説明

ワイヤー形態の金属シリサイドを備えるSiベースの物質層及びその製造方法

【課題】ワイヤー形態の金属シリサイドを備えるSiベースの物質層及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数のグレインを備え、グレイン境界に金属シリサイドが形成されたSiベースの物質層である。また、Siベースの基板に所定厚さの非晶質層を形成する工程と、非晶質層に所定の金属イオンをドーピングする工程と、金属イオンがドーピングされた非晶質層をアニーリングする工程とを含むSiベースの物質層の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属シリサイド、特にワイヤー形態の金属シリサイドを備えるSiベースの物質層及びその製造方法に関する。さらに具体的には、電界放出特性及び伝導特性にすぐれたナノスケールのワイヤー形態の金属シリサイドを備える、Siベースの物質層及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の集積度が高くなりつつあり、半導体素子、例えば金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:MOSFET)やキャパシタのサイズも、サブミクロン以下と小さくなっている。
【0003】
従来、金属シリサイドは、主に小型化される半導体素子内でコンタクト領域、例えばMOSFETのゲート、ソース、及びドレインのコンタクト領域の面抵抗と接触抵抗とを低くするための手段として適用された。すなわち、コンタクト領域にSiと金属との反応生成物である金属シリサイド層を形成して、前記コンタクト領域の面抵抗と接触抵抗とを低くする方法が広く使われ、金属シリサイドの形成に関する技術は、ほとんど層形態の金属シリサイドの形成に関する技術に限定されていた。
【0004】
特許文献1及び2は、金属シリサイドを形成する方法を開示している。
【0005】
特許文献1は、イオン注入により基板に非晶質Si層を形成し、非晶質Si層上にTi、Co、Ni等の金属層を蒸着した後、レーザで金属層の表面をアニーリングして金属シリサイドを形成する方法を開示している。
【0006】
また、特許文献2は、Tiを蒸着し、0.09ないし0.15J/cmのエネルギー密度で1次レーザアニーリングしてC49 TiSiを形成した後、再び0.1ないし0.2J/cmの条件で2次アニーリングをすると、C54 TiSiが形成されると報告している。
【特許文献1】米国特許第6,387,803号明細書
【特許文献2】米国特許第6,156,654号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述した金属シリサイドの形成方法は、単純に層形態の金属シリサイドを形成する方法であり、次世代の多様な応用分野を有するナノスケールのワイヤー形態の金属シリサイドを形成する方法は提供されていなかった。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、電界放出特性及び伝導特性にすぐれる金属シリサイド、特にナノスケールのワイヤー形態の金属シリサイドを備えるSiベースの物質層及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数のグレインを備え、前記複数のグレインの間のグレイン境界に金属シリサイドが形成されたSiベースの物質層を提供する。
【0010】
また本発明は、Siベースの基板に所定の厚さの非晶質層を形成する工程、前記非晶質層に所定の金属イオンをドーピングする工程、及び前記金属イオンがドーピングされた非晶質層をアニーリングする工程を含み、前記アニーリング工程は、前記金属イオンがドーピングされた非晶質層を、複数のグレインを備える多結晶層に結晶化し、前記グレイン境界に金属シリサイドを形成する、Siベースの物質層の製造方法を提供する。
【0011】
また本発明は、Siベースの基板、前記Siベースの基板上に形成されるものであって、複数のグレインと前記グレイン境界に形成された金属シリサイドとを備えるSiベースの物質層、前記Siベースの物質層の上面の所定領域上に設けられたスペーサ、前記スペーサにより前記Siベースの物質層の上面から所定の間隔で離れて設けられる第1電極、及び前記第1電極に対応して前記Siベースの基板の底面に設けられた第2電極を備えるフィールドエミッタを提供する。そして、このようなフィールドエミッタを備える電界放出ディスプレイ(FED)を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、Siベースの物質層内にナノスケールのワイヤー形態の金属シリサイドを形成させることができる。
【0013】
このようなワイヤー形態の金属シリサイドを備えるSiベースの物質層は、電界放出特性及び伝導特性にすぐれており、フィールドエミッタ材料、デバイスとデバイスとを連結するコンダクタ材料、及び配線材料として使われ、その他多様な半導体素子に適用されうる。
【0014】
特に、本発明によるワイヤー形態の金属シリサイドを備えるSiベースの物質層、及びその製造方法をFED、半導体メモリ素子、及び次世代素子に適用する場合、高品質の素子を効果的に製作できるだけでなく、素子の性能を増大させて製品競争力を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明によるワイヤー形態の金属シリサイドを備えるSiベースの物質層及びその製造方法を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態によって製造されたSiベースの物質層の断面部の走査型透過電子顕微鏡(STEM)写真である。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態によって製造されたSiベースの物質層の平面部のSTEM写真である。
【0018】
図1及び図2に示すように、Siベースの物質層26は、複数のグレインを備えており、前記グレイン境界に金属シリサイド28が形成されている。前記金属シリサイド28は、前記Siベースの物質層26の表面から所定の深さほど垂直方向に形成されうる。
【0019】
ここで、前記金属シリサイド28の形成は垂直方向のみに限定されるものではなく、表面から所定の深さほど傾斜方向に形成されてもよい。
【0020】
前記金属シリサイドは、前記グレイン境界の三重点でさらに安定的に形成され、これは、アニーリングまたは金属イオンのドーピング条件により制御されうる。この際、前記グレイン境界の三重点に形成された前記金属シリサイドは、ワイヤー形態を有する。
【0021】
前記金属は、Ag、Au、Al、Cu、Cr、Co、Ni、Ti、Sb、V、Mo、Ta、Nb、Ru、W、Pt、Pd、Zn及びMgから成る群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。したがって、列挙した金属はそれぞれ単独または組み合わせで使われる。
【0022】
また、前記金属シリサイドは、1×1010atoms/cmないし1×1017atoms/cmの金属イオンを含むことが好ましい。
【0023】
前記Siベースの物質層は、Si層、SiGe層、またはSiC層であることが好ましい。
【0024】
前記金属シリサイドの直径は、0.1nmないし100nmであり、前記金属シリサイドの長さは、0.1nmないし1000nmである。好ましくは、前記金属シリサイドの直径は、1nmないし10nmであり、前記金属シリサイドの長さは、10nmないし50nmである。
【0025】
図3Aないし図3Dは、本発明の一実施形態によるワイヤー形態の金属シリサイドを備える、Siベースの物質層の製造方法を説明する工程フローチャートである。
【0026】
図3Aないし図3Dに示すように、まずSiベースの基板20にC、Si、Ge、Sn、及びPbのような14族元素イオンをドーピングして、基板20の所定の厚さを非晶質層22に変化させる。ここで、14族元素イオンのドーピングは、イオン注入装置により行うことが好ましく、その他の周知のイオンドーピング装置を使ってもよい。
【0027】
前記Siベースの基板20は、Si基板、SiGe基板、またはSiC基板であることが好ましく、その他にSi元素を含有している材料も、基板材料とすることができる。また、本願発明で指称する前記Siベースの基板20は、SiO基板、MgO基板、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)基板、結晶質Si基板、及び非晶質Si基板から成る群から選択されるいずれか一つの基板上に、Si層、SiGe層、またはSiC層が形成されたものも好ましい。
【0028】
次いで、前記非晶質層22に所定の金属イオンをドーピングして、前記非晶質層22を金属イオンがドーピングされた非晶質層24に変化させる。
【0029】
前記金属は、Ag、Au、Al、Cu、Cr、Co、Ni、Ti、Sb、V、Mo、Ta、Nb、Ru、W、Pt、Pd、Zn、及びMgから成る群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。したがって、それぞれの金属は単独または組み合わせで使われる。
【0030】
具体的に、前記金属イオンのドーピング量は、1×1010atoms/cmないし1×1017atoms/cmであることが好ましい。
【0031】
前記金属イオンのドーピングは、イオン注入装置により行うことが好ましく、前記金属イオンのドーピングエネルギーは、1keVないし1000keVであることが好ましい。
【0032】
本発明の他の実施形態によれば、前記金属イオンのドーピングは、周知の他のイオンドーピング装置を使ってもよい。
【0033】
次いで、前記金属イオンがドーピングされた非晶質層24をレーザビームでアニーリングする。前記アニーリングは、前記金属イオンがドーピングされた非晶質層24が複数のグレインを備える多結晶層に結晶化され、前記グレイン境界に金属シリサイド28が形成されるまで行われ続ける。前記金属シリサイド28は、グレイン境界の三重点で安定的に形成されることが好ましく、これは、アニーリングにより制御されうる。
【0034】
前記レーザビームのエネルギー密度は、50mJ/cmないし3000mJ/cmである。好ましくは、レーザビームのエネルギー密度は、700mJ/cmないし1500mJ/cmである。
【0035】
本発明の他の実施形態によれば、前記アニーリングは、加熱手段が備えられた他の装置により行ってもよい。
【0036】
前記アニーリングにより、複数のグレインを備え、前記グレイン境界に金属シリサイド28が形成されたSiベースの物質層26が形成されうる。
【0037】
例えば、非晶質Si層内にドーピングされた金属イオンは、非晶質Si層の結晶化を容易にし、非晶質Si層内で金属シリサイド28を形成させる。前記金属シリサイド28は、アニーリング過程でさらに形成されることもある。
【0038】
前記レーザビームのアニーリング効果により、前記非晶質Si層内で複数のSi結晶の核が生成され、前記核が次第に成長してSi結晶のグレインとなる。
【0039】
前記Si結晶の核生成及び成長により、非晶質Si層の結晶化が起き、前記Si結晶のグレイン境界は、まだ結晶化が起きていない非晶質Siの方に移動する。前記グレイン境界の移動と共に、Si結晶のグレインは、次第に成長し、非晶質Si層が結晶化されうる。
【0040】
Si結晶粒子の成長と共に、前記Si層内の金属シリサイドは、グレイン境界またはグレイン境界の近辺に拡散し、前記金属シリサイドは、グレイン境界またはグレイン境界の近辺に分布する。
【0041】
最終的に、グレイン境界の拡散効果により、グレイン境界またはグレイン境界の近辺に存在する金属シリサイドは、グレイン境界に沿って拡散して、グレイン境界の三重点でさらに安定的に存在しうる。
【0042】
このように、グレイン境界の三重点に形成された金属シリサイドは、ナノスケールのワイヤー形態を有することができる。
【0043】
すなわち、前記金属シリサイドは、ワイヤー形態を有し、前記Si層の表面から所定の深さほど垂直方向に形成されうる。
【0044】
ここで、前記金属シリサイドの形成は、垂直方向のみに限定されるものではなく、表面から所定の深さほど傾斜方向に形成されてもよい。
【0045】
前記金属シリサイドの直径は、0.1nmないし100nmであり、前記金属シリサイドの長さは、0.1nmないし1000nmである。好ましくは、前記金属シリサイドの直径は、1nmないし10nmであり、前記金属シリサイドの長さは、10nmないし50nmである。
【0046】
本発明によれば、Siベースの物質層内にナノスケールのワイヤー形態の金属シリサイドを形成させることができる。
【0047】
このようなワイヤー形態の金属シリサイドを備えるSiベースの物質層は、電界放出特性及び伝導特性にすぐれており、フィールドエミッタ材料、デバイスとデバイスとを連結するコンダクタ材料、及び配線材料として使われ、その他多様な半導体素子に適用されうる。
【0048】
特に、本発明によるワイヤー形態の金属シリサイドを備える、Siベースの物質層及びその製造方法をFED、半導体メモリ素子、及び次世代素子に適用する場合、高品質の素子を効果的に製作できるだけでなく、素子の性能を増大させて製品競争力を高めることができる。
【実施例】
【0049】
本実施例では、まずSiイオンを50keVのエネルギー、2×1015atoms/cmの量でSi基板にイオン注入して、Si基板に所定の厚さの非晶質Si層を形成した。
【0050】
次いで、Niイオンを25keVのエネルギー、5×1015atoms/cmの量で前記非晶質Si層にイオン注入した。
【0051】
次いで、前記Niイオンが注入されたサンプルを真空チャンバ内に設置した後、約10−3torr(1.32×10−6atm)の真空を維持したままで、エキシマーレーザビームを利用して前記サンプルをアニーリングした。
【0052】
本実施例で使用したレーザは、KrFエキシマーレーザビームであり、レーザビームのエネルギー密度が300ないし700mJ/cmの条件でアニーリングした。
【0053】
図4は、アニーリング前のサンプル構造を示す透過電子顕微鏡(TEM)写真である。SiとNiとのイオン注入の結果により、Si基板に約87nmの厚さの非晶質Si層が形成され、NiとSiとの反応により形成されうるクラスターがないということが観察できる。
【0054】
図5は、X線光電子分光装置(XPS)を利用してそれぞれNiイオンを注入した直後、300mJ/cm及び500mJ/cmのエネルギー密度でアニーリングしたサンプルで測定されたNi 2p spectrumを示す。
【0055】
NiとSiとの反応の有無を判断するために、純粋なNiサンプルも共に測定して比較した。純粋なNiサンプルの場合、Ni 2p peakは、852.61eVで現れるが、残りのあらゆるサンプルのNi 2p peakは、853.71eVで現れる。
【0056】
このような結果は、NiとSiとの反応による金属シリサイドが形成されたということを意味する。すなわち、Niイオンを注入した直後に注入されたイオンの運動エネルギーによって、金属シリサイドが形成されることが分かる。
【0057】
図6A及び図6Bは、それぞれ300mJ/cm(図6A)及び500mJ/cm(図6B)のエネルギー密度でレーザアニーリングしたサンプルについての断面部のSTEM写真である。
【0058】
図6A及び図6Bに示すように、ワイヤー形態の金属シリサイドがSiグレイン境界に存在することが観察できる。また、Siグレイン境界領域で、エネルギー分散型蛍光X線装置(EDX)によるラインプロファイル分析、及びマッピングを行った結果、NiとSiとが主成分であることが分かった。すなわち、図6A及び図6Bから観察されたナノスケールのワイヤー形態の金属シリサイドは、Niシリサイドであることが分かった。
【0059】
図7A及び図7Bは、それぞれ600mJ/cm(図7A)及び700mJ/cm(図7B)のエネルギー密度でレーザアニーリングしたサンプルについての平面部のSTEM写真である。
【0060】
サンプルのSiグレイン境界に沿ってNiシリサイドが存在し、グレイン境界の三重点にNiシリサイドが形成されていることが分かる。
【0061】
図8は、700mJ/cmのエネルギー密度でレーザアニーリングしたサンプルについての電界放出特性を示すグラフである。
【0062】
電圧の上昇につれて、電流密度対電圧のグラフが線形的な結果を示し、これにより、Siベースの物質層が電界放出特性を有することが分かる。
【0063】
図9は、図3Aないし図3Dの工程過程で製造されたSiベースの物質層を備えるフィールドエミッタを具体化した概略的な断面図である。ここで、同一の構成要素については、重複される説明を省略し、同一の参照番号をそのまま使用する。
【0064】
図9に示すように、本発明によるフィールドエミッタは、Siベースの基板20、前記Siベースの基板20上に形成されるものであって、複数のグレインと前記グレイン境界に形成された金属シリサイド28とを備えるSiベースの物質層26、前記Siベースの物質層26の上面の所定領域上に設けられたスペーサ32、前記スペーサ32により前記Siベースの物質層26の上面から所定の間隔で離れて設けられる第1電極110、及び前記第1電極110に対応して前記Siベースの基板20の底面に設けられた第2電極120を備える。ここで、前記第1電極110及び第2電極120は、導電性物質で形成することができ、前記スペーサ32は、絶縁性物質で形成することができる。
【0065】
そして、このような構成要素を有するフィールドエミッタは、FED素子に適用できる。
【0066】
前記した説明で多くの事項が具体的に記載されているが、それらは、発明の範囲を限定するものというより、好ましい実施形態の例示として解釈されなければならない。本発明の範囲は、説明した実施形態により定義されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想により定義されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、FED、半導体メモリ素子及び次世代素子に関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態によって製造された、Siベースの物質層の断面部のSTEM写真である。
【図2】本発明の一実施形態によって製造された、Siベースの物質層の平面部のSTEM写真である。
【図3A】本発明の一実施形態によるワイヤー形態の金属シリサイドを備える、Siベースの物質層の製造方法を説明する工程フローチャートである。
【図3B】本発明の一実施形態によるワイヤー形態の金属シリサイドを備える、Siベースの物質層の製造方法を説明する工程フローチャートである。
【図3C】本発明の一実施形態によるワイヤー形態の金属シリサイドを備える、Siベースの物質層の製造方法を説明する工程フローチャートである。
【図3D】本発明の一実施形態によるワイヤー形態の金属シリサイドを備える、Siベースの物質層の製造方法を説明する工程フローチャートである。
【図4】実施例で、アニーリング前のサンプル構造を示すTEM写真である。
【図5】実施例で、それぞれNiイオンを注入した直後、300mJ/cm及び500mJ/cmのエネルギー密度でアニーリングしたサンプルについてのXPS結果を示す図面である。
【図6A】実施例で、300mJ/cmのエネルギー密度でレーザアニーリングしたサンプルについての断面部のSTEM写真である。
【図6B】実施例で、500mJ/cmのエネルギー密度でレーザアニーリングしたサンプルについての断面部のSTEM写真である。
【図7A】実施例で、600mJ/cmのエネルギー密度でレーザアニーリングしたサンプルについての平面部のSTEM写真である。
【図7B】実施例で、700mJ/cmのエネルギー密度でレーザアニーリングしたサンプルについての平面部のSTEM写真である。
【図8】実施例で、700mJ/cmのエネルギー密度でレーザアニーリングしたサンプルについての電界放出特性を示すグラフである。
【図9】図3Aないし図3Dの工程で製造された、Siベースの物質層を備えるフィールドエミッタを具体化した概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0069】
20 Siベースの基板
22 14族元素イオンがドーピングされた非晶質層
24 金属イオンがドーピングされた非晶質層
26 Siベースの物質層
28 金属シリサイド
32 スペーサ
110 第1電極
120 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のグレインを備え、前記複数のグレインの間のグレイン境界に金属シリサイドが形成されることを特徴とする、Siベースの物質層。
【請求項2】
前記グレイン境界の三重点に前記金属シリサイドが形成されることを特徴とする、請求項1に記載のSiベースの物質層。
【請求項3】
前記Siベースの物質層は、Si層、SiGe層、及びSiC層から成る群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項1または2に記載のSiベースの物質層。
【請求項4】
前記金属シリサイドは、前記物質層の表面から所定の深さほど垂直方向に形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のSiベースの物質層。
【請求項5】
前記金属シリサイドはワイヤー形態を有し、前記金属シリサイドの直径は、0.1nmないし100nmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のSiベースの物質層。
【請求項6】
前記金属シリサイドの長さは、0.1nmないし1000nmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のSiベースの物質層。
【請求項7】
前記金属は、Ag、Au、Al、Cu、Cr、Co、Ni、Ti、Sb、V、Mo、Ta、Nb、Ru、W、Pt、Pd、Zn、及びMgから成る群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のSiベースの物質層。
【請求項8】
前記金属シリサイドは、1×1010atoms/cmないし1×1017atoms/cmの金属イオンを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のSiベースの物質層。
【請求項9】
Siベースの基板と、
前記Siベースの基板上に形成されるものであって、複数のグレインと前記複数のグレインの間のグレイン境界に形成された金属シリサイドとを備えるSiベースの物質層と、
前記Siベースの物質層の上面の所定領域上に設けられたスペーサと、
前記スペーサにより、前記Siベースの物質層の上面から所定の間隔で離れて設けられる第1電極と、
前記第1電極に対応して前記Siベースの基板の底面に設けられた第2電極と、
を備えることを特徴とするフィールドエミッタ。
【請求項10】
前記グレイン境界の三重点に金属シリサイドが形成されることを特徴とする、請求項9に記載のフィールドエミッタ。
【請求項11】
前記Siベースの基板は、Si基板、SiGe基板、及びSiC基板から成る群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項9または10に記載のフィールドエミッタ。
【請求項12】
前記Siベースの基板は、SiO基板、MgO基板、ITO基板、結晶質Si基板、及び非晶質Si基板から成る群から選択されるいずれか一つの基板上に、Si層、SiGe層、またはSiC層が形成されたことを特徴とする、請求項9または10に記載のフィールドエミッタ。
【請求項13】
前記Siベースの物質層は、Si層、SiGe層、及びSiC層から成る群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載のフィールドエミッタ。
【請求項14】
前記金属シリサイドは、前記物質層の表面から所定の深さほど垂直方向に形成されることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか1項に記載のフィールドエミッタ。
【請求項15】
前記金属シリサイドはワイヤー形態を有し、前記金属シリサイドの直径は、0.1nmないし100nmであることを特徴とする、請求項9〜14のいずれか1項に記載のフィールドエミッタ。
【請求項16】
前記金属シリサイドの長さは、0.1nmないし1000nmであることを特徴とする、請求項9〜15のいずれか1項に記載のフィールドエミッタ。
【請求項17】
前記金属は、Ag、Au、Al、Cu、Cr、Co、Ni、Ti、Sb、V、Mo、Ta、Nb、Ru、W、Pt、Pd、Zn、及びMgから成る群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項9〜16のいずれか1項に記載のフィールドエミッタ。
【請求項18】
前記金属シリサイドは、1×1010atoms/cmないし1×1017atoms/cmの金属イオンを含むことを特徴とする、請求項9〜17のいずれか1項に記載のフィールドエミッタ。
【請求項19】
請求項9〜18のいずれか1項に記載のフィールドエミッタを備えることを特徴とする、電界放出ディスプレイ。
【請求項20】
Siベースの基板に所定の厚さの非晶質層を形成する工程と、
前記非晶質層に所定の金属イオンをドーピングする工程と、
前記金属イオンがドーピングされた非晶質層をアニーリングする工程とを含み、
前記アニーリング工程は、前記金属イオンがドーピングされた非晶質層を、複数のグレインを備える多結晶層に結晶化し、前記複数のグレインの間のグレイン境界に金属シリサイドを形成することを特徴とする、Siベースの物質層の製造方法。
【請求項21】
前記グレイン境界の三重点に金属シリサイドが形成されることを特徴とする、請求項20に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項22】
前記非晶質層を形成する工程は、基板に所定の元素イオンをドーピングして、基板の所定厚さを非晶質層に変化させる工程を含むことを特徴とする、請求項20または21に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項23】
前記元素イオンは、C、Si、Ge、Sn、及びPbから成る群から選択される少なくとも一つのイオンであることを特徴とする、請求項22に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項24】
前記金属は、Ag、Au、Al、Cu、Cr、Co、Ni、Ti、Sb、V、Mo、Ta、Nb、Ru、W、Pt、Pd、Zn、及びMgから成る群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項20〜23のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項25】
前記金属イオンのドーピング量は、1×1010atoms/cmないし1×1017atoms/cmであることを特徴とする、請求項20〜24のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項26】
前記金属イオンのドーピングエネルギーは、1keVないし1000keVであることを特徴とする、請求項20〜25のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項27】
前記アニーリングは、レーザビームによって行われることを特徴とする、請求項20〜26のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項28】
前記レーザビームのエネルギー密度は、50mJ/cmないし3000mJ/cmであることを特徴とする、請求項27に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項29】
前記Siベースの基板は、Si基板、SiGe基板、及びSiC基板から成る群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項20〜28のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項30】
前記Siベースの基板は、SiO基板、MgO基板、ITO基板、結晶質Si基板、及び非晶質Si基板から成る群から選択されるいずれか一つの基板上に、Si層、SiGe層、またはSiC層が形成されることを特徴とする、請求項20〜28のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項31】
前記金属イオンのドーピングは、イオン注入装置により行われることを特徴とする、請求項20〜30のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項32】
前記金属シリサイドは、前記物質層の表面から所定の深さほど垂直方向に形成されることを特徴とする、請求項20〜31のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項33】
前記金属シリサイドはワイヤー形態を有し、前記金属シリサイドの直径は、0.1nmないし100nmであることを特徴とする、請求項20〜32のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。
【請求項34】
前記金属シリサイドの長さは、0.1nmないし1000nmであることを特徴とする、請求項20〜33のいずれか1項に記載のSiベースの物質層の製造方法。

【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−41518(P2006−41518A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209279(P2005−209279)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】