説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】ワンウェイクラッチを経て伝動を行う変速段で惰性走行から加速に移行した時の加速応答を改善し、ワンウェイクラッチ係合ショックを軽減することができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】惰性走行開始時t1から加速操作時t2まで間、モータトルク目標値tTmを、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに接近して両者の回転差が目標値tΔNowc=-50rpmとなるようtTmslipとなす。よって、t2にNowciとNowcoとの回転差が小さくされ、t2〜t3の加速遅れを短縮し得ると共に、t3の直後におけるワンウェイクラッチ係合ショックを小さくし得る。更に、t2以後tΔNowcが-50rpmから徐々に0になるようにし、これが実現されるようtTm=tTmslipにするため、ワンウェイクラッチ係合ショックを更に確実に緩和し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン以外にモータ/ジェネレータからの動力によっても走行することができ、モータ/ジェネレータからの動力のみにより走行する電気走行(EV)モードと、エンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力により走行可能なハイブリッド走行(HEV)モードとを有するハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のようなハイブリッド車両に用いるハイブリッド駆動装置としては従来、様々な型式のものが提案されているが、そのうちの1つとして、特許文献1に記載のごときものが知られている。
このハイブリッド駆動装置は、エンジン回転を変速機に向かわせる軸に結合して、これらエンジンおよび変速機間にモータ/ジェネレータを具え、エンジンおよびモータ/ジェネレータ間を切り離し可能に結合する第1クラッチを有すると共に、モータ/ジェネレータおよび変速機出力軸間を切り離し可能に結合する第2クラッチをトルクコンバータの代わりに有した構成になるものである。
【0003】
かかるハイブリッド駆動装置を具えたハイブリッド車両は、第1クラッチを解放すると共に第2クラッチを締結する場合、モータ/ジェネレータからの動力のみにより走行する電気走行(EV)モードとなり、第1クラッチおよび第2クラッチをともに締結する場合、エンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力により走行可能なハイブリッド走行(HEV)モードとなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−082260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなハイブリッド車両に用いる変速機にあっては、特に、この変速機として一般的な自動変速機を用いる場合、簡易な変速制御で変速ショックをなくすことを目的として、変速機がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段を有することが多い。
【0006】
変速機がかかる変速段に投入された状態で、ハイブリッド車両をアクセルペダルの踏み込みにより加速する場合、ワンウェイクラッチが係合状態で動力伝達を行い、アクセルペダルの釈放によりコースティング(惰性)走行する場合、ワンウェイクラッチが入力側回転数を出力側回転数よりも低くされることから空転して解放状態となる。
一方ハイブリッド車両においては、上記のコースティング走行中、燃費向上のために動力源であるエンジンおよびモータ/ジェネレータを停止させておくのが普通であり、このこととも相まってハイブリッド車両の加速時に以下のような問題を生ずる。
【0007】
図13は、変速機がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入された状態で、瞬時t1〜t2にアクセルペダルの釈放(アクセル開度APO=0)によるコースティング走行が行われ、瞬時t2にアクセルペダルの踏み込み(加速操作)により加速が開始された場合の動作タイムチャートを示す。
コースティング走行開始時t1から加速操作時t2までのコースティング走行中は、上記のごとく燃費向上のために動力源であるエンジンおよびモータ/ジェネレータを停止させておくことから、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciは0にされ、
これと、ワンウェイクラッチの出力側回転数Nowcoとの回転差が大きな状態でワンウェイクラッチは解放されている。
【0008】
この状態から、瞬時t2にアクセルペダルの踏み込み(加速操作)により加速が開始されると、これによるモータ/ジェネレータ(または、これとエンジン)の駆動(モータトルク目標値tTm>0)によって、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが0から上昇し、これがワンウェイクラッチの出力側回転数Nowcoに一致するワンウェイクラッチの係合時t3より、モータ/ジェネレータ(または、これとエンジン)から車輪へ駆動力が伝達される(加速が行われる)ようになる。
【0009】
ところで、コースティング走行中にワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが、ワンウェイクラッチの出力側回転数Nowcoから大きく乖離しているため、加速操作時t2から、入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに一致するワンウェイクラッチの係合時(加速開始時)t3までの応答遅れが大きくなると共に、加速開始時t3の直後における、ハッチングを付して示す車両加速度変化から明らかなように、加速開始時t3の直後に大きなワンウェイクラッチ係合ショックを生ずる。
【0010】
本発明は、上記した型式のハイブリッド車両にあっては、加速操作時よりも前のコースティング走行中、モータ/ジェネレータの動力を車輪に伝達することなく、モータ/ジェネレータの回転速度制御によりワンウェイクラッチの入力側回転数を制御し得るとの事実認識に基づき、
かかるコースティング走行中におけるモータ/ジェネレータの回転速度制御により上記の問題を解消し得るようにしたハイブリッド車両の制御装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明によるハイブリッド車両の制御装置は、請求項1に記載したごとくに構成する。
まず前提となるハイブリッド車両につき説明するに、これは、
動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間に伝達トルク容量を変更可能な第1クラッチを介在させ、モータ/ジェネレータから駆動車輪に至る変速機を含む車輪駆動系に伝達トルク容量を変更可能な第2クラッチを挿置し、
エンジンを停止させ、第1クラッチを解放すると共に第2クラッチを締結することによりモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行モードを選択可能で、第1クラッチおよび第2クラッチを共に締結することによりエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行モードを選択可能にしたものである。
【0012】
本発明は、かかるハイブリッド車両において、
前記変速機がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入されている状態でのコースティング走行中、前記モータ/ジェネレータの回転速度制御により、前記ワンウェイクラッチの入力側回転数および出力側回転数間の回転速度差が設定値となるようワンウェイクラッチ入力側回転数を上昇させてワンウェイクラッチ出力側回転数に接近させておくよう構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
上記した本発明によるハイブリッド車両の制御装置によれば、
変速機がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入されている状態でのコースティング走行中、モータ/ジェネレータを回転速度制御することにより、ワンウェイクラッチの入力側回転数および出力側回転数間の回転速度差が設定値となるようワンウェイクラッチ入力側回転数を上昇させてワンウェイクラッチ出力側回転数に接近させておくため、
加速よりも前のコースティング走行中にワンウェイクラッチの入力側回転数が、ワンウェイクラッチの出力側回転数に対し、両者間の回転速度差が上記の設定値となるよう接近していることとなり、
加速操作時から、ワンウェイクラッチ入力側回転数が出力側回転数に一致するワンウェイクラッチの係合時(加速開始時)までの応答遅れを小さくすることができると共に、加速開始時の直後に大きなワンウェイクラッチ係合ショックが発生する事態をも解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例になる制御装置を具えたハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御システムと共に示す略線図である。
【図2】図1における統合コントローラの加速制御部分に係わる機能別ブロック線図である。
【図3】図1における統合コントローラが実行する加速制御の制御プログラムを示すフローチャートである。
【図4】図3の加速制御において第2クラッチ制御モードを決定するためのプログラムを示すフローチャートである。
【図5】車輪駆動トルク目標値を求めるときに用いる特性線図である。
【図6】図1における第2クラッチの伝達トルク容量を求めるときに用いる特性線図である。
【図7】図3における第2クラッチ締結制御部分の機能別ブロック線図である。
【図8】エンジン始動時第2クラッチ伝達トルク容量補正値の変化特性を示す特性線図である。
【図9】クラッチ伝達トルク容量目標値に対応したクラッチ油圧を求めるときに用いる特性線図である。
【図10】図9にもとづき求めたクラッチ油圧を発生させる油圧ソレノイド電流を求めるときに用いる特性線図である。
【図11】図1〜3におけるハイブリッド車両の制御装置による動作タイムチャートである。
【図12】本発明の他の実施例になるハイブリッド車両の制御装置を示す、図11と同様な動作タイムチャートである。
【図13】従来のハイブリッド車両用加速制御の動作タイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる制御装置を具えたハイブリッド車両の車輪駆動系(パワートレーン)を、その制御システムと共に示し、
1は、第1動力源としてのモータ/ジェネレータ、2は、第2動力源としてのエンジン、3L,3Rはそれぞれ、左右駆動車輪(左右後輪)である。
【0016】
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、通常の後輪駆動車と同様にエンジン2の車両前後方向後方に自動変速機4をタンデムに配置し、エンジン2(クランクシャフト2a)からの回転を自動変速機4の入力軸4aへ伝達する軸5に結合してモータ/ジェネレータ1を設ける。
【0017】
モータ/ジェネレータ1は交流同期モータとし、車輪3L,3Rを駆動する時はモータとして作用し、車輪3L,3Rを回生制動する時はジェネレータ(発電機)として作用するもので、エンジン2および自動変速機4間に配置する。
このモータ/ジェネレータ1およびエンジン2間、詳しくは、軸5とエンジンクランクシャフト2aとの間に第1クラッチ6を介挿し、この第1クラッチ6によりエンジン2およびモータ/ジェネレータ1間を切り離し可能に結合する。
ここで第1クラッチ6は、伝達トルク容量を連続的または段階的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
【0018】
モータ/ジェネレータ1および自動変速機4間、詳しくは、軸5と変速機入力軸4aとの間に第2クラッチ7を介挿し、この第2クラッチ7によりモータ/ジェネレータ1および自動変速機4間を切り離し可能に結合する。
第2クラッチ7も第1クラッチ6と同様、伝達トルク容量を連続的または段階的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
【0019】
自動変速機4は、2003年1月、日産自動車(株)発行「スカイライン新型車(CV35型車)解説書」第C−9頁〜第C−22頁に記載されたと同じものとし、複数の変速摩擦要素(クラッチやブレーキ等)を選択的に締結したり解放することで、これら変速摩擦要素の締結・解放組み合わせにより伝動系路(変速段)を決定するものとする。
従って自動変速機4は、入力軸4aからの回転を選択変速段に応じたギヤ比で変速して出力軸4bに出力する。
この出力回転は、ディファレンシャルギヤ装置を含む終減速機8により左右後輪3L,3Rへ分配して伝達され、車両の走行に供される。
ただし自動変速機4は、ワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段を有し、本実施例においては、前進第1速がそれに相当する。
【0020】
上記した図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、停車状態からの発進時などを含む低負荷・低車速時に用いられる電気走行(EV)モードが要求される場合、第1クラッチ6を解放し、第2クラッチ7を締結し、自動変速機4を動力伝達状態にする。
この状態でモータ/ジェネレータ1を駆動すると、当該モータ/ジェネレータ1からの出力回転のみが変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置を含む終減速機8を経て左右後輪3L,3Rに至り、車両をモータ/ジェネレータ1のみによって電気走行(EV走行)させることができる。
【0021】
高速走行時や、大負荷走行時や、バッテリの持ち出し可能電力が少ない時などで用いられるハイブリッド走行(HEV走行)モードが要求される場合、第1クラッチ6および第2クラッチ7をともに締結し、自動変速機4を動力伝達状態にする。
この状態では、エンジン2からの出力回転、または、エンジン2からの出力回転およびモータ/ジェネレータ1からの出力回転の双方が変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、終減速機8を経て左右後輪3L,3Rに至り、車両をエンジン2およびモータ/ジェネレータ1の双方によってハイブリッド走行(HEV走行)させることができる。
【0022】
かかるHEV走行中においては、基本的にエンジン2を最適燃費で運転させ、そして、かようにエンジン2を最適燃費で運転させるとエネルギーが余剰となる場合、この余剰エネルギーによりモータ/ジェネレータ1を発電機として作動させることで余剰エネルギーを電力に変換し、この発電電力をモータ/ジェネレータ1のモータ駆動に用いるよう蓄電しておくことでエンジン2の燃費を向上させることができる。
【0023】
なお図1では、モータ/ジェネレータ1および駆動車輪3L,3Rを切り離し可能に結合する第2クラッチ7を、モータ/ジェネレータ1および自動変速機4間に介在させたが、自動変速機4および終減速機8間に介在させてもよいし、自動変速機4内の変速段選択用の変速摩擦要素を流用するようにしてもよい。
【0024】
図1には更に、上記したハイブリッド車両のパワートレーンを成すエンジン2、モータ/ジェネレータ1、第1クラッチ6、第2クラッチ7、および自動変速機4の制御システムをも示す。
この制御システムは図1に示すように、パワートレーンの動作点を統合制御する統合コントローラ20を具え、パワートレーンの動作点を、エンジントルク目標値tTeと、モータ/ジェネレータトルク目標値tTm(モータ/ジェネレータ回転数目標値tNmでもよい)と、第1クラッチ6の伝達トルク容量目標値tTc1(クラッチ油圧ソレノイド電流Ic1でもよい)と、第2クラッチ7の伝達トルク容量目標値tTc2(クラッチ油圧ソレノイド電流Ic2でもよい)と、自動変速機4の目標変速段Gmとの組み合わせにより規定する。
【0025】
統合コントローラ20には、上記パワートレーンの動作点を決定するために、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ11からの信号、および、車速VSPを検出する車速センサ12からの信号を入力する。
【0026】
ここでモータ/ジェネレータ1は、バッテリ21からの電力によりインバータ22を介して駆動制御するが、モータ/ジェネレータ1が前記したごとく発電機として作用する間は、これからの発電電力をバッテリ21に蓄電しておくものとする。
このときバッテリ21が過充電にならないよう、バッテリコントローラ23によりバッテリ21を充電制御する。
このためバッテリコントローラ23は、バッテリ21の蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)を検出し、これに関する情報を統合コントローラ20に供給する。
【0027】
統合コントローラ20は、アクセル開度APO、バッテリ蓄電状態SOC、および車速VSPから、運転者が希望している車両の駆動力を実現可能な運転モード(EVモード、HEVモード)を選択すると共に、エンジントルク目標値tTe、モータ/ジェネレータトルク目標値tTm、第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1(またはクラッチ油圧ソレノイド電流Ic1)、第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2(またはクラッチ油圧ソレノイド電流Ic2)、および自動変速機4の目標変速段Gmをそれぞれ演算する。
エンジントルク目標値tTeはエンジンコントローラ24に供給され、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmはモータ/ジェネレータコントローラ25に供給される。
【0028】
エンジンコントローラ24は、エンジントルクTeがエンジントルク目標値tTeとなるようエンジン2を制御し、同時にエンジン回転数Ne(第1クラッチ6の入力側回転数)を検出するエンジン回転センサ15からの信号を統合コントローラ20に供給する。
モータ/ジェネレータコントローラ25はモータ/ジェネレータ1のトルクTmがモータ/ジェネレータトルク目標値tTmとなるよう、バッテリ21からの電力によりインバータ22を介してモータ/ジェネレータ1を制御する。
【0029】
統合コントローラ20は、第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1(クラッチ油圧ソレノイド電流Ic1)および第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2(クラッチ油圧ソレノイド電流Ic2)をそれぞれクラッチコントローラ26に供給する。
クラッチコントローラ26は、一方で第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1に対応したクラッチ油圧ソレノイド電流Ic1を第1クラッチ6の油圧制御ソレノイドに供給し、第1クラッチ6の伝達トルク容量Tc1が伝達トルク容量目標値tTc1に一致するよう第1クラッチ6を締結制御する。
クラッチコントローラ26は他方で、第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2に対応したクラッチ油圧ソレノイド電流Ic2を第2クラッチ7の油圧制御ソレノイドに供給し、第2クラッチ7の伝達トルク容量Tc2が第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2に一致するよう第2クラッチ7を締結制御する。
【0030】
統合コントローラ20が決定した目標変速段Gmを変速機コントローラ27に入力し、変速機コントローラ27は自動変速機4を目標変速段(目標変速比)Gmが選択されるよう変速制御する。
【0031】
なお本実施例においては、統合コントローラ20がモータ/ジェネレータコントローラ25を介してモータ/ジェネレータ1を本発明の目的に沿うよう回転数制御することにより、本発明が狙いとするハイブリッド車両の制御を行うものとする。
これがため、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iとしてモータ/ジェネレータ1の回転数を検出する第2クラッチ入力側回転数センサ13(第2クラッチ入力側回転数検出手段に相当する)、および、第2クラッチ7の出力側回転数Nc2oとして変速機入力軸4aの回転数を検出する第2クラッチ出力側回転数センサ14(第2クラッチ出力側回転数検出手段に相当する)、並びに、第2クラッチ7の作動油温Tempを検出する油温センサ16を設け、これら回転センサ13,14および油温センサ16からの信号をクラッチコントローラ26を経て統合コントローラ20に入力する。
【0032】
統合コントローラ20は、図2の機能別ブロック線図により示すように構成され、図3の制御プログラムを実行してモータ/ジェネレータ1を、本発明が狙いとする通りに回転数制御し、本発明が狙いとするハイブリッド車両の制御を行う。
図3の制御プログラムは定時割り込みにより繰り返し実行されるもので、
先ずステップS1において、各コントローラ23〜27からのデータを受信し、バッテリ蓄電状態SOCや、エンジン回転数Neや、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iおよび出力側回転数Nc2oや、第2クラッチ7の作動油温Tempや、自動変速機4の選択変速段(選択ギヤ比)Gmを読み込む。
【0033】
ステップS2においては、センサ11,12からの信号をもとにアクセル開度APOおよび車速VSPを読み込む。
ステップS3においては、アクセル開度APOからハイブリッド車両が、アクセルペダルを踏み込んだ状態(APO>0)のドライブ走行であるのか、アクセルペダルを釈放した状態(APO=0)のコースティング走行であるのかを判定する。
従ってステップS3は、図2におけるドライブ/コースト判定手段31に相当する。
【0034】
ステップS4においては、例えば図5に示す予定の駆動力マップをもとに、車速VSPおよびアクセル開度APOから車輪駆動トルク目標値tTdを検索により求める。
従ってステップS4は、図2における車輪駆動トルク目標値演算手段32に相当する。
【0035】
その後ステップS5において、バッテリ蓄電状態SOC、車輪駆動トルク目標値tTd、および車速VSPなどの車両運転状態から、第1クラッチ6を締結させるべきか、解放させるべきかを指令するための第1クラッチ制御モードfCL1を設定する。
詳細は本発明と関係ないため省略するが、緩加速発進のような低負荷、低車速のもとでは、エンジン2の燃焼効率が比較的悪いため、エンジン2を使わずモータ/ジェネレータ1のみによるEV走行を行わせるため、第1クラッチ6を解放させるべきと判定して第1クラッチ制御モードフラグfCL1=0と決定する。
【0036】
しかし、バッテリ蓄電状態SOCが設定値未満であってEV走行が困難な場合や、急加速時や高車速時のようにモータ/ジェネレータ1からの動力のみでは駆動力が不足するような走行状態のもとでは、エンジン2の動力も必要であってエンジン2を使ったHEV走行を行わせるため、第1クラッチ6を締結させるべきと判定して第1クラッチ制御モードフラグfCL1=1に決定する。
【0037】
次のステップS6においては、バッテリ蓄電状態SOC、車輪駆動トルク目標値tTd、第1クラッチ制御モードフラグfCL1、および車速VSPなどの車両運転状態から、第2クラッチ7を締結させるべきか、解放させるべきか、スリップさせるべきかを指令するための第2クラッチ制御モードフラグCL2MODEを決定する。
かかる第2クラッチ制御モードフラグCL2MODEは、図4の制御プログラムを実行して決定する。
【0038】
図4のステップS50においては、前述のステップS3での判定結果に基づき、車両がコースティング走行中か否かをチェックし、コースティング走行中であれば、第2クラッチ7を締結させておくべきであるから制御をステップS53に進め、ここで第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=1(締結)に設定する。
一方ステップS50においてコースティング走行中でないと判定する場合、つまり車両がドライブ走行中であれば、制御をステップS51に進め、ここでは、第1クラッチ制御モードフラグfCL1が0か否かを、つまり、第1クラッチ6を解放させるべきか否かをチェックする。
fCL1=0であれば、つまり、第1クラッチ6を解放してエンジン2の停止によりEV走行すべきであれば、制御をステップS52に進め、ここで車速VSPが0の停車状態か否かをチェックする。
停車状態であればステップS53において、第2クラッチ7を発進に備えて締結させておくべきであるから第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=1(締結)に設定する。
しかし、ステップS52で車速VSPが0でないと判定する時は、つまり、車両が走行している(EV走行している)時は、ステップS54において、第2クラッチ7をエンジン始動に備えてスリップ締結させておくべきであるから第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=2(スリップ)に設定する。
【0039】
ステップS51で第1クラッチ制御モードフラグfCL1が0でないと判定する時は、つまり、第1クラッチ6を締結してエンジン2の始動(運転)によりHEV走行すべきであれば、制御をステップS55に進め、ここで車速VSPが、例えばエンジン始動可能最低車速と同じに定めた設定車速VSPs未満か否かを、つまり、エンジン始動不可能車速域か、エンジン始動可能(HEV走行可能)車速域かをチェックする。
【0040】
車速VSPが設定車速VSPs未満(エンジン始動不可車速域:EV走行車速域)であれば、ステップS56において駆動トルク目標値tTdの極性を判定し、tTd>0の正駆動要求時であればステップS54において、第2クラッチ7をエンジン始動に備えてスリップ締結させておくべきであるから第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=2(スリップ)に設定する。
ステップS56で駆動トルク目標値tTd<0と判定する逆駆動要求時は、EV走行中から第2クラッチ7をスリップ締結させておくと好適なエンジン始動が行われないから制御をステップS57に進め、第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=0(解放)に設定する。
なお第2クラッチ7をスリップ締結させる目的は、エンジン始動時にモータ/ジェネレータ1に発生するトルク変動を駆動車輪に伝えないようにするためである。
【0041】
ステップS55で車速VSPが設定車速VSPs以上と判定する時、つまり、エンジン始動可能(HEV走行可能)車速域である時は、ステップS58において前回の第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE(前回)が1であったか否かを、つまり、第2クラッチが前回締結されていたか否かをチェックする。
ステップS58でCL2MODE(前回)=1と判定する時、つまり、第2クラッチが前回締結されていた場合は、ステップS53において第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=1(締結)に保つ。
【0042】
ステップS58でCL2MODE(前回)=1でないと判定する時、つまり、第2クラッチが前回スリップ状態または解放されていた場合は、ステップS59において、エンジン回転数Ne(第1クラッチ6の入力側回転数)と第2クラッチ7の入力側回転数Nc2i(第1クラッチ6の出力側回転数)とが異なる(第1クラッチ6がスリップしている)か否か、若しくは、第2クラッチ7の実スリップ回転Nc2slipが所定の設定値Nc2slipth未満であるか否かにより、第2クラッチ7のスリップ条件が成立したか否かをチェックする。
ステップS59で第2クラッチ7のスリップ条件が成立したと判定する時は、第2クラッチ7をスリップ締結させるべきであるから、ステップS54において第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=2(スリップ)に設定し、
ステップS59で第2クラッチ7のスリップ条件が成立していないと判定する時は、第2クラッチ7をスリップさせるべきでないから、ステップS53において第2クラッチ制御モードフラグCL2MODE=1(締結)に設定する。
【0043】
図3のステップS6で、図4に示す制御プログラムの実行により上述のごとく第2クラッチ制御モードフラグCL2MODEを設定した後は、図2のトルク配分手段33に相当する図3のステップS7において、上記の車輪駆動トルク目標値tTdをモータ/ジェネレータ1とエンジン2とで如何様に分担させるかを決めるための基本モータトルク目標値tTmbaseおよび基本エンジントルク目標値tTebaseを求め、
基本エンジントルク目標値tTebaseはステップS4において、そのままエンジントルク目標値tTeとしてエンジンコントローラ24に指令する。
なお車輪駆動トルク目標値tTdの分担方法は任意であり、発明と関係ないため詳細な説明をここでは省略する。
【0044】
次のステップS8においては、第2クラッチ7のスリップ回転(締結)制御を行うべきか否かをチェックする。
このチェックに当たっては、例えば、ステップS6で設定した第2クラッチ制御モードCL2MODEが2(第2クラッチ7をスリップ締結させるべき)であり、且つ、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iおよび出力側回転数Nc2o間におけるスリップ量が設定値以上である間は、第2クラッチ7のスリップ回転(締結)制御を行うべき(ON)と判定し、それ以外では第2クラッチ7の当該スリップ回転(締結)制御を行うべきでない(OFF)と判定する。
【0045】
ステップS8で第2クラッチ7のスリップ回転(締結)制御を行うべきと判定するときは、先ずステップS9おいて、運転者による車両の運転操作や、車両の走行状態に応じた第2クラッチ7の基本的な伝達トルク容量目標値tTc2baseを演算する。
この基本第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2baseは、例えばステップS4でアクセル開度APOおよび車速VSPから求めた車輪駆動トルク目標値tTdと同じ値にしてもよいが、以下のようにして求めることもできる。
つまり、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iに対する出力側回転数Nc2oの比で表される速度比E(=Nc2o/Nc2i)から、図6に例示するトルクコンバータ特性に基づき第2クラッチ7の伝達トルク容量係数Cc2を求め、これと、第2クラッチ7の入力側回転数Nc2iとを用いた次式の演算により、基本クラッチ伝達トルク容量目標値tTclbaseを求めてもよい。
tTc2base=Cc2×Nc2i2 ・・・(1)
【0046】
図3の破線で囲った枠内におけるステップS10〜S18は、第2クラッチ7のスリップ制御用伝達トルク容量目標値tTc2slipを求めるブロックで、図2における第2クラッチスリップ制御用伝達トルク容量目標値演算手段34に相当し、このブロックを線図で表すと図7に示すごときものとなる。
図3のステップS10においては、ステップS4で求めた駆動トルク目標値tTdから後述するごとく、第2クラッチ7の出力側回転数目標値tNc2oを求めると共に、第2クラッチスリップ回転数目標値と、第2クラッチ出力側回転数検出値Nc2o(センサ14による検出値)とから、第2クラッチスリップ回転数目標値を達成するのに必要な第2クラッチ入力側回転数目標値tNc2iを求める。
【0047】
ステップS10での第2クラッチ出力側回転数目標値tNc2oの演算要領を説明するに、
図7に第2クラッチ出力側回転数目標値演算部52として示すごとく、駆動トルク目標値tTdと、車両慣性モーメントJoと、車輪駆動系における自動変速機4の選択変速段で決まる変速比Gmと、車輪駆動系における終減速機8の最終減速比Gfとに基づき、第2クラッチ7のクラッチ出力側回転数目標値tNc2oを次式
tNc2o={(Gm・Gf)2/Jo}×(1/s)×tTd ・・・(2)
の演算により求める。
【0048】
図3のステップS10で上述のごとくにして第2クラッチ出力側回転数目標値tNc2oおよび第2クラッチ入力側回転数目標値tNc2iを求めた後のステップS11は、図7に示すフィードフォワード(位相)補償演算部51に相当するもので、ここにおいてはフィードフォワード(位相)補償器Gff(s)を用いて、ステップS9で求めた基本第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2baseに位相補償を施し、フィードフォワード制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値Tc2ffを演算する。
【0049】
このフィードフォワード制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2ffの演算に当たっては実際には、タスティン近似などで離散化して得られた以下の漸化式を用いて当該演算を行うこととする。
Tc2ff=GFF(s)×tTc2base
={Gc2ref(s)/Gc2(s)}×tTc2base
={(τc2・s+1)/(τc2ref・s+1)}×tTc2base ・・・(3)
但し、Gc2ref(s):第2クラッチの規範モデル
Gc2(s):第2クラッチの実際モデル
τc2:第2クラッチのモデル時定数
τc2ref:第2クラッチ制御用規範応答時定数
【0050】
次のステップS12は、図7における第2クラッチ出力側回転数規範値演算部53に相当するもので、ここにおいては、上記のクラッチ出力側回転数目標値tNc2oを第2クラッチ7の規範モデルGc2ref(s)に通して、この規範モデルに一致させるための第2クラッチ出力側回転数規範値Nc2orefを演算する。
【0051】
この第2クラッチ出力側回転数規範値Nc2orefの演算に当たっては実際には、タスティン近似などで離散化して得られた以下の漸化式を用いて当該演算を行うこととする。
Nc2oref=Gc2ref(s)×tNc2o
={1/(τc2ref・s+1)}×tNc2o ・・・(4)
但し、τc2ref:第2クラッチ制御用規範応答時定数
【0052】
図7の第2クラッチ出力側回転数偏差演算部54においては、上記第2クラッチ出力側回転数規範値Nc2orefと、第2クラッチ出力側回転数検出値Nc2oとの間における第2クラッチ出力側回転数偏差Nc2oerr(=Nc2oref−Nc2o)を演算する。
【0053】
図3のステップS13は、図7における第2クラッチ伝達トルク容量補正値演算部55に対応するもので、上記の第2クラッチ出力側回転数偏差Nc2oerrを0にするための、つまり、第2クラッチ出力側回転数規範値Nc2orefに第2クラッチ出力側回転数検出値Nc2oを一致させるための第2クラッチ伝達トルク容量のフィードバック制御量である第2クラッチ伝達トルク容量補正値Tc2fbを算出する。
この第2クラッチ伝達トルク容量補正値Tc2fbの演算に当たっては実際には、タスティン近似などで離散化して得られた以下の漸化式を用いて当該演算を行うこととする。
Tc2fb={Kc2p+(Kc2i/s)}・Nc2oerr ・・・(5)
但し、Kc2p:比例制御ゲイン
Kc2i:積分制御ゲイン
【0054】
次のステップS14においては、第1クラッチ6を解放状態から締結させて行うエンジン始動時に必要な第2クラッチ7の伝達トルク容量補正(低下)値ΔTc2eを、以下のようにして求める。
ステップS5で設定した第1クラッチ制御モードフラグfCL1が1で、第1クラッチ6を締結させるべきとの判定にもかかわらず、未だ第1クラッチ6が締結していない(Ne≠Nc2iである)場合、
エンジン始動時第2クラッチ伝達トルク容量補正値ΔTc2eを、エンジン始動用モータトルクTengstと、アクセル開度APOとの関数として求め、例えば、図8に示すようなマップを基にエンジン始動用モータトルクTengstおよびアクセル開度APOから、エンジン始動時第2クラッチ伝達トルク容量補正値ΔTc2eを検索する。
【0055】
図3のステップS15およびステップS16は、図7における第2クラッチスリップ回転制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値演算部56に対応するもので、
ステップS15においては、前記したフィードフォワード制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2ffと、前記した第2クラッチ伝達トルク容量補正値Tc2fbとを合算した後、この合算値から前記したエンジン始動時第2クラッチ伝達トルク容量補正値ΔTc2eを差し引いて、第2クラッチスリップ回転制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値Tc2fbonを求め、
ステップS18において、この第2クラッチスリップ回転制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値Tc2fbonを第2クラッチスリップ制御用伝達トルク容量目標値tTc2slipとする。
【0056】
一方、ステップS8で第2クラッチ7のスリップ制御を行うべきでないと判定する時は、制御をステップS16に進め、ステップS10における第2クラッチ出力側回転数目標値tNc2oを第2クラッチ出力側回転数検出値Nc2oに初期化すると共に、ステップS13で第2クラッチ伝達トルク容量補正値Tc2fbを求める時に用いた積分器を0に初期化する。
【0057】
次のステップS17においては、ステップS8で第2クラッチ7のスリップ締結制御を行うべきでないと判定したのに呼応して、第2クラッチ7を締結状態や、解放状態にするための、若しくは、これら定常状態に保つための第2クラッチ通常制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboff、或いは、第2クラッチ7をこれらの定常状態からスリップ制御し始めるまでの間における第2クラッチ通常制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboffを求める。
なお、第2クラッチ7を締結状態にしたり、この定常状態に保つためのクラッチ通常制御用クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboffは、第2クラッチ7が実現可能な最大値とし、
第2クラッチ7を解放状態にしたり、この定常状態に保つためのクラッチ通常制御用クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboffは、第2クラッチ7の現在における伝達トルク容量から徐々に低下させる。
【0058】
第2クラッチ通常制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboffの演算方法を、以下個々に説明する。
(1)第2クラッチの締結時
tTc2(前回値)<tTd×Ksafeであれば、
tTc2fboff=tTc2(前回値)+ΔTc2(L/U)とし、
tTc2(前回値)≧tTd×Ksafeであれば、
tTc2fboff=tTd×Ksafeとする。
但し、Ksafe:第2クラッチ伝達トルク容量安全率(>1)
ΔTc2(L/U):第2クラッチ締結進行時トルク容量増加率
(2)第2クラッチの解放時
無条件にtTc2fboff=0とする。
(3)第2クラッチの締結状態からスリップ制御への移行時
無条件にtTc2fboff=tTc2(前回値)−ΔTc2(SLIP)とする。
但し、ΔTc2(SLIP):第2クラッチスリップ移行時トルク容量低下率
【0059】
ステップS18においては、ステップS9〜ステップS15を通るループが選択される場合、第2クラッチ7のスリップ制御を行うべきと判定したのに呼応して前記したように、ステップS15で求めた第2クラッチスリップ回転制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fbonをスリップ制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2slipとし、
ステップS16およびステップS17を通るループが選択される場合、第2クラッチ7のスリップ締結制御を行うべきでないと判定したのに呼応して、ステップS17で求めた第2クラッチ通常制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2fboffをスリップ制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2slipとする。
そしてステップS18では、上記のようにして定めたスリップ制御用第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2slipを第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2にセットする。
【0060】
次のステップS20においては、第1クラッチ6の伝達トルク容量目標値tTc1を以下のようにして決定する。
つまり、ステップS5で設定した第1クラッチ制御モードフラグfCL1が1(第1クラッチ6を締結させるべき)で、且つ、第2クラッチ7の実スリップ回転数Nc2slipが第2クラッチスリップ回転目標値(エンジン始動時はエンジン始動時第2クラッチスリップ回転目標値)以上である場合は、第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1を第1クラッチ6の実現可能最大伝達トルク容量Tc1maxとし、
第1クラッチ制御モードフラグfCL1が0(第1クラッチ6を解放させるべき)である場合は、第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1を0にする。
【0061】
次のステップS21においては、前記のように定めた第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2および上記第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1を達成するための第2クラッチ7および第1クラッチ6の油圧ソレノイド電流Ic2,Ic1をそれぞれ以下のようにして決定する。
つまり、先ず図9に例示する予定のマップをもとに第2クラッチ伝達トルク容量目標値tTc2および第1クラッチ伝達トルク容量目標値tTc1を実現する第2クラッチ7および第1クラッチ6のクラッチ油圧を検索し、
次いで図10に例示するマップをもとに当該クラッチ油圧を発生する第2クラッチ7および第1クラッチ6の油圧ソレノイド電流Ic2,Ic1をそれぞれ決定する。
かように決定した第2クラッチ7および第1クラッチ6の油圧ソレノイド電流をステップS24において、対応するクラッチコントローラ26へ供給し、このコントローラにより第2クラッチ7および第1クラッチ6を、それぞれの伝達トルク容量が目標値tTc2,tTc1に一致するよう締結制御する。
【0062】
次のステップS22は、図2におけるワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値演算手段35、ワンウェイクラッチ出力側回転数演算手段36、ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値演算手段37、ワンウェイクラッチ入力側回転数演算手段38、減算器39、およびワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値演算手段40に相当するもので、
ステップS3(図2のドライブ/コースト判定手段31)における判定結果、つまり、ハイブリッド車両が、アクセルペダルを踏み込んだ(APO>0)ドライブ走行か、アクセルペダルを釈放した(APO=0)コースティング走行かに応じ、前記したワンウェイクラッチを経て動力伝達を行う変速段が選択されている間における当該ワンウェイクラッチの入出力相対回転数目標値tΔNowcを決定し、これをモータ/ジェネレータ1の回転数制御により実現する時に必要なワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipを演算する。
【0063】
この演算は、図2におけるワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値演算手段35、ワンウェイクラッチ出力側回転数演算手段36、ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値演算手段37、ワンウェイクラッチ入力側回転数演算手段38、減算器39、およびワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値演算手段40により以下のごとくに行う。
ワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値演算手段35は、ワンウェイクラッチの入力側回転数から出力側回転数を差し引いた入出力相対回転数の目標値tΔNowcを、コースティング走行中に例えばごく僅かな-50rpmと定め、更に好ましくは、加速操作時から、ワンウェイクラッチ係合ショックの問題を生じない所定の時間変化割合で徐々に0に向かわせる。
【0064】
ワンウェイクラッチ出力側回転数演算手段36は、ワンウェイクラッチの出力側における系に関した回転速度情報、例えば車速センサ12からの情報をもとにワンウェイクラッチ出力側回転数Nowcoを演算する。
ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値演算手段37は、ワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値tΔNowcおよびワンウェイクラッチ出力側回転数Nowcoから、ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値tNowciを次式の演算により求める。
tNowci=Nowco+tΔNowc
【0065】
ワンウェイクラッチ入力側回転数演算手段38は、ワンウェイクラッチの入力側における系に関した回転速度情報、例えば第2クラッチ出力側回転数センサ14からの情報をもとにワンウェイクラッチ入力側回転数Nowciを演算する。
減算器39は、ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値tNowciからワンウェイクラッチ入力側回転数Nowciを差し引いて、ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値tNowciに対するワンウェイクラッチ入力側回転数Nowciの偏差Nowcerrを求める。
【0066】
ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値演算手段40は、この回転数偏差Nowcerrを0にして、ワンウェイクラッチ入力側回転数Nowciをワンウェイクラッチ入力側回転数目標値tNowciに一致させるのに必要なモータ/ジェネレータ1のワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipを、例えば回転数偏差Nowcerrに基づくフィードバック(PID)制御により求める。
【0067】
図3のステップS23は、図2のモータトルク目標値選択手段41に相当するもので、
ステップS3(図2のドライブ/コースト判定手段31)による判定結果に応じ、アクセルペダルを踏み込んだ(APO>0)ドライブ走行であれば、ステップS7(図2のトルク配分手段33)で求めた駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseをモータトルク目標値tTmとして選択し、
アクセルペダルを釈放した(APO=0)コースティング走行中であれば、ステップS22(図2のワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値演算手段40)で求めたワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipをモータトルク目標値tTmとして選択する。
【0068】
図3のステップS23(図2のモータトルク目標値選択手段41)で、コースティング走行からドライブ走行への移行に呼応し、モータトルク目標値tTmを後者のワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipから前者の駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseへ切り替えるに際しては、これを以下のごとくに行う。
入出力相対回転数の目標値tΔNowcを前記したごとくコースティング走行中に例えばごく僅かな-50rpmと定め、加速操作時から所定の時間変化割合で徐々に0に向かわせるよう定めた場合、
ステップS3(図2のドライブ/コースト判定手段31)で、アクセルペダルの踏み込みによる加速操作があったと判定する時ではなく、それよりも後であって、入出力相対回転数目標値tΔNowcが0になった時に、モータトルク目標値tTmをtTmslipからtTmbaseへ切り替える。
【0069】
しかし、入出力相対回転数の目標値tΔNowcを加速操作時以後においてコースティング走行中の-50rpmから0に向け徐々にさせない場合、
ステップS3(図2のドライブ/コースト判定手段31)で、アクセルペダルの踏み込みによる加速操作があったと判定時に、モータトルク目標値tTmをtTmslipからtTmbaseへと切り替えるのは言うまでもない。
【0070】
かように決定したモータ/ジェネレータ1のモータトルク目標値tTmをステップS24において、対応するモータ/ジェネレータコントローラ25へ供給し、このコントローラによりモータ/ジェネレータ1を、そのモータトルクが目標値tTmに一致するよう駆動制御する。
【0071】
上記した実施例になる加速制御装置の作用を、図11に基づき以下に説明する。
図11は、自動変速機4がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入された状態で、瞬時t1〜t2にアクセルペダルの釈放(アクセル開度APO=0)によるコースティング走行が行われ、瞬時t2にアクセルペダルの踏み込み(加速操作)により加速が開始された場合の動作タイムチャートを示す。
コースティング走行開始時t1から加速操作時t2までのコースティング走行中は、従来なら前記のごとくモータ/ジェネレータトルク目標値tTmを0にしておくところながら、本実施例においてはこのモータ/ジェネレータトルク目標値tTmを、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに接近(上昇)して両者間の相対回転が前記の目標値tΔNowc=-50rpmとなるよう、tTmslipに制御する。
【0072】
よって、加速操作時t2においてワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciとワンウェイクラッチの出力側回転数Nowcoとの回転差が小さくされていることとなる。
しかも本実施例においては更に、加速操作時t2以後ワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値tΔNowcが-50rpmから徐々に0になるよう、モータ/ジェネレータトルク目標値tTm=tTmslipを図11の加速操作時t2直後に実線で示すごとく決定するため、
ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに更に接近(上昇)して、ついには瞬時t3に出力側回転数Nowcoと一致する。
これによりワンウェイクラッチは係合し、このワンウェイクラッチ係合瞬時t3より、モータ/ジェネレータ1から車輪へ駆動力が伝達される(加速が行われる)ようになる。
なおワンウェイクラッチ係合瞬時(加速開始時)t3以後は、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmは、ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用の目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の目標値tTmbaseに切り替わり、通常の駆動力(トルク)制御が実行される。
【0073】
ところで本実施例によれば、コースティング走行中t1〜t2においてワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciと出力側回転数Nowcoとの回転数差が小さくされていることから、加速操作時t2においてもワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciと出力側回転数Nowcoとの回転数差が小さくされていることとなり、
この加速操作時t2から加速開始時t3までの加速遅れを図11から明らかなように、図13に示す従来の制御に比べて短縮し得ると共に、加速開始時t3の直後における車両加速度変化も図13に示す従来の制御に比べて小さくすることができる。
【0074】
本実施例によれば更に、加速操作時t2以後モータ/ジェネレータ1の目標モータ/ジェネレータトルク目標値tTm=tTmslipを介した回転速度制御により、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciと出力側回転数Nowcoとの回転数差を0に向け漸減させることから、
図11に示す加速開始時t3の直後における車両加速度変化から明らかなように、車両加速度変化を益々小さくすることができる。
【0075】
なお、加速操作時t2においてワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciと出力側回転数Nowcoとの回転数差が十分に小さくされていれば、ワンウェイクラッチ係合ショックの問題を生じないため、加速操作時t2以後この回転数差を上記のごとく0に向け漸減させる制御は必ずしも必要でなく、
加速操作時t2に、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmを破線Aで示すごとく、ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用の目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の目標値tTmbaseに切り替えるようにしても、上記した加速応答の改善効果とワンウェイクラッチ係合ショックの緩和とを両立させることができる。
【0076】
図12は、本発明の他の実施例になる制御装置の動作タイムチャートで、
図2の手段41によるモータトルク目標値tTmの選択要領、および、手段35で設定するワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値tΔNowcを上記した各実施例と異ならせることにより当該動作は実現される。
つまり本実施例においては、瞬時t1〜t2間のコースティング走行中、モータトルク目標値選択手段41がワンウェイクラッチ入出力相対回転(回転)制御用のモータトルク目標値tTmslipをモータトルク目標値tTmとして選択するようになす。
【0077】
ところで本実施例においては、コースティング走行開始時t1から加速操作時t2までのコースティング走行中におけるワンウェイクラッチ入出力相対回転(回転)制御用モータトルク目標値tTmslipを、ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに一致して両者間の相対回転が目標値tΔNowc=0となるようなものとし、かかるtTmslipとなるようモータ/ジェネレータトルク目標値tTmを制御する。
【0078】
加速操作時t2に至ると、モータトルク目標値選択手段41がワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipに代えて、駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseをモータトルク目標値tTmとして選択するようになる。
この選択を指令される図2のモータ/ジェネレータコントローラ25は、モータトルク目標値tTmをワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseへ切り替えるに際し、
τLPFの時定数を持った次式で表される伝達関数GLPF
GLPF(s)=1/{τLPF・s+1}
のローパスフィルタにより、モータトルク目標値tTmを図12の瞬時t2〜t3における時系列変化として示すごとき所定の時間変化割合で、ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseへと徐々に変化させる。
なお、モータトルク目標値tTmのtTmslipからtTmbaseへの時間変化割合は、モータトルクの急変によるショックが問題とならない範囲で最も大きな値として、当該ショック対策と加速応答遅れの回避との両立を図る。
【0079】
よって、加速操作時t2にワンウェイクラッチ入力側回転数Nowciが確実にワンウェイクラッチ出力側回転数Nowcoと一致しており、加速操作に伴うワンウェイクラッチの係合ショックをなくすことができる。
また、加速操作時におけるモータトルク目標値tTmのtTmslipからtTmbaseへの切り替えが加速操作時t2からt3までの時間をかけて所定の時間変化割合で徐々に行われることから、瞬時t2〜t3間における車両加速度変化により明らかなごとくモータトルクの切り替えによるショックが問題にならないし、t2〜t3間の加速応答遅れが大きくなるという問題を生ずることもない。
【0080】
なお本実施例におけるように前記のローパスフィルタを用いて、モータトルク目標値tTmをワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の基本モータトルク目標値tTmbaseへと所定の時間変化割合で徐々に切り替える制御は、図11につき前述した実施例においても同様に用いることができる。
【0081】
つまり、図11においては前記したとおり、加速操作時t2以後ワンウェイクラッチ入出力相対回転数目標値tΔNowcが-50rpmから徐々に0になるようモータ/ジェネレータトルク目標値tTm=tTmslipを加速操作時t2直後に実線で示すごとくに決定し、これによりワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciを出力側回転数Nowcoに更に接近(上昇)させて、ついには瞬時t3に出力側回転数Nowcoに一致させ、これによるワンウェイクラッチの係合瞬時(加速開始瞬時)t3以後、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmを、ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用の目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の目標値tTmbaseへと切り替えて、ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御から通常の駆動力(トルク)制御に移行するが、
ワンウェイクラッチの入力側回転数Nowciが出力側回転数Nowcoに一致したワンウェイクラッチの係合瞬時(加速開始瞬時)t3に、モータ/ジェネレータトルク目標値tTmをワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用の目標値tTmslipから駆動力(トルク)制御用の目標値tTmbaseへ切り替える際、前記のローパスフィルタを用いて所定の時間変化割合で徐々に当該切り替えを行って、モータトルクの切り替えによるショックが大きくなるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 モータ/ジェネレータ
2 エンジン
3L,3R 左右駆動車輪
4 自動変速機
5 モータ/ジェネレータ軸
6 第1クラッチ
7 第2クラッチ
8 終減速機
11 アクセル開度センサ
12 車速センサ
13 第2クラッチ入力側回転センサ
14 第2クラッチ出力側回転センサ
15 エンジン回転センサ(第1クラッチ入力側回転センサ)
16 第2クラッチ作動油温センサ
20 統合コントローラ
21 バッテリ
22 インバータ
23 バッテリコントローラ
24 エンジンコントローラ
25 モータ/ジェネレータコントローラ
26 クラッチコントローラ
27 変速機コントローラ
31 ドライブ/コースト判定手段
32 駆動トルク目標値演算手段
33 トルク配分手段
34 第2クラッチ伝達トルク容量目標値演算手段
35 ワンウェイクラッチ入出力相対回転目標値演算手段
36 ワンウェイクラッチ出力側回転数演算手段
37 ワンウェイクラッチ入力側回転数目標値演算手段
38 ワンウェイクラッチ出力側回転数演算手段
39 減算器
40 ワンウェイクラッチ入出力相対回転制御用モータトルク目標値演算手段
41 モータトルク目標値選択手段
51 フィードフォワード補償演算部
52 第2クラッチ出力側回転数目標値演算部
53 第2クラッチ出力側回転数規範値演算部
54 第2クラッチ出力側回転数偏差演算部
55 第2クラッチ伝達トルク容量補正値演算部
56 最終クラッチ伝達トルク容量目標値演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間に伝達トルク容量を変更可能な第1クラッチを介在させ、モータ/ジェネレータから駆動車輪に至る変速機を含む車輪駆動系に伝達トルク容量を変更可能な第2クラッチを挿置し、
エンジンを停止させ、第1クラッチを解放すると共に第2クラッチを締結することによりモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行モードを選択可能で、第1クラッチおよび第2クラッチを共に締結することによりエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行モードを選択可能なハイブリッド車両において、
前記変速機がワンウェイクラッチを介し動力伝達を行う変速段に投入されている状態でのコースティング走行中、前記モータ/ジェネレータの回転速度制御により、前記ワンウェイクラッチの入力側回転数および出力側回転数間の回転速度差が設定値となるようワンウェイクラッチ入力側回転数を上昇させてワンウェイクラッチ出力側回転数に接近させておくようにするとともに、
前記コースティング走行状態での加速操作時は、該加速操作に起因して生じる前記モータ/ジェネレータの駆動要求から切り離して、該モータ/ジェネレータの回転速度制御により、前記ワンウェイクラッチ入力側回転数および出力側回転数間の回転速度差が前記設定値よりも小さくなるようワンウェイクラッチ入力側回転数を更に上昇させて出力側回転数に一層接近させる構成としたことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記加速操作時の前記モータ/ジェネレータの回転速度制御による前記ワンウェイクラッチ入力側回転数の更なる上昇は、ワンウェイクラッチ入出力側回転数差を0にするものであることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御装置において、
コースティング走行からの加速があり、且つ、前記モータ/ジェネレータの回転速度制御により前記ワンウェイクラッチの入力側回転数が出力側回転数に一致した時に行うべきモータ/ジェネレータの回転速度制御からトルク制御への切り替え時に、モータ/ジェネレータのモータトルク目標値を回転速度制御用の目標値からトルク制御用の目標値へ変化させるよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−158327(P2012−158327A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−60141(P2012−60141)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【分割の表示】特願2007−149568(P2007−149568)の分割
【原出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】