リンクコスト算出システムおよびルート算出システム
【課題】燃費のよいルートを優先的に選択する技術において、車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応できるようにする。
【解決手段】車両の現在位置から目的地を含むリンク探索範囲中の複数のリンクのそれぞれのコストを算出するため、車両の特徴情報を取得し(ステップ131)、当該複数のリンクのそれぞれを対象として、当該車両特徴情報および対象リンクの特徴に基づいて、当該対象リンクの燃費コストを決定する(ステップ133、134)。そして、当該複数のリンクのそれぞれを対象としてエコリンクコストを算出し(ステップ136、137)、その算出の際に、対象リンクの燃費コストが増大するほど当該対象リンクのエコリンクコストが小さくなるよう、当該エコリンクコストに対象リンクの燃費コストを反映させる(ステップ137)。
【解決手段】車両の現在位置から目的地を含むリンク探索範囲中の複数のリンクのそれぞれのコストを算出するため、車両の特徴情報を取得し(ステップ131)、当該複数のリンクのそれぞれを対象として、当該車両特徴情報および対象リンクの特徴に基づいて、当該対象リンクの燃費コストを決定する(ステップ133、134)。そして、当該複数のリンクのそれぞれを対象としてエコリンクコストを算出し(ステップ136、137)、その算出の際に、対象リンクの燃費コストが増大するほど当該対象リンクのエコリンクコストが小さくなるよう、当該エコリンクコストに対象リンクの燃費コストを反映させる(ステップ137)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンクコスト算出システムおよびルート算出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃費のよいルートを優先的に選択するルート算出システムが知られている。例えば、特許文献1には、CO2排出量が最小となるようなルートを算出するために、車速に基づいて各リンクのCO2排出量を算出している。
【特許文献1】特開2005−30823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、燃費は、単に車速のみならず、車両と道路の関係に応じて変動するものであるが、上記の技術では、そのような車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応することができない。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、燃費のよいルートを優先的に選択する技術において、車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、複数のリンクのそれぞれのコストに基づいて最適なルートを決定するルート決定処理のために、当該複数のリンクのそれぞれのコストを算出するリンクコスト算出システムについてのものである。
【0006】
このリンクコスト算出システムは、車両の特徴(例えば、サイズ、種別、性能等)の情報(以下、車両特徴情報という)を取得し、当該複数のリンクのそれぞれを対象として、当該車両特徴情報および対象リンクの特徴に基づいて、対象リンクの燃費の指標である燃費指標を決定する。
【0007】
そしてリンクコスト算出システムは、当該複数のリンクのそれぞれを対象としてコストを算出し、その算出の際に、当該対象リンクの燃費が悪化するほど(すなわち、単位燃料量当りの走行可能距離が低下するほど)当該対象リンクのコストが小さくなるよう、当該コストに対象リンクの燃費指標を反映させる。
【0008】
このように、車両の特徴情報と対象リンク(すなわち、コスト計算の対象のリンク)に基づいて、対象リンクの燃費指標を決定し、その燃費指標を対象リンクのコスト計算に反映させることで、車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応できるよう、対象リンクのコストを決定することができる。
【0009】
また、請求項2に記載のように、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報は、車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含んでいてもよい。その場合、リンクコスト算出システムは、当該車格情報が示す当該車両の大きさが大きいほど、対象リンクの車線数の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定するようになっていてもよい。なお、「燃費の向上度合い」とは、単位燃料量当りの走行可能距離の上昇度合いをいう。
【0010】
一般的に、車線数が多くなるほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、道路の車線数がある程度度増えれば、それ以上車線数が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、車線数の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの車線数は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の車線数との関係に基づく燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0011】
また、請求項3に記載のように、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報が車格情報を含む場合において、リンクコスト算出システムは、当該車格情報が示す車両の大きさが大きいほど、対象リンクの道路幅の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定するようになっていてもよい。
【0012】
一般的に、リンクの幅員が増大するほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、幅員がある程度度増えれば、それ以上幅員が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、幅員の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の幅員との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0013】
また、請求項4に記載のように、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報は、車両の燃費が最高となる走行速度範囲の情報(以下、速度燃費特性情報という)を含んでいてもよい。この場合、リンクコスト算出システムは、速度燃費特性情報が示す当該速度範囲に対象リンクの代表的走行速度(例えば、制限速度、平均速度)が近いほど、燃費が向上するよう、当該対象リンクの燃費指標を決定するようになっていてもよい。
【0014】
このようにすることで、車両の最適燃費速度範囲と代表的走行速度との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0015】
また、請求項5に記載のように、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報は、車両の空気抵抗の大きさについての情報(以下、空気抵抗情報という)を含んでいてもよい。この場合、リンクコスト算出システムは、当該空気抵抗情報が示す当該車両の空気抵抗が大きいほど、対象リンクの高速化に対する燃費の悪化度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定してもよい。
【0016】
一般的に、空気抵抗の観点からは車両の走行速度が低いほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、走行速度がある程度低下すれば、それ以上走行速度が低下しても走り易さの向上には繋がり難い。このような、走行速度の低下に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの走行速度は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の構造上決まる空気抵抗の大小と道路の代表的相応速度との関係に基づく燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0017】
また、請求項6に記載のように、リンクコスト算出システムは、対象リンクの燃費指標を、対象リンクから次のリンクへの曲折方向毎に決定するようになっていてもよい。このようにすることで、同じリンクを通る場合でも、そのリンクから次に入るリンクが異なれば、前者のリンクのコストが変化する。その結果、対象リンクから次のリンクへの曲がり易さに応じた燃費の変化を反映した経路計算を行うことができる。
【0018】
この場合、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報が車格情報を含むなら、リンクコスト算出システムは、当該車格情報が示す当該車両の大きさが大きいほど、対象リンクまたは対象リンクの次のリンクの幅員の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクから当該次のリンクへの曲折方向に対応する燃費指標を決定するようになっていてもよい。
【0019】
一般的に、対象リンクまたは対象リンクの次のリンクの幅員が増大するほど走り易く、かつ曲がり易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、幅員がある程度度増えれば、それ以上幅員が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、幅員の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の幅員との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0020】
また、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報が車格情報を含む場合、リンクコスト算出システムは、対象リンクおよび対象リンクの次のリンクの幅員が基準値以下である場合、車格情報が示す車両の大きさが小さいほど、対象リンクから次のリンクへの曲折角度の減少に対する燃費の悪化度が小さくなるよう、対象リンクから当該次のリンクへの曲折に対応する燃費指標を決定するようになっていてもよい。
【0021】
一般に、曲がり角を曲がるとき、曲折角度が大きいほど(すなわち緩やかな曲折であるほど)走り易く、かつ曲がり易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、曲がり角への進入リンクの幅員および曲がり角からの退出リンクの幅員がある程度度増えれば、曲折角度の走り易さへの影響は低下する。このような、曲折角度の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と曲がり角前後のリンクとの関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0022】
また、請求項8に記載のように、リンクコスト算出システムは、対象リンクの燃費指標が悪化するほど、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなるよう、当該コストを算出するようになっていてもよい。
【0023】
ここで、「燃費指標が悪化する」とは、対象リンクの燃費が悪化する方向に、燃費指標が変化することをいう。具体的には、対象リンクの燃費が悪化すると燃費指標の値が増大する場合には、燃費指標が悪化するとは、燃費指標の値が増大することをいう。この場合においては、対象リンクの燃費指標が悪化するほど、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなるよう、当該コストを算出する方法としては、例えば、当該対象リンクの走行所要時間と、燃費指標との荷重和を、対象リンクのコストとする方法がある。
【0024】
対象リンクの燃費指標が悪化するほど、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなるよう、当該コストを算出する場合、取得される車両特徴情報は、車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、リンクコスト算出システムは、当該車格情報が示す車両の大きさが大きいほど、対象リンクの燃費指標を悪化させるようになっていてもよい。
【0025】
このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、大きい車両ほど、燃費指標は悪化し、その上、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなる。したがって、大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費指標に影響され易くなるので、大きい車両ほど、燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算が実現する。
【0026】
また、請求項9に記載のように、請求項1ないし7のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システムと、ルート決定処理を実行する機能とを兼ね備えたルート算出システムとしても、本発明の特徴を捉えることができる。
【0027】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係るルート算出システム10の構成を模式的に示す。このルート算出システム10は、交通情報センタ1、車両2に搭載された車両用ナビゲーション装置3、および、複数のプローブ車両4、5等を有している。
【0029】
複数のプローブ車両4、5は、走行情報として、現在時刻、自車両の現在位置、自車両の現在の走行速度等の情報を、交通情報センタ1に繰り返し定期的に(無線通信路、広域ネットワーク等を介して)送信する。なお、図1においては、2台のプローブ車両4、5しか記載されていないが、ルート算出システム10は、実際には数千台、数万台等の規模でプローブ車両を有していてもよい。
【0030】
交通情報センタ1は、それらプローブ車両4、5からの情報に基づいて、各リンク(交差点から交差点までの道路区間)における交通状況の情報を作成し、それらに基づいて、各リンクの最新の旅行時間(すなわち、当該リンクを走行し切るのに要する時間)を逐次算出する。
【0031】
車両用ナビゲーション装置3は、車両2の現在位置、車両2のドライバが指定した目的地、および、車両2の特徴の情報を(無線通信路、広域ネットワーク等を介して)交通情報センタ1に送信する。車両2の特徴の情報としては、例えば、車幅、車両種別、エンジン出力特性、空気抵抗特性、車種等がある。
【0032】
このような車両特徴情報を車両用ナビゲーション装置3から受信した交通情報センタ1は、車両2の現在位置および目的地を含む所定の範囲内の複数のリンクについての、走り易さに基づく燃費を反映したコスト(以下、エコリンクコストという)を、リンク旅行時間および当該車両特徴情報に基づいて算出し、その算出結果のエコリンクコストを車両用ナビゲーション装置3に送信する。
【0033】
車両用ナビゲーション装置3は、受信した各リンクのエコリンクコストを用いて、最適なルート(具体的には、エコリンクコストが最も小さい方から数えて所定の順位以内にあり、かつドライバが選択したルート)を、案内用ルートとして決定し、決定した案内ルートに沿ったルート案内を実行する。
【0034】
図2に、交通情報センタ1の構成を示す。交通情報センタ1は、通信インターフェース11、記憶部12、および制御部13を有している。
【0035】
通信インターフェース11は、プローブ車両4、5、および車両用ナビゲーション装置3と通信するための通信インターフェースである。
【0036】
記憶部12は、上記のような作動を実現するために必要な種々のデータを記憶するための記憶媒体である。記憶部12が記憶するデータとしては、地図DB12a、リンク旅行時間DB12b、交通情報DB12c、車両特徴―燃費コスト対応テーブル12d等がある。
【0037】
地図DB12aは、所定の広域範囲(例えば、日本全土)内の道路データおよび施設データを有している。施設データは、複数の施設のそれぞれについて、当該施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0038】
道路データは、当該広域範囲内のノード情報およびリンク情報を含んでいる。ノード情報は、当該広域範囲内の複数のノードのそれぞれについて、ノードID、位置情報、種別情報を含んでいる。
【0039】
リンク情報は、当該広域範囲内の複数のリンクのそれぞれについて、リンクID、位置情報、車線数情報、リンクの幅員情報、各車線の幅員情報、制限速度情報、道路種別情報(都市間高速道路、都市高速道路、準都市高速道路、有料道路、国道、主要地方道、県道、幹線道路、その他の案内道、細街路について別を示す情報)、接続先リンク情報等を含んでいる。
【0040】
各リンクについての接続先リンク情報は、当該リンク(元リンクという)に接続するリンク(接続リンク)毎に、当該接続リンクのリンクID、元リンクから当該接続リンクへ入るときの曲折角度等の情報を含んでいる。なお、リンクAからリンクBへ入るときの曲折角度は、直進ならば180度となり、直角に右折または左折なら90°となり、完全なUターンであれば0°となる。
【0041】
リンク旅行時間DB12bは、当該広域範囲内のリンクのそれぞれについての、最新の旅行時間のデータを含んでいる。
【0042】
交通情報DB12cは、プローブ車両4、5から受信した走行情報の総体としての交通情報を含んでいる。
【0043】
車両特徴―燃費コスト対応テーブル12dは、上述した車両特徴情報とリンクの特徴の組毎に、リンクの走り易さに起因する燃費コスト(燃費指標の一例に相当する)を割り当てるテーブルである。あるリンクの燃費コストは、当該リンクが走り易くなるほど(すなわち、当該リンクを走行するときの燃費の良好度合いが高いほど)、小さくなる値である。
【0044】
なお、車両特徴―燃費コスト対応テーブル12dには、車両のどのような特徴とリンクのどのような特徴との組に対応しているかに応じて、複数のテーブルが含まれている。車両特徴―燃費コスト対応テーブル12dに含まれるテーブルの具体例については後述する。
【0045】
制御部13は、CPU、RAM、ROM等を備え、ROMに記録されているプログラムを実行することで、通信インターフェース11、記憶部12を用いて、上述のような交通情報センタ1の作動を実現するための処理を行う。制御部13の具体的な作動の内容については後述する。
【0046】
図3に、車両用ナビゲーション装置3の構成を示す。車両用ナビゲーション装置3は、無線部30、位置検出器31、画像表示装置32、操作部33、スピーカ34、VICS受信機35、記憶部36、制御回路37を有している。
【0047】
無線部30は、交通情報センタ1と通信するための無線送受信のための回路である。位置検出器31は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路37に出力する。画像表示装置32は、制御回路37から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。操作部33は、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチ等の操作に基づいた信号を制御回路37に出力する。
【0048】
VICS受信機35は、FMラジオ放送局または道路沿いに設置された路上機から無線送信された道路の渋滞情報、交通規制情報等の交通情報を受信して制御回路37に出力する無線受信機である。
【0049】
記憶部36は、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路37が実行するプログラム、地図DB36a、リンク旅行時間DB36b、交通情報DB36c、車両特徴情報36d等を有している。
【0050】
地図DB36aは、交通情報センタ1における地図DB12aと同じものであってもよい。リンク旅行時間DB36bは、後述するように交通情報センタ1から受信したリンク旅行時間情報を記録するためのデータ領域である。交通情報DB36cは、VICS受信機35が取得した交通情報を記録するためのデータ領域である。
車両特徴情報36dは、上述した車両2についての車両特徴情報を含んでいる。より具体的には、車両特徴情報36dに含まれる車両2の車両特徴情報は、車幅、エンジン出力特性、車種、空気抵抗タイプ、全長、高さ、前端オーバーハング、軸距、後端オーバーハング、最小回転半径等である。
【0051】
なお、前端オーバーハングとは、車体の前面から前輪の車軸の中心までの距離をいい、軸距とは、前輪の車軸の中心から後輪の車軸の中心までの距離をいい、後端オーバーハングとは、後輪の車軸の中心から車体の後面までの距離をいう。
【0052】
ここで、エンジン出力特性とは、車両2の燃費が最高となる走行速度範囲(以下、最適燃費速度範囲という)である。また、車種は、例えば、トラック、ミニバン、乗用セダン、小型車の別であってもよい。図4に、車両2の車幅b、全長L、高さh、前端オーバーハングUf、後端オーバーハングUrを示す。
【0053】
また、空気抵抗タイプとは、車両2のCD値と前面投影面積の積として算出される空気抵抗値の大小についてのタイプ(具体的には、大、中、小の別)である。ここで、CD値とは、Constant Drag 値の略で、走行中の車両にかかる空気抵抗係数のことをいう。なお、空気抵抗タイプに代えて空気抵抗値そのものを含んでいてもよい。
【0054】
制御回路(コンピュータに相当する)37は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは記憶部36から読み出した車両用ナビゲーション装置3の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および記憶部36から情報を読み出し、RAMおよび記憶部36の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器31、画像表示装置32、操作部33、スピーカ34、およびVICS受信機35と信号の授受を行う。
【0055】
制御回路37がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、地図表示処理、案内ルート算出処理、ルート案内処理等がある。
【0056】
現在位置特定処理は、位置検出器31からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0057】
地図表示処理は、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置32に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。
【0058】
案内ルート算出処理は、操作部33からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内ルートを算出する処理である。
【0059】
ルート案内処理は、案内ルート算出処理によって算出された案内ルート上の、右左折交差点等の案内ポイントの手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ34に出力させ、当該案内ポイントの拡大図を画像表示装置32に表示させることで、案内ルートに沿った車両の運転を案内する処理である。
【0060】
図5に、案内ルート算出処理における制御回路37の処理の手順をフローチャートで示す。この図に示すように、制御回路37は、案内ルート算出処理において、まずステップ110でユーザの目的地入力操作に基づいて目的地を設定し、続いてステップ120で現在位置特定処理の結果を用いて現在位置を特定し、続いてステップ125で、目的地、現在位置、および車両特徴情報36d中の車両特徴情報を、無線部30を用いて交通情報センタ1に送信する。
【0061】
そして続いてステップ130で、無線部30を介して交通情報センタ1から複数のリンクのエコリンクコストの情報を受信するまで待ち、受信すると続いてステップ135で、受信した各エコリンクコストを用いてダイクストラ法等で、候補のルート(例えば、エコリンクコストの総和が最も小さい方から複数個のルート)を算出し、続いてステップ140でそれら候補ルートを画像表示装置32に表示させる。続いてステップ150では、当該複数の候補ルートのいずれか1つを選択する操作が操作部33にあるまで待ち、選択操作があると、その操作内容に応じて1つの候補ルートを最適な案内ルートとして確定する。
【0062】
なお、ステップ125の送信処理によって送信された車両特徴情報等を、交通情報センタ1の通信インターフェース11が受信したとき、制御部13は、図6に示すプログラム200を実行するようになっている。
【0063】
そしてこのプログラム200の実行において制御部13は、まずステップ131で、通信インターフェース11が受信した車両特徴情報等を取得し、続いてステップ132で、取得した車両2の現在位置および目的地に基づいて、地図中のリンク探索範囲を決定する。
【0064】
この探索範囲は、現在位置および目的地を含む所定の領域である。例えば、現在位置および目的地を2つの焦点とする楕円内の領域を探索範囲としてもよいし、現在位置および目的地の中点を中心とし、現在位置からまでの直線距離を半径とする園内の領域を探索範囲としてもよい。
【0065】
続いてステップ133では、受信した車両特徴情報を、車両特徴―燃費コスト対応テーブル12d中の各テーブルに適用する。適用対象のテーブルとしては、QLテーブル、QWテーブル、QEテーブル、QAテーブル、QCテーブルの5つがある。
【0066】
それぞれのテーブルは、車両特徴情報のいずれかと、リンクの特徴の情報いずれかとに対応し、対応する車両特徴情報および対応するリンク特徴情報が取りうる値の組み合わせ毎に、燃費コストを割り当てるようになっている。
【0067】
具体的には、QLテーブルは、車両特徴情報のうち車幅に対応し、リンク特徴情報のうち車線数および車線単体の幅員に対応する。またQWテーブルは、車両特徴情報のうち車幅に対応し、リンク特徴情報のうちリンクの幅員に対応する。またQEテーブルは、車両特徴情報のうちエンジン出力特性に対応し、リンク特徴情報のうちリンクの代表的速度(制限速度、平均的速度等)に対応する。
【0068】
またQAテーブルは、車両特徴情報のうち空気抵抗に対応し、リンク特徴情報のうちリンクの道路種別に対応する。またQCテーブルは、車両特徴情報のうち車両の大きさに対応し、リンク特徴情報のうち、当該リンクの幅員、当該リンクの接続先のリンクの幅員、当該リンクから当該接続先リンクへ入る場合の曲折角度に対応する。各テーブルの詳細な特徴については後述する。
【0069】
ステップ131で取得した車両2の車両特徴情報と、あるリンク(以下、対象リンクという)Lを対象としてQLテーブル、QWテーブル、QEテーブル、QAテーブル、QCテーブルを用いることで、それぞれ当該対象リンクLの燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)、QC(L)が導き出される。ただし、QCテーブルから得られるQC(L)については、リンクと、当該リンクに接続するリンク(すなわち次のリンク)との組み合わせ毎に、すなわち、対象リンクから次のリンクへの曲折方向毎に、導き出される。
【0070】
したがって、ステップ133の処理によって、リンク探索範囲に含まれる全リンクのそれぞれについて、燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)が決定し、全リンク中の互いに接続するリンクペア毎に、QC(L)が決定する。この燃費コストの単位は、例えば、W・h(ワット時)であってもよい。
【0071】
続いてステップ134では、各リンクLについて、当該リンクから次のリンクへの曲折方向毎に、総燃費コストQ(L)を、燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)の総和として算出する。例えば、リンクAからリンクBへの曲折方向の総燃費コストQ(L)は、リンクAの燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)の和に、リンクAからリンクBへの曲折方向の燃費コストQA(L)を足し合わせた結果の値となる。
【0072】
ただし、この総和は、荷重和である。すなわち、Q(L)は、以下のような等式によって算出する。
Q(L)=αQL(L)+βQW(L)+γQE(L)+δQA(L)+εQC(L)
ここで、係数α、β、γ、δ、εは、あらかじめ定められた定数であってもよいし、項目の優先度によって変更してもよい。具体的には、交通情報センタ1の図示しない操作装置に対する操作者の操作内容に応じて、制御部13が、係数α、β、γ、δ、εの値を変化させるようになっていてもよい。また、係数α、β、γ、δ、εは、α+β+γ+δ+ε=1となるような値であってもよい。
【0073】
続いてステップ136では、ステップ134で算出した各総燃費コストQ(L)に、あらかじめ定められた変換係数ηを乗じる。この変換係数は、各総燃費コストQ(L)を、旅行時間の単位で表すための係数である。変換結果の値をC1(L)と記す。
【0074】
続いてステップ137では、各リンクLのリンク旅行時間C2(L)をリンク旅行時間DB12bから読み出し、さらに、各リンクLについて、当該リンクから次のリンクへの曲折方向毎に、上述の変換値C1(L)と当該リンクのリンク旅行時間C2(L)の荷重和C(L)を算出する。この荷重和C(L)が、リンクおよび当該リンクから次のリンクへの曲折方向に対応するエコリンクコストとなる。エコリンクコストC(L)の算出式は、以下のようになる。
C(L)=ρC1(L)+φC2(L)
ここで、係数ρ、φは、あらかじめ定められた定数であってもよいし、燃費優先度と交通情報優先度との関係を考慮してユーザが設定してもよい。具体的には、交通情報センタ1の図示しない操作装置に対する操作者の操作内容に応じて、制御部13が、係数ρ、φの値を変化させるようになっていてもよい。ただし、ρ+φの値は1のまま変更しないものとする。
【0075】
このようにすることで、リンク探索範囲内の各リンクLについて、当該リンクから次のリンクへの曲折方向毎のエコリンクコストC(L)が決定する。続いてステップ138では、通信インターフェース11を用いて、決定したエコリンクコストC(L)の情報を、車両用ナビゲーション装置3宛に送信する。
【0076】
送信されたエコリンクコストC(L)の情報を受信した車両用ナビゲーション装置3では、上述の通り、制御回路37が、そのエコリンクコストC(L)を利用して最適な案内ルートを選択し(図5のステップ135〜150参照)、選択した案内ルートの案内を行う。なお、案内ルートの算出においては、同じリンクであっても、リンクから次のリンクへの曲折方向毎に異なるエコリンクコストを使用する。
【0077】
このように、ルート算出システム10中の交通情報センタ1(リンクコスト算出システムの一例に相当する)は、車両用ナビゲーション装置3におけるルート決定処理のために、車両2の現在位置から目的地を含むリンク探索範囲中の複数のリンクのそれぞれのコストを算出する。
【0078】
そして交通情報センタ1は、その算出の際に、車両用ナビゲーション装置3から車両2の車両特徴情報を取得し(ステップ131参照)、当該複数のリンクのそれぞれを対象として、当該車両特徴情報および対象リンク(より具体的には、対象リンクと当該対象リンクから次のリンクへの曲折方向との組。以下、対象リンク・方向組という)の特徴に基づいて、当該対象リンクの燃費の指標である燃費コストを決定する(ステップ133、134参照)。
【0079】
そして交通情報センタ1は、当該複数のリンクのそれぞれを対象としてエコリンクコストを算出し(ステップ136、137参照)、その算出の際に、対象リンク・方向組の燃費が悪化するほど(すなわち、単位燃料量当りの走行可能距離が低下するほど)当該対象リンク・方向組のエコリンクコストが小さくなるよう、当該コストに対象リンク・方向組の燃費コストを反映させる(ステップ137参照)。
【0080】
このように、交通情報センタ1は、車両の特徴情報と対象リンク・方向組(すなわち、コスト計算の対象のリンク)に基づいて、対象リンク・方向組の燃費指標を決定し、その燃費指標を対象リンク・方向組のコスト計算に反映させることで、車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応できるよう、対象リンク・方向組のエコリンクコストを決定することができる。
【0081】
また、上述の通り、交通情報センタ1は、当該対象リンク・方向組のリンク旅行時間と、燃費コストとの荷重和を、対象リンクのエコリンクコストとし、かつ、燃費コストは、対象リンク・方向組の燃費が悪化するほど増大する。
【0082】
したがって、交通情報センタ1は、対象リンク・方向組の燃費コストC1(L)が悪化するほど、C(L)=ρC1(L)+φC2(L)という式における右辺第1項の寄与が第2項(すなわちリンク旅行時間)の寄与よりも大きくなる。すなわち、エコリンクコストC(L)は、対象リンク・方向組の燃費コストC1(L)が悪化するほど、燃費コストの変化に対してより大きく(敏感に)変化するようになる。
【0083】
ここで、QLテーブル、QWテーブル、QEテーブル、QAテーブル、QCテーブルにおける燃費コストの割り当ての具体例について説明する。
【0084】
まず、QLテーブルについて説明する。QLテーブルは、図7に示すように、3種類の車幅範囲(具体的には、1.8メートル以上、1.8メートル未満1.7メートル以上、1.7メートル未満)と、車線数および車線の幅員によって区分けされたリンクカテゴリ(具体的には、両側1車線かつ車線幅員狭い、片側1車線かつ車線幅員狭い、両側1車線かつ車線幅員広い、片側1車線かつ車線幅員広い、片側2車線、片側3車線、片側4車線、片側5車線以上)との組毎に、燃費コストを割り当てている。
【0085】
そして、燃費コスト割り当ての全体的傾向として、車幅が大きいほど燃費コストが増大し、車線数が多いほど燃費コストが減少し、車線の幅員が大きいほど燃費コストが減少する。
【0086】
したがって、当該車幅(車格情報の一例に相当する)が大きいほど、対象リンクの燃費コストを悪化させるようになっている。このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、横幅が広い車両ほど、燃費コストは悪化し、その上、当該対象リンクのエコリンクコストに対する燃費コストの寄与の度合いが高くなる。したがって、大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費コストに影響され易くなるので、横幅の広い車両ほど、燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算を実現する。
【0087】
交通情報センタ1は、このような構成のQLテーブルを用いて燃費コストを算出することで、車線幅と車線数の関係上走りにくいリンクに対し燃費コストQL(L)を高く設定し、その結果、走り難いルートを避けるような経路を優先的に選択する。
【0088】
また、図7のQLテーブルにおいては、車幅が広いほど、対象リンクの車線数(および車線の幅員)の増大に対する燃費の向上度合い(すなわち、燃費コストの低下度合い)が大きくなっている。
【0089】
実際、このQLテーブルにおいては、車幅が1.8メートル以上の場合は、車線数および車線幅の増加に応じて燃費コストが全部で8段階減少しているが、車幅が1.8メートル未満1.7メートル以上の場合は、全部で6段階しか減少しておらず、車幅が1.7メートル未満の場合は、全部で5段階しか減少していない。
【0090】
さらに、このQLテーブル中の最低燃費コスト(すなわち2)が維持される範囲は、車幅が広いほど狭くなっている。すなわち、車線数および車線幅の増加に対する燃費の向上の頭打ち(換言すれば、燃費の向上度の平坦化、燃費の向上の飽和、燃費コストの下げ止まり)は、車幅が狭いほど早い(すなわち、車両が小さいほど早い)。
【0091】
一般的に、車線数および車線幅が多くなるほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、道路の車線数および車線幅がある程度度増えれば、それ以上車線数が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、車線数の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの車線数は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の車線数との関係に基づく燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0092】
次に、QWテーブルについて説明する。QWテーブルは、図8に示すように、3種類の車幅範囲と、4種類のリンクの幅員の範囲との組毎に、燃費コストを割り当てている。そして、燃費コスト割り当ての全体的傾向として、車幅が大きいほど燃費コストが増大し、リンクの幅員が大きいほど燃費コストが減少する。
【0093】
したがって、当該車幅(車格情報の一例に相当する)が示す車両の大きさ(具体的には横幅)が大きいほど、対象リンクの燃費コストを悪化させるようになっている。このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、横幅が広い車両ほど、燃費コストは悪化し、その上、当該対象リンクのエコリンクコストに対する燃費コストの寄与の度合いが高くなる。したがって、大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費コストに影響され易くなるので、横幅の広い車両ほど、燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算を行うことができる。
【0094】
交通情報センタ1は、このような構成のQWテーブルを用いて燃費コストを算出することで、リンク幅を考慮して走りにくいリンクに対し燃費コストQW(L)を高く設定し、その結果、走り難いルートを避けるような経路を優先的に選択する。
【0095】
また、図8のQWテーブルにおいては、車幅が広いほど、対象リンクの幅員の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなっている。さらに、このQWテーブル中の最低燃費コスト(すなわち2)が維持される範囲は、車幅が広いほど狭くなっている。すなわち、リンクの幅員の増加に対する燃費の向上の頭打ちは、車幅が狭いほど早い(すなわち、車両が小さいほど早い)。
【0096】
一般的に、リンクの幅員が増大するほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、幅員がある程度度増えれば、それ以上幅員が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、幅員の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の幅員との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0097】
次に、QEテーブルについて説明する。QEテーブルは、図9に示すように、3種類のエンジン出力特性(速度燃費特性情報の一例に相当する)と、4種類のリンクの制限速度範囲(代表的速度の一例に相当する)との組毎に、燃費コストを割り当てている。なお、3種類のエンジン出力特性とは、具体的には、最適燃費速度範囲が80km/h以上、最適燃費速度範囲が80km/h未満70km/h以上、最適燃費速度範囲が70km/h未満、の3つである。
【0098】
あるいは、QEテーブルは、図10に示すように、3種類のエンジン出力特性と、10種類のリンクの道路種別との組毎に、燃費コストを割り当てていてもよい。これらリンクの道路種別は、それぞれ平均的な走行速度(代表的走行速度の一例に相当する)が異なっており、具体的には、都市間高速道路、都市高速道路、準都市高速道路、有料道路、国道、主要地方道、県道、幹線道路、その他の案内道、細街路の順に平均速度が高い。
【0099】
QEテーブルにおける燃費コスト割り当ての全体的傾向として、最適燃費速度範囲に対象リンクの平均的走行速度が近いほど、燃費コストが低い。このようにすることで、車両の最適燃費速度範囲と平均的走行速度との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0100】
交通情報センタ1は、このような構成のQEテーブルを用いて燃費コストを算出することで、エンジン出力特性(すなわち、最高燃費の速度)と道路種別もしくは速度規制情報を比較しエンジン特性に合わないリンクに対し燃費コストQE(L)を高く設定することで、当該リンクをより積極的に避けるようなコスト計算を実現する。
【0101】
次に、QAテーブルについて説明する。QAテーブルは、図11に示すように、3種類の空気抵抗タイプ(空気抵抗情報の一例に相当する)と、10種類のリンクの道路種別との組毎に、燃費コストを割り当てている。
【0102】
あるいは、QAテーブルは、図12に示すように、4種類の車種(空気抵抗情報の一例に相当する)と、10種類のリンクの道路種別との組毎に、燃費コストを割り当てるようになっていてもよい。これら車種は、それぞれ走行時の平均的な空気抵抗が異なっており、具体的には、トラック、ミニバン、乗用セダン、小型車の順に空気抵抗が高い。
【0103】
QAテーブルにおける燃費コスト割り当ての全体的傾向として、車両の走行時の空気抵抗が大きいほど燃費コストが増大し、また、道路の代表的速度が高いほど、燃費コストが増大する。
【0104】
したがって、当該空気抵抗(車格情報の一例に相当する)が大きいほど、対象リンクの燃費コストを悪化させるようになっている。このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、その構造上空気抵抗が大きい車両ほど、燃費コストは悪化し、その上、当該対象リンクのエコリンクコストに対する燃費コストの寄与の度合いが高くなる。したがって、空気抵抗の大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費コストに影響され易くなるので、空気抵抗の大きい車両ほど、空気抵抗の観点から燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算を行うことができる。
【0105】
交通情報センタ1は、このような構成のQAテーブルを用いて燃費コストを算出することで、車両ごとの空気抵抗値の大小により都市間高速道、都市高速道、準都市高速道、有料道路といった高速(例えば80km/h以上)で走るリンクに対して、燃費コストQA(L)を大きくすることで、そのリンクを避けるようなコスト計算を行うことができる。
【0106】
また、図11、12のQAテーブルにおいては、車両の空気抵抗が大きいほど、対象リンクの代表的走行速度の高速化に対する燃費コストの増大度合いが大きくなっている。
【0107】
さらに、このQAテーブル中の最低燃費コスト(すなわち1)が維持される範囲は、空気抵抗が大きい車両ほど狭くなっている。すなわち、リンクの代表的走行速度の低下に対する燃費の向上の頭打ちは、空気抵抗が大きいほど早い(すなわち、車両が小さいほど早い)。
【0108】
一般的に、空気抵抗の観点からは車両の走行速度が低いほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、走行速度がある程度低下すれば、それ以上走行速度が低下しても走り易さの向上には繋がり難い。このような、走行速度の低下に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの走行速度は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の構造上決まる空気抵抗の大小と道路の代表的相応速度との関係に基づく燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0109】
次に、QCテーブルについて説明する。QCテーブルは、図13に示すように、5種類の車種(車格情報の一例に相当する)と、16種類の交差点タイプおよび3つの曲折角度(鋭角、直角、鈍角)との組毎に、燃費コストを割り当てている。
【0110】
ここで、交差点タイプとは、図14に示すように、対象リンク・方向組における、対象リンク(以下、進入リンクという)の幅員、および、対象リンクに接続するリンク(以下、退出リンクという)の幅員によって決まるタイプである。
【0111】
ここで、5種類の車種としては、具体的には、小型自動車、小型自動車等、普通自動車、セミトレーラ連結車が採用されている。車両2の車両特徴情報から、車両2の車種を特定するためには、車両2の車幅、全長、高さ、前端オーバーハング、軸距、後端オーバーハング、最小回転半径に基づいて、図15の対応表を用いて、車両2に最も近い車種を、交通情報センタ1の制御部13が選択するようになっていてもよい。
【0112】
以下、QCテーブル中の交差点タイプと3つの曲折角度との組の例を示す。図16に示すように、普通車両が軌跡51のように曲がる場合に車両が通る範囲52は、小型車両が同じく軌跡53のように曲がる場合の通行範囲54に比べ、大きい。
【0113】
図17および図18では、広い幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク55から狭い幅員(3.0m未満)のリンク56へ、それぞれ普通車両および小型車量が直角に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線57であり、対応する通行範囲が線58内部であり、小型車両の軌跡が線61であり、対応する通行範囲が線62内部である。
【0114】
図19および図20では、狭い幅員(3.0m未満)の陸63から広い幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク64へ、それぞれ普通車両および小型車量が直角に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線65であり、対応する通行範囲が線66内部であり、小型車両の軌跡が線69であり、対応する通行範囲が線70内部である。
【0115】
図21および図22では、中程度の幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク71から同程度の幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク72へ、それぞれ普通車両および小型車量が直角に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線73であり、対応する通行範囲が線74内部であり、小型車両の軌跡が線77であり、対応する通行範囲が線78内部である。
【0116】
図23および図24では、狭い幅員(3.0m未満)のリンク79から中程度の幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク80へ、それぞれ普通車両および小型車量が狭角(鋭角)に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線81であり、対応する通行範囲が線82内部であり、小型車両の軌跡が線85であり、対応する通行範囲が線86内部である。
【0117】
図25および図26では、狭い幅員(3.0m未満)のリンク87から中程度の幅員(3.0m以上5.5m未満)の88へ、それぞれ普通車両および小型車量が鈍角に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線89であり、対応する通行範囲が線90内部であり、小型車両の軌跡が線93であり、対応する通行範囲が線94内部である。
【0118】
QCテーブルにおける燃費コスト割り当ての全体的傾向として、車両が大きいほど燃費コストが増大し、進入リンクの幅員が大きいほど燃費コストが減少し、退出リンクの幅員が大きいほど燃費コストが減少し、進入リンクから退出リンクへの曲折角度が小さいほど燃費コストが増大する。
【0119】
したがって、当該車両の曲がり易さに影響する大きさ(車格情報の一例に相当する)が大きいほど(例えば、最小回転半径、全長が大きいほど)、対象リンクの燃費コストを悪化させるようになっている。このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、大きい車両ほど、燃費コストは悪化し、その上、当該対象リンクのエコリンクコストに対する燃費コストの寄与の度合いが高くなる。したがって、大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費コストに影響され易くなるので、大きい車両ほど、燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算を行うことができる。
【0120】
また、QCテーブルにおいては、燃費コストを、対象リンクから次のリンクへの曲折方向毎に決定するようになっている。このようにすることで、同じ進入リンクを通る場合でも、その進入リンクから次に入る退出リンクが異なれば、進入リンクのエコリンクコストが変化する。その結果、進入リンクから退出リンクへの曲がり易さに応じた燃費の変化を反映した経路計算を行うことができる。
【0121】
また、車両が大きいほど、進入リンクまたは退出リンクの幅員の増大に対する燃費コストの低下度合いが大きくなっている。
【0122】
さらに、このQCテーブル中の最低燃費コスト(すなわち1)が維持される範囲は、車量が大きいほど狭くなっている。すなわち、進入および退出リンクの幅員の増加に対する燃費の向上の頭打ちは、車幅が狭いほど早い(すなわち、車両が小さいほど早い)。
【0123】
一般的に、進入リンクの幅員または退出リンクの幅員が増大するほど走り易く、かつ曲がり易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、幅員がある程度度増えれば、それ以上幅員が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、幅員の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の幅員との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0124】
また、交通情報センタ1は、進入リンクの幅員および退出リンクの幅員が基準値以下である場合(具体的には、交差点タイプが1、2、3のいずれかである場合)、車両が小さいほど、進入リンクから退出リンクへの曲折角度の減少に対する燃費コストの上昇度(すなわち、燃費の悪化度)が小さくなっている。
【0125】
一般に、曲がり角を曲がるとき、曲折角度が大きいほど(すなわち緩やかな曲折であるほど)走り易く、かつ曲がり易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、曲がり角への進入リンクの幅員および曲がり角からの退出リンクの幅員がある程度度増えれば、曲折角度の走り易さへの影響は低下する。このような、曲折角度の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と曲がり角前後のリンクとの関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0126】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0127】
例えば、上記実施形態においては、各リンク・方向組のエコリンクコストC(L)を、C(L)=ρC1(L)+φC2(L)という式で算出している。しかし、C(L)=ζC1(L)×C2(L)という式で算出するようになっていてもよい。
【0128】
また、上記実施形態においては、燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)、QC(L)をすべて用いて総燃費コストQ(L)を算出している。しかし、これら燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)、QC(L)のうちいずれか1つのみを用いて総燃費コストQ(L)を算出してもよい。
【0129】
また、交通情報センタ1の制御部13は、車両2から受信した車両特徴情報中の車両全長、拡幅量、車両幅、ホイールベース、前端オーバーハング、後端オーバーハングから、車両2が曲がることが可能な最小の進入リンク幅と最小の退出リンク幅の組(以下、最小組)を特定し、対象リンク・方向組の幅員について、最小組の幅員に対する余裕度合いに基づいて(例えば1m単位で)、余裕度合いが大きいほど燃費コストが低減するように、燃費コストQA(L)を算出するようになっていてもよい。
【0130】
また、上記実施形態においては、交通情報センタ1がエコリンクコストを算出し、車両用ナビゲーション装置3が当該エコリンクコストに基づいて案内ルート算出を行うようになっている。
【0131】
しかし、交通情報センタ1が案内ルート算出も行い、その結果を車両用ナビゲーション装置3に送信するようになっていてもよい。この場合、交通情報センタ1は、リンクコスト算出システムとして機能すると共に、ルート算出システムとしても機能する。
【0132】
あるいは逆に、車両用ナビゲーション装置3がエコリンクコストの算出も行うようになっていてもよい。この場合、車両用ナビゲーション装置3は、リンクコスト算出システムとして機能すると共に、ルート算出システムとしても機能する。この場合、車両特徴―燃費コスト対応テーブル12dは、交通情報センタ1から受信するようになっていてもよいし、あらかじめ車両用ナビゲーション装置3の記憶部36に記憶されていてもよい。また、リンク旅行時間の情報は、交通情報センタ1から受信してもよいし、VICS受信機35からの情報に基づいて車両用ナビゲーション装置3自体が作成するようになっていてもよい。
【0133】
また、上記の実施形態において、制御部13、制御部37がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施形態に係るルート算出システム10の模式図である。
【図2】交通情報センタ1の構成を示すブロック図である。
【図3】車両用ナビゲーション装置3の構成を示すブロック図である。
【図4】車両の各種長さを示す図である。
【図5】車両用ナビゲーション装置3の制御回路37が実行する処理の手順100を示すフローチャートである。
【図6】交通情報センタ1の制御部13が実行するリンクコスト算出のためのプログラム200である。
【図7】QLテーブルの一例を示す図表である。
【図8】QWテーブルの一例を示す図表である。
【図9】QEテーブルの一例を示す図表である。
【図10】QEテーブルの一例を示す図表である。
【図11】QAテーブルの一例を示す図表である。
【図12】QAテーブルの一例を示す図表である。
【図13】QCテーブルの一例を示す図表である。
【図14】図13のQCテーブル中の交差点タイプの種別を示す図表である。
【図15】車幅、全長、高さ、前端オーバーハング、軸距、後端オーバーハング、最小回転半径と、車種との対応関係を示す図表である。
【図16】曲折時に大型車両および小型車両の軌跡51、53および通行範囲52、54を示す図である。
【図17】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図18】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図19】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図20】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図21】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図22】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図23】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図24】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図25】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図26】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 交通情報センタ
2 車両
3 車両用ナビゲーション装置
4、5 プローブ車両
10 ルート算出システム
12b リンク旅行時間DB
12c 交通情報DB
12d 車両特徴―燃費コスト対応テーブル
36d 車両特徴情報
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンクコスト算出システムおよびルート算出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃費のよいルートを優先的に選択するルート算出システムが知られている。例えば、特許文献1には、CO2排出量が最小となるようなルートを算出するために、車速に基づいて各リンクのCO2排出量を算出している。
【特許文献1】特開2005−30823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、燃費は、単に車速のみならず、車両と道路の関係に応じて変動するものであるが、上記の技術では、そのような車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応することができない。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、燃費のよいルートを優先的に選択する技術において、車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、複数のリンクのそれぞれのコストに基づいて最適なルートを決定するルート決定処理のために、当該複数のリンクのそれぞれのコストを算出するリンクコスト算出システムについてのものである。
【0006】
このリンクコスト算出システムは、車両の特徴(例えば、サイズ、種別、性能等)の情報(以下、車両特徴情報という)を取得し、当該複数のリンクのそれぞれを対象として、当該車両特徴情報および対象リンクの特徴に基づいて、対象リンクの燃費の指標である燃費指標を決定する。
【0007】
そしてリンクコスト算出システムは、当該複数のリンクのそれぞれを対象としてコストを算出し、その算出の際に、当該対象リンクの燃費が悪化するほど(すなわち、単位燃料量当りの走行可能距離が低下するほど)当該対象リンクのコストが小さくなるよう、当該コストに対象リンクの燃費指標を反映させる。
【0008】
このように、車両の特徴情報と対象リンク(すなわち、コスト計算の対象のリンク)に基づいて、対象リンクの燃費指標を決定し、その燃費指標を対象リンクのコスト計算に反映させることで、車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応できるよう、対象リンクのコストを決定することができる。
【0009】
また、請求項2に記載のように、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報は、車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含んでいてもよい。その場合、リンクコスト算出システムは、当該車格情報が示す当該車両の大きさが大きいほど、対象リンクの車線数の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定するようになっていてもよい。なお、「燃費の向上度合い」とは、単位燃料量当りの走行可能距離の上昇度合いをいう。
【0010】
一般的に、車線数が多くなるほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、道路の車線数がある程度度増えれば、それ以上車線数が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、車線数の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの車線数は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の車線数との関係に基づく燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0011】
また、請求項3に記載のように、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報が車格情報を含む場合において、リンクコスト算出システムは、当該車格情報が示す車両の大きさが大きいほど、対象リンクの道路幅の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定するようになっていてもよい。
【0012】
一般的に、リンクの幅員が増大するほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、幅員がある程度度増えれば、それ以上幅員が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、幅員の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の幅員との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0013】
また、請求項4に記載のように、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報は、車両の燃費が最高となる走行速度範囲の情報(以下、速度燃費特性情報という)を含んでいてもよい。この場合、リンクコスト算出システムは、速度燃費特性情報が示す当該速度範囲に対象リンクの代表的走行速度(例えば、制限速度、平均速度)が近いほど、燃費が向上するよう、当該対象リンクの燃費指標を決定するようになっていてもよい。
【0014】
このようにすることで、車両の最適燃費速度範囲と代表的走行速度との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0015】
また、請求項5に記載のように、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報は、車両の空気抵抗の大きさについての情報(以下、空気抵抗情報という)を含んでいてもよい。この場合、リンクコスト算出システムは、当該空気抵抗情報が示す当該車両の空気抵抗が大きいほど、対象リンクの高速化に対する燃費の悪化度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定してもよい。
【0016】
一般的に、空気抵抗の観点からは車両の走行速度が低いほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、走行速度がある程度低下すれば、それ以上走行速度が低下しても走り易さの向上には繋がり難い。このような、走行速度の低下に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの走行速度は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の構造上決まる空気抵抗の大小と道路の代表的相応速度との関係に基づく燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0017】
また、請求項6に記載のように、リンクコスト算出システムは、対象リンクの燃費指標を、対象リンクから次のリンクへの曲折方向毎に決定するようになっていてもよい。このようにすることで、同じリンクを通る場合でも、そのリンクから次に入るリンクが異なれば、前者のリンクのコストが変化する。その結果、対象リンクから次のリンクへの曲がり易さに応じた燃費の変化を反映した経路計算を行うことができる。
【0018】
この場合、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報が車格情報を含むなら、リンクコスト算出システムは、当該車格情報が示す当該車両の大きさが大きいほど、対象リンクまたは対象リンクの次のリンクの幅員の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクから当該次のリンクへの曲折方向に対応する燃費指標を決定するようになっていてもよい。
【0019】
一般的に、対象リンクまたは対象リンクの次のリンクの幅員が増大するほど走り易く、かつ曲がり易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、幅員がある程度度増えれば、それ以上幅員が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、幅員の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の幅員との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0020】
また、リンクコスト算出システムが取得する車両特徴情報が車格情報を含む場合、リンクコスト算出システムは、対象リンクおよび対象リンクの次のリンクの幅員が基準値以下である場合、車格情報が示す車両の大きさが小さいほど、対象リンクから次のリンクへの曲折角度の減少に対する燃費の悪化度が小さくなるよう、対象リンクから当該次のリンクへの曲折に対応する燃費指標を決定するようになっていてもよい。
【0021】
一般に、曲がり角を曲がるとき、曲折角度が大きいほど(すなわち緩やかな曲折であるほど)走り易く、かつ曲がり易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、曲がり角への進入リンクの幅員および曲がり角からの退出リンクの幅員がある程度度増えれば、曲折角度の走り易さへの影響は低下する。このような、曲折角度の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と曲がり角前後のリンクとの関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0022】
また、請求項8に記載のように、リンクコスト算出システムは、対象リンクの燃費指標が悪化するほど、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなるよう、当該コストを算出するようになっていてもよい。
【0023】
ここで、「燃費指標が悪化する」とは、対象リンクの燃費が悪化する方向に、燃費指標が変化することをいう。具体的には、対象リンクの燃費が悪化すると燃費指標の値が増大する場合には、燃費指標が悪化するとは、燃費指標の値が増大することをいう。この場合においては、対象リンクの燃費指標が悪化するほど、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなるよう、当該コストを算出する方法としては、例えば、当該対象リンクの走行所要時間と、燃費指標との荷重和を、対象リンクのコストとする方法がある。
【0024】
対象リンクの燃費指標が悪化するほど、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなるよう、当該コストを算出する場合、取得される車両特徴情報は、車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、リンクコスト算出システムは、当該車格情報が示す車両の大きさが大きいほど、対象リンクの燃費指標を悪化させるようになっていてもよい。
【0025】
このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、大きい車両ほど、燃費指標は悪化し、その上、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなる。したがって、大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費指標に影響され易くなるので、大きい車両ほど、燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算が実現する。
【0026】
また、請求項9に記載のように、請求項1ないし7のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システムと、ルート決定処理を実行する機能とを兼ね備えたルート算出システムとしても、本発明の特徴を捉えることができる。
【0027】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係るルート算出システム10の構成を模式的に示す。このルート算出システム10は、交通情報センタ1、車両2に搭載された車両用ナビゲーション装置3、および、複数のプローブ車両4、5等を有している。
【0029】
複数のプローブ車両4、5は、走行情報として、現在時刻、自車両の現在位置、自車両の現在の走行速度等の情報を、交通情報センタ1に繰り返し定期的に(無線通信路、広域ネットワーク等を介して)送信する。なお、図1においては、2台のプローブ車両4、5しか記載されていないが、ルート算出システム10は、実際には数千台、数万台等の規模でプローブ車両を有していてもよい。
【0030】
交通情報センタ1は、それらプローブ車両4、5からの情報に基づいて、各リンク(交差点から交差点までの道路区間)における交通状況の情報を作成し、それらに基づいて、各リンクの最新の旅行時間(すなわち、当該リンクを走行し切るのに要する時間)を逐次算出する。
【0031】
車両用ナビゲーション装置3は、車両2の現在位置、車両2のドライバが指定した目的地、および、車両2の特徴の情報を(無線通信路、広域ネットワーク等を介して)交通情報センタ1に送信する。車両2の特徴の情報としては、例えば、車幅、車両種別、エンジン出力特性、空気抵抗特性、車種等がある。
【0032】
このような車両特徴情報を車両用ナビゲーション装置3から受信した交通情報センタ1は、車両2の現在位置および目的地を含む所定の範囲内の複数のリンクについての、走り易さに基づく燃費を反映したコスト(以下、エコリンクコストという)を、リンク旅行時間および当該車両特徴情報に基づいて算出し、その算出結果のエコリンクコストを車両用ナビゲーション装置3に送信する。
【0033】
車両用ナビゲーション装置3は、受信した各リンクのエコリンクコストを用いて、最適なルート(具体的には、エコリンクコストが最も小さい方から数えて所定の順位以内にあり、かつドライバが選択したルート)を、案内用ルートとして決定し、決定した案内ルートに沿ったルート案内を実行する。
【0034】
図2に、交通情報センタ1の構成を示す。交通情報センタ1は、通信インターフェース11、記憶部12、および制御部13を有している。
【0035】
通信インターフェース11は、プローブ車両4、5、および車両用ナビゲーション装置3と通信するための通信インターフェースである。
【0036】
記憶部12は、上記のような作動を実現するために必要な種々のデータを記憶するための記憶媒体である。記憶部12が記憶するデータとしては、地図DB12a、リンク旅行時間DB12b、交通情報DB12c、車両特徴―燃費コスト対応テーブル12d等がある。
【0037】
地図DB12aは、所定の広域範囲(例えば、日本全土)内の道路データおよび施設データを有している。施設データは、複数の施設のそれぞれについて、当該施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0038】
道路データは、当該広域範囲内のノード情報およびリンク情報を含んでいる。ノード情報は、当該広域範囲内の複数のノードのそれぞれについて、ノードID、位置情報、種別情報を含んでいる。
【0039】
リンク情報は、当該広域範囲内の複数のリンクのそれぞれについて、リンクID、位置情報、車線数情報、リンクの幅員情報、各車線の幅員情報、制限速度情報、道路種別情報(都市間高速道路、都市高速道路、準都市高速道路、有料道路、国道、主要地方道、県道、幹線道路、その他の案内道、細街路について別を示す情報)、接続先リンク情報等を含んでいる。
【0040】
各リンクについての接続先リンク情報は、当該リンク(元リンクという)に接続するリンク(接続リンク)毎に、当該接続リンクのリンクID、元リンクから当該接続リンクへ入るときの曲折角度等の情報を含んでいる。なお、リンクAからリンクBへ入るときの曲折角度は、直進ならば180度となり、直角に右折または左折なら90°となり、完全なUターンであれば0°となる。
【0041】
リンク旅行時間DB12bは、当該広域範囲内のリンクのそれぞれについての、最新の旅行時間のデータを含んでいる。
【0042】
交通情報DB12cは、プローブ車両4、5から受信した走行情報の総体としての交通情報を含んでいる。
【0043】
車両特徴―燃費コスト対応テーブル12dは、上述した車両特徴情報とリンクの特徴の組毎に、リンクの走り易さに起因する燃費コスト(燃費指標の一例に相当する)を割り当てるテーブルである。あるリンクの燃費コストは、当該リンクが走り易くなるほど(すなわち、当該リンクを走行するときの燃費の良好度合いが高いほど)、小さくなる値である。
【0044】
なお、車両特徴―燃費コスト対応テーブル12dには、車両のどのような特徴とリンクのどのような特徴との組に対応しているかに応じて、複数のテーブルが含まれている。車両特徴―燃費コスト対応テーブル12dに含まれるテーブルの具体例については後述する。
【0045】
制御部13は、CPU、RAM、ROM等を備え、ROMに記録されているプログラムを実行することで、通信インターフェース11、記憶部12を用いて、上述のような交通情報センタ1の作動を実現するための処理を行う。制御部13の具体的な作動の内容については後述する。
【0046】
図3に、車両用ナビゲーション装置3の構成を示す。車両用ナビゲーション装置3は、無線部30、位置検出器31、画像表示装置32、操作部33、スピーカ34、VICS受信機35、記憶部36、制御回路37を有している。
【0047】
無線部30は、交通情報センタ1と通信するための無線送受信のための回路である。位置検出器31は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路37に出力する。画像表示装置32は、制御回路37から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。操作部33は、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチ等の操作に基づいた信号を制御回路37に出力する。
【0048】
VICS受信機35は、FMラジオ放送局または道路沿いに設置された路上機から無線送信された道路の渋滞情報、交通規制情報等の交通情報を受信して制御回路37に出力する無線受信機である。
【0049】
記憶部36は、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出しおよび書き込みを行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路37が実行するプログラム、地図DB36a、リンク旅行時間DB36b、交通情報DB36c、車両特徴情報36d等を有している。
【0050】
地図DB36aは、交通情報センタ1における地図DB12aと同じものであってもよい。リンク旅行時間DB36bは、後述するように交通情報センタ1から受信したリンク旅行時間情報を記録するためのデータ領域である。交通情報DB36cは、VICS受信機35が取得した交通情報を記録するためのデータ領域である。
車両特徴情報36dは、上述した車両2についての車両特徴情報を含んでいる。より具体的には、車両特徴情報36dに含まれる車両2の車両特徴情報は、車幅、エンジン出力特性、車種、空気抵抗タイプ、全長、高さ、前端オーバーハング、軸距、後端オーバーハング、最小回転半径等である。
【0051】
なお、前端オーバーハングとは、車体の前面から前輪の車軸の中心までの距離をいい、軸距とは、前輪の車軸の中心から後輪の車軸の中心までの距離をいい、後端オーバーハングとは、後輪の車軸の中心から車体の後面までの距離をいう。
【0052】
ここで、エンジン出力特性とは、車両2の燃費が最高となる走行速度範囲(以下、最適燃費速度範囲という)である。また、車種は、例えば、トラック、ミニバン、乗用セダン、小型車の別であってもよい。図4に、車両2の車幅b、全長L、高さh、前端オーバーハングUf、後端オーバーハングUrを示す。
【0053】
また、空気抵抗タイプとは、車両2のCD値と前面投影面積の積として算出される空気抵抗値の大小についてのタイプ(具体的には、大、中、小の別)である。ここで、CD値とは、Constant Drag 値の略で、走行中の車両にかかる空気抵抗係数のことをいう。なお、空気抵抗タイプに代えて空気抵抗値そのものを含んでいてもよい。
【0054】
制御回路(コンピュータに相当する)37は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは記憶部36から読み出した車両用ナビゲーション装置3の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および記憶部36から情報を読み出し、RAMおよび記憶部36の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器31、画像表示装置32、操作部33、スピーカ34、およびVICS受信機35と信号の授受を行う。
【0055】
制御回路37がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、地図表示処理、案内ルート算出処理、ルート案内処理等がある。
【0056】
現在位置特定処理は、位置検出器31からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0057】
地図表示処理は、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置32に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。
【0058】
案内ルート算出処理は、操作部33からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内ルートを算出する処理である。
【0059】
ルート案内処理は、案内ルート算出処理によって算出された案内ルート上の、右左折交差点等の案内ポイントの手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ34に出力させ、当該案内ポイントの拡大図を画像表示装置32に表示させることで、案内ルートに沿った車両の運転を案内する処理である。
【0060】
図5に、案内ルート算出処理における制御回路37の処理の手順をフローチャートで示す。この図に示すように、制御回路37は、案内ルート算出処理において、まずステップ110でユーザの目的地入力操作に基づいて目的地を設定し、続いてステップ120で現在位置特定処理の結果を用いて現在位置を特定し、続いてステップ125で、目的地、現在位置、および車両特徴情報36d中の車両特徴情報を、無線部30を用いて交通情報センタ1に送信する。
【0061】
そして続いてステップ130で、無線部30を介して交通情報センタ1から複数のリンクのエコリンクコストの情報を受信するまで待ち、受信すると続いてステップ135で、受信した各エコリンクコストを用いてダイクストラ法等で、候補のルート(例えば、エコリンクコストの総和が最も小さい方から複数個のルート)を算出し、続いてステップ140でそれら候補ルートを画像表示装置32に表示させる。続いてステップ150では、当該複数の候補ルートのいずれか1つを選択する操作が操作部33にあるまで待ち、選択操作があると、その操作内容に応じて1つの候補ルートを最適な案内ルートとして確定する。
【0062】
なお、ステップ125の送信処理によって送信された車両特徴情報等を、交通情報センタ1の通信インターフェース11が受信したとき、制御部13は、図6に示すプログラム200を実行するようになっている。
【0063】
そしてこのプログラム200の実行において制御部13は、まずステップ131で、通信インターフェース11が受信した車両特徴情報等を取得し、続いてステップ132で、取得した車両2の現在位置および目的地に基づいて、地図中のリンク探索範囲を決定する。
【0064】
この探索範囲は、現在位置および目的地を含む所定の領域である。例えば、現在位置および目的地を2つの焦点とする楕円内の領域を探索範囲としてもよいし、現在位置および目的地の中点を中心とし、現在位置からまでの直線距離を半径とする園内の領域を探索範囲としてもよい。
【0065】
続いてステップ133では、受信した車両特徴情報を、車両特徴―燃費コスト対応テーブル12d中の各テーブルに適用する。適用対象のテーブルとしては、QLテーブル、QWテーブル、QEテーブル、QAテーブル、QCテーブルの5つがある。
【0066】
それぞれのテーブルは、車両特徴情報のいずれかと、リンクの特徴の情報いずれかとに対応し、対応する車両特徴情報および対応するリンク特徴情報が取りうる値の組み合わせ毎に、燃費コストを割り当てるようになっている。
【0067】
具体的には、QLテーブルは、車両特徴情報のうち車幅に対応し、リンク特徴情報のうち車線数および車線単体の幅員に対応する。またQWテーブルは、車両特徴情報のうち車幅に対応し、リンク特徴情報のうちリンクの幅員に対応する。またQEテーブルは、車両特徴情報のうちエンジン出力特性に対応し、リンク特徴情報のうちリンクの代表的速度(制限速度、平均的速度等)に対応する。
【0068】
またQAテーブルは、車両特徴情報のうち空気抵抗に対応し、リンク特徴情報のうちリンクの道路種別に対応する。またQCテーブルは、車両特徴情報のうち車両の大きさに対応し、リンク特徴情報のうち、当該リンクの幅員、当該リンクの接続先のリンクの幅員、当該リンクから当該接続先リンクへ入る場合の曲折角度に対応する。各テーブルの詳細な特徴については後述する。
【0069】
ステップ131で取得した車両2の車両特徴情報と、あるリンク(以下、対象リンクという)Lを対象としてQLテーブル、QWテーブル、QEテーブル、QAテーブル、QCテーブルを用いることで、それぞれ当該対象リンクLの燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)、QC(L)が導き出される。ただし、QCテーブルから得られるQC(L)については、リンクと、当該リンクに接続するリンク(すなわち次のリンク)との組み合わせ毎に、すなわち、対象リンクから次のリンクへの曲折方向毎に、導き出される。
【0070】
したがって、ステップ133の処理によって、リンク探索範囲に含まれる全リンクのそれぞれについて、燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)が決定し、全リンク中の互いに接続するリンクペア毎に、QC(L)が決定する。この燃費コストの単位は、例えば、W・h(ワット時)であってもよい。
【0071】
続いてステップ134では、各リンクLについて、当該リンクから次のリンクへの曲折方向毎に、総燃費コストQ(L)を、燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)の総和として算出する。例えば、リンクAからリンクBへの曲折方向の総燃費コストQ(L)は、リンクAの燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)の和に、リンクAからリンクBへの曲折方向の燃費コストQA(L)を足し合わせた結果の値となる。
【0072】
ただし、この総和は、荷重和である。すなわち、Q(L)は、以下のような等式によって算出する。
Q(L)=αQL(L)+βQW(L)+γQE(L)+δQA(L)+εQC(L)
ここで、係数α、β、γ、δ、εは、あらかじめ定められた定数であってもよいし、項目の優先度によって変更してもよい。具体的には、交通情報センタ1の図示しない操作装置に対する操作者の操作内容に応じて、制御部13が、係数α、β、γ、δ、εの値を変化させるようになっていてもよい。また、係数α、β、γ、δ、εは、α+β+γ+δ+ε=1となるような値であってもよい。
【0073】
続いてステップ136では、ステップ134で算出した各総燃費コストQ(L)に、あらかじめ定められた変換係数ηを乗じる。この変換係数は、各総燃費コストQ(L)を、旅行時間の単位で表すための係数である。変換結果の値をC1(L)と記す。
【0074】
続いてステップ137では、各リンクLのリンク旅行時間C2(L)をリンク旅行時間DB12bから読み出し、さらに、各リンクLについて、当該リンクから次のリンクへの曲折方向毎に、上述の変換値C1(L)と当該リンクのリンク旅行時間C2(L)の荷重和C(L)を算出する。この荷重和C(L)が、リンクおよび当該リンクから次のリンクへの曲折方向に対応するエコリンクコストとなる。エコリンクコストC(L)の算出式は、以下のようになる。
C(L)=ρC1(L)+φC2(L)
ここで、係数ρ、φは、あらかじめ定められた定数であってもよいし、燃費優先度と交通情報優先度との関係を考慮してユーザが設定してもよい。具体的には、交通情報センタ1の図示しない操作装置に対する操作者の操作内容に応じて、制御部13が、係数ρ、φの値を変化させるようになっていてもよい。ただし、ρ+φの値は1のまま変更しないものとする。
【0075】
このようにすることで、リンク探索範囲内の各リンクLについて、当該リンクから次のリンクへの曲折方向毎のエコリンクコストC(L)が決定する。続いてステップ138では、通信インターフェース11を用いて、決定したエコリンクコストC(L)の情報を、車両用ナビゲーション装置3宛に送信する。
【0076】
送信されたエコリンクコストC(L)の情報を受信した車両用ナビゲーション装置3では、上述の通り、制御回路37が、そのエコリンクコストC(L)を利用して最適な案内ルートを選択し(図5のステップ135〜150参照)、選択した案内ルートの案内を行う。なお、案内ルートの算出においては、同じリンクであっても、リンクから次のリンクへの曲折方向毎に異なるエコリンクコストを使用する。
【0077】
このように、ルート算出システム10中の交通情報センタ1(リンクコスト算出システムの一例に相当する)は、車両用ナビゲーション装置3におけるルート決定処理のために、車両2の現在位置から目的地を含むリンク探索範囲中の複数のリンクのそれぞれのコストを算出する。
【0078】
そして交通情報センタ1は、その算出の際に、車両用ナビゲーション装置3から車両2の車両特徴情報を取得し(ステップ131参照)、当該複数のリンクのそれぞれを対象として、当該車両特徴情報および対象リンク(より具体的には、対象リンクと当該対象リンクから次のリンクへの曲折方向との組。以下、対象リンク・方向組という)の特徴に基づいて、当該対象リンクの燃費の指標である燃費コストを決定する(ステップ133、134参照)。
【0079】
そして交通情報センタ1は、当該複数のリンクのそれぞれを対象としてエコリンクコストを算出し(ステップ136、137参照)、その算出の際に、対象リンク・方向組の燃費が悪化するほど(すなわち、単位燃料量当りの走行可能距離が低下するほど)当該対象リンク・方向組のエコリンクコストが小さくなるよう、当該コストに対象リンク・方向組の燃費コストを反映させる(ステップ137参照)。
【0080】
このように、交通情報センタ1は、車両の特徴情報と対象リンク・方向組(すなわち、コスト計算の対象のリンク)に基づいて、対象リンク・方向組の燃費指標を決定し、その燃費指標を対象リンク・方向組のコスト計算に反映させることで、車両と道路の関係に応じた燃費の変動に対応できるよう、対象リンク・方向組のエコリンクコストを決定することができる。
【0081】
また、上述の通り、交通情報センタ1は、当該対象リンク・方向組のリンク旅行時間と、燃費コストとの荷重和を、対象リンクのエコリンクコストとし、かつ、燃費コストは、対象リンク・方向組の燃費が悪化するほど増大する。
【0082】
したがって、交通情報センタ1は、対象リンク・方向組の燃費コストC1(L)が悪化するほど、C(L)=ρC1(L)+φC2(L)という式における右辺第1項の寄与が第2項(すなわちリンク旅行時間)の寄与よりも大きくなる。すなわち、エコリンクコストC(L)は、対象リンク・方向組の燃費コストC1(L)が悪化するほど、燃費コストの変化に対してより大きく(敏感に)変化するようになる。
【0083】
ここで、QLテーブル、QWテーブル、QEテーブル、QAテーブル、QCテーブルにおける燃費コストの割り当ての具体例について説明する。
【0084】
まず、QLテーブルについて説明する。QLテーブルは、図7に示すように、3種類の車幅範囲(具体的には、1.8メートル以上、1.8メートル未満1.7メートル以上、1.7メートル未満)と、車線数および車線の幅員によって区分けされたリンクカテゴリ(具体的には、両側1車線かつ車線幅員狭い、片側1車線かつ車線幅員狭い、両側1車線かつ車線幅員広い、片側1車線かつ車線幅員広い、片側2車線、片側3車線、片側4車線、片側5車線以上)との組毎に、燃費コストを割り当てている。
【0085】
そして、燃費コスト割り当ての全体的傾向として、車幅が大きいほど燃費コストが増大し、車線数が多いほど燃費コストが減少し、車線の幅員が大きいほど燃費コストが減少する。
【0086】
したがって、当該車幅(車格情報の一例に相当する)が大きいほど、対象リンクの燃費コストを悪化させるようになっている。このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、横幅が広い車両ほど、燃費コストは悪化し、その上、当該対象リンクのエコリンクコストに対する燃費コストの寄与の度合いが高くなる。したがって、大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費コストに影響され易くなるので、横幅の広い車両ほど、燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算を実現する。
【0087】
交通情報センタ1は、このような構成のQLテーブルを用いて燃費コストを算出することで、車線幅と車線数の関係上走りにくいリンクに対し燃費コストQL(L)を高く設定し、その結果、走り難いルートを避けるような経路を優先的に選択する。
【0088】
また、図7のQLテーブルにおいては、車幅が広いほど、対象リンクの車線数(および車線の幅員)の増大に対する燃費の向上度合い(すなわち、燃費コストの低下度合い)が大きくなっている。
【0089】
実際、このQLテーブルにおいては、車幅が1.8メートル以上の場合は、車線数および車線幅の増加に応じて燃費コストが全部で8段階減少しているが、車幅が1.8メートル未満1.7メートル以上の場合は、全部で6段階しか減少しておらず、車幅が1.7メートル未満の場合は、全部で5段階しか減少していない。
【0090】
さらに、このQLテーブル中の最低燃費コスト(すなわち2)が維持される範囲は、車幅が広いほど狭くなっている。すなわち、車線数および車線幅の増加に対する燃費の向上の頭打ち(換言すれば、燃費の向上度の平坦化、燃費の向上の飽和、燃費コストの下げ止まり)は、車幅が狭いほど早い(すなわち、車両が小さいほど早い)。
【0091】
一般的に、車線数および車線幅が多くなるほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、道路の車線数および車線幅がある程度度増えれば、それ以上車線数が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、車線数の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの車線数は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の車線数との関係に基づく燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0092】
次に、QWテーブルについて説明する。QWテーブルは、図8に示すように、3種類の車幅範囲と、4種類のリンクの幅員の範囲との組毎に、燃費コストを割り当てている。そして、燃費コスト割り当ての全体的傾向として、車幅が大きいほど燃費コストが増大し、リンクの幅員が大きいほど燃費コストが減少する。
【0093】
したがって、当該車幅(車格情報の一例に相当する)が示す車両の大きさ(具体的には横幅)が大きいほど、対象リンクの燃費コストを悪化させるようになっている。このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、横幅が広い車両ほど、燃費コストは悪化し、その上、当該対象リンクのエコリンクコストに対する燃費コストの寄与の度合いが高くなる。したがって、大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費コストに影響され易くなるので、横幅の広い車両ほど、燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算を行うことができる。
【0094】
交通情報センタ1は、このような構成のQWテーブルを用いて燃費コストを算出することで、リンク幅を考慮して走りにくいリンクに対し燃費コストQW(L)を高く設定し、その結果、走り難いルートを避けるような経路を優先的に選択する。
【0095】
また、図8のQWテーブルにおいては、車幅が広いほど、対象リンクの幅員の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなっている。さらに、このQWテーブル中の最低燃費コスト(すなわち2)が維持される範囲は、車幅が広いほど狭くなっている。すなわち、リンクの幅員の増加に対する燃費の向上の頭打ちは、車幅が狭いほど早い(すなわち、車両が小さいほど早い)。
【0096】
一般的に、リンクの幅員が増大するほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、幅員がある程度度増えれば、それ以上幅員が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、幅員の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の幅員との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0097】
次に、QEテーブルについて説明する。QEテーブルは、図9に示すように、3種類のエンジン出力特性(速度燃費特性情報の一例に相当する)と、4種類のリンクの制限速度範囲(代表的速度の一例に相当する)との組毎に、燃費コストを割り当てている。なお、3種類のエンジン出力特性とは、具体的には、最適燃費速度範囲が80km/h以上、最適燃費速度範囲が80km/h未満70km/h以上、最適燃費速度範囲が70km/h未満、の3つである。
【0098】
あるいは、QEテーブルは、図10に示すように、3種類のエンジン出力特性と、10種類のリンクの道路種別との組毎に、燃費コストを割り当てていてもよい。これらリンクの道路種別は、それぞれ平均的な走行速度(代表的走行速度の一例に相当する)が異なっており、具体的には、都市間高速道路、都市高速道路、準都市高速道路、有料道路、国道、主要地方道、県道、幹線道路、その他の案内道、細街路の順に平均速度が高い。
【0099】
QEテーブルにおける燃費コスト割り当ての全体的傾向として、最適燃費速度範囲に対象リンクの平均的走行速度が近いほど、燃費コストが低い。このようにすることで、車両の最適燃費速度範囲と平均的走行速度との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0100】
交通情報センタ1は、このような構成のQEテーブルを用いて燃費コストを算出することで、エンジン出力特性(すなわち、最高燃費の速度)と道路種別もしくは速度規制情報を比較しエンジン特性に合わないリンクに対し燃費コストQE(L)を高く設定することで、当該リンクをより積極的に避けるようなコスト計算を実現する。
【0101】
次に、QAテーブルについて説明する。QAテーブルは、図11に示すように、3種類の空気抵抗タイプ(空気抵抗情報の一例に相当する)と、10種類のリンクの道路種別との組毎に、燃費コストを割り当てている。
【0102】
あるいは、QAテーブルは、図12に示すように、4種類の車種(空気抵抗情報の一例に相当する)と、10種類のリンクの道路種別との組毎に、燃費コストを割り当てるようになっていてもよい。これら車種は、それぞれ走行時の平均的な空気抵抗が異なっており、具体的には、トラック、ミニバン、乗用セダン、小型車の順に空気抵抗が高い。
【0103】
QAテーブルにおける燃費コスト割り当ての全体的傾向として、車両の走行時の空気抵抗が大きいほど燃費コストが増大し、また、道路の代表的速度が高いほど、燃費コストが増大する。
【0104】
したがって、当該空気抵抗(車格情報の一例に相当する)が大きいほど、対象リンクの燃費コストを悪化させるようになっている。このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、その構造上空気抵抗が大きい車両ほど、燃費コストは悪化し、その上、当該対象リンクのエコリンクコストに対する燃費コストの寄与の度合いが高くなる。したがって、空気抵抗の大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費コストに影響され易くなるので、空気抵抗の大きい車両ほど、空気抵抗の観点から燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算を行うことができる。
【0105】
交通情報センタ1は、このような構成のQAテーブルを用いて燃費コストを算出することで、車両ごとの空気抵抗値の大小により都市間高速道、都市高速道、準都市高速道、有料道路といった高速(例えば80km/h以上)で走るリンクに対して、燃費コストQA(L)を大きくすることで、そのリンクを避けるようなコスト計算を行うことができる。
【0106】
また、図11、12のQAテーブルにおいては、車両の空気抵抗が大きいほど、対象リンクの代表的走行速度の高速化に対する燃費コストの増大度合いが大きくなっている。
【0107】
さらに、このQAテーブル中の最低燃費コスト(すなわち1)が維持される範囲は、空気抵抗が大きい車両ほど狭くなっている。すなわち、リンクの代表的走行速度の低下に対する燃費の向上の頭打ちは、空気抵抗が大きいほど早い(すなわち、車両が小さいほど早い)。
【0108】
一般的に、空気抵抗の観点からは車両の走行速度が低いほど走り易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、走行速度がある程度低下すれば、それ以上走行速度が低下しても走り易さの向上には繋がり難い。このような、走行速度の低下に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの走行速度は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の構造上決まる空気抵抗の大小と道路の代表的相応速度との関係に基づく燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0109】
次に、QCテーブルについて説明する。QCテーブルは、図13に示すように、5種類の車種(車格情報の一例に相当する)と、16種類の交差点タイプおよび3つの曲折角度(鋭角、直角、鈍角)との組毎に、燃費コストを割り当てている。
【0110】
ここで、交差点タイプとは、図14に示すように、対象リンク・方向組における、対象リンク(以下、進入リンクという)の幅員、および、対象リンクに接続するリンク(以下、退出リンクという)の幅員によって決まるタイプである。
【0111】
ここで、5種類の車種としては、具体的には、小型自動車、小型自動車等、普通自動車、セミトレーラ連結車が採用されている。車両2の車両特徴情報から、車両2の車種を特定するためには、車両2の車幅、全長、高さ、前端オーバーハング、軸距、後端オーバーハング、最小回転半径に基づいて、図15の対応表を用いて、車両2に最も近い車種を、交通情報センタ1の制御部13が選択するようになっていてもよい。
【0112】
以下、QCテーブル中の交差点タイプと3つの曲折角度との組の例を示す。図16に示すように、普通車両が軌跡51のように曲がる場合に車両が通る範囲52は、小型車両が同じく軌跡53のように曲がる場合の通行範囲54に比べ、大きい。
【0113】
図17および図18では、広い幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク55から狭い幅員(3.0m未満)のリンク56へ、それぞれ普通車両および小型車量が直角に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線57であり、対応する通行範囲が線58内部であり、小型車両の軌跡が線61であり、対応する通行範囲が線62内部である。
【0114】
図19および図20では、狭い幅員(3.0m未満)の陸63から広い幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク64へ、それぞれ普通車両および小型車量が直角に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線65であり、対応する通行範囲が線66内部であり、小型車両の軌跡が線69であり、対応する通行範囲が線70内部である。
【0115】
図21および図22では、中程度の幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク71から同程度の幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク72へ、それぞれ普通車両および小型車量が直角に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線73であり、対応する通行範囲が線74内部であり、小型車両の軌跡が線77であり、対応する通行範囲が線78内部である。
【0116】
図23および図24では、狭い幅員(3.0m未満)のリンク79から中程度の幅員(3.0m以上5.5m未満)のリンク80へ、それぞれ普通車両および小型車量が狭角(鋭角)に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線81であり、対応する通行範囲が線82内部であり、小型車両の軌跡が線85であり、対応する通行範囲が線86内部である。
【0117】
図25および図26では、狭い幅員(3.0m未満)のリンク87から中程度の幅員(3.0m以上5.5m未満)の88へ、それぞれ普通車両および小型車量が鈍角に曲がるケースを示している。この場合、普通車両の軌跡が線89であり、対応する通行範囲が線90内部であり、小型車両の軌跡が線93であり、対応する通行範囲が線94内部である。
【0118】
QCテーブルにおける燃費コスト割り当ての全体的傾向として、車両が大きいほど燃費コストが増大し、進入リンクの幅員が大きいほど燃費コストが減少し、退出リンクの幅員が大きいほど燃費コストが減少し、進入リンクから退出リンクへの曲折角度が小さいほど燃費コストが増大する。
【0119】
したがって、当該車両の曲がり易さに影響する大きさ(車格情報の一例に相当する)が大きいほど(例えば、最小回転半径、全長が大きいほど)、対象リンクの燃費コストを悪化させるようになっている。このようになっていることで、同じ対象リンクであっても、大きい車両ほど、燃費コストは悪化し、その上、当該対象リンクのエコリンクコストに対する燃費コストの寄与の度合いが高くなる。したがって、大きい車両ほど、最適なルートの選択が燃費コストに影響され易くなるので、大きい車両ほど、燃費の悪い道路をより積極的に避けるようなコスト計算を行うことができる。
【0120】
また、QCテーブルにおいては、燃費コストを、対象リンクから次のリンクへの曲折方向毎に決定するようになっている。このようにすることで、同じ進入リンクを通る場合でも、その進入リンクから次に入る退出リンクが異なれば、進入リンクのエコリンクコストが変化する。その結果、進入リンクから退出リンクへの曲がり易さに応じた燃費の変化を反映した経路計算を行うことができる。
【0121】
また、車両が大きいほど、進入リンクまたは退出リンクの幅員の増大に対する燃費コストの低下度合いが大きくなっている。
【0122】
さらに、このQCテーブル中の最低燃費コスト(すなわち1)が維持される範囲は、車量が大きいほど狭くなっている。すなわち、進入および退出リンクの幅員の増加に対する燃費の向上の頭打ちは、車幅が狭いほど早い(すなわち、車両が小さいほど早い)。
【0123】
一般的に、進入リンクの幅員または退出リンクの幅員が増大するほど走り易く、かつ曲がり易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、幅員がある程度度増えれば、それ以上幅員が増えても走り易さの向上には繋がらない。このような、幅員の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と道路の幅員との関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0124】
また、交通情報センタ1は、進入リンクの幅員および退出リンクの幅員が基準値以下である場合(具体的には、交差点タイプが1、2、3のいずれかである場合)、車両が小さいほど、進入リンクから退出リンクへの曲折角度の減少に対する燃費コストの上昇度(すなわち、燃費の悪化度)が小さくなっている。
【0125】
一般に、曲がり角を曲がるとき、曲折角度が大きいほど(すなわち緩やかな曲折であるほど)走り易く、かつ曲がり易くなり、その結果燃費が向上するという傾向がある。しかし、曲がり角への進入リンクの幅員および曲がり角からの退出リンクの幅員がある程度度増えれば、曲折角度の走り易さへの影響は低下する。このような、曲折角度の増大に対して燃費の向上が頭打ちになり始めるときの幅員の値は、小さい車両の方が小さい。したがって、上記のようにすることで、車両の大小と曲がり角前後のリンクとの関係を反映する燃費の向上傾向に適したコスト計算を行うことができる。
【0126】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0127】
例えば、上記実施形態においては、各リンク・方向組のエコリンクコストC(L)を、C(L)=ρC1(L)+φC2(L)という式で算出している。しかし、C(L)=ζC1(L)×C2(L)という式で算出するようになっていてもよい。
【0128】
また、上記実施形態においては、燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)、QC(L)をすべて用いて総燃費コストQ(L)を算出している。しかし、これら燃費コストQL(L)、QW(L)、QE(L)、QA(L)、QC(L)のうちいずれか1つのみを用いて総燃費コストQ(L)を算出してもよい。
【0129】
また、交通情報センタ1の制御部13は、車両2から受信した車両特徴情報中の車両全長、拡幅量、車両幅、ホイールベース、前端オーバーハング、後端オーバーハングから、車両2が曲がることが可能な最小の進入リンク幅と最小の退出リンク幅の組(以下、最小組)を特定し、対象リンク・方向組の幅員について、最小組の幅員に対する余裕度合いに基づいて(例えば1m単位で)、余裕度合いが大きいほど燃費コストが低減するように、燃費コストQA(L)を算出するようになっていてもよい。
【0130】
また、上記実施形態においては、交通情報センタ1がエコリンクコストを算出し、車両用ナビゲーション装置3が当該エコリンクコストに基づいて案内ルート算出を行うようになっている。
【0131】
しかし、交通情報センタ1が案内ルート算出も行い、その結果を車両用ナビゲーション装置3に送信するようになっていてもよい。この場合、交通情報センタ1は、リンクコスト算出システムとして機能すると共に、ルート算出システムとしても機能する。
【0132】
あるいは逆に、車両用ナビゲーション装置3がエコリンクコストの算出も行うようになっていてもよい。この場合、車両用ナビゲーション装置3は、リンクコスト算出システムとして機能すると共に、ルート算出システムとしても機能する。この場合、車両特徴―燃費コスト対応テーブル12dは、交通情報センタ1から受信するようになっていてもよいし、あらかじめ車両用ナビゲーション装置3の記憶部36に記憶されていてもよい。また、リンク旅行時間の情報は、交通情報センタ1から受信してもよいし、VICS受信機35からの情報に基づいて車両用ナビゲーション装置3自体が作成するようになっていてもよい。
【0133】
また、上記の実施形態において、制御部13、制御部37がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施形態に係るルート算出システム10の模式図である。
【図2】交通情報センタ1の構成を示すブロック図である。
【図3】車両用ナビゲーション装置3の構成を示すブロック図である。
【図4】車両の各種長さを示す図である。
【図5】車両用ナビゲーション装置3の制御回路37が実行する処理の手順100を示すフローチャートである。
【図6】交通情報センタ1の制御部13が実行するリンクコスト算出のためのプログラム200である。
【図7】QLテーブルの一例を示す図表である。
【図8】QWテーブルの一例を示す図表である。
【図9】QEテーブルの一例を示す図表である。
【図10】QEテーブルの一例を示す図表である。
【図11】QAテーブルの一例を示す図表である。
【図12】QAテーブルの一例を示す図表である。
【図13】QCテーブルの一例を示す図表である。
【図14】図13のQCテーブル中の交差点タイプの種別を示す図表である。
【図15】車幅、全長、高さ、前端オーバーハング、軸距、後端オーバーハング、最小回転半径と、車種との対応関係を示す図表である。
【図16】曲折時に大型車両および小型車両の軌跡51、53および通行範囲52、54を示す図である。
【図17】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図18】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図19】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図20】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図21】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図22】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図23】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図24】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図25】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【図26】進入道路と退出道路の関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1 交通情報センタ
2 車両
3 車両用ナビゲーション装置
4、5 プローブ車両
10 ルート算出システム
12b リンク旅行時間DB
12c 交通情報DB
12d 車両特徴―燃費コスト対応テーブル
36d 車両特徴情報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクのそれぞれのコストに基づいて最適なルートを決定するルート決定処理のために、前記複数のリンクのそれぞれのコストを算出するリンクコスト算出システムであって、
車両の特徴の情報(以下、車両特徴情報という)を取得する車両特徴情報取得手段(131)と、
前記複数のリンクのそれぞれを対象として、前記車両特徴情報および対象リンクの特徴に基づいて、当該対象リンクの燃費の指標である燃費指標を決定する燃費指標決定手段(133、134)と、
前記複数のリンクのそれぞれを対象としてコストを算出し、その算出の際に、対象リンクの燃費が悪化するほど当該対象リンクのコストが大きくなるよう、当該コストに対象リンクの燃費指標を反映させるコスト算出手段(136、137)と、を備えたリンクコスト算出システム。
【請求項2】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記車格情報が示す前記車両の大きさが大きいほど、対象リンクの車線数の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定することを特徴とする請求項1に記載のリンクコスト算出システム。
【請求項3】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記車格情報が示す前記車両の大きさが大きいほど、対象リンクの道路幅の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定することを特徴とする請求項1または2に記載のリンクコスト算出システム。
【請求項4】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の燃費が最高となる走行速度範囲の情報(以下、速度燃費特性情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記速度燃費特性情報が示す前記速度範囲に対象リンクの代表的走行速度が近いほど、燃費が向上するよう、当該対象リンクの燃費指標を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項5】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の空気抵抗の大きさについての情報(以下、空気抵抗情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記空気抵抗情報が示す前記車両の空気抵抗が大きいほど、対象リンクの高速化に対する燃費の悪化度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項6】
前記燃費指標決定手段(133、134)は、対象リンクの燃費指標を、対象リンクから次のリンクへの曲折方向毎に決定し、
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記車格情報が示す前記車両の大きさが大きいほど、対象リンクまたは対象リンクの次のリンクの幅員の減少に対する燃費の悪化度合いが大きくなるよう、当該対象リンクから当該次のリンクへの曲折方向に対応する燃費指標を決定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項7】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、対象リンクおよび対象リンクの次のリンクの幅員が基準値以下である場合、前記車格情報が示す前記車両の大きさが小さいほど、対象リンクから次のリンクへの曲折角度の減少に対する燃費の悪化度が小さくなるよう、対象リンクから当該次のリンクへの曲折に対応する燃費指標を決定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項8】
前記コスト算出手段(136、137)は、対象リンクの燃費指標が悪化するほど、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなるよう、当該コストを算出し、
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記車格情報が示す前記車両の大きさが大きいほど、対象リンクの燃費指標を悪化させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システムと、
前記ルート決定処理を実行するルート決定手段(130)と、を備えたことを特徴とするルート算出システム。
【請求項1】
複数のリンクのそれぞれのコストに基づいて最適なルートを決定するルート決定処理のために、前記複数のリンクのそれぞれのコストを算出するリンクコスト算出システムであって、
車両の特徴の情報(以下、車両特徴情報という)を取得する車両特徴情報取得手段(131)と、
前記複数のリンクのそれぞれを対象として、前記車両特徴情報および対象リンクの特徴に基づいて、当該対象リンクの燃費の指標である燃費指標を決定する燃費指標決定手段(133、134)と、
前記複数のリンクのそれぞれを対象としてコストを算出し、その算出の際に、対象リンクの燃費が悪化するほど当該対象リンクのコストが大きくなるよう、当該コストに対象リンクの燃費指標を反映させるコスト算出手段(136、137)と、を備えたリンクコスト算出システム。
【請求項2】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記車格情報が示す前記車両の大きさが大きいほど、対象リンクの車線数の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定することを特徴とする請求項1に記載のリンクコスト算出システム。
【請求項3】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記車格情報が示す前記車両の大きさが大きいほど、対象リンクの道路幅の増大に対する燃費の向上度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定することを特徴とする請求項1または2に記載のリンクコスト算出システム。
【請求項4】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の燃費が最高となる走行速度範囲の情報(以下、速度燃費特性情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記速度燃費特性情報が示す前記速度範囲に対象リンクの代表的走行速度が近いほど、燃費が向上するよう、当該対象リンクの燃費指標を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項5】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の空気抵抗の大きさについての情報(以下、空気抵抗情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記空気抵抗情報が示す前記車両の空気抵抗が大きいほど、対象リンクの高速化に対する燃費の悪化度合いが大きくなるよう、当該対象リンクの燃費指標を決定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項6】
前記燃費指標決定手段(133、134)は、対象リンクの燃費指標を、対象リンクから次のリンクへの曲折方向毎に決定し、
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記車格情報が示す前記車両の大きさが大きいほど、対象リンクまたは対象リンクの次のリンクの幅員の減少に対する燃費の悪化度合いが大きくなるよう、当該対象リンクから当該次のリンクへの曲折方向に対応する燃費指標を決定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項7】
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、対象リンクおよび対象リンクの次のリンクの幅員が基準値以下である場合、前記車格情報が示す前記車両の大きさが小さいほど、対象リンクから次のリンクへの曲折角度の減少に対する燃費の悪化度が小さくなるよう、対象リンクから当該次のリンクへの曲折に対応する燃費指標を決定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項8】
前記コスト算出手段(136、137)は、対象リンクの燃費指標が悪化するほど、当該対象リンクのコストに対する燃費指標の寄与の度合いが高くなるよう、当該コストを算出し、
前記車両特徴情報取得手段(131)が取得する前記車両特徴情報は、前記車両の大きさについての情報(以下、車格情報という)を含み、
前記燃費指標決定手段(133、134)は、前記車格情報が示す前記車両の大きさが大きいほど、対象リンクの燃費指標を悪化させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つに記載のリンクコスト算出システムと、
前記ルート決定処理を実行するルート決定手段(130)と、を備えたことを特徴とするルート算出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−264935(P2009−264935A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115043(P2008−115043)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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