説明

リブ付き基板及びその製造方法

【課題】簡便な方法でリブと該リブにより形成される溝の底部に電極を有するリブ付き基板の製造方法を提供する。
【解決手段】複数のリブを形成する型溝43と型溝43に対応する型リブ42とを有する成形型40を使用し、型リブ42の頂部に導電層形成材料を被覆する導電剤被覆工程、及び成形型40の表面に基板形成材料を供給してリブとリブにより形成される溝の底部に導電層44を有する基板とする成形工程を有するリブ付き基板45の製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)やフィールドエミッションディスプレイパネルの背面基板として使用可能なリブ付き基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在実用化されている30インチ程度のストライプ型リブタイプのPDPは、例えば幅が15〜50μm、高さが80〜200μmのリブが約150μmピッチにて平行に形成された背面ガラス基板を使用し、リブによって形成された凹溝内部に電極と蛍光材料を配設した後にリブ形成面を前面ガラス基板により被覆し、閉鎖空間となった凹溝を真空状態とすることによりプラズマを形成可能に構成されている。
【0003】
従来のストライプ型リブタイプのPDPの構成を概略図にて図8に示した。PDP10は背面ガラス基板12と前面ガラス基板20とが積層された構成を有し、背面ガラス基板12にはリブ14が等間隔で立設されており、リブ14により形成された各凹部の底部にはリブ14と平行にアドレス電極16が配設されている。pはリブのピッチである。また各凹部の凹面には蛍光材料層18が形成されている。
【0004】
蛍光材料は、PDPの寿命を考慮して無機化合物が使用されており、従ってリブにより形成された凹部内面に蛍光材料層を形成するためにはこれら無機化合物を焼結することが必要であり、そのために背面基板としては透明で蛍光材料の焼結温度である400〜600℃に耐える耐熱性を有するガラス材料が使用されている。
【0005】
係るリブを有する背面ガラス基板の製造方法としては、ガラス基板にガラスペーストを薄く塗って乾燥する作業を十回ほど繰り返して、少しずつリブを形成するスクリーン印刷法、ガラス基板上に均一にコーティングしたガラスペーストにより形成したガラス材層にフォトレジストを用いてパターニング形成を行った後、金属粉を吹き付けてリブの形成を行うサンドブラスト法などが公知であるが、サンドブラスト法が最も一般的に使用されている。いずれの場合においても、アドレス電極はガラス基板に導電剤を使用して形成し、その上に誘電体層を形成した後に上記方法においてガラス基板として使用される。
【0006】
しかるにスクリーン印刷法は面倒であり、しかも多数回の積層塗装を行う際にわずかに位置ずれを起こすことなどにより、形成されたリブの形状が必ずしも好ましいものではない。またサンドブラスト法も工数のかかるものであり、製造コストが多大である。
【0007】
係るスクリーン印刷法やサンドブラスト法の課題を解決する技術として、マスター型から樹脂型を作製し、この樹脂型を使用してガラス材料によりリブを有するPDP用の背面ガラス基板を製造する方法が公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−310333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示された方法によってガラス基板を作製する場合であっても、ガラス基板に予め形成されているアドレス電極がリブにより形成された溝の底部に位置するように位置合わせをしてガラス基板を貼り合わせしなければならず、大型のディスプレイほど位置合わせが困難であり、工程の簡素化と製造コストの低減に十分に対応することができるものではない。
【0009】
即ち、PDPの背面基板のアドレス電極の形成は、一般的にはフォトエッチング法や銀ペーストを使用したスクリーン印刷法によりパターン形成が行われるが、リブにより形成される溝ないし凹部とアドレス電極とを数μmの単位で正確に位置合わせすることが要求され、大画面化に伴いその位置合わせがより一層難しくなって高度の管理を必要とするため、簡便な方法によるリブと該リブにより形成される溝の底部に電極を有するリブ付き基板を製造する技術が求められている。
【0010】
本発明は、簡便な方法でリブと該リブにより形成される溝の底部に電極を有するリブ付き基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のリブ付き基板の製造方法は、複数の型リブを有する成形型を使用し、前記型リブの頂部に導電層形成材料を被覆する導電剤被覆工程、及び前記成形型の表面に基板形成材料を供給してリブと前記リブにより形成される溝の底部に導電層を有する基板とする成形工程を有することを特徴とする。
【0012】
係る構成の製造方法によれば、アドレス電極形成においてリブとの位置合わせが不要であり、簡便な方法でリブと該リブにより形成される凹部の底部に電極を有するリブ付き基板を製造することができる。
【0013】
上述のリブ付き基板の製造方法においては、導電剤被覆工程の前に、さらに前記型リブの頂部に誘電層形成材料を被覆する誘電体材料被覆工程を有することが好ましい。
【0014】
係る構成の製造方法により、導電剤によりアドレス電極を形成し、さらに誘電体層を形成したガラス基板にガラス材料を被覆してサンドブラストを行ってリブを形成する方法のように、リブ形成位置とアドレス電極の位置を合わせる必要がなく、簡便な方法にてリブ付き基板を製造することができる。
【0015】
また上述のリブ付き基板の製造方法においては、前記誘電体材料被覆工程の前に、さらに、少なくとも前記型リブの頂部に蛍光材料を被覆する蛍光材料層形成工程を有することが好ましい。
【0016】
係る製造方法により、蛍光材料層を有するリブ付き基板を従来よりも簡便に製造することができる。蛍光材料層は、必要な発光が得られればよく、リブ付き基板の少なくとも凹部の底面に形成されていればよく、リブの壁面に及んで形成されていてもよい。従って、蛍光材料層形成工程においては、蛍光材料層は、少なくとも型リブの頂部に形成されていればよく、型リブの壁面に及んで形成されていてもよい。
【0017】
上述のリブ付き基板の製造方法においては、前記導電剤被覆工程の前に、さらに、少なくとも前記型リブの頂部に蛍光材料を被覆する蛍光材料層形成工程を有することが好ましい。
【0018】
係る構成の製造方法により、従来技術のように導電剤によりアドレス電極を形成し、リブ形成位置とアドレス電極の位置を合わせる必要がなく、簡便な方法にてアドレス電極上に誘電体層を設けることなく直接蛍光材料層が形成された、PDP背面基板として使用可能なリブ付き基板を製造することができる。
【0019】
上述の発明においては、前記リブが
(a)1mm以下の等間隔ピッチにて形成された幅200μm以下、高さ500μm以下の平行リブ
(b)縦横のピッチ間隔1mm以下にて形成された幅200μm以下、高さ500μm以下で、1方向に切欠きを有する格子状リブ
(c)対辺のピッチ間隔が1mm以下、幅200μm以下、高さ500μm以下のミアンダ型リブ
のいずれかであることが好ましい。
【0020】
係るリブを形成することにより、PDP背面基板に適したリブ付き基板が得られる。
【0021】
また上述の発明においては、前記成形型は、マスター基板に成形型構成樹脂材料を供給して硬化させた樹脂型であることが好ましい。
【0022】
係る構成の製造方法により、1つのマスター型を製造することにより複数の樹脂型を、繰り返し製造することができる。
【0023】
リブ付き基板のリブの高さの下限は、使用するパネルに応じて適宜設定されるものであるが、好ましくは60μm以上、より好ましくは80μm以上であり、上限はより好ましくは300μm以下、さらに好ましくは180μmである。リブの高さが低すぎると蛍光材料が少なくなりすぎてディスプレイの輝度が低下する。リブの幅は、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。ピッチ(リブの中心間距離)は、平行リブにおいては100μm以上であり、一般的には150μm程度のものが多く使用されている。格子状リブの場合、縦と横のピッチは同一であっても異なっていてもよい。リブのピッチや高さは、画面の大きさに応じて適宜設定されるものであり、一般には、大型の画面ほどピッチ間隔、高さは大きく設定される。
【0024】
本発明の製造方法により製造するリブ付き基板の厚さは、リブを除く厚さが20μm〜1mmであることが好ましく、50μm〜0.8mmであることがより好ましい。厚さは、20μm未満の場合には強度が十分ではなく、1mmを超えると製造コストが高くなる。
【0025】
本発明により得られたリブ付き基板は、ガラス板、金属板、樹脂板などで裏打ちしてPDP背面基板として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<基板形成材料>
本発明のリブ付き基板の製造方法において、基板を構成する材料としては、耐熱性樹脂材料、又は無機材料、とりわけガラス材を使用することが好ましい。基板形成材料は微粉体であってもよく液状であってもよいが、液状であることが好ましい。
【0027】
ガラス材にて形成される基板を構成する基板形成材料としては、公知のガラスペーストや低融点ガラス材等を例示することができる。
【0028】
基板を構成する耐熱性樹脂としては、蛍光材料の焼結に耐えるものであれば限定なく使用可能であり、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテル−エーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリベンゾイミダゾール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が例示される。これらの中でも、耐熱性、成形性に優れている点でポリイミド樹脂の使用が好ましい。基板形成材料とは、重合反応が完結した上述の重合体の溶液、流動性と反応性を有するオリゴマーないしモノマー並びにこれ等の溶液を含む耐熱性樹脂シートを形成可能な材料を意味する。リブ付き基板を構成する樹脂がポリイミド樹脂である場合、前記基板形成材料はポリアミック酸ないしその溶液である。
【0029】
ポリアミック酸ないしその溶液は流動性の高い基板形成材料であってキャスティングや遠心成形により均一な厚さのシートを形成可能であり、耐熱性に優れたポリイミド樹脂製のリブ付き基板を形成することができる。
【0030】
リブ付き基板を構成する樹脂としてポリイミド樹脂を使用することにより、蛍光材料の最低の焼結温度である400℃を超える耐熱性を有する背面基板を確実に製造することが可能である。
【0031】
ポリイミド樹脂は芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを反応させてポリアミック酸とし、これを成形した後に加熱することにより形成される。
【0032】
好適な芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が例示される。
【0033】
また芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン等が例示される。
【0034】
ポリアミック酸の流動性を高めるためには、有機溶媒が使用可能である。係る有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が例示でき、これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
ポリアミック酸は、上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを反応させることにより製造できるが、市販品を使用してもよい。ポリアミック酸もしくはさらにある程度イミド化反応を進行させたポリイミド形成用材料の有機溶剤溶液は、ポリイミドワニスとして、I.S.Tコーポレーション、宇部興産、東レなどから市販されており、使用可能である。
【0036】
<型形成材料>
本発明のリブ付き基板の製造方法における成形型は、マスター型を使用して製造した樹脂型又は直接型溝を形成したガラス材型を使用する。
【0037】
係る成形型の使用により、ストライプ型、ワッフル型、ミアンダ型を問わず、背面基板として利用可能なリブ付き基板を簡便かつ低コストにて成形することができる。
【0038】
樹脂型を構成する材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。
【0039】
ガラス材型を構成するガラス材は、一般的なガラス材や基板形成材料と同じガラス材を使用して形成することができる。
【0040】
ガラス材型は、円筒状ないし平板状に形成したガラス材表面にマスク材を積層し、サンドブラストするサンドブラスト法により、上述のリブを形成する型溝を容易に形成することができる。しかも、基板形成材料としてポリイミド樹脂を使用する場合においては、ポリアミック酸を反応硬化させたイミド基含有樹脂はガラスと接着することなく容易に脱型可能であるという特徴も有する。
【0041】
<導電層形成材料>
導電層を構成する導電層形成材料は、最終的にアドレス電極に要求される導電性を有する材料は限定なく使用できる。具体的にはバインダーを含有する市販の銀ペーストが好適な材料として例示される。基板形成材料としてポリイミド樹脂を使用する場合には、ポリイミド樹脂形成材料を含有する銀ペーストの使用が好ましい。
【0042】
<誘電体層形成材料>
本発明において使用する誘電体層構成材料としては、アルミナや酸化チタン等の公知の材料を使用することができる。誘電体材料被覆工程においては、アルミナや酸化チタンを低融点ガラスに分散したものを粉砕して有機バインダーでペースト状にした被覆材を使用する。ペーストを塗布した後、乾燥、脱バインダー、焼成工程を経て誘電体層が形成される。
【0043】
<蛍光材料>
本発明において使用する蛍光材料としては、公知の赤、緑、青を発色する蛍光材料を使用することができる。蛍光材料は、低融点ガラスに分散したものを粉砕して有機バインダーでペースト状にして蛍光材料層形成工程に使用する。ペーストを塗布した後、乾燥、脱バインダー、焼成工程を経て蛍光材料層が形成される。
【0044】
<成形方法>
上述の基板構成材料を使用したリブ付き基板の製造は、具体的には以下の方法により行う。
(1)マスター型から樹脂型を製造し、該樹脂型を使用してガラス材料にてリブ付き基板とする。
(2)マスター型から樹脂型を製造し、該樹脂型を使用して耐熱性樹脂材料にてリブ付き基板とする。
(3)ガラス材型を使用して耐熱性樹脂材料又はガラス材にてリブ付き基板とする。
【0045】
基板形成材料が耐熱性樹脂である場合や、ガラスペーストのポリマー成分を調整することにより焼結前に可とう性を有するものである場合は、基板が可とう性を有するので、成形型を平板として、その表面に基板形成材料を供給して成形してもよく、円筒状成形型として、外面を型リブと型溝を形成した成形面として該成形面に基板形成材料を被覆して成形してもよく、また円筒状成形型の内面を型リブと型溝を形成した成形面として基板形成材料を供給して遠心成形により成形してもよい。ガラス型は、少なくとも成形面の背面側を補強部材にて補強されたものとすることが好ましい。基板形成材料により形成される基板が可とう性を有しない場合には成形型を平板として成形を行う。
【0046】
前記基板形成材料として耐熱性樹脂材料を使用する場合には、成形工程が、耐熱性樹脂形成材料を成形型に供給して脱型可能な1次成形体とする1次成形工程、及び成形型より脱型後の前記1次成形体を加熱して2次成形体である基板とする2次成形工程を有することが好ましい。
【0047】
係る製造方法により、比較的低温で成形した後に高温でキュアして重合反応を完結させる樹脂材料にて形成された耐熱性樹脂シートを、効率よく製造することができる。
【0048】
2次成形工程は、溶剤を含む基板形成材料の場合には溶剤の完全な除去を、反応硬化性の基板形成材料の場合には、硬化反応を完結させる工程である。
【0049】
例えば耐熱性樹脂がポリイミド樹脂である場合、本発明のリブ付き基板の製造方法は、同一の金型を使用してポリアミック酸のイミド化反応を完結させてポリイミドとなるまで加熱することにより成形することも可能である。
【0050】
しかし、ポリイミド樹脂は、一般的にはポリアミック酸を室温から450℃に所定速度で連続的ないし段階的に昇温加熱することによりイミド転化反応させて形成されるものであり、ポリアミック酸は、通常流動性を高めるために有機溶剤を含んでいるために、ポリアミック酸溶液を高温の金型に供給して急激に加熱すると皮膜が溶剤の揮発により発泡し、また流動性が急激に低下するために形成されるシートの厚さの均一性が低下する。また同一の金型で室温付近から450℃まで加熱する成形サイクルとすると、金型の加熱・冷却を繰り返す必要が有り、エネルギー的にも生産上も効率が悪い。これに対して、1次成形工程と2次成形工程とを設け、1次成形工程は基板形成材料が含有する有機溶剤の揮散や重合のある程度の進行等が起こって脱型可能な1次成形体を調製する工程として加熱する温度範囲を抑制し、脱型した1次成形体を1次成形工程の最終温度前後から加熱を開始する2次成形工程にて重合反応を更に進行させて完結させることにより、金型の加熱・冷却の温度差を小さくすることができ、エネルギー効率も生産効率もよくなる。また1次成形工程を遠心成形法で行う場合には、2次成形工程は遠心成形を行う必要がないので、2次成形工程においては遠心成形装置が不要である。その結果、リブ付き基板の製造コストを低減することができる。
【0051】
1次成形工程を遠心成形法で行う場合には、2次成形工程においては、1次成形工程で成形した後に脱型して得られた円筒状の1次成形体を円筒の高さ方向に裁断して平板状シートとし、該平板状シートを2次成形工程にてポリイミドとすることが好適な態様である。
【実施例1】
【0052】
本発明の製造方法により製造されたリブ付き基板の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は平行リブを有するリブ付き基板を例示した部分断面斜視図である。リブ付き基板10は、基部12とこれに立設された平行なリブ14、並びに該平行リブ14により形成された溝の底部に形成された導電層16とから構成されている。pはリブのピッチである。リブの断面形状は図1に示したものは台形であるが、これに限定されるものではなく、長方形や正規分布曲線のような形状であってもよい。リブの断面の幅は、高さの中央位置の幅である。
【0053】
図2は、格子状リブを有する基板を示したものである。格子状リブ付き基板30は、基部32とこれに立設されたリブ34並びに該リブ34により形成された凹部の底面に設けられた導電層44とからなる。格子状のリブ34には、1方向に切欠き36が形成され、この底部にも導電層が設けられており、この導電層により格子状リブの底部に、平行な電極が構成される。該切欠きの底部は、凹部と同じ深さである。
【0054】
図3は、ミアンダ型リブを有するリブ付き基板59を示した平面図と該平面図のX−X断面図であり、該基板59は基部64とこれに立設されたミアンダ型リブ60、該リブにより形成される溝61と凹部62の底部に設けられた導電層63とからなる。該導電層63は、ミアンダ型リブの1方向、この図では縦方向に平行な電極を構成する。
【0055】
図4は、平行ストライプ状のリブ付き基板の製造方法を部分断面図にて示したものである。図4(a)は成形型40の型リブ42の頂部に導電層形成材料を被覆して導電層44とした状態(導電剤被覆工程)を示した。型リブ42の間には型溝43が形成されている。また成形型40には型リブ42と型溝43が形成された成形面の裏面側に補強部材41が積層されている。導電剤被覆工程は、導電層形成材料が水や有機溶剤等を含有している場合には乾燥工程を含むものとする。また導電層形成材料を焼結する焼結工程を有していてもよい。
【0056】
図4(b)は導電層を形成した成形型の成形面に基板形成材料45を供給、被覆してリブ付き基板とする工程を示したものである(成形工程)。型溝43に侵入した基板形成材料45はリブ47を形成する。
【0057】
図4(c)は、脱型工程を示したものであり、導電層44はリブ付き基板45のリブ47により形成される溝ないし凹部の底面に一体化され、導電層を有するリブ付き基板が形成される。
【0058】
ポリイミド樹脂を使用する場合には、成形工程を2段で行うことが好ましく、1次成形工程は、基板形成材料45に有機溶剤が含まれている場合にはその揮散並びに必要な重合反応の進行、また基板形成材料45が有機溶剤を含有しない単量体やオリゴマーである場合には重合反応の進行を行って、脱型可能な1次成形体を製造する工程である。市販のポリイミドワニスを使用する場合には、有機溶剤の揮散とイミド化反応を進行させる工程であり、加熱温度は室温から120〜250℃程度である。2次成形工程は、1次成形工程にて得られた1次成形体を金型から脱型して加熱装置に入れ、重合反応を進行、完結させて2次成形体とする工程である。ポリイミド樹脂の場合には、1次成形工程の最終温度である120〜250℃程度から加熱を開始して最終的には350℃から450℃程度まで加熱を行う。
【0059】
基板形成材料としてポリイミド樹脂を使用し、遠心成形法により成形を行う場合は、1次成形工程を円筒状の金型を使用して行い、2次成形工程は、円筒状の1次成形体を円筒の長さ方向に裁断して平坦なシート状とし、適宜の平板上に載置して加熱装置に入れ、重合反応を進行、完結させて2次成形体とする工程である。
【0060】
1次成形工程と2次成形工程は連続して脱型工程の前に行ってもよく、1次成形工程後に脱型工程を設け、次いで2次成形工程を設けてもよい。
【実施例2】
【0061】
図5には、平行ストライプ状のリブ付き基板の製造方法において、成形型40の型リブ42の頂部にまず誘電体層形成材料を被覆して誘電体層51を形成し(誘電体材料被覆工程)、次いで導電層形成材料を被覆して導電層44とした状態(導電剤被覆工程)を示した。型リブ42の頂部に誘電体層51と導電層44とが積層形成された成形型40に図4(b)のように基板形成材料45を供給してリブ付き基板を製造すると、得られたリブ付き基板は、リブにより形成される溝ないし凹部の底面に一体化され、導電層とこれを被覆する誘電体層を有するものとなる。
【実施例3】
【0062】
図6には、平行ストライプ状のリブ付き基板の製造方法において、型リブ42の頂部から側壁面にまず蛍光材料層53を形成し(蛍光材料層形成工程)、次いで蛍光材料層の型リブ42の頂部に誘電体層形成材料を被覆して誘電体層51を形成し(誘電体材料被覆工程)、さらに導電層形成材料を被覆して導電層44とした(導電剤被覆工程)成形型40の断面図を示した。型リブ42の頂部から側部壁面に蛍光材料層53が形成され、該蛍光材料層53の型リブの頂部部分に誘電体層51と導電層44とが積層形成された成形型40に図4(b)のように基板形成材料45を供給してリブ付き基板を製造すると、得られたリブ付き基板は、リブにより形成される溝ないし凹部の底面に一体化された導電層とこれを被覆する誘電体層を有し、リブの凹部形成面に蛍光材料層を有するものとなる。
【実施例4】
【0063】
図7は、上記実施例と同様な平行ストライプ状のリブ付き基板の製造方法において、型リブ42の頂部から側壁面にまず蛍光材料層53を形成し(蛍光材料層形成工程)、次いで蛍光材料層の型リブ42の頂部に導電層形成材料を被覆して導電層44とした(導電剤被覆工程)成形型40の断面図を示した。型リブ42の頂部から側部壁面に蛍光材料層53が形成され、該蛍光材料層53の型リブの頂部部分に導電層44とが積層形成された成形型40に図4(b)のように基板形成材料45を供給してリブ付き基板を製造すると、得られたリブ付き基板は、リブにより形成される溝ないし凹部の底面に一体化された導電層と該リブの凹部形成面に蛍光材料層を有するものとなる。
【実施例5】
【0064】
縦400mm、横600mmのPDP背面基板として使用されているガラス基板をマスター型とし、シリコーン樹脂KE-111(信越シリコーン)を使用して樹脂型を作製した。
【0065】
得られた樹脂型の成形面をプラズマ処理して濡れ性を改善した後、導電層形成材料としてナノペースト(ハリマ化成)を該樹脂型のリブの頂部に約25μmの厚さとなるように塗布し、230℃にて1時間加熱して焼結して導電層を形成した。焼結後の導電層の厚さは4μmであった。
【0066】
導電層を形成した樹脂型の成形面にポリイミドワニスであるUワニス(宇部興産)を厚さ200μmとなるように注型し、80℃−30分、120℃−60分、150℃−30分、それぞれ加熱して固化させて1次成形体とした。この1次成形体は厚さが35μmのフィルム状であった。この1次成形体を鋼板上に載置し、200℃−10分、250℃−10分、450℃−10分、それぞれ加熱してポリイミド化反応を完結させた。
【0067】
得られた基板はマスター型と同じストライプ状の平行リブが形成されており、該リブにより形成された溝の底部に導電層が形成されたものであった。各溝の導電層を1本ずつ検査したところ、全ての溝に形成された導電層は端から端まで導通しており、アドレス電極として適したものであった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】平行リブを有するリブ付き基板を例示した部分断面斜視図
【図2】格子状リブを有する基板を示した部分断面斜視図
【図3】ミアンダ型リブを有するリブ付き基板を示した平面図と断面図
【図4】平行ストライプ状のリブ付き基板の製造方法を示した部分断面図
【図5】成形型の型リブの頂部に誘電体層と導電層とを形成した状態を示した部分断面図
【図6】成形型の型リブの頂部に誘電体層と導電層とを形成し、頂部と壁面に蛍光材料層を形成した状態を示した部分断面図
【図7】成形型の型リブの頂部に導電層を形成し、頂部と壁面に蛍光材料層を形成した状態を示した部分断面図
【図8】格子状リブを有するPDP用背面ガラス基板を例示した概略斜視図
【符号の説明】
【0069】
40 成形型
42 型リブ
43 型溝
44 導電層
45 リブ付き基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の型リブを有する成形型を使用し、前記型リブの頂部に導電層形成材料を被覆する導電剤被覆工程、及び前記成形型の表面に基板形成材料を供給してリブと前記リブにより形成される凹部の底部に導電層を有する基板とする成形工程を有することを特徴とするリブ付き基板の製造方法。
【請求項2】
前記導電剤被覆工程の前に、さらに前記型リブの頂部に誘電体層形成材料を被覆する誘電体材料被覆工程を有することを特徴とする請求項1に記載のリブ付き基板の製造方法。
【請求項3】
前記誘電体材料被覆工程の前に、さらに、少なくとも前記型リブの頂部に蛍光材料を被覆する蛍光材料層形成工程を有することを特徴とする請求項2に記載のリブ付き基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電剤被覆工程の前に、さらに、少なくとも前記型リブの頂部に蛍光材料を被覆する蛍光材料層形成工程を有することを特徴とする請求項1に記載のリブ付き基板の製造方法。
【請求項5】
前記リブが
(a)1mm以下の等間隔ピッチにて形成された幅200μm以下、高さ500μm以下の平行リブ
(b)縦横のピッチ間隔1mm以下にて形成された幅200μm以下、高さ500μm以下で、1方向に切欠きを有する格子状リブ
(c)対辺のピッチ間隔が1mm以下、幅200μm以下、高さ500μm以下のミアンダ型リブ
のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリブ付き基板の製造方法。
【請求項6】
前記成形型は、マスター基板に成形型構成樹脂材料を供給して硬化させた樹脂型であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリブ付き基板の製造方法。
【請求項7】
前記成形型は、前記リブを形成する溝を形成したガラス材型であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリブ付き基板の製造方法。
【請求項8】
前記基板形成材料が耐熱性樹脂材料であり、前記成形工程が、前記耐熱性樹脂形成材料を前記成形型に供給して脱型可能な1次成形体とする1次成形工程、及び成形型より脱型後の前記1次成形体を加熱して2次成形体である基板とする2次成形工程を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のリブ付き基板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−59706(P2006−59706A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241059(P2004−241059)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】