説明

モータ制御装置

【課題】過渡時におけるロータ位置の検出精度を向上させる。
【解決手段】同期モータ12のロータ位置をセンサレスで検出する機能を備えたモータ制御装置10であって、誘起電圧波高値Ep、電流電気角θiから誘起電圧電気角θeを減じた減算値(θe−θi)の2つのパラメータで規定される電流位相βを予め記憶する位相記憶部と、これに記憶されたβを参照することにより、電流極座標変換部26で検出されたθi、並びに、誘起電圧極座標変換部28で検出されたEp及びθeに基づいて、βを選定する位相選定部と、このβを第1の変数とし前記検出されたθiを第2の変数とするロータ計算式からロータ位置θmを算出するロータ位置演算部と、を含むロータ位置検出部30を備えて成る。そして、位相選定部においてβを選定するときに、前記検出されたEp及びθeを、コイルに流れる電流の変化に応じて補正する補正部32を更に備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期モータの回転するロータ位置をセンサレスで検出する機能を備えたモータ制御装置に関し、詳しくは、過渡時におけるロータ位置の検出精度を向上させるモータ制御装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のモータ制御装置は、コイル電流及び誘起電圧に関する検出値に基づいて、回転座標系における電流位相等を予め記憶したデータテーブルから電流位相等を選定することにより、ロータ位置を直接的に求めていた。ここで、データテーブルは、同期モータに対する負荷が一定の定常状態において成立する電圧方程式を前提として、誘起電圧波高値又は誘起電圧電気角を含むパラメータで電流位相等を規定している。このデータテーブルを利用することにより、一定の精度下で、かつ、低処理負荷で同期モータのロータ位置検出を可能としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−10438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同期モータの負荷が急激に変動する場合には、コイル電流が短時間で変化して、コイルのインダクタンスに起因した誘起電圧が大きく増減するが、従来のモータ制御装置が用いるデータテーブルは、定常状態で成立する電圧方程式を前提としており、同期モータの急激な負荷変動に伴う誘起電圧の増減を想定していない。したがって、誘起電圧に関する検出値に基づいてデータテーブルから直ちに選定した電流位相は、実際の電流位相とは大きく乖離してしまうため、ロータ位置を精度良く検出できないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、急激な負荷変動によるコイル電流の変化に応じて誘起電圧に関する検出値を補正することで、過渡時におけるロータ位置の検出精度を向上させたモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、同期モータの回転するロータ位置をセンサレスで検出する機能を備えたモータ制御装置であって、同期モータのコイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、同期モータのコイルに印加される電圧を検出する電圧検出手段と、上記電流検出手段で検出された電流に基づいて、電流波高値Ip及び電流電気角θiを検出するIp及びθi検出手段と、上記電流検出手段で検出された電流と上記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて、誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeを検出するEp及びθe検出手段と、Ipの値、Epの値、及びθeからθiを減じた減算値(θe−θi)のうち、少なくとも2つのパラメータで規定される電流位相β又は誘起電圧位相γを予め記憶する位相記憶手段と、上記位相選定手段で選定されたβを第1の変数とし上記Ip及びθi検出手段で検出されたθiを第2の変数とするロータ位置計算式、又は上記位相選定手段で選定されたγを第1の変数とし上記Ep及びθe検出手段で検出されたθeを第2の変数とするロータ位置計算式、からロータ位置θmを算出するロータ位置演算手段と、を含んで構成され、上記位相選定手段において電流又は誘起電圧位相を選定するときに、上記Ep及びθe検出手段で検出されたEp又はθeの少なくとも一方であって、電流又は誘起電圧位相を規定する上記少なくとも2つのパラメータに含まれるものを、上記コイルに流れる電流の変化に応じて補正する補正手段を更に備えたものである。
【0007】
このような構成により、上記補正手段で、上記位相選定手段において電流位相β又は誘起電圧位相γを選定するために上記Ep及びθe検出手段で検出したEp又はθeの少なくとも一方であって、上記電流位相β又は誘起電圧位相γを規定する上記少なくとも2つのパラメータに含まれるものを、上記コイルに流れる電流の変化に応じて補正する。
【0008】
また、上記補正手段は、上記Ep及びθe検出手段で検出されたEp又はθeを、上記コイルに流れる電流の回転座標系におけるd軸成分及びq軸成分が所定時間内に変化するコイル電流変化率に基づいて補正するものとしてもよい。これにより、上記Ep及びθe検出手段で検出されたEp又はθeを、上記コイルに流れる電流の回転座標系におけるd軸成分及びq軸成分が所定時間内に変化するコイル電流変化率に基づいて補正する。
【0009】
さらに、上記補正手段は、上記Ep及びθe検出手段で検出されたθeを、上記コイル電流変化率を用いて求めたθeの変化量Δθに基づいて補正するものとしてもよい。これにより、上記Ep及びθe検出手段で検出されたθeを、上記コイル電流変化率を用いて求めたθeの変化量Δθに基づいて補正する。
【0010】
さらにまた、上記コイル電流変化率は、上記電流検出手段により現在検出されている電流のd軸成分及びq軸成分を、夫々、その検出の直前に検出されたd軸成分及びq軸成分から減じ、この減算結果を、現在の検出と直前の検出との時間間隔で除して求められる。これにより、上記電流検出手段により現在検出されている電流のd軸成分及びq軸成分を、夫々、その検出の直前に検出されたd軸成分及びq軸成分から減じ、この減算結果を、現在の検出と直前の検出との時間間隔で除して上記コイル電流変化率を求める。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、補正手段で、位相選定手段において電流位相β又は誘起電圧位相γを選定するときに、Ep及びθe検出手段で検出した誘起電圧波高値Ep又は誘起電圧電気角θeの少なくとも一方であって、電流位相β又は誘起電圧位相γを規定する少なくとも2つのパラメータに含まれるものを、コイルに流れる電流の変化に応じて補正することができる。したがって、急激な負荷変動に応じて補正されたEp又はθeの少なくとも一方を含むパラメータに基づいて電流位相β又は誘起電圧位相γを選定できるので、過渡時におけるロータ位置の検出精度を向上させることが可能となる。
【0012】
また、請求項2に係る発明によれば、Ep及びθe検出手段で検出されたEp又はθeを、コイルに流れる電流の回転座標系におけるd軸成分及びq軸成分が所定時間内に変化するコイル電流変化率に基づいて補正することができる。したがって、電流位相β又は誘起電圧位相γを規定する少なくとも2つのパラメータに、コイル電流変化率に基づいて補正されたEp又はθeの補正値を用いることが可能となる。
【0013】
さらに、請求項3に係る発明によれば、Ep及びθe検出手段で検出されたθeを、コイル電流変化率を用いて求めたθeの変化量Δθに基づいて補正することができる。したがって、電流位相β又は誘起電圧位相γを規定する少なくとも2つのパラメータに、Δθに基づいて補正されたθeの補正値を用いることが可能となる。
【0014】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、コイル電流変化率は、電流検出手段により現在検出されている電流のd軸成分及びq軸成分を、夫々、その検出の直前に検出されたd軸成分及びq軸成分から減じ、この減算結果を、現在の検出と直前の検出との時間間隔で除すことにより求めることができる。したがって、電流検出手段による電流の検出毎にその検出時間間隔におけるコイル電流変化率を求めることにより、Ep及びθe検出手段で検出されたEp又はθeを実際の誘起電圧変化に近似させて補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるモータ制御装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】図1におけるロータ位置検出部の内部構成を説明するブロック図である。
【図3】電流位相を規定するデータテーブルの一例を説明する説明図である。
【図4】電流位相又は誘起電圧位相を規定するパラメータを示す説明図である。
【図5】モータベクトル図である。
【図6】図1における補正部の内部構成を説明するブロック図である。
【図7】本発明のモータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】同期モータにおける各相の電流波形を示す説明図である。
【図9】同期モータにおける各相の誘起電圧の波形を示す説明図である。
【図10】図7におけるステップS5の処理内容を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明によるモータ制御装置の一実施例を示す図である。このモータ制御装置10は、同期モータ12の回転するロータ位置をセンサレスで検出する機能を備え、直流電源14から同期モータ12へ電力を供給するインバータ16を制御するものであって、図示省略のコンピュータを内蔵している。同期モータ12の軸出力は、例えば、車両用空調装置において、冷凍サイクル中の冷媒を圧縮する圧縮機(図示省略)を駆動させるために用いられるが、車載式又は定置式を含めた冷凍・冷蔵装置などの冷凍サイクルの圧縮機を駆動させるために用いてもよい。
【0017】
同期モータ12は、3相ブラシレスモータからなり、U相のコイルUc、V相のコイルVc及びW相のコイルWcの3相のコイルを含む図示しないステータと、永久磁石を含む図示しないロータと、を有している。U相コイルUc、V相コイルVc及びW相のコイルWcは、それぞれの一端が中性点Nで電気的に接続されてスター状に結線されるが、デルタ状に結線されてもよい。
【0018】
インバータ16は、6つのスイッチング素子を有し、同期モータ12の3相の各コイルにおいて中性点Nに接続されない他端Tu、Tv及びTwには、ハイサイドとローサイドのスイッチング素子が2つずつ接続されている。スイッチング素子には、IGBTが用いられるが、MOSFET、バイポーラトランジスタなどのトランジスタや、GTOを用いてもよい。
Tu、Tv及びTwに接続されるスイッチング素子のうち、ハイサイドの上段スイッチング素子Usu、Vsu及びWsuについては、夫々、そのエミッタ側がTu、Tv及びTwに接続され、コレクタ側が直流電源14に接続されている。また、Tu、Tv及びTwに接続されるスイッチング素子のうち、ローサイドの下段スイッチング素子Usl、Vsl及びWslについては、夫々、そのコレクタ側がTu、Tv及びTwに接続され、エミッタ側が直流電源14に接続されている。各スイッチング素子のゲートUsu、Usl、Vsu、Vsl、Wsu及びWslのゲートは、夫々、後述のインバータ駆動部と接続されている。
【0019】
また、インバータ16は、同期モータ12の各相に流れる電流を検出するためのシャント抵抗R1、R2及びR3を有する。シャント抵抗R1は、下段スイッチング素子Uslと直流電源14間に介在し、シャント抵抗R2は、下段スイッチング素子Vslと直流電源14間に介在し、シャント抵抗R3は、下段スイッチング素子Wslと直流電源14間に介在している。
【0020】
本発明のモータ制御装置10は、図1に示すように、速度制御部18と、インバータ駆動部20と、電流検出部22と、電圧検出部24と、電流極座標変換部26と、誘起電圧極座標変換部28と、ロータ位置検出部30と、補正部32と、を含んで構成されている。
【0021】
速度制御部18は、図示しない操作部からの目標速度とロータ位置演算部38で算出されたロータ位置θmに基づいて、同期モータ12を所定の回転数で回転または停止させるための制御信号をインバータ駆動部20に送出する。
【0022】
インバータ駆動部20は、速度制御部18からの制御信号に基づいて、インバータ16の上段スイッチング素子Usu、Vsu及びWsuのゲートと下段スイッチング素子Usl、Vsl及びWslのゲートに各スイッチング素子をオンオフするための駆動信号を送出する。上段スイッチング素子Usu、Vsu及びWsuと下段スイッチング素子Usl、Vsl及びWslは、インバータ駆動部20からの駆動信号によって所定パターンでオンオフされ、この所定パターンに基づく正弦波通電(180度通電)を同期モータ12のU相コイルUc、V相コイルVc及びW相コイルWcに対して行う。
【0023】
電流検出部22は、同期モータ12のU相コイルUc、V相コイルVc及びW相コイルWcに流れる電流(U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iw)を検出する電流検出手段となる。この電流検出部22は、インバータ16のシャント抵抗R1、R2及びR3の下段スイッチング素子Usl、Vsl及びWsl側と、夫々接続され、それら接続点で検出された電圧を利用して電流Iu、Iv、Iwを検出する。そして、これら電流Iu、Iv、Iwを電流極座標変換部26及び誘起電圧極座標変換部28に送出する。
【0024】
電圧検出部24は、同期モータ12のU相コイルUc、V相コイルVc及びW相コイルWcに印加される電圧(U相電圧Vu、V相電圧Vv及びW相電圧Vw)を検出する電圧検出手段となる。この電圧検出部24は、Tuとスイッチング素子Usu及びUslを接続する接続線、Tvとスイッチング素子Vsu及びVslを接続する接続線、並びにTwとスイッチング素子Wsu及びWslを接続する接続線からの各分岐線と夫々接続される。そして、電圧Vu、Vv及びVwを誘起電圧極座標変換部28に送出する。
【0025】
電流極座標変換部26は、電流検出部22で検出された各相の電流Iu、Iv及びIwに基づいて、電流波高値Ipと電流電気角θiを検出するIp及びθi検出手段となる。
【0026】
誘起電圧極座標変換部28は、電流検出部22で検出された電流Iu、Iv及びIwと、電圧検出部24で検出された電圧Vu、Vv及びVwと、に基づいて、誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeを検出するEp及びθe検出手段となる。
【0027】
ロータ位置検出部30は、電流極座標変換部26及び誘起電圧極座標変換部28で検出された検出値に基づいて、ロータ位置θmを検出し、これを速度制御部18に送出する。ロータ位置検出部30の内部構成は、図2に示すように、位相記憶部34と、位相選定部36と、ロータ位置演算部38と、を含んでなる。
【0028】
位相記憶部34は、誘起電圧波高値Ep、及び誘起電圧電気角θeから電流電気角θiを減じた減算値(θe−θi)、の2つのパラメータで規定される電流位相βを予め記憶する位相記憶手段となる。回転座標系であるdq座標のq軸を基準とした電流位相βは、図3に示すように、βを規定する前記2つのパラメータとともにデータテーブルとして位相記憶部34のROM(Read Only Memory)などに記憶されている。このデータテーブルは、同期モータ12の負荷が一定の定常状態において、例えば、誘起電圧波高値Epを1V毎、かつ減算値(θe−θi)を1°毎変化させたときの電流位相βからなる。
【0029】
なお、電流位相βを規定するパラメータは、誘起電圧波高値Ep及び減算値(θe−θi)の2つのパラメータに替えて、図4に示すように、電流波高値Ip及び減算値(θe−θi)の2つのパラメータ、電流波高値Ip及び誘起電圧波高値Epの2つのパラメータ、又は電流波高値Ip、誘起電圧波高値Ep及び減算値(θe−θi)の3つのパラメータで電流位相βを規定してもよい。また、これらのパラメータは、電流位相βに替えて、誘起電圧位相γを規定してもよい。要するに、位相記憶手段34は、電流波高値Ip、誘起電圧波高値Ep及び減算値(θe−θi)のうち、少なくとも2つのパラメータで規定される電流位相β又は誘起電圧位相γを、データテーブルとして記憶していればよい。
【0030】
位相選定部36は、位相記憶部34にデータテーブルとして記憶された電流位相βを参照することにより、電流極座標変換部26及び誘起電圧極座標変換部28で検出された検出値に基づいて電流位相βを選定する位相選定手段となる。そして、選定された電流位相βをロータ位置演算部38に送出する。なお、位相記憶部34にデータテーブルとして記憶されているものが誘起電圧位相γである場合には、前記検出値に基づいて誘起電圧位相γを選定し、これをロータ位置演算部38に送出してもよい。
【0031】
ロータ位置演算部38は、位相選定部36で選定された電流位相βを第1の変数とし、電流極座標変換部26で検出された電流電気角θiを第2の変数とするロータ位置計算式から、同期モータ12のロータ位置θmを算出するロータ位置演算部となる。そして、算出されたロータ位置θmを速度制御部18に送出する。なお、位相選定部36において誘起電圧位相γを選定した場合には、このγを第1の変数とし、誘起電圧極座標変換部28で検出された誘起電圧電気角θeを第2の変数とするロータ位置計算式から、ロータ位置θmを算出し、これを速度制御部18に送出してもよい。
【0032】
ここで、図1に示すように、誘起電圧極座標変換部28とロータ位置検出部30との間には、補正手段としての補正部32が設けられている。この補正部32は、図2に示す位相選定部36において電流位相βを選定するときに、誘起電圧極座標変換部28で検出された誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeを、コイルに流れる電流の変化に応じて補正する。なお、補正部32は、モータ制御装置10における制御処理の負担を軽減すべく、誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeのいずれか一方を補正してもよい。要するに、補正部32は、位相選定部36において電流位相βを選定するときに、誘起電圧極座標変換部28で検出された誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeの少なくとも一方であって、電流位相βを規定する少なくとも2つのパラメータに含まれるものを、コイルに流れる電流の変化に応じて補正すればよい。補正部32は、位相選定部36において誘起電圧位相γを選定するときも、電流位相βを選定するときと同様の補正を行う。
【0033】
次に、補正部32の目的とする機能について詳述する。
図5は、同期モータ12のロータが定常状態で回転しているときのモータベクトル図であり、電圧V、電流I及び誘起電圧Eの関係をdq座標にベクトルで示したものである。図中の記号Vdは電圧Vのd軸成分、記号Vqは電圧Vのq軸成分、記号Idは電流Iのd軸成分、記号Iqは電流Iのq軸成分、記号Edは誘起電圧Eのd軸成分、記号Eqは誘起電圧Eのq軸成分、記号αはq軸を基準とした電圧位相、記号βはq軸を基準とした電流位相、記号γはq軸を基準とした誘起電圧位相を示している。また、図中の記号Ψaはロータの永久磁石の磁束数、記号Ldはd軸インダクタンス、記号Lqはq軸インダクタンス、記号Rはステータのコイルの抵抗値、記号Ψはロータの総合鎖交磁束数、記号Ψaは永久磁石の磁束数を示している。
【0034】
このモータベクトル図からすれば、ロータの回転数をωとすると、
【数1】

の式が成り立ち、Ed=Vd−Id×R、Eq=Vq−Iq×Rで表される誘起電圧Eのd軸成分Ed及びq軸成分Eqを用いると、
【数2】

の式が成り立つ。
【0035】
位相記憶部34に記憶されたデータテーブルは、この定常状態における電圧方程式が成立することを前提として、誘起電圧波高値Ep、及び誘起電圧電気角θeから電流電気角θiを減じた減算値(θe−θi)、の2つのパラメータで電流位相βを規定している。モータベクトル図上、誘起電圧波高値Epは、
【数3】

という式で表され、減算値(θe−θi)は、誘起電圧位相γから電流位相βを減じた減算値(γ−β=tan(Eq/Ed)−tan(Iq/Id))に相当する。
【0036】
しかし、同期モータ12の負荷が急激に変動する非定常状態の場合には、コイル電流が短時間で変化して、コイルのインダクタンスに起因した誘起電圧が大きく変化するため、pを時間微分の演算子とすると、
【数4】

の式で示されるように、pLd・Id及びpLq・Iqの項が加わり、Ed及びEqの値が定常状態に比べて変化する。すなわち、定常状態に比べ、誘起電圧波高値Ep及び減算値(θe−θi)が変化する。したがって、非定常状態において誘起電圧極座標変換部28で検出された誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeに基づいて、定常状態において成立する式を前提としたデータテーブルを参照し、電流位相βを選定しても、この電流位相βは、実際の電流位相と大きく乖離してしまうため、ロータ位置θmを精度良く検出できない。
【0037】
補正部32は、非定常状態において誘起電圧極座標変換部28で検出された誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeから、pLd・Idの値、及びpLq・Iqの値による定常状態に対するズレ量を取り除いて、誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeを、夫々、補正値Ep´及び補正値θe´に補正する。
【0038】
補正部32は、図6に示すように、dq値演算部40と、Id及びIq記憶部42と、
ΔId及びΔIq演算部44と、ΔEd及びΔEq演算部46と、Δθ演算部48と、補正値θe´演算部50と、補正値Ep´演算部52と、を含んで構成される。
【0039】
dq値演算部40は、図1の電流極座標変換部26で検出された電流波高値Ip及び電流電気角θiと、図1の誘起電圧極座標変換部28で検出された誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeと、前回のロータ位置θmの算出過程において、図2の位相選定部36で既に選定されている電流位相βと、に基づいて、回転座標系であるdq座標系における、電流Iのd軸成分Id及びq軸成分Iq、並びに誘起電圧Eのd軸成分Ed及びq軸成分Eqを算出する。そして、電流Iのd軸成分Id及びq軸成分Iqは、Id及びIq記憶部42とΔId及びΔIq演算部44とに送出され、誘起電圧Eのd軸成分Ed及びq軸成分Eqは、Δθ演算部48及び補正値Ep´演算部52に送出される。なお、前回のロータ位置θmの算出過程において位相選定部36が誘起電圧位相γを選定している場合には、電流位相βに替えて誘起電圧位相γを用いてId、Iq、Ed及びEqを算出してもよい。
【0040】
Id及びIq記憶部42は、dq値演算部40で算出された電流Iのd軸成分Id及びq軸成分Iqを、かかる算出毎に記憶する。
【0041】
ΔId及びΔIq演算部44は、dq値演算部40で算出されたId及びIqと、Id及びIq記憶部42で記憶されたId及びIqのうち、前回のロータ位置θmの算出過程で記憶されたId(−1)及びIq(−1)と、に基づいて、電流Iの変化量におけるd軸成分ΔId及びq軸成分ΔIqを算出し、これらをΔEd及びΔEq演算部46に送出する。
【0042】
ΔEd及びΔEq演算部46は、ΔId及びΔIq演算部44で算出された電流Iの変化量ΔId及び減算値ΔIqに基づいて、誘起電圧Eの変化量のうち前述のpLd・Idに相当するd軸成分ΔEd、及び誘起電圧Eの変化量のうち前述のpLq・Iqに相当するq軸成分ΔEqを算出し、これらをΔθ演算部48及び補正値Ep´演算部52に送出する。
【0043】
Δθ演算部48は、dq値演算部40で算出されたEd及びEqと、ΔEd及びΔEq演算部46で算出されたΔEd及びΔEqと、に基づいて、誘起電圧電気角θeの変化量Δθを算出し、これを補正値θe´演算部50に送出する。
【0044】
補正値θe´演算部50は、図1の誘起電圧極座標変換部28で検出された誘起電圧電気角θeと、Δθ演算部48で算出されたΔθと、に基づいて、誘起電圧電気角θeの補正値θe´を算出し、これを位相選定部36に送出する。
【0045】
補正値Ep´演算部52は、dq値演算部40で算出されたEd及びEqと、ΔEd及びΔEq演算部46で算出されたΔEd及びΔEqとに基づいて、誘起電圧波高値Epの補正値Ep´を算出し、これを位相選定部36に送出する。
【0046】
次に、このように構成されたモータ制御装置の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。なお、ロータ位置演算部38において、少なくとも2度、ロータ位置θmが算出されているものとする。まず、同期モータ12における、各相の電流Iu、Iv及びIw、並びに各相の電圧Vu、Vv及びVwを検出する(ステップS1)。
【0047】
次に、各相の誘起電圧Eu、Ev及びEwを検出する。具体的には、以下の算出を行うことにより検出する。すなわち、U相電圧Vu、V相電圧Vv及びW相電圧Vwと、U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwと、U相コイル抵抗Ru、V相コイル抵抗Rv及びW相コイル抵抗Rwと、U相誘起電圧Eu、V相誘起電圧Ev及びW相誘起電圧Ewと、の間には、Vu−Iu×Ru=Eu、Vv−Iv×Rv=Ev及びVw−Iw×Rw=Ewの関係式が成立する。この関係式に、ステップS1で検出された各相の電流Iu、Iv及びIwの各値、並びに各相の電圧Vu、Vv及びVwの各値を代入して、各相の誘起電圧Eu、Ev及びEwを算出する(ステップS2)。
【0048】
次に、電流波高値Ip及び電流電気角θiを検出する。具体的には、以下の算出を行うことにより検出する。すなわち、図8に示すように、正弦波通電(180°通電)を行っているときの各相の電流Iu、Iv及びIwと、電流波高値Ip及び電流電気角θiとの間には、Iu=Ip×cosθi、Iv=Ip×cos(θi−120°)及びIw=Ip×cos(θi+120°)の関係式が成立する。この関係式に、ステップS1で検出された各相の電流Iu、Iv及びIwの各値を代入して、Ip及びθiについての連立方程式を解くことで電流波高値Ip及び電流電気角θiを算出する(ステップS3)。
【0049】
次に、誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeを検出する。具体的には、以下の算出を行うことにより検出する。すなわち、図9に示すように、正弦波通電(180°通電)を行っているときの各相の誘起電圧Eu、Ev及びEwと、誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeとの間には、Eu=Ep×cosθe、Ev=Ep×cos(θe−120°)及びEw=Ep×cos(θe+120°)の関係式が成立する。この関係式に、ステップS2で検出された各相の誘起電圧Eu、Ev及びEwの各値を代入して、Ep及びθeについての連立方程式を解くことで誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeを算出する(ステップS4)。
【0050】
そして、ステップS3で検出された電流波高値Ip及び電流電気角θiと、ステップS4で検出された誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeと、前回のロータ位置θmの算出過程において、位相選定部36で既に選定されている電流位相βと、に基づいて、誘起電圧波高値Epの補正値Ep´及び誘起電圧電気角θeの補正値θe´を算出する(ステップS5)。本ステップの詳細については後述する。
【0051】
次に、位相記憶部34に記憶されたデータテーブルを参照して、電流位相βを選定する。具体的には、ステップS5で算出された補正値Ep´をパラメータEpとし、ステップ5で算出された補正値θe´からステップS3で検出された電流電気角θiを減じた減算値(θe´−θi)をパラメータ(θe−θi)として、これらのパラメータで規定される電流位相βを選定する(ステップS6)。
【0052】
さらに、ロータ位置θmを算出する。具体的には、電流位相βを第1の変数として含み、電流電気角θiを第2の変数として含むロータ計算式(θm=θi−β)に、ステップS6で選定された電流位相βの値と、ステップS3で検出された電流電気角θiの値を代入してロータ位置θmを算出する(ステップS7)。
【0053】
前記ステップS5における補正値Ep´及び補正値θe´の算出について、図10のフローチャートを参照して詳述する。まず、前回のロータ位置θmの算出過程において、位相選定部36で既に選定されている電流位相β、及びステップS3で検出された電流波高値Ipを、Id=Ip×sinβ及びIq=Ip×cosβで表される式に代入して、電流Iのd軸成分Id及びq軸成分Iqを算出する(ステップS11)。
【0054】
次に、ステップS11で算出されたId及びIqを、Id及びIq記憶部42で記憶する(ステップS12)。
【0055】
また、ステップS3で算出された電流電気角θi、ステップS4で算出された誘起電圧波高値Ep、並びに、前回のロータ位置θmの算出過程において、位相選定部36で既に選定されている電流位相β、及び補正値θe´演算部50で既に算出されている補正値θe´を、Ed=Ep×sin(β+θe´−θi)及びEq=Ep×cos(β+θe´−θi)で表される式に代入して、誘起電圧Eのd軸成分Ed及びq軸成分Eqを算出する(ステップS13)。
【0056】
次に、電流Iの変化量におけるd軸成分ΔId及びq軸成分ΔIqを算出する。具体的には、Id及びIq記憶部42で記憶されたId及びIqのうち、前回のロータ位置θmの算出過程で記憶されたId(−1)及びIq(−1)から、夫々、ステップS11で算出されたId及びIqを減じた減算値(Id(−1)−Id)及び減算値(Iq(−1)−Iq)を、ΔId及びΔIqとして算出する(ステップS14)。
【0057】
次に、ステップS15において、誘起電圧Eの変化量におけるd軸成分ΔEd及びq軸成分ΔEqを算出する。まず、ステップS14で算出された、電流Iの変化量におけるd軸成分ΔId及びq軸成分ΔIqから、夫々、所定時間Δtにおけるd軸成分の電流変化率(ΔId/Δt)及びq軸成分の電流変化率(ΔIq/Δt)を算出する。所定時間Δtとしては、電流検出部22及び電圧検出部24における検出の時間間隔を用いる。
【0058】
そして、d軸成分の電流変化率(ΔId/Δt)に対して、コイルUc、Vc及びWcのインダクタンスをd軸に投影した成分Ld(定数)を乗じて、ΔEd(=Ld×ΔId/Δt)を算出する。同様に、q軸成分の電流変化率(ΔIq/Δt)に対して、コイルUc、Vc及びWcのインダクタンスをq軸に投影した成分Lq(定数)を乗じて、ΔEq(=Lq×ΔIq/Δt)を算出する。
【0059】
さらに、ステップS15で算出された、誘起電圧Eの変化量におけるd軸成分ΔEd及びq軸成分ΔEqに応じて、ステップS4で検出された誘起電圧波高値Epの補正値Ep´を算出する。具体的には、誘起電圧波高値Epと誘起電圧Eのd軸成分Ed及びq軸成分Eqとの関係式を、誘起電圧Eの変化量におけるd軸成分ΔEd及びq軸成分ΔEqを考慮して補正した、
【数5】

という関係式に、ステップS13で算出された誘起電圧Eのd軸成分Ed及びq軸成分Eq、並びにステップS15で算出されたΔEd及びΔEqの各値を代入して補正値Ep´を算出する(ステップS16)。
【0060】
次に、ステップS15で算出された、誘起電圧Eの変化量におけるd軸成分ΔEd及びq軸成分ΔEqに応じて、ステップS4で検出された誘起電圧電気角θeの変化量Δθを算出する(ステップS17)。このステップS17について更に詳述すると、誘起電圧Eの変化による影響を受けた誘起電圧電気角θeが、θe=tan-1(Eq/Ed)で表され、誘起電圧Eの変化による影響を除去した誘起電圧電気角θe´が、θe´=tan-1{(Eq−ΔEq)/(Ed−ΔEd)}で表される。したがって、変化量Δθは、Δθ=θe−θe´で表されることから、
【数6】

という式で近似的に表され、この式に、ステップS13で算出された誘起電圧Eのd軸成分Ed及びq軸成分Eq、並びにステップS15で算出された、誘起電圧Eの変化量におけるd軸成分ΔEd及びq軸成分ΔEqの各値を代入して変化量Δθを算出する。
【0061】
そして、ステップS18において、ステップS4で検出された誘起電圧電気角θeから、ステップS17で算出された変化量Δθを減じた減算値(θe−Δθ)を、補正値θe´として算出する。
【0062】
このようなモータ制御装置10によれば、補正部32が、誘起電圧極座標変換部28で検出された誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeから、pLd・Idの値、及びpLq・Iqの値による定常状態に対するズレ量を取り除いて、これら誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeを、夫々、補正値Ep´及び補正値θe´に補正することができる。このため、急激な負荷変動に応じて補正された補正値Ep´及び補正値θe´を含むパラメータに基づいて電流位相β又は誘起電圧位相γを選定できるので、過渡時におけるロータ位置の検出精度を向上させることが可能となる。
【0063】
なお、前述のモータ制御装置10において、位相選定部36は、データテーブルの各パラメータ値間における電流位相β又は誘起電圧位相γを補間する公知の補間技術を用いることにより、電流位相β又は誘起電圧γを選定してもよい。図3において、例えば、誘起電圧波高値Epが45Vで、誘起電圧極座標変換部28で検出されたθeと電流極座標変換部26で検出されたθiとの減算値(θe−θi)が25.5°と検出された場合、位相選定部36は、線形補間により電流位相βを−1.5°と選定してもよい。
【0064】
また、前述のモータ制御装置10において、電圧検出部24は、同期モータ12とインバータ16との接続線からの分岐線により、コイルに印加される電圧を検出していたが、直流電源14の電圧と、インバータ16のスイッチング素子を駆動させる信号のオンオフ比(例えばPWM信号のデューティ比)と、からコイルに印加される電圧を検出してもよい。これにより、スイッチング素子の駆動信号をモータ制御装置10の内部で検出できるので、直流電源14の電圧を検出するために分岐線を1つに減らすことができる。
【符号の説明】
【0065】
10…モータ制御装置
12…同期モータ
22…電流検出部
24…電圧検出部
26…電流極座標変換部
28…誘起電圧極座標変換部
32…補正部
34…位相記憶部
36…位相選定部
38…ロータ位置演算部
40…dq値演算部
42…Id及びIq演算部
44…ΔId及びΔIq演算部
46…ΔEd及びΔEq演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期モータの回転するロータ位置をセンサレスで検出する機能を備えたモータ制御装置であって、
同期モータのコイルに流れる電流を検出する電流検出手段と、
同期モータのコイルに印加される電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流に基づいて、電流波高値Ip及び電流電気角θiを検出するIp及びθi検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流と前記電圧検出手段で検出された電圧に基づいて、誘起電圧波高値Ep及び誘起電圧電気角θeを検出するEp及びθe検出手段と、
Ipの値、Epの値、及びθeからθiを減じた減算値(θe−θi)のうち、少なくとも2つのパラメータで規定される電流位相β又は誘起電圧位相γを予め記憶する位相記憶手段と、
前記位相記憶手段に記憶されたβ又はγを参照することにより、前記Ip及びθi検出手段で検出されたIp及びθi、並びに、前記Ep及びθe検出手段で検出されたEp及びθeに基づいてβ又はγを選定する位相選定手段と、
前記位相選定手段で選定されたβを第1の変数とし前記Ip及びθi検出手段で検出されたθiを第2の変数とするロータ位置計算式、又は前記位相選定手段で選定されたγを第1の変数とし前記Ep及びθe検出手段で検出されたθeを第2の変数とするロータ位置計算式、からロータ位置θmを算出するロータ位置演算手段と、を含んで構成され、
前記位相選定手段においてβ又はγを選定するときに、前記Ep及びθe検出手段で検出されたEp又はθeの少なくとも一方であって、β又はγを規定する前記少なくとも2つのパラメータに含まれるものを、前記コイルに流れる電流の変化に応じて補正する補正手段を更に備えたことを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記Ep及びθe検出手段で検出されたEp又はθeを、前記コイルに流れる電流の回転座標系におけるd軸成分及びq軸成分が所定時間内に変化するコイル電流変化率に基づいて補正することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記Ep及びθe検出手段で検出されたθeを、前記コイル電流変化率を用いて求めたθeの変化量Δθに基づいて補正することを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記コイル電流変化率は、前記電流検出手段により現在検出されている電流のd軸成分及びq軸成分を、夫々、その検出の直前に検出された電流のd軸成分及びq軸成分から減じ、この減算結果を、現在の検出と直前の検出との時間間隔で除して求められることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−228128(P2012−228128A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95691(P2011−95691)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】