説明

ハイブリッド車両における無負荷回転数制御方法および装置


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行技術
本発明はハイブリッド車両のための制御方法から出発し、該ハイブリッド車両の駆動ユニットは電動機ならびに内燃機関を含む。出力要求および走行状況に応じて内燃機関が始動され、内燃機関の回転エネルギーが電動機に伝達される、および/または、車両の前進運動のために使用される。一般的に変速機およびクラッチは、電動機と内燃機関の間における適当な機械的接続を提供する。
【0002】
欧州公開第1571315号明細書は、始動過程中にスタータによって駆動される内燃機関を備える駆動ユニットの無負荷回転数制御を開示している。ここでは連続して駆動制御される2つの回転数が考慮されている。
【0003】
内燃機関はもちろん無負荷回転数を有しており、この無負荷回転数は最低でも約600rpmである。なぜなら低回転数は不安定性をもたらし、例えばとりわけ内燃機関の運転開始時ないし連結時に内燃機関を停止してし得るからである。このような最低限の無負荷回転数は、ハイブリッド車両に使用されるか否かに関係なく全ての内燃機関において遵守される。従来技術によれば、ハイブリッド車両における電動機にも、内燃機関の無負荷回転数に相当する最低無負荷回転数が設けられている。とりわけこれは、自動車に対して、内燃機関によって駆動される車両の走行特性と同じ走行特性を電気駆動時においても付与するために使用される。そうすると内燃機関の場合と同じように、駆動機構の連結時にはクリープ走行特性が生じる。このようなクリープ走行特性は、内燃機関によって駆動される車両を第一速ギアに入れて走行する際において既に知られているものである。
【0004】
とりわけ電動機が駆動機構として使用されている場合のこのようなクリープ走行においては効率が悪く、クラッチエレメントや、駆動ユニットと駆動機構の間の回転伝達用に使用される他の構成部材の損耗が増加する。車両駆動機構が切り離されている場合には、電動機の高い無負荷回転数によって車両推進に寄与しない著しいエネルギー消費が生じる。とりわけ油圧式トルクコンバータを使用する場合には効率が悪く、トルクコンバータは実質的に機械的負荷を呈する。
【0005】
したがって本発明によれば、アイドリング時に内燃機関に対する電動機の利点を利用できるようにするために、電動機の無負荷回転数は、内燃機関の無負荷回転数よりも低く設けられる。同時に、走行特性が阻害されることはない。なぜならこのように電動機の無負荷回転数を内燃機関の無負荷回転数の下に低減させるということは、以下のような問い合わせ、すなわち無負荷回転数が走行特性に影響を及ぼし得るか否かを認識可能にする問い合わせと、結びつけられているからである。この問い合わせは、車両の走行速度の評価ないし問い合わせ、および/または、要求トルクの評価ないし問い合わせを含む。この際、走行速度と走行速度最低値との簡単な比較によって、この走行速度がクリープ走行に相当するのか、非常に緩慢な走行に相当するのか、または静止状態に相当するのかが検出される。ここから、この緩慢な速度に基づいて回転数変化が走行特性の顕著な変化をもたらすか否かが推測される。要求トルクの検出によって、運転者が加速のために所定の回転数ないし所定のトルクを要求しているか否か、または、効率改善のための回転数低減がこの要求トルクと両立し得るか否か、がチェックされる。このために、運転者によってアクセルペダルおよび/またはブレーキペダルを介して入力された要求トルクがトルク最小値と比較され、これによって、運転者が要求するトルクが無視できる程度ないしゼロであるか否かが検出される。とりわけブレーキペダルの操作から、電動機の回転数低減が所期の走行特性と両立し得るか否かが推測される。
【0006】
ここでは電動機の回転数は、電動機の駆動軸の回転数を意味している。電動機の回転数は、電動機のロータ回転数と同じとすることができるか、または、変速または減速によってロータ回転数の何倍もの数または何分の一かの数とすることができる。
【0007】
本発明によれば、2つの問い合わせは論理OR結合によって結合される。走行速度または要求トルクが小さく、目標無負荷回転数への低減による走行特性の変化が無視できる程度のものであるか、または運転者によって認識できない程である場合に、目標無負荷回転数は内燃機関の無負荷回転数の下まで低減される。別の実施形態によれば、これら2つの問い合わせの結果はAND結合によって結合される。有利には、走行速度がゼロであるか否かが検出され、この際この走行速度は、0km/hである走行速度閾値に相当している。これと同時に、無視できない要求トルクが存在するか否かが検出される。このために、運転者がブレーキを踏み込んだかまたはニュートラルギア(Leerlaufgang)に切り替えたかが検出され、ここから要求トルクがゼロないし無視できることを推測することができる。走行速度および要求トルクの検出に基づき、目標無負荷回転数の低減によって走行特性が阻害され得ないことが検出されると、電動機は、内燃機関の最低無負荷回転数より下にある目標無負荷回転数まで制御される。
【0008】
このような制御は、従来の閉ループ制御機構に相当し、この従来の閉ループ制御機構では、目標値が設定され、実際値が測定され、これによりエラー、つまり実際値と目標値の差が検出される。調整量に影響を与えるためのエラーの適切なフィードバックにより、制御量である実際値が目標値に至るまで実際値が目標値に近づけられる。本発明を実現するためにも使用することができる従来の閉ループ制御機構は、エラーのネガティブフィードバック、ならびに、比例要素P、遅れ・微分要素D、および/または積分要素Iを含む。したがって使用されるコントローラは、P,PI,PD,またはPIDコントローラとすることができる。本発明においては、制御の実際量は電動機の実際回転数であり、目標量は電動機の目標無負荷回転数ないし目標回転数である。閉ループ制御機構の調整量は、本発明においては、電動機の励起信号として、例えば回転電磁界の速度ないし強さとして、または、電動機の1つ以上の励磁コイルの励磁電流として実現される。したがって1つないし複数の調整量として、非同期式電動機の場合には、回転する回転磁界の速度および/または強さが使用され、同期式電動機の場合には、回転電磁界の速度ないし強さが使用され、直流電動機の場合には、励磁コイルを流れる電流および電機子コイルを流れる電流が使用される。電動機に関連した速度は、角速度、周速度、所定の回転数または所定の回転磁界周波数を含む。
【0009】
車両の走行速度および要求トルクは、目標無負荷回転数の低減をトリガするために、必ずしもゼロと同じでなければならないということはない。そうではなくて要求トルクならびに走行速度は、ゼロを若干上回ることができる、ないしは、走行特性変化に関して重要でない値を有することができる。したがって走行速度閾値は、有利には0.1km/hより下にあるか、5km/hより下にあるか、または、別の速度値であって該速度値においては無負荷回転数の低減による走行特性の変化が重要でないような速度値、よりも下にある。同様にして、ブレーキペダル位置、ギアのニュートラル位置、またはアクセルペダル位置を検出することができる。本発明によれば、とりわけアクセルペダルを最小限にしか操作していない場合には、目標無負荷回転数の低減は走行特性に対して決定的な影響を及ぼさない、ないしは、運転者が許容できる程度の影響しか及ぼさない、ということを前提に出発することができる。
【0010】
これに相応して、比較的強い回転数の低減が不所望な走行特性変化を引き起こし得る場合には、目標無負荷回転数を、内燃機関の最低無負荷回転数をほんの少し下回るだけに、例えば600rpmから500rpmに低減することができる。したがって低減の度合い、ないし、目標無負荷回転数と内燃機関の最低無負荷回転数との間の差の大きさを、走行速度および要求トルクに依存するように形成することができ、この際前記差は、要求トルクが大きくなればなるほど、ないしは、走行速度が速くなればなるほど小さくなる。このために、線形の重み付けされた合計または他の関数を使用することができる。すなわち要求トルクおよび走行速度が適当に重み付けられた方法で組み合わされる。ここから目標無負荷回転数、ないし、内燃機関の無負荷回転数に対する回転数の低減の度合いが計算される。要求トルクおよび走行速度は、回転数低減に対する感度、および、運転者によって知覚される走行特性の影響、を示す尺度のために組み合わすことができる。感度が小さい場合、例えば静止状態または変速機が切り離されている場合には、回転数を非常に強く例えばゼロまで低減することができる。これに対して感度が大きい場合、例えば走行速度が2km/hを超える場合には、無負荷回転数は、内燃機関にとっては通常である値のほんの少し下までしか、例えば400〜500rpmまでしか低減されない。
【0011】
影響を与える別の量として、電動機の回転を制動する機械的負荷、例えば油圧式トルクコンバータがある。電動機の制動によって機械的負荷に受け継がれるトルクを、影響を与える別の調整量として使用することができる。したがって例えば目標無負荷回転数は、機械的負荷へのトルク出力が所定のトルク出力閾値を上回らないように選択され、この際トルク出力は電動機の回転数に直接依存している。このような制御により目標無負荷回転数は上方に向かって制限され、この際この制限はトルク出力閾値によって規定されている。実際のトルク出力とトルク出力閾値との間の差、ないしは、トルク出力の大きさ自体を検出することができ、上に述べた目標無負荷回転数の計算の際に、別の重み付けされたファクタとして使用することができる。この場合有利には以下のことが考慮される。すなわち、トルク出力は目標無負荷回転数が最低無負荷回転数に近づくほど影響力が大きくなり、したがって、要求トルクおよび走行速度とは反対に目標無負荷回転数の計算に影響を与える。
【0012】
油圧式トルクコンバータは電動機を車両の駆動車輪に結合させるために使用され、この際トルクコンバータは衝撃的な加速度変化を受ける。油圧式トルクコンバータにおいてはトルクコンバータの被駆動側と駆動側が作動液によって互いに接続されており、回転数差がある場合に作動液、例えば油が、タービンによって相互接続する。回転数差が大きくなればなるほど、トルクコンバータの被駆動側から駆動側へのトルク伝達は大きくなる。被駆動側が車両の車輪と同期して動作し、駆動側が電動機と同期して動作する場合、被駆動側の回転数が駆動側の回転数よりも回転数差だけ小さい場合には、トルクコンバータは機械的な負荷を呈する。本発明の実施形態によれば、電動機は回転数差がゼロであるように制御される。この際有利には回転数差はゼロではなく例えば一定であり、したがって無負荷回転数は、駆動側の回転数、すなわちタービン回転数を若干下回るように追従制御される。別の実施形態によれば、トルクコンバータを使用する場合に、電動機の回転数、ひいては回転数差もまた、トルク出力(すなわち電動機からトルクコンバータへ出力されるトルク)が予め決められた値、例えばゼロより大きい一定の値を有するように制御される。回転数差と同じようにトルク出力も、例えばクラッチが切り離されている場合にゼロに等しい値を有することができる。しかしながら有利には、トルク出力は、電動機の回転数がトルクコンバータの被駆動側の回転数に関連して相応に制御されることにより、予め決められた小さい値に維持される。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、電動機の実際回転数ないし電動機の目標無負荷回転数の制御時には、電動機は発電機として作動され、したがって回生が可能となる。回生時には、車両の運動エネルギーが、発電機として動作する電動機による制動によって電気的に蓄積可能なエネルギーに変換されて電気蓄積器に蓄積される。回生時の効率をできるだけ高くするために、本発明によれば、駆動用に設けられた電動機が発電機として動作され、電動機の実際回転数(車両速度、および車輪と電動機との間の伝達比から生じる)はできるだけ効率的にエネルギー生成に使用される。有利には、本発明の方法は、電動機の実際回転数の検出を含む。電動機の目標無負荷回転数は、この場合閉ループ制御の目標、すなわち制御量に相当する。この際、実際回転数はロータの回転速度を表しており、目標無負荷回転数は例えば回転する回転磁界を反映している。当業者には、電動機の機能動作から、ロータとステータの間の位相差ないし速度差が誘起電圧になり、この誘起電圧を生成された電気出力として出力することができるということは知られている。したがって高い発電機出力を達成するために、実際回転数と目標無負荷回転数との差をできる限り大きくするようにする。この際有利には、実際回転数が小さい場合には、調整設定された目標無負荷回転数が電動機の実際回転数と大きく異なり、実際回転数が大きい場合には差が小さくなる。これによってとりわけ回転数が小さい場合にも依然として高い発電機出力が生成され、これによって効率が上昇する。目標無負荷回転数と実際回転数との差は車両の制動に直接影響を与える。したがって速度低下を制限するために、有利には差が制限されているか、または相応に制御されている。さらには、この差は電気エネルギー蓄積器の充電状態に依存する。したがって電気エネルギー蓄積器の充電状態が高い場合には、発電機出力を低減するためにほんの僅かな差しか形成されず、電気エネルギー蓄積器の充電状態が低い場合には、電気エネルギー蓄積器を高速に充電するために高い発電機出力が生成されるように差が形成される。有利には、回生効率は、場合によって存在するトルクコンバータ、または、トルクコンバータと電動機とを接続するクラッチが開かれることによって増加する。したがってトルクコンバータに出力されるトルクは無視することができ、ほぼ全ての回転出力が、発電機として動作する電動機によって蓄積すべき電気エネルギーに変換される。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、電動機を制動する別の機械的負荷、例えば油圧を維持するために最低初期回転数を必要とする変速機が考慮される。最低回転数を必要とする別の機械的負荷は、例えばエアコン、照明機器、または、最低回転数ないし最低機械的回転出力を必要とする他の装置である。したがってこの制御方法は、有利には、最低目標回転数、例えば少なくとも50rpm、少なくとも100rpm、少なくとも150rpm、または少なくとも200rpmが設定され、この最低目標回転数が下回られることはない。有利には、別の上述した制御コンポーネントが目標無負荷回転数を要求する場合にも、最低回転数が下回られることはない。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、運転者の許容量が入力される。該運転者の許容量は、効率改善のために走行特性の変化を許容するための用意ないし心構えを反映している。このような入力は、上述した閾値または最低値のうちの少なくとも1つに、例えば走行速度閾値に影響を与えることができ、本発明の制御方法は、これらの閾値または最低値よりも下に、内燃機関の最低無負荷回転数を下回る目標無負荷回転数を設定することができる。このような入力はさらに、車両のアクセルペダルの操作に関連した操作閾値に影響を与えることができる。これによって、高い許容量が与えられている場合には、アクセルペダルの操作は、無負荷回転数および目標無負荷回転数を完全には影響を与えず、部分的にのみ影響を与える。制御方法による走行特性変化に関連した許容量を入力する代わりに、またはこの許容量と組み合わせて、到達距離、バッテリの充電状態、および燃料タンクの充填状態等を知るための動作パラメータも、回転数に対する制御方法の影響の強さを決定するために使用することができる。例えばタンクに殆ど燃料が残っていない場合や、バッテリの充電容量が少ししかない場合、もしくは他の理由によりできるだけ高い効率を達成すべき場合には、制御方法を、最低値、最小値、または閾値の修正によって、走行特性の著しい変化を犠牲にして効率を高めるように適合させることができる。運転者の希望により、本発明の制御方法が無負荷制御に一層強く介入するよう要求される場合には、確かに効率は上昇するが、しかし同時に走行特性は著しく変化してしまう。制御方法によるトルク制御への介入の強さは、上述した最低値、最小値、および閾値に依存しており、これらの値自体は運転者入力に依存している。
【0016】
この制御方法は、ソフトウェア、ハードウェア、またはこれらの組み合わせによって実現することができる。有利には、制御方法は少なくとも部分的にソフトウェアにおいて実現され、該ソフトウェアはコントローラにて進行する。この際、コントローラはインターフェースに接続されているか、またはインターフェースを含んでおり、このインターフェースを介して目標無負荷回転数の調整設定に関する制御信号が出力される。このようなインターフェースはさらに複数の入力側を含むことができ、これらの入力側は、回転数、トルク入力、すなわち要求トルクの入力、走行速度、またはハイブリッド車両の別の上述した動作量を検出する。本発明の制御方法によって予め決められる目標無負荷回転数に対する、実際回転数の制御ないし追従制御は、通常の目標値・実際値・制御装置が実行することができる。この目標値・実際値・制御装置もまた、ソフトウェア、ハードウェア、またはこれらの組み合わせとして、メモリを備えたマイクロコントローラの形態で実現することができ、これらは組み合わせにおいて本発明の制御方法を実現する。
【0017】
上述した車両の動作パラメータを把握するために、既に車両に既存のセンサを使用することができるか、または、データインターフェースを設けることができる。データインターフェースはデータを処理するユニットに属しており、該ユニットに複数のセンサのうちの少なくとも1つが接続されている。
【0018】
この制御方法は、シリアル式ハイブリッド駆動およびとりわけパラレル式ハイブリッド駆動のために適している。
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の方法によって生じる回転数経過と、比較のために使用する、従来技術による回転数経過とを示す図である。
【0021】
本発明の実施形態
図1は、本発明の制御方法を実施した際に生じる回転数経過を示す図である。回転数はy軸にプロットされており、Nで示されている。これに対して時間はx軸に沿ってプロットされており、tで示されている。線図の実線は電動機の実際回転数を表しており、このような線は本発明の制御方法の実施過程において生じる。時点t0まで車両は、一定に高い回転数Nfahrと結びついた、一定に速い走行速度で走行する。時点t0からは運転者の希望に従って、走行速度、ひいては電動機の実際回転数が低減される。運転者の希望によって電動機の実際回転数は持続的に低下し、時点t1において、内燃機関の最低回転数に相当する最低無負荷回転数Nmin,VBに到達する。既に述べたように内燃機関は基本的に最低回転数を有しており、該最低回転数より下では不安定な走行状態が生じる。従来技術に基づけば、時点t1から、電動機に対してもこの最低無負荷回転数Nmin,VBが維持されるところである。しかしながら本発明の制御方法は、時点t1からさらなる低減を実施する。なぜなら、電動機の作動によって内燃機関の最低無負荷回転数を考慮する必要がなくなるからである。時点t2において、実際回転数は目標無負荷回転数Nleer1,EMに達する。この目標無負荷回転数Nleer1,EMは、時点t1から予め設定され、電動機の慣性および時点t2での制御に基づいて達成される。最低無負荷回転数Nmin,VBと目標無負荷回転数Nleer1,EMとの差は、本発明の方法によって達成することができる効率改善に直接的に相応する。
【0022】
予め決められた一定の第1目標無負荷回転数Nleer1,EMが比較的高い値を有する一方で、本発明の別の実施形態によれば、非常に小さい目標無負荷回転数Nleer2,EMが設けられる。該目標無負荷回転数leer2,EMも同じく時点t1から駆動制御され、制御メカニズムによって追従され、時点t3で達成される。図1からは、この目標無負荷回転数Nleer2,EMが、例えば所定の負荷に対して最低回転数を設けるための、零からほんの少ししか相違しない値を有することが見て取れる。実際回転数の相応の経過は、破線としてNEMによって示されている。
【0023】
本発明の別の実施例において、同じく非常に低い目標無負荷回転数が設けられる。しかしながら該目標無負荷回転数は、目標無負荷回転数Nleer2,EMより若干上に位置している。この実際回転数の経過は、図1において点線Nturbによって図示されている。電動機がトルクコンバータによって被駆動部と結合されている本発明の有利な実施形態によれば、このトルクコンバータに小さいトルクが供給されるので、時点t3からの回転数差は小さい。なお、NEMは被駆動側の回転数を表しており、回転数Nturbは駆動側の回転数である。この場合、被駆動側は、車輪と結合されたトルクコンバータの接続部を意味しており、駆動側は、電動機と結合されたトルクコンバータの接続部を意味している。これによってトルクコンバータは所定の予圧より下で維持されるが、この予圧は同時に、電動機の効率が格段に悪化しないように充分に小さいものである。時点t3から実質的にゼロとなる被駆動側の回転数NEMは、実質的にゼロである走行速度に相応する。回転数Nturbと時点t3からの時間軸との間の僅かな距離は残留回転数に相当し、この残留回転数によって電動機が回転し、電動機はトルクコンバータに対して動作する。時点t2から電動機と車輪との間のクラッチが開放されると、トルクコンバータへのトルク出力は行われない。
【0024】
一般的に図1において、時点t0にて、例えば電動機の切り離し、またはブレーキの操作によって、トルク最小値を下回る要求トルクを検出することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機および内燃機関を備えるハイブリッド車両に対する、電動機の回転数制御のための制御方法において、
走行速度を検出し、
要求トルクを検出し、
前記走行速度を走行速度最低値と比較し、
トルク最小値を下回る要求トルクが検出され、かつ、前記比較によって走行速度が前記走行速度最低値を上回らないという結果に至る場合に、前記電動機は目標無負荷回転数まで制御される、
なお、該目標無負荷回転数(Nleer,EM)は、内燃機関の最低無負荷回転数(Nmin,VB)の下に位置する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記トルク最小値を下回る要求トルクの検出は、
ブレーキペダルの操作の検出、および/または、車両の被駆動側と電動機とを制御可能に接続する変速機のニュートラル位置の検出、および/または、非操作に相当する車両アクセルペダルの操作状態もしくは操作閾値を下回る操作レベルに相当する車両アクセルペダルの操作状態の検出、を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
走行速度閾値は、0.1km/hより下にあるか、0.2km/hより下にあるか、0.5km/hより下にあるか、1km/hより下にあるか、2km/hより下にあるか、または5km/hより下にある、または、走行速度閾値は実質的に0km/hであり、車輪静止状態の認識によって検出される、
ことを特徴とする請求項1または2記載の制御方法。
【請求項4】
前記電動機の目標無負荷回転数(Nleer,EM)は、500x1/分以下、400x1/分以下、200x1/分以下、100x1/分以下、50x1/分以下、または約0x1/分以下である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の制御方法。
【請求項5】
制御の調整量である前記電動機の目標無負荷回転数(Nleer,EM)は、制御の制御量である電動機と接続された機械的負荷へのトルク出力がトルク出力閾値を上回らないように制御される、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の制御方法。
【請求項6】
前記機械的負荷は、電動機と接続された駆動側および被駆動側を備えるトルクコンバータを含み、
前記被駆動側の回転数(NEM)が駆動側の回転数(Nturb)よりも回転数差だけ小さい場合に、回転数は、前記回転数差を予め決められた値に維持するように制御される、および/または、トルク出力を予め決められた値に維持するように制御される、
ことを特徴とする請求項5記載の制御方法。
【請求項7】
制御方法はさらに、電動機の実際回転数を検出するステップを含み、
前記電動機は発電機として動作され、
電動機の目標無負荷回転数(Nleer,EM)への制御は、該目標無負荷回転数(Nleer,EM)による電動機の励起を含み、
調整設定された目標無負荷回転数(Nleer,EM)と前記電動機の実際回転数との差は、実際回転数が減少するにつれ増加する、および/または、
調整設定された目標無負荷回転数(Nleer,EM)と前記電動機の実際回転数との差は、発電機として動作する電動機によって充電される電気エネルギー蓄積器の充電状態が少ない場合には、該少ない充電状態よりも上にある充電状態における、調整設定された目標無負荷回転数(Nleer,EM)と電動機の実際回転数との差よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の制御方法。
【請求項8】
電動機の回転数を制御するための回転数制御装置において、
前記電動機は、ハイブリッド車両の駆動ユニットとして使用され、
前記回転数制御装置は、車両の走行速度データを受信するよう構成された入力部と、要求トルクデータを受信するよう構成された入力部と、前記走行速度データと走行速度最低値とを比較する比較器とを備えており、
前記回転数制御装置は、該回転数制御装置の出力部と接続された制御ユニットを含み、
前記回転数制御装置は、前記制御ユニットおよび該制御ユニットに接続された回転数制御装置の出力部を介して調整値信号を供給するよう構成されており、
該調整値信号によって、電動機の目標無負荷回転数(Nleer,EM)が請求項1から7のいずれか一項記載の方法に基づいて制御される、
ことを特徴とする回転数制御装置。
【請求項9】
前記回転数制御装置はさらに、電動機のトルク出力データを受信するよう構成された入力部を含み、
前記比較器はさらに、前記トルク出力データをトルク出力閾値と比較するよう構成された、および/または、トルクコンバータの被駆動側と駆動側の回転数差を検出するよう構成された接続部を含み、
前記制御ユニットはさらに、前記回転数差または前記トルク出力を予め決められた値に制御するよう構成されている、
ことを特徴とする請求項8記載の回転数制御装置。
【請求項10】
前記回転数制御装置はさらに、電動機の実際回転数に関するデータを検出するよう構成された入力部を含む、および/または、前記電動機と接続された電気エネルギー蓄積器の充電状態を検出するよう構成された入力部を含む、
ことを特徴とする請求項8または9記載の回転数制御装置。

【図1】
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【公表番号】特表2010−540334(P2010−540334A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527404(P2010−527404)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062679
【国際公開番号】WO2009/047114
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】