説明

パターン検査装置、パターン検査方法及びプログラム

【目的】擬似欠陥を低減させるパターン検査を行う装置および方法を提供することを目的とする。
【構成】本発明の一態様のパターン検査装置100は、パターン形成された被検査試料における光学画像データを取得する光学画像取得部150と、前記光学画像データと前記光学画像データに対応する参照画像データとを入力し、前記光学画像データの複数の画素値と前記参照画像データの複数の画素値との関係を基に、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整回路140と、画素値レベルが調整された前記光学画像データと前記参照画像データとを比較する比較回路108と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査装置、パターン検査方法、或いは、かかる方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに係り、例えば、半導体製造に用いる試料となる物体のパターン欠陥を検査するパターン検査技術に関し、半導体素子や液晶ディスプレイ(LCD)を製作するときに使用されるフォトマスク、ウェハ、あるいは液晶基板などの極めて小さなパターンの欠陥を検査する装置およびその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。よって、かかる微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細な回路パターンを描画することができるパターン描画装置を用いる。かかるパターン描画装置を用いてウェハに直接パターン回路を描画することもある。例えば、電子ビームやレーザビームを用いて描画される。
【0003】
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになろうとしている。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0004】
一方、マルチメディア化の進展に伴い、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)は、500mm×600mm、またはこれ以上への液晶基板サイズの大型化と、液晶基板上に形成されるTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等のパターンの微細化が進んでいる。従って、極めて小さいパターン欠陥を広範囲に検査することが要求されるようになってきている。このため、このような大面積LCDのパターン及び大面積LCDを製作する時に用いられるフォトマスクの欠陥を短時間で、効率的に検査する試料検査装置の開発も急務となってきている。
【0005】
ここで、従来のパターン検査装置では、拡大光学系を用いてリソグラフィマスク等の試料上に形成されているパターンを所定の倍率で撮像した光学画像と、設計データ、あるいは試料上の同一パターンを撮像した光学画像と比較することにより検査を行うことが知られている。例えば、パターン検査方法として、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die検査」や、マスクパターンを描画する時に使用したCADデータを検査装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計パターンの情報)をベースに設計画像データを生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる光学画像データとを比較する「die to database検査」がある。かかる検査装置における検査方法では、試料はステージ上に載置され、ステージが動くことによって光束が試料上を走査し、検査が行われる。試料には、光源及び照明光学系によって光束が照射される。試料を透過あるいは反射した光は光学系を介して、センサ上に結像される。センサで撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
【0006】
ここで、測定画像データの画素値と比較対象となる参照画像データの画素値とがパターンの透過部同士或いは遮光部同士で一致するように画素値レベルを合わせることが行なわれる。例えば、検査前にキャリブレーションを行なうことでレベル調整を行なう。しかしながら、何らかの影響により結果的に比較検査を行なう際に、測定画像データの画素値レベルが変動してしまっていることがある。その場合、参照画像データの画素値レベルと合わなくなってしまうため、実際には欠陥ではないものを欠陥と誤判定(擬似欠陥検出)してしまうといった問題があった。
【0007】
従来、光源からの光量変動については光量を測定するモニタを設けてモニタ結果を基に光量変動した分について受光センサ素子の出力を補正するといった手法が文献に開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この手法では光源からの光量変動以外の原因で測定画像データの画素値レベルが変動した場合やセンサ素子以降に何らかの影響により測定画像データの画素値レベルが変動した場合に対処することが困難である。
【特許文献1】特開2005−241290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、測定画像データの画素値レベルが変動してしまい、実際には欠陥ではないものを欠陥と誤判定(擬似欠陥検出)してしまうといった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点を克服し、擬似欠陥を低減させるパターン検査を行う装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様のパターン検査装置は、
パターン形成された被検査試料における光学画像データを取得する光学画像取得部と、
前記光学画像データと前記光学画像データに対応する参照画像データとを入力し、前記光学画像データの複数の画素値と前記参照画像データの複数の画素値との関係を基に、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整部と、
画素値レベルが調整された前記光学画像データと前記参照画像データとを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様のパターン検査装置は、
パターン形成された被検査試料における第1の光学画像データと前記第1の光学画像データに対応する第2の光学画像データを取得する光学画像取得部と、
前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを入力し、前記第1の光学画像データの複数の画素値と前記第2の光学画像データの複数の画素値との関係を基に、前記第1の光学画像データの画素値レベルと前記第2の光学画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整部と、
画素値レベルが調整された前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様のパターン検査方法は、
パターン形成された被検査試料における光学画像データを取得する工程と、
前記光学画像データと前記光学画像データに対応する参照画像データとを入力し、前記光学画像データの複数の画素値と前記参照画像データの複数の画素値との関係を基に、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整する工程と、
画素値レベルが調整された前記光学画像データと前記参照画像データとを比較し、結果を出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の態様のパターン検査方法は、
パターン形成された被検査試料における第1の光学画像データと前記第1の光学画像データに対応する第2の光学画像データを取得する工程と、
前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを入力し、前記第1の光学画像データの複数の画素値と前記第2の光学画像データの複数の画素値との関係を基に、前記第1の光学画像データの画素値レベルと前記第2の光学画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整する工程と、
画素値レベルが調整された前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを比較し、結果を出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様のコンピュータに実行させるためのプログラムは、
パターン形成された被検査試料における光学画像データを第1の記憶装置に記憶する第1の記憶処理と、
前記光学画像データに対応する参照画像データを第2の記憶装置に記憶する第2の記憶処理と、
前記光学画像データを第1の記憶装置から読み出し、前記参照画像データを第2の記憶装置から読み出し、前記光学画像データの複数の画素値と前記参照画像データの複数の画素値との関係を基に、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整処理と、
画素値レベルが調整された前記光学画像データと前記参照画像データとを比較し、結果を出力する比較処理と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の態様のコンピュータに実行させるためのプログラムは、
パターン形成された被検査試料における第1の光学画像データと前記第1の光学画像データに対応する第2の光学画像データとを記憶装置に記憶する第1の記憶処理と、
前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを記憶装置から読み出し、前記第1の光学画像データの複数の画素値と前記第2の光学画像データの複数の画素値との関係を基に、前記第1の光学画像データの画素値レベルと前記第2の光学画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整処理と、
画素値レベルが調整された前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを比較し、結果を出力する比較処理と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、測定画像データの画素値レベルの変動を調整により補正することができる。よって、擬似欠陥を低減させることができる。その結果、検査のやり直しを防ぐなど装置の有効利用を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
図1において、マスクやウェハ等の基板を試料として、かかる試料の欠陥を検査するパターン検査装置100は、光学画像取得部150と制御系回路160を備えている。光学画像取得部150は、XYθテーブル102、光源103、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、センサ回路106、レーザ測長システム122、オートローダ130、照明光学系170を備えている。制御系回路160では、コンピュータとなる制御計算機110が、データ伝送路となるバス120を介して、位置回路107、比較部の一例となる比較回路108、展開回路111、参照回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、レベル調整回路140、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、プリンタ119に接続されている。また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。図1では、本実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。パターン検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
【0018】
図2は、実施の形態1におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図2において、パターン検査方法は、測定データ取得工程(S102)、参照データ作成工程(S104)、レベル調整工程(S200)、及び比較工程(S300)という一連の工程を実施する。また、レベル調整工程(S200)内では、エリア切り出し工程(S202)、測定データの平均値演算工程(S205)、参照データの平均値演算工程(S207)、差分演算工程(S208)、及びオフセット工程(S220)という一連の工程を実施する。
【0019】
検査開始前に、まず、オートローダ制御回路113により制御されたオートローダ130により被検査試料となるフォトマスク101は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能に設けられたXYθテーブル102上にロードされ、そして、XYθテーブル102上に載置される。
【0020】
XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。そして、XYθテーブル102の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。また、XYθテーブル102上のフォトマスク101はオートローダ制御回路113により駆動されるオートローダ130から自動的に搬送され、検査終了後に自動的に排出されるものとなっている。
【0021】
フォトマスク101がXYθテーブル102上に載置された後、被検査領域が設定され、透過部と遮光部の明るさ(画素階調値)のレベル調整(正規化)が行われる。ここで、この事前のレベル調整に用いる試料は、ダミーでも構わないし被検査試料自体でも構わない。検査開始前のレベル調整は必須とまでは言えないが、このようにして、検査開始前に事前に画素値のレベル調整を行なっておくことが望ましい。以降、試料検査中に装置の変動等による画素値レベルの変動が無ければ、何ら問題ないわけであるが、実際には画素値レベルに変動が生じるため、以下に説明する本実施の形態が有効となる。
【0022】
S(ステップ)202において、光学画像取得工程の一例となる測定データ取得工程として、光学画像取得部150は、パターン形成された被検査試料となるフォトマスク101における光学画像データ(測定データ)を取得する。具体的には、光学画像データは、以下のように取得される。フォトマスク101に形成されたパターンには、XYθテーブル102の上方に配置されている適切な光源103によって光が照射される。光源103から照射される光束は、照明光学系170を介して試料となるフォトマスク101を照射する。フォトマスク101の下方には、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105及びセンサ回路106が配置されており、露光用マスクなどの試料となるフォトマスク101を透過した光は拡大光学系104を介して、フォトダイオードアレイ105に光学像として結像し、入射する。拡大光学系104は図示しない自動焦点機構により自動的に焦点調整がなされていてもよい。
【0023】
図3は、実施の形態1における光学画像の取得手順を説明するための図である。
被検査領域は、図3に示すように、例えばY方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ20に仮想的に分割される。そして、更にその分割された各検査ストライプ20が連続的に走査されるようにXYθテーブル102の動作が制御され、X方向に移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105では、図3に示されるようなスキャン幅Wの画像を連続的に入力する。そして、第1の検査ストライプ20における画像を取得した後、第2の検査ストライプ20における画像を今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの画像を連続的に入力する。そして、第3の検査ストライプ20における画像を取得する場合には、第2の検査ストライプ20における画像を取得する方向とは逆方向、すなわち、第1の検査ストライプ20における画像を取得した方向に移動しながら画像を取得する。このように、連続的に画像を取得していくことで、無駄な処理時間を短縮することができる。ここでは、フォワード(FWD)−バックワード(BWD)手法を用いているが、これに限るものではなくフォワード(FWD)−フォワード(FWD)手法を用いても構わない。
【0024】
フォトダイオードアレイ105上に結像されたパターンの像は、フォトダイオードアレイ105によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログデジタル)変換される。フォトダイオードアレイ105には、例えばTDI(タイムディレイインテグレータ)センサのようなセンサが設置されている。ステージとなるXYθテーブル102をX軸方向に連続的に移動させることにより、TDIセンサはフォトマスク101のパターンを撮像する。これらの光源103、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、センサ回路106により高倍率の検査光学系が構成されている。
【0025】
センサ回路106から出力された測定データ(光学画像)は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるフォトマスク101の位置を示すデータとともにレベル調整回路140に送られる。測定データは例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を例えば0〜255で表現している。
【0026】
S104において、参照データ作成工程として、展開回路111及び参照回路112は、以下のようにして、測定データに対応する画像データ(参照データ)を作成する。フォトマスク101のパターン形成時に用いた設計パターンの情報は、記憶装置(記憶部)の一例である磁気ディスク装置109に記憶される。そして、展開回路111は、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して設計パターンの情報を読み出し、読み出されたフォトマスク101の設計図形データとなる設計パターンを2値ないしは多値のイメージデータ(設計画像データ)に変換して、このイメージデータが参照回路112に送られる。参照回路112は、送られてきた図形のイメージデータである設計画像データに適切なフィルタ処理を施す。
【0027】
図4は、実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。
センサ回路106から得られた光学画像としての測定データは、拡大光学系104の解像特性やフォトダイオードアレイ105のアパーチャ効果等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にある。そのため、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。このようにして光学画像と比較する参照画像(参照データ)を作成する。作成された参照データは、レベル調整回路140に送られる。参照データも測定データと同様、例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を0〜255で表現している。
【0028】
S200において、レベル調整工程として、レベル調整回路140は、測定データと測定データに対応する参照データとを入力する。そして、測定データの複数の画素値と参照データの複数の画素値との関係を基に、測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整する。
【0029】
図5は、実施の形態1におけるレベル調整回路の内部構成を示す概念図である。
図5において、レベル調整部の一例となるレベル調整回路140は、測定データメモリ52、参照データメモリ54、画像切出部56、演算部58,60,62、及びレベル変更部66を有している。レベル調整回路140は、取得された測定データを入力し、測定データメモリ52に格納(記憶)する。他方、レベル調整回路140は、作成された参照データを入力し、参照データメモリ54に格納(記憶)する。ここで、後述する比較検査処理は、検査ストライプ20単位のデータを例えば1024×1024画素単位程度のエリアに切り出した画像単位で行なうことが望ましい。一方、測定データメモリ52に格納された測定データは、検査ストライプ20毎に取得されている。そのため、1024×1024画素の領域(エリア)に切り出す必要がある。
【0030】
S202において、エリア切り出し工程として、画像切出部56は、測定データメモリ52から検査ストライプ20毎に取得されている測定データを読み出し、読み出された測定データを例えば1024×1024画素の領域(エリア)単位に切り出す。ここでは、一例として、1024×1024画素の領域としているがこれに限るものではないが、検査効率の観点から1024×1024画素以下の領域が望ましい。他方、参照データについては、各切り出された測定データに対応する領域で最初から作成すればよい。
【0031】
図6は、実施の形態1における参照データの一例を示す図である。
図7は、実施の形態1におけるレベル変動が生じていない測定データの一例を示す図である。
図8は、実施の形態1におけるレベル変動が生じている測定データの一例を示す図である。
図6〜8では、内容の理解を容易にするために、5×5画素の領域で示している。例えば、領域内がすべて透過部である場合の画素値が200になるように設定した場合、参照データ30の各画素32の画素値は図6に示すように値が200となる。よって、画素値レベルが200となる。ここで、レベル変動が生じていない測定データ40では、各画素42の画素値について欠陥が無いとすれば図7に示すように画素値レベルが200付近となる。図7では、各画素42の画素値が197〜202の範囲の値で示されている。このように、参照データ30の画素値の差が3階調程度であれば誤差として無視することができ、擬似欠陥と検出せずに済ますことができる。
【0032】
他方、レベル変動が生じている測定データ50では、各画素53の画素値について欠陥が無いとしても図8に示すように画素値レベルが180付近となる。図8では、各画素53の画素値が177〜182の範囲の値で示されている。例えば、後述する比較回路108での欠陥検出の閾値が階調差20以上に設定したとすると、このように、参照データ30の画素値の差が20階調以上となってしまうと誤差として無視できず擬似欠陥として検出されてしまうことになる。ここでは、一例として、欠陥検出の閾値が階調差20以上としているが、設定される透過部の画素値の5〜10%の値にすると好適である。すなわち、この範囲に従うとすれば、透過部の画素値を200と設定した場合に、参照データ30の画素値との差が10〜20階調以上で欠陥と判定することになる。
【0033】
以上のように、図8のような画素レベルの変動が何らかの原因で生じてしまった場合に、従来の検査手法では欠陥ではないにもかかわらず、欠陥と判定してしまっていた。そこで、実施の形態1では、測定データの複数の画素値と参照データの複数の画素値との関係を基に、参照データと測定データとの少なくとも一方の画像データの画素値レベルを調整することで測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルを近づける。
【0034】
S205において、測定データの平均値演算工程として、演算部58は、所定のサイズの領域に切り出された測定データの複数の画素値の平均値を演算する。例えば、図8の例での画素値の平均値は180となる。
【0035】
S207において、参照データの平均値演算工程として、演算部60は、参照データメモリ54から対応する領域の参照データを読み出し、読み出した参照データの複数の画素値の平均値を演算する。例えば、図6の例での画素値の平均値は200となる。以上のようにして得られた測定データの複数の画素値の平均値と参照データの複数の画素値の平均値とを基に、一方のデータの複数の画素値の平均値が他方のそれに近づくように以下のようにレベル調整を行なう。
【0036】
S208において、差分演算工程として、演算部62は、測定データの複数の画素値の平均値と参照データの複数の画素値の平均値との差分を演算する。例えば図6と図8の例では、その差分値が20階調となる。
【0037】
S220において、オフセット工程として、レベル変更部66は、測定データの画素値全体を20階調分だけオフセット演算して画素値レベルを変更する。そして、この画素値レベルの変更によって参照データの画素値レベルに合うように調整する。ここでは、測定データの各画素値に20階調を加算することでオフセットしている。ここでは、測定データの画素値全体をオフセットしているが、参照データの画素値全体をオフセットしても良い。その場合は、参照データの各画素値から20階調を減算することでオフセットすればよい。或いは、両者をオフセットしてもよい。すなわち、両データの画素値レベルが近づけばよい。
【0038】
以上のようにして、画素値レベルが調整された測定データと参照データは、比較回路108に出力される。そして、比較回路108内では、入力した測定データと参照データの位置合わせを行なった後、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。例えば、上述したように、画素値の10%以上異なれば欠陥と判定する。
【0039】
以上のように、一方のデータの複数の画素値の平均値が他方のそれに近づくようにレベル調整を行なうことで、擬似欠陥の検出を低減することができる。
【0040】
ここで、領域内の複数の画素値の平均値を基にレベル調整を行なうのでなく、総和を用いても好適である。
図9は、実施の形態1における他のパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図9において、平均値演算工程(S205)の代わりに総和演算工程(S204)を、平均値演算工程(S207)の代わりに総和演算工程(S206)を備えた点以外は、図2と同様である。よって、S102からS202までは上述した通りである。
【0041】
S204において、測定データの総和演算工程として、演算部58は、所定のサイズの領域に切り出された測定データの複数の画素値の総和を演算する。例えば、図8の例での画素値の総和は4500となる。
【0042】
S206において、参照データの総和演算工程として、演算部60は、対応する領域の参照データの複数の画素値の総和を演算する。例えば、図6の例での画素値の総和は5000となる。以上のようにして得られた測定データの複数の画素値の総和と参照データの複数の画素値の総和とを基に、一方のデータの複数の画素値の総和が他方のそれに近づくように以下のようにレベル調整を行なう。
【0043】
S208において、差分演算工程として、演算部62は、測定データの複数の画素値の総和と参照データの複数の画素値の総和との差分を演算する。例えば図6と図8の例では、その差分値が500階調となる。
【0044】
S220において、オフセット工程として、レベル変更部66は、測定データの画素値全体を500/25=20階調分だけオフセット演算して画素値レベルを変更する。そして、この画素値レベルの変更によって参照データの画素値レベルに合うように調整する。以降の工程は上述した通りである。
【0045】
或いは、領域内の複数の画素値の平均値を基にする場合でもオフセット演算することでレベル調整を行なうのでなく、測定データの画素値全体と参照データの画素値全体との少なくとも一方を一律に積算することでレベル調整しても好適である。
図10は、実施の形態1における他のパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図10において、差分演算工程(S208)の代わりに比率演算工程(S209)を、オフセット工程(S220)の代わりに積算工程(S221)を備えた点以外は、図2と同様である。よって、S102からS207までは上述した通りである。
【0046】
S209において、比率演算工程として、演算部62は、測定データの複数の画素値の平均値と参照データの複数の画素値の平均値との比率を演算する。例えば図6と図8の例では、その比率が200/180≒1.1となる。
【0047】
S220において、積算工程として、レベル変更部66は、測定データの画素値全体を一律に1.1(或いは200/180)倍だけ積算して画素値レベルを変更する。そして、この画素値レベルの変更によって参照データの画素値レベルに合うように調整する。以降の工程は上述した通りである。
【0048】
或いは、積算する場合でも、平均値ではなく、総和を用いても好適である。
図11は、実施の形態1における他のパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図11において、平均値演算工程(S205)の代わりに総和演算工程(S204)を、平均値演算工程(S207)の代わりに総和演算工程(S206)を備えた点以外は、図10と同様である。よって、S102からS202までは上述した通りである。
【0049】
S204において、測定データの総和演算工程として、演算部58は、所定のサイズの領域に切り出された測定データの複数の画素値の総和を演算する。例えば、図8の例での画素値の総和は4500となる。
【0050】
S206において、参照データの総和演算工程として、演算部60は、対応する領域の参照データの複数の画素値の総和を演算する。例えば、図6の例での画素値の総和は5000となる。以上のようにして得られた測定データの複数の画素値の総和と参照データの複数の画素値の総和とを基に、一方のデータの複数の画素値の総和が他方のそれに近づくように以下のようにレベル調整を行なう。
【0051】
S209において、比率演算工程として、演算部62は、測定データの複数の画素値の平均値と参照データの複数の画素値の平均値との比率を演算する。例えば図6と図8の例では、その比率が5000/4500≒1.1となる。
【0052】
S220において、積算工程として、レベル変更部66は、測定データの画素値全体を一律に1.1(或いは5000/4500)倍だけ積算して画素値レベルを変更する。そして、この画素値レベルの変更によって参照データの画素値レベルに合うように調整する。以降の工程は上述した通りである。
【0053】
以上のように、平均値或いは総和を用いて、オフセット或いは積算を行なうことで画素値レベルが合うように調整することで擬似欠陥を低減或いは抑制することができる。
【0054】
ここで、上述した例では、透過部について画素値が200、遮光部について画素値が0であるように設定した場合を前提に説明したが、これに限るものではない。例えば、透過部について画素値が200であって、遮光部について画素値が20であるように設定してもよい。その場合は、画素値の下限が0ではないので、レンジに合わせたレベル変更を行なうことが望ましい。例えば、参照データの透過部について画素値がa、遮光部について画素値がbであり、測定データの透過部について画素値がc、遮光部について画素値がbである場合、画素値cをaにレベル変更する場合、レベル変更の対象となる画素値をxとして、オフセット演算では、(x−b)×(a−b)/(c−b)+bで求めた値にレベル変更するとよい。具体的には、下限が20の場合に、画素値180を200にレベル変更する場合、レベル変更の対象となる画素値をxとして、オフセット演算では、(x−20)×18/16+20で求めた値にレベル変更するとよい。このように下限値を考慮するようにするとより好適である。
【0055】
実施の形態2.
実施の形態1では、常に画素値レベルに違いがあれば画素のレベルを調整しているが、エリア全体に欠陥が存在している場合にこの補正処理をしてしまうと実際の欠陥を見逃す可能性が生じる。そこで、実施の形態2では、レベル調整を行なう際に条件を設ける場合について説明する。
【0056】
図12は、実施の形態2におけるレベル調整回路の内部構成を示す概念図である。
図12において、判定部64を追加した点以外は図5と同様である。その他の構成は実施の形態1と同様である。
図13は、実施の形態2におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図13において、判定工程(S210)を追加した点以外は、図2と同様である。よって、S102からS208までは実施の形態1と同様である。
【0057】
S210において、判定工程として、判定部64は、測定データの複数の画素値の平均値と参照データの複数の画素値の平均値との差が、所定の閾値以下かどうかを判定する。そして、差が所定の閾値以下の場合にS220に進む。差が所定の閾値を越える場合には、S300に進む。すなわち、レベル調整せずに比較工程に進む。以降の工程は実施の形態1と同様である。
【0058】
このように、測定データの複数の画素値の平均値と参照データの複数の画素値の平均値との差が、所定の閾値以下の場合に測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するように構成する。閾値として、例えば、測定データの複数の画素値の平均値とが参照データの複数の画素値の平均値の15%を超えた場合にはレベル調整しないように構成する。実際の欠陥判定の閾値を5〜10%とした場合に、その閾値にプラスα(5%)を加えた15%で判定する。閾値の値としては15%に限るものではなく必要に応じて適宜設定すればよい。
【0059】
ここで、実施の形態1と同様、平均値を用いてオフセットを行なうことで画素値レベル調整を行なう場合に限るものではなく、平均値或いは総和を用いて、オフセット或いは積算を行なうことで画素値レベルが合うように調整すればよいことは言うまでもない。例えば、レベル調整回路140が測定データの複数の画素値の総和と参照データの複数の画素値の総和との差が、所定の閾値以下の場合に測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整する構成も好適である。また、測定データ側の画素値を変更する場合に限るものでなく、測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整すればよいことも言うまでもない。
【0060】
以上のように、レベル調整を行なう基準を設けることでエリア全体に欠陥が存在している場合に、その欠陥を見逃すことを抑制することができる。
【0061】
実施の形態3.
上述した実施の形態1,2では、画素レベルの調整を行なった後に欠陥検査を行っていたが、擬似欠陥が生じるほどに画素値レベルの変動が生じていなければ画素レベルの調整を行なくても構わない。そこで、実施の形態3では、まず、先に欠陥検査を行ない、その結果として欠陥候補が発生した場合にレベル調整を行なう構成について説明する。
【0062】
図14は、実施の形態3におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
図14において、データの流れ順序や向き以外は図1と同様である。すなわち、各構成は実施の形態1と同様である。
【0063】
図15は、実施の形態3におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図15において、レベル調整工程(S200)の前に比較工程(S106)を追加した点以外は図2と同様である。よって、S102からS104までは実施の形態1と同様である。
【0064】
S106において、比較工程として、比較回路108は、測定データと参照データを入力する。そして、まず、所定のサイズの領域に測定データを切り出し、測定データと参照データの位置合わせを行なう。その後、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。例えば、上述したように、画素値の10%以上異なれば欠陥と判定する。このようにして、まずは欠陥候補の検出を行なう。そして、欠陥候補が存在した場合に、S200に進む。欠陥候補が無ければその旨の結果出力を行なえばよい。レベル調整工程(S200)及びその後の比較工程(S300)の内容は、実施の形態1と同様である。ここで、エリア切り出しは既に比較工程(S106)の中で既に行なっているのでレベル調整工程(S200)内でのエリア切り出し工程(S202)は必要ない。そのため、図15では、レベル調整工程(S200)内でのエリア切り出し工程(S202)を削除している。
【0065】
ここで、実施の形態1と同様、平均値を用いてオフセットを行なうことで画素値レベル調整を行なう場合に限るものではなく、平均値或いは総和を用いて、オフセット或いは積算を行なうことで画素値レベルが合うように調整すればよいことは言うまでもない。また、測定データ側の画素値を変更する場合に限るものでなく、測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整すればよいことも言うまでもない。
【0066】
以上のように、まず、欠陥検査を行い、欠陥候補が生じた場合にレベル調整を行なうことでレベル調整の回数を低減することができ、検査時間の短縮を図ることができる。
【0067】
実施の形態4.
上述した各実施の形態では、検査対象となる領域の測定データの複数の画素値と参照データの複数の画素値とを基にレベル調整を行なったがこれに限るものではない。実施の形態4では、検査対象となる領域の近傍領域のデータを基にレベル調整を行なう構成について説明する。装置構成は上述した各実施の形態のいずれかと同様である。
【0068】
図16は、実施の形態4における近傍領域を説明するための概念図である。
ある検査ストライプ20の光学画像を取得する場合、検査対象となる領域22の近傍にその他の領域24が存在することになる。ここで、画素値レベルの変動が生じた場合に近傍領域同士は同程度の変動量になることが予想される。しかし、検査対象となる領域22が近傍領域24に比べて明るさが急激に変わるような場合にはそこに実際の欠陥が存在する可能性が高いと想定される。そのため、レベル調整によって欠陥が埋没しないようにするために、レベル調整回路140は、対象となる領域の測定データの近傍の領域24の測定データの複数の画素値の平均値と近傍領域24の測定データに対応する参照データの複数の画素値の平均値とを基に、画素値レベルを調整する。
【0069】
具体的には、検査対象となる領域22の近傍領域24の測定データの複数の画素値の平均値或いは総和と近傍領域24の参照データの複数の画素値の平均値或いは総和を用いて、オフセット或いは積算を行なうための調整値を算出する。この調整値を検査対象となる領域22の測定データの複数の画素値に対してオフセット或いは積算を行なうことで画素値レベルが合うように調整する。例えば、レベル調整回路140が対象となる領域の測定データの近傍の領域の測定データの複数の画素値の平均値とこの近傍の領域の測定データに対応する参照データの複数の画素値の平均値とを基に、対象となる領域の測定データの画素値レベルと対象となる領域の参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することも好適である。また、例えば、レベル調整回路140が対象となる領域の測定データの近傍の領域の測定データの複数の画素値の総和とこの近傍の領域の測定データに対応する参照データの複数の画素値の総和とを基に、対象となる領域の測定データの画素値レベルと対象となる領域の参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することも好適である。
【0070】
また、近傍領域については、1つの近傍領域24を用いても良いし複数の近傍領域24を用いても良い。例えば、検査対象となる領域22を取り囲む8つの近傍領域24でそれぞれレベル調整値を演算しても好適である。さらに、複数の調整値が得られた場合はその平均値でレベル調整しても好適である。
【0071】
実施の形態5.
画素値のレベル調整を行なう測定データと参照データのそれぞれの複数の画素値の総和や平均を計算した際に、対象となる測定データと参照データの位置がずれていると値が異なってしまう場合がある。特に、エリア境界のパターンの影響により値が異なってしまうことが想定される。そこで、実施の形態5では、レベル調整を行なうにあたってまず位置合わせを行なう構成について説明する。
【0072】
図17は、実施の形態5におけるレベル調整回路の内部構成を示す概念図である。
図17において、位置合わせ部57を追加した点以外は図5と同様である。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0073】
図18は、実施の形態5におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。図18において、位置合わせ工程(S203)を追加した点以外は、図2と同様である。よって、S102からS202までは実施の形態1と同様である。
【0074】
S203において、位置合わせ工程として、位置合わせ部57は、所定のサイズの領域に切り出された測定データとその測定データに対応する領域の参照データを入力する。そして、位置合わせを行なう。位置合わせは、画素単位で行なうと好適である。或いは、サブ画素単位で行なうとなお好適である。そして、位置合わせされた測定データと参照データを用いて、測定データの複数の画素値の平均値の演算(S205)及び参照データの複数の画素値の平均値の演算(S207)以降の各工程を実施する。すなわち、レベル調整回路140は、測定データと参照データとの位置合わせを行ない、位置合わせされた測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整する。S205及びS207以降の各工程は実施の形態1と同様である。
【0075】
ここで、実施の形態1と同様、平均値を用いてオフセットを行なうことで画素値レベル調整を行なう場合に限るものではなく、平均値或いは総和を用いて、オフセット或いは積算を行なうことで画素値レベルが合うように調整すればよいことは言うまでもない。また、測定データ側の画素値を変更する場合に限るものでなく、測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整すればよいことも言うまでもない。
【0076】
以上のように、画素値レベルを調整するための演算を行なう前に位置合わせを行なうことで、特に、エリア境界のパターンの影響を排除することができる。その結果、上述した平均値や総和を演算した際の演算値のずれを抑制することができる。
【0077】
実施の形態6.
レベル調整を行なうにあたって、パターンの形状によってその効果が異なってくる。すなわち、パターン依存性がある。そこで、実施の形態6では、このパターン依存性を低減する手法について説明する。装置構成等は上述した実施の形態1〜5のいずれかと同様であればよい。
【0078】
図19は、実施の形態6におけるパターン依存性を説明するためのパターンの一例を示す概念図である。
図19では、1:1のラインアンドスペースパターンの画像を示している。例えば、ライン部分となる透過部26とスペース部分となる遮光部28とが1:1で交互に配列されたパターンになっている。この領域の画像に対して、透過部26の画素値を200とし、遮光部28の画素値を0とすると、演算部60で参照データの複数の画素値の平均値を演算すると演算結果は100になる。測定データについて、透過部26の画素値に10%の変動が生じ、遮光部28の画素値に変動が無い場合、以下のようになる。すなわち、演算部58で測定データの複数の画素値の平均値を演算すると、演算結果は10%の変動により90となる。よって、演算部62で差分を演算すると、演算結果は10階調となる。そのため、レベル変更部66は、例えば測定データの全画素に対して10階調だけ加算することになる。
【0079】
一方、すべて透過部のパターンの場合、演算部60で参照データの複数の画素値の平均値を演算すると演算結果は200になる。測定データについて、透過部の画素値に10%の変動が生じ、遮光部の画素値に変動が無い場合、以下のようになる。すなわち、演算部58で測定データの複数の画素値の平均値を演算すると、演算結果は10%の変動により180となる。よって、演算部62で差分を演算すると、演算結果は20階調となる。そのため、レベル変更部66は、例えば測定データの全画素に対して20階調だけ加算することになる。
【0080】
以上のように、形成されたパターンによって同じ割合の画素値レベルの変動が生じていてもレベル調整される値に差が生じてしまうことになる。このように、上述した各実施の形態の手法ではレベル調整がパターン依存性を持つことになる。そこで、実施の形態6では、演算部58で測定データの複数の画素値の平均値を演算する際に、全画素の平均値を演算するのではなく、階調値(画素値)の大きい方から所定の画素数に対して平均値を演算する。同様に、演算部60で参照データの複数の画素値の平均値を演算する際にも、全画素の平均値を演算するのではなく、階調値の大きい方から所定の画素数に対して平均値を演算する。画素値レベルの変動は階調値の大きい方に生じると予想されるので、階調値が0となる部分を排除することでパターン依存性を抑制することができる。ここで、例えば、1024×1024画素の中にはおよそ100万画素存在する。その場合には、例えば明るさの明るい方(階調値の大きい方)から上位10万画素に対して平均値を演算すると好適である。
【0081】
ここで、実施の形態1と同様、平均値を用いてオフセットを行なうことで画素値レベル調整を行なう場合に限るものではなく、平均値或いは総和を用いて、オフセット或いは積算を行なうことで画素値レベルが合うように調整すればよいことは言うまでもない。また、測定データ側の画素値を変更する場合に限るものでなく、測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整すればよいことも言うまでもない。
【0082】
実施の形態7.
図20は、実施の形態7における疎パターンの一例を示す概念図である。
図19で示したように、対象エリア内に遮光部28のパターンが半分程度の領域を占有している場合には、総和や平均値を計算するとおよそ50%程度の明るさ(画素値)が求まることが期待される。しかしながら、図20に示すように遮光部29がわずかでほとんどの領域が透過部26で占められているようなエリアでは、光量が変動したような場合に総和や平均値への影響もより大きくでることになる。
【0083】
例えば、図19の例のように透過部26と遮光部28とが1:1で交互に配列された画像に対して、透過部26の画素値を200とし、遮光部28の画素値を0とする。その場合、演算部60で参照データの複数の画素値の平均値を演算すると演算結果は100になる。演算部58で測定データの複数の画素値の平均値を演算すると、演算結果は5%の変動により略95となる。よって、演算部62で差分を演算すると、演算結果は5階調となる。
【0084】
一方、図20の例のように透過部26と遮光部28とが例えば99:1で形成された画像に対して、透過部26の画素値を200とし、遮光部28の画素値を0とする。その場合、演算部60で参照データの複数の画素値の平均値を演算すると演算結果は略200になる。演算部58で測定データの複数の画素値の平均値を演算すると、演算結果は5%の変動により略90となる。よって、演算部62で差分を演算すると、演算結果は10階調となる。
【0085】
図19の例の5階調という値は誤差レベルの値であるのに対して、図20の例の10階調という値は誤差レベルの値ではない。言い換えれば、図20の例では5%の変動でもレベル調整が可能である。そのため、図20の例ではレベル変動分を調整により排除することができる。その結果、微細な欠陥についても欠陥判定が可能となる。他方、図19の例では5%の変動ではレベル調整が困難となる。すなわち、疎パターンになればなるほど微細な欠陥についても欠陥判定が可能となる。言い換えれば、欠陥検出感度が大きく向上する。そこで、実施の形態7では、このような疎パターン領域を検出する処理をレベル調整回路140の前段に設ける構成について説明する。
【0086】
図21は、実施の形態7におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
図21において、疎パターン検出回路142を追加した点及びデータの流れ順序や向きを変更した点以外は、図1と同様である。
【0087】
図22は、実施の形態7における疎パターン検出回路の内部構成を示す概念図である。
図22において、疎パターン検出回路142は、測定データメモリ72、参照データメモリ74、画像切出部76、演算部78,80、及び判定部82を有している。疎パターン検出回路142は、取得された測定データを入力し、測定データメモリ72に格納(記憶)する。他方、疎パターン検出回路142は、作成された参照データを入力し、参照データメモリ74に格納(記憶)する。そして、画像切出部76が測定データメモリ52から検査ストライプ20毎に取得されている測定データを読み出し、読み出された測定データを例えば1024×1024画素の領域(エリア)単位に切り出す。ここでは、一例として、1024×1024画素の領域としているがこれに限るものではない点は実施の形態1で説明した通りである。
【0088】
そして、演算部78は、所定のサイズの領域に切り出された測定データの複数の画素値の平均値を演算する。例えば、図20の例のように透過部26と遮光部28とが例えば99:1で形成されたとした場合での画素値の平均値はレベル変動が無ければ略200となる。そして、演算部80は、参照データメモリ74から対応する領域の参照データを読み出し、読み出した参照データの複数の画素値の平均値を演算する。例えば、図20の例での画素値の平均値は略200となる。
【0089】
そして、判定部82は、光学データの複数の画素値の平均値と参照データの複数の画素値の平均値との少なくとも一方が、所定の閾値を越えているかどうかを判定する。或いは、演算部78の結果と演算部80の結果との少なくとも一方が全て透過部のパターンで同様の演算をした場合の結果の所定の割合を越えているかどうかを判定してもよい。この判定は、疎パターンか否かを判定するので、例えば、所定の割合として、90%を越えていることが望ましい。例えば、所定の割合を90%とした場合、透過部の画素値を200とすると180が上述した所定の閾値として望ましい。例えば、図20の例では平均値が略200となるので90%以上となる。よって、図20の例のように透過部26と遮光部28とが例えば99:1で形成されたとした場合、そのパターンは疎パターンと判定されることになる。そして、判定部82は、判定した結果をレベル調整回路140に出力する。また、所定のサイズの領域に切り出された測定データと参照データは、レベル調整回路140に出力される。
【0090】
そして、レベル調整回路140は、所定の閾値を越えている測定データの画素値レベルと参照データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整する。
【0091】
ここで、疎パターン検出回路142では、光学データの複数の画素値の平均値と参照データの複数の画素値の平均値を演算しているが、どちらか一方だけでも構わない。また、平均値に限るものではなく、総和であっても構わない。総和に場合には、判定部82に総和に対する閾値を設定すればよい。
【0092】
ここで、例えば、図20で透過部(白)と遮光部(黒)を反転したような画像パターンの場合、遮光部(0レベル付近)に特化してレベル調整することになる。その場合には、判定部82が、逆に、所定の閾値を下回ったと判定した場合に、レベル調整回路140はレベル調整すればよい。図20で透過部(白)と遮光部(黒)を反転したような画像パターンの場合、変動量5%に対しての平均値(ないしは総和)の変動はより小さくなる。そのため、実施の形態7で説明したような疎パターンについて適用することで、疎なパターン領域での欠陥検出率をより向上させることができる。
【0093】
以上のように、レベル調整回路140に入力する前に疎パターン領域を検出することで、疎なパターン領域での欠陥検出率をより向上させることが可能となり、欠陥検出感度を大きく向上させることができる。
【0094】
ここで、上述の疎パターン領域を検出するまでもなく、レベル調整回路140内にてあらかじめ与えられた閾値を超えている画素の平均値を基準にするということも実用的である。
【0095】
実施の形態8.
実施の形態8では、光量検出の結果により補正された画像に対して、さらに、レベル調整する構成について説明する。
【0096】
図23は、実施の形態8におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
図23において、照明光学系170の代わりに照明光学系172が配置された点、照明光学系172内にハーフミラー174が配置された点、光量モニタ176が追加された点、光量補正回路144が追加された点及びデータの流れ順序や向きを変更した点以外は、図1と同様である。
【0097】
光源103から照射される光の一部は、ハーフミラー174によって分岐され、光量モニタ176に入射する。そして、光量モニタ176は、光源103から照射される光の光量をモニタする。光量モニタ176で測定された光量は、光量補正回路144に出力される。光量補正回路144は、センサ回路106から測定データを入力し、光源103から照射される光の光量に変動が生じた場合には、その分だけ階調値を補正する。そして、階調値が補正された測定データはレベル調整回路140に出力される。レベル調整回路140に測定データが入力された以降の工程は、実施の形態1と同様である。
【0098】
以上のように、事前に光源103から照射される光の光量変動分についての画素値レベルを補正しておくことで、レベル調整回路140は光源103以降の機構等で何らかの原因により生じた画素値レベルの変動を調整することができる。そして、レベル調整回路140がレベル調整を行なえば、光源103以降の機構等で画素値レベルの変動が生じたことを把握することができる。よって、原因を光源103と切り離すことができ、原因究明にかかる時間を短縮することができる。
【0099】
実施の形態9.
上述した各実施の形態では、参照データとして、設計データを用いたダイ−データベース(die to database)検査を用いた手法について説明したが、これに限るものではない。実施の形態9では、同一フォトマスク101上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較するダイ−ダイ(die to die)検査を用いた手法について説明する。装置構成は、上述した実施の形態1〜8のいずれかと同様である。
【0100】
図24は、実施の形態9におけるフォトマスクと形成されたパターンとの一例を示す概念図である。
図24において、フォトマスク101上には、同一の設計パターンで描画された複数のパターン領域10,12(被検査領域)が形成されている。そして、この2つのパターン領域10,12を合わせた全体が図3で示した複数の検査ストライプ20に仮想分割される。そして、光学画像取得部150によって、検査ストライプ20毎に光学画像データ(測定データ)が取得される。そのため、1つの検査ストライプ20の測定データには、パターン領域10,12の両方の画像が含まれている。そして、このような測定データがレベル調整回路140に入力されると、画像切出部56によって、所定のサイズの領域の画像に切り出される。この段階で、パターン領域10の測定データ(第1の光学画像データ)と、これに対応するパターン領域12の測定データ(第2の光学画像データ)が切り出される。そして、そのうちの一方を参照データとして用いることで、以降は実施の形態1と同様に検査することができる。すなわち、演算部58でパターン領域10の測定データの複数の画素値の平均値を演算し、演算部60でパターン領域12の測定データの複数の画素値の平均値を演算すればよい。そして、パターン領域10の測定データの複数の画素値とパターン領域12の測定データの複数の画素値との関係を基に、両者の少なくとも一方の画素値レベルを調整すればよい。
【0101】
以上のように、ダイ−ダイ検査を用いた場合でも同様にレベル調整を行なうことができる。その結果、ダイ−ダイ検査を用いた場合でも同様に擬似欠陥を低減させることができる。
【0102】
ここで、パターン検査装置100は、検査手法として、ダイ−データベース検査とダイ−ダイ検査のいずれか一方しか行なわないのではなく、両方行なってももちろん構わない。
【0103】
図25は、別の光学画像取得手法を説明するための図である。
図1の構成では、スキャン幅Wの画素数を同時に入射するフォトダイオードアレイ105を用いているが、これに限るものではなく、図25に示すように、XYθテーブル102をX方向に定速度で送りながら、レーザ干渉計で一定ピッチの移動を検出した毎にY方向に図示していないレーザスキャン光学装置でレーザビームをY方向に走査し、透過光を検出して所定の大きさのエリア毎に二次元画像を取得する手法を用いても構わない。
【0104】
ここで、上述した各実施の形態において、レベル変更部66は、レベル変更したデータについては、レベル変更したことを示す情報やレベル変更量を比較回路108に出力すると好適である。或いは、磁気ディスク装置109や磁気テープ装置115に格納しても好適である。その結果、ユーザがどのデータがレベル変更されているか及びその変更量を把握することができる。よって、レベル変更された画像について後でユーザが確認することができる。また、レベル変更部66は、レベル調整を行う値が所定の値を超えた際にエラー出力を行うようにすると好適である。エラー出力により、レベル変更された画像について後でユーザが確認することができる。
【0105】
以上の説明において、「〜部」、「〜回路」或いは「〜工程」と記載したものは、コンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができる。或いは、ソフトウェアとなるプログラムだけではなく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、ファームウェアとの組合せでも構わない。また、プログラムにより構成される場合、プログラムは、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、FD116、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録される。例えば、演算制御部を構成するテーブル制御回路114、展開回路111、参照回路112、レベル調整回路140、疎パターン検出回路142、或いは比較回路108等は、電気的回路で構成されていても良いし、制御計算機110によって処理することのできるソフトウェアとして実現してもよい。また電気的回路とソフトウェアの組み合わせで実現しても良い。
【0106】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、各実施の形態では、透過光を用いているが、反射光あるいは、透過光と反射光を同時に用いてもよい。反射光を用いる場合には、透過部から得られる画素値と遮光部から得られる画素値の大小が逆になることは言うまでもない。
【0107】
また、上述した各実施の形態では、レベル調整回路140或いは疎パターン検出回路142内にエリア切り出しのための画像切出部56或いは画像切出部76を配置したがこれに限るものではなくレベル調整回路140或いは疎パターン検出回路142にデータが入力する前に測定データのエリア切り出しを行なっても好適である。
【0108】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0109】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン検査装置或いはパターン検査方法は、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
【図2】実施の形態1におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図3】実施の形態1における光学画像の取得手順を説明するための図である。
【図4】実施の形態1におけるフィルタ処理を説明するための図である。
【図5】実施の形態1におけるレベル調整回路の内部構成を示す概念図である。
【図6】実施の形態1における参照データの一例を示す図である。
【図7】実施の形態1におけるレベル変動が生じていない測定データの一例を示す図である。
【図8】実施の形態1におけるレベル変動が生じている測定データの一例を示す図である。
【図9】実施の形態1における他のパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図10】実施の形態1における他のパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図11】実施の形態1における他のパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図12】実施の形態2におけるレベル調整回路の内部構成を示す概念図である。
【図13】実施の形態2におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図14】実施の形態3におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
【図15】実施の形態3におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図16】実施の形態4における近傍領域を説明するための概念図である。
【図17】実施の形態5におけるレベル調整回路の内部構成を示す概念図である。
【図18】実施の形態5におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図19】実施の形態6におけるパターン依存性を説明するためのパターンの一例を示す概念図である。
【図20】実施の形態7における疎パターンの一例を示す概念図である。
【図21】実施の形態7におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
【図22】実施の形態7における疎パターン検出回路の内部構成を示す概念図である。
【図23】実施の形態8におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
【図24】実施の形態9におけるフォトマスクと形成されたパターンとの一例を示す概念図である。
【図25】別の光学画像取得手法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0111】
10,12 パターン領域
26 透過部
28,29 遮光部
30 参照データ
32,42,53 画素
40,50 測定データ
52,72 測定データメモリ
54,74 参照データメモリ
56,76 画像切出部
57 位置合わせ部
58,60,62,78,80 演算部
64,82 判定部
66 レベル変更部
100 パターン検査装置
101 フォトマスク
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 フォトダイオードアレイ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
111 展開回路
112 参照回路
115 磁気テープ装置
140 レベル調整回路
142 疎パターン検出回路
144 光量補正回路
150 光学画像取得部
160 制御回路
176 光量モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成された被検査試料における光学画像データを取得する光学画像取得部と、
前記光学画像データと前記光学画像データに対応する参照画像データとを入力し、前記光学画像データの複数の画素値と前記参照画像データの複数の画素値との関係を基に、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整部と、
画素値レベルが調整された前記光学画像データと前記参照画像データとを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
前記レベル調整部は、前記光学画像データの複数の画素値の総和と前記参照画像データの複数の画素値の総和とを基に、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項3】
前記レベル調整部は、前記光学画像データの複数の画素値の総和と前記参照画像データの複数の画素値の総和との差が、所定の閾値以下の場合に前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項2記載のパターン検査装置。
【請求項4】
前記レベル調整部は、前記光学画像データの複数の画素値の平均値と前記参照画像データの複数の画素値の平均値とを基に、前記光学画像データの複数の画素値の平均値と前記参照画像データの複数の画素値の平均値とが近づくように、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項5】
前記レベル調整部は、前記光学画像データの複数の画素値の平均値と前記参照画像データの複数の画素値の平均値との差が、所定の閾値以下の場合に前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項4記載のパターン検査装置。
【請求項6】
前記レベル調整部は、対象となる領域の前記光学画像データの近傍の領域の光学画像データの複数の画素値の総和と前記近傍の領域の光学画像データに対応する参照画像データの複数の画素値の総和とを基に、対象となる領域の前記光学画像データの画素値レベルと対象となる領域の前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項7】
前記レベル調整部は、対象となる領域の前記光学画像データの近傍の領域の光学画像データの複数の画素値の平均値と前記近傍の領域の光学画像データに対応する参照画像データの複数の画素値の平均値とを基に、対象となる領域の前記光学画像データの画素値レベルと対象となる領域の前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項8】
前記レベル調整部は、前記光学画像データと前記参照画像データとの位置合わせを行ない、位置合わせされた前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項9】
前記レベル調整部は、前記光学画像データの画素値全体と前記参照画像データの画素値全体との少なくとも一方をオフセット演算することを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項10】
前記レベル調整部は、前記光学画像データの画素値全体と前記参照画像データの画素値全体との少なくとも一方を一律に積算することを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項11】
前記パターン検査装置は、さらに、前記光学画像データの複数の画素値の平均値と前記参照画像データの複数の画素値の平均値との少なくとも一方が、所定の閾値を越えているかどうかを判定する判定部を備え、
前記レベル調整部は、前記所定の閾値を越えている前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1〜10いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項12】
前記パターン検査装置は、さらに、前記光学画像データの複数の画素値の平均値と前記参照画像データの複数の画素値の平均値との少なくとも一方が、所定の閾値を下回っているかどうかを判定する判定部を備え、
前記レベル調整部は、前記所定の閾値を下回っている前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整することを特徴とする請求項1〜10いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項13】
レベル調整が行なわれる前記光学画像データと前記参照画像データは、共に、1024×1024画素以下の領域データであることを特徴とする請求項1〜12いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項14】
前記レベル調整部は、レベル調整を行う値が所定の値を超えた際にエラー出力を行うことを特徴とする請求項1〜13いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項15】
パターン形成された被検査試料における第1の光学画像データと前記第1の光学画像データに対応する第2の光学画像データを取得する光学画像取得部と、
前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを入力し、前記第1の光学画像データの複数の画素値と前記第2の光学画像データの複数の画素値との関係を基に、前記第1の光学画像データの画素値レベルと前記第2の光学画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整部と、
画素値レベルが調整された前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを比較する比較部と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項16】
パターン形成された被検査試料における光学画像データを取得する工程と、
前記光学画像データと前記光学画像データに対応する参照画像データとを入力し、前記光学画像データの複数の画素値と前記参照画像データの複数の画素値との関係を基に、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整する工程と、
画素値レベルが調整された前記光学画像データと前記参照画像データとを比較し、結果を出力する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項17】
パターン形成された被検査試料における第1の光学画像データと前記第1の光学画像データに対応する第2の光学画像データを取得する工程と、
前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを入力し、前記第1の光学画像データの複数の画素値と前記第2の光学画像データの複数の画素値との関係を基に、前記第1の光学画像データの画素値レベルと前記第2の光学画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整する工程と、
画素値レベルが調整された前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを比較し、結果を出力する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項18】
パターン形成された被検査試料における光学画像データを第1の記憶装置に記憶する第1の記憶処理と、
前記光学画像データに対応する参照画像データを第2の記憶装置に記憶する第2の記憶処理と、
前記光学画像データを第1の記憶装置から読み出し、前記参照画像データを第2の記憶装置から読み出し、前記光学画像データの複数の画素値と前記参照画像データの複数の画素値との関係を基に、前記光学画像データの画素値レベルと前記参照画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整処理と、
画素値レベルが調整された前記光学画像データと前記参照画像データとを比較し、結果を出力する比較処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
パターン形成された被検査試料における第1の光学画像データと前記第1の光学画像データに対応する第2の光学画像データとを記憶装置に記憶する第1の記憶処理と、
前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを記憶装置から読み出し、前記第1の光学画像データの複数の画素値と前記第2の光学画像データの複数の画素値との関係を基に、前記第1の光学画像データの画素値レベルと前記第2の光学画像データの画素値レベルとの少なくとも一方を調整するレベル調整処理と、
画素値レベルが調整された前記第1の光学画像データと前記第2の光学画像データとを比較し、結果を出力する比較処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−121902(P2009−121902A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295223(P2007−295223)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(305008983)アドバンスド・マスク・インスペクション・テクノロジー株式会社 (105)
【Fターム(参考)】