説明

フレキシブルな窒素/水素比を使用して生成されるラジカルを用いる誘電体膜成長

誘電体層の形成方法が記載される。この方法は、シリコン含有前駆体をラジカル−窒素前駆体と混合するステップと、誘電体層を基板上に堆積させるステップとを含むことができる。ラジカル−窒素前駆体は、遠隔プラズマ内で、窒素/水素比の調整を可能にするために、プラズマの中に水素(H)および窒素(N)を流すことによって形成される。誘電体層は、最初にシリコン−窒素含有層であり、膜を酸素含有環境内で硬化および/またはアニーリングすることにより、シリコン−酸素含有層に変換され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年12月16日に出願され、「DIELECTRIC FILM GROWTH WITH RADICALS PRODUCED USING FLEXIBLE NITROGEN/HYDROGEN RATIO」と題する米国特許出願第12/969,877号のPCT出願であり、その開示全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2009年12月30日に出願され、「NITRIDE FILM GROWTH WITH RADICALS PRODUCED USING FLEXIBLE NITROGEN/HYDROGEN RATIO」と題する米国仮特許出願第61/291,054号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの形状寸法は、数十年前に半導体デバイスが導入されて以来、サイズが劇的に縮小している。現在の半導体製造機器は、45nm、32nm、および28nmフィーチャサイズでデバイスを日常的に製造しており、さらに小さな形状寸法でデバイスを製作するために新しい機器が開発され実現されつつある。フィーチャサイズを縮小することが、空間寸法が縮小したデバイスに、構造的な特徴をもたらした。デバイス上の間隙およびトレンチの幅は、間隙を誘電体材料で充填することを難しくするのに十分なほど、間隙深さと間隙幅のアスペクト比が大きくなる程度にまで狭くなる。堆積させる誘電体材料は、間隙が完全に充填する前に上部で詰まりやすく、間隙の中にボイドまたは継目を作る。
【0003】
長年にわたって、誘電体材料が間隙の上部を詰まらせることを回避するための、または形成されたボイドまたは継目を「治す(heal)」ための多くの技法が開発されてきた。スピンする基板表面に液相で塗布され得る、極めて流動可能な前駆体材料を用いる、一アプローチが開始されなければならなかった(例えば、SOG堆積技法)。これらの流動可能な前駆体は、ボイドまたは弱い継目を形成することなく、非常に小さな基板間隙の中に流れ、充填することができる。しかし、これらの極めて流動可能な材料は、一度堆積されると、固体の誘電体材料に固化させる必要がある。
【0004】
多くの場合、固化プロセスは、堆積した材料から炭素およびヒドロキシル基を取り除き、酸化ケイ素などの固体誘電体を後に残すための、熱処理を含む。残念ながら、炭素およびヒドロキシル核種がなくなると、多くの場合、最終的な材料の品質を低下させる、固化した誘電体中の細孔が残る。加えて、固化する誘電体は体積が縮む傾向もあり、このことによって、誘電体と周囲の基板との界面にクラックおよび空間を残す場合がある。いくつかの場合において、固化した誘電体の体積は、40%以上減少する場合がある。
【0005】
したがって、基板間隙およびトレンチ内に、ボイド、継目、またはその両方を生成することなく、構成された基板上に誘電体材料を形成するための、新規の堆積プロセスおよび新規の堆積材料が必要とされている。細孔がより少なく、体積の減少がより少ない、流動可能な誘電体材料を固化させる材料および方法も必要とされている。この必要性および他の必要性は、本出願中で対象とされる。
【発明の概要】
【0006】
誘電体層を形成する方法が記載される。方法は、シリコン含有前駆体をラジカル−窒素前駆体と混合するステップおよび誘電体層を基板上に堆積させるステップを含むことができる。ラジカル−窒素前駆体は、遠隔プラズマ内で、窒素/水素比の調整を可能にするために、プラズマの中に水素(H)および窒素(N)を流すことによって形成される。誘電体層は、最初にシリコン−窒素含有層であり、膜を酸素含有環境内で硬化および/またはアニーリングすることにより、シリコン−酸素含有層に変換され得る。
【0007】
本発明の実施形態は、基板処理チャンバ内の無プラズマ基板処理領域の中の基板上に誘電体層を形成する方法を含む。方法は、窒素−水素含有ガスをプラズマ領域内に流し、ラジカル−窒素前駆体を生成することを含む。窒素−水素含有ガスは、水素(H)および窒素(N)を含み、プラズマ領域内への窒素:水素原子流量比の選択において、より大きなフレキシビリティを可能にする。方法は、無プラズマ基板処理領域内で、シリコン含有前駆体をラジカル−窒素前駆体と化合し、誘電体層を基板上に堆積させることをさらに含む。
【0008】
さらなる実施形態および特徴は、部分的には以下の記載の中に示され、部分的には本明細書を検討すれば当業者に明らかとなり、または本発明を実施することにより学ぶことができる。本発明の特徴および利点は、本明細書において記載される手段、化合物、および方法を用いて具体化され、かつ達成され得る。
【0009】
本明細書の残りの部分および添付図面を参照することによって本発明の性質および利点をさらに理解することができる。図面内では、同様の参照番号が類似の構成要素を意味するように複数の図面にわたって使用される。いくつかの場合において、サブラベルが参照番号に付随してハイフンの後に続き、複数の類似の構成要素のうちの1つを意味する。存在するサブラベルを指定することなしに参照番号への参照がなされるときは、そのような複数の類似の構成要素全てを意味することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に従う、酸化ケイ素膜を作るために選択されたステップを例示する流れ図である。
【図2】本発明の実施形態に従う、基板間隙内で酸化ケイ素膜を形成するために選択されたステップを例示する別の流れ図である。
【図3】本発明の実施形態に従う、基板処理システムの概略図である。
【図4A】本発明の実施形態に従う、基板処理チャンバの概略図である。
【図4B】本発明の実施形態に従う、基板処理チャンバのシャワーヘッドの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
誘電体層を形成する方法が記載される。方法は、シリコン含有前駆体をラジカル−窒素前駆体と混合するステップおよび誘電体層を基板上に堆積させるステップを含むことができる。ラジカル−窒素前駆体は、遠隔プラズマ内で、窒素/水素比の調整を可能にするために、プラズマの中に水素(H)および窒素(N)を流すことによって形成される。誘電体層は、最初にシリコン−窒素含有層であり、膜を酸素含有環境内で硬化および/またはアニーリングすることにより、シリコン−酸素含有層に変換され得る。
【0012】
ラジカル−窒素前駆体を形成するために使用される窒素の濃度を増加することによって、発生期の流動性が減少するが、一般に、より高い品質の(例えば、より高密度でより収縮しない)膜を生成する。一方、窒素の濃度を減少することによって、膜の品質が犠牲になるが、堆積の期間の発生期の流動性が増加する。堆積に続いて、シリコン−窒素含有層が酸素含有環境内で硬化および/またはアニールされ、層を酸化ケイ素に変換することができる。
【0013】
酸化ケイ素層を形成する方法およびシステムについてのさらなる詳細が、次に記載される。
【実施例】
【0014】
例示的な酸化ケイ素形成プロセス
図1は、本発明の実施形態による、酸化ケイ素膜を作る方法100で選択されたステップを示す流れ図である。方法100は、無炭素シリコン含有前駆体を基板処理領域に提供することを含む(102)。無炭素シリコン含有前駆体は、例えば、シリコン含有前駆体の種類の中でも、シリコン−窒素前駆体、シリコン−水素前駆体、またはシリコン−窒素−水素含有前駆体であってよい。シリコン前駆体は、無炭素に加えて無酸素であってよい。酸素の欠乏によって、前駆体から形成されるシリコン−窒素層内のシラノール(Si−OH)基の濃度がより低くなる。堆積した膜内の過剰なシラノール成分によって、堆積した層からヒドロキシル(−OH)成分を除去する堆積後のステップの期間に、多孔性が増し、より収縮する結果になる。
【0015】
シリコン含有前駆体は、本発明の実施形態において、無炭素シリコン含有前駆体であってよく、またはシリコン−窒素含有前駆体であってよい。そのような前駆体の具体的な例として、他のシリル−アミンの中でも、HN(SiH)、HN(SiH、およびN(SiHなどのシリル−アミンが挙げられる。無炭素シリコン含有前駆体のさらなる例として、N(SiHSiHならびにより長いシリル鎖が挙げられる。シリコン含有前駆体の流量は、異なる実施形態において、約200sccm以上、約300sccm以上、約500sccm以上であってよい。本明細書において与えられる全ての流量は、デュアルチャンバ基板処理システムのことを言う。枚葉式ウエハシステムはこれらの流量の半分を必要とし、他のウエハサイズは処理面積によってスケーリングされた流量を必要とすることになる。これらのシリル−アミンは、キャリアガス、反応性ガス、またはその両方としての役割を果たすことができる追加のガスと混合され得る。例示的な追加のガスとして、ガスの中でも、H、N、NH、He、およびArが挙げられる。無炭素シリコン含有前駆体の例として、シラン(SiH)単独またはシラン(SiH)と他のシリコン(例えば、N(SiH)、水素(例えば、H)、および/または窒素(例えば、N、NH)含有ガスとの混合物も挙げられる。無炭素シリコン含有前駆体としては、ジシラン、トリシラン、さらに高次のシラン、および塩素化シランの単体、お互いの組合せ、または以前に述べた無炭素シリコン含有前駆体との組合せも挙げることができる。無炭素シリコン含有前駆体は、無プラズマ基板処理領域に入る前に、プラズマ領域(例えば、遠隔プラズマ領域)内で励起されない。
【0016】
一般的に言って、本発明の実施形態において、いくらかの炭素を有するシリコン含有前駆体を使用することができる。炭素が存在することによって、流動性が増加するが、完成した膜の収縮に悪影響を及ぼす場合もある。いくつかの応用例は、収縮により損なわれるよりも、流動性からより利益を得る場合がある。実施形態において、シリコン含有前駆体中にいくらかの炭素が存在する場合があり、例示的なシリコン含有前駆体として、N(SiHCHが挙げられる。様々な他の炭素−窒素−シリコン含有前駆体が適切である場合があり、シリル鎖の長さを調整し、シリコン原子の1つまたは複数を炭素で置換することにより達成される。
【0017】
窒素(N)および水素(H)がプラズマ領域に送達され、ラジカル−窒素前駆体を形成する(104)。ラジカル−窒素前駆体は、基板処理領域の外側のプラズマ領域内で、窒素および水素から生成される、窒素−ラジカル含有前駆体である。例えば、HおよびNを含む安定な窒素前駆体化合物は、処理チャンバの外のチャンバプラズマ領域または遠隔プラズマシステム(RPS)中で活性化され、ラジカル−窒素前駆体を形成することができ、次いでラジカル−窒素前駆体は基板処理領域の中に搬送される(106)。水素の流量は、異なる実施形態において、約500sccm以上、約1slm以上、約1.5slm以上であってよく、一方窒素(N)の流量は、異なる実施形態において、約250sccm以上、約500sccm以上、約750sccm以上であってよい。チャンバプラズマ領域内で作り出されたラジカル−窒素前駆体は、1つまたは複数のN、NH、NHなどであってよく、プラズマ中で形成されたイオン化核種を伴う場合もある。ラジカル−窒素前駆体は、無プラズマ基板処理領域内に流れる(106)。
【0018】
チャンバプラズマ領域を使用する実施形態において、ラジカル−窒素前駆体は、前駆体が混合して反応し、堆積基板(例えば、半導体ウエハ)上にシリコン−窒素層を堆積させる堆積領域から仕切られた基板処理領域のセクション内で生成される。ラジカル−窒素前駆体は、ヘリウム、アルゴンなどのキャリアガスを伴う場合もある。基板処理領域は、本明細書で、シリコン−窒素含有層の成長期間、および低温オゾン硬化期間、「無プラズマ」として記載されてよい。「無プラズマ」は、領域にプラズマが存在しないことを必ずしも意味しない。プラズマ領域内で作られたイオン化核種は、パーティション(シャワーヘッド)の中の細孔(開口)を通って移動するが、無炭素シリコン含有前駆体は、プラズマ領域に印加されるプラズマ出力によって実質的に励起されない。チャンバプラズマ領域内のプラズマの境界は、規定するのが困難であり、シャワーヘッド内の開口を通って基板処理領域に侵入し得る。誘導結合プラズマの場合、直接基板処理領域内で、少量のイオン化が影響を受ける場合がある。さらに、形成する膜の流動可能な性質をなくすことなく、低強度プラズマが基板処理領域内で生成される場合がある。ラジカル窒素前駆体の生成期間、プラズマがチャンバプラズマ領域よりもはるかに低い強度のイオン密度を有する全ての原因は、本明細書で使用する、「無プラズマ」の範囲から逸脱しない。
【0019】
基板処理領域において、無炭素シリコン含有前駆体とラジカル−窒素前駆体が混合して反応し、シリコン−窒素含有膜を堆積基板上に形成する(108)。堆積したシリコン−窒素含有膜は、方策(recipe)の組合せで共形に堆積させることができ、このことが低堆積速度をもたらす。他の実施形態において、堆積されたシリコン−窒素含有膜は、従来型の窒化ケイ素(Si)膜堆積技法と異なり流動可能な特性を有する。形成の流動可能な性質によって、膜が基板の堆積面上の狭い間隙トレンチおよび他の構造の中に流れることが可能になる。
【0020】
流動性は、ラジカル−窒素前駆体を無炭素シリコン含有前駆体と混合することに由来する様々な性質に起因し得る。これらの性質として、堆積した膜内のかなりの水素成分および/または短鎖ポリシラザンポリマーの存在が挙げられる。これらの短鎖が成長してネットワーク化し、膜形成の期間および膜形成の後、より密な誘電体材料を形成する。例えば、堆積される膜は、シラザン型のSi−NH−Siバックボーン(すなわち、Si−N−H膜)を有する場合がある。シリコン含有前駆体とラジカル−窒素前駆体の両方が無炭素であるとき、堆積されたシリコン−窒素含有膜も実質的に無炭素である。もちろん、「無炭素」とは、膜が微量の炭素さえ含まないことを意味するわけでは、必ずしもない。炭素混入物が前駆体材料中に存在し、炭素混入物が堆積されたシリコン−窒素前駆体内に達する場合がある。しかし、これらの炭素不純物の量は、炭素成分を有するシリコン含有前駆体(例えば、TEOS、TMDSOなど)に見出されるよりもはるかに少ない。堆積される膜は、本発明の実施形態において、無炭素Si−N−H膜であり得る。
【0021】
シリコン−窒素含有層の堆積に続いて、堆積基板は酸素含有雰囲気(複数可)内で硬化および/またはアニールされ得る(110)。硬化は、オゾン含有雰囲気で、約400℃以下の基板温度で起こり得る。いくつかの条件(例えば、約100℃から約200℃の間の基板温度)で、変換が実質的に完了することが見出されており、そのため実施形態において、酸素含有環境内の比較的高い温度のアニールが不必要な場合がある。シリコン−窒素含有層の硬化の後に、膜を酸化ケイ素にさらに変換するために、基板を酸素含有雰囲気でアニールすることが望ましい場合がある。酸素含有雰囲気として、酸素含有ガスの中でも、分子酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)、過酸化水素(H)および窒素酸化物(NO、NOなど)などの1つまたは複数の酸素含有ガスが挙げられる。酸素含有雰囲気として、遠く離れて生成され、基板チャンバの中に搬送される場合がある、原子酸素(O)、水酸化物(OH)などのラジカル酸素およびヒドロキシル核種も挙げられる。酸素含有核種のイオンも存在する場合がある。基板の酸素アニール温度は、約500℃と約1100℃の間であってよい。プラズマが使用されるとき、プラズマは、基板処理領域内、シャワーヘッドにより分離される分離領域内または遠隔プラズマシステム(RPS)内にあってよい。
【0022】
硬化および酸素アニール両方の酸素含有雰囲気が酸素を提供し、シリコン−窒素含有膜を酸化ケイ素(SiO)膜に変換する。前に言及したように、シリコン−窒素含有膜中に炭素がないことによって、最終的な酸化ケイ素膜中に形成される細孔が著しく少なくなる。このことによって、酸化ケイ素への変換の期間に、膜の体積の減少(すなわち収縮)が減る結果にもなる。例えば、炭素含有シリコン前駆体およびラジカル−窒素から形成されたシリコン−窒素−炭素層は、酸化ケイ素に変換されると40vol.%以上だけ収縮する場合があるが、実質的な無炭素シリコン−窒素膜は、約17vol.%以下だけ収縮し得る。プラズマ領域内に窒素の流れを導入して増すことにより窒素:水素原子流量比を増加することによって、一般的に、収縮をさらに減少させる。収縮は、異なる実施形態において、約17vol.%以下、約16vol.%以下、約15vol.%以下、または約14vol.%以下であり得る。窒素:水素原子流量比は、異なる実施形態において、1:3(1/3)超、約1:2以上、約2:3以上、または約1:1以上であり得る。本明細書において、n/dがn/dを上回る(または下回る)場合、n:mの比は、比n:dを上回る(または下回る)と言われる。
【0023】
一般的に言って、本明細書で記載の例のそれぞれで、安定な窒素前駆体は、窒素(N)と水素(H)の両方を含む、窒素−水素含有ガスである。安定な窒素前駆体は、窒素および水素を含むが、実施形態において、遠隔プラズマ領域との間に流れるH:N比を選択すると、本質的にアンモニアおよび/またはヒドラジンがなく、フレキシビリティを増加させることができる。アンモニア(NH)およびヒドラジン(N)のそれぞれは、窒素と水素の固定の原子比率を含み、いずれか(または両方)を含むことによって、可能なH:N比の範囲を制限することになる。それにもかかわらず、窒素−水素含有ガスは、本発明の実施形態において、アンモニア(NH)および/またはヒドラジン(N)をさらに含むことができる。一部(または全部)のアンモニア/ヒドラジンの代わりに窒素(N)および水素(H)を使用することによって、窒素:水素原子流量比を選択すると、さらなるフレキシビリティを示す。上記の、比較的高い、原子窒素:水素比によって、膜質を改善し、堆積後の処理期間の収縮を減少することを選択する。そのような実施形態は、広範囲なプロセスフローの中に膜を組み込む助けとなる。膜の流動性を増加するために、窒素:水素比を1:3未満に減少することも可能である。このことは、非常に狭いトレンチを充填するため、望ましい場合がある。窒素:水素原子流量比は、異なる実施形態において、1:3(1/3)未満、約1:4以下、約1:5以下、または約1:7以下であり得る。窒素の流れを増すため概略的に減少した膜の収縮は、プラズマ領域に送達される水素が増すため、典型的には増加することになる。安定な窒素前駆体は、流動性を減少させるが酸素濃度を増加させる酸素源をさらに含み、このことにより酸化ケイ素への変換を促進することができる。
【0024】
ここで図2を参照すると、本発明の実施形態による、基板間隙内に酸化ケイ素膜を形成するための方法200で選択されたステップを例示する別の流れ図が示される。方法200は、間隙を備える基板を基板処理領域内に移送することを含む(動作202)。基板は、基板上に形成されるデバイス構成要素(例えば、トランジスタ)の間隔および構造のための間隙を有する。間隙は、1:1よりも著しく大きい(例えば、5:1以上、6:1以上、7:1以上、8:1以上、9:1以上、10:1以上、11:1以上、12:1以上などの)高さと幅(すなわち、H/W)のアスペクト比(AR)を規定する高さと幅を有する場合がある。多くの場合、高ARは、約90nmから約22nm以下(例えば、約90nm以下、65nm以下、45nm以下、32nm以下、28nm以下、22nm以下、16nm以下など)の範囲にある、狭い間隙幅に起因する。
【0025】
水素(H)は窒素(N)と化合され、チャンバプラズマ領域内で励起されて、ラジカル−窒素前駆体を形成する(204)。実施形態において、アンモニア(NH)はチャンバプラズマ領域に、ほとんどまたはまったく導入されず、窒素:水素原子流量比のより広い範囲を選択可能にすることができる。HとNの化合物は、チャンバプラズマ領域内で、または化合物が領域に入る前に形成され得る。いずれのやり方も、プラズマが、プラズマ領域を基板処理領域から分離するシャワーヘッド内の開口を通って流れる、ラジカル−窒素前駆体を生成する。無炭素シリコン含有前駆体は、ラジカル窒素前駆体と基板処理領域内で混合される(動作206)。流動可能なシリコン−窒素含有層が基板上に堆積される(動作208)。層が流動可能であるので、層は、高アスペクト比を有する間隙を、充填材料の中心の周りにボイドまたは弱い継目を作成することなく、充填することができる。例えば、堆積させる流動可能な材料は、間隙が完全に充填される前に、間隙の上部を早まって塞ぎ、間隙の中にボイドを残す可能性が低い。
【0026】
堆積されたままのシリコン−窒素含有層は、次いでオゾン含有雰囲気内で硬化され、かつ/または酸素含有雰囲気内でアニールされ(動作210)、シリコン−窒素含有層を酸化ケイ素へ移行することができる。さらなるアニール(図示せず)が、酸化ケイ素層の密度を高くするために、不活性環境内で、より高い基板温度で実行され得る。酸素含有雰囲気内で、堆積されたままのシリコン−窒素含有層を硬化およびアニーリングすることによって、基板間隙を含む基板上に酸化ケイ素層を形成する(208)。実施形態において、動作208および動作210の処理パラメータは、図1に関して記載された同一の範囲を有する。上記のように、酸化ケイ素層は、熱処理ステップ前に層内にかなりの量の炭素が存在する炭素含有前駆体を用いて形成された同様の層よりも、細孔が少なく、体積の減少が少ない。多くの場合、酸化ケイ素が縮小する結果間隙中で形成する空間を、充填する、治す、さもなければなくすための後加熱処理ステップを回避するのに十分なだけ、体積の減少が少ない(例えば、約15vol.%以下)。
【0027】
本明細書で言及するシリコン−窒素含有層および酸化ケイ素層は、処理シーケンスの部分であってよい。シリコン−窒素含有層は、記載された酸素含有雰囲気内で硬化および/またはアニーリングすることを介して、酸化ケイ素層に移行することができる。用語「誘電体層」は、シリコン−窒素含有層または酸化ケイ素層、あるいは任意の中間層を記載するために、本明細書で使用され得る。応用例によっては、所与の目的のために、中間層で十分であり、完全な酸化ケイ素への移行は不必要であり得る。そのため、「誘電体層」は、全てのこれらの可能性を包含する。誘電体層を形成する処理に関するさらなる詳細は、例示的な誘電体堆積システムを記載する中で提示される。
【0028】
例示的な酸化ケイ素堆積システム
本発明の実施形態を実現することのできる堆積チャンバとしては、チャンバの種類の中でもとりわけ、高密度プラズマ化学気相堆積(HDP−CVD)チャンバ、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバ、準常圧化学気相堆積(SACVD)チャンバ、および熱化学気相堆積チャンバを挙げることができる。本発明の実施形態を実現することができるCVDシステムの具体的な例としては、Santa Clara、Calif.のApplied Materials、Inc.から入手可能な、CENTURA ULTIMA(登録商標)HDP−CVDチャンバ/システム、およびPRODUCER(登録商標)PECVDチャンバ/システムが挙げられる。
【0029】
本発明の例示的な方法とともに使用され得る基板処理チャンバの例としては、その内容全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2006年5月30日に出願され、「PROCESS CHAMBER FOR DIELECTRIC GAPFILL」と題する、Lubomirskyらの、同一出願人による、米国仮特許出願第60/803,499号に示され記載されるものを挙げることができる。追加の例示的なシステムとしては、全ての目的のために参照により本明細書にやはり組み込まれる、米国特許第6,387,207号および米国特許第6,830,624号に示され記載されるものを挙げることができる。
【0030】
堆積システムの実施形態は、集積回路チップを作るためのより大きい製造システムに組み込まれてよい。図3は、開示される実施形態による、堆積チャンバ、焼成チャンバおよび硬化チャンバでできている、1つのそのようなシステム300を示す。図において、1組のFOUP(前方開口型統一ポッド)302が基板(例えば、300mm直径ウエハ)を供給し、基板は、ロボットアーム304により受け取られて、ウエハ処理チャンバ308a〜fのうちの1つの中に配置される前に、低圧保持区域406の中に配置される。第2のロボットアーム310が使用されて、基板ウエハを保持区域306から処理チャンバ308a〜fに、また逆戻りに搬送することができる。
【0031】
処理チャンバ308a〜fは、基板ウエハ上に流動性を有する誘電体膜を堆積、アニーリング、硬化および/またはエッチングするための、1つまたは複数のシステム構成要素を含み得る。一構成において、2組の処理チャンバ(例えば308c〜dおよび308e〜f)が使用されて基板上に流動性を有する誘電体材料を堆積させることができ、第3の組の処理チャンバ(例えば308a〜b)が使用されて堆積された誘電体をアニールすることができる。別の構成において、同じ2組の処理チャンバ(例えば308c〜dおよび308e〜f)が基板上に流動性を有する誘電体膜を堆積させることとアニールすることの両方のために構成されてよく、一方第3の組のチャンバ(例えば308a〜b)が堆積された膜を硬化するUVまたはEビームのために使用されてよい。さらに別の構成において、3組のチャンバ全て(例えば、308a〜f)が、基板上に流動性を有する誘電体膜を堆積し硬化するために構成されてよい。さらに別の構成において、2組の処理チャンバ(例えば308c〜dおよび308e〜f)が、流動性を有する誘電体の堆積およびUVまたはEビーム硬化の両方のために使用されてよく、一方第3の組の処理チャンバ(例えば308a〜b)が誘電体膜をアニーリングするために使用されてよい。記載されるプロセスの任意の1つまたは複数は、様々な実施形態において示される製造システムから分離されたチャンバ(複数可)で実行され得る。
【0032】
加えて、プロセスチャンバ308a〜fのうちの1つまたは複数が、湿式処理チャンバとして構成されてよい。これらのプロセスチャンバは、水分を含む雰囲気中で、流動性を有する誘電体膜を加熱することを含む。したがって、システム300の実施形態は、湿式処理チャンバ308a〜bおよびアニール処理チャンバ308c〜dを含み、堆積された誘電体膜に湿式アニールおよび乾式アニールの両方を実施することができる。
【0033】
図4Aは、開示される実施形態による、基板処理チャンバ400である。遠隔プラズマシステム(RPS)410がガスを処理してよく、ガスは次いでガス吸入アセンブリ411を介して移動する。2つの別個のガス供給チャネルが、ガス吸入アセンブリ411の内部に認識できる。第1のチャネル412は遠隔プラズマシステムRPS410を通るガスを運び、一方第2のチャネル413はRPS410をバイパスする。開示される実施形態において、第1のチャネル402はプロセスガスのために使用されてよく、第2のチャネル413はトリートメントガスのために使用されてよい。リッド(または導電性上部)421および孔あきパーティション453が、その間にある絶縁リング424とともに示され、絶縁リング424によって、AC電位が孔あきパーティション453を基準にしてリッド421に印加されることを可能にする。プロセスガスは第1のチャネル412を通ってチャンバプラズマ領域420の中に移動し、チャンバプラズマ領域420内のプラズマのみまたはRPS410と組み合わせて励起され得る。本明細書において、チャンバプラズマ領域420および/またはRPS410の組合せは、遠隔プラズマシステムと呼ばれ得る。孔あきパーティション(シャワーヘッドとも呼ばれる)453が、シャワーヘッド453の下の基板処理領域470からチャンバプラズマ領域420を分離する。シャワーヘッド453によって、チャンバプラズマ領域420中に存在するプラズマが基板処理領域470内のガスを直接励起することを回避することを可能にし、一方それでもなお、励起された核種がチャンバプラズマ領域420から基板処理領域470の中に移動することを可能にする。
【0034】
シャワーヘッド453は、チャンバプラズマ領域420と基板処理領域470との間に配置され、チャンバプラズマ領域420内で作成されたプラズマ流出物(前駆体または他のガスの励起された誘導体)が、プレートの厚さを横切る複数のスルーホール456を通過することを可能にする。シャワーヘッド453は、蒸気またはガスの形で、前駆体(シリコン含有前駆体など)で充填され、小さな孔455を介して、直接チャンバプラズマ領域420の中にではなく、基板処理領域470の中に通ることができる、1つまたは複数の中空容積451も有する。この開示された実施形態において、シャワーヘッド453は、スルーホール456の最小直径450の長さよりも厚い。チャンバプラズマ領域420から基板処理領域470に浸透する励起された核種の、かなりの濃度を維持するために、スルーホールの最小直径450の長さ426は、シャワーヘッド453を通り抜けるスルーホール456部により長い直径部分を形成することにより制限される場合がある。スルーホール456の最小直径450の長さは、開示された実施形態において、スルーホール456の最小直径と同じ桁数以下であってよい。
【0035】
示された実施形態において、シャワーヘッド453は、チャンバプラズマ領域420内のプラズマにより励起するとすぐ、酸素、水素および/もしくは窒素を含むプロセスガスならびに/またはそのようなプロセスガスのプラズマ流出物を(スルーホール456を介して)散布することができる。実施形態において、RPS410および/またはチャンバプラズマ領域420内で励起されるプロセスガスは、所定の窒素:水素原子流量比をもたらすような相対流量を有する水素(H)と窒素(N)を含む。一般的に言って、RPS410および/またはチャンバプラズマ領域420の中に第1のチャネル412を介して導入されるプロセスガスは、酸素(O)、オゾン(O)、NO、NO、NO、NH、Nを含むN、シラン、ジシラン、TSAおよびDSAのうちの1つまたは複数を含み得る。プロセスガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素(N)などのキャリアガスも含み得る。第2のチャネル413は、成長するまたは堆積したままの膜から不要な構成要素を取り除くために使用される、プロセスガスおよび/もしくはキャリアガスならびに/または膜硬化ガスも送達してよい。プラズマ流出物は、プロセスガスのイオン化されたまたは中性の誘導体を含む場合があり、本明細書において、導入されるプロセスガスの元素構成を意味するラジカル−酸素前駆体および/またはラジカル−窒素前駆体と呼ばれる場合もある。
【0036】
実施形態において、スルーホール456の数は、約60と約2000の間であってよい。スルーホール456は、様々な形を有してよいが、最も容易には丸く作られる。スルーホール456の最小直径450は、開示された実施形態において、約0.5mmと約20mmの間または約1mmと約6mmの間であってよい。スルーホールの断面形状の選択にも許容範囲があり、スルーホールの断面形状は、円錐形、円筒形または2つの形状の組合せであってよい。ガスを基板処理領域470の中に導入するために使用される小さな孔455の数は、異なる実施形態において、約100と約5000の間または約500と約2000の間であってよい。小さな孔455の直径は、約0.1mmと約2mmの間であってよい。
【0037】
図4Bは、開示される実施形態に従う処理チャンバとともに使用するシャワーヘッド453の底面図である。シャワーヘッド453は、図4Aに示されたシャワーヘッドに対応する。スルーホール456は、シャワーヘッド453の底部でより大きな内径(ID)を有し、上部でより小さいIDを有して描かれている。本明細書において記載の他の実施形態よりもさらに均一な混合を可能にする助けとなるスルーホール456の中でも、とりわけ、小さな孔455は、シャワーヘッドの表面全体にわたって実質的に均一に分散される。
【0038】
シャワーヘッド453内のスルーホール456を介して到達するプラズマ流出物が、中空容積451から始まる小さな孔455を介して到達するシリコン含有前駆体と化合するとき、例示的な膜が基板処理領域470内のペデスタル(図示せず)によって支持される基板上に作成される。基板処理領域470は、硬化など他のプロセスのためプラズマを支持するように装備されてよいが、例示的な膜の成長期間、プラズマは存在しない。
【0039】
プラズマは、シャワーヘッド453の上のチャンバプラズマ領域420またはシャワーヘッド453の下の基板処理領域470の中で点火されてよい。プラズマは、チャンバプラズマ領域420内に存在し、窒素−水素含有ガスの流入からラジカル窒素前駆体を生成する。典型的には高周波(RF)の範囲であるAC電圧が、堆積の期間、処理チャンバの導電性上部421とシャワーヘッド453との間に印加され、チャンバプラズマ領域420内でプラズマに点火する。RF電力供給は、13.56MHzの高RF周波数を生成するが、単独でまたは13.56MHzの周波数と組み合わせて他の周波数も生成する場合がある。
【0040】
膜を硬化するため、または基板処理領域470と接する内部表面を洗浄するために、基板処理領域470内の底部プラズマがオンにされるとき、上部プラズマは低電力または無電力のままとされてよい。基板処理領域470内のプラズマは、シャワーヘッド453とペデスタルまたはチャンバの底部との間にAC電圧を印加することにより点火される。洗浄ガスは、プラズマが存在する間に基板処理領域470の中に導入され得る。
【0041】
ペデスタルは、基板の温度を制御するため、熱交換流体がそこを通って流れる、熱交換チャネルを有する場合がある。この構成によって、基板温度が冷却されまたは加熱され、比較的低い温度(室温から約120℃)に維持することを可能にする。熱交換流体は、エチレングリコールおよび水を含んでよい。ペデスタルのウエハ支持プラッタ(好ましくは、アルミニウム、セラミック、またはその組合せ)は、平行同心円の形の、完全な2巻きを作るように構成される、単ループ埋込み型の埋込みヒータ素子を使用して、比較的高い温度(約120℃から約1100℃)を達成するために抵抗加熱もされ得る。ヒータ素子の外側部分は、支持プラッタの周辺に隣接して延びてよく、一方内側部分は、より小さい半径を有する同心円の経路上を延びる。ヒータ素子への配線は、ペデスタルのステムを通過する。
【0042】
基板処理システムは、システムコントローラにより制御される。例示的な実施形態において、システムコントローラは、ハードディスクドライブ、フロッピディスクドライブおよびプロセッサを含む。プロセッサはシングルボードコンピュータ(SBC)、アナログおよびデジタル入出力ボード、インターフェースボードおよびステッパモータコントローラボードを含む。CVDシステムの様々な部分は、ボード、カードケージ、ならびにコネクタ寸法および種類を規定するVME(Versa Modular European)規格に適合する。VME規格は、バス構造を、16ビットデータバスおよび24ビットアドレスバスを有するものとしても規定する。
【0043】
システムコントローラがCVD機の全ての活動を制御する。システムコントローラは、コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラムであるシステム制御ソフトウェアを実行する。好ましくは、媒体はハードディスクドライブであるが、媒体が他の種類のメモリであってもよい。コンピュータプログラムは、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、RF電力レベル、サセプタ位置、および特定のプロセスの他のパラメータを定める命令の組を含む。例えば、フロッピディスクまたは他の別の適切なドライブを含む他のメモリデバイス上に記憶された他のコンピュータプログラムが、システムコントローラに命令するために使用されてもよい。
【0044】
基板上に積層膜を堆積させるためのプロセス、またはチャンバを洗浄するためのプロセスは、システムコントローラによって実行されるコンピュータプログラム製品を使用して実装されてよい。コンピュータプログラムコードは、例えば、68000アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなど、任意の通常のコンピュータ可読プログラミング言語で書かれてよい。好適なプログラムコードは、通常のテキストエディタを使用して、単一のファイルまたは複数のファイルに入力され、コンピュータのメモリシステムなどコンピュータが使用可能な媒体に記憶されまたは具体化される。入力されたコードテキストが高水準言語である場合、コードはコンパイルされ、結果として得られるコンパイラコードは、次いで事前コンパイルされたMicrosoft Windows(登録商標)ライブラリルーチンのオブジェクトコードとリンクされる。リンクされ、コンパイルされたオブジェクトコードを実行するために、システムユーザがオブジェクトコードを起動し、コンピュータシステムにコードをメモリ中にロードさせる。次いで、CPUがコードを読んで実行し、プログラム中に特定されたタスクを実施する。
【0045】
ユーザとコントローラとの間のインターフェースは、フラットパネル接触式モニタを介する。好ましい実施形態では、2つのモニタが使用され、一方はオペレータ用に洗浄室の壁に取り付けられ、他方は保守技術員用に壁の背後に取り付けられる。2つのモニタは、同じ情報を同時に表示してよく、その場合、一度にただ1つのモニタが入力を受け入れる。特定の画面または機能を選択するために、オペレータは、接触式モニタの指定された区域にタッチする。タッチされた区域は、その強調色を変える、または新しいメニュもしくは画面が表示され、オペレータと接触式モニタとの間の通信を確認する。キーボード、マウス、または他のポインティングデバイスもしくは通信デバイスなどの他のデバイスが、接触式モニタの代わりにまたは接触式モニタに加えて使用され、ユーザがシステムコントローラと通信することを可能にできる。
【0046】
本明細書で使用する「基板」は、その上に層を形成された、または形成されていない支持基板であってよい。支持基板は、様々なドーピング濃度およびプロファイルの絶縁体または半導体であってよく、例えば、集積回路の製造において使用される種類の半導体基板であってよい。「酸化ケイ素」の層は、窒素、水素、炭素など、密度の低い他の元素成分を含むことができる。本発明のいくつかの実施形態において、酸化ケイ素は、本質的にシリコンおよび酸素からなる。「励起状態」のガスは、少なくとも一部のガス分子が振動励起し、解離しかつ/またはイオン化した状態であるガスのことを記載する。ガス(または前駆体)は2つ以上のガス(前駆体)の組合せであってよい。用語「トレンチ」は、エッチングされた形状寸法が、大きな水平のアスペクト比を有するという含意なしに、全体にわたって使用される。表面の上から見た場合、トレンチは、円形、長円形、多角形、矩形、または様々な他の形状に見えてよい。用語「ビア」は、低いアスペクト比のトレンチのことを言うために使用され、垂直の電気的接続を形成するために、金属で充填されても充填されなくてもよい。用語「前駆体」は、任意のプロセスガス(または蒸発した液体の液滴)のことを言うために使用され、表面から材料を除去するまたは堆積させるための反応に加わる。
【0047】
複数の実施形態を記載したが、様々な修正、代替構成、および均等物が、本発明の精神から逸脱することなく使用され得ることが、当業者には理解されよう。加えて、いくつかのよく知られたプロセスおよび要素は、本発明を不必要に曖昧にすることを回避するために記載しなかった。したがって、上の記載が本発明の範囲を限定するものと理解されるべきではない。
【0048】
値の範囲が提供される場合、それぞれの間にある値は、文脈が明らかに別段の規定をしない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位量の10分の1まで、やはり具体的に開示されると理解される。述べられた範囲内の任意の述べられた値または間にある値と、その述べられた範囲内の任意の他の述べられた値または間にある値の間の、それぞれのより小さい範囲が包含される。述べられた範囲内に具体的に除外される限界があればそれを条件として、これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して範囲内に含まれまたは除外されてよく、限界のいずれかがより小さい範囲内に含まれる場合、限界のどちらもより小さい範囲内に含まれない場合、または両方の限界がより小さい範囲内に含まれる場合、各範囲はやはり本発明に包含される。述べられた範囲が一方または両方の限界を含む場合、それらの含まれる限界のどちらかまたは両方を除外する範囲も含まれる。
【0049】
本明細書および添付の特許請求の範囲の中で使用する場合、文脈が明らかに別段の規定をしない限り、単数形の「a」「an」および「the」は、複数形への言及を含む。したがって、例えば、「プロセス(a process)」という言及は、複数のそのようなプロセスを含み、「前駆体(the precursor)」という言及は、1つまたは複数の前駆体および当業者に知られているその均等物を含む。
【0050】
さらに、本明細書および後続の特許請求の範囲の中で使用するとき、用語「備える、含む(comprise)」、「備えている、含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、および「含む(includes)」は、述べた特徴、整数、構成要素、またはステップの存在を明示することを意図するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、行為、またはグループの存在または追加を排除しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理チャンバ内の無プラズマ基板処理領域内の基板上に誘電体層を形成する方法であって、
窒素−水素含有ガスをプラズマ領域の中に流してラジカル−窒素前駆体を生成するステップであって、前記窒素−水素含有ガスが水素(H)および窒素(N)を含み、前記プラズマ領域内への窒素:水素原子流量比の選択において、より大きなフレキシビリティを可能にするステップと、
前記無プラズマ基板処理領域内で、シリコン含有前駆体を前記ラジカル−窒素前駆体と化合させるステップと、
前記誘電体層を前記基板上に堆積させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記シリコン含有前駆体が無炭素シリコン含有前駆体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコン含有前駆体が、シラン、ジシランおよびトリシランのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記窒素:水素原子流量比が1:3超であることにより、膜質を改善し、膜の収縮を減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記窒素:水素原子流量比が1:3未満であることにより、膜の流動性を改善する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記窒素:水素原子流量比が約1:2以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記窒素:水素原子流量比が約1:5以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記窒素−水素含有ガスが本質的にアンモニアを欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記窒素−水素含有ガスが本質的にヒドラジンを欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記シリコン含有前駆体がシリコン−窒素含有前駆体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコン含有前駆体が炭素−窒素−シリコン含有前駆体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコン含有前駆体がHN(SiH)、HN(SiHおよびN(SiHのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記誘電体層が無炭素Si−N−H層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
オゾン含有雰囲気内で前記基板の温度を約400℃以下の硬化温度に維持することにより、前記誘電体層を硬化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
酸素含有雰囲気内で前記基板の温度を約600℃以上の酸素アニール温度に上昇させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記酸素含有雰囲気が原子酸素、オゾン、および蒸気(HO)からなる群から選択される1つまたは複数のガスを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が、パターン形成されており、約50nm以下の幅を有するトレンチを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記トレンチ内の前記酸化ケイ素層には実質的にボイドがない、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プラズマ領域が遠隔プラズマシステムの中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記プラズマ領域が、シャワーヘッドによって前記無プラズマ基板処理領域から分離されている、前記基板処理チャンバの仕切られた部分である、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2013−516763(P2013−516763A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547117(P2012−547117)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060852
【国際公開番号】WO2011/090626
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】