説明

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

【課題】高周波給電系統の負担を軽くし、RFアンテナ内の電流分布についてプロセス条件あるいはプラズマ状態に依存しない多様かつ任意な制御可能な誘導結合型のプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】チャンバの天井または誘電体窓の上には、チャンバ内に誘導結合のプラズマを生成するためのRFアンテナ54が設けられている。このRFアンテナ54は、誘電体窓と平行な一水平面内で同心状に配置される2組または2対のコイル54(1),54(2)を有している。高周波給電ライン62の終端部と内側および外側コイルセグメント56A,56Bの両端部との間に第1のスイッチ回路網64が設けられている。RFアース線66の始端と内側および外側コイルセグメント58A,58Bの両端部との間に第2のスイッチ回路網68が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板にプラズマ処理を施す技術に係り、特に誘導結合型のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやFPD(Flat Panel Display)の製造プロセスにおけるエッチング、堆積、酸化、スパッタリング等の処理では、処理ガスに比較的低温で良好な反応を行わせるためにプラズマがよく利用されている。従来より、この種のプラズマ処理には、MHz領域の高周波放電によるプラズマが多く用いられている。高周波放電によるプラズマは、より具体的(装置的)なプラズマ生成法として、容量結合型プラズマと誘導結合型プラズマとに大別される。
【0003】
一般に、誘導結合型のプラズマ処理装置は、処理容器の壁部の少なくとも一部(たとえば天井)を誘電体の窓で構成し、その誘電体窓の外に設けたコイル形状のRFアンテナに高周波電力を供給する。処理容器は減圧可能な真空チャンバとして構成されており、チャンバ内の中央部に被処理基板(たとえば半導体ウエハ、ガラス基板等)が配置され、誘電体窓と基板との間に設定される処理空間に処理ガスが導入される。RFアンテナに流れる高周波電流によって、磁力線が誘電体窓を貫通してチャンバ内の処理空間を通過するような高周波数の交流磁界がRFアンテナの周りに発生し、この交流磁界の時間的な変化によって処理空間内で方位角方向に誘導電界が発生する。そして、この誘導電界によって方位角方向に加速された電子が処理ガスの分子や原子と電離衝突を起こし、ドーナツ状のプラズマが生成される。
【0004】
チャンバ内に大きな処理空間が設けられることによって、上記ドーナツ状のプラズマは効率よく四方(特に半径方向)に拡散し、基板上ではプラズマの密度がかなり均される。しかしながら、通常のRFアンテナを用いるだけでは、基板上に得られるプラズマ密度の均一性は大抵のプラズマプロセスにおいて不十分である。プラズマプロセスにおいて、基板上のプラズマ密度の均一性を向上させることは、プロセスの均一性・再現性ひいては製造歩留まりを左右することから、最重要課題の一つである。
【0005】
誘導結合型のプラズマ処理装置においては、チャンバ内の誘電体窓付近で生成されるドーナツ状プラズマ内のプラズマ密度分布特性(プロファイル)が重要であり、そのコアなプラズマ密度分布のプロファイルが拡散後の基板上に得られるプラズマ密度分布の均一性を左右する。
【0006】
この点に関し、径方向のプラズマ密度分布の均一性を向上させる技法として、RFアンテナを径方向で中心部と周辺部の2つの渦巻形コイルセグメントに分割する方式が幾つか提案されている。このRFアンテナ分割方式には、各々の渦巻形コイルセグメントに個別の高周波電力を供給する第1の方式(たとえば特許文献1)、各々の渦巻形コイルセグメントのインピーダンスをコンデンサ等の付加回路で可変して1つの高周波電源より全部のアンテナ・セグメントにそれぞれ分配されるRF電力の分割比を制御する第2の方式(たとえば特許文献2)、1つの高周波電源に対して中心および周辺の渦巻形コイルセグメントを直列に接続して、中心の渦巻形コイルセグメントに短絡用のスイッチまたは可変コンデンサを並列に接続する第3の方式(たとえば特許文献3)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5401350号
【特許文献2】米国特許第5907221号
【特許文献3】米国特許第5731565号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来のRFアンテナ分割方式のうち、上記第1の方式は、複数の高周波電源のみならず同数の整合器を必要とし、高周波給電部の煩雑化と著しいコスト高が大きなネックになっている。
【0009】
上記第2の方式は、各アンテナ・セグメントのインピーダンスには他のアンテナ・セグメントだけでなくプラズマのインピーダンスも影響するため、付加回路だけで分割比を任意に決めることができず、制御性に難がある。
【0010】
上記第3の方式は、中心の渦巻形コイルセグメントと並列に接続するバイパス回路として、短絡用スイッチを用いる場合は、2段階(ON・OFF)の大雑把な制御しか行えない。また、可変コンデンサを用いる場合は、最適な調整値がプラズマ状態に強く依存する。たとえば、中心部の渦巻形コイルセグメントに流れる電流を周辺部の渦巻形コイルセグメントに流れる電流の半分にしようとしても、その条件を成立させる調整値は圧力あるいはRFパワーに依存して変化し、調整は容易ではない。
【0011】
誘導結合型のプラズマ処理装置においても、チャンバ内に生成されるプラズマの分布は圧力・RFパワー・ガス系等のプロセス条件に応じて変化しやすい。このため、プロセス条件をどれだけ広く変化させても均一なプラズマを生成できるようにすることが至上命題となっており、この命題を十分に適えられる技術が求められている。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するものであり、高周波給電系統の負担が軽いうえ、RFアンテナ内の電流分布についてプロセス条件あるいはプラズマ状態に依存しない多様かつ任意な制御を可能とし、プラズマ密度分布の均一性または制御性を改善できる誘導結合型のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点におけるプラズマ処理装置は、少なくとも一部が誘電体の窓からなる真空排気可能な処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、前記基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、並進して延びる第1および第2のコイルセグメントを有し、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と、前記RFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続する並列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する逓倍型直列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する相殺型直列モードとの間で切り換え可能なスイッチ回路網とを有する。
【0014】
上記第1の観点におけるプラズマ処理装置においては、並列モードが選択された場合は、第1および第2のコイルセグメントにそれらのインピーダンスに応じた分配比で高周波分岐電流がコイル周回方向で同じ向きに流れ、1組のコイルとしてはそれらの分岐電流を足し合わせた起磁力が処理容器内のプラズマ生成に作用する。逓倍型直列モードが選択された場合は、高周波電流が第1および第2のコイルセグメントをコイル周回方向で同じ向きに流れることにより、1組のコイルとしては処理容器内のプラズマ生成に作用する起磁力が倍増する。相殺型直列モードが選択された場合は、高周波電流が第1および第2のコイルセグメントをコイル周回方向で反対の向きに流れることにより、それぞれの起磁力が相殺され、1組のコイルとしては実際には電流が流れているにも拘わらず、処理容器内のプラズマに対しては電流が殆ど流れていない状態が作られる。スイッチ回路網により並列モード、逓倍型直列モードおよび相殺型直列モードを選択的に切り換えることにより、処理容器内に生成されるドーナツ状プラズマ内の電流密度分布を当該1組のコイル(一対のコイルセグメント)に対応する位置付近で多段階に調整することができる。
【0015】
本発明の第2の観点におけるプラズマ処理装置は、少なくとも一部が誘電体の窓からなる真空排気可能な処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、前記基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、並進して延びる第1および第2のコイルセグメントと、前記第1および第2のコイルセグメントよりも大きな径で並進して延びる第3および第4のコイルセグメントとを有し、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と、前記RFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続する第1の並列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する第1の逓倍型直列モードと、前記第1のコイルセグントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する第1の相殺型直列モードとの間で切り換え可能な第1のスイッチ回路網と、前記RFアンテナ内で、前記第3および第4のコイルセグメントを並列接続する第2の並列モードと、前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように前記第3および第4のコイルセグメントを直列接続する第2の逓倍型直列モードと、前記第3のコイルセグントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように前記第3および第4のコイルセグメントを直列接続する第2の相殺型直列モードとの間で切り換え可能な第2のスイッチ回路網とを有する。
【0016】
上記第2の観点におけるプラズマ処理装置においては、第1および第2のコイルセグメントについて、第1の並列モードが選択された場合は、それらのインピーダンスに応じた分配比で高周波分岐電流がコイル周回方向で同じ向きに流れ、1組のコイルとしてはそれらの分岐電流を足し合わせた起磁力が当該1組のコイル(第1および第2のコイルセグメント)に対応する位置付近で処理容器内のプラズマ生成に作用する。また、第1の逓倍型直列モードが選択された場合は、高周波電流が第1および第2のコイルセグメントをコイル周回方向で同じ向きに流れることにより、当該1組のコイルに対応する位置付近で処理容器内のプラズマ生成に作用する起磁力が倍増する。また、第1の相殺型直列モードが選択された場合は、高周波電流が第1および第2のコイルセグメントをコイル周回方向で反対の向きに流れることにより、それぞれの起磁力が相殺され、実際には電流が流れているにも拘わらず、処理容器内のプラズマに対しては当該1組のコイルに対応する位置付近では電流が殆ど流れていない状態が作られる。第1のスイッチ回路網により第1の並列モード、第1の逓倍型直列モードおよび第1の相殺型直列モードを選択的に切り換えることにより、処理容器内に生成されるドーナツ状プラズマ内の電流密度分布を当該1組のコイル(第1および第2のコイルセグメント)に対応する位置付近で多段階に調整することができる。
【0017】
一方、第3および第4のコイルセグメントについて、第2の並列モードが選択された場合は、それらのインピーダンスに応じた分配比で高周波分岐電流がコイル周回方向で同じ向きに流れ、それらの分岐電流を足し合わせた起磁力が当該1組のコイル(第3および第4のコイルセグメント)に対応する位置付近で処理容器内のプラズマ生成に作用する。また、第2の逓倍型直列モードが選択された場合は、高周波電流が第3および第4のコイルセグメントをコイル周回方向で同じ向きに流れることにより、当該1組のコイルに対応する位置付近で処理容器内のプラズマ生成に作用する起磁力が倍増する。また、第2の相殺型直列モードが選択された場合は、高周波電流が第1および第2のコイルセグメントをコイル周回方向で反対の向きに流れることにより、それぞれの起磁力が相殺され、実際には電流が流れているにも拘わらず、処理容器内のプラズマに対しては当該1組のコイルに対応する位置付近では電流が殆ど流れていない状態が作られる。第2のスイッチ回路網により第2の並列モード、第2の逓倍型直列モードおよび第2の相殺型直列モードを選択的に切り換えることにより、処理容器内に生成されるドーナツ状プラズマ内の電流密度分布を当該1組のコイル(第3および第4のコイルセグメント)に対応する位置付近で多段階に調整することができる。
【0018】
したがって、RFアンテナ内の電流経路(電流分布)または合成起磁力として、多数種類(9通り)の合成モードが選択可能である。各々の合成モードにおいて、RFアンテナ内の電流分布または起磁力分布は、各組のコイルで選択されたモード(並列モード、逓倍型直列モード、相殺型直列モード)によって決まり、プラズマの状態に依存せず、如何なるプロセス条件(圧力・RFパワー・ガス系)においても、所望の電流分布または合成起磁力を得ることができる。
【0019】
本発明の第3の観点におけるプラズマ処理装置は、少なくとも一部が誘電体の窓からなる真空排気可能な処理容器と、前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、前記基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、並進して延びる円弧状の第1および第2のコイルセグメントと、前記第1および第2のコイルセグメントとそれぞれ同一の円周に沿って並進する円弧状の第3および第4のコイルセグメントとを有し、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と、前記RFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続し、かつ前記第3および第4のコイルセグメントを並列接続する並列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになり、かつ前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように、前記第1および第3のコイルセグメントを直列接続し、かつ前記第2および第4のコイルセグメントを直列接続する逓倍型直列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になり、かつ前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように、前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続し、かつ前記第3および第4のコイルセグメントを直列接続する相殺型直列モードとの間で切り換え可能なスイッチ回路網とを有する。
【0020】
上記第3の観点におけるプラズマ処理装置は、上記第1の観点におけるプラズマ処理装置において各コイルセグメントをコイル周回方向で分割する構成を固有の特徴とし、それ以外の基本的な構成および作用は上記第1の観点におけるプラズマ処理装置と同じである。効果面では、スイッチ回路網の構成は煩雑化するが、各コイルセグメントの長さが短いために波長効果を抑制できることと、コイル周回方向においてコイルセグメントコイルの切れ目または解放端の数が多くなることで同方向の電流密度分布の偏りを低減できるという利点がある。
【0021】
本発明の上記第1の観点におけるプラズマ処理方法は、天井に誘電体の窓を有する真空排気可能な処理容器内で前記誘電体窓の下方に設定された所定位置に被処理基板を配置する工程と、処理ガス供給部より前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する工程と、前記処理容器内を所定の圧力で減圧状態に維持する工程と、並進した延びる第1および第2のコイルセグメントを有し、前記誘電体窓の上方に配置されているRFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続する並列モード、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する逓倍型直列モード、または前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する相殺型直列モードのいずれかを選択する工程と、前記RFアンテナに高周波電源より所定周波数の高周波を印加して、前記選択されたモードで接続されている前記第1および第2のコイルセグメントに高周波電流を流す工程と、前記第1および第2のコイルセグメントで流れる前記高周波電流に応じた高周波の磁界および誘導電界によって前記処理容器内の前記誘電体窓の近くで処理ガスのプラズマを生成する工程と、生成された前記プラズマを前記処理容器内で拡散させる工程と、前記プラズマの下で前記基板に所望のプラズマ処理を施す工程とを有する。
【0022】
本発明の上記第3の観点におけるプラズマ処理方法は、天井に誘電体の窓を有する真空排気可能な処理容器内で前記誘電体窓の下方に設定された所定位置に被処理基板を配置する工程と、処理ガス供給部より前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する工程と、前記処理容器内を所定の圧力で減圧状態に維持する工程と、並進して延びる円弧状の第1および第2のコイルセグメントと、前記第1および第2のコイルセグメントとそれぞれ同一の円周に沿って並進して延びる円弧状の第3および第4のコイルセグメントとを有し、前記誘電体窓の上方に配置されているRFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続し、かつ前記第3および第4のコイルセグメントを並列接続する並列モード、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになり、かつ前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように、前記第1および第3のコイルセグメントを直列接続し、かつ前記第2および第4のコイルセグメントを直列接続する逓倍型直列モード、または前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になり、かつ前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように、前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続し、かつ前記第3および第4のコイルセグメントを直列接続する相殺型直列モードのいずれかを選択する工程と、前記RFアンテナに高周波電源より所定周波数の高周波を印加して、前記選択されたモードで接続されている前記第1、第2、第3および第4のコイルセグメントに高周波電流を流す工程と、前記第1、第2、第3および第4のコイルセグメントで流れる前記高周波電流に応じた高周波の磁界および誘導電界によって前記処理容器内の前記誘電体窓の近くで処理ガスのプラズマを生成する工程と、生成された前記プラズマを前記処理容器内で拡散させる工程と、前記プラズマの下で前記基板に所望のプラズマ処理を施す工程とを有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の誘導結合型プラズマ処理装置またはプラズマ処理方法によれば、上記のような構成および作用により、RF給電系統の負担が軽くてRFアンテナの構造が簡易かつ製作容易でありながら、プラズマ密度分布の均一性または制御性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態における誘導結合型プラズマエッチング装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施例によるRFアンテナおよびスイッチ回路網の配置構成を示す斜視図である。
【図3】上記実施例のRFアンテナにおいて中心コイル内の電流経路または電流分布を複数のモードで切り換える機能を説明するための図である。
【図4】図3の構成および機能の一変形例を示す図である。
【図5A】図3の構成および機能の一変形例を示す図である。
【図5B】図4の構成および機能の一変形例を示す図である。
【図6A】上記実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の作用(第1の合成モード)を示す図である。
【図6B】上記実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の作用(第2の合成モード)を示す図である。
【図6C】上記実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の作用(第3の合成モード)を示す図である。
【図6D】上記第1の実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の作用(第4の合成モード)を示す図である。
【図6E】上記実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の作用(第5の合成モード)を示す図である。
【図6F】上記実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の作用(第6の合成モード)を示す図である。
【図6G】上記実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の作用(第7の合成モード)を示す図である。
【図6H】上記実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の作用(第8の合成モード)を示す図である。
【図7A】上記第1の実施例における合成モードの幾つかについて電磁界シミュレーションにより得られたドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図7B】上記実施例における合成モードの幾つかについて電磁界シミュレーションにより得られたドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図8A】[2AT/1AT]の合成モードにおけるRFアンテナ内の接続状態と代表的なポイントを示す図である。
【図8B】[2AT/1AT]の合成モードにおけるRFアンテナ内の電流分布を示すプロット図である。
【図9A】[2AT/2AT]の合成モードにおけるRFアンテナ内の接続状態と代表的なポイントを示す図である。
【図9B】[2AT/2AT]の合成モードにおけるRFアンテナ内の電流分布を示すプロット図である。
【図10A】RFアンテナ内にコンデンサを設ける構成において[1AT/2AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図10B】RFアンテナ内にコンデンサを設ける構成において[1AT/1AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図10C】RFアンテナ内にコンデンサを設ける構成において[2AT/2AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図10D】上記[2AT/2AT]の合成モード(図10C)が選択された場合のRFアンテナ内の電流分布を示すプロット図である。
【図10E】上記[2AT/2AT]の合成モード(図10C)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図11】RFアンテナの後段にコンデンサを設ける構成において[2AT/2AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図12A】コンデンサのキャパシタンスが10pFで、上記[2AT/2AT]の合成モード(図11)が選択された場合のRFアンテナ内の電流分布を示すプロット図である。
【図12B】ンデンサのキャパシタンスが10pFで、上記[2AT/2AT]の合成モード(図11)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図13A】コンデンサのキャパシタンスが100pFで、上記[2AT/2AT]の合成モード(図11)が選択された場合のRFアンテナ内の電流分布を示すプロット図である。
【図13B】ンデンサのキャパシタンスが100pFで、上記[2AT/2AT]の合成モード(図11)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図14A】第2の実施例において[0AT/2AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図14B】上記[0AT/2AT]の合成モード(図14A)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図15A】第2の実施例において[1AT/2AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図15B】上記[1AT/1AT]の合成モード(図15A)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図16A】第2の実施例において[2AT/1AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図16B】上記[2AT/1AT]の合成モード(図16A)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図17A】第2の実施例において[2AT/0AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図17B】上記[2AT/0AT]の合成モード(図17A)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図18A】第2の実施例において[2AT/2AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図18B】上記[2AT/2AT]の合成モード(図18A)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図19A】第2の実施例において[1AT/2AT]の合成モードが選択された状態を示す図である。
【図19B】上記[1AT/2AT]の合成モード(図19A)が選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図20】周辺コイル(または中心コイル)を単一のコイルセグメントで構成する実施例を示す図である。
【図21】1組のコイルを構成する一対のコイルセグメント間のギャップを任意に広くする実施例を示す図である。
【図22A】中心コイルおよび周辺コイルの双方で一対のコイルセグメント間のギャップを広くする実施例において[0AT/1AT]の合成モードが選択された場合の各部の接続状態およびドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図22B】上記実施例において[1AT/1AT]の合成モードが選択された場合の各部の接続状態およびドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図22C】上記実施例において[2AT/1AT]の合成モードが選択された場合の各部の接続状態およびドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図22D】上記実施例において[1AT/0AT]の合成モードが選択された場合の各部の接続状態およびドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図22E】上記実施例において[1AT/2AT]の合成モードが選択された場合の各部の接続状態およびドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図23】1組のコイルを構成する一対のコイルセグメントの間で切れ目(解放端部)のギャップをコイル周回方向でずらす実施例を示す図である。
【図24A】RFアンテナの中心コイルと周辺コイルとの間にスリット付きの磁気シールド空洞導体を配置する実施例を示す図である。
【図24B】上記磁気シールド空洞導体のスリット幅を可変した場合の各合成モードにおけるドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図25】RFアンテナの上方に補正コイルを配置する実施例を示す図である。
【図26】RFアンテナにおいて1組のコイルを構成する一対のコイルセグメントを縦方向でギャップを介して重ねて配置する実施例を示す図である。
【図27A】RFアンテナにおいてスイッチ回路網を簡素化する実施例において[2AT/2AT]の合成モードが選択された場合の各部の接続状態を示す図である。
【図27B】上記実施例において[2AT/2AT]の合成モードが選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【図28A】RFアンテナにおいてスイッチ回路網を簡素化する実施例において[0AT/0AT]の合成モードが選択された場合の各部の接続状態を示す図である。
【図28B】上記実施例において[0AT/0AT]の合成モードが選択された場合のドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。

[装置全体の構成及び作用]
【0026】
図1に、本発明の一実施形態における誘導結合型プラズマエッチング装置の構成を示す。この誘導結合型プラズマエッチング装置は、平面コイル形のRFアンテナを用いるタイプであり、たとえばアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属製の円筒型真空チャンバ(処理容器)10を有している。チャンバ10は、保安接地されている。
【0027】
先ず、この誘導結合型プラズマエッチング装置においてプラズマ生成に関係しない各部の構成を説明する。
【0028】
チャンバ10内の下部中央には、被処理基板としてたとえば半導体ウエハWを載置する円板状のサセプタ12が高周波電極を兼ねる基板保持台として水平に配置されている。このサセプタ12は、たとえばアルミニウムからなり、チャンバ10の底から垂直上方に延びる絶縁性の筒状支持部14に支持されている。
【0029】
絶縁性筒状支持部14の外周に沿ってチャンバ10の底から垂直上方に延びる導電性の筒状支持部16とチャンバ10の内壁との間に環状の排気路18が形成され、この排気路18の上部または入口に環状のバッフル板20が取り付けられるとともに、底部に排気ポート22が設けられている。チャンバ10内のガスの流れをサセプタ12上の半導体ウエハWに対して軸対象に均一にするためには、排気ポート22を円周方向に等間隔で複数設ける構成が好ましい。各排気ポート22には排気管24を介して排気装置26が接続されている。排気装置26は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ10内のプラズマ処理空間を所望の真空度まで減圧することができる。チャンバ10の側壁の外には、半導体ウエハWの搬入出口27を開閉するゲートバルブ28が取り付けられている。
【0030】
サセプタ12には、RFバイアス用の高周波電源30が整合器32および給電棒34を介して電気的に接続されている。この高周波電源30は、半導体ウエハWに引き込むイオンのエネルギーを制御するのに適した一定周波数(13.56MHz以下)の高周波RFLを可変のパワーで出力できるようになっている。整合器32は、高周波電源30側のインピーダンスと負荷(主にサセプタ、プラズマ、チャンバ)側のインピーダンスとの間で整合をとるためのリアクタンス可変の整合回路を収容している。その整合回路の中に自己バイアス生成用のブロッキングコンデンサが含まれている。
【0031】
サセプタ12の上面には、半導体ウエハWを静電吸着力で保持するための静電チャック36が設けられ、静電チャック36の半径方向外側に半導体ウエハWの周囲を環状に囲むフォーカスリング38が設けられる。静電チャック36は導電膜からなる電極36aを一対の絶縁膜36b,36cの間に挟み込んだものであり、電極36aには高圧の直流電源40がスイッチ42および被覆線43を介して電気的に接続されている。直流電源40より印加される高圧の直流電圧により、静電力で半導体ウエハWを静電チャック36上に吸着保持することができる。
【0032】
サセプタ12の内部には、たとえば円周方向に延びる環状の冷媒室44が設けられている。この冷媒室44には、チラーユニット(図示せず)より配管46,48を介して所定温度の冷媒たとえば冷却水が循環供給される。冷媒の温度によって静電チャック36上の半導体ウエハWの処理中の温度を制御できる。これと関連して、伝熱ガス供給部(図示せず)からの伝熱ガスたとえばHeガスが、ガス供給管50を介して静電チャック36の上面と半導体ウエハWの裏面との間に供給される。また、半導体ウエハWのローディング/アンローディングのためにサセプタ12を垂直方向に貫通して上下移動可能なリフトピンおよびその昇降機構(図示せず)等も設けられている。
【0033】
次に、この誘導結合型プラズマエッチング装置においてプラズマ生成に関係する各部の構成を説明する。
【0034】
チャンバ10の天井または天板はサセプタ12から比較的大きな距離間隔を隔てて設けられており、この天井にたとえば石英板からなる円形の誘電体窓52が気密に取り付けられている。この誘電体窓52の上には、チャンバ10内に誘導結合のプラズマを生成するためのRFアンテナ54を外部から電磁的に遮蔽して収容するアンテナ室55がチャンバ10と一体に設けられている。
【0035】
この実施形態におけるRFアンテナ54は、誘電体窓52と平行な一水平面内で同心状に配置される2組または2対のコイル54(1),54(2)を有している。
【0036】
より詳しくは、第1組のコイル54(1)は、RFアンテナ54の中心部に位置し、コイル線材およびコイル太さ(断面積)が同じで、かつ口径または直径が近似する一対のコイルセグメント56A,56Bからなる。これらのコイルセグメント56A,56Bは、非常に小さな、好ましくはスキンデップスδより小さな一定のギャップg1を隔てて平行度を保ちながら環状に並進して一周して、各々が円形の単巻コイルを形成している。このように、一対のコイルセグメント56A,56Bは、コイル線材およびコイル断面積が同じで、かつ口径(つまりはコイル長)が近似しているので、それぞれのインピーダンスは近似している。
【0037】
一方、第2組のコイル54(2)は、RFアンテナ54の周辺部に位置し、コイル線材およびコイル太さ(断面積)が同じで、かつ口径が近似する一対のコイルセグメント58A,58Bからなる。これらのコイルセグメント58A,58Bは、非常に小さな、好ましくはスキンデップスδより小さな一定のギャップg2を隔てて平行度を保ちながら環状に並進して一周して、各々が単巻コイルを形成している。このように、一対のコイルセグメント58A,58Bは、コイル線材およびコイル断面積が同じで、かつ口径(つまりコイル長)が近似しているので、それぞれのインピーダンスは近似している。
【0038】
なお、スキンデップスδは、RFアンテナ54を流れる高周波電流の周波数をf、コイル54(1),54(2)の導電率、透磁率をそれぞれσ、μとすると、δ=(2/ωσμ)1/2で表わされる(ただし、ω=2πf)。
【0039】
図2に示すように、中心コイル54(1)のコイルセグメント56A,56Bは、コイル周回方向の同一箇所に切れ目または開放端部をそれぞれ有している。ここで、コイル周回方向において、内側コイルセグメント56Aの両端部がギャップを介して互いに近接し、外側コイルセグメント56Bの両端部がギャップを介して互いに近接している。また、コイル周回方向と直交する水平方向(コイル半径方向)において、内側および外側コイルセグメント56A,56Bのそれぞれの一方の端部がギャップを介して互いに近接し、かつそれぞれの他方の端部がギャップを介して互いに近接している。
【0040】
後述するプラズマ生成用の高周波給電部60からのRF給電ライン62の終端が中心コイル54(1)のコイル開放端部の近傍または上方に位置し、高周波給電ライン62の終端部と内側および外側コイルセグメント56A,56Bの両端部との間に第1のスイッチ回路網64が設けられている。
【0041】
周辺コイル54(2)も同様の構成になっている。すなわち、コイルセグメント58A,58Bは、コイル周回方向の同一箇所に切れ目または開放端部をそれぞれ有している。ここで、コイル周回方向において、内側コイルセグメント58Aの両端部がギャップを介して互いに近接し、外側コイルセグメント58Bの両端部がギャップを介して互いに近接している。また、コイル周回方向と直交する水平方向(コイル半径方向)において、内側および外側コイルセグメント58A,58Bのそれぞれの一方の端部がギャップを介して互いに近接し、かつそれぞれの他方の端部がギャップを介して互いに近接している。
【0042】
チャンバ10または電気的に接地電位に保たれる他の接地電位部材(図示せず)に通じるRF帰線またはアース線66の始端が周辺コイル54(2)のコイル開放端部の近傍または上方に位置し、RFアース線66の始端と内側および外側コイルセグメント58A,58Bの両端部との間に第2のスイッチ回路網68が設けられている。第1のスイッチ回路網64と第2のスイッチ回路網68との間には両者を電気的につなぐための導体または導線70が設けられている。
【0043】
図1において、アンテナ室55は水平な仕切板65によって上下に2分割されており、下部アンテナ室55LにRFアンテナ54を構成する中心および周辺コイル54(1),54(2)が配置され、上部アンテナ室55Uに第1および第2のスイッチ回路網64,68が配置されている。下部アンテナ室55L内のコイル54(1),54(2)と上部アンテナ室55U内のスイッチ回路網64,68とは、仕切板65から電気的に絶縁された導体または導線72(1),・・72(8)を介して電気的に接続されている。仕切板65は、導体の板からなり、RFアンテナ54とスイッチ回路網64,68とを電磁的に遮蔽する機能を有している。
【0044】
高周波給電部60は、高周波電源74および整合器76を有している。高周波電源74は、高周波放電によるプラズマの生成に適した一定周波数(13.56MHz以上)の高周波RFHを可変のパワーで出力できるようになっている。整合器76は、高周波電源74側のインピーダンスと負荷(主にRFアンテナ、プラズマ)側のインピーダンスとの間で整合をとるためのリアクタンス可変の整合回路を収容している。
【0045】
チャンバ10内の処理空間に処理ガスを供給するための処理ガス供給部は、誘電体窓52より幾らか低い位置でチャンバ10の側壁の中(または外)に設けられる環状のマニホールドまたはバッファ部78と、円周方向に等間隔でバッファ部78からプラズマ生成空間に臨む多数の側壁ガス吐出孔80と、処理ガス供給源82からバッファ部78まで延びるガス供給管84とを有している。処理ガス供給源82は、流量制御器および開閉弁(図示せず)を含んでいる。
【0046】
主制御部86は、たとえばマイクロコンピュータを含み、このプラズマエッチング装置内の各部たとえば排気装置26、高周波電源30,74、整合器32,76、静電チャック用のスイッチ42、処理ガス供給源82、スイッチ回路網64,68、チラーユニット(図示せず)、伝熱ガス供給部(図示せず)等の個々の動作および装置全体の動作(シーケンス)を制御する。
【0047】
この誘導結合型プラズマエッチング装置において、エッチングを行なうには、先ずゲートバルブ28を開状態にして加工対象の半導体ウエハWをチャンバ10内に搬入して、静電チャック36の上に載置する。そして、ゲートバルブ28を閉めてから、処理ガス供給源82よりガス供給管84、バッファ部78および側壁ガス吐出孔80を介してエッチングガス(一般に混合ガス)を所定の流量および流量比でチャンバ10内に導入し、排気装置26によりチャンバ10内の圧力を設定値にする。さらに、高周波給電部60の高周波電源74をオンにしてプラズマ生成用の高周波RFHを所定のRFパワーで出力させ、整合器76,RF給電ライン62、スイッチ回路網64,68を介してRFアンテナ54の中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)に高周波RFHの電流を供給する。一方、高周波電源30をオンにしてイオン引き込み制御用の高周波RFLを所定のRFパワーで出力させ、この高周波RFLを整合器32および給電棒34を介してサセプタ12に印加する。また、伝熱ガス供給部より静電チャック36と半導体ウエハWとの間の接触界面に伝熱ガス(Heガス)を供給するとともに、スイッチ42をオンにして静電チャック36の静電吸着力により伝熱ガスを上記接触界面に閉じ込める。
【0048】
チャンバ10内で、側壁ガス吐出孔80より吐出されたエッチングガスは、誘電体窓52の下の処理空間に拡散する。RFアンテナ54の中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)を流れる高周波RFHの電流によってそれらのコイルの周りに発生する磁力線(磁束)が誘電体窓52を貫通して処理空間(プラズマ生成空間)を横切り、処理空間内で方位角方向の誘導電界が発生する。この誘導電界によって方位角方向に加速された電子がエッチングガスの分子や原子と電離衝突を起こし、ドーナツ状のプラズマが生成される。
【0049】
このドーナツ状プラズマのラジカルやイオンは広い処理空間で四方に拡散し、ラジカルは等方的に降り注ぐようにして、イオンは直流バイアスに引っぱられるようにして、半導体ウエハWの上面(被処理面)に供給される。こうして半導体ウエハWの被処理面にプラズマの活性種が化学反応と物理反応をもたらし、被加工膜が所望のパターンにエッチングされる。
【0050】
ここで「ドーナツ状のプラズマ」とは、チャンバ10の径方向内側(中心部)にプラズマが立たず径方向外側にのみプラズマが立つような厳密にリング状のプラズマに限定されず、むしろチャンバ10の径方向内側より径方向外側のプラズマの体積または密度が大きいことを意味する。また、処理ガスに用いるガスの種類やチャンバ10内の圧力の値等の条件によっては、ここで云う「ドーナツ状のプラズマ」にならない場合もある。
【0051】
この誘導結合型プラズマエッチング装置においては、半導体ウエハW上のプラズマプロセス特性つまりエッチング特性(エッチングレート、選択比、エッチング形状等)の径方向の均一性を向上させるために、上記のようにRFアンテナ54を径方向で中心部と周辺部の2組のコイル54(1),54(2)に分割し、第1組の中心コイル54(1)を互いに近接して各々の半径を変えずに並進(一周)する一対のコイルセグメント56A,56Bで構成するとともに、第2組の周辺コイル54(2)を互いに近接して各々の半径を変えずに並進(一周)する一対のコイルセグメント58A,58Bで構成している。そして、後述するように、第1および第2のスイッチ回路網64,68により、RFアンテナ54内の電流経路または電流分布を多様かつ任意に選択し、誘電体窓52を介して処理空間内のプラズマに電磁誘導で結合されるRFアンテナ54の合成起磁力(特に径方向の起磁力分布)を多段階に調整できるようにしている。

[RFアンテナ及びスイッチ回路網に係る実施例1の基本的機能]
【0052】
ここで、図3につき、中心コイル54(1)内の電流経路または電流分布を複数のモードで切り換える機能を説明する。なお、図3では、理解の容易性と説明の便宜性を図るため、周辺コイル54(2)を省略している。
【0053】
第1のスイッチ回路網64は、中心コイル54(1)内の電流経路を切り換えるために、3つのスイッチ90(1),92(1),94(1)を有している。
【0054】
第1のスイッチ90(1)は、高周波給電部60からのRF給電ライン62の終端に位置する第1の端子88(1)を、内側コイルセグメント56Aの一方の端部に接続させる位置(図3の(b)(c)に示す位置)と、内側コイルセグメント56Aの他方の端部に接続させる位置(図3の(d)に示す位置)と、内側コイルセグメント56Aの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置(図3の(a)に示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0055】
第2のスイッチ92(1)は、内側コイルセグメント56Aの他方の端部を、外側コイルセグメント56Bの一方の端部に接続させる位置(図3の(c)に示す位置)と、外側コイルセグメント56Bの他方の端部に接続させる位置(図3の(b)に示す位置)と、外側コイルセグメント56Bの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置(図3の(d)に示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0056】
第3のスイッチ94(1)は、外側コイルセグメント56Bの一方の端部を、内側コイルセグメント56Aの一方の端部に接続させる位置(図3の(b)に示す位置)と、内側コイルセグメント56Aの他方の端部に接続させる位置(図3の(c)に示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0057】
各々のスイッチ90(1),92(1),94(1)は、好ましくは真空スイッチまたは真空リレーからなり、制御部86の制御の下で各々独立したスイッチ駆動回路(図示せず)により切り換えられる。これら3つのスイッチ90(1),92(1),94(1)の切り換え位置の組み合わせ形態により、内側コイルセグメント56Aと外側コイルセグメント56Bとの間の接続形態、つまり中心コイル54(1)内の電流経路または電流分布に関して、図3の(a),(b),(c),(d)に示すような4通りのモードを採ることができる。
【0058】
図3の(a)は無通電モードであり、第1のスイッチ90(1)が、第1の端子88(1)を内側コイルセグメント56Aの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置に切り換えられる。第2および第3のスイッチ92(1),94(1)はどの位置にあってもよい。この無通電モードでは、高周波の電流経路が第1のスイッチ90(1)で遮断されるため、中心コイル54(1)内で高周波電流は全く流れない。したがって、中心コイル54(1)の起磁力は零アンペアターン(0AT)である。
【0059】
図3の(b)は並列モードであり、第1の端子88(1)が第1のスイッチ90(1)を介して内側コイルセグメント56Aの一方の端部に接続され、内側コイルセグメント56Aの他方の端部が第2のスイッチ92(1)を介して外側コイルセグメント56Bの一方の端部に接続され、外側コイルセグメント56Bの一方の端部が第3のスイッチ94(1)を介して内側コイルセグメント56Aの一方の端部に接続される。
【0060】
この並列モードにおいて、高周波給電ライン62を伝搬してきた高周波電流Iは、第1の端子88(1)から第1および第3のスイッチ90(1),94(1)を介して内側コイルセグメント56Aおよび外側コイルセグメント56Bに分岐する。ここで、両コイルセグメント56A,56Bのインピーダンスは略同じであるから、両コイルセグメント56A,56BにI/2,I/2ずつ分岐する。これらの高周波分岐電流I/2,I/2は、両コイルセグメント56A,56Bを正方向(図の反時計回り)にそれぞれ一周した後、第2のスイッチ92(1)を介して合流し、高周波電流Iを復元してRF帰線またはアース線66へ流れる。
【0061】
このように、並列モードでは、中心コイル54(1)内で内側および外側コイルセグメント56A,56BをそれぞれI/2,1/2の高周波分岐電流が正方向に流れ、コイル全体で1アンペアターン(1AT)の合成起磁力が得られる。両コイルセグメント56A.56Bは近接しているので、誘電体窓52の向こうの処理空間ないしプラズマに対しては1つの単巻コイルを高周波電流Iが流れる場合と同等の電磁的効果(誘導結合作用)が得られる。
【0062】
図3の(c)は逓倍型直列モードであり、第1の端子88(1)が第1のスイッチ90(1)を介して内側コイルセグメント56Aの一方の端部に接続され、内側コイルセグメント56Aの他方の端部が第2および第3のスイッチ92(1),94(1)を介して外側コイルセグメント56Bの一方の端部に接続される。
【0063】
この逓倍型直列モードにおいて、高周波給電ライン62を伝搬してきた高周波電流Iは、第1の端子88(1)および第1スイッチ90(1)を通って内側コイルセグメント56Aを正方向に一周し、次いで第2および第3のスイッチ92(1),94(1)を通って外側コイルセグメント56Bを正方向に一周した後、RFアース線66へ流れる。
【0064】
このように、逓倍型直列モードでは、中心コイル54(1)内で内側および外側コイルセグメント56A,56Bを高周波電流Iが同一の方向(正方向)に流れ、コイル全体で2アンペアターン(2AT)の合成起磁力が得られる。両コイルセグメント56A.56Bは近接しているので、誘電体窓52の向こうの処理空間ないしプラズマに対しては、高周波給電ライン62を伝搬してきた高周波電流Iの2倍の高周波電流2Iが1つの単巻コイルを流れる場合と同等の電磁的効果(誘導結合作用)が得られる。
【0065】
図3の(d)は相殺型直列モードであり、第1の端子88(1)が第1のスイッチ90(1)を介して内側コイルセグメント56Aの他方の端部に接続され、内側コイルセグメント56Aの他方の端部が第3のスイッチ94(1)を介して外側コイルセグメント56Bの一方の端部に接続される。内側コイルセグメント56Aの他方の端部と外側56Bのそれぞれの他方の端部とは、第2のスイッチ92(1)で電気的に遮断される。
【0066】
この相殺型直列モードにおいて、高周波給電ライン62を伝搬してきた高周波電流Iは、第1の端子88(1)および第1のスイッチ90(1)を通って内側コイルセグメント56Aを逆方向(図の時計回り)に一周し、次いで第3のスイッチ94(1)を通って外側コイルセグメント56Bを正方向一周した後、RFアース線66へ抜ける。
【0067】
このように、相殺型直列モードでは、中心コイル54(1)内で内側および外側コイルセグメント56A,56Bを高周波電流Iがそれぞれ正方向および逆方向で流れ、コイル全体の合成起磁力は零アンペアターン(0AT)になる。したがって、中心コイル54(1)内で実際は高周波電流Iが流れているのにも関わらず、誘電体窓52の向こうの処理空間ないしプラズマに対しては、全然または殆ど流れていない場合と同等の電磁的効果が得られる。
【0068】
図4に、第1のスイッチ回路網64の一変形例を示す。この変形例では、高周波給電ライン62を内側コイルセグメント56Aの一方の端部で終端させている。
【0069】
第1のスイッチ90(1)は、RFアース線66に接続され、または接続可能な第2の端子96(1)を、外側コイルセグメント56Bの他方の端部に接続させる位置(図4の(b)(c)に示す位置)と、外側コイルセグメント56Bの一方の端部に接続させる位置(図4の(d)に示す位置)と、外側コイルセグメント56Bの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置(図4の(a)に示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0070】
第2のスイッチ92(1)は、外側コイルセグメント56Aの一方の端部を、内側コイルセグメント56Aの他方の端部に接続させる位置(図4の(c)に示す位置)と、内側コイルセグメント56Aの一方の端部に接続させる位置(図4の(b)に示す位置)と、内側コイルセグメント56Aの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置(図4の(d)に示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0071】
第3のスイッチ94(1)は、内側コイルセグメント56Aの他方の端部を、外側コイルセグメント56Bの他方の端部に接続させる位置(図4の(b)に示す位置)と、外側コイルセグメント56Bの一方の端部に接続させる位置(図4の(c)に示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0072】
この変形例においても、3つのスイッチ90(1),92(1),94(1)の切り換え位置の組み合わせ形態により、内側コイルセグメント56Aと外側コイルセグメント56Bとの間の接続形態、つまり中心コイル54(1)内の電流経路に関して、図4の(a),(b),(c),(d)に示すような4通りのモードを採ることが可能であり、コイル全体の起磁力を所望の3段階(0AT,1AT,2AT)に調整することができる。このように、中心コイル54(1)内の電流経路または電流分布を切り換えてコイル全体の起磁力を多段に調整する機能に関して、図3の実施例と同様の作用効果が得られる。
【0073】
更に、別の変形例として、図5Aおよび図5Bに示すように、内側コイルセグメント56Aの一方の端部と外側コイルセグメント56Bの他方の端部との間にスイッチ98を設ける構成も可能である。このスイッチ98は、相殺型直列モードのときにオン状態に切り換えられ、並列接続モードまたは逓倍型直列モードのときはオフ状態に切り換えられる。
【0074】
この実施例のRFアンテナ54においては、周辺コイル54(2)も、コイル径が異なるだけで、上述した中心コイル54(1)と同様の構成および機能を有する。また、第2のスイッチ回路網68も、上述した第1のスイッチ回路網64と同様の構成および機能を有する。
【0075】
より詳しくは、第2のスイッチ回路網64は、図6A〜図6Bに示すように、周辺コイル54(2)内の電流経路を切り換えるために、第4、第5および第6のスイッチ90(2),92(2),94(2)を有している。
【0076】
第4のスイッチ90(2)は、中心コイル54(1)を介してRF給電ライン62に接続され、または接続可能な導体の端子(第1の端子)88(2)を、内側コイルセグメント58Aの一方の端部に接続させる位置(図6B、図6E、図6Hに示す位置)と、内側コイルセグメント58Aの他方の端部に接続させる位置(図6A,図6B,図6D、図6F、図6G,図6Hに示す位置)と、内側コイルセグメント58Aの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置(図示せず)との間で切り換え可能になっている。
【0077】
第5のスイッチ92(2)は、内側コイルセグメント58Aの他方の端部を、外側コイルセグメント58Bの一方の端部に接続させる位置(図6A,図6C,図6Gに示す位置)と、外側コイルセグメント58Bの他方の端部に接続させる位置(図6D,図6F,図6Hに示す位置)と、外側コイルセグメント56Bの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置(図6B,図6Eに示す位置)との間で切り換え可能に構成されている。
【0078】
第6のスイッチ94(2)は、外側コイルセグメント58Bの一方の端部を、内側コイルセグメント58Aの一方の端部に接続させる位置(図6A,図6B,図6C,図6E,図6Gに示す位置)と、内側コイルセグメント58Aの他方の端部に接続させる位置(図6D,図6F,図6Hに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0079】
各々のスイッチ90(2),92(2),94(2)は、好ましくは真空スイッチまたは真空リレーからなり、制御部86の制御の下で各専用の駆動回路(図示せず)により個別に切り換えられる。これら3つのスイッチ90(2),92(2),94(2)の切り換え位置の組み合わせ形態により、周辺コイル54(2)内の電流経路(内側コイルセグメント58Aと外側コイルセグメント58Bとの間の接続形態)に関して上述した中心コイル54(1)と同様に4通りのモード(無通電モード、並列モード、逓倍型直列モード、相殺型直列モード)を採ることが可能であり、プラズマの状態に依存せずに、つまりプロセス条件(圧力・RFパワー・ガス系)が如何様であってもコイル全体の合成起磁力を所望の3段階(0AT,1AT,2AT)に調整することができる。
【0080】
なお、中心コイル54(1)または周辺コイル54(2)のいずれか一方で無通電モードが選択されると、他方のコイルでも無通電モードと同じ状態になる。また、高周波電源74で高周波RFHの出力を止めても、中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)のいずれも無通電モードと同じ状態になる。したがって、各コイル54(1),54(2)において無通電モードは必須のものではない。

[RFアンテナ及びスイッチ回路網に係る実施例1の作用]
【0081】
この実施形態の誘導結合型プラズマエッチング装置においては、高周波給電部60より供給される高周波電流がRFアンテナ54内を流れることによって、RFアンテナ54を構成するコイルの周りにはアンペール−マクスウェルの法則にしたがってループ状に分布する高周波数の交流磁界が発生し、誘電体窓52の下には比較的内奥(下方)の領域でも処理空間を半径方向に横断する磁力線が形成される。
【0082】
ここで、処理空間における磁束密度の半径方向(水平)成分は、チャンバ10の中心と周辺部では高周波電流の大きさに関係なく常に零であり、その中間の何処かで極大になる。高周波数の交流磁界によって生成される方位角方向の誘導電界の強度分布も、径方向において磁束密度と同様の分布を示す。つまり、径方向において、ドーナツ状プラズマ内の電子密度分布は、マクロ的にはRFアンテナ54内の電流分布にほぼ対応する。
【0083】
この実施形態のRFアンテナ54は、その中心または内周端から外周端まで旋回する通常の渦巻コイルとは異なり、アンテナの中心部に局在する中心コイル54(1)とアンテナの周辺部に局在する周辺コイル54(2)とからなり、径方向におけるRFアンテナ54内の電流分布は両コイル54(1),54(2)の位置する付近に2極化する。
【0084】
この実施形態のRFアンテナ54においては、上記のように第1および第2のスイッチ回路網64,68により中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)内の電流経路(電流分布)を各々独立的に3つのモード(並列モード、逓倍型直列モード、相殺型直列モード)の間で切り換え可能とし、両コイル54(1),54(2)の合成起磁力を各々独立的に3段階(0AT,1AT,2AT)に調整可能としている。したがって、RFアンテナ54内の電流経路(電流分布)または合成起磁力として、3×3(=9)通りの合成モードが選択可能である。各々の合成モードにおいて、RFアンテナ54内の電流分布または起磁力分布は、理論的には、中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)の各々選択されたモード(並列モード、逓倍型直列モード、相殺型直列モード)によって決まり、プラズマの状態に依存しない。つまり、如何なるプロセス条件(圧力・RFパワー・ガス系)においても、常に所期の電流分布または合成起磁力が得られる。
【0085】
図6Aに示す第1の合成モードは、中心コイル54(1)を相殺型直列モード(0AT)に切り換え、周辺コイル54(2)を並列モード(1AT)に切り換えた場合である。この場合、チャンバ10内の処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が零近くまで低くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近では電子密度が1ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなる。
【0086】
図6Bに示す第2の合成モードは、中心コイル54(1)を並列モード(1AT)に切り換え、かつ周辺コイル54(2)を相殺型直列モード(0AT)に切り換えた場合である。この場合、処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が1ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近では電流密度が零近くまで低くなる。
【0087】
図6Cに示す第3の合成モードは、中心コイル54(1)を並列モード(1AT)に切り換え、周辺コイル54(2)も並列モード(1AT)に切り換えた場合である。この場合、処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が1ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近でも電流密度が1ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなる。
【0088】
図6Dに示す第4の合成モードは、中心コイル54(1)を逓倍型直列モード(2AT)に切り換え、周辺コイル54(2)も逓倍型直列モード(2AT)に切り換えた場合である。この場合、処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が2ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近でも電流密度が2ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなる。
【0089】
図6Eに示す第5の合成モードは、中心コイル54(1)を逓倍型直列モード(2AT)に切り換え、周辺コイル54(2)を相殺型直列モード(0AT)に切り換えた場合である。この場合、処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が2ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近では電流密度が零近くまで低くなる。
【0090】
図6Fに示す第6の合成モードは、中心コイル54(1)を相殺型直列モード(0AT)に切り換え、周辺コイル54(2)を逓倍型直列モード(2AT)に切り換えた場合である。この場合、チャンバ10内の処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が零近くまで低くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近では電流密度が2ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなる。
【0091】
図6Gに示す第7の合成モードは、中心コイル54(1)を逓倍型直列モード(2AT)に切り換え、周辺コイル54(2)を並列モード(1AT)に切り換えた場合である。この場合、処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が2ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近では電流密度が1ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなる。
【0092】
図6Hに示す第8の合成モードは、中心コイル54(1)を並列モード(1AT)に切り換え、周辺コイル54(2)を逓倍型直列モード(2AT)に切り換えた場合である。この場合、処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が1ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近では電流密度が2ATの起磁力に応じた高さ(極大値)まで突出して高くなる。
【0093】
また、図示しない第9の合成モードとして、中心コイル54(1)を相殺型直列モード(0AT)に切り換え、かつ周辺コイル54(2)を相殺型直列モード(0AT)に切り換えることも可能である。この場合、処理空間で生成されるドーナツ状プラズマにおいては、理論的には、中心コイル54(1)の直下の位置付近では電流密度が零近くまで低くなり、周辺コイル54(2)の直下の位置付近でも電流密度が零近くまで低くなる。
【0094】
なお、上記第1〜第8の合成モードにおいては、ドーナツ状プラズマ内の電流密度分布は径方向で均一ではなく凹凸のプロファイルなっているが、チャンバ10内の処理空間でプラズマが四方に拡散することによって、サセプタ12の近傍つまり基板W上ではプラズマの密度がかなり均される。つまり、径方向において、基板W上でプラズマ密度分布の均一性を図るには、その上方のドーナツ状プラズマ内の電流密度分布において中心部と周辺部とのバランスが重要である。しかし、その最適バランスは、プロセス条件(圧力・RFパワー・ガス系)やプラズマの状態に応じて変動する。したがって、ドーナツ状プラズマ内の電流密度分布において中心部と周辺部とのバランスを多様かつ任意に可変できることは、基板W上でプラズマ密度分布の均一性を向上させるうえで非常に有用な調整手段となる。
【0095】
本発明者は、この実施形態の誘導結合型プラズマエッチング装置について次のような電磁界シミュレーションを実施した。
【0096】
すなわち、RFアンテナ54において選択可能な合成モードの幾つかについて、ドーナツ状プラズマ内部(上面から5mmの位置)の半径方向の電流密度分布(プラズマ密度分布に相当)を計算で求めたところ、図7Aの(a),(b),(c)および図7Bの(d),(e)に示すようなプロファイルが得られた。
【0097】
この電磁界シミュレーションでは、RFアンテナ54を構成する各コイルセグメント56A,56B,58A,58Bの断面サイズを5mm×5mmとし、中心コイル54(1)の内側および外側コイルセグメント56A,56Bのそれぞれの内径(半径)を100mm、110mmとし、周辺コイル54(2)の内側および外側コイルセグメント56A,56Bのそれぞれの内径(半径)を200mm、210mmとし、高周波給電部60よりRF給電ライン62を介してRFアンテナ54に供給する高周波電流の電流値を1アンペアとした。また、RFアンテナ54直下のチャンバ10内処理空間で誘導結合により生成されるドーナツ状のプラズマは、図2に示すような円盤形状の抵抗体100で模擬し、この抵抗体100の直径を500mm、抵抗率を100Ωcm、表皮厚さを10mmに設定した。プラズマ生成用の高周波RFHの周波数は13.56MHzとした。
【0098】
図7Aの(a),(b),(c)および図7Bの(d)に示すように、第3の合成モード(1AT/1AT)、第7の合成モード(2AT/1AT)、第5の合成モード(2AT/0AT)および第6の合成モード(0AT/2AT)においては、径方向におけるドーナツ状プラズマ内の電流密度分布について略理論通りのシミュレーション結果が得られた。
【0099】
しかし、第8の合成モード(1AT/2AT)では、シミュレーション結果が理論通りにならなかった。すなわち、シミュレーションによれば、図7Bの(e)に示すように、中心コイル54(1)の直下の位置(100mm)付近では本来は1ATに対応する極大値まで突出するはずなのにそれよりも著しく低い値に止まる一方で、周辺コイル54(2)の直下の位置(200mm)付近に現れる2ATに対応する極大値は他の合成モードよりも高くなる。
【0100】
これは、周辺コイル54(2)の口径が大きい場合(半径150mm以上)において、周辺コイル54(2)で逓倍型直列モード(2AT)が選択されると、さらには中心コイル54(1)でも並列型モード(1AT)あるいは逓倍型直列モード(2AT)が選択されると、RFアンテナ54内の全体の電流経路(有効長)が相当長くなり、いわゆる波長効果によってRFアンテナ54のRF入力端寄りつまり中心コイル54(1)内に電流の波節部を有する定在波が形成されるためと考えられる。
【0101】
本発明者が、RFアンテナ54内の代表的なポイントa,b,c,d,eにおける高周波電流の電流値を求めてプロットしたところ、第7の合成モード(図8A)では図8Bに示すようにポイント間で電流の違いはさほどないのに対して、RFアンテナ54内の全体の電流経路(有効長)が最大になる第4の合成モード(図9A)では図9Bに示すように中心コイル54(1)内の前半区間で電流が大きく落ち込むことがわかった。
【0102】
なお、このシミュレーションにおいて、起点(0mm)のポイントaはRFアンテナ54のRF入口点である端子88の位置に選ばれ、ポイントbは中心コイル54(1)の内側コイルセグメント56Aの他方の端部の位置に選ばれ、ポイントcは中心コイル54(1)の外側コイルセグメント56Bの他方の端部の位置に選ばれ、ポイントdは周辺コイル54(2)の内側コイルセグメント58Aの他方の端部の位置に選ばれ、ポイントeは周辺コイル54(2)の外側コイルセグメント58Bの他方の端部(終端)の位置に選ばれている。また、図8Bおよび図9Bの電流分布プロットは、各ポイントaの位置を起点(0mm)からの電流路の距離として表わし、各ポイントの電流を終端ポイントeの電流(1A:基準値)に対する相対値(比)として表している。
【0103】
上記のような波長効果を抑制するための一手法として、RFアンテナ54内の適当な箇所にコンデンサを挿入する構成を好適に採ることができる。
【0104】
図10A〜図10Cに示す構成例は、周辺コイル54(2)において内側コイルセグメント58Aの他方の端部と外側コイルセグメント58Bの一方の端部との間にコンデンサ102を接続可能に設けている。
【0105】
この場合、第2のスイッチ回路網68において、第2のスイッチ92(2)は、内側コイルセグメント58Aの他方の端部を、コンデンサ102の一方の端子に接続させる位置(たとえば図10Aに示す位置)と、外側コイルセグメント58Bの他方の端部に接続させる位置(たとえば図10Bに示す位置)と、コンデンサ102の一方の端子または外側コイルセグメント58Bの他方の端部のいずれにも接続させない位置(図示せず)との間で切り換え可能になっている。また、第3のスイッチ94(2)は、外側コイルセグメント58Bの一方の端部を、コンデンサ102の他方の端子に接続させる位置(たとえば図10Aに示す位置)と、内側コイルセグメント58Aの一方の端部に接続させる位置(たとえば図10Bに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0106】
本発明者がRFアンテナ54内の電流経路(有効長)が最大になる第4の合成モード(図10C)について、このモデルをシミュレーションにかけた結果、図10Dに示すようにアンテナ内電流分布のばらつき(偏差)は著しく改善されるとともに、図10Eに示すように径方向におけるドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布も大きく改善されることが確認された。
【0107】
別の実施例として、図11に示すように、RFアンテナ54の出口eとRFアース線66との間に、あるいはRFアース線66の途中に、コンデンサ104を直列に接続する構成も好適に採ることができる。
【0108】
本発明者が、RFアンテナ54内の電流経路(有効長)が最大になる第4の合成モード(図11)について、このモデルをシミュレーションにかけた結果、図12A〜13Bに示すような結果が得られた。
【0109】
すなわち、コンデンサ104のキャパシタンスC104を10pFに選んだ場合は、図12Aに示すように、RFアンテナ54内の電流は、中心コイル54(1)内では基準値(1A)よりも6〜7倍大きな値で略均一に分布し、周辺コイル54(2)の後半部で終端ポイントeの基準値(1A)に向かって急激に低下する。しかし、径方向におけるドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布は、図12Bに示すように理論(理想)に近いプロファイルになる。
【0110】
また、コンデンサ104のキャパシタンスC104を100pFに選んだ場合は、図13Aに示すように、RFアンテナ54内の電流分布は、中心コイル54(1)内では基準値(1A)よりも小さくて始端ポイントaに近づくほど小さくなり、周辺コイル54(2)内では基準値(1A)よりも山形に大きくなる。そして、径方向におけるドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布は、図13Bに示すように理論(理想)にはほど遠いが、コンデンサ104を設けない場合(図7Bの(e))に比して相当改善されている。なお、コンデンサ104に可変コンデンサを使用できることは勿論である。
【0111】
このように、RFアンテナ54内に、またはその後段にコンデンサ104を直列に挿入(接続)する構成においては、そのキャパシタンスC104を調整することで、RFアンテナ54内の電流経路をいずれのモードに切り換えても、径方向におけるドーナツ状プラズマ内の電流密度分布を各モードに応じた略理論通りのプロファイルとすることが可能であり、あるいは理論通りのプロファイルに所望の補正をかけることも可能である。

[RFアンテナ及びスイッチ回路網に係る実施例2]
【0112】
図14〜図19に、第2の実施例におけるRFアンテナおよびスイッチ回路網の構成を示す。
【0113】
この実施例のRFアンテナ54は、径方向において中心部と周辺部の2組のコイル54(1),54(2)に分割されるとともに、各組のコイル54(1),54(2)が左右に2分割されている。
【0114】
より詳しくは、第1組のコイル54(1)は、RFアンテナ54の中心部に位置し、並進して延びる円弧状(好ましくは半円)の第1の内側および外側コイルセグメント110A,110Bと、それら第1および第2のコイルセグメント110A,110Bとそれぞれ同一口径の円周に沿って並進して延びる円弧状(好ましくは半円)の第3および第4のコイルセグメント110C,110Dとからなる。ここで、第1および第3のコイルセグメント110A,110Cが径方向内側のコイルセグメントであり、第2および第4のコイルセグメント110B,110Dが径方向外側のコイルセグメントである。
【0115】
第1および第2のコイルセグメント110A,110Bは、アンテナの片側半分(図の左半分)の領域内で、非常に小さな、好ましくはスキンデップスδより小さな一定のギャップg1を隔てて平行度を保ちながら各々の半径を変えずに円弧状に並進して半周して、各々が半円のコイルを形成している。第3および第4のコイルセグメント110C,110Dは、アンテナの他の片側半分(図の右半分)の領域内で、非常に小さな、好ましくはスキンデップスδより小さな一定のギャップg1を隔てて平行度を保ちながら各々の半径を変えずに円弧状に並進して半周して、各々が半円のコイルを形成している。好ましくは、コイルセグメント110A,110B,110C,110Dのコイル線材およびコイル太さ(断面積)は同じでよく、それらのインピーダンスは近似している。
【0116】
一方、第2組のコイル54(2)は、RFアンテナ54の周辺部に位置し、並進して延びる円弧状(好ましくは半円)の第5および第6のコイルセグメント112A,112Bと、それら第5および第6のコイルセグメント112A,112Bとそれぞれ同一口径の円周に沿って互いに並進して延びる円弧状(好ましくは半円)の第7および第8のコイルセグメント112C,112Dとからなる。ここで、第5および第7のコイルセグメント112A,112Cが径方向内側のコイルセグメントであり、第6および第8のコイルセグメント112C,112Dが径方向外側のコイルセグメントである。
【0117】
第4および第5のコイルセグメント112A,112Bは、アンテナの片側半分(図の左半分)の領域内で、非常に小さな、好ましくはスキンデップスδより小さな一定のギャップg2を隔てて平行度を保ちながら各々の半径を変えずに円弧状に並進して半周して、各々が半円のコイルを形成している。第7および第8のコイルセグメント112C,112Dは、アンテナの他の片側半分(図の右半分)の領域内で、非常に小さな、好ましくはスキンデップスδより小さな一定のギャップg2を隔てて平行度を保ちながら各々の半径を変えずに円弧状に並進して半周して、各々が半円のコイルを形成している。好ましくは、コイルセグメント112A,112B,112C,112Dのコイル線材およびコイル太さ(断面積)は同じでよく、それらのインピーダンスは近似している。
【0118】
中心コイル54(1)においては、コイル周回方向において、第1のコイルセグメント110Aの一方の端部と第3のコイルセグメント110Cの一方の端部とがギャップを介して互いに近接し、第1のコイルセグメント110Aの他方の端部と第3のコイルセグメント110Cの他方の端部とがギャップを介して互いに近接し、第2のコイルセグメント110Bの一方の端部と第4のコイルセグメント110Dの一方の端部とがギャップを介して互いに近接し、第2のコイルセグメント110Bの他方の端部と第4のコイルセグメント110Dの他方の端部とがギャップを介して互いに近接する。
【0119】
また、コイル周回方向と直交する水平方向(コイル半径方向)において、第1および第2のコイルセグメント110A,110Bのそれぞれの一方の端部がギャップを介して互いに近接し、第1および第2のコイルセグメント110A,110Bのそれぞれの他方の端部がギャップを介して互いに近接し、第3および第4のコイルセグメント110C,110Dのそれぞれの一方の端部がギャップを介して互いに近接し、第3および第4のコイルセグメント110C,110Dのそれぞれの他方の端部がギャップを介して互いに近接する。
【0120】
周辺コイル54(2)においては、コイル周回方向において、第5のコイルセグメント112Aの一方の端部と第7のコイルセグメント112Cの一方の端部とがギャップを介して互いに近接し、第5のコイルセグメント112Aの他方の端部と第7のコイルセグメント112Cの他方の端部とがギャップを介して互いに近接し、第6のコイルセグメント112Bの一方の端部と第8のコイルセグメント112Dの一方の端部とがギャップを介して互いに近接し、第6のコイルセグメント112Bの他方の端部と第8のコイルセグメント112Dの他方の端部とがギャップを介して互いに近接する。
【0121】
また、コイル周回方向と直交する水平方向(コイル半径方向)において、第5および第6のコイルセグメント112A,112Bのそれぞれの一方の端部がギャップを介して互いに近接し、第5および第6のコイルセグメント112A,112Bのそれぞれの他方の端部がギャップを介して互いに近接し、第7および第8のコイルセグメント112C,112Dのそれぞれの一方の端部がギャップを介して互いに近接し、第7および第8のコイルセグメント112C,112Dのそれぞれの他方の端部がギャップを介して互いに近接する。
【0122】
この実施例では、中心コイル54(1)に付随して第1のスイッチ回路網114が設けられ、周辺コイル54(2)に付随して第2のスイッチ回路網115が設けられる。
【0123】
以下、第1のスイッチ回路網114の構成および作用を説明する。第1のスイッチ回路網114は、第1〜第6のスイッチ116(1),118(1),120(1),122(1),124(1),126(1)を有している。
【0124】
第1のスイッチ116(1)は、高周波給電部60からのRF給電ライン62の終端に位置する第1の端子88(1)を、第1のコイルセグメント110Aの一方の端部に接続させる位置(図15A,図19Aに示す位置)と、第3のコイルセグメント110Cの一方の端部に接続させる位置(図14Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0125】
第2のスイッチ118(1)は、第3のコイルセグメント110Cの一方の端部を、第4のコイルセグメント110Dの一方の端部に接続させる位置(図15A,図19Aに示す位置)と、第2のコイルセグメント110Bの一方の端部に接続させる位置(図16A〜図18Aに示す位置)と、第4のコイルセグメント110Dの一方の端部または第2のコイルセグメント110Bの一方の端部のいずれにも接続させない位置(図14Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0126】
第3のスイッチ120(1)は、第2のコイルセグメント110Bの一方の端部を、第1のコイルセグメント110Aの一方の端部に接続させる位置(図14A,図15A,図19Aに示す位置)と、第3のコイルセグメント110Cの一方の端部に接続させる位置(図16A〜図18Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0127】
第4のスイッチ122(1)は、第1の端子88(1)を、第1のコイルセグメント110Aの他方の端部に接続させる位置(図14Aに示す位置)と、第3のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置(図15A,図19Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0128】
第5のスイッチ124(1)は、第1のコイルセグメント110Aの他方の端部を、第4のコイルセグメント110Dの他方の端部に接続させる位置(図16A〜図18Aに示す位置)と、第2のコイルセグメント110Bの他方の端部に接続させる位置(図15A,図19Aに示す位置)と、第4のコイルセグメント110Dの他方の端部または第2のコイルセグメント110Bの他方の端部のいずれにも接続させない位置(図14Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0129】
第6のスイッチ126(1)は、第4のコイルセグメント110Dの他方の端部を、第1のコイルセグメント110Aの他方の端部に接続させる位置(図16A〜図18Aに示す位置)と、第3のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置(図14A,図15A,図19Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0130】
上記第1〜第6のスイッチ116(1)〜126(1)は、好ましくは真空スイッチまたは真空リレーからなり、制御部86の制御の下で各々独立したスイッチ駆動回路(図示せず)により切り換えられる。これら6つのスイッチ116(1)〜126(1)の切り換え位置の組み合わせ形態により、第1〜第4のコイルセグメント110A〜110D間の接続形態(つまり中心コイル54(1)内の電流経路)に関して、図15A,図19Aに示すような並列モード、図16A〜図18Aに示すような逓倍型直列モード、および図14Aに示すような相殺型直列モードの3通りのモードを採ることができる。
【0131】
ここで、並列モード(図15A,図19A)では、アンテナ左半分の領域で第1および第2のコイルセグメント110A,110BをそれぞれI/2,1/2の高周波分岐電流が正方向(図の反時計回り)に流れるのと同時に、アンテナ右半分の領域で第3および第4のコイルセグメント110C,110DをそれぞれI/2,1/2の高周波分岐電流が正方向に流れ、中心コイル54(1)全体で合成起磁力は1アンペアターン(1AT)になる。
【0132】
逓倍型直列モード(図16A〜図18A)では、アンテナ左半分の領域で第1および第2のコイルセグメント110A,110Bを高周波電流Iが正方向に流れるのと同時に、アンテナ右半分の領域で第3および第4のコイルセグメント110C,110Dを高周波電流Iが正方向に流れ、中心コイル54(1)全体の合成起磁力は2アンペアターン(2AT)になる。
【0133】
相殺型直列モード(図14A)では、アンテナ左半分の領域で高周波電流Iが第1のコイルセグメント110Aを逆方向(反時計回り)に流れ、かつ第2のコイルセグメント110Bを正方向(時計回り)に流れるのと同時に、アンテナ右半分の領域で高周波電流Iが第3のコイルセグメント110Cを逆方向(反時計回り)に流れ、かつ第2のコイルセグメント110Bを正方向(時計回り)に流れる。したがって、第1のコイルセグメント110Aと第2のコイルセグメント110Bとの間で起磁力が相殺されるとともに、第3のコイルセグメント110Cと第4のコイルセグメント110Dとの間でも起磁力が相殺され、中心コイル54(1)全体で合成起磁力は0アンペアターン(0AT)になる。
【0134】
第2のスイッチ回路網115も、上述した第1のスイッチ回路網114と同様の構成および機能を有する。すなわち、第2のスイッチ回路網115は、第7〜第12のスイッチ116(2),118(2),120(2),122(2),124(2),126(2)を有している。
【0135】
第7のスイッチ116(2)は、中心コイル54(1)を介してRF給電ライン62に接続され、または接続可能な導体の端子(第1の端子)88(2)を、第5のコイルセグメント112Aの一方の端部に接続させる位置(図15A〜図19Aに示す位置)と、第7のコイルセグメント110Cの一方の端部に接続させる位置(図14Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0136】
第8のスイッチ118(2)は、第7のコイルセグメント112Cの一方の端部を、第8のコイルセグメント112Dの一方の端部に接続させる位置(図15A,図16Aに示す位置)と、第6のコイルセグメント112Bの一方の端部に接続させる位置(図14A、図18A、図19Aに示す位置)と、第8のコイルセグメント112Dの一方の端部または第6のコイルセグメント112Bの一方の端部のいずれにも接続させない位置(図17Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0137】
第9のスイッチ120(2)は、第6のコイルセグメント112Bの一方の端部を、第5のコイルセグメント112Aの一方の端部に接続させる位置(図15A〜図17Aに示す位置)と、第7のコイルセグメント112Cの一方の端部に接続させる位置(図14A,図18A,図19に示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0138】
第10のスイッチ122(2)は、第1の端子88(2)を、第5のコイルセグメント112Aの他方の端部に接続させる位置(図14Aに示す位置)と、第7のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置図15A〜図19Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0139】
第11のスイッチ124(2)は、第5のコイルセグメント112Aの他方の端部を、第6のコイルセグメント112Bの他方の端部に接続させる位置(図15A,図16Aに示す位置)と、第8のコイルセグメント112Dの他方の端部に接続させる位置(図14A、図18A、図19Aに示す位置)と、第6のコイルセグメント112Bの他方の端部または第4のコイルセグメント112Bの他方の端部のいずれにも接続させない位置(図17Aに示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0140】
第12のスイッチ126(2)は、第8のコイルセグメント112Dの他方の端部を、第5のコイルセグメント112Aの他方の端部に接続させる位置(図15A〜図17Aに示す位置)と、第5のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置(図14A,図18A,図19に示す位置)との間で切り換え可能になっている。
【0141】
上記第7〜第12のスイッチ116(2)〜126(2)は、好ましくは真空スイッチまたは真空リレーからなり、制御部86の制御の下で各々独立したスイッチ駆動回路(図示せず)により切り換えられる。これら6つのスイッチ116(2)〜126(2)の切り換え位置の組み合わせ形態により、第5〜第8のコイルセグメント112A〜112D間の接続形態(つまり周辺コイル54(2)内の電流経路)に関して、図15A,図16Aに示すような並列モード、図14A,図18A,図19に示すような逓倍型の直列モード、および図17Aに示すような相殺型の直列モードの3通りのモードを採ることができる。
【0142】
このように、この実施例においても、第1および第2のスイッチ回路網114,115により中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)内の電流経路(電流分布)を各々独立的に3つのモード(並列モード、逓倍型直列モード、相殺型直列モード)の間で切り換え可能とし、両コイル54(1),54(2)の合成起磁力を各々独立的に3段階(0AT,1AT,2AT)に調整可能としている。したがって、RFアンテナ54内の電流経路(電流分布)または合成起磁力は、3×3(=9)通りの合成モードが選択可能である。
【0143】
本発明者がこの実施例のモデルを上記と同様の電磁界シミュレーションにかけてドーナツ状プラズマ内部の電流密度分布を計算した結果、図14A〜図19Aの合成モードについてそれぞれ図14B〜図19Bに示すようなプロファィルが得られた。図示のように、いずれのモードでも、特にRFアンテナ54内の電流経路(有効長)が相当長くなる[1AT/2AT]や[2AT/2AT]の合成モードでも、理論に近いシミュレーション結果が得られた。
【0144】
このように、この実施例においては、RFアンテナ54を構成する個々のコイルセグメント110A〜112Dの長さが実質的に半分になるので、波長効果が抑制される利点がある。さらに、中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)のいずれにおいても、プラズマとの電磁誘導結合に関して特異点となる解放端が2箇所(対称位置)存在するので、コイル周回方向における電子密度分布の偏りが抑制される利点もある。

[RFアンテナ及びスイッチ回路網に係る他の実施例]
【0145】
以上、この実施形態の誘導結合型プラズマエッチング装置に組み込み可能なRFアンテナおよびスイッチ回路網について好適な実施例を説明したが、本発明は上述した実施例に限定されず、その技術的思想の範囲内で他の実施例または種種の変形が可能である。
【0146】
たとえば、上述した第1の実施例によるRFアンテナ54において、中心コイル54(1) を構成する一対のコイルセグメント(56A,56B)または周辺コイル54(2)を構成する一対のコイルセグメント(58A,58B)は、一周の単巻コイルに限定されず、2周以上の復巻コイルであってもよい。
【0147】
各一対のコイルセグメント(56A,56B),(58A,58B)は、上記実施例のように一定のギャップg1,g2を隔てて平行に近接するのが好ましいが、平行度を多少失ってもよい。
【0148】
図示省略するが、高周波給電ライン62と中心コイル54(1) との間、中心コイル54(1) と周辺コイル54(2)との間、あるいは周辺コイル54(2)とRFアース線66との間に任意のコイルを直列に設ける構成も可能である。
【0149】
また、図20に示すように、中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)の片方、たとえば周辺コイル54(2)を単一(たとえば単巻)のコイルセグメント130で構成することも可能である。この場合は、第1のスイッチ回路網64により中心コイル54(1)内の電流経路(電流分布)が3つのモード(並列モード、逓倍型直列モード、相殺型直列モード)の間で切り換え可能であるのに対して、周辺コイル54(2)内の電流経路(電流分布)は常に起磁力[1AT]の単一モードに固定される。図示省略するが、中心コイル54(1)の方 を単一(たとえば単巻)のコイルセグメントで構成することも可能である。
【0150】
また、図21に示すように、たとえば中心コイル54(1)において、一対のコイルセグメント56A,56B間のギャップg1を任意に広げることも可能である。もっとも、この場合は、図示のように、ドーナツ状プラズマ内の電流密度分布において、中心コイル54(1)と周辺コイル(2)の2極化制御を減張つけて行うことが難しくなる。
【0151】
さらに、図22A〜図22Eに、RFアンテナ54の中心コイル54(1)および周辺コル54(2)の双方で一対のコイルセグメント(56A,56B),(58A,58B)間のギャップg1,g2を広げることも可能である。
【0152】
ここで、図22Aは[0AT/1AT]の合成モード、図22Bは[1AT/1AT]の合成モード、図22Cは[2AT/1AT]の合成モード、図22Dは[1AT/0AT]の合成モード、図22Eは[1AT/2AT]の合成モードである。図示のように、モード切り換えによる合成起磁力(つまり径方向の電流密度分布)の可変制御は十分可能である。ただし、各合成モードで得られるドーナツ状プラズマ内の電流密度分布において、中心コイル54(1)と周辺コイル(2)の2極化制御の減張は低下する。
【0153】
要するに、1組のコイルを構成する一対のコイルセグメント56A,56B同士が離れていると、それらのインピーダンスの違いが顕著になり、インピーダンスの小さい方の内側コイルセグメント56Aに流れる電流がインピーダンスの大きい方の外側コイルセグメント56Bに流れる電流よりも一段大きくなるだけでなく、その分配比がプラズマの状態に依存するようになり、各モードの合成起磁力が変動する。
【0154】
したがって、本発明のRFアンテナにおいて、1組のコイルを構成する一対のコイルセグメントは、それぞれのインピーダンスが可及的に近似するように出来るだけ近接しているのが望ましい。その点、上記のように一対のコイルセグメント間のギャップをスキンデップス以下とするのが最も好ましいが、外側のコイルセグメントの口径(たとえば内径)に対する内側のコイルセグメントの口径(内径)の比率が80%以上であれば実用的には十分望ましい。
【0155】
図23に、1組のコイルを構成する一対のコイルセグメント(56A,56B)の間で、スイッチ回路網64と接続するための解放端部(切れ目)のギャップga,gbをコイル周回方向で重ならないように適度にずらす構成を示す。この構成では、図示のように、内側コイルセグメント56Aの他方(右側)の端部と外側コイルセグメント56Bの一方(左側)の端部とがコイル周回方向で重なり(コイル中心を通る同一直線N上に位置し)、内側コイルセグメント56Aのギャップgaは直線Nの左側に位置し、外側コイルセグメント56Bのギャップgbは直線Nの右側に位置している。
【0156】
このように、一対のコイルセグメント(56A,56B)の間で解放端部(切れ目)のギャップga,gbをコイル周回方向でずらす構成によれば、プラズマ側からは1組のコイル54(1)としては切れ目の箇所が見え難くなり、方位角方向における電流密度の偏差を低減することができる。
【0157】
図24Aに示す実施例は、中心コイル54(1)と周辺コイル54(2)との間に導体板たとえば銅板からなる筒状の磁気シールド導体132を配置する。この磁気シールド導体132には、縦方向に延びるスリット134が方位角方向に一定の間隔を置いて多数設けられる。ここで、スリット134のスリット幅を方位角方向で可変にする構成が好ましい。
【0158】
このモデルのシミュレーション結果を図24Bに模式的に示すように、スリット134のスリット幅をたとえば0mmから5mmまで1mmずつ可変すると、ドーナツ状プラズマ内の電流密度分布において中心コイル54(1)の直下の電流密度を段階的にきめ細かく可変(微調整)することができる。
【0159】
図25に示す実施例は、RFアンテナ54の上方に電気的にフローティング状態で補正コイル136を配置する実施例を示す。この補正コイル136は、好ましくは、RFアンテナ54に対して同軸に配置され、径方向において所望のコイル径(口径)を有する。補正コイル136のコイル導体の材質は、導電率の高い金属、たとえば銀メッキを施した銅が好ましい。
【0160】
RFアンテナ54を流れる高周波RFHの電流によってアンテナ導体の周りに発生する高周波の交流磁界は、補正コイル136により電磁誘導の反作用の影響を受ける。この電磁誘導の反作用は、補正コイル136のループ内を貫く磁力線(磁束)の変化に逆らおうとする作用であり、補正コイル136のループに誘導起電力が発生して電流が流れる。
【0161】
こうして、補正コイル136からの電磁誘導の反作用により、補正コイル136のコイル導体(特にアンテナの内周と外周の中間当たり)の略真下の位置で、誘電体窓52近くの処理空間における磁束密度の半径方向(水平)成分が局所的に弱められ、それによって方位角方向の誘導電界の強度も、磁束密度と同様にアンテナ中間部と対応する位置で局所的に弱められる。したがって、たとえば、補正コイル136の口径を中心コイル54(1)の口径に近似する大きさに選んだ場合は、中心コイル54(1)の直下付近におけるドーナツ状プラズマ内の電流密度を下げる方向で可変調整することが可能である。
【0162】
この実施例において、好ましくは、補正コイル136のループ内にコンデンサ(好ましくは可変コンデンサ)138が設けられる。コンデンサ138の容量を可変することで、補正コイル136の直下付近におけるドーナツ状プラズマ内の電流密度を減少させることも増大させることもできる。プロセスレシピで設定される所定のプロセスパラメータ(たとえば圧力、RFパワー、ガス流量等)に応じて容量可変機構(図示せず)により補正コイル136の容量を可変することで、サセプタ12近傍のプラズマ密度分布の均一性を向上させることができる。
【0163】
図26に示す実施例は、1組のコイルを構成する一対のコイルセグメント56U,56Lを縦方向にギャップを介して重ねる構成に係わる。この場合、下部コイルセグメント56Lの切れ目のギャップS2を上部コイルセグメント56Uの切れ目のギャップS1よりも狭くすることで、下部コイルセグメント56Lの両端部とスイッチ回路網64との電気的接続(配線)を容易に行うことができる。
【0164】
図27A、図27Bおよび図28A、図28Bに示す実施例は、中心コイル54(1)および周辺コイル54(2)の各々において、並列モード[1AT]は不可であるものの、逓倍型直列モード[2AT]または相殺型直列モード[0AT]を選択できるようにしたものである。段階調整の自由度は低下するが、スッチ回路網64,68で使用するスイッチの数を減らすことができる。
【0165】
上述した実施形態における誘導結合型プラズマエッチング装置の構成は一例であり、プラズマ生成機構の各部はもちろん、プラズマ生成に直接関係しない各部の構成も種種の変形が可能である。
【0166】
たとえば、RFアンテナの基本形態として、平面形以外のタイプたとえばドーム形等も可能である。また、矩形の被処理基板に対するチャンバ構造、矩形のRFアンテナ構造、矩形の補正コイル構造も可能である。
【0167】
また、処理ガス供給部においてチャンバ10内に天井から処理ガスを導入する構成も可能であり、サセプタ12に直流バイアス制御用の高周波RFLを印加しない形態も可能である。
【0168】
さらに、本発明による誘導結合型のプラズマ処理装置またはプラズマ処理方法は、プラズマエッチングの技術分野に限定されず、プラズマCVD、プラズマ酸化、プラズマ窒化、スパッタリングなどの他のプラズマプロセスにも適用可能である。また、本発明における被処理基板は半導体ウエハに限るものではなく、フラットパネルディスプレイ用の各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等も可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が誘電体の窓からなる真空排気可能な処理容器と、
前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、
前記基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
並進して延びる第1および第2のコイルセグメントを有し、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、
前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と、
前記RFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続する並列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する逓倍型直列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する相殺型直列モードとの間で切り換え可能なスイッチ回路網と
を有するプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1および第2のコイルセグメントは一定のギャップを隔てて平行に延びる、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記スイッチ回路網は、
前記高周波給電部からの高周波給電ラインに接続され、または接続可能な第1の端子を、前記第1のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第1のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第1のスイッチと、
前記第1のコイルセグメントの他方の端部を、前記第2のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第2のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第2のコイルセグメントの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置との間で切り換え可能な第2のスイッチと、
前記第2のコイルセグメントの一方の端部を、前記第1のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第1のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第3のスイッチと
を有する、請求項1または請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記高周波給電部からの高周波給電ラインと前記第1の端子との間に第3のコイルセグメントが接続される、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第2のコイルセグメントの他方の端部と、電気的に接地電位に保たれる接地電位部材に接続され、または接続可能な第2の端子との間に、第4のコイルセグメントが接続される、請求項3または請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第2のコイルセグメントの他方の端部と、電気的に接地電位に保たれる接地電位部材に接続され、または接続可能な第2の端子との間に、コンデンサが接続される、請求項3または請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記スイッチ回路網は、
電気的に接地電位に保たれる接地電位部材に接続され、または接続可能な第2の端子を、前記第2のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第2のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第1のスイッチと、
前記第2のコイルセグメントの他方の端部を、前記第1のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第1のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第1のコイルセグメントの一方の端部または他方の端部のいずれにも接続させない位置との間で切り換え可能な第2のスイッチと、
前記第1のコイルセグメントの一方の端部を、前記第2のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第2のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第3のスイッチと
を有する、請求項1または請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第1のコイルセグメントの他方の端部と前記第2のコイルセグメントの一方の端部との間で、前記第2および第3のスイッチを介してコンデンサが接続される、請求項3または請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
コイル周回方向において、
前記第1のコイルセグメントの一方の端部と他方の端部が互いに近接し、
前記第2のコイルセグメントの一方の端部と他方の端部が互いに近接する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
コイル周回方向と直交する所定の方向において、
前記第1および第2のコイルセグメントのそれぞれの一方の端部が互いに近接し、
前記第1および第2のコイルセグメントのそれぞれの他方の端部が互いに近接する、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記第1および第2のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行で同心状に配置され、外側のコイルセグメントの口径に対する内側のコイルセグメントの口径の比率が80%以上である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記第1および第2のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行でスキンデップスより小さなギャップを隔てて同心状に配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
少なくとも一部が誘電体の窓からなる真空排気可能な処理容器と、
前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、
前記基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
並進して延びる第1および第2のコイルセグメントと、前記第1および第2のコイルセグメントよりも大きな径で並進して延びる第3および第4のコイルセグメントとを有し、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、
前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と、
前記RFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続する第1の並列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する第1の逓倍型直列モードと、前記第1のコイルセグントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する第1の相殺型直列モードとの間で切り換え可能な第1のスイッチ回路網と、
前記RFアンテナ内で、前記第3および第4のコイルセグメントを並列接続する第2の並列モードと、前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように前記第3および第4のコイルセグメントを直列接続する第2の逓倍型直列モードと、前記第3のコイルセグントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように前記第3および第4のコイルセグメントを直列接続する第2の相殺型直列モードとの間で切り換え可能な第2のスイッチ回路網と
を有するプラズマ処理装置。
【請求項14】
コイル周回方向において、
前記第1のコイルセグメントの一方の端部と他方の端部が互いに近接し、
前記第2のコイルセグメントの一方の端部と他方の端部が互いに近接し、
前記第3のコイルセグメントの一方の端部と他方の端部が互いに近接し、
前記第4のコイルセグメントの一方の端部と他方の端部が互いに近接する、
請求項13に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
コイル周回方向と直交する所定の方向において、
前記第1および第2のコイルセグメントのそれぞれの一方の端部が互いに近接し、
前記第1および第2のコイルセグメントのそれぞれの他方の端部が互いに近接し、
前記第3および第4のコイルセグメントのそれぞれの一方の端部が互いに近接し、
前記第3および第4のコイルセグメントのそれぞれの他方の端部が互いに近接する、
請求項13または請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記第1および第2のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行で同心状に配置され、外側のコイルセグメントの口径に対する内側のコイルセグメントの口径の比率が80%以上であり、
前記第3および第4のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行で同心状に配置され、外側のコイルセグメントの口径に対する内側のコイルセグメントの口径の比率が80%以上である、
請求項13〜15のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記第1および第2のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行でスキンデップスより小さなギャップを隔てて同心状に配置され、
前記第3および第4のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行でスキンデップスより小さなギャップを隔てて同心状に配置される、
請求項13〜15のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
少なくとも一部が誘電体の窓からなる真空排気可能な処理容器と、
前記処理容器内で被処理基板を保持する基板保持部と、
前記基板に所望のプラズマ処理を施すために、前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
並進して延びる円弧状の第1および第2のコイルセグメントと、前記第1および第2のコイルセグメントとそれぞれ同一の円周に沿って並進する円弧状の第3および第4のコイルセグメントとを有し、前記処理容器内で誘導結合により処理ガスのプラズマを生成するために前記誘電体窓の外に設けられるRFアンテナと、
前記処理ガスの高周波放電に適した周波数の高周波電力を前記RFアンテナに供給する高周波給電部と、
前記RFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続し、かつ前記第3および第4のコイルセグメントを並列接続する並列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになり、かつ前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように、前記第1および第3のコイルセグメントを直列接続し、かつ前記第2および第4のコイルセグメントを直列接続する逓倍型直列モードと、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になり、かつ前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように、前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続し、かつ前記第3および第4のコイルセグメントを直列接続する相殺型直列モードとの間で切り換え可能なスイッチ回路網と
を有するプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記スイッチ回路網は、
前記高周波給電部からの高周波給電ラインに接続され、または接続可能な第1の端子を、前記第1のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第3のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第1のスイッチと、
前記第3のコイルセグメントの一方の端部を、前記第4のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第2のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第4のコイルセグメントの一方の端部または前記第2のコイルセグメントの一方の端部のいずれにも接続させない位置との間で切り換え可能な第2のスイッチと、
前記第2のコイルセグメントの一方の端部を、前記第1のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第3のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第3のスイッチと、
前記第1の端子を、前記第1のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第3のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第4のスイッチと、
前記第1のコイルセグメントの他方の端部を、前記第4のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第2のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第4のコイルセグメントの他方の端部または前記第2のコイルセグメントの他方の端部のいずれにも接続させない位置との間で切り換え可能な第5のスイッチと、
前記第4のコイルセグメントの他方の端部を、前記第3のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第1のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第6のスイッチと
を有する、請求項18に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記スイッチ回路網は、
電気的に接地電位に保たれる接地電位部材に接続され、または接続可能な第2の端子を、前記第2のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第4のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第1のスイッチと、
前記第1のコイルセグメントの一方の端部を、前記第2のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第4のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第2のコイルセグメントの一方の端部または前記第4のコイルセグメントの一方の端部のいずれにも接続させない位置との間で切り換え可能な第2のスイッチと、
前記第3のコイルセグメントの一方の端部を、前記第2のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置と、前記第4のコイルセグメントの一方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第2のスイッチと、
前記第2の端子を、前記第2のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第4のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第3のスイッチと、
前記第3のコイルセグメントの他方の端部を、前記第4のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第2のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第4のコイルセグメントの他方の端部または前記第2のコイルセグメントの他方の端部のいずれにも接続させない位置との間で切り換え可能な第5のスイッチと、
前記第1のコイルセグメントの他方の端部を、前記第2のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置と、前記第4のコイルセグメントの他方の端部に接続させる位置との間で切り換え可能な第6のスイッチと
を有する、請求項18に記載のプラズマ処理装置。
【請求項21】
コイル周回方向において、
前記第1のコイルセグメントの一方の端部と前記第3のコイルセグメントの一方の端部とが互いに近接し、
前記第1のコイルセグメントの他方の端部と前記第3のコイルセグメントの他方の端部とが互いに近接し、
前記第2のコイルセグメントの一方の端部と前記第4のコイルセグメントの一方の端部とが互いに近接し、
前記第2のコイルセグメントの他方の端部と前記第4のコイルセグメントの他方の端部とが互いに近接する、
請求項18〜20のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項22】
コイル周回方向と直交する所定の方向において、
前記第1および第2のコイルセグメントのそれぞれの一方の端部が互いに近接し、
前記第1および第2のコイルセグメントのそれぞれの他方の端部が互いに近接し、
前記第3および第4のコイルセグメントのそれぞれの一方の端部が互いに近接し、
前記第3および第4のコイルセグメントのそれぞれの他方の端部が互いに近接する、
請求項18〜21のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項23】
前記第1および第2のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行で同心状に配置され、外側のコイルセグメントの半径に対する内側のコイルセグメントの半径の比率が80%以上であり、
前記第3および第4のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行で同心状に配置され、外側のコイルセグメントの半径に対する内側のコイルセグメントの半径の比率が80%以上である、
請求項18〜22のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項24】
前記第1および第2のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行でスキンデップスより小さなギャップを隔てて同心状に配置され、
前記第3および第4のコイルセグメントは、前記誘電体窓と平行でスキンデップスより小さなギャップを隔てて同心状に配置される、
請求項18〜22のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項25】
天井に誘電体の窓を有する真空排気可能な処理容器内で前記誘電体窓の下方に設定された所定位置に被処理基板を配置する工程と、
処理ガス供給部より前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する工程と、
前記処理容器内を所定の圧力で減圧状態に維持する工程と、
並進した延びる第1および第2のコイルセグメントを有し、前記誘電体窓の上方に配置されているRFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続する並列モード、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する逓倍型直列モード、または前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続する相殺型直列モードのいずれかを選択する工程と、
前記RFアンテナに高周波電源より所定周波数の高周波を印加して、前記選択されたモードで接続されている前記第1および第2のコイルセグメントに高周波電流を流す工程と、
前記第1および第2のコイルセグメントで流れる前記高周波電流に応じた高周波の磁界および誘導電界によって前記処理容器内の前記誘電体窓の近くで処理ガスのプラズマを生成する工程と、
生成された前記プラズマを前記処理容器内で拡散させる工程と、
前記プラズマの下で前記基板に所望のプラズマ処理を施す工程と
を有するプラズマ処理方法。
【請求項26】
天井に誘電体の窓を有する真空排気可能な処理容器内で前記誘電体窓の下方に設定された所定位置に被処理基板を配置する工程と、
処理ガス供給部より前記処理容器内に所望の処理ガスを供給する工程と、
前記処理容器内を所定の圧力で減圧状態に維持する工程と、
並進して延びる円弧状の第1および第2のコイルセグメントと、前記第1および第2のコイルセグメントとそれぞれ同一の円周に沿って並進して延びる円弧状の第3および第4のコイルセグメントとを有し、前記誘電体窓の上方に配置されているRFアンテナ内で、前記第1および第2のコイルセグメントを並列接続し、かつ前記第3および第4のコイルセグメントを並列接続する並列モード、前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになり、かつ前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で同じになるように、前記第1および第3のコイルセグメントを直列接続し、かつ前記第2および第4のコイルセグメントを直列接続する逓倍型直列モード、または前記第1のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第2のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になり、かつ前記第3のコイルセグメントを流れる電流の向きと前記第4のコイルセグメントを流れる電流の向きとがコイル周回方向で逆になるように、前記第1および第2のコイルセグメントを直列接続し、かつ前記第3および第4のコイルセグメントを直列接続する相殺型直列モードのいずれかを選択する工程と、
前記RFアンテナに高周波電源より所定周波数の高周波を印加して、前記選択されたモードで接続されている前記第1、第2、第3および第4のコイルセグメントに高周波電流を流す工程と、
前記第1、第2、第3および第4のコイルセグメントで流れる前記高周波電流に応じた高周波の磁界および誘導電界によって前記処理容器内の前記誘電体窓の近くで処理ガスのプラズマを生成する工程と、
生成された前記プラズマを前記処理容器内で拡散させる工程と、
前記プラズマの下で前記基板に所望のプラズマ処理を施す工程と
を有するプラズマ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図22E】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28A】
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【図28B】
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【公開番号】特開2011−198539(P2011−198539A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62179(P2010−62179)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】