説明

プラズマ処理装置

【課題】 高効率で異物粒子を検出できるパーティクルカウンターを搭載したプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】 処理室にガスを供給する手段と、処理室を減圧する排気手段と、被処理体を戴置するステージと、バタフライバルブとを備えたプラズマ処理装置において、該バタフライバルブがおおむね閉じた状態において、該バタフライバルブのブレード間に生じる間隙にパーティクルカウンターのレーザー光を通したことを特徴とするプラズマ処理装置
【効果】 パーティクルカウンターによる異物粒子の検出効率が高まるため、プラズマ処理装置の異物粒子による汚染度合いをより正確に把握できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAMやマイクロプロセッサ等の半導体装置の製造工程において、プラズマエッチングやプラズマCVDが広く用いられている。プラズマを用いた半導体装置の加工における課題の1つに被処理体に付着する異物粒子(パーティクル)の数を低減することが挙げられる。例えばエッチング処理中に被処理体の微細パターン上に異物粒子が付着すると、その部位は局所的にエッチングが阻害される。これにより断線などの不良が生じ、歩留まり低下を引き起こす。
【0003】
一般に、プラズマ処理装置においては異物粒子汚染による歩留まり低下を防ぐため、異物の発生量が所定の量を超えたら装置を分解しスワップパーツ等を洗浄する方法が採られている。異物による汚染レベルを測定する方法としては、例えば、検査用のウエハを処理室内に搬送して模擬放電等を行い、その際に付着した異物粒子の数を面板検査装置にてカウントする方法が最もよく用いられている。また、その他の方法としては、特開2005−317900にあるように処理ガスを排気するためのガスラインの途中に、該排気ラインを通過する異物数をカウントするためのパーティクルカウンターを設置し、これにより装置の汚染度を判定する方法もある。また、該パーティクルカウンターを処理室内に設置してモニタする方法もある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−317900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記で述べた従来の異物数の測定方法において、検査用のウエハを用いて面板検査装置にて異物数を測定する方法では検査用ウエハのコストが高いため、これを用いずに検査する方法があれば運用コストの観点で望ましい。また、ガスの排気ラインの途中に設置して用いるパーティクルモニタでは、検査用のウエハが不要であることがメリットであるが、処理ウエハの設置位置から遠くはなれた位置での測定となるため、処理ウエハに付着する異物の数とガス排気ラインの途中で測定した異物数では相関が取れない問題がある。一方で、該パーティクルカウンターを処理室内に設置する場合、異物粒子のカウント数が少なすぎて、処理室内の異物粒子による汚染レベルを正確に判定できない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、処理室と、当該処理室内を減圧する排気手段と、当該試料室から排気手段との間の排気コンダクタンス調整手段を備えたプラズマ処理装置において、排気コンダクタンスの調整手段に備えられた排気流路開閉用開閉バルブにより開閉される排気流路上の間隙に光を照射して、処理室ないしは真空容器内から発生する異物により散乱された散乱光を検出する光学式異物検出装置(パーティクルモニタ)を設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、異物粒子の通過点を所定の場所に絞り込み、その部分をねらってパーティクルモニタで観察するため、異物粒子の発生量を高い検出効率で測定できる。
【実施例1】
【0008】
以下、本発明の第1の実施例について、まず図1〜4を参照して説明する。図1は平行平板型UHF-ECRプラズマ処理装置に本発明を適用した例を示している。処理室1は接地してある。処理室1の上部には電磁波放射ためのアンテナ3が、被処理体2を戴置するための被処理体戴置電極4と平行に設置されている。アンテナ3の下部には分散板6を介してシャワープレート5が設置されている。処理ガスは分散板内でガスを分散し、シャワープレートに設けられたガス孔を介して処理室内に供給される。また、分散板6は内側と外側の2つの領域に分割されており、ガスの流量や組成を被処理体の中心付近と外周付近で独立に制御することで被処理体面内の加工寸法を均一にできるようになっている。
【0009】
処理室1には処理室内を減圧するためのターボ分子ポンプ17が、試料室から排気手段への排気コンダクタンス調整手段であるところのバタフライバルブユニット11を介して取り付けられている。ターボ分子ポンプの下流側には、ドライポンプ16が接続されている。排気コンダクタンス調整手段は、通常、開閉バルブを備えており、当該開閉バルブを開閉することにより、試料室と排気手段間の排気流路の大きさを調整できるようになっている。本実施例の場合は、バタフライバルブユニット11にブレード(羽)が2枚設置されており、該ブレードが閉じると処理室内の排気速度が低下し、該ブレードが開くと排気速度が速くなる。また、バタフライバルブユニットの上部には上下に駆動するバルブ42が設置されている。処理室を排気開放する際は、該バルブを下に下げて真空排気系と処理室を遮断し、処理室内にパージのための窒素ガス等を供給する。
【0010】
アンテナ3にはプラズマ生成のため高周波ソース電源20が整合器22−1とフィルタ25を介して接続されている。処理室の外側には磁場生成のため、コイル26とヨーク27が設置されている。プラズマは該アンテナ3から放射されるプラズマ生成用の高周波電力と磁場との相互作用による電子サイクロトロン共鳴により効率的に生成される。また磁場分布を制御することでプラズマの生成分布とプラズマの輸送を制御することができる。アンテナ3には該アンテナに高周波バイアス電力を印加するためのバイアス電源21−1が整合器22−2とフィルタ25を介して接続されている。該フィルタ25はプラズマ生成用の高周波電力がアンテナのバイアス用高周波電源21−1に流れ込まないようにするためと、アンテナのバイアス高周波電力がプラズマ生成用のソース電源側に流入しないようにするためのものでる。戴置電極4には被処理体2に入射するイオンを加速するため、バイアス電源21−2が整合器22−3を介して接続されている。
【0011】
戴置電極4に印加するバイアス用高周波電力と、前記アンテナ3に印加するアンテナバイアス用高周波電力はお互いに同じ周波数とする。そしてアンテナに印加するアンテナバイアス用の高周波電力とステージに印加するバイアス用の高周波電力の位相差は位相制御器(図示せず)によって制御する。該位相差を180°とすると、プラズマ閉じ込めが向上し、処理室の側壁に入射するイオンのフラックスやエネルギーが減少する。これにより壁の消耗等に起因する異物の発生量を減少させたり、壁材料のコーティングなどの寿命を延ばしたりすることができる。逆に処理室側壁に堆積したデポ物を除去するための酸素等によるクリーニング放電の際は、該位相差を0°とすることにより、プラズマを処理室側壁まで広げてクリーニング速度を速めることができる。
【0012】
戴置電極4には被処理体を静電吸着によって固定するためDC電源(図示せず)が接続されている。また、ステージ4には被処理体を冷却するため、被処理体裏面にヘリウムガスを供給できるようになっており、且つ被処理体と内側部分と被処理体の外周部分を独立に温度調整できるようにするため、被処理体裏面の内側部分にヘリウムガスを供給するためのガスラインと、被処理体裏面の外周部分にヘリウムガスを供給するためのガスラインが設置されている(図示せず)。
【0013】
以上、図1を用いて本実施例のプラズマ処理装置のハード構成について説明したが、装置の各構成要素、例えばバタフライバルブ11のブレードの開閉用モータやターボ分子ポンプ17、ドライポンプ16、あるいはバイアス電源21,整合器22などの各動作は、図示しない制御装置により制御されているものとする。
【0014】
次に異物粒子の発生等について述べる。ここで言う異物粒子とは一般にパーティクルとも言われており、粒径は100nm以下から1μmを超えるものまで様々である。異物粒子の種類としては、アルマイト(Al2O3)内壁材の消耗により発生するAlF系異物、Si部品から発生するSi系異物、石英部品から発生するSiO系異物、堆積性の強いCFガスを用いた時に発生するCF系異物、SUS製の駆動機構系から発生するFe・Cr系異物がある。これらの異物粒子がチャンバー内に飛散する要因には駆動部での機械的動作、熱応力による剥離、急激なガスの流れの変化、急激な電場の変化による舞い上げなどがある。異物粒子の発生量や異物粒子の種類は、発生場所や要因によって大きく異なるが、異物粒子はチャンバー側壁やシャワープレートなどの上部天板、戴置電極など、様々な場所から発生する。
【0015】
発生した異物粒子は静電気力、重力、イオン抗力、ガス粘性力、熱泳動力など様々な力を受けて輸送される。プラズマ中では静電気力やイオン抗力が大きな力となるが、プラズマ処理前後のプラズマが点いていない場合や、プラズマから遠く離れた場所では、ガスの流れが異物粒子の輸送に大きな影響を与えることが知られている。図1に示した装置ではガスはシャワープレートから供給され、バタフライバルブ、ターボ分子ポンプを経て排気される。そのため、例えばウエハ直上の空間で発生した異物粒子は、図1の例ではガスの流れによって形成される所定の流路を通ってバタフライバルブの設置されている左下方向に輸送される。
【0016】
次に異物粒子(パーティクル)検出部分について述べる。パーティクルカウンターはバタフライバルブユニットに取り付けており(図1ではレーザー光70以外は図示せず)、図2に示すように、バタフライバルブユニットのブレード120がおおむね閉まっているときにできる間隙にレーザー光70を通すようにしている。図3はパーティクルモニタを取り付けたバタフライバルブユニットを示している。図3Aは断面を上方から見た図、図3Bは側面から見た図を示している。レーザー光はレーザー光源ユニット60から発振され、ブレード120間の隙間を通って、レーザー終端ユニット62にて終端する。異物粒子がレーザー光を横切ると、異物粒子によりレーザー光が散乱される。この散乱光をモニタすることによってパーティクルの通過を検出するため、レーザー光源ユニット60には光検出装置が組み込まれている。なお、パーティクルモニタとは、ここではレーザー光源ユニット60と、レーザー終端ユニット62のセットを言う。また、本実施例ではレーザー散乱光の検出部はレーザー光源ユニットに内蔵されているものとしたが、検出部はレーザー光源ユニットとは独立であってもよい。この場合、後方散乱に限らず、側方散乱や前方散乱などの任意の角度の散乱光を測定できるメリットがある。また、異物粒子がレーザー光をさえ切ると、レーザー終端部に到達するレーザー光の強度が低下するため、これをモニタすることでもパーティクルの通過を検出可能であり、ビーム終端部に光検出装置を組み込む方法によって異物粒子を検出する方式でもよい。
【0017】
次にバタフライバルブユニットにパーティクルモニタを設置するメリットについて図4、図5を参照に説明する。図4Aはバタフライバルブの開度を小さくした場合(ほとんど閉めた状態)、図4Bはバタフライバルブを全開にした状態を示している。処理室内にはシャワープレートからガスを供給しており、処理室内の破線の曲線はガスの流れ、実線の曲線は異物粒子の軌跡を示している。ガスを流し、処理室内の圧力が例えば数Paを超えると、例えば粒径0.1μmの異物粒子の運動はガスの流れの影響を大きく受けるようになる。図4Aに示したようにバタフライバルブが開いているときはガスの流れがブレードによって絞られることがないため、バタフライバルブユニット内の異物粒子の通過経路はバタフライバルブユニット全体に広がったものになる。そのため、この状態で例えばバタフライバルブユニットや、バタフライバルブユニットの上方にパーティクルモニタを設置しても、検出効率が悪く、プラズマ処理装置内の異物粒子による汚染度を正確に判定できるだけの異物粒子のカウントを得られない可能性が高い。
【0018】
対して、バタフライバルブ閉まりかけているときはガスがブレードのわずかな隙間を通って流れるため、異物粒子もそのガスの流れに乗ってブレードの隙間を通過する。そのため、この隙間にレーザーを通してパーティクルを検出すれば高効率でパーティクルの通過をカウントできる。その例を図5に示す。図5Aはバタフライバルブをおおむね閉じた図4Aの状態での異物の計測数例、図5Bはバタフライバルブを全開にした図4Bの状態での異物の計測数例を示している。図中の●のプロットはパーティクルカウンターの異物カウント数推移、■のプロットは検査ウエハを用いてウエハに落下した異物数を面板検査装置で数えた結果を示している。なお、図5Bのパーティクルカウンターでの異物計測数は、例えばパーティクルカウンターをバタフライバルブユニットの上方や電極下方に設置した場合とほとんど同じ結果となる。図5Aでは、例えばウエハ番号26における検査ウエハでの異物数は約50であり、他の検査ウエハでの測定値が10個レベルである。即ち、26番目のウエハで突発的に異物が多数発生している。パーティクルカウンターでの測定を見ても、ウエハ番号26付近でカウント数が大きく増加しており、検査ウエハでの測定とパーティクルカウンターの測定で相関があることが分かる。対して図5Bではパーティクルカウンターでの異物計測数が数個レベルと少ない。検査ウエハを用いた測定では7枚目と31枚目において、突発的に異物が発生しているが、パーティクルカウンターではその傾向はとらえられていない。この原因は、パーティクルカウンターでの異物検出数が少なすぎるためであると考えられる。即ち、パーティクルカウンターの活用には検出効率を上げることが重要であることがわかる。
【0019】
次に図6を用いてレーザーの位置とブレードの位置関係についてより詳細を説明する。図6にはレーザーの位置や大きさの違う3種類についてレーザー光の断面70-A、70-B、70-Cについて示してある。点線122はブレードの開度が変化するときのブレードの先端の軌跡を示している。レーザー光70-Aに対してレーザー光70-Bは、レーザー光の直径が小さいが、どちらもブレードの軌跡122にはかかっていない。対して、レーザー光70-Cはレーザー光がブレードの軌跡にかかっている。即ち、ブレードの開度を下げたときブレードの先端がレーザー光に接触する。この場合、ブレードによって散乱されたレーザー光が光り検出部で検出され、異物として誤カウントしてしまう。従って、レーザー光の位置や断面の大きさが70-Cのような場合では、バタフライバルブの開度に異物を正しくカウントできない領域が生じてしまう。そのため、レーザー光は、ブレードの開度にかかわらず、ブレードの先端がかからないように大きさと位置を調整しなければならない。ここで開度とはバタフライバルブがどれくらい開いているかを示す指標であり、例えばバタフライバルブが最も閉じている状態を開度0%、最大に開いているときを開度100%という。
【0020】
なお、図7のように複数のレーザー光を通して、ブレードにかかる位置にあるレーザーはOFFにして、ブレードにかからないレーザー光のみをONにする、即ち、ブレードの動きに連動して、ONにするレーザー光を切り替える方法もある。図7のブレードの位置の場合には、例えばレーザー光70-Dと70-EはONにして、70-FはOFFにするとよい。このような動作は、ブレードの開度に応じて、ONにするレーザー光を自動的に切り替えるようにする。
【0021】
また図8に示したようにブレードの位置に連動してレーザー光の直径を変化させるようにしてもよい。図8Aでは図8Bに対してレーザーの直径が大きくなっている。これはブレードの先端にレーザー光が当たらないぎりぎりのところまでレーザー光を拡大しているためである。レーザー光の直径を変える用法しては、レーザー光源ユニット60内に複数のレンズを設置し、該複数のレンズの距離等を自動的に調整することによって行うことが望ましい。
【0022】
なお、これまでは、ブレードを2枚備えたバタフライバルブに本発明を適用した場合について述べてきたが、次に、ブレードの枚数が3枚以上の場合について図9を用いて述べる。図9ではブレードを4枚搭載したバタフライバルブにパーティクルカウンターを搭載した例を示している。図9Aは上方から見た概要、図9Bは側面の概要を示している。ブレードとブレードの隙間は3カ所あるため、図9では3本のレーザー光を通している。もちろん、どこかの隙間に絞って、レーザー光を1本または2本にしてもよい。
【0023】
また、図10に示すように、ブレードが1枚のバルブにも適用可能である。図10Aは上方から見た概要、図10Bは側面の概要を示している。この場合、バルブユニットの側壁とブレードの隙間にレーザー光を通すようにすればよい。
【0024】
なお、これまでの説明では、処理室の圧力調整手段にバタフライバルブを用いている場合について示したが、その他のコンダクタンス調整方式でも本発明を適用できる。
【実施例2】
【0025】
そこで第2の実施例について図11を用いて説明する。図11では排気速度の調整のための手段が、図1に示したバタフライバルブの代わりに、ゲート(扉)が横にスライドする方式のゲートバルブとなっている。図11Aはゲートがおおむね閉じた状態、図11Bはゲートが全開の状態を示している。なお図11ではパーティクルモニタに関してレーザー光70の位置を示し、レーザー光源ユニット等は図示を省略した。この場合でも、ゲートがほとんど閉じたときにできる間隙にレーザー光70を通して、異物数をカウントするようにしている。即ちゲート間の間隙を通るようにガスが流れるようにし、これによって異物粒子がレーザーの照射している部分を通過するようにしたことで、異物粒子を高効率で検出できる。なお、ゲートバルブにパーティクルカウンターを設置する場合は、ゲートバルブが完全に閉まった状態でもゲートがレーザー光さえぎらないように、ゲート高さに対して、やや上方か、あるいはやや下方にレーザー光を通すようにしなければならない。また、図11ではゲートが2枚の場合の装置を示したが、例えばゲートが1枚の装置でも同様であり、ゲートが閉まりかけたときにできる隙間にレーザーを通すようにすればよい。ゲートバルブを用いる場合、図1に示したような真空排気系と処理室を遮断するバルブ42の役割をゲートバルブ自体が担うため、必要なバルブ数が少なくなるメリットがある。
【実施例3】
【0026】
次に本発明の第3の実施例について図12を用いて説明する。図1と同様の構成部分については説明を省略する。本発明ではバタフライバルブのブレードに対して所定のバイアス電力を印可できるようにするため、ブレード120にDC電源24を接続した。ブレードはバタフライバルブユニットまたは処理装置全体に対して絶縁してあるものとする。被処理体をエッチング処理している時は、プラズマ中を浮遊する異物粒子は一般に負に帯電している。そのため、プラズマが点いている時に排気側に流れ込んでくる異物粒子は負に帯電している。そのため、該バタフライバルブのブレードに例えば負のバイアス電圧を印可することにより、より多くの異物粒子をレーザー70が通っている位置を通過するようにできる。さらに、プラズマが点いていない状態でも、壁に付着した異物粒子が絶縁性である場合、または壁自体が絶縁性である場合は、異物粒子の電荷が一部保存され、プラズマOFF後に壁等から剥離した異物粒子も例えば負に帯電している可能性が高い。従って、プラズマが点いていない場合でも、ブレードに電圧を印加して異物粒子をレーザーの照射している位置を通るように、ガスの流れに加えて、静電気力によって輸送を制御することにより、より高効率で異物粒子を検出できる。
【0027】
なお、図11に示したように、排気速度調整手段としてゲートバルブを用いた場合も同様であり、ゲート部分にバイアス電力を印加するためのバイアス電源をゲートに接続してもよい。さらに、ゲートが1枚のゲートバルブを用いたときは、ゲートと該ゲートに対抗した壁面にバイアス電力を印加できるようにすればよい。また、図12ではDC電源をバイアス電源として用いているが、DCではなく高周波の電力を印加できるようにしてもよい。本実施例により、異物粒子の検出効率が、実施例1,2の構成に比べて更に増大する。
【実施例4】
【0028】
次に本発明の第4の実施例について図13を用いて説明する。本実施例では異物粒子を所定の場所を通過させるためのワイヤー状の電極52をバタフライバルブやターボ分子ポンプ等から成る排気系と戴置電極の間の空間に設置した。図13では電極52は紙面の上方から下方に伸びている。該電極にはDCのバイアス電力を印可し、該電極間にレーザー光70を通している。このような構成によって静電気力で異物粒子の通過点を狭い領域に絞り込み、そこにレーザー光を通すことによっても検出感度を高めることが可能である。
【0029】
また、本方式の場合、電極の太さや大きさや形状は、処理室全体の排気コンダクタンスを大きく低下させない程度にすることが望ましい。即ち、該電極52によってガスが流れる領域を大きく制限することは望ましくない。従って、異物粒子のガスに乗った輸送を制御する効果は図12の方式よりは少ない。一方で電極の形状や設置位置の自由度が高いため、静電気力による異物粒子の輸送制御の効果は図12の方式よりも大きくするこが可能である。特に、処理室内にイオナイザー等を設置して異物粒子を意図的に帯電させるような機能を処理室内に備えている場合は、本方式の方が高効率で異物粒子を検出できる場合がある。電極の設置位置はシャワーププレートから供給したガスの流れの下流側の例えば、戴置電極と排気系のポートの間、あるいはバタフライバルブ等の排気コンダクタンス調整手段の上方とすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を平行平板型ECRプラズマ処理装置に適用した第1の実施例の概略図である。
【図2】バタフライバルブのブレードとレーザー光の位置関係を説明する図である。
【図3】バタフライバルブユニットとパーティクルモニタを説明する図である。
【図4】バタフライバルブの開度による異物粒子の輸送の違いを説明する図である。
【図5】パーティクルカウンターの測定値と検査ウエハでの測定値の比較を示す図である。
【図6】レーザー光の直径と高さ位置とブレード位置の関係を説明する図である。
【図7】レーザー光を複数本通した場合を説明する図である。
【図8】レーザー光断面の直径を可変にした場合を説明する図である。
【図9】ブレードを4枚備えたバタフライバルブに本発明を適用した場合を説明する図である。
【図10】ブレードが1枚のバルブに本発明を適用した場合を説明する図である。
【図11】本発明をプラズマ処理装置に適用した第2の実施例の概略図である。
【図12】本発明をプラズマ処理装置に適用した第3の実施例の概略図である。
【図13】本発明をプラズマ処理装置に適用した第4の実施例の概略図である。
【符号の説明】
【0031】
1:処理室、2:被処理体、3:アンテナ、4:戴置電極、5:シャワープレート、6:分散板、10:排気手段、11:バタフライバルブユニット、16:ドライポンプ、17:ターボ分子ポンプ、20:ソース電源、21:バイアス電源、22:整合器、24:DC電源、25:フィルタ、26:コイル、27:ヨーク、40:ゲートバルブユニット、42:バルブ、50:異物粒子(パーティクル)、52:電極、60:レーザー光源ユニット、62:レーザー終端ユニット、70:レーザー光、120:ブレード、121:ゲート、122:ブレードの先端の軌跡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を内部に載置し、当該載置された試料を処理するためのプラズマが生成される処理室と、当該処理室内にガスを供給する手段と、処理室を減圧する排気手段と、前記試料室と排気手段との排気コンダクタンスの調整手段とを備えたプラズマ処理装置において、
前記コンダクタンスの調整手段は、開閉バルブを備え、
前記プラズマ処理装置は、前記開閉バルブ近傍に設けられた光学式パーティクルモニターを備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
試料を内部に載置し、当該載置された試料を処理するためのプラズマが生成される処理室と、当該処理室内にガスを供給する手段と、処理室を減圧する排気手段と、前記試料室と排気手段との排気コンダクタンスの調整手段とを備えたプラズマ処理装置において、
前記コンダクタンスの調整手段は、前記試料室側と前記排気手段との間の排気流路を開閉する開閉バルブを備え、
前記プラズマ処理装置は、前記開閉バルブにより開閉される排気流路上の間隙に光を照射するための光照射手段と、当該光の照射により発生する散乱光を検出する散乱光検出手段とを備えた光学式パーティクルモニターを有することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプラズマ処理装置において、
前記開閉バルブが、バタフライバルブまたはゲートバルブであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のプラズマ処理装置において、
前記開閉バルブにバイアスを印加する手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載のプラズマ処理装置において、
前記光照射手段として複数の光源を有し、
更に、前記開閉バルブの開閉動作に合わせて前記複数の光源の光照射のON/OFFを切り換える手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載のプラズマ処理装置において、
前記光照射手段として、照射される光のスポット径が可変な光照射手段を用い、
更に、当該照射光のスポット径を前記開閉バルブの開閉率に応じて制御する制御手段を備えたことを特徴とするプラズマ制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載のプラズマ処理装置において、
前記開閉バルブが複数のブレードにより構成されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載のプラズマ処理装置において、
前記処理室内に発生する帯電した異物粒子の輸送を制御する輸送制御手段を備え、
当該輸送制御手段が、前記試料室から排気手段への排気流路上に設けられたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載のプラズマ処理装置において、
前記輸送制御手段は、所定電位が印加される電極であることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項10】
処理室と、処理室にガスを供給する手段と、処理室を減圧する排気手段とを備えたプラズマ処理装置において、
処理室内に帯電した異物粒子の輸送を制御するための電極を設置し、該電極によって異物を所定の位置を通過するようにバイアス電力を調整し、該異物粒子の通過点にパーティクルモニタのレーザー光を照射したことを特徴とするプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−117562(P2009−117562A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288006(P2007−288006)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】