる。
(x,y)=(x0+|W|,y0+|H|) ・・・(1)
【0016】
すなわち、図4に示すように、隣接地図範囲3aの中心3cは、点4b(x0−W,y0+H)、点4c(x0+W,y0+H)、点4d(x0−W,y0−H)、点4e(x0+W,y0−H)の4点を結ぶ四角形4fの各辺上のいずれかの点となる。換言すれば、隣接地図範囲3aの中心3cは、点4b〜4eの4点を結ぶ四角形4fで表される軌跡上に位置することになる。したがって、隣接地図範囲3aの中心3cがこの四角形4fで現される軌跡上のどの位置に存在するかを特定し、その点を中心に現在位置画面2aと同スケールで、画面の幅がW、高さがHとなる範囲の地図を抽出するように決定すれば、隣接地図範囲3aを決定することができる。
【0017】
次に、隣接地図範囲決定部105bは、現在位置画面2aのいずれの1辺と、隣接地図範囲3aの1辺とが接するかを判定する。すなわち、現在位置画面2aにおいて、いずれの辺で現在位置経路2bの進行方向が途中で切れているかを判定して、その現在位置経路2bが途中で切れている辺と、隣接地図範囲3aの1辺とが接すると判定する。具体的には、現在位置経路2bが現在位置画面2aの左側の辺で切れている場合には、現在位置画面2aの左側の辺と、隣接地図範囲3aの右側の辺とが接するように位置して、現在位置画面2aにおける現在位置経路2bが、隣接地図範囲3aにおける隣接経路3bへ延在していると判定する。
【0018】
同様に、現在位置経路2bが現在位置画面2aの上側の辺で切れている場合には、現在位置画面2aの上側の辺と、隣接地図範囲3aの下側の辺とが接するように位置していると判定する。現在位置経路2bが現在位置画面2aの右側の辺で切れている場合には、現在位置画面2aの右側の辺と、隣接地図範囲3aの左側の辺とが接するように位置していると判定する。また、現在位置経路2bが現在位置画面2aの下側の辺で切れている場合には、現在位置画面2aの下側の辺と、隣接地図範囲3aの上側の辺とが接するように位置していると判定する。
【0019】
例えば、図5に示す例では、現在位置経路2bの進行方向が現在位置画面2aの上側の辺上の点5aで途切れていることから、現在位置画面2aの上側の辺と、隣接地図範囲3aの下側の辺とが接するように位置していると判定することができる。そして、現在位置画面2aの上側の辺で途切れた現在位置経路2bは、接続点5aで隣接地図範囲3aの下側の辺から延在する隣接経路3bへ接続していると判定する。
【0020】
以上のように、図5において、現在位置経路2bと隣接経路3bとの連続性を加味すれば、周辺地図から隣接地図範囲3aを抽出する縦位置(Y方向位置)は、現在位置画面2aの上側の辺と隣接地図範囲3aの下側の辺とが接する位置となり、横位置(X方向位置)は、符号5bに示すような接続点5aが隣接地図範囲3aの左下点と一致する位置から符号5cに示すような接続点5aが隣接地図範囲3aの右下点と一致する位置の間になることがわかる。
【0021】
次に、隣接地図範囲3aを抽出する位置を特定するために、隣接地図範囲3aの横位置を、上述した符号5bに示すような接続点5aが隣接地図範囲3aの左下点と一致する位置から符号5cに示すような接続点5aが隣接地図範囲3aの右下点と一致する位置の間のいずれの位置とするかを特定する。すなわち、上述したように、隣接経路3bの中心位置が隣接地図範囲3aの中心3cと略一致するように、隣接地図範囲3aの横位置を特定する。このために隣接地図範囲決定部105bは、次のように処理する。
【0022】
まず、隣接経路3bの形状を表す関数y=f(x)において、f´(x)=0となる解を算出し、隣接地図範囲3aの中心3cと隣接経路3bの中心とが一致する点を算出する。その結果、f´(x)=0となる解が1つのみ算出された場合には、そのときのx座標値、例えばx1を隣接地図範囲3aの中心3cとして設定して、隣接地図範囲3aを決定する。すなわち、縦位置を現在位置画面2aの上側の辺と隣接地図範囲3aの下側の辺とが接する位置とし、横位置の中心をx1とした幅W、高さHの領域を隣接地図範囲3aとして決定する。
【0023】
一方、f´(x)=0となる解が、例えばx1、x2、x3のように複数算出された場合について説明する。f´(x)=0となる解が複数算出する場合とは、例えば隣接経路3bの地図上における形状が複雑な場合などが考えられる。この場合には、隣接地図範囲決定部105bは、関数y=f(x)を、算出された複数の解を使用して次式(2)〜(4)のように分割する。
y=f1(x) (0≦x<x1) ・・・(2)
y=f2(x) (x1≦x<x2) ・・・(3)
y=f3(x) (x2≦x<x3) ・・・(4)
【0024】
そして、式(2)〜(4)で表される分割された各経路と、隣接地図範囲3aの中心3cとの最短距離を算出する。具体的には、式(2)〜(4)で表される分割された各経路と、隣接地図範囲3aの中心3cを中心とする次式(5)で示される円とが接するときの半径rの最小値を算出する。
+y=r ・・・(5)
【0025】
例えば、式(2)について考えた場合には、次式(6)において、rが最小となるxを算出する。
|r|=sqr(f1(x)+x) ・・・(6)
ただし式(6)において、sqrは平方根を表し、例えばsqr(a)は、aの平方根(ルートa)を表す。
これによって、図6に示すように、式(2)で表される分割された経路6aから、隣接地図範囲3aの中心3cまでの最小距離rを算出することができる。
【0026】
同様の処理を、式(3)および(4)に示した他の分割された経路に対しても実施して、それぞれの場合の分割された経路から、隣接地図範囲3aの中心3cまでの最小距離rを算出する。そして、分割された各経路に基づいて算出した最小距離rの最小値r0を算出する。
【0027】
式(6)において、隣接地図範囲3aの中心3cは固定された位置であることから、rが上述した最小値r0となる条件として、d|r0|(x=a)=0となるようなaの値を算出することによって、式(2)で表される経路からの距離が最小となる隣接地図範囲3aの中心3cの座標を算出することができる。すなわち、次式(7)におけるaを算出すればよい。
2{2f1(a)・f1(a)´+a}/[{f1(a)}+a(1/2)=0 ・・・(7)
【0028】
例えば、式(7)の解がa=a0であった場合には、隣接地図範囲3aの中心3cの座標値は、(a0、b0)(ただし、a0+b0=r)となる。隣接地図範囲決定部105bは、以上の処理で特定した隣接地図範囲3aの中心3c座標値に基づいて、幅W、高さHの領域を隣接地図範囲3aとして決定する。
【0029】
なお、隣接地図範囲3aにおける隣接経路3bは、図7に示すような3通りの延在方向が考えられる。すなわち、図7(a)に示すように、隣接経路3bが開始点から見て隣接地図範囲3aの反対側の辺に突き抜けて延在している場合、図7(b)に示すように、隣接経路3bが開始点から見て隣接地図範囲3aの隣り合う辺に突き抜けて延在している場合、図7(c)に示すように、隣接経路3bの開始点から見て隣接地図範囲3aの同じ辺に突き抜けて延在している場合がある。隣接地図範囲決定部105bは、隣接地図範囲3aにおける隣接経路3bが図7に示すいずれの場合であっても、上述した処理により、隣接地図範囲3aを決定することができる。
【0030】
隣接地図画面表示部105cは、上述した処理によって隣接地図範囲決定部105bで決定された隣接地図範囲3aの地図を地図ディスク104aから読み込んで、モニタ106に隣接地図画面を表示する。すなわち、現在位置画面2aに表示された地図範囲の進行方向前方に隣接し、かつ現在位置経路2bから延在する隣接経路3bの中心位置が画面の中心3cと略一致するような地図範囲を地図ディスク104aから読み込んでモニタ106に表示することによって、隣接地図範囲画面をモニタ106に表示する。
【0031】
図8は、隣接地図画面表示部105cによって表示される隣接地図画面の具体例を示す図である。この図8に示すように、隣接地図画面8aには、隣接経路3bとともに、隣接経路3b上に自車両の進行方向を示すマーク8bと、使用者がタッチパネル106aを押下して操作可能な「現在地」ボタン8cとが表示されている。使用者によってこの「現在地」ボタン8cが押下されると、隣接地図画面表示部105cは、モニタ106への隣接地図範囲3aの表示を終了し、モニタ106aに現在位置画面2aを表示する。すなわちモニタ106aへの表示内容を、使用者によって「この先」ボタン2dが押下される前の状態に戻す。
【0032】
図9は、本実施の形態におけるナビゲーション装置100の処理を示すフローチャートである。図9に示す処理は、使用者によってタッチパネル106aが操作され、目的地が設定されると起動するプログラムとして、制御装置105によって実行される。
【0033】
ステップS10において、経路探索部105aは、GPSユニット102で検出された自車両の現在位置から使用者によって設定された目的地までの経路を、ディスク読取装置104を介して地図ディスク104aから読み込んだ地図データに基づいて探索する。その後、ステップS20へ進み、探索した目的地までの経路を、GPSユニット102で検出した自車両の現在位置周辺の地図上に描画した現在位置画面をモニタ106に表示する。その後、ステップS30へ進む。
【0034】
ステップS30では、隣接地図範囲決定部105bは、使用者によってタッチパネル106aが操作され、現在位置画面2a上に表示された「この先」ボタン2dが押下されたか否かを判断する。「この先」ボタン2dが押下されたと判断した場合には、ステップS40へ進む。ステップS40では、隣接地図範囲決定部105bは、上述した処理を実行して、隣接地図範囲3aを決定する。その後、ステップS50へ進む。
【0035】
ステップS50では、隣接地図画面表示部105cは、隣接地図範囲決定部105bで決定された隣接地図範囲3aの地図を地図ディスク104aから読み込んで、モニタ106に隣接地図画面を表示する。その後、ステップS60へ進み、タッチパネル106aが操作され、使用者によって隣接地図画面上の「現在地」ボタン8cが押下されたか否かを判断する。「現在地」ボタン8cが押下されたと判断した場合には、ステップS70へ進む。
【0036】
ステップS70では、隣接地図画面表示部105cは、モニタ106への隣接地図範囲3aの表示を終了し、モニタ106aに現在位置画面2aを表示する。その後、ステップS80へ進み、PSユニット102で検出された自車両の現在位置、および設定されている目的地に基づいて、自車両が目的地へ到着したか否かを判断する。自車両が目的地へ到着していないと判断した場合には、ステップS30へ戻って処理を繰り返す。これに対して、自車両が目的地へ到着したと判断した場合には、処理を終了する。
【0037】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)使用者によってタッチパネル106aが操作され、現在位置画面2a上に表示された「この先」ボタン2dが押下されたときに、現在位置画面2aに表示された地図範囲の進行方向前方に隣接する隣接地図範囲画面を、現在位置画面2aと同スケールでモニタ106に表示するようにした。これによって、使用者は今まで表示されていた現在位置画面2aと同スケールで隣接地図範囲画面を確認することができ、進行方向前方の経路の状況を把握しやすくなる。
【0038】
(2)隣接地図範囲は、現在位置経路2bから延在する隣接経路3bの中心位置が隣接地図範囲の画面の中心3cと略一致するように抽出する地図範囲を決定するようにした。これによって、使用者は常に画面の中心3cに隣接経路3bの中心位置が表示された状態の隣接地図範囲画面を見ることができ、使用者にとって見やすい表示とすることができる。
【0039】
(3)隣接地図画面8aには、隣接経路3bとともに、隣接経路3b上に自車両の進行方向を示すマーク8bを表示するようにした。これによって、使用者は、地図上における自車両の現在位置を示す自車位置マーク2cが表示されていない隣接地図上でも、目的地までの経路における自車両の進行方向を把握することができ、利便性が向上する。
【0040】
―変形例―
なお、上述した実施の形態のナビゲーション装置は、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、モニタ106にタッチパネル106aを搭載し、使用者によってタッチパネル106aを介して入力されたコマンドに基づいて、種々の処理を実行する例について説明した。しかしこれに限定されず、リモコン、ハードスイッチなどのその他の入力装置を搭載し、これらの入力装置を介して入力されたコマンドに基づいて、種々の処理を実行してもよい。また、使用者による発話音声を入力するためのマイクを搭載し、使用者によって発話された音声コマンドを音声認識し、音声認識結果に基づいて、種々の処理を実行してもよい。これによって、より多くの操作方法を使用者に提供することができ、使用者の利便性を向上することができる。
【0041】
(2)上述した実施の形態では、現在位置画面2a上に表示された「この先」ボタン2dが押下されたときに、目的地までの現在位置経路2bから延在する経路3dを含む進行方向前方に隣接する隣接地図画面8aを、現在位置画面2aと同スケールでモニタ106に表示する例について説明した。しかしこれに限定されず、現在位置画面2aに表示された地図範囲に隣接する自車両が現在走行中の道路が延在する方向に隣接する隣接地図画面を表示するようにしてもよい。
【0042】
例えば図10(a)に示すように、現在位置経路10a内の自車両の進行方向前方に道路の分岐点が存在する場合には、現在位置画面2aに表示された地図範囲に隣接する自車両が現在走行中の道路が延在するそれぞれの方向に、上述した実施の形態における「この先」ボタン2dに相当する「この先」ボタン(アイコン)10c〜10eを表示する。そして、使用者によって、10c〜10eのいずれかの「この先」ボタンが押下された場合に、隣接地図範囲決定部105bは、その分岐先の道路から延在する道路を含む地図範囲を、隣接地図範囲3aとして決定する。
【0043】
例えば、図10(b)に示すように、現在位置画面2aにおいて、使用者によって、分岐点から右方向に分岐する道路10d上に表示された「この先」ボタン10cが押下された場合には、図10(c)に示すように、道路10dの延在する方向の地図範囲を抽出した隣接地図範囲10bを決定する。このとき、隣接地図範囲10bにおいて、道路10dの開始点が道路10dの開始点を含む画面端の(中央)中点に位置するように、隣接地図範囲10bを決定するようにする。
【0044】
なお、この変形例では、現在位置画面2aに表示された地図範囲に隣接する自車両が現在走行中の道路が延在する方向として、自車両が走行してきた自車両後方の道路が延在する道路を含む地図範囲を表示するための「この先」ボタン10fも表示されている。使用者によって「この先」ボタン10fが押下された場合には、自車両後方の道路の道路を含む隣接地図範囲10bを決定するようにする。
【0045】
以上説明したこの変形例によれば、使用者は、現在位置画面2aに表示された地図範囲に隣接する、自車両が現在走行中の道路が延在する任意の方向の隣接地図画面を簡易な操作で確認することができる。例えば、分岐点から先のいずれの方向に、運転者が探している施設が存在するかなどをあらかじめ確認することができ、使用者の利便性が向上する。
【0046】
(3)上述した実施の形態では、経路探索部105aによって探索された経路を地図上に描画した現在位置画面2aをモニタ106に表示した状態で、使用者によって現在位置画面2a上に表示された「この先」ボタン2dが押下された場合に、現在位置画面2aに表示された地図範囲の進行方向前方に隣接し、かつ現在位置経路2bから延在する隣接経路3bを含む地図範囲を隣接地図範囲3cとして抽出して、隣接地図画面8aをモニタ106に表示する例について説明した。しかしこれに限定されず、経路探索がされていない状態であっても、現在位置画面2aに表示された地図範囲に隣接する自車両が現在走行中の道路が延在する方向の道路を含む地図範囲を隣接地図範囲3cとして抽出してもよい。
【0047】
(4)上述した実施の形態では、現在位置画面2aと隣接地図範囲3aのスケールを同じにして、使用者が今まで表示されていた現在位置画面2aと同スケールで隣接地図範囲画面を確認することができる例について説明した。しかしこれに限定されず、スケール以外の地図の表示形態、例えば道路色、背景色などの画面の配色、地図を平面図表示するか鳥瞰図表示するかなどの地図の表示方法、および画面の上部が北を向くように表示する地図の表示方向なども、現在位置画面2aと隣接地図範囲3aとで同一にするようにしてもよい。これによって、使用者は、現在位置画面2aから隣接地図範囲3aに切り替わったときに、同一の表示形態で画面を見ることができ、視認性をさらに向上することができる。
【0048】
(5)上述した実施の形態では、ナビゲーション装置100は車両に搭載される例について説明した。しかしこれに限定されず、ナビゲーション装置100をその他の移動体に搭載するようにしてもよい。
【0049】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【0050】
特許請求の範囲の構成要素と実施の形態との対応関係について説明する。GPSユニット102は現在位置検出手段に、制御装置105は、現在位置画面生成手段、および隣接地図画面生成手段に、隣接地図画面表示部105cは進行方向表示手段に相当する。なお、以上の説明はあくまでも一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係に何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ナビゲーション装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】現在位置画面の具体例を示す図である。
【図3】隣接地図範囲の具体例を示した図である。
【図4】隣接地図範囲の決定方法の具体例を示す第1の図である。
【図5】隣接地図範囲の決定方法の具体例を示す第2の図である。
【図6】隣接地図範囲の決定方法の具体例を示す第3の図である。
【図7】隣接地図範囲の決定方法の具体例を示す第4の図である。
【図8】隣接地図画面表示部105cによって表示される隣接地図範囲3aの具体例を示す図である。
【図9】ナビゲーション装置100の処理を示すフローチャート図である。
【図10】変形例における隣接地図範囲の具体例を示した図である。
【符号の説明】
【0052】
100 ナビゲーション装置
101 車速センサ
102 GPSユニット
103 ジャイロセンサ
104 ディスク読取装置
104a 地図ディスク
105 制御装置
105a 経路探索部
105b 隣接地図範囲決定部
105c 隣接地図画面表示部
106 モニタ
106a タッチパネル
107 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示形態で地図画面をモニタに表示するナビゲーション装置であって、
自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置検出手段で検出した前記自車両の現在位置を含む所定範囲の前記地図画面を、現在位置画面として生成する現在位置画面生成手段と、
前記現在位置画面生成手段で生成した前記現在位置画面と同一の表示形態で、前記自車両の現在位置から延在する道路を含む前記現在位置画面に隣接する範囲の前記地図画面を、隣接地図画面として生成する隣接地図画面生成手段と、
前記モニタへの地図画面の表示を、前記現在位置画面生成手段で生成した前記現在位置画面と、前記隣接地図画面生成手段で生成した前記隣接地図画面との間で切り替える切替手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記隣接地図画面に表示される前記自車両の現在位置から延在する道路の中心位置が、前記隣接地図画面の中心位置と一致するように、前記隣接地図画面として生成するための地図範囲を決定する隣接地図範囲決定手段をさらに備え、
前記隣接地図画面生成手段は、前記隣接地図範囲決定手段で決定した地図範囲の地図画面を前記隣接地図画面として生成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記隣接地図画面における前記自車両の現在位置から延在する道路の開始点が、前記前記隣接地図画面の画面端において中央に位置するように、前記隣接地図画面として生成するための地図範囲を決定する隣接地図範囲決定手段をさらに備え、
前記隣接地図画面生成手段は、前記隣接地図範囲決定手段で決定した地図範囲の地図画面を前記隣接地図画面として生成することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記隣接地図画面における前記自車両の現在位置から延在する道路上に、自車両の進行方向を表示する進行方向表示手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
所定の表示形態で地図画面をモニタに表示する地図表示方法であって、
自車両の現在位置を検出し、
検出した前記自車両の現在位置を含む所定範囲の前記地図画面を、現在位置画面として生成し、
前記現在位置画面と同一の表示形態で、前記自車両の現在位置から延在する道路を含む前記現在位置画面に隣接する範囲の前記地図画面を、隣接地図画面として生成し、
前記モニタへの地図画面の表示を、前記現在位置画面と、前記隣接地図画面との間で切り替えることを特徴とする地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−65477(P2007−65477A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253602(P2005−253602)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】