説明

フルオロケイ酸を用いて高圧流体で基板を処理する方法およびシステム

超臨界状態にある二酸化炭素のような超圧流体で基板(105,205)を処理するための方法およびシステム(100,200)を説明する。プロセス成分が、基板表面を処理するための高圧流体に導入される。このプロセス成分はフルオロケイ酸を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧プロセスシステムで基板を処理する方法およびシステムに関し、より具体的には、高圧プロセスシステムにおいてフルオロケイ酸を含むプロセス成分と高圧流体とを用いて基板を処理する方法及びシステムに関する。
【0002】
本願は、「過酸化物ベースのプロセス成分を使用した高圧流体で基板を処理する方法」という名称で同日に出願された米国特許出願第10/906,349号(代理人整理番号第SSIT−128号);「超臨界流体を用いて基板を処理するための方法およびシステム」という名称で2004年11月12日に出願され同時係属中の米国特許出願第10/987,067号(代理人整理番号第SSIT−117号);「ポンプを冷却するための方法およびシステム」という名称で2004年11月12日に出願され同時係属中の米国特許出願第10/987,066号(代理人整理番号第SSIT−120号);「超臨界二酸化炭素プロセスを用いて基板から残留物を除去する方法」という名称で2004年11月12日に出願され同時係属中の米国特許出願第10/987,594号(代理人整理番号第SSIT−073号);および、「超臨界二酸化炭素プロセスを用いて基板から残留物を除去するためのシステム」という名称で2004年11月12日に出願され同時係属中の米国特許出願第10/987,676号(代理人整理番号第SSIT−125号)とに関連する。これらの出願の内容のすべてをここに援用する。
【背景技術】
【0003】
集積回路(IC)を得るための半導体デバイスの製造においては、パターンエッチングと堆積プロセスとを含む一連の材料プロセスステップが実施される。これらのプロセスでは、それぞれ、基板の表面から材料が除去され、基板の表面に材料が加えられる。たとえば、パターンエッチング中は、たとえばフォトリソグラフィを用いてフォトレジストなどの放射感光性材料のマスク層に形成されるパターンが、物理的および化学的なプロセスにより、下にある薄い材料膜に転写され、マスク層に対応して、下にある材料膜が選択的に除去される。
【0004】
その後、残存する放射感光性材料、またはフォトレジスト、および硬化したフォトレジストや他のエッチング残留物といったエッチング後の残留物が1又は2以上のクリーンプロセスによって除去される。従来、このような残留物は、酸素プラズマでのプラズマアッシングを行い、続いて、ストリッパ薬剤の液体槽に基板を浸してウェットクリーニングを行うことにより、除去されていた。
【0005】
最近まで、ドライプラズマアッシングとウェットクリーニングは、半導体プロセス中に蓄積する残留物や汚染物質を除去する上で、十分と思われていた。しかし、最近のICの進歩により、エッチングされる構成の限界寸法がウェットクリーニングに受け入れられる構成寸法を下回るほど減少している。たとえば、限界寸法は約45nmから65nmを下回っている。また、低誘電率(low−κ)材料などの新しい材料の出現により、プラズマアッシングの使用が制限されている。そのような材料は、プラズマに晒される間にダメージを受けやすいためである。
【特許文献1】米国特許第6,306,564号明細書
【特許文献2】米国特許第6,509,141号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、現在、プラズマアッシングやウェットクリーニングの代替について、関心が高まっている。その一つは、溶剤や他の残留物除去組成物のキャリアとして超臨界流体を利用したドライクリーニングシステムの開発である。現在、本発明者らは、たとえば、基板、特に、複雑なエッチングプロセスの後の基板やアスペクトレシオの高い構成を有する基板、から残留物を除去する際、従来のプロセスは不十分であると認識している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高圧プロセスシステムにおいて、高圧流体やプロセス成分を用いて基板を処理する方法およびシステムを提供する。本発明の一の実施形態においては、高圧プロセスシステムにおいて、フルオロケイ酸を含むプロセス成分および高圧流体で基板を処理する方法およびシステムを提供する。
【0008】
他の実施形態によれば、この方法は、高圧プロセスチャンバにおいて、基板を保持するよう構成されるプラテンに基板を置く工程;流体の圧力をその流体の臨界圧力より高く調整し、その流体の温度をその流体の限界温度より高く調整することにより、流体から超臨界流体を生成する工程;この超臨界流体を高圧プロセスチャンバへ導入する工程;フルオロケイ酸を含むプロセス成分を超臨界流体へ導入する工程;並びに、超臨界流体およびプロセス成分に基板を晒す工程、を含む。
【0009】
また別の実施形態によれば、上記の高圧プロセスシステムは、基板を処理するよう構成されるプロセスチャンバ;プロセスチャンバに結合され、基板を支持するよう構成されるプラッテン;超臨界流体をプロセスチャンバへ導入するよう構成される高圧流体供給システム;プロセスチャンバに結合され、プロセスチャンバにおいて基板の上に超臨界流体を流すよう構成される流体フローシステム;フルオロケイ酸の源と、フルオロケイ酸を有するプロセス成分をプロセスチャンバへ導入するよう構成される注入システムと、を有するプロセス成分供給システム;並びに、プロセスチャンバ、プラッテン、高圧流体供給システム、流体フローシステム、およびプロセス成分供給システムの1又は2以上へ結合され、超臨界流体を約40℃、または約40℃より高い温度に上げる温度調節システム、を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の説明において、本発明の完全な理解を促し、限定的でなく、説明の目的のため、具体的な詳細、たとえば、プロセスシステムの特別な構成やシステム部品の種々の説明が開示される。しかし、本発明は、これらの具体的な詳細から逸脱した他の実施形態においても実施され得ることは理解されよう。
【0011】
図面を参照すると、幾つかの図面を通して同一または対応する部分には同一の参照番号が与えられている。図1は、本発明の一の実施形態によるプロセスシステム100を示す。図示の実施形態では、プロセスシステム100は、超臨界状態にある流体などの高圧流体とフルオロケイ酸とを含むプロセス成分で基板105を処理するよう構成されている。プロセスシステム100は、プロセスチャンバ110、流体フローシステム120、プロセス成分供給システム130、高圧流体供給システム140、および制御器150を含むプロセス要素を備える。これらは、基板105をプロセスするよう構成されている。制御器150は、プロセスチャンバ110、流体フローシステム120、プロセス成分供給システム130、および高圧流体供給システム140に結合して良い。
【0012】
また、或いは加えて、制御器150は、1又は2以上の追加の制御器/コンピュータ(図示せず)へ結合して良く、また、制御器150は、追加の制御器/コンピュータから設定かつ/または構成の情報を取得して良い。
【0013】
図1において、プロセス要素(110、120、130、140および150)が一つずつ示されている。ただし、一つであることは、本発明に必須ではない。プロセスシステム100は、独立したプロセス要素に加えて、関連する任意の数の制御器を有する、任意の数のプロセス要素を含んで良い。
【0014】
制御器150は、任意の数のプロセス要素(110、120、130および140)を構成するために用いて良い。また、制御器150は、プロセス要素からのデータを収集し、提供し、処理し、保存し、表示することができる。制御器150は、1又は2以上のプロセス要素を制御する多くのアプリケーションを含んでよい。たとえば、制御器150は、グラフィカル・ユーザ・インタフェイス(GUI)要素(図示せず)を有して良く、これにより、ユーザが1又は2以上のプロセス要素を監視し、かつ/または制御することができる、利用し易いインタフェイスが提供される。
【0015】
更に図1を参照すると、流体フローシステム120は、供給システム130、140からプロセスチャンバ110を通して流体と成分を流すよう構成されている。流体フローシステム120は、主フローライン620を介して、プロセスチャンバ110から、そしてプロセスチャンバ110へ戻るように流体と成分を循環させる循環システムとして図示されている。この循環は、多くの適用場面で、最も好ましい構成であると思われる。ただし、これは本発明に必須ではない。流体、特に廉価な流体は、プロセスチャンバ110を一度だけ通過し、排出されても良い。これは、プロセスチャンバ110へ再度流入させる際に流体を再調整することに比べ、効率的である可能性がある。したがって、流体フローシステム、すなわち循環システム120は、典型的な実施形態においては循環システムとして記載され、ある場合には、非循環システムに置換される。この流体フローシステム120は、流体フローシステム120およびプロセスチャンバ110を通してプロセス溶液の流れを循環させるための1又は2以上のバルブ(図示せず)を含んでよい。流体フローシステム120は、プロセス溶液を特定の温度、圧力または双方に維持するため、また、プロセス溶液を流体フローシステム120およびプロセスチャンバ110を通して流すため、いくつかの逆流弁(back flow valves)、フィルタ、ポンプ、かつ/またはヒータ(図示せず)を含んでよい。さらに、流体フローシステム120に設けられる多くの部品のうちのいずれか一つは、特定のプロセス温度と整合する温度に加熱されて良い。
【0016】
流体フローポンプ又は循環ポンプのように、適切に機能させるため冷却を必要とする部品が幾つかある。たとえば、市販のポンプには、高圧でのプロセス性能や超臨界プロセス中の清浄度のために必要な仕様を有しており、温度に制限のある部品を有している。したがって、流体や構成物の温度が上昇するに従い、ポンプの機能を維持するための冷却が必要となる。流体フローシステム120は、超臨界流体をプロセスチャンバ110を通して循環させるため、高圧プロセスチャンバ110へ結合され、流体温度がその流体の限界温度より高い(たとえば、40℃か又はこれより高く)超臨界流体を高圧プロセスチャンバ110へ供給するよう構成される主フローライン620と、主フローライン620へ結合される高温ポンプ600とを備えて良い。高圧ポンプ600については、以下に図2Aと2Bを参照して説明する。高温ポンプ600は、超臨界流体を主フローライン620を通してプロセスチャンバ110へ動かすよう構成される。高温ポンプは、冷媒を受け入れるよう構成される冷媒入口と、この冷媒を排出するよう構成される冷媒出口とを備える。冷媒入口へ結合される熱交換器は、冷媒の冷媒温度を超臨界流体の温度以下の温度に低下させるため、構成されている。
【0017】
図2Aに示すとおり、高圧プロセスチャンバ110(または210)へ至る主フローライン620から高圧流体を迂回させて、熱交換器630とポンプ600とを通して主フローライン620へ戻すことにより、流体フローシステム120(または、以下に図3を参照して説明する220)に付随する高温ポンプ600を冷却するため、一の実施形態が提供される。たとえば、ポンプ600に収容されるポンプ羽根車610は、主フローライン620の吸入側622から入口612と出口614とを通して主フローライン620の圧力側624へ高圧流体を動かすことができる。高圧流体の一部は、入口バルブ628を通して迂回し、熱交換器630を通って、冷媒入口632を通してポンプ600へ流入する。この後、その高圧流体の一部は、冷却に使用され、冷媒出口634でポンプ600から流出し、出口バルブ626を通して主フローライン620に戻る。
【0018】
また、図2Bに示すとおり、副フローライン640を使用してポンプ600を冷却するため、他の実施形態が提供される。流体源(図示せず)からの超臨界流体のような高圧流体は、(流体の温度を下げる)熱交換器630を通して案内され、冷媒入口632を通してポンプ600へ流入し、ポンプ600を通過して、冷媒出口634を通して流出し、続けて、排出システム(図示せず)へと流れる。流体源は、超臨界二酸化炭素源のような超臨界流体源を含んで良い。流体源は、図1(または図3)で説明する高圧流体供給システム140(または240)の一部材であっても良いし、なくても良い。排出システムはベントを含んで良く、また、排出システムは、高圧流体を熱交換器630およびポンプ600を通して循環させるよう構成されたポンプを有する循環システムを含んでも良い。
【0019】
ポンプの設計について更に詳しくは、「ポンプを冷却するための方法およびシステム」という名称の同時係属中の米国特許出願第10/987,066号(代理人整理番号第SSIT−120号)に提供されている。この出願の内容のすべてはここに援用されている。
【0020】
再び図1を参照すると、プロセスシステム100は、高圧流体供給システム140を含んでよい。高圧流体システム140は、流体フローシステム120へ結合されて良いが、これは必須ではない。他の実施形態においては、高圧流体供給システム140は、異なる構成を有し、異なる結合先を有して良い。たとえば、流体供給システム140は、プロセスチャンバ110へ直接に結合して良い。高圧流体供給システム140は、超臨界流体供給システムを含んで良い。ここで言及する超臨界流体は、超臨界状態にある流体をいい、そのような状態は、流体が相図において臨界圧力以上かつ臨界温度以上に維持されるときに存する。そのような超臨界状態では、流体はある種の特性を有する。その一つは、表面張力が実質的に存在しないことである。したがって、ここで言及する超臨界流体供給システムは、プロセスチャンバが制御される温度および圧力で超臨界状態にある流体をプロセスチャンバへ輸送するものである。さらに、実施されるプロセスの利点を実現するため、少なくとも流体の臨界点か又は臨界点近くで、流体がその特性が十分である程度に実質的に超臨界状態にあり、その状態が長く継続することのみが必要である。二酸化炭素は、たとえば、31℃の温度にて約1070psi(7.38MPa)の圧力か又はそれより高く維持されるとき、超臨界流体である。プロセスチャンバにおける流体のこの状態は、例えば約40℃又はそれより高い温度にて2000(13.8MPa)から10,000psi(68.9MPa)でプロセスチャンバを動作させることにより、維持される。
【0021】
上述のとおり、流体供給システム140は、超臨界流体供給システムを含んで良い。この超臨界流体供給システムは、二酸化炭素供給システムであって良い。たとえば、流体供給システム140は、流体の臨界圧力に実質的に近い圧力を有する高圧流体を導入するよう構成されて良い。また、流体供給システム140は、超臨界状態の二酸化炭素のような超臨界流体を導入するよう構成されて良い。また、たとえば、流体供給システム140は、たとえば二酸化炭素のような超臨界流体を、二酸化炭素のほぼ臨界圧力から10,000psi(68.9MPa)の範囲の圧力で、導入するよう構成されて良い。本発明を広く実施するに有用な他の超臨界流体種の例としては、これらに限定されないが、たとえば、二酸化炭素(上述のとおり)、酸素、アルゴン、クリプトン、キセノン、アンモニア、メタン、メタノール、ジメチルケトン、水素、水、および六フッ化硫黄がある。流体供給システムは、超臨界流体を生成するため、たとえば、二酸化炭素源(図示せず)と複数のフロー制御要素(図示せず)とを有して良い。たとえば、二酸化炭素源は、CO供給システムを含んで良く、フロー制御要素は、供給ライン、バルブ、フィルタ、ポンプ、およびヒータなどを含んで良い。流体供給システム140は、超臨界二酸化炭素をプロセスチャンバ110へ流したり、止めたりするために開閉する構成される入口バルブ(図示せず)を含んで良い。たとえば、制御器150を用いて、圧力、温度、プロセス時間、および流量などのパラメータを決定することができる。
【0022】
図1を再び参照すると、プロセス成分供給システム130は、循環システム120へ結合されている。ただし、これは本発明に必須ではない。他の実施形態では、プロセス成分供給システム130は、別の構成を有して良く、プロセスシステム100の他の要素へ結合されて良い。プロセス成分は、プロセス成分供給システム130により、基板の特性によって変化する比率で、流体供給システム140により導入される流体に対して導入される。プロセス成分はプロセスチャンバ110で使用され、プロセスはプロセスチャンバ110で行われる。通常、上記の比率は、おおよそ1から15体積パーセントである。これは、チャンバ、循環システム、および関連する配管が約1リットルの体積を有していることから、多くの場合、約10から150ミリリットルに相当する。ただし、この比率は、これより高くても低くても良い。
【0023】
プロセス成分供給システム130は、1又は2以上の以下のプロセス組成物を導入するよう構成される。すなわち、プロセス組成物は、これらに限定はされないが、汚染物質、残留物、硬化した残留物、フォトレジスト、硬化したフォトレジスト、エッチング後の残留物、アッシング後の残留物、化学機械的研磨(CMP)後の残留物、ポリッシング後の残留物、若しくはインプラント後の残留物、またはこれらの任意の組み合わせを除去するクリーニング組成物;パーティクルを除去するクリーニング組成物;薄膜、多孔質状の薄膜、多孔質状の低誘電率材料、若しくはエアギャップ誘電体またはこれらの任意の組み合わせを乾燥する乾燥組成物;誘電体薄膜、金属薄膜、またはこれらの任意の組み合わせを用意するための膜形成組成物;低誘電率(low−κ)膜の誘電率を回復させる治癒組成物;多孔質状の膜を密封する密封組成物;または、上記の任意の組み合わせであって良い。また、プロセス成分供給システム130は、溶剤、共溶剤、界面活性剤、エッチャント、酸、塩基、キレート剤、酸化剤、膜形成前駆体、もしくは還元剤、またはこれらの任意の組み合わせを導入するよう構成されて良い。
【0024】
プロセス成分供給システム130は、N−メチルピロリドン(NMP)、ジグリコールアミン、水酸基アミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、第3アミン、カテコール、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、メチルアセトアセトアミド、オゾン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセチルアセトン、二塩基エステル、乳酸エチル、CHF、BF、HF、他のフッ酸含有化学物質、またはこれらの任意の組み合わせを導入するよう構成されて良い。有機材料を除去するため、有機溶剤などの他の化学物質を独立に又は上記の化学物質とともに利用して良い。有機溶剤としては、たとえば、アセトン、ジアセトンアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、またはイソプロピノール(IPA)などのアルコール、エーテル、かつ/またはグリコールであって良い。より詳細には、「超臨界二酸化炭素を用いた半導体からの残留物又はレジストの除去」という名称で1998年5月27日に出願された米国特許第6,306,564B1号と、「超臨界二酸化炭素プロセスを用いた半導体からのフォトレジストおよびフォトレジスト残留物の除去」という名称で1999年9月3日に出願された米国特許第6,509,141B2号とを参照されたい。なお、これらはここに援用される。
【0025】
また、プロセス成分供給システム130は、プロセスチャンバ内で超臨界クリーニング溶液を生成するためのクリーニング成分を提供するクリーニング成分アセンブリ(図示せず)を備えて良い。クリーニング成分は、過酸化物やフッ化物源を含んで良い。たとえば、過酸化物は、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、または他の適切な過酸化物を含んで良い。また、フッ化物源としては、フッ化物塩(フッ化アンモニウム塩など)、フッ化水素、フッ化物アダクツ(有機フッ化アンモニウムアダクツなど)、またはこれらの組み合わせを含んで良い。フッ化物源や超臨界プロセス溶液の生成方法の詳細については、「フォトレジストおよび残留物の除去のための超臨界流体における有機テトラフッ化アンモニウムおよびフッ酸」という名称で2003年5月20日に出願された米国特許出願第10/442,557号と、「フォトレジストポリマと残留物の除去のための超臨界流体におけるフッ化物」という名称で2002年12月16日に出願された米国特許出願第10/321,341号とにおいて、説明されている。なお、これらの出願はここに援用される。
【0026】
さらに、プロセス成分供給システム130は、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、プロピレンカーボネート(PC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、およびアルコール(メタノール、エタノール、2−プロパノールなど)などの1又は2以上のキャリア溶剤とともに超臨界流体液へ導入することができる無機酸や有機酸などの酸化剤、錯化剤、およびキレート剤を導入するよう構成されて良い。
【0027】
また、プロセス成分供給システム130は、プロセスチャンバ内で超臨界リンス溶液を生成するためのリンス成分を供給するため、リンス成分アセンブリ(図示せず)を含んでも良い。リンス成分は、これに限定されないが、アルコールやケトンを含む1又は2以上の有機溶剤を含んで良い。一の実施形態においては、リンス成分は、チオシクロペンタン−1,1−ダイオキサイド、(シクロ)テトラメチレンスルホン、および2,3,4,5−テトラハイドロチオフェン−1,1−ダイオキサイドとしても知られているスルフォランを含んで良い。これらは、多くの業者、たとえば、英国はウィンチェスター、ハースレイ、レイクコートSO21 2LDのDegussa Stanlow Limitedから購入することができる。
【0028】
また、プロセス成分供給システム130は、低誘電率膜(多孔質状の又は多孔質状でない膜)のキュア、クリーン、治癒(low−κ材料の誘電率の回復)、若しくは密封、またはこれらの任意の組み合わせのための処理成分を導入するよう構成されて良い。この成分は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、クロロトリメチルシラン(TMCS)、トリクロロメチルシラン(TCMS)、ジメチルシリルジエチルアミン(DMSDEA)、テトラメチルジシラザン(TMDS)、トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、ジメチルシリルジメチルアミン(DMSDMA)、トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)、ビストリメチルシリル尿素(BTSU)、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(B[DMA]MS)、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン(B[DMA]DS)、HMCTS、ジメチルアミノペンタメチルジシラン(DMAPMDS)、ジメチルアミノジメチルジシラン(DMADMDS)、ジシラアザシクロペンタン(TDACP)、ジシラオザシクロペンタン(TCOCP)、メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、ビニルトリメトキシシラン(VTMOS)、またはトリメチルシリルイミダゾール(TMSI)を含んで良い。また、この成分は、N−タート−ブチル−1,1−ジメチル−1−(2,3,4,5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−yl)シランアミン、1,3−ジフェニール−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、またはタート−ブチルクロロジフェニールシランを含んでも良い。より詳細には、「誘電体膜を処理する方法およびシステム」という名称で2003年10月10日に出願された米国特許出願第10/682,196号と、「ウェハプロセスにおける低誘電率材料を不動態化する方法」という名称で2003年3月4日に出願された米国特許出願第10/379,984号とを参照されたい。なお、これらの出願はここに援用される。
【0029】
また、プロセス成分供給システム130は、たとえば、クリーンプロセス中に過酸化物を導入するよう構成されて良い。過酸化物は、上記のプロセス成分のいずれか一つ、または任意の組み合わせとともに導入されて良い。過酸化物は、有機過酸化物若しくは無機過酸化物又はこれらの任意の組み合わせを含んで良い。たとえば、有機過酸化物は、2−ブタノンペルオキシド;2,4−ペンタンジオンペルオキシド;過酢酸;t−ブチルヒドロペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド;またはm−クロロエルベンゾイック酸(mCPBA)を含んで良い。他の過酸化物は、過酸化水素を含んで良い。また、過酸化物は、過酸化デカノイル;過酸化ラウロイル;過酸化コハク酸;若しくは過酸化ベンゾイル;またはこれらの任意の組み合わせなどの過酸化ジアシルを含んで良い。また、過酸化物は、過酸化ジクミル;2,5−ジ(t−ブチルペロキシ)−2,5−ジメチルヘキサン;過酸化t−ブチルクミル;α,α−ビス(t−ブチルペロキシ)ジイソプロピルベンゼンの異性体混合物;ジ(t−アミル)ペロキシド;ジ(t−ブチル)ペロキシド;若しくは、2,5−ジ(t−ブチルペロキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン;または、これらの任意の組み合わせなどの過酸化ジアルキルを含んで良い。また、過酸化物は、1,1−ジ(t−ブチルペロキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ジ(t−ブチルペロキシ)シクロヘキサン;1,1−ジ(t−アミルペロキシ)−シクロヘキサン;n−ブチル 4,4−ジ(t−ブチルペロキシ)吉草酸塩;エチル 3,3−ジ−(t−アミルペロキシ)−ブタン酸塩;t−ブチルペロキシ−2−エチルヘキサン酸塩;若しくは、エチル3,3−ジ(t−ブチルペロキシ)ブチレート;またはこれらの任意の組み合わせなどのジペロキシケタルを含んで良い。また、過酸化物は、クメンヒドロペルオキシド;若しくはt−ブチルヒドロペルオキシド;または、これらの任意の組み合わせなどのヒドロペルオキシドを含んでも良い。また、過酸化物は、過酸化メチルエチルケトン;若しくは2,4−ペンタンジオンペルオキシド;またはこれらの任意の組み合わせなどの過酸化ケトンを含んで良い。また、過酸化物は、ジ(n−プロピル)ペロキシジカーボネート;ジ(sec−ブチル)ペロキシジカーボネート;若しくは、ジ(2−エチルヘキシル)ペロキシジカーボネート;または、これらの任意の組み合わせなどのペロキシジカーボネートを含んで良い。また、過酸化物は、3−ヒドロキシル−1,1−ジメチルブチルペロキシネオデカン酸塩;α−クミルペロキシネオデカン酸塩;t−アミルペロキシネオデカン酸塩;t−ブチルペロキシネオデカン酸塩;t−ブチルペロキシビバル酸;2,5−ジ(2−エチルヘキサノールペロキシ)−2,5−ジメチルヘキサン;t−アミルプロキシ−2−エチルヘキサン酸塩;t−ブチルペロキシ−2−エチルヘキサン酸塩;t−アミルプロキシアセテート;t−ブチルプロキシアセテート;t−ブチルペロキシ安息香酸塩;OO−(t−アミル)O−(2−エチルヘキシル)モノペロキシカーボネート;OO−(t−ブチル)O−イソプロピルモノペロキシカーボネート;OO−(t−ブチル)O−(2−エチルヘキシル)モノペロキシカーボネート;ポリエーテルポリ−t−ブチルペロキシカーボネート;若しくは、t−ブチルペロキシ−3,3,5−トリメチルヘキサン酸塩;または、これらの任意の組み合わせなどのペロキシエステルを含んで良い。また、過酸化物は、上に列挙した過酸化物の任意の組み合わせを含んで良い。
【0030】
本発明の一の実施形態に従い、プロセス成分供給システム130は、フルオロケイ酸を導入するよう構成される。また、プロセス成分供給システム130は、溶剤、共溶剤、界面活性剤、酸、塩基、過酸化物、またはエッチャントとともにフルオロケイ酸を導入するよう構成される。また、フルオロケイ酸は、上に示した成分のいずれかと組み合わせて導入されて良い。たとえば、フルオロケイ酸は、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、プロピレンカーボネート(PC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、またはアルコール(メタノール(MeOH)、イソプロピルアルコール(IPA)、またはエタノールなど)とともに導入されて良い。
【0031】
プロセスチャンバ110は、プロセス空間120において、流体供給システム140からの流体とプロセス成分供給システム130からのプロセス成分とに対して基板105を晒すことにより基板105を処理するよう構成されている。また、プロセスチャンバ110は、上チャンバ組立体114と下チャンバ組立体115とを含んで良い。
【0032】
上チャンバ組立体114は、プロセスチャンバ110、基板105、若しくはプロセス流体、またはこれらの2又は3以上の組み合わせを加熱するヒータ(図示せず)を備えて良い。また、ヒータは必須でない。また、上チャンバ組立体114は、プロセス流体をプロセスチャンバ110を通して流すためのフロー部品を含んで良い。一の実施形態においては、循環フローパターンが設定されて良い。また、流体を流すためのフロー部品は、異なるフローパターンに影響を与えるように異なって構成されて良い。また、上チャンバ組立体114は、プロセスチャンバをふさぐよう構成されて良い。
【0033】
下チャンバ組立体115は、基板105を支持するよう構成されるプラッテン116と、基板105をロードしアンロードするためにプラッテン116を並進し、上チャンバ組立体114とともに下チャンバ組立体115を密封する駆動メカニズム118とを含んで良い。プラッテン116は、基板105をプロセスする前、プロセス中かつ/またはプロセス後に、基板105を加熱し、冷却するように構成されても良い。たとえば、プラッテン116は、プラッテンの温度を約31℃か又はこれより高く上げるよう構成された1又は2以上のヒータロッドを含んで良い。また、下チャンバ組立体115は、基板のローディング中、アンローディング中にプラッテン116の上面から基板を移動するためのリフトピン組立体を含んで良い。
【0034】
また、制御器150は、プロセスチャンバ110、流体フローシステム120(又は循環システム)、プラッテン116、高圧流体供給システム140、またはプロセス成分供給システム130のうちの1又は2以上へ結合される温度制御システムを含む。温度制御システムは、これらのシステムの1又は2以上に埋め込まれた加熱要素へ結合され、臨界流体の温度をその流体の臨界温度より高く、たとえば、約31℃か又はこれより高く上げて維持するよう構成されている。加熱要素は、たとえば、抵抗加熱要素を含んで良い。
【0035】
輸送システム(図示せず)を用いて、スロット(図示せず)を通して基板をプロセスチャンバ110から出し入れすることができる。一例では、スロットは、プラッテン116を動かすことにより、開いたり閉まったりして良く、また、他の例では、スロットは、ゲートバルブ(図示せず)を用いて制御されて良い。
【0036】
基板は、半導体材料、金属材料、誘電体材料、セラミック材料、若しくはポリマ材料、または、これらの2又は3以上の組み合わせを含んで良い。半導体材料は、Si,Ge,Si/Ge,またはGaAsを含んで良い。金属材料は、Cu,Al,Ni,Pb,Ti,かつ/またはTaを含んで良い。誘電体材料は、シリカ、二酸化ケイ素、水晶、酸化アルミニウム、サファイア、低誘電率材料、テフロン(登録商標)、かつ/またはポリイミドを含んで良い。セラミック材料は、酸化アルミニウム、シリコンカーボネートなどを含んで良い。
【0037】
プロセスシステム100は、圧力制御システム(図示せず)を備えても良い。圧力制御システムは、プロセスチャンバ110へ結合されて良い。ただし、これは必須ではない。他の実施形態では、圧力制御システムは、異なって構成され、異なって結合されて良い。圧力制御システムは、プロセスチャンバ110を排出し、かつ/またはプロセスチャンバ110内の圧力を調整するため、1又は2以上のバルブ(図示せず)を含んで良い。また、圧力制御システムは、1又は2以上のポンプ(図示せず)を含んで良い。たとえば、一のポンプを用いてプロセスチャンバ内の圧力を上げて良く、他のポンプを用いてプロセスチャンバ110を排出しても良い。他の実施形態においては、圧力制御システムは、プロセスチャンバを密閉するシールを備えて良い。また、圧力制御システムは、基板105かつ/またはプラッテン116を昇降する昇降機を備えて良い。
【0038】
さらに、プロセスシステム100は、排出制御システムを備えて良い。排出制御システムは、プロセスチャンバ110へ結合されて良い。ただし、これは必須ではない。他の実施形態においては、排出制御システムは、異なって構成され、異なって結合される。排出制御システムは、排出ガス捕集容器(図示せず)を含み、プロセス流体から汚染物質を除去するために使用して良い。
【0039】
図3を参照すると、他の実施形態に従うプロセスシステム200が示されている。図示の実施形態において、プロセスシステム200は、プロセスチャンバ210と、循環システム220と、プロセス成分供給システム230と、流体供給システム240と、制御器250とを備える。これらは、基板205を処理するよう構成されている。制御器250は、プロセスチャンバ210と、循環システム220と、プロセス成分供給システム230と、流体供給システム240とへ結合されて良い。また、制御器250は、1又は2以上の追加の制御器/コンピュータ(図示せず)へ結合されて良く、また、制御器250は、追加の制御器/コンピュータから設定かつ/または構成の情報を取得することができる。
【0040】
図3に示すとおり、循環システム220は、循環流体ヒータ222と、ポンプ224と、フィルタ226とを含んで良い。プロセス成分供給システム230は、1又は2以上の成分導入システムを含んで良い。導入システムの各々は、成分源232,234,236と、注入システム233、235、237とを有している。注入システム233、235、237は、ポンプ(図示せず)と注入バルブ(図示せず)とを含んで良い。たとえば、成分源はフルオロケイ酸の供給源を含んで良い。
【0041】
プロセス成分の注入について更に詳しくは、「物質を超臨界流体へ注入する方法およびシステム」という名称で2004年10月1日に出願され同時係属中の米国特許出願第10/957,417号(代理人整理番号第SSIT−110)に提供されている。なお、この出願の内容のすべてをここに援用する。
【0042】
さらに、流体供給システム240は、超臨界流体源242と、ポンプシステム244と超臨界流体ヒータ246とを含んで良い。また、1又は2以上の注入バルブかつ/または排出バルブを流体供給システム240とともに用いて良い。
【0043】
プロセスチャンバ210は、プロセス空間214において、流体供給システム240からの流体と、プロセス成分供給システム230からのプロセス成分とに基板205を晒すことにより、基板205を処理するよう構成されて良い。また、プロセスチャンバ210は、上チャンバ組立体214と下チャンバ組立体215とを含んで良い。下チャンバ組立体215は、図1を参照して説明したように、プラッテン216と駆動メカニズム218を有する。
【0044】
また、プロセスチャンバ210は、「半導体基板のための高圧プロセスチャンバ」という名称で2001年7月24日に出願され同時係属中の米国特許出願第09/912,844号に説明されるよう構成されている。この出願の内容のすべてがここに援用される。たとえば、図4は、上チャンバ組立体314と、下チャンバ組立体315と、基板305を支持するよう構成されるプラッテン316と、基板のローディング/アンローディングの状態と基板処理の状態との間で基板を上下するよう構成される駆動メカニズム318と、を備える超臨界処理チャンバの断面を示している。駆動メカニズム318は、駆動シリンダ320と、ピストンネック323を有する駆動ピストン322と、シールプレート324と、空気キャビティ326と、水圧キャビティ328とを更に含んで良い。また、超臨界プロセスチャンバ310は、プロセスチャンバ310内に、密閉された高圧プロセス空間312を提供するため、複数のシールデバイス330,332,334を含んで良い。
【0045】
図1,2,3を参照しながら説明したように、プロセスチャンバへ結合される流体フローシステムまたは循環システムは、流体をプロセスチャンバを通して循環させるよう構成され、よって、プロセスチャンバ内の基板が流体のフローに晒される。プロセス成分を有する超臨界二酸化炭素などの流体は、流体フローシステムへ結合される1又は2以上の入口を通して基板の周辺端でプロセスチャンバへ流入する。たとえば、図4、図5Aおよび図5Bを参照すると、注入マニホールド360が、1又は2以上の入口364へ結合される環状の流体供給チャネル362を有するリングとして示されている。1又は2以上の入口364は、図示のとおり、45度に傾いた45個の注入オリフィスを含み、よって、プロセス空間312を通して基板305の上方へ至る高圧流体の流れに対して軸方向の推進力を与えるとともに、方位角方向の推進力または軸方向の推進力または双方を与える。45度に傾くように図示されているが、この角度を、直接に半径方向内向きに注入することを含めて、変更しても良い。
【0046】
また、超臨界二酸化炭素などの流体は、基板の表面のそばを通って1又は2以上の出口(図示せず)を通してプロセスチャンバから流出する。たとえば、米国特許出願第09/912,844号にて説明するように、1又は2以上の出口は、基板305の中央にまたは中央の上方に近接して位置する2つの出口孔を含んで良い。この2つの出口孔を通した流れは、シャッタバルブを用いて、一つの出口から次の出口へと切り換わって良い。
【0047】
また、超臨界二酸化炭素などの流体は、「高圧プロセスシステムに超臨界流体を流す方法およびシステム」という名称で2004年12月20日に出願され係属中の米国特許出願第11/018,922号(代理人整理番号第SSIT−115)において説明したように、プロセスチャンバ110へ流入し流出する。なお、この出願の内容のすべてをここに援用する。
【0048】
図6を参照すると、超臨界状態の流体で基板を処理する方法が示されている。フローチャート700で示されるように、この方法は、ステップ710において、超臨界流体プロセス溶液に晒すよう構成された高圧プロセスチャンバ内のプラッテンに基板を置くことから始まる。
【0049】
ステップ720において、流体の圧力をその流体の臨界圧力か又はそれより高く調整し、その流体の温度をその流体の臨界温度か又はそれより高く調整して、流体を臨界状態へと移行することにより、超臨界流体を生成する。ステップ730において、超臨界流体は、1又は2以上の入口を通して高圧プロセスチャンバへ導入され、1又は2以上の出口を通して廃棄される。超臨界流体の温度は、40℃と等しいか又はこれより高い値にまで上げて良い。一の実施形態においては、臨界流体の温度は、80℃より高く上げられて、高温超臨界流体が生成される。他の実施形態では、超臨界流体の温度は、120℃か又はこれより高く設定される。
【0050】
ステップ740において、フルオロケイ酸を含むプロセス成分が超臨界流体へ導入される。フルオロケイ酸は、たとえば、上で示した化学成分のいずれか一つまたは任意の組み合わせとともに導入される。ステップ750では、基板が超臨界流体およびプロセス成分に晒される。
【0051】
また、上述のとおり、プロセス成分は、クリーニング組成物、膜形成組成物、治癒組成物、もしくは密閉組成物、またはこれらの任意の組み合わせを含んで良い。たとえば、プロセス成分は、フルオロケイ酸を含むクリーニング組成物を含んで良い。以下の例のそれぞれにおいて、超臨界流体の温度は、約40℃より高く上げられ、たとえば135℃である。また、以下の例のそれぞれにおいて、超臨界流体の圧力は、臨界圧力より高く、たとえば、2900psi(20.0MPa)である。一例として、クリーニング組成物は、超臨界二酸化炭素中でたとえばN−メチルピロリドン(NMP)とともにフルオロケイ酸を含んで良い。更なる例として、エッチング後の残留物を除去するプロセスレシピは、(1)超臨界二酸化炭素中で200マイクロリットルのフルオロケイ酸と13ミリリットルのNMPとの混合物に基板を約3分間晒し、(2)超臨界二酸化炭素中で13ミリリットルのNMPに基板を約3分間晒すことを含む2つのステップを有して良い。この第1のステップは、何回でも繰り返してよい。また、いずれのステップも繰り返すことができる。また、各ステップ、または副ステップの時間は、上記の特定の期間よりも長くても短くても良い。また、プロセス成分中の化学物質の量は、上記の特定の量よりも多くても少なくても良く、また、比率を変更しても良い。さらにまた、温度や圧力を変更しても良い。
【0052】
他の例として、プロセス成分は、超臨界二酸化炭素中でフルオロケイ酸とガンマ−ブチロラクトン(BLO)との混合物を有する第1のクリーニング組成物と、超臨界二酸化酸素中でフルオロケイ酸とイソプロピルアルコール(IPA)との混合物を有する第2のクリーニング組成物とを有して良い。更なる例として、エッチング後の残留物を除去するためのプロセスレシピは、(1)超臨界二酸化炭素中で10ミリリットルのガンマ−ブチロラクトン(BLO)と200マイクロリットルのフルオロケイ酸とに基板を約3分間晒し、(2)超臨界二酸化炭素中で10ミリリットルのイソプロピルアルコール(IPA)と200マイクロリットルのフルオロケイ酸とに基板を約3分間晒し、(3)超臨界二酸化炭素中でMeOHとHOとの比が12:1である10ミリリットルの溶液に基板を約3分間晒すことを含む3つのステップを有して良い。これら第1、第2、および第3のステップは、何回でも繰り返して良い。また、いずれのステップも繰り返して良い。また、各ステップ、または副ステップの時間は、上記の特定の時間よりも長くても短くても良い。さらに、プロセス成分中のいずれの化学物質の量は、上記の特定の量より多くても少なくても良い。さらにまた、温度や圧力を変更して良い。
【0053】
他の例では、プロセス成分は、超臨界二酸化炭素中でフルオロケイ酸とガンマ−ブチロラクトン(BLO)との混合物を有する第1のクリーニング組成物と、超臨界二酸化炭素中でフルオロケイ酸とイソプロピルアルコール(IPA)との混合物を有する第2のクリーニング組成物と、超臨界二酸化炭素中で2−ブタノンペロキサイドを有する第3のクリーニング組成物とを有して良い。更なる例として、エッチング後の残留物を除去するためのプロセスレシピは、(1)超臨界二酸化炭素中で10ミリリットルのガンマ−ブチロラクトン(BLO)と200マイクロリットルのフルオロケイ酸とに基板を約3分間晒し、(2)超臨界二酸化炭素中で10ミリリットルのイソプロピルアルコール(IPA)と200マイクロリットルのフルオロケイ酸とに基板を約3分間晒し、(3)超臨界二酸化炭素中で13ミリリットルの2−ブタノンペロキサイドに基板を約3分間晒すことを含む3つのステップを有して良い。これら第1、第2、および第3のステップは、何回でも繰り返して良く、たとえば、一度繰り返されても良い。また、いずれのステップも繰り返してよい。また、各ステップ、または副ステップの時間は、上記の特定の時間より長くても短くても良い。さらに、プロセス成分中のいずれの化学物質の量は、上記の特定の量より多くても少なくても良く、また、比率も変更してよい。さらにまた、温度や圧力を変更して良い。
【0054】
高温プロセスについて更に詳しくは、「超臨界流体を用いて基板を処理するための方法およびシステム」という名称で2004年11月12日に出願され同時係属中の米国特許出願第10/987,067号(代理人整理番号第SSIT−117号)に提供されている。なお、この出願の内容のすべてをここに援用する。
【0055】
また別の実施形態において、ここで説明するプロセスは、オゾンプロセスにより更に補足される。たとえば、クリーンプロセスを実施するとき、超臨界プロセス溶液で処理される前に、基板がオゾン処理の対象とされて良い。オゾン処理中、基板はオゾンモジュール内に入る。そして、除去されるべき表面の残留物がオゾン雰囲気に晒される。たとえば、酸素中に生成されるオゾンの分圧は、残留物を一部またはすべて酸化するのに十分な期間、基板の表面に流される。オゾンプロセスガスの流量は、たとえば、1から50slm(標準リットル毎分)の範囲とすることができる。他の例として、流量は5から15slmの範囲であっても良い。また、圧力は、たとえば、1から5atmの範囲とすることができ、更なる例として、1から3atmの範囲であっても良い。更なる詳細が「超臨界二酸化炭素プロセスを用いて基板から残留物を除去する方法」という名称で2004年11月12日に出願され同時係属中の米国特許出願第10/987,594号(代理人整理番号第SSIT−073号)と、「超臨界二酸化炭素プロセスを用いて基板から残留物を除去するためのシステム」という名称で2004年11月12日に出願され同時係属中の米国特許出願第10/987,676号(代理人整理番号第SSIT−125号)とにより提供されている。これらの出願の内容のすべてがここに援用される。
【0056】
本発明のある典型的な実施形態についてのみ詳述したが、当業者であれば、本発明の新規な教示おおび利点から実質的に離れることなく典型的な実施形態において多くの変更が可能であることは、容易に理解されるであろう。したがって、そのようなすべての変更は、本発明の要旨内に含まれるものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】プロセスシステムの簡略化した概略図である。
【図2A】ポンプを冷却するよう構成されたシステムを示す。
【図2B】ポンプを冷却するよう構成された他のシステムを示す。
【図3】他のプロセスシステムの簡略化した概略図である。
【図4】別のプロセスシステムの簡略化した概略図である。
【図5A】流体をプロセスシステムへ導入するための流体注入マニホールドを示す。
【図5B】流体をプロセスシステムへ導入するための流体注入マニホールドを示す。
【図6】本発明の一の実施形態による、プロセスシステムで基板を処理する方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
高圧プロセスチャンバにおいて、前記基板を支持するよう構成されるプラッテンに基板を置く工程;
流体の圧力を該流体の臨界圧力より高く調整し、前記流体の温度を該流体の臨界温度より高く調整して、該流体から超臨界流体を生成する工程;
前記超臨界流体を前記高圧プロセスチャンバへ導入する工程;
前記超臨界流体へフルオロケイ酸を有するプロセス成分を導入する工程;並びに
前記超臨界流体および前記プロセス成分に前記基板を晒す工程、
を有する方法。
【請求項2】
前記プロセス成分を導入する工程は、溶剤、共溶剤、界面活性剤、酸、塩基、アルコール、またはエッチャントのうちの1又は2以上とともに、前記フルオロケイ酸を導入するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセス成分を導入する工程が、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ガンマ−ブチロラクトン(BLO)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、プロピレンカーボネート(PC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルピペリドン、プロピレンカーボネート、メタノール(MeOH)、イソプロピルアルコール(IPA)、またはエタノールのうちの1又は2以上とともに、前記フルオロケイ酸を導入するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板を通り過ぎるように前記超臨界流体を循環させる工程を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記超臨界流体を生成する工程が、二酸化炭素流体から超臨界流体二酸化炭素を生成するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記圧力を前記臨界圧力より高く調整することが、前記圧力を約1070psi(7.38MPa)から約10,000psi(68.9MPa)の範囲の圧力に調整することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記温度を前記臨界温度より高く調整することが、前記温度を約31℃より高く調整することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記温度を前記臨界温度より高く調整することが、前記温度を約40℃より高く調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記温度を前記臨界温度より高く調整することが、前記温度を約80℃より高く調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記温度を前記臨界温度より高く調整することが、前記温度を約100℃から約300℃までの範囲の温度に調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセス成分を前記超臨界流体に導入するに先立って該プロセス成分を予加熱するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセス成分を導入する工程が、有機ペロキシド若しくは無機ペロキシド又はこれらの組み合わせのいずれかを導入するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記圧力を前記臨界圧力より高く調整することが、前記圧力を約2000psi(13.8MPa)から約10,000psi(68.9MPa)までの範囲の圧力に調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記基板を晒す工程に引き続き、一連の減圧サイクルを行う工程;および
前記高圧プロセスシステムを換気する工程、
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記基板をオゾンに晒す工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基板を前記オゾンに晒す工程が、前記基板を前記超臨界流体に晒す工程に先行する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
基板を処理する方法であって、
金属表面を有する基板を高圧プロセスチャンバへ入れ、前記基板を支持するよう構成されるプラッテンに置く工程;
二酸化炭素流体の圧力を該二酸化炭素流体の臨界圧力より高く調整し、前記二酸化炭素流体の温度を該二酸化炭素流体の臨界温度より高く調整することにより、前記二酸化炭素流体から超臨界二酸化炭素流体を生成する工程;
前記超臨界二酸化炭素流体を前記高圧プロセスチャンバへ導入する工程;
フルオロケイ酸とN−メチルピロリドン(NMP)とを有する第1のプロセス成分を前記超臨界二酸化炭素流体へ導入する工程;
第1の期間に前記超臨界二酸化炭素流体および前記第1のプロセス成分に前記基板を晒す第1の晒す工程;
その後、N−メチルピロリドンを有する第2のプロセス成分を前記超臨界二酸化炭素流体へ導入する工程;並びに
第2の期間に前記超臨界二酸化炭素流体および前記第2のプロセス成分に前記基板を晒す第2の晒す工程、
を有する方法。
【請求項18】
前記第1の晒す工程を、1又は2以上の回数、反復する工程を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
基板を処理する方法であって、
金属表面を有する基板を高圧プロセスチャンバへ入れ、前記基板を支持するよう構成されるプラッテンに置く工程;
二酸化炭素流体の圧力を前記二酸化炭素流体の臨界圧力より高く調整し、前記二酸化炭素流体の温度を前記二酸化炭素流体の臨界温度より高く調整することにより、前記二酸化炭素流体から超臨界二酸化炭素流体を生成する工程;
前記超臨界二酸化炭素流体を前記高圧プロセスチャンバへ導入する工程;
フルオロケイ酸とブチロラクトン(BLO)とを有する第1のプロセス成分を前記超臨界二酸化炭素流体へ導入する工程;
第1の期間に前記超臨界二酸化炭素流体および前記第1のプロセス成分に前記基板を晒す第1の晒す工程;
その後、フルオロケイ酸とイソプロピルアルコール(IPA)とを有する第2のプロセス成分を前記超臨界二酸化炭素へ導入する工程;
第2の期間に前記超臨界二酸化炭素流体および前記第2のプロセス成分に前記基板を晒す第2の晒す工程;および
その後、メタノールおよび水の混合物、または2−ブタノンペロキシドを含む第3のプロセス成分を前記超臨界流体へ導入する工程;並びに
第3の期間に前記超臨界二酸化炭素流体および前記第3のプロセス成分に前記基板を晒す第3の晒す工程、
を有する方法。
【請求項20】
前記第1の晒す工程、前記第2の晒す工程、または前記第3の晒す工程を1又は2以上の回数、反復する工程を更に有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
基板を処理する高圧プロセスシステムであって、
前記基板を処理するよう構成されるプロセスチャンバ;
前記プロセスチャンバに結合され、前記基板を支持するよう構成されるプラッテン;
超臨界流体を前記プロセスチャンバへ導入するよう構成される高圧流体供給システム;
前記プロセスチャンバに結合され、前記プロセスチャンバにおいて前記基板の上に前記超臨界流体を流すよう構成される流体フローシステム;
フルオロケイ酸の源と、フルオロケイ酸を有するプロセス成分を前記プロセスチャンバへ導入するよう構成される注入システムと、を有するプロセス成分供給システム;並びに
前記プロセスチャンバ、前記プラッテン、前記高圧流体供給システム、前記流体フローシステム、および前記プロセス成分供給システムの1又は2以上へ結合され、前記超臨界流体を約40℃、または約40℃より高い温度に上げる温度調節システム、
を備える高圧プロセスシステム。
【請求項22】
前記流体フローシステムが、前記プロセスチャンバへ結合されて前記プロセスチャンバと循環ループを形成する循環システムであって、前記基板の上を通るよう、前記プロセスチャンバを通して前記超臨界流体を循環させるよう構成される循環システムを備える、請求項21に記載の高圧プロセスシステム。
【請求項23】
前記プラッテンが、前記基板を処理するための高圧プロセス空間を構成するため、前記高圧チャンバを密閉する、請求項21に記載の高圧プロセスシステム。
【請求項24】
前記高圧流体供給システムが、二酸化炭素源を含み、超臨界二酸化炭素(CO)流体を導入する請求項21に記載の高圧プロセスシステム。
【請求項25】
前記プロセスチャンバが、前記基板をオゾンに晒すよう構成されるオゾンプロセスチャンバに更に結合される、請求項21に記載の高圧プロセスシステム。



【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−530795(P2008−530795A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555091(P2007−555091)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/047343
【国際公開番号】WO2006/088560
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】