説明

バス時刻案内システム、情報配信サーバ、案内端末装置およびプログラム

【課題】 簡単な操作でリアルタイムな交通状況を反映した目的地への到着予想時刻を得ることができるようにする。
【解決手段】 バス時刻案内システムは、情報配信サーバ30を備え、情報配信サーバ30は、路線経路ネットワークデータベース38と、案内端末装置20が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段33と、交通情報提供サーバ51からリアルタイムで提供される交通情報を収集し、選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段37と、マッチング処理手段39と、を備え、案内端末装置20が選択したバスの路線経路に現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段37が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて到着予想時刻算出手段33が当該路線件経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置20に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスの乗客に到着時刻を案内するバス時刻案内システム、情報配信サーバ、案内端末装置およびプログラムに関するものであり、特に、携帯電話を端末装置として利用し、情報配信サーバと通信するだけで容易に交通状況に応じてリアルタイムに目的地への到着時刻を案内するようにしたバス時刻案内システム、情報配信サーバ、案内端末装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
また、航空機、列車、電車、バスなどの交通手段を用いて出発地から目的地までの経路を探索して案内する経路探索システムも知られている。このような経路探索システムは一般的には、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、各交通機関の運行時刻データをデータベース化した運行時刻データベースを参照して、乗り継ぎを含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示するように構成される。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0005】
また、交通機関に関する検索、案内を行うシステムとして、携帯電話などの端末装置から交通機関の路線情報や時刻表情報を案内する情報配信サーバに接続して所望の出発駅、出発時刻、目的駅などを指定して乗車可能な路線や列車、電車などの交通手段の情報配信を受け、端末装置に表示することができる案内システムも提供されている。一般に端末装置からこのような利用を行う場合には、ダウンロードしたい情報の存在する場所を特定するためのURL(Universal Resource Identifier)やドメイン名などのアドレス情報を端末装置に入力して当該アドレスにより特定される情報配信サーバ(情報サイト)にアクセスして所望の情報をダウンロードする構成がとられている。
【0006】
鉄道は事故や車両故障がない限り時刻表どおりに正確に運行され、適宜、主要駅への到着予想時刻がアナウンスされる。また、航空機も離陸してしまえば、現地の気象状況、空港の状況に応じて適宜目的地への到着予想時刻がアナウンスされる。これに対して高速バスや一般道を運行する路線バスは、道路状況や交通渋滞の影響を受けるため、目的地への到着時刻はまちまちである。運行時刻表はあってもそれは目安にしかすぎない。乗客は目的地までのバスに乗車してしまうと他に選択肢がなく、バスが交通渋滞に差しかかった時には到着時刻の予測が立たずイライラする。特に、予め時刻が決められた用件が目的地到着後にあり長距離バスや空港リムジンバスを利用している場合には、目的地への到着時刻が予測できずに上記のような経験をすることが多い。
【0007】
一般的に自動車や交通手段で移動する利用者に対して目的地への到着予想時刻を案内するシステムも種々提案されている。例えば、自動車用のカーナビゲーションシステムにおいては、下記の特許文献1(特開平9−81894号公報)には、目的地への到着予想時刻を算出して表示する技術が開示されている。
【0008】
この特許文献1に開示された車両用ナビゲーションシステムは、光ディスクに予め記録されている地図情報中の各道路に対する日時毎の統計的混雑度に応じた通過平均速度情報を、テーブルデータとして同光ディスクに予め記録させておき、入力装置によりドライブ計画に応じた日時及び目的地までの途中経路を入力すると、入力されたドライブの日時及び途中経路に含まれる各道路に対応して、光ディスクから読出される各道路毎の距離情報又は緯度,経度情報に基づき得られる距離情報と、同光ディスク内のテーブルデータから読出される各道路毎の対応日時の通過平均速度情報とに基づき、前記入力経路上の通過所要時間が計算され表示装置に表示されるように構成されたものである。
【0009】
上記の車両用ナビゲーションシステムでは、実際のドライブにあたっては、時間の経過とともに、一定の間隔で光ディスクに予め記憶されている日時毎の通過平均速度を参照して目的地への到着予想時刻を逐次更新して算出、表示するように構成できることも開示されている。
(過去の同日、同曜日、同時間における通過平均速度をもとに時刻予測をするものであって、実際の交通状況に応じたリアルタイムな時刻予測ではない。)
【0010】
また、交通機関を利用して移動する乗客に対して降車駅への到着を事前に予告報知するいわゆる「乗り越し防止」の技術も種々提案されている。例えば、下記の特許文献2(特開平5−16806号公報)には「列車運行データ表示装置」の技術が、また、下記の特許文献3(特開2005−41262号公報)には「到着報知システム」の技術が開示されている。
【0011】
特許文献2に車両用ナビゲーションシステムは、遅れ情報等を加味したリアルタイムの運行データが、列車に設置された親機に逐次に入力されて記憶手段に記憶され、子機を携帯した人が、親機に記憶されているデータを知りたい時に、子機の送信手段よりデータの送信開始命令の信号を発信し、この信号を親機の受信手段が受け、これにより親機の送信手段から最新の運行データが送信され、このデータを子機の受信手段で受信して記憶手段に記憶し、スイッチ手段により知りたい項目を設定すると、制御手段が子機の記憶手段から必要な情報を選択し、その情報を表示手段により表示するように構成したものであり、親機に記憶されている最新の運行データを、知りたい時に取り込み、知りたい情報を選択、表示することができるようにしたものである(列車に親機が必要、親機と通信できる子機を乗客が持つ。)。
【0012】
また、上記特許文献3に開示された「到着報知システム」は、事前に予約されている指定券の予約受付情報を利用したシステムで、改札機で乗客の指定券情報を読み取り、予約受付サーバが列車に設置された到着時刻管理サーバに乗客の到着駅情報と携帯番号、携帯メールを送信し、到着時刻管理サーバはダイヤと到着駅情報を照合して到着予定時刻を算出し、乗客の到着予定時刻を管理する。到着予定時刻になると到着時刻管理サーバは車内の無線LANで乗客の携帯端末に到着を知らせる信号を送り、信号を受け取った携帯端末がアラームを作動させて乗客に列車が到着したことを知らせるように構成している。また、列車に遅延が生じた場合は、運行管理センタのダイヤの変更を受けて、乗客の乗る列車に無線通信で変更されたダイヤを送り、到着時刻管理サーバは送られてきたダイヤをもとに、乗客の到着予定時刻を変更し、列車の遅れ時間を算出して、車内の無線LANを利用して到着予定時刻と列車の遅れ時間を知らせるようにしたものである。
【0013】
【特許文献1】特開平9−81894号公報(図1、段落[0041]〜[0044])
【特許文献2】特開平5−16806号公報(図1、段落[0006]、[0009])
【特許文献3】特開2005−41262号公報(図3、図4、図5、段落[0043]〜[0048])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一般に、前述したように乗客が路線バスや空港リムジンなどに乗車した場合、乗客が所持している端末装置を用いて、交通状況を加味してリアルタイムに目的地への到着予想時刻を知ることができると便利である。しかしながら、上記特許文献1に開示された車両用ナビゲーションシステムにおいては、車両を運転する同日、同曜日、同時刻における過去の統計的な平均移動速度を用いて、目的地への到着時刻を予測するものであり、当日の実際の交通状況を反映したものではなく正確な到着時刻を予測できないという問題点があった。
【0015】
また、上記特許文献2に開示された車両用ナビゲーションシステムにおいては、運行遅れ時間を加味したリアルタイムな運行データを記憶する親機を各列車に設ける必要があり、実現には膨大な設備投資が必要になるという問題点があった。乗客が子機を持つ必要があり乗客に負担を強いるという問題点もあった。
【0016】
また、上記特許文献3に開示された到着報知システムでは、予約受付サーバが列車に設置された到着時刻管理サーバに乗客の到着駅情報と携帯番号、携帯メールを送信し、到着時刻管理サーバはダイヤと到着駅情報を照合して到着予定時刻を算出し、乗客の到着予定時刻を管理し、到着予定時刻になると到着時刻管理サーバは車内の無線LANで乗客の携帯端末に到着を知らせる信号を送る。このため、予約受け付けサーバなどの管理サーバが必要になり、設備投資が必要になるという問題点があった。
【0017】
また、車両用ナビゲーションシステムの機能を個人用の携帯端末装置、例えば、携帯電話に搭載して、経路探索サーバに経路探索要求をして目的地への到着時刻を得ようとしても、そもそも経路探索サーバが求めた最適経路と、ユーザが携帯端末装置を持って乗車している交通機関の運行経路が一致する保障は無く、正確な到着時刻の予想を行えないという問題点があった。なぜならば、ユーザが乗車しているバスなどは一般に道幅の広い道路を運行経路としているので、一般のカーナビで最短ルートを検索するとバスが運行しない細い道路も経路探索の対象となり、近道や渋滞の抜け道などが最適経路として探索され、乗車しているバスの経路と経路探索サーバが探索した経路とが一致しないケースが多々生じるためである。
【0018】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、情報配信サーバにバスの路線経路データベースとリアルタイムに交通情報を収集する交通情報収集手段とを備え、案内端末装置から指定されたバスの路線経路データと、交通情報収集手段で取得したリアルタイムな交通情報を提供し、携帯端末側で測位した現在位置を情報配信サーバから配信されたバス路線経路にマッチング処理するとともに、リアルタイム交通情報を加味して、路線経路上の特定ポイントから特定ポイントへの到着予想時刻を算出するようになせば上記問題点を解消し得ることを着想し、本発明を完成するに至ったものである。
【0019】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、簡単な操作でリアルタイムな交通状況を反映した目的地への到着予想時刻を得ることができるようにしたバス時刻案内システム、情報配信サーバ、案内端末装置およびプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
ネットワークを介して接続される案内端末装置と情報配信サーバとを備えたバス時刻案内システムにおいて、
前記案内端末装置は、現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備え、
前記情報配信サーバは、バスの路線経路ネットワークデータを蓄積した路線経路ネットワークデータベースと、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段と、交通情報提供サーバからリアルタイムで提供される交通情報を収集し、該交通情報に基づいて前記路線経路ネットワークデータベースに蓄積された路線経路ネットワークデータのうち前記選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段と、マッチング処理手段と、を備え、
前記案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信することを特徴とする。
【0021】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるバス時刻案内システムにおいて、
前記測位手段は、GPS受信機を含みGPS衛星信号を受信して位置を測位することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるバス時刻案内システムにおいて、
前記交通情報配信サーバは、VICSシステムを構成するサーバであることを特徴とする。
【0023】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるバス時刻案内システムにおいて、
前記情報配信サーバは、路線経路上に複数のポイントを設定し、特定のポイントを案内端末装置が通過した際に、当該特定のポイントへの到着予想時刻が所定の値を超えて乖離していた場合に、前記案内端末装置からの再予測要求に応じて、当該特定ポイントから先の各ポイントへの到着予想時刻を再算出することを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項5にかかる発明は、
現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備えた案内端末装置とネットワークを介して接続される情報配信サーバであって、
前記情報配信サーバは、バスの路線経路ネットワークデータを蓄積した路線経路ネットワークデータベースと、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段と、交通情報提供サーバからリアルタイムで提供される交通情報を収集し、該交通情報に基づいて前記路線経路ネットワークデータベースに蓄積された路線経路ネットワークデータのうち前記選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段と、マッチング処理手段と、を備え、
前記案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信することを特徴とする。
【0025】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる情報配信サーバにおいて、
前記交通情報配信サーバは、VICSシステムを構成するサーバであることを特徴とする。
【0026】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項5にかかる情報配信サーバにおいて、
前記情報配信サーバは、路線経路上に複数のポイントを設定し、特定のポイントを案内端末装置が通過した際に、当該特定のポイントへの到着予想時刻が所定の値を超えて乖離していた場合に、前記案内端末装置からの再予測要求に応じて、当該特定ポイントから先の各ポイントへの到着予想時刻を再算出することを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項8にかかる発明は、
バスの路線経路ネットワークデータを蓄積した路線経路ネットワークデータベースと、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段と、交通情報提供サーバからリアルタイムで提供される交通情報を収集し、該交通情報に基づいて前記路線経路ネットワークデータベースに蓄積された路線経路ネットワークデータのうち前記選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段と、マッチング処理手段と、を備え、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信する情報配信サーバにネットワークを介して接続される案内端末装置であって、
前記案内端末装置は、現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項8にかかる案内端末装置において、
前記測位手段は、GPS受信機を含みGPS衛星信号を受信して位置を測位することを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項10にかかる発明は、
現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備えた案内端末装置とネットワークを介して接続される情報配信サーバであって、
バスの路線経路ネットワークデータを蓄積した路線経路ネットワークデータベースと、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段と、交通情報提供サーバからリアルタイムで提供される交通情報を収集し、該交通情報に基づいて前記路線経路ネットワークデータベースに蓄積された路線経路ネットワークデータのうち前記選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段と、マッチング処理手段と、を備えた情報配信サーバを構成するコンピュータに、
前記案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信する処理を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0030】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項10にプログラムにおいて、
前記情報配信サーバを構成するコンピュータに、
路線経路上に複数のポイントを設定し、特定のポイントを案内端末装置が通過した際に、当該特定のポイントへの到着予想時刻が所定の値を超えて乖離していた場合に、前記案内端末装置からの再予測要求に応じて、当該特定ポイントから先の各ポイントへの到着予想時刻を再算出する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
請求項1ないし請求項3にかかる発明においては、
案内端末装置は、現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備え、情報配信サーバは、案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信する。
従って、バスに乗車した乗客は案内端末装置に表示されるメニューを操作して時刻案内の要求を情報配信サーバに送信するだけで、乗車中のバスの目的地への到着予想時刻の配信を受けることができるようになる。また、情報配信サーバから配信される到着予想時刻は、実際の道路交通状況を反映した正確な予想時刻になるという効果を奏する。
【0032】
また、請求項4にかかる発明においては、情報配信サーバは、路線経路上に複数のポイントを設定し、特定のポイントを案内端末装置が通過した際に、当該特定のポイントへの到着予想時刻が所定の値を超えて乖離していた場合に、前記案内端末装置からの再予測要求に応じて、当該特定ポイントから先の各ポイントへの到着予想時刻を再算出する。
従って、情報配信サーバに時刻案内を要求した乗客は、バスの路線経路の任意の途中の各ポイントへの到着時刻をモニタリングし、予想到着時刻から乖離している場合に、最新の到着予想時刻を再要求することができるようになる。
【0033】
請求項5、請求項6、請求項7にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項3、請求項4にかかるバス時刻案内システムを構成する情報配信サーバを提供することができるようになる。また、請求項8、請求項9にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項2にかかるバス時刻案内システムを構成する案内端末装置を提供することができるようになる。
【0034】
請求項10、請求項11にかかる発明においては、それぞれ請求項5、請求項7にかかる情報配信サーバを実現するためのプログラムを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の実施例にかかるバス時刻案内システムの構成を示すシステム構成図である。図2は経路探索のための道路ネットワークのデータの概念を示す模式図である。図3は交通機関の経路探索のための路線経路ネットワークのデータの概念を示す模式図である。図4は案内端末装置の操作を行うためのメニュー画面の構成を示す画面構成図であり、図4(a)はメインメニューの画面構成、図4(b)〜図4(e)はメニュー画面から順次画面遷移した際の画面構成図である。図5は本発明の実施例にかかるバス時刻案内システムの動作手順を示す動作シーケンス図である。図6は案内端末装置により選択されたバス路線の路線経路の全体を示す模式図である。図7は図6の路線経路上において案内端末装置の現在位置を出発点(START)とし、目的地(NARITA)までの残りの路線経路を示す模式図である。
【実施例】
【0036】
本発明の実施例にかかるバス時刻案内システムは、図1に示すように、ネットワーク11、12を介して通信する案内端末装置20と情報配信サーバ30と交通情報提供サーバ51を備えて構成されている。ここで、案内端末装置20としてPDAなどの携帯端末装置や携帯電話を用いることができ、情報配信サーバ30は、バス路線経路等の交通機関の情報を提供するサーバとして構成できるが、ナビゲーション機能を有する経路探索サーバであってもよい。本実施例においては、以下、案内端末装置20を携帯電話とし、情報配信サーバ30を、ナビゲーション機能を有する経路探索サーバで構成したものとして説明を進める。
【0037】
案内端末装置20は、制御手段21、通信手段22、測位手段23、表示手段24、路線経路データ記憶手段25、配信要求編集手段26、操作・入力手段27などから構成されている。制御手段21は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。操作・入力手段27は、数字やアルファベットキーやその他の機能キー、選択キーを備えており、これらのキーを操作し、表示手段24に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、数字やアルファベットキーを操作して経路探索の条件を入力するものである。通信手段22は、ネットワーク11を介して情報配信サーバ30と通信するためのインターフェースである。
【0038】
測位手段23は、GPS受信機を備えGPS衛星信号を受信、処理して案内端末装置20の現在位置(緯度・経度)を測位する。路線経路データ記憶手段25は情報配信サーバ30から配信されたバス路線の路線経路データを記憶する。
【0039】
配信要求編集手段26は、バスに乗車した案内端末装置20のユーザが本実施例にかかる到着時刻予測の案内を情報配信サーバ30に要求したり、歩行中、あるいは、自動車や交通手段を用いてある出発地から目的地までの最適経路の探索を要求したりするための要求、その他情報配信サーバ30に対する各種の情報配信要求を編集して情報配信サーバ30に送信するものである。バスに乗車して、目的地への到着予想時刻の配信を受ける処理については後に詳細に説明する。経路探索を要求する場合の出発地、目的地、出発日時、到着日時などの経路探索条件の入力は前述の操作・入力手段27により行われる。
【0040】
情報配信サーバ30は、制御手段31、経路案内手段32、到着予想時刻算出手段33、通信手段34、探索用道路ネットワークデータベース35、経路探索手段36、ネットワークデータ編集手段37、バスなど交通機関の路線経路ネットワークデータベース38、マッチング処理手段39を備えている。制御手段31は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にRAM、ROMなどの記憶手段を備えており、これらの記憶手段に蓄積されたプログラムによって各部を制御する。
【0041】
通信手段34は、案内端末装置20から特定バス路線における目的地への到着時刻案内の要求や、経路探索条件を指定した経路探索要求を受信し、また、路線経路データや到着予想時刻あるいは経路探索の結果である案内経路データを案内端末装置20に配信するためのインターフェースであり、到着予想時刻算出手段33は、後述するような処理により、要求されたバスの到着予想時刻を算出し、案内端末装置20に配信する。
【0042】
マッチング処理手段39は、測位手段23で測位した現在位置を最も近い地図上の道路や、経路探索の結果である案内経路にマッチング処理して測位誤差を修正するものである。地図上の道路にマッチングする処理をマップマッチング、案内経路にマッチングする処理をルートマッチングと称している。本実施例においては、後述するようにして案内端末装置20が選択したバス路線経路に従って、路線経路ネットワークデータベース38の該当する路線経路に、案内端末装置20から送信された現在位置をマッチングするルートマッチング処理を行う。
【0043】
歩行者ナビゲーションシステムやカーナビゲーションシステムにおける経路探索のための地図データは道路ネットワークデータと呼ばれる。道路ネットワークは、例えば、道路が図2に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで表され、道路ネットワークデータを構成している。すなわち、図2において、○印、◎印がノードを示し、◎印は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図2では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0044】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図2において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。図2ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至る可能な経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0045】
交通機関を利用した経路探索のためのネットワークデータは、路線経路ネットワークデータとして路線経路ネットワークデータベース38に蓄積されている。このような交通機関の運行ネットワークデータは、例えば、図3に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。図3において、○印、◎印がノードを示し、◎印は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅など)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図3では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0046】
しかしながら、交通機関の運行ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークではリンクコストは固定的、静的なものであったが、交通機関の運行ネットワークでは、図3に示すように交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機などの各経路を交通手段と称する)が複数あり、各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0047】
図3に例示する交通機関の運行ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車などの経路)の総数に比例したデータ量になり、道路ネットワークのデータ量に比べて膨大なデータ量のネットワークデータとなる。従って、それに応じて、経路探索に要する時間も多くの時間が必要になる。
【0048】
このような交通機関の運行ネットワークデータを用いてある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。例えば、図3において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択し、交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数などを累計して案内することになる。
【0049】
路線経路ネットワークデータベース38のデータがバス路線である場合、基本的には探索用道路ネットワークデータベース35のデータと同様であるが、バス路線の経路が設定された道路のみのデータである。そして経路探索を行う場合には運行時刻に基づくリンクデータが用いられる。本実施例において、案内端末装置20が特定の路線の特定のバスに乗車していて到着予想時刻の案内を受ける場合には、各リンクのリンクコストを交通情報提供サーバ51から5分間隔で提供される交通状況に応じたリンクコストで一時的に書き換えた路線経路ネットワークのデータを用いて到着予想時刻の算出が行われる。交通情報提供サーバ51としては、現在、VICSと呼ばれる交通情報提供システムがこの種の情報提供を行っており、このVICSサーバを用いて容易に情報を取得することができる。
【0050】
ネットワークデータ編集手段37は、前述の到着予想時刻算出における路線経路ネットワークデータベース38のリンクコストを交通情報提供サーバ51から得られるリアルタイムのリンクコストデータに一時的に書き換える機能を果たす。そして、到着予想時刻算出手段33は編集された路線経路ネットワークデータのリンクコストを用いて目的地へのバスの到着予想時刻を算出する。この処理により、案内端末装置20を持った乗客が乗車したバス路線における目的地への到着予想時刻は、リアルタイムに交通状況を加味したリンクコストに基づいて算出され、案内端末装置20は正確な到着予想時刻を知ることができる。
【0051】
なお、案内端末装置20は、後述するように乗車した路線経路の所定のポイント毎の到着予想時刻とそのポイントに到着した実際の時刻に基づいて、到着予想時刻と到着時刻の乖離が大きくなった場合、あるいは、あるポイントの到着予想時刻から所定時間経過してもそのポイントにバスが到着していない場合に、情報配信サーバ30に再予測を要求し最新の到着予想時刻を配信させるモニタリング機能を有している。従って、乗客は、リアルタイムに最新の交通状況を反映した正確な到着予想時刻をモニタすることができる。
【0052】
経路案内手段32は、案内端末装置20から乗客が乗車したバス路線を選択してその路線経路データの要求があった場合に当該路線経路データを案内端末装置20に配信する。また、経路案内手段32は、案内端末装置20からの経路探索要求(通常のナビゲーション要求)に対して、経路探索手段36が探索した最適な案内経路のデータに基づいて案内経路データを作成して案内端末装置20に配信する。この案内経路データには、経路探索手段36で探索された案内経路上の出発地(出発駅)、経路の屈曲点、交差点、目的地(目的駅)などのガイドポイントが設定され、それらのガイドポイントの位置座標(緯度・経度)、各ガイダンスポイントに関連する案内情報(直進や右左折のガイダンス情報)が含まれる。案内端末装置20は、この案内経路データを受信し、経路を表示し、ガイダンスポイントにおける案内を表示または音声で出力する。
【0053】
以下、本発明にかかるバス時刻案内の機能、動作手順について、図4の画面構成図および図5の動作シーケンス図を参照して詳細に説明する。先ず、案内端末装置20を持つ乗客がバスに乗車して情報配信サーバ30から到着予測時刻の案内を受けようとする場合、図4に示すメニュー画面から所望の処理項目を選択していく。図4は案内端末装置の操作を行うためのメニュー画面の構成を示す画面構成図であり、図4(a)はメインメニューの画面構成、図4(b)〜図4(e)はそれぞれ画面遷移した際の画面構成図である。図5は、実施例にかかるバス時刻案内システムの動作手順を示す動作シーケンス図である。
先ず、乗客は図4(a)のメニュー項目1〜6の中から乗り物検索6を選択する。
【0054】
先ず、乗客が案内端末装置20においてランチャーメニューの「ナビ」を選ぶと図4(a)のナビゲーションの初期メニュー画面が表示され、この画面のメニュー項目1〜6の中から乗り物検索6を選択する(図5、シーケンスST10参照)。乗り物検索6を選択すると、乗り物検索6の選択情報が情報配信サーバ30に送信され、情報配信サーバ30はシーケンスST11の処理において乗り物検索ページ(乗り物検索ページの表示画面データ)を案内端末装置20に送信する。
【0055】
案内端末装置20は乗り物検索ページの画面データを表示し、図4(b)に示す画面に遷移する。この画面では「現在地周辺から検索」、「路線一覧から検索」、「キーワードから検索」の各項目があり、乗車するバス路線を何れかの項目を選んで選択することができる。ここでは、「現在地周辺から検索」を選択した場合(図5、シーケンスST12参照)について説明する。「現在地周辺から検索」の項目が選択されると、測位手段23によりGPS衛星信号から現在位置を測位し(図5、シーケンスST13参照)、測位した現在位置情報(緯度・経度)とともに、図5のシーケンスST14の処理において現在地周辺検索要求を情報配信サーバ30に送信する。現在位置装置の処理時、案内端末装置20の測位手段23のGPS方式によっては情報配信サーバ30との交信を伴う場合もある。
【0056】
現在地周辺検索要求を受信すると情報配信サーバ30は、シーケンスST15の処理において現在位置情報をもとに路線経路ネットワークデータベース38を参照して案内端末装置20の現在地周辺のバス路線のなかから、現在地に最も近いバス路線の路線経路データを抽出し、シーケンスST16の処理において情報配信サーバ30は抽出した路線経路データを案内端末装置20に配信する。案内端末装置20から送信された現在位置の情報が1つの位置情報の場合は、案内端末装置20の移動の方向まではわからない。そこで、現在位置に最も近いバス路線から方向別に路線経路をリストアップするのが良い。
【0057】
図4(c)に示す画面は、上記のようにして情報配信サーバ30から配信された路線経路の情報を案内端末装置20において表示した画面であり、例えば、この場合、成田空港路線が該当し、成田空港行きと成田空港発の各行き先が表示される。情報配信サーバ30から配信された該当路線経路のデータは、図6に示すように選択された路線経路の全体のデータであり、案内端末装置20の路線経路データ記憶手段25に一時記憶される。乗客が成田空港行きのバスに乗車している場合は画面の成田空港行きを選択し(図5、シーケンスST18)、情報配信サーバ30に選択路線と現在位置を送信する。
【0058】
この間、情報配信サーバ30においては、交通情報提供サーバ51からシーケンスST17に示すように周期的、例えば、5分間隔で各道路の交通状況に応じてデータを収集し、各時刻における実際のリンクの通行所要時間、すなわち、各リンクのリンクコストが収集されている。
【0059】
以上のようにして路線が確定し、情報配信サーバ30が案内端末装置20から選択された路線経路と現在位置を受信すると、シーケンスST19の処理においてマッチング処理手段39が該当路線経路に案内端末装置の現在位置(乗車したバスの現在位置)をマッチング処理し、ネットワークデータ編集手段37が路線経路ネットワークデータベース38に蓄積された路線経路データのうち、前記選択によって確定したバス路線経路のネットワークデータを交通情報提供サーバ51から得た当該時刻のリンクコストデータで一時的に書き換え、シーケンスST20の処理において到着予想時刻算出手段33が現在位置を出発点として該当路線の目的地(行き先)への到着予想時刻を算出し、シーケンスST21の処理において案内端末装置20に到着予想時刻のデータとマッチング処理した路線経路のデータを配信する。
【0060】
ここで、乗り物検索においては、通常の経路探索要求と異なり情報配信サーバ30は最短経路探索を行わず(行ってはいけない)、決められた(案内端末装置20で選択された)路線経路を呼び出すことに特徴がある。また、何時発のバスであるかというような時刻表情報も不要である。路線経路を特定して情報配信サーバ30に現在位置を伝えるだけで、現在位置を出発点(START)として、路線経路の終端(行き先であるNARITA)までの所要時間を演算する。前述したように到着予想時刻はシーケンスST21において案内端末装置20に配信され、案内経路探索装置20には図4(e)に示すように、縮小表示した路線経路上にバスの現在位置マーク(図のバス型のアイコン)を表示するとともに下段に目的地への最新の到着予想時刻が表示される(図5、シーケンスST22)。このような処理において本発明によれば、到着予想時刻の算出、路線経路の表示において、バスの設備などを一切使用することなく独自に得ることができる。
【0061】
図7は、選択された路線経路(図6参照)上の現在位置を出発点(START)とし、目的地(NARITA)までの残りの路線経路を示す図であり、路線経路に経由地(図7では〇印で示す)がある場合、情報配信サーバ30は、目的地の他に各経由地の到着予想時刻も算出する。経由地とは、例えば、高速バス路線における各停留所や路線経路上の主要なノードである。このように路線経路上の各経由地の到着予想時刻を算出すると、案内端末装置20にはモニタリング(監視)機能があり、乗車したバスの運行中モニタリング機能を使用して到着予想時刻の変化をモニタ(監視)することができる。モニタの結果、ある経由地の到着予想時刻と実際の到着時刻に一定の乖離が生じた場合、あるいは、ある経由地への到着予測時刻から所定の時間が経過してもまだこの経由地に到達しない(この場合も所定の時間を超えて乖離があるケースである)場合、案内端末装置20は、情報配信サーバ30に再予測の要求をすることができる。なお、情報配信サーバ30は、到着予測時刻を配信する際に、停留所以外にも、主要なノードへの到着予想時刻を求め、非表示目的で案内端末装置20に配信している。
【0062】
以下図5のシーケンスST23〜シーケンスST30を参照してモニタリング処理について説明する。案内端末装置20は、図4(d)の表示画面において「モニタ開始」ボタンを操作するとステップST24において測位手段23で現在位置を測位する。シーケンスST25の処理において、ある経由地の到着予想時刻と実際の到着予想時刻に一定の乖離が生じているか、あるいは、ある経由地への到着予測時刻から所定の時間が経過してもまだこの経由地に到達していないかを判定し、乖離が生じている場合、あるいは、到着予想時刻を一定時間経過してもその経由地に到達していない場合、シーケンスST26の処理において情報配信サーバ30に到着時刻の再予測要求を送信する。これによって渋滞の変化などによる影響を常に反映しながら最新の到着予想を提供することが出来る。
【0063】
再予測要求を受信すると情報配信サーバ30はシーケンスST27、シーケンスST28の処理において再度現在地から目的地までの到着予想時刻を算出する。この処理は前述のシーケンスST19〜シーケンスST21の処理と同様である。情報配信サーバ30は、再度算出した到着予想時刻を案内端末装置20に配信し、案内端末装置20は、配信された到着予想時刻を受信すると、これをシーケンスST29の処理において表示する。
【0064】
このようにして得た再予測の結果は、図4(e)に示す表示画面のように縮小表示した路線経路図の上にバスのアイコン画像で現在地が示され、下段に最新の到着予測データが表示される。図4(e)の表示画面において、「モニタ終了」ボタンを操作することによってシーケンスST30の処理においてモニタリングを終了し、処理が到着時刻案内の処理が終了する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
このように、案内端末装置20として携帯電話を用いて情報配信サーバ30(経路探索サーバ)と通信して自分が乗っているバスの到着予想時刻を得ることが出来るので、車両側に特別な設備を準備する必要が無い。従って、路線経路データを準備すれば、直ちに実施できる。
【0066】
またモニタ機能は到着予測にズレが生じ始めてから情報配信サーバ30への接続が発生するようになっているので、不必要に情報配信サーバ30へ負荷を掛けることもなく、多くのクライアント(携帯電話)を持つシステムでの実施にも適している。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施例にかかるバス時刻案内システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】経路探索のための道路ネットワークのデータの概念を示す模式図である。
【図3】交通機関の経路探索のための路線経路ネットワークのデータの概念を示す模式図である。
【図4】案内端末装置の操作を行うためのメニュー画面の構成を示す画面構成図であり、図4(a)はメインメニューの画面構成、図4(b)〜図4(e)はそれぞれ画面遷移した際の画面構成図である。
【図5】本発明の実施例にかかるバス時刻案内システムの動作手順を示す動作シーケンス図である。
【図6】案内端末装置により選択されたバス路線の路線経路の全体を示す模式図である。
【図7】図6の路線経路上において案内端末装置の現在位置を出発点(START)とし、目的地(NARITA)までの残りの路線経路を示す模式図である。
【符号の説明】
【0068】
10・・・・バス時刻案内システム
11・・・・ネットワーク
12・・・・ネットワーク
20・・・・案内端末装置
21・・・・制御手段
22・・・・通信手段
23・・・・測位手段
24・・・・表示手段
25・・・・路線経路データ記憶手段
26・・・・配信要求編集手段
27・・・・操作・入力手段
30・・・・情報配信サーバ
31・・・・制御手段
32・・・・経路案内手段
33・・・・到着予想時刻算出手段
34・・・・通信手段
35・・・・探索用道路ネットワークデータベース
36・・・・経路探索手段
37・・・・ネットワークデータ編集手段
38・・・・路線経路ネットワークデータベース
39・・・・マッチング処理手段
51・・・・交通情報提供サーバ(VICS)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続される案内端末装置と情報配信サーバとを備えたバス時刻案内システムにおいて、
前記案内端末装置は、現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備え、
前記情報配信サーバは、バスの路線経路ネットワークデータを蓄積した路線経路ネットワークデータベースと、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段と、交通情報提供サーバからリアルタイムで提供される交通情報を収集し、該交通情報に基づいて前記路線経路ネットワークデータベースに蓄積された路線経路ネットワークデータのうち前記選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段と、マッチング処理手段と、を備え、
前記案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信することを特徴とするバス時刻案内システム。
【請求項2】
前記測位手段は、GPS受信機を含みGPS衛星信号を受信して位置を測位することを特徴とする請求項1に記載のバス時刻案内システム。
【請求項3】
前記交通情報配信サーバは、VICSシステムを構成するサーバであることを特徴とする請求項1に記載のバス時刻案内システム。
【請求項4】
前記情報配信サーバは、路線経路上に複数のポイントを設定し、特定のポイントを案内端末装置が通過した際に、当該特定のポイントへの到着予想時刻が所定の値を超えて乖離していた場合に、前記案内端末装置からの再予測要求に応じて、当該特定ポイントから先の各ポイントへの到着予想時刻を再算出することを特徴とする請求項1に記載のバス時刻案内システム。
【請求項5】
現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備えた案内端末装置とネットワークを介して接続される情報配信サーバであって、
前記情報配信サーバは、バスの路線経路ネットワークデータを蓄積した路線経路ネットワークデータベースと、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段と、交通情報提供サーバからリアルタイムで提供される交通情報を収集し、該交通情報に基づいて前記路線経路ネットワークデータベースに蓄積された路線経路ネットワークデータのうち前記選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段と、マッチング処理手段と、を備え、
前記案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信することを特徴とする情報配信サーバ。
【請求項6】
前記交通情報配信サーバは、VICSシステムを構成するサーバであることを特徴とする請求項5に記載の情報配信サーバ。
【請求項7】
前記情報配信サーバは、路線経路上に複数のポイントを設定し、特定のポイントを案内端末装置が通過した際に、当該特定のポイントへの到着予想時刻が所定の値を超えて乖離していた場合に、前記案内端末装置からの再予測要求に応じて、当該特定ポイントから先の各ポイントへの到着予想時刻を再算出することを特徴とする請求項5に記載の情報配信サーバ。
【請求項8】
バスの路線経路ネットワークデータを蓄積した路線経路ネットワークデータベースと、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段と、交通情報提供サーバからリアルタイムで提供される交通情報を収集し、該交通情報に基づいて前記路線経路ネットワークデータベースに蓄積された路線経路ネットワークデータのうち前記選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段と、マッチング処理手段と、を備え、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信する情報配信サーバにネットワークを介して接続される案内端末装置であって、
前記案内端末装置は、現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備えたことを特徴とする案内端末装置。
【請求項9】
前記測位手段は、GPS受信機を含みGPS衛星信号を受信して位置を測位することを特徴とする請求項8に記載の案内端末装置。
【請求項10】
現在位置を測位する測位手段と、バス路線を選択入力する手段と、情報配信サーバから受信した路線経路、到着予想時刻を表示する手段と、を備えた案内端末装置とネットワークを介して接続される情報配信サーバであって、
バスの路線経路ネットワークデータを蓄積した路線経路ネットワークデータベースと、前記案内端末装置が選択したバスの路線経路における目的地への到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出手段と、交通情報提供サーバからリアルタイムで提供される交通情報を収集し、該交通情報に基づいて前記路線経路ネットワークデータベースに蓄積された路線経路ネットワークデータのうち前記選択された路線経路ネットワークデータを一時的に書き換えるネットワークデータ編集手段と、マッチング処理手段と、を備えた情報配信サーバを構成するコンピュータに、
前記案内端末装置が選択したバスの路線経路に案内端末装置が測位した現在位置をマッチング処理し、現在位置を出発点とし、ネットワークデータ編集手段が書き換えた路線経路ネットワークデータを用いて前記到着予想時刻算出手段が当該路線経路の目的地への到着予想時刻を算出し、案内端末装置に配信する処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
前記情報配信サーバを構成するコンピュータに、
路線経路上に複数のポイントを設定し、特定のポイントを案内端末装置が通過した際に、当該特定のポイントへの到着予想時刻が所定の値を超えて乖離していた場合に、前記案内端末装置からの再予測要求に応じて、当該特定ポイントから先の各ポイントへの到着予想時刻を再算出する処理を実行させることを特徴とする請求項10に記載のプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−293446(P2006−293446A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109321(P2005−109321)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】