説明

マイクロ波プラズマ処理装置およびマイクロ波プラズマ処理装置の使用方法

【課題】ガスの供給位置を適正化する。
【解決手段】マイクロ波プラズマ処理装置10は、内部にてプラズマが励起される容器100と、容器内にプラズマを励起するためのマイクロ波を供給するマイクロ波源900と、マイクロ波源900から供給されたマイクロ波を伝搬させる同軸管(600,315等)と、容器100の内側に面した状態で同軸管315に隣接し、各同軸管を伝搬したマイクロ波を透過させて容器100の内部に放出する複数の誘電体板305と、容器内にプラズマを励起するためのガスを供給するガス供給源800と、複数の誘電体板305の各々の内部を貫通し、その貫通口であるガス孔Aからガスを容器内に導入するガス流路810を有する。金属電極310を貫通したガス孔Bとガス孔Aとは等ピッチで配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波によりガスを励起させてプラズマを生成し、生成されたプラズマにより被処理体に所望の処理を施すマイクロ波プラズマ処理装置に関し、特に、ガスの供給に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波プラズマは、誘電体板を介してマイクロ波を減圧状態の処理室内に導入することにより発生される。マイクロ波プラズマ処理装置では、プラズマの電子密度nが次式(1)のカットオフ密度nよりも高い場合、マイクロ波は、プラズマ内に入り込むことができずにプラズマ表面付近で反射し、表面波となって誘電体板とプラズマとの間を伝搬する。伝搬中、マイクロ波の一部は、エバネッセント波としてプラズマに吸収され、プラズマの維持に使われる。(たとえば、非特許文献1を参照。)。一方、プラズマの電子密度nがカットオフ密度nよりも低い場合、マイクロ波は、プラズマ内に入り込むことができるため、マイクロ波の電界エネルギーによりプラズマの状態が不安定になる。
【0003】
=εω/e・・・(1)
εは真空の誘電率、mは電子の質量、ωはマイクロ波角周波数、eは電気素量である。
【0004】
マイクロ波プラズマ処理装置では、主に、2.45GHzのマイクロ波が使われている。(1)式によれば、カットオフ密度nは、マイクロ波の周波数の二乗に比例するから、周波数を低くすれば、カットオフ密度nを飛躍的に下げることができる。この結果、低いプラズマの電子密度nでも均一なプラズマが生成され、プロセスウィンドウを広げることができる。
【0005】
【非特許文献1】電気学会・マイクロ波プラズマ調査専門委員会編「マイクロ波プラズマの技術」オーム社出版、平成15年9月25日発行、p69
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
周波数が低いマイクロ波を伝搬させるためには、導波管より同軸管を用いることが好ましい。導波管は、その大きさが波長に依存するために伝搬経路が巨大化するのに対し、同軸管はその大きさが波長に依存せず、コンパクトな伝搬経路を構築することができるからである。また、マイクロ波をプラズマに伝える誘電体板を同軸管により支持する構造にすれば、誘電体板を支える梁等が不要となり容器の蓋部分の構造がシンプルになる。この結果、容器内部に隙間が生じず、隙間にて異常放電が発生する懸念がなくなるとともに、隙間を作らないように誘電体板を高精度に加工する必要がなくなる。
【0007】
上記構造のマイクロ波プラズマ処理装置では、成膜やエッチング等の化学反応を伴うプロセスが行われる。このようなプロセスでは、被処理体全面に渡って均一なプラズマを生成するとともに、プロセスに必要なガスの密度および化学反応によって生じた反応生成ガスの密度を均一にする必要がある。このために、被処理体と対向する面に概ね等ピッチに複数のガス孔を設け、このガス孔から容器内に均一にガスを供給することが望ましい。
【0008】
そこで、上記課題を解決するために、ガスの供給位置を適正化したマイクロ波プラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明のある態様によれば、内部にてプラズマが励起される容器と、前記容器内にプラズマを励起するためのマイクロ波を供給するマイクロ波源と、前記マイクロ波源から供給されたマイクロ波を伝搬させる導体棒と、前記容器の内側に面し、前記導体棒に隣接し、前記導体棒を伝搬したマイクロ波を透過させて前記容器の内部に放出する複数の誘電体板と、前記容器内にプラズマを励起するためのガスを供給するガス供給源と、前記複数の誘電体板の各々の内部を貫通し、その貫通口である第1のガス孔から前記ガスを前記容器内に導入する第1のガス流路と、を備えるマイクロ波プラズマ処理装置が提供される。
【0010】
これによれば、第1のガス流路は、前記複数の誘電体板の各々の内部を貫通する。ガスは、第1のガス流路を通り、第1のガス流路の端部にて容器側に開口した第1のガス孔から容器内に導入される。この結果、各誘電体板の適正な位置から所望の流量のガスを導入することにより、プロセスに必要なガスの密度および化学反応によって生じた反応生成ガスの密度を均一にし、被処理体の上方にて全面に渡って均一なプラズマを生成することができる。
【0011】
前記第1のガス孔を各々の誘電体板の同じ位置に配置してもよい。これによれば、ガスを均一に供給することができるだけでなく、すべての誘電体板の形状が同一になるため、誘電体板を容易に製作することができるとともに、製作に要するコストを下げることができる。
【0012】
前記第1のガス孔を各々の誘電体板の同じ位置に複数配置してもよい。これによれば、各誘電体板に設けられた複数のガス孔からガスが供給されるため、ガスの流れをより均一にすることができる。
【0013】
前記複数の第1のガス孔を各々の誘電体板の同じ位置に等ピッチで配置してもよい。これによれば、誘電体板に等ピッチで設けられた複数のガス孔からガスが均一に供給されるため、ガスの流れをさらに均一にすることができる。
【0014】
前記複数の誘電体板を等ピッチで配置するとともに、前記複数の第1のガス孔を各々の誘電体板を配置するピッチの整数分の1のピッチで配置してもよい。たとえば、複数の誘電体板が300mmのピッチで配置され、さらに第1のガス孔が50mm(すなわち、誘電体板を配置するピッチ300mmの1/6のピッチ)で配置されている場合、すべての誘電体板に渡って複数の第1のガス孔を50mmのピッチで配置することができる。これによれば、誘電体板の下方にて全面に渡ってガスを均一に供給することができる。この結果、被処理体の上方にて全面に渡ってより均一なプラズマを生成することができ、被処理体に良好なプラズマ処理を施すことができる。
【0015】
前記第1のガス流路を流れる所望のガス流量に対して、前記第1のガス流路内部の圧力が10kPa以上50kPa以下になるように前記複数の第1のガス孔を配置するピッチを定めてもよい。
【0016】
これによれば、前記第1のガス流路内部の圧力を10kPa以上に制御することにより、ガス流路内において、圧力に比例するガスの衝突周波数がマイクロ波の角周波数より十分大きくなるため、ガス流路内における異常放電の発生を防止することができる。また、前記第1のガス流路内部の圧力を50kPa以下に制御することにより、ガス流量を精度良く制御することができる。
【0017】
前記第1のガス孔には、複数の細孔を有するガスノズルが設けられていてもよい。これによれば、ガスノズルを流れるガスのコンダクタンスを制御することができる。
【0018】
特に、前記複数の細孔の直径はシース幅の2倍よりも小さく、前記複数の細孔のアスペクト比は20倍以上であることが好ましい。これによれば、細孔に入り込んだガスがプラズマ化し、細孔内にて異常放電することにより誘電体板が焼損したり、反応性ガスが細孔内にて化学反応を起こすことにより細孔内に反応生成物が付着することを回避することができる。
【0019】
前記第1のガス孔には、多孔質体から形成されたガスノズルが設けられてもよい。これによってもガスノズルを流れるガスのコンダクタンスを制御することができる。また、ガスの平均自由行程を考慮して多孔質体の気孔径を所望の値以下にすることにより、ガスノズル内にプラズマが入り込むことを防止することができる。
【0020】
前記複数の誘電体板には、貫通穴が形成され、前記誘電体に形成された貫通穴を介して前記導体棒に連結され、少なくとも一部が前記誘電体板の被処理体側の面に隣接した状態にて前記誘電体板の被処理体側の面から露出した複数の金属電極と、各々の金属電極の内部を貫通し、その貫通口である第2のガス孔から前記ガスを前記容器内に導入する第2のガス流路と、をさらに備えてもよい。
【0021】
マイクロ波の電界エネルギーは、尖ったところや角張ったところに集中する性質を持っている。このため、容器の蓋部分の構造が複雑になると、凸部に集中したマイクロ波の電界エネルギーが隙間に入り込み、隙間部分にて異常放電を引き起こす可能性がある。
【0022】
しかしながら、かかる構成によれば、各々の誘電体板を導体棒に連結された各々の金属電極により保持することによって、容器の蓋部分の構造をシンプルにすることができる。この結果、容器内部の蓋部分近傍にて隙間がなくなり、隙間にて異常放電が発生する懸念がなくなるとともに、隙間を作らないように誘電体板を高精度に加工する必要がなくなる。
また、前記誘電体板に設けられた複数の第1のガス孔だけでなく金属を貫通する第2のガス孔を用いてガスを均一に供給することができる。
【0023】
前記第2のガス孔の直径は、所望のガスの流量に対して前記第1のガス孔のコンダクタンスと前記第2のガス孔のコンダクタンスとが等しくなるように決定されてもよい。
【0024】
これによれば、第1のガス孔および第2のガス孔からそれぞれ導入されるガスを同じ流量に制御することができる。これにより、プロセスに必要なガスの密度および化学反応によって生じた反応生成ガスの密度を被処理体の上方にて全面に渡って均一にすることができる。
【0025】
前記複数の第1のガス孔および前記第2のガス孔は、各々の誘電体板の同じ位置に等ピッチで配置されてもよい。これによれば、これにより、ガスを被処理体の上方にて全面に渡って均一に供給することができ、均一なプラズマを生成することができる。
【0026】
前記複数の誘電体板の各々には、前記金属電極を中心として点対称な位置に凹み部が設けられ、前記複数の第1のガス孔が各凹み部に同数ずつ設けられていてもよい。
【0027】
これによれば、対称性のよい形状をした複数の誘電体板305が等ピッチに配置され、さらに、各凹み部305a内にガス孔Aが同数個だけ設けられる。このような誘電体板の配置の対称性およびガス孔の配置の規則性により、同数のガス孔Aから凹み部305a内に均一に導入されたガスから均一なプラズマを効率よく生成することができる。
【0028】
前記導体棒は、前記複数の誘電体板に対応して複数設けられていてもよい。また、前記複数の導体棒は、前記複数の誘電体板に一対一に係合していてもよい。さらに、前記複数の導体棒のそれぞれは、前記複数の誘電体板のそれぞれの中央部にて前記誘電体板に係合していてもよい。
【0029】
前記複数の誘電体板は、矩形状のプレートであってもよい。また、前記複数の誘電体板は、λg/2の整数倍のピッチで等間隔に配置されていてもよい。
【0030】
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、周波数が1GHz以下のマイクロ波をマイクロ波源から出力し、前記マイクロ波源から出力されたマイクロ波を導体棒に伝搬させ、前記導体棒を伝搬したマイクロ波を、前記導体棒に隣接した複数の誘電体板に透過させることにより前記容器の内部にマイクロ波を放出し、前記複数の誘電体板の内部を貫通した第1のガス流路の端部に位置する第1のガス孔から、ガス供給源から供給されたガスを前記容器内に導入し、前記放出されたマイクロ波により前記容器に導入されたガスを励起させて被処理体に所望のプラズマ処理を施すマイクロ波プラズマ処理装置の使用方法が提供される。
【0031】
これによれば、周波数が1GHz以下のマイクロ波が容器内に供給される。カットオフ密度nは、マイクロ波の周波数の二乗に比例するから、2.45GHzのマイクロ波を用いた場合に比べてカットオフ密度nを飛躍的に下げることができる。この結果、低いプラズマの電子密度nでも均一なプラズマが生成され、プロセスウィンドウを広げることができ、被処理体に多種のプラズマ処理を施すことができる。
【0032】
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、内部にてプラズマが励起される容器と、前記容器内にプラズマを励起するためのマイクロ波を供給するマイクロ波源と、前記マイクロ波源から供給されたマイクロ波を伝搬させる導体棒と、前記容器の内側に面し、前記導体棒に隣接し、前記導体棒を伝搬したマイクロ波を透過させて前記容器の内部に放出する単一又は複数の誘電体板と、前記容器内にプラズマを励起するためのガスを供給するガス供給源と、前記単一又は複数の誘電体板の各々の内部を貫通し、その貫通口である第1のガス孔から前記ガスを前記容器内に導入する第1のガス流路と、を備えるマイクロ波プラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、プロセスに必要なガスの密度および化学反応によって生じた反応生成ガスの密度を被処理体の上方にて全面に渡って均一にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置について、本装置の縦断面を模式的に示した図1および本装置の天井面を示した図2を参照しながら説明する。図1は、図2の線O−Oにて装置を切断した断面図である。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の構成及び機能を有する構成要素については、同一符号を付することにより重複説明を省略する。また、1sccmは、10−6/60(m/sec)とする。
【0035】
(プラズマ処理装置の構成)
マイクロ波プラズマ処理装置10は、その内部にてガラス基板(以下、「基板G」という。)をプラズマ処理するための容器100を有している。容器100は、容器本体200と蓋体300とから構成される。容器本体200は、その上部が開口された有底立方体形状を有していて、その開口は蓋体300により閉塞されている。容器本体200と蓋体300との接触面にはOリング205が設けられていて、これにより容器本体200と蓋体300とが密閉され、その内部に処理室Uが形成される。容器本体200および蓋体300は、たとえば、アルミニウム等の金属からなり、電気的に接地されている。
【0036】
容器100の内部には、基板Gを載置するためのサセプタ105(ステージ)が設けられている。サセプタ105は、たとえば窒化アルミニウムからなり、その内部には、給電部110およびヒータ115が設けられている。
【0037】
給電部110には、整合器120(たとえば、コンデンサ)を介して高周波電源125が接続される。また、給電部110には、コイル130を介して高圧直流電源135が接続される。整合器120、高周波電源125、コイル130および高圧直流電源135は、容器100の外部に設けられている。また、高周波電源125および高圧直流電源135は接地されている。
【0038】
給電部110は、高周波電源125から出力された高周波電力により容器100の内部に所定のバイアス電圧を印加するようになっている。また、給電部110は、高圧直流電源135から出力された直流電圧により基板Gを静電吸着するようになっている。
【0039】
ヒータ115には、容器100の外部に設けられた交流電源140が接続されていて、交流電源140から出力された交流電圧により基板Gを所定の温度に保持するようになっている。サセプタ105は、支持体145に支持されていて、その周囲には処理室Uのガスの流れを好ましい状態に制御するためのバッフル板150が設けられている。
【0040】
容器100の底部にはガス排出管155が設けられていて、容器100の外部に設けられた真空ポンプ(図示せず)を用いてガス排出管155から容器100内のガスが排出されることにより、処理室Uは所望の真空度まで減圧される。
【0041】
冷媒供給源700は、冷媒配管705に接続されていて、冷媒供給源700から供給された冷媒が冷媒配管705内を循環して再び冷媒供給源700に戻ることにより、容器100を所望の温度に保つようになっている。
【0042】
2台のマイクロ波源900は、分岐導波管905、8つの同軸導波管変換器605、8つの同軸管620、図1の背面方向に平行に位置する8本の分岐同軸管640(図2参照)、各分岐同軸管640に7本ずつ連結された同軸管600、分岐板610および同軸管315からなる伝搬経路に連結されている。これにより、2台のマイクロ波源900から出力された120kW(=60kW×2(2W/cm))のマイクロ波は、伝搬経路を伝搬し、複数の誘電体板305を透過して処理室内に供給される。
【0043】
図2の断面A−Aを示した図3を参照しながらさらに説明を続ける。同軸管600と同軸管315は、筒状の内部導体(軸部)600a、315aと外部導体600b、315bとから構成されていて、いずれも金属により形成されている。
【0044】
内部導体315aは、蓋部300dを貫いて容器100の外部に突出している。蓋部300dは、蓋体300の上面にて蓋体300と外部導体315bと一体化している部分をいう。その内部導体315aは、吊り上げ部510、バネ部材515および短絡部520からなる固定機構500により、バネ部材515の弾性力を用いて容器100の外側に向かって吊り上げられている。
【0045】
短絡部520は、同軸管315の内部導体315aと蓋部300dとを電気的に短絡させるようになっている。短絡部520は、シールドスパイラルから構成され、内部導体315aを上下に摺動可能に設けられている。このように、短絡部520を設けたことにより、プラズマから金属電極310に流入した熱を、内部導体315aおよび短絡部520を通して効率よく蓋に逃がすことができる。
【0046】
分岐板610は、十字状に形成され、銅などの金属により形成されている。分岐板610は、その中央部にて同軸管600の内部導体600aに連結され、その端部にて4本の内部導体315aに連結される。分岐板610と内部導体315aとの接続位置と短絡部520との間隔は、マイクロ波の管内波長λgに対して、λg/4になるように設計されている。
【0047】
蓋部300dと内部導体315aとの間には、リング状の誘電体410が設けられている。リング状の誘電体410は、内部導体315aを貫通している。リング状の誘電体410の内周面および外周面には、Oリング415aおよびOリング415bが設けられていて、これにより、処理室Uの内部を真空シールするようになっている。
【0048】
同軸管315の内部導体315aは、誘電体板305の中央に設けられた貫通穴を介して金属電極310に連結されている。金属電極310は、誘電体板305の基板側の面に露出している。金属電極310は円錐状であって、アルミニウム(Al)などの金属から形成されている。かかる構成によれば、誘電体板305は、金属電極310によって保持された状態で、内部導体315aを介してバネ部材515により吊り上げられ、容器100の内壁に固定される。
【0049】
図2に示した誘電体板305は、アルミナ(Al)により形成された、148mm×148mmの略正方形のプレートである。誘電体板305は、分岐同軸管640の管内波長をλg(915MHzにおいて328mm)としたとき、λg/2の整数倍(ここでは1倍)のピッチで等間隔に縦横に配置されている。これにより、224枚(=14×16)の誘電体板305が、2277.4mm×2605mmの容器100の天井面に均等に配置される。なお、誘電体板305は、必ずしも略正方形に限られず、矩形状であってもよい。
【0050】
さらに、図4に2枚の誘電体板305を示したように、誘電体板305の下面(プラズマ側の面)には、金属電極310を囲むようにして金属電極310の周囲に8個の凹み部305aが概ね点対称な位置に設けられている。誘電体板305に凹み部305aを設けると、その内部の電界強度が特に強くなり、凹み部305aの近傍に高密度プラズマが安定して生成されるため、プラズマの安定性とプラズマ励起効率が向上する。
【0051】
蓋部300dの金属面には、溝300aが切られている。1GHz以下の低周波のマイクロ波を供給した場合、誘電体板305とプラズマとの間を表面波(以下、単に表面波という)が伝搬するだけでなく、処理容器内面の金属面とプラズマとの間を表面波(以下、導体表面波という)が伝搬する。溝300aは蓋部300d等、容器100内部の導体の金属面に生じる導体表面波の伝搬を抑制する。
【0052】
(ガスの供給)
図1に示したガス供給源800から供給されたガス(プラズマ励起ガスを含む)は、ガスライン805を介して、図4に示した内部導体315aを貫通したガス導入路315cに流入する。さらに、ガスは、誘電体板305を貫通するガス流路810(第1のガス流路に相当)を通過し、その貫通口である8つのガス孔A(第1のガス孔に相当)から処理室Uに導入される。ガスは、また、金属電極310の内部を貫通するガス流路815(第2のガス流路に相当)を流れ、その貫通口であるガス孔B(第2のガス孔に相当)から処理室Uに導入される。
【0053】
前述したように、誘電体板305は対称性のよい形状をしているため、1枚の誘電体板305の中で均一なプラズマを生じやすい。また、複数の誘電体板305がλg/2の整数倍の等間隔に配置されることにより、同軸管の内部導体315aを用いてマイクロ波を導入する場合、均一なプラズマを生成することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、各凹み部305a内にガス孔Aが同数(図4では一つ)ずつ設けられる。これにより、同数のガス孔Aから凹み部305a内に導入されたガスから均一なプラズマを効率よく生成することができる。
【0055】
(ガスの供給位置の適正化)
各々の誘電体板305の同じ位置にガス孔Aを設ければ、全ての誘電体板305の形状が同一になるため、誘電体板305を容易に製作することができる。各々の誘電体板305の同じ位置にガス孔を配置し、かつ等ピッチでガス孔を配置するために、ガス孔のピッチは、誘電体板305のピッチの整数分の1に設定される。
【0056】
誘電体板305が、例えばλg(同軸管の管内波長)/2のピッチで縦横に配列されているとすれば、ガス孔のピッチはλg/2m(m=1以上の整数)とすればよい。ガス孔のピッチを小さくした方が(mを大きくした方が)ガスの流れが均一になり好ましいが、ガス孔が増えてガス流路の圧力が低下するため、ガス流路内において、圧力に比例するガスの衝突周波数がマイクロ波の角周波数より十分大きくなるため、ガス誘電体内に形成されたガス流路において放電する危険性が高くなるとともに、製造コストが高くなる。また、構造上の制約により、むやみにガス孔のピッチを小さくすることはできない。
【0057】
図4は、m=3とした場合の例である。金属電極310を貫通して開口したガス孔Bを中心として、λg/6(=54.6mm)のピッチでガス孔Aが設けられる。これにより、金属電極310下部のガス孔Bを中心として等間隔に、誘電体板下面の8つの凹み部305aに1つずつガス孔Aが設けられる。
【0058】
(コンダクタンス)
各々のガス孔A,Bから均等にガスを放出するためには、各々のガス孔A,Bのコンダクタンスを概ね等しくする必要がある。そこで、まず、ガス孔を流れるガスのコンダクダンスを表す一般式について説明する。
【0059】
円筒の直径D>>ガスの平均自由行程λを満たす圧力領域は粘性流領域と呼ばれ、分子は互いにぶつかり合いながら移動する。この領域でコンダクタンスは圧力に比例する。逆に、円筒の直径D<<ガスの平均自由行程λを満たす圧力領域は分子流領域と呼ばれる。分子は管壁へ衝突して分子間の相互作用は少ない。つまり、気体の輸送を妨げる要因は、分子が管壁へ衝突して散乱される現象であり、コンダクタンスの大きさは圧力に依存しない。
【0060】
図5の左に示した長さL,直径Dの円筒のコンダクタンスGholeは、近似的に式(2)で表される。

【0061】
ここで、Qは単位時間当たりに流れるガスの量(流量)(Pa・m/s)、ΔPは円筒の上流圧と下流圧との差(P−P)を示す。円筒のコンダクタンスGholeの右辺の第一項は粘性流コンダクタンス、第二項は分子流コンダクタンスである。粘性流に含まれるガス粘性係数ηは、上式のようにガス分子(原子)質量M、ボルツマン定数k、ガス温度T、ガス衝突直径σから導かれる。
【0062】
直径DのオリフィスのコンダクタンスGorifice(臨界圧力条件P>〜2P)は近似的に式(3)で表される。

【0063】
ここで、Qは体積流量(m/s)、ΔPはオリフィスの上流圧と下流圧との差(P−P)を示す。コンダクタンスGorificeに含まれるCは縮流係数(オリフィスの場合0.82)、Nはロシュミット数、γはガス比熱比、Aはオリフィスの面積を示す。
【0064】
ガス孔のコンダクタンスGは、(2)式および(3)式を用いて近似的に次式(4)にて表される。
1/G=1/Gorifice+1/Ghole・・・(4)
【0065】
たとえば、(2)式によれば、P>>Pの場合、粘性流コンダクタンスの項は概ね圧力Pに比例する。また、P>>Pの場合であって、ガス流路の圧力が10kPa以上の場合、ガスの平均自由行程λは数μm以下になり、数10μm以上のガス穴の直径Dよりも十分小さくなる。その結果、式(2)において粘性流コンダクタンスの項のほうが分子流コンダクタンスの項よりも十分に大きくなるため、分子流コンダクタンスの項は無視できる。よって、ΔP(=Q/Ghole)は概ねQ/ΔPに比例する。つまり、ΔPは概ねQ1/2に比例する。
【0066】
一方、(3)式によれば、オリフィスコンダクタンスGorificeは圧力Pに依存しない。よって、ΔP(=Q/Gorifice)は概ねQに比例する。この結果から、上流圧Pと下流圧Pとの圧力差が大きくなると、円筒よりもオリフィスがガスの流れやすさに大きな影響を及ぼすことがわかる。
【0067】
(ガス孔の形状)
図4および図5に示したように、誘電体板に設けられたガス孔Aは、細管hlを多数束ねたガスノズル820から形成されている。ガスノズル820内部の各細管hlは、各極細管にガスが入り込まないこと、およびガスの流量を精度よく制御することを条件として、その径および数が予め定められている。各極細管にガスが入り込まないためには、ガス孔の直径Dとガスの平均自由行程やシース圧、アスペクト比との関係を考慮する必要がある。ガスの流量を精度よく制御するためには、上記コンダクタンスを適切な値にする必要がある。
【0068】
ガスノズル820は、誘電体板305の内部に設けられたガス流路810の端部に設置されている。ガスノズル820に容器側からガスが入り込むと、ガスノズル820内のガスが誘電体板305を透過するマイクロ波の電界エネルギーによりプラズマ化される。この結果、誘電体板内のガス流路810やガスノズル820で異常放電が生じ、誘電体板305が焼損したり、ガスノズル820の細穴hlの内部にて反応性ガスが化学反応を起こすことにより細穴hlに反応生成物が付着する不具合が生じる。
【0069】
そこで、ガスノズル820の細穴hlの直径は、プラズマ励起ガスの平均自由工程に基づき、プラズマ励起ガスがガスノズル820中に入り込まないサイズ(たとえば、直径50μm)にする。
【0070】
また、誘電体板305に設けられたガス孔Bについては、ガス孔Bの径をシース幅の2倍よりも小さく、アスペクト比(ガス孔の長さ/ガス孔の直径)を20倍以上にしてプラズマが入り込まないようにするとともに、所望のガスを流したときのガス流路810の圧力を高く(電子の衝突周波数>>マイクロ波角周波数)して、誘電体内部のガス流路810において放電しないようにする。
【0071】
(4)式に基づいて、Arガスについてガス流路の圧力を計算した結果を図6に示す。プロセスが行われる条件において、誘電体板近傍の電子密度はせいぜい2×1012cm−3であり、このときのシース幅はおよそ26μmとなる。そこで、ガス孔Aのガスノズル820にプラズマが入り込むことがないように、ガスノズル820の細管hlの直径をシース幅の2倍以下の50μm、ガス穴(細管)の長さを4mmとした。
【0072】
図6では、(a)誘電体板305にガス孔A(ガス孔径50μm、ガス孔長4mmの細管hlを18本束ねたガスノズル820)を設けた場合、(b)金属電極310にガス孔B(ガス孔径118μm、ガス孔長4mmのガス管の先端部)を設けた場合、についてガス流量(sccm)とガス流路圧力(kPa)との関係を示す。
【0073】
ガス流路の圧力が低すぎるとガス流路内において、圧力に比例するガスの衝突周波数がマイクロ波の角周波数より十分大きくなるため、ガス流路で異常放電が発生してしまう。よって、ガス流路の圧力は10kPa以上にすることが望ましい。一方、ガス流路の圧力が高すぎるとガス流量の制御が困難になるため、ガス流路の圧力は50kPa以下にすることが望ましい。
【0074】
図4に示したように、54.6mmピッチでガス孔が設けられている場合、プロセスが行われる条件において一つのガス孔あたりのガス流量は、2〜10sccm程度となる。この流量範囲においてガス流路の圧力が10〜50kPaの範囲に入るように、ガスノズル820内部の細管hlの数を18個とした。
【0075】
次に、所望のガス流量(2〜10sccm)において、金属電極310に設けるガス孔Bのコンダクタンスが誘電体板305に設けるガス孔Aのコンダクタンスとほぼ等しくなるように、金属電極310に設けるガス孔の直径を118μm、ガス孔の長さを4mmに決定した。
【0076】
これにより、ガスノズル820の内部にてガスがプラズマ化して、細穴hlの内部にて異常放電が生じ、誘電体板305が焼損したり、細穴hlの内部にて反応性ガスが化学反応を起こし、細穴hlに反応生成物が付着する不具合を解消することができる。また、コンダクタンスが同一になるようにガス孔Aおよびガス孔Bの直径を定めることにより、ガスの流れを精度よく制御することができる。
【0077】
なお、ガスノズル820は、図7に示したように、ポーラスPから形成されていてもよく、ポーラスPとガスノズルNとの組み合わせでもよい。また、金属電極310に設けられたガス孔Bも、ポーラスであってもよく、ポーラスと極細管を束ねたノズルとの組み合わせでもよい。ただし、ガス孔Bの構造を誘電体板305に設けられたガス孔Aと同じ構造にした方が、コンダクタンスを同じにしやすいので好ましい。
【0078】
以上に説明した本実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置によれば、ガスの供給位置を適正化し、ガス孔の形状および構造を最適化することにより、プロセスに必要なガスの密度および化学反応によって生じた反応生成ガスの密度を被処理体の上方にて全面に渡って均一にすることができる。
【0079】
なお、容器100の天井面に配置されたガス孔Aの数は複数であっても単数であってもよい。
【0080】
上記実施形態において、各部の動作はお互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作として置き換えることができる。そして、このように置き換えることにより、マイクロ波プラズマ処理装置の発明の実施形態を、マイクロ波プラズマ処理装置の使用方法の実施形態とすることができる。
【0081】
(周波数の限定)
上記各実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置10を用いて、周波数が1GHz以下のマイクロ波をマイクロ波源900から出力することにより、良好なプラズマ処理を実現できる。従来のマイクロ波プラズマ処理装置では、主に、2.45GHzのマイクロ波が使われていたが、上記(1)式によれば、カットオフ密度nは、マイクロ波の周波数の二乗に比例する。よって、周波数を1GHzにすれば、カットオフ密度nを2.45GHzの場合の1/7程度まで下げることができる。この結果、低いプラズマの電子密度nでも均一なプラズマが生成され、プロセスウィンドウを広げることができる。
【0082】
NFガスは、最も着火しにくいガスの一つである。カットオフ密度nが、NFガスを用いた場合の実用的な電子密度である1.4×1011cm−3と等しくなる周波数は1GHzである。すなわち、マイクロ波の周波数として1GHz以下を選択すると、どんなガスを用いても実用的な電力密度で均一なプラズマを励起することができる。
【0083】
よって、1GHz以下のマイクロ波を用いることにより、2.45GHzの周波数のマイクロ波のある程度のパワーでは単一ガスの状態で表面波が広がらず、均一で安定したプラズマを励起できなかったF系単一ガスであっても均一で安定したプラズマを励起させることができる。これにより、実用的なマイクロ波のパワーを用いてクリーニングガスを励起させ、これにより生成されたプラズマによってプラズマ処理装置の内部をクリーニングすることができる。
【0084】
たとえば、周波数が1GHz以下のマイクロ波をマイクロ波源900から出力し、マイクロ波源900から出力されたマイクロ波を同軸管(640、620、600、315)に伝搬させる。同軸管を伝搬したマイクロ波を、同軸管に隣接した複数の誘電体板305に透過させることにより容器100の内部にマイクロ波を放出する。ガス孔Aは、複数の誘電体板305の内部を貫通したガス流路810の端部に位置する。このガス孔Aから、ガス供給源800から供給されたクリーニングガスを容器100の内部に導入し、前記放出されたマイクロ波により容器100に導入されたガスを励起させて基板Gに所望のプラズマ処理を施す。低周波数のマイクロ波によりプラズマ処理装置の内部をF系ガスのみでクリーニングすることができる。
【0085】
なお、電気学会・マイクロ波プラズマ調査専門委員会編「マイクロ波プラズマの技術」オーム社出版、平成15年9月25日発行の序文には、本書では「「マイクロ波帯」は、UHF帯の300MHz以上の周波数領域を指している」とあることから、本明細書中においてもマイクロ波の周波数は300MHz以上とする。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
たとえば、本発明にかかるマイクロ波プラズマ処理装置によれば、大面積のガラス基板、円形のシリコンウエハや角型のSOI(Silicon On Insulator)基板を処理することができる。
【0088】
また、本発明にかかるプラズマ処理装置に設けられた誘電体板は、複数の誘電体板305を有するプラズマ処理装置であってもよく、図8に示したように、大面積の1枚の誘電体板305を有するプラズマ処理装置であってもよい。
【0089】
図8のプラズマ処理装置においても、ガス(プラズマ励起ガスを含む)は、内部導体315aを貫通したガス導入路315cに流入する。さらに、ガスは、誘電体板305を貫通するガス流路810(第1のガス流路に相当)を通過し、天井面にて均等に配置された複数のガス孔A(第1のガス孔に相当)から処理室Uに導入される。ガスは、また、金属電極310の内部を貫通するガス流路815(第2のガス流路に相当)を流れ、その貫通口であるガス孔B(第2のガス孔に相当)から処理室Uに導入される。
【0090】
これによっても、1枚の誘電体板305及び金属電極310にガス孔A,Bが等ピッチに設けられているため、均一なプラズマを生成することができる。
【0091】
また、本発明にかかるマイクロ波プラズマ処理装置では、成膜処理、拡散処理、エッチング処理、アッシング処理などのあらゆるプラズマ処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置の縦断面図である。
【図2】同実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置の天井面を示した図である。
【図3】同実施形態にかかる蓋部近傍を拡大した断面図である。
【図4】同実施形態にかかる誘電体板下面のガス孔の位置を説明するための図である。
【図5】同実施形態にかかるガス孔に取り付けられたガスノズルを示した図である。
【図6】ガス流路の圧力およびガス流量とガスのコンダクタンスとの関係を示したグラフである。
【図7】他のガスノズルを示した図である。
【図8】本発明の他の一実施形態にかかるマイクロ波プラズマ処理装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0093】
10 マイクロ波プラズマ処理装置
100 容器
200 容器本体
205,415a,415b Oリング
300 蓋体
300a 溝
300d 蓋部
305 誘電体板
305a 凹み部
310 金属電極
315、600、620、640 同軸管
315a、600a 内部導体
410 リング状の誘電体
500 固定機構
515 バネ部材
520 短絡部
605 同軸導波管変換器
610 分岐板
900 マイクロ波源
905 分岐導波管
U 処理室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にてプラズマが励起される容器と、
前記容器内にプラズマを励起するためのマイクロ波を供給するマイクロ波源と、
前記マイクロ波源から供給されたマイクロ波を伝搬させる導体棒と、
前記容器の内側に面し、前記導体棒に隣接し、前記導体棒を伝搬したマイクロ波を透過させて前記容器の内部に放出する複数の誘電体板と、
前記容器内にプラズマを励起するためのガスを供給するガス供給源と、
前記複数の誘電体板の各々の内部を貫通し、その貫通口である第1のガス孔から前記ガスを前記容器内に導入する第1のガス流路と、を備えるマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1のガス孔は、各々の誘電体板の同じ位置に配置される請求項1に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1のガス孔は、各々の誘電体板の同じ位置に複数配置される請求項2に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項4】
前記複数の第1のガス孔は、各々の誘電体板の同じ位置に等ピッチで配置される請求項3に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項5】
前記複数の誘電体板は、等ピッチで配置され、
前記複数の第1のガス孔は、各々の誘電体板を配置するピッチの整数分の1のピッチで配置される請求項4に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1のガス流路を流れる所望のガス流量に対して、前記第1のガス流路内部の圧力が10kPa以上50kPa以下になるように前記複数の第1のガス孔を配置するピッチを定める請求項5に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1のガス孔には、複数の細孔を有するガスノズルが設けられている請求項1〜6のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項8】
前記複数の細孔の直径はシース幅の2倍よりも小さく、前記複数の細孔のアスペクト比は20倍以上である請求項7に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第1のガス孔には、多孔質体から形成されたガスノズルが設けられている請求項1〜6のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項10】
前記複数の誘電体板には、貫通穴が形成され、
前記誘電体に形成された貫通穴を介して前記導体棒に連結され、少なくとも一部が前記誘電体板の被処理体側の面に隣接した状態にて前記誘電体板の被処理体側の面から露出した複数の金属電極と、
各々の金属電極の内部を貫通し、その貫通口である第2のガス孔から前記ガスを前記容器内に導入する第2のガス流路と、をさらに備える請求項1〜9のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項11】
前記第2のガス孔の直径は、所望のガスの流量に対して前記第1のガス孔のコンダクタンスと前記第2のガス孔のコンダクタンスとが等しくなるように決定される請求項10に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項12】
前記複数の第1のガス孔および前記第2のガス孔は、各々の誘電体板の同じ位置に等ピッチで配置される請求項10または11のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項13】
前記複数の誘電体板の各々には、前記金属電極を中心として点対称な位置に凹み部が設けられ、
前記複数の第1のガス孔は、各凹み部に同数ずつ設けられている請求項10〜12のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項14】
前記導体棒は、前記複数の誘電体板に対応して複数設けられている請求項1〜13のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項15】
前記複数の導体棒は、前記複数の誘電体板に一対一に係合している請求項14に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項16】
前記複数の導体棒のそれぞれは、前記複数の誘電体板のそれぞれの中央部にて前記誘電体板に係合している請求項15に記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項17】
前記複数の誘電体板は、矩形状のプレートである請求項1〜16のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項18】
前記複数の誘電体板は、λg/2の整数倍のピッチで等間隔に配置されている請求項1〜17のいずれかに記載されたマイクロ波プラズマ処理装置。
【請求項19】
前記マイクロ波源は、周波数が1GHz以下のマイクロ波を出力する請求項1〜13のいずれかに記載されたプラズマ処理装置。
【請求項20】
周波数が1GHz以下のマイクロ波をマイクロ波源から出力し、
前記マイクロ波源から出力されたマイクロ波を導体棒に伝搬させ、
前記導体棒を伝搬したマイクロ波を、前記導体棒に隣接した複数の誘電体板に透過させることにより前記容器の内部にマイクロ波を放出し、
前記複数の誘電体板の内部を貫通した第1のガス流路の端部に位置する第1のガス孔から、ガス供給源から供給されたガスを前記容器内に導入し、
前記放出されたマイクロ波により前記容器に導入されたガスを励起させて被処理体に所望のプラズマ処理を施すマイクロ波プラズマ処理装置の使用方法。
【請求項21】
内部にてプラズマが励起される容器と、
前記容器内にプラズマを励起するためのマイクロ波を供給するマイクロ波源と、
前記マイクロ波源から供給されたマイクロ波を伝搬させる導体棒と、
前記容器の内側に面し、前記導体棒に隣接し、前記導体棒を伝搬したマイクロ波を透過させて前記容器の内部に放出する単一または複数の誘電体板と、
前記容器内にプラズマを励起するためのガスを供給するガス供給源と、
前記単一または複数の誘電体板の各々の内部を貫通し、その貫通口である第1のガス孔から前記ガスを前記容器内に導入する第1のガス流路と、を備えるマイクロ波プラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−205921(P2009−205921A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46639(P2008−46639)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】