説明

プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】 外部に取り出されたり梱包状態にあるプロセスカートリッジからの現像剤の漏れ出しを特別な構造部品を準備するようなことなく行える構成を備えたプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】 空間内で上下関係を持たせた機器を収容可能であって、該機器のうちの一つ126K1が、これの下方に位置する機器126K2から延長した垂直線L2から水平方向に離れた関係に位置決めされて収容されている筐体101で構成されているプロセスカートリッジにおいて、筐体101の底面101Aは水平面に対して傾斜させた面とされ、傾斜面の向きとして、上記下方に位置する機器126K2の収容空間で上記機器の一つ126K1から遠い位置に向けて内部に収容されている物質を移動させることができる向きを設定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット支持装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、画像形成に関わる作像機器が纏めて収納されているプロセスカートリッジの位置決め機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体に対して形成された静電潜像を現像装置により可視像処理し、可視像をシートなどに転写することにより記録出力を得ることができる。このような画像形成装置の形式の一つとして、複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される上記形式が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
感光体は単一色のみを対象として1個設ける構成だけでなく、複数の色毎の画像を形成するために複数設けた構成があり、後者の場合にはフルカラー画像を含む多色画像を形成する場合に用いられる。
【0004】
例えばフルカラー画像を得る方式としては、色分解色に対する補色関係にある色のトナーなどの現像剤を用いて感光体毎に形成された色画像を搬送されてくるシートに対して順次重畳転写する方式あるいは感光体毎の色画像を中間転写体に対して順次転写した後、中間転写体上で重畳転写された画像をシートに対して一括転写する方式がある。
【0005】
一方、複数の感光体を用いる場合の構成の一つとして、上記方式のうちで後者の方式を採用する構成には、色毎の画像を形成可能な感光体をこの感光体からの画像が重畳転写される中間転写体としてのベルトの展張方向に沿って並置した、いわゆる、タンデム構造が知られている(例えば、特許文献2)。
【0006】
タンデム構造を用いる画像形成装置の構成との一つとして、装置の小型化を目的として、並置された色毎の画像作成ステーションおよびこれに対峙する転写装置を傾斜させて配置する構成が提案されている(例えば、特許文献3)。
【0007】
上述した傾斜配置の構成を含めてタンデム構造を用いて複数の色の画像形成が可能な構成においては、各色毎の画像形成用に感光体およびこれに対して画像形成処理を実行する作像機器を纏めてカートリッジ内に収容し、これを作像用のプロセスカートリッジとして画像形成装置内に組み込むようにした構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−6679号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2003−316107号公報(段落「0010」欄)
【特許文献3】特開2003−202728号公報(段落「0015」欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
プロセスカートリッジには、感光体および感光体に形成された静電潜像を可視像処理する現像装置を含む構成があるが、従来、プロセスカートリッジは、運搬や設置時で生じる振動や揺れなどが原因して、内部に装備されている現像装置内からの不用意な現像剤の漏洩が発生する場合があることを考慮して画像形成装置とは別に梱包された部品として取り扱われることがある。
【0010】
また、画像形成装置に装填された後の使用過程において部品の寿命などにより交換する必要がある場合あるいは画像形成装置内部の保守点検などにおいてそのための空間を設ける場合などには、画像形成装置から引き出され、例えば机上などの水平面に載置されることがある。
【0011】
一方、画像形成装置から独立して着脱可能な関係にあるプロセスカートリッジには、内部に装備している現像装置内に予めある程度の現像剤を充填しておき、画像形成装置に実装された段階で現像剤の供給を迅速化することが行われる場合がある。そして、この場合の現像剤としてトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤が用いられることがある。
【0012】
二成分系現像剤は、キャリアとトナーとの攪拌混合によりトナーの必要帯電量を確保することが必要であり、このための構成としては、特許文献2,3に開示されているように、一対の搬送スクリューを設けてこの搬送スクリューが収容されている空間と現像スリーブが収容されている空間とを別にして搬送スクリューの収容空間内で現像剤の攪拌帯電動作を行う一方、新規のプロセスカートリッジの場合には、この空間にある程度の量の帯電済み現像剤が充填されている。
【0013】
新規のプロセスカートリッジの場合、搬送スクリューが収容されている空間を現像スリーブが収容されてる空間と区別し、その境界には現像スリーブの収容空間内に搬送スクリューの収容空間内に充填されている現像剤が不用意に入り込まないようにシール部材によって封止されている。
【0014】
新規のプロセスカートリッジにおいて搬送スクリューの収容空間と現像スリーブの収容空間とを封止して現像スリーブ側への現像剤の進入を防止する理由は、現像スリーブが感光体と対向する位置近傍に存在する現像スリーブ外周面と収容空間内面との間の隙間から現像剤が外部に漏出するのを防止するためである。
【0015】
新規のプロセスカートリッジは、画像形成装置に実装後、両方の空間を封止していたシール部材を外部に引き抜くことで両方の空間同士が連通させられることにより搬送スクリューによる現像スリーブへの現像剤の供給搬送ができる状態、とされる。
【0016】
ところで、一対の搬送スクリューを下方位置に配置し、その上方に現像スリーブを配置した構成を対象としたプロセスカートリッジは、特許文献2,3に開示されているように、転写装置の傾斜に合わせて並べられて配置されるが、次のような問題があった。
【0017】
図11は、傾斜した状態の展張部分を有する転写ベルトTに沿ってプロセスカートリッジを並置した従来構造を示しており、同図においてプロセスカートリッジPは、画像形成装置の支持部に設けてあるガイド部Bに底面が搭載されて紙面に対して直角な方向で摺動可能に支持されている。
【0018】
プロセスカートリッジP内には、ユニット構成からなる現像装置Cが配置されており、現像装置Cは、その底面が水平面で構成されるガイド部Bの上面に載置されている。
【0019】
現像装置Cには、感光体Dと対向する現像スリーブC1と、スクリューオーガが用いられる攪拌搬送部材C2,C2’と、感光体Dに対面する間に現像スリーブC1の周面に担持されている現像剤の高さを規定するドクターブレードC3とが設けられている。
【0020】
図11に示す現像ユニットでは、以下の理由により、内部に収容される機器の一つである現像スリーブC1がこれの下方に配置されている攪拌搬送部材の一方C2に対して、攪拌搬送部材C2から延長された垂直線より水平方向に離れた関係で位置決めされている。
つまり、攪拌搬送部材C2から現像剤を供給される現像スリーブC1は、その回転位相において、現像剤の受け取り部分、現像剤の層厚規定部分が感光体Dに対向する以前に必要となることから、上記各部分に相当する周長を確保するために軸心位置を攪拌搬送部材C2の軸心位置の直上ではなく水平方向にずらす構成(図11において符号Xで示す状態)が採用されている。
【0021】
このため、新規のプロセスカートリッジあるいは画像形成装置から取り出されたプロセスカートリッジを机上などの水平面に載置した場合には、画像形成処理時と同じ状態、つまり、現像スリーブC1が感光体Dに対向して現像剤を供給できる態勢であるので、現像スリーブC1に付着している現像剤が不用意に外部に漏れ出したりあるいは現像スリーブC1と攪拌搬送部材C2との収容空間が封止されていないような場合には現像スリーブC1の収容空間側に現像剤が進入することもあり、これによって現像スリーブC1の外周面が露出する位置から現像剤が外部に漏れ出すこともある。
【0022】
そこで、現像装置を構成するユニットを机上などの水平面に置く際には、現像スリーブC1の露出部分が画像形成時と同じ向きにならないようにプロセスカートリッジの姿勢を設定するための特別な載置台などを準備しておき、この載置台にプロセスカートリッジを載せておくというような処置が必要となる。
【0023】
特別な載置台をユーザに準備させることは難しく、サービスマンコールなどの処置に頼ることになり、これによって、画像形成処理が中断されてしまうこともある。
【0024】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置、特に、プロセスカートリッジに含まれる現像装置における問題に鑑み、外部に取り出されたり梱包状態にあるプロセスカートリッジからの現像剤の漏れ出しを特別な構造部品を準備するようなことなくおこなえる構成を備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
請求項1記載の発明は、空間内で上下関係を持たせた機器を収容可能であって、該機器のうちの一つが、これの下方に位置する機器から延長した垂直線から水平方向に離れた関係に位置決めされて収容されている筐体で構成されているプロセスカートリッジにおいて、上記筐体の底面は水平面に対して傾斜させた面とされ、傾斜面の向きとして、該底面を水平面に載置した際に、上記機器の一つがこれの下方に位置する機器の垂直線に向けて変位することができる向きに設定されていることを特徴としている。
【0026】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプロセスカートリッジにおいて、内部に収容されている機器として、潜像担持体と、該潜像担持体に対して現像剤を静電的に吸着させる現像スリーブと、該現像スリーブよりも下方位置で該現像スリーブが収容されている空間とは別の空間内に配置されて該現像スリーブに現像剤を供給搬送かつ攪拌混合可能な搬送部材とが纏められて用いられ、上記底面は、上記水平面に載置された際に上記現像スリーブと搬送部材との中心同士を結ぶ線が上記搬送部材の中心を通過する垂直線に近づくことにより、上記搬送部材の収容空間内で上記現像スリーブの軸心から遠い位置に現像剤を集約させることができる傾斜角度を持たせて形成されていることを特徴としている。
【0027】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のプロセスカートリッジにおいて、上記現像スリーブが収容されている空間と上記攪拌部材が収容されている空間との間には取り外し可能なシール部材が設けられていることを特徴としている。 請求項4記載の発明は、請求項2または3記載のプロセスカートリッジにおいて、上記搬送部材は、第1および第2の搬送スクリューが用いられ、各搬送スクリューは、上記傾斜した底面とは独立して水平方向に並置されていることを特徴としている。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項乃至4のうちの一つに記載のプロセスカートリッジを画像形成装置に用いることを特徴としている。
【0029】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像形成装置において、上記プロセスカートリッジ内で搬送部材が収容されている空間には、予めトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤が充填されていることを特徴としている。
【0030】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の画像形成装置において、上記プロセスカートリッジが装置本体に対して着脱可能に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0031】
請求項1記載の発明によれば、空間内に収容されている機器の一つがこれの下方に位置する機器から延長した垂直線から水平方向に離れた関係に位置決めされて収容されている筐体構造において、底面が水平面に対して傾斜面とされ、傾斜面の向きとして、この底面を水平面に載置した際に機器の一つがこれの下方に位置する機器の垂直線に向けて変位することができる向きとされているので、底面を水平面に載置すると、機器の一つがこの下方に位置する機器の上方近傍に移動し、換言すれば、起き上がる状態が得れる。これにより、プロセスカートリッジが水平面に載置されると内部の空間全体が傾き、例えば、流動する物質が充填されている場合には重力に逆らわない方向に強制的に移動させることが可能となる。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、水平面に載置された際には現像スリーブの収容空間内および搬送部材の収容空間内に現像剤が現像スリーブの軸心から遠い位置に集約できるように傾けられるので、現像スリーブ側への現像剤を移動を阻止してスリーブ近傍から現像剤が漏れ出すのを防止することが可能となる。
【0033】
請求項3記載の発明によれば、現像スリーブの収容空間と搬送部材の収容空間との間がシール部材により封止されているので、底面の形態も相俟って搬送空間から不用意に現像剤が現像スリーブの収容空間内に入り込むことがない。これにより、現像スリーブ外周面と筐体内壁との間の隙間から外部に現像剤が漏れ出すのを確実に防止できる、特に、底面の傾斜により現像剤が重力に従って搬送部材の収容空間における現像スリーブの軸心から遠い位置に集約されることになるので、搬送部材の収容空間から現像剤が現像スリーブの収容空間に向けて移動するのを阻止して現像スリーブの収容空間からの漏れ出しを抑止することができる。
【0034】
請求項4記載の発明によれば、搬送部材として第1,第2の搬送スクリューが底面の傾斜に関係なく水平方向に並置されているので、底面が水平面に載置された際には必然的に収容空間が傾き、現像剤を重力方向に移動させやすくできるので、搬送部材の収容空間から現像スリーブの収容空間に向けた現像剤の移動を抑制して現像スリーブ側からの現像剤の漏れ出しを防止することが可能となる。
【0035】
請求項5乃至7記載の発明によれば、プロセスカートリッジが装置本体と別に梱包されている状態の時にプロセスカートリッジを机上などに置いた場合の現像剤の漏れ出しをプロセスカートリッジ自身で解消することができるので、ユーザにより特別な載置台等の準備を強制することが無く、また、サービスマンコールなどによる画像形成処理の中断も低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図示実施例により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例】
【0037】
図1は、本発明の実施例によるプロセスカートリッジを用いる画像形成装置の一例を示す模式図であり、同図に示す画像形成装置は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラープリンタである。なお、本発明では、図1に示すプリンタに限らず、複写機、ファクシミリ装置あるいは印刷機なども画像形成装置として含んでいる。
【0038】
図1において、画像形成装置120は、次に挙げる各装置を備えている。
原稿画像に応じた各色毎の画像を形成する作像装置121Y、121C、121M、121Kと、各作像装置121Y、121C、121M、121Kに対向して配置された転写装置122と、各作像装置121Y、121C、121M、121Kと転写装置122とが対向する転写領域に記録シートを供給するシート供給手段としての手差しトレイ(図示されず)、給紙装置124に装備されている給紙カセット124Aと、該手差しトレイあるいは給紙カセット124から搬送されてきた記録シートを作像装置121Y、121C、121M、121Kによる作像タイミングに合わせて供給するレジストローラ130と、転写領域において転写後のシート状媒体の定着を行う定着装置110である。
【0039】
定着装置110は、詳細を説明しないが、対向する定着ローラと加圧ローラと定着ローラおよび加熱ローラにそれぞれ掛け回された定着ベルトとを備えたベルト定着方式が用いられており、加熱ローラにより加熱された定着ベルトが定着ローラと加圧ローラとで形成される定着ニップ部を通過するシートに接触して未定着トナー像を熱および圧力により融解、浸透作用により定着させる構成となっている。
【0040】
転写装置122は、転写体として複数のローラに掛け回されているベルト(以下、これを転写ベルトという)122Aが用いられ、各作像装置における感光体ドラムと対向する位置には転写バイアスを印加する転写バイアス手段122Y、122C、122M、122Kがそれぞれ配置されてトナーと逆極性の転写バイアスを作用させることにより各作像装置で形成されたトナー像を順次、重畳転写するようになっている。
転写装置122には、転写ベルト122A上に重畳転写されたトナー像を記録シートに対して一括転写するための二次転写バイアス手段122Fが記録シートの搬送経路上に配置されている。
【0041】
画像形成装置120は、一般にコピー等に用いられる普通紙と、OHPシートや、カード、ハガキといった90K紙、坪量約100g/m相当以上の厚紙や、封筒等の、用紙よりも熱容量が大きないわゆる特殊シートとの何れをも記録シートとして用いることが可能である。
【0042】
図1において、各作像装置121Y、121C、121M、121Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタおよび黒の各色の現像を行うものであり、用いるトナーの色は異なるが、その構成が同様であるから、作像装置121Kの構成を各作像装置121Y、121C、121M、121Kの代表として説明する。
作像装置121Kは、静電潜像担持体としての感光体ドラム125K、感光体ドラム125Kの回転方向に沿って順に配置されている帯電装置127K、現像装置126K、クリーニング装置128Kを有し、帯電装置127Kと現像装置126Mとの間で書き込み装置129からの書き込み光129Kにより色分解された色に対応する画像情報に応じた静電潜像を形成する構成が用いられる。なお、本実施例に示すクリーニング装置128Kは、周知のクリーニングブレードに加えて、異物除去効率を向上させるための潤滑剤の塗布機構128K1も備えている。
【0043】
静電潜像担持体としては、ドラム状の他に、ベルト状とする場合もある。これら感光体ドラムの周囲に配置されている画像形成用、換言すれば、作像用機器は纏めて図2に示す筐体を備えたユニット構造からなるプロセスカートリッジ(便宜上、符号PCで示す)内に収納されている。
図1に示す画像形成装置120は、転写装置12に用いられている転写ベルト112Aが掛け回されているローラのうちで、一方のローラ(図1において符号122A1で示すローラ)の軸心を基点として各作像装置121Y、121C。121M、121Kに対面する転写ベルト122Aの展張面が移動する方向の下流側が上流側、つまり、一方のローラ122A1の位置よりも低い位置となるように傾斜させてある。これにより、縦横方向での転写装置122の占有スペースを小さくして画像形成装置の小型化が図られている。
【0044】
上記構成を備えた画像形成装置120では、次の行程および条件に基づき画像形成が行われる。なお、以下の説明では、各作像装置を代表して符号121Kで示した黒トナーを用いて画像形成が行われる作像装置を対象として説明するが、他の作像装置も同様であることを前置きしておく。
画像形成時において感光体ドラム125Kは、図示されないメインモータにより回転駆動され、帯電装置127Kに印加されたACバイアス(DC成分はゼロ)により除電され、その表面電位が略−50Vの基準電位に設定される。
次に感光体ドラム125Kは、帯電装置127KにACバイアスを重畳したDCバイアスを印加されることによりほぼDC成分に等しい電位に均一に帯電されて、その表面電位がほぼ−500V〜−700V(目標帯電電位はプロセス制御部により決定される)に帯電される。
【0045】
感光体ドラム125Kは、一様帯電されると書き込み行程が実行される。書き込み対象となる画像は、図示しないコントローラ部からのデジタル画像情報に応じて書き込み装置129を用いて静電潜像形成のために書き込まれる。つまり、書き込み装置129では、デジタル画像情報に対応して各色毎で2値化されたレーザダイオード用発光信号に基づき発光するレーザ光源からのレーザ光がシリンダレンズ(図示されず)、ポリゴンミラー129A、fθレンズ129B、第1〜第3ミラー、およびWTLレンズを介して、各色毎の画像を担持する感光体ドラム、この場合には、便宜上、感光体ドラム125K上に照射され、照射された部分の感光体ドラム表面での表面電位が略−50Vとなり、画像情報に対応した静電潜像が作像される。
【0046】
感光体ドラム125K上に形成された静電潜像は、現像装置126Kにより色分解色と補色関係にある色のトナーを用いて可視像処理されるが、現像行程では、現像スリーブにACバイアスを重畳したDC:−300V〜−500Vが印加されることにより、書き込み光の照射により電位が低下した画像部分にのみトナー(Q/M:−20〜−30μC/g)が現像され、トナー像が形成される。
【0047】
現像行程により可視像処理された各色のトナー画像は、レジストローラ130によりレジストタイミングを設定されて繰り出される記録シートに転写されることになるが、記録シートは、転写ベルト122Aに達する前にローラで構成されたシート吸着用バイアス手段による吸着用バイアスの印加によって転写ベルト122Aに静電吸着されるようになっている。
転写ベルト122Aは、各作像装置での感光体ドラムに対向する位置で転写装置122に装備されている転写バイアス手段122Y、122C、122M、122BKによるトナーと逆極性のバイアス印加によって感光体ドラムからトナー像を静電転写され、重畳転写されたトナー像が二次転写バイアス手段122Fにより記録シートに一括転写される。
【0048】
各色の転写工程を経た記録シートは、転写ベルトユニットのローラ(便宜上、図1において符号122A1で示すローラと相対位置にあるローラ)で転写ベルト122Aから曲率分離され、定着装置110に向けて搬送され、定着ベルトと加圧ローラとにより構成される定着ニップを通過することにより、トナー像が記録シートに定着されて、排紙トレイ132へと排出される。
図1に示した画像形成装置120では、定着後に排出される記録シートの片面への画像形成だけでなく両面への画像形成を行うことができるようになっており、両面への画像形成時には、定着後の記録シートが反転循環経路RPに搬送され、この循環路末端に位置して手差しトレイからのシート繰り出しを兼ねる繰り出しローラRP1によってレジストローラ130に向け繰り出されるようになっている。片面および両面への画像形成時での記録シートの搬送路の切り換えは、定着装置110の後方に配置されている搬送路切り換え爪(図示されず)によって行われる。
【0049】
上述した帯電電位をはじめとする各物性は、上記値に限ることはなく、色彩や濃度などに応じて変更できること勿論である。また、図1において、符号T1〜T4は現像装置で使用されるトナーの補給タンクを示している。
【0050】
図2は、プロセスカートリッジPCの構成を説明するための図であり、同図において、プロセスカートリッジPCは、例えば、樹脂成形された筐体で構成され、いま、黒画像を作成するための作像装置を対象として説明すると、プロセスカートリッジPCの筐体101における転写ベルト122Aに対向する壁部には、感光体ドラム125Kの一部を露出させるための開口PC1および書き込み装置129(図1参照)側に対向する底面101Aには、書き込み光129K(図1参照)の導入口PC2がそれぞれ形成されている。
プロセスカートリッジPCは、感光体ドラム125Kの長手方向に相当する軸方向に着脱方向が設定されており、本実施例では、図2を示す紙面に対して直角方向が着脱方向として設定されていることになり、保守点検などの際に紙面手前側に引き出すことができるようになっている。
【0051】
図2において各作像部に用いられるプロセスカートリッジPCを構成する筐体101は、その底面101Aが水平面に対して傾斜させてあり、その傾斜角度としては、各プロセスカートリッジを摺動可能に支持するために画像形成装置本体内に設置されているガイド部材100の傾斜面と平行する角度とされている。
【0052】
つまり、転写装置122が上述したように傾斜した状態で設けられている関係で、転写ベルト122Aの下側展張面も転写装置122の傾斜に応じて水平面に対して傾斜させてあることから、ガイド部材100は、各プロセスカートリッジに装備されている感光体ドラムを転写ベルト122Aに対面させるために転写ベルト122Aの下側展張面に平行する構成とされている。
このため、ガイド部材100によって摺動可能に支持されている関係のプロセスカートリッジPC側の筐体101の底面101Aは、ガイド部材100を載置する載置面100Aと平行するように傾斜させてある。本実施例では、底面101Aの傾斜角度が転写装置122の傾斜角度に合わせて15°程度に設定されている。
【0053】
一方、プロセスカートリッジPC内には、現像装置126Kを構成する現像ユニットが設けられており、現像ユニット内には感光体ドラム125Kと対向する現像スリーブ126K1と、現像スリーブ126K1よりも下方の位置で現像スリーブ126K1が収容されている空間とは別の空間に配置されて現像剤を現像スリーブ126K1に向けて供給搬送する搬送部材としての第1,第2の搬送スクリュー126K2,126K3と、現像スリーブ126K1上に担持される現像剤の層厚を規定するドクターブレード125K4とが設けられている。
第1,第2の搬送スクリュー126K2,126K3は、傾斜している底面101Aに対して水平方向に並置され、第1の搬送スクリュー126K2に対して現像スリーブ126K1は、搬送スクリュー126K2の垂直線(図3中、符号L2で示す)から水平方向に離れた関係で位置決めされている。
【0054】
筐体101の底面101Aの構成について詳細を説明すると次の通りである。
図3は、プロセスカートリッジPCの一つを抽出して示す図であり、(A)は机上などの水平面に底面101Aが載置された状態を示し、(B)は図2に示したようにガイド部材100に載置された状態を示している。
図3(B)に示す状態が相当する、ガイド部材100に搭載された状態から、図3(A)に示す状態が相当する、水平面に載置された状態に変化した場合、現像スリーブ125K1の軸心と第1の搬送スクリュー125K2との軸心とを結ぶ線L1が第1の搬送スクリュー126K2の軸線を通過する垂直線L2に向けて変位し、この場合には垂直線L2に近づくこと(図3(B)において符号θで示す角度が、図3(A)において符号θ’で示すように小さくなる状態)ができることにより、第1,第2の搬送スクリュー126K2,126K3の収容空間で現像スリーブ126K1の軸心から遠い位置に現像剤を集約させることができる角度で傾斜している。
【0055】
これにより、図3において、筐体101の底面101Aは、(A)に示す水平面に載置された際に、プロセスカートリッジが水平面に載置されると内部の空間全体が傾き、流動する物質である現像剤が充填されている場合には重力に逆らわない方向に強制的に移動させることが可能となる。特に、水平面に載置された際には搬送スクリューの収容空間で現像スリーブ126K1の軸心から遠い位置に現像剤を集約させることができる状態に内部空間を傾けることができるので、現像スリーブ126Kの収容空間側への現像剤の移動が阻止され、強制的に搬送スクリューの収容空間側で第2の搬送スクリュー126K3の収容空間側に現像剤が移動することになる。この結果、現像スリーブ126K1の収容空間への現像剤の移動が抑制されて現像スリーブ126Kの露出部から現像剤が漏れ出すのを防止することができる。
【0056】
ところで、本実施例では、現像スリーブ126Kが収容されている空間と第1,第2の搬送スクリュー126K2,126K3が収容されている空間との境界部には、両方の空間を封止できるシール部材126K5が装填できるようになっている。
図3においてシール部材126K5は、現像ユニットがプロセスカートリッジPCへの組み込まれるまでの間、両方の空間を封止することにより第1,第2の搬送スクリュー126K2,126K3が収容されている空間内に予め充填されている現像剤が振動などを受けて現像スリーブ126K1が収容されている空間に向け不用意に移動するのを防止するようになっている。なお、図3(A)においてはシール部材126K5が装填されている状態(ハッチングにより表示)が示され、図3(B)ではシール部材が抜き取られた状態(ハッチングなし)が示されている。
【0057】
シール部材126K5は、現像ユニットがプロセスカートリッジPCに装填されて画像形成処理が開始される段階で現像ユニット内から引き抜くことができ、これにより現像ユニット内での各収容空間同士が連通されて搬送スクリューから現像スリーブに向けた現像剤の搬送供給が行えるようになる。
【0058】
本実施例は以上のような構成であるから、プロセスカートリッジPCが画像形成装置内から外部に取り出されたりあるいは梱包段階においては、筐体101の底面101Aが机上などの水平面に載置される。
これにより、プロセスカートリッジPC内での現像スリーブおよび搬送スクリューの収容空間が、搬送スクリューの収容空間で現像スリーブの軸心から遠い位置に現像剤を集約させることができる向きに傾くことになり、これにより、現像スリーブの収容空間への現像剤の移動が抑止される。特に、梱包状態では、シール部材126K5による現像スリーブおよび搬送スクリューの収容空間同士が封止されているので、運搬時での揺れや振動などによっても現像剤が現像スリーブの収容空間に移動することはない。ただ、シール部材126K5の剥がれなどにより封止が完全でない場合もあるが、この場合においても底面101Aが水平面に載置されているだけで上述したように現像スリーブの収容空間に現像剤が移動するようなことがなくされることになる。
【0059】
このように、底面を水平面に載置するだけの操作により現像剤の漏れ出しを確実に防止することができるので、ユーザが特別にプロセスカートリッジの載置台を準備するようなことがなくせることになり、しかも、サービスマンコールなども不要となるので、画像形成作業の中断といった弊害もなくせることになる。
【0060】
なお、筐体101の底面101は、上述したように傾斜角度を持つ平坦面とした傾斜面とすることに限らず、開口PC2の設置条件やプロセスカートリッジPCの持ち運びに便利なように切り込みを設けた面としたりあるいは脚部を4隅に設けるなどの変形構成とすることも可能である。いずれにしても、底面101Aが水平面に載置された際に上述したような倒れの防止および現像剤の流動阻止が行える形態であればよい。
【0061】
次に、プロセスカートリッジの着脱機構に関して説明する。
本実施例における画像形成装置は、転写装置122が図1に示したように転写ベルト122Aを掛け回している一方のローラを基点として下側展張面つまり下片走行片における他方のローラ側が下降した状態で傾斜する構成であり、その側面視における外観は図4に示すとおりである。
【0062】
つまり、図4において、トナー像が形成される像担持体と該像担持体にトナー像を形成するための少なくとも1つの作像装置とが一体的に組み付けられたプロセスカートリッジ(便宜上、符号40Y,40C,40M,40BKで示す)を複数個有し、各像担持体にそれぞれ形成された互いに異なる色のトナー像を転写装置における中間転写体としての転写ベルトに転写して記録画像を得るように構成され、その各プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、上下斜め方向に配列されていると共に、画像形成装置本体1に対して脱着可能に構成されている。
【0063】
しかも、画像形成装置本体1に対する各プロセスカートリッジ40Y〜40BKの脱着時に、該プロセスカートリッジ40Y〜40BKを下から支えて案内する支え面43Y,43C,43M,43BKを有するガイド42Y,42C,42M,42BKが設けられ、その各支え面43Y〜43BKは互いに高さ位置が異なっている。
【0064】
図4においては、転写ベルトがそのケースに収容された状態で示されていて、該ベルトは図には表わされていない。転写ベルトは、図1に示したように、下側展張面、いわゆる、下側の走行辺が水平面に対して約15度程度の角度をもって配置され、その転写ベルトに、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKの像担持体からトナー像が転写され、そのトナー像が記録媒体に転写される。
【0065】
図5は、図示しないが図4における転写装置の側方を覆うために設けられた開閉可能な面板を開放して内部を示す図であり、同図において各プロセスカートリッジを構成する筐体の底面を支持するガイド部材42Y〜42BKにおける底面載置面に相当する支え面43Y〜43BKが傾斜した平坦面で構成されている。
【0066】
図4に示すように、ガイド部材42Y〜42BKにおける各支え面43Y〜43BKは、転写ベルト(図1において符号122Aで示す部材)の下側展張面、つまり下側の走行辺とほぼ平行に位置している。
各プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、その筐体の底面が支え面43Y〜43BKに案内されながら、図5において矢印E,Fで示すように、画像形成装置本体1内に装着され、又は画像形成装置本体1から引き出される。各支え面43Y〜43BKには、光書き込み装置から出射したレーザービームが通過する光透過窓44Y〜44BKが形成されている。
【0067】
一方、図6はプロセスカートリッジ40Y〜40BKを示す斜視図であり、図7は、ガイド42Y〜42BKに案内されて画像形成装置本体内に装着されたプロセスカートリッジ40Y〜40BKを示す正面図である。また、図9及び図10は画像形成装置本体内に装着されたプロセスカートリッジ40Y〜40BKの手前側の様子を示す斜視図である。図6及び図10における矢印E,Fも、図5に示したと同様にプロセスカートリッジを画像形成装置本体内に押し込んで装着するときの方向と、画像形成装置本体からプロセスカートリッジを引き出すときの方向を示している。
【0068】
図4及び図5において、プロセスカートリッジの脱着時に、該プロセスカートリッジがその脱着方向に対して直交する方向にずれ動くことを規制する規制手段が設けられている。この規制手段は、図8に示すように、各支え面43Y〜43BKに対して、上方に向けてほぼ直角に立ち上がった板材より成る規制部54Y,54C,54M,54BKを有し、各支え面と規制部とによってほぼL字形断面のガイド42Y〜42BKが構成されている。
【0069】
プロセスカートリッジ40Y〜40BKを矢印F,Eで示すように画像形成装置本体1に対して脱着する時、各支え面43Y〜43BKは、プロセスカートリッジ40Y〜40BKのほぼ平坦に形成された下面を案内するが、このとき、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKが、その自重によって各規制部54Y〜54BKに当接する。各規制部54Y〜54BKは、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKの脱着時に、そのプロセスカートリッジの側部を支えて、当該プロセスカートリッジの幅方向W(図6参照)のずれ動きを規制する。このようにして、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、各ガイド42Y〜42BKによって、幅方向Wにずれ動くことなく、スムーズに画像形成装置本体に対して脱着される。なお、プロセスカートリッジの幅方向Wとは、図6に示すように、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKの長手方向Lに対して直交する方向の幅である。
【0070】
ところで、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1に対して脱着する際、そのプロセスカートリッジの像担持体が中間転写ベルトに当って摺擦すると、その像担持体や中間転写ベルトの表面に傷が付けられるおそれがある。
【0071】
そこで、本例の画像形成装置の規制手段は、図5及び図8に示すように、プロセスカートリッジ40Y〜40BKの脱着時に、該プロセスカートリッジの上方への動きを規制する上下案内部55Y,55C,55M,55BKを有している。ここに示した構成では、板金などの板材より成る規制部54Y〜54BKの一部を切り起こすことにより、板状の上下案内部55Y〜55BKが形成されている。各上下案内部55Y〜55BKは、各支え面43Y〜43BKから上方に離間して位置している。
【0072】
一方、図6に示すように、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKのユニットケース41Y〜41BKには、その先端側に、突片より成る係合部56が突設されている。プロセスカートリッジの先端側とは、そのプロセスカートリッジを画像形成装置本体内に装着したとき、奥側となる側である。
【0073】
各プロセスカートリッジ40Y〜40BKを各ガイド42Y〜42BKによって案内しながら画像形成装置本体1の内部へ押し込んで装着するとき、各プロセスカートリッジの係合部56が、図5及び図8に示した各上下案内部55Y〜55BKの下側面にそれぞれ係合する。各プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1から引き出すときも同様である。これにより、プロセスカートリッジの着脱時に、そのプロセスカートリッジが上方へ移動して、像担持体が中間転写ベルトに当接することを阻止でき、像担持体が中間転写ベルトの表面に摺擦してこれらの表面に傷が付けられることはない。
【0074】
上述のように、画像形成装置本体1に対して脱着可能に装着される各プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、各支え面43Y〜43BKに案内されるように、該プロセスカートリッジ40Y〜40BKの下面がほぼ平坦に形成され、しかも各プロセスカートリッジ40Y〜40BKの側部には、画像形成装置本体1へのプロセスカートリッジ40Y〜40BKの脱着時に、画像形成装置本体1側に設けられた上下案内部55Y〜55BKに係合する係合部56が設けられ、該係合部56が上下案内部55Y〜55BKに係合することにより、当該プロセスカートリッジ40Y〜40BKが上方に動くことが規制されるように構成されている。
【0075】
また、図5に示すように、各上下案内部55Y〜55BKの画像形成装置本体前後方向の長さが支え面43Y〜43BKの長さよりも短く設定され、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1内に挿入し、該プロセスカートリッジが途中まで画像形成装置本体内に挿入されたとき、プロセスカートリッジの突片状の係合部56が、板状の上下案内部55Y〜55BKを抜け出るように構成されている。このようにすれば、プロセスカートリッジを画像形成装置本体1内の所定の位置まで挿入し終えたとき、プロセスカートリッジは上方に向けて移動することができるので、そのプロセスカートリッジの像担持体を中間転写ベルトに当接させることができる。上下案内部55Y〜55BKが、プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1内に装着するとき、その途中まで、プロセスカートリッジ40Y〜40BKの上方への動きを規制するように構成されているのである。
【0076】
しかも、本実施例における画像形成装置においては、図5に示すように、各支え面43Y〜43BKの奥側の部位にその各支え面よりも上方に突出した膨隆部57Y,57C,57M,57BKが設けられていて、プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1内に押し込んで行き、その係合部56が上下案内部55Y〜55BKを抜け出た後、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKが各膨隆部57Y〜57BKに乗り上げ、そのプロセスカートリッジが上方に持ち上げられて各プロセスカートリッジの各像担持体が中間転写ベルトの表面に当接するように構成されている。
【0077】
また、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1内に押し込んで装着したとき、その各プロセスカートリッジを所定の正しい位置に位置決めする必要がある。
【0078】
そこで、本実施例の画像形成装置においては、図5、図8、図9及び図10に示すように、規制部54Y〜54BKを構成する板金などの板材の手前側の領域に位置決め穴58Y,58C,58M,58BKが形成されている。一方、図6、図9及び図10に示すように、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKのユニットケース41Y〜41BKの手前側領域には、基準突部59より成る基準部が設けられている。
【0079】
各プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1内の一番奥の位置まで挿入すると、各プロセスカートリッジに形成された基準突部59が、図9及び図10に示すように、各規制部54Y〜54BKに形成された位置決め穴58Y〜58BKに、各プロセスカートリッジの自重によって落ち込み、当該位置決め穴58Y〜58BKに係合する。これにより、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、画像形成装置本体内で、その各プロセスカートリッジ40Y〜40BKの長手方向Lに位置決めされる。このとき、プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、画像形成装置本体1の奥側から、図示していない付勢手段、例えば圧縮ばねによって付勢されるので、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKが長手方向Lに位置決めされると共に、その位置決めされた位置にロックされる。各位置決め穴58Y〜58BKは、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKを位置決めする位置決め部の一例を構成するものである。
【0080】
上述のように、本実施例の画像形成装置は、プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1内に装着したとき、該プロセスカートリッジ40Y〜40BKをその長手方向Lに位置決めする位置決め部を有している。
【0081】
換言すれば、プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、そのプロセスカートリッジが画像形成装置本体1内に装着されたとき、画像形成装置本体1の側に設けられた位置決め部に係合する基準部を有し、該基準部が位置決め部に係合することによって、その長手方向Lに位置決めされるように構成されているのである。
【0082】
上述した基準部と位置決め部とによって、プロセスカートリッジを完全に位置決めすることもできるが、基準部と位置決め部によりプロセスカートリッジを仮位置決めし、転写装置の側方を覆うために設けられた開閉可能な面板を閉位置にもたらすことによって、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKを最終的に完全に位置決めするように構成することもできる。
【0083】
プロセスカートリッジ40Y〜40BKを画像形成装置本体1から取り出すときは、各プロセスカートリッジの基準突部59を各位置決め孔58Y〜58BKから外して、該プロセスカートリッジに対する長手方向Lの位置決めを解除し、次いでそのプロセスカートリッジを手前側に引き出せばよい。その際、この位置決めの解除を次のように行えるように構成すると有利である。
【0084】
図6,図7,図9および図10に示すように、各プロセスカートリッジ40Y〜40BKのユニットケース手前側の部位には、把手60が取り付けられており、この把手60は、図10において符号Xを付して示した使用位置と、符号Yを付して示した格納位置の間を矢印Z方向に回動可能にユニットケース41Y〜41BKに枢着されている。図6、図7及び図9は、把手60が格納位置に収められたときの様子を示している。
【0085】
プロセスカートリッジ40Y〜40BKが画像形成装置本体1内に装着されて使用されているとき、把手60は格納位置を占めている。プロセスカートリッジを画像形成装置本体1から取り出すときは、把手60を図10に示した使用位置Xに回動する。すると、この把手60の基端側に設けられたカム部61が、板材より成る規制部54Y〜54BKの壁面に当接してこれを加圧する。このため、プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、規制部54Y〜54BKから受ける反力によって、その規制部から離間する方向にわずか動かされる。これによって、プロセスカートリッジ40Y〜40BKの基準突部59が位置決め孔58Y〜58BKから外れる。そこで、その把手60を掴んで、これを手前側に引けば、プロセスカートリッジ40Y〜40BKを手前側に引き出すことができる。
【0086】
上述のように、プロセスカートリッジ40Y〜40BKは、そのユニットケース41Y〜41BKに対して、使用位置と格納位置との間を回動可能に連結された把60を有し、該把手60をその使用位置にもたらしたとき、当該把手60によって、プロセスカートリッジ40Y〜40BKの長手方向Lの位置決めが解除される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施例によるプロセスカートリッジが適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置におけるプロセスカートリッジの内部構造を説明するための図である。
【図3】図2に示したプロセスカートリッジを用いた移動ガイド構造を説明するための図であり、(A)は水平面に底面を載置した場合を、(B)は画像形成処理時の底面の姿勢を示している。
【図4】プロセスカートリッジの着脱機構を装備した画像形成装置の側面視の外観図である。
【図5】図4に示した画像形成装置の本体からプロセスカートリッジを取り出して内部構成を示す図である。
【図6】プロセスカートリッジの外観斜視図である。
【図7】画像形成装置本体に装着された状態のプロセスカートリッジの正面図である。
【図8】図5に示した転写装置内部の部分拡大図である。
【図9】図6に示した状態でのプロセスカートリッジの部分拡大図である。
【図10】把手を回動させる状態を説明する斜視図である。
【図11】傾斜した転写ベルトを備えた構成の従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1,120 画像形成装置本体
2Y,2C,2M,2BK,125 像担持体
3 中間転写ベルト
9Y,9C,9M,9BK,126 現像装置
37Y,37C,37M,37BK トナーボトル
40Y,40C,40M,40BK プロセスカートリッジ
42Y,42C,42M,42BK ガイド
43Y,43C,43M,43BK 支え面
54Y,54C,54M,54BK 規制部
55Y,55C,55M,55BK 上下案内部
60 把手
100 ガイド部材
100A プロセスカートリッジの載置面
101 筐体
101A 底面
121 作像装置
1000,1001,1000’、1001’ ガイド部
θ 搬送部材と現像スリーブとの軸心間を結ぶ線と搬送部材の軸心を通過する垂直線とのなす角度
L 長手方向
W 幅方向
PC3,PC4 カートリッジ筐体の対向壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内で上下関係を持たせた機器を収容可能であって、該機器のうちの一つが、これの下方に位置する機器から延長した垂直線から水平方向に離れた関係に位置決めされて収容されている筐体で構成されているプロセスカートリッジにおいて、
上記筐体の底面は水平面に対して傾斜させた面とされ、傾斜面の向きとして、該底面を水平面に載置した際に、上記機器の一つがこれの下方に位置する機器の垂直線に向けて変位することができる向きに設定されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
請求項1記載のプロセスカートリッジにおいて、
内部に収容されている機器として、潜像担持体と、該潜像担持体に対して現像剤を静電的に吸着させる現像スリーブと、該現像スリーブよりも下方位置で該現像スリーブが収容されている空間とは別の空間内に配置されて該現像スリーブに現像剤を供給搬送かつ攪拌混合可能な搬送部材とが纏められて用いられ、
上記底面は、上記水平面に載置された際に上記現像スリーブと搬送部材との中心同士を結ぶ線が上記搬送部材の中心を通過する垂直線に近づくことにより、上記搬送部材の収容空間内で上記現像スリーブの軸心から遠い位置に現像剤を集約させることができる傾斜角度を持たせて形成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項3】
請求項1または2記載のプロセスカートリッジにおいて、
上記現像スリーブが収容されている空間と上記攪拌部材が収容されている空間との間には取り外し可能なシール部材が設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項2または3記載のプロセスカートリッジにおいて、
上記搬送部材は、第1および第2の搬送スクリューが用いられ、各搬送スクリューは、上記傾斜した底面とは独立して水平方向に並置されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
請求項乃至4のうちの一つに記載のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置において、
上記プロセスカートリッジ内で搬送部材が収容されている空間には、予めトナーとキャリアとを混合した二成分系現像剤が充填されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5または6記載の画像形成装置において、
上記プロセスカートリッジが装置本体に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−30757(P2006−30757A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211347(P2004−211347)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】