ペダル装置を備える自動車
【課題】 後進時の運転の運転が容易な自動車を提供する。
【解決手段】 前進時は、踏み込みに応じてペダルをストロークさせ(a)、ペダルの踏み込み量又はペダル踏力を用いて制動力を制御し(b)(c)、後進時には、ペダルを所定の位置に固定し(d)、ペダルに加えられるペダル踏力に基づいて制動力を制御する(e)。
【解決手段】 前進時は、踏み込みに応じてペダルをストロークさせ(a)、ペダルの踏み込み量又はペダル踏力を用いて制動力を制御し(b)(c)、後進時には、ペダルを所定の位置に固定し(d)、ペダルに加えられるペダル踏力に基づいて制動力を制御する(e)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル装置を備える自動車に関し、特にペダル位置と独立して車両の運動を制御可能な自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者による車両の運転操作は、ステアリングや足踏み式のペダル装置によって行われる。後進時における車両の運転は、車両後方を目視しながら行うことが多い。その場合、運転者は体をひねり、後を振り向いた姿勢を保ちながら運転操作を行う必要がある。そのため、ペダルを操作するために前進時よりも足をのばさなければならず、後進時のペダルによる車両の運転操作がしづらいという問題があった。そこで、後進時におけるペダルの操作性向上を目的として、後進時には前進時よりもペダルの同一踏力に対するストロークを長く設定するものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−157439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、後進時は、運転者が後ろを振り向きながら運転することが多いので、上記従来技術のようにストロークすると、ペダルを深く踏み込んだり、強く踏み込んだりすることが困難な場合がある。また、ストロークが長い場合、踏み込みに時間がかかるので緊急時の対応にも考慮の余地がある。
【0005】
本発明は、後進時の運転の運転が容易な自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ペダル位置と独立して車両の運動を制御可能な自動車において、前進時は、踏み込みに応じてペダルをストロークさせ、当該ペダルの踏み込み量又はペダル踏力を用いて制動力を制御し、後進時には、前記ペダルを所定の位置に固定し、前記ペダルに加えられるペダル踏力に基づいて制動力を制御する。なお、上記に加えて、緊急時にはペダルを固定している位置を、より運転席側に移動することにより、運転者にペダル操作を促すこともできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、後進時にはペダルを踏み込んでもペダルがストロークしないので、運転者は車両を運転するために足を伸ばす必要がなく、後ろを振り向いた状態で運転しやすい自然な姿勢を保つことが出来る。また、ペダルを深く踏み込むことなく、強く踏み込むことも出来るため、下肢疲労を軽減することが出来る。なお、緊急時にペダルの固定している位置が運転席側に移動する構成とすれば、よりペダル踏力が出しやすくなり車両を素早く確実に運転出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明による自動車のシステムの一実施例を示す模式図、図2はそのシステムブロック図である。
【0009】
車両は、運転者が車両を運転するために操作するペダル装置1、及び運転者によるペダル装置1の操作に応じて車両の運動を変化させる車両出力装置30,40,50,60,70,80を備える。車両出力装置30,40,50,60は制動出力装置であり、車両出力装置70,80は駆動出力装置である。
【0010】
ペダル装置1は、運転席22に座った運転者が車両を運転するために操作する装置であり、足により与えられたペダル踏力によって、一定の範囲内でペダル位置やペダル速度が変化し、また、足により与えられたペダル踏力に対して一定の範囲に拘束された回転あるいは直線運動を行う。運転のための他の操作入力装置として車両にはステアリング21等も備わっているが、本発明には直接関係がないのでここでは触れない。
【0011】
ペダル装置1において、ペダル位置とペダル反力あるいはペダル踏力の関係は、電気的な制御によって任意に設定することが出来る。ペダル装置1は、一般にペダル踏力に応じてペダル位置(ペダルストローク)が変化し、ペダル位置に応じてペダル反力が発生する。ペダル装置1は運転者の踏み込むペダル踏力に対してペダル反力を発生させ、運転者に快適なフィーリングを与えることができる。
【0012】
本実施例の車両はバイワイヤ技術を採用している。すなわち、ペダル装置と車両出力装置の間には機械的接続が無く、通信経路111を介して通信により接続され、電気的な信号のやりとりにより情報が伝達される。ペダル装置への操作入力は電気的な信号として車両出力装置に伝えられ、車両出力装置は、伝えられた信号情報に基づいて車両出力を行う。
【0013】
ペダル装置1は、足で踏み込む作用点となる操作入力部3を備えている。車両出力装置(制動出力装置)30,40,50,60とペダル装置1の組み合わせはブレーキバイワイヤ技術による応用であり、その場合のペダル装置1はブレーキペダルである。車両出力装置70,80(駆動出力装置)のうち少なくとも一方とペダル装置1を組み合わせた場合のペダル装置1はアクセルペダルである。バイワイヤ技術によれば、ペダル装置と車両出力装置は機械的接続を持たないため、ペダル装置1のペダル反力あるいはペダル踏力に対するペダル位置は、車両出力と別に制御することが出来る。
【0014】
ペダル装置1は、操作入力演算装置8によって電気的に制御可能なアクチュエータ4を備えている。アクチュエータ4は一般にはモータであり、電力を供給するかあるいは電流を流すと、回転軸9周りに部材2が回転するかあるいは回転方向の力が発生する。アクチュエータ4を制御することによって、ペダル反力を任意の大きさで生成することが出来る。また、アクチュエータ4を制御することによって、ペダル位置(ペダルストローク)やペダル速度を任意に変更することが出来る。
【0015】
ここでは、運転者がペダル装置に対して行った全ての入力を操作入力と定義し、運転者の操作入力をペダル装置1が検出した情報を操作情報と定義する。操作入力あるいは操作情報は、ペダル位置、ペダル踏力、ペダル速度と操作状態を含んでいる。ペダル速度はペダル位置の単位時間あたりの変位であり、ペダル位置を時間微分したものである。ペダル踏力とは、ペダル装置を動かすための力であり、具体的には運転者が操作入力部3を踏み込んだ力を意味する。ペダル踏力は、運転者が操作入力を行う際に抵抗しようとするペダル反力とほぼ同じ大きさの力である。ペダル位置が変動しない時、あるいはペダルが動いていない時、ペダル踏力とペダル反力が釣り合っていると言うことが出来る。操作状態は、操作入力部が踏み込まれているかどうかの状態を表す。
【0016】
操作情報検出手段11は操作入力を操作情報として検出する手段であり、ペダル位置検出手段とペダル踏力検出手段と操作状態検出手段を含む。ペダル位置検出手段12はペダル位置を検出する。ペダル位置検出手段12は、例えばアクチュエータ制御用センサ5のような形態をとる。ペダル位置検出手段12は場合によってペダル速度を検出しても良い。ペダル位置検出手段12は、ペダル位置に基づいてペダル速度を算出することによりペダル速度の検出を行っても良い。ペダル踏力検出手段6はペダル踏力を検出する。ただし、ペダル踏力検出手段6は力を検出する手段であり、ペダル踏力とペダル反力を同じものとして検出するため、ペダル踏力検出手段6はペダル反力を検出するということもできる。操作状態検出手段7は操作状態を検出する。
【0017】
操作入力演算装置8は、操作情報検出手段11によって検出された操作情報に基づいてアクチュエータ4を制御する。操作入力演算装置8は、操作情報検出手段によって検出された操作情報に基づいて、ペダル反力を生成し、ペダル位置あるいはペダル速度を変更し、車両出力指令を決定し、決定した車両出力指令を通信経路111を介して車両出力装置に伝達する。
【0018】
車両出力装置30,40,50,60は、電気的に制御可能な制動出力装置であり、制動出力装置による車両出力は車両の減速度あるいは制動力である。制動出力装置に車両出力指令を伝達する場合、ペダル装置はブレーキペダルである。制動出力装置は伝達された車両出力指令に基づいて車両に制動力を発生させ、車両を減速させる。制動出力装置へ伝達される車両出力指令は車両の減速度あるいは制動力であっても良い。制動出力装置40,50,60は基本的に制動出力装置30と同じ構成をとる。
【0019】
制動出力装置は例えばキャリパであり、ロータを押しつけるピストンの推力を電気的に制御可能な電動ブレーキであっても良い。制動出力装置が電動ブレーキである場合、電気的な力を発生させるアクチュエータを備えており、アクチュエータによって発生する力が減速器など機械的な構成を介してピストンの推力に変換される機構であり、ピストン推力を制御することによって車両の制動力を制御することが出来る機構であっても良い。制動出力装置は例えばキャリパであり、ロータを押しつけるピストンの推力を油圧によって発生させ、油圧を電気的に制御可能な電動油圧ブレーキであっても良い。制動出力装置が電動油圧ブレーキである場合、電気的な力を発生させるアクチュエータを備えており、アクチュエータによって油圧を変化させることが出来る機構であり、油圧を制御することによって車両の制動力を制御することが出来る機構であっても良い。制動出力装置へ伝達される車両出力指令は電動ブレーキの推力であっても良いし、電動油圧ブレーキの油圧であっても良い。
【0020】
例えば、制動出力装置30はキャリパ34の発生する制動力をアクチュエータ33で制御する。アクチュエータ33は車両出力演算装置32で制御される。制御出力装置の状態は制動出力装置状態センサ35で検出することが出来る。車両出力演算装置32は制動出力装置の状態に応じてアクチュエータ33を制御する。車両出力演算装置32は必要に応じて制御出力装置の状態を、通信経路111を介してペダル装置1に伝達しても良い。制御出力装置の状態には電動ブレーキの実推力あるいは電動油圧ブレーキの実油圧が含まれていても良い。
【0021】
車両出力装置70,80は、電気的に制御可能な駆動出力装置である。駆動出力装置による車両出力は、車両の速度あるいは加速度あるいは駆動力である。駆動出力装置に車両出力指令を伝達する場合、ペダル装置はアクセルペダルである。駆動出力装置は、伝達された車両出力指令に基づいて車両に駆動力を発生させ、車両を加速させる。あるいは減速を阻害する。駆動出力装置へ伝達される車両出力指令は、車両の速度あるいは加速度あるいは駆動力であっても良い。一般的に駆動出力装置は70のようなエンジンの構成を取るが、ハイブリッド車や電気自動車あるいは電動四駆車などでは、駆動出力装置に80のような電動機の構成を用いたりエンジンと電動機を組み合わせた構成を用いたりする。
【0022】
駆動出力装置70はエンジンであり、ガソリンあるいは軽油を燃料として車両を駆動する。駆動出力装置70は伝達された車両出力指令及び、駆動出力装置の状態に応じてアクチュエータ72あるいは点火プラグ73を制御し、エンジン71に車両出力を生成させる。駆動出力装置の状態は、駆動出力装置状態センサ75によって検出される。アクチュエータ72は車両出力演算装置74によって制御される。車両出力演算装置74は、必要に応じて駆動出力装置の状態を、通信経路111を介してペダル装置1に伝達しても良い。駆動出力装置の状態にはエンジン71の駆動力あるいは回転数が含まれていても良い。
【0023】
駆動出力装置80は電動機であり、電力を供給したり電流を流したりする事によって車両出力を生成する。駆動出力装置80は、アクチュエータ83とアクチュエータを制御するためのセンサ85を備えており、車両出力演算装置84によって制御される。車両出力演算装置84は、必要に応じて駆動出力装置80の状態を、通信経路111を介してペダル装置1に伝達しても良い。
【0024】
通信経路111は、ペダル装置と車両出力装置の間を接続している電気信号による情報経路であり、物理的には電線で構成されている。ペダル装置と車両出力装置は空間的に離れた場所に設置されている場合が多く、その間の情報は一般的に時分割多重通信方式の電気信号を用い、通信経路111を介してやりとりされる。通信経路111に用いられる電気信号の形式はシリアル通信でも良いし、CANやFlaxRay、LAN等の多重通信でも良い。
【0025】
図3は、操作入力演算装置と車両出力演算装置と通信経路の構成例を示す図である。
図3(a)は、通信経路が1つであり、車両出力装置151〜154を一つの車両出力演算装置150で制御する例を示している。例えば、ABS装置や横滑り防止装置のように油圧を制御する装置が一つだけであり、各キャリパには油圧を伝達し、操作入力演算装置8との電気的な通信は一つの通信経路111を介して行うような構成が、本例に該当する。
【0026】
図3(b)は、通信経路が2つあり、車両出力装置156,157,159,160を複数の車両出力演算装置155,158で制御する例を示している。例えば、車両の前輪と後輪で別系統の油圧システムとなっている場合、油圧を制御する装置は二つとなり、操作入力演算装置8との電気的な通信を行う経路も二つ必要となる。この場合、系統が二つになることにより、信頼性の向上を図ることが出来ると共に、系統別の車両出力を行うことで車両運動性能の向上を図ることが出来る。
【0027】
図3(c)は、通信経路は1つであるが、車両出力装置165〜168をそれぞれ別の車両出力演算装置161〜164で制御する例を示している。例えば、車両の四輪全てに電動ブレーキを装着している場合、各輪に車両出力を制御する装置が備えられ、操作入力演算装置と通信を行っている場合が本例に該当する。車両の四輪全てが独立に車両出力を制御する事により、高いレベルで車両運動性能の向上を図ることが出来る。
【0028】
図3(d)は、通信経路が2つあり、車両出力装置173〜176をそれぞれ別の車両出力装置169〜172で制御する例を示している。例えば、車両の四輪全てに電動ブレーキを装着し、各輪に車両出力を制御する装置が備えられている場合に、前右輪と後左輪が同じ通信経路を介して操作入力演算装置8と通信を行い、前左輪と後右輪が同じ通信経路を介して操作入力演算装置8と通信を行う構成である。あるいは、車両の四輪全てに電動ブレーキを装着し、各輪に車両出力を制御する装置が備えられている場合に、前二輪が同じ通信経路を介して操作入力演算装置と通信を行い、後二輪が同じ通信経路を介して操作入力演算装置と通信を行うような構成である。この場合、通信経路が二重になることにより、片側の通信経路に障害や故障が発生した場合に置いても、もう片側の通信経路に属する車両出力装置が作動するため、車両全体としての信頼性の向上を図ることが出来る。
【0029】
図4は、ペダル装置の一例を示した図である。図4(a)はペダル装置を車両に取り付けた時に運転席から見た場合を正面とした時の正面図であり、図4(b)は側面図である。
【0030】
図示したペダル装置は、アクチュエータ201、減速器202、ペダルスイッチ203、ペダルストロークセンサ204,205、原点位置ストッパ206、ペダル端208を備えている。
【0031】
アクチュエータ201は電動機あるいはモータであり、電力を供給したり電流を流したりすることによって回転したり、回転方向の力を発生させたりする。アクチュエータ201は、DCモータ、DCブラシレスモータ、AC誘導モータ、あるいはAC同期モータとすることができる。減速器202は歯車によるもの、遊星ギアによるもの、あるいは差動減速器によるものであっても良い。ペダルスイッチ203は、ペダルが踏まれている時と踏まれていない時を判別することが出来るスイッチである。ペダルストロークセンサ204,205は、ペダル位置を検出することが出来る。ペダルストロークセンサを二つ備えていることにより、ペダル位置検出の精度を上げることが出来、一方の故障に対する耐性を得ることによる信頼性の向上が可能になる。
【0032】
原点位置とは、運転者がペダルを踏んでいない時のペダル位置であり、一般的にペダル装置にペダル踏力がかかっていないかほとんどかかっていない時のペダル位置である。原点位置にペダルがある時、ペダル位置あるいはペダルストロークは0である。原点位置にペダルがあるかどうかはペダルスイッチ203、あるいはペダルストロークセンサ204,205によって判断することができる。原点位置にペダルがある場合、ペダルは踏み込まれていないと判断される。
【0033】
部材207は、図4(b)で見て左側への移動は原点位置ストッパ206に当たる所まで可能である。図4(b)で見て左側への移動、すなわち原点位置へ移動する方向を、運転席方向あるいは手前方向あるいは戻し方向あるいは放し方向と定義する。図4(b)で見て右側への移動、すなわちペダルを踏み込んだ時に移動する方向を、奥方向あるいは踏み方向と定義する。ペダル端208は運転者が踏み込む部分であり、ペダル装置1の入力部3に相当する。ペダル端208にペダル踏力がかかるとペダルがストロークし、例えば209のようにペダル位置が移動する。
【0034】
図5は、ペダル装置の一例を模式的に示したものである。図6は、図5のペダル装置及び関連する装置について模式的に示したブロック図である。
【0035】
図示したペダル装置はパッシブ反力手段221を備えている。アクチュエータ4によって生成されるペダル反力はアクティブ反力と呼ばれ、パッシブ反力手段221によって生成されるペダル反力はパッシブ反力と呼ばれる。パッシブ反力手段221はバネによる機構であったりストロークシミュレータのような粘性をもった油圧機構であったりしても良い。パッシブ反力手段221によって生成されるパッシブ反力は、パッシブ反力手段221の機械的特性によって定まり、電気的に制御することが出来ない。本例のペダル装置は、アクティブ反力とパッシブ反力を合わせたペダル反力を生成することが出来る。アクチュエータ4が十分なペダル反力を生成出来る場合は、パッシブ反力手段221を用いず、アクティブ反力だけでペダル装置を構成しても良い。
【0036】
図7は、パッシブ反力、アクティブ反力及びペダル反力の関係の一例を示す説明図である。図7(a)に示すように、パッシブ反力301は、あるペダル位置に対するペダル反力が機械的に決まっており、電気的な要素によって変化しない。アクティブ反力はパッシブ反力に加えられるか減じられることにより、ペダル反力を生成する。アクティブ反力は電気的な要素によって任意に変化することが出来るため、ペダル反力を例えば302から303の範囲で変化させることが出来る。パッシブ反力301はペダル位置が大きくなればなるほど大きくなるが、アクティブ反力で変化させることの出来るペダル反力の幅はペダル位置に関わらず一定である。パッシブ反力301を中心としてアクティブ反力を加えたペダル反力は302から303の間の任意の値を取れるため、例えば図7(b)に示すようなペダル反力304を実現することが出来る。パッシブ反力手段を用いることによってアクチュエータ4の容量あるいは大きさあるいは消費電力を小さくすることが出来る。
【0037】
ペダル装置は、アクチュエータ制御用センサ222、ペダル回転角センサ223、ペダルストロークセンサ224を備えている。アクチュエータ制御用センサ222は、アクチュエータ4の回転角度あるいは回転位相を検出することが出来る。センサ222は光あるいは磁気を用いたエンコーダであっても良いし、レゾルバであっても良い。ペダル回転角センサ223は、回転軸9に対して部材2が回転した角度を検出することが出来る。センサ223は可変抵抗を用いたポテンショメータあるいはロータリエンコーダであっても良いし、回転スリットを用いて光ピックアップで検知する方式であっても良いし、磁気素子を用いて、磁気の変化を検知する方式であっても良い。ペダルストロークセンサ224は、部材2あるいはペダル端208がストロークした量あるいはペダル位置を検出することが出来る。センサ224は可変抵抗を用いたポテンショメータであっても良いし、磁気回路を用いて磁気抵抗の変化として変位幅を検出する方法であっても良い。ペダル位置検出手段12にはセンサ222,223,224の内少なくとも一つが含まれる。
【0038】
ここでは、ペダル位置あるいはペダルストロークは奥方向へ行くほど大きな値を取り、手前方向へ行くほど小さな値を取ると定義する。ペダルを手前側から奥側に移動させる時ペダルを踏むあるいは踏み込むと定義し、ペダルを奥側から手前側に移動させる時ペダルを放すあるいは戻すと定義する。ペダル位置を変更しないようにペダルを維持している時、ペダルを保持すると定義する。一般的なペダル装置において、最大限にストロークさせた時のペダル位置は0.06〜0.1m程度である。
【0039】
図示したペダル装置は、ペダル踏力センサ227を備えている。ペダル踏力センサ227は、運転者がペダルを踏み込むペダル踏力あるいはペダルが運転者の足を押し返すペダル反力を検出することが出来る。このペダル装置は、また、ロッド力センサ228を備えている。ロッド力センサ228は、部材2とパッシブ反力手段221の間に働く力を検出することが出来る。センサ227,228は、例えば歪みゲージの抵抗変化を用いて力を検出する構成であっても良い。センサ227,228の内、少なくとも一つを用いてペダル踏力を検出することができ、ペダル踏力検出手段6にはセンサ227,228の内少なくとも一つが含まれる。ペダル踏力検出手段6は、ペダルの構造物に歪ゲージを取り付け、歪ゲージの微小変位による抵抗変化を計測することでペダル踏力を検知してもよい。なお、ペダルを踏み込む時のペダル踏力を正とする。
【0040】
図示したペダル装置は、ペダルスイッチ203を備えている。ペダルスイッチ203は操作状態検出手段7に含まれる。ペダル装置1がブレーキペダルである場合、ペダルスイッチ203はブレーキスイッチであり、ペダル装置1がアクセルペダルである場合、ペダルスイッチ203はアクセルスイッチである。操作状態検出手段7は、ペダルスイッチ203が作動していればペダルが踏まれていると判断してよく、また、ペダル位置あるいはペダル踏力が予め定められた閾値を超えている場合はペダルが踏まれていると判断しても良い。
【0041】
ペダル装置1は、車両情報検出手段を用いて車両情報を検出する。車両情報には、シフトポジションが含まれる。車両情報検出手段には、シフトポジションスイッチ256が含まれる。シフトポジションスイッチはシフトポジションセンサでも良い。シフトポジションスイッチ256は、シフトポジションがどこであるかを検出する。シフトポジションは例えば、Rレンジ、Dレンジ、Nレンジ、Pレンジを示すものとしても良い。
【0042】
ペダル装置1は、環境情報検出手段を用いて環境情報を検出する。環境情報には、他車両や歩行者や障害物との相対関係、相対距離、相対速度、衝突時間が含まれる。衝突時間は他車両や歩行者や障害物との衝突までの予想される時間であり、衝突時間=相対距離/相対速度で表される。
【0043】
環境情報検出手段には、外界認識センサ260が含まれる。外界認識センサ260は、例えば赤外線レーザーあるいはミリ波を用いて他車両や障害物との相対距離あるいは相対速度を検出するレーダ、超音波を用いて他車両や障害物との相対距離あるいは相対速度を検出する方式、あるいは光学式カメラを用いて他車両や障害物との相対距離あるいは相対速度を検出する方式とすることができる。外界認識センサ260は、後方を走る他車両や歩行者や障害物との相対関係を検出する方式であっても良い。
【0044】
図8は、ペダル装置の種々の形態を示す模式図である。図8(a)は、回転軸401に対して操作入力部402が下になっているペダル装置の例である。図8(b)は、回転軸404に対して操作入力部403が上になっているペダル装置の例である。図8(c)は、回転軸を持っておらず、操作入力部405への操作入力に対してペダル装置が直動する例を示している。図8(d)は、回転軸406とアクチュエータ407が別になっているペダル装置の例である。アクチュエータ407の回転出力は、回転直動変換機構408により直動方向の出力に変換され部材409に作用する事によって、ペダル端410を移動させたりペダル反力を発生させたりする。回転直動変換手段としては例えばウォームギアを用いてもよいし、ボールねじを用いてもよい。
【0045】
図8(e)は、アクチュエータ411が回転電動機ではなく、直動方向に変位したり力を出したりすることが出来るペダル装置の例である。アクチュエータ411の出力が部材412に作用することによって、ペダル位置を移動させたりペダル反力を発生させたりする。アクチュエータ411は例えばソレノイドであっても良い。図8(f)は、パッシブ反力手段414が回転軸413に取り付けられているペダル装置の例を示している。図8(g)は、パッシブ反力手段415が回転軸付近に取り付けられているペダル装置の例である。
【0046】
操作入力演算装置8は、操作情報、車両情報あるいは環境情報を用いて、操作入力部を制御する。操作入力演算装置8は、また、操作情報、車両情報あるいは環境情報を用いて、車両出力指令を車両出力装置121に伝達し、車両出力を発生させる。運転者はペダル位置とペダル反力を感じながら車両を操作しているため、ペダル位置とペダル反力と車両出力の関係によって、運転しやすさ(操作性)や疲労しにくさ、運転の楽しさ(快適性)が変化する。そのため、ペダル装置は、ペダル位置、ペダル反力、車両出力を適切な関係になるように制御する。
【0047】
ペダル反力は、例えば図9に示すように設定することが出来る。図9(a)の451は剛性反力と呼ぶことができ、ペダル位置に応じて大きさの変わる反力である。ペダル位置が大きくなればなるほど剛性反力が大きくなる。同じペダル位置に対して比較的剛性反力が大きいペダルは堅いペダルであると言うことが出来る。あるペダル位置に対して比較的剛性反力が小さいペダルは柔らかいペダルであると言うことが出来る。図9(b)の453は粘性反力と呼ぶことが出来、ペダル速度に応じて大きさの代わる反力である。ペダル速度が大きくなればなるほど粘性反力が大きくなる。例えばペダルを踏み込んだ時のペダル速度が図9(c)のようであった場合、粘性反力は図9(d)のようになる。ペダル反力は剛性反力と粘性反力を合計したものとすることが出来、図9(a)の452のように設定される。
【0048】
ペダル反力をF、ペダル位置をxとすると、ペダル速度はdx/dtで表される。また、ペダル位置に依存する剛性反力をFk(x)、ペダル速度に依存する粘性反力をFd(dx/dt)とすると
F=Fk(x)+Fd(dx/dt)
あるいは
F=Fk(x)+Kd×dx/dt
となる。ここで、
Fd(dx/dt)=Kd×dx/dt
であり、Kdは予め定められた定数である。
【0049】
車両出力は、例えば図10のように設定することが出来る。車両出力は操作入力と相関を持っていなければならない。ペダル位置に応じて車両出力を発生させても良い。ペダル踏力あるいはペダル反力に応じて車両出力を発生させても良い。ペダル位置に基づいて車両出力を設定する場合、図10(a)に示すように下に凸になるように車両出力を設定する。ペダル踏力に基づいて車両出力を設定する場合、図10(b)に示すように上に凸になるように車両出力を設定する。
【0050】
図11は、本発明によるペダル装置の前進時と後進時におけるペダル反力と車両出力の特性の一例を示す図である。図11(a)〜(c)は前進時のペダル特性を示す図であり、図11(d),(e)は後進時のペダル特性を示す図である。
【0051】
図11(a)は前進時のペダル位置に対するペダル反力の関係を表す図、図11(b)は前進時のペダル位置に対する車両出力の関係を表す図、図11(c)は前進時のペダル踏力に対する車両出力の関係を表す図である。前進時においては、通常のペダル装置と同様にペダル踏力に応じてペダル位置がストロークし、ペダル位置に応じてペダル反力が発生する。前進時においては、図11(b)に示すように通常のペダルと同様にペダル位置に応じて車両出力を発生させても良いし、図11(c)に示すようにペダル踏力に応じて車両出力を発生させても良い。
【0052】
図11(d)は、後進時のペダル位置に対するペダル反力の関係を表す図である。後進時はペダルをペダル位置505で固定しているので、ペダル踏力あるいはペダル反力にかかわらずペダル位置が一定である。図11(e)は、後進時のペダル位置に対する車両出力の関係を表す図である。後進時はペダル位置が変化しないため、ペダル踏力に応じて車両出力の制御を行う。ペダルの固定位置は、後を振り向いたまま足をペダルにおいた時に車両運転操作がしやすい位置であり、一般的に原点位置を0とした時から0.02〜0.04m踏み込んだ位置である。人間の足はある程度曲げた状態で強い力を出すことが出来るようになっている。ペダルをストロークさせずに車両を操作することにより、力の出しやすい姿勢を保ちながら車両を運転することが出来る。
【0053】
図12は、前進時と後進時におけるペダル特性の切り替え方法の一例を示す図である。図12はブレーキペダルと制動力に関するものである。
【0054】
ステップ521において、シフトポジションがRかどうかを判定する。前進から後進への切り替え時には一般的にブレーキペダルが踏み込まれており、制動力を維持して車両を停止させている事が多いので、ステップ522において、その時点での制動力を保持する。
【0055】
前進時のペダルの踏み込み量と後進時のペダルの固定位置は同一でないことが多く、前進から後進への切り替え時にはペダルを固定位置まで移動する必要がある。そこで、ステップ523とステップ524により、ペダルを固定位置まで移動する。ステップ523におけるペダルの移動速度は、足に衝撃を与えず、かつペダル移動が足の感覚で感知できる程度の速度にする。一般的に、ペダル移動速度は、ペダル端で0.05〜0.5m/s程度とすればよい。ペダルが固定位置まで移動すると、ステップ525に進んで、ペダルをその位置に固定する。
【0056】
次に、ステップ526に進み、ステップ527の判定でシフトポジションがR以外になるまでは、図11(e)の関係に従った制動力を発生する。ステップ526においては、ペダル位置が固定されたままペダル踏力に基づいて制動力が発生し、車両を運転することが出来る。
【0057】
後進から前進への切り替え時には一般的にブレーキペダルが踏み込まれており、制動力を維持して車両を停止させている事が多い。後進から前進への切り替えが行われると、ペダル位置に応じて図11(a)に示すようなペダル反力が発生する。しかし、後進から前進への切り替え時におけるペダル位置とペダル踏力は、図11(a)に示したペダル位置とペダル反力の関係から逸脱していることが多い。ペダル踏力とペダル反力が釣り合っていないと、運転者に違和感を与えたり、ペダルが勝手に動いたりする。従って、後進から前進への切り替え時には、ペダル踏力と図11(a)に示したペダル反力が釣り合うようにペダル位置を移動する。ペダル位置を移動した後、後進時から前進時への切り替えを行えば、ペダル踏力とペダル反力が釣り合った状態で前進時への切り替えが行われるので、運転者に違和感を与えたり、ペダルが勝手に動いたりする事がない。
【0058】
ステップ527の判定でシフトポジションがR以外ならば、ステップ528において、図11(e)の関係に従った制動力を発生させながら、ステップ529でペダル位置を移動する。ステップ529とステップ530により、図11(a)の関係によるペダル位置に対するペダル反力がペダル踏力と同じになるペダル位置までペダルを移動する。ステップ529におけるペダルの移動速度は、足に衝撃を与えず、かつペダル移動が足の感覚で感知できる速度にする。一般的に、ペダル移動速度は、ペダル端で0.05〜0.5m/s程度とすればよい。ステップ529によるペダルの移動速度は、ペダル踏力に応じて可変にしても良い。
【0059】
ステップ530の判定で、ペダルがペダル踏力と同じペダル反力となるペダル位置になれば、ステップ531に進んで、図11(b)(c)に示した関係に従って制動力を発生し、ステップ532において、図11(a)に示したペダル反力特性を持つペダルとして、ペダル踏力に応じたストロークやペダル位置に応じたペダル反力の発生を行う。
【0060】
図13は、前進時と後進時におけるペダル特性の切り替え方法の一例を示す図である。図13はアクセルペダルと駆動力に関するものである。
【0061】
ステップ541において、シフトポジションがRかどうかを判定する。前進から後進への切り替えは、車両を停止させている時に行う。そのため、ステップ542において、アクセルペダルを放しているかどうかを判定し、アクセルペダルを放している時のみ後進時に切り替わるようにする。アクセルペダルが放されていればステップ543に進み、駆動力を最小に制御する。この時の駆動力はゼロであっても良いし、クリープ現象による微量な駆動力があっても良い。
【0062】
次に、ステップ544とステップ545によりペダルを固定位置まで移動する。ステップ544によるペダルの移動速度は、足に衝撃を与えず、かつペダル移動が足の感覚で感知できる速度にする。一般的に、移動速度はペダル端で0.2〜0.5m/s程度とすればよい。ペダル位置が固定位置まで移動すると、ステップ546に進んで、ペダルをその位置に固定する。
【0063】
次にステップ547に進み、ステップ549でシフトポジションがR以外になるまでは、ステップ548において、図11(e)の関係に従った制動力を発生する。ステップ548により、ペダル位置が固定されたままペダル踏力に基づいて駆動力が発生し、車両を運転することが出来る。
【0064】
後進時から前進時への切り替えは、車両を停止させている場合に行う。そのため、ステップ547においてアクセルペダルを踏んでいるかどうかを判定し、アクセルペダルを放している時のみ前進時に切り替わるようにする。ステップ549の判定でシフトポジションがR以外ならば、ステップ550に進んで駆動力を最小にし、ステップ551においてペダルを移動するにする。この時の駆動力はゼロであっても良いし、クリープ現象による微量な駆動力であっても良い。ステップ551とステップ552により、ペダル位置が原点位置になるまでペダルを移動する。ステップ551によるペダルの移動速度は、足に衝撃を与えず、かつペダル移動が足の感覚で感知できる速度にする。この速度は、一般的にペダル端で0.2〜0.5m/s程度である。
【0065】
ステップ552において、ペダルが原点位置にあると判定されれば、ステップ553に進んで、図11(b)(c)に示した駆動力を発生し、ステップ554において図11(a)に示したペダル反力特性を持つペダルとして、ペダル踏力に応じたストロークやペダル位置に応じたペダル反力の発生を行う。
【0066】
図14は、後進時において衝突の危険がある時にペダルを動かす場合の一例を示す模式図である。図14において、後進時における通常のペダル位置が563であり、後進時において衝突の危険がある場合のペダル位置が564である。
【0067】
後進時において衝突の危険があるかどうかは、環境情報検出手段の外界認識センサ260によって検出した車両後方の障害物や歩行者との相対距離あるいは相対速度あるいは衝突時間によって判定する。例えば、衝突時間が1秒以下ならば衝突の危険があると判定する。衝突の危険がある場合にペダル位置が563から564に移動することによって、視認しにくい方向における衝突の危険を運転者に認知させるとともに、例えばブレーキペダルの踏み込みを促す事が出来る。また、衝突の危険がある場合にペダル位置が563から564に移動することによって、ペダル位置が手前になり、より足によるペダル踏力をかけやすくなるため、加速や減速などの車両操作を素早く行うことが出来るようになる。
【0068】
本発明によれば、後進時はペダル位置が変化せず、ペダル操作中は常にペダルの上に同じ姿勢で足が乗っているため、衝突の危険があるときにペダル位置を移動することにより、的確に運転者への警告を伝達することが出来る。後進時において衝突の危険がある時のペダル位置の移動幅は、運転者にペダル位置の変化が認知出来る必要があり、一般的に0.005〜0.01m程度である。
【0069】
後進時において衝突の危険がある時にペダル位置を手前に移動すると、運転者に踏み込みを催促する事が出来、踏み込みがしやすくなる。そのため、その効果はブレーキペダルにおいてより大きく、ペダル位置の移動幅もブレーキペダルの方を大きくし、アクセルペダルの移動幅は小さくても良い。あるいはアクセルペダルは衝突の危険がある時に移動しなくても良い。後進時において衝突の危険がある時のペダル位置の移動速度は緊急性があるため、図12、図13の場合の移動速度よりも速く、一般的に0.3〜0.5m/s程度が好ましい。
【0070】
図15は、後進時において衝突の危険がある時にペダルを動かす方法の一例を示す図である。
【0071】
ステップ571からステップ572に進み、衝突の危険があると判定された場合には、ステップ573に進み、ペダル位置を手前側に移動する。ステップ574において衝突の危険が無くなったと判断された場合にはステップ575に進んで、ペダル位置を元の固定位置に戻す。ステップ575におけるペダルの移動速度は、ステップ573におけるペダルの移動速度よりも遅くて良く、一般的に0.2〜0.4m/s程度とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図。
【図2】本発明の一実施例のシステムブロック図。
【図3】操作入力演算装置と車両出力演算装置と通信経路の構成の一例を示す模式図。
【図4】ペダル装置の一実施例を示す模式図。
【図5】ペダル装置の一実施例を示す模式図。
【図6】ペダル装置の一実施例を示すブロック図。
【図7】ペダル反力の特性の一例を示すグラフ図。
【図8】ペダル装置の他の実施例を示す模式図。
【図9】ペダル反力の特性の一例を示すグラフ図。
【図10】車両出力の特性の一例を示すグラフ図。
【図11】前進時と後進時におけるペダル反力と車両出力の特性の一例を示す図。
【図12】前進時と後進時におけるペダル特性の切り替え方法の一例を示す図。
【図13】前進時と後進時におけるペダル特性の切り替え方法の一例を示す図。
【図14】後進時において衝突の危険がある時にペダルを動かす場合の一例を示す模式図。
【図15】後進時において衝突の危険がある時にペダルを動かす方法の一例を示す図。
【符号の説明】
【0073】
1…ペダル装置、3…操作入力部、4…アクチュエータ、6…ペダル踏力検出手段、7…操作状態検出手段、8…操作入力演算装置、12…ペダル位置検出手段、30,40,50,60,70,80…車両出力装置、111…通信経路、256…シフトポジションスイッチ、260…外界認識センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル装置を備える自動車に関し、特にペダル位置と独立して車両の運動を制御可能な自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者による車両の運転操作は、ステアリングや足踏み式のペダル装置によって行われる。後進時における車両の運転は、車両後方を目視しながら行うことが多い。その場合、運転者は体をひねり、後を振り向いた姿勢を保ちながら運転操作を行う必要がある。そのため、ペダルを操作するために前進時よりも足をのばさなければならず、後進時のペダルによる車両の運転操作がしづらいという問題があった。そこで、後進時におけるペダルの操作性向上を目的として、後進時には前進時よりもペダルの同一踏力に対するストロークを長く設定するものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−157439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、後進時は、運転者が後ろを振り向きながら運転することが多いので、上記従来技術のようにストロークすると、ペダルを深く踏み込んだり、強く踏み込んだりすることが困難な場合がある。また、ストロークが長い場合、踏み込みに時間がかかるので緊急時の対応にも考慮の余地がある。
【0005】
本発明は、後進時の運転の運転が容易な自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ペダル位置と独立して車両の運動を制御可能な自動車において、前進時は、踏み込みに応じてペダルをストロークさせ、当該ペダルの踏み込み量又はペダル踏力を用いて制動力を制御し、後進時には、前記ペダルを所定の位置に固定し、前記ペダルに加えられるペダル踏力に基づいて制動力を制御する。なお、上記に加えて、緊急時にはペダルを固定している位置を、より運転席側に移動することにより、運転者にペダル操作を促すこともできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、後進時にはペダルを踏み込んでもペダルがストロークしないので、運転者は車両を運転するために足を伸ばす必要がなく、後ろを振り向いた状態で運転しやすい自然な姿勢を保つことが出来る。また、ペダルを深く踏み込むことなく、強く踏み込むことも出来るため、下肢疲労を軽減することが出来る。なお、緊急時にペダルの固定している位置が運転席側に移動する構成とすれば、よりペダル踏力が出しやすくなり車両を素早く確実に運転出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明による自動車のシステムの一実施例を示す模式図、図2はそのシステムブロック図である。
【0009】
車両は、運転者が車両を運転するために操作するペダル装置1、及び運転者によるペダル装置1の操作に応じて車両の運動を変化させる車両出力装置30,40,50,60,70,80を備える。車両出力装置30,40,50,60は制動出力装置であり、車両出力装置70,80は駆動出力装置である。
【0010】
ペダル装置1は、運転席22に座った運転者が車両を運転するために操作する装置であり、足により与えられたペダル踏力によって、一定の範囲内でペダル位置やペダル速度が変化し、また、足により与えられたペダル踏力に対して一定の範囲に拘束された回転あるいは直線運動を行う。運転のための他の操作入力装置として車両にはステアリング21等も備わっているが、本発明には直接関係がないのでここでは触れない。
【0011】
ペダル装置1において、ペダル位置とペダル反力あるいはペダル踏力の関係は、電気的な制御によって任意に設定することが出来る。ペダル装置1は、一般にペダル踏力に応じてペダル位置(ペダルストローク)が変化し、ペダル位置に応じてペダル反力が発生する。ペダル装置1は運転者の踏み込むペダル踏力に対してペダル反力を発生させ、運転者に快適なフィーリングを与えることができる。
【0012】
本実施例の車両はバイワイヤ技術を採用している。すなわち、ペダル装置と車両出力装置の間には機械的接続が無く、通信経路111を介して通信により接続され、電気的な信号のやりとりにより情報が伝達される。ペダル装置への操作入力は電気的な信号として車両出力装置に伝えられ、車両出力装置は、伝えられた信号情報に基づいて車両出力を行う。
【0013】
ペダル装置1は、足で踏み込む作用点となる操作入力部3を備えている。車両出力装置(制動出力装置)30,40,50,60とペダル装置1の組み合わせはブレーキバイワイヤ技術による応用であり、その場合のペダル装置1はブレーキペダルである。車両出力装置70,80(駆動出力装置)のうち少なくとも一方とペダル装置1を組み合わせた場合のペダル装置1はアクセルペダルである。バイワイヤ技術によれば、ペダル装置と車両出力装置は機械的接続を持たないため、ペダル装置1のペダル反力あるいはペダル踏力に対するペダル位置は、車両出力と別に制御することが出来る。
【0014】
ペダル装置1は、操作入力演算装置8によって電気的に制御可能なアクチュエータ4を備えている。アクチュエータ4は一般にはモータであり、電力を供給するかあるいは電流を流すと、回転軸9周りに部材2が回転するかあるいは回転方向の力が発生する。アクチュエータ4を制御することによって、ペダル反力を任意の大きさで生成することが出来る。また、アクチュエータ4を制御することによって、ペダル位置(ペダルストローク)やペダル速度を任意に変更することが出来る。
【0015】
ここでは、運転者がペダル装置に対して行った全ての入力を操作入力と定義し、運転者の操作入力をペダル装置1が検出した情報を操作情報と定義する。操作入力あるいは操作情報は、ペダル位置、ペダル踏力、ペダル速度と操作状態を含んでいる。ペダル速度はペダル位置の単位時間あたりの変位であり、ペダル位置を時間微分したものである。ペダル踏力とは、ペダル装置を動かすための力であり、具体的には運転者が操作入力部3を踏み込んだ力を意味する。ペダル踏力は、運転者が操作入力を行う際に抵抗しようとするペダル反力とほぼ同じ大きさの力である。ペダル位置が変動しない時、あるいはペダルが動いていない時、ペダル踏力とペダル反力が釣り合っていると言うことが出来る。操作状態は、操作入力部が踏み込まれているかどうかの状態を表す。
【0016】
操作情報検出手段11は操作入力を操作情報として検出する手段であり、ペダル位置検出手段とペダル踏力検出手段と操作状態検出手段を含む。ペダル位置検出手段12はペダル位置を検出する。ペダル位置検出手段12は、例えばアクチュエータ制御用センサ5のような形態をとる。ペダル位置検出手段12は場合によってペダル速度を検出しても良い。ペダル位置検出手段12は、ペダル位置に基づいてペダル速度を算出することによりペダル速度の検出を行っても良い。ペダル踏力検出手段6はペダル踏力を検出する。ただし、ペダル踏力検出手段6は力を検出する手段であり、ペダル踏力とペダル反力を同じものとして検出するため、ペダル踏力検出手段6はペダル反力を検出するということもできる。操作状態検出手段7は操作状態を検出する。
【0017】
操作入力演算装置8は、操作情報検出手段11によって検出された操作情報に基づいてアクチュエータ4を制御する。操作入力演算装置8は、操作情報検出手段によって検出された操作情報に基づいて、ペダル反力を生成し、ペダル位置あるいはペダル速度を変更し、車両出力指令を決定し、決定した車両出力指令を通信経路111を介して車両出力装置に伝達する。
【0018】
車両出力装置30,40,50,60は、電気的に制御可能な制動出力装置であり、制動出力装置による車両出力は車両の減速度あるいは制動力である。制動出力装置に車両出力指令を伝達する場合、ペダル装置はブレーキペダルである。制動出力装置は伝達された車両出力指令に基づいて車両に制動力を発生させ、車両を減速させる。制動出力装置へ伝達される車両出力指令は車両の減速度あるいは制動力であっても良い。制動出力装置40,50,60は基本的に制動出力装置30と同じ構成をとる。
【0019】
制動出力装置は例えばキャリパであり、ロータを押しつけるピストンの推力を電気的に制御可能な電動ブレーキであっても良い。制動出力装置が電動ブレーキである場合、電気的な力を発生させるアクチュエータを備えており、アクチュエータによって発生する力が減速器など機械的な構成を介してピストンの推力に変換される機構であり、ピストン推力を制御することによって車両の制動力を制御することが出来る機構であっても良い。制動出力装置は例えばキャリパであり、ロータを押しつけるピストンの推力を油圧によって発生させ、油圧を電気的に制御可能な電動油圧ブレーキであっても良い。制動出力装置が電動油圧ブレーキである場合、電気的な力を発生させるアクチュエータを備えており、アクチュエータによって油圧を変化させることが出来る機構であり、油圧を制御することによって車両の制動力を制御することが出来る機構であっても良い。制動出力装置へ伝達される車両出力指令は電動ブレーキの推力であっても良いし、電動油圧ブレーキの油圧であっても良い。
【0020】
例えば、制動出力装置30はキャリパ34の発生する制動力をアクチュエータ33で制御する。アクチュエータ33は車両出力演算装置32で制御される。制御出力装置の状態は制動出力装置状態センサ35で検出することが出来る。車両出力演算装置32は制動出力装置の状態に応じてアクチュエータ33を制御する。車両出力演算装置32は必要に応じて制御出力装置の状態を、通信経路111を介してペダル装置1に伝達しても良い。制御出力装置の状態には電動ブレーキの実推力あるいは電動油圧ブレーキの実油圧が含まれていても良い。
【0021】
車両出力装置70,80は、電気的に制御可能な駆動出力装置である。駆動出力装置による車両出力は、車両の速度あるいは加速度あるいは駆動力である。駆動出力装置に車両出力指令を伝達する場合、ペダル装置はアクセルペダルである。駆動出力装置は、伝達された車両出力指令に基づいて車両に駆動力を発生させ、車両を加速させる。あるいは減速を阻害する。駆動出力装置へ伝達される車両出力指令は、車両の速度あるいは加速度あるいは駆動力であっても良い。一般的に駆動出力装置は70のようなエンジンの構成を取るが、ハイブリッド車や電気自動車あるいは電動四駆車などでは、駆動出力装置に80のような電動機の構成を用いたりエンジンと電動機を組み合わせた構成を用いたりする。
【0022】
駆動出力装置70はエンジンであり、ガソリンあるいは軽油を燃料として車両を駆動する。駆動出力装置70は伝達された車両出力指令及び、駆動出力装置の状態に応じてアクチュエータ72あるいは点火プラグ73を制御し、エンジン71に車両出力を生成させる。駆動出力装置の状態は、駆動出力装置状態センサ75によって検出される。アクチュエータ72は車両出力演算装置74によって制御される。車両出力演算装置74は、必要に応じて駆動出力装置の状態を、通信経路111を介してペダル装置1に伝達しても良い。駆動出力装置の状態にはエンジン71の駆動力あるいは回転数が含まれていても良い。
【0023】
駆動出力装置80は電動機であり、電力を供給したり電流を流したりする事によって車両出力を生成する。駆動出力装置80は、アクチュエータ83とアクチュエータを制御するためのセンサ85を備えており、車両出力演算装置84によって制御される。車両出力演算装置84は、必要に応じて駆動出力装置80の状態を、通信経路111を介してペダル装置1に伝達しても良い。
【0024】
通信経路111は、ペダル装置と車両出力装置の間を接続している電気信号による情報経路であり、物理的には電線で構成されている。ペダル装置と車両出力装置は空間的に離れた場所に設置されている場合が多く、その間の情報は一般的に時分割多重通信方式の電気信号を用い、通信経路111を介してやりとりされる。通信経路111に用いられる電気信号の形式はシリアル通信でも良いし、CANやFlaxRay、LAN等の多重通信でも良い。
【0025】
図3は、操作入力演算装置と車両出力演算装置と通信経路の構成例を示す図である。
図3(a)は、通信経路が1つであり、車両出力装置151〜154を一つの車両出力演算装置150で制御する例を示している。例えば、ABS装置や横滑り防止装置のように油圧を制御する装置が一つだけであり、各キャリパには油圧を伝達し、操作入力演算装置8との電気的な通信は一つの通信経路111を介して行うような構成が、本例に該当する。
【0026】
図3(b)は、通信経路が2つあり、車両出力装置156,157,159,160を複数の車両出力演算装置155,158で制御する例を示している。例えば、車両の前輪と後輪で別系統の油圧システムとなっている場合、油圧を制御する装置は二つとなり、操作入力演算装置8との電気的な通信を行う経路も二つ必要となる。この場合、系統が二つになることにより、信頼性の向上を図ることが出来ると共に、系統別の車両出力を行うことで車両運動性能の向上を図ることが出来る。
【0027】
図3(c)は、通信経路は1つであるが、車両出力装置165〜168をそれぞれ別の車両出力演算装置161〜164で制御する例を示している。例えば、車両の四輪全てに電動ブレーキを装着している場合、各輪に車両出力を制御する装置が備えられ、操作入力演算装置と通信を行っている場合が本例に該当する。車両の四輪全てが独立に車両出力を制御する事により、高いレベルで車両運動性能の向上を図ることが出来る。
【0028】
図3(d)は、通信経路が2つあり、車両出力装置173〜176をそれぞれ別の車両出力装置169〜172で制御する例を示している。例えば、車両の四輪全てに電動ブレーキを装着し、各輪に車両出力を制御する装置が備えられている場合に、前右輪と後左輪が同じ通信経路を介して操作入力演算装置8と通信を行い、前左輪と後右輪が同じ通信経路を介して操作入力演算装置8と通信を行う構成である。あるいは、車両の四輪全てに電動ブレーキを装着し、各輪に車両出力を制御する装置が備えられている場合に、前二輪が同じ通信経路を介して操作入力演算装置と通信を行い、後二輪が同じ通信経路を介して操作入力演算装置と通信を行うような構成である。この場合、通信経路が二重になることにより、片側の通信経路に障害や故障が発生した場合に置いても、もう片側の通信経路に属する車両出力装置が作動するため、車両全体としての信頼性の向上を図ることが出来る。
【0029】
図4は、ペダル装置の一例を示した図である。図4(a)はペダル装置を車両に取り付けた時に運転席から見た場合を正面とした時の正面図であり、図4(b)は側面図である。
【0030】
図示したペダル装置は、アクチュエータ201、減速器202、ペダルスイッチ203、ペダルストロークセンサ204,205、原点位置ストッパ206、ペダル端208を備えている。
【0031】
アクチュエータ201は電動機あるいはモータであり、電力を供給したり電流を流したりすることによって回転したり、回転方向の力を発生させたりする。アクチュエータ201は、DCモータ、DCブラシレスモータ、AC誘導モータ、あるいはAC同期モータとすることができる。減速器202は歯車によるもの、遊星ギアによるもの、あるいは差動減速器によるものであっても良い。ペダルスイッチ203は、ペダルが踏まれている時と踏まれていない時を判別することが出来るスイッチである。ペダルストロークセンサ204,205は、ペダル位置を検出することが出来る。ペダルストロークセンサを二つ備えていることにより、ペダル位置検出の精度を上げることが出来、一方の故障に対する耐性を得ることによる信頼性の向上が可能になる。
【0032】
原点位置とは、運転者がペダルを踏んでいない時のペダル位置であり、一般的にペダル装置にペダル踏力がかかっていないかほとんどかかっていない時のペダル位置である。原点位置にペダルがある時、ペダル位置あるいはペダルストロークは0である。原点位置にペダルがあるかどうかはペダルスイッチ203、あるいはペダルストロークセンサ204,205によって判断することができる。原点位置にペダルがある場合、ペダルは踏み込まれていないと判断される。
【0033】
部材207は、図4(b)で見て左側への移動は原点位置ストッパ206に当たる所まで可能である。図4(b)で見て左側への移動、すなわち原点位置へ移動する方向を、運転席方向あるいは手前方向あるいは戻し方向あるいは放し方向と定義する。図4(b)で見て右側への移動、すなわちペダルを踏み込んだ時に移動する方向を、奥方向あるいは踏み方向と定義する。ペダル端208は運転者が踏み込む部分であり、ペダル装置1の入力部3に相当する。ペダル端208にペダル踏力がかかるとペダルがストロークし、例えば209のようにペダル位置が移動する。
【0034】
図5は、ペダル装置の一例を模式的に示したものである。図6は、図5のペダル装置及び関連する装置について模式的に示したブロック図である。
【0035】
図示したペダル装置はパッシブ反力手段221を備えている。アクチュエータ4によって生成されるペダル反力はアクティブ反力と呼ばれ、パッシブ反力手段221によって生成されるペダル反力はパッシブ反力と呼ばれる。パッシブ反力手段221はバネによる機構であったりストロークシミュレータのような粘性をもった油圧機構であったりしても良い。パッシブ反力手段221によって生成されるパッシブ反力は、パッシブ反力手段221の機械的特性によって定まり、電気的に制御することが出来ない。本例のペダル装置は、アクティブ反力とパッシブ反力を合わせたペダル反力を生成することが出来る。アクチュエータ4が十分なペダル反力を生成出来る場合は、パッシブ反力手段221を用いず、アクティブ反力だけでペダル装置を構成しても良い。
【0036】
図7は、パッシブ反力、アクティブ反力及びペダル反力の関係の一例を示す説明図である。図7(a)に示すように、パッシブ反力301は、あるペダル位置に対するペダル反力が機械的に決まっており、電気的な要素によって変化しない。アクティブ反力はパッシブ反力に加えられるか減じられることにより、ペダル反力を生成する。アクティブ反力は電気的な要素によって任意に変化することが出来るため、ペダル反力を例えば302から303の範囲で変化させることが出来る。パッシブ反力301はペダル位置が大きくなればなるほど大きくなるが、アクティブ反力で変化させることの出来るペダル反力の幅はペダル位置に関わらず一定である。パッシブ反力301を中心としてアクティブ反力を加えたペダル反力は302から303の間の任意の値を取れるため、例えば図7(b)に示すようなペダル反力304を実現することが出来る。パッシブ反力手段を用いることによってアクチュエータ4の容量あるいは大きさあるいは消費電力を小さくすることが出来る。
【0037】
ペダル装置は、アクチュエータ制御用センサ222、ペダル回転角センサ223、ペダルストロークセンサ224を備えている。アクチュエータ制御用センサ222は、アクチュエータ4の回転角度あるいは回転位相を検出することが出来る。センサ222は光あるいは磁気を用いたエンコーダであっても良いし、レゾルバであっても良い。ペダル回転角センサ223は、回転軸9に対して部材2が回転した角度を検出することが出来る。センサ223は可変抵抗を用いたポテンショメータあるいはロータリエンコーダであっても良いし、回転スリットを用いて光ピックアップで検知する方式であっても良いし、磁気素子を用いて、磁気の変化を検知する方式であっても良い。ペダルストロークセンサ224は、部材2あるいはペダル端208がストロークした量あるいはペダル位置を検出することが出来る。センサ224は可変抵抗を用いたポテンショメータであっても良いし、磁気回路を用いて磁気抵抗の変化として変位幅を検出する方法であっても良い。ペダル位置検出手段12にはセンサ222,223,224の内少なくとも一つが含まれる。
【0038】
ここでは、ペダル位置あるいはペダルストロークは奥方向へ行くほど大きな値を取り、手前方向へ行くほど小さな値を取ると定義する。ペダルを手前側から奥側に移動させる時ペダルを踏むあるいは踏み込むと定義し、ペダルを奥側から手前側に移動させる時ペダルを放すあるいは戻すと定義する。ペダル位置を変更しないようにペダルを維持している時、ペダルを保持すると定義する。一般的なペダル装置において、最大限にストロークさせた時のペダル位置は0.06〜0.1m程度である。
【0039】
図示したペダル装置は、ペダル踏力センサ227を備えている。ペダル踏力センサ227は、運転者がペダルを踏み込むペダル踏力あるいはペダルが運転者の足を押し返すペダル反力を検出することが出来る。このペダル装置は、また、ロッド力センサ228を備えている。ロッド力センサ228は、部材2とパッシブ反力手段221の間に働く力を検出することが出来る。センサ227,228は、例えば歪みゲージの抵抗変化を用いて力を検出する構成であっても良い。センサ227,228の内、少なくとも一つを用いてペダル踏力を検出することができ、ペダル踏力検出手段6にはセンサ227,228の内少なくとも一つが含まれる。ペダル踏力検出手段6は、ペダルの構造物に歪ゲージを取り付け、歪ゲージの微小変位による抵抗変化を計測することでペダル踏力を検知してもよい。なお、ペダルを踏み込む時のペダル踏力を正とする。
【0040】
図示したペダル装置は、ペダルスイッチ203を備えている。ペダルスイッチ203は操作状態検出手段7に含まれる。ペダル装置1がブレーキペダルである場合、ペダルスイッチ203はブレーキスイッチであり、ペダル装置1がアクセルペダルである場合、ペダルスイッチ203はアクセルスイッチである。操作状態検出手段7は、ペダルスイッチ203が作動していればペダルが踏まれていると判断してよく、また、ペダル位置あるいはペダル踏力が予め定められた閾値を超えている場合はペダルが踏まれていると判断しても良い。
【0041】
ペダル装置1は、車両情報検出手段を用いて車両情報を検出する。車両情報には、シフトポジションが含まれる。車両情報検出手段には、シフトポジションスイッチ256が含まれる。シフトポジションスイッチはシフトポジションセンサでも良い。シフトポジションスイッチ256は、シフトポジションがどこであるかを検出する。シフトポジションは例えば、Rレンジ、Dレンジ、Nレンジ、Pレンジを示すものとしても良い。
【0042】
ペダル装置1は、環境情報検出手段を用いて環境情報を検出する。環境情報には、他車両や歩行者や障害物との相対関係、相対距離、相対速度、衝突時間が含まれる。衝突時間は他車両や歩行者や障害物との衝突までの予想される時間であり、衝突時間=相対距離/相対速度で表される。
【0043】
環境情報検出手段には、外界認識センサ260が含まれる。外界認識センサ260は、例えば赤外線レーザーあるいはミリ波を用いて他車両や障害物との相対距離あるいは相対速度を検出するレーダ、超音波を用いて他車両や障害物との相対距離あるいは相対速度を検出する方式、あるいは光学式カメラを用いて他車両や障害物との相対距離あるいは相対速度を検出する方式とすることができる。外界認識センサ260は、後方を走る他車両や歩行者や障害物との相対関係を検出する方式であっても良い。
【0044】
図8は、ペダル装置の種々の形態を示す模式図である。図8(a)は、回転軸401に対して操作入力部402が下になっているペダル装置の例である。図8(b)は、回転軸404に対して操作入力部403が上になっているペダル装置の例である。図8(c)は、回転軸を持っておらず、操作入力部405への操作入力に対してペダル装置が直動する例を示している。図8(d)は、回転軸406とアクチュエータ407が別になっているペダル装置の例である。アクチュエータ407の回転出力は、回転直動変換機構408により直動方向の出力に変換され部材409に作用する事によって、ペダル端410を移動させたりペダル反力を発生させたりする。回転直動変換手段としては例えばウォームギアを用いてもよいし、ボールねじを用いてもよい。
【0045】
図8(e)は、アクチュエータ411が回転電動機ではなく、直動方向に変位したり力を出したりすることが出来るペダル装置の例である。アクチュエータ411の出力が部材412に作用することによって、ペダル位置を移動させたりペダル反力を発生させたりする。アクチュエータ411は例えばソレノイドであっても良い。図8(f)は、パッシブ反力手段414が回転軸413に取り付けられているペダル装置の例を示している。図8(g)は、パッシブ反力手段415が回転軸付近に取り付けられているペダル装置の例である。
【0046】
操作入力演算装置8は、操作情報、車両情報あるいは環境情報を用いて、操作入力部を制御する。操作入力演算装置8は、また、操作情報、車両情報あるいは環境情報を用いて、車両出力指令を車両出力装置121に伝達し、車両出力を発生させる。運転者はペダル位置とペダル反力を感じながら車両を操作しているため、ペダル位置とペダル反力と車両出力の関係によって、運転しやすさ(操作性)や疲労しにくさ、運転の楽しさ(快適性)が変化する。そのため、ペダル装置は、ペダル位置、ペダル反力、車両出力を適切な関係になるように制御する。
【0047】
ペダル反力は、例えば図9に示すように設定することが出来る。図9(a)の451は剛性反力と呼ぶことができ、ペダル位置に応じて大きさの変わる反力である。ペダル位置が大きくなればなるほど剛性反力が大きくなる。同じペダル位置に対して比較的剛性反力が大きいペダルは堅いペダルであると言うことが出来る。あるペダル位置に対して比較的剛性反力が小さいペダルは柔らかいペダルであると言うことが出来る。図9(b)の453は粘性反力と呼ぶことが出来、ペダル速度に応じて大きさの代わる反力である。ペダル速度が大きくなればなるほど粘性反力が大きくなる。例えばペダルを踏み込んだ時のペダル速度が図9(c)のようであった場合、粘性反力は図9(d)のようになる。ペダル反力は剛性反力と粘性反力を合計したものとすることが出来、図9(a)の452のように設定される。
【0048】
ペダル反力をF、ペダル位置をxとすると、ペダル速度はdx/dtで表される。また、ペダル位置に依存する剛性反力をFk(x)、ペダル速度に依存する粘性反力をFd(dx/dt)とすると
F=Fk(x)+Fd(dx/dt)
あるいは
F=Fk(x)+Kd×dx/dt
となる。ここで、
Fd(dx/dt)=Kd×dx/dt
であり、Kdは予め定められた定数である。
【0049】
車両出力は、例えば図10のように設定することが出来る。車両出力は操作入力と相関を持っていなければならない。ペダル位置に応じて車両出力を発生させても良い。ペダル踏力あるいはペダル反力に応じて車両出力を発生させても良い。ペダル位置に基づいて車両出力を設定する場合、図10(a)に示すように下に凸になるように車両出力を設定する。ペダル踏力に基づいて車両出力を設定する場合、図10(b)に示すように上に凸になるように車両出力を設定する。
【0050】
図11は、本発明によるペダル装置の前進時と後進時におけるペダル反力と車両出力の特性の一例を示す図である。図11(a)〜(c)は前進時のペダル特性を示す図であり、図11(d),(e)は後進時のペダル特性を示す図である。
【0051】
図11(a)は前進時のペダル位置に対するペダル反力の関係を表す図、図11(b)は前進時のペダル位置に対する車両出力の関係を表す図、図11(c)は前進時のペダル踏力に対する車両出力の関係を表す図である。前進時においては、通常のペダル装置と同様にペダル踏力に応じてペダル位置がストロークし、ペダル位置に応じてペダル反力が発生する。前進時においては、図11(b)に示すように通常のペダルと同様にペダル位置に応じて車両出力を発生させても良いし、図11(c)に示すようにペダル踏力に応じて車両出力を発生させても良い。
【0052】
図11(d)は、後進時のペダル位置に対するペダル反力の関係を表す図である。後進時はペダルをペダル位置505で固定しているので、ペダル踏力あるいはペダル反力にかかわらずペダル位置が一定である。図11(e)は、後進時のペダル位置に対する車両出力の関係を表す図である。後進時はペダル位置が変化しないため、ペダル踏力に応じて車両出力の制御を行う。ペダルの固定位置は、後を振り向いたまま足をペダルにおいた時に車両運転操作がしやすい位置であり、一般的に原点位置を0とした時から0.02〜0.04m踏み込んだ位置である。人間の足はある程度曲げた状態で強い力を出すことが出来るようになっている。ペダルをストロークさせずに車両を操作することにより、力の出しやすい姿勢を保ちながら車両を運転することが出来る。
【0053】
図12は、前進時と後進時におけるペダル特性の切り替え方法の一例を示す図である。図12はブレーキペダルと制動力に関するものである。
【0054】
ステップ521において、シフトポジションがRかどうかを判定する。前進から後進への切り替え時には一般的にブレーキペダルが踏み込まれており、制動力を維持して車両を停止させている事が多いので、ステップ522において、その時点での制動力を保持する。
【0055】
前進時のペダルの踏み込み量と後進時のペダルの固定位置は同一でないことが多く、前進から後進への切り替え時にはペダルを固定位置まで移動する必要がある。そこで、ステップ523とステップ524により、ペダルを固定位置まで移動する。ステップ523におけるペダルの移動速度は、足に衝撃を与えず、かつペダル移動が足の感覚で感知できる程度の速度にする。一般的に、ペダル移動速度は、ペダル端で0.05〜0.5m/s程度とすればよい。ペダルが固定位置まで移動すると、ステップ525に進んで、ペダルをその位置に固定する。
【0056】
次に、ステップ526に進み、ステップ527の判定でシフトポジションがR以外になるまでは、図11(e)の関係に従った制動力を発生する。ステップ526においては、ペダル位置が固定されたままペダル踏力に基づいて制動力が発生し、車両を運転することが出来る。
【0057】
後進から前進への切り替え時には一般的にブレーキペダルが踏み込まれており、制動力を維持して車両を停止させている事が多い。後進から前進への切り替えが行われると、ペダル位置に応じて図11(a)に示すようなペダル反力が発生する。しかし、後進から前進への切り替え時におけるペダル位置とペダル踏力は、図11(a)に示したペダル位置とペダル反力の関係から逸脱していることが多い。ペダル踏力とペダル反力が釣り合っていないと、運転者に違和感を与えたり、ペダルが勝手に動いたりする。従って、後進から前進への切り替え時には、ペダル踏力と図11(a)に示したペダル反力が釣り合うようにペダル位置を移動する。ペダル位置を移動した後、後進時から前進時への切り替えを行えば、ペダル踏力とペダル反力が釣り合った状態で前進時への切り替えが行われるので、運転者に違和感を与えたり、ペダルが勝手に動いたりする事がない。
【0058】
ステップ527の判定でシフトポジションがR以外ならば、ステップ528において、図11(e)の関係に従った制動力を発生させながら、ステップ529でペダル位置を移動する。ステップ529とステップ530により、図11(a)の関係によるペダル位置に対するペダル反力がペダル踏力と同じになるペダル位置までペダルを移動する。ステップ529におけるペダルの移動速度は、足に衝撃を与えず、かつペダル移動が足の感覚で感知できる速度にする。一般的に、ペダル移動速度は、ペダル端で0.05〜0.5m/s程度とすればよい。ステップ529によるペダルの移動速度は、ペダル踏力に応じて可変にしても良い。
【0059】
ステップ530の判定で、ペダルがペダル踏力と同じペダル反力となるペダル位置になれば、ステップ531に進んで、図11(b)(c)に示した関係に従って制動力を発生し、ステップ532において、図11(a)に示したペダル反力特性を持つペダルとして、ペダル踏力に応じたストロークやペダル位置に応じたペダル反力の発生を行う。
【0060】
図13は、前進時と後進時におけるペダル特性の切り替え方法の一例を示す図である。図13はアクセルペダルと駆動力に関するものである。
【0061】
ステップ541において、シフトポジションがRかどうかを判定する。前進から後進への切り替えは、車両を停止させている時に行う。そのため、ステップ542において、アクセルペダルを放しているかどうかを判定し、アクセルペダルを放している時のみ後進時に切り替わるようにする。アクセルペダルが放されていればステップ543に進み、駆動力を最小に制御する。この時の駆動力はゼロであっても良いし、クリープ現象による微量な駆動力があっても良い。
【0062】
次に、ステップ544とステップ545によりペダルを固定位置まで移動する。ステップ544によるペダルの移動速度は、足に衝撃を与えず、かつペダル移動が足の感覚で感知できる速度にする。一般的に、移動速度はペダル端で0.2〜0.5m/s程度とすればよい。ペダル位置が固定位置まで移動すると、ステップ546に進んで、ペダルをその位置に固定する。
【0063】
次にステップ547に進み、ステップ549でシフトポジションがR以外になるまでは、ステップ548において、図11(e)の関係に従った制動力を発生する。ステップ548により、ペダル位置が固定されたままペダル踏力に基づいて駆動力が発生し、車両を運転することが出来る。
【0064】
後進時から前進時への切り替えは、車両を停止させている場合に行う。そのため、ステップ547においてアクセルペダルを踏んでいるかどうかを判定し、アクセルペダルを放している時のみ前進時に切り替わるようにする。ステップ549の判定でシフトポジションがR以外ならば、ステップ550に進んで駆動力を最小にし、ステップ551においてペダルを移動するにする。この時の駆動力はゼロであっても良いし、クリープ現象による微量な駆動力であっても良い。ステップ551とステップ552により、ペダル位置が原点位置になるまでペダルを移動する。ステップ551によるペダルの移動速度は、足に衝撃を与えず、かつペダル移動が足の感覚で感知できる速度にする。この速度は、一般的にペダル端で0.2〜0.5m/s程度である。
【0065】
ステップ552において、ペダルが原点位置にあると判定されれば、ステップ553に進んで、図11(b)(c)に示した駆動力を発生し、ステップ554において図11(a)に示したペダル反力特性を持つペダルとして、ペダル踏力に応じたストロークやペダル位置に応じたペダル反力の発生を行う。
【0066】
図14は、後進時において衝突の危険がある時にペダルを動かす場合の一例を示す模式図である。図14において、後進時における通常のペダル位置が563であり、後進時において衝突の危険がある場合のペダル位置が564である。
【0067】
後進時において衝突の危険があるかどうかは、環境情報検出手段の外界認識センサ260によって検出した車両後方の障害物や歩行者との相対距離あるいは相対速度あるいは衝突時間によって判定する。例えば、衝突時間が1秒以下ならば衝突の危険があると判定する。衝突の危険がある場合にペダル位置が563から564に移動することによって、視認しにくい方向における衝突の危険を運転者に認知させるとともに、例えばブレーキペダルの踏み込みを促す事が出来る。また、衝突の危険がある場合にペダル位置が563から564に移動することによって、ペダル位置が手前になり、より足によるペダル踏力をかけやすくなるため、加速や減速などの車両操作を素早く行うことが出来るようになる。
【0068】
本発明によれば、後進時はペダル位置が変化せず、ペダル操作中は常にペダルの上に同じ姿勢で足が乗っているため、衝突の危険があるときにペダル位置を移動することにより、的確に運転者への警告を伝達することが出来る。後進時において衝突の危険がある時のペダル位置の移動幅は、運転者にペダル位置の変化が認知出来る必要があり、一般的に0.005〜0.01m程度である。
【0069】
後進時において衝突の危険がある時にペダル位置を手前に移動すると、運転者に踏み込みを催促する事が出来、踏み込みがしやすくなる。そのため、その効果はブレーキペダルにおいてより大きく、ペダル位置の移動幅もブレーキペダルの方を大きくし、アクセルペダルの移動幅は小さくても良い。あるいはアクセルペダルは衝突の危険がある時に移動しなくても良い。後進時において衝突の危険がある時のペダル位置の移動速度は緊急性があるため、図12、図13の場合の移動速度よりも速く、一般的に0.3〜0.5m/s程度が好ましい。
【0070】
図15は、後進時において衝突の危険がある時にペダルを動かす方法の一例を示す図である。
【0071】
ステップ571からステップ572に進み、衝突の危険があると判定された場合には、ステップ573に進み、ペダル位置を手前側に移動する。ステップ574において衝突の危険が無くなったと判断された場合にはステップ575に進んで、ペダル位置を元の固定位置に戻す。ステップ575におけるペダルの移動速度は、ステップ573におけるペダルの移動速度よりも遅くて良く、一般的に0.2〜0.4m/s程度とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図。
【図2】本発明の一実施例のシステムブロック図。
【図3】操作入力演算装置と車両出力演算装置と通信経路の構成の一例を示す模式図。
【図4】ペダル装置の一実施例を示す模式図。
【図5】ペダル装置の一実施例を示す模式図。
【図6】ペダル装置の一実施例を示すブロック図。
【図7】ペダル反力の特性の一例を示すグラフ図。
【図8】ペダル装置の他の実施例を示す模式図。
【図9】ペダル反力の特性の一例を示すグラフ図。
【図10】車両出力の特性の一例を示すグラフ図。
【図11】前進時と後進時におけるペダル反力と車両出力の特性の一例を示す図。
【図12】前進時と後進時におけるペダル特性の切り替え方法の一例を示す図。
【図13】前進時と後進時におけるペダル特性の切り替え方法の一例を示す図。
【図14】後進時において衝突の危険がある時にペダルを動かす場合の一例を示す模式図。
【図15】後進時において衝突の危険がある時にペダルを動かす方法の一例を示す図。
【符号の説明】
【0073】
1…ペダル装置、3…操作入力部、4…アクチュエータ、6…ペダル踏力検出手段、7…操作状態検出手段、8…操作入力演算装置、12…ペダル位置検出手段、30,40,50,60,70,80…車両出力装置、111…通信経路、256…シフトポジションスイッチ、260…外界認識センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルと、
前記ペダルの位置を検出するペダル位置検出手段と、
ペダル踏力を検出するペダル踏力検出手段と、
車両出力を発生する車両出力装置と、
車両が前進状態にあるか後進状態にあるかを検出する車両情報検出手段とを備え、前記ペダルの位置と独立して車両の運動を制御可能な自動車であって、
前記車両情報検出手段が前進状態を検出している時は、踏み込みに応じて前記ペダルをストロークさせ、前記ペダル位置検出手段又は前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて前記車両出力装置の車両出力を制御し、
前記車両情報検出手段が後進状態を検出している時は、前記ペダルを所定のペダル位置に固定し、前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて前記車両出力装置の車両出力を制御することを特徴とする自動車。
【請求項2】
請求項1記載の自動車において、環境情報検出手段を備え、前記車両情報検出手段が後進状態を検出している時に前記環境情報検出手段により検出された環境情報から他の車両又は障害物に衝突する危険性があると判断されたとき、前記ペダルを固定しているペダル位置を、より運転席側に移動することを特徴とする自動車。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自動車において、前記ペダルが踏み込みに応じてストロークする状態から前記所定のペダル位置に固定する状態へ移行する間あるいは前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行する間は、前記車両出力装置は一定の車両出力を維持するか、前記ペダル踏力検出手段の検出信号に応じた車両出力を発生することを特徴とする自動車。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の自動車において、踏み込みに応じてストロークする状態から所定のペダル位置に固定する状態へ変化する間あるいは前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行する間は、前記ペダルを一定のペダル速度で移動することを特徴とする自動車。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の自動車において、前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行するとき、前記ペダルを、ペダル踏力と同じペダル反力となるペダル位置までストロークすることを特徴とする自動車。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の自動車において、前記ペダルはブレーキペダル又はアクセルペダルであることを特徴とする自動車。
【請求項7】
ペダルと、
前記ペダルの位置を検出するペダル位置検出手段と、
ペダル踏力を検出するペダル踏力検出手段とを備え、
車両が前進状態にある時は、踏み込みに応じて前記ペダルをストロークさせ、前記ペダル位置検出手段又は前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて車両出力の指令を発生し、
車両が後進状態にある時は、前記ペダルを所定のペダル位置に固定し、前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて車両出力の指令を発生することを特徴とするペダル装置。
【請求項8】
請求項7記載のペダル装置において、車両が後進状態にある時に車両に備えられた環境情報検出手段から他の車両又は障害物に衝突する危険性があるとの判定信号を受信したとき、前記ペダルを固定しているペダル位置を、より運転席側に移動することを特徴とするペダル装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載のペダル装置において、前記ペダルが踏み込みに応じてストロークする状態から前記所定のペダル位置に固定する状態へ移行する間あるいは前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行する間は、前記車両出力装置の車両出力が一定になるように指令を発生するか、前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて前記車両出力装置への指令を発生することを特徴とするペダル装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項記載のペダル装置において、踏み込みに応じてストロークする状態から所定のペダル位置に固定する状態へ変化する間あるいは前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行する間は、前記ペダルを一定のペダル速度で移動することを特徴とするペダル装置。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項記載のペダル装置において、前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行するとき、前記ペダルを、ペダル踏力と同じペダル反力となるペダル位置までストロークすることを特徴とするペダル装置。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか1項記載のペダル装置において、前記ペダルはブレーキペダル又はアクセルペダルであることを特徴とするペダル装置。
【請求項1】
ペダルと、
前記ペダルの位置を検出するペダル位置検出手段と、
ペダル踏力を検出するペダル踏力検出手段と、
車両出力を発生する車両出力装置と、
車両が前進状態にあるか後進状態にあるかを検出する車両情報検出手段とを備え、前記ペダルの位置と独立して車両の運動を制御可能な自動車であって、
前記車両情報検出手段が前進状態を検出している時は、踏み込みに応じて前記ペダルをストロークさせ、前記ペダル位置検出手段又は前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて前記車両出力装置の車両出力を制御し、
前記車両情報検出手段が後進状態を検出している時は、前記ペダルを所定のペダル位置に固定し、前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて前記車両出力装置の車両出力を制御することを特徴とする自動車。
【請求項2】
請求項1記載の自動車において、環境情報検出手段を備え、前記車両情報検出手段が後進状態を検出している時に前記環境情報検出手段により検出された環境情報から他の車両又は障害物に衝突する危険性があると判断されたとき、前記ペダルを固定しているペダル位置を、より運転席側に移動することを特徴とする自動車。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自動車において、前記ペダルが踏み込みに応じてストロークする状態から前記所定のペダル位置に固定する状態へ移行する間あるいは前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行する間は、前記車両出力装置は一定の車両出力を維持するか、前記ペダル踏力検出手段の検出信号に応じた車両出力を発生することを特徴とする自動車。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の自動車において、踏み込みに応じてストロークする状態から所定のペダル位置に固定する状態へ変化する間あるいは前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行する間は、前記ペダルを一定のペダル速度で移動することを特徴とする自動車。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の自動車において、前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行するとき、前記ペダルを、ペダル踏力と同じペダル反力となるペダル位置までストロークすることを特徴とする自動車。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の自動車において、前記ペダルはブレーキペダル又はアクセルペダルであることを特徴とする自動車。
【請求項7】
ペダルと、
前記ペダルの位置を検出するペダル位置検出手段と、
ペダル踏力を検出するペダル踏力検出手段とを備え、
車両が前進状態にある時は、踏み込みに応じて前記ペダルをストロークさせ、前記ペダル位置検出手段又は前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて車両出力の指令を発生し、
車両が後進状態にある時は、前記ペダルを所定のペダル位置に固定し、前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて車両出力の指令を発生することを特徴とするペダル装置。
【請求項8】
請求項7記載のペダル装置において、車両が後進状態にある時に車両に備えられた環境情報検出手段から他の車両又は障害物に衝突する危険性があるとの判定信号を受信したとき、前記ペダルを固定しているペダル位置を、より運転席側に移動することを特徴とするペダル装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載のペダル装置において、前記ペダルが踏み込みに応じてストロークする状態から前記所定のペダル位置に固定する状態へ移行する間あるいは前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行する間は、前記車両出力装置の車両出力が一定になるように指令を発生するか、前記ペダル踏力検出手段の検出信号を用いて前記車両出力装置への指令を発生することを特徴とするペダル装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項記載のペダル装置において、踏み込みに応じてストロークする状態から所定のペダル位置に固定する状態へ変化する間あるいは前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行する間は、前記ペダルを一定のペダル速度で移動することを特徴とするペダル装置。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項記載のペダル装置において、前記所定のペダル位置に固定した状態から踏み込みに応じてストロークする状態へ移行するとき、前記ペダルを、ペダル踏力と同じペダル反力となるペダル位置までストロークすることを特徴とするペダル装置。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか1項記載のペダル装置において、前記ペダルはブレーキペダル又はアクセルペダルであることを特徴とするペダル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−281808(P2006−281808A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100531(P2005−100531)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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