説明

パターン形成方法及びレジスト材料

【解決手段】ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基含有繰り返し単位とを共重合した高分子化合物を含む第1ポジ型レジスト材料で基板上に第1レジスト膜を形成する工程、第1レジスト膜を露光後、加熱処理し、現像して第1レジストパターンを形成する工程、第1レジストパターンにアミン化合物又はオキサゾリン化合物を適用し、C3〜8のアルコール、又はC3〜8のアルコール及びC6〜12のエーテルを含み、前記第1のレジストパターンを溶解しない溶剤を溶媒とする第2ポジ型レジスト材料を塗布し、第2レジスト膜を形成する工程、第2レジスト膜を露光、PEB後、現像して第2レジストパターンを形成する工程を含むパターン形成方法。
【効果】本発明によれば、第1レジストパターンのパターンが未形成の部分に第2パターンを形成し、パターン間のピッチを半分にするダブルパターニングを行い、一度のドライエッチングで基板を加工できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に1回目の露光でパターンを形成し、アミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、1回目に形成されたパターンを溶解させない炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを溶媒とするポジ型レジスト材料を塗布し、2回目のレジストパターンを形成することによって、1回目の露光で形成されたパターンのパターンが形成されていない部分に2回目の露光でラインパターンを形成して、パターン間の距離を縮小する方法として有効なパターン形成方法に関する。また、本発明は、このパターン形成方法に用いることができるレジスト材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせた65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 4690 xxix (2002))。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA(開口数)1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44近くにまで上げることができる。当初、水温変化に伴う屈折率変化による解像性の劣化やフォーカスのシフトが指摘された。水温を1/100℃以内にコントロールすることと、露光によるレジスト膜からの発熱による影響もほぼ心配ないことが確認され、屈折率変化の問題が解決された。水中のマイクロバブルがパターン転写されることも危惧されたが、水の脱気を十分に行うことと、露光によるレジスト膜からのバブル発生の心配がないことが確認された。1980年代の液浸リソグラフィーの初期段階では、ステージを全て水に浸ける方式が提案されていたが、高速スキャナーの動作に対応するために投影レンズとウエハーの間のみに水を挿入し、水の給排水ノズルを備えたパーシャルフィル方式が採用された。水を用いた液浸によって原理的にはNAが1.0以上のレンズ設計が可能になったが、従来の屈折率系による光学系では巨大なレンズになってしまい、レンズが自身の自重によって変形してしまう問題が生じた。よりコンパクトなレンズ設計のために反射屈折(Catadioptric)光学系が提案され、NA1.0以上のレンズ設計が加速された。NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示され(非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 5040 p724 (2003))、更にはNA1.35のレンズの開発も行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LER)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化などが挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
NA1.35レンズを使った水液浸リソグラフィーの最高NAで到達できる解像度は40〜38nmであり、32nmには到達できない。そこで更にNAを高めるための高屈折率材料の開発が行われている。レンズのNAの限界を決めるのは投影レンズ、液体、レジスト膜の中で最小の屈折率である。水液浸の場合、投影レンズ(合成石英で屈折率1.5)、レジスト膜(従来のメタクリレート系で屈折率1.7)に比べて水の屈折率が最も低く、水の屈折率によって投影レンズのNAが決まっていた。最近、屈折率1.65の高透明な液体が開発されてきている。この場合、合成石英による投影レンズの屈折率が最も低く、屈折率の高い投影レンズ材料を開発する必要がある。LUAG(Lu3Al512)は屈折率が2以上であり、最も期待される材料ではあるが、複屈折率と吸収が大きい問題を持っている。また、屈折率1.8以上の投影レンズ材料が開発されたとしても屈折率1.65の液体ではNAは1.55止まりであり、32nmを解像できない。32nmを解像するには屈折率1.8以上の液体が必要である。今のところ吸収と屈折率がトレードオフの関係にあり、このような材料は未だ見つかっていない。アルカン系化合物の場合、屈折率を上げるためには直鎖状よりは有橋環式化合物の方が好ましいが、環式化合物は粘度が高いために露光装置ステージの高速スキャンに追随できない問題もはらんでいる。また、屈折率1.8の液体が開発された場合、屈折率の最小がレジスト膜になるために、レジスト膜も1.8以上に高屈折率化する必要がある。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献3:Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16 (2005))。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のパターンが形成されていない部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する方法もある。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
前者の方法では、ハードマスクを2回敷く必要があり、後者の方法ではハードマスクが1層で済むが、ラインパターンに比べて解像が困難なトレンチパターンを形成する必要がある。後者の方法では、トレンチパターンの形成にネガ型レジスト材料を使う方法がある。これだとポジパターンでラインを形成するのと同じ高コントラストの光を用いることができるが、ポジ型レジスト材料に比べてネガ型レジスト材料の方が溶解コントラストが低いために、ポジ型レジスト材料でラインを形成する場合に比較してネガ型レジスト材料で同じ寸法のトレンチパターンを形成した場合を比較するとネガ型レジスト材料を使った方が解像性が低い。後者の方法で、ポジ型レジスト材料を用いて広いトレンチパターンを形成してから、基板を加熱してトレンチパターンをシュリンクさせるサーマルフロー法や、現像後のトレンチパターンの上に水溶性膜をコートしてから加熱してレジスト膜表面を架橋させることによってトレンチをシュリンクさせるRELACS法を適用させることも考えられるが、プロキシミティーバイアスが劣化するという欠点やプロセスが更に煩雑化し、スループットが低下する欠点が生じる。
【0008】
前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0009】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しないアルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使うため解像性の劣化が生じる(特許文献6:特開2008−78220号公報)。
【0010】
1回目の露光の隣にハーフピッチだけずらした位置に2回目の露光を行うと、1回目と2回目のエネルギーが相殺されて、コントラストが0になる。レジスト膜上にコントラスト増強膜(CEL)を適用すると、レジストに入射する光が非線形となり、1回目と2回目の光が相殺せず、ピッチが半分の像が形成される(非特許文献4:Jpn. J. Appl. Phy. Vol. 33 (1994) p6874−6877)。また、レジストの酸発生剤として2光子吸収の酸発生剤を用いて非線形なコントラストを生み出すことによって同様の効果を生み出すことが期待される。
【0011】
ダブルパターニングにおいて最もクリティカルな問題となるのは、1回目のパターンと2回目のパターンの合わせ精度である。位置ずれの大きさがラインの寸法のバラツキとなるために、例えば32nmのラインを10%の精度で形成しようとすると3.2nm以内の合わせ精度が必要となる。現状のスキャナーの合わせ精度が8nm程度であるので、大幅な精度の向上が必要である。
1回目のレジストパターンを形成した後に、何らかの方法でパターンをレジスト溶媒とアルカリ現像液に不溶化させ、2回目のレジストを塗布し、1回目のレジストパターンのスペース部分に2回目のレジストパターンを形成するレジストパターンフリージング技術が検討されている。この方法を用いれば、基板のエッチングが1回で済むために、スループットの向上とエッチングのハードマスクの応力緩和による位置ずれの問題が回避される。
【0012】
フリージングの技術として、熱による不溶化方法(非特許文献5:Proc. SPIE Vol. 6923 p69230G (2008))、カバー膜の塗布と熱による不溶化方法(非特許文献6:Proc. SPIE Vol. 6923 p69230H (2008))、波長172nm等の極短波長の光照射による不溶化方法(非特許文献7:Proc. SPIE Vol. 6923 p692321 (2008))、イオン打ち込みによる不溶化方法(非特許文献8:Proc. SPIE Vol. 6923 p692322 (2008))、CVDによる薄膜酸化膜形成による不溶化方法、及び光照射と特殊ガス処理による不溶化方法(非特許文献9:Proc. SPIE Vol. 6923 p69233C1 (2008))、チタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属アルコキシド、金属アルコキシド、金属ハライド、及びイソシアネート基を有するシラン化合物をレジストパターン表面に処理することによるレジストパターンの不溶化方法(特許文献1:特開2008−033174号公報)、レジストパターン表面を水溶性樹脂で覆うことでレジストパターンを不溶化させる方法(特許文献2:特開2008−83537号公報)、エチレンジアミンガスとベークによる不溶化方法(非特許文献10:J. Photopolym. Sci. Technol., Vol. 21, No. 5, p655 (2008))、アミン化合物を含む溶液の塗布とハードベークの架橋による方法(特許文献3:国際公開第2008/070060号パンフレット)が報告されている。
また、フリージングそのものについての基本的なアイデアも提案されている(特許文献4:国際公開第2008/059440号パンフレット)。
また、光及び熱によって不溶化した第1のレジストパターン上に、ヘキサフルオロアルコール基と酸不安定基を有する繰り返し単位を有するベースポリマーをアルコール溶媒に溶解させたレジストを塗布し、第2のレジストパターンを形成する方法が提案されている(特許文献5:特開2008−192774号公報)。
これらの不溶化処理では、高温の加熱処理を行うためにパターンの変形(特に膜減り)や、寸法の細りあるいは太りが問題になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−033174号公報
【特許文献2】特開2008−83537号公報
【特許文献3】国際公開第2008/070060号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2008/059440号パンフレット
【特許文献5】特開2008−192774号公報
【特許文献6】特開2008−78220号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 4690 xxix (2002)
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 5040 p724 (2003)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 5992 59921Q−1−16 (2005)
【非特許文献4】Jpn. J. Appl. Phy. Vol. 33 (1994) p6874−6877
【非特許文献5】Proc. SPIE Vol. 6923 p69230G (2008)
【非特許文献6】Proc. SPIE Vol. 6923 p69230H (2008)
【非特許文献7】Proc. SPIE Vol. 6923 p692321 (2008)
【非特許文献8】Proc. SPIE Vol. 6923 p692322 (2008)
【非特許文献9】Proc. SPIE Vol. 6923 p69233C1 (2008)
【非特許文献10】J. Photopolym. Sci. Technol., Vol. 21, No. 5, p655 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、2回の露光と現像により作製したレジストパターンを、2回のドライエッチングで基板加工を行おうとすると、スループットが半分に低下する。また、ドライエッチングによるパターンの位置ずれの問題が生じる。
前記レジストパターンの不溶化方法では、高温の加熱や光照射によってパターンの収縮による変形が生じる。即ちパターンの高さが低下したり、ライン幅が狭くなったり、長さ方向の収縮が起こる。
【0016】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、1回のドライエッチングで基板を加工するダブルパターニングプロセスを可能にするためのパターン形成方法、即ち、ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位を共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を用いた1回目のレジストパターン(1回目のレジスト膜)をアミン及びオキサゾリン化合物によって酸に対して不活性化し、その上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布し、1回目と2回目のレジスト膜のミキシングを防止し、更に2回目の光照射で1回目のレジストパターンに発生した酸が前記不活性化処理のために1回目のレジストパターンが2回目の現像液に溶解しないことを実現するためのパターン形成方法及びこのパターン形成方法に用いることができるレジスト材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明者らは、下記に示すパターン形成方法が有効であることを知見した。
従って、本発明は、下記のパターン形成方法及びレジスト材料を提供する。
請求項1:
ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、前記第1のレジスト膜を高エネルギー線で露光した後、加熱処理(PEB)し、現像液を用いて前記第1のレジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成する工程と、第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、前記基板上の前記第1のレジストパターン上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを含み、前記第1のレジストパターンを溶解しない溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、前記第2のレジスト膜を高エネルギー線で露光し、PEB後、現像液を用いて前記第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項2:
ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、前記第1のレジスト膜を高エネルギー線で露光した後、加熱処理(PEB)し、現像液を用いて前記第1のレジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成する工程と、第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、ベークによって余分なアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を除去する工程と、前記基板上の前記第1のレジストパターン上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを含み、前記第1のレジストパターンを溶解しない溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、前記第2のレジスト膜を高エネルギー線で露光し、PEB後、現像液を用いて前記第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
請求項3:
ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、前記第1のレジスト膜を高エネルギー線で露光した後、加熱処理(PEB)し、現像液を用いて前記第1のレジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成する工程と、第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、ベーク後、水、アルカリ水現像液、炭素数3〜8のアルコール、炭素数6〜12のエーテルから選ばれる溶液で余分なアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を除去する工程と、前記基板上の前記第1のレジストパターン上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを含み、前記第1のレジストパターンを溶解しない溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、前記第2のレジスト膜を高エネルギー線で露光し、PEB後、現像液を用いて前記第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
請求項4:
第1のレジストパターン上にアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を含んだ溶液をスピンコートすることによって酸に対して不活性化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項5:
第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を含んだ蒸気を吹き付けることによって酸に対して不活性化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載に記載のパターン形成方法。
請求項6:
第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化する前に、第1のレジストパターンに波長140〜400nmの光を照射することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項7:
前記第1のレジストパターンのパターンが形成されていないスペース部分に前記第2のレジストパターンを形成することによって、前記第1のレジストパターンと前記第2のレジストパターンとの間の距離を縮小させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項8:
前記第2のレジストパターンを、前記第1のレジストパターンと交差させて形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項9:
前記第1のレジストパターンのパターンが形成されていない部分に、前記第1のレジストパターンとは異なる方向に、前記第2のレジストパターンが形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項10:
第1のレジストパターンの露光、第2のレジストパターンの露光の少なくともどちらか一方あるいは両方が水を用いた液浸リソグラフィーであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項11:
炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを含む溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料に用いられるベースポリマーが、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項12:
2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位が、下記一般式(1)で示されるものであることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【化1】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。mは1又は2である。)
請求項13:
下記一般式(2)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bを共重合した高分子化合物をベースポリマーとすることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【化2】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。mは1又は2であり、0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
請求項14:
下記一般式(3)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bと、ヒドロキシナフチル基を有する繰り返し単位c−1を共重合した高分子化合物をベースポリマーとすることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【化3】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。R6は水素原子又はメチル基であり、Yは単結合、又は−C(=O)−O−、R7は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。m、nは1又は2であり、sは0又は1であり、Zはヒドロキシ基又はカルボキシル基である。0<a<1.0、0<b<1.0、0<(c−1)<1.0、0<a+b+(c−1)≦1.0の範囲である。)
請求項15:
下記一般式(4)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bと、ヒドロキシアセナフチレンを重合してなる繰り返し単位c−2を共重合した高分子化合物をベースポリマーとすることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【化4】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。m、pは1又は2であり、Zはヒドロキシ基又はカルボキシル基であり、0<a<1.0、0<b<1.0、0<(c−2)<1.0、0<a+b+(c−2)≦1.0の範囲である。)
請求項16:
炭素数3〜8のアルコールが、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、シクロヘキサノール、オクタノールから選ばれる1種あるいは2種以上であることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
請求項17:
炭素数6〜12のエーテルが、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、3,6−ジメチルアニソール、2,3,4−トリメチルアニソール、2,3,6−トリメチルアニソール、2,4,6−トリメチルアニソール、2,4,5,6テトラメチルアニソール、2−エチルアニソール、3−エチルアニソール、4−エチルアニソール、2−イソプロピルアニソール、3−イソプロピルアニソール、4−イソプロピルアニソール、4−プロピルアニソール、2−ブチルアニソール、3−ブチルアニソール、4−ブチルアニソール、2−tert−ブチルアニソール、3−tert−ブチルアニソール、4−tert−ブチルアニソール、ペンタメチルアニソール、2−ビニルアニソール、3−ビニルアニソール、4−メトキシスチレン、エチルフェニルエーテル、プロピルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、エチル−3,5−キシリルエーテル、エチル−2,6−キシリルエーテル、エチル−2,4−キシリルエーテル、エチル−3,4−キシリルエーテル、エチル−2,5−キシリルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルベンジルエーテル、イソプロピルベンジルエーテル、プロピルベンジルエーテル、メチルフェネチルエーテル、エチルフェネチルエーテル、イソプロピルフェネチルエーテル、プロピルフェネチルエーテル、ブチルフェネチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、アリルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、アリルベンジルエーテル、ビニルフェネチルエーテル、アリルフェネチルエーテル、4−エチルフェネトール、tert−ブチルフェニルエーテルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
請求項18:
炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルは、第1のレジストパターンを溶解させず、かつ、第2のレジスト材料を溶解させ、炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを第1のレジスト膜上に30秒間ディスペンスし、スピンドライと130℃以下のベークによって前記溶媒を乾燥した後の膜減り量が10nm以下であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
請求項19:
下記一般式(2)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bを共重合した高分子化合物をベースポリマーとし、溶媒として2−メチル−1−ブタノール及び3−メチル−1−ブタノールを50〜98質量%、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノールから選ばれる溶媒を2〜50質量%含むことを特徴とするレジスト材料。
【化5】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。mは1又は2であり、0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
請求項20:
下記一般式(2)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bを共重合した高分子化合物をベースポリマーとし、溶媒として2−メチル−1−ブタノール及び3−メチル−1−ブタノールを50〜98質量%、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、3,6−ジメチルアニソール、2,3,4−トリメチルアニソール、2,3,6−トリメチルアニソール、2,4,6−トリメチルアニソール、2,4,5,6テトラメチルアニソール、2−エチルアニソール、3−エチルアニソール、4−エチルアニソール、2−イソプロピルアニソール、3−イソプロピルアニソール、4−イソプロピルアニソール、4−プロピルアニソール、2−ブチルアニソール、3−ブチルアニソール、4−ブチルアニソール、2−tert−ブチルアニソール、3−tert−ブチルアニソール、4−tert−ブチルアニソール、ペンタメチルアニソール、2−ビニルアニソール、3−ビニルアニソール、4−メトキシスチレン、エチルフェニルエーテル、プロピルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、エチル−3,5−キシリルエーテル、エチル−2,6−キシリルエーテル、エチル−2,4−キシリルエーテル、エチル−3,4−キシリルエーテル、エチル−2,5−キシリルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルベンジルエーテル、イソプロピルベンジルエーテル、プロピルベンジルエーテル、メチルフェネチルエーテル、エチルフェネチルエーテル、イソプロピルフェネチルエーテル、プロピルフェネチルエーテル、ブチルフェネチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、アリルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、アリルベンジルエーテル、ビニルフェネチルエーテル、アリルフェネチルエーテル、4−エチルフェネトール、tert−ブチルフェニルエーテルから選ばれる溶媒を2〜50質量%含むことを特徴とするレジスト材料。
【化6】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。mは1又は2であり、0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
【0018】
上記のようなパターン形成方法を適用することによって、第1のレジストパターンの変形を起こすことなく2回の露光によるダブルパターニングによって第1のレジストパターンのスペース部分に第2のレジストパターンを形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成し、前記第1のレジスト膜を高エネルギー線で露光した後、加熱処理(PEB)し、現像液を用いて前記第1のレジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成し、第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、前記基板上の前記第1のレジストパターン上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコールと炭素数6〜12のエーテルの混合溶媒を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、前記第2のレジスト膜を高エネルギー線で露光し、PEB後、現像液を用いて前記第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成することによって、例えば第1のレジストパターンのパターンが形成されていない部分に第2のパターンを形成し、パターンとパターンのピッチを半分にするダブルパターニングを行い、一度のドライエッチングによって基板を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工層、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、レジスト膜を酸に対して不活性化した状態、Dは、第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、ハードマスクをエッチングした状態、Fは、被加工層をエッチングした状態を示す。
【図2】本発明のダブルパターニング方法の一例を説明する概略図であり、Aは、第1のパターン形成後、Bは第2のパターン形成後の状態を示す。
【図3】本発明のダブルパターニング方法の一例を説明する概略図であり、Aは、第1のパターン形成後、Bは第2のパターン形成後の状態を示す。
【図4】本発明の第1レジストパターンの不活性化ステップの一例を説明する断面図であり、Aは、第1レジストパターンを現像した状態、Bは、現像後の第1パターンを光照射した状態、Cは、その上にアミン化合物又はオキサゾリン化合物をコート(及びベーク)した状態、Dは、アミン化合物又はオキサゾリン化合物を剥離した状態を示す。
【図5】本発明の第1レジストパターンの不活性化ステップの一例を説明する断面図であり、Aは、第1レジストパターンを現像した状態、Bは、その上にアミン化合物又はオキサゾリン化合物をコート(及びベーク)した状態、Cは、アミン化合物又はオキサゾリン化合物を剥離した状態を示す。
【図6】本発明の第1レジストパターンの不活性化ステップの一例を説明する断面図であり、Aは、第1レジストパターンを現像した状態、Bは、現像後の第1パターンを光照射した状態、Cは、アミン化合物又はオキサゾリン化合物をベーパープライム又はスピンコート(及びベーク)後、剥離した状態を示す。
【図7】本発明の第1レジストパターンの不活性化ステップの一例を説明する断面図であり、Aは、第1レジストパターンを現像した状態、Bは、アミン化合物又はオキサゾリン化合物をベーパープライム又はスピンコート(及びベーク)後、剥離した状態を示す。
【図8】従来のダブルパターニング方法の一例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工層、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、ハードマスクをエッチングした状態、Dは、第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、被加工層をエッチングした状態を示す。
【図9】従来のダブルパターニング方法の他の例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工層、第1及び第2のハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、第2のハードマスクをエッチングした状態、Dは、第1のレジスト膜を除去して第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、第1のハードマスクをエッチングした状態、Fは、被加工層をエッチングした状態を示す。
【図10】従来のダブルパターニング方法の別の例を説明する断面図であり、Aは、基板上に被加工層、ハードマスク、レジスト膜を形成した状態、Bは、レジスト膜を露光、現像した状態、Cは、ハードマスクをエッチングした状態、Dは、第1のレジスト膜を除去して第2のレジスト膜を形成後、このレジスト膜を露光、現像した状態、Eは、更にハードマスクをエッチングした状態、Fは、被加工層をエッチングした状態を示す。
【図11】ダブルパターニング評価(1)、(2)で評価したレジストパターンの平面図である。
【図12】ダブルパターニング評価(3)で評価したレジストパターンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明者らは、2回の露光と現像によって半分のピッチのパターンを得るダブルパターニングリソグラフィーにおいて、1回のドライエッチングによって基板を加工するためのポジ型レジスト材料及びこれを用いるパターニング方法の鋭意検討を行った。
【0022】
即ち、本発明者らは、第1のポジ型レジスト材料を用い、露光と現像によって第1のパターンを形成後、アミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、前記基板上の前記第1のレジストパターン上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコールと炭素数6〜12のエーテルの混合溶媒を含み、前記第1のレジストパターンを溶解しない溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布し、露光と現像によって第1のレジストパターンを保持したままで第2のレジストパターンを形成することによって第1のレジストパターンと第2のレジストパターンのピッチを半分にするダブルパターニングを行い、一度のドライエッチングによって基板を加工することが可能であることを見出したものである。
【0023】
前記第1及び第2のポジ型レジスト材料は、化学増幅ポジ型レジスト材料であり、少なくとも第1のポジ型レジスト材料は、第2のポジ型レジスト材料の溶剤に溶解しないことが必要である。第1のポジ型レジスト材料のベースポリマーとして、ラクトンを主要な密着性基として有している場合、アルコールやエーテル系の溶剤には溶解しない。一方、第2のレジスト材料としてアルコールやエーテル系の溶剤に溶解するようにするためにはベースポリマーとして弱酸性のヒドロキシ基の存在が必須である。弱酸性のヒドロキシ基とは、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基の部分構造を有するヘキサフルオロアルコール基、あるいはフェノール基である。フェノール基は波長193nmにベンゼン環の強い吸収があるためレジスト用のベースポリマーとしては用いることができないが、ナフトール基であれば吸収最大波長が長波長側にシフトするために適用することができる。
【0024】
これまで提案されてきた前述の第1のレジストパターンの不溶化方法は、加熱処理による架橋反応による硬化による。架橋を行うための加熱処理は、一般的には140℃以上の高温で行われることが多く、ガラス転移点以上の温度で加熱すればパターンのフローが起きるし、酸不安定基の脱保護によるパターンのシュリンクが起こる。パターンのシュリンクによりラインの線幅や、パターンの高さや、パターンの長さが縮小する問題が生じる。パターンの変形を抑えるためには、加熱処理を伴わない、あるいはパターンが変形しない程度の低い温度での第1レジストパターンの不溶化が望まれている。
第2パターンの露光時に、第1パターンには光が照射される。第2レジスト材料として第1レジストパターンを溶解させない溶剤を用いると第2レジスト材料の塗布時に第1レジストパターンとのミキシングや溶解を防ぐことはできるが、第1レジストパターン内に発生した酸によって第2レジスト膜の現像時に第1レジストパターンは溶解消失してしまう。
ここで、第1レジストパターン内に2回目の露光によって発生する酸に対して過剰なアミン成分が存在していると、第2レジスト膜露光時に発生した酸を中和し、第2レジスト膜現像時に第1レジストパターンを溶解させることがない。フォトレジスト材料として、コントラストを上げ、酸拡散を抑制させる目的でアミンクエンチャーが添加されているが、酸発生剤よりは少量である。第1パターン内に酸発生剤の分解で生じる酸よりも多くのアミンを存在させるためには、現像によって第1パターンを形成した後にアミンやオキサゾリンを供給させる方法が考えられる。
【0025】
2回目の露光で第1レジストパターン内に発生する酸を不活性化させる最も有効な方法は、2回目のフォトレジスト材料を塗布する前に第1レジストパターンに光を照射して酸発生剤を分解させておいてその上にアミン及びオキサゾリンで光分解によって発生した酸を不活性化させる方法である。第1レジストパターンの光照射に用いられる光の波長は、酸発生剤を分解させる目的のためであるので、波長は特に限定されない。波長193nmのArFエキシマ光、波長172nmのXe2エキシマ光、157nmのF2エキシマ光、146nmのKr2エキシマ光、126nmのAr2エキシマ光、又は電子線、波長206nmのKrBrエキシマ光、波長222nmのKrClエキシマ光、波長248nmのKrFエキシマ光、波長283nmのXeBrエキシマ光、波長308nmのXeClエキシマ光、波長365nmのi線、波長254nmを含む低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプを用いることができる。高圧水銀灯、メタルハライドランプは、波長300nm以下の波長も放出されており、ブロードバンド光なので照射中レジスト膜内に定在波の発生がないため、膜内を均一に照射することができる。ArF光は単波長なので定在波が発生する可能性があるが、下地の反射防止膜によって定在波の発生が抑えられている。照射量は5mJ/cm2〜10J/cm2、好ましくは10mJ/cm2〜1J/cm2である。
【0026】
波長193nmの光照射においては、この波長に対して最適化された反射防止膜が適用されているので定在波が殆ど生じないが、波長193nm以外の光照射を行った場合、基板からの反射によって定在波が生じ、酸発生剤の分解が不十分になる領域が生じるおそれがある。酸発生剤の分解が不十分であると、2回目のパターニング時のArFエキシマレーザーの露光によって第1パターン内の酸発生剤が分解し、アミン及びオキサゾリンの濃度が不十分である場合、酸不安定基が分解し、現像液に溶解してしまうおそれがある。波長193nm以外の光照射を行う場合は、定在波発生の原因となる単波長の光照射を避け、ブロードバンドの光照射を行うか、又は複数の波長の光照射を行うことが好ましい。
【0027】
光照射後にアミン及びオキサゾリンを適用させる方法は、光照射の酸発生剤の分解によって発生した酸に対して、基板を強く加熱することなく効果的に中和することができる。加熱を行うことなく酸発生剤を分解し、中和する前記プロセスは、第1レジストパターンの熱による変形や加熱による酸不安定基の脱保護による収縮を起こすことがない点が有利である。
【0028】
アミンやオキサゾリンの供給方法としては、アミンやオキサゾリンを含む溶液を第1パターン上にスピンコートする方法、あるいはアミン化合物やオキサゾリン化合物の蒸気をベーパープライムする方法がある。
このようなアミン化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。
酸を不活性化するアミンとしては、塩基性度が高い化合物が好ましい。塩基性度を表す指標として解離定数のpKaが用いられるが、好ましくは7以上、より好ましくは8以上である。
【0029】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,4,7−トリメチル1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリメチル1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)等が例示される。
【0030】
複数のアミノ基を有する化合物を用いることもできる。
複数のアミノ基を有する化合物として、具体的には、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、メチルヒドラジン、ジメチルヒドラジン、トリメチルヒドラジン、テトラメチルヒドラジン、エチルヒドラジン、ジエチルヒドラジン、プロピルヒドラジン、ブチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、フェネチルヒドラジン、シクロプロピルヒドラジン、シクロペンチルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−ヘキシルエチレンジアミン、N−シクロヘキシルエチレンジアミン、N−オクチルエチレンジアミン、N−デシルエチレンジアミン、N−ドデシルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、N−イソプロピルジエチレントリアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、N,N’−ビス(ヒドロキエチル)エチレンジアミン、N−(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N−(ヒドロキシエチル)トリエチレンテトラミン、ピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−(2−アミノエチル)モルホリン、ポリエチレンイミンを例示できる。エチレンジアミン類以外に適用可能なジアミン類、ポリアミン類として、具体的には、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノプロパン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、スペルミジン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’,N”−トリメチルビス(ヘキサメチレン)トリアミン、4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、スペルミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,2−ビス(アミノエトキシ)エタン、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、1,3−ジアミノヒドロキシプロパン、4,4’−メチレンジピペリジン、4−(アミノメチル)ピペリジン、ホモピペラジン、3−アミノピロリジン、4−アミノピペリジン、3−(4−アミノブチル)ピペリジン、ポリアリルアミンを例示できるが、これらに限定されない。上記、一級、二級アミン、エチレンジアミン類、その他のジアミン・ポリアミン類の窒素原子の一部又は全部をカーバメート化した化合物も同様に適用可能である。カーバメート化合物としては、t−ブチルカーバメート(BOC)、t−アミルカーバメートが特に好適に用いられる。具体的には、N,N’−ジ(t−ブトキシカルボニル)エチレンジアミン、N,N’−ジ(t−アミルオキシカルボニル)エチレンジアミン、N,N’−ジ(t−ブトキシカルボニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ(t−アミルオキシカルボニル)ヘキサメチレンジアミン、を例示できるが、これらに限定されない。
【0031】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体、プロトンスポンジ等が例示される。
【0032】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、トロピン、ルピニン、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1−シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
【0033】
更に、下記一般式(B)−1で示される含窒素有機化合物が例示される。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上記式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X1)〜(X3)で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。)
【化7】

【0034】
上記一般式(X1)〜(X3)中、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【0035】
上記一般式(B)−1で表される化合物として具体的には、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンが例示される。
【0036】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ含窒素有機化合物が例示される。
【化8】


(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0037】
上記一般式(B)−2として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル、2−メトキシ酢酸2−モルホリノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−モルホリノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−モルホリノエチル、ヘキサン酸2−モルホリノエチル、オクタン酸2−モルホリノエチル、デカン酸2−モルホリノエチル、ラウリン酸2−モルホリノエチル、ミリスチン酸2−モルホリノエチル、パルミチン酸2−モルホリノエチル、ステアリン酸2−モルホリノエチルが例示される。
【0038】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物が例示される。
【化9】


(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0039】
上記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物として具体的には、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
【0040】
更に、下記一般式(B)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化10】


(上記式中、R310は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基、アセタール基のいずれかを1個あるいは複数個含む。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0041】
更に、下記一般式(B)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化11】


(上記式中、R314は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基である。R315は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としてエステル基、アセタール基、シアノ基のいずれかを一つ以上含み、その他に水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基のいずれかを一つ以上含んでいてもよい。)
【0042】
更に、下記一般式(B)−9及び(B)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化12】


(上記式中、Aは窒素原子又は≡C−R322である。Bは窒素原子又は≡C−R323である。R316は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を一つ以上含む。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基である。R321とR323は結合してこれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0043】
更に、下記一般式(B)−11〜(B)−14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
【化13】


(上記式中、R324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO2326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0044】
更に、下記一般式(B)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸
【化14】


(上記式中、R333は水素、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を一つ又は複数含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基であって、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0045】
また、熱によって塩基を発生する化合物を用いることもできる。Journal of Photopolymer Science and Technology Vol.3, No.3, p419 (1990)に記載されているベンジルカルバメート系の化合物である。
【0046】
更に、下記一般式(S1)、(S2)で示される加水分解性の珪素を有するアミン化合物を用いることもできる。
【化15】


(上記式中、RN1、RN2、RN7、RN8、RN9は水素原子、アミノ基,エーテル基(−O−),エステル基(−COO−)又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、それぞれアミノ基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、又は炭素数7〜12のアラルキル基であり、又はRN1とRN2、RN7とRN8、RN8とRN9又はRN7とRN9とは互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成していてもよい。RN3、RN10は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基(−O−)、エステル基(−COO−)、チオエーテル基(−S−)、フェニレン基又はヒドロキシ基を有していてもよく、RN4〜RN6、RN11〜RN13は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリーロキシ基、炭素数2〜12のアルケニロキシ基、炭素数7〜12のアラルキロキシ基、又はヒドロキシ基であり、RN4〜RN6、RN11〜RN13の内少なくとも一つがアルコキシ基又はヒドロキシ基である。X-は陰イオンを表す。)
【0047】
一般式(S1)で示される化合物は具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシシラン、3−アミノプロピルトリイソプロポキシシシラン、3−アミノプロピルトリヒドロキシシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリプロポキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリヒドロキシシシラン、イソプロピルアミノメチルトリメトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオ)エチルトリメトキシシラン、アリルオキシ−2−アミノエチルアミノメチルジメチルシラン、ブチルアミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリイソプロポキシシラン、ピペリジノメチルトリメトキシシラン、3−(アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、4−メチルピペラジノメチルトリメトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオ)エチルジエトキシメチルシラン、モルフォリノメチルトリメトキシシラン、4−アセチルピペラジノメチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルアミノトリメトキシシラン、2−ピペリジノエチルトリメトキシシラン、2−モルフォリノエチルチオメチルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−2−ピペリジノエチルシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペラジノプロピルシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、3−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオ)エチルトリエトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルベンジロキシジメチルシラン、3−(4−アセチルピペラジノプロピル)トリメトキシシラン、3−(3−メチルピペリジノプロピル)トリメトキシシラン、3−(4−メチルピペリジノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−メチルピペリジノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−モルフォリノエチルチオプロピル)トリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(4−メチルピペリジノプロピル)シラン、3−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ベンジルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−ピペリジノエチルチオプロピル)トリメトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルトリメトキシシラン、3−ピロリジノプロピルトリメトキシシラン、3−(6−アミノヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−(ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(t−ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、11−(2−アミノエチルアミノ)ウンデシルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、2−(2−ピリジル)エチルトリメトキシシラン、2−[(2−アミノエチルアミノ)メチルフェニル]エチルトリメトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、3−[(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、3−(エチルアミノ)−2−メチルプロピル(メチルジエトキシシラン)、3−[ビス(ヒドロキシエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシランを挙げることができる。
【0048】
一般式(S1)で示されるアミノシラン化合物は単独で用いてもよいし、2種以上のアミノシラン化合物をブレンドしてもよい。また、アミノシラン化合物を(部分)加水分解縮合したものを用いてもよい。
【0049】
一般式(S1)で示されるアミノシラン化合物として、例えば下記一般式(S3)に示されるオキシランを含有するシラン化合物とアミン化合物との反応生成物を挙げることもできる。
【化16】


(上記式中、RN20は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は炭素数2〜12のアルケニル基であり、それぞれヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はアミノ基を有していてもよい。Npは1又は2であり、Npが1の場合、RN21は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基又はフェニレン基を有していてもよい。Npが2の場合、RN21は上記アルキレン基から水素原子が1個脱離した基である。RN22〜RN24は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリーロキシ基、炭素数2〜12のアルケニロキシ基、炭素数7〜12のアラルキロキシ基又はヒドロキシ基であり、RN22〜RN24の内少なくとも一つがアルコキシ基又はヒドロキシ基である。)
【0050】
一般式(S1)で示されるアミノシランにおいて、特にはRN1が水素原子である二級のアミノ基を有するアミノシランあるいはRN1とRN2の両方が水素原子である一級のアミノ基を有するアミノシランと、オキシランを有するシラン化合物を混合した場合は、例えば下記に示す反応により、下記一般式(S4)で示されるシラン化合物が生成する。一級、二級のアミノ基を有するアミノシランと、オキシランを有するシラン化合物の混合物を用いた場合は、下記シラン化合物がレジスト表面に吸着することになる。
【化17】


(上記式中、RN2〜RN6、RN21〜RN24、Npは上記の通りである。)
【0051】
ここで用いられるオキシラン含有シラン化合物について具体的には、下記に示すものを挙げることができる。
【化18】


(上記式中、RN22〜RN24は上記の通りである。)
オキシランの代わりにオキセタンを有するシラン化合物を用いることもできる。
【0052】
式(S3)中でオキシラン又はオキセタン含有シラン化合物と反応させるアミン化合物としては、一級あるいは二級アミン化合物が望ましい。一級のアミン化合物としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、エタノールアミン、N−ヒドロキシエチルエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルエチルアミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0053】
アミノシラン化合物は、他のシラン化合物をブレンドすることもできる。例えば特開2005−248169号公報には、アミノシランとエポキシ基を有するシランとのブレンドが示されている。
【0054】
上記一般式(S2)で示されるアンモニウム塩を有するシラン化合物としては、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、N−トリエトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N−トリメチル−N−(トリプロポキシシリルプロピル)アンモニウムヒドロキシド、N,N,N−トリブチル−N−(トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムヒドロキシド、N,N,N−トリエチル−N−(トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムヒドロキシド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、N−(2−トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムヒドロキシド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチル−N−テトラデシルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。アニオンX-として上記記載のヒドロキシドイオンの他、塩素、臭素等のハロゲン化物イオン、酢酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、硝酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トシル酸、ベンゼンスルホン酸由来のアニオンが挙げられるが、レジスト表面のカルボキシル基とのアニオン交換でアンモニウムイオンが吸着するためには、X-の陰イオンとしては弱酸、塩基が好ましく、最も好ましいのはヒドロキシアニオンである。
【0055】
オキサゾリン化合物としては、2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−シクロペンチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2−(2−メトキシフェニル)−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン、2,2’−メチレンビス4,5−ジフェニル−2−オキサゾリン、2,2’−メチレンビス−4−フェニル−2−オキサゾリン、2,2’−メチレンビス−4−tertブチル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−(4’−メチル−2−オキサゾリン)、4,4−ジメチル−2−フェニル−2−オキサゾリン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)を挙げることができる。
【0056】
アミン化合物又はオキサゾリン化合物を第1のレジストパターン上に塗布する場合は、有機溶媒や水、あるいはこれらの混合溶液に溶解させて塗布する方法が好ましい。このとき好ましい有機溶剤としては第1のレジストパターンを溶解させないことが必要であり、溶剤として炭素数3〜8のアルコール、炭素数6〜12のエーテル、及び炭素数4〜16のアルカン、アルケン、芳香族炭化水素などが挙げられ、これら有機溶剤同士の混合であっても水との混合であってもよい。
【0057】
水との混合物の場合は、現像液カップでの塗布が可能であり、第1のパターン現像直後にアミン化合物及びオキサゾリン化合物を含む水溶液を塗布することができる。現像カップでの塗布を現像シーケンスの中に取り入れれば、新たな塗布用カップの追加をすることなく既存の装置を用いることができるメリットがある。炭素数3〜8のアルコールとしては、具体的にはn−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、シクロヘキサノール、オクタノールを挙げることができる。
【0058】
炭素数6〜12のエーテルとしては、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、アニソール、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルを挙げることができる。炭素数4〜16のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、メチルアダマンタン、ジメチルアダマンタン、デカヒドロナフタレン、アルケンとしてはヘプテン、オクテンを挙げることができる。芳香族炭化水素としてはベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
【0059】
アミン化合物、オキサゾリン化合物を含む溶液を塗布後、ベークすることによってアミン化合物、オキサゾリン化合物をレジスト表面に吸着させることができる。レジスト表面には酸不安定基の部分脱保護によって生成したカルボキシル基が存在しており、アミン化合物はカルボキシル基と塩を形成し、オキサゾリンはアミドエステルを形成する。カルボキシル基とのアミン塩や、アミド基は酸を中和し、酸を不活性化させる。ベークによって余分なアミン化合物、オキサゾリン化合物を蒸発させることもできる。基板上に付着したアミン化合物、オキサゾリン化合物は、2回目のレジスト膜中に発生した酸を失活させて裾引き形状の原因になるため、余分なアミン化合物、オキサゾリン化合物を取り除く必要がある。アミン化合物、オキサゾリン化合物の塗布に用いられるようなレジストパターンを侵さない溶剤や水、アルカリ現像液あるいはこれらの混合溶液でリンスしてやることは効果的である。リンス後にベークを行うことは、リンス液を蒸発させるだけでなく、アミン化合物、オキサゾリン化合物を更に強固にレジストパターンに付着させる。
【0060】
個々のベーク温度は50〜200℃の範囲内で、190℃以下が好ましく、1回目のレジストパターンの変形を最小限に抑えるためには180℃以下、更に好ましくは170℃以下である。
【0061】
アミン化合物、オキサゾリン化合物を含む溶液として、ベースポリマーを添加することもできる。
ベースポリマーとしては、水溶性あるいは現像液であるアルカリ水溶液で剥離可能なポリマーが望ましい。ベースポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリル酸、ポリエチレンオキシド、アミロース、デキストラン、セルロース、プルラン及びこれらの共重合体が挙げられる。
【0062】
また、下記一般式(5)で示されるポリマーを用いることもできる。
【化19】


(上記式中、R31、R33は水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基であり、R32は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基もしくはアルキリジン基、R34は(p+1)価の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基、又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、ベンジル基、ナフタレンメチル基であり、エーテル結合を有していてもよい。mは1又は2であり、pは1〜5の整数である。X1、X2はそれぞれ−C(=O)−O−R35−、−C(=O)−NH−R36−、−C(=O)−N(R362−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R35は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基を有していてもよく、R36は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基を有していてもよい。0≦a1<1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0である。)
【0063】
上記一般式(5)で示される繰り返し単位を得るためのモノマーとしては、下記一般式(6)中のMa1、Ma2で示される。ここで、R31〜R34、X1、X2、m、pは前述と同じである。ヒドロキシ基を有するMa1、Ma2を重合することによって得られた高分子化合物は、炭素数3〜8のアルコールに溶解し、ヒドロキシ基の部分が架橋することによって強固な膜にすることができる。
【化20】

【0064】
Ma1としては、具体的には下記に例示することができる。R31は前述と同じである。
【化21】

【0065】
これらの中でも、アルコールの溶解性とアルカリ溶解性に優れる繰り返し単位として、下記一般式(7)で示される構造のモノマーを好ましく用いることができる。
【化22】


(上記式中、R31は前述と同じである。R37、R38は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基で、R37とR38が結合してこれらが結合する炭素原子と共に環、好ましくは炭素数3〜6の脂環を形成してもよい。)
【0066】
Ma2は、アルコール溶解性に加えて架橋を促進させるユニットとして有効であり、Ma1と併用することによってアルコール溶解性と架橋による硬化性を向上させることが可能になる。
【0067】
Ma2としては、具体的には下記に例示することができる。R33は前述と同じである。
【化23】

【0068】
【化24】

【0069】
【化25】

【0070】
アルコール基を有する繰り返し単位を得るモノマーMa1あるいはMa2による繰り返し単位に加えて、架橋性の繰り返し単位として下記一般式(8)に示されるエポキシ基又はオキセタニル基を有する繰り返し単位を有していてもよく、下記モノマーMa3を共重合させてもよい。
【化26】


(上記式中、R39は水素原子又はメチル基、X3はそれぞれ−C(=O)−O−R43−、又はフェニレン基もしくはナフチレン基である。R43は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基、ヒドロキシ基又はカルボキシル基を有していてもよい。R40は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、R41は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又はR40と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜8の非芳香環を形成してもよい。R42は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、wは0又は1である。)
【0071】
上記式(8)の繰り返し単位を得るための上記モノマーMa3としては、具体的には下記に例示することができる。R39は前述と同じである。
【化27】

【0072】
【化28】

【0073】
【化29】

【0074】
なお、エポキシ基、オキセタニル基を有する繰り返し単位を得るためのモノマーの一部は、特開2003−55362号公報、特開2005−8847号公報、特開2005−18012号公報に開示されている。
【0075】
フルオロアルコールを有する繰り返し単位を得るためのモノマーMa1はアルコールとアルカリ溶解性に優れるが架橋性がないため、モノマーMa2、あるいはエポキシ基又はオキセタニル基を有するモノマーMa3と共重合することによってレジスト表面を覆うことができる。エポキシ基又はオキセタニル基を有するモノマーのみからなるポリマーは、架橋性に優れるがアルコール溶媒への溶解性がないために、モノマーMa1あるいはMa2と共重合する必要がある。
【0076】
この場合、a1、a2、b1の割合は、0≦a1≦1.0、0≦a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0、特に0.1≦a1+a2≦1.0、0≦b1≦0.9、より好ましくは0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.2≦a1+a2≦1.0、0≦b1≦0.8である。なお、a1+a2+b1≦1である。
【0077】
アミン化合物、オキサゾリン化合物をベーパープライムする場合は、アミン化合物、オキサゾリン化合物の溶液を窒素などでバブリングしたガスを第1レジストパターンに吹き付ける方法が挙げられる。シリコン基板などの密着性を上げるためにヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライムがトラック内で行われているが、HMDSをアミン化合物、オキサゾリン化合物に置き換えて行うことができる。ベーパープライム法に用いることができるアミン化合物、オキサゾリン化合物はバブリング可能な溶液であり、沸点が300℃以下である必要がある。ベーパープライム中に基板を50〜150℃の範囲内でベークすることは、アミン化合物、オキサゾリン化合物のレジストパターンへの吸着を促進させる。また、基板に付着したアミン化合物、オキサゾリン化合物を取り除くために、ベーパープライム後にベークすることも可能である。ベーパープライム用の溶液としてはアミン化合物、オキサゾリン化合物100%でもよいが、有機溶媒で希釈していてもよい。
【0078】
ここで、第1のレジストパターンを形成するためのレジスト材料は、ベース樹脂として、ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位a0と、酸不安定基を有する繰り返し単位bを有するものが用いられ、下記式(A)で示されるものが好ましい。
【化30】


(式中、R1、R4は水素原子又はメチル基、RAはラクトン構造を有する1価の有機基、R5は酸不安定基であり、0<a0<1.0、0<b<1.0、0<a0+b≦1.0の範囲である。)
【0079】
上記繰り返し単位a0としては、後述する繰り返し単位dのうちラクトン構造を有するものと同様のものが例示される。なお、繰り返し単位bについては後述する。また、上記第1のレジスト材料のベース樹脂は、繰り返し単位a0、bに加えて後述する繰り返し単位dのうちラクトン構造を有するもの以外の繰り返し単位を有していてもよい。
【0080】
2回目の露光に用いられるレジスト材料としては、1回目のレジストパターンを溶解させない炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルに溶解する必要がある。これらの溶媒に溶解させるためには2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基、あるいはヒドロキシナフチル基が必須であり、少なくとも下記一般式(9)で示される共重合体で構成される。
【0081】
【化31】


(式中、R1、R4、R6は水素原子又はメチル基、Xは−O−、又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R5は酸不安定基であり、R6は水素原子又はメチル基であり、Yは単結合、又は−C(=O)−O−、R7は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。m、n、pは1又は2であり、sは0又は1であり、Zはヒドロキシ基又はカルボキシル基である。0<a<1.0、0<b<1.0、0≦(c−1)<1.0、0≦(c−2)<1.0、0<a+b+(c−1)+(c−2)≦1.0の範囲である。好ましくは0<(c−1)+(c−2)<1.0である。)
【0082】
繰り返し単位aを得るためのモノマーは、Ma1に加えて、下記に示されるモノマーを挙げることができる。R1は前述と同じである。
【化32】

【0083】
【化33】

【0084】
【化34】

【0085】
繰り返し単位c−1、c−2を得るためのモノマーは、下記に示されるモノマーを挙げることができる。R6は前述と同じである。
ヒドロキシビニルナフタレン共重合ポリマーは特許第3829913号公報に、ヒドロキシアセナフチレン共重合ポリマーは特許第3796568号公報に記載されている。
【0086】
【化35】

【0087】
【化36】

【0088】
【化37】

【0089】
【化38】

【0090】
【化39】

【0091】
繰り返し単位a、c−1、c−2に示されるモノマーのヒドロキシ基は、アセタール基やホルミル基、アセチル基、ピバロイル基などで置換したモノマーを用いて重合し、重合後にアセタール基の場合は酸を用いて、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基の場合はアルカリで加水分解を行ってヒドロキシ基にしてもよい。
【0092】
第2のポジ型レジスト材料におけるベース樹脂としての高分子化合物は、前記繰り返し単位aに加えて、酸不安定基を有する繰り返し単位bを有する。なお、第1のポジ型レジスト材料におけるベース樹脂としての高分子化合物も同様の酸不安定基を有する繰り返し単位bを有する。
【化40】


(式中、R4は水素原子又はメチル基を示す。R5は酸不安定基である。)
【0093】
繰り返し単位bを得るためのモノマーとしては、下記Mbで示される。
【化41】


(式中、R4、R5は前述と同じである。)
【0094】
5で示される酸不安定基は種々選定されるが、同一でも異なっていてもよく、特に下記式(A−1)〜(A−3)で置換された基で示されるものが挙げられる。
【化42】

【0095】
式(A−1)において、RL30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(A−3)で示される基を示し、三級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。a11は0〜6の整数である。
【0096】
式(A−2)において、RL31、RL32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。RL33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0097】
【化43】

【0098】
L31とRL32、RL31とRL33、RL32とRL33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与する基はRL31、RL32、RL33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0099】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0100】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化44】

【0101】
ここで、上記中RL37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、RL38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
また、RL39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
a11は上記の通りである。
【0102】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−35のものを例示することができる。
【化45】

【0103】
【化46】

【0104】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0105】
また、下記一般式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化47】

【0106】
上記式中、RL40、RL41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、RL40とRL41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはRL40、RL41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。RL42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b11、d11は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c11は1〜7の整数である。Aは、(c11+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0107】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c11は好ましくは1〜3の整数である。
【0108】
一般式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−36〜(A−2)−43のものが挙げられる。
【化48】

【0109】
次に、式(A−3)においてRL34、RL35、RL36は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、RL34とRL35、RL34とRL36、RL35とRL36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
【0110】
式(A−3)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0111】
また、三級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化49】

【0112】
式(A−3)−1〜(A−3)−18中、RL43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。RL44、RL46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。RL45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。
【0113】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるRL47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化50】

【0114】
式(A−3)−19、(A−3)−20中、RL43は前述と同様、RL47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。e1は1〜3の整数である。
【0115】
式(A−1)、(A−2)、(A−3)中のRL30、RL33、RL36は、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−メトキシフェニル基等のアルコキシ置換フェニル基等の非置換又は置換アリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等や、これらの基に酸素原子を有する、あるいは炭素原子に結合する水素原子が水酸基に置換されたり、2個の水素原子が酸素原子で置換されてカルボニル基を形成する下記式で示されるようなアルキル基、あるいはオキソアルキル基を挙げることができる。
【0116】
【化51】

【0117】
特に式(A−3)の酸不安定基を有する繰り返し単位としては、下記式(A−3)−21に示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【化52】


(上記式中、R4、bは前述の通り、Rc3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。Rc4〜Rc9及びRc12、Rc13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、Rc10、Rc11は水素原子を示す。あるいは、Rc4とRc5、Rc6とRc8、Rc6とRc9、Rc7とRc9、Rc7とRc13、Rc8とRc12、Rc10とRc11又はRc11とRc12は互いに環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またRc4とRc13、Rc10とRc13又はRc6とRc8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。Rc14は水素原子、炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0118】
ここで、一般式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0119】
【化53】


【0120】
次に式(A−3)に示される酸不安定基としては、下記式(A−3)−22に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基を挙げることができる。
【化54】


(上記式中、R4、bは前述の通りである。Rc14、Rc15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。又は、Rc14、Rc15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。Rc16はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。Rc17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0121】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーは、下記に例示される。なお、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【0122】
【化55】

【0123】
【化56】

【0124】
2回目の露光に用いるレジストの繰り返し単位としては、上記一般式(3)中のa、b、c−1、c−2単位が挙げられるが、これ以外のヒドロキシ基、ラクトン環、カーボネート基、シアノ基、エーテル基、エステル基などを有する繰り返し単位dを共重合してもよい。
具体的には下記に例示することができる。
【0125】
【化57】

【0126】
【化58】

【0127】
【化59】


【0128】
【化60】

【0129】
更に、下記一般式(10)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位g1、g2、g3のいずれかを共重合することができる。
【化61】


(上記式中、R200、R240、R280は水素原子又はメチル基、R210は単結合、フェニレン基、−O−R−、又は−C(=O)−Y1−R−である。Y1は酸素原子又はNH、Rは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R220、R230、R250、R260、R270、R290、R300、R310は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z1は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R320−、又は−C(=O)−Z2−R320−である。Z2は酸素原子又はNH、R320は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。g1は0≦g1≦0.3、g2は0≦g2≦0.3、g3は0≦g3≦0.3、0≦g1+g2+g3≦0.3である。)
【0130】
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0131】
更には、下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化62】

【0132】
一般式(K−1)中、R102は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、アリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環を有していてもよい。
一般式(K−2)中、R103は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環を有していてもよい。
【0133】
1回目のパターニングに用いられるレジスト材料のベースポリマーとしては、上述したように、炭素数3〜8のアルコール、及び炭素数6〜12のエーテルの溶媒に溶解しない特性が必要である。これらの溶剤に溶解させないためには、ラクトンを有する密着性基が必要である。一方、繰り返し単位a、c−1、c−2は炭素数3〜8のアルコール、及び炭素数6〜12のエーテルへの溶解性を促進させるため、第1パターン用のレジスト材料への導入はしないか、あるいは導入したとしても共重合比として20モル%以下にすることが望まれる。
即ち1回目のパターニングに用いられるレジスト材料のベースポリマーとしては、繰り返し単位bで示される酸不安定基を有する繰り返し単位、ラクトンを有する繰り返し単位a0が必要であり、更にヒドロキシ基、カーボネート基、シアノ基、エーテル基、又はエステル基を有する繰り返し単位dを共重合してもよい。
【0134】
1回目のパターニングに用いられるレジスト材料のベースポリマーとして、不活性化の効率を上げるために、アミン又はオキサゾリンの吸着を促進させるための酸性の繰り返し単位を有することが好ましい。酸性の繰り返し単位としては、[0064]、[0082]〜[0084]記載のフルオロアルコール、スルホンアミド、[0089]、[0090]、[0124]記載のカルボキシル基、スルホ基、[0087]記載のフェノール基、[0088]記載のナフトール基が挙げられる。
【0135】
1回目のパターニングに用いられるレジスト用ベースポリマーの共重合組成としては、0<a0<1.0、0<b<1.0、0≦d<1.0、0<b+d≦1.0、好ましくは0.1≦a0≦0.9、0.1≦b≦0.8、0.05≦d≦0.9、0.15≦b+d≦1.0、より好ましくは0.2≦a0≦0.8、0.15≦b≦0.7、0.1≦d≦0.85、0.2≦b+d≦1.0である。酸性の繰り返し単位jは、全繰り返し単位中0≦j≦0.5である。
【0136】
2回目のパターニングに用いられるレジスト用ベースポリマーの共重合組成としては、0<a<1.0、0<b<1.0、0≦(c−1)<1.0、0≦(c−2)<1.0、0<a+b+(c−1)+(c−2)≦1.0、0.1≦a+(c−1)+(c−2)≦0.9、好ましくは0.1≦a≦0.9、0.1≦b≦0.8、0≦(c−1)+(c−2)≦0.5、0.3≦a+b+(c−1)+(c−2)≦1.0、0.15≦a+(c−1)+(c−2)≦0.85、より好ましくは0.2≦a≦0.8、0.15≦b≦0.7、0≦(c−1)≦0.4、0≦(c−2)≦0.4、0.4≦a+b+(c−1)+(c−2)≦1.0、0.2≦a+(c−1)+(c−2)≦0.8である。好ましくは(c−1)と(c−2)とは、同時に0にならない。
【0137】
なお、a+b+(c−1)+(c−2)+d≦1.0である。ここで、例えばa+b+(c−1)+(c−2)+d=1とは、繰り返し単位a、b、c−1、c−2、dを含む高分子化合物において、繰り返し単位a、b、c、dの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b+(c−1)+(c−2)+d<1とは、繰り返し単位a、b、c−1、c−2、dの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満で、a、b、c−1、c−2、d以外に他の繰り返し単位g(g1〜g3のいずれか)を有していることを示す。
また、繰り返し単位g1、g2、g3の割合は、0≦g1+g2+g3≦0.2であることが好ましい。
【0138】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジストのベースポリマーとなる高分子化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料現像後の熱架橋における架橋効率が低下することがあり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0139】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0140】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては上記繰り返し単位を得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよく、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後保護化あるいは部分保護化してもよい。なお、上記ベース樹脂を構成する高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0141】
本発明のパターン形成方法に用いる第1及び第2のポジ型レジスト材料は、化学増幅ポジ型レジスト材料として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0142】
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。
なお、酸発生剤の配合量は、上記ベースポリマー100質量部に対し0.1〜30質量部、特に1〜20質量部である。
【0143】
本発明のレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか一つ以上を含有することができる。
【0144】
第1パターンレジスト用の有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載されている化合物を用いることができる。
【0145】
即ち、ここで使用される有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0146】
有機溶剤の使用量は、ベースポリマー100質量部に対して200〜3,000質量部、特に400〜2,500質量部が好適である。
【0147】
第2パターンレジスト用の有機溶媒として炭素数3〜8のアルコールとしては、具体的にはn−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、シクロヘキサノール、オクタノールを挙げることができる。
【0148】
炭素数6〜12のエーテルとしては、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、3,6−ジメチルアニソール、2,3,4−トリメチルアニソール、2,3,6−トリメチルアニソール、2,4,6−トリメチルアニソール、2,4,5,6テトラメチルアニソール、2−エチルアニソール、3−エチルアニソール、4−エチルアニソール、2−イソプロピルアニソール、3−イソプロピルアニソール、4−イソプロピルアニソール、4−プロピルアニソール、2−ブチルアニソール、3−ブチルアニソール、4−ブチルアニソール、2−tert−ブチルアニソール、3−tert−ブチルアニソール、4−tert−ブチルアニソール、ペンタメチルアニソール、2−ビニルアニソール、3−ビニルアニソール、4−メトキシスチレン、エチルフェニルエーテル、プロピルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、エチル−3,5−キシリルエーテル、エチル−2,6−キシリルエーテル、エチル−2,4−キシリルエーテル、エチル−3,4−キシリルエーテル、エチル−2,5−キシリルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルベンジルエーテル、イソプロピルベンジルエーテル、プロピルベンジルエーテル、メチルフェネチルエーテル、エチルフェネチルエーテル、イソプロピルフェネチルエーテル、プロピルフェネチルエーテル、ブチルフェネチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、アリルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、アリルベンジルエーテル、ビニルフェネチルエーテル、アリルフェネチルエーテル、4−エチルフェネトール、tert−ブチルフェニルエーテルを挙げることができる。
【0149】
前述のアルコール溶媒の中では、ポリマーの溶解性が高い点では1級のアルコールが好ましく、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノールが最も好ましい。2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノールだけを溶媒として用いた場合、スピンコーティング、ベーク後のレジスト膜表面の滑水性が低い問題がある。滑水性は、レジスト膜上に垂らした水滴が、ウエハーを傾斜させたときに転落していくときの後退接触角が高い程優れる。後退接触角が低いと液浸リソグラフィーにおいて、高速スキャンを行った場合、水がウエハーステージからこぼれたり、スキャンした後方に水滴が残り、これによって欠陥が発生する。2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノールの沸点は130℃前後であり、一般的に用いられているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の145℃に比べると低い。沸点が低いと溶媒の蒸発が早くなる。液浸レジストには、後述の滑水性向上剤をブレンドし、スピンコート中に滑水性向上剤がレジスト表面に配向するが、低沸点溶媒を用いると滑水性向上剤の表面配向が起きる前にレジスト膜の固化が始まるために十分な滑水性を得ることができない。溶媒の蒸発を遅くするためには、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノールに高沸点の溶媒をブレンドすることが効果的である。高沸点溶媒としては、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノールが好ましいものとして挙げられる。
【0150】
第1のレジストパターンへのダメージを抑えるための第2レジストの溶媒として、炭素数3〜8のアルコールに加えて、炭素数6〜12のエーテルをブレンドすることは効果的である。炭素数6〜12のエーテル単独では、2回目のレジスト用のポリマーを溶解させることはできないが、炭素数3〜8のアルコールとブレンドすることによって第1のレジストパターンへのダメージを最小にすることができる。
【0151】
第1パターンレジスト用と第2パターンレジスト用の塩基性化合物としては特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]、界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤は特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている材料を用いることができる。
【0152】
なお、上記成分の配合量は、公知の配合量範囲とすることができる。
例えばベース樹脂100質量部に対し、塩基性化合物は0.001〜10質量部、溶解制御剤は0.1〜50質量部、界面活性剤は0.00001〜5質量部の配合量とすることが好ましい。
【0153】
ここで、ダブルパターニングについて説明する。図8〜10は従来のダブルパターニング方法を示す。
図8に示すダブルパターニング方法1において、基板10上の被加工層20上にレジスト膜30を塗布、形成する。レジストパターンのパターン倒れ防止のため、レジスト膜の薄膜化が進行しており、それに伴うエッチング耐性の低下を補うためにハードマスクを用いて被加工層を加工する方法が行われている。ここで、図8に示すダブルパターニング方法としては、レジスト膜30と被加工層20の間にハードマスク40を敷く積層膜である(図8−A)。ダブルパターニング方法において、ハードマスクは必ずしも必須ではないし、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜を敷いてもよく、ハードマスクとレジスト膜との間に有機反射防止膜を敷いてもよい。ハードマスクとしては、SiO2、SiN、SiON、p−Si、TiNなどが用いられる。また、ダブルパターニング方法1において、用いるレジスト材料はポジ型レジスト材料である。この方法においては、上記レジスト膜30を露光、現像し(図8−B)、次いでハードマスク40をドライエッチングし(図8−C)、レジスト膜を剥離後、2回目のレジスト膜50を塗布、形成し、露光、現像を行う(図8−D)。次に、被加工層20をドライエッチングする(図8−E)が、ハードマスクパターンと、2回目のレジストパターンをマスクにしてエッチングするために、ハードマスク40とレジスト膜50のエッチング耐性の違いにより被加工層のエッチング後のパターン寸法にずれが生じる。
【0154】
前記問題を解決するために、図9に示すダブルパターニング方法2では、ハードマスクを2層敷き、1回目のレジストパターンで上層のハードマスク42を加工し、2回目のレジストパターンで下層のハードマスク41を加工し、2つのハードマスクパターンを用いて被加工層をドライエッチングする。第1ハードマスク41と第2ハードマスク42のエッチング選択比が高いことが必要であり、かなり複雑なプロセスになる。
【0155】
図10に示すダブルパターニング方法3は、トレンチパターンを用いる方法である。これならばハードマスクは1層で済む。しかしながら、ラインパターンに比べてトレンチパターンは光のコントラストが低いために、現像後のパターンの解像が難しく、マージンが狭い欠点がある。広いトレンチパターンを形成してからサーマルフローやRELACS法などでシュリンクさせることも可能であるが、プロセスが煩雑化する。ネガ型レジスト材料を用いれば高い光学コントラストで露光が可能であるが、ネガ型レジスト材料は一般的にポジ型レジスト材料に比べてコントラストが低く、解像性能が低い欠点がある。トレンチプロセスは、1回目のトレンチと2回目のトレンチの位置ずれが、最終的に残るラインの線幅ずれにつながるため、非常に高精度なアライメントが必要である。
【0156】
いずれにしてもこれまでに挙げたダブルパターニング方法1〜3は、ハードマスクのエッチングを2回行うことになり、プロセス上の欠点である。
【0157】
これに対し、本発明に係るダブルパターニング方法は、図1に示す通りであり、図8−Aと同様に、基板10上の被加工層20上にハードマスク40を介して第1のポジ型レジスト材料による第1のレジスト膜30を形成する(図1−A)。次いで、第1のレジスト膜30を露光、現像し(図1−B)、その後アミン化合物及びオキサゾリン化合物によってレジスト膜30を酸に対して不活性化させたレジストパターン30aを形成する(図1−C)。この場合、アミン化合物及びオキサゾリン化合物をベーパープライムしてもよいし、スピンコート法で供給してもよい。不要なアミン化合物及びオキサゾリン化合物はベークによって蒸発させてもよいし、溶媒や水、アルカリ現像液によって剥離してもよい。その後ベークしてアミン化合物及びオキサゾリン化合物をパターン内にしみこませてもよい。この場合、加熱温度としては、50〜170℃、5〜600秒の範囲が好ましい。170℃よりも高い温度ではパターンの熱フローによる変形、酸不安定基の脱保護による収縮が起き易くなるため好ましくない。加熱温度としては好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。130℃以下の加熱に抑えることによってパターンの変形は殆ど起こらなくなる。
更に、その上に第2のレジスト材料を塗布して第2のレジスト膜を形成し、露光、現像して、上記第1のレジスト膜30(酸不活性レジストパターン30a)のパターンが形成されていない部分に第2のレジスト膜のパターン50を形成する(図1−D)。次に、ハードマスク40をエッチングし(図1−E)、更に被加工層20をドライエッチングし、上記酸不活性レジストパターン30a及び第2のレジストパターン50を除去する(図1−F)。
【0158】
図1に示されるのは、第1のパターンの間に第2のパターンを形成する方法であるが、第1のパターンと直交する第2のパターンを形成してもよい(図2)。1回の露光で直交するパターンを形成することもできるが、ダイポール照明と偏光照明を組み合わせればラインパターンのコントラストを非常に高くすることができる。図2−Aに示されるようにY方向のラインをパターニングし、このパターンを本発明の方法で溶解から保護し、図2−Bに示されるように2回目のレジストを塗布しX方向ラインを形成する。XとYのラインを組み合わせて格子状パターンを形成することによって空いた部分をホールにする。形成するのは直交パターンだけとは限らず、T型パターンもよいし、図3に示されるように離れていてもよい。
【0159】
本発明の第1レジストパターンの不活性化ステップを図4〜7に示す。図4〜7において、符号10、20、30、30a、40は前述の通り、100はアミン化合物又はオキサゾリン化合物を含む高分子化合物をコートして形成した膜である。
図4では、現像後の第1パターンを光照射し、その上にアミン化合物又はオキサゾリン化合物をコートする。コート後不活性化効率を上げるためにベークを行ってもよい。アミン化合物及びオキサゾリン化合物はベースポリマーと溶媒に混合しているので、剥離を行う必要がある。
図5では、図4の光照射が省略されている。未分解の酸発生剤がレジスト膜中に残っているため不活性化の効率は図4のプロセスよりも低下するが、プロセスステップが短くなる利点がある。
図6では、第1パターンの光照射後、アミン化合物又はオキサゾリン化合物をベーパープライムかスピンコートすることによって不活性化を行う。この場合、アミン化合物及びオキサゾリン化合物を含む不活性化剤にはベースポリマーが含まれない。余分なアミン化合物及びオキサゾリン化合物をベークによって蒸発させることができるため、剥離工程が不必要になるメリットがある。
図7では、図6の光照射が省略されており、アミン化合物又はオキサゾリン化合物をベーパープライムかスピンコートだけで不活性化を行う最も短いステップである。ステップが短くなる分だけ不活性化能が低下するが、第1レジストにアミン化合物又はオキサゾリン化合物を吸着し易くする酸性ユニットを共重合したポリマーを使う等の工夫をすることで十分な不活性化能を有することができる。
【0160】
この場合、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工層20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。また、ハードマスク40としては、上述した通りである。なお、ハードマスクの代わりにカーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜あるいは有機反射防止膜等の中間介在層を形成してもよい。
【0161】
本発明においては、上記被加工層に直接又は上記ハードマスク等の中間介在層を介して第1のポジ型レジスト材料による第1のレジスト膜を形成するが、第1のレジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
【0162】
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で、露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよく、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
レジスト材料として、レジスト表面の撥水性を上げるための添加剤を加えてもよい。このものは、フルオロアルコール基を有する高分子体であり、スピンコート後のレジスト表面に配向し表面エネルギーを低下させ、滑水性が向上する。このような材料は、特開2007−297590号公報、特開2008−122932号公報に示される。
【0163】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)する。
【0164】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0165】
この第2のレジスト膜については、常法に従って、露光、現像を行い、第2のレジスト膜のパターンを第1レジスト膜パターンのパターンが形成されていない部分に形成し、パターン間の距離を半減することが好ましい。なお、第2のレジスト膜の膜厚、露光、現像等の条件としては、上述した条件と同様とすることができる。
【0166】
次いで、これら第1レジスト膜及び第2のレジスト膜をマスクとしてハードマスク等の中間介在層をエッチングし、更に被加工層のエッチングを行う。この場合、ハードマスク等の中間介在層のエッチングは、フロン系、ハロゲン系のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができ、被加工層のエッチングは、ハードマスクとのエッチング選択比をとるためのエッチングガス及び条件を適宜選択することができ、フロン系、ハロゲン系、酸素、水素等のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができる。次いで、第1レジスト膜、第2のレジスト膜を除去するが、これらの除去は、ハードマスク等の中間介在層のエッチング後に行ってもよい。なお、第1レジスト膜の除去は、酸素、ラジカルなどのドライエッチングによって行うことができ、第2のレジスト膜の除去は上記と同様に、あるいはアミン系、又は硫酸/過酸化水素水などの有機溶媒などの剥離液によって行うことができる。
【実施例】
【0167】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0168】
[合成例]
レジスト材料に添加される高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜22)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0169】
ポリマー1
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化63】

【0170】
ポリマー2
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化64】

【0171】
ポリマー3
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化65】

【0172】
ポリマー4
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化66】

【0173】
ポリマー5
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化67】

【0174】
ポリマー6
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化68】

【0175】
ポリマー7
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化69】

【0176】
ポリマー8
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化70】

【0177】
ポリマー9
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化71】

【0178】
ポリマー10
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.94
【化72】

【0179】
ポリマー11
分子量(Mw)=9,600
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化73】

【0180】
ポリマー12
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.90
【化74】

【0181】
ポリマー13
分子量(Mw)=8,000
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化75】

【0182】
ポリマー14
分子量(Mw)=7,100
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化76】

【0183】
ポリマー15
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化77】

【0184】
ポリマー16
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化78】

【0185】
ポリマー17
分子量(Mw)=9,000
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化79】

【0186】
ポリマー18
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.95
【化80】

【0187】
ポリマー19
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.99
【化81】

【0188】
ポリマー20
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化82】

【0189】
ポリマー21
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化83】

【0190】
ポリマー22
分子量(Mw)=7,900
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化84】

【0191】
[第1レジスト材料の組成]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1〜4、11)、酸発生剤、塩基性化合物(アミンクエンチャー)、レジスト表面撥水剤、住友スリーエム(株)製界面活性剤;FC−4430が50ppm混合された溶剤を表1の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0192】
表1中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1(光酸発生剤)
【化85】


塩基性化合物(アミンクエンチャー):Quencher1
【化86】


レジスト表面撥水剤:撥水剤ポリマー1,2
【化87】


有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0193】
【表1】

【0194】
[第2レジスト材料の組成]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー5〜10、12〜22)、酸発生剤、アミンクエンチャー、レジスト表面撥水剤、住友スリーエム(株)製界面活性剤;FC−4430が50ppm混合された溶剤を表2の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0195】
【表2】

【0196】
[パターンオーバーコート膜材料の組成]
下記高分子化合物(オーバーコート膜用ポリマー1〜4)、アミン及びオキサゾリン、溶剤を表3の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
ポリビニルピロリドンとしては、Aldrich社製のMw10,000の品を用いた。
他のオーバーコート膜用の高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(パターンオーバーコート1〜30)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0197】
【化88】

【0198】
【表3】

【0199】
表3中の各組成は次の通りである。
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
アミン1〜7:Amine1〜7
【化89】

【0200】
第1レジスト膜の溶媒による膜減り
表1に示される第1パターン用レジスト材料を、シリコンウエハーに塗布し、100℃で60秒間ベークして、100nm膜厚のレジスト膜を作製した。レジスト膜上に表4記載の溶媒を20秒間静止ディスペンスし、その後スピンドライ、100℃で60秒間ベークして溶媒を蒸発させ、膜厚を測定して溶媒ディスペンスによる減少した膜厚を求めた。結果を表4に示す。
【0201】
【表4】


レジスト1−1〜1−5は、上記のアルコール系、アルコールとエーテルの混合の溶媒に不溶であることが確認された。
【0202】
[実施例、比較例]
ダブルパターニング評価(1)
東京エレクトロン(株)製コーターデベロッパー(Clean Track Mark 8)の、通常はSi基板密着向上剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)溶液が封入されている容器に表5に記載されているベーパープライム用試薬溶液を封入した。容器の窒素ガスのバブリングによって封入された溶液の蒸気が混合したガスがウエハー上に吹き付けられる機構となっている。
表1に示される第1パターン用レジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてAzimuthally偏光照明でY方向40nmライン160nmピッチのパターンを露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、ラインとスペースの比が1:3のライン寸法が40nmの第1パターンを得た。実施例1−1〜1−4、比較例1−1,1−2では第1パターンが形成された基板に波長193nmのArFエキシマレーザーを100mJ/cm2照射した後、表6,7に示す溶液を窒素バブリングした蒸気を23℃で60秒間吹き付け、120℃で60秒間ベークして余分なアミン化合物を蒸発させた。実施例1−5では250Wの高圧水銀灯を30秒間照射し、実施例1−6では波長222nmのKrClエキシマ光を100mJ/cm2露光し、実施例1−7〜1−12では250Wのメタルハライドランプを30秒間照射し、第1パターンが形成された基板に表6,7に示す溶液を窒素バブリングした蒸気を23℃で90秒間吹き付け、130℃で60秒間ベークして余分なアミン化合物を蒸発させた。次に第1パターン上に第2パターン用のレジストを塗布、100℃で60秒間ベークし、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて第1パターンよりX方向に80nmずらした位置にAzimuthally偏光照明でY方向40nmライン160nmピッチのパターンを露光し、露光後、直ちに85℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が40nmのラインアンドスペースの第1パターンと第2パターンを得た(図11)。なお、図11中、Aは第1パターン、Bは第2パターンを示す。
第1パターンと、これと平行する第2パターンのそれぞれのラインの幅を測長SEM((株)日立製作所製S−9380)で測定した。結果を表5に示す。
【表5】

【0203】
ダブルパターニング評価(2)
表1に示される第1パターン用レジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度クロスポール照明、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてY方向40nmライン160nmピッチのパターンを露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が40nmのラインアンドスペースの第1パターンを得た。第1パターン上に表3に示すオーバーコート材料(パターンオーバーコート1〜30)を塗布し、120℃で60秒間ベークした。実施例2−1、2−6〜2−29、比較例2−1は純水で剥離し、実施例2−2〜2−5は2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で10秒間現像を行って、その後純水リンスを行った。実施例2−30は剥離は行わずに、前述の120℃のベークによって余分なアミン成分を蒸発させた。実施例2−31〜2−40は第1パターンにArFエキシマレーザーを100mJ/cm2照射し、オーバーコート材料を塗布し、120℃で60秒間ベークした。実施例2−41は第1パターンに250Wの高圧水銀灯を30秒間照射し、オーバーコート材料を塗布し、120℃で60秒間ベークした。実施例2−42は第1パターンに250Wのメタルハライドランプを30秒間照射し、オーバーコート材料を塗布し、120℃で60秒間ベークした。比較例2−2ではオーバーコート材料を塗布し、160℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で10秒間現像を行って、その後純水リンスを行った。比較例2−3ではオーバーコート材料を塗布し、120℃で60秒間ベークし、純水で剥離し、140℃で60秒間ベークした。次に第1パターン上に表2に示される第2レジストを塗布、100℃で60秒間ベークし、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、35度クロスポール照明、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて第1パターンよりX方向に80nmずらした位置にY方向40nmライン160nmピッチのパターンを露光し、露光後、直ちに85℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が40nmのラインアンドスペースの第1パターンと第2パターンを得た(図11)。
第1パターンと、これと平行する第2パターンのそれぞれのラインの幅を測長SEM((株)日立製作所製S−9380)で測定した。結果を表6,7に示す。
【0204】
【表6】

【0205】
【表7】

【0206】
表6,7の結果から、実施例では第2パターン形成後にも、第1パターンは寸法変化無く残っていたが、比較例では第1パターンは消失して残っていなかったか、寸法が細くなったり太ったりした。
【0207】
ダブルパターニング評価(3)
表1に示される第1パターン用レジスト材料を、シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を80nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、20度ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でX方向40nmラインアンドスペースパターンを露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が40nmのラインアンドスペースの第1パターンを得た。第1パターン上に表3に示すオーバーコート材料を塗布し、120℃で60秒間ベークした。実施例3−1、3−6〜3−19、3−21〜3−26は純水で剥離し、実施例3−2〜3−5は2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で10秒間現像を行って、その後純水リンスを行った。実施例3−20は剥離は行わずに、前述の120℃のベークによって余分なアミン成分を蒸発させた。実施例3−27〜3−36は第1パターンにArFエキシマレーザーを100mJ/cm2照射し、オーバーコート材料を塗布し、120℃で60秒間ベークした。実施例3−37は第1パターンに250Wの高圧水銀灯を30秒間照射し、オーバーコート材料を塗布し、120℃で60秒間ベークした。実施例3−38は第1パターンに250Wのメタルハライドランプを30秒間照射し、オーバーコート材料を塗布し、120℃で60秒間ベークした。実施例3−39〜3−53は光照射無しでオーバーコート材料を塗布し、140℃で60秒間ベークした。次に第1パターン上に表2に示される第2レジストを塗布、100℃で60秒間ベークし、ArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.78、20度ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いてs偏光照明でY方向40nmラインアンドスペースパターンを露光し、露光後、直ちに85℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、寸法が40nmのラインアンドスペースの第2パターンを得た。
第1パターンと、直交する第2パターンを得(図12)、それぞれのラインの幅を測長SEM((株)日立製作所製S−9380)で測定した。結果を表8,9に示す。
【0208】
【表8】

【0209】
【表9】

【0210】
実施例1−1〜1−12、2−1〜2−42のパターン形成方法では、第1のパターンの間に第2のパターンのラインが形成されていることが確認された。
比較例1−2、2−1では、第2のパターンは形成されたが、第1のパターンは第2のレジスト塗布時に溶解したためにパターンが形成されていなかった。
比較例1−1では、第1のレジストパターンに2回目の露光で光が当たり、発生した酸によって保護基が脱保護し、第1のレジストパターンは現像液に溶解してしまった(表5)。
比較例2−2では、第1レジストパターンの熱変形によってパターンの寸法が細くなってしまった。
比較例2−3では、第1レジストパターンと第2レジストパターンのミキシングにより、第2レジストパターン形成後の第1パターンの寸法が大きくなってしまった。
実施例3−1〜3−53のパターン形成方法では、第1のパターンと交差する第2のパターンのラインが形成されていることが確認された。
【0211】
滑水性評価
更に、上記方法でレジスト膜を形成したウエハーを水平に保ち、その上に50μLの純水を滴下して水玉を形成後、傾斜法接触角計Drop Master 500(協和界面科学(株)製)のを用いてウエハーを徐々に傾斜させ、水玉が転落し始めるウエハーの角度(転落角)と後退接触角を求めた。結果を表10に示す。
転落角が低いほどレジスト膜上の水は流動し易く、後退接触角が高いほど高速のスキャン露光でも液滴が残りにくい。PGMEA系の溶媒を用いた第1レジストと、高沸点のアルコールやエーテルを混合させた溶媒を用いた第2レジストは後退接触角が70度以上の優れた滑水性を示した。
【0212】
【表10】

【0213】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様の作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0214】
10 基板
20 被加工層
30 レジスト膜
30a 架橋レジストパターン
40 ハードマスク
50 第2のレジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、前記第1のレジスト膜を高エネルギー線で露光した後、加熱処理(PEB)し、現像液を用いて前記第1のレジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成する工程と、第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、前記基板上の前記第1のレジストパターン上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを含み、前記第1のレジストパターンを溶解しない溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、前記第2のレジスト膜を高エネルギー線で露光し、PEB後、現像液を用いて前記第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、前記第1のレジスト膜を高エネルギー線で露光した後、加熱処理(PEB)し、現像液を用いて前記第1のレジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成する工程と、第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、ベークによって余分なアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を除去する工程と、前記基板上の前記第1のレジストパターン上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを含み、前記第1のレジストパターンを溶解しない溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、前記第2のレジスト膜を高エネルギー線で露光し、PEB後、現像液を用いて前記第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
ラクトンを密着性基として有する繰り返し単位と、酸不安定基を有する繰り返し単位とを共重合してなる高分子化合物を含む第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して、第1のレジスト膜を形成する工程と、前記第1のレジスト膜を高エネルギー線で露光した後、加熱処理(PEB)し、現像液を用いて前記第1のレジスト膜を現像して第1のレジストパターンを形成する工程と、第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化し、ベーク後、水、アルカリ水現像液、炭素数3〜8のアルコール、炭素数6〜12のエーテルから選ばれる溶液で余分なアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を除去する工程と、前記基板上の前記第1のレジストパターン上に炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを含み、前記第1のレジストパターンを溶解しない溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、前記第2のレジスト膜を高エネルギー線で露光し、PEB後、現像液を用いて前記第2のレジスト膜を現像して第2のレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
第1のレジストパターン上にアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を含んだ溶液をスピンコートすることによって酸に対して不活性化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を含んだ蒸気を吹き付けることによって酸に対して不活性化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
第1のレジストパターンにアミン化合物あるいはオキサゾリン化合物を適用して酸に対して不活性化する前に、第1のレジストパターンに波長140〜400nmの光を照射することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記第1のレジストパターンのパターンが形成されていないスペース部分に前記第2のレジストパターンを形成することによって、前記第1のレジストパターンと前記第2のレジストパターンとの間の距離を縮小させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第2のレジストパターンを、前記第1のレジストパターンと交差させて形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記第1のレジストパターンのパターンが形成されていない部分に、前記第1のレジストパターンとは異なる方向に、前記第2のレジストパターンが形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
第1のレジストパターンの露光、第2のレジストパターンの露光の少なくともどちらか一方あるいは両方が水を用いた液浸リソグラフィーであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを含む溶剤を溶媒とする第2のポジ型レジスト材料に用いられるベースポリマーが、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位が、下記一般式(1)で示されるものであることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【化1】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。mは1又は2である。)
【請求項13】
下記一般式(2)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bを共重合した高分子化合物をベースポリマーとすることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【化2】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。mは1又は2であり、0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
【請求項14】
下記一般式(3)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bと、ヒドロキシナフチル基を有する繰り返し単位c−1を共重合した高分子化合物をベースポリマーとすることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【化3】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。R6は水素原子又はメチル基であり、Yは単結合、又は−C(=O)−O−、R7は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。m、nは1又は2であり、sは0又は1であり、Zはヒドロキシ基又はカルボキシル基である。0<a<1.0、0<b<1.0、0<(c−1)<1.0、0<a+b+(c−1)≦1.0の範囲である。)
【請求項15】
下記一般式(4)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bと、ヒドロキシアセナフチレンを重合してなる繰り返し単位c−2を共重合した高分子化合物をベースポリマーとすることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【化4】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。m、pは1又は2であり、Zはヒドロキシ基又はカルボキシル基であり、0<a<1.0、0<b<1.0、0<(c−2)<1.0、0<a+b+(c−2)≦1.0の範囲である。)
【請求項16】
炭素数3〜8のアルコールが、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2,2−ジエチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、シクロヘキサノール、オクタノールから選ばれる1種あるいは2種以上であることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
炭素数6〜12のエーテルが、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、3,6−ジメチルアニソール、2,3,4−トリメチルアニソール、2,3,6−トリメチルアニソール、2,4,6−トリメチルアニソール、2,4,5,6テトラメチルアニソール、2−エチルアニソール、3−エチルアニソール、4−エチルアニソール、2−イソプロピルアニソール、3−イソプロピルアニソール、4−イソプロピルアニソール、4−プロピルアニソール、2−ブチルアニソール、3−ブチルアニソール、4−ブチルアニソール、2−tert−ブチルアニソール、3−tert−ブチルアニソール、4−tert−ブチルアニソール、ペンタメチルアニソール、2−ビニルアニソール、3−ビニルアニソール、4−メトキシスチレン、エチルフェニルエーテル、プロピルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、エチル−3,5−キシリルエーテル、エチル−2,6−キシリルエーテル、エチル−2,4−キシリルエーテル、エチル−3,4−キシリルエーテル、エチル−2,5−キシリルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルベンジルエーテル、イソプロピルベンジルエーテル、プロピルベンジルエーテル、メチルフェネチルエーテル、エチルフェネチルエーテル、イソプロピルフェネチルエーテル、プロピルフェネチルエーテル、ブチルフェネチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、アリルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、アリルベンジルエーテル、ビニルフェネチルエーテル、アリルフェネチルエーテル、4−エチルフェネトール、tert−ブチルフェニルエーテルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルは、第1のレジストパターンを溶解させず、かつ、第2のレジスト材料を溶解させ、炭素数3〜8のアルコール、又は炭素数3〜8のアルコール及び炭素数6〜12のエーテルを第1のレジスト膜上に30秒間ディスペンスし、スピンドライと130℃以下のベークによって前記溶媒を乾燥した後の膜減り量が10nm以下であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
下記一般式(2)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bを共重合した高分子化合物をベースポリマーとし、溶媒として2−メチル−1−ブタノール及び3−メチル−1−ブタノールを50〜98質量%、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノールから選ばれる溶媒を2〜50質量%含むことを特徴とするレジスト材料。
【化5】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。mは1又は2であり、0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)
【請求項20】
下記一般式(2)で示される2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有する繰り返し単位aと、酸不安定基を有する繰り返し単位bを共重合した高分子化合物をベースポリマーとし、溶媒として2−メチル−1−ブタノール及び3−メチル−1−ブタノールを50〜98質量%、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、3,6−ジメチルアニソール、2,3,4−トリメチルアニソール、2,3,6−トリメチルアニソール、2,4,6−トリメチルアニソール、2,4,5,6テトラメチルアニソール、2−エチルアニソール、3−エチルアニソール、4−エチルアニソール、2−イソプロピルアニソール、3−イソプロピルアニソール、4−イソプロピルアニソール、4−プロピルアニソール、2−ブチルアニソール、3−ブチルアニソール、4−ブチルアニソール、2−tert−ブチルアニソール、3−tert−ブチルアニソール、4−tert−ブチルアニソール、ペンタメチルアニソール、2−ビニルアニソール、3−ビニルアニソール、4−メトキシスチレン、エチルフェニルエーテル、プロピルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、エチル−3,5−キシリルエーテル、エチル−2,6−キシリルエーテル、エチル−2,4−キシリルエーテル、エチル−3,4−キシリルエーテル、エチル−2,5−キシリルエーテル、メチルベンジルエーテル、エチルベンジルエーテル、イソプロピルベンジルエーテル、プロピルベンジルエーテル、メチルフェネチルエーテル、エチルフェネチルエーテル、イソプロピルフェネチルエーテル、プロピルフェネチルエーテル、ブチルフェネチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、アリルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、アリルベンジルエーテル、ビニルフェネチルエーテル、アリルフェネチルエーテル、4−エチルフェネトール、tert−ブチルフェニルエーテルから選ばれる溶媒を2〜50質量%含むことを特徴とするレジスト材料。
【化6】


(式中、R1は水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−C(=O)−O−、R2は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基、又はフッ素原子を有していてもよく、R3と結合して環を形成してもよい。R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であるが、R2と結合する場合は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R4は水素原子又はメチル基であり、R5は酸不安定基である。mは1又は2であり、0<a<1.0、0<b<1.0、0<a+b≦1.0の範囲である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−266842(P2010−266842A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285908(P2009−285908)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】