説明

充電施設予約システム及び充電施設予約プログラム

【課題】予約により確保される時間と、蓄電装置を所望の蓄電量まで充電するために実際に必要となる時間との乖離を抑制することで、運転者の利便性及び充電施設の稼働率を向上させる。
【解決手段】車両の現在位置を取得する現在位置取得手段64と、充電施設への到着予定時刻を取得する到着予定時刻取得手段61と、蓄電装置の現在蓄電量を取得する現在蓄電量取得手段51と、現在位置から充電施設に到達するまでに必要な電力量である必要電力量を算出する必要電力量算出手段54と、現在蓄電量から必要電力量を減算して充電施設に到着したときの蓄電量である到着時蓄電量を算出する到着時蓄電量算出手段55と、到着時蓄電量に基づいて充電時間を算出する充電時間算出手段53と、到着予定時刻と充電時間とに基づいて充電施設の予約を行う充電施設予約手段56と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機を駆動力源として備えた車両の蓄電装置を充電するための充電施設の予約を行う充電施設予約システム及び充電施設予約プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外部電源により充電可能な蓄電装置を備えた電気自動車やプラグインハイブリッド車が、燃費や環境保護等の点から注目を集めている。このような車両における蓄電装置の充電は、外出先においては充電スタンドや充電設備付き駐車場等の道路沿いに設置される、単一或いは複数の充電器が備えられた充電施設において行う。車両が充電施設に到着した際に当該充電施設が備える全ての充電器が使用中であった場合には、何れかの充電器が使用可能な状態となるまでの間当該充電施設にて待機するか、別の充電施設まで走行する必要がある。ところで、蓄電装置の充電は、ガソリン等の給油と異なり比較的長い時間を要する。そのため、他の車両の充電時間によっては、待機する場合の待ち時間が非常に長くなるという事態が生じ得る。
【0003】
上記の問題を解決するものとして、例えば以下の特許文献1には、到着してから速やかに充電を開始できる充電スタンドの情報を提供する充電スタンド情報提供装置が開示されている。具体的には、この充電スタンド情報提供装置は、充電スタンドを管理する管理センターと、電気自動車の車載装置とからなり、車載装置にて目的地が設定された際に、車両が現在位置から当該目的地まで走行するのに必要なバッテリ容量である必要容量を計算する。そして、当該必要容量とバッテリの現在の残容量とを比較することで、現在の残容量で目的地まで走行できるか否かを確認し、バッテリの現在の残容量では目的地まで走行することができない場合には、バッテリの現在の残容量から満充電容量まで充電するのに要する時間、及び、バッテリの現在の残容量から必要容量まで充電するのに要する時間を計算する。そして、車載装置は、充電スタンドの設置場所、充電器の個数、及び、現在の各充電器の使用状況と予約状況を管理している管理センターと通信を行い、車両の現在地周辺にあって、到着後、直ちにまたは所定時間以内の待ち時間で、少なくとも必要容量まで充電できる充電器を検索し、予約を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−262525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、車両の現在位置から予約を行った充電施設まで走行するのに必要な電力量について考慮されていないため、以下のような問題が生じ得る。すなわち、車両の現在位置と予約を行った充電施設との距離が長ければ長いほど、当該充電施設まで走行することにより消費される電力量が大きくなる。それにも拘らず、上記の構成においては、充電施設の予約を行う際に算出されるバッテリを必要容量まで充電するのに要する時間は、当該予約を行う時点でのバッテリの残容量を基準として算出されたものである。その結果、車両の現在位置と予約を行った充電施設との距離が長ければ長いほど、バッテリを必要容量まで充電するのに実際に要する時間と、上記の算出により求めた時間との差が大きくなり、予約を行った時間内にバッテリを必要容量まで充電できないという事態が生じ得る。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、予約により確保される時間と、蓄電装置を所望の蓄電量まで充電するために実際に必要となる時間との乖離を抑制することで、運転者の利便性及び充電施設の稼働率を向上させることのできる充電施設予約システム及び充電施設予約プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る、回転電機を駆動力源として備えた車両の蓄電装置を充電するための充電施設の予約を行う充電施設予約システムの特徴構成は、前記車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記充電施設への到着予定時刻を取得する到着予定時刻取得手段と、前記蓄電装置の現在蓄電量を取得する現在蓄電量取得手段と、前記現在位置から前記充電施設に到達するまでに必要な電力量である必要電力量を算出する必要電力量算出手段と、前記現在蓄電量から前記必要電力量を減算して前記充電施設に到着したときの蓄電量である到着時蓄電量を算出する到着時蓄電量算出手段と、前記到着時蓄電量に基づいて充電時間を算出する充電時間算出手段と、前記到着予定時刻と前記充電時間とに基づいて前記充電施設の予約を行う充電施設予約手段と、を備えた点にある。
【0008】
なお、本願では、「充電施設」は、同時に一台の車両に対して蓄電装置を充電することのできる充電装置(充電器)に対応するものであり、地図上における同一の位置に複数の充電施設が存在し得る概念として用いている。そのため、本願においては、地図上における同一の位置に、充電能力が同一の或いは相違する複数の充電施設が存在し得る。
また、本願では、「算出」は、取得した情報を用いて、単一又は複数の数式に基づき所要の数値を導出することや、2つ以上の異なるパラメータ間の対応関係を表したマップデータを参照して所要の数値を導出することを含む概念として用いている。
さらに、本願では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0009】
上記の特徴構成によれば、車両の現在位置における蓄電装置の現在蓄電量ではなく、当該現在蓄電量から必要電力量を減算することにより得られる到着時蓄電量に基づいて充電時間が算出される。このように算出された充電時間は、現在位置から充電施設に到達するまでに消費される電力量が適切に考慮されたものであるため、現在蓄電量に基づき充電時間を算出する場合に比べ、算出された充電時間の信頼性を向上させることができる。そして、到着予定時刻と、上記のように算出された充電時間とに基づいて充電施設の予約が行われるため、予約により確保される時間の始期を適切に定めることができるだけでなく、予約により確保される時間と、蓄電装置を所望の蓄電量まで充電するために実際に必要となる時間との乖離を抑制することができる。従って、不必要に長い時間に亘って充電施設が予約されることにより運転者が負担する利用料が増大したり、予約により確保した時間が短いために蓄電装置を所望の蓄電量まで充電できないといった事態の発生を抑制することができ、運転者の利便性を向上させることができる。また、充電施設を運営する側にとっては、ある車両の予約により他車両の利用や予約を制限することになる時間が不必要に長くなるのを抑制できるため、充電施設の稼働率を向上させることができる。
【0010】
ここで、前記充電時間算出手段は、前記蓄電装置の所定の充電終了時の蓄電量である充電終了時蓄電量から前記到着時蓄電量を減算して充電容量を算出し、当該充電容量に基づいて前記充電時間を算出する構成とすると好適である。なお、所定の充電終了時の蓄電量は、充電の目的に応じて設定すると好適であり、例えば、蓄電装置が満充電状態にあるときの蓄電量、設定した目的地まで走行するのに必要な蓄電量、或いは、自宅まで走行するのに必要な蓄電量としても好適である。
【0011】
なお、本願では、「満充電状態」は、蓄電装置の定格容量に基づき予め定められた蓄電量の上限値まで蓄電装置が充電された状態を意味し、必ずしも定格容量まで充電された状態を意味するものではない。
【0012】
この構成によれば、充電容量の算出を適切に行うことができ、当該充電容量に基づき算出される充電時間の信頼性を高めることができる。
【0013】
また、前記充電時間算出手段は、更に前記充電施設の充電能力にも基づいて前記充電時間を算出する構成とすると好適である。
【0014】
この構成によれば、充電施設毎に異なる場合がある充電能力を充電時間を算出する際に考慮することができ、算出される充電時間の信頼性を高めることができる。
【0015】
また、前記充電施設予約手段は、前記到着予定時刻に基づいて充電開始時刻を設定し、前記充電開始時刻から前記充電時間の経過後の時刻に基づいて充電終了時刻を設定し、前記充電開始時刻から前記充電終了時刻までの間の前記充電施設の予約を行う構成とすると好適である。
【0016】
この構成によれば、予約により確保される時間の始期及び終期を適切に定めることができる。従って、同一の充電施設にて複数の車両が連続して蓄電装置を充電する場合において、先の車両の充電終了時刻と後の車両の充電開始時刻との間に確保する時間が不必要に長くなるのを抑制することができる。
【0017】
また、前記蓄電装置を充電する必要性を判定する充電必要性判定手段を更に備え、前記充電必要性判定手段は、前記現在蓄電量が所定の閾値以下である場合に、前記蓄電装置を充電する必要があると判定する構成とすると好適である。なお、所定の閾値は、車両の使用目的に応じて設定すると好適であり、例えば、自宅まで走行するのに必要な蓄電量、或いは、最寄りの充電施設まで走行するのに必要な蓄電量としても好適である。
【0018】
この構成によれば、蓄電装置の充電の必要性が所定の閾値に基づいて適切に判定されるため、運転者が蓄電装置の現在蓄電量を定期的に把握して充電の必要性を判断する必要がなくなり、運転者の負担を低減することができる。また、当該所定の閾値を適切に設定することで、充電施設に到達する前に蓄電装置の蓄電量が不足し車両が走行不能になる事態の発生を抑制することができる。
【0019】
また、地図情報に基づき前記現在位置から前記充電施設までの経路を探索する経路探索手段と、前記回転電機の駆動力により前記車両が走行する際における単位電力量当たりの平均走行距離を電力消費率として取得する電力消費率取得手段と、をさらに備え、前記必要電力量算出手段は、前記経路と前記電力消費率とに基づいて前記必要電力量を算出する構成とすると好適である。
【0020】
車両が現在位置から充電施設に到達するまでに必要な必要電力量は、車両の走行状態及び走行条件に大きく依存するものであり、必要電力量を予め正確に算出するのは困難である。この構成によれば、単位電力量当たりの平均走行距離である電力消費率と、現在位置から充電施設までの経路とに基づいて必要電力量を算出するため、簡素な構成で所定の誤差内の必要電力量を算出することができる。
【0021】
また、複数の充電施設の存在箇所に関する充電施設情報、及び前記地図情報を参照可能に備えるとともに、前記複数の充電施設の予約状況を取得する予約状況取得手段と、前記現在蓄電量と前記電力消費率とに基づいて前記車両が前記回転電機の駆動力により走行した場合の走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段と、前記充電施設情報及び前記地図情報を参照して前記走行可能距離内に存在する充電施設を検索する充電施設検索手段と、を更に備え、前記充電施設予約手段は、前記充電施設検索手段により検索された前記充電施設の中から、前記現在位置からの距離及び前記予約状況に基づいて一つの充電施設を選択し、当該充電施設の予約を行う構成とすると好適である。
【0022】
なお、本願では、「予約状況」は、充電施設の現在の使用状況をも含む概念として用いている。すなわち、本願においては、現在、充電施設にて蓄電装置を充電している車両が存在する場合においては、当該車両の蓄電装置が所望の蓄電量まで充電され充電が終了する充電終了時刻までの間、当該充電施設が予約されているものとして、当該充電施設の現在の使用状況が当該充電施設の予約状況に含まれる。
【0023】
この構成によれば、所望する時間帯に充電施設が利用可能であったため予約を行ったが、当該充電施設に到達するまでに蓄電装置の蓄電量が不足し、車両が回転電機の駆動力により走行できなくなるといった事態の発生を抑制することができる。また、回転電機の駆動力により充電施設に到達することはできたが、到達した時点で他車両による蓄電装置の充電がまだ終了していないため直ちに充電を開始することができないといった事態や、到達した時点では他車両による蓄電装置の充電は行われていないが、他車両が予約している時間の始期までの間に蓄電装置を所望の蓄電量まで充電できないといった事態の発生を抑制することができる。
【0024】
また、前記充電施設予約手段は、前記到着予定時刻と前記充電時間とに基づいて設定した充電開始時刻から充電終了時刻までの間、前記蓄電装置を充電することができる充電施設の中で、前記現在位置に最も近い位置に存在する充電施設を選択する構成とすると好適である。
【0025】
この構成によれば、蓄電装置を充電するためだけに必要となる走行距離の増大を抑制することができ、蓄電装置の電気エネルギが無駄に消費されることを抑制することができる。
【0026】
また、前記充電施設予約手段は、前記充電開始時刻から前記充電終了時刻までの間、前記蓄電装置を充電することができる充電施設が存在しない場合は、前記現在位置に最も近い位置に存在する充電施設の予約を行う構成とすると好適である。
【0027】
この構成によれば、最も近い位置に存在する充電施設にて当該充電施設が利用可能となるまで待機する必要があるが、蓄電装置を充電するためだけに必要となる走行距離の増大を抑制することができ、蓄電装置の電気エネルギが無駄に消費されることを抑制することができる。
【0028】
また、車両に搭載された車載端末装置と、前記車載端末装置及び複数の前記充電施設と通信可能に設けられた管理装置と、を有して構成され、前記管理装置は、複数の前記充電施設から当該充電施設の予約状況を収集する予約状況収集手段と、当該予約状況に基づき各充電施設の予約済みの時間帯を管理する予約状況管理手段と、を備える構成とすると好適である。
【0029】
この構成によれば、複数の充電施設の予約状況が管理装置に集中的に集められ、複数の充電施設の予約済みの時間帯が管理装置にて一元的に管理される。従って、予約状況取得手段が車載端末装置に搭載されている場合において、予約状況取得手段は個々の充電施設と通信を行うことなく、管理装置と通信を行うだけで、各充電施設の予約状況を取得することができる。また、車載端末装置において複数の充電施設の予約状況を管理する必要がないため、車載端末装置の構成を簡素なものとすることができる。
【0030】
また、予約した充電施設までの経路を表示する表示装置を車両に搭載する構成とすると好適である。
【0031】
この構成によれば、現在位置から充電施設まで走行する際に、運転者が道を間違えるなどして不必要に蓄電装置の電力が消費され到着時蓄電量が減少することを抑制することができる。
【0032】
以上の各構成を備えた本発明に係る充電施設予約システムの技術的特徴は、充電施設予約方法や充電施設予約プログラムにも適用可能であり、そのため、本発明は、そのような方法やプログラムも権利の対象とすることができる。
【0033】
その場合における、回転電機を駆動力源として備えた車両の蓄電装置を充電するための充電施設の予約を行う充電施設予約プログラムの特徴構成は、前記車両の現在位置を取得する現在位置取得機能と、前記充電施設への到着予定時刻を取得する到着予定時刻取得機能と、前記蓄電装置の現在蓄電量を取得する現在蓄電量取得機能と、前記現在位置から前記充電施設に到達するまでに必要な電力量である必要電力量を算出する必要電力量算出機能と、前記現在蓄電量から前記必要電力量を減算して前記充電施設に到着したときの蓄電量である到着時蓄電量を算出する到着時蓄電量算出機能と、前記到着時蓄電量に基づいて充電時間を算出する充電時間算出機能と、前記到着予定時刻と前記充電時間とに基づいて前記充電施設の予約を行う充電施設予約機能と、をコンピュータに実現させる点にある。
【0034】
当然ながら、この充電施設予約プログラムも上述した充電施設予約システムに係る作用効果を得ることができ、更に、その好適な構成の例として挙げたいくつかの付加的技術を組み込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る充電施設予約システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載端末装置及びナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】各充電施設の予約状況の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る充電施設予約処理の全体の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る充電施設の利用可否の判定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る充電施設予約システム7を、車載端末装置2と、ナビゲーション装置3と、管理装置4と、により構成する場合を例として説明する。図1は、充電施設予約システム7の全体構成を示す概略構成図である。図2は、車載端末装置2及びナビゲーション装置3の概略構成を示すブロック図である。図3は、管理装置4の概略構成を示すブロック図である。この充電施設予約システム7においては、車載端末装置2は、車両1に備えられたバッテリ10を充電する必要性を判定し、充電する必要性があると判定された場合に、充電施設5の予約を行う。この際、車載端末装置2は、ナビゲーション装置3と協働し、車両1の現在位置や、充電施設5までの経路を取得する。そして、車載端末装置2は、充電施設5への到着予定時刻と、当該充電施設5に到着したときの蓄電量(到着時蓄電量)に基づき算出された充電時間とに基づいて、充電施設5の予約を行う。この予約を行う際には、車載端末装置2は、複数の充電施設5の予約状況を収集し各充電施設5の予約済みの時間帯を管理している管理装置4と通信を行うことで、充電施設5の予約状況を取得し、当該充電施設5の利用可否の判定を行う。なお、本実施形態においては、バッテリ10が本発明における蓄電装置に相当する。
以下、充電施設予約システム7の全体構成、車両1の構成、車載端末装置2の構成、ナビゲーション装置3の構成、管理装置4の構成、及び充電施設予約システム7による充電施設予約処理の手順について、順に詳細に説明する。
【0037】
1.充電施設予約システムの全体構成
図1に示すように、充電施設予約システム7は、車載端末装置2と、ナビゲーション装置3と、管理装置4と、により構成されている。なお、図1において、実線の矢印は各種情報の伝達経路を示し、破線は電力の伝達経路を示している。車載端末装置2とナビゲーション装置3とが搭載された車両1には、駆動力源としての回転電機12に電力を供給するためのバッテリ10が備えられており、充電施設予約システム7により、バッテリ10を充電するための充電施設5の予約が行われる。
【0038】
車載端末装置2は、詳細は後述するが、車両1が備えるバッテリ10を充電する必要性があるか否かを判定し、充電の必要性があると判定された場合に、充電施設5の予約を行うように構成されている。予約を行う際には、車載端末装置2は、管理装置4と通信を行うことで充電施設5の予約状況を取得する。そして、車載端末装置2は、バッテリ10を充電するのに必要となる時間帯に利用可能な充電施設5の中で、車両1の現在位置に最も近い位置に存在する充電施設5を選択し、当該充電施設5の予約を行う。
【0039】
車載端末装置2が充電施設5の予約を行う際には、車両1の充電施設5への到着予定時刻と、車両1が充電施設5に到着したときのバッテリ10の蓄電量(到着時蓄電量)に基づき算出される充電時間とに基づいて、バッテリ10を充電するのに必要な時間帯が定められ、当該時間帯に充電施設5を利用できるか否かの判定が、管理装置4から取得した当該充電施設5の予約状況に基づき行われる。そして、車載端末装置2は、車両1の走行可能距離内にあり、且つ、バッテリ10を充電するのに必要となる時間帯に利用可能な充電施設5の中で、車両1の現在位置に最も近い位置に存在する充電施設5を選択し、当該充電施設5の予約を行う。
【0040】
管理装置4は、詳細は後述するが、複数の車載端末装置2と通信可能に構成されているとともに、複数の充電施設5とインターネット等の通信網6を介して通信可能に構成されている。そして、管理装置4は、複数の充電施設5から当該充電施設5の予約状況を取得し、予約済みの時間帯を管理する。また、車載端末装置2からの要求に応じて、充電施設5の予約状況を車載端末装置2に提供する。
【0041】
充電施設5は、通信網6を介して管理装置4と通信可能に構成されている。充電施設5は、予約状況を自身で管理するとともに、予約状況が更新される度に通信網6を介して管理装置4に最新の予約状況を送信するように構成されている。充電施設5の予約は車載端末装置2により行われるが、電話やFax等を用いて充電施設5に対して直接予約を行うことも可能とされている。車載端末装置2により充電施設5の予約が行われる際には、当該予約に伴う利用時間帯(予約時間帯)の情報が管理装置4より充電施設5へ送信される。そして、充電施設5は、当該利用時間帯を予約済みの時間帯とするように、自身で管理する予約状況を更新するとともに、当該予約が反映された後の最新の予約状況を管理装置4へ送信する。また、充電施設5に対して直接予約が行われた場合には、充電施設5は、自身で管理する予約状況を更新するとともに、当該予約が反映された後の最新の予約状況を管理装置4へ送信する。
【0042】
2.車両の構成
図1に示すように、車両1は、駆動力源として回転電機12を備え、回転電機12の駆動力(トルクを含む、以下同じ)によって走行する電気自動車である。また、車両1には、詳細は後述するが、車載端末装置2とナビゲーション装置3とが相互に通信可能な形態で搭載されている。なお、図1においては、車両1の構成要素の内、本発明に関係する要部のみを示している。
【0043】
本実施形態においては、車両1には回転電機12が1つ備えられている。そして、回転電機12は駆動伝達機構13を介して車輪14(駆動輪)に駆動連結されており、回転電機12の駆動力は分配され、左右2つの車輪14に伝達される。駆動伝達機構13は、例えば、互いに噛み合う複数の傘歯車を用いた差動歯車機構を有して構成することができる。また、差動歯車機構に加え、さらに変速機を備えて駆動伝達機構13を構成しても良い。
【0044】
図1に示すように、回転電機12は、IGBTやMOSFET等を使用したスイッチング回路を有して構成されているインバータ11を介して、バッテリ10に電気的に接続されている。そして、回転電機12は、バッテリ10から電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能を果たすことが可能とされている。回転電機12がモータとして機能する場合には、バッテリ10から電力の供給を受けて力行し、発生した駆動力により車両1を走行させる。一方、車両1の減速時等には回転電機12はジェネレータとして機能し、車両1の慣性力を電気エネルギとして回生し、発電した電力をバッテリ10に供給して充電する。
【0045】
本実施形態においては、車両1には電圧センサSe1及び電流センサSe2が備えられている。電圧センサSe1は、バッテリ10の端子間電圧を検出するセンサである。電流センサSe2は、バッテリ10に流れる充放電電流を検出するセンサであり、バッテリ10とインバータ11とを接続する電力ラインに配設されている。なお、バッテリ10から回転電機12に電力が供給されている状態、つまりバッテリ10から放電している状態では、充放電電流値は正の値をとり、逆に回転電機12からバッテリ10に電力が供給されている状態、つまりバッテリ10を充電している状態では、充放電電流値は負の値をとる。そして、これらの電圧センサSe1及び電流センサSe2にて検出されたバッテリ10の端子間電圧値及び充放電電流値の情報は、車載端末装置2へ出力される。後述するように、車載端末装置2に備えられた現在蓄電量取得部51は、電圧センサSe1及び電流センサSe2より取得した端子間電圧値及び充放電電流値に基づいて、バッテリ10の現在蓄電量を取得する。なお、電圧センサSe1及び電流センサSe2に加え、さらにバッテリ10の温度を検出する温度センサを備える構成としても良い。
【0046】
バッテリ10は、駆動力源としての回転電機12に電力を供給する蓄電装置である。バッテリ10は、家庭に備えられた家庭用電源や充電施設に備えられた充電用電源等の外部電源により充電可能に構成されている。すなわち、図示は省略するが、バッテリ10は、外部電源に接続されるコネクタや、外部電源が交流電源である場合には直流に変換するインバータ等の構成に電気的に接続され、外部電源によって充電される構成となっている。バッテリ10は、例えば、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムイオン電池、或いは鉛蓄電池等の二次電池で構成される。そして、バッテリ10には、バッテリ10の性能維持のために使用可能な蓄電量の上限値と下限値とが定められており、上限値と下限値との間の領域が使用可能領域とされている。上限値は、例えば、バッテリ10の定格容量の80%の蓄電量とし、下限値は、例えば、バッテリ10の定格容量の30%の蓄電量とされる。そして、本実施形態においては、バッテリ10が上限値まで充電された状態を、バッテリ10が満充電状態にあるとする。なお、バッテリ10は蓄電装置の一例であり、電気二重層コンデンサ等のキャパシタやその他の蓄電装置を用い、或いは、複数種類の蓄電装置を併用することも可能である。
【0047】
3.車載端末装置の構成
次に、車載端末装置2の構成について説明する。図2に示す車載端末装置2の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、車載端末装置2は、送受信部50、現在蓄電量取得部51、充電時間算出部53、充電施設予約部56、電力消費率取得部58、走行可能距離算出部59、充電施設検索部60、及び到着予定時刻取得部61を機能部として備えている。そして、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、メモリ62は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体をハードウェア構成として備えている。
車載端末装置2の各機能部は、ナビゲーション装置3の各機能部と互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。そして、車載端末装置2が備える各機能部は、必要に応じてナビゲーション装置3の各機能部が必要とする情報を当該機能部に送信する。以下、本実施形態に係る車載端末装置2の各部の構成について詳細に説明する。
【0048】
3−1.送受信部
送受信部50は、無線基地局等を介して管理装置4との間で無線通信によりデータの送受信を行う通信装置を備えている。このような無線通信方法としては、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等の公知の通信網を用いることができる。また、送受信部50と管理装置4との間でのデータの送受信を、VICS(登録商標;Vehicle Information and Communication System(道路交通情報通信システム))を利用して行う構成としたり、道路側に設置された通信装置との間で通信を行う路車間通信を利用して行う構成としても良い。
【0049】
本実施形態においては、後述する充電施設予約部56が備える予約状況取得部57が、充電施設5の予約状況を管理装置4へ要求する際には、充電施設5を特定する名称やIDなどの情報が含まれるデータファイルが、送受信部50を介して管理装置4へ送信される。また、管理装置4が送信した充電施設5の予約状況に関するデータファイルは、送受信部50を介して予約状況取得部57へ入力される。また、充電施設予約部56が充電施設5の予約を行う際には、車載端末装置2を識別するための識別符号、充電施設5を特定する名称やID、及び当該予約に伴う利用時間帯(予約時間帯)などの情報が含まれるデータファイルが、送受信部50を介して管理装置4へ送信される。また、送受信部50は、後述するメモリ62に格納された充電施設データ63を更新するための更新情報も受信する。これらの点については後述する。
【0050】
3−2.現在蓄電量取得部
現在蓄電量取得部51は、バッテリ10の現在蓄電量を取得する現在蓄電量取得手段として機能する。現在蓄電量取得部51には、電圧センサSe1にて検出された端子間電圧値、及び電流センサSe2にて検出された充放電電流値が入力されるように構成されている。そして、現在蓄電量取得部51は、当該端子間電圧値及び充放電電流値に基づいて、公知の推定手法に基づいてバッテリ10の現在蓄電量を算出して取得する。そして、現在蓄電量取得部51は、必要に応じて、電力消費率取得部58や走行可能距離算出部59、到着時蓄電量算出部55へ現在蓄電量の情報を出力する。
【0051】
現在蓄電量取得部51は、所定期間が経過する毎に、バッテリ10の現在蓄電量を算出して取得するように構成されている。この現在蓄電量の算出は、例えば、以下のようにして行うことができる。
【0052】
現在蓄電量取得部51は、バッテリ10が満充電状態にあるときの端子間電圧(端子間開放電圧)から、バッテリ10の全容量を算出し、現在蓄電量の初期値とする。現在蓄電量は、例えば単位[Wh]で表すことができる。なお、このバッテリ10の全容量の算出は、例えば、端子間電圧と全容量との関係を表すマップデータを参照して行うことができる。
【0053】
そして、現在蓄電量取得部51は、所定の時間ステップ毎に電圧センサSe1及び電流センサSe2から端子間電圧値及び充放電電流値を取得し、端子間電圧と、充放電電流と、時間ステップの間隔との積をとることで、当該時間ステップ内における充放電電力量を算出する。例えば、端子間電圧を単位[V]で表し、充放電電流を単位[A]で表し、時間ステップを単位[h]で表すと、充放電電力量の単位は[Wh]となる。
【0054】
なお、バッテリ10から放電している状態では充放電電流値は正の値をとるため、上記の充放電電力量は正の値となる。一方、バッテリ10を充電している状態では充放電電流値は負の値をとるため、上記の充放電電力量は負の値となる。なお、バッテリ10を充電する際の効率を考慮する必要があるため、充放電電流値が負の値である場合には、上記の積にさらに所定の充電効率を表す充電効率係数を掛けたものを、当該時間ステップ内における充放電電力とする。
【0055】
現在蓄電量取得部51は、現在蓄電量から上記のようにして求めた充放電電力量を減算したものを新しい現在蓄電量とすることで、現在蓄電量の更新を行う。ここで、バッテリ10を充電している場合には充放電電力量は負の値となるため、現在蓄電量から充放電電力量を減算することで現在蓄電量は増加することになる。この現在蓄電量の更新は、電圧センサSe1及び電流センサSe2から端子間電圧値及び充放電電流値を取得する度に行われる。そして、バッテリ10が充電施設5等において充電され、バッテリ10が再度満充電状態になると、そのときの端子間電圧(端子間開放電圧)から推定される蓄電量を新しい現在蓄電量として、現在蓄電量の更新を行う。
【0056】
なお、バッテリ10の現在蓄電量の算出は上記の手法に限らず、例えば、バッテリ10の端子間電圧のみに基づいて算出する構成や、バッテリ10の内部抵抗に基づいて算出する構成、或いは、複数種類の算出手法を組み合わせた構成としても良い。
【0057】
図2に示すように、現在蓄電量取得部51は、充電必要性判定部52を備えている。充電必要性判定部52は、バッテリ10を充電する必要性を判定する充電必要性判定手段として機能する。充電必要性判定部52は、現在蓄電量取得部51が取得した現在蓄電量を参照し、現在蓄電量が所定の閾値以下であるか否かの判定を行う。所定の閾値は、例えば、自宅まで走行するのに必要な蓄電量、或いは、最寄りの充電施設まで走行するのに必要な蓄電量とすることができる。そして、現在蓄電量が所定の閾値以下である場合には、充電必要性判定部52は、バッテリ10を充電する必要があると判定し、その情報を充電施設予約部56へ出力するように構成されている。
【0058】
なお、本実施形態においては、現在蓄電量取得部51が現在蓄電量を算出して取得する構成としたが、現在蓄電量取得部51がバッテリ10の現在蓄電量の算出を行わず、車載端末装置2が備える別の機能部や車両1が備える別の装置が現在蓄電量を算出し、現在蓄電量取得部51がその現在蓄電量を取得する構成としても良い。
【0059】
3−3.電力消費率取得部
電力消費率取得部58は、回転電機12の駆動力により車両1が走行する際における単位電力量当たりの平均走行距離を電力消費率として取得する電力消費率取得手段として機能する。電力消費率取得部58は、過去の所定期間内における走行距離を当該所定期間内で消費された電力量で除した値を、単位電力量当たりの平均走行距離として算出し、その値を電力消費率として取得するように構成されている。そして、電力消費率取得部58は、必要に応じて、走行可能距離算出部59や必要電力量算出部54へ、電力消費率の情報を出力する。
【0060】
電力消費率取得部58には、現在蓄電量取得部51から現在蓄電量の情報が入力されるとともに、後述するナビゲーション装置3の距離センサ67が検出した車両1の移動距離の情報が入力されるように構成されている。電力消費率取得部58は、例えば、ある時点t1における現在蓄電量をQ1とし、当該時点t1から所定時間経過後の時点t2における現在蓄電量をQ2とし、t1からt2まで時間が経過する間における車両1の走行距離をLとすると、Lを(Q1−Q2)で除することで電力消費率を算出することができる。例えば、走行距離を単位[km]で表し、現在蓄電量を単位[Wh]で表すと、電力消費率の単位は[km/Wh]となる。
【0061】
なお、本実施形態では、電力消費率取得部58が電力消費率を算出して取得する構成としたが、電力消費率取得部58が電力消費率の算出を行わず、車載端末装置2が備える別の機能部や車両1が備える別の装置が電力消費率の算出を行い、電力消費率取得部58がその電力消費率を取得する構成としても良い。
【0062】
3−4.走行可能距離算出部
走行可能距離算出部59は、現在蓄電量と電力消費率とに基づいて車両1が回転電機12の駆動力により走行した場合の走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段として機能する。走行可能距離算出部59は、現在蓄電量取得部51から入力される現在蓄電量と、電力消費率取得部58から入力される電力消費率とに基づいて、走行可能距離を算出する。そして、走行可能距離算出部59は、走行可能距離の情報を充電施設検索部60へ出力する。なお、予め作成した現在蓄電量と走行可能距離との関係を表すマップを参照して、走行可能距離算出部59が現在蓄電量に対応した走行可能距離を取得するように構成しても良い。
【0063】
本実施形態においては、走行可能距離算出部59は、現在蓄電量に基づく使用可能蓄電量と、電力消費率と、補正係数との積をとることで、走行可能距離を算出する。例えば、現在蓄電量に基づく使用可能蓄電量を単位[Wh]で表し、電力消費率を単位[km/Wh]で表すと、走行可能距離の単位は[km]となる。
ここで、使用可能蓄電量とは、現在蓄電量と、バッテリ10の性能維持のために定められている使用可能な蓄電量の下限値との差に相当する蓄電量である。走行可能距離がこのように使用可能蓄電量に基づき算出されるため、バッテリ10が当該下限値より低い蓄電量の状態に至るまで使用されることを抑制することができる。
また、補正係数は、1以下の正数であり、算出された走行可能距離を、車両1がより確実に走行できる距離とするためのものである。この補正係数を用いることで、算出される走行可能距離が小さくなるように補正される。補正係数の値は、例えば0.8のような固定値としても良いし、時刻や天候に基づいて値が定められる構成としても良い。例えば、平日の通勤時間帯や雨天時等においては、一般的に同じ電力量で走行可能な距離が短くなることが予想されるため、そのような場合には、補正係数の値を低いものとすることができる。
【0064】
なお、車両1がバッテリ10の温度を検出する温度センサを備える場合には、バッテリ10の温度に応じて走行可能距離を補正する構成としても良い。例えば、バッテリ10の温度が所定の値より低い場合には、走行可能距離を低下させるように補正することができる。
【0065】
3−5.充電施設検索部
充電施設検索部60は、充電施設データ63及び地図情報を参照して前記走行可能距離内に存在する充電施設5を検索する充電施設検索手段として機能する。充電施設検索部60は、後述するナビゲーション装置3が備える地図データベース68を参照することで地図情報を参照可能に構成されている。充電施設検索部60には、走行可能距離算出部59より走行可能距離の情報が入力され、充電施設検索部60は、入力された走行可能距離内に存在する充電施設5を検索する。
【0066】
充電施設検索部60は、メモリ62に格納された充電施設データ63と、ナビゲーション装置3が備える地図データベース68を参照して、走行可能距離内に存在する充電施設5を検索する。この際、ナビゲーション装置3が備えるナビゲーション用演算部69の経路探索部70が、車両1の現在位置から充電施設5までの経路を探索するとともに、車両1が当該経路に沿って当該充電施設5まで走行した場合における走行距離を算出し、当該走行距離の情報を充電施設検索部60へ出力する。充電施設検索部60は、走行可能距離算出部59より入力された走行可能距離の情報と、経路探索部70より入力された充電施設5までの走行距離の情報とに基づいて、充電施設5までの走行距離が走行可能距離以下であれば、当該充電施設5は走行可能距離内に存在すると判定する。充電施設検索部60は、それぞれの充電施設5に対して上記のように走行可能距離内に存在するか否かを判定し、走行可能距離内に存在する充電施設5を抽出する。
そして、充電施設検索部60は、走行可能距離内に存在する充電施設5の情報を、充電施設予約部56へ出力する。
【0067】
3−6.到着予定時刻取得部
到着予定時刻取得部61は、充電施設5への到着予定時刻を取得する到着予定時刻取得手段として機能する。到着予定時刻取得部61は、充電施設予約部56にて選択された充電施設5の位置(座標)に関する情報をメモリ62に格納されている充電施設データ63を参照して取得し、その情報をナビゲーション装置3が備えるナビゲーション用演算部69へ出力する。そして、当該充電施設5までの経路がナビゲーション用演算部69が備える経路探索部70にて探索されるとともに、当該充電施設5への到着予定時刻がナビゲーション用演算部69にて算出される。この際、VICSや路車間通信等により最新の道路交通情報が取得され、最新の道路交通情報に基づいて到着予定時刻が算出される構成とすることができる。そして、ナビゲーション用演算部69は、到着予定時刻の情報を到着予定時刻取得部61へ出力し、到着予定時刻取得部61は、取得した到着予定時刻の情報を充電施設予約部56へ出力する。
【0068】
なお、本実施形態においては、到着予定時刻取得部61が、ナビゲーション用演算部69が算出した到着予定時刻を取得する構成としたが、ナビゲーション用演算部69が充電施設5までの所要時間を算出するとともに所要時間の情報を到着予定時刻取得部61へ出力し、到着予定時刻取得部61が現在時刻と所要時間とに基づいて到着予定時刻を算出して取得する構成としても良い。
【0069】
3−7.充電時間算出部
充電時間算出部53は、到着時蓄電量に基づいて充電時間を算出する充電時間算出手段として機能する。充電時間算出部53は、必要電力量算出部54と到着時蓄電量算出部55とを備え、算出された充電時間の情報を充電施設予約部56へ出力するように構成されている。
【0070】
必要電力量算出部54は、現在位置から充電施設5に到達するまでに必要な電力量である必要電力量を算出する必要電力量算出手段として機能する。必要電力量算出部54は、ナビゲーション装置3に備えられたナビゲーション用演算部69の経路探索部70から入力される充電施設5までの走行距離を、電力消費率取得部58から入力される電力消費率で除することで必要電力量を算出する。例えば、走行距離を単位[km]で表し、電力消費率を単位[km/Wh]で表すと、必要電力量の単位は[Wh]となる。
【0071】
到着時蓄電量算出部55は、現在蓄電量から必要電力量を減算して充電施設5に到着したときの蓄電量である到着時蓄電量を算出する到着時蓄電量算出手段として機能する。到着時蓄電量算出部55には現在蓄電量取得部51より現在蓄電量の情報が入力され、現在蓄電量から必要電力量を減算して、到着時蓄電量を算出する。
【0072】
充電時間算出部53は、バッテリ10の所定の充電終了時の蓄電量である充電終了時蓄電量から、到着時蓄電量算出部55が算出した到着時蓄電量を減算して充電容量を算出する。そして、メモリ62が備える充電施設データ63を参照して充電施設5の充電能力を取得し、充電容量を充電能力で除することで充電時間を算出する。充電能力は、例えば、単位[W]で表される。
【0073】
3−8.充電施設予約部
充電施設予約部56は、到着予定時刻と充電時間とに基づいて充電施設5の予約を行う充電施設予約手段として機能する。充電施設予約部56は、バッテリ10を充電する必要性があるという情報が充電必要性判定部52より入力されると、充電施設の予約を行うように構成されている。
【0074】
充電施設の予約を行う際には、充電施設予約部56は、充電施設検索部60より入力された走行可能距離内に存在する充電施設5の情報に基づいて、1つの充電施設5を選択する。なお、本実施形態においては、充電施設予約部56は、車両1の現在位置に近い順から充電施設5の選択を行うように構成されている。なお、同一の位置に複数の充電施設が存在する場合には、充電能力や利用料金等に基づいて何れかの充電施設を選択する。そして、充電施設予約部56は、選択した充電施設5への到着予定時刻及び充電時間の情報を、到着予定時刻取得部61及び充電時間算出部53より取得するとともに、到着予定時刻に基づいて充電開始時刻を設定し、充電開始時刻から充電時間の経過後の時刻に基づいて充電終了時刻を設定する。なお、到着予定時刻に基づく充電開始時刻の設定としては、例えば、充電開始時刻を到着予定時刻と同時刻として設定したり、到着予定時刻から所定の時間(例えば、バッテリ10の充電を行うために必要となる手続きに要する時間等)が経過した後の時刻を充電開始時刻として設定することができる。また、充電開始時刻から充電時間の経過後の時刻に基づく充電終了時刻の設定としては、充電時間算出部53にて算出された充電時間に誤差が生じ得ることを考慮して、充電開始時刻から充電時間の経過後の時刻から所定の時間(例えば、充電時間の10%に相当する時間等)が経過後の時刻を、充電終了時刻として設定することができる。
【0075】
そして、充電施設予約部56は、上記のように設定した充電開始時刻から充電終了時刻までの間、充電施設5を利用できるか否かの判定を、予約状況取得部57が管理装置4から取得した当該充電施設5の予約状況に基づき行う。なお、予約状況取得部57は、管理装置4から充電施設5の予約状況を取得可能に構成されており、複数の充電施設5の予約状況を取得する予約状況取得手段として機能する。そして、充電開始時刻から充電終了時刻までの間、当該充電施設5を利用できる場合には、充電施設予約部56は、当該充電施設5の予約を行う。一方、充電開始時刻から充電終了時刻までの間、当該充電施設5を利用できない場合には、充電施設予約部56は、走行可能距離内に存在する別の充電施設5の選択を行い、再度上記の判定を行う。
【0076】
充電施設予約部56により充電施設5の予約が行われると、車載端末装置2を識別するための識別符号、充電施設5を特定する名称やID、及び当該予約に伴う利用時間帯(予約時間帯)などの情報が含まれるデータファイルが送受信部50を介して管理装置4へ送信され、管理装置4は当該利用時間帯を予約済みの時間帯として管理する。また、経路探索部70にて探索された当該充電施設5までの経路が、ナビゲーション装置3が備える表示入力装置71に表示される。
【0077】
上記のように、充電施設予約部56は、到着予定時刻と充電時間とに基づいて設定した充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができる充電施設5の中で、車両1の現在位置に最も近い位置に存在する充電施設5の予約を行う。また、充電施設予約部56は、充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができる充電施設5が存在しない場合は、車両1の現在位置に最も近い位置に存在する充電施設5の予約を行う。この際、充電施設予約部56は、管理装置4より当該充電施設5の予約状況を取得し、到着予定時刻取得部61にて取得される当該充電施設5への到着予定時刻以降の時間であって、充電時間算出部53により算出される充電時間分の時間を連続して確保できる時間帯の内、最も当該到着予定時刻に近い時間帯の予約を行う。
【0078】
3−9.メモリ
メモリ62には、複数の充電施設5の存在箇所に関する充電施設データ63が記憶されている。本実施形態においては、充電施設データ63が、本発明における充電施設情報に相当する。充電施設データ63には、各充電施設5の存在箇所を表す位置(座標)の情報の他、各充電施設5の充電能力、充電施設5の名称、充電施設ID等の情報が含まれている。なお、充電施設データ63に、充電施設5の住所、電話番号、営業時間等の各種の付帯的な情報が含まれる構成としても良い。また、充電施設5の存在箇所を表す座標が地図データのどの区画に含まれるかが容易に分かるように、各充電施設5と地図データベース68に格納されている地図データとの関連付け情報が充電施設データ63に含まれる構成としても良い。
そして、送受信部50を介して充電施設データ63の更新情報を管理装置4から受信した場合には、充電施設データ63の更新が行われるように構成されている。
【0079】
4.ナビゲーション装置の構成
次に、ナビゲーション装置3の構成について説明する。図2に示すナビゲーション装置3の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、ナビゲーション装置3は、現在位置取得部64、ナビゲーション用演算部69を機能部として備えている。そして、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、地図データベース68は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等の記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。
ナビゲーション装置3の各機能部は、車載端末装置2の各機能部と互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。そして、ナビゲーション装置3が備える各機能部は、必要に応じて、車載端末装置2の各機能部が必要とする情報を当該機能部に送信する。以下、本実施形態に係るナビゲーション装置3の各部の構成について詳細に説明する。
【0080】
4−1.地図データベース
地図データベース68は、後述するナビゲーション用演算部69による経路探索処理、地図表示処理、経路案内処理等の各種アプリケーション処理が実行される際に参照される地図データが格納されたデータベースである。ここで、地図データは、上記各種アプリケーション処理のそれぞれに適した、各処理毎の参照形式の地図データを有して構成される。この地図データは、対象地域を複数の区画に分割してなる複数の区画毎の地図データとなっている。更に、各地図データは、各区画内に存在する複数の交差点のそれぞれに対応する複数のノードと、各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータを含んでいる。また、地図データは、道路ネットワークデータの他に、ナビゲーション用演算部69による地図表示処理に必要な描画情報や経路案内処理に必要な各種の案内情報等を含んでいる。ここで、描画情報には、道路形状、建物、河川等を表示するために必要な背景情報、市町村名や道路名等を表示するために必要な文字情報等が含まれる。
【0081】
4−2.現在位置取得部
現在位置取得部64は、車両1の現在位置を取得する現在位置取得手段として機能する。ここでは、現在位置取得部64は、GPS受信機65、方位センサ66及び距離センサ67に接続されている。ここで、GPS受信機65は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、現在位置取得部64へ出力される。現在位置取得部64では、GPS受信機65で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、車両1の現在位置(座標)、進行方位、移動速度等の情報を取得することができる。方位センサ66は、車両1の進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ66は、例えば、ジャイロスコープや、地磁気センサ等により構成される。そして、方位センサ66は、その検出結果を現在位置取得部64へ出力する。距離センサ67は、車両1の車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ67は、例えば、車両1のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、車両1の加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ67は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を現在位置取得部64へ出力する。
【0082】
現在位置取得部64は、これらのGPS受信機65、方位センサ66及び距離センサ67からの出力に基づいて、公知の方法により車両1の現在位置を特定する演算を行う。また、現在位置取得部64は、地図データベース68に記憶された地図データに基づいて、公知のマップマッチング処理を行うことにより車両1の現在位置を地図データに示される道路上に合わせる補正も行う。この現在位置の補正結果は、現在位置取得部64により取得される現在位置に反映される。このようにして、現在位置取得部64は、車両1の現在位置(座標)、進行方位、移動速度等の情報を取得する。
【0083】
4−3.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部69は、ナビゲーション機能を実行するためのアプリケーションプログラムに従って動作する演算処理手段であり、経路探索部70、及び図示しない表示処理部、経路案内処理部、及び検索処理部を備えて構成されている。
【0084】
経路探索部70は、地図データベース68を参照することで得られる地図情報に基づき、例えば車両1の現在位置等の出発地から目的地までの経路探索処理を実行する機能部である。本実施形態においては、この経路探索部70が、地図情報に基づき現在位置から充電施設5までの経路を探索する経路探索手段として機能する。表示処理部は、表示入力装置71を用いて、地図表示、当該地図上への車両1の現在位置の表示、案内経路の表示など、ナビゲーション処理に関する各種情報の表示のための処理を行う。本実施形態においては、この表示入力装置71が、本発明における、予約した充電施設5までの経路を表示する表示装置に相当する。経路案内処理部は、経路探索部70により探索された目的地までの経路に従って、表示入力装置71による案内表示や音声出力部(図示せず)による音声案内等を用い、運転者に対して適切な進路を案内する処理を行う。検索処理部は、目的地検索等の地図上の地点検索に関する各種処理を行う。
【0085】
なお、ナビゲーション用演算部69は、この他にも、リモートコントローラや表示入力装置71と一体的に設けられたタッチパネルなどのユーザインタフェース等、ナビゲーション装置3として必要な公知の各種構成に接続されている。
【0086】
5.管理装置の構成
次に、管理装置4の構成について説明する。図1及び図3に示すように、管理装置4は、インターネット等の通信網6を介して複数の充電施設5と通信可能に構成されているとともに、複数の車両1に備えられた車載端末装置2とも通信可能に構成されている。なお、管理装置4と各充電施設5とが、電話やFax等を用いて直接通信を行う構成としても良い。
【0087】
図3に示す管理装置4の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、管理装置4は、送受信部80、予約状況収集部81、及び予約状況管理部82を機能部として備えている。そして、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。以下、本実施形態に係る管理装置4の各部の構成について詳細に説明する。
【0088】
5−1.送受信部
送受信部80は、無線基地局等を介して車両1に備えられた車載端末装置2との間で無線通信によりデータの送受信を行う通信装置を備えている。この無線通信方式には、車載端末装置2の送受信部50と共通のものが使用される。本実施形態においては、車載端末装置2により充電施設5の予約が行われる際には、管理装置4は、車載端末装置2が送信した車載端末装置2を識別するための識別符号、充電施設5を特定する名称やID、及び当該予約に伴う利用時間帯(予約時間帯)などの情報が含まれるデータファイルを、送受信部80を介して受信する。また、車載端末装置2の予約状況取得部57からの要求があった際には、予約状況取得部57が必要とする充電施設5の予約状況の情報が含まれるデータファイルが、送受信部80を介して予約状況取得部57へ送信される。この際、充電施設5の予約状況は、後述する予約状況管理部82から取得される。さらに、充電施設5の存在箇所や充電能力などが変更された場合には、車載端末装置2のメモリ62に記憶された充電施設データ63を更新するための更新情報が、送受信部80を介して車載端末装置2へ送信される。
【0089】
5−2.予約状況収集部
予約状況収集部81は、複数の充電施設5から当該充電施設5の予約状況を収集する予約状況収集手段として機能する。本実施形態においては、充電施設5は予約状況を自身で管理しており、予約状況が更新される度に、最新の予約状況を表すデータファイルが、充電施設5から通信網6を介して予約状況収集部81に送信されるように構成されている。そして、予約状況収集部81は、各充電施設5から受信した予約状況を、後述する予約状況管理部82へ出力する。
【0090】
5−3.予約状況管理部
予約状況管理部82は、予約状況に基づき各充電施設5の予約済みの時間帯を管理する予約状況管理手段として機能する。上述したように、各充電施設5の予約状況は、予約状況収集部81より予約状況管理部82へ入力される。そして、予約状況管理部82は、各充電施設5の予約済みの時間帯を、例えば、図4に示すような予約状況マップを用いて管理している。図4において、白抜きの時間帯は当該充電施設5の営業時間帯を表し、斜線で示した時間帯は当該充電施設5が営業していない時間帯を表し、矢印で示した時間帯は当該充電施設5の予約済みの時間帯を表している。そして、予約状況管理部82は、車載端末装置2の予約状況取得部57が必要とする充電施設5の予約状況の情報が含まれるデータファイルを、送受信部80を介して車載端末装置2へ送信する。ここで、予約状況の情報が含まれるデータファイルは、例えば、既に予約されている時間帯の情報や、予約可能な時間帯の情報が含まれるデータファイルとすることができる。
【0091】
6.動作処理の手順
次に、本実施形態に係る充電施設予約システム7において実行される充電施設予約処理の手順について、フローチャートに基づいて説明する。図5は、本実施形態に係る充電施設予約処理の全体の手順を示すフローチャートである。また、図6は、図5のステップ#07の充電施設の利用可否の判定の手順を示すフローチャートである。以下に説明する充電施設予約処理の手順は、上記の充電施設予約システム7の各機能部を構成するハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実行される。上記の各機能部がプログラムにより構成される場合には、充電施設予約システム7が有する演算処理装置が、上記の各機能部を構成するプログラムを実行するコンピュータとして動作する。
【0092】
6−1.充電施設予約処理の全体の手順
まず、充電施設予約処理の全体の手順について説明する。図5に示すように、現在蓄電量取得部51は、所定の間隔で、バッテリ10の現在蓄電量を取得する(ステップ#01)。そして、充電必要性判定部52が、現在蓄電量が所定の閾値以下であるか否かの判定を行い(ステップ#02)、現在蓄電量が所定の閾値より大きい場合には(ステップ#02:No)、処理はステップ#01に戻される。一方、現在蓄電量が所定の閾値以下である場合には(ステップ#02:Yes)、現在位置取得部64が、車両1の現在位置を取得し(ステップ#03)、充電施設検索部60が、充電施設データ63及び地図データベース68を参照して走行可能距離内にある充電施設5を検索する(ステップ#04)。そして、走行可能距離内に充電施設5が存在しない場合は(ステップ#05:No)、処理は終了する。
【0093】
走行可能距離内に充電施設5が存在する場合は(ステップ#05:Yes)、充電施設予約部56は、現在位置に最も近い充電施設5を選択し(ステップ#06)、当該充電施設5の利用可否の判定を行う(ステップ#07)。この充電施設5の利用可否の判定については、後に図6のフローチャートに基づいて詳細に説明する。そして、利用可能フラグが1である場合には(ステップ#08:Yes)、充電施設予約部56は、選択した当該充電施設5の予約を行い(ステップ#09)、処理は終了する。なお、利用可能フラグは、充電施設5において所定の時間帯にバッテリ10の充電が可能であるか否かを表すフラグであり、充電が可能である場合には「1」が、充電が可能でない場合には「0」が設定される。
【0094】
一方、利用可能フラグが1でない場合には(ステップ#08:No)、充電施設予約部56は、次に近い充電施設5があるか否かの判定を行う(ステップ#10)。そして、次に近い充電施設5がある場合には(ステップ#10:Yes)、充電施設予約部56は、当該充電施設5を選択し(ステップ#11)、当該充電施設5の利用可否の判定を行う(ステップ#07)。ステップ#10の判定において次に近い充電施設がないと判定された場合には(ステップ#10:No)、充電施設予約部56は、現在位置に最も近い充電施設5の予約を行う(ステップ#12)。
【0095】
6−2.充電施設の利用可否の判定の手順
次に、図5のステップ#07における充電施設の利用可否の判定の手順について説明する。図6に示すように、まず、ナビゲーション用演算部69が備える経路探索部70は、充電施設予約部56により選択された充電施設5までの経路を、地図データベース68を参照して探索する(ステップ#21)。次に、到着予定時刻取得部61は、当該充電施設5への到着予定時刻を取得する(ステップ#22)。そして、必要電力量算出部54が必要電力量を算出するとともに(ステップ#23)、その必要電力量に基づいて到着時蓄電量算出部55が到着時蓄電量を算出し(ステップ#24)、充電時間算出部53が、到着時蓄電量に基づいて充電時間を算出する(ステップ#25)。
【0096】
充電施設予約部56は、到着予定時刻に基づき充電開始時刻を設定するとともに、充電開始時刻から充電時間の経過後の時刻に基づき充電終了時刻を設定する(ステップ#26)。そして、充電施設予約部56が備える予約状況取得部57は、当該充電施設5の予約状況を管理装置4より取得し(ステップ#27)、充電施設予約部56は、当該充電施設5において充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができるか否かの判定を行う(ステップ#28)。そして、当該充電施設5において充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができると判定された場合には(ステップ#28:Yes)、利用可能フラグを1にし(ステップ#29)、充電施設の利用可否の判定処理は終了する。一方、当該充電施設5において充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができないと判定された場合には(ステップ#28:No)、利用可能フラグを0にし(ステップ#30)、充電施設の利用可否の判定処理は終了する。
【0097】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、充電施設予約部56は、到着予定時刻と充電時間とに基づいて設定した充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができる充電施設5の中で、車両1の現在位置に最も近い位置に存在する充電施設5の予約を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、充電施設予約部56は、到着予定時刻と充電時間とに基づいて設定した充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができる充電施設5の中で、充電施設5の利用料金が最も安くなる充電施設5の予約を行ったり、充電終了時刻が最も早くなる充電施設5の予約を行う構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0098】
(2)上記の実施形態では、充電施設予約部56は、充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができる充電施設5が存在しない場合は、車両1の現在位置に最も近い位置に存在する充電施設5の予約を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、充電施設予約部56は、充電開始時刻から充電終了時刻までの間、バッテリ10を充電することができる充電施設5が存在しない場合には、待ち時間が最も短くなる充電施設5の予約を行う構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、最も多くの充電が可能な充電施設5の予約を行う構成としても好適である。
【0099】
(3)上記の実施形態では、複数の充電施設5の存在箇所に関する充電施設情報、及び地図情報が参照可能に備えられ、車両1の走行可能距離内に存在する充電施設5の検索結果と、充電施設5の予約状況とに基づき、予約を行う充電施設5が選択される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、運転者の自宅周辺にある充電施設5等、特定の充電施設5を予め利用する充電施設5として定めておき、常に当該充電施設5の予約を行う構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0100】
(4)上記の実施形態では、必要電力量算出部54が、充電施設5までの経路と電力消費率とに基づき必要電力量を算出する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、必要電力量算出部54が、充電施設5までの経路ではなく、車両1の現在位置から充電施設5までの直線距離や、当該直線距離と電力消費率とに基づいて、必要電力量を算出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0101】
(5)上記の実施形態では、充電必要性判定部52が、現在蓄電量が所定の閾値以下である場合に、バッテリ10を充電する必要があると判定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、車載端末装置2が充電必要性判定部52を備えず、車両1の運転者が、バッテリ10の現在蓄電量が認識可能な状態で表示されるメータ等を見て、充電の必要性を判定する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0102】
(6)上記の実施形態では、充電時間算出部53は、充電施設5の充電能力にも基づいて充電時間を算出する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、充電時間算出部53は、個々の充電施設5の充電能力を考慮せず、平均的な充電施設5の充電能力等の一定の充電能力値を用いて充電時間を算出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0103】
(7)上記の実施形態では、充電施設検索部60は、走行可能距離内に存在する充電施設5を検索するに際し、ナビゲーション装置3が備えるナビゲーション用演算部69の経路探索部70が探索した充電施設までの経路に沿って車両1が走行した場合における走行距離に基づいて、それぞれの充電施設5が走行可能距離内にあるか否かを判定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、充電施設検索部60は、走行可能距離内に存在する充電施設5を検索するに際し、個々の充電施設5までの経路を探索せず、車両1の現在位置を中心とする半径が走行可能距離である円の内部に存在する充電施設5を、走行可能距離内にある充電施設5として抽出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0104】
(8)上記の実施形態においては、予約した充電施設5までの経路を表示する表示入力装置71が車両1に備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、予約した充電施設5までの経路を表示する表示入力装置71が車両1に備えられていない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0105】
(9)上記の実施形態においては、管理装置4が複数の充電施設5の予約済みの時間帯を管理し、車載端末装置2は管理装置4と通信を行うことで、充電施設5の予約状況を取得したり、充電施設5の予約を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、車載端末装置2は個々の充電施設5と直接通信を行うことで、充電施設5の予約状況を取得したり、充電施設5の予約を行う構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0106】
(10)上記の実施形態においては、車両1が回転電機12を1つ備える電気自動車である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、車両1が回転電機を2つ備える構成とすることや、車両1が駆動力源として回転電機とエンジンの双方を備えるプラグインハイブリッド車である構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0107】
(11)上記の実施形態においては、車載端末装置2とナビゲーション装置3とが、互いに通信を行うことが可能な別の装置として構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、車載端末装置2とナビゲーション装置3とが一体的に車載端末装置2として構成されている構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0108】
(12)上記の実施形態において説明した、車載端末装置2、ナビゲーション装置3、及び管理装置4がそれぞれ備える機能部の割り当ては単なる一例である。したがって、例えば現在蓄電量取得部51、現在位置取得部64等のように、車両1側に備える必要がある機能部を除き、充電施設予約システム7の主要な構成の全てが管理装置4に備えられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。ここで、充電施設予約システム7の主要な構成には、到着予定時刻取得部61、必要電力量算出部54、到着時蓄電量算出部55、充電時間算出部53等が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、回転電機を駆動力源として備えた車両の蓄電装置を充電するための充電施設の予約を行う充電施設予約システム及び充電施設予約プログラムに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
1:車両
2:車載端末装置(車載端末装置)
4:管理装置
5:充電施設
7:充電施設予約システム
10:バッテリ(蓄電装置)
12:回転電機
51:現在蓄電量取得部(現在蓄電量取得手段)
52:充電必要性判定部(充電必要性判定手段)
53:充電時間算出部(充電時間算出手段)
54:必要電力量算出部(必要電力量算出手段)
55:到着時蓄電量算出部(到着時蓄電量算出手段)
56:充電施設予約部(充電施設予約手段)
57:予約状況取得部(予約状況取得手段)
58:電力消費率取得部(電力消費率取得手段)
59:走行可能距離算出部(走行可能距離算出手段)
60:充電施設検索部(充電施設検索手段)
61:到着予定時刻取得部(到着予定時刻取得手段)
63:充電施設データ(充電施設情報)
64:現在位置取得部(現在位置取得手段)
70:経路探索部(経路探索手段)
71:表示入力装置(表示装置)
81:予約状況収集部(予約状況収集手段)
82:予約状況管理部(予約状況管理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機を駆動力源として備えた車両の蓄電装置を充電するための充電施設の予約を行う充電施設予約システムであって、
前記車両の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記充電施設への到着予定時刻を取得する到着予定時刻取得手段と、
前記蓄電装置の現在蓄電量を取得する現在蓄電量取得手段と、
前記現在位置から前記充電施設に到達するまでに必要な電力量である必要電力量を算出する必要電力量算出手段と、
前記現在蓄電量から前記必要電力量を減算して前記充電施設に到着したときの蓄電量である到着時蓄電量を算出する到着時蓄電量算出手段と、
前記到着時蓄電量に基づいて充電時間を算出する充電時間算出手段と、
前記到着予定時刻と前記充電時間とに基づいて前記充電施設の予約を行う充電施設予約手段と、
を備えた充電施設予約システム。
【請求項2】
前記充電時間算出手段は、前記蓄電装置の所定の充電終了時の蓄電量である充電終了時蓄電量から前記到着時蓄電量を減算して充電容量を算出し、当該充電容量に基づいて前記充電時間を算出する請求項1に記載の充電施設予約システム。
【請求項3】
前記充電時間算出手段は、更に前記充電施設の充電能力にも基づいて前記充電時間を算出する請求項1又は2に記載の充電施設予約システム。
【請求項4】
前記充電施設予約手段は、前記到着予定時刻に基づいて充電開始時刻を設定し、前記充電開始時刻から前記充電時間の経過後の時刻に基づいて充電終了時刻を設定し、前記充電開始時刻から前記充電終了時刻までの間の前記充電施設の予約を行う請求項1から3の何れか一項に記載の充電施設予約システム。
【請求項5】
前記蓄電装置を充電する必要性を判定する充電必要性判定手段を更に備え、
前記充電必要性判定手段は、前記現在蓄電量が所定の閾値以下である場合に、前記蓄電装置を充電する必要があると判定する請求項1から4の何れか一項に記載の充電施設予約システム。
【請求項6】
地図情報に基づき前記現在位置から前記充電施設までの経路を探索する経路探索手段と、
前記回転電機の駆動力により前記車両が走行する際における単位電力量当たりの平均走行距離を電力消費率として取得する電力消費率取得手段と、をさらに備え、
前記必要電力量算出手段は、前記経路と前記電力消費率とに基づいて前記必要電力量を算出する請求項1から5の何れか一項に記載の充電施設予約システム。
【請求項7】
複数の充電施設の存在箇所に関する充電施設情報、及び前記地図情報を参照可能に備えるとともに、
前記複数の充電施設の予約状況を取得する予約状況取得手段と、
前記現在蓄電量と前記電力消費率とに基づいて前記車両が前記回転電機の駆動力により走行した場合の走行可能距離を算出する走行可能距離算出手段と、
前記充電施設情報及び前記地図情報を参照して前記走行可能距離内に存在する充電施設を検索する充電施設検索手段と、を更に備え、
前記充電施設予約手段は、前記充電施設検索手段により検索された前記充電施設の中から、前記現在位置からの距離及び前記予約状況に基づいて一つの充電施設を選択し、当該充電施設の予約を行う請求項6に記載の充電施設予約システム。
【請求項8】
前記充電施設予約手段は、前記到着予定時刻と前記充電時間とに基づいて設定した充電開始時刻から充電終了時刻までの間、前記蓄電装置を充電することができる充電施設の中で、前記現在位置に最も近い位置に存在する充電施設を選択する請求項7に記載の充電施設予約システム。
【請求項9】
前記充電施設予約手段は、前記充電開始時刻から前記充電終了時刻までの間、前記蓄電装置を充電することができる充電施設が存在しない場合は、前記現在位置に最も近い位置に存在する充電施設の予約を行う請求項8に記載の充電施設予約システム。
【請求項10】
車両に搭載された車載端末装置と、前記車載端末装置及び複数の前記充電施設と通信可能に設けられた管理装置と、を有して構成され、
前記管理装置は、複数の前記充電施設から当該充電施設の予約状況を収集する予約状況収集手段と、当該予約状況に基づき各充電施設の予約済みの時間帯を管理する予約状況管理手段と、を備える請求項7から9の何れか一項に記載の充電施設予約システム。
【請求項11】
予約した充電施設までの経路を表示する表示装置を車両に搭載してなる請求項1から10の何れか一項に記載の充電施設予約システム。
【請求項12】
回転電機を駆動力源として備えた車両の蓄電装置を充電するための充電施設の予約を行う充電施設予約プログラムであって、
前記車両の現在位置を取得する現在位置取得機能と、
前記充電施設への到着予定時刻を取得する到着予定時刻取得機能と、
前記蓄電装置の現在蓄電量を取得する現在蓄電量取得機能と、
前記現在位置から前記充電施設に到達するまでに必要な電力量である必要電力量を算出する必要電力量算出機能と、
前記現在蓄電量から前記必要電力量を減算して前記充電施設に到着したときの蓄電量である到着時蓄電量を算出する到着時蓄電量算出機能と、
前記到着時蓄電量に基づいて充電時間を算出する充電時間算出機能と、
前記到着予定時刻と前記充電時間とに基づいて前記充電施設の予約を行う充電施設予約機能と、
をコンピュータに実現させるための充電施設予約プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−230499(P2010−230499A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78632(P2009−78632)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(591206887)株式会社テクノバ (20)
【Fターム(参考)】