説明

ナビゲーション装置および経路案内制御方法

【課題】経路案内を行う際にメモリの状態を検出し、その検出結果に基づき地図情報を読み出すメモリを決定する。
【解決手段】地図情報を表示し、目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置10において、ナビゲーション装置10は、取り外し可能な外部メモリ105によって構成された第1の記憶手段と、ナビゲーション装置10に内蔵された内部メモリ104によって構成された第2の記憶手段と、第1または第2の記憶手段への地図情報の読み書きを制御する制御部101と、第1または第2の記憶手段から読み出された地図情報を表示する表示部110と、第1の記憶手段の状態を検出するメモリ状態検出部108と、を備え、経路案内を行う際、制御部101は、メモリ状態検出部108による検出結果に基づき、第1の記憶手段からの地図情報の読み出しができないと判断した場合には、第2の記憶手段から地図情報を読み出して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報を表示し、目的地までの経路案内を行う通信型あるいは車載型のナビゲーション装置に関するものであり、特に、経路案内を行う際に、内蔵メモリに記憶した地図情報と外部メモリに記憶した地図情報とから経路案内を行うようにしたナビゲーション装置およびその経路案内制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地図情報を得るための手段としてフラッシュメモリなどの内蔵メモリに格納されている地図情報を位置情報に基づいて読み出して表示装置に表示することによりナビゲーションを行うようになっている。
【0003】
近年、ナビゲーションに用いられる地図は、広域地図だけでなく、使用者が現在位置をより把握し易いようにより詳しい詳細地図も用いられている。そのため地図のデータ量が大幅に増大し、これに対応するため地図情報を記憶する記憶媒体もフラッシュメモリなどの内蔵メモリだけではなく、より記憶容量の大きいCD−ROMやDVD−ROMなどの外部メモリにアクセスして地図情報を読み出し、 表示装置に表示することでユーザに走行予定経路等を案内する車載型のナビゲーション装置が広く普及している。
【0004】
また、CD−ROMやDVD−ROMなどの外部メモリから地図情報を読み出して経路案内を行うナビゲーション装置が普及しているため、最新の地図情報を外部メモリに記憶させてユーザに提供するナビゲーションサービスが様々に提案されている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1(特開2004−354242号公報)には、処理負荷を低減しながら、より現在のネットワーク状況に合った地図データ利用処理を実現できる地図データ利用装置(ナビゲーション装置)を提供することができる技術が開示されている。
【0006】
この特許文献1に開示された技術は、所定の地図データ利用処理を実行するために用いられる地図データを更新するための部分的な地図データである更新用地図データを記憶する更新用地図データ記憶手段を備え、所定の地図データ利用処理を実行する際、その地図データ利用処理の実行に際して用いるエリアの地図データを地図データ記憶手段から一時記憶手段に読み出すと共に、そのエリアに属する更新用地図データが更新用地図データ記憶手段に記憶されている場合には、該当する更新用地図データを一時記憶手段に読み出して地図データに対する更新処理を実行するように構成されているものである。
【0007】
このように構成することにより、更新後の地図データを用いて地図データ利用処理を実行するようにしたため、更新用地図データを反映した地図データ利用処理を実行できるとともに、地図データの更新は、地図データ利用処理の実行に際して用いるエリアの地図データの範囲内、かつエリアに属する更新用地図データによって影響を受ける範囲内のみでよく、処理負荷を低減しながら、より現在のネットワーク状況に合った地図データ利用処理を実現できる地図データ利用装置(ナビゲーション装置)を提供することができる。
【特許文献1】特開2004−354242号公報(段落[0008]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、CD−ROMやDVD−ROMなどの外部メモリは汎用品であるため、内蔵メモリに比べると動作保障温度が低く設定されており、外部メモリ周辺の温度が高温になると正しく動作しない場合がある。このため、外部メモリから地図情報を読み出すことができず経路案内を行う際に地図が表示されないこともあるので、その場合には正確な案内情報を確認することができないという問題点がある。また、外部メモリがナビゲーション装置に挿入されていない場合にも同様に、外部メモリから地図情報を読み出すことができず経路案内を行う際に地図が表示されないこともあるので、その場合には正確な案内情報を確認することができないという問題点がある。
【0009】
上記特許文献1に開示された地図データ利用技術では、処理負荷を低減させつつ地図データの更新処理を行うことはできるものの、上記のように外部メモリの読み出しに不具合が生じた場合にどのように対処するかについては具体的に配慮されていないためユーザに対しては、必ずしも利便性のあるものではなかった。
【0010】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、ナビゲーション装置が経路案内を行う際にメモリの状態を検出し、その検出結果に基づき地図情報を読み出すメモリを決定するようになせば、上記の問題点を解消し得ることを想到し本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、外部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を行っているときに、外部メモリから地図情報が読み出せない状態になった場合には、内部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を継続するようにしたナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
地図情報を表示し、目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、取り外し可能な外部メモリによって構成された第1の記憶手段と、当該ナビゲーション装置に内蔵された内部メモリによって構成された第2の記憶手段と、前記第1または第2の記憶手段への地図情報の読み書きを制御する制御手段と、第1または第2の記憶手段から読み出された地図情報を表示する表示手段と、前記第1の記憶手段の状態を検出する状態検出手段と、を備え、
経路案内を行う際、前記制御手段は、前記状態検出手段による検出結果に基づき、前記第1の記憶手段からの地図情報の読み出しができないと判断した場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記状態検出手段は、前記外部メモリが取り外されたことを検出する取り外し検出手段によって構成され、
経路案内を行う際、前記制御手段は、前記取り外し検出手段により前記外部メモリが取り外されたことが検出された場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかるナビゲーション装置において、前記状態検出手段は、前記第1の記憶手段付近の温度を検出するための温度検出手段によって構成され、
経路案内を行う際、前記制御手段は、前記温度検出手段により前記第1の記憶手段付近の温度が所定温度以上になった場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかるナビゲーション装置において、前記第1の記憶手段は詳細地図を記憶し、前記第2の記憶手段は広域地図を記憶することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項5にかかる発明は、
地図情報を表示し、目的地までの経路案内を行うために、取り外し可能な外部メモリによって構成された第1の記憶手段と、当該ナビゲーション装置に内蔵された内部メモリによって構成された第2の記憶手段と、を備えたナビゲーション装置の経路案内制御方法において、
前記第1または第2の記憶手段への地図情報の読み書きを制御する制御工程と、第1または第2の記憶手段から読み出された地図情報を表示する表示工程と、前記第1の記憶手段の状態を検出する状態検出工程と、を備え、
経路案内を行う際、前記制御工程は、前記状態検出工程により検出結果に基づき、前記第1の記憶手段からの地図情報の読み出しができないと判断した場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる経路案内制御方法において、前記状態検出工程は、前記外部メモリが取り外されたことを検出する取り外し検出工程を含み、
経路案内を行う際、前記制御工程は、前記取り外し検出工程により前記外部メモリが取り外されたことが検出された場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項7かかる発明は、請求項5または請求項6にかかる経路案内制御方法において、前記状態検出工程は、前記第1の記憶手段付近の温度を検出するための温度検出工程を含み、
経路案内を行う際、前記制御工程は、前記温度検出工程により前記第1の記憶手段付近の温度が所定温度以上になった場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項8かかる発明は請求項5ないし請求項7の何れか1項にかかる経路案内制御方法において、前記第1の記憶手段は詳細地図を記憶し、前記第2の種類の記憶手段は広域地図を記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、請求項5にかかる発明においては、ナビゲーション装置は、取り外し可能な外部メモリによって構成された第1の記憶手段と、当該ナビゲーション装置に内蔵された内部メモリによって構成された第2の記憶手段と、前記第1または第2の記憶手段への地図情報の読み書きを制御する制御手段と、第1または第2の記憶手段から読み出された地図情報を表示する表示手段と、前記第1の記憶手段の状態を検出する状態検出手段と、を備え、経路案内を行う際、前記制御手段は、前記状態検出手段による検出結果に基づき、前記第1の記憶手段からの地図情報の読み出しができないと判断した場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出す。
【0021】
このような構成によれば、経路案内を行う際、外部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を行っているときに、外部メモリから地図情報が読み出せない状態になった場合には、内部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を継続するため、ユーザにとって経路案内の際に地図を確認できないことを回避することができ、的確に経路案内を把握することが可能になる。
【0022】
また、請求項2、請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置、または請求項5にかかる経路案内制御方法において、前記状態検出手段は、前記外部メモリが取り外されたことを検出する取り外し検出手段によって構成され、経路案内を行う際、前記制御手段は、前記取り外し検出手段により前記外部メモリが取り外されたことが検出された場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出す。
【0023】
このような構成によれば、経路案内を行う際、外部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を行っているときに、外部メモリが取り外されたことが検出された場合には、内部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を継続するため、ユーザにとって経路案内の際に地図を確認できないことを回避することができ、的確に経路案内を把握することが可能になる。
【0024】
また、請求項3、請求項7にかかる発明においては、請求項1、請求項2にかかるナビゲーション装置、または請求項5、請求項6にかかる経路案内制御方法において、前記状態検出手段は、前記第1の記憶手段付近の温度を検出するための温度検出手段によって構成され、経路案内を行う際、前記制御手段は、前記温度検出手段により前記第1の記憶手段付近の温度が所定温度以上になった場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出す。
【0025】
このような構成によれば、経路案内を行う際、外部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を行っているときに、外部メモリ付近の温度が所定温度以上になった場合には、内部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を継続するため、ユーザにとって経路案内の際に地図を確認できないことを回避することができ、的確に経路案内を把握することが可能になる。
【0026】
また、請求項4、請求項8にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかるナビゲーション装置、または請求項5ないし請求項7の何れか1項にかかる経路案内制御方法において、前記第1の記憶手段に記憶する地図情報は詳細地図であり、前記第2の記憶手段に記憶する地図情報は広域地図である。
【0027】
このような構成によれば、経路案内を行う際、外部メモリに記憶した詳細地図を表示して経路案内を行っているときに、外部メモリから詳細地図が読み出せない状態になった場合には、内部メモリに記憶した広域地図を表示して経路案内を継続するため、ユーザにとって経路案内の際に地図を確認できないことを回避することができ、的確に経路案内を把握することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0029】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。車載用のナビゲーション装置10は、制御部101、現在位置検出部102、経路検索部103、内部メモリ部104、外部メモリ部105、案内データ記憶部106、経路案内部107、メモリ状態検出部108、操作入力部109、表示部110、音声出力部111などを備えて構成されている。
【0030】
なお、本実施例は、車載用のナビゲーション装置10を示すものであるが、ナビゲーションサーバとナビゲーション端末装置とからなる通信型のナビゲーションシステムであってもよく、また自動車による移動の他、徒歩や公共交通機関を利用した経路を案内するナビゲーションシステムであってもよい。
【0031】
制御部101は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にRAM、ROMなどのメモリを備えており、ROMに格納されている各種制御プログラムを読み出し、RAM内のプログラム格納領域に展開し、該制御プログラムに従って各部の動作を制御する。
【0032】
現在位置検出部102は、複数のGPS衛星からの信号を一定の周期で受信して現在位置を測位するGPS受信手段、車両に設けられた加速度センサや舵角センサなどの各種のセンサ出力を取得して現在位置を算出して推測航法を行う自立航法手段を備えている。これらの位置検出手段は各々が性質の異なる誤差を有しているため、各々補間しながら使用するように構成されるのが一般的であるが、精度によってはその一部で構成してもよい。なお、ナビゲーション端末装置が車載用の機能を持たない携帯端末装置の場合、自立航法手段を備える必要はない。
【0033】
経路検索部103は、操作入力部109を介してユーザによって出発地及び目的地が入力されると内部メモリ部104または外部メモリ部105に記憶された地図データに基づいて最適な推奨経路を検索する。経路検索部103によって探索された推奨経路は案内データ記憶部106に記憶される。
【0034】
内部メモリ部104は、ナビゲーション装置10に内蔵された半導体メモリ、例えば、フラッシュメモリなどで構成されており、経路探索サーバから予め通信によりダウンロードされた地図データを格納しており、また、外部メモリ部105から必要に応じて読み込まれた地図データを一時記憶している。この地図データは、各道路をノードとリンクで表したデータ、各リンクの種別(一般道路、高速道路など)、ノード種別(交差点の信号有無、案内ポイントか否かなど)、コストデータなどから構成されている。
【0035】
内部メモリ部104に格納された地図データは、緯度・経度で所定の大きさに区切った単位データ(メッシュデータ)からなり、経路案内部107によって、現在位置検出部102から受信した現在位置情報(緯度・経度)に基づいて現在位置を含む地図データ、すなわち現在位置を含むメッシュデータを中心にその外周の8つのメッシュデータが読み出される。
【0036】
また、内部メモリ部104に格納されている地図データは、データ量(密度)の異なる4階層A、B、C、D(密度の低い種類の地図である広域地図から密度の高い種類の地図である市街地図)のうち、比較的密度の低い種類の地図である広域地図(A階層)と中域地図(B階層)で構成されている。
【0037】
外部メモリ部105は、ナビゲーション装置10と外部メモリインターフェイスを介して取り外し可能に接続される外部記憶媒体、例えば、SDメモリカードなどで構成されており、経路探索サーバから予め通信によりダウンロードされた地図データを格納している。この地図データは、各道路をノードとリンクで表したデータ、各リンクの種別(一般道路、高速道路など)、ノード種別(交差点の信号有無、案内ポイントか否かなど)、コストデータなどから構成されている。
【0038】
外部メモリ部105に格納された地図データは、緯度・経度で所定の大きさに区切った単位データ(メッシュデータ)からなり、経路案内部107によって、現在位置検出部102から受信した現在位置情報(緯度・経度)に基づいて現在位置を含む地図データ、すなわち現在位置を含むメッシュデータを中心にその外周の8つのメッシュデータが必要に応じて内部メモリ部104に読み込まれる。
【0039】
また、外部メモリ部105に格納されている地図データは、データ量(密度)の異なる4階層A、B、C、D(密度の低い種類の地図である広域地図から密度の高い種類の地図である市街地図)のうち、比較的密度の高い種類の地図である詳細地図(C階層)と市街地図(D階層)で構成されている。
【0040】
図2は、地図データの階層と種別の対応関係の一例を示す図である。
【0041】
具体的には、図2(a)は、内部メモリ部104に格納されている地図データとして、階層Aの広域地図1、広域地図2、および階層Bの中域地図1、中域地図2の4つの異なるデータ量(密度)からなる地図データのみで構成されていることを示している。
【0042】
また、図2(b)は、外部メモリ部105に格納されている地図データとして、階層Cの詳細地図1、詳細地図2、詳細地図3、および階層Dの市街地図1、市街地図2、市街地図3の6つの異なるデータ量(密度)からなる地図データのみで構成されていることを示している。
【0043】
案内データ記憶部106は、経路探索サーバから予め通信によりダウンロードもしくはCD−ROMなどの外部記憶媒体からプレインストールした経路案内データや経路検索部103によって探索された推奨経路データを格納している。経路案内データは、地図エリアに存在する種々の案内ポイントである交差点、道路、地名、施設(ランドマーク)などについて、その名称、属性(種別)、所在位置や、住所、電話番号あるいは施設の営業時間などの詳細情報などから構成されている。また、この経路案内データは、通信手段を介して外部の情報提供手段から取得して更新するように構成されている。
【0044】
さらに、経路案内データには、経路のガイダンス、例えば、案内ポイントである交差点や分岐点に車両が近づいた際に、「この先、左折です」などの定型句からなる表示および音声による複数の案内メッセージが含まれており、制御部101は、この案内メッセージに従って、表示部110に案内(ガイド)を表示するとともに音声出力部111を介して音声にて案内することができる。
【0045】
経路案内部107は、外部メモリ部105から必要に応じて地図データを読み出して内部メモリ部104に一時的に記憶させ、経路検索部103が探索した最適経路あるいは複数の推奨案内経路のデータを内部メモリ部104から読み出された現在位置を含む地図データ(8つのメッシュデータ)に埋め込む等の編集を行うためのものである。
【0046】
また、経路案内部107は、現在位置検出部102によって検出された現在位置と内部メモリ部104または外部メモリ部105に記憶された地図データに含まれている案内ポイントとに基づき、現在位置が案内ポイントに接近するとき案内データ記憶部106を参照して当該案内ポイントに対応する経路案内を行うように制御する。
【0047】
メモリ状態検出部108は、外部メモリ取り外し検出部108−1や温度検出部108−2などにより構成され、外部メモリ取り外し検出部108−1は、ナビゲーション装置10に外部メモリ部105が接続されているかどうかを検出し、その検出結果を表す信号を制御部101に出力するためのものであり、温度検出部108−2は、外部メモリ部105を取り外し可能に接続するための外部メモリインターフェイス付近の温度を検出し、その検出結果(温度)を表す信号を制御部101に出力するためのものである。
【0048】
制御部101は、経路案内を行う際に外部メモリ部105から読み込まれた地図データに基づき地図の表示を行う場合、メモリ状態検出部108からの検出結果に基づき、外部メモリ部105からの地図データの読み出しが正しく動作しないと判断したときに、内部メモリ部104から地図データを読み出して表示部110に表示する処理を開始するよう内部メモリ部104あるいは表示部110へ指示する。
【0049】
すなわち、外部メモリ取り外し検出部108−1からの検出結果に基づき、外部メモリ部105が取り外されたときに、内部メモリ部104から地図データを読み出して表示部110に表示する処理を開始するよう内部メモリ部104あるいは表示部110へ指示する。
【0050】
また、温度検出部108−2からの検出結果に基づき、外部メモリ部105を取り外し可能に接続するための外部メモリインターフェイス付近の温度が高温のため正しく動作しないと判断したときに、内部メモリ部104から地図データを読み出して表示部110に表示する処理を開始するよう内部メモリ部104あるいは表示部110へ指示する。
【0051】
操作入力部109は、操作ボタンや抵抗膜方式やセンサ方式などのタッチパネルなどにより構成され、ナビゲーション装置10の各種機能を操作したり、所要の数値や文字を入力したりするものである。タッチパネルは、表示部110のLCD表示面に設けられ、表示面の任意の位置における指などの押圧あるいは接触を検出して位置検出信号を生成し、その位置検出信号を制御部101に対して動作制御信号として出力する。
【0052】
表示部110は、LCDや有機ELDなどのディスプレイパネルなどから構成される表示ユニットであり、制御部101からの制御信号に応じて、内部メモリ部104、外部メモリ部105、および案内データ記憶部106から供給された画像信号について所定の画像処理を施して地図画像や推奨経路を表示する。
【0053】
音声出力部111は、経路案内部107の音声案内を受け取り、これをスピーカから出力させる。
【0054】
ナビゲーション装置10は、表示部110のタッチパネルから所望の出発地、目的地を設定してナビゲーションの要求があると、経路検索部103は内部メモリ部104または外部メモリ部105の地図データを参照して2地点間を最短で結ぶ推奨経路を探索する。なお、所望の出発地、目的地を登録ポイントとして設定する方法は、地点周辺の地図画像を表示部110に表示させ、操作入力部109のカーソルで地図上のPOIアイコンや交差点をクリックする方法や、表示部110に表示された入力ボックスに操作入力部109から住所や電話番号を入力する方法であってもよい。
【0055】
制御部101は、操作入力部109により目的地の名称やその位置情報を入力されると、経路検索部103により現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に探索して推奨経路を作成するとともに、現在位置検出部102により車両の現在位置及び現在方位を検出する。この自動的に最適な経路を選択する手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0056】
そして、現在位置検出部102で算出した車両の現在位置を中心とした所定範囲の地図データを内部メモリ部104から読み出し、または外部メモリ部105から必要に応じて読み出して一旦内部メモリ部104に記憶させた後に再び読み出し、該地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像を表示部110上に描画すると共に、ユーザ(車両)位置マーク(ロケーション)を表示部の表示画面に重ね合わせて表示し、ユーザ(車両)の移動に応じて地図画像をスクロール表示したり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させたりして、車両が現在どこを走行しているのかを一目で判るようにしている。
【0057】
ここで、現在位置検出部102で算出した車両の現在位置を中心とした所定範囲の地図データを外部メモリ部105から必要に応じて読み出して一旦内部メモリ部104に記憶させた後に再び読み出すことで詳細な地図を表示して経路案内を行っているときに、外部メモリ取り外し検出部108−1によって外部メモリが抜かれたと判断された場合、あるいは、温度検出部108−2によって外部メモリの周囲温度が所定温度(例えば、35℃)以上になり外部メモリが高温により正しく動作しないと判断された場合には、内部メモリ部104に記憶された地図データの中から現在位置を含む最も詳細な地図データ、すなわち、B階層の中域地図2を読み出して表示する。
【0058】
さらに、ナビゲーション装置10は、現在位置検出部102の検出結果に基づき予め設定された経由地や目的地等の案内対象物に接近し、その案内を行うタイミングになると、経路案内部107によって案内データ記憶部106の経路案内データを検索して、該当する経路案内データを抽出する。そして、表示部110は抽出した経路案内データを用いて分岐案内画面などを表示し、音声出力部111は「まもなく○○交差点です」あるいは「直進は△△方面、右折は××方面です」というような音声メッセージを合成して報知する。
【0059】
次に、本発明にかかるナビゲーション装置の動作について説明する。
【0060】
図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【0061】
なお、図3に示す動作は制御部101に備えられたROMに記憶されている制御プログラムを実行することで実現される。
【0062】
図3のフローチャートにおいて、ユーザにより表示部110のタッチパネルから所望の出発地、目的地を設定してナビゲーションの要求があると、ステップS30において、経路検索部103は外部メモリ部105の地図データを参照して2地点間を最短で結ぶ推奨経路を探索する、あるいは経路を案内するために外部メモリをアクセスする必要があるか否か判定し、外部メモリ部105をアクセスする必要がある場合にはステップS31に進み、一方、外部メモリ部105をアクセスする必要がない場合にはステップS35に進む。
【0063】
ステップS31では、ナビゲーション装置10に外部メモリ部105が挿入(接続)されているかどうか判定し、外部メモリ部105が挿入されている場合にはステップS32に進み、一方、外部メモリ部105が挿入されていない場合にはステップS35に進む。
【0064】
ステップS32では、経路検索部103は外部メモリ部105の地図データを参照して2地点間を最短で結ぶ推奨経路を探索し、経路案内部107は外部メモリ部105から必要に応じて地図データを読み出して内部メモリ部104に一時的に記憶させる。
【0065】
ステップS33では、経路案内部107は、経路検索部103が探索した最適経路あるいは複数の推奨案内経路のデータを内部メモリ部104から読み出された現在位置を含む地図データ(8つのメッシュデータ)に埋め込む等の編集を行い、地図画像とユーザ(車両)位置マークを表示部110の表示画面に重ね合わせて表示して経路案内を行う。
【0066】
ステップS34では、外部メモリ部105の周囲温度が所定温度(例えば、35℃)以上かどうか判定し、外部メモリ部105の周囲温度が所定温度以上である場合にはステップS35に進み、一方、外部メモリ部105の周囲温度が所定温度未満である場合にはステップS37に進む。
【0067】
ステップS35では、経路検索部103は内部メモリ部104の地図データを参照して2地点間を最短で結ぶ推奨経路を探索し、ステップS36では、経路案内部107は、経路検索部103が探索した最適経路あるいは複数の推奨案内経路のデータを内部メモリ部104から読み出された現在位置を含む地図データ(8つのメッシュデータ)に埋め込む等の編集を行い、地図画像とユーザ(車両)位置マークを表示部110の表示画面に重ね合わせて表示して経路案内を行う。
【0068】
ステップS37では、経路案内を継続するか否か判定し、経路案内が終了しておらず継続する場合にはステップS30に戻り、経路案内が終了すれば処理を終了する。
【0069】
以上説明したように本発明にかかるナビゲーション装置によれば、経路案内を行う際、外部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を行っているときに、外部メモリから地図情報が読み出せない状態になった場合には、内部メモリに記憶した地図情報を表示して経路案内を継続するため、ユーザにとって経路案内の際に地図を確認できないことを回避することができ、的確に経路案内を把握することが可能になる。
【0070】
また、上記実施例では、内部メモリとしてフラッシュメモリについて説明したが、内部メモリはこれに限ることなく、内蔵型ハードディスクなどの大容量記憶装置について適用することも可能である。
【0071】
また、上記実施例では、外部メモリとしてSDメモリカードについて説明したが、外部メモリはこれに限ることなく、その他の外付けメモリカードについて適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例にかかる地図データの階層と種別の対応関係の一例を示す図である。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
10・・・・ナビゲーション装置
101・・・・制御部
102・・・・現在位置検出部
103・・・・経路検索部
104・・・・内部メモリ部
105・・・・外部メモリ部
106・・・・案内データ記憶部
107・・・・経路案内部
108・・・・メモリ状態検出部
108−1・・・・外部メモリ取り外し検出部
108−2・・・・温度検出部
109・・・・操作入力部
110・・・・表示部
111・・・・音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を表示し、目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、取り外し可能な外部メモリによって構成された第1の記憶手段と、当該ナビゲーション装置に内蔵された内部メモリによって構成された第2の記憶手段と、前記第1または第2の記憶手段への地図情報の読み書きを制御する制御手段と、第1または第2の記憶手段から読み出された地図情報を表示する表示手段と、前記第1の記憶手段の状態を検出する状態検出手段と、を備え、
経路案内を行う際、前記制御手段は、前記状態検出手段による検出結果に基づき、前記第1の記憶手段からの地図情報の読み出しができないと判断した場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記状態検出手段は、前記外部メモリが取り外されたことを検出する取り外し検出手段によって構成され、
経路案内を行う際、前記制御手段は、前記取り外し検出手段により前記外部メモリが取り外されたことが検出された場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記状態検出手段は、前記第1の記憶手段付近の温度を検出するための温度検出手段によって構成され、
経路案内を行う際、前記制御手段は、前記温度検出手段により前記第1の記憶手段付近の温度が所定温度以上になった場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記第1の記憶手段は詳細地図を記憶し、前記第2の記憶手段は広域地図を記憶することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
地図情報を表示し、目的地までの経路案内を行うために、取り外し可能な外部メモリによって構成された第1の記憶手段と、当該ナビゲーション装置に内蔵された内部メモリによって構成された第2の記憶手段と、を備えたナビゲーション装置の経路案内制御方法において、
前記第1または第2の記憶手段への地図情報の読み書きを制御する制御工程と、第1または第2の記憶手段から読み出された地図情報を表示する表示工程と、前記第1の記憶手段の状態を検出する状態検出工程と、を備え、
経路案内を行う際、前記制御工程は、前記状態検出工程により検出結果に基づき、前記第1の記憶手段からの地図情報の読み出しができないと判断した場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする経路案内制御方法。
【請求項6】
前記状態検出工程は、前記外部メモリが取り外されたことを検出する取り外し検出工程を含み、
経路案内を行う際、前記制御工程は、前記取り外し検出工程により前記外部メモリが取り外されたことが検出された場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする請求項5に記載の経路案内制御方法。
【請求項7】
前記状態検出工程は、前記第1の記憶手段付近の温度を検出するための温度検出工程を含み、
経路案内を行う際、前記制御工程は、前記温度検出工程により前記第1の記憶手段付近の温度が所定温度以上になった場合には、前記第2の記憶手段から地図情報を読み出すことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の経路案内制御方法。
【請求項8】
前記第1の記憶手段は詳細地図を記憶し、前記第2の記憶手段は広域地図を記憶することを特徴とする請求項5ないし請求項7の何れか1項に記載の経路案内制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−2763(P2009−2763A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163306(P2007−163306)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】