説明

ネガ型フォトレジスト組成物

本発明は、a)少なくとも一種のアルカリ可溶性ポリマー、但しこのポリマーは、次の構造(I)


[式中、R’は、独立して、水素、(C1〜C4)アルキル、塩素、臭素から選択され、そしてmは1〜4の整数である]
で表される少なくとも一種の単位を含み; b)次の構造(II)


[式中、Wは、多価連結基であり、R1〜R6は、独立して、水素、ヒドロキシル、(C1〜C20)アルキル及び塩素から選択され、X1及びX2は、独立して、酸素またはN−R7であり、この際、R7は、水素または(C1〜C20)アルキルであり、そしてnは1に等しいかまたは1よりも大きい整数である]
で表される少なくとも一種のモノマー、及びc)少なくとも一種の光開始剤を含む、ネガ型フォトレジスト組成物に関する。また本発明は、このネガ型フォトレジスト組成物に像を形成する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシスチレンモノマーから誘導される少なくとも一種のフェノール性基を含むアルカリ可溶性樹脂、光開始剤、及び二つもしくはそれ以上の(メタ)アクリレート基を含む光重合性モノマーを含む、感光性ネガ型フォトレジスト組成物に関する。好ましくは、該フォトレジストフィルムは、5μm(ミクロン)を超える厚さを有する。本発明は更に、本発明の感光性組成物の塗布及び像形成方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、コンピュータチップ及び集積回路の製造などにおいて、微細化された電子部品の製造のためのマイクロリソグラフィプロセスに使用されている。一般的に、これらのプロセスでは、先ず、フォトレジスト組成物のフィルムの被膜を、集積回路の製造に使用されるシリコンウェハなどの基材上に塗布する。次いで、この被覆された基材をベーク処理して、フォトレジスト組成物中の溶剤を蒸発させて、基材上に被膜を定着させる。この基材の被覆されそしてベーク処理された表面を次に放射線による像様露光に付す。
【0003】
この放射線露光は、被覆された表面の露光された領域において化学的な変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、電子ビーム及びX線放射エネルギーが、マイクロリソグラフィプロセスに常用されている放射線種である。ネガ型フォトレジスト組成物を放射線で像様露光すると、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が、現像剤溶液に溶けにくくなり、他方、未露光の領域のフォトレジスト被膜は、このような溶液中に比較的可溶性のまま残る。それ故、露光されたネガ型フォトレジストを現像剤で処理すると、フォトレジスト被膜の未露光の領域が除去されて、被膜にネガ型の像が形成される。それによって、フォトレジスト組成物が形成されていたその下にある基材表面の所望の部分が裸出される。
【0004】
フォトレジストフィルムの現像後、今や部分的に非保護の基材を、基材エッチング溶液、プラズマガスで処理することができるか、あるいは現像の間にフォトレジスト被膜が除去された箇所の基材に金属または金属複合体を堆積することができる。フォトレジスト被膜がなお残る基材領域は保護される。その後、フォトレジスト被膜の残りの領域は、剥離工程の間に除去することができ、そうしてパターン化された基材表面が得られる。
【0005】
パターン化された構造体、例えばウェハレベルパッケージングの製造においては、配線密度が高まるにつれて、電気配線の電気化学堆積法が使用されてきている。ウェハレベルパッケージングにおける再配置のための金バンプ、銅ポスト及び銅ワイヤは、先端配線技術において最終の金属構造体を形成するために後で電気メッキされるレジストの型(mold)を必要とする。そのフォトレジスト層は、クリティカル層(critical layer)の集積回路製造で使用されるフォトレジストと比べると非常に厚い。図形の大きさ及びレジスト厚さの両方は、典型的には、5μm〜100μmであり、そのため高いアスペクト比(フォトレジストの厚さ/ラインサイズ)をフォトレジストにパターン化する必要がある。
【0006】
微小電子機械マシーンとして使用するために製造されるデバイスも、このマシーンの部材の画定のために非常に厚いフォトレジストフィルムを使用する。
【0007】
本発明の課題は、良好なリソグラフィ性、特に感光性、高いアスペクト比、垂直な側壁、金属及びケイ素基材に対する向上した接着性、電気メッキ溶液及び方法との相溶性、減少したフォトレジストフィルムの亀裂発生、加工後のフォトレジストフィルムの簡単で完全な除去、及び向上した環境安定性を供する、厚いフォトレジストフィルム、好ましくは200μmほどもある厚さのフォトレジストフィルムの像形成に有用なネガ型フォトレジストを提供することである。本発明の発明者らは、ポリマーがヒドロキシスチレンモノマーから誘導される少なくとも一種のフェノール性基を含むアルカリ可溶性樹脂、少なくとも一種の光開始剤、及び二つまたはそれ以上の(メタ)アクリレート基を含む少なくとも一種の光重合性モノマーを含むフォトレジストが、像の形成、特に200μmまでの厚いフィルムの像の形成の際に所望のリソグラフィ性を与えることを見出した。
【本発明の概要】
【0008】
本発明は、a) 少なくとも一種のアルカリ可溶性ポリマーであって、そのポリマーが、次の構造(I)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、R'は、独立して、水素、(C1〜C4)アルキル、塩素及び臭素から選択され、そしてmは1〜4の整数である]
で表される少なくとも一種の単位を含む、前記アルカリ可溶性ポリマー; b) 次の構造(II)
【0011】
【化2】

【0012】
[式中、Wは、多価の連結基であり、R1〜R6は、独立して、水素、ヒドロキシ、(C1〜C20)アルキル及び塩素から選択され、X1及びX2は、独立して、酸素またはN−R7であり、この際、R7は、水素または(C1〜C20)アルキルであり、そしてnは、1に等しいかまたは1よりも大きい整数である]
で表される少なくとも一種のモノマー; 及びc) 少なくとも一種の光開始剤を含む、ネガ型フォトレジスト組成物に関する。また本発明は、該ネガ型フォトレジスト組成物に像を形成する方法にも関する。本発明は更に、ネガ型フォトレジストとしての上記の組成物の使用、及び基材上にネガ型フォトレジストの層を形成するための上記の組成物の使用にも関する。
【本発明の説明】
【0013】
本発明の新規フォトレジストは、アルカリ可溶性ポリマー、光開始剤、及び二つまたはそれ以上の(メタ)アクリレート基を含む少なくとも一種の光重合性モノマーを含む、厚肉のフィルムの像の形成に有用な感光性ネガ型フォトレジスト組成物であって、前記ポリマーが、ヒドロキシスチレンモノマーから誘導される少なくとも一種のフェノール性基を含む、前記感光性ネガ型フォトレジスト組成物を提供する。更に本発明は、本発明のフォトレジストに像を形成する方法、特にフォトレジストの厚さが約5μmを超える方法、殊に単一の露光段階を含む方法を提供する。約150μmまたは約200μmもの厚さのフォトレジストフィルムに像を形成できる。該ネガ型フォトレジスト組成物は、露光の前は水性アルカリ性現像剤中に可溶であるが、露光された領域は不溶性になる。本発明は更に、該ネガ型フォトレジスト組成物に像を形成する方法にも関する。
【0014】
本発明のアルカリ可溶性ポリマーは、本出願においてヒドロキシスチレンモノマーから誘導されるフェノール性基を含む単位として称する構造(I)の少なくとも一種の単位を含む。
【0015】
【化3】

【0016】
式中、R'は、独立して、水素、(C1〜C4)アルキル、塩素、臭素から選択され、そしてmは1〜4の整数である。本発明のネガ型フォトレジストのアルカリ可溶性ポリマーは、少なくとも一種の置換されているかまたは置換されていないヒドロキシスチレンモノマーから合成することができる。このヒドロキシスチレンモノマーは、3−ヒドロキシスチレンまたは4−ヒドロキシスチレンであることができる。このヒドロキシスチレンモノマーは、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシスチレン、または3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシスチレンから選択することもできる。該ポリマーは、構造(I)の単位を含むホモポリマー、または構造(I)の単位と、不飽和結合を含む少なくとも一種の他のモノマー単位から誘導される単位とを含むコポリマーであることができる。二種またはそれ以上の種のモノマー性単位を含み、例えばターポリマーまたはテトラポリマーを形成するポリマーも本発明に使用することができる。コモノマー性単位は、次の構造(III)のものであることができる。
【0017】
【化4】

【0018】
式中、R''は、独立して、水素、(C1〜C4)アルキルから選択され、R8は、置換されているかまたは置換されていない芳香族基、水素、置換されているかまたは置換されていない脂肪環式基、炭素原子数1〜20の線状または分枝状脂肪族基である。R8は更にヘテロ原子、例えば酸素、窒素及びハロゲン(例えばフッ素、塩素及び臭素)原子から選択されるヘテロ原子を含んで、アルコール、エーテル、エステル、アミン、アミド、側鎖ハライド基またはウレタンなどの基を形成することができる。R8は、置換されているかもしくは置換されていないフェニル; エステル; アラルキル; アルキルエステル; 線状もしくは分枝状アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びこれらの類似物; シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、シクロヘプチル及びこれらの類似物; ビシクロアルキル、例えばビシクロヘキシル; アダマンチル類またはシアノ、アミド、アセテート、プロピオネート、ピロリドン、カルバゾール、及びハライド(フッ化物、塩化物及び臭化物)などの基によって例示することができる。該ポリマー中のコモノマー性単位は、更に、次の構造(IV)によって表すことができる。
【0019】
【化5】

【0020】
式中R''は、独立して、水素及び(C1〜C4)アルキルから選択される。R9は、置換されているかまたは置換されていない芳香族基、置換されているかまたは置換されていない脂肪環式基、炭素原子数1〜20の線状または分枝状脂肪族基、及び水素である。R9は更にヘテロ原子、例えば酸素、窒素及びハロゲン原子から選択されるヘテロ原子を含んで、アルコール、エーテル、エステル、アミン、アミドまたはウレタンを形成することができる。R9は、置換されているかもしくは置換されていないフェニル; エステル; アラルキル; アルキルエーテル; 線状もしくは分枝状アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びこれらの類似物; シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、シクロヘプチル及びこれらの類似物; ビシクロアルキル、例えばビシクロヘキシル; アダマンチル類などの基によって例示することができる。
【0021】
上記の定義において及び本明細書全体にわたり、特に断りがない限り、使用する各用語は以下の通りである。
【0022】
アルキルは、所望の炭素原子数及び価数を有する線状もしくは分枝状アルキルを意味する。アルキル基は、一般的に脂肪族であるが、環状または非環状であることができる。適当な非環状基は、メチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、iso−またはtert−ブチル、線状もしくは分枝状ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル及びヘキサデシルであることができる。特に断りがない限り、アルキルは1〜10個の炭素原子部を指す。環状アルキル基は、単環式もしくは多環式であることができる。単環式アルキル基の例には、置換されたシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル基などが挙げられる。置換基は、本明細書に記載の非環式アルキル基の任意のものであることができる。
【0023】
適当な二環式アルキル基としては、置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1] オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、及びビシクロ[3.3.2]デカン及びこれらの類似物などが挙げられる。三環式アルキル基の例には、トリシクロ [5.4.0.0.2,9]ウンデカン、トリシクロ[4.2.1.2.7,9]ウンデカン、トリシクロ [5.3.2.0.4,9]ドデカン、及びトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカンなどが挙げられる。本明細書の記載において、環状アルキル基は、上記の非環式アルキル基のうちの任意のものを置換基として有することができる。
【0024】
アルキレン基は、上記のアルキル基のうちの任意のものから誘導される二価のアルキル基である。アルキレン基について言及する際には、これらには、アルキレン基の主たる炭素鎖中において(C1〜C6)アルキル基で置換されたアルキレン基も包含される。アルキレン基は、アルキレン部分中に一つまたはそれ以上のアルキン基も含み得る。ここでアルキンとは三重結合のことである。本質的には、アルキレンは、主鎖としての二価の炭化水素基である。それ故、二価の非環式基は、メチレン、1,1−もしくは1,2−エチレン、1,1−、1,2−もしくは1,3プロピレン、2,5−ジメチルヘキセン、2,5−ジメチルヘキサン−3−イン及びその他のものであることができる。同様に、二価の環状アルキル基は、1,2−または1,3−シクロペンチレン、1,2−、1,3−または1,4−シクロへキシレン、及びこれらの類似物などであることができる。二価の三環式アルキル基は、上記の三環式アルキル基のうちの任意のものであることができる。本発明において特に有用な三環式アルキル基の一つは、4,8−ビス(メチレン)−トリシクロ[5.2.1.0.2,6 ]デカンであることができる。
【0025】
アリール基は6〜24個の炭素原子を含み、これには、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、アントラシル、ビフェニル類、ビス−フェニル類、トリス−フェニル類及びこれらの類似物などが挙げられる。これらのアリール基は、更に、上記の適当な置換基、例えばアルキル、アルコキシ、アシルまたはアリール基のうちの任意のもので置換されていてもよい。同様に、望む通りの適当な多価アリールを本発明に使用することができる。二価のアリール基の代表的な例には、フェニレン類、キシリレン類、ナフチレン類、ビフェニレン類、及びこれらの類似物などが挙げられる。
【0026】
アルコキシは、炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分枝状鎖を意味し、これには、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノナニルオキシ、デカニルオキシ、4−メチルヘキシルオキシ、2−プロピルヘプチルオキシ、及び2−エチルオクチルオキシなどが挙げられる。
【0027】
アラルキルは、置換基が結合したアリール基を意味する。置換基は、アルキル、アルコキシ、アシルなどの任意のものであることができる。炭素原子数7〜24の一価のアラルキルの例としては、フェニルメチル、フェニルエチル、ジフェニルメチル、1,1−もしくは1,2−ジフェニルエチル、1,1−、1,2−、2,2−もしくは1,3−ジフェニルプロピル、及びこれらの類似物などが挙げられる。望ましい価数を有する本明細書に記載の置換されたアラルキル基の適当な組み合わせを、多価アラルキル基として使用することができる。
【0028】
(メタ)アクリレートという用語はメタクリレートまたはアクリレートを、そしてこれに類似して(メタ)アクリルという用語はメタアクリルもしくはアクリルを指す。
【0029】
更に、本明細書で使用する“置換されている”という用語は、全ての可能な有機化合物置換基を包含することが意図される。広い意味では、可能な置換基としては、非環式もしくは環式、分枝状もしくは非分枝状、炭素環式もしくはヘテロ環式、芳香族もしくは非芳香族の有機化合物置換基などが挙げられる。例示的な置換基としては、例えば、上述のものなどが挙げられる。可能な置換基は、適当な有機化合物において一つまたはそれ以上で、同一かまたは異なることができる。本発明の目的においては、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、及び/またはヘテロ原子の価数を満足する本明細書に記載の可能な有機化合物置換基の任意のものを有することができる。本発明は、可能な有機化合物置換基によっては如何様にも限定されることは意図していない。
【0030】
アルカリ可溶性ポリマーは、酸解裂性(不安定)結合を含むことができ、この結合は、酸の存在下に、ポリマーを、水性アルカリ現像剤または剥離剤中に対して一層より容易に可溶のものにする。この酸は、熱的に及び/または光化学的に発生させることができる。この酸解裂性結合は、好ましくは、酸解裂性C(O)OC、C−O−CまたはC−O−Si結合を含む。本明細書で有用な酸解裂性基の例には、アルキルまたはシクロアルキルビニルエーテルから形成されるアセタールまたはケタール基、適当なトリメチルシリルまたはt−ブチル(ジメチル)シリル前駆体から形成されるシリルエーテル、及びt−ブチルアセテート、アミルアセテート、1−アルキルシクロアルキルアセテートまたは1−アルキルアダマンチルアセテート前駆体から形成されるカルボキシレートなどが挙げられる。また、(tert−ブトキシカルボニル)メチル及びこれの(C1〜C6)アルキル同族体などの基も有用である。該酸不安定基は、ポリマー主鎖に側鎖として結合しているか、またはポリマー主鎖に結合した基に側鎖として結合していることができる。該酸解裂性基は、上記ヒドロキシスチレンモノマー性単位を、上記酸解裂性基を含む化合物で部分的にキャップすることによって形成できるか、及び/またはコモノマー中に導入することができる。
【0031】
上記コモノマーは、上記ヒドロキシスチレンモノマーと重合して、ポリマー中に構造(I)の単位を形成することができるものであり、スチレン、ビニルナフタレン、3−または4−アセトキシスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、1−メチル−シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−メチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチル−アダマンチル−2−(メタ)アクリレート、2−エチル−アダマンチル−2−(メタ)アクリレート、2−ブチル−アダマンチル−2−(メタ)アクリレート、酸解裂性基を有する置換されているかまたは置換されていないヒドロキシスチレン、酸解裂性基を有するエチレン性コモノマー、及び酸解裂性基を有するノルボルネン誘導体などのコモノマーによって例示され得る。
【0032】
該ポリマーは、エチレン性不飽和基と反応する対応するモノマーから任意の適当な慣用の重合法によって製造することができる。このような方法には、限定はされないが、遊離基重合またはイオン重合などが挙げられる。このような方法は、典型的には、触媒または開始剤を用いて溶媒または溶媒混合物中で行われる。開始剤は、重合に使用すべき温度に依存して選択することができる。適当な遊離基開始剤の例は、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び過酸化ラウロイルである。場合により、連鎖移動剤、例えば1−ドデカンチオールなども含まれ得る。
【0033】
構造(I)のモノマー性単位は、一つの態様では10モル%〜約100モル%の範囲、他の態様では約30モル%〜約80モル%、他の態様では約40モル%〜約70モル%の範囲であることができる。
【0034】
本発明のアルカリ可溶性ポリマーは、約2,000〜約100,000、好ましくは約3,000〜約50,000、より好ましくは約5,000〜約30,000の範囲の重量平均分子量を有する。該ポリマーは、調合物中にフォトレジストの全固形分の約5〜約75重量%、好ましくは約10〜約70重量%の範囲の量で存在する。
【0035】
本発明のネガ型フォトレジスト組成物は、光開始剤の存在下に重合可能でそして少なくとも二つのエチレン性不飽和結合を含む、光重合性モノマーも含む。この光重合性モノマーは(メタ)アクリレートであり、そして次の構造(II)によって例示することができる。
【0036】
【化6】

【0037】
式中、Wは多価の連結基であり、R1〜R6は、独立して、水素、ヒドロキシ、(C1〜C20)アルキル及び塩素から選択され、X1及びX2は、独立して、酸素またはN−R7であり、この際、R7は水素または(C1〜C20)アルキルであり、そしてnは、1に等しいかまたは1よりも大きい整数である。一つの態様では、R7は水素または(C1〜C4)アルキルである。一つの態様では、X1及びX2は酸素である。Wは多価の連結基であり、この際、Wは小分子要素またはポリマーである。多価Wの例は、二価、三価、四価、五価、六価及び七価の要素であり、そしてnは1〜約7の範囲であることができる。該モノマーは、Wがポリマーの際は、側基としてビニル基、例えば構造(II)中のアクリレート基を有するポリマーであることもできる。更に、Wは、1〜20個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキレン基であることができ、このアルキレン基は、追加的に、一つまたはそれ以上のヒドロキシ側基、アルキン結合、エステル基、エーテル基、アミド基または他の許容可能な有機基を含んでいてもよい。Wは、(C2〜C3)アルコキシル化(C1〜C20)アルキレンであることができる。一つの態様では、Wは、炭素及び水素原子のみを含む炭化水素部分である。
【0038】
上記の重合性モノマーは、分子中に少なくとも二つのエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物、例えばアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アルキルメタクリレートまたはヒドロキシアルキルメタクリレートである。この重合性化合物の例は特に限定はされず、目的に応じて適宜選択することができ、そしてアクリル酸誘導体、例えばアクリル酸エステル、及びメタクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸エステルなどが挙げられる。該重合性モノマーは、低分子量(モノマー性)または高分子量(オリゴマー性またはポリマー性)を有することができる。
【0039】
二つまたはそれ以上の二重結合を含む重合性モノマーの例には、構造(II)に示すように不飽和エステルなどが挙げられる。該重合性モノマーは、不飽和カルボン酸または不飽和酸塩化物と、エポキシ基、2個を超えるヒドロキシ基(ポリオール)、二つまたはそれ以上のアミノ基(ポリアミン)、ヒドロキシル基とアミノ基との混合物(アミノアルコール)、またはこれらの基の混合物を含む化合物との反応から誘導することができる。不飽和カルボン酸の例としては、不飽和脂肪酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、リノール酸及びオレイン酸などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。上記の不飽和カルボン酸に等価の酸塩化物も使用できる。適当なポリオールは、芳香族ポリオール、特に脂肪族ポリオール及び脂肪環式ポリオールである。脂肪族及び脂肪環式ポリオールの例には、アルキレンジオール、好ましくは炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコール; 200〜1,500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びソルビトールなどが挙げられる。芳香族ポリオールは、ビスフェノールAまたはこれの類似物であることができる。
【0040】
アミンの例は、アルキレンアミンであり、これには、1,2−エチレンジアミン、1,2−もしくは1,3−プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビスメチルアミン、2,2−エチレンジオキシビスエチルアミン及びこれらの類似物などが挙げられる。アミノアルコールの例には、3−アミノ−1−プロパノール及びこれらの類似物などが挙げられる。エポキシ化合物の例には、1,2,7,8−ジエポキシオクタン及びこれらの類似物などが挙げられる。
【0041】
比較的高分子量(オリゴマー/ポリマー性)のポリ不飽和化合物の例には、一般的にマレイン酸、フマル酸、及び一種もしくはそれ以上のジオールから製造され、そして約500〜3,000の分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0042】
ポリオールは、一種のカルボン酸または複数種の異なる不飽和カルボン酸で部分的にまたは完全にエステル化することができ、そして部分的にエステル化された化合物の場合には、遊離のヒドロキシルは変性、例えば他のカルボン酸でエステル化することができる。
【0043】
上記重合性モノマーの例は、限定はされないが、4,4'−ビス (2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、ビニルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート, トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート, ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、ペンタエリトリトールジイタコネート、ジペンタエリトリトールトリスイタコネート、ジペンタエリトリトールペンタイタコネート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトール−変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及びメタクリレート、グリセロールジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1,500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート及びこれらの混合物である。
【0044】
重合性モノマーの更に別の例には、1,2−エタンジオールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ヘキサン−1,6−ジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセリントリアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジ(ペンタエリトリトール)ペンタアクリレート、ジ(ペンタエリトリトール)ヘキサアクリレート、及びアクリル酸とポリエポキシドの反応(エポキシアクリレート)、またはアクリル酸もしくはモノマー性アルキルアクリレートとポリエステルポリオールとの反応(ポリエステルアクリレート)、または2−ヒドロキシエチルアクリレートとイソシアネートプレポリマーとの反応(ポリユリアアクリレート)によって得られるアクリレート基含有オリゴマー及びポリマー、及びアクリル化大豆油及びアクリル化シリコーン油などが挙げられる。
【0045】
該重合性モノマーは、酸解裂性基を含んでいてもよい。なお、この基は、酸の存在下に解裂して、本発明の被膜の水性アルカリ可溶性を高める化合物を生成するものである。このような酸解裂性基は、モノマー内のC(O)−OC、C−O−CまたはC−O−Si基であることができる。一般的に知られる酸解裂性基を使用することができる。一つの態様では、該酸解裂性基は、構造(II)のモノマーの酸素原子または窒素原子(X1及び/またはX2)の隣に第三炭素原子を含み、この第三炭素原子は、この炭素原子に結合した(C1〜C5)アルキル基を有する。すなわち、このモノマーは、第三アルキルエステルを含む。それで、Wは、各アクリレート末端基に結合する鎖の末端に第三炭素原子を有する(C1〜C20)アルキレン鎖であり、ここで2,5−ジメチルヘキセンがこの連結基Wの一つの例である。それ故、Wは、C(R1011)−(C1〜C20)アルキレン−C(R1213)であることができ、この際、R10、R11、R12及びR13は、独立して、(C1〜C5)アルキル基から選択される。また、Wは、追加的に、それの内にC(O)−OC、C−O−CまたはC−O−Si基などの酸解裂性基を含むこともできる。酸は、熱酸発生剤及び/または光酸発生剤を用いて熱的に及び/または光化学的に発生させることができる。
【0046】
本発明の光重合性組成物においては、該組成物は、光源に曝された時に遊離基を発生することができる少なくとも一種の光開始剤または光遊離基生成剤を含む。放射線に曝された際に遊離基を生成することができるものであれば任意の光開始剤を使用することができる。本発明の組成物中に含まれる重合性化合物の重合を開始できそして上記の光開始剤として用いることが可能なものから、一種またはそれ以上の光開始剤を選択することができる。
【0047】
上記の光開始剤の例には、限定はされないが、ベンゾフェノン、カンフルキノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレン、アクリドン、ビスアシルホスフィンオキシド類、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド及びこれらの類似物、α−ヒドロキシまたはα−アミノアセトフェノン類、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン類、及び芳香族ケトン類、例えばジアルコキシアセトフェノン; ベンゾイン及びベンゾインエーテル類、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、及びこれらの類似物; 2,4,6−トリアリールイミダゾールダイマー類、例えば2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾールダイマー、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾールダイマー、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾールダイマー、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾールダイマー、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾールダイマー; 及び米国特許第3,784,557号明細書、米国特許第4,252,887号明細書、米国特許第4,311,783号明細書、米国特許第4,459,349号明細書、米国特許第4,410,621号明細書、米国特許第4,622,286号明細書などに記載のロフィン(lophine)ダイマー化合物; ポリハロゲン化合物、例えばテトラブロモカーボン、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン及びこれらの類似物; 及び米国特許第3,615,455号明細書に記載の化合物; トリハロゲン−置換メチルを有するS−トリアジン誘導体(トリハロメチル化合物)、例えば2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン及びこれらの類似物; 有機過酸化物、例えばメチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン及びこれらの類似物; アジニウム化合物; 有機ホウ素化合物; フェニルグリオキサル酸エステル、例えばフェニルグリオキサル酸メチルエステル; チタノセン類、例えばビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム及びこれらの類似物; オニウム塩化合物、例えばジフェニルヨードニウム、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウム、4−メチル−4’−イソプロピル−ジフェニルヨードニウムまたは3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムを塩化物、臭化物、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはトリフルオロメタンスルホン酸と組み合わせて得られるジアリールヨードニウム塩及びトリアリールスルホニウム塩などが挙げられる。
【0048】
好ましい光開始剤は、ニューヨーク市タリータウン在のCiba Speciality Chemical Corp.からIRGACURE及びDAROCURの商号で入手できるものであり、これには、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン (IRGACURE 184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン (IRGACURE 2959)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン (IRGACURE 369)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン (DAROCUR 1173)などが挙げられる。特に好ましい光開始剤は、IRGACURE 819、369及び907である。
【0049】
更に、上記の光開始剤として、これらの例示した化合物の二種またはそれ以上の種のものを組み合わせて使用することもできる。これの例には、アシルホスフィンオキシド類、アルファ−ヒドロキシケトン類及びアルファ−アミノケトン類の任意の組み合わせなどが挙げられる。
【0050】
一つの態様では、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(Irgacure 907)とビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)との組み合わせが使用される。
【0051】
本発明の光重合性組成物は、更に、一つの特定の波長の放射線を吸収しそして感光性化合物に異なる波長でエネルギーを伝達する、感光剤、例えばイソプロピルチオキサントン及び3−ケトクマリンを含むことができる。
【0052】
加えて、本発明の光重合性組成物は、所謂アクセラレータ、例えばトリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びエタノールアミントリブチルアミンから得られるアシル化アミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びエタノールアミンから得られるアシル化アミンなどを含むことができる。
【0053】
酸素による重合の阻害を防ぐために、ワックス様化合物、例えばポリオレフィンを該組成物に加えることができる。混合物中へのそれらの適度な溶解性の結果、これらは、重合の開始時に混合物の表面上に浮遊し、そして重合する混合物と大気酸素との間に薄い保護層を形成すると考えられる。更に、場合により酸素による重合の阻止を防ぐアリルエーテルなどの自動酸化性化合物を加えることができる。
【0054】
本発明のネガ型組成物は、アルカリ可溶性ポリマー、不飽和光重合性モノマー、及び光開始剤を含む。前記ポリマーの濃度は、フォトレジストの全固形物の約10重量%〜約50重量%の範囲であることができ、前記モノマーの濃度は固形物の約10重量%〜約50重量%の範囲であることができ、そして前記光開始剤の濃度は、固形物の約0.5重量%〜約20重量%の範囲であることができる。
【0055】
本発明のネガ型フォトレジスト組成物は、ポリマー、光重合性モノマー及び光開始剤を含む。該組成物は、更に、熱酸発生剤(TAG)、及び/または放射線で露光した時に酸を生成する光酸発生剤(PAG)を含むことができる。その酸は、酸解裂性基と反応して、該フォトレジストを、これを除去するアルカリ性溶液または剥離剤中により可溶性のものにすると考えられる。一つの態様においては、基材上に残るフォトレジストを、基材の処理後にフォトレジストがデバイスの一部とならないように除去することが望ましい。発生した酸は、フォトレジストの成分の分子量を低下させるか、及び/またはフォトレジストの可溶性を高める基を形成する。最良で最もクリーンな方法でフォトレジストを除去することが望ましい。熱酸発生剤は、加熱時に酸を生成する。光酸発生剤は、放射線に曝された時、並びに加熱によって酸を生成する。放射線は、典型的にはフォトレジストの露光に使用した波長とは異なる一つまたはそれ以上の波長である。この酸を発生させるためには、全面露光(flood exposure)または像様露光を使用することができ、そして酸解裂性結合を切断するために基材を更に加熱することができる。
【0056】
任意の公知の熱酸発生剤及び光酸発生剤を単独でまたは混合物として使用することができる。本発明の組成物中に存在する酸解裂性結合を解裂できる強酸、特にスルホン酸類を生成できるものであれば任意の光酸発生剤(PAG)を使用することができる。酸発生性感光性化合物の適当な例には、限定はされないが、イオン性光酸発生剤(PAG)、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、または非イオン性PAG、例えばジアゾスルホニル化合物、スルホニルオキシイミド類、ニトロベンジルスルホネートエステル類、及びイミドスルホネート類などが挙げられるが、照射時に酸を生成するものであれば任意の感光性化合物を使用することができる。前記オニウム塩は、通常は有機溶剤中に可溶性の形で、多くはヨードニウムまたはスルホニウム塩として使用され、それの例は、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、及びこれらの類似物である。他の有用なオニウム塩は、2003年5月16日に出願されたシリアル番号10/439,472、2003年6月30日に出願されたシリアル番号10/609,735、2003年5月16日に出願されたシリアル番号10/439,753、及び2004年6月8日に出願されたシリアル番号10/863,042の米国特許出願に記載のものである。なお、これらの米国特許出願明細書の内容は本明細書に掲載されたものとする。使用し得る照射時に酸を生成する他の化合物は、トリアジン類、オキサゾール類、オキサジアゾール類、チアゾール類、置換された2−ピロン類である。米国特許出願公開第2002/0061464号明細書に記載のものなどのPAGも有用である。フェノール性スルホン酸エステル類、トリクロロメチルトリアジン類、ビス−スルホニルメタン類、ビス−スルホニルメタン類またはビス−スルホニルジアゾメタン類、トリフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリフェニルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジフェニルヨードニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、ジフェニルヨードニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ヒドロキシナフチルイミドトリフレート、及びこれらの同族体も可能な候補である。図1は、光活性化合物の一部の例を示す。式中、R1及びR2は、(C1〜C8)アルキルまたは(C1〜C8)アルコキシ置換基であり、nは1〜20であり、そしてRは、独立して、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、フェニル、スチリルフェニル、(C1〜C8)アルコキシ−スチリルフェニル、フリルエチリデン、(C1〜C8)アルキル置換フリルエチリデン、ナフチル、(C1〜C8)アルキルもしくは(C1〜C8)アルコキシ置換ナフチルから選択される。複数種の光活性化合物の混合物も使用できる。一つの好ましい態様では、光活性化合物としてのヨードニウム塩及びスルホニウム塩が好ましく、光活性化合物としてのスルホニウム塩がより好ましい。
【0057】
【化7】

【0058】
本発明で使用される熱酸発生剤(TAG)は、本発明に存在する光解裂性結合を解裂し得る酸、特にスルホン酸類などの強酸を加熱時に生成するものであれば任意のものであることができる。好ましくは、熱酸発生剤は、90℃で、より好ましくは120℃以上で、更により好ましくは150℃以上で活性化される。フォトレジストフィルムは、被膜と反応するのに十分な時間加熱される。熱酸発生剤の例は、ニトロベンジルトシレート類、例えば2−ニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、4−ニトロベンジルトシレート; ベンゼンスルホネート類、例えば2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネート; フェノール性スルホネートエステル類、例えばフェニル,4−メトキシベンゼンスルホネート; 有機酸のアルキルアンモニウム塩、例えば10−カンフルスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩である。種々の芳香族(アントラセン、ナフタレンまたはベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして使用することができ、これには例えば米国特許第3,474,054号明細書、同第4,200,729号明細書、同第4,251,665号明細書及び同第5,187,019号明細書に記載のものなどが挙げられる。好ましくは、TAGは、170〜220℃の温度で非常に低い揮発性を有する。TAGの例は、King IndustriesからNacure及びCDXの名称で販売されているものである。このようなTAGは、Nacure 5225及びCDX-2168Eであり、後者は、King Industries(Norwalk, Conn. 06852, USA在)からプロピレングリコールメチルエーテル中25〜30%の有効物質含有率で供給されているドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩である。
【0059】
光酸発生剤及び/または熱酸発生剤は、フォトレジストの全固形物の約0.1〜約10重量%、好ましくは固形物の0.3〜5重量%、より好ましくは固形物の0.5〜2.5重量%の範囲で配合することができる。
【0060】
本発明のフォトレジストは、他の成分、例えば添加剤、界面活性剤、染料、可塑剤、及び他の第二のポリマーを含むことができる。界面活性剤は、典型的には、良好な均一なフォトレジスト被膜の形成を補助できる、フッ素またはケイ素化合物を含む化合物/ポリマーである。或る種の染料を、望ましくない光を吸収させるために使用することができる。特に厚手のフィルムには、フィルムの流動性を助けるために、ポリマー、例えば硫黄または酸素を含むポリマーを使用することができる。可塑剤の例は、アジペート類、セバケート類及びフタレート類である。界面活性剤及び/または可塑剤は、フォトレジスト組成物中の固形物の全重量の約0.1〜約10重量%の範囲の濃度で加えることができる。第二のポリマーを、本発明の組成物に加えることができる。これらの第二のポリマーは、フォトレジスト組成物の物理的性質及びリソグラフィ性を高める性質を供し、例えばスカムのない現像を可能にする。親水性基を含むポリマーが好ましい。第二のポリマーの例は、置換されていないかまたは置換された(メタ)アクリル酸を含むポリマーまたはコポリマー、置換されていないかまたは置換された(メタ)アクリレートを含むポリマーまたはコポリマー、置換されていないかまたは置換されたビニルエステルを含むポリマーまたはコポリマー、置換されていないかまたは置換されたビニル芳香族を含むポリマーまたはコポリマー、(メタ)アクリル酸−スチレンコポリマー及びノボラックポリマーである。ノボラックポリマーは、フェノール、クレゾール類、ジ−もしくはトリメチル置換フェノール類、ポリヒドロキシベンゼン類、ナフトール類、ポリヒドロキシナフトール類及び他のアルキル置換ポリヒドロキシフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはベンズアルデヒドとを重合することによって製造することができる。第二のポリマーは、フォトレジストの全固形物の約0%〜約70%、好ましくは約10%〜約40%の範囲の量で加えることができる。
【0061】
フォトレジスト組成物の調製の際には、フォトレジストの固形成分を、これを溶解する溶剤または複数種の溶剤の混合物と混合する。フォトレジスト用の適当な溶剤には、例えば、グリコールエーテル誘導体、例えばエチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、またはジエチレングリコールジメチルエーテル; グリコールエーテルエステル誘導体、例えばエチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート; カルボキシレート類、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル及び酢酸アミル; 二塩基性酸のカルボキシレート類、例えばジエチルオキシレート及びジエチルマロネート; グリコール類のジカルボキシレート類、例えばエチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート; 及びヒドロキシカルボキシレート類、例えば乳酸メチル、乳酸エチル、グリコール酸エチル、及び3−ヒドロキシプロピオン酸エチル; ケトンエステル類、例えばピルビン酸メチルまたはピルビン酸エチル; アルコキシカルボン酸エステル、例えば3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、またはエトキシプロピオン酸メチル; ケトン誘導体、例えばメチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたは2−ヘプタノン; ケトンエーテル誘導体、例えばジアセトンアルコールメチルエーテル; ケトンアルコール誘導体、例えばアセトールまたはジアセトンアルコール; ラクトン類、例えばブチロラクトン; アミド誘導体、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド、アニソール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0062】
該フォトレジスト組成物は、当技術分野において既知の方法で調製される。
【0063】
調製したフォトレジスト組成物溶液は、フォトレジストの分野で使用される任意の慣用の方法、例えばディップコート法、スプレーコート法、ホワール(whirling)コート法、及びスピンコート法などによって基材に塗布することができる。例えばスピンコート法の場合には、使用したスピンコート装置のタイプ及びスピンコートプロセスに許される時間量の下に、所望の厚さの被膜を与えるために固形物含有率に関してフォトレジスト溶液を調節することができる。適当な基材には、限定はされないが、ケイ素、銅、アルミニウム、ポリマー性樹脂、二酸化ケイ素、金属層で被覆したケイ素、金属、ドープした二酸化ケイ素、窒化ケイ素、タンタル、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物; ヒ化ガリウム、及び他のこのようなIII/V族化合物などが挙げられる。
【0064】
本発明のフォトレジストで形成されたフォトレジスト被膜は、マイクロプロセッサ及び他の微細化された集積回路部品の製造に使用されるような銅で被覆されたケイ素ウェハに使用するのに特に適している。ケイ素/二酸化ケイ素ウェハも使用できる。また基材は、様々なポリマー性樹脂、特に反射防止膜も含むことができる。基材は、適当な組成の粘着性が促進された層、例えばヘキサ−アルキルジシラザンを含む層を有していてもよい。
【0065】
該フォトレジスト組成物溶液は、次いで基材上に塗布され、そしてこの基材は、約70℃〜約150℃の温度において、ホットプレートの場合は約30秒間〜約6分間、熱対流炉の場合は約15〜約90分間処理する。この温度処理は、フォトレジスト中の残留溶剤の濃度を減少させるために選択され、フィルム中の化合物を熱分解させることは実質的にない。一般的に、溶剤の濃度はできる限り低くすることが望まれるので、この最初の温度処理は、実質的に全ての溶剤が蒸発し、5〜200μmのオーダーの厚さのフォトレジストの被膜が基剤上に残るまで行われる。厚手のフィルムを得るために複数回の塗布を行うことができる。好ましい態様の一つでは、温度は約95℃〜約135℃である。温度と時間の選択は、ユーザーによって望まれるフォトレジストの性質、並びに使用した装置及び商業的に望まれる塗布時間に依存する。被覆された基材は、次いで、適当なマスク、ネガ、ステンシル、テンプレートなどの使用によって形成される任意の所望のパターンに、化学線、例えば約200nm(ナノメータ)〜約450nmの波長の紫外線、X線、電子ビーム、イオンビームまたはレーザー線で露光することができる。一般的に、厚いフォトレジストフィルムは、Ultratech、Karl SuessまたはPerkin Emler社製の広帯域露光ツールを用いて広帯域放射線で露光される。しかし、436nm及び365nmステッパも使用することができる。
【0066】
次いで、フォトレジストは、現像の前または後のいずれかに場合によっては露光後第二ベーク処理または熱処理に付される。その加熱温度は、約90℃〜約150℃、より好ましくは約90℃〜約130℃の範囲であることができる。加熱は、ホットプレートの場合は約30秒間〜約3分間、より好ましくは約60秒間〜約2分間、熱対流炉の場合は約30〜約45分間行うことができる。
【0067】
フォトレジストで被覆されそして露光された基材は、現像溶液中に浸漬するか、またはスプレー現像法により現像して、フォトレジストフィルムにパターンを形成する。この溶液は、好ましくは、例えば窒素噴出攪拌(nitrogen burst agitation)によって攪拌する。基材は、全てのまたは実質的に全てのフォトレジスト被膜が、露光された領域から溶解されるまで現像剤に曝しておく。現像剤としては、アンモニウム水酸化物類またはアルカリ金属水酸化物の水溶液などが挙げられる。好ましい水酸化物は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。界面活性剤及び緩衝剤などの添加剤を現像剤に加えることができる。現像溶液から被覆されたウェハを取り出した後、被膜の接着性及びフォトレジストの密度を高めるために、任意の現像後熱処理またはベーク処理を行うことができる。次いで、像が形成された基材は、当技術分野において周知のように金属、または複数種の金属の各層で被覆してバンプを形成するか、または望む通りに更に加工することができる。
【0068】
一つの態様では、該フォトレジストは、典型的には金属層を形成した後にまたは任意の他の加工段階の後に、基材から除去しなければならない。像が形成されたフォトレジストを有する基材は、加熱するかまたは露光及び加熱して、フォトレジストをアルカリ性現像剤または剥離剤中で除去する前に、このフォトレジストを可溶性にすることができる。上記のアルカリ性現像剤を使用することができる。任意の公知の剥離剤、例えばニュージャージー州ソマービル在のAZ(R) エレクトロニック・マテリアルズ・ユー・エス・エイ・コーポレーションから入手できる、AZ(R) 300T及びAZ(R) 400Tなどを使用することができる。
【0069】
特に断りがない限りは、本明細書及び特許請求の範囲で使用する成分の量、分子量などの性質、反応条件及びその他を表す全ての数値は、全ての場合において“約”という言葉によって修飾されるものと理解されたい。上で引用した文献は、各々、全ての目的に関してその内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造、使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定または減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈するべきものではない。
【実施例】
【0070】
合成例1: メタクリレートモノマーとしての2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジメタクリレート(DMHMA)の製造
5リットルの四つ首丸底フラスコに、栓を閉めた滴下漏斗、温度計及び機械的攪拌機を装備した。これを窒素置換した後、この5リットルフラスコに、875mlのテトラヒドロフラン(THF)、875mlのアセトニトリル、350g(3.4モル)のメタクリルクロライド(CH3(CH2)C-C(O)Cl)及び255g(1.7モル)の2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジールを仕込んだ。この混合物を、前記アルコールが溶解するまで窒素雰囲気下に攪拌した。この攪拌された反応混合物を約−20〜−30℃に冷却し、そして385g(3.81モル)のトリエチルアミン(TEA)を5〜20分間かけて添加した。この反応混合物を−30℃で更に30分間攪拌し、次いで攪拌せずに一晩の間に室温まで加温した。この反応混合物を脱イオン水(DI水)中に注ぎ入れ、そしてジエチルエーテルで二度抽出した。そのエーテル画分をDI水で二度洗浄し、次いでエーテル画分を分離しそして硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテルを、室温の水浴中でロータリーエバポレータで除去した。得られた生成物の分析は次の結果を与えた:1H NMR ((CD3)2C=O) δ6.02 (s, 2H, CH2=), 5.57 (s, 2H, CH2=), 1.93 (s, 4H, CH2CH2), 1.91 (s, 6H, =CCH3), 1.51 (s, 12H, C(CH3)2); 13C NMR (CDCl3) δ167.0, 138.2, 124.8, 82.4, 35.2, 26.1, 18.6; IR (neat) 2978, 1713, 1636, 1473, 1369, 1332, 1175, 937 cm-1。
【0071】
合成例2: メタクリレートモノマーとしての3−ヘキシン−2,5−ジオールジメタクリレートの製造
1リットルの四つ首丸底フラスコに、栓を閉めた滴下漏斗、温度計及び機械的攪拌機を装備した。窒素置換した後、この1リットルフラスコに、250mlのテトラヒドロフラン(THF)、250mlのアセトニトリル、81g(0.78モル)のメタクリルクロライド、及び58gの3−ヘキシン−2,5−ジオールを仕込んだ。この混合物を、前記アルコールが溶解するまで窒素雰囲気下に攪拌した。この攪拌された反応混合物を約−20〜−30℃まで冷却し、そして90g(0.89モル)のトリエチルアミン(TEA)を5〜20分間かけて添加した。この反応混合物を−30℃で更に30分間攪拌し、次いで攪拌せずに一晩かけて室温まで加温した。この反応混合物を脱イオン水(DI水)中に注ぎ入れ、そしてジエチルエーテルで二度抽出した。そのエーテル画分をDI水で二度洗浄し、次いでエーテル画分を分離しそして硫酸マグネシウムで乾燥した。エーテルを、室温の水浴中でロータリーエバポレータで除去した。得られた生成物の分析は次の結果を与えた: 1H NMR δ 6.12 (s, 2H, CH2=), 5.90 (s, 2H, CH2=), 1.91 (s, 6H, =CCH3), 1.30 (s, 12H, C(CH3)2)。
【0072】
例1〜13及び比較例1
ここに記載の様々な調合物の調製に使用したコポリマー/ターポリマー、及び各成分が何かを表1及び表2に示す。特に断りがない限りは、全ての部及び百分率は重量部及び重量%である。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
上記の成分を表3及び4の処方に従って混合して各フォトレジスト組成物を調合した。全ての成分は、室温で供給した。
【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
上記のフォトレジスト溶液を、6インチ(15.24cm)シリコンウェハ上に塗布し、そして115℃で4〜10分間ベーク処理して溶剤を除去し、20〜60μmの膜厚を達成した。この被覆されたウェハを、500〜2500mJ/cm2の範囲のエネルギーでCarl Suss MA200マスクアライナーを用いて露光した。これらのウェハを、0.261N水酸化テトラメチルアンモニウム現像剤の水溶液中で現像した。
【0079】
マスク上のパターンを保持するのに必要な露光エネルギーを各々のサンプルについて計算した。現像前と現像後の膜厚を、Foothill KT−22膜厚測定ツール(カリフォルニア州ラ・カナダ在のFoothill Instrumentsから入手可能)を用いて測定し、膜厚の減りを計算した。得られた結果を表5に示す。ウェハの表面品質を、光学顕微鏡で検査した。表5において、記号“○”は、フォトレジストの表面が、現像剤中に僅かにしか溶けなかったために滑らかでかつ艶があることを示し、他方、記号“X”は、現像剤中にフォトレジストが溶解したために表面が滑らかでなかったことを示す。側壁の輪郭及び基材に対する接着性をSEM観察に従い評価した。保持された膜厚/最小の図形(feature)の比率を計算することによって、解像度を評価した。結果を表5に示す。
【0080】
【表5】

【0081】
銅メッキ相溶性の試験
例6のフォトレジストを、銅メッキした6インチ(15.24cm)のシリコンウェハ上に塗布した後、115℃で5分間ホットプレートで乾燥して、20μmの膜厚を有する被膜を得た。この被膜を、1000mJ/cm2のエネルギーでCarl Suss MA200マスクアライナーを用いて露光した。水酸化テトラメチルアンモニウムの0.261N水溶液を用いて現像した。フォトレジストと電解液(Microfab(R) Cu 200)との相溶性試験を行って、この電解液が、化学的及び電解化学的条件下にフォトレジストを攻撃しないことを確認した。フォトレジストに亀裂が生じずかつ接着不良がないことが観察された。電気メッキ液としては、Microfab(R) Cu 200(06477 コネチカット州オレンジ在のEnthone Inc.から入手)を使用した。Cuバンプのメッキを、4アンペア/デシメータ2(ASD)の電流密度で30分間、2cm×2cmのパータン化されたウェハを入れたビーカーから行った。メッキされたCu構造体は、電流密度及びメッキ時間に依存して厚さが変化した。メッキ後、ニュージャージー州ソマービル在のAZ エレクトニック・マテリアルズ ・ユー・エス・エイ コーポレーションから入手できるAZ 400T 剥離液を用いてフォトレジストを除去した。メッキされたCu構造体、及びレジスト側壁の輪郭の断面を、AMRAY 4200L電子顕微鏡を用いて走査電子顕微鏡(SEM)により評価した。フォトレジストの表面は滑らかであり、亀裂がなかった。これは、メッキ液との相溶性があることを示している。基本ポリマーの化学構造の類似性のため、例1〜5並びに例7及び8の他のフォトレジストも、Cuメッキ液との相溶性を示すことが期待できる。
【0082】
比較例1のフォトレジストの調製のためにSB404オリゴマーを使用した。例6の場合と同じ評価を行って、このフォトレジストの性能を評価した。結果を表5に示す。比較例1のフォトレジストは、例1〜8のフォトレジストと比べると接着が弱く、解像度が低かったが、銅メッキ液との相溶性はあった。
【0083】
例14〜18及び比較例2
例14〜18は、表6に示すように、フォトレジスト調合物に追加の第二のポリマーの使用の例である。ノボラックの含有率は、例14〜17では基本ポリマー中で30%〜50%の間で変化させた。例18では、アクリル酸−スチレンコポリマーは基本ポリマーの13.4%であった。これらのフォトレジストは、表6に従い調合した。例1〜8の場合と同じリソグラフィ評価を行った。結果を表7に示した。これらのフォトレジストは、露光エネルギーはより高いものが必要であるが、良好なリソグラフィ性能を示した。
【0084】
比較例2では、基本ポリマーとして100%ノボラックを使用した。このフォトレジストは、良好なリソグラフィ性能を示さなかった。
【0085】
【表6】

【0086】
【表7】

【0087】
例19〜21及び比較例3及び4
表8に従いフォトレジスト組成物を調合した。例20及び21の処方には、表8に示すように、それぞれ0.28%のTPSNf及び0.58%のTAG2359を使用した。例19の処方にはPAGまたはTAGも使用しなかった。これらのフォトレジストを例1〜8の場合と同じようにリソグラフィに関して評価した。その結果を表9に示す。更に、現像後に、例19及び20のパターン化したフォトレジスト膜を、130mJ/cm2で深紫外線ランプ下に露光し、次いで80℃で30秒間、露光後ベーク処理した。例20のフォトレジスト膜を、水酸化テトラメチルアンモニウムの0.261N水溶液中に室温で20分間、浸漬して、基材から除去した。例19のフォトレジスト膜は、例20と同じ剥離条件下に基材上に保持された。例21のパターン化されたフォトレジスト膜を、200℃のホットプレートで2分間、ハードベーク処理し、そして水酸化テトラメチルアンモニウムの0.261N水溶液中に室温で20分間、浸漬して基材から除去した。
【0088】
【表8】

【0089】
【表9】

【0090】
比較例3及び4では、表8に示すように、0.24%及び0.41%のTPSNfを処方に混ぜた。例20と同じリソグラフィ評価を、比較例3及び4について行った。結果は表9に示す。深紫外線露光及び露光後ベーク処理の後、比較例3のフォトレジスト膜を、水酸化テトラメチルアンモニウムの0.261N水溶液中に浸漬しそしてこのフォトレジスト膜を40分で基材から除去した。比較例4では、深紫外線露光及びPEBの後に水酸化テトラメチルアンモニウムの0.261N水溶液中で基材からフォトレジスト膜を除去した。しかし、比較例4のリソグラフィ評価は、望ましくないフッティングを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 少なくとも一種のアルカリ可溶性ポリマー、但し、このポリマーは、次の構造(I)
【化1】

[式中、R’は、独立して、水素、(C1〜C4)アルキル、塩素及び臭素から選択され、そしてmは1〜4の整数である]
で表される少なくとも一種の単位を含み、
b) 次の構造(II)
【化2】

[式中、Wは、多価の連結基であり、R1〜R6は、独立して、水素、ヒドロキシ、(C1〜C20)アルキル及び塩素から選択され、X1及びX2は、独立して、酸素またはN−R7であり、この際、R7は、水素または(C1〜C20)アルキルであり、そしてnは、1に等しいかまたはそれよりも大きい整数である]
で表される少なくとも一種のモノマー、及び
c) 少なくとも一種の光開始剤、
を含む、ネガ型フォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記アルカリ可溶性ポリマーが、更に酸解裂性基を含むか及び/または前記構造(II)のモノマーが酸解裂性基を含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記酸解裂性基が、C(O)−O−C、C−O−C及びC−O−Siから選択される、請求項2の組成物。
【請求項4】
構造(I)の単位が、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシスチレン、及び3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシスチレンから選択されるモノマーから誘導される、請求項1〜3のいずれか一つの組成物。
【請求項5】
前記アルカリ可溶性ポリマーが、更に、少なくとも一種の追加のモノマー性単位を含む、請求項1〜4のいずれか一つの組成物。
【請求項6】
前記追加のモノマー性単位が、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタクリレート)、フェニル(メタクリレート)、ベンジル(メタクリレート)、スチレン、酸解裂性基を有するヒドロキシスチレン、酸解裂性基を有するエチレン性コモノマー、及び酸解裂性基を有するノルボルネン誘導体から選択されるモノマーから誘導される、請求項5の組成物。
【請求項7】
前記多価連結基Wが、ポリマー、(C1〜C20)アルキレン及び(C2〜C3)アルコキシル化(C1〜C20)アルキレンの少なくとも一つから選択される、請求項1〜6のいずれか一つの組成物。
【請求項8】
構造(II)において、nが1〜7の範囲である、請求項1〜7のいずれか一つの組成物。
【請求項9】
構造(II)の化合物が、ジ(メタ)アクリレートモノマーである、請求項1〜8のいずれか一つの組成物。
【請求項10】
前記モノマーが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタクリレート)、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタクリレート)、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサン−3−イン−ジオールジ(メタクリレート)、グリセリントリ(メタクリレート)、ペンタエリトリトールテトラ(メタクリレート)、ペンタエリトリトールペンタ(メタクリレート)、及びペンタエリトリトールヘキサ(メタクリレート)の少なくとも一種から選択される、請求項1〜9のいずれか一つの組成物。
【請求項11】
前記光開始剤が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの少なくとも一種である、請求項1〜10のいずれか一つの組成物。
【請求項12】
熱酸発生剤及び/または光酸発生剤を更に含む、請求項1〜11のいずれか一つの組成物。
【請求項13】
第二のポリマーを更に含む、請求項1〜12のいずれか一つの組成物。
【請求項14】
前記第二のポリマーが、置換されていないかもしくは置換された(メタ)アクリル酸を含有するポリマーもしくはコポリマー、置換されていないかもしくは置換された(メタ)アクリレートを含有するポリマーもしくはコポリマー、置換されていないかもしくは置換されたビニルエステルを含むポリマーもしくはコポリマー、置換されていないかもしくは置換されたビニル芳香族を含むポリマーもしくはコポリマー、(メタ)アクリル酸−スチレンコポリマー、及びノボラックポリマーから選択される、請求項13の組成物。
【請求項15】
組成物が、約2μm〜約200μmの範囲の厚さの膜を形成する、請求項1〜14のいずれか一つの組成物。
【請求項16】
次の段階、すなわち
a) 請求項1〜15のいずれか一つの組成物から基材上にフォトレジスト被膜の層を形成する段階、
b) 露光装置を用いて前記フォトレジストを像様露光する段階、及び
c) 被膜を現像剤で現像する段階、
を含む、ネガ型フォトレジストに像を形成する方法。
【請求項17】
前記フォトレジスト被膜が、約2μm〜約200μmの範囲の膜厚を有する、請求項16の方法。
【請求項18】
像様露光のための放射線が、200nmを超える一つまたはそれ以上の波長を有する、請求項16または17の方法。
【請求項19】
基材からフォトレジスト被膜を除去する段階を更に含む、請求項16〜18のいずれか一つの方法。
【請求項20】
前記除去段階が、現像段階の後にフォトレジスト膜を加熱し、そして水性アルカリ性溶液中で基材からフォトレジスト膜を除くことを含む、請求項19の方法。
【請求項21】
前記フォトレジスト膜を露光することを更に含む、請求項16〜20のいずれか一つの方法。
【請求項22】
現像剤が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも一種の化合物を含む水溶液を含む、請求項16〜21のいずれか一つの方法。
【請求項23】
請求項1〜15のいずれか一つの組成物の、ネガ型フォトレジストとしての使用。

【公表番号】特表2009−531730(P2009−531730A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502251(P2009−502251)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000899
【国際公開番号】WO2007/110773
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】