説明

マイクロ波フィルタ及び高周波振動子

【課題】 簡易な構成で、高周波数帯域において低損失且つ高Q値のマイクロ波フィルタ及び高Q値の高周波振動子を提供する。
【解決手段】 Q値の高い同一の水晶基板1上に振動子2とバンドパスフィルタ3とを設け、振動子2の高次オーバトーンを利用して、振動子2の出力端子に接続するバンドパスフィルタ3のマイクロストリップライン4のオーバーラップ部分の長さを、所望の通過周波数のλg/4の電気長となるよう形成したマイクロ波フィルタ及び高周波振動子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子を用いたマイクロ波フィルタ及び高周波振動子に係り、特に低損失且つ高Q値を実現するマイクロ波フィルタ及び高周波振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロ波帯フィルタとしては、導波管を用いたもの、伝送線路を用いたもの、積層セラミックを利用したもの等多くのものが提案され、実用化されている。
【0003】
また、従来、振動子の基本波周波数ではなく、基本波周波数(f0)の奇数次の高調波成分(3f0,5f0;いわゆるオーバトーン周波数)を利用するオーバトーン発振回路があった。
また、Q値が高いと、鋭い共振特性及びフィルタ特性が得られ、水晶は高いQ値を備えている。
【0004】
マイクロ波フィルタの先行技術としては、特開平05−007125号公報(特許文献1)、特開平06−334468号公報(特許文献2)、特開2002−076840号公報(特許文献3)、特開2001−308680号公報(特許文献4)がある。
【0005】
特許文献1には、表面波フィルタにおいて、圧電共振器の基板上にハイパス・ローパスなどのバンドパスフィルタを形成する構造が記載されている。
また、特許文献2には、弾性表面波装置において、圧電共振器の基板上にマイクロストリップラインなどの整合回路の一部を形成する構造が記載されている。
特許文献3には、表面波フィルタにおいて、圧電共振器の基板上にバンドパスフィルタを形成する構造が記載されている。
特許文献4には、圧電フィルタにおいて、水晶振動子と同じ基板上に二重モードフィルタを形成し、容量を並列接続することでバンドパス特性を有する構造が記載されている。
【0006】
また、オーバトーン発振回路の先行技術としては、特開2002−232234号公報(特許文献5)がある。
特許文献5には、振動周波数が厚みに反比例した厚みすべり振動姿態の水晶片から成る水晶振動子において、厚みの異なる第1振動領域と第2振動領域とを設け、一方を発振子とし、他方をフィルタを形成する共振子とし、第1振動領域波オーバトーン振動で動作し、第2振動領域は基本波振動で動作する複合型の振動子が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平05−007125号公報
【特許文献2】特開平06−334468号公報
【特許文献3】特開2002−076840号公報
【特許文献4】特開2001−308680号公報
【特許文献5】特開2002−232234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1〜4に示す従来のフィルタは、数百MHz帯域を目的としたものであり、1GHz以上の高周波数帯域において、低損失且つ高Q値を実現するフィルタを得ることができないという問題点があった。
【0009】
また、上記特許文献5に示す従来の発振回路では、オーバトーン発振子及びオーバトーン共振子を用いて高周波数帯域で周波数の調整を容易にする構成が記載されているが、構成が複雑であり、製造工程が煩雑であるという問題点があった。
【0010】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、簡易な構成で、高周波数帯域において低損失且つ高Q値のマイクロ波フィルタ及び高周波振動子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、振動子とバンドパスフィルタとを有するマイクロ波フィルタであって、振動子は、水晶基板の一方の面に形成された信号の入力端子と、水晶基板の他の面に該入力端子に対向して形成された出力端子とを備え、バンドパスフィルタは、出力端子に接続し平行に配列された複数のマイクロストリップラインと、該複数のマイクロストリップラインに対向して前記水晶基板の一方の面に形成されたグランド面とを備え、振動子が、基本波周波数成分と、奇数次の高調波成分を有する振動子であり、バンドパスフィルタが、奇数次の高調波成分の内、いずれかの高調波成分を通過周波数として通過させ、基本波周波数成分及び他の不要な高調波成分を抑圧するバンドパスフィルタであることをを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、上記マイクロ波フィルタにおいて、隣接するマイクロストリップライン同士の重なり部分の電気長が、所望の通過周波数の4分の1波長の長さであることを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、マイクロ波発振回路において、上記のいずれか記載のマイクロ波フィルタを備えたことを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、振動子とバンドパスフィルタとを有する高周波振動子であって、振動子は、水晶基板の一方の面に形成された信号の入力端子と、水晶基板の他の面に該入力端子に対向して形成された出力端子とを備え、バンドパスフィルタは、出力端子に接続し平行に配列された複数のマイクロストリップラインと、該複数のマイクロストリップラインに対向して水晶基板の一方の面に形成されたグランド面とを備え、振動子が、基本波周波数成分と、奇数次の高調波成分を有する振動子であり、バンドパスフィルタが、奇数次の高調波成分の内、いずれかの高調波成分を通過周波数として通過させ、基本波周波数成分及び他の不要な高調波成分を抑圧するバンドパスフィルタであることを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上記高周波振動子において、隣接するマイクロストリップライン同士の重なり部分の電気長が、所望の通過周波数の4分の1波長の長さであることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、マイクロ波発振回路において、上記のいずれか記載の高周波振動子を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マイクロ波フィルタにおいて、同一の水晶基板上に振動子とバンドパスフィルタとを設け、振動子が基本波周波数成分と、奇数次の高調波成分(オーバトーン)を有する振動子であり、バンドパスフィルタが、奇数次の高調波成分の内、いずれかの高調波成分を通過周波数として通過させ、基本波周波数成分及び他の不要な高調波成分を抑圧するマイクロストリップ型のバンドパスフィルタであるマイクロ波フィルタとしているので、金属パターンの形成等を一括して行うことができるため製造工程を簡易にすると共に、損失を抑えることができ、高いQ値を備えた高周波数帯域用のフィルタを実現することができる効果がある。
【0018】
また、本発明によれば、隣接するマイクロストリップライン同士の重なり部分の電気長が、所望の通過周波数の4分の1波長の長さであるマイクロ波フィルタとしているので、隣接するマイクロストリップライン同士の重なり部分の長さを変えることで、所望の通過周波数を通過させるフィルタを提供できる効果がある。
【0019】
また、本発明によれば、上記構成のマイクロ波フィルタを備えたマイクロ波発振器を構成することにより、優れた位相雑音特性を持つマイクロ波発振器を実現することができる効果がある。
【0020】
また、本発明によれば、高周波振動子において、同一の水晶基板上に振動子とバンドパスフィルタとを設け、振動子が基本波周波数成分と、奇数次の高調波成分(オーバトーン)を有する振動子であり、バンドパスフィルタが、奇数次の高調波成分の内、いずれかの高調波成分を通過周波数として通過させ、基本波周波数成分及び他の不要な高調波成分を抑圧するマイクロストリップ型のバンドパスフィルタである高周波振動子としているので、金属パターンの形成等を一括して行うことができるため製造工程を簡易にすると共に、損失を抑えることができ、高いQ値を備えた高周波振動子を実現することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係るマイクロ波フィルタは、Q値の高い水晶基板を利用してフィルタ特性を改善し、高周波水晶振動子と、簡易なマイクロ波バンドパスフィルタとを組み合わせたマイクロ波フィルタであり、水晶振動子は高調波成分を利用し、バンドパスフィルタはマイクロストリップフィルタで形成して、水晶振動子とバンドパスフィルタとを同一水晶基板上に一括して形成したものであり、簡易な構成で低損失且つ高いQ値を有するマイクロ波フィルタを実現するものである。
【0022】
また、本発明の実施の形態に係る高周波振動子は、水晶振動子とバンドパスフィルタとを備え、水晶振動子は高調波成分を利用し、バンドパスフィルタはマイクロストリップフィルタで形成して、水晶振動子とバンドパスフィルタとを同一水晶基板上に一括して形成したものであり、簡易な構成で高周波振動子を利用することで優れた位相雑音特性を有するマイクロ波発振回路を実現するものである。
【0023】
図1(a)は、本発明の実施の形態に係るマイクロ波フィルタ(本フィルタ)の構成を示す平面図であり、(b)は、図1(a)のA−A′断面図である。
図1(a)に示すように、本発明の実施の形態に係るマイクロ波フィルタは、水晶基板1に、振動子2と、バンドパスフィルタ3とが形成された構成である。また、(b)に示すように、水晶基板1の底面部には、グランド面5及び入力電極6の金属配線が設けられている。
【0024】
振動子2は、水晶基板1上に設けられた凹部に形成された振動子であり、基板底面の入力電極6を入力端子とし、基板上面の凹部の電極を出力端子としており、圧電体である水晶基板を電極で挟んで振動子2を構成している。
【0025】
振動子2は、基本波周波数f0の他に、高調波成分として3次高調波の3f0や、5次高調波の5f0を出力する。
ここで例えば、振動子2を、基本波周波数が0.8GHzの振動子とすると、800MHz、2.4GHz及び4GHzも合わせて出力するものである。
【0026】
つまり、振動子2を2.4GHz用のフィルタとして用いた場合には、0.8GHz及び4GHzの周波数も通過することになる。そこで、本フィルタでは、不要な0.8GHz及び4GHzの信号を除去するバンドパスフィルタ3を設けている。
【0027】
バンドパスフィルタ3は、振動子2と同一の水晶基板上に一定間隔で平行に配列された信号線路と、基板底面に設けられたグランド面5とを備えた複数のマイクロストリップライン4から成るフィルタである。
【0028】
特に、本フィルタでは、図1(a)に示すように、水晶振動子2の出力端子とマイクロストリップラインとが接続されて、共通の金属パターンで形成されている。
更に、本フィルタでは、所望の周波数の波長をλg(電気長)とした場合に、互いに平行に設置された隣接するマイクロストリップライン4同士の重なり部分(オーバーラップ部分)の長さが、λg/4となるように形成されている。本フィルタでは、マイクロストリップライン4の重なり部分の電気長は、2.4GHzに対してλg/4となっている。これにより、バンドパスフィルタ3は2.4GHz帯域の信号を通過させるものである。
【0029】
マイクロストリップライン4のオーバーラップ部分の電気長は、所望の周波数の4分の1波長(λg/4)としており、4GHz帯域の信号を通過させたい場合には、その4分の1波長(λg/4)となるよう形成すればよい。
【0030】
このようにして、本フィルタでは、同一の水晶基板1上に、振動子2と、マイクロストリップフィルタから成るバンドパスフィルタ3とを組み合わせて形成することにより、簡易な構成で、高性能の高周波帯用のフィルタを実現している。
【0031】
これにより、例えば水晶基板1の表面において、振動子2の出力端子の電極パターンと、バンドパスフィルタ3のマイクロストリップライン4とを共通の蒸着及びパターニング工程で一体に形成できるものである。同様に、水晶基板1の裏面においてもグランド面5及び入力電極6の電極を一体に形成することができるため、製造工程を簡易にすることができるものである。
更に基板を共通とすることで、回路間の整合性を高め、電力損失を低減することができるものである。
【0032】
上記構成のマイクロ波フィルタにおける動作について説明する。
図1(a)左上より必要波となる4GHzと不要波となる高周波が入力されると振動子2の共振周波数である基本波周波数の0.8GHz、3倍高調波の2.4GHz、5倍高調波の4GHzの信号は、振動子2を通過する。その他の周波数は抑制される。
【0033】
0.8GHz、2.4GHz、4GHzの信号は、バンドパスフィルタ3に入力される。マイクロストリップライン4のオーバーラップ部の長さは、4GHzでλg/4なので、4GHzにおいてマイクロストリップのオーバーラップ部間で電磁結合及び容量結合により結合して、4GHzのみが取り出されて図1(a)右下に出力されると共に、基本波の0.8GHzや、2.4GHzの信号は除去される。
このようにして本装置が動作するものである。
【0034】
本フィルタ回路の別の構成例について図2を用いて説明する。図2は、本フィルタの別の構成例を示す平面図である。
図2に示すマイクロ波フィルタは、振動子2′及びバンドパスフィルタ3′及びマイクロストリップライン4′といった個々の構成部分は図1に示したマイクロ波フィルタの各構成部分と同一のものであるが、図2のフィルタは、図1のフィルタの短手方向の辺に対して線対称の配置となっている。
【0035】
つまり、図2のマイクロ波フィルタでは、右上から入力信号が入力され、振動子2′、マイクロストリップライン4′を経て、所望の通過周波数の信号が左下に出力されるものである。
【0036】
また、図1及び図2に示したマイクロ波フィルタでは、マイクロストリップライン4は振動子2から接続する伝送線路に対して直交する向きに形成され、図示したフィルタの短手方向の辺に対して平行な向きで複数平行して配置されているが、振動子2から接続する伝送線路との角度を90度以外の角度として、マイクロストリップライン4を斜めに平行に複数配列しても構わない。
【0037】
また、図1及び図2に示したマイクロ波フィルタの入力と出力を逆にして、バンドパスフィルタ、振動子の順となるように構成しても、同様の特性を備えたフィルタとなるものである。
このように、同一の機能で種々の回路配置のフィルタを用意しておくことにより、種々の装置に組み込み易くなり、適用範囲を拡大することができるものである。
【0038】
ここで、本フィルタの通過特性について図3を用いて説明する。図3は、本フィルタの通過特性を示す説明図である。
図3では、振動子のみの通過特性と、バンドパスフィルタのみの通過特性と、振動子とバンドパスフィルタを備えた本フィルタの通過特性とを比較して示している。
図3に示すように、振動子のみの場合、基本波周波数(f0)と3倍高調波(3f0)と5倍高調波(5f0)はいずれも通過している。また、バンドパスフィルタのみの場合、通過特性はなだらかな曲線となり、鋭い特性を持つものではない。振動子とバンドパスフィルタを組み合わせることにより、所望周波数である5倍高調波を選択的に通過させると共に、急峻なフィルタ特性となり、基本波周波数(f0)と3倍高調波(3f0)は通過が抑制される。
【0039】
また、バンドパスフィルタ3は、図1及び図2に示した形状以外でも利用可能である。図4は、バンドパスフィルタ3の別の構成例を示す模式説明図であり、(a)はヘアピン型、(b)はスパイラル型である。
バンドパスフィルタ3は、図4(a)に示すようなヘアピン型のマイクロストリップライン、(b)に示すようなスパイラル型のマイクロストリップラインで構成することも可能であり、それぞれ所望の周波数を通過させる長さ及び形状にパターニングすればよい。
【0040】
更にまた、本フィルタを用いてマイクロ波発振回路を構成することも可能である。図5は、本フィルタを用いたマイクロ波発振回路の構成ブロック図である。
図5に示すように、本実施の形態のマイクロ波フィルタを利用した発振回路は、5倍高調波を通過するマイクロ波フィルタと、信号を増幅するアンプと、遅延して位相変換する移相回路とから成るループを備え、5倍高調波(5f0)を出力する発振回路となっている。
【0041】
本発明の実施の形態に係るマイクロ波フィルタによれば、Q値の高い水晶基板1上に振動子2とバンドパスフィルタ3とを設け、振動子2の高次オーバトーンを利用して、バンドパスフィルタ3を構成するマイクロストリップライン4のオーバーラップ部分の長さを所望の周波数のλg/4となるよう形成しているので、例えば、基本波共振が0.8GHzの振動子の5次オーバトーンである4GHzの共振と、マイクロストリップライン4のオーバーラップ部分の長さを4GHz信号のλg/4とすることにより、4GHzのバンドパスフィルタとして機能させることができ、簡易な構成で、高周波帯用の高性能のフィルタを実現できる効果がある。
【0042】
また、本フィルタによれば、振動子2とバンドパスフィルタ3とを同一の水晶基板1上に設けたことにより、表面における振動子2の出力電極とバンドパスフィルタ3のマイクロストリップライン4の金属パターン形成、及び裏面におけるグランド面5と入力電極6の金属パターン形成を一括して行うことができ、製造工程を簡略化し、且つ電力損失の低減を図ることができる効果がある。
【0043】
更に、本フィルタによれば、回路配置を反転させたフィルタ回路としてもよく、また、入力と出力を逆にしても利用することができ、これにより、様々な実装上の制約に柔軟に対応することができ、適用可能な装置を増やすことができる効果がある。
【0044】
更にまた、本フィルタの構成はそのままマイクロ波発振回路にも利用することができ、優れた位相雑音特性を持つマイクロ波発振回路を提供することができる効果がある。
【0045】
また、本発明の別の実施の形態として、図1,2,4に示した構成を高周波振動子として利用した例について説明する。このような高周波振動子を用いた発振回路について図6を用いて説明する。図6は、図1又は図2又は4に示した構成を備えた高周波振動子を用いた発振回路(本発振回路)の一例を示す概略回路説明図である。
図6に示すように、本発振回路は、高周波振動子10と、CMOSインバータ11及び12と、容量C1,C2と、抵抗R1,R2とから構成されており、高周波振動子10の構成が、図1又は図2又は図4に示した構成となっている。
【0046】
上記構成の発振回路において、抵抗R2は例えば1MΩであり、容量C1,抵抗R1の値を適宜設定することによりCMOSインバータ12からの出力周波数を可変とすることができるものである。
【0047】
本発明の別の実施の形態に係る高周波振動子によれば、簡易な構成で優れた位相雑音特性を備えた発振回路を実現できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、低損失且つ高Q値を実現するマイクロ波フィルタ及び高周波振動子に適している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態に係るマイクロ波フィルタ(本フィルタ)の構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のA−A′断面図である。
【図2】本フィルタの別の構成例を示す平面図である。
【図3】本フィルタの通過特性を示す説明図である。
【図4】バンドパスフィルタ3の別の構成例を示す模式説明図であり、(a)はヘアピン型、(b)はスパイラル型である。
【図5】本フィルタを用いたマイクロ波発振回路の構成ブロック図である。
【図6】図1又は図2又は図4の構成を備えた高周波振動子を用いた発振回路(本発振回路)の一例を示す概略回路説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1…水晶基板、 2…振動子、 3…バンドパスフィルタ、 4…マイクロストリップライン、 5…グランド面、 6…入力電極、 10…高周波振動子、 11,12…CMOSインバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子とバンドパスフィルタとを有するマイクロ波フィルタであって、
前記振動子は、水晶基板の一方の面に形成された信号の入力端子と、前記水晶基板の他の面に該入力端子に対向して形成された出力端子とを備え、
前記バンドパスフィルタは、前記出力端子に接続し平行に配列された複数のマイクロストリップラインと、該複数のマイクロストリップラインに対向して前記水晶基板の一方の面に形成されたグランド面とを備え、
前記振動子が、基本波周波数成分と、奇数次の高調波成分を有する振動子であり、
前記バンドパスフィルタが、前記奇数次の高調波成分の内、いずれかの高調波成分を通過周波数として通過させ、前記基本波周波数成分及び他の不要な高調波成分を抑圧するバンドパスフィルタであることを特徴とするマイクロ波フィルタ。
【請求項2】
隣接するマイクロストリップライン同士の重なり部分の電気長が、所望の通過周波数の4分の1波長の長さであることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波フィルタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のマイクロ波フィルタを備えたことを特徴とするマイクロ波発振回路。
【請求項4】
振動子とバンドパスフィルタとを有する高周波振動子であって、
前記振動子は、水晶基板の一方の面に形成された信号の入力端子と、前記水晶基板の他の面に該入力端子に対向して形成された出力端子とを備え、
前記バンドパスフィルタは、前記出力端子に接続し平行に配列された複数のマイクロストリップラインと、該複数のマイクロストリップラインに対向して前記水晶基板の一方の面に形成されたグランド面とを備え、
前記振動子が、基本波周波数成分と、奇数次の高調波成分を有する振動子であり、
前記バンドパスフィルタが、前記奇数次の高調波成分の内、いずれかの高調波成分を通過周波数として通過させ、前記基本波周波数成分及び他の不要な高調波成分を抑圧するバンドパスフィルタであることを特徴とする高周波振動子。
【請求項5】
隣接するマイクロストリップライン同士の重なり部分の電気長が、所望の通過周波数の4分の1波長の長さであることを特徴とする請求項4記載の高周波振動子。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の高周波振動子を備えたことを特徴とするマイクロ波発振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−141291(P2008−141291A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323013(P2006−323013)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】