説明

光波干渉測定装置

【課題】アライメント調整を容易に行うことができるとともに、ノイズ光の発生を抑制しつつ被検光の光量を十分に確保して被測定放物面の形状を高精度に測定し得る光波干渉測定装置を得る。
【解決手段】参照基準板2と被測定放物面41との間の光路上に球面波生成手段3を配置する。この球面波生成手段3は、被測定放物面41の焦点位置に配置されるピンホールミラー31を備えており、該ピンホールミラー31は、被測定放物面41に照射された照明用平行光束のうち該被測定放物面41で反射され、その焦点位置に集光する光束の一部を、波面整形された球面波に変換して反射し被測定放物面41に向けて出力するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放物面鏡等の被測定放物面の形状を測定する光波干渉測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放物面鏡の形状を測定する干渉計として、放物面鏡の焦点位置に、波面整形された理想的な球面波を生成するためにピンホールを配置するものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この干渉計では、ピンホールを透過して理想的な球面波に変換された光束を放物面鏡に入射せしめ、該放物面鏡から平行光として反射された被検光を参照光と干渉させることにより、放物面鏡の形状情報を担持した干渉縞を取得し、この干渉縞に基づき放物面鏡の形状を測定するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−280951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された干渉計では、放物面鏡と干渉計の各光軸を一致させつつ、放物面鏡の焦点位置にピンホールを正確に設置するためのアライメント調整が難しく、測定に多大な時間を要するという問題がある。特に、放物面鏡の焦点位置とピンホールとの位置ずれを把握することが困難であり、この位置ずれが原因で測定誤差が生じる虞もある。
【0006】
また、アライメント調整を高精度になし得た場合でも、次のような問題がある。すなわち、上記特許文献1に記載された干渉計では、ピンホールが設けられた透明平板に平行光束を照射し、この平行光束のうちピンホールに入射した光束のみが球面波に変換されて放物面鏡に照射され、その反射光束が被検光とされるようになっている。一方、透明平板に照射された平行光束のうち、ピンホールに入射しなかった大部分の光束は、平行光束として放物面鏡に入射し、その反射光束はピンホール位置に集光するようになっている。このピンホール位置に集光する光束はノイズ光となるものであるが、被検光に比較すると光量が遥かに多くなるので、測定精度に悪影響を与える可能性が高い。
【0007】
被検光の光量増大およびノイズ光の減少を図るために、収束レンズを用いてピンホールに照明光束を集光させることも考えられるが、このような態様を採る場合には、光学系の構成が複雑になるとともに、収束レンズの集光性能の優劣が測定精度に大きな影響を与えるという問題が生じる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、アライメント調整を容易に行うことができるとともに、ノイズ光の発生を抑制しつつ被検光の光量を十分に確保して放物面鏡等の被測定放物面の形状を高精度に測定し得る光波干渉測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光波干渉測定装置は、被測定放物面の形状を測定するものであって、
光源部からの出力光を平面波からなる照明用平行光束に変換するとともに、該照明用平行光束を前記被測定放物面の光軸に沿って該被測定放物面に照射する照射部と、
前記照明用平行光束の一部を分離して参照光を生成する参照光生成部と、
前記被測定放物面の焦点位置に該被測定放物面と対向するように配置されており、前記被測定放物面に照射された前記照明用平行光束のうち該被測定放物面で反射され前記焦点位置に集光する光束の少なくとも一部を、波面整形された球面波に変換して前記被測定放物面に向けて反射する反射回折部と、
該反射回折部を前記照明用平行光束の光路上に保持する保持部と、
前記反射回折部から前記被測定放物面に至る前記球面波が該被測定放物面において反射されてなる被検光を、前記参照光と干渉させる光波干渉部と、
前記被検光と前記参照光との干渉により得られる干渉縞画像を撮像する干渉縞撮像部と、を備えてなることを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記光源部は、波長帯域が互いに異なるアライメント用光束および測定用光束を、同一の光路上に択一的に出力する出力光束切換手段を有しており、
前記保持部は、前記反射回折部が着設される平面部を有してなり、
該平面部は、前記アライメント用光束に対しては、前記照射部側からの入射光束と前記被測定放物面側からの入射光束との両光束についてその透過および反射を共に許容し、かつ前記測定用光束に対しては、前記照射部側からの入射光束と前記被測定放物面側からの入射光束との両光束についてその透過を許容しつつ反射を抑制する波長選択手段を備えてなる、とすることができる。
【0011】
また、その場合、前記アライメント用光束からなる前記照明用平行光束が前記照射部から前記被測定放物面に照射された場合に、該被測定放物面で反射されて前記反射回折部および/または前記平面部に入射し、該反射回折部および/または該平面部で反射されて前記被測定放物面に再度入射し、さらに該被測定放物面で反射されて前記照射部に戻る光束により形成されるアライメント用の像を撮像するアライメント用撮像部と、
撮像された前記アライメント用の像に基づき、前記被測定放物面および前記反射回折部の相対的なアライメント調整を行うアライメント調整部と、を備えることが好ましい。
【0012】
なお、上記「反射回折部」とは、該反射回折部に集光(収束)する収束光束の回折限界により大きさが決められ(望ましくは回折限界よりも小さく構成され)、該収束光束の少なくとも一部を波面整形された球面波として反射する機能を有するものをいう。このような反射回折部は、反射型ピンホール、ピンホールミラー等と称されることもあり、具体的態様としては、基板上に微小な反射領域を形成したものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光波干渉測定装置では、被測定放物面の焦点位置に被測定放物面と対向する反射回折部を配置し、被測定放物面に照射された照明用平行光束のうち該被測定放物面で反射され焦点位置に集光する光束の一部を、反射回折部において、波面整形された理想的な球面波に変換するようにしており、これにより、以下のような効果を奏する。
【0014】
すなわち、反射回折部は、入射された光束を波面整形された理想的な球面波に変換する点においては、従来のピンホールと同様の機能を果たすものであるが(以下、従来のピンホールを「透過型ピンホール」と称す)、透過型ピンホールとは異なり、被測定放物面の焦点位置から多少ずれた位置に配置された場合でも、被測定放物面側からの入射光束に対して反射光を生ぜしめるものであるから、この反射光に基づき、アライメント調整を容易かつ高精度に行うことが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る光波干渉測定装置では、被測定放物面に照射される照明用平行光束が反射回折部に集光し、該反射回折部において理想的な球面波に変換された後、さらに被測定放物面において反射されて被検光とされるので、透過型ピンホールを用いた従来技術に比較して、ノイズ光の発生を抑制し得るとともに被検光の光量を十分に確保することが可能となり、これにより、被測定放物面の形状測定を高精度に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る光波干渉測定装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る光波干渉測定装置の概略構成図である。
【0017】
図1に示す光波干渉測定装置は、5軸調整ステージ73上に載置保持された被検体4が有する被測定放物面41の形状を測定するものであり、照射部1、参照基準板2、球面波生成手段3、撮像部5、および画像解析制御部6を備えてなる。
【0018】
上記照射部1は、光源部10からの出力光を照明用平行光束に変換するとともに、該照明用平行光束を上記被測定放物面41の光軸(図中1点鎖線で示す)に沿って該被測定放物面41に照射するものであり、コリメータレンズ12、ビーム径拡大用の収束レンズ13、ビームスプリッタ14、およびコリメータレンズ15を備えてなる。
【0019】
上記光源部10は、測定用光束を出力する第1光源10Aと、該測定用光束とは波長帯域が異なるアライメント用光束を出力する第2光源10Bと、出力光束切換手段としての全反射ミラー11(反射面は図中の上側)とを有してなり、測定用光束およびアライメント用光束を同一の光路上に択一的に出力し得るようになっている。すなわち、全反射ミラー11は、測定用光束の光路外に位置する退避位置(図中、実線で示す)と、光路上に位置する配設位置(図中、2点鎖線で示す)との間を、図示せぬ移動機構によって移動可能に保持されており、測定用光束が出力される場合には障害とならないように上記退避位置に移動し、アライメント用光束が出力される場合には上記配設位置に移動して、該アライメント用光束を図中右方へ向けて反射するように構成されている。
【0020】
上記参照基準板2は、上記照射部1(コリメータレンズ15)から出力された照明用平行光束の光路上に配置されており、該照明用平行光束の一部を透過するとともにその余を参照光として反射する、参照光生成部としての参照基準面2aを有してなる。また、参照基準板2には、フリンジスキャンアダプタ71が設けられており、例えば、位相シフト法を用いたサブフリンジ計測等が行われる場合などに、該フリンジスキャンアダプタ71により光軸方向(図中左右方向)に微動せしめられるように構成されている。
【0021】
上記球面波生成手段3は、被測定放物面41の焦点位置に該被測定放物面41と対向するように配置される、反射回折部としてのピンホールミラー31と、該ピンホールミラー31を保持する、保持部としての平行平板32とを備えてなる。
【0022】
この平行平板32は、被測定放物面41と対向する第1平面32aと、参照基準面2aと対向する第2平面32bとを備えており、5軸調整ステージ上に載置保持されている。上記第1平面32aは、ピンホールミラー31が着設される平面部を構成するものであり、該第1平面32aには、上記アライメント用光束に対しては、照射部1側からの入射光束と被測定放物面41側からの入射光束との両光束についてその透過および反射を共に許容し(ハーフミラーとして機能し)、かつ上記測定用光束に対しては、照射部1側からの入射光束と被測定放物面41側からの入射光束との両光束についてその透過を許容しつつ反射を抑制する、波長選択手段としての波長選択膜が着設されている。一方、上記第2平面32bには、上記アライメント用光束および上記測定用光束に対し、照射部1側からの入射光束と被測定放物面41側からの入射光束との両光束についてその透過を許容しつつ反射を抑制する波長選択膜(反射防止膜)が着設されている。
【0023】
また、上記ピンホールミラー31は、平行平板32の第1面32aに蒸着等により形成された、金、アルミニューム、クロム等の金属膜からなり、その大きさは、上記被測定放物面41より収束光束として入射する光束の回折限界よりも小さく構成されている。そして、被測定放物面41に照射された照明用平行光束のうち該被測定放物面41で反射され、その焦点位置に集光する光束の一部を、波面整形された球面波に変換して反射し被測定放物面41に向けて出力するように構成されている。
【0024】
上記測定用光束が照射部1から出力された場合、ピンホールミラー31から被測定放物面41に向けて出力された上記球面波は、被測定放物面41において該被測定放物面41の形状情報を担持した、略平行光からなる被検光として反射され、該被検光は、球面波生成手段3を介して参照基準板2に入射し、参照基準面2aにおいて上記参照光と合波される。すなわち、参照基準面2aは、本実施形態において光波干渉部としても機能するようになっている。
【0025】
上記撮像部5は、コリメータレンズ51、ビームスプリッタ52、干渉縞撮像部5A、およびアライメント用撮像部5Bを備えてなる。上記干渉縞撮像部5Aは、上記被検光と上記参照光との干渉により得られる干渉縞画像を撮像するものであり、結像レンズ53と、CCDやCMOS等の撮像素子55を有してなる撮像カメラ54とからなる。一方、上記アライメント用撮像部5Bは、上記アライメント用光束からなる照明用平行光束が照射部1から被測定放物面41に照射された場合に、該被測定放物面41で反射されてピンホールミラー31および/または平行平板32の第1面32aに入射し、該ピンホールミラー31および/または該第1面32aで反射されて被測定放物面41に再度入射し、さらに該被測定放物面41で反射されて照射部1に戻る光束により形成されるアライメント用の像を撮像するものであり、結像レンズ56と、CCDやCMOS等の撮像素子58を有してなる撮像カメラ57とからなる。
【0026】
上記画像解析制御部6は、撮像カメラ54,57からの画像信号に基づき各種解析を行うコンピュータ61と、該コンピュータ61による解析結果や画像を表示する表示装置62と、キーボードやマウス等からなる入力装置63とからなり、撮像カメラ54により撮像された干渉縞画像に基づき、被測定放物面41の形状を測定解析するように構成されている。また、この画像解析制御部6は、撮像カメラ57により撮像されたアライメント用の像に基づき、球面波生成手段3および被検体4がそれぞれ載置保持された各5軸調整ステージ72,73の駆動を制御して、上記被測定放物面41および上記ピンホールミラー31の相対的なアライメント調整を行うアライメント調整部としても機能するようになっている。
【0027】
以下、本実施形態に係る光波干渉測定装置の作用について説明する。
【0028】
測定に先立って、被測定放物面41およびピンホールミラー31の相対的なアライメント調整を行う。このアライメント調整では、全反射ミラー11を上記配設位置に移動させるとともに、第2光源10Bから出力されたアライメント用光束を用いる。なお、アライメント調整を行う間、参照基準板2を光路外に移動させてもよい。
【0029】
まず、5軸調整ステージ73を用いて被測定放物面41の光軸の傾きが照射部1の光軸の傾きと一致するように調整する。この光軸傾き調整は、例えば、被検体4が有する平面反射部42(被測定放物面41の光軸と垂直に形成されている)を利用して、以下のように行うことが可能である。すなわち、まず、被検体4の平面反射部42に照明用平行光束を照射し、その反射光により形成される像(スポット像)をアライメント用撮像部5Bにおいて撮像する。次に、このスポット像の画像平面上(撮像カメラ57の撮像素子58上)での位置を上記コンピュータ61により解析し、このスポット像が画像平面上の所定位置(光軸に対して平行な光束によるスポット像が形成される位置;予め求めておく)に移動するように、5軸調整ステージ73を用いて被検体4の傾きを調整し、被測定放物面41の光軸の傾きを照射部1の光軸の傾きと一致させる。なお、この光軸傾き調整を行う間、球面波生成手段3を光路外に移動させてもよい。
【0030】
次いで、5軸調整ステージ72を用いて球面波生成手段3の傾き調整を行う(先に、球面波生成手段3を光路外に移動させた場合は、これを光路上に設置する)。この傾き調整は、平行平板32に照明用平行光束を照射し、第1平面32aからの反射光により形成されるスポット像の座標位置情報に基づいて、上記光軸傾き調整と同様に行うことが可能である。なお、この傾き調整を行う際、球面波生成手段3と被検体4との間に遮光板(図示略)を配置して、被検体4側からの反射光が生じないようにしてもよい。
【0031】
次に、5軸調整ステージ72,73を用いて(どちらか一方のみを用いて行うことも可能)球面波生成手段3のピンホールミラー31が、被測定放物面41の焦点位置に位置するように、ピンホールミラー31と被測定放物面41との相対的な位置調整を行う。この位置調整は、例えば、アライメント用撮像部5Bにより撮像された画像情報に基づき、以下のように行うことが可能である(先に、球面波生成手段3と被検体4との間に遮光板を配置した場合は、これを光路外に移動させる)。
【0032】
すなわち、被測定放物面41の焦点位置にピンホールミラー31が位置している場合には、球面波生成手段3に照射された照明用平行光束の一部は、上記平行平板32を透過して被測定放物面41に照射され、該被測定放物面41において反射されて焦点位置のピンホールミラー31に集光する。そして、その一部がピンホールミラー31により理想的な球面波に変換されて被測定放物面41に向けて再び照射される。被測定放物面41に照射された光束は、該被測定放物面41において略平行光として反射され、その一部は上記平行平板32を透過し、ビームスプリッタ14を介して上記アライメント用撮像部5Bに入射し、画像平面上の上記所定位置にスポット像を形成することとなる。
【0033】
一方、被測定放物面41の焦点位置とピンホールミラー31の配設位置とが互いにずれている場合には、球面波生成手段3を介して被測定放物面41に照射され反射された照明用平行光束は、ピンホールミラー31には照射されないか、限られた一部のみが照射されるに留まり、大部分は平行平板32に照射されることとなる。ピンホールミラー31に照射された光束および平行平板32に照射された光束の一部は、それぞれ反射されて被測定放物面41に照射され、該被測定放物面41において反射されるが、その反射光は平行光とはならない。このため、被測定放物面41において反射された後、上記平行平板32を透過し、ビームスプリッタ14を介して上記アライメント用撮像部5Bに入射して、画像平面上に形成される像は、スポット像とはならずぼやけた像となる。また、被測定放物面41から平行平板32に照射された光束の他の一部は、平行平板32を透過するが、やはり平行光とはならないので、該透過光により画像平面上に形成されるアライメント用の像は、スポット像とはならずぼやけた像となる。
【0034】
この、画像平面上に形成されるアライメント用の像の状態(形状や光量分布等)を画像解析制御部6のコンピュータ61により解析し、画像平面上の上記所定位置にスポット像が形成されるように、5軸調整ステージ72,73を用いてピンホールミラー31と被測定放物面41との相対的な位置調整を行うことにより、被測定放物面41の焦点位置にピンホールミラー31を位置せしめることが可能となる。
【0035】
この位置調整により、被測定放物面41とピンホールミラー31と間のアライメント調整が完了し、測定を行うことが可能となる(先に、参照基準板2を光路外に移動させた場合は、これを光路上に設置する)。測定を行う場合には、全反射ミラー11を上記退避位置に移動させとともに、第1光源10Aから出力された測定用光束を用いる。
【0036】
第1光源10Aから出力された測定用光束は、照射部1において照明用平行光束に変換され、参照基準板2に照射される。参照基準板2に照射された照明用平行光束の一部は、参照基準面2aにおいて参照光として反射され、その余は透過して球面波生成手段3に照射され、さらに平行平板32を透過して被測定放物面41に照射される。被測定放物面41に照射された照明用平行光束は反射され、焦点位置に位置するピンホールミラー31に集光し、その一部が理想的な球面波として反射されて被測定放物面41に照射される。
【0037】
被測定放物面41に照射された球面波は、被測定放物面41において該被測定放物面41の形状情報を担持した、略平行光からなる被検光として反射され、該被検光は、球面波生成手段3を介して参照基準板2に入射し、参照基準面2aにおいて上記参照光と合波され、これにより干渉光が得られる。得られた干渉光は、コリメータレンズ15、ビームスプリッタ14を介して撮像部5に入射される。
【0038】
この干渉光を干渉縞撮像部5Aにおいて取込み、その干渉縞画像を撮像カメラ54によって撮像する。さらに、この干渉縞画像を画像解析制御部6において解析することにより、被測定放物面41の形状情報を求めることが可能となる。
【0039】
このように本実施形態の光波干渉測定装置によれば、被測定放物面41に球面波を照射する手段としてピンホールミラー31を用いているので、透過型ピンホールを用いる従来技術とは異なり、以下のような効果を奏する。すなわち、ピンホールミラー31は、被測定放物面41の焦点位置から多少ずれた位置に配置された場合でも、被測定放物面41側からの入射光束に対して反射光を生ぜしめるものであるから、このピンホールミラー31からの反射光に基づき、アライメント調整を容易かつ高精度に行うことが可能である。特に、アライメント調整時には、測定用光束とは波長帯域が異なるアライメント用光束を用いるとともに、ピンホールミラー31が着設される、平行平板32の第1平面32aを、このアライメント用光束に対してハーフミラーとして機能するようにしているので、ピンホールミラー31の配設位置が光軸と垂直な方向に大きくずれてしまって、被測定放物面41側からの入射光束がピンホールミラー31に全く照射されないような場合でも、被測定放物面41側からの入射光束に対して第1平面32aから反射光が生じることから、この第1平面32aからの反射光により得られる画像情報に基づき、アライメント調整をより容易に行うことが可能となっている。
【0040】
また、本実施形態の光波干渉測定装置では、被測定放物面41に照射される照明用平行光束がピンホールミラー31に集光し、該ピンホールミラー31において理想的な球面波に変換された後、さらに被測定放物面41において反射されて被検光とされるので、透過型ピンホールを用いた従来技術に比較して、ノイズ光の発生を抑制し得るとともに被検光の光量を十分に確保することが可能となっている。したがって、被測定放物面41の形状測定を高精度に行うことが可能である。
【0041】
なお、上記実施形態では、被測定放物面41および球面波生成手段3(ピンホールミラー31)の傾き調整を、アライメント用撮像部5Bにおいて撮像されたスポット像の位置情報に基づいて行っているが、参照基準板2を光路上に予め設置しておき、被検体4の平面反射部42からの反射光と参照基準面2aからの参照光とにより得られる干渉縞や、平行平板32の第1平面32aからの反射光参照基準面2aからの参照光とにより得られる干渉縞に基づき、これらがヌル縞状態となるように、被測定放物面41および球面波生成手段3の傾き調整を行うようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、参照基準面2aにより参照光生成部と光波干渉部とが構成されたフィゾータイプのものとされているが、参照光生成部と光波干渉部とが一部別構成とされている、例えばマイケルソンタイプのものに対しても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】一実施形態に係る光ビーム測定装置の概略構成図
【符号の説明】
【0044】
1 照射部
2 参照基準板
2a 参照基準面(参照光生成部、光波干渉部)
3 球面波生成手段
4 被検体
5 撮像部
5A 干渉縞撮像部
5B アライメント用撮像部
6 画像解析制御部(アライメント調整部)
10 光源部
10A 第1光源
10B 第2光源
11 全反射ミラー(出力光束切換手段)
12,15,51 コリメータレンズ
13 収束レンズ
14,52 ビームスプリッタ
31 ピンホールミラー(反射回折部)
32 平行平板(保持部)
32a 第1平面(平面部)
32b 第2平面
41 被測定放物面
42 平面反射部
53,56 結像レンズ
54,57 撮像カメラ
55,58 撮像素子
61 コンピュータ
62 表示装置
63 入力装置
71 フリンジスキャンアダプタ
72,73 5軸調整ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定放物面の形状を測定する光波干渉測定装置であって、
光源部からの出力光を照明用平行光束に変換するとともに、該照明用平行光束を前記被測定放物面の光軸に沿って該被測定放物面に照射する照射部と、
前記照明用平行光束の一部を分離して参照光を生成する参照光生成部と、
前記被測定放物面の焦点位置に該被測定放物面と対向するように配置されており、前記被測定放物面に照射された前記照明用平行光束のうち該被測定放物面で反射され前記焦点位置に集光する光束の少なくとも一部を、波面整形された球面波に変換して前記被測定放物面に向けて反射する反射回折部と、
該反射回折部を前記照明用平行光束の光路上に保持する保持部と、
前記反射回折部から前記被測定放物面に至る前記球面波が該被測定放物面において反射されてなる被検光を、前記参照光と干渉させる光波干渉部と、
前記被検光と前記参照光との干渉により得られる干渉縞画像を撮像する干渉縞撮像部と、
を備えてなることを特徴とする光波干渉測定装置。
【請求項2】
前記光源部は、波長帯域が互いに異なるアライメント用光束および測定用光束を、同一の光路上に択一的に出力する出力光束切換手段を有しており、
前記保持部は、前記反射回折部が着設される平面部を有してなり、
該平面部は、前記アライメント用光束に対しては、前記照射部側からの入射光束と前記被測定放物面側からの入射光束との両光束についてその透過および反射を共に許容し、かつ前記測定用光束に対しては、前記照射部側からの入射光束と前記被測定放物面側からの入射光束との両光束についてその透過を許容しつつ反射を抑制する波長選択手段を備えてなる、ことを特徴とする請求項1記載の光波干渉測定装置。
【請求項3】
前記アライメント用光束からなる前記照明用平行光束が前記照射部から前記被測定放物面に照射された際に、該被測定放物面で反射されて前記反射回折部および/または前記平面部に入射し、該反射回折部および/または該平面部で反射されて前記被測定放物面に再度入射し、さらに該被測定放物面で反射されて前記照射部に戻る光束により形成されるアライメント用の像を撮像するアライメント用撮像部と、
撮像された前記アライメント用の像に基づき、前記被測定放物面および前記反射回折部の相対的なアライメント調整を行うアライメント調整部と、を備えてなることを特徴とする請求項2記載の光波干渉測定装置。


【図1】
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【公開番号】特開2008−185532(P2008−185532A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21031(P2007−21031)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】