説明

ロールツーロール化学気相蒸着システム

ロールツーロールCVDシステムは、CVD処理の際、堆積チャンバを通して、ウェブを搬送する、少なくとも2つのローラーを含む。堆積チャンバは、少なくとも2つのローラーによって搬送される間、ウェブを通過させるための通路を画定する。堆積チャンバは、複数の処理チャンバのそれぞれ内に別個の処理化学物質を維持する、障壁によって隔離される、複数の処理チャンバを含む。複数の処理チャンバはそれぞれ、ガス流入ポートおよびガス排出ポートと、複数のCVDガス源とを含む。複数のCVDガス源のうちの少なくとも2つは、複数の処理チャンバのそれぞれのガス流入ポートに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に使用される見出しは、構成上の目的のためだけであって、本願に説明される主題をいかようにも限定するものと解釈されるべきではない。
【背景技術】
【0002】
(導入)
化学気相蒸着(CVD)は、反応種を反応させ、基板の表面上に膜を形成するように、化学種を含有する1つ以上のガスを基板の表面上へと指向するステップを伴う。例えば、CVDは、結晶性半導体ウエハ上に化合物半導体材料を成長させるために使用可能である。III−V半導体等の化合物半導体は、一般に、III族金属源およびV族元素源を使用して、ウエハ上に半導体材料の種々の層を成長させることによって形成される。時として、塩化物処理と称される、あるCVD処理では、III族金属は、最も一般的には、GaCl等の塩化物である、金属の揮発性ハロゲン化物として提供され、V族元素は、V族元素の水素化物として提供される。
【0003】
別の種類のCVDは、金属有機化学気相蒸着(MOCVD)である。MOCVDは、ガリウム、インジウム、およびアルミニウム等のIII族金属のアルキル等の1つ以上の金属有機化合物を含む、化学種を使用する。MOCVDはまた、NH、AsH、PH、およびアンチモンの水素化物等のV族元素のうちの1つ以上の水素化物を含む、化学種を使用するこれらの処理では、ガスは、サファイア、Si、GaAs、InP、InAs、またはGaPのウエハ等、ウエハの表面において、相互に反応し、一般式InGaAlAsSb(式中、X+Y+Zは、ほぼ1に等しく、A+B+C+Dは、ほぼ1に等しく、X、Y、Z、A、B、およびCはそれぞれ、0〜1であることが可能である)のIII−V化合物を形成する。いくつかの事例では、ビスマスが、他のIII族金属の一部または全部の代わりに、使用されてもよい。
【0004】
別の種類のCVDは、ハロゲン系気相成長法(HVPE)として知られる。あるHVPE処理では、III族窒化物(例えば、GaN、AlN)が、高温ガス状金属塩化物(例えば、GaClまたはAlCl)をアンモニアガス(NH)と反応させることによって形成される。金属塩化物は、高温HClガスを高温III族金属上を通過させることによって発生される。すべての反応は、温度制御された石英炉内で行なわれる。HVPEの特徴の1つは、いくつかの最先端の処理に対して、最大毎時100μmの超高成長率を有することが可能なことである。HVPEの別の特徴は、膜が、無炭素環境内で成長され、高温HClガスが、自己洗浄効果を提供するため、比較的に高品質の膜を堆積させるために使用可能なことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(様々な実施形態の説明)
明細書において、「一実施形態」または「ある実施形態」とは、実施形態と併せて説明される、特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも本教示の一実施形態内に含まれることを意味する。明細書中の種々の場所で使用される「一実施形態では」という語句は、必ずしも、すべて同一実施形態を指すわけではない。
【0006】
本教示の方法の個々のステップは、本教示が作用可能のままである限り、任意の順番および/または同時に、行われてもよいことを理解されたい。さらに、本教示の装置および方法は、本教示が作用可能のままである限り、任意の数またはすべての説明される実施形態を含むことが可能であることを理解されたい。
【0007】
次に、付随の図面に示されるその例示的実施形態を参照して、本教示をより詳細に説明する。本教示は、種々の実施形態および実施例と併せて説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替、修正、および均等部を包含する。本明細書の教示へのアクセスを有する当業者は、本明細書に説明される本開示の範囲内である、付加的実装、修正、および実施形態、ならびに他の使用分野を認識するであろう。
【0008】
本教示は、CVD、MOCVD、およびHVPE等の反応気相処理のための方法および装置に関する。半導体材料の反応気相処理では、半導体ウエハは、反応チャンバ内側のウエハ担体内に搭載される。ガス分散注入器または注入器ヘッドは、ウエハ担体に向かって面するように搭載される。注入器または注入器ヘッドは、典型的には、ガスの組み合わせを受容する、複数のガス入口を含む。注入器または注入器ヘッドは、化学気相蒸着のために、反応チャンバにガスの組み合わせを提供する。多くのガス分散注入器は、ヘッド上にあるパターンで離間されたシャワーヘッド状デバイスを有する。ガス分散注入器は、前駆体ガスが、可能な限りウエハに近接して反応し、したがって、ウエハ表面での反応処理およびエピタキシャル成長を最大限にするように、前駆体ガスをウエハ担体に指向する。
【0009】
いくつかのガス分散注入器は、化学気相蒸着処理の際、層状ガス流を提供する補助をする、シュラウドを提供する。また、1つ以上の担体ガスが、化学気相蒸着処理の際、層状ガス流を提供するのを補助するために使用可能である。担体ガスは、典型的には、処理ガスのいずれとも反応せず、化学気相蒸着処理に別様に影響を及ぼさない。ガス分散注入器は、典型的には、注入器のガス入口から、ウエハが処理される反応チャンバのある標的領域へと、前駆体ガスを指向する。
【0010】
例えば、MOCVD処理では、注入器は、アンモニアまたはアルシン等の金属有機物および水素化物を含む、前駆体ガスの組み合わせを、注入器を通して、反応チャンバ内へと導入する。水素、窒素、あるいはアルゴンまたはヘリウム等の不活性ガス等の担体ガスが、多くの場合、ウエハ担体において、層状流を維持する補助をするために、注入器を通して、反応器内に導入される。前駆体ガスは、反応チャンバ内で混合し、反応し、ウエハ上に膜を形成する。GaAs、GaN、GaAlAs、InGaAsSb、InP、ZnSe、ZnTe、HgCdTe、InAsSbP、InGaN、AlGaN、SiGe、SiC、ZnO、およびInGaAlP等の多くの化合物半導体が、MOCVDによって成長されている。
【0011】
MOCVDおよびHVPE処理の両方において、ウエハは、反応チャンバ内で高温に維持される。処理ガスは、典型的には、反応チャンバ内に導入されると、約50−60°C以下の比較的低温に維持される。ガスが、高温ウエハに到達するのに伴って、その温度、ひいては、反応のためのその利用可能エネルギーが、増加する。
【0012】
最も一般的種類のCVD反応器は、回転円盤状反応器である。そのような反応器は、典型的には、円盤状ウエハ担体を使用する。ウエハ担体は、処置される1つ以上のウエハを保持するように配列される、ポケットまたは他の特徴を有する。担体は、その上に位置付けられたウエハとともに、反応チャンバ内に載置され、上流方向を向いた担体のウエハ軸受表面によって保持される。担体は、典型的には、上流から下流方向に延在する軸を中心として、50rpm〜1,500rpmの範囲の回転速度で回転される。ウエハ担体の回転は、堆積される半導体材料の均一性を改善する。ウエハ担体は、本処理の際、約350°C〜約1,600°Cの範囲であり得る、所望の高温に維持される。
【0013】
担体が、軸を中心として回転される間、反応ガスは、担体上方の流動入口要素から、チャンバ内に導入される。流動ガスは、好ましくは、層状栓流として、担体およびウエハに向かって下方に通過する。ガスが、回転担体に接近するのに伴って、粘性抵抗が、担体の表面近傍の境界領域内において、ガスが、軸の周囲を担体の周辺に向かって外向きに流動するように、軸の周囲を回転するように推進する。ガスが、担体の外側縁にわたって流動するのに伴って、担体の下に位置付けられた排出ポートに向かって下方に流動する。最も一般的には、MOCVD処理は、一連の異なるガス組成、ある場合には、異なるウエハ温度で行なわれ、所望の半導体デバイスを形成するために要求される、異なる組成を有する半導体の複数の層を堆積させる。
【0014】
MOCVDおよびHVPE等のCVDのための周知の装置ならびに方法は、ウェブ上に材料を堆積させるために一般的に使用される、ロールツーロールシステム等の線形処理システムにとって好適ではない。本教示の装置および方法は、MOCVDならびにHVPE等の任意の種類のCVDを、線形搬送システム内に位置付けられたウエハ上で行なうことが可能である。そのような装置および方法のための特定の用途の1つは、太陽電池の加工である。そのような装置および方法のための別の特定の用途は、超電導材料の加工である。
【0015】
本教示は、好ましいかつ例示的実施形態に従って、そのさらなる利点とともに、付随の図面と関連して検討される、以下の発明を実施するための形態においてより具体的に説明される。当業者は、後述の図面が、例証目的のためだけのものであることを理解するであろう。図面は、必ずしも、正確な縮尺で描かれているわけではなく、代わりに、本教示の原理を例証するために、強調されている。図面は、出願人の教示の範囲をいかようにも限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本教示による、ロールツーロールCVDシステムの一実施形態を例証する。
【図2】図2Aは、堆積チャンバ内の複数の処理チャンバのうちの1つにおける複数の水平ガス吸入ポートの底面図を例証する。図2Bは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムの処理チャンバ内に単一水平ガス吸入ポートおよび単一ガス排出ポートを含む、処理チャンバの一部の側面図を例証する。図2Cは、均一膜厚がどのようにウェブの全体幅にわたって達成され得るかを例証する、ウェブの幅の関数として、膜厚のグラフを例証する。
【図3】図3Aは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムのための単一垂直ガス源の底面図および側面図を例証する。図3Bは、本教示による、複数の垂直ガス源のそれぞれが、ウェブの表面にわたって処理ガスを分散させるように、ウェブに沿って位置付けられる、ロールツーロールCVDシステムのための複数の垂直ガス源の側面図を例証する。
【図4】図4Aは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムのための単一垂直排出ポートの上面図および側面図を例証する。図4Bは、複数の垂直ガス源の反対の処理チャンバ内の単一垂直排出ポートの位置付けを例証する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本教示による、ロールツーロールCVDシステム100の一実施形態を例証する。ロールツーロールCVDシステム100は、少なくとも、供給ローラー102と、リターンローラー102’とを含み、それらのローラーは、複数のCVD処理チャンバ108を有する堆積チャンバ106を通ってウェブ104を搬送する。ウェブ104は、太陽電池などのデバイスのウェブ基板であり得る。
【0018】
代替として、ウェブ104は、ウェブ104の上に接触するかまたは離れて従来の半導体ウエハを搬送するように設計され得る。様々な実施形態において、ウェブ104は、処理中、ウェブ上に従来のウエハを支持するウエハ担体または他の構造を含み得る。空気軸受もまた、ウェブ104とウエハとの間にガスを注入することによって、ウェブ104の上に従来のウエハを支持するために用いられ得る。いくつかのシステムにおいて、空気軸受は、制御された方法でウェブ104に沿ってウエハを動かす。処理されたウエハは、ウエハハンドリング機構によってウェブ104から除去され得る。ウェブ104は、ウエハが複数の処理チャンバ108内で処理された後、洗浄され得、次いでさらなるウエハを処理するために再使用され得る。例えば、ウェブ104は、プラズマ洗浄処理または熱洗浄処理によって洗浄され得る。
【0019】
一実施形態において、供給ローラー102は、処理されるウェブ104を提供し、レシーブローラー102’は、供給ローラー102によって供給されるウェブ104を受け、処理されたウェブ材料のロールにウェブ104を巻き込む。図1に示される実施形態において、少なくとも2つのローラー102、102’は、供給ローラー102からレシーブローラー102’への1方向に堆積チャンバ106を通してウェブ104を搬送する。しかしながら、別の実施形態において、少なくとも2つのローラー102、102’は、1方向に堆積チャンバ106を通してウェブ104を搬送し、次いで堆積チャンバ106内でウェブ104の所望の部分が処理された後、少なくとも2つのローラー102、102’は、第1の方向とは反対の第2の方向に堆積チャンバ106を通してウェブ104を戻るように搬送する。
【0020】
種々の処理では、供給ローラー102およびレシーブローラー102’は、連続モードまたは段階的モードにおいて、ウェブ104を搬送する。連続モードでは、供給ローラー102およびレシーブローラー102’は、一定の搬送速度でウェブ104を搬送する。段階的モードでは、供給ローラー102およびレシーブローラー102’は、複数の別個のステップにおいて、堆積チャンバ106を通して、ウェブ104を搬送し、各ステップにおいて、ウェブ104は、複数の処理チャンバ108内のCVD処理に曝露されるように、所定の処理時間の間、静止する。
【0021】
堆積チャンバ106は、ウェブ104が供給ローラー102からレシーブローラー102’までの複数の処理チャンバ108を通して搬送されるように、ウェブ104が通過する通路110を画定する。複数の処理チャンバ108の各々はそれぞれ、別個の処理化学物質を維持する、障壁によって他の処理チャンバ108のそれぞれから隔離される。当業者は、多くの異なる種類の障壁が、複数の処理チャンバ108のそれぞれ内に別個の処理化学物質を維持するために使用可能であることを理解するであろう。
【0022】
例えば、複数の処理チャンバ108のそれぞれ内に別個の処理化学物質を維持する障壁は、隣接する処理チャンバ108間に不活性ガスを注入し、隣接する処理チャンバ108内のガスが混合するのを防止し、それによって、複数の処理チャンバ108のそれぞれ内に別個の処理化学物質を維持する、ガスカーテンであることが可能である。加えて、障壁は、別個の処理化学物質が、複数の処理チャンバ108のそれぞれ内に維持されるように、隣接する処理チャンバ108間のガスを除去する、隣接する処理チャンバ108間に位置付けられる、真空領域であることが可能である。
【0023】
複数の処理チャンバ108はそれぞれ、少なくとも1つのガス流入ポート112が少なくとも1つの処理ガスを処理チャンバ108内に注入するように、少なくとも1つのCVD処理ガス源114に連結される、少なくとも1つのガス流入ポート112を含む。処理ガスは、CVDシステム100に近接して設置可能であるか、または遠隔場所に設置可能である。多くの実施形態では、MOCVDガス源等の複数のCVDガス源は、ガス分散マニホールド116を通して、複数の処理チャンバ108のそれぞれのガス流入ポート112に接続されるように利用可能である。本教示の特徴の1つは、堆積システム100が、ガス分散マニホールド116を構成することによって、堆積される材料構造を変化させるように容易に構成可能なことである。例えば、ガス分散マニホールド116は、マニホールド116において、手動で構成可能であるか、または電気的に動作される弁およびソレノイドを作動させることによって、遠隔で構成可能である。そのような装置は、堆積された材料構造を変化させるように、容易に再構成可能であるため、研究環境に好適である。
【0024】
ガス流入ポート112は、少なくとも1つのCVDガスがウェブ104に到達するまで、CVDガスが反応するのを実質的に防止する、ガス分散ノズルを含むことが可能である。そのようなガス分散ノズルは、ウェブの表面104上に堆積される材料内に反応副産物が埋入されることを防止する。加えて、複数の処理チャンバ108はそれぞれ、処理ガスおよび反応副産物ガスの出口を提供する、少なくとも1つのガス排出ポート118を含む。複数の処理チャンバ108のそれぞれのための少なくとも1つの排出ポート118は、排出マニホールド120に連結される。真空ポンプ122は、排出マニホールド120に連結される。真空ポンプ122は、排出マニホールドを真空化し、それによって、処理ガスおよび反応副産物ガスを複数の処理チャンバ108から除去する、圧力差を生成する。
【0025】
ガス流入ポート112およびガス排出ポート118は、堆積チャンバ設計および所望の処理条件に応じて、種々の方法において構成可能である。多くの実施形態では、ガス流入ポート112およびガス排出ポート118は、処理ガスの反応がウェブ104から離れて発生するのを実質的に防止し、それによって、堆積される膜の汚染を防止するように構成される。図2A、2B、2C、3A、3B、4A、および4Bならびに関連する本文は、ガス流入112ならびにガス排出ポート118の種々の構成を示す。
【0026】
多くの実施形態では、ガス流入ポート112は、第1の場所に位置付けられ、ガス排出ポート118は、第2の場所に位置付けられる。例えば、具体的実施形態の1つでは、ガス流入ポート112は、処理チャンバ108の上部表面に位置付けられ、ガス排出ポート118は、処理チャンバ108の1つの側に位置付けられる。別の具体的実施形態では、ガス流入ポート108は、処理チャンバ108の1つの側に位置付けられ、対応する排出ポート118は、CVD処理ガスが、処理チャンバ108にわたって流動するように、処理チャンバ108の他側に位置付けられる。
【0027】
別の実施形態では、少なくとも2つのガス流入ポート112は、種々の構成において、異なる場所に位置付けられる。例えば、具体的実施形態の1つでは、1つのガス流入ポート112は、ウェブ104上へとガスを流動させるように位置付けられる一方、別のガス流入ポート112は、ウェブ104にわたってガスを流動させるように位置付けられる。そのような構成は、ウェブ104上へとアルシンガスを流動させる一方、同時に、ウェブ104にわたってTMGガスを流動させ、MOVCDのために、ガスの均一混合物を生成するために使用され得る。
【0028】
別の実施形態では、少なくとも2つの排出ポート118は、複数の堆積チャンバ108のうちの少なくともいくつか内の異なる場所に位置付けられる。例えば、具体的実施形態の1つでは、排出ポート118は、処理ガスのポンピングが、ウェブの表面104全体にわたって生じるように、複数の処理チャンバ108のうちの少なくともいくつかの両側に位置付けられる。
【0029】
別の実施形態では、少なくともいくつかの処理チャンバ108は、ウェブ104の1つの側に少なくとも1つのガス流入ポート112と、ウェブ104の他側に少なくとも1つの排出ポート118と、を有するように構成される。非常に均一な堆積厚は、後続処理チャンバ108内のガス流入ポート112側を交互することによって、ウェブ104にわたって達成可能である。例えば、第1の処理チャンバ108は、ウェブ104の第1の側にガス流入ポート112と、ウェブ104の第2の側に排出ポート118と、を有するように構成可能であって、第2の後続処理チャンバ108は、ウェブ104の第2の側にガス流入ポート112と、ウェブ104の第1の側に排出ポート118と、を有するように構成可能である。本構成は、後続処理チャンバ108の一部または全部に関して反復可能である。例えば、交互処理チャンバ108内において、処理ガスがウェブ104の両側に注入される際、均一堆積厚がどのように得られ得るかを例証する、図2Cに示されるグラフ280を参照されたい。
【0030】
別の実施形態では、少なくともいくつかの処理チャンバ108は、ウェブ104の下に少なくとも1つのガス流入ポート112と、ウェブ104の1つの側または両側に少なくとも1つの排出ポート118と、を有するように構成される。さらに別の実施形態では、少なくともいくつかの処理チャンバ108は、ウェブ104の上方に少なくとも1つのガス流入ポート112と、ウェブ104の1つの側または両側に少なくとも1つの排出ポート118と、を有するように構成される。
【0031】
ウェブ104は、多くのCVD処理のために加熱される。ウェブ104が複数の処理チャンバ108を通して搬送される間、ウェブ104を所望の処理温度に加熱するために使用可能である、多数の種類のヒータが存在する。一実施形態では、放射ヒータは、ウェブ104を所望の処理温度に加熱するために、ウェブ104に近接して位置付けられる。別の実施形態では、黒鉛ヒータ等の加熱要素が、ウェブ104を所望の処理温度に加熱するために、ウェブ104と熱接触するように位置付けられる。別の実施形態では、RF誘導コイルは、RF誘導コイルからのエネルギーが、ウェブ104を加熱するように、ウェブ104に近接して位置付けられる。さらに別の実施形態では、ウェブ104自体が、抵抗ヒータとして使用される。本実施形態では、ウェブ104は、抵抗加熱するために好適な抵抗率をもたらす、材料および厚さから構築される。電源は、ウェブ104に電気的に接続される。電源によって発生される電流は、ウェブ104が、所望の処理温度に加熱されるように調整される。当業者は、他の種類のヒータが、ウェブ104を加熱するために使用可能であることを理解するであろう。加えて、当業者は、2つ以上の種類のヒータが、ウェブ104を加熱するために使用可能であることを理解するであろう。
【0032】
本教示の堆積システムの特徴の1つは、複数の処理チャンバ108はそれぞれ、材料構造内に層を画定するため、堆積される膜の材料構造が、堆積チャンバ106の幾何学形状によって画定されることである。言い換えると、堆積処理は、堆積チャンバ106内に空間的に分散される。したがって、堆積チャンバ106内の複数の処理チャンバ108の幾何学形状は、材料構造をかなりの程度まで決定する。搬送速度、ガス流速、排出伝導性、ウェブ温度、および複数の処理チャンバ108内の圧力等の処理パラメータもまた、膜品質および膜厚等の材料構造の特定を決定する。そのような堆積装置は、非常に多目的であって、高処理量の大量生産に好適である。加えて、そのような堆積装置は、堆積された材料構造を変化させるために容易に再構成可能であるため、研究用途に好適である。
【0033】
本教示の堆積システムの別の特徴は、処理チャンバ108の寸法およびウェブ104の搬送速度が、ウェブ104が処理ガスに曝露されるCVD反応時間を画定することである。そのような構成は、ガス弁の精度に依存せず、したがって、公知のCVD処理と比較して、より正確かつ再現性のあるCVD反応時間をもたらすことが可能である。本教示の堆積システムの別の特徴は、ウェブ全体が実質的に同一処理条件に曝露されるため、システムが非常に再現性があることである。
【0034】
本教示の堆積システムのさらに別の特徴は、堆積チャンバ106内においてシステムが堆積される膜の現場での特性化を行なうように容易に構成可能なことである。したがって、ロールツーロールCVDシステム100は、ウェブ104に沿ったいずれかの場所に位置付けられる、現場測定デバイス124を含むことが可能である。例えば、現場測定デバイス124は、CVD処理チャンバ108内に位置付け可能である。当業者は、多数の種類の現場測定デバイスが、処理チャンバ108内または処理チャンバ108間において堆積される膜を特性化するために使用可能であることを理解するであろう。
【0035】
例えば、現場測定デバイス124のうちの少なくとも1つは、堆積の際、温度を測定する高温計であることが可能である。高温計は、ウェブ104の温度を制御する、1つ以上のヒータの出力電力を制御する、フィードバック信号を提供可能である。種々の実施形態では、1つ以上の高温計が、堆積チャンバ106内においてウェブ104の全部分の温度を制御する単一ヒータを制御するために使用可能であるか、または1つ以上の個々のCVD処理チャンバ108を加熱するヒータを制御するために使用可能である。
【0036】
現場測定デバイス124のうちの少なくとも1つはまた、堆積される膜の厚さおよび/または成長速度を測定する、反射率計であることが可能である。反射率計は、ウェブ搬送速度、処理ガス流速、およびCVD処理チャンバ112内の圧力等の種々の堆積パラメータを制御する、フィードバック信号を提供可能である。
【0037】
一実施形態では、堆積チャンバ106は、特定のCVD処理のために、複数の処理チャンバ108のうちの少なくともいくつかの物理的寸法を構成するための手段を有する。例えば、複数の処理チャンバ108のうちの少なくともいくつかは、調節可能寸法を有するように構築可能である。加えて、複数の処理チャンバ108のうちの少なくともいくつかは、異なる寸法を有する、他の処理チャンバ108と容易に交換されるように、可撤性であるように構成可能である。そのような装置では、オペレータは、処理チャンバ108を所望の材料構造に対応する堆積チャンバ106内に挿入可能である。
【0038】
図2A−2Cは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムのための処理チャンバ200内における水平処理ガス注入の種々の側面を例証する。図2Aは、堆積チャンバにおける複数の処理チャンバ204のうちの1つ内の複数の水平ガス吸入ポート202の底面図を例証する。底面図は、複数のガス吸入ポート202から注入されたガスが、ウェブ206の表面上で反応するように、複数のガス吸入ポート202にわたって搬送する、ウェブ206を示す。
【0039】
図2Bは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムの処理チャンバ内に単一水平ガス吸入ポート252および単一ガス排出ポート254を含む、処理チャンバ250の一部の側面図を例証する。側面図250は、ガス吸入ポート252にわたって搬送する、ウェブ256を示す。
【0040】
図2Cは、ウェブ256の幅の関数として、膜厚のグラフ280を例証する(図2B)。グラフ280は、ウェブ256の全体幅にわたって、均一膜厚を達成する方法の1つを例証する。グラフ280は、処理ガスが、交互処理チャンバ108内のウェブ104の両側で注入されると(図1)、非常に均一な厚さを達成可能であることを例証する。
【0041】
図3A−3Bは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムのための処理チャンバ内での垂直処理ガス注入の種々の側面を例証する。図3Aは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムのための単一垂直ガス源304の底面図300および側面図302を例証する。底面図300は、ウェブ308の全体幅にわたって、処理ガスを均一に分散可能なガス注入ノズル306を例証する。
【0042】
図3Bは、本教示による、複数の垂直ガス源352のそれぞれが、ウェブ354の表面にわたって、処理ガスを分散させるように、ウェブ354に沿って位置付けられる、ロールツーロールCVDシステムのための複数の垂直ガス源352の側面図350を例証する。そのような垂直ガス源は、特定の所望の材料構造を堆積させるように容易に交換可能である。また、そのような垂直ガス源は、特定のウェブ搬送速度のために、堆積厚を変化させるように、システムに追加および/またはそこから除去可能である。図4Aおよび4Bは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムのための処理チャンバ内の垂直排出ポートの種々の側面を例証する。図4Aは、本教示による、ロールツーロールCVDシステムのための単一垂直排出ポート404の上面図400および側面図402を例証する。上面図400は、ウェブ406を示す。図4Bは、複数の垂直ガス源454の反対の処理チャンバ内の単一垂直排出ポート452の側面図450を例証する。
【0043】
図1を参照すると、本教示による、化学気相蒸着システム100を動作させる方法は、複数の処理チャンバ108を通して、ウェブ104を搬送するステップを含む。ウェブ104は、所望の処理温度に加熱可能である。いくつかの方法では、複数の処理チャンバ108のうちの少なくとも1つの寸法は、特定のCVD処理のために変更される。ウェブ104は、一方向にのみ、複数の処理チャンバ108を通して搬送可能であるか、または前方方向に、次いで、前方方向と真逆の逆方向に、複数の処理チャンバ108を通して搬送可能である。加えて、ウェブ104は、一定の搬送速度で、複数の処理チャンバ108を通して搬送可能であるか、または複数の別個のステップにおいて、複数の処理チャンバ108を通して搬送可能である。いくつかの方法では、ウエハが複数の処理チャンバを通して搬送される間、膜が、化学気相蒸着によってウエハ上に堆積されるように、ウエハは、ウェブ104の上で空気軸受上を搬送される。
【0044】
方法はまた、化学気相蒸着によって、所望の膜の堆積をもたらす流速において、少なくとも1つのCVDガスを複数の処理チャンバのそれぞれに提供するステップを含む。少なくとも1つのCVDガスは、MOCVDガスであることが可能である。方法は、所望のCVDガスを複数の処理チャンバのうちの少なくともいくつかに提供するように、ガス分散マニホールドを構成するステップを含むことが可能である。
【0045】
加えて、方法は、種々の手段によって、複数の処理チャンバ108のうちの少なくともいくつか内に処理化学物質を隔離するステップを含む。例えば、方法は、隣接する処理チャンバ間にガスカーテンを発生させることによって、処理化学物質を隔離するステップを含むことが可能である。代替として、方法は、隣接する処理チャンバ間の領域を真空化するステップを含むことが可能である。
(均等物)
本出願人の教示が、種々の実施形態と併せて説明されたが、本出願人の教示が、そのような実施形態に限定されることを意図するものではない。対照的に、本出願人の教示は、当業者によって理解されるように、本教示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に成され得る、種々の代替、修正、および均等物を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールツーロールCVDシステムであって、
a.CVD処理の際、ウェブを搬送する、少なくとも2つのローラーと、
b.該少なくとも2つのローラーによって搬送される間、該ウェブを通過させるための通路を画定する堆積チャンバであって、該堆積チャンバは複数の処理チャンバを含み、該複数の処理チャンバは、複数の処理チャンバのそれぞれに別個の処理化学物質を維持する障壁によって隔離され、該複数の処理チャンバはそれぞれ、ガス流入ポートおよびガス排出ポートを含む、堆積チャンバと、
c.該複数の処理チャンバのそれぞれの該ガス流入ポートに連結される、少なくとも1つのCVDガス源と
を含む、システム。
【請求項2】
前記少なくとも2つのローラーは、前記複数の処理チャンバを通して一方向にのみ、前記ウェブを搬送する、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項3】
前記少なくとも2つのローラーは、前記複数の処理チャンバを通して、第1の方向に、次いで、該第1の方向とは反対の第2の方向に、該複数の処理チャンバを通して戻るように該ウェブを搬送する、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項4】
前記少なくとも2つのローラーは、前記ウェブを連続的に搬送する、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項5】
前記少なくとも2つのローラーは、複数の別個のステップにおいて、前記ウェブを搬送する、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項6】
前記複数の処理チャンバのうちの少なくともいくつかの前記ガス流入ポートは、前記少なくとも2つのCVDガスが前記ウェブに到達するまで、CVDガスが反応するのを実質的に防止するガス分散ノズルを含む、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項7】
前記ガス流入ポートのうちの少なくともいくつかは、前記処理チャンバの上部表面に位置付けられ、対応する排出ポートは、該処理チャンバの少なくとも1つの側に近接して位置付けられる、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項8】
前記処理チャンバのうちの少なくともいくつかは、該処理チャンバの1つの側に近接して位置付けられるガス流入ポートを有して構成され、対応する排出ポートは、前記CVD処理ガスが、該処理チャンバにわたって流動するように、該処理チャンバのもう1つの側に近接して位置付けられる、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのCVDガス源は、堆積厚の均一性を改善するために、交互処理チャンバの両側で注入される、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項10】
前記障壁のうちの少なくともいくつかは、ガスカーテンを含む、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項11】
前記障壁のうちの少なくともいくつかは、隣接する処理チャンバ間に真空領域を含む、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項12】
前記ウェブを所望の処理温度に加熱する、該ウェブに近接して位置付けられる、放射ヒータをさらに含む、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項13】
前記ウェブは、該ウェブを所望の処理温度に加熱する、加熱要素と熱接触するように位置付けられる、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項14】
RFコイルが、該RFコイルに近接するウェブの温度を上昇させるように、該ウェブと電磁連通して位置付けられる、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項15】
前記ウェブに電気的に接続される電源であって、該電源は、該ウェブの温度を制御する電流を該ウェブに提供する、電源をさらに含む、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項16】
前記ウェブは、該ウェブの上でウエハを支持する、複数の空気軸受を含む、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項17】
前記複数のCVDガス源と前記複数の処理チャンバのうちの少なくともいくつかの前記ガス流入ポートとの間に連結される、ユーザ構成可能ガス分散マニホールドをさらに含む、請求項1に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項18】
ロールツーロールCVDシステムであって、
a.複数の処理チャンバを通して、ウェブを搬送する手段と、
b.該複数の処理チャンバのうちの少なくともいくつかに処理化学物質を隔離する手段と、
c.化学気相蒸着によって、該複数の処理チャンバのそれぞれ内において、該ウェブ上に所望の膜を堆積させるために、該複数の処理チャンバに複数のCVDガスを提供する手段と
を含む、システム。
【請求項19】
前記ウェブは、化学気相蒸着のために、ウエハを支持する手段を含む、請求項18に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項20】
特定のCVD処理のために、前記複数の処理チャンバのそれぞれの寸法を構成するための手段をさらに含む、請求項18に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項21】
所望のガス混合物が、前記複数の処理チャンバのそれぞれに提供されるように、複数のCVDガス源を構成するためのガスマニホールド切替手段をさらに含む、請求項18に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項22】
特定のCVD反応を促進するために、前記ウェブを所望の処理温度に加熱するための手段をさらに含む、請求項18に記載のロールツーロールCVDシステム。
【請求項23】
化学気相蒸着の方法であって、該方法は、
a.複数の処理チャンバを通してウェブを搬送することと、
b.該複数の処理チャンバのうちの少なくともいくつか処理化学物質を隔離することと、
c.化学気相蒸着によって、所望の膜を堆積させる流速において、該複数の処理チャンバのそれぞれに少なくとも1つのCVDガスを提供することと
を含む、方法。
【請求項24】
前記ウェブは、第1と第2の方向に、前記複数の処理チャンバを通して搬送される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ウェブは、前記複数の処理チャンバを通して、連続的に搬送される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ウェブは、複数の別個のステップにおいて、前記複数の処理チャンバを通して搬送される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の処理チャンバのうちの少なくともいくつか内に前記処理化学物質を隔離することは、該複数の処理チャンバのうちの少なくともいくつか間にガスカーテンを発生させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記ウェブを所望の処理温度に加熱することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の処理チャンバのうちの少なくともいくつかに所望のCVDガスを提供するように、ガス分散マニホールドを構成することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
特定のCVD処理のために、前記複数の処理チャンバのうちの少なくとも1つの寸法を変更することをさらに含む、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2012−529562(P2012−529562A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514154(P2012−514154)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/037331
【国際公開番号】WO2010/144302
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(509348580)ビーコ インストゥルメンツ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】