説明

ナビゲーション装置、経路案内方法及びプログラム

【課題】ユーザを煩わせることなく、必要なときに渋滞回避経路への経路案内を行うことである。
【解決手段】ナビゲーション装置は、よく使用する経路としてユーザにより登録された登録経路を記憶する記憶手段と、渋滞情報を取得する通信手段と、前記記憶された登録経路上を車両が走行中か否かを判断する(ステップS24)とともに、前記取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断し(ステップS26)、登録経路を走行中であり、かつ登録経路上の渋滞情報がある場合に、当該登録経路上の渋滞情報を用いて前記登録経路とは経路が異なる渋滞回避経路を算出し(ステップS27)、当該渋滞回避経路への案内処理を実行する(ステップS29)制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、経路案内方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置では、VICS(Vehicle Information and Communication)から渋滞情報等を取得し、取得した渋滞情報を用いて渋滞回避経路を探索することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−127942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、通勤経路や通学経路等のよく使用する経路では、自宅付近や会社付近等、ユーザがよく道路状況を把握しているところでは、渋滞情報や渋滞回避経路による案内は常に必要なわけではない。また、渋滞があったとしても通常の通勤経路の方が渋滞回避経路よりも早く着く場合もあり、渋滞回避経路が常に最適な経路であるとも限らない。
【0004】
上記特許文献1では、よく使用する経路上で突発的な渋滞情報が発生した場合のみ渋滞情報の通知を行って、よく発生する渋滞情報については通知しないようにしている。また、その際、渋滞回避経路を探索するかどうかをユーザが選択できることとしている。
しかしながら、この構成では運転中に逐一選択操作をしなければならず煩雑である。
【0005】
本発明の課題は、ユーザを煩わせることなく、必要なときに渋滞回避経路への経路案内を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
よく使用する経路としてユーザにより登録された登録経路を記憶する記憶手段と、
渋滞情報を取得する通信手段と、
前記記憶された登録経路上を車両が走行中か否かを判断するとともに、前記取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断し、登録経路を走行中であり、かつ登録経路上の渋滞情報がある場合に、当該登録経路上の渋滞情報を用いて前記登録経路とは経路が異なる渋滞回避経路を算出し、当該渋滞回避経路への案内処理を実行する制御手段と、
を備えるナビゲーション装置が提供される。
【0007】
本発明によれば、
渋滞情報を取得する工程と、
よく使用する経路としてユーザにより登録され、記憶手段に記憶された登録経路上を、車両が走行中か否かを判断する工程と、
前記取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断する工程と、
登録経路を走行中であり、かつ登録経路上の渋滞情報があると判断された場合に、当該登録経路上の渋滞情報を用いて前記登録経路とは経路が異なる渋滞回避経路を算出し、当該渋滞回避経路への案内処理を実行する工程と、
を含む経路案内方法が提供される。
【0008】
本発明によれば、
コンピュータを、
よく使用する経路としてユーザにより登録された登録経路を記憶する記憶手段、
渋滞情報を取得する通信手段、
前記記憶された登録経路上を車両が走行中か否かを判断するとともに、前記取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断し、登録経路を走行中であり、かつ登録経路上の渋滞情報がある場合に、当該登録経路上の渋滞情報を用いて前記登録経路とは経路が異なる渋滞回避経路を算出し、当該渋滞回避経路への案内処理を実行する制御手段、
として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザは特に渋滞回避案内のためのユーザの操作が特になくても、よく使用する経路として登録した登録経路を走行中であれば渋滞回避経路への案内を行う。よって、ユーザを煩わせることなく、ユーザが必要とするときに渋滞回避経路への経路案内を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施形態では、よく使用する経路として通勤経路、通学経路(以下、通勤通学経路という)の例を説明する。
【0011】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態におけるナビゲーション装置1の機能的構成を示す。
ナビゲーション装置1は車両に搭載されて経路案内を行うものである。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部11、操作部12、表示部13、音声出力部14、記憶部15、自律航法ユニット16、GPS(Global Positioning System)モジュール17、VICSモジュール18、I/F(インターフェイス)19を備えて構成されている。
【0012】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成される制御手段であり、記憶部15に記憶されているプログラムとの協働により各種処理を実行し、各種演算や計時、ナビゲーション装置1の各部の集中制御を行う。
例えば、制御部11は自律航法ユニット16やGPSモジュール17から入力される情報に基づいて、車両の現在地を検出し、当該現在地から目的地までの案内経路を算出する。また、案内用の表示画面を表示部13に表示させたり、案内音声を音声出力部14により出力させて、案内経路までの案内処理を実行する。
【0013】
また、制御部11は、ユーザによって通勤や通学時によく使用する通勤通学経路として登録された登録経路やその走行条件の情報を記憶部15に記憶させる。さらに、制御部11は記憶部15に記憶された登録経路上を車両が走行中か否かを判断するとともに、VICSモジュール18により取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断する。そして、登録経路を走行中であり、かつ登録経路上の渋滞情報があると判断された場合には、当該登録経路上の渋滞情報を用いて前記登録経路とは経路が異なる渋滞回避経路を算出し、当該渋滞回避経路への案内処理を実行する。
【0014】
操作部12は各種キーやリモートコントローラ、表示部13のディスプレイと一体に構成されるタッチパネル等を備え、これらの操作に応じた操作信号を制御部11に出力する。
表示部13はディスプレイを備え、制御部11の表示制御に従って案内経路を示す地図画面や操作画面、設定画面等の各種表示画面を表示する。
音声出力部14はスピーカ等を備え、経路案内用の音声等を出力する。
【0015】
記憶部15は、制御部11により用いられるプログラムや、処理の実行に必要なパラメータ等を記憶している。例えば、記憶部15は経路案内時によく用いられるパラメータとして、自宅と設定された位置(緯度経度)や住所等を記憶している。記憶部15はハードディスク等から構成してもよいし、DVD(Digital Versatile Disk)等の媒体から構成してもよい。
【0016】
また、記憶部15は経路案内に必要な地図DB(Data Base)、案内図DB、案内音声DB、地点DB等を記憶している。地図DBは、道路、鉄道、河川等の地図情報をデータベース化したものである。案内図DBは経路案内時に表示する案内用の画像、例えば交差点拡大図、方面を示す看板、進行方向を示す矢印の画像等をデータベース化したものである。案内音声DBは、経路案内に必要なメッセージ、例えば「この先、右に曲がります」等のメッセージの音声情報(音声そのものの他、TTS(Text To Speech)等も含む)をデータベース化したものである。また、地点DBは、地図上の各地点についての情報、例えば地点の名称、位置(緯度経度)、住所、電話番号、地図上で地点を示すアイコン画像等をデータベース化したものである。
【0017】
また、記憶部15は登録DBを記憶する記憶手段である。登録DBは、通勤通学経路としてよく使用する経路の情報とともに、その経路を使用して通勤や通学する際の走行条件の情報をデータベース化したものである。
図2に、一例としての登録DB2を示す。
図2に示すように、登録DB2には、よく使用する経路としてユーザにより登録された登録経路の情報と、その登録経路の走行条件の情報が記憶されている。これら登録経路やその走行条件は、ユーザによって登録されるものである。登録経路と走行条件の情報は、往路と復路で別々に登録することが可能であり、登録DB2では往路と復路のそれぞれの情報を記憶している。
【0018】
走行条件としては、登録経路の目的地、出発地、出発地を出発するときの出発時刻、出発時刻の誤差範囲、渋滞回避案内を開始する距離が含まれる。目的地や出発地については、例えば目的地や出発地の緯度経度の位置情報や、電話番号等の目的地、出発地を特定する情報が登録DB2に記憶される。出発時刻の誤差範囲とは、出発時刻ではない場合でもその誤差範囲内であれば出発時刻とみなす時間範囲をいい、登録DB2にはその時間範囲を示す時間情報が記憶される。渋滞回避案内を開始する距離は、渋滞回避案内を非案内とする距離であり、出発地からの距離である。登録DB2にはその距離情報が記憶される。
【0019】
例えば、往路であれば、図2に示すようによく使用する経路として、登録経路Aの情報が記憶されている。また、この登録経路Aの走行条件として、登録経路Aの目的地として登録された「通勤通学地点(通勤する会社や通学する学校等をいう)」、出発地として登録された「自宅」の情報が記憶されている。また、出発時刻として登録された「8:15」、誤差範囲として出発時刻8:15の「前後30分」の時間情報、渋滞回避案内を開始する距離として登録された「5km」の距離情報が記憶されている。
【0020】
自律航法ユニット16は、角度センサ、距離センサ等を備えて構成される。角度センサは、車両の角速度(単位時間あたりの水平方向への回転角度)を示す角速度信号を出力する。角速度は移動方位の変化量を示す。距離センサは車両の車輪の回転に応じた車速パルス信号を出力する。車速パルス信号は車両の移動量を示す。自律航法ユニット16は、角速度信号及び車速パルス信号により車両の相対的な位置変化を算出して制御部11に出力する。
【0021】
GPSモジュール17は、GPSアンテナ等を備えて構成されている。GPSアンテナは、地球低軌道に打ち上げられた複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信する。GPSアンテナは、少なくとも3個のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて車両の絶対的な現在位置(緯度経度)を検出して制御部11に出力する。
【0022】
VICSモジュール18は、光通信用、FM通信用、2.4GHz電波通信用のアンテナをそれぞれ備え、VICSセンターと光通信、FM通信又は電波通信を行う通信手段である。VICSモジュール18はVICSセンターから渋滞情報や道路交通情報等を受信し、制御部11に出力する。
【0023】
I/F19は、車両の制御本体部等に接続するインターフェイスであり、例えば車両のエンジンのON/OFFの信号を車両側から取得して制御部11に出力する。
【0024】
次に、ナビゲーション装置1の動作について説明する。
図3を参照して、よく使用する経路である通勤通学経路やその走行条件の登録を行う際に、ナビゲーション装置1により実行される登録処理について説明する。ここでは、往路について登録を行う例を説明するが、復路の場合も同様の処理が実行される。
【0025】
ナビゲーション装置1では、制御部11の表示制御により図4に示す登録画面d1を表示部13上に表示させる。図4に示すように、登録画面d1には往路の目的地である通勤通学地点の登録ボタンk1、出発時刻の登録ボタンk2、渋滞案内開始距離の登録ボタンk3、通勤通学経路の設定開始ボタンk4を設けている。ユーザは登録ボタンk1〜k3を操作して通勤通学経路の走行条件の登録を行った後、実際に通勤通学経路(往路)を走行するときに通勤通学経路の設定開始ボタンk4を操作する。
【0026】
まず通勤通学経路の目的地と出発地の登録を行うが、通勤通学経路の往路の出発地は自宅であることが多いので、本実施形態ではユーザに代わり制御部11が自動的に往路の出発地として自宅の情報を登録DB2に記憶させ、登録を行うこととする。ユーザは登録画面d1において往路の目的地のみ登録操作を行えばよい。
【0027】
ユーザによる通勤通学地点の登録ボタンk1の操作に応じて、制御部11は往路の目的地である通勤通学地点を特定する情報、例えば電話番号、住所等を入力する入力領域を登録画面d1上に表示させる。ユーザにより操作部12を介して通勤通学地点を特定する情報が入力されると、制御部11は地図情報を記憶部15の地図DBから取得して地図を表示させる。そして、ユーザにより表示した地図上で通勤通学地点の位置が指定操作されると、制御部11は入力された通勤通学地点を特定する情報とともに、指定された通勤通学地点の位置情報(緯度経度)を、目的地である通勤通学地点の情報として登録DB2に記憶させ、登録を行う(ステップS11)。
【0028】
次に、ユーザにより出発時刻の登録ボタンk2が操作された場合、制御部11は往路の出発時刻及びその誤差範囲の入力領域を登録画面d1上に表示させる。ユーザにより出発時刻及び誤差範囲が入力されると、制御部11は入力された情報を登録DB2に記憶させ、登録を行う(ステップS12)。
【0029】
なお、出発時刻は、時刻を示す数字をユーザに直接入力させる構成としてもよいし、時間バーや時計等を表示し、これらによって時刻をユーザに指定させる構成としてもよい。また、誤差範囲についても、出発時刻の前後で同じ時間範囲とするならば「前後30分」と、同じ時間範囲を入力できる構成としてもよいし、前後で異なる時間範囲とする場合には7:45〜8:45等、具体的な時間範囲を指定できる構成としてもよい。
【0030】
次に、登録画面d1において、渋滞案内開始距離の登録ボタンk3が操作された場合、制御部11は渋滞回避案内を開始する出発地からの距離を入力する入力領域を登録画面d1上に設ける。渋滞回避案内を開始する距離は、出発地からの直線距離であってもよいし、登録経路上の距離であってもよい。そして、ユーザにより距離が入力操作されると、制御部11はその入力情報を渋滞案内開始距離の情報として、登録DB2に記憶させ、登録を行う(ステップS13)。
【0031】
次に、通勤通学経路の設定開始ボタンk4が操作されると、制御部11は図4に示す登録画面d2を表示させ、走行経路の学習を開始する。登録画面d2には経路設定終了ボタンk5が設けられているので、ユーザは目的地である通勤通学地点に到着した時点でこのボタンk5を操作すればよい。経路設定開始ボタンk4の操作に応じて、制御部11は車両の現在地を検出し、当該現在地と記憶部15の地図DBとを照合して走行した道路、分岐点等を判別してその走行経路の情報を一時記憶する。そして、経路設定終了ボタンk5の操作に応じて一時記憶した走行経路の情報を往路の経路(図2に示す登録経路A)として登録DB2に記憶させ、登録する(ステップS14)。
【0032】
このように往路について登録を終えると、復路についても同様にステップS1〜S4の処理を行う。復路では、出発地は往路の目的地、目的地は往路の出発地であるので、ステップS11では、制御部11がユーザに代わって自動的に登録を行うこととする。つまり、復路の出発地を往路の目的地、復路の目的地を往路の出発地として、往路についての情報を登録DB2に記憶させる。
【0033】
次に、実際に通勤や通学を行う際にナビゲーション装置1で行われる渋滞回避処理について、図5を参照して説明する。
車両のエンジンがONされ、ナビゲーション装置1の電源もONされると、図5に示すように、制御部11は現在地を検出し、当該現在地の位置と登録DB2に記憶されている往路又は復路の出発地の位置とが一致するかどうかにより、現在地は往路又は復路の何れかの登録経路の出発地であるかどうかを判断する(ステップS21)。位置が一致せず、何れの出発地でもない場合(ステップS21;N)、登録経路の走行条件を満たさないので、本処理を終了する。
【0034】
一方、位置が一致し、現在地が往路又は復路何れかの登録経路の出発地である場合(ステップS21;Y)、制御部11はその出発地の登録経路の走行条件を登録DB2から取得する。そして、制御部11は現在時刻と取得した走行条件の情報と照合して、現在時刻は登録された出発時刻又はその誤差範囲内であるか否かを判断する(ステップS22)。出発時刻又はその誤差範囲内でなければ(ステップS22;N)、走行条件を満たさないため本処理を終了する。
【0035】
現在時刻が登録された出発時刻又はその誤差範囲内であれば(ステップS22;Y)、制御部11は登録経路の情報を登録DB2から読み出す(ステップS23)。そして、制御部11は現在地を検出して読み出した登録経路と照合し、現在地は登録経路上にあるかどうかを判断する(ステップS24)。
【0036】
現在地が登録経路上にある場合(ステップS24;Y)、制御部11は車両は登録経路上を走行中であると判断し、出発地から現在地までの走行距離を算出する。そして、制御部11は走行距離と登録された渋滞回避案内を開始する距離とを比較し、車両が出発地から登録経路上を、渋滞回避案内を開始する距離として登録された距離以上走行したかどうかを判断する(ステップS25)。走行距離が渋滞回避案内を開始する距離を超えておらず、まだ登録された距離以上は走行していない場合(ステップS25;N)、ステップS24の処理に戻る。走行距離が渋滞回避案内を開始する距離を超え、登録された距離以上走行している場合(ステップS25;Y)、制御部11は登録経路の走行条件を全て満たしており、かつ登録経路を走行中であると判断する。そして、VICSモジュール18により取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断する(ステップS26)。
【0037】
登録経路上で発生した渋滞情報が無い場合(ステップS26;N)、特に渋滞回避経路への案内は行わず、本処理を終了する。
一方、渋滞情報が有る場合(ステップS26;Y)には、制御部11は当該渋滞情報を解析して渋滞が発生している道路を除く他の道路での経路を渋滞回避経路として算出する。また、その渋滞回避経路を走行するのに要すると予測される予測所要時間を算出する(ステップS27)。
【0038】
次いで、制御部11は登録経路についても走行に要すると予測される予測所要時間を算出する。このとき、登録経路上の渋滞情報に基づき、渋滞を加味した予測所要時間を算出する。例えば、渋滞情報に約30分の渋滞であることが含まれている場合には、渋滞が無い場合の登録経路の走行に要する予測所要時間に、渋滞に要する30分を加算した時間を登録経路の予測所要時間とする。そして、制御部11は当該登録経路の予測所要時間と、渋滞回避経路の予測所要時間の何れが短いか判断する(ステップS28)。渋滞回避経路の方が予測所要時間が短い場合(ステップS28;Y)、制御部11は渋滞情報をユーザに通知するとともに、渋滞回避経路とその予測所要時間を表示部13上に表示し、当該渋滞回避経路への案内処理を開始する(ステップS29)。渋滞情報の通知は、表示部13への表示であってもよいし、音声出力部14の音声出力によるものであってもよい。
【0039】
図6に、表示例を示す。
図6に示す案内画面d3では、○×交差点で渋滞が有ることを示す渋滞情報d31を表示し、登録経路とは別の渋滞回避経路による案内を行うことを通知する。このとき、「登録した経路上、○×交差点に3kmの渋滞が発生しています」等の案内音声を出力してさらに渋滞情報の通知を行う。また、地図上で渋滞回避経路を指し示し、音声出力部14によって案内音声の出力を行わせて、当該渋滞回避経路への案内処理を行う。また、制御部11は案内画面d3において渋滞回避経路による予測所要時間の情報d32を表示する。
【0040】
一方、登録経路の方が渋滞回避経路より予測所要時間が短い場合(ステップS28;N)、制御部11は渋滞回避経路への案内は行わずに、単に現在地付近の地図を表示した、図7に示すような案内画面d4を表示させる。そして、当該案内画面d4上に渋滞回避ボタンk6を表示させる(ステップS30)。ユーザは渋滞回避案内を要望する場合には渋滞回避ボタンk6を操作すればよい。ユーザにより渋滞回避ボタンk6が操作された場合(ステップS31;Y)、図6に示した案内画面d3に切り替え、案内画面d3上に登録経路上の渋滞情報を示して渋滞情報の通知を行うとともに、渋滞回避経路への案内処理を行う(ステップS29)。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、よく使用する経路としてユーザにより登録された登録経路及びその走行条件の情報を記憶部15に記憶し、制御部11が現在走行中の経路が登録経路か、走行は走行条件を満たしているかを判断し、登録経路であって、かつ走行条件を満たしていると判断した時点で、渋滞回避経路を算出し案内処理を実行する。これにより、通勤や通学等でよく使用する経路を走行しており、かつその経路上で渋滞があるときのみ渋滞回避経路への案内を行うことができる。この案内はユーザの操作がなくとも自動的に行うので、ユーザを煩わせることなく、必要なときに渋滞回避経路への経路案内を行うことができる。
【0042】
また、登録経路を走行しているだけでなく、さらに走行条件を満たす場合に渋滞回避経路の案内を行う構成としているので、休日等、通勤や通学以外の時間帯に走行したり、登録経路の一部を走行しただけでは渋滞回避経路への案内を行わないようにすることができる。これにより、不要なときには渋滞回避経路を非案内とすることができ、不要な案内によるユーザの煩わしさを解消することができる。
【0043】
走行条件としては、出発時刻を登録することができるので、通勤や通学の出発時刻以外の時間帯には渋滞回避経路の案内を非案内とすることができる。また、出発時刻には誤差範囲を登録することができるので、通勤や通学の時間が通常より若干ずれた場合でも対応することができる。
また、渋滞回避案内を開始する距離を登録することができるので、渋滞回避経路への案内を非案内とする距離範囲をユーザが任意に設定することができる。例えば、自宅付近や会社付近等、道路状況をよく知っているところでは案内が不要である場合が多い。このような場合には、渋滞回避案内を開始する距離を調整することにより、自宅や会社付近での渋滞回避経路を非案内とすることができ、不要な案内によるユーザの煩わしさをなくすことができる。
【0044】
また、渋滞回避経路への案内処理は、渋滞回避経路の方が登録経路より予測所要時間が短い場合のみ行う。渋滞があったとしても登録経路の方が予測所要時間が短い場合には、渋滞回避経路への案内はユーザにとって煩わしい場合がある。よって、この場合には渋滞回避経路を非案内とすることにより、ユーザの煩わしさをなくすことができる。
【0045】
また、現在走行中の経路が登録経路であると判断した時点で、登録経路上の渋滞情報を通知するので、ユーザはどのような渋滞が発生しているのか把握することができる。
【0046】
上記実施形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。
例えば、上記実施形態では、よく使用する経路として通勤通学経路の例を挙げて説明したが、配達する際によく使用する配達経路等であっても本発明を用いることができる。この場合は、複数の経路を登録可能としておき、各登録経路について走行条件を記憶する構成としておけばよい。
【0047】
また、走行条件を満たしていない場合であっても、登録経路を走行しており、当該登録経路上で発生した渋滞情報が有ると判断した場合には渋滞情報のみ通知することとしてもよい。
【0048】
また、よく使用する経路を登録するにあたり、実際にその経路を走行したときの走行経路を登録していたが、ユーザが登録した出発地、目的地から経路を制御部11が算出し、当該算出した経路をよく使用する経路として登録することとしてもよい。このとき、さらにユーザが通過地点を設定し、当該通過地点を通過する経路を登録することとしてもよい。また、普段の走行の中で走行頻度を算出し、一定の頻度に達した走行経路をよく使用する経路として登録する等、よく使用する経路を学習する構成としてもよい。
【0049】
さらに、上述の実施形態では、登録経路の走行条件を満たさないと渋滞回避案内は行わない構成としたが、登録経路の走行条件を満たさない場合にもユーザの要望により渋滞回避案内を行う構成としてもよい。
この場合の処理について、図8を参照して説明する。
図8に示すように、制御部11は現在地が往路又は復路の何れかの登録経路の出発地であれば(ステップP1;Y)、現在時刻がその登録経路の走行条件として登録されている出発時刻又はその誤差範囲内であるかどうかを判断する(ステップP2)。現在時刻が出発時刻又はその誤差範囲内である場合(ステップP2;Y)、登録DB2から登録経路の情報を読み出す(ステップP4)。ここまでの処理は、図5に示した渋滞回避処理のステップS21〜S23と同じである。
【0050】
一方、現在時刻が出発時刻又はその誤差範囲内ではない場合(ステップP2;N)、制御部11は図7に示すような案内画面d4を表示させ、案内画面d4に渋滞回避ボタンk6を設ける。そして、渋滞回避ボタンk6の操作が有れば(ステップP3;Y)、ステップP4の処理に移行し、渋滞回避案内を行う処理を続行するが、操作がなければ(ステップP3;N)、本処理を終了する。すなわち、走行条件を満たさない場合でもユーザが要望すれば渋滞回避ボタンk6を操作することによって渋滞回避案内を行うことが可能となる。
【0051】
登録経路を読み出すと(ステップP4)、制御部11は現在地を検出し目的地に到着したか否かを判断する(ステップP5)。目的地に到着していない場合(ステップP5;N)、現在地は登録経路上か否かを判断する(ステップP6)。登録経路上ではない場合(ステップP6;N)、現在走行中の道路を一時記憶して(ステップP7)、ステップP5の処理に移行する。
【0052】
現在地が登録経路上である場合(ステップP6;Y)、出発地から登録経路上を、渋滞回避案内を開始する距離として登録された距離以上走行したか否かを判断する(ステップP8)。登録された距離以上走行していない場合(ステップP8;N)、ステップP5の処理に移行する。登録された距離以上走行している場合(ステップP8;Y)、制御部11は登録経路の走行条件を全て満たしており、かつ登録経路を走行中であると判断する。そして、VICSモジュール18により取得されている渋滞情報のうち、登録経路上で発生した渋滞情報の解析を行って渋滞回避経路を算出する(ステップP9)。さらに、制御部11は渋滞回避経路による目的地への予測所要時間を算出し、渋滞情報とともに表示部13に表示し、渋滞回避経路への案内処理を開始する(ステップP10)。
【0053】
次に、ステップP5で目的地に到着した場合について説明する。
目的地に到着した場合(ステップP5;Y)、制御部11は一時記憶中の道路が有れば(ステップP11;Y)、この一時記憶中の道路をよく使用する経路として登録DB2に保存し、登録する(ステップP12)。一時記憶中の道路が無ければ(ステップP11;N)、本処理を終了する。
【0054】
この処理によれば、登録経路の走行条件を満たさず、渋滞回避経路の案内が行われない場合でも、ユーザの要望に応じて渋滞情報の通知や渋滞回避経路への案内を行うことができる。
また、登録経路ではない道路を走行した場合にはその走行した道路をよく使用する経路として自動登録することができるので、ユーザの一連の登録操作が容易となる。なお、このような自動登録は、走行した道路の走行頻度をカウントして一定頻度以上走行された走行経路のみよく使用する経路として登録することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態におけるナビゲーション装置の機能的構成を示す図である。
【図2】登録DBの一例である。
【図3】登録処理を示すフローチャートである。
【図4】登録処理時に表示される登録画面例である。
【図5】渋滞回避処理を示すフローチャートである。
【図6】渋滞情報の通知例、渋滞回避案内例を示す案内画面である。
【図7】渋滞回避ボタンk6の表示例である。
【図8】渋滞回避案内の他の処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 ナビゲーション装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 音声出力部
15 記憶部
2 登録DB
16 自律航法ユニット
17 GPSモジュール
18 VICSモジュール
19 I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
よく使用する経路としてユーザにより登録された登録経路を記憶する記憶手段と、
渋滞情報を取得する通信手段と、
前記記憶された登録経路上を車両が走行中か否かを判断するとともに、前記取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断し、登録経路を走行中であり、かつ登録経路上の渋滞情報がある場合に、当該登録経路上の渋滞情報を用いて前記登録経路とは経路が異なる渋滞回避経路を算出し、当該渋滞回避経路への案内処理を実行する制御手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記登録経路を走行するときの走行条件として、登録経路の目的地、出発地、出発時刻、出発時刻の誤差範囲、渋滞回避経路への案内処理を開始する距離のうち少なくとも1つを記憶し、
前記制御手段は、現在走行中の経路が前記登録経路であり、かつその走行が前記記憶された走行条件を満たすと判断した時点で、前記渋滞回避経路の算出及び当該渋滞回避経路への案内処理を実行する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記算出した渋滞回避経路の走行に要する予測所要時間の方が前記記憶された登録経路の走行に要する予測所要時間より短い場合のみ、当該渋滞回避経路による案内処理を実行する請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記走行条件を満たさない場合、ユーザからの指示に応じて前記渋滞回避経路の算出及び当該渋滞回避経路への案内処理を実行する請求項2又は3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記制御手段は、車両が登録経路上を走行していないと判断した場合、現在走行している道路を登録経路として前記記憶手段に記憶させる請求項1〜4の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記制御手段は、車両が登録経路上を走行中であると判断した場合、前記登録経路上の渋滞情報を通知する請求項1〜5の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
渋滞情報を取得する工程と、
よく使用する経路としてユーザにより登録され、記憶手段に記憶された登録経路上を、車両が走行中か否かを判断する工程と、
前記取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断する工程と、
登録経路を走行中であり、かつ登録経路上の渋滞情報があると判断された場合に、当該登録経路上の渋滞情報を用いて前記登録経路とは経路が異なる渋滞回避経路を算出し、当該渋滞回避経路への案内処理を実行する工程と、
を含む経路案内方法
【請求項8】
コンピュータを、
よく使用する経路としてユーザにより登録された登録経路を記憶する記憶手段、
渋滞情報を取得する通信手段、
前記記憶された登録経路上を車両が走行中か否かを判断するとともに、前記取得された渋滞情報の中に登録経路上で発生した渋滞情報が有るか否かを判断し、登録経路を走行中であり、かつ登録経路上の渋滞情報がある場合に、当該登録経路上の渋滞情報を用いて前記登録経路とは経路が異なる渋滞回避経路を算出し、当該渋滞回避経路への案内処理を実行する制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−25693(P2010−25693A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186045(P2008−186045)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】