説明

プラズマ処理システムにおける副生成物堆積減少方法並びに構造

【課題】プラズマ処理システムで使用するプラズマ処理チャンバのプラズマチャンバ表面での副生成物堆積を減少させる方法を提供する。
【解決手段】本方法はプラズマ処理チャンバに堆積バリアを提供する工程を含んでおり、堆積バリアはプラズマ処理チャンバのプラズマ発生領域に設置されるように設計されており、プラズマがプラズマ処理チャンバ内で照射されたときに生成される副生成物の少なくとも一部を堆積バリアに付着させ、プラズマ処理チャンバ表面上での副生成堆積を減少させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に基板製造技術に関し、特にプラズマ処理システムにおける副生成物減少方法及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハーのごとき基板の処理あるいはフラットパネル型表示装置の製造に使用されるフラットパネルのごときガラスパネルの処理にプラズマが多用される。例えば基板の処理(化学蒸着、プラズマ強化化学蒸着、物理蒸着、等々)の一環として基板は複数のダイスに分割され、あるいは方形体に分割される。それぞれの分割体は集積回路となるものである。続いて基板は電気コンポーネント(component)を搭載するために一連の工程で処理される。例えば、物質が選択的に除去(エッチング)され、堆積(蒸着等)される。
【0003】
多くのプラズマ処理には何らかのタイプのプラズマ衝撃処理が関与する。例えば、通常はスパッタリングと呼称される純粋イオンエッチングが基板から物質(例えば酸化物等)を放出させるのに使用される。通常はアルゴン等の不活性気体がプラズマ内でイオン化され、負に荷電された基板に向けて加速される。同様に、イオン強化エッチングとも呼称される反応イオンエッチング(RIE)が化学処理及びイオン処理を組み合わせて、基板から物質(フォトレジスト、BARC、TiN、酸化物、等々)を除去する。一般的にプラズマ内のイオンは基板表面を照射することで化学処理を促進させ、表面原子の化学結合を破壊し、分子との化学反応性を高める。
【0004】
しかしプラズマ処理システムは同時に汚染生成物を生成する。一般的に有機副生成物及び無機副生成物を含む汚染生成物はプラズマ処理によりエチャントガス内の物質(炭素、フッ素、水素、窒素、酸素、アルゴン、キセノン、ケイ素、ホウ素、塩素、等々)、基板内の物質(フォトレジスト、ケイ素、酸素、窒素、アルミニウム、チタニウム、等々)、またはプラズマ処理チャンバ自体の構成物質(アルミウム、水晶、等々)から発生する。
【0005】
汚染生成物によっては揮発性であり、真空装置によってプラズマチャンバ外に排出されるが、プラズマチャンバから効果的に排出するのが困難である内部表面及びプラズマチャンバ壁上に堆積する傾向が高い非揮発性または低揮発性のスパッタを形成する汚染生成物が存在する。堆積した汚染生成物はやがて剥片化し、基板欠陥の可能性を高め、清浄間隔(MTBC)を縮め、生産量を減少させる。例えば、プラズマ処理によっては導電膜堆積生成物がプラズマチャンバの内部表面に形成され、プラズマ源及びバイアスのFW結合に影響を及ぼすであろう。加えて、副生成物堆積はプラズマ密度変動の原因となるであろう。
【0006】
非揮発性副生成物及び低揮発性副生成物には、スパッタされた物質の直接の直進的な堆積物、直接イオン強化エッチング副生成物の堆積(deposits)、揮発性副生成物濃縮物、高付着係数プラズマ解離副生成物、プラズマ物質イオン強化堆積物、等々が含まれる。具体的には、高誘電率誘電体(HfO、HfSi、等々)副生成物、金属電極(Pt、Ir、IrO、等々)副生成物、メモリ物質副生成物(PtMn、NiFe、CoFe、FeW、等々)及びインターコネクト副生成物(Cu、Ru、CoWP、Ta、等々)が含まれる。
【0007】
一般的にスパッタ原子の放射プロフィルはコサイン分布によって特徴付けられる。すなわち、垂直以外の角度での放出率は”垂直入射放射率と、垂直との角度の余弦との掛け算”である。これは普通、衝撃点に接する円であり、他の角度での放射規模の包囲部である。一般的に、スパッタ原子は中性であるためにその飛行経路を変更することは不可能であり、スパッタ原子は直線状に進行する。
【0008】
チャンバ内表面への堆積度、すなわち汚染程度は特定プラズマ処理条件(例えば化学物質、電力及び温度)並びにチャンバ処理機器の当初表面条件により決定される。堆積物の除去には長時間を要するため、プラズマ処理システムチャンバは一般的に粒子汚染が非許容レベルに達したときにのみ清浄処理される。そのときにはプラズマ処理システムは分解され、消耗部品(例えば、エッジ リング、等々)を交換しなければならない。あるいは設定保守スケジュール(PM)の一環として処理される。
【0009】
図1にはラムリサーチトランス結合プラズマ処理システムのごとき誘導結合プラズマ処理システムの概略図が示されている。通常の設計ではプラズマチャンバは下方チャンバ内に位置するチャンバ底部材150と、上方チャンバ内に位置する着脱式チャンバ上部材152を含む。一般的に、好適な組み合わせガスがガス供給システム122から誘電結合窓104を介してチャンバ102内に供給される。その後にこれらプラズマ処理ガスはインジェクタ108でイオン化され、プラズマ発生領域でプラズマ110を形成し、静電チャック116上でエッジリング115と共に設置された半導体基板またはガラスプレートのごとき基板の露出領域を処理(エッチングまたは堆積)する。
【0010】
第1RF発生器134はプラズマを発生させ、プラズマ密度を制御し、第2RF発生器138はDCバイアスとイオン衝撃エネルギーを制御するために共通して使用されるバイアスRF(bias RF)を発生させる。RF電源のインピーダンスをプラズマ110のインピーダンスに整合させるために第1RF発生器134には整合回路136aがさらに結合されており、第2RF発生器138には整合回路136bがさらに結合されている。さらにポンプ111が共通して使用され、プラズマ110を維持するために必要な圧力を達成するためにプラズマチャンバ102から周囲大気を排気する。
【0011】
構造が複雑な高温チャンバの設計及び特殊物質等を必要とするそれら要求を満たすことは困難であり、これら異なる物質の振る舞いには共通性がない。例えば、もしプラズマ処理条件が許すなら清浄条件あるいは自浄プラズマ条件を開発することができる。あるいはチャンバ表面を問題の副生成物に対して低減された付着係数を有した物質で製造することができる。あるいは副生成物がチャンバ表面に付着するなら、堆積物剥脱が問題提起するまでプラズマ処理システムを運用することができる。しかし、これらの解決法は非常にプラズマ処理に大きく影響を及ぼすため、これら物質並びに起こり得る化学作用の大部分を処理できる1体の頑強な反応器デザイン及び処理法の可能性は低かった。
【0012】
従って、プラズマ処理システムにおいて副生成物の堆積の減少させる方法並びに構造が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平05−102085号公報
【特許文献2】特開昭61−172335号公報
【特許文献3】特開2002−313732号公報
【特許文献4】特開平10−284475号公報
【特許文献5】特開平08−081790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はプラズマ処理システムの1実施例においてプラズマ処理チャンバのプラズマチャンバ表面での副生成物堆積を減少させる方法に関する。この方法はプラズマ処理チャンバに堆積バリア(deposition barrier)を提供する工程を含む。この堆積バリアはプラズマ処理チャンバのプラズマ発生領域に設置するように設計されており、プラズマがプラズマ処理チャンバ内で照射されたときに生成される副生成物の少なくとも一部を堆積バリアに付着させ、プラズマ処理チャンバ表面上での副生成堆積を減少させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は別実施例においてプラズマ反応器のプラズマチャンバ表面上での副生成物堆積を減少させる方法に関する。この方法はプラズマ処理チャンバ内に基板を設置する工程を含む。この方法はプラズマ処理チャンバ内に堆積バリアを設置する工程をも含む。第1プラズマは照射時に堆積バリアを包囲するように設計されており、堆積バリアは基板からの副生成物堆積の一部と接触するように設計されている。この方法はプラズマ処理チャンバ内で堆積バリアを再設置する工程をも含む。第2プラズマは照射時に堆積バリアを包囲するように設計されている。堆積バリアは基板からの副生成物堆積の別な一部と接触するように設計されている。
【0016】
本発明はプラズマ処理システムの別実施例ではプラズマ処理チャンバのプラズマチャンバ表面上での副生成物堆積を減少させる構造に関する。この構造はプラズマ処理チャンバ内に設置されたバリア手段を含む。このバリア手段はプラズマ処理チャンバのプラズマ発生領域に設置されるように設計されており、プラズマがプラズマ処理チャンバ内で照射されたときに発生する副生成物の少なくとも一部を堆積バリアに付着させ、プラズマ処理チャンバ表面上での副生成物堆積を減少させるものである。この構造はプラズマ処理チャンバの内部の上面、底面及び側面にバリア手段を設置する設置手段をも含んでいる。
【0017】
本発明は別実施例においてはプラズマ処理チャンバのプラズマチャンバ表面上の副生成物堆積を減少させるように設計された堆積バリア構造に関する。この構造はプラズマ処理チャンバのプラズマ発生領域に設置されるように設計された堆積バリアを含む。この堆積バリアはプラズマがプラズマ処理チャンバ内で照射されたときに発生する副生成物の少なくとも一部を堆積バリアに付着させ、プラズマ処理チャンバ表面上での副生成物堆積を減少させる。
【0018】
本発明のこれら及び他の特徴を以下において図面を利用して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明について図面を利用して説明する。
【図1】図1はラムリサーチトランス結合プラズマ処理システムのごとき誘導結合プラズマ処理システムの概略図である。
【図2】図2は本発明の1実施例による堆積バリアを備えた誘導結合プラズマ処理システムの概略図である。
【図3】図3は本発明の1実施例によるプラズマチャンバの底面に設置された構造体によって堆積バリアが支持されている誘導結合プラズマ処理システムの概略図である。
【図4】図4は本発明の1実施例によるプラズマチャンバの上面に設置された構造体によって堆積バリアが支持されている誘導結合プラズマ処理システムの概略図である。
【図5】図5は本発明の1実施例によるプラズマチャンバの側面に設置された構造体によって堆積バリアが支持されている誘導結合プラズマ処理システムの概略図である。
【図6】図6は本発明の1実施例によるチャックに設置された構造体によって堆積バリアが支持されている誘導結合プラズマ処理システムの概略図である。
【図7】図7は本発明の1実施例によるプラズマ処理システムの低揮発性ラインオブサイト副生成物の減少方法を表す概略工程図である。
【0020】
本発明を添付の図面に示した実施例を利用して詳説する。説明中、特定の詳細部分は本発明の明確な説明のために示したものであって、当業者であればこれらの一部が無くても本発明を実施できることは理解しよう。また本発明を簡潔に説明するため、よく知られた処理工程及び/または構造の説明は省略してある。
【0021】
理論に捕らわれるのは望まないが、発明者は、プラズマによって実質的に包囲される堆積バリアを利用することで、プラズマチャンバ表面でのスパッタリング堆積を減少させることができると信じる。すなわち、プラズマチャンバ表面に向けて基板から粒子がスパッタされる場合、粒子が堆積バリアを最初に照射するように堆積バリアを配置できる。
【0022】
詳細は割愛するが、通常はチャンバ内の他の表面及びターボポンプを含んだポンプマニホールドと衝突するスパッタ原子は除去が容易な堆積バリアで遮断することができる。例えば、堆積バリアは自動的にプラズマチャンパ内外から清浄処理のために移動される。1実施例では、堆積バリアはウェハーなしの自動清浄WAC(またはウェハーなしのチャンバ調節)中に静電チャックを保護することもでき、プラズマチャンバコンポーネントは清浄処理または調節/シーズニング処理の一部としてプラズマに曝露される。
【0023】
図2は本発明の1実施例による誘導結合プラズマ処理システムの概略図である。通常の設計では、プラズマチャンバは下方チャンバ内に位置する底部材250と上方チャンバ内に位置する着脱式上部材252とを含んでいる。一般的に、好適な組み合わせガスがガス供給システム222から誘電結合窓204を介してチャンバ202内に供給される。その後にこれらプラズマ処理ガスはインジェクタ209でイオン化され、静電チャック216上にエッジリング215と共に設置された半導体基板またはガラスプレートのごとき基板の露出領域214を処理(エッチングまたは堆積)する。
【0024】
第1RF発生器234はプラズマを発生させ、プラズマ密度を制御し、第2RF発生器238はDCバイアスとイオン衝撃エネルギーを制御するために共通して使用されるバイアスRFを発生させる。RF電源のインピーダンスをプラズマ210のインピーダンスに整合させるために第1RF発生器234には整合回路236aがさらに結合されており、第2RF発生器238には整合回路236bがさらに結合されている。さらにポンプ211が共通して使用され、プラズマ220を維持するために必要な圧力を達成するためにプラズマチャンバ202から周囲大気を排気する。
【0025】
さらに、基板から粒子がプラズマチャンバ壁に向けてスパッタされた場合、粒子が最初に堆積バリアを照射するようにプラズマ反応器の底面上方に堆積バリア206が設置される。
【0026】
図3は図2に示す誘導結合プラズマ処理システムの概略図であり、本発明の1実施例によればプラズマチャンバの底面(下方内面)に設置された構造体308によって堆積バリアが支持されている。
【0027】
図4は図2に示す誘導結合プラズマ処理システムの概略図であり、本発明の1実施例によればプラズマチャンバの上面(上方内面)に設置された構造体408によって堆積バリアが支持されている。
【0028】
図5は図2に示す誘導結合プラズマ処理システムの概略図であり、本発明の1実施例によればプラズマチャンバの側面(側内面)に設置された構造体508によって堆積バリアが支持されている。
【0029】
図6は図2に示す誘導結合プラズマ処理システムの概略図であり、本発明の1実施例によればチャック216に設置された構造体608によって堆積バリアが支持されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
1実施例では、プラズマ処理条件を最良とすべく、堆積バリアの底面高をプラズマ反応器の底面に対して再調整することができる。別実施例では、堆積バリアは発生したRFに対して実質的に透過性である。さらに別の実施例では、堆積バリアはプラズマ衝撃に対して実質的に抵抗性を有する物質(すなわち水晶、Y、イットリウム、CeO、セリウム、ZrO、ジルコニウム、テフロン(登録商標)、べスペル、実質的純粋プラスチック、セラミック、SiC、BN,BC,SiN,SiO、等々)を含んでいる。さらに別の実施例では、堆積バリアはプラズマに曝露されたときに揮発性エッチング生成物を生成させる物質を含んでいる。
【0031】
別実施例では、堆積バリアはプラズマとは別々に加熱される。さらに別の実施例では、RFバイアスが堆積バリアに適用される。さらに別の実施例では、堆積バリアは例えばロボットアーム等によって現場で除去される。さらに別の実施例では、堆積バリアを例えばロボットアーム等によって現場で交換される。さらに別の実施例では、自動制御下で真空ロボットによって堆積バリアはプラズマ処理システムから除去される。
【0032】
さらに別の実施例では、堆積バリアは実質的に連続した表面を含んでいる。さらに別の実施例では堆積バリアは複数の穴部を含んでいる。さらに別の実施例では、プラズマチャンバから基板を除去する前、除去と同時的に、または除去した後に堆積バリアを除去できる。さらに別の実施例では堆積バリアはファラデーシールド(ファラデー遮蔽)である。
【0033】
別実施例では、堆積バリアを清浄して再利用できる。さらに別の実施例では、プラズマ処理システムはプラズマチャンバの上面、側面または底面に結合されたRF源を含んでいる。さらに別の実施例では、プラズマとは別々にプラズマチャンバ壁を加熱及び/または冷却できる。
【0034】
別実施例では、堆積バリアを加熱して厚膜の付着性を高め、剥片化をもたらす揮発性物質の取り込みを防止することができる。さらに別の実施例では、堆積バリアを冷却して実質的に揮発性である堆積副生成物の付着可能性を向上させ、剥片化が生じる前に厚膜形成を可能にする。さらに別の実施例では、堆積バリアが加熱状態から冷却されたとき、堆積バリアはプラズマ清浄処理によって現場清浄できる。さらに別の実施例では、堆積バリアが冷却状態から加熱されたとき、堆積バリアはプラズマ清浄処理によって現場清浄される。
【0035】
別実施例では、堆積バリアはプラズマに曝露されたときに揮発性エッチング生成物を実質的に生成させない金属(例:Ni、Pt、Ir、陽極化Al、Cu、等々)で成る。
【0036】
別実施例では、堆積バリアはプラズマ清浄処置によって現場清浄される。さらに別の実施例では、堆積バリアは湿式化学清浄処理によって現場清浄される。さらに別の実施例では、堆積バリアは湿式清浄処理に対して実質的に抵抗性を有する物質を含んでいる。さらに別の実施例では、堆積バリアは湿式清浄処理に対して実質的に抵抗性を有する物質でコーティングされている。さらに別の実施例では、現場プラズマチャンバ清浄中にチャックを保護するため、堆積バリアはチャック上に降下される。別実施例では、基板処理サイクル間のチャンバアイドリング時にチャックを保護するよう、堆積バリアはチャック上に降下される。
【0037】
別実施例では堆積バリアはRF源を保護する。さらに別の実施例ではRF源は誘導源(inductive source)を含んでいる。さらに別の実施例では、RF源は容量源(capacitive source)を含んでいる。さらに別の実施例では、RF源はECR(エレクトロン−サイクロトロン共鳴electron-cyclotron resonance)源を含んでいる。さらに別の実施例では、RF源はマイクロ波放射源を含んでいる。さらに別の実施例では、RF源はプラズマチャンバ上面から結合される。さらに別の実施例では、RF源はプラズマチャンバ側面から結合される。さらに別の実施例では、RF源はプラズマチャンバ底面から結合される。
【0038】
別実施例では、堆積バリアはプラズマガスインジェクタセットを侵食や堆積閉塞から保護できる。別実施例では、堆積バリアは現場測定センサ(光学発光センサ、干渉測定センサ、等々)またはこれらを侵食及び堆積閉塞から保護する透明窓を保護できる。さらに別の実施例では、堆積バリア表面は堆積物質の付着制御を容易にさせる所定の粗度を有している。別実施例では堆積バリア表面は堆積物質の付着制御を容易にさせる所定の表面組成を有している。
【0039】
図7は本発明の1実施例によるプラズマ処理システムの低揮発性副生成物の減少方法を表す概略工程図である。最初に、プラズマ処理チャンバ内に基板が設置される(工程702)。次に、堆積バリアを実質的に包囲するようにプラズマが照射されるプラズマ処理チャンバ内に堆積バリアが設置される(工程704)。その後、プラズマはプラズマ処理チャンバ内で照射される(工程706)。基板から1プラズマチャンバ表面に向けて粒子がスパッタされると、粒子は堆積バリアを照射する(工程708)。
【0040】
本発明を数々の好適実施例について説明したが、本発明の範囲内で変更が可能である。例えば本発明をラムリサーチトランス結合プラズマ処理システムとの関係で説明したが、他のプラズマ処理システム(例:エッチング、堆積、イオンスパッタリング、電子ビーム、クラスタイオンビーム、等々)を利用してもよい。他にも様々な本発明の実施形態があることはいうまでもない。
【0041】
本発明の利点には、プラズマ処理システムにおいて副生成物の堆積を減少させる方法並びに構造が含まれる。追加の利点には、生産性の実質的な向上、複数のプラズマ処理利用形態(すなわち、FeRAM、MRAM、Cu、MEMS、金属ゲート高誘電率ゲート、等々)に利用できる共通のプラズマチャンバ設計の使用、処理反復性、低CoC、低COO、高MTBC、低MTTCR、及びプラズマチャンバ部品の寿命延長が含まれる。
【0042】
本発明の好適実施例について説明したが、本発明の範囲内での変更は可能である。本発明の範囲は添付の請求の範囲で定義されている。
【符号の説明】
【0043】
102 プラズマチャンバ
104 誘電結合窓
108 インジェクタ
110 プラズマ
134 第1RF発生器
136a 整合回路
138 第2RF発生器
150 チャンバ底部材
152 着脱式チャンバ
206 堆積バリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの基板を処理するためのプラズマ処理システムにおいて、一組のプラズマ処理チャンバのプラズマチャンバ表面での副生成物の堆積を減少させる方法であって、前記副生成物の堆積は前記基板から発生するものであり、
本方法は、
前記プラズマ処理チャンバ内に堆積バリアを提供する工程であって、前記堆積バリアが、前記プラズマ処理チャンバのプラズマ発生領域内に配置されるために設計されており、プラズマが前記プラズマ処理チャンバ内で照射されるときに発生する処理の副生成物の少なくとも一部を前記堆積バリアに付着させることで、前記一組のプラズマ処理チャンバ表面への副生成物の堆積を減少させていることを特徴とする、前記プラズマ処理チャンバ内に堆積バリアを提供する工程と、
前記プラズマ処理チャンバの内部および前記堆積バリアの下側に構造体を提供する工程と、
前記構造体を使用して前記堆積バリアを支持する工程であって、前記構造体が前記プラズマ処理チャンバの底面に取り付けられており、前記構造体は、前記堆積バリアを、前記プラズマ処理チャンバの前記底面に対して再配置することができることを特徴とする、前記構造体を使用して前記堆積バリアを支持する工程と、
前記堆積バリアを、前記プラズマ処理チャンバの前記底面に対して前記プラズマ処理チャンバの内部の第一の位置に配置する工程と、
前記堆積バリアが前記第一の位置にあるとき、前記プラズマ処理チャンバ内で第一のプラズマを照射する工程と、
前記堆積バリアが前記第一の位置にあるとき、前記副生成物の堆積の一部と接触するように前記堆積バリアを使用する工程と、
前記堆積バリアを、前記プラズマ処理チャンバの前記底面に対して前記プラズマ処理チャンバの内部の第二の位置に再配置する工程と、
前記堆積バリアが前記第二の位置にあるとき、前記プラズマ処理チャンバ内で第二のプラズマを照射する工程と、
前記堆積バリアが前記第二の位置にあるとき、前記副生成物の堆積の別の一部に接触するように前記堆積バリアを使用する工程と、
前記プラズマの攻撃に対して抵抗性を有する抵抗物質を前記堆積バリアに含ませる工程と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記堆積バリアは、ファラデーシールドであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記堆積バリアは、テフロン(登録商標)、BN、BC、SiN、SiO、SiC、及びプラスチックのうち少なくとも一種を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記堆積バリアを個別に加熱する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
RFバイアスを前記堆積バリアに適用する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記堆積バリアはプラズマに曝露されたときに揮発性のエッチング副生成物を生成させない金属を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマチャンバからの前記基板の除去と同時的に、前記堆積バリアを除去する工程をさらに含んでいるを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記堆積バリアを加熱する工程と、
プラズマ清浄処理による前記堆積バリアを現場で清浄化する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記プラズマチャンバ内の真空状態を維持した状態で、前記堆積バリアを除去することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記堆積バリアの前記除去は、自動制御下で真空ロボットによって達成されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記堆積バリアを現場内で交換することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記堆積バリアは、連続した表面を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記堆積バリアは、複数の穴部を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記プラズマ処理チャンバから前記基板を除去する前に前記堆積バリアを除去することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマチャンバから前記基板を除去した後に前記堆積バリアを除去することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記堆積バリアはプラズマに曝露されたときに揮発性のエッチング副生成物を生成させる物質を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記堆積バリアは、RF源を保護することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記RF源は、誘導源を含んでいることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記RF源は、容量源を含んでいることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記RF源は、誘導源と容量源とを含んでいることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記RF源は、ECR源を含んでいることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記RF源はマイクロ波放射源を含んでいることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記プラズマ処理システムは、前記プラズマ処理チャンバの上面から結合されるRF源を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記プラズマ処理システムは、プラズマ処理チャンバの側面から結合されるRF源を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記プラズマ処理システムは、前記プラズマ処理チャンバの底面から結合されるRF源を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項26】
堆積バリアを個別に加熱する工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記堆積バリアが加熱されたときに、プラズマ清浄処理によって前記堆積バリアが現場清浄されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記堆積バリアは副生成物の堆積からガスインジェクタを保護するように設計されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記堆積バリアの表面は、堆積物質の付着制御を容易にさせる所定の粗度を有していることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記堆積バリアの表面は、堆積物質の付着制御を容易にさせる所定の表面組成を有していることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項31】
プラズマ反応器の一組のプラズマチャンバ表面での副生成物の堆積を減少させる方法であって、
プラズマ処理チャンバ内に基板を配置する工程と、
前記プラズマ処理チャンバ内に堆積バリアを配置する工程と、
前記プラズマ処理チャンバの内部および前記堆積バリアの下側に構造体を提供する工程と、
前記構造体を使用して前記堆積バリアを支持する工程であって、前記構造体が前記プラズマ処理チャンバの底面に取り付けられており、前記構造体は、前記堆積バリアを、前記プラズマ処理チャンバの前記底面に対して再配置することができることを特徴とする、前記構造体を使用して前記堆積バリアを支持する工程と、
前記堆積バリアを、前記プラズマ処理チャンバの前記底面に対して前記プラズマ処理チャンバの内部の第一の位置に配置する工程と、
前記堆積バリアが前記第一の位置にあるとき、第一のプラズマが前記堆積バリアを包囲するように前記プラズマ処理チャンバ内で第一のプラズマを照射する工程と、
前記堆積バリアが前記第一の位置にあるとき、前記一組の前記基板から発生する副生成物の堆積の一部と接触するように前記堆積バリアを使用する工程と、
前記堆積バリアを、前記プラズマ処理チャンバの前記底面に対して前記プラズマ処理チャンバの内部の第二の位置に再配置する工程と、
前記堆積バリアが前記第二の位置にあるとき、前記プラズマ処理チャンバ内で第二のプラズマを照射する工程と、
前記堆積バリアが前記第二の位置にあるとき、前記副生成物の堆積の別の一部に接触するように前記堆積バリアを使用する工程と、
前記堆積バリアを冷却する工程と、
前記冷却工程に続いて、プラズマ清浄処理による前記堆積バリアを現場で清浄化する工程と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項32】
プラズマ処理チャンバの一組のプラズマチャンバ表面上での副生成物の堆積を減少させるように設計されている堆積バリア構造物であって、
前記プラズマ処理チャンバのプラズマ発生領域に設置されている堆積バリアを含んでおり、前記堆積バリアは、前記プラズマ処理チャンバ内でプラズマが照射されたとき発生する処理副生成物の少なくとも一部を前記堆積バリアに付着させ、前記一組のプラズマ処理チャンバ表面上での前記副生成物の堆積を減少させるように設計されており、
前記プラズマ処理チャンバの内部に配置され、前記堆積バリアの下側に配置されている構造体をさらに含んでおり、前記構造体は前記堆積バリアを支持しており、前記構造体は前記プラズマ処理チャンバの底面に取り付けられており、前記構造体は前記堆積バリアを、前記プラズマ処理チャンバの前記底面に対して再配置するように設計されており、
前記堆積バリアが第一のプラズマに曝露されるとき、前記堆積バリアは揮発性エッチング生成物を発生させる物質を含んでいることを特徴とする堆積バリア構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−102221(P2013−102221A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−21059(P2013−21059)
【出願日】平成25年2月6日(2013.2.6)
【分割の表示】特願2007−548344(P2007−548344)の分割
【原出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(504401617)ラム リサーチ コーポレーション (87)
【Fターム(参考)】