説明

三環式アニリドスピロヒダントインCGRP受容体拮抗薬

本発明は、CGRP受容体の拮抗薬として有用であり、CGRPが関係する疾病、例えば頭痛、偏頭痛および群発性頭痛の治療または予防に有用である
式I


(式中、A、A、B、B、B、B、D、D、T、U、V、W、X、Y、Z、R、R5a、R5b、R5c、R、mおよびnは、本明細書の中で定義されている)の化合物に関する。本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびにCGRPが関係するこうした疾病の予防または治療におけるこれらの化合物および組成物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、カルシトニンメッセンジャーRNAの組織特異的オルタナティブプロセッシングにより生成され、中枢および末梢神経系に広く分布している、天然37アミノ酸ペプチドである。CGRPは、主として求心性および中枢性感覚ニューロンに局在し、血管拡張をはじめとする幾つかの生体作用を媒介する。CGRPは、アルファ形およびベータ形で発現され、ラットおよびヒトでは、それぞれ1つおよび3つのアミノ酸によってこれらの形が変わる。CGRP−アルファおよびCGRP−ベータは、類似した生物学的特性を提示する。細胞から放出されたとき、CGRPは、特異的細胞表面受容体への結合によりこの生体応答を開始し、これらは、多分にアデニリルシクラーゼの活性化と連動する。CGRP受容体は、脳、心血管、内皮および平滑筋起源のものをはじめとする幾つかの組織および細胞において、同定および薬理評価されている。
【0002】
薬理特性に基づき、これらの受容体は、少なくとも2つのサブタイプ(CGRPおよびCGRPを指す)に分けられる。ヒトα−CGRP−(8−37)[7つのN末端アミノ酸残基を欠くCGRPのフラグメント]は、CGRPの選択的拮抗薬であり、これに対してCGRPの線状類似体[ジアセトアミドメチルシステインCGRP([Cys(ACM)2,7]CGRP)]は、CGRPの選択的作動薬である。CGRPは、偏頭痛および群発性頭痛などの脳血管疾患の症状に関連付けられている強力な血管拡張薬である。臨床試験において、頚静脈におけるCGRPのレベル上昇が、偏頭痛発作中に発生することが判明した(Goadsbyら,Ann.Neurol.,1990,28,183−187)。CGRPは、頭蓋内血管の平滑筋上の受容体を活性化して血管拡張増加を導き、これが、偏頭痛発作中の頭痛の主発生源と考えられている(Lance,Headache Pathogenesis:Monoamines,Neuropeptides,Purines and Nitric Oxide,Lippincott−Raven Publishers,1997,3−9)。中硬膜動脈(硬膜内の主動脈)は、CGRPをはじめとする幾つかの神経ペプチドを含む三叉神経節からの感覚線維による刺激を受ける。ネコでは、三叉神経節刺激の結果、CGRPのレベルが上昇し、ヒトでは、三叉神経系の活性化に起因して、顔が潮紅し、外頚静脈中のCGRPレベルが上昇した(Goadsbyら,Ann.Neurol.,1988,23,193−196)。ラットにおいて、硬膜の電気刺激は、中硬膜動脈の直径を増大させ、この効果は、CGRP(8−37)[ペプチドCGRP拮抗薬]の事前投与により阻止された(Williamsonら,Cephalalgia,1997,17,525−531)。ラットにおいて、三叉者神経節刺激は、顔の血流を増加させ、これは、CGRP(8−37)により抑制された(Escottら,Brain Res.1995,669,93−99)。マーモセットにおいて、三叉神経節の電気刺激は、顔の血流増加を生じさせ、これは、非ペプチドCGRP拮抗薬BIBN4096BSにより阻止することができた(Doodsら,Br.J.Pharmacol.,2000,129,420−423)。このように、CGRPの血管効果は、CGRP拮抗薬によって減弱、防止または反転させることができる。
【0003】
CGRPにより媒介されるラット中硬膜動脈の血管拡張は、尾三叉神経核のニューロンを感作することが証明された(Williamsonら,The CGRP Family:Calcitonin Gene−Related Peptide(CGRP),Amylin,and Adrenomedullin,Landes Bioscience,2000,245−247)。同様に、偏頭痛中の硬膜血管の拡大は、三叉神経ニューロンを感作し得る。頭蓋外疼痛および顔面異痛をはじめとする一部の偏頭痛関連症状は、三叉神経ニューロン感作の結果であり得る(Bursteinら,Ann.Neurol.2000,47,614−624)。CGRP拮抗薬は、ニューロン感作の影響を減弱、防止または反転させる際に有益であり得る。
【0004】
CGRP拮抗薬として作用する本発明の化合物の能力が、本化合物を、ヒトおよび動物における、しかし特にヒトにおけるCGRPに関係する疾患に有用な薬物にする。こうした疾患としては、偏頭痛および群発性頭痛(Doods,Curr Opin Inves Drugs,2001,2(9),1261−1268;Edvinssonら,Cephalalgia,1994,14,320−327);慢性緊張型頭痛(Ashinaら,Neurology,2000,14,1335−1340);疼痛(Yuら,Eur.J.Pharm.,1998,347,275−282);慢性疼痛(Hulseboschら,Pain,2000,86,163−175);神経性炎症および炎症性疼痛(Holzer,Neurosci.,1988,24,739−768;Delay−Goyetら,Acta Physiol.Scanda.1992,146,537−538;Salmonら,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358);眼痛(Mayら,Cephalalgia,2002,22,195−196)、歯痛(Awawdehら,Int.Endocrin.J.,2002,35,30−36)、インスリン非依存性糖尿病(Molinaら,Diabetes,1990,39,260−265);血管疾患;炎症(Zhangら,Pain,2001,89,265);関節炎、気管支反応亢進、喘息(Fosterら,Ann.NY Acad.Sci.,1992,657,397−404;Schiniら,Am.J.Physiol,1994,267,H2483−H2490;Zhengら,J.Virol.,1993,67,5786−5791);ショック、敗血症(Beerら,Crit.Care Med.,2002,30(8),1794−1798);アヘン剤禁断症候群(Salmonら,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358);モルヒネ耐性(Menardら,J.Neurosci.,1996,16(7),2342−2351);男性および女性におけるのぼせ(Chenら,Lancet,1993,342,49;Spetzら,J.Urology,2001,166,1720−1723);アレルギー性皮膚炎(Wallengren,Contact Dermatitis,2000,43(3),137−143);乾癬;脳炎、脳の外傷、虚血、卒中、癲癇および神経変性疾患(Rohrenbeckら,Neurobiol.of Disease 1999,6,15−34);皮膚病(Geppetti and Holzer,Eds.,Neurogenic Inflammation,1996,CRC Press,Boca Raton,FL)、神経性の皮膚の赤み、バラ色の皮膚(skin rosaceousness)および紅斑;耳鳴り(Herzogら,J.Membrane Biology,2002,189(3),225);炎症性腸疾患、過敏性腸症候群(Hoffmanら,Scandinavian Journal of Gastroenterology,2002,37(4)414−422)ならびに膀胱炎が挙げられる。偏頭痛および群発性頭痛をはじめとする頭痛の急性または予防的治療は、特に重要である。
【技術分野】
【0005】
本発明は、CGRP受容体のリガンド、特に、CGRP受容体の拮抗薬として有用である化合物、これらを調製するためのプロセス、治療におけるこれらの使用、これらを含む医薬組成物、およびこれらを使用する治療方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、式I:
【0007】
【化7】

(式中、
およびAは、
(1)結合、
(2)−CR1314(この場合、R13およびR14は、水素、ヒドロキシ、ハロおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)C1−6アルキルから、各々、独立して選択される)
から、各々、独立して選択され、この場合、AおよびAのうちの一方は、場合によっては不在であり、
およびBは、=C−、−C(R)−および−N−から、各々、独立して選択され、
およびBは、結合、=C(R)−、−CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、=N−、−N(R)−、−O−、−S−、および−SO−から、各々、独立して選択され、この場合、BおよびBのうちの一方は、場合によっては不在であり、
およびDは、=C(R)−、−CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、=N−、−N(R)−、−O−、−S−、および−SO−から、各々、独立して選択され、
T、UおよびVは、=C(R)−および=N−から、各々、独立して選択され、この場合、T、UおよびVのうちの少なくとも1つは、=C(R)−であり、
W、X、YおよびZは、結合、=C(R)−、−CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、=N−、−N(R)−、−O−、−S−、−S(O)−および−SO−から、各々、独立して選択され、
およびRは、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル[これは、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から7個の基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C3−6シクロアルキル、
(e)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、アゼチジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジニル、アゼピニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ピロリジニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロフリルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、−OCFおよびオキソから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)、
(f)−CO(この場合、Rは、水素、−C3−6シクロアルキル、ベンジル、フェニルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−C1−6アルキルから、独立して選択される)、
(g)−NR1011(この場合、R10およびR11は、水素、−C5−6シクロアルキル、ベンジル、フェニル、−COR、−SO12および(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−C1−6アルキルから、各々、独立して選択される)、
(h)−SO12(この場合、R12は、−C5−6シクロアルキル、ベンジル、フェニルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−C1−6アルキルから、独立して選択される)
(i)−CONR10a11a(この場合、R10aおよびR11aは、水素、−C5−6シクロアルキル、ベンジル、フェニルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−C1−6アルキルから、各々、独立して選択されるか、
10aおよびR11aは一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択される環を形成し、この環は、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、フェニルおよびベンジルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)、
(j)トリフルオロメチル、
(k)−OCO
(l)−(NR10a)CO
(m)−O(CO)NR10a11a
(n)−(NR)(CO)NR10a11a、および
(o)−O−C3−6シクロアルキル]、
(3)−C3−6シクロアルキル[これは、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から7個の置換基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)トリフルオロメチル、
(e)フェニル(これは、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)]、
(4)フェニルまたは複素環[この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、ピリダジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、クロマニル、フリル、イミダゾリニル、インドリニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピロリル、キナゾリニル、テトラヒドロフリル、チアゾリニル、プリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、1,3−ジオキソラニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている:
(a)非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている、−C1−6アルキル、
(b)ハロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている、−O−C1−6アルキル、
(e)−C3−6シクロアルキル、
(f)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびトリフルオロメチルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)、
(g)−CO
(h)−(CO)R
(i)−NR1011
(j)−CONR1011
(k)オキソ、
(l)−SR12
(m)−S(O)R12
(n)−SO12、および
(o)−CN]、
(5)ハロ、
(6)オキソ、
(7)ヒドロキシ、
(8)非置換であるか、1から5個のハロで置換されている、−O−C1−6アルキル、
(9)−CN、
(10)−CO
(11)−NR1011
(12)−SO12
(13)−CONR10a11a
(14)−OCO
(15)−(NR10a)CO
(16)−O(CO)NR10a11a
(17)−(NR)(CO)NR10a11a
(18)−(CO)−(CO)NR10a11a、および
(19)−(CO)−(CO)OR
から、各々、独立して選択され、
は、水素、C5−6シクロアルキル、ベンジル、フェニルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)C1−6アルキルから選択され、
5a、R5bおよびR5cは、水素、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、−OCF、トリフルオロメチル、ハロ、ヒドロキシおよび−CNから、各々、独立して選択され、
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキルまたは−C3−6シクロアルキル[これは、非置換であるか、以下から独立して選択される1から7個の置換基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C3−6シクロアルキル、
(e)フェニル(これは、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびトリフルオロメチルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)
(f)−CO
(g)−NR1011
(h)−CONR1011
(i)−SO12、および
(j)トリフルオロメチル]
(3)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびトリフルオロメチルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)
から選択され、
mは、1または2であり、
nは、1または2である)
の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーに関する。
【0008】
以下の例は、式Iの定義の範囲内に入る幾つかの構造を例証するために提供するものであり、いかなる点においても本発明の範囲を限定すると解釈すべきでない。
【0009】
例えば、Aが、−CH−であり、Aが、結合であり、Bが、−N−であり、Bが、−N−であり、Bが、−C(=O)−であり、Bが、結合であり、Dが、−CH−であり、Dが、−N(Me)−であり、Tが、=C(H)−であり、Uが、=C(Me)−であり、Vが、=C(H)−であり、Wが、−C(=O)−であり、Xが、結合であり、Yが、結合であり、Zが、結合であり、Rが、水素であり、R5aが、水素であり、R5bが、水素であり、R5cが、水素であり、Rが、メチルであり、mが、1であり、ならびにnが、1であるとき、次の構造を得ることができる:
【0010】
【化8】

【0011】
もう1つの例として、Aが、−CH−であり、Aが、結合であり、Bが、=C−であり、Bが、−N−であり、Bが、=C(H)−であり、Bが、結合であり、Dが、−CH−であり、Dが、−N(H)−であり、Tが、=C(H)−であり、Uが、=C(H)−であり、Vが、=C(H)−であり、Wが、−C(=O)−であり、Xが、結合であり、Yが、結合であり、Zが、結合であり、Rが、水素であり、R5aが、水素であり、R5bが、水素であり、R5cが、水素であり、Rが、メチルであり、mが、1であり、ならびにnが、1であるとき、次の構造を得ることができる:
【0012】
【化9】

【0013】
もう1つの例として、Aが、−CH−であり、Aが、結合であり、Bが、−C(H)−であり、Bが、−N−であり、Bが、−CH−であり、Bが、結合であり、Dが、−CH−であり、Dが、−N(H)−であり、Tが、=C(H)−であり、Uが、=C(H)−であり、Vが、=C(H)−であり、Wが、−C(=O)−であり、Xが、結合であり、Yが、結合であり、Zが、結合であり、Rが、水素であり、R5aが、水素であり、R5bが、水素であり、R5cが、水素であり、Rが、メチルであり、mが、1であり、ならびにnが、1であるとき、次の構造を得ることができる:
【0014】
【化10】

【0015】
もう1つの例として、Aが、−CH−であり、Aが、結合であり、Bが、−N−であり、Bが、−N−であり、Bが、−C(=O)−であり、Bが、結合であり、Dが、−CH−であり、Dが、−N(Me)−であり、Tが、=C(H)−であり、Uが、=C(H)−であり、Vが、=C(H)−であり、Wが、−CH−であり、Xが、−CH−であり、Yが、−C(=O)−であり、Zが、結合であり、Rが、水素であり、R5aが、水素であり、R5bが、水素であり、R5cが、水素であり、Rが、メチルであり、mが、1であり、ならびにnが、1であるとき、次の構造を得ることができる:
【0016】
【化11】

【0017】
本発明の1つの実施形態は、式Ia:
【0018】
【化12】

(式中、A、A、B、B、B、B、D、D、T、U、V、W、X、Y、Z、R、R、m、およびnは、本明細書の中で定義されている)
の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを包含する。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態は、式Ib:
【0020】
【化13】

(式中、A、A、B、B、B、B、D、D、T、U、V、W、X、Y、Z、およびRは、本明細書の中で定義されている)
の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを包含する。
【0021】
本発明のもう1つの実施形態は、式Ic:
【0022】
【化14】

(式中、B、B、B、B、D、D、T、U、V、W、X、Y、およびZは、本明細書の中で定義されている)
の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを包含する。
【0023】
本発明のもう1つの実施形態は、式Id:
【0024】
【化15】

(式中、B、B、B、D、D、T、U、V、W、X、およびYは、本明細書の中で定義されている)
の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを包含する。
【0025】
本発明のもう1つの実施形態は、式Ie:
【0026】
【化16】

(式中、B、B、B、D、D、T、U、V、W、X、およびYは、本明細書の中で定義されている)
の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを包含する。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、Aは、CHである。
【0028】
本発明の1つの実施形態において、Aは、結合である。
【0029】
本発明の1つの実施形態において、Bは、=C−、−C(R)−、および−N−から選択され、この場合のRは、本明細書の中で定義されている。
【0030】
本発明の1つの実施形態において、Bは、=C−、−C(H)−、−C(Me)−、および−N−から選択される。
【0031】
本発明の1つの実施形態において、Bは、=C−、−C(H)−、および−N−から選択される。
【0032】
本発明の1つの実施形態において、Bは、−N−である。
【0033】
本発明の1つの実施形態において、Bは、=C(R)−、−CR−、および−C(=O)−から選択され、この場合のRおよびRは、本明細書の中で定義されている。
【0034】
本発明の1つの実施形態において、Bは、=C(H)−、−CH−、および−C(=O)−から選択される。
【0035】
本発明の1つの実施形態において、Bは、結合である。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、Dは、−CR−、および−N(R)−から選択され、この場合のRおよびRは、本明細書の中で定義されている。
【0037】
本発明の1つの実施形態において、Dは、−CH−および−N(H)−から選択される。
【0038】
本発明の1つの実施形態において、Dは、−CH−である。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、Dは、−CR−および−N(R)−から選択され、この場合のRおよびRは、本明細書の中で定義されている。
【0040】
本発明の1つの実施形態において、Dは、−CH−、−N(H)−および−N(Me)−から選択される。
【0041】
本発明の1つの実施形態において、Dは、−N(H)−である。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、Tは、=C(R)−および=N−から選択され、この場合のRは、本明細書の中で定義されている。
【0043】
本発明の1つの実施形態において、Tは、=C(H)−および=N−から選択される。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、Uは、=C(R)−および=N−から選択され、この場合のRは、本明細書の中で定義されている。
【0045】
本発明の1つの実施形態において、Uは、=C(H)−、=C(Me)−、および=N−から選択される。
【0046】
本発明の1つの実施形態において、Vは、=C(H)−である。
【0047】
本発明の1つの実施形態において、Wは、結合、−CR−および−C(=O)−から選択され、この場合のRおよびRは、本明細書の中で定義されている。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、Wは、結合、−CH−および−C(=O)−から選択される。
【0049】
本発明の1つの実施形態において、Wは、−C(=O)−である。
【0050】
本発明の1つの実施形態において、Xは、結合、−CR−および−C(=O)−から選択され、この場合のRおよびRは、本明細書の中で定義されている。
【0051】
本発明の1つの実施形態において、Xは、結合、−CH−および−C(=O)−から選択される。
【0052】
本発明の1つの実施形態において、Yは、結合、−CR−および−C(=O)−から選択され、この場合のRおよびRは、本明細書の中で定義されている。
【0053】
本発明の1つの実施形態において、Yは、結合、−CH−および−C(=O)−から選択される。
【0054】
本発明の1つの実施形態において、Zは、結合、−CR−および−C(=O)−から選択され、この場合のRおよびRは、本明細書の中で定義されている。
【0055】
本発明の1つの実施形態において、Zは、結合である。
【0056】
本発明の1つの実施形態において、RおよびRは、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル[これは、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から5個の基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C3−6シクロアルキル、
(e)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、アゼチジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロフリルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−4アルキル、−O−C1−4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチルおよび−OCFから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている)、
(f)−CO(この場合、Rは、水素および−C1−4アルキルから選択される)、
(g)−NR1011(この場合、R10およびR11は、水素、−COR、−SO12および(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルから、各々、独立して選択される)、
(h)−CONR10a11a(この場合、R10aおよびR11aは、水素、−C5−6シクロアルキルおよび(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルから、各々、独立して選択されるか、
10aおよびR11aは一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択される環を形成し、この環は、非置換であるか、−C1−4アルキル、−O−C1−4アルキル、ハロおよびヒドロキシから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている)、
(i)−(NR10a)CO]、
(3)−C3−6シクロアルキル(これは、非置換であるか、ハロ、ヒドロキシおよび−O−C1−6アルキルから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている)、
(4)フェニルまたは複素環[この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、ピロリジニル、アゼチジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、イミダゾリニル、インドリニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、キナゾリニル、テトラヒドロフリル、ナフチリジニル、キノキサリニル、1,3−ジオキソラニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、ハロ、ヒドロキシ、−C3−6シクロアルキル、−CO、−NR1011、−CONR1011、(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−O−C1−4アルキルから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている]、
(5)ハロ、
(6)ヒドロキシ、
(7)非置換であるか、1から3個のハロで置換されている、−O−C1−4アルキル、
(8)−CN、
(9)−CO
(10)−NR1011
(11)−CONR10a11a、および
(12)−(NR10a)CO
から、各々、独立して選択される。
【0057】
本発明の1つの実施形態において、RおよびRは、
(1)水素、
(2)−C1−4アルキル[これは、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)−O−C1−4アルキル、
(c)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、アゼチジニル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−4アルキル、−O−C1−4アルキル、ハロおよびヒドロキシから各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている)、
(d)−CO(この場合、Rは、水素および−C1−4アルキルから選択される)、
(e)−NR1011(この場合、R10およびR11は、水素および(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルから、各々、独立して選択される)、
(h)−CONR10a11a(この場合、R10aおよびR11aは、水素および(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルから、各々、独立して選択されるか、
10aおよびR11aは一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択される環を形成する)]、
(3)−C3−6シクロアルキル、
(4)フェニルまたは複素環[この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、オキサゾリル、イミダゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、テトラヒドロフリル、オキサジアゾリル、ピペリジニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、ハロ、ヒドロキシ、−O−C1−4アルキル、−C3−6シクロアルキル、−NR1011、−CONR1011および(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている]、
(5)ハロ、
(6)ヒドロキシ、
(7)非置換であるか、1から3個のハロで置換されている−O−C1−4アルキル、
(8)−CN、
(9)−CO
(10)−NR1011
(11)−CONR10a11a、および
(12)−(NR10a)CO
から、独立して選択される。
【0058】
本発明の1つの実施形態において、Rは、水素および(非置換であるか、フルオロで置換されている)−C1−6アルキルから選択される。
【0059】
本発明の1つの実施形態において、Rは、水素である。
【0060】
本発明の1つの実施形態において、R5a、R5bおよびR5cは、水素、C1−6アルキルおよびハロから独立して選択される。
【0061】
本発明の1つの実施形態において、R5a、R5bおよびR5cは、水素およびハロから独立して選択される
本発明の1つの実施形態において、R5a、R5bおよびR5cは、水素である。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、Rは、
(1)水素、
(2)−C1−4アルキル(これは、非置換であるか、ハロ、ヒドロキシ、−C3−6シクロアルキルおよびフェニルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)、および
(3)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニルおよびピラジニルから選択される)
から選択される。
【0063】
本発明の1つの実施形態において、Rは、
(1)水素、
(2)−C1−4アルキル(これは、非置換であるか、ハロおよびフェニルから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている)
から選択される。
【0064】
本発明の1つの実施形態において、Rは、水素またはメチルである。
【0065】
本発明の1つの実施形態において、Rは、メチルである。
【0066】
本発明の1つの実施形態において、mは、1である。
【0067】
本発明の1つの実施形態において、nは、1である。
【0068】
本発明の1つの実施形態において、nは、2である。
【0069】
上で述べた構造またはサブ構造の1つまたはそれ以上が、同じ呼称を有する多数の置換基を述べている場合、各々のこうした可変部は、各々の同様に呼ばれている可変部と同じである場合もあり、異なる場合もあることは、理解されるはずである。
【0070】
本発明の化合物は、1つまたはそれ以上の不斉中心を有することがあり、従って、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして発生し得る。分子上の様々な置換基の性質に依存して、追加の不斉中心が存在することもある。各々のこうした不斉中心は、独立して2つの光学異性体を生じさせることとなり、混合物でのおよび純粋な化合物または部分的に精製された化合物としての可能な光学異性体およびジアステレオマーのすべてが、本発明の範囲に包含されると解釈する。本発明は、これらの化合物のすべてのこうした異性体形を包含ものとする。
【0071】
本明細書に記載する化合物の一部は、オレフィン性二重結合を有し、特に別の指定がなければ、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を包含するものとする。
【0072】
これらのジアステレオマーの独立した合成およびこれらのクロマトグラフ分離は、本明細書の中で開示する方法論を適切に変更することにより、当該技術分野において知られているとおり達成することができる。これらの絶対立体化学は、結晶生成物または必要な場合には絶対配置がわかっている不斉中心を有する試薬で誘導体化させた結晶性中間体のX線結晶構造解析によって判定することができる。
【0073】
所望される場合、本化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。この分離は、化合物のラセミ混合物とエナンチオマー的に純粋な化合物とをカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、続いて、分別結晶またはクロマトグラフィーなどの標準的な方法により個々のジアステレオマーに分離するような、当該技術分野では周知の方法により行うことができる。多くの場合、このカップリング反応は、エナンチオマー的に純粋な酸または塩基を使用する塩の形成である。次に、これらのジアステレオマー誘導体は、付加させたキラル残基を切断することにより、純粋なエナンチオマーに転化させることができる。本化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を利用するクロマトグラフ法により直接分離することもでき、これらの方法は、当該技術分野において周知である。
【0074】
または、当該技術分野では周知の方法による、光学的に純粋な出発原料または立体配置がわかっている試薬を使用する立体選択的合成により、化合物の任意のエナンチオマーを得ることができる。
【0075】
当業者には理解されるように、環を形成すると述べられているあらゆる置換基または置換基の組み合わせが、あらゆる環境または状況において環構造を形成できるとは限らない。さらに、環を形成することができる置換基でさえ、あらゆる環境または状況において、環構造を形成することもあり、しないこともある。
【0076】
また、当業者には理解されるように、ここで用いるハロまたはハロゲンは、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを包含すると解釈する。
【0077】
ここで用いる「アルキル」は、二重結合および三重結合を有さない線状、分枝状および環状構造を意味すると解釈する。従って、C1−6アルキルは、線状または分枝状配置の1、2、3、4、5または6個の炭素を有すると、この基を特定するために定義し、例えば、具体的に、C1−6アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。「シクロアルキル」は、この一部またはすべてが原子数3またはそれ以上の環を形成している、アルキルである。CまたはCアルキルは、直接共有結合の存在を特定するために定義する。
【0078】
ここで用いる「アリール」は、各環の構成員数が7以下であり、少なくとも1つの環が芳香族である、あらゆる安定な単環式または二環式炭素環を意味すると解釈する。こうしたアリール要素の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルまたはビフェニルが挙げられる。
【0079】
「医薬的に許容される」というフレーズは、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触させる使用に適し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を伴わず、妥当な損益比に見合っている、化合物、材料、組成物および/または剤形を指すためにここでは用いる。
【0080】
ここで用いる「医薬的に許容される塩」は、親化合物がこの酸または塩基の塩を作ることにより変性されている誘導体を指す。医薬的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。医薬的に許容される塩は、従来の非毒性の塩、または例えば非毒性無機または有機酸から形成された親化合物の第四アンモニウム塩を包含する。例えば、こうした従来の非毒性の塩としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導される塩;ならびに有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などから調製される塩が挙げられる。
【0081】
本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は、無機および有機酸を含む医薬的に許容される非毒性の酸から調製することができる。こうした酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。本発明の1つの態様において、塩は、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸および酒石酸である。ここで用いる場合、式Iの化合物への言及は、これらの医薬的に許容される塩も包含することは理解されるであろう。
【0082】
実施例および本明細書に開示する化合物の使用は、本発明のよい例となる。本発明の範囲内の具体的な化合物としては、以下の実施例に開示する化合物およびこれらの医薬的に許容される塩およびこれらの個々のジアステレオマーから成る群より選択される化合物が挙げられる。
【0083】
本化合物は、CGRP受容体に対する拮抗をこうした拮抗が必要な哺乳動物などの患者において行う方法において有用であり、前記方法は、本化合物の有効量の投与を含む。本発明は、本明細書に開示する化合物のCGRP受容体の拮抗薬としての使用に関する。霊長類、特にヒトに加えて、様々な他の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。
【0084】
本発明のもう1つの実施形態は、患者におけるCGRP受容体が関係する疾病もしくは疾患の治療、制御もしくは改善または前記疾病もしくは疾患のリスクの低減のための方法に関し、この方法は、CGRP受容体の拮抗薬である化合物の治療有効量をこの患者に投与することを含む。
【0085】
本発明は、ヒトおよび動物におけるCGRP受容体に拮抗するための医薬品の製造方法にさらに関し、この方法は、本発明の化合物を医薬担体または希釈剤と併せることを含む。
【0086】
本発明において治療される被験者は、一般に、CGRP受容体活性の拮抗が望ましい哺乳動物、例えば、ヒト、男性または女性である。用語「治療有効量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床家が探求し続ける、組織、系、動物またはヒトの生体応答または医学的応答を惹起する本化合物の量を意味する。ここで用いる用語「治療」は、挙げられている状態の、特にこうした疾病または疾患の素因を有する患者における、治療と予防または予防的治療の両方を指す。
【0087】
ここで用いる用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、ならびに特性の成分を特定の量で組み合わせることにより直接または間接的に得られる任意の製品を包含すると解釈する。医薬組成物に関してこうした用語は、活性成分(単数または複数)および担体を構成する不活性成分(単数または複数)を含む製品、ならびに任意の2つもしくはそれ以上の成分の組み合わせ、複合もしくは凝集により、または1つもしくはそれ以上の成分の解離により、または1つもしくはそれ以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用により、直接または間接的に得られる任意の製品を包含すると解釈する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的に許容される担体を混合することによって製造される任意の組成物を包含する。「医薬的に許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が、この調合物の他の成分と相溶性でなければならず、またこの受容者に有害でないという意味である。
【0088】
化合物「の投与」および「を投与すること」という用語は、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを治療の必要がある個体に供給することを意味すると理解すべきである。
【0089】
CGRP受容体活性の拮抗薬としての本発明の化合物の使用効果は、当該技術分野において公知の方法論により実証することができる。125I−CGRPの受容体への結合の阻害およびCGRP受容体の機能的拮抗は、次のように判定した:
天然受容体結合アッセイ: 本質的には記載されているとおりに(Edvinssonら,(2001)Eur.J.Pharmacol.415,39−44)、SK−N−MC細胞膜において125I−CGRPの受容体への結合の阻害を行った。簡単に言えば、膜(25μg)を、10pM 125I−CGRPおよび拮抗薬を含有する1mLの結合バッファ[10mM Hepes(pH7.4)、5mM MgClおよび0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)]中でインキュベートした。室温で3時間インキュベートした後、0.5%ポリエチレンイミンで3時間ブロックしておいたGFBガラス繊維フィルタープレート(Millipore)による濾過によってアッセイを停止させた。フィルターを氷冷アッセイバッファで3回洗浄し、次いで、プレートを空気乾燥させた。シンチレーション液(50μL)を添加し、放射活性をTopcount(Packard Instrument)でカウントした。Prismを使用することによりデータ解析を行い、Cheng−Prusoffの式(Cheng & Prusoff(1973)Biochem.Pharmacol.22,3099−3108)を用いることによりKを決定した。
【0090】
天然受容体機能アッセイ: SK−N−MC細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、0.1mM 非必須アミノ酸、1mM ピルビン酸ナトリウム、100単位/mL ペニシリンおよび100μg/mL ストレプトマイシンを補足した最小必須培地(MEM)中、37℃、湿度95%および5%COで成長させた。cAMPアッセイのために、細胞を96ウエル・ポリ−D−リシン被覆プレート(Becton−Dickinson)に細胞数5x10/ウエルでプレーティングし、アッセイ前に〜18時間培養した。細胞をリン酸緩衝食塩液(PBS、Sigma)で洗浄し、次いで、無血清MEM中300μMのイソブチルメチルキサンチンとともに30分間、37℃でプレインキュベートした。拮抗薬を添加し、これらの細胞を10分間インキュベートした後、CGRPを添加した。さらに15分間インキュベーションを続け、次いで、細胞をPBSで洗浄し、製造業者の推奨プロトコルに従ってcAMP判定のために処理した。基底状態に対する最大刺激を100nM CGRPを用いて定義した。Prismに使用により用量応答曲線を作成した。用量比(DR)を計算し、これらを用いて完全Schildプロットを構築した(Arunlakshana & Schild(1959)Br.J.Pharmacol.14,48−58)。
【0091】
組換え受容体: Human CRLR(ゲンバンクアクセッション番号L76380)を5’NheIおよび3’PmeIフラグメントとして発現ベクターpIREShyg2(BD Biosciences Clontech)にサブクローニングした。Human RAMP1(ゲンバンクアクセッション番号AJ001014)を5’NheIおよび3’NotIフラグメントとして発現ベクターpIRESpuro2(BD Biosciences Clontech)にサブクローニングした。293細胞(ヒト胚性腎細胞;ATCC #CRL−1573)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、100単位/mL ペニシリンおよび10ug/mL ストレプトマイシンを補足した、4.5g/Lグルコース、1mM ピルビン酸ナトリウムおよび2mM グルタミンを有するDMEM中で培養し、37℃、湿度95%で維持した。HBSS中0.1%EDTAを伴う0.25%トリプトファンでの処理により、細胞を2次培養した。75cmフラスコの中で10ugのDNAを30ugのLipofectamine 2000(Invtrogen)でコトランスフェクトすることにより、安定な細胞株の作製を達成した。CRLRおよびRAMP1発現構築物を同量でコトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を希釈し、選択培地(成長培地 + 300ug/mL ヒグロマイシンおよび1ug/mL ピューロマイシン)を翌日添加した。FACS Vantage SE(Becton Dickinson)を用いる単個細胞堆積により、クローン細胞株を作製した。細胞増殖のために、成長培地を150ug/mL ヒグロマイシンおよび0.5ug/mL ピューロマイシンに調整した。
【0092】
組換え受容体結合アッセイ: 組換えヒトCRLR/RAMP1を発現する細胞をPBSで洗浄し、50mM HEPES、1mM EDTAおよびCompleteプロテアーゼ阻害剤(Roche)を含有する回収バッファに回収した。この細胞浮遊液を実験室用ホモジナイザーで粉砕し、48,000gで遠心分離して、膜を単離した。これらのペレットを回収バッファ+250mM スクロースに再び浮遊させ、−70℃で保管した。結合アッセイのために、10ugの膜を、10pM 125I−hCGRP(Amersham Biosciences)および拮抗薬を含有する1mL 結合バッファ(10mM HEPES(pH7.4)、5mM MgCl、および0.2%BSA)中で3時間、室温でインキュベートした。0.05%ポリエチレンイミンでブロックしておいた96ウエル・GFBガラス繊維フィルタープレート(Millipore)による濾過により、アッセイを停止させた。フィルターを氷冷アッセイバッファ(10mM HEPES(pH7.4))で3回洗浄した。シンチレーション液を添加し、Topcount(Packard)でプレートをカウントした。非特異的結合を判定し、データ解析を行い、下の式にこの結合CPMデータを代入する非線形最小二乗の使用により見掛けの解離定数(K)を決定した:
【0093】
【数1】

この式中、Yは、結合したCPMの実測値であり、Ymaxは、全結合数であり、Y minは、非特異的結合数であり、(Y max − Y min)は、特異的結合数であり、%I maxは、最大阻害率であり、%I minは、最小阻害率であり、放射性標識は、プローブであり、ならびにKは、Hot飽和試験により判定したときの受容体についての放射性リガンドについての見掛けの解離定数である。
【0094】
組換え受容体機能アッセイ: 完全成長培地中の細胞を、96ウエル・ポリ−D−リシン被覆プレート(Corning)に、細胞数85,000/ウエルでプレーティングし、アッセイ前に〜19時間培養した。細胞をPBSで洗浄し、次いで、L−グルタミンおよび1g/L BSAを伴うCellgro Complete Serum−Free/Low−Protein medium(Mediatech,Inc)中、37℃、湿度95%で30分間、阻害剤とともにインキュベートした。イソブチル−メチルキサンチンを300μMの濃度で細胞に添加し、30分間、37℃でインキュベートした。ヒトα−CGRPを0.3nMの濃度で細胞に添加し、37℃で5分間、インキュベートしながら放置した。α−CGRP刺激の後、細胞をPBSで洗浄し、製造業者の推奨プロトコル(cAMP SPA直接スクリーニングアッセイシステム;RPA 559;Amersham Biosciences)に従って2段階アッセイ手順を用いてcAMP判定のために処理した。用量応答曲線をプロットし、式 y=((a−d)/(1+(x/c))+d[式中、y=応答、x=用量、a=最大応答、d=最小応答、c=変曲点、およびb=傾き]により定義されるような4変数論理代入によりIC50値を決定した。
【0095】
特に、以下の実施例の化合物は、上述のアッセイにおいてCGRP受容体の拮抗薬としての活性を有し、一般に、約50μMより低いKまたはIC50値を有した。こうした結果は、CGRP受容体の拮抗薬として使用する際の本化合物の固有活性を示している。
【0096】
CGRP拮抗薬として作用する本発明の化合物のこの能力が、本化合物を、ヒトおよび動物における、しかし特にヒトにおけるCGRPに関係する疾患に有用な薬物にする。
【0097】
本発明の化合物は、次の状態または疾病のうちの1つまたはそれ以上の治療、予防、改善もしくは制御、または次の状態または疾病のうちの1つまたはそれ以上に関するリスクの低減に有用である:頭痛;偏頭痛;群発性頭痛;慢性緊張型頭痛;疼痛;慢性疼痛;神経性炎症および炎症性疼痛;神経障害性疼痛;眼痛;歯痛;糖尿病;インスリン非依存性糖尿病;血管疾患;炎症;関節炎;気管支反応亢進、喘息;ショック;敗血症;アヘン剤禁断症候群;モルヒネ耐性;男性および女性におけるのぼせ;アレルギー性皮膚炎;乾癬;脳炎;脳の外傷;癲癇;神経変性疾患;皮膚病;神経性の皮膚の赤み、バラ色の皮膚および紅斑;炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、膀胱炎;ならびにCGRP受容体の拮抗により治療または予防することができる他の状態。偏頭痛および群発性頭痛をはじめとする頭痛の急性または予防的治療は、特に重要である。
【0098】
さらに、本化合物は、本明細書で述べる疾病、疾患および状態の予防、治療、制御もしくは改善方法、または前記疾病、疾患および状態のリスクの低減方法において有用である。
【0099】
さらに、本化合物は、他の薬物と併用で、上述の疾病、疾患および状態の予防、治療、制御もしくは改善方法、または上述の疾病、疾患および状態のリスクの低減方法において有用である。
【0100】
本発明の化合物は、1つまたはそれ以上の他の薬物と、式Iの化合物または前記他の薬物が有用であり得る疾病もしくは状態の治療、予防、制御もしくは改善または前記疾病もしくは状態のリスクの低減の際に併用することができ、この場合、前記薬物の併用は、いずれかの薬物単独より安全または有効である。こうした他の薬物(単数または複数)は、これらが通常使用される経路および量で、式Iの化合物と同時にまたは逐次的に投与することができる。式Iの化合物を1つまたはそれ以上の他の薬物と同時に使用するときには、こうした他の薬物と式Iの化合物とを含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかし、本併用療法は、式Iの化合物と1つまたはそれ以上の他の薬物を重なりのある別スケジュールで投与する治療法も包含する。1つまたはそれ以上の他の活性成分と併用するとき、本発明の化合物と他の活性成分は、各々を単独で使用するときより低い用量で使用できることも考えられる。従って、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて1つまたはそれ以上の他の活性成分を含有するものを包含する。
【0101】
例えば、本化合物は、抗偏頭痛薬、例えばエルゴタミンおよびジヒドロエルゴタミン、もしくは他のセロトニン拮抗薬、特に、5−HT1B/1D作動薬(例えば、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタンおよびリザトリプタン)、5HT1D作動薬(例えば、PNU−142633)、および5HT1F作動薬(例えば、LY334370);シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブもしくはパラコキシブ);非ステロイド性抗炎症薬もしくはサイトカイン抑制性抗炎症薬、例えば、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダク、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ケトロラック、エトドラック、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナク、オキサプロジン、アパゾン、ニメスリド、ナブメトン、テニダップ、エタネルセプト、トルメチン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ジフルニサール、サルサレート、オルサラジンもしくはスルファサラジンなどの化合物と;またはグルココルチコイドと併用することができる。同様に、本化合物は、鎮痛薬、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、フェナセチン、フェンタニル、スフェンタニル、メタドン、アセチルメタドール、ブプレノルフィンまたはモルフィンとともに投与することができる。
【0102】
加えて、本化合物は、インターロイキン阻害剤、例えば、インターロイキン−1阻害剤;NK−1受容体拮抗薬、例えば、アプレピタント;NMDA拮抗薬;NR2B拮抗薬;ブラジキニン−1受容体拮抗薬;アデノシンA1受容体作動薬;ナトリウムチャネル遮断薬、例えばラモトリジン;アヘン剤作動薬、例えば、酢酸レボメタジルまたは酢酸メタジル;リポオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、5−リポオキシゲナーゼの阻害剤;アルファ受容体拮抗薬、例えば、インドラミン;アルファ受容体作動薬;バニロイド受容体拮抗薬;レニン阻害剤;グランザイムB阻害剤;サブスタンスP拮抗薬;エンドセリン拮抗薬;ノルエピネルフィン前駆体;抗不安薬、例えば、ジアゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシドおよびクロラゼペート;セロトニン5HT受容体拮抗薬;オピオイド作動薬、例えばコデイン、ヒドロコドン、トラマドール、デキストロプロポキシフェンおよびフェブタニル;mGluR5作動薬、拮抗薬または強化薬;GABA A受容体モジュレータ、例えばアカンプロセートカルシウム;ニコチン酸性拮抗薬または作動薬(ニコチンを含む);ムスカリン性作動薬または拮抗薬;選択的セロトニン再吸収阻害剤、例えば、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、デュロキセチン、エスシタロプラムまたはシタロプラム;抗うつ薬、例えばアミトリプチリン、ノルトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、ベンラファキシン、ドキセピン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミンまたはイミプラミン;ロイコトリエン拮抗薬、例えば、モンテルカストまたはザフィルカスト;窒素酸化物の阻害剤または窒素酸化物合成の阻害剤と併用することができる。
【0103】
また、本化合物は、ギャップジャンクション阻害剤;神経性カルシウムチャネル遮断薬、例えばシバミド;AMPA/KA拮抗薬、例えばLY293558;シグマ受容体作動薬;およびビタミンB2と併用することができる。
【0104】
また、本化合物は、エルゴタミンおよびジヒドロエルゴタミン以外のエルゴット(麦角)アルカロイド、例えば、エルゴノビン、エルゴノビン、メチルエルゴノビン、メテルゴリン、エルゴロイドメシレート、ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン、ジヒドロ−α−エルゴクリプチン、ジヒドロ−β−エルゴクリプチン、エルゴトキシン、エルゴコルニン、エルゴクリスチン、エルゴクリプチン、α−エルゴクリプチン、β−エルゴクリプチン、エルゴシン、エルゴスタン、ブロモクリプチンまたはメチセリジドと併用することができる。
【0105】
加えて、本化合物は、ベータ−アドレナリン拮抗薬、例えば、チモロール、プロパノロール、アテノロール、メトプロロールまたはナドロールなど;MAO阻害剤、例えばフェネルジン;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、フルナリジン、ジルチアゼム、アムロジピン、フェロジピン、ニソリピン、イスラジピン、ニモジピン、ロメリジン、ベラパミル、ニフェジピンまたはプロクロルペラジン;神経弛緩薬、例えば、オランザピン、ドロペリドール、プロクロルペラジン、クロルプロマジンおよびケチアピン;抗痙攣薬、例えば、トピラメート、ゾニサミド、トナベルサット(tonabersat)、カラベルサット(carbersat)、レベチラセタム、ラモトリジン、チアガビン、ガバペンチン、プレガバリンまたはジバルプロエクス(divalproex)ナトリウム;抗高血圧薬、例えば、アンギオテンシンII拮抗薬(例えば、ロサルタン、イルべサルチン、バルサルタン、エプロサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、メドキソミル、カンデサルタンおよびカンデサルタンシレキセチル)、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、リシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ベナゼプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリルおよびトランドラプリル);またはボツリヌス毒素A型またはB型と併用することができる。
【0106】
本化合物は、増強剤、例えば、カフェイン、H2−拮抗薬、シメチコン、水酸化アルミニウムまたはマグネシウム;うっ血除去薬、例えば、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリンまたはレボ−デスオキシ−エフェドリン;鎮咳薬、例えば、カラミフェン、カルベタペンタンまたはデキストロメトルファン;利尿薬;消化管運動促進薬、例えば、メトクロプラミドまたはドンペリドン;鎮静性または非鎮静性抗ヒスタミン薬、例えば、アクリバスチン、アザタジン、ブロモジフェンヒドラミン、ブロモフェニラミン、カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デクスブロムフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ロラタジン、フェニンダミン、フェニラミン、フェニルトロキサミン、プロメタジン、ピリラミン、テルフェナジン、トリプロリジン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミンまたはプソイドエフェドリンと併用することができる。本化合物は、制吐薬とも併用することができる。
【0107】
特に好ましい実施形態において、本化合物は、抗偏頭痛薬、例えば、エルゴタミンまたはジヒドロエルゴタミン;5−HT作動薬、とりわけ5−HT1B/1D作動薬、特に、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタン、アビトリプタンおよびリザトリプタン、ならびに他のセロトニン作動薬;およびシクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、特に、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブまたはパラコキシブと併用される。
【0108】
上記併用は、本化合物と、1つの他の活性化合物ばかりでなく2つまたはそれ以上の他の活性化合物との併用を包含する。同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物が有用である疾病もしくは状態の予防、治療、制御もしくは改善または前記疾病もしくは状態のリスクの低減において使用される他の薬物と併用することができる。こうした他の薬物は、これらが通常使用される経路および量で、本発明の化合物と同時にまたは逐次的に投与することができる。本発明の化合物を1つまたはそれ以上の他の薬物と同時に使用するときには、本発明の化合物に加えてこうした他の薬物を含有する医薬組成物が好ましい。従って、本発明の組成物は、本発明の化合物に加えて1つまたはそれ以上の他の活性成分も含有するものを包含する。
【0109】
本発明の化合物の他の活性成分(単数または複数)に対する重量比は、変化させることができ、これは各成分の有効用量に依存するであろう。一般に、各々の有効用量が使用されるであろう。従って、例えば、本発明の化合物を別の薬剤と併用するとき、本発明の化合物の他の薬剤に対する重量比は、約1000:1から約1:1000、または約200:1から約1:200にわたるであろう。本発明の化合物と他の活性成分の併用も、一般に、上述の範囲内であろうが、各場合、各活性成分の有効用量を使用すべきである。
【0110】
こうした併用において、本発明の化合物と他の活性薬剤は、別々に投与される場合もあり、一緒に投与される場合もある。加えて、1つの要素の投与は、他の薬剤(単数または複数)の投与の前である場合もあり、投与と同時である場合もあり、投与の後である場合もあり、ならびに同じ投与経路による場合もあり、異なる投与経路による場合もある。
【0111】
本発明の化合物は、経口投与、非経口投与(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射もしくは注入、皮下注射、または移植)、吸入スプレーによる投与、経鼻投与、経膣投与、直腸内投与、舌下投与、または局所投与経路により投与することができ、ならびに各投与経路に適する従来どおりの非毒性で医薬的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する適切な投薬単位調合物で、単独でまたは一緒に調合することができる。温血動物の治療に加えて、本発明の化合物は、ヒトでの使用に有効である。
【0112】
本発明の化合物を投与するための医薬組成物は、単位剤形で適便に提供することができ、薬学技術分野では周知の任意の方法により調製することができる。すべての方法は、1つまたはそれ以上の補助成分を構成する担体と活性薬剤を会合させる段階を含む。一般に、本医薬組成物は、液体担体もしくは微粉固体担体または両方と活性成分を均一、および、均質に会合させること、およびこの後、必要な場合この生成物を所望の調合物に成形することにより、調製することができる。医薬組成物には、疾病の経過または状態に対して望ましい効果を生じさせるために充分な量で活性化合物が含まれる。ここで用いる用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、ならびに特性の成分を特定の量で組み合わせることにより直接または間接的に得られる任意の製品を包含すると解釈する。
【0113】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、溶液、ハードもしくはソフトカプセル、またはシロップもしくはエリキシルのような、経口使用に適する形態であり得る。経口使用するための組成物は、医薬組成物の製造に関する技術分野には公知の任意の方法に従って調製することができ、こうした組成物は、医薬として上品で美味な製剤を提供するために甘味剤、着香剤、着色剤および保存薬から成る群より選択される1つまたはそれ以上の物質を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性で医薬的に許容される賦形剤との混合物の状態で活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム)、造粒剤および崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム)および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)であり得る。錠剤は、コーティングされていない場合があり、または胃腸管での崩壊および吸収を遅らせ、これによって長期にわたる持続作用をもたらすために公知の技法によりコーティングされている場合もある。例えば、時間遅延材料、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを利用することができる。これらを米国特許第4,256,108号、同第4,166,452号および同第4,265,874号に記載されている技法によりコーティングして、制御放出のための浸透治療錠剤を形成することもできる。経口錠剤は、ファストメルト錠もしくはウェハース、急速溶解錠または急速溶解フィルムのように、即時放出用に調合することもできる。
【0114】
経口使用のための調合物は、活性成分が不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されるハードゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油性媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0115】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤との混合物の状態で活性材料を含有する。こうした賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムであり、分散または湿潤剤は、天然ホスファチド(例えば、レシチン)であってもよいし、脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)であってもよいし、長鎖脂肪アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)であってもよいし、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)であってもよいし、脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)であってもよい。水性懸濁液は、1つまたはそれ以上の保存薬(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル)、1つまたはそれ以上の着色剤、1つまたはそれ以上の着香剤、および1つまたはそれ以上の甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン)も含有することがある。
【0116】
油性懸濁液は、植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油)または鉱物油(例えば、液体パラフィン)に活性成分を懸濁させることにより調合することができる。前記油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有することがある。甘味剤(例えば、上に示したもの)および着香剤を添加して、美味な経口製剤を生じさせることができる。これらの組成物は、抗酸化物質、例えばアスコルビン酸の添加により、保存することができる。
【0117】
水の添加による水性懸濁液の調製に適する分散性粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁化剤および1つまたはそれ以上の保存薬との混合物の状態の活性成分をもたらす。適する分散または湿潤剤および懸濁化剤は、例えば上で既に述べたものである。追加の賦形剤、例えば甘味剤、着香剤および着色剤が存在する場合もある。
【0118】
本発明の医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態である場合もある。この油相は、植物油(例えば、オリーブ油もしくは落花生油)であってもよいし、鉱物油(例えば、液体パラフィン)であってもよいし、これらの混合物であってもよい。適する乳化剤は、天然ゴム(例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴム)、天然ホスファチド(例えば、大豆、レシチン)、ならびに脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、ならびにエチレンオキシドと前記部分エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)であり得る。エマルジョンは、甘味剤および着香剤も含有することがある。
【0119】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースを用いて調合することができる。こうした調合物は、粘滑薬、保存薬、着香剤および着色剤も含有することがある。
【0120】
本医薬組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態である場合もある。この懸濁液は、上で述べた適する分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用し、公知の技術に従って調合することができる。滅菌注射用製剤は、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液である場合もある。利用することができる許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張食塩液などがある。加えて、滅菌固定油が溶媒または懸濁媒体として従来利用されている。この目的には、合成モノまたはジグリセリドをはじめとする任意の無菌固定油を利用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が注射用の製剤として使用されている。
【0121】
本発明の化合物は、薬物の直腸内投与用の坐剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、薬物を、常温で固体であるが直腸内温度では液体であり、従って、直腸内で溶融してこの薬物を放出する、適する無刺激賦形剤と混合することにより、作製することができる。こうした材料は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである。
【0122】
局所使用には、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などを利用する。同様に、経皮パッチも局所投与に用いることができる。
【0123】
本発明の医薬組成物および方法は、上に挙げた病的状態の治療に通常適用される、本明細書に示すような他の治療活性化合物を、さらに含むことができる。
【0124】
CGRP受容体活性に対する拮抗を必要とする状態の治療、予防、制御もしくは改善または前記状態のリスクの低減において適切な投薬レベルは、一般に、1日つき患者の体重のkg当たり約0.01から500mgであろう(これを1回量または複数回分の用量で投与することができる)。適する投薬レベルは、1日につき約0.01から250mg/kg、1日につき約0.05から100mg/kg、または1日につき約0.1から50mg/kgであり得る。この範囲内で、投薬量は、1日につき0.05から0.5、0.5から5または5から50mg/kgである場合もある。経口投与のための組成物は、1.0から1000ミリグラムの活性成分、詳細には、治療する患者への投薬量を症状に基づき調整するのために1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0および1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供することができる。本化合物は、1日に1回から4回の計画で投与してもよいし、1日1回または2回投与してもよい。
【0125】
頭痛、偏頭痛、群発性頭痛もしくは本発明の化合物が必要である他の疾病を治療、予防、制御もしくは改善またはこれらのリスクを低減する際、一般に、本発明の化合物を動物の体重のキログラム当たり約0.1ミリグラムから約100ミリグラムの日用量で投与する(1日1回量として、または1日2回から6回の分割用量で、または持続放出形で与える)と、満足な結果が得られる。最も大きな哺乳動物についての全日用量は、約1.0ミリグラムから約1000ミリグラム、または約1ミリグラムから約50ミリグラムである。70kgの成人の場合、全日用量は、一般に、約7ミリグラムから約350ミリグラムであろう。この薬剤投与計画は、最適な治療応答をもたらすように調整することができる。
【0126】
しかし、いずれの特定の患者についてもこの具体的な用量レベルおよび投薬頻度は、変えることができること、およびこれが、利用される具体的な化合物の活性、この化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事および投与時間、排泄率、薬の組み合わせ、この特定の状態の重症度ならびに治療を受ける宿主をはじめとする様々な因子に依存するであろうことは、理解されるであろう。
【0127】
本発明の化合物の幾つかの調製方法を以下の図式および実施例において説明する。出発原料は、当該技術分野において公知の手順に従ってまたは本明細書で説明するとおり製造する。
【0128】
本発明の化合物は、容易に入手できる出発原料、試薬および従来どおりの合成手順を用い、以下の図式および特定の実施例またはこれらの変法に従って、容易に調製することができる。これらの反応において、あまり詳細には触れていないが、これら自体、通常の当業者には公知である変形を用いることもできる。本発明において特許請求する化合物を製造するための一般手順は、以下の図式を見ることで当業者には容易に理解することができ、正しく認識することができる。
【0129】
スピロヒダントイン中間体の合成は、図式1から4に記載するとおり行うことができる。R5a、R5bおよびR5cを有するスピロヒダントイン中間体は、適切に置換された出発原料を利用することにより、または所望される場合には当該技術分野では公知の方法によって任意の中間体および/もしくは最終生成物を誘導体化することにより調製することができる。
【0130】
【化17】

【0131】
市販の6−ブロモ−2−テトラロン(1)は、炭酸アンモニウムと、シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウムのいずれかとを使用して、Bucherer−Bergs条件下でスピロヒダントイン2に容易に転化させることができる。他の2−テトラロンは、文献に記載されている様々な方法、例えば、BurckhalterおよびCampbell(J.Org.Chem.1961,26,4232)により記載されたような塩化アリールアセチルとエテンのフリーデル・クラフツ反応を用い、対応するスピロヒダントインに類似に転化させることにより、容易に入手することができる。図式1では、スピロヒダントイン2を臭化エチルマグネシウムで処理し、次いで、t−ブチルリチウムで処理することによりメタール−ハロゲン交換を行い、得られたアリールリチウム種を二酸化炭素でクエンチングして酸3を得る。Wolff(Org.React.1946,3,307)により総説されているように、3とアジ化水素酸のシュミット反応を用いて、アニリン4を生じさせることができる。または、Yamadaおよび共同研究者らの手順(Tetrahedron 1974,30,2151)に従って3およびアジ化ジフェニルホスホリルを使用する修正クルチウス転移により、従ってカルバミン酸t−ブチルまたはベンジル誘導体のいずれかを経由してアニリン4を生じさせることができる。
【0132】
【化18】

【0133】
図式2では、6−ブロモ−2−テトラロン(1)を塩酸メチルアミンおよびシアン化カリウムで処理し、次いで、シアン酸カリウムおよび塩酸で処理することにより、メチル化ヒダントイン誘導体5を生じさせる。図式1に記載したもの類似した手順を用いて、酸6およびアニリン7を生じさせることができる。
【0134】
図式3は、7−置換テトラリン誘導体10および11への経路を図示するものである。3−ブロモフェニル酢酸を対応する酸塩化物に転化させ、これをエテンとのフリーデル・クラフツ反応に付して、7−ブロモ−2−テトラロン9を得る。図式1に記載した手順を用いてこの中間体を加工して、酸(10)およびアニリン(11)を生じさせることができる。
【0135】
【化19】

【0136】
図式4は、重要なインダン系スピロヒダントイン中間体の合成を詳細に示すものである。
【0137】
【化20】

【0138】
示したようなBucherer−Bergs化学により、2−インダノン(12)をスピロヒダントイン13に転化させる。13を硝酸で処理することにより5−ニトロインダン中間体14を生じさせ、これを、接触水素化条件下で対応するアニリン15に還元することができる。または、二段階プロセスを用いて、2−インダノン(12)をN−メチルスピロヒダントイン16に転化させることができる。12をシアン化カリウムおよび塩酸メチルアミンで処理することによりアミノニトリルを得、これを、シアン酸カリウムおよび酢酸を使用してスピロヒダントイン16に転化させる。図式4に詳細に示したように、13のために用いたニトロ化−還元順序に16を付すことにより、対応するアニリン18に至る。
【0139】
当業者によく知られている技法を用いて、スピロヒダントイン中間体を分割して純粋なエナンチオマーを得ることができる。例えば、ChiralPak ADカラムでのニトロ中間体17のクロマトグラフィーを用いて、個々のエナンチオマー(+)−17および(−)−17を生じさせることができ、接触水素化によりこれらのエナンチオマーを対応するアニリン[(+)−18および(−)−18]に還元することができる。エナンチオマー的に純粋なアニリンを使用する標準的なカップリング手順を用いることにより、最終生成物の個々のエナンチオマーを得る。分割は、ジアステレオマー塩の分別結晶などの他の方法論により行ってもよく、他の合成中間体に対してまたは最終生成物に対して行ってもよい。または、スピロヒダントインのアミノ酸前駆体などの重要な中間体の不斉合成を用いて、エナンチオマー的に富化された最終生成物を生じさせることもできる。
【0140】
水素またはメチル以外のR置換基を有するスピロヒダントイン化合物は、図式2および図式4におけるRがメチルである場合についてのものに類似した方法により調製することができる。または、図式5に示すように、適切に保護されたスピロヒダントイン中間体を誘導体化することができる。
【0141】
【化21】

【0142】
図式5に図示した経路は、Mitsunobu反応を用いて、スピロヒダントイン14のイミド窒素を例えばX=4−メトキシフェニルで選択的に保護する。他のアルキル化条件をこの保護段階で用いてもよい。保護されたスピロヒダントイン19は、従ってスピロヒダントインを脱プロトン化するために水素化ナトリウムまたは別の塩基を使用して、様々なR基でアルキル化することができる。示した例では、臭化物RBrを利用してアルキル化を行うが、様々な他のR誘導体、例えば塩化物またはスルホネートを使用することができる。他の条件、例えば、銅またはパラジウム促進アリール化またはヘテロアリール化反応を利用して、アリールまたはヘテロアリールR基を取り付けることもできる。次に、スピロヒダントイン20を脱保護して、21を得る。図式5では、硝酸アンモニウムセシウム(IV)を使用して4−メトキシベンジル保護基を除去しているが、脱保護条件の選択は、Xの性質に依存して変わることがある。最後に、前の図式と類似に、水素化条件を用いて中間体22を生じさせることができる。
【0143】
図式1から5に記載したものなどのスピロヒダントインアニリン中間体を様々なカルボン酸またはカルボン酸誘導体とカップリングさせて、アミド最終生成物を生じさせることができる。
【0144】
【化22】

【0145】
このように、アミンAとカルボン酸、R’COHとのカップリングを用いて、アミドBを得ることができる。他の標準的なカップリング条件、例えば、PyBOPのような代替カップリング試薬の使用または酸無水物もしくは酸塩化物としてのカルボン酸の活性化を、こうしたアミドの合成に利用してもよい。ホスゲン、1,1’−カルボニルジミダゾール、クロロギ酸4−ニトロフェニルまたは同様の試薬の使用により、アニリンAおよび適切なアミンから尿素を合成することもできる。
【0146】
本発明の化合物の製造に使用される酸(R’COH)の大部分は、容易に入手できる。これらは、市場の供給業者から得ることができ、または当業者によく知られているか化学文献に記載されているような方法論により合成することができる。図式7から12に概要を示す方法論を用いて、多数の酸を合成した。
【0147】
図式7は、置換ベンゾイミダゾール三環式カルボン酸Iへの一般経路を図示するものである。刊行物に記載されている様々な経路および公知の方法論(Leibigs Ann,Chem.1989,539−544;J.Med.Chem.1995,38,4367−4379)から得ることができる、適切に置換された3−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン出発原料Cで出発して、ホスゲン、または多数のカルボニル化試薬(カルボニルジミダゾールおよび尿素を含む)のうちの1つでの処理により、ニトロベンゾイミダゾロンDを合成することができる。または、置換ベンゾイミダゾロンをニトロ化して、Dを生じさせることができる(J.Org.Chem.1995,1565−1582)。
【0148】
【化23】

【0149】
塩基性条件下、適するブロモ酢酸エステル、例えばブロモ酢酸t−ブチルでのニトロベンゾイミダゾロンDのアルキル化により、モノアセチル誘導体Eを得ることができる。例えば水素化ナトリウムを塩基として使用し、次いで、適する臭化物を使用することによりベンゾイミダゾールのさらなるアルキル化を達成して、ベンゾイミダゾロンFを得る。示した例では、異なる鎖長を有するブロモエステルを使用して、多数の異なる生成物を生じさせることができる。場合によっては、Rの選択に依存して、これらのアルキル化の結果として位置異性体の混合物が得られることがあり、EまたはFの混合物は、クロマトグラフィーにより分離することができる。ニトロ化合物Fの対応するアニリンへの還元は、多数の標準的な方法、例えば接触水素化により達成することができ、このアニリンを酸性条件下で環化してアニリドGを得ることができる。図式7では、得られたアニリドをN−アルキル化して、Hを得る。例えば、RXが、ヨードメタンであるときには、N−メチル類似体が得られる。または、充分に前例のある方法論、例えば、臭化アリールおよび銅またはpラジウム触媒での処理(Org.Lett.2000,2,1101−1104;J.Am.Chem.Soc.2001,123,7727−7729)を用いて、このアニリド窒素をアリール化することができる。Iの酸官能基を暴露するためのこのエステルの加水分解は、エステル中間体Hの性質に依存して酸性または塩基性条件を用いることにより、達成することができる。図式7では、トリフルオロ酢酸を使用して、このt−ブチルエステルを除去する。
【0150】
【化24】

【0151】
図式7におけるフェニレンジアミン出発原料Cは、多数の方法で調製することができる。例えば、図式8において、3−ニトロ−4−置換フェニレンジアミンMは、4−置換1,2−フェニレンジアミンJ(J.Med.Chem.1995,38,4367−4379)からセレナゾールKを最初に形成することにより、調製する。標準的な試薬、例えば硝酸と硫酸の組み合わせでこのセレナゾールの3位を選択的にニトロ化して、Lを得る。ヨウ化水素酸と塩酸の混合物を使用してこのセレナゾールを除去することにより、フェニレンジアミンを生じさせ、これを三環式カルボン酸Iの合成において出発原料として使用してもよい。
【0152】
【化25】

【0153】
アザベンゾイミダゾロン中間体の代替合成を図式9に図示する。4−アミノ−2,6−ジクロロピリジン(N)のニトロ化は、硝酸と硫酸の混合物で処理し、次いで、硫酸中で加熱することにより達成する(J.Het.Chem.1965,2,196)。クロロ置換基を無傷で残すためにラネーニッケルを使用して、このニトロアニリンOを1,2−ジアミンPに還元する。165℃の尿素溶融物でPを処理することによりベンゾイミダゾロンQを形成し、炭酸セシウムおよびブロモ酢酸エステルを使用してQをビスアルキル化して、ジエステルSを生じさせることができる。アリールクロロ置換基の同時除去およびニトロ基の還元は、パラジウム触媒での水素化により達成することができる。この合成は、得られたアミノピリジンを酸性条件下で環化し、次いで、このメチルエステル部分を鹸化して酸Tを生じさせることにより、完了する。以前に概要が説明されており、当業者によく知られている化学的手順を用いることにより、図式9の化学的手順を多数の方法で修飾して、異性体アザベンゾイミダゾロン中間体を生じさせてもよい。例えば、1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾロ[4,5−c]ピリジン−2−オンを硝酸と反応させると、この主生成物は、4−ニトロ−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾロ[4,5−c]ピリジン−2−オンであり、これをR−Tと同様に化学的に修飾して、アザベンゾイミダゾロンTの別の立体異性体を得ることができる。
【0154】
【化26】

【0155】
図式10は、置換インドール三環式誘導体BBへの一般経路を図示するものである。ニトロインドールUは、二段階の作用順序(N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタンとのマンニッヒ反応、続くシアン化カリウムでの処理)によりニトリルWに転化させることができる。または、マイクロ波反応装置でのニトロインドールUとジメチルアミンおよびホルムアルデヒドとの反応により、ジメチルアミン誘導体Vを形成することができる。塩基性条件下、適切なアルキル化剤での処理によりWのN−アルキル化を遂行して、一般形Xのエステルを得ることができる。過剰な水酸化ナトリウムでのXの処理を用いてこのニトリル基とエステル基の両方を加水分解して、二酸Yを得ることができる。EtOHおよびHSOを使用する伝統的なエステル化にこの二酸を付すことにより、対応するジエステルZに転化させる。このニトロ部分は、接触水素化などの様々な条件下で還元することができ、得られたアニリンを酸性条件下で加熱して、三環式インドールAAを得ることができる。次に、標準的な条件下でこのエステルの鹸化を遂行して、酸中間体BBを生じさせる。
【0156】
【化27】

【0157】
置換インドリン三環式誘導体の調製の概要を図11に示す。Vilsmeier法を用いるニトロインドールTのアシル化により、3−置換インドールCCを生じさせる。酸性条件下でトリエチルシランを使用することによりこのケトンおよびインドールの同時還元を遂行して、インドリンDDを得ることができる。炭酸カリウムおよびヨウ化カリウムの存在下、過剰なブロモ酢酸エチルでの処理によりDDのN−アルキル化を達成して、エステルEEを得ることができる。EEのさらなる加工を前の図式と類似に行って、インドリン酸中間体HHを生じさせることができる。
【0158】
【化28】

【0159】
OOタイプのインドール三環式誘導体を合成するための方法論を図式12に示す。N−保護ブロモインドールJJを、触媒としてパラジウムを用いるカップリング反応(J.Am.Chem.Soc.2002,124,12557−12565)に付して、置換インドールKKを得る。無水酢酸中の硝酸での処理により、インドールの3位でのニトロ化を遂行する。このスルホンアミド保護基をインドールから除去し、前の図式に記載したものに類似したアルキル化法を用いて、ジエステルNNを生じさせる。酢酸中、鉄を使用してワンポットでこのニトロ基の還元および環化を遂行してOOを生じさせ、これを標準的な条件下で鹸化して、対象となる酸中間体を生じさせる。
【0160】
異なる保護基戦略、充分に先例のある方法論の適用、ならびに上記図式に記載したもの以外の出発原料および試薬をはじめとする、これらの経路の簡単な変形を用いて、対象となる他の酸、例えば、中間体27から41(下記参照)で詳述するものを生じさせることができる。
【0161】
場合によっては、反応を促進するためまたは望ましくない反応生成物を回避するために、上記反応図式を行う順序を変えてもよい。本発明をさらに充分に理解できるように以下の実施例を提供する。これらの実施例は、単なる例証であり、いかなる点においても本発明を制限するものと解釈すべきでない。
【0162】
【化29】

【0163】
中間体1
(±)−6’−カルボキシ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
段階A. (±)−6’−ブロモ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
O(100mL)およびEtOH(100mL)中の6−ブロモ−2−テトラロン(17.6g、78.2mmol)とシアン化ナトリウム(9.58g、195mmol)と炭酸アンモニウム(97.7g、1.02mol)の攪拌混合物を3時間、70℃に加熱し、次いで、放置して周囲温度に冷却した。沈殿を濾過により回収し、HO(5x200mL)で洗浄した。真空下で乾燥させることにより、表題化合物を淡色の固体として得た。MS:m/z=297(M+1)。
【0164】
段階B. (±)−6’−カルボキシ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
−70℃でTHF(1.2L)中の(±)−6’−ブロモ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン(14.9g、50.5mmol)の攪拌懸濁液に、臭化エチルマグネシウム(THF中3.0M、51mL、152mmol)を1滴ずつ添加した。得られた混合物を10分間攪拌し、次いで、t−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M、180mL、305mmol)を30分かけて1滴ずつ添加した。−70℃で20分間攪拌を継続し、次いで、追加のt−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M、60mL、102mmol)を10分かけて1滴ずつ添加した。さらに30分後、LCMS分析が反応の完了を示すまで、CO(ガス)で従って反応混合物をバブリングした。混合物を放置してゆっくりと周囲温度に温め、真空下でTHFを除去した。残留物をHOに懸濁させ、約500mLの最終体積まで濃塩酸を添加することによりpH=1から2に調整した。混合物を濾過し、単離した固体をHO(4x100mL)で洗浄し、次いで、真空下で乾燥させた。この粗製固体をEtOHと研和させることにより、表題化合物を淡黄褐色の固体として得た。MS:m/z=261(M+1)。
【0165】
中間体2
【0166】
【化30】

【0167】
(±)−6’−アミノ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
段階A. (±)−6’−アミノ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
濃HSO(30mL)中の(±)−6’−カルボキシ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン(中間体1において説明したもの)(1.50g、5.76mmol)とアジ化ナトリウム(749mg、11.53mmol)の攪拌混合物を2時間、50℃に加熱し、次いで、放置して周囲温度に冷却した。6NのNaOH水溶液の添加により従って混合物をpH8に調整し、真空下で濃縮して、固体を沈殿させた。従って沈殿を濾過により回収し、HOで大々的に洗浄した。真空下での乾燥により、表題化合物を薄褐色の固体として得た。MS:m/z=232(M+1)。
【0168】
中間体3
【0169】
【化31】

【0170】
(±)−6’−カルボキシ−3−メチル−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
段階A. (±)−6’−ブロモ−3−メチル−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
O(1mL)およびEtOH(1.5mL)中の6−ブロモ−2−テトラロン(1.00g、4.44mmol)と塩酸メチルアミン(300mg、4.44mmol)の混合物を周囲温度で20分間攪拌した。シアン化カリウム(289mg、4.44mmol)を添加し、18時間攪拌を継続した。混合物を0℃で1.0NのHCl攪拌水溶液(4.5mL)に1滴ずつ添加し、次いで、シアン酸カリウム(360mg、4.44mmol)を少しずつ添加した。攪拌混合物を95℃に加熱し、濃塩酸(0.44mL)を1滴ずつ添加した。反応混合物をこの温度で1時間加熱し、放置して冷却し、CHCl(80mL)で抽出した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。CHCl:MeOH−100:0から90:10の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより従って粗生成物を精製して、表題化合物の粗製サンプル(純度約70%)を得た。EtOHとの研和により、表題化合物を淡色の固体として得た。MS:m/z=311(M+1)。
【0171】
段階B. (±)−6’−カルボキシ−3−メチル−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
−70℃でTHF(30mL)中の(±)−6’−ブロモ−3−メチル−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン(211mg、0.682mmol)の攪拌懸濁液に、臭化エチルマグネシウム(THF中1.0M、1.37mL、1.37mmol)を1滴ずつ添加した。得られた混合物を15分間攪拌し、次いで、t−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M、1.61mL、2.73mmol)を1滴ずつ添加した。さらに30分後、LCMS分析が反応の完了を示すまで、CO(ガス)で従って反応混合物をバブリングした。混合物を放置してゆっくりと周囲温度に温め、真空下でTHFを除去した。残留物をHO(20mL)に懸濁させ、溶液を1.0Nの塩酸の添加によりpH=1から2に調整し、次いで、これをNaCl(固体)で飽和させた。混合物を濾過し、単離した固体をHOで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させた。この粗製固体をEtOHと研和することにより、表題化合物を淡黄褐色の固体として得た。MS:m/z=275(M+1)。
【0172】
中間体4
【0173】
【化32】

(±)−7’−アミノ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
段階A. 7−ブロモ−2−テトラロン
塩化オキサリル(50mL、0.57mmol)中の3−ブロモフェニル酢酸(10.4g、48.4mmol)の溶液を周囲温度で5分間攪拌し、次いで、還流温度で5時間攪拌した。塩化オキサリルを真空下で除去し、残留物を無水CHCl(100mL)に溶解した。この溶液を、CHCl(500mL)中のAlCl(23.2g、174.2mmol)の急速攪拌氷冷溶液に1滴ずつ添加した。この添加中、従って攪拌溶液の渦の中にエチレンガス流を吹き込み、反応温度を5℃未満に保った。反応混合物を放置して周囲温度に温め、次いで、氷の上に注入し、激しく攪拌した。有機部分を除去し、水性層をCHCl(2x200mL)で抽出した。併せたCHCl画分をシリカの2”パッドに通し、濃縮して、濃稠な赤色の油を得た。ヘキサン:EtOAc−100:0から75:25の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより従って粗生成物を精製して、表題化合物を淡黄色の固体として得た。MS:m/z=226(M+1)。
【0174】
(±)−7’−アミノ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオン
6−ブロモ−2−テトラロンの代わりに7−ブロモ−2−テトラロンを使用したが、本質的には中間体1について説明した手順に従って、(±)−7’−アミノ−3’,4’−ジヒドロ−1’H−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−ナフタレン]−2,5−ジオンを調製した。MS:m/z=232(M+1)。
【0175】
中間体5
【0176】
【化33】

【0177】
(±)スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
段階A. (±)−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
O(50mL)およびEtOH(50mL)中の2−インダノン(3.0g、22.6mmol)とシアン化ナトリウム(3.3g、67.3mmol)と炭酸アンモニウム(22g、228mol)の攪拌混合物を3時間、70℃に加熱し、次いで、放置して周囲温度に冷却した。沈殿を濾過により回収し、HO(5x100mL)で洗浄した。真空下での乾燥により、表題化合物を灰褐色の固体として得た。MS:m/z=202(M+1)。
【0178】
中間体6
【0179】
【化34】

【0180】
(±)−5’−アミノ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
段階A. (±)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
濃硝酸(33mL)中の(±)−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(3.0g、14.8mmol、中間体5において説明したもの)の溶液を周囲温度で1時間攪拌した。次に、反応物を粉砕氷上に注入し、得られた固体を濾過により単離した。粗製材料をエタノールから再結晶させて、表題化合物を黄色の固体として得た。MS:m/z=248(M+1)。
【0181】
段階B. (±)−5’−アミノ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
EtOAc(100mL)およびMeOH(100mL)中の(±)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(1.77g、7.16mmol)の懸濁液に、10%Pd/C(400mg)を添加し、従って反応物を水素(約1気圧)下で激しく攪拌した。1時間後、触媒を濾過して除去し、濾液を濃縮して、表題化合物を淡褐色の固体として得た。MS:m/z=218(M+1)。
【0182】
中間体7
【0183】
【化35】

【0184】
(±)−5’−アミノ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
【0185】
段階A. 塩酸2−(メチルアミノ)インダン−2−カルボニトリル
MeOH(20mL)中の2−インダノン(20.0g、151mmol)の混合物に塩酸メチルアミン(10.2g、151mmol)を添加した。攪拌混合物にHO(20mL)を添加し、微小で均質なスラリーが発生した。この反応混合物を0℃に冷却し、HO(20mL)中のKCN(9.84g、151mmol)を、温度が10℃を越えないように、30分かけてゆっくりと添加し、次いで、周囲温度で18時間攪拌を継続した。反応混合物をEtO(250mL)で抽出し、有機抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、次いで、MgSOで乾燥させた。激しく攪拌している溶液を10分間、HCl(ガス)でバブリングし、白色の固体が沈殿した。固体を濾過し、EtOで洗浄し、乾燥させて、表題化合物を得た。MS:m/z=173(M+1)。
【0186】
段階B. (±)−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
AcOH(45mL)中の段階Aからの塩酸2−(メチルアミノ)インダン−2−カルボニトリル(6.0g、28.8mmol)の攪拌混合物に、HO(6mL)中のシアン酸カリウム(4.65g、57mmol)の溶液を添加し、反応混合物を1時間攪拌した。混合物を冷HO(150mL)に注入し、沈殿を濾過により回収し、HOで洗浄し、空気乾燥させた。粗製固体を1NのHCl(30mL)に懸濁させ、2時間攪拌して50℃にした。反応混合物を冷却し、濾過し、単離した固体をHOで洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物を得た。MS:m/z=217(M+1)。
【0187】
段階C. (±)−3−メチル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
攪拌発煙硝酸(100mL)に(±)−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(4.5g、20.9mmol)を30分かけてゆっくりと少しずつ添加した。反応混合物をHO(200mL)で稀釈し、沈殿を濾過により回収し、HOで洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物を得た。MS:m/z=261(M+1)。
【0188】
(±)−5’−アミノ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
(±)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオンの代わりに(±)−3−メチル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオンを使用したが、本質的には中間体6について説明した手順に従って、表題化合物を調製した。MS:m/z=232(M+1)。
【0189】
中間体8
【0190】
【化36】

【0191】
(−)−5’−アミノ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
段階A. (−)−3−メチル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
(±)−3−メチル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(中間体7において説明したもの)をMeOHとCHCNとジエチルアミンの混合物に溶解し、ChiralPak ADカラムを利用し、CHCN:MeOH−90:10で溶出するHPLCによりこれらのエナンチオマーを分割した。溶出する最初の主要ピークは、(+)−3−メチル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオンであり、溶出する第二の主要ピークは、(−)−3−メチル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン、表題化合物であった。MS:m/z=262(M+1)。
【0192】
(−)−5’−アミノ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
(±)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオンの代わりに(−)−3−メチル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオンを使用したが、本質的には中間体6について説明した手順に従って、表題化合物を調製した。MS:m/z=232(M+1)。
【0193】
中間体9
【0194】
【化37】

【0195】
5’−アミノ−6’−クロロ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン、エナンチオマーB
段階A. 5’−アミノ−6’−クロロ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン、エナンチオマーB
(−)−5’−アミノ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(265mg、1.15mmol、中間体8において説明したもの)をAcOH(7mL)に溶解し、N−クロロスクシンイミド(145mg、1.09mmol)を1度に添加した。混合物を周囲温度で5時間攪拌し、次いで、真空下で溶媒を除去した。残留物をNaHCO飽和水溶液(20mL)とCHCl(70mL)とで分配した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。CHCl:EtOAc−100:0から0:100の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより従って粗生成物を精製して、最初に溶出した5’−アミノ−4’−クロロ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオンと、二番目に溶出した表題化合物とを得た。MS:m/z=266(M+1)。
【0196】
中間体10
【0197】
【化38】

【0198】
5’−アミノ−4’−クロロ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン、エナンチオマーB
段階A. 5’−アミノ−4’−クロロ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン、エナンチオマーB
中間体9と同じ反応からこの表題化合物を得た。CHCl:EtOAc−100:0から0:100の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより従って粗生成物を精製して、最初に溶出した表題化合物と、二番目に溶出した5’−アミノ−6’−クロロ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオンとを得た。MS:m/z=266(M+1)。
【0199】
中間体11
【0200】
【化39】

【0201】
(±)−5’−アミノ−3−(ベンジル)−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
段階A. (±)−1−(4−メトキシベンジル)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
THF(15mL)中の(±)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(1.4g、5.66mmol、中間体6において説明したもの)と4−メトキシベンジルアルコール(0.94g、6.80mmol)とアゾジカルボン酸ジエチル(1.48g、8.49mmol)とトリフェニルホスフィン(2.23g、8.49mmol)との混合物を周囲温度で3日間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をNaHCO飽和水溶液(15mL)とCHCl(50mL)とで分配した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。ヘキサン:EtOAc−90:10から60:40の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより従って粗生成物を精製して、表題化合物を黄色の固体として得た。MS:m/z=368(M+1)。
【0202】
段階B. (±)−3−ベンジル−1−(4−メトキシベンジル)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
DMF(1mL)中の段階Aからの(±)−1−(4−メトキシベンジル)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(165mg、0.45mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(鉱物油中60%分散物18mg、0.45mmol)を添加した。この混合物を5分間、周囲温度で攪拌し、臭化ベンジル(230mg、1.35mmol)を添加した。30分後、混合物をNaHCO飽和水溶液(3mL)とCHCl(5mL)とで分配した。水性相をCHCl(5mL)でさらに抽出し、併せた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。ヘキサン:EtOAc−75:25で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより従って粗生成物を精製して、表題化合物を淡色の固体として得た。MS:m/z=458(M+1)。
【0203】
段階C. (±)−3−ベンジル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
アセトニトリル(1.5mL)中の段階Bからの(±)−3−ベンジル−1−(4−メトキシベンジル)−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(110mg、0.24mmol)の攪拌溶液に、HO(1mL)中の硝酸アンモニウムセシウム(IV)(395mg、0.72mmol)の溶液を1滴ずつ添加した。周囲温度で3時間後、沈殿を濾過により単離し、真空下で乾燥させて、表題化合物を黄色の固体として得た。MS:m/z=338(M+1)。
【0204】
段階D. (±)−5’−アミノ−3−ベンジル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
EtOAc(1.5mL)およびMeOH(1.5mL)中の段階Cからの(±)−3−ベンジル−5’−ニトロ−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(80mg、0.24mmol)の溶液に10%Pd/C(5mg)を添加し、従って反応混合物を水素(約1気圧)下で激しく攪拌した。18時間後、触媒を濾過して除去し、濾液を濃縮して、表題化合物を淡褐色の固体として得た。MS:m/z=308(M+1)。
【0205】
中間体12
【0206】
【化40】

【0207】
(±)−5’−アミノ−3−(メチルプロプ−1−イル)−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン
臭化ベンジルの代わりに1−ブロモ−2−メチルプロパンを使用したが、本質的には中間体11について説明した手順に従って、表題化合物を調製した。MS:m/z=274(M+1)。
【0208】
中間体13
【0209】
【化41】

【0210】
(2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸ナトリウム
段階A. 4−ニトロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン
トリホスゲン(56g、188.8mol)を、0℃でCHCN(400mL)中の3−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン(25.5g、167mol)の溶液に15分かけて少しずつ添加し、この混合物を放置して30分後には周囲温度にした。この反応物を真空下で濃縮し、トルエン(100mL)で希釈し、固体沈殿物を濾過により回収して、表題化合物を得た。MS:m/z=180(M+1)。
【0211】
段階B. 2,2’−(4−ニトロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−1,3−ジイル)二酢酸ジメチル
炭酸セシウム(3.6g、11.1mmol)を、DMF(25mL)中の段階Aからの4−ニトロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン(990mg、5.5mmol)およびブロモ酢酸メチル(1.05mL、11.1mmol)の溶液に添加した。1.5時間後、HOで反応を停止させ、固体沈殿物を濾過により回収して、表題化合物を得た。MS:m/z=324(M+1)。
【0212】
段階C. (2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸メチル
MeOH(10mL)中の段階Bからの2,2’−(4−ニトロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−1,3−ジイル)二酢酸ジメチル(270mg、0.84mmol)と10%Pd/C(50mg)の混合物を水素雰囲気(約1気圧)下で攪拌した。2時間後、この反応物をCeliteパッドに通して濾過し、真空下で濃縮した。この粗製固体をトルエン(3mL)に溶解し、p−トルエンスルホン酸・一水和物(2mg、0.011mmol)を添加した。この混合物を30分間還流させながら加熱し、次いで、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=262(M+1)。
【0213】
段階D. (2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸ナトリウム
MeOH(40mL)およびCHCN(5mL)中の段階Cからの(2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸メチル(367mg、1.40mmol)の溶液に、1.0Nの水酸化ナトリウム(2.82mL、2.82mmol)を添加し、この反応混合物を室温で18時間攪拌した。この混合物を1NのHCl水溶液で中和し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=248(M+1)。
【0214】
中間体14
【0215】
【化42】

【0216】
(6−メチル−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸ナトリウム
段階A. (6−メチル−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸メチル
DMF(5mL)中の(2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸メチル(300mg、1.15mmol、中間体9において説明したもの)の溶液に、炭酸セシウム(748mg、2.3mmol)およびヨードメタン(326mg、2.3mmol)を添加した。16時間後、この反応混合物をブライン(20mL)で反応停止させ、EtOAc(50mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=276(M+1)。
【0217】
段階B. (6−メチル−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸ナトリウム
MeOH(10mL)中の段階Aからの(6−メチル−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸メチル(225mg、0.817mol)の溶液に、1.0Nの水酸化ナトリウム(1.2mL、1.2mmol)を添加した。3時間後、この反応混合物を1NのHCl水溶液で中和し、濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=262(M+1)。
【0218】
中間体15
【0219】
【化43】

【0220】
(7−クロロ−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸ナトリウム
段階A. 5−クロロ−2,1,3−ベンゾセレナジアゾール
EtOH(15mL)中の4−クロロベンゼン−1,2−ジアミン(1.50g、10.5mmol)の溶液を加熱して還流させ、二酸化セレン(1.28g、11.5mmol)を添加した。この反応物を30分間還流させ、周囲温度に冷却した。沈殿した固体を濾過し、HOで徹底的に洗浄し、高真空化で乾燥させて、表題化合物を得た。MS:m/z=219(M+1)。
【0221】
段階B. 5−クロロ−4−ニトロ−2,1,3−ベンゾセレナジアゾール
濃HSO(12mL)中の段階Aからの5−クロロ−2,1,3−ベンゾセレナジアゾール(800mg、1.80mmol)の溶液を0℃に冷却し、90%HNO(0.8mL)を添加した。30分後、この反応物を0℃に冷却し、HO(10mL)で希釈した。固体を濾過して除去し、冷HOで洗浄して、表題化合物を得た。MS:m/z=263(M+1)。
【0222】
段階C. 5−クロロ−4−ニトロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン
濃HCl(4mL)および48%HI水溶液(2mL)中の段階Bからの5−クロロ−4−ニトロ−2,1,3−ベンゾセレナジアゾール(650mg、2.47mmol)の溶液を周囲温度で2時間攪拌した。この反応物をNaHSOとNaCOの1:1飽和水溶液(20mL)で希釈し、次いで、10MのNaOH水溶液を使用してpH10に調整した。この混合物をEtOAc(3x10mL)で抽出し、有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた暗赤色の固体をCHCN(4mL)に溶解し、ホスゲン(トルエン中の20%溶液、1.5mL、3.2mmol)を添加した。この反応混合物を1時間攪拌し、次いで、トルエンで希釈した。得られた固体を濾過することにより、表題化合物を得た。MS:m/z=214(M+1)。
【0223】
段階D. 2,2’−(5−クロロ−4−ニトロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−1,3−ジイル)二酢酸ジメチル
炭酸セシウム(1.16g、3.60mmol)をDMF(5mL)中の段階Aからの5−クロロ−4−ニトロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン(255mg、1.20mmol)およびブロモ酢酸メチル(0.23mL、2.40mmol)の溶液に添加した。1.5時間後、HO(30mL)で反応を停止させ、固体沈殿物を濾過により回収して、表題化合物を得た。MS:m/z=359(M+1)。
【0224】
段階E. (7−クロロ−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸メチル
AcOH(1.0mL)および水(0.1mL)中の段階Dからの2,2’−(5−クロロ−4−ニトロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾール−1,3−ジイル)二酢酸ジメチル(100mg、0.28mmol)の溶液に細粒状鉄(78mg、1.4mmol)を添加し、このスラリーを70℃で1時間加熱した。この反応物を冷却し、濾過し、濃縮し、DMF(4mL)に溶解した。このDMF溶液を攪拌しながらHO(30mL)に1滴ずつ添加し、沈殿を濾過により単離して、表題化合物を得た。MS:m/z=296(M+1)。
【0225】
段階F. (7−クロロ−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸ナトリウム
(6−メチル−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸メチルの代わりに(7−クロロ−2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸メチルを使用したが、本質的には中間体14について説明した手順に従って、表題化合物を調製した。MS:m/z=282(M+1)。
【0226】
中間体16
【0227】
【化44】

【0228】
(2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸
段階A. (4−ニトロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)酢酸t−ブチル
炭酸セシウム(1.75g、5.4mmol)を、DMF(15mL)中の4−ニトロ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン(800mg、4.5mmol、中間体9において説明したもの)およびブロモ酢酸t−ブチル(0.791mL、5.4mmol)の溶液に添加した。18時間後、HO(100mL)で反応を停止させ、固体沈殿物を濾過により回収した。CHCl:MeOH−95:5で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの粗生成物を精製して、表題化合物を得た。MS:m/z=294(M+1)。
【0229】
段階B. 4−[3−(2−t−ブトキシ−2−オキソエチル)−7−ニトロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル]ブタン酸メチル
水素化ナトリウム(鉱物油中60%分散物26.7mg、0.66mmol)を、DMF(5mL)中の段階Aからの(4−ニトロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル)酢酸t−ブチル(96mg、0.327mmol)の溶液に添加した。10分後、4−ブロモ酪酸メチル(178mg、0.98mmol)を添加し、この反応物を室温で18時間攪拌した。この混合物をHOで反応停止させ、EtOAcで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。逆相C18カラムを使用し、HO:CHCN:CFCOH−90:10:0.1から5:95:0.1の勾配で溶出するHPLCにより、この残留物を精製した。凍結乾燥により表題化合物を得た。MS:m/z=394(M+1)。
【0230】
段階C. 4−[7−アミノ−3−(2−t−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル]ブタン酸メチル
EtOH(30mL)およびEtOAc(15mL)中の段階Bからの4−[3−(2−t−ブトキシ−2−オキソエチル)−7−ニトロ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル]ブタン酸メチル(129mg、0.33mmol)と10%Pd/C(40mg)の混合物を水素雰囲気(約1気圧)下で攪拌した。1時間後、この反応物をCeliteパッドに通して濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=364(M+1)。
【0231】
段階D. (2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸t−ブチル
トルエン(5mL)中の段階Cからの4−[7−アミノ−3−(2−t−ブトキシ−2−オキソエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−1−イル]ブタン酸メチル(119mg、0.327mmol)の溶液に、p−トルエンスルホン酸・一水和物(2mg、0.011mmol)を添加し、この混合物を還流させながら加熱した。3時間後、この反応混合物を放置して周囲温度に冷却し、この混合物を真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=332(M+1)。
【0232】
段階E. (2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸
CHCl(3mL)中の段階Dからの(2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸t−ブチル(15mg、0.045mmol)の溶液に、TFA(1mL)を添加した。2時間後、この混合物を減圧下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=276(M+1)。
【0233】
中間体17
【0234】
【化45】

【0235】
(8−メチル−2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸
段階A. (8−メチル−2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸t−ブチル
炭酸セシウム(214mg、0.66mmol)およびヨードメタン(93mg、0.66mmol)を、DMF(5mL)中の(2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸t−ブチル(109mg、0.33mmol、中間体13において説明したもの)の溶液に添加した。18時間後、逆相C18カラムを使用し、HO:CHCN:CFCOH−90:10:0.1から5:95:0.1の勾配で溶出するHPLCにより、この混合物を直接精製した。凍結乾燥により、表題化合物を得た。MS:m/z=346(M+1)。
【0236】
段階B. (8−メチル−2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸
CHCl(6mL)中の段階Aからの(8−メチル−2,7−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−fg][1,6]ベンゾジアゾシン−1(2H)−イル)酢酸t−ブチル(45mg、0.13mmol)の溶液に、TFA(2mL)を添加した。2時間後、この混合物を減圧下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=290(M+1)。
【0237】
中間体18
【0238】
【化46】

【0239】
(4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(3H)−イル)酢酸リチウム
段階A. N,N−ジメチル−1−(4−ニトロ−1H−インドール−3−イル)メタナミン
酢酸(30mL)中のN,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン(2.2mL、15.6mol)を酢酸(30mL)中の4−ニトロインドール(2.30g、14.2mol)の溶液に60分かけて1滴ずつ添加した。3.5時間後、この反応物を0℃に冷却し、20%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11に調整した。この混合物をCHCl(3x300mL)で抽出し、併せた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=220(M+1)。
【0240】
段階B. (4−ニトロ−1H−インドール−3−イル)アセトニトリル
O(80mL)中のシアン化カリウム(9.20g、141mmol)を、DMF(80mL)中の段階AからのN,N−ジメチル−1−(4−ニトロ−1H−インドール−3−イル)メタナミン(3.10g、14.1mmol)の溶液に添加し、この混合物を1時間還流させながら加熱し、次いで、周囲温度に冷却し、HO(200mL)とEtOAc(400mL)とで分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。ヘキサン:EtOAc−100:0から0:100の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの粗生成物を精製して、表題化合物を得た。MS:m/z=265(M+Na+CHCN)。
【0241】
段階C. [3−(シアノメチル)−4−ニトロ−1H−インドール−1−イル]酢酸t−ブチル
水素化ナトリウム(鉱物油中60%分散物198mg、5.0mmol)を、DMF(15mL)中の段階Bからの(4−ニトロ−1H−インドール−3−イル)アセトニトリル(910mg、4.52mmol)の溶液に添加した。10分後、ブロモ酢酸t−ブチル(0.801mL、5.4mmol)を1滴ずつ添加し、この反応混合物を周囲温度で1.5時間攪拌した。この混合物をHO(50mL)とEtOAc(100mL)とで分配し、有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。ヘキサン:EtOAc−100:0から0:100の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの粗生成物を精製して、表題化合物を得た。MS:m/z=316(M+1)。
【0242】
段階D. 2,2’−(4−ニトロ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸
エタノール(50mL)中の段階Cからの[3−(シアノメチル)−4−ニトロ−1H−インドール−1−イル]酢酸t−ブチル(920mg、2.92mol)の溶液に、1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液(14.6mL、14.6mmol)を添加し、この混合物を18時間還流させながら加熱した。追加量の1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液(15mL、15mmol)をこの反応物に添加し、大部分のEtOHをこのフラスコから蒸留により除去し、この混合物をさらに21時間還流させながら加熱した。この反応混合物を0℃に冷却し、濃HClを添加して、pHを1から2に調整した。この混合物をEtOAc(2x150mL)で抽出し、併せた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=279(M+1)。
【0243】
段階E. 2,2’−(4−ニトロ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸ジエチル
濃硫酸(0.02mL)をEtOH(100mL)中の段階Dからの2,2’−(4−ニトロ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸(742mg、2.67mol)の溶液に添加し、この混合物を9時間還流させながら加熱した。この反応混合物を放置して周囲温度に冷却し、真空下で30mLの体積に濃縮した。この溶液をEtOAc(300mL)とNaHCO水溶液(100mL)とで分配し、有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=335(M+1)。
【0244】
段階F. 2,2’−(4−アミノ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸ジエチル
EtOH(20mL)中の段階Eからの2,2’−(4−ニトロ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸ジエチル(140mg、0.419mmol)と10%Pd/C(20mg)の混合物を水素雰囲気(約1気圧)下で攪拌した。1.5時間後、この反応混合物をCeliteパッドに通して濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=305(M+1)。
【0245】
段階G. (4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(3H)−イル)酢酸エチル
トルエン(8mL)中の段階Fからの2,2’−(4−アミノ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸ジエチル(83mg、0.273mmol)の溶液に、p−トルエンスルホン酸・一水和物(5mg、0.026mmol)を添加し、この混合物を還流させながら加熱した。2時間後、この反応物を放置して周囲温度に冷却し、混合物をEtOAc(40mL)とNaHCO水溶液(15mL)とで分配した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。CHCl:MeOH−100:0から92:8の勾配で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの粗生成物を精製して、表題化合物を得た。MS:m/z=259(M+1)。
【0246】
段階H. (4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(3H)−イル)酢酸リチウム
エタノール(3mL)および水(0.5mL)中の段階Gからの(4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(3H)−イル)酢酸エチル(79mg、0.306mmol)の溶液に、1.0Nの水酸化リチウム水溶液(0.34mL、0.34mmol)を1滴ずつ添加した。5分後、1NのHCl水溶液を添加してこの混合物をpH7に調整し、この溶液を真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=231(M+1)。
【0247】
中間体19
【0248】
【化47】

【0249】
(7−メチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(3H)−イル)酢酸リチウム
段階A. 2,5−ジメチル−3−ニトロアニリン
冷却浴で冷却した濃硫酸(20mL)中のp−キシレン(10.4g、97.9mmol)の攪拌溶液に、90%硝酸(12.4mL、264mmol)を50分かけて1滴ずつ添加した。得られた混合物を2時間、80℃に加熱し、次いで、氷の上に注入し、CHCl(2x400mL)で抽出した。併せた有機抽出物をNaHCO飽和水溶液で洗浄し、次にブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。ヘキサン:EtOAc−90:10から60:40の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの粗生成物を部分精製した。得られた固体をCHClから再結晶させて、2,5−ジメチル−1,3−ジニトロベンゼンを得た。2,5−ジメチル−1,3−ジニトロベンゼン(3.68g、18.8mmol)をAcOH(35mL)に溶解し、鉄粉(1.95g、34.9mmol)を添加した。この混合物を3時間、110℃に加熱し、次いで、EtOAcおよびHOで洗浄しながらCeliteのパッドに通して濾過した。濾液を真空下で濃縮して溶媒の大部分を除去し、残留物をNaHCO飽和水溶液(200mL)とEtOAc(200mL)とで分配した。有機層をブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。ヘキサン:EtOAc−100:0から60:40の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの粗生成物を精製して、表題化合物を得た。MS:m/z=167(M+1)。
【0250】
段階B. 6−メチル−4−ニトロ−1H−インドール
新たに蒸留したオルトギ酸トリエチル(1.65mL、9.92mmol)中の段階Aからの2,5−ジメチル−3−ニトロアニリン(1.21g、7.26mmol)およびp−トルエンスルホン酸・一水和物(2mg、0.011mmol)の溶液を、蒸留装置で45分間、120℃で加熱し、約0.4mLのEtOHを蒸留除去した。残留溶液の真空蒸留により、2,5−ジメチル−3−ニトロフェニルイミドギ酸エチル(沸点=146℃、約2mmHg)を淡黄色の固体として得た。0℃でDMF(2mL)中のシュウ酸ジエチル(868mg、5.94mmol)の溶液にカリウムエトキシド(435mg、5.17mmol)を添加し、得られた溶液をDMSO(3mL)中の2,5−ジメチル−3−ニトロフェニルイミドギ酸エチル(880mg、3.96mmol)の溶液に添加した。この反応混合物を40℃で1時間加熱し、次いで、HO(30mL)で反応停止させ、EtOAc(2x50mL)で抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、次いで、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。ヘキサン:EtOAc−100:0から0:100の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの粗生成物を精製して、表題化合物を得た。MS:m/z=177(M+1)。
【0251】
(7−メチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(3H)−イル)酢酸リチウム
4−ニトロインドールの代わりに4−ニトロ−1H−インドールを使用したが、本質的には中間体18について説明した手順に従って、表題化合物を調製した。MS:m/z=245(M+1)。
【0252】
中間体20
【0253】
【化48】

【0254】
(4−オキソ−2a,3,4,5−テトラヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(2H)−イル)酢酸リチウム、エナンチオマーB
段階A. (4−ニトロ−1H−インドール−3−イル)(オキソ)酢酸メチル
塩化ジホスホリル(0.938mL、6.80mmol)を、0℃で4−ニトロインドール(1g、6.2mmol)およびピロリジニルグリオキシル酸メチル(Downieら,Tetrahedron,1993,49,4015−4043)(1.1g、6.8mmol)の溶液に1滴ずつ添加し、この混合物を3時間にわたって放置して周囲温度に温めた。MeOH、次いで、NaHCO飽和水溶液を0℃でこの反応物に添加し、この溶液をCHCl(3x50mL)で抽出した。併せた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、結晶が形成するまで真空下で濃縮した。これらの結晶を真空濾過により回収し、さらに2収量を濾液から単離して、表題化合物を得た。MS:m/z=249(M+1)。
【0255】
段階B. (±)−(4−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル)酢酸メチル
トリエチルシラン(13mL、80.6mmol)をTFA(15mL)中の段階Aからの(4−ニトロ−1H−インドール−3−イル)(オキソ)酢酸メチル(1.0g、4.0mmol)の溶液に添加した。3時間後、この反応混合物を真空下で濃縮し、CHCl:MeOH−100:0から98:2の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの残留物を精製して、表題化合物を得た。MS:m/z=237(M+1)。
【0256】
段階C. (±)−2,2’−(4−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸エチルメチル
アセトン(15mL)中の段階Bからの(±)−(4−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル)酢酸メチル(700mg、3.0mmol)、炭酸ナトリウム(471mg、4.44mmol)およびヨウ化カリウム(98mg、0.59mmol)の溶液に、ブロモ酢酸エチル(9.9mL、88.9mmol)を添加した。この混合物を18時間還流させながら加熱し、次いで、周囲温度に冷却し、真空下で濃縮した。残留物をHO(15mL)とEtOAc(2x40mL)とで分配し、有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で50mLの体積に濃縮した。ヘキサンをこのEtOAc溶液に添加し、沈殿が形成した。真空濾過により所望の結晶を回収して、表題化合物を得た。MS:m/z=323(M+1)。
【0257】
段階D. (±)−2,2’−(4−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸エチルメチル
EtOH(10mL)中の段階Cからの(±)−2,2’−(4−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸エチルメチル(550mg、1.71mmol)と10%Pd/C(40mg)の混合物を水素雰囲気(約1気圧)下で攪拌した。3時間後、この反応物をCeliteパッドに通して濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=293(M+1)。
【0258】
段階E. (4−オキソ−2α,3,4,5−テトラヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(2H)−イル)酢酸エチル、エナンチオマーB
トルエン(35mL)中の段階Dからの(±)−2,2’−(4−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1,3−ジイル)二酢酸エチルメチル(490mg、1.70mmol)の溶液に、p−トルエンスルホン酸・一水和物(5mg、0.026mmol)を添加し、この混合物を48時間還流させながら加熱した。この混合物を周囲温度に冷却し、NaHCO飽和水溶液(5mLとEtOAc(40mL)とで分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。CHCl:EtOAc−90:10から40:60の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによりこの粗生成物を精製して、ラセミ生成物を得た。Chiralpak ASカラムを利用し、MeOHで溶出するHPLCにより、これらのエナンチオマーを分割した。溶離する最初の主要ピークは、(4−オキソ−2a,3,4,5−テトラヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(2H)−イル)酢酸エチル、エナンチオマーAであり、溶出する二番目の主要ピークは、(4−オキソ−2a,3,4,5−テトラヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(2H)−イル)酢酸エチル、エナンチオマーB、表題化合物であった。MS:m/z=261(M+1)。
【0259】
段階F. (4−オキソ−2a,3,4,5−テトラヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(2H)−イル)酢酸リチウム、エナンチオマーB
THF(1mL)、EtOH(1mL)およびHO(1mL)中の段階Eからの(4−オキソ−2a,3,4,5−テトラヒドロピロロ[4,3,2−de]キノリン−1(2H)−イル)酢酸エチル、エナンチオマーB(55mg、0.211mmol)の溶液に、0.1Nの水酸化リチウム水溶液(0.232mL、0.232mmol)を添加した。15分後、1NのHCl水溶液を添加してこの溶液をpH7に調整し、この混合物を真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=233(M+1)。
【0260】
中間体21から27
中間体13から20について略述したものに類似した手順に本質的には従って、表1に記載する化合物を調製した。各中間体に最も関連した類似手順を表1に記載する。必要な出発原料は、市販されていたか、文献に記載されていたか、有機合成技術分野の技術者により容易に合成された。場合によっては、簡単な保護基戦略を適用した。
【0261】
【表2】


【0262】
(実施例1)
【0263】
【化49】

【0264】
2−(2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)−N−(2’−オキソ−1,1’,2’,3−テトラヒドロスピロ[インデン−2,3’−ピロロ[2,3−b]ピリジン]−5−イル)アセトアミド
(−)−5’−アミノ−3−メチル−スピロ[イミダゾリジン−4,2’−インダン]−2,5−ジオン(23mg、0.10mmol、中間体8において説明したもの)と(2,5−ジオキソ−5,6−ジヒドロ−4H−イミダゾ[1,5,4−de]キノキサリン−1(2H)−イル)酢酸ナトリウム(21mg、0.077mmol、中間体13において説明したもの)とEDC(29mg、0.15mmol)とHOBT(23mg、0.153mmol)との混合物をDMF(3mL)中、周囲温度で18時間攪拌した。逆相C18カラムを使用し、HO:CHCN:CFCOH−90:10:0.1から5:95:0.1の勾配で溶出するHPLCにより従って反応混合物を直接精製した。純粋な生成物含有画分を併せ、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。MS:m/z=461(M+1)。HRMS:m/z=461.1575;C2321についての計算値m/z=461.1568。
【0265】
(実施例2から14)
実施例1について略述した手順に本質的に従って、表2に記載する化合物を調製した。必要なカルボン酸は、市販されていたか、文献に記載されていたか、本明細書に記載の方法論(上記参照)に従って合成したか、有機合成技術分野の技術者により容易に合成された。場合によっては、簡単な保護基戦略を適用した。
【0266】
【表3】


【0267】
本発明のある特定の実施形態を参照して本発明を説明および例証したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく手順およびプロトコルの様々な適応、変更、修飾、置換、削除または追加を行うことができることは、当業者には理解されるであろう。例えば、上に示した本発明の化合物で任意の適応症の治療を受ける哺乳動物の反応の変化の結果として、本明細書に記載する特定の投薬量以外の有効な投薬量が適用可能である場合もある。同様に、観察される具体的な薬理学的応答は、選択される特定の活性化合物、または医薬担体が存在するかどうか、ならびに利用される調合物のタイプおよび投与方式に従っておよび依存して変わることがあり、結果に関するこうした予想される変化または違いは、本発明の目的および実施に従って熟慮される。従って、本発明は、後続の特許請求の範囲により定義されるものとし、こうした特許請求の範囲は、妥当な限り広く解釈するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
およびAは、
(1)結合、
(2)−CR1314(この場合、R13およびR14は、水素、ヒドロキシ、ハロおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)C1−6アルキルから、各々、独立して選択される)
から、各々、独立して選択され、この場合、AおよびAのうちの一方は、場合によっては不在であり、
およびBは、=C−、−C(R)−および−N−から、各々、独立して選択され、
およびBは、結合、=C(R)−、−CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、=N−、−N(R)−、−O−、−S−、および−SO−から、各々、独立して選択され、この場合、BおよびBのうちの一方は、場合によっては不在であり、
およびDは、=C(R)−、−CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、=N−、−N(R)−、−O−、−S−、および−SO−から、各々、独立して選択され、
T、UおよびVは、=C(R)−および=N−から、各々、独立して選択され、この場合、T、UおよびVのうちの少なくとも1つは、=C(R)−であり、
W、X、YおよびZは、結合、=C(R)−、−CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、=N−、−N(R)−、−O−、−S−、−S(O)−および−SO−から、各々、独立して選択され、
およびRは、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル[これは、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から7個の基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C3−6シクロアルキル、
(e)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、アゼチジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジニル、アゼピニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ピロリジニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロフリルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、−OCFおよびオキソから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)、
(f)−CO(この場合、Rは、水素、−C3−6シクロアルキル、ベンジル、フェニルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−C1−6アルキルから、独立して選択される)、
(g)−NR1011(この場合、R10およびR11は、水素、−C5−6シクロアルキル、ベンジル、フェニル、−COR、−SO12および(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−C1−6アルキルから、各々、独立して選択される)、
(h)−SO12(この場合、R12は、−C5−6シクロアルキル、ベンジル、フェニルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−C1−6アルキルから、独立して選択される)
(i)−CONR10a11a(この場合、R10aおよびR11aは、水素、−C5−6シクロアルキル、ベンジル、フェニルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−C1−6アルキルから、各々、独立して選択されるか、
10aおよびR11aは一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択される環を形成し、この環は、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、フェニルおよびベンジルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)、
(j)トリフルオロメチル、
(k)−OCO
(l)−(NR10a)CO
(m)−O(CO)NR10a11a
(n)−(NR)(CO)NR10a11a、および
(o)−O−C3−6シクロアルキル]、
(3)−C3−6シクロアルキル[これは、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から7個の置換基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)トリフルオロメチル、
(e)フェニル(これは、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)]、
(4)フェニルまたは複素環[この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、ピリダジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、クロマニル、フリル、イミダゾリニル、インドリニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピロリル、キナゾリニル、テトラヒドロフリル、チアゾリニル、プリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、1,3−ジオキソラニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されいる:
(a)非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている、−C1−6アルキル、
(b)ハロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている、−O−C1−6アルキル、
(e)−C3−6シクロアルキル、
(f)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびトリフルオロメチルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)、
(g)−CO
(h)−(CO)R
(i)−NR1011
(j)−CONR1011
(k)オキソ、
(l)−SR12
(m)−S(O)R12
(n)−SO12、および
(o)−CN]、
(5)ハロ、
(6)オキソ、
(7)ヒドロキシ、
(8)非置換であるか、1から5個のハロで置換されている、−O−C1−6アルキル、
(9)−CN、
(10)−CO
(11)−NR1011
(12)−SO12
(13)−CONR10a11a
(14)−OCO
(15)−(NR10a)CO
(16)−O(CO)NR10a11a
(17)−(NR)(CO)NR10a11a
(18)−(CO)−(CO)NR10a11a、および
(19)−(CO)−(CO)OR
から、各々、独立して選択され、
は、水素、C5−6シクロアルキル、ベンジル、フェニルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)C1−6アルキルから選択され、
5a、R5bおよびR5cは、水素、C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、−OCF、トリフルオロメチル、ハロ、ヒドロキシおよび−CNから、各々、独立して選択され、
は、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキルまたは−C3−6シクロアルキル[これは、非置換であるか、以下から独立して選択される1から7個の置換基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C3−6シクロアルキル、
(e)フェニル(これは、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびトリフルオロメチルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)
(f)−CO
(g)−NR1011
(h)−CONR1011
(i)−SO12、および
(j)トリフルオロメチル]
(3)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−6アルキル、−O−C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびトリフルオロメチルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)
から選択され、
mは、1または2であり、
nは、1または2である)
の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項2】
式Ia:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物およびこの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項3】
式Ib:
【化3】

を有する請求項1に記載の化合物およびこの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項4】
式Ic:
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物およびこの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項5】
式Id:
【化5】

を有する請求項1に記載の化合物およびこの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項6】
式Ie:
【化6】

を有する請求項1に記載の化合物およびこの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項7】
が、=C−、−C(R)−および−N−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、=C−、−C(H)−および−N−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、=C(R)−、−CR−および−C(=O)−(この場合のRおよびRは、本書の中で定義している)から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、−CR−および−N(R)−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が、−CR−および−N(R)−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Tが、=C(R)−および=N−から選択され;Uが、=C(R)−および=N−から選択され;Vが、=C(H)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Wが、結合、−CR−および−C(=O)−から選択され、Xが、結合、−CR−および−C(=O)−から選択され、Yが、結合、−CR−および−C(=O)−から選択され、ならびにZが、結合、−CR−および−C(=O)−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
およびRが、
(1)水素、
(2)−C1−6アルキル[これは、非置換であるか、以下から、各々、独立して選択される1から5個の基で置換されている:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)−O−C1−6アルキル、
(d)−C3−6シクロアルキル、
(e)フェニルまたは複素環(この場合、複素環は、アゼチジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロフリルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、−C1−4アルキル、−O−C1−4アルキル、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチルおよび−OCFから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている)、
(f)−CO(この場合、Rは、水素および−C1−4アルキルから選択される)、
(g)−NR1011(この場合、R10およびR11は、水素、−COR、−SO12および(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルから、各々、独立して選択される)、
(h)−CONR10a11a(この場合、R10aおよびR11aは、水素、−C5−6シクロアルキルおよび(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルから、各々、独立して選択されるか、
10aおよびR11aは一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルから選択される環を形成し、この環は、非置換であるか、−C1−4アルキル、−O−C1−4アルキル、ハロおよびヒドロキシから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている)、
(i)−(NR10a)CO]、
(3)−C3−6シクロアルキル(これは、非置換であるか、ハロ、ヒドロキシおよび−O−C1−6アルキルから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている)、
(4)フェニルまたは複素環[この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、ピロリジニル、アゼチジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、イミダゾリニル、インドリニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、キナゾリニル、テトラヒドロフリル、ナフチリジニル、キノキサリニル、1,3−ジオキソラニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルから選択され、このフェニルまたは複素環は、非置換であるか、ハロ、ヒドロキシ、−C3−6シクロアルキル、−CO、−NR1011、−CONR1011、(非置換であるか、1から3個のフルオロで置換されている)−C1−4アルキルおよび(非置換であるか、1から6個のフルオロで置換されている)−O−C1−4アルキルから、各々、独立して選択される1から3個の置換基で置換されている]、
(5)ハロ、
(6)ヒドロキシ、
(7)非置換であるか、1から3個のハロで置換されている、−O−C1−4アルキル、
(8)−CN、
(9)−CO
(10)−NR1011
(11)−CONR10a11a、および
(12)−(NR10a)CO
から、各々、独立して選択される、請求項1に記載の化合物およびこれらの医薬的に許容される塩ならびにこれらの個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー。
【請求項16】
が、水素および(非置換であるか、フルオロで置換されている)−C1−6アルキルから選択され、ならびにR5a、R5bおよびR5cが、水素、C1−6アルキルおよびハロから、各々、独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
が、水素、−C1−4アルキル(これは、非置換であるか、ハロ、ヒドロキシ、−C3−6シクロアルキルおよびフェニルから、各々、独立して選択される1から5個の置換基で置換されている)およびフェニルまたは複素環(この場合、複素環は、ピリジル、ピリミジニルおよびピラジニルから選択される)から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
【表1】


から選択される化合物ならびにこの医薬的に許容される塩および個々のジアステレオマー。
【請求項19】
不活性担体および請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物の有効量の投与を含む、哺乳動物におけるCGRP受容体活性の拮抗方法。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、頭痛、偏頭痛もしくは群発性頭痛の治療、制御もしくは改善、または頭痛、偏頭痛もしくは群発性頭痛のリスクの低減を、こうした必要がある哺乳動物患者において行うための方法。
【請求項22】
偏頭痛、群発性頭痛および頭痛を治療または予防する方法であって、こうした治療が必要な人への、
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
セロトニン作動薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗高血圧薬および抗痙攣薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
の共同投与を含む、前記方法。
【請求項23】
前記第二の薬剤が、5HT1B/1D作動薬、5HT1D作動薬および5HT1F作動薬から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第二の薬剤が、リザトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、アビトリプタン、フロバトリプタン、LY334370およびPNU−142633から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第二の薬剤が、エルゴタミンおよびジヒドロエルゴタミンから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第二の薬剤が、アスピリンまたはアセトアミノフェンである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記第二の薬剤が、グルココルチコイドである、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記第二の薬剤が、非ステロイド性抗炎症薬である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記第二の薬剤が、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダク、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ケトロラック、エトドラック、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナク、オキサプロジン、アパゾン、ニメスリド、ナブメトン、テニダップ、エタネルセプト、トルメチン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ジフルニサール、サルサレート、オルサラジンおよびスルファサラジンから選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第二の薬剤が、トピラメート、ゾニサミド、ジバプロエクス(divalproex)ナトリウム、プレガバリン、ガバペンチン、レベチラセタム、ラモトリジンおよびチアガビンから選択される抗痙攣薬である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記第二の薬剤が、アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびレニン阻害剤から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記第二の薬剤が、ロサルタン、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、イルベサルタン、バルサルタン、エプロサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、メドキソミル、カプトプリル、ベナゼプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、トランドラプリル、リシノプリルおよびエナラプリルから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
偏頭痛、群発性頭痛および頭痛を治療または予防する方法であって、こうした治療が必要な人への、
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
抗不安薬および神経弛緩薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
の共同投与を含む、前記方法。
【請求項34】
前記第二の薬剤が、ジアゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、オランザピン、ドロペリドール、プロクロルペラジン、クロルプロマジンおよびケチアピンから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
偏頭痛、群発性頭痛および頭痛を治療または予防する方法であって、こうした治療が必要な人への、
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
β−遮断薬およびカルシウムチャネル遮断薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
の共同投与を含む、前記方法。
【請求項36】
前記第二の薬剤が、チモロール、プロパノロール、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、フルナリジン、ジルチアゼム、アムロジピン、フェロジピン、ニソリピン、イスラジピン、ニモジピン、ロメリジン、ベラパミル、ニフェジピン、プロクロルペラジンおよびシバミドから選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
偏頭痛、群発性頭痛および頭痛を治療または予防する方法であって、こうした治療が必要な人への、
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
抗うつ薬、選択的セロトニン再取込み阻害剤およびNE再取込み阻害剤から選択される第二の薬剤の治療有効量と
の共同投与を含む、前記方法。
【請求項38】
前記第二の薬剤が、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、ベンラファキシン、ドキセピン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、デュロキセチン、エスシタロプラムおよびシタロプラムから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
偏頭痛、群発性頭痛および頭痛を治療または予防する方法であって、こうした治療が必要な人への、
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
ボツリヌス毒素AまたはBから選択される第二の薬剤の治療有効量と
の共同投与を含む、前記方法。
【請求項40】
偏頭痛、群発性頭痛および頭痛を治療または予防する方法であって、こうした治療が必要な人への、
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
バニロイド受容体拮抗薬、アデノシン1拮抗薬、NR2B拮抗薬、サブスタンスP拮抗薬、グランザイムB阻害剤、エンドセリン拮抗薬、ノルエピネフリン前駆体、一酸化窒素シンターゼ阻害剤、神経弛緩薬、ブラジキニン拮抗薬、ギャップジャンクション阻害剤、AMPA/KA拮抗薬、シグマ受容体作動薬、クロライドチャネルエンハンサー、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、オピオイド作動薬およびロイコトリエン受容体拮抗薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
の共同投与を含む、前記方法。
【請求項41】
前記第二の薬剤が、モンテルカストおよびザフィルルカストから選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第二の薬剤が、アプレピタントである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
偏頭痛、群発性頭痛および頭痛を治療または予防する方法であって、こうした治療が必要な人への、
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
制吐薬、消化管運動促進薬およびヒスタミンH1拮抗薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
の共同投与を含む、前記方法。
【請求項44】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
セロトニン作動薬、鎮痛薬、抗炎症薬および抗痙攣薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
を含む医薬組成物。
【請求項45】
前記第二の薬剤が、5HT1B/1D作動薬、5HT1D作動薬および5HT1F作動薬から選択される、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記第二の薬剤が、リザトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、アビトリプタン、フロバトリプタン、LY334370およびPNU−142633から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記第二の薬剤が、エルゴタミンおよびジヒドロエルゴタミンから選択される、請求項44に記載の組成物。
【請求項48】
前記第二の薬剤が、アスピリンまたはアセトアミノフェンである、請求項44に記載の組成物。
【請求項49】
前記第二の薬剤が、グルココルチコイドである、請求項44に記載の組成物。
【請求項50】
前記第二の薬剤が、非ステロイド性抗炎症薬である、請求項44に記載の組成物。
【請求項51】
前記第二の薬剤が、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダク、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ケトロラック、エトドラック、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナク、オキサプロジン、アパゾン、ニメスリド、ナブメトン、テニダップ、エタネルセプト、トルメチン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ジフルニサール、サルサレート、オルサラジンおよびスルファサラジンから選択される、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記第二の薬剤が、トピラメート、ゾニサミド、ジバルプロエクス(divalproex)ナトリウム、プレガバリン、ガバペンチン、レベチラセタム、ラモトリジンおよびチアガビンから選択される抗痙攣薬である、請求項44に記載の組成物。
【請求項53】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
アンギオテンシンII拮抗薬、アンギオテンシンI拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤およびレニン阻害剤から選択される第二の薬剤の治療有効量と
を含む医薬組成物。
【請求項54】
前記第二の薬剤が、ロサルタン、カンデサルタン、カンデサルタンシレキセチル、イルベサルタン、バルサルタン、エプロサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、メドキソミル、カプトプリル、ベナゼプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、トランドラプリル、リシノプリルおよびエナラプリルから選択される、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
抗不安薬および神経弛緩薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
を含む医薬組成物。
【請求項56】
前記第二の薬剤が、ジアゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、オランザピン、ドロペリドール、プロクロルペラジン、クロルプロマジンおよびケチアピンから選択される、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
β−遮断薬およびカルシウムチャネル遮断薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
を含む医薬組成物。
【請求項58】
前記第二の薬剤が、チモロール、プロパノロール、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、フルナリジン、ジルチアゼム、アムロジピン、フェロジピン、ニソリピン、イスラジピン、ニモジピン、ロメリジン、ベラパミル、ニフェジピン、プロクロルペラジンおよびシバミドから選択される、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
抗うつ薬、選択的セロトニン再取込み阻害剤およびNE再取込み阻害剤から選択される第二の薬剤の治療有効量と
を含む医薬組成物。
【請求項60】
前記第二の薬剤が、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、ベンラファキシン、ドキセピン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、デュロキセチン、エスシタロプラムおよびシタロプラムから選択される、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
ボツリヌス毒素AまたはBから選択される第二の薬剤の治療有効量と
を含む医薬組成物。
【請求項62】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
バニロイド受容体拮抗薬、アデノシン1拮抗薬、NR2B拮抗薬、サブスタンスP拮抗薬、グランザイムB阻害剤、エンドセリン拮抗薬、ノルエピネフリン前駆体、一酸化窒素シンターゼ阻害剤、神経弛緩薬、ブラジキニン拮抗薬、ギャップジャンクション阻害剤、AMPA/KA拮抗薬、シグマ受容体作動薬、クロライドチャネルエンハンサー、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、オピオイド作動薬およびロイコトリエン受容体拮抗薬から選択される第二の薬剤の治療有効量と
を含む医薬組成物。
【請求項63】
前記第二の薬剤が、モンテルカストおよびザフィルルカストから選択される、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
前記第二の薬剤が、アプレピタントである、請求項62に記載の組成物。
【請求項65】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩の治療有効量と、
制吐薬、消化管運動促進薬およびヒスタミンH1拮抗薬からなる群から選択される第二の薬剤の治療有効量と
を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2008−512489(P2008−512489A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531402(P2007−531402)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/032288
【国際公開番号】WO2006/031676
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】