説明

不揮発性半導体記憶装置、及びその製造方法

【課題】階段部に欠陥を生じさせることなく歩留まりを向上させた不揮発性半導体記憶装置、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】不揮発性半導体記憶装置は、メモリ領域AR1及び周辺領域AR2に亘って積層されたワード線導電層41a〜41dと、メモリ領域AR1にてワード線導電層41a〜41dに取り囲まれ、基板に対して垂直方向に延びる柱状部45Aを含むU字状半導体層45と、柱状部45Aの側面とワード線導電層41a〜41dとの間に形成されたメモリゲート絶縁層44とを備える。ワード線導電層41a〜41dは、メモリ領域AR1にてカラム方向に第1ピッチP1をもって配列されて、ロウ方向を長手方向とするストライプ状に形成された溝T1B、周辺領域AR2にてカラムに第2ピッチP2をもって配列されて、ロウ方向を長手方向とするストライプ状に形成された溝T2を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリの集積度を高めるために、メモリセルを3次元的に配置した半導体記憶装置が多数提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の構造は、メモリセルを配列されたメモリ領域、及びそのメモリ領域の周辺に位置する周辺領域を有する。そして、特許文献1に記載の構造は、メモリ領域及び周辺領域に積層された複数の導電層(シリコン(Si))、絶縁層(酸化シリコン(SiO))、及びそれらを貫通して延びる柱状の半導体層(シリコン(Si))を有する。導電層は、上層の配線とコンタクトをとるため、周辺領域で階段状に形成された階段部を有する。また、導電層は、メモリ領域でメモリトランジスタ(メモリセル)の制御ゲートとして機能し、半導体層は、メモリトランジスタ(メモリセル)のチャネル(ボディ)として機能する。
【0004】
しかしながら、上記導電層及び絶縁層は、エッチングレートが大きく異なるため、一括で導電層及び絶縁層を貫通するホールを形成することは困難である。さらに、製造工程において階段部に欠陥を生じさせないようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−266143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、階段部に欠陥を生じさせることなく歩留まりを向上させた不揮発性半導体記憶装置、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る不揮発性半導体記憶装置は、電気的に書き換え可能な複数のメモリセルを配置された第1領域、及び前記第1領域に隣接する第2領域を有する不揮発性半導体記憶装置であって、前記第1領域及び前記第2領域に亘って積層されて前記第1領域にて前記メモリセルの制御電極として機能する複数の導電層と、前記第1領域にて前記導電層に取り囲まれ、基板に対して垂直方向に延びる柱状部を含み、前記メモリセルのボディとして機能する半導体層と、前記柱状部の側面と前記導電層との間に形成され、電荷を蓄積可能に構成されて前記メモリセルのデータを保持するための電荷蓄積層とを備え、前記導電層は、前記第1領域にて第1方向に第1ピッチをもって配列されて、前記第1方向と直交する第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ当該複数の導電層を貫通して形成された第1溝と、前記第2領域にて前記第1方向に第2ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ当該複数の導電層を貫通して形成された第2溝と、前記第2領域にて前記第2溝に挟まれるように前記第1方向に第3ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ前記複数の導電層を貫通して形成された第3溝とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る不揮発性半導体記憶装置は、電気的に書き換え可能な複数のメモリセルを配置された第1領域、及び前記第1領域に隣接する第2領域を有する不揮発性半導体記憶装置であって、前記第1領域及び前記第2領域に亘って積層されて前記第1領域にて前記メモリセルの制御電極として機能する複数の導電層と、前記第1領域にて前記導電層に取り囲まれ、基板に対して垂直方向に延びる柱状部を含み、前記メモリセルのボディとして機能する半導体層と、前記柱状部の側面と前記導電層との間に形成され、電荷を蓄積可能に構成されて前記メモリセルのデータを保持するための電荷蓄積層と、前記第2領域にて前記導電層と同層に設けられ且つ前記導電層にて取り囲まれるように形成された絶縁層とを備え、前記導電層は、前記第1領域にて第1方向に第1ピッチをもって配列されて、前記第1方向と直交する第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ当該複数の導電層を貫通して形成された第1溝と、前記第2領域にて前記第1方向に第2ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ当該複数の導電層を貫通して形成された第2溝とを備え、前記絶縁層は、前記第2領域にて前記第1方向に第3ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、電気的に書き換え可能な複数のメモリセルを配置された第1領域、及び前記第1領域に隣接する第2領域を有する不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、前記第1領域及び前記第2領域に亘って基板上に複数の導電層及び犠牲層を交互に積層させる工程と、前記第1領域に複数の前記導電層及び前記犠牲層を貫通するホールを形成する工程と、前記ホールに面する側面に電荷蓄積層を形成する工程と、前記ホールを埋めるように半導体層を形成する工程と、前記第1領域にて複数の前記導電層及び前記犠牲層を貫通し且つ第1方向に第1ピッチをもって配列されて、前記第1方向に直交する第2方向を長手方向とするストライプ状に第1溝を形成すると共に、前記第2領域にて複数の前記導電層及び前記犠牲層を貫通し且つ前記第1方向に第2ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に第2溝を形成する工程と、前記第1領域にて前記第1溝を介して前記犠牲層を除去して第1空隙を形成すると共に、前記第2領域にて前記第2溝に面する前記犠牲層の側面を後退させて第2空隙を形成する工程と、前記第1溝、前記第2溝、前記第1空隙、及び前記第2空隙を埋めるように第1絶縁層を形成する工程と、前記第1絶縁層を形成した後に、前記第2領域にて前記導電層及び残存した前記犠牲層を貫通する第3溝を形成する工程と、前記第3溝を介して残存した前記犠牲層を除去して第3空隙を形成する工程と、前記第3溝及び前記第3空隙を埋めるように第2絶縁層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、電気的に書き換え可能な複数のメモリセルを配置された第1領域、及び前記第1領域に隣接する第2領域を有する不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、前記第1領域及び前記第2領域に亘って基板上に複数の第1絶縁層及び犠牲層を交互に積層させる工程と、前記第1領域に複数の前記第1絶縁層及び前記犠牲層を貫通するホールを形成する工程と、前記ホールに面する側面に電荷蓄積層を形成する工程と、前記ホールを埋めるように半導体層を形成する工程と、前記第1領域にて複数の前記第1絶縁層及び前記犠牲層を貫通し且つ第1方向に第1ピッチをもって配列されて、前記第1方向に直交する第2方向を長手方向とするストライプ状に第1溝を形成すると共に、前記第2領域にて複数の前記第1絶縁層及び前記犠牲層を貫通し且つ前記第1方向に第2ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に第2溝を形成する工程と、前記第1領域にて前記第1溝を介して前記犠牲層を除去して第1空隙を形成すると共に、前記第2領域にて前記第2溝に面する前記犠牲層の側面を後退させて第2空隙を形成する工程と、前記第1領域及び前記第2領域にて前記第1空隙及び前記第2空隙を埋めるように導電層を形成する工程と、前記第1領域及び前記第2領域にて前記第1溝及び前記第2溝を埋めるように第2絶縁層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、階段部に欠陥を生じさせることなく歩留まりを向上させた不揮発性半導体記憶装置、及びその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100のブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の概略斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の等価回路図である。
【図4A】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の概略上面図である。
【図4B】図4AのI−I’断面図である。
【図4C】図4AのII−II’断面図である。
【図4D】図4AのIII−III’断面図である。
【図5A】図4Aの拡大図である。
【図5B】図4Bの拡大図である。
【図6A】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程を示す上面図である。
【図6B】図6AのI−I’断面図である。
【図7A】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程を示す上面図である。
【図7B】図7AのI−I’断面図である。
【図8A】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程を示す上面図である。
【図8B】図8AのI−I’断面図である。
【図9A】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程を示す上面図である。
【図9B】図9AのI−I’断面図である。
【図10A】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程を示す上面図である。
【図10B】図10AのI−I’断面図である。
【図10C】図10AのII−II’断面図である。
【図11A】図10AのI−I’断面図である。
【図11B】図10AのII−II’断面図である。
【図12A】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程を示す上面図である。
【図12B】図12AのI−I’断面図である。
【図12C】図12AのII−II’断面図である。
【図13A】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造工程を示す上面図である。
【図13B】図13AのII−II’断面図である。
【図14】図13AのII−II’断面図である。
【図15A】第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略上面図である。
【図15B】図15AのI−I’断面図である。
【図15C】図15AのII−II’断面図である。
【図16A】第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を示す図10AのI−I’断面図である。
【図16B】図10AのII−II’断面図である。
【図17A】図10AのI−I’断面図である。
【図17B】図10AのII−II’断面図である。
【図18A】図10AのI−I’断面図である。
【図18B】図10AのII−II’断面図である。
【図19A】図10AのI−I’断面図である。
【図19B】図10AのII−II’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置の実施形態について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
[第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の構成]
先ず、図1を参照して、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100のブロック図である。
【0015】
第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、図1に示すように、メモリセルアレイ11、ロウデコーダ12、13、センスアンプ14、カラムデコーダ15、及び制御信号生成部(高電圧生成部)16を備える。
【0016】
メモリセルアレイ11は、図2に示すように、データを電気的に記憶するメモリトランジスタMTr(ワード線導電層41)を3次元マトリクス状に配列して構成される。すなわち、メモリトランジスタMTrは、水平方向にマトリクス状に配列されるとともに、積層方向にも配列される。積層方向に並ぶ複数個のメモリトランジスタMTrは直列接続され、公知のNANDストリングMSを構成する。NANDストリングMSの両端には選択時に導通状態とされるドレイン側選択トランジスタSDTr、ソース側選択トランジスタSSTrが接続される。このNANDストリングMSは、積層方向を長手方向として配列される。
【0017】
ロウデコーダ12、13は、図1に示すように、取り込まれたブロックアドレス信号等をデコードし、メモリセルアレイ11を制御する。センスアンプ14は、メモリセルアレイ11からデータを読み出す。カラムデコーダ15は、カラムアドレス信号をデコードし、センスアンプ14を制御する。制御信号生成部16は、基準電圧を昇圧させて、書き込みや消去時に必要となる高電圧を生成し、さらに、制御信号を生成し、ロウデコーダ12、13、センスアンプ14、及びカラムデコーダ15を制御する。
【0018】
次に、図3を参照して、メモリセルアレイ11の回路構成について説明する。図3は、メモリセルアレイ11のカラム方向の断面に沿って形成されるメモリトランジスタMTr、選択トランジスタSDTr、SSTr、及びその周辺回路の等価回路図である。
【0019】
メモリセルアレイ11は、図3に示すように、複数のビット線BL、及び複数のメモリブロックMBを有する。ビット線BLは、ロウ方向に所定ピッチをもってカラム方向に延びるストライプ状に形成されている。メモリブロックMBは、所定ピッチをもってカラム方向に繰り返し設けられている。
【0020】
メモリブロックMBは、図3に示すように、ビット線BLに共通接続された複数のメモリユニットMUを有する。メモリユニットMUは、メモリストリングMS、ソース側選択トランジスタSSTr、及びドレイン側選択トランジスタSDTrを有する。カラム方向に隣接するメモリユニットMUは、その構成がカラム方向に互いに対称となるように形成されている。メモリユニットMUは、ロウ方向及びカラム方向にマトリクス状に配列されている。
【0021】
メモリストリングMSは、直列接続されたメモリトランジスタMTr1〜MTr8、及びバックゲートトランジスタBTrにて構成されている。メモリトランジスタMTr1〜4は、積層方向に直列に接続されている。メモリトランジスタMTr5〜MTr8も、同様に積層方向に直列に接続されている。メモリトランジスタMTr1〜MTr8は、電荷蓄積層に電荷を捕獲させることで、情報を記憶する。バックゲートトランジスタBTrは、最下層のメモリトランジスタMTr4とメモリトランジスタMTr5との間に接続されている。従って、メモリトランジスタMTr1〜MTr8、及びバックゲートトランジスタBTrは、カラム方向に沿った断面においてU字形状に接続されている。ドレイン側選択トランジスタSDTrのソースは、メモリストリングMSの一端(メモリトランジスタMTr1のドレイン)に接続されている。ソース側選択トランジスタSSTrのドレインは、メモリストリングMSの他端(メモリトランジスタMTr8のソース)に接続されている。
【0022】
メモリユニットMUにおいて、ロウ方向に一列に配列されたメモリトランジスタMTr1のゲートは、ロウ方向に延びるワード線WL1に共通接続されている。同様に、ロウ方向に一列に配列されたメモリトランジスタMTr2〜MTr8のゲートは、ロウ方向に延びるワード線WL2〜WL8に共通接続されている。なお、カラム方向において隣接する2つのメモリストリングMSも、ワード線WL1〜WL8を共有している。また、ロウ方向及びカラム方向にマトリクス状に配列されたバックゲートトランジスタBTrのゲートは、バックゲート線BGに共通に接続されている。
【0023】
メモリユニットMUにおいて、ロウ方向に一列に配列された各ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートは、ロウ方向に延びるドレイン側選択ゲート線SGDに共通接続されている。また、カラム方向に一列に配列されたドレイン側選択トランジスタSDTrのドレインは、ビット線BLに共通に接続されている。
【0024】
メモリユニットMUにおいて、ロウ方向に一列に配列された各ソース側選択トランジスタSSTrのゲートは、ロウ方向に延びるソース側選択ゲート線SGSに共通接続されている。また、カラム方向に隣接する一対のメモリユニットMUにおいて、ロウ方向に一列に配列されたソース側選択トランジスタSSTrのソースは、ロウ方向に延びるソース線SLに共通に接続されている。
【0025】
次に、図4A〜図4Dを参照して、図3に示した回路構成を実現する第1実施形態に係る不揮発性半導体装置100の積層構造について説明する。図4Aは、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の概略上面図である。図4Bは、図4AのI−I’断面図であり、図4Cは、図4AのII−II’断面図であり、図4Dは、図4AのIII−III’断面図である。
【0026】
不揮発性半導体記憶装置100は、図4Aに示すように、メモリトランジスタMTr1〜MTr8を配列されたメモリ領域AR1、メモリ領域AR1の周辺に設けられた周辺領域AR2を有する。
【0027】
先ず、メモリ領域AR1について説明する。不揮発性半導体記憶装置100は、図4Bに示すように、メモリ領域AR1にて、基板20上に、下層から順に、バックゲート層30、メモリトランジスタ層40、選択トランジスタ層50、及び配線層60を有する。バックゲート層30は、バックゲートトランジスタBTrとして機能する。メモリトランジスタ層40は、メモリトランジスタMTr1〜MTr8として機能する。選択トランジスタ層50は、ドレイン側選択トランジスタSDTr、及びソース側選択トランジスタSSTrとして機能する。配線層60は、ソース線SL及びビット線BLとして機能する。
【0028】
バックゲート層30は、図4Bに示すように、基板20の上に絶縁層33を介して形成されたバックゲート導電層31を有する。バックゲート導電層31は、バックゲート線BG、及びバックゲートトランジスタBTrのゲートとして機能する。バックゲート導電層31は、ロウ方向及びカラム方向に広がる板状に形成されている。バックゲート導電層31は、後述するU字状半導体層45の連結部45Bの下面及び側面を覆い且つ連結部45Bの上面と同じ高さまで形成されている。バックゲート導電層31は、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0029】
また、バックゲート層30は、図4Bに示すように、メモリ領域AR1にバックゲート導電層31を堀込むように形成されたバックゲートホール32を有する。バックゲートホール32は、ロウ方向に短手方向、カラム方向に長手方向を有する開口にて構成されている。バックゲートホール32は、ロウ方向及びカラム方向に所定間隔毎にマトリクス状に形成されている。
【0030】
メモリトランジスタ層40は、図4Bに示すように、メモリ領域AR1にて、積層方向に絶縁層42を介して積層されたワード線導電層41a〜41dを有する。
【0031】
ワード線導電層41a〜41dは、メモリ領域AR1に亘って積層されると共に、後述するように周辺領域AR2にも延びるように形成されている。ワード線導電層41da〜41dは、ワード線WL1〜WL8、及びメモリトランジスタMTr1〜MTr8のゲートとして機能する。ワード線導電層41a〜41dは、図4Aに示すように、上方からみてメモリ領域AR1にて溝T1によりロウ方向に対抗する櫛歯状に分断されるように形成されている。すなわち、ワード線導電層41a〜41dは、メモリ領域AR1にてカラム方向に所定ピッチをもってロウ方向に延びるストライプ状に形成されている。ワード線導電層41a〜41dは、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0032】
上記溝T1は、図4Aに示すように、ワード線導電層41a〜41dを貫通するように形成されている。溝T1は、溝T1A、溝T1B(第1溝)、及び溝T1Cにて構成されている。溝T1Aは、メモリ領域AR1及び周辺領域AR2を囲むように矩形枠状に形成されている。溝T1Bは、溝T1A内のメモリ領域AR1にて、カラム方向に第1ピッチP1をもって配列されてロウ方向を長手方向とするストライプ状に形成されている。溝T1Cは、溝T1A内のメモリ領域AR1にて、カラム方向に隣接する一対の溝T1Bの一端を交互に結ぶように形成されている。
【0033】
絶縁層42は、図4Bに示すように、ワード線導電層41a〜41dの間を埋めるように形成されている。絶縁層42は、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。絶縁層42は、製造時に、ワード線導電層41a〜41dの間に犠牲層を形成し、その犠牲層を除去して形成された空隙に埋め込まれた層である。
【0034】
ここで、ワード線導電層41a〜41dと絶縁層42Aとを順に堆積させ、その後、これらを貫通するメモリホール43を形成することも可能である。しかしながら、それらのエッチングレートの差のため、所望の形状を有するようにメモリホール43を形成することは困難である。このため、本実施形態では、ワード線導電層41a〜41dと犠牲層を交互に堆積させ、メモリホール43を形成した後、そのメモリホール43内に半導体層を形成する。そして、犠牲層を除去して、除去した部分に空隙を形成し、その空隙内に絶縁層42を形成する。詳しい製法については、後述する。
【0035】
また、メモリトランジスタ層40は、図4Bに示すように、ワード線導電層41a〜41d及び絶縁層42を貫通するように形成されたメモリホール43を有する。
【0036】
メモリホール43は、メモリ領域AR1にて、各バックゲートホール32のカラム方向の両端近傍の位置に整合するように形成されている。メモリホール43は、ロウ方向及びカラム方向に所定ピッチをもってマトリクス状に形成されている。
【0037】
また、上記バックゲートトランジスタ層30及びメモリトランジスタ層40は、図4Bに示すように、メモリゲート絶縁層44、及びU字状半導体層45を有する。U字状半導体層45は、メモリトランジスタMTr1〜MTr8のボディ、及びバックゲートトランジスタBTrのボディとして機能する。
【0038】
メモリゲート絶縁層44は、図4Bに示すように、メモリホール43、及びバックゲートホール32に面する側面に形成されている。メモリゲート絶縁層44は、図5A及び図5Bに示すように、ブロック絶縁層44a、電荷蓄積層44b、及びトンネル絶縁層44cにて構成されている。ブロック絶縁層44aは、メモリホール43、及びバックゲートホール32に面する側面に亘ってワード線導電層41a〜41d及びバックゲート導電層31と接するように形成されている。ブロック絶縁層44aは、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。電荷蓄積層44bは、ブロック絶縁層44aの側面に形成されている。電荷絶縁層44bは、電荷を蓄積し、メモリトランジスタMTr1〜MTr8のデータを保有するために用いられる。電荷蓄積層44bは、窒化シリコン(SiN)にて構成されている。トンネル絶縁層44cは、電荷蓄積層44bの側面に亘ってU字状半導体層45と接するように形成されている。トンネル絶縁層44cは、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。
【0039】
U字状半導体層45は、図4Bに示すように、ロウ方向からみてU字状に形成されている。U字状半導体層45は、図5A及び図5Bに示すように、トンネル絶縁層44cに接し且つバックゲートホール32及びメモリホール43を埋めるように形成されている。すなわち、U字状半導体層45は、ロウ方向及びカラム方向に所定ピッチをもってマトリクス状に形成されている。U字状半導体層45は、ロウ方向からみて基板20に対して垂直方向に延びる一対の柱状部45A、及び一対の柱状部45Aの下端を連結させるように形成された連結部45Bを有する。U字状半導体層45は、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0040】
上記メモリトランジスタ層40の構成を換言すると、トンネル絶縁層44cは、柱状部45Aの側面を取り囲むように形成されている。電荷蓄積層44bは、トンネル絶縁層44cの側面を取り囲むように形成されている。ブロック絶縁層44aは、電荷蓄積層44bの側面を取り囲むように形成されている。ワード線導電層41a〜41dは、ブロック絶縁層44aの側面を取り囲むように形成されている。
【0041】
選択トランジスタ層50は、図4Bに示すように、ドレイン側導電層51、及びそのドレイン側導電層51と同層に形成されたソース側導電層52を有する。ドレイン側導電層51は、ドレイン側選択ゲート線SGD、及びドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートとして機能する。ソース側導電層52は、ソース側選択ゲート線SGS、及びソース側選択トランジスタSSTrのゲートとして機能する。
【0042】
ドレイン側導電層51、及びソース側導電層52は、カラム方向に所定ピッチをもってロウ方向に延びるストライプ状に形成されている。ドレイン側導電層51、及びソース側導電層52は、カラム方向に2つずつ交互に設けられている。ドレイン側導電層51、及びソース側導電層52は、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0043】
また、選択トランジスタ層50は、図4Bに示すように、ドレイン側ホール53、及びソース側ホール54を有する。ドレイン側ホール53は、ドレイン側導電層51を貫通するように形成されている。ソース側ホール54は、ソース側導電層52を貫通するように形成されている。ドレイン側ホール53及びソース側ホール54は、メモリホール43に整合する位置に形成されている。
【0044】
また、選択トランジスタ層50は、図4Bに示すように、ドレイン側ゲート絶縁層55、ソース側ゲート絶縁層56、ドレイン側柱状半導体層57、及びソース側柱状半導体層58を有する。ドレイン側柱状半導体層57は、ドレイン側選択トランジスタSSTrのボディとして機能する。ソース側柱状半導体層58は、ソース側選択トランジスタSSTrのボディとして機能する。
【0045】
ドレイン側ゲート絶縁層55は、ドレイン側ホール53に面する側面に形成されている。ソース側ゲート絶縁層56は、ソース側ホール54に面する側面に形成されている。ドレイン側ゲート絶縁層55、及びソース側ゲート絶縁層56は、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。ドレイン側柱状半導体層57は、ドレイン側ホール53を埋めるように、ドレイン側ゲート絶縁層55と接して積層方向に延びる柱状に形成されている。ソース側柱状半導体層58は、ソース側ホール53を埋めるように、ソース側ゲート絶縁層56と接して積層方向に延びる柱状に形成されている。ドレイン側柱状半導体層57、及びソース側柱状半導体層58は、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0046】
上記選択トランジスタ層50の構成を換言すると、ドレイン側ゲート絶縁層55は、ドレイン側柱状半導体層57の側面を取り囲むように形成されている。ドレイン側導電層51は、ドレイン側ゲート絶縁層55の側面を取り囲むように形成されている。ソース側ゲート絶縁層56は、ソース側柱状半導体層58の側面を取り囲むように形成されている。ソース側導電層52は、ソース側ゲート絶縁層56の側面を取り囲むように形成されている。
【0047】
配線層60は、第1配線層61、図4Bに示すように、第2配線層62、及びプラグ層63を有する。第1配線層61は、ソース線SLとして機能する。第2配線層62は、ビット線BLとして機能する。
【0048】
第1配線層61は、図4Bに示すように、隣接する2本のソース側柱状半導体層58の上面に共通に接するように形成されている。第1配線層61は、カラム方向に所定ピッチをもってロウ方向に延びるストライプ状に形成されている。第1配線層61は、タングステン(W)等の金属にて構成されている。
【0049】
第2配線層62は、図4Bに示すように、プラグ層63を介してドレイン側柱状半導体層57の上面に接続されている。第2配線層62は、ロウ方向に所定ピッチをもってカラム方向に延びるストライプ状に形成されている。第2配線層62及びプラグ層63は、タングステン(W)等の金属にて構成されている。
【0050】
次に、周辺領域AR2について説明する。第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、図4Dに示すように、周辺領域AR2にて、メモリ領域AR1から延びるワード線導電層41a〜41d、絶縁層42、422を有する。
【0051】
ワード線導電層41a〜41dは、図4Aに示すように、周辺領域AR2にてロウ方向及びカラム方向に広がる板状に形成されている。ワード線導電層41a〜41dは、図4Aに示すように、周辺領域AR2にて階段部STを有する。階段部STは、後述するコンタクトプラグ層64の接続のため、ワード線導電層41a〜41dの端部の位置が異なるように階段状に形成された部分である。
【0052】
さらに、ワード線導電層41a〜41dは、図4Aに示すように、周辺領域AR2にて、溝T2(第2溝)、及び溝T3(第3溝)を有する。溝T2、T3は、ワード線導電層41a〜41dを貫通するように形成されている。溝T2は、カラム方向に第2ピッチP2をもって形成され、ロウ方向を長手方向とするストライプ状に形成されている。溝T3は、溝T2に挟まれるように、カラム方向に第2ピッチP2(P2>P1)をもって形成され、ロウ方向を長手方向とするストライプ状に形成されている。溝T2、T3は、交互にカラム方向に第1ピッチP1(P1=P2/2)をもって形成されている。溝T2のロウ方向の長さは、溝T3のロウ方向の長さよりも長い。
【0053】
絶縁層42は、図4Dに示すように、周辺領域AR2にて、メモリ領域AR1から連続して形成されている。図4Cに示すように、周辺領域AR2にて、溝T1、T2は、この絶縁層42により埋められている。一方、溝T3は、絶縁層421により埋められている。絶縁層421は、酸化シリコン(SiO)にて構成され、絶縁層42と別工程で形成された層である。
【0054】
絶縁層422は、図4Dに示すように、ワード線導電層41a〜41d及び絶縁層42(階段部ST)を埋めるように形成されている。絶縁層422は、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。
【0055】
また、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100は、図4Dに示すように、周辺領域AR2にて、コンタクトプラグ層64を有する。コンタクトプラグ層64は、上層の配線(図示略)と階段部STを構成するワード線導電層41a〜41dを電気的に接続するために形成されている。コンタクトプラグ層64は、積層方向に延びる柱状に形成され、その下面がワード線導電層41a〜41dの上面に接するように形成されている。コンタクトプラグ層64は、タングステン(W)等の金属にて構成されている。
【0056】
[第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、図6A〜図14を参照して、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について説明する。図6A〜図14は、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を示す図である。
【0057】
先ず、図6A及び図6Bに示すように、基板20のメモリ領域AR1及び周辺領域AR2にて、酸化シリコン(SiO)、及びポリシリコン(poly−Si)を堆積させて、絶縁層33、バックゲート導電層31を形成する。続いて、メモリ領域AR1にて、バックゲート層31を所定深さまで掘り込み、バックゲートホール32を形成する。次に、バックゲートホール32を埋めるように、窒化シリコン(SiN)を堆積させ、犠牲層71を形成する。
【0058】
続いて、図7A及び図7Bに示すように、バックゲート導電層31及び犠牲層71の上部に、LPCVD(Low pressure Chemical Vapor Deposition)によって、犠牲層72a〜72d、及びワード線導電層41a〜41dを交互に形成する。LPCVDは、シラン(SiH)ガスとシラン及び三塩化ホウ素(BCl)の混合ガスとを交互に用いる。これによって、犠牲層72a〜72dは、ボロン(不純物)を含まないノンドープのアモルファスシリコンにて構成される。また、ワード線導電層41a〜41dは、ボロン(不純物)を含むアモルファスシリコンにて構成される。
【0059】
次に、図7A及び図7Bに示すように、酸化シリコン(SiO)を堆積させ、マスクとして絶縁層73を形成する。
【0060】
続いて、図8A及び図8Bに示すように、メモリ領域AR1にて、ワード線導電層41a〜41d及び犠牲層72a〜72を貫通するように、メモリホール43を形成する。メモリホール43は、ロウ方向及びカラム方向に所定ピッチをもつように、マトリクス状に形成する。また、メモリホール43は、バックゲートホール32のカラム方向の両端に整合する位置に形成する。次に、メモリホール43を介して、犠牲層71を除去する。
【0061】
続いて、図9A及び図9Bに示すように、メモリホール43及びバックゲートホール32に面する側面に、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、及び酸化シリコン(SiO)を順次積層させて、メモリゲート絶縁層44を形成する。次に、メモリホール43及びバックゲートホール32を埋めるように、ポリシリコン(poly−Si)を堆積させ、U字状半導体層45を形成する。
【0062】
次に、図10A〜図10Cに示すように、溝T1、T2を形成する。溝T1、T2は、ワード線導電層41a〜41d、犠牲層72a〜72d、及び絶縁層73を貫通するように形成される。
【0063】
溝T1は、ワード線導電層41a〜41dを櫛歯状に分断するように形成される。溝T1は、溝T1A、溝T1B、及び溝T1Cを有するように形成される。溝T1Aは、メモリ領域AR1及び周辺領域AR2を囲むように矩形枠状に形成される。溝T1Bは、溝T1A内のメモリ領域AR1にて、カラム方向に第1ピッチP1をもって配列されてロウ方向を長手方向とするストライプ状に形成される。溝T1Cは、溝T1A内のメモリ領域AR1にて、カラム方向に隣接する一対の溝T1Bの一端を交互に結ぶように形成される。
【0064】
溝T2は、カラム方向に第2ピッチP2をもって形成され、ロウ方向を長手方向とするストライプ状に形成される。
【0065】
続いて、図11A及び図11Bに示すように、メモリ領域AR1にて溝T1を介して犠牲層72a〜72dを除去して、その除去された部分に空隙Ag1を形成する。また、同時に、周辺領域AR2にて溝T2に面する犠牲層72a〜72dの側面を後退させて、その後退された部分に空隙Ag2を形成する。
【0066】
ここで、メモリ領域AR1にて、犠牲層72a〜72dは、完全に除去される。すなわち、ワード線導電層41a〜41dは、U字状半導体層45によって支持された状態となる。また、溝T2は、溝T1よりも間隔をおいて形成されており、周辺領域AR2にて犠牲層72a〜72dは、その側面のみを除去される。すなわち、ワード線導電層41a〜41dは、残存した犠牲層72a〜72dによって支持された状態となる。
【0067】
次に、図12A〜図12Cに示すように、溝T1、T2、及び空隙Ag1、Ag2を埋めるように酸化シリコン(SiO)を堆積させ、絶縁層42を形成する。
【0068】
続いて、図13A及び図13Bに示すように、周辺領域AR2にて、カラム方向に並ぶ溝T2の間に、溝T3を形成する。溝T3は、ワード線導電層41a〜41d及び残存した犠牲層72a〜72dを貫通するように形成する。溝T3は、溝T2に挟まれるようにカラム方向に第2ピッチP2をもって、ロウ方向を長手方向とするストライプ状に形成する。
【0069】
次に、図14に示すように、溝T3を介して残存した犠牲層72a〜72を除去して、その除去された部分に空隙Ag3を形成する。ここで、空隙Ag3を形成した状態において、ワード線導電層41a〜41dは、絶縁層42に支持されている。
【0070】
図14に示す工程の後、溝T3及び空隙Ag3を埋めるように、酸化シリコン(SiO)を堆積させ、絶縁層421を形成する。また、図14に示す工程の後、周辺領域AR2にてワード線導電層41a〜41dを階段状に加工して階段部STを形成する。そして、階段部STを埋めるように、酸化シリコン(SiO)を堆積させ、絶縁層422を形成する。
【0071】
[第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の効果]
第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置100の製造方法において、ワード線導電層41a〜41d及び、犠牲層72a〜72dは、共にアモルファスシリコンにて構成される。したがって、ワード線導電層41a〜41d及び犠牲層72a〜72dは、単一の堆積装置で連続して形成され、歩留まりを向上させることができる。
【0072】
ここで、ワード線導電層41a〜41dをアモルファスシリコンにて構成し、犠牲層を酸化シリコンにて構成した比較例を考える。この比較例の場合、ワード線導電層41a〜41dと犠牲層とのエッチングレートは大きく異なる。したがって、比較例において、メモリホール43を、ワード線導電層41a〜41d、及び犠牲層を貫通するように一括して形成することは困難である。一方、上記第1実施形態においては、ワード線導電層41a〜41d、及び犠牲層72a〜72dは、共にアモルファスシリコンにて構成され、エッチングレートは略同じである。したがって、メモリホール43を、ワード線導電層41a〜41d、及び犠牲層72a〜72dを貫通するように一括して形成することができる。
【0073】
さらに、ワード線導電層41a〜41dの間を絶縁層42にて埋めるため、メモリ領域AR1においては、U字状半導体層45を設けた状態で、犠牲層72a〜72dを除去して、その除去された部分に空隙Ag1を形成する。そして、空隙Ag1を埋めるように絶縁層42を形成する。これにより、空隙Ag1が形成された場合であっても、メモリ領域AR1において、U字状半導体層45の支持により、ワード線導電層41a〜41dの構造は、崩壊或いは撓むことはない。
【0074】
また、ワード線導電層41a〜41dの間を絶縁層42にて埋めるため、周辺領域AR2(階段部ST)においては、犠牲層72a〜72dの一部を残すように空隙Ag2を形成する。ここで、犠牲層72a〜72dの一部を残すため、溝T2は、カラム方向に第2ピッチP2(P2>P1)をもって形成する。続いて、空隙Ag2を埋めるように絶縁層42を形成する。次に、残存した犠牲層72a〜72dを除去して空隙Ag3を形成する。そして、空隙Ag3を埋めるように絶縁層421を形成する。これにより、空隙Ag2が形成された場合であっても、周辺領域AR2(階段部ST)において、残存した犠牲層72a〜72dの支持により、ワード線導電層41a〜41dの構造は、崩壊或いは撓むことはない。さらに、空隙Ag3が形成された場合であっても、周辺領域AR2において、空隙Ag2に形成された絶縁層42の支持により、ワード線導電層41a〜41dの構造は、崩壊或いは撓むことはない。これにより、上記第1実施形態は、階段部STにて、ワード線導電層41a〜41dの撓みにより生じるショート等を抑制することができる。
【0075】
[第2実施形態]
[第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成]
次に、図15A〜図15Cを参照して、第2実施形態に係る不揮発性半導体装置の積層構造について説明する。図15Aは、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略上面図である。図15Bは、図15AのI−I’断面図であり、図15Cは、図15AのII−II’断面図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図15Aに示すように、第1実施形態とほぼ同様のメモリ領域AR1、及び周辺領域AR2を有する。
【0077】
第2実施形態において、図15Bに示すように、メモリトランジスタ層40は、タングステン(W)等の金属にて構成されたワード線導電層41Aa〜41Adを有する。ワード線導電層41Aa〜41Adは、図15Aに示すように、溝T1、T2のみを有し、第1実施形態のように溝T3を有していない。
【0078】
さらに、メモリトランジスタ層40は、図15Cに示すように、周辺領域AR2にてワード線導電層41Aa〜41Adと同層に形成され且つそれらに取り囲まれるように形成された絶縁層41Ca〜41Cdを有する。絶縁層41Ca〜41Cdは、窒化シリコン(SiN)にて構成されている。ワード線導電層41Aa〜41Ad及び絶縁層41Ca〜41Cdの上面及び下面は、絶縁層42Aa〜42Adにて挟まれている。絶縁層42Aa〜42Adは、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。絶縁層41Ca〜41Cdと溝Tとの間のカラム方向の間隔Dは、絶縁層41Ca〜41Cdのカラム方向の幅W1よりも小さい。また、溝T2のカラム方向の幅W2は、間隔Dよりも小さい。
【0079】
[第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法]
次に、図16A〜図19Bを参照して、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について説明する。図16A〜図19Bは、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を示す図である。
【0080】
第2実施形態においては、先ず、第1実施形態の図6に示す工程を行なう。次に、第1実施形態と異なり、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)を交互に積層させ、絶縁層42Aa〜42Ad、絶縁層41Ca〜41Cdを形成する。次に、第1実施形態の図8A、図8B、図9A及び図9Bと同様の工程を実行する。
【0081】
続いて、図16A及び図16Bに示すように、第1実施形態と同様の溝T1、T2を形成する。
【0082】
次に、図17A及び図17Bに示すように、メモリ領域AR1にて、溝T1を介して絶縁層41Ca〜41Cdを除去して、その除去された部分に空隙Ag4を形成する。また、同時に、周辺領域AR2にて、溝T2に面する絶縁層41Ca〜41Cdの側面を後退させて、その後退された部分に空隙Ag5を形成する。
【0083】
ここで、メモリ領域AR1にて、絶縁層41Ca〜41Cdは、完全に除去される。すなわち、絶縁層42Aa〜42Adは、U字状半導体層45によって支持された状態となる。また、溝T2は、溝T1よりも間隔をおいて形成されており、周辺領域AR2にて絶縁層41Ca〜41Cdは、その側面のみを除去される。すなわち、絶縁層42Aa〜42Adは、残存した絶縁層41Ca〜41Cdによって支持された状態となる。
【0084】
続いて、図18A及び図18Bに示すように、メモリ領域AR1にて、溝T1を介して空隙Ag4を埋めるようにタングステン(W)を堆積させて層41Aを形成する。また、同時に、層41Aは、周辺領域AR2にて、溝T2を介して空隙Ag5を埋めるように形成される。
【0085】
次に、図19A及び図19Bに示すように、メモリ領域AR1の溝T1に面する側面に形成された層41A、周辺領域AR2の溝T2に面する側面に形成された層41Aを除去する。この工程により、層41Aは、ワード線導電層41Aa〜41Adとなる。続いて、溝T1、T2を埋めるように酸化シリコン(SiO)を堆積させて、絶縁層42を形成する。そして、周辺領域AR2にてワード線導電層41Aa〜41Adを階段状に加工して階段部STを形成する。
【0086】
[第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果]
第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、第1実施形態の図13A、図13B及び図14に示す工程を必要としないので、第1実施形態よりも歩留まりを向上させることができる。
【0087】
[その他の実施形態]
以上、不揮発性半導体記憶装置の一の実施形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。
【0088】
例えば、第1実施形態において溝T3は、第2ピッチP2で形成される必要はなく、溝T2に挟まれるように形成されていればよい。
【0089】
例えば、第2実施形態においてワード線導電層41Aa〜41Adは、金属層ではなく、ポリシリコン(poly−Si)等にて構成されていてもよい。
【0090】
例えば、上記実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、U字状半導体層45を有するが、その代わりに例えば、特開2007−266143に記載のような積層方向に延びるI字状の半導体層を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
AR1…メモリ領域、 AR2…周辺領域、 MS…メモリストリング、MTr1〜MTr8…メモリトランジスタ、 SDTr…ドレイン側選択トランジスタ、 SSTr…ソース側選択トランジスタ、 BTr…バックゲートトランジスタ、 100…不揮発性半導体記憶装置、 20…基板、 30…バックゲート層 40…メモリトランジスタ層、 50…選択トランジスタ層、 60…配線層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に書き換え可能な複数のメモリセルを配置された第1領域、及び前記第1領域に隣接する第2領域を有する不揮発性半導体記憶装置であって、
前記第1領域及び前記第2領域に亘って積層されて前記第1領域にて前記メモリセルの制御電極として機能する複数の導電層と、
前記第1領域にて前記導電層に取り囲まれ、基板に対して垂直方向に延びる柱状部を含み、前記メモリセルのボディとして機能する半導体層と、
前記柱状部の側面と前記導電層との間に形成され、電荷を蓄積可能に構成されて前記メモリセルのデータを保持するための電荷蓄積層と
を備え、
前記導電層は、
前記第1領域にて第1方向に第1ピッチをもって配列されて、前記第1方向と直交する第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ当該複数の導電層を貫通して形成された第1溝と、
前記第2領域にて前記第1方向に第2ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ当該複数の導電層を貫通して形成された第2溝と、
前記第2領域にて前記第2溝に挟まれるように前記第1方向に第3ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ前記複数の導電層を貫通して形成された第3溝と
を備えることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
電気的に書き換え可能な複数のメモリセルを配置された第1領域、及び前記第1領域に隣接する第2領域を有する不揮発性半導体記憶装置であって、
前記第1領域及び前記第2領域に亘って積層されて前記第1領域にて前記メモリセルの制御電極として機能する複数の導電層と、
前記第1領域にて前記導電層に取り囲まれ、基板に対して垂直方向に延びる柱状部を含み、前記メモリセルのボディとして機能する半導体層と、
前記柱状部の側面と前記導電層との間に形成され、電荷を蓄積可能に構成されて前記メモリセルのデータを保持するための電荷蓄積層と、
前記第2領域にて前記導電層と同層に設けられ且つ前記導電層にて取り囲まれるように形成された絶縁層と
を備え、
前記導電層は、
前記第1領域にて第1方向に第1ピッチをもって配列されて、前記第1方向と直交する第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ当該複数の導電層を貫通して形成された第1溝と、
前記第2領域にて前記第1方向に第2ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に形成され、且つ当該複数の導電層を貫通して形成された第2溝とを備え、
前記絶縁層は、前記第2領域にて前記第1方向に第3ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に形成されている
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2ピッチは、前記第1ピッチの2倍であり
前記第3ピッチは、前記第2ピッチに等しい
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
電気的に書き換え可能な複数のメモリセルを配置された第1領域、及び前記第1領域に隣接する第2領域を有する不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
前記第1領域及び前記第2領域に亘って基板上に複数の導電層及び犠牲層を交互に積層させる工程と、
前記第1領域に複数の前記導電層及び前記犠牲層を貫通するホールを形成する工程と、
前記ホールに面する側面に電荷蓄積層を形成する工程と、
前記ホールを埋めるように半導体層を形成する工程と、
前記第1領域にて複数の前記導電層及び前記犠牲層を貫通し且つ第1方向に第1ピッチをもって配列されて、前記第1方向に直交する第2方向を長手方向とするストライプ状に第1溝を形成すると共に、前記第2領域にて複数の前記導電層及び前記犠牲層を貫通し且つ前記第1方向に第2ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に第2溝を形成する工程と、
前記第1領域にて前記第1溝を介して前記犠牲層を除去して第1空隙を形成すると共に、前記第2領域にて前記第2溝に面する前記犠牲層の側面を後退させて第2空隙を形成する工程と、
前記第1溝、前記第2溝、前記第1空隙、及び前記第2空隙を埋めるように第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層を形成した後に、前記第2領域にて前記導電層及び残存した前記犠牲層を貫通する第3溝を形成する工程と、
前記第3溝を介して残存した前記犠牲層を除去して第3空隙を形成する工程と、
前記第3溝及び前記第3空隙を埋めるように第2絶縁層を形成する工程と
を備えることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
電気的に書き換え可能な複数のメモリセルを配置された第1領域、及び前記第1領域に隣接する第2領域を有する不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、
前記第1領域及び前記第2領域に亘って基板上に複数の第1絶縁層及び犠牲層を交互に積層させる工程と、
前記第1領域に複数の前記第1絶縁層及び前記犠牲層を貫通するホールを形成する工程と、
前記ホールに面する側面に電荷蓄積層を形成する工程と、
前記ホールを埋めるように半導体層を形成する工程と、
前記第1領域にて複数の前記第1絶縁層及び前記犠牲層を貫通し且つ第1方向に第1ピッチをもって配列されて、前記第1方向に直交する第2方向を長手方向とするストライプ状に第1溝を形成すると共に、前記第2領域にて複数の前記第1絶縁層及び前記犠牲層を貫通し且つ前記第1方向に第2ピッチをもって配列されて、前記第2方向を長手方向とするストライプ状に第2溝を形成する工程と、
前記第1領域にて前記第1溝を介して前記犠牲層を除去して第1空隙を形成すると共に、前記第2領域にて前記第2溝に面する前記犠牲層の側面を後退させて第2空隙を形成する工程と、
前記第1領域及び前記第2領域にて前記第1空隙及び前記第2空隙を埋めるように導電層を形成する工程と、
前記第1領域及び前記第2領域にて前記第1溝及び前記第2溝を埋めるように第2絶縁層を形成する工程と
を備えることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【公開番号】特開2011−54899(P2011−54899A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205004(P2009−205004)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】