説明

光電変換モジュール、及び、光電変換モジュールの製造方法

【課題】放熱性に優れ、且つ、大量生産に適した光電変換モジュール、及び、光電変換モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】光電変換モジュール(26)は、一方の表面にアンダークラッド層(49)を有する基板(32)と、コア(50)と、オーバークラッド層(52)と、コア(50)を横断する溝の壁面に設けられたミラー(42)と、基板(32)の実装面に実装された光電変換素子(36)と、導体パターン(33)の一部を介して光電変換素子(36)と電気的に接続されたICチップ(35)と、オーバークラッド層(52)の表面上における、光電変換素子(36)及びICチップ(35)と対向する領域に設けられた金属箔(44)と、金属箔(44)の表面上における光電変換素子(36)及びICチップ(35)と対向する領域に、金属箔(44)の一部が露出した状態で積層される非金属製の補強部材(46)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光電変換モジュール、及び、光電変換モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばデータセンターにおけるサーバとスイッチ間の接続や、デジタルAV(オーディオ・ビジュアル)機器間の接続では、伝送媒体として、メタル線の外に、光ファイバーも用いられている。また、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の情報処理機器の内部でも、伝送媒体として光ファイバーを用いることが検討されている(光インターコネクト)。
【0003】
光ファイバーを用いる場合、電気信号を光信号に、或いは、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが必要になる。光電変換モジュールとして、特許文献1が開示する光電気配線部材では、可撓性を有する基板の一方の面に光電変換素子とともに電子部品が実装され、基板の他方の面に光配線部材が形成される。そして、この光電気配線部材には、金属板が積層されている。
金属板は、光電変換素子及び電子部品で発生した熱を逃散させ、これにより、光電変換素子及び電子部品の温度上昇が抑制されて動作が安定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−151993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する光電気配線部材を製造する場合、ダイシング装置によって、基板及び光配線部材を切断してから、金属板を積層する必要があった。これは、ダイシング装置によって、基板及び光配線部材と同時に、金属板を切断することが困難なためである。
【0006】
このように、切断された光配線部材の各々に一つずつ金属板を積層することは煩雑であった。その上、光配線部材が小型である場合、光配線部材に対する金属板の位置合わせは簡単ではない。このため、優れた放熱性を有する光電気配線部材を、効率的に、かつ低コストに、大量生産することは困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされ、その目的とするところは、放熱性に優れ、且つ、大量生産に適した光電変換モジュール、及び、光電変換モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、少なくとも一方の表面にアンダークラッド層を有するとともに、可撓性及び透光性を有する基板と、前記アンダークラッド層に沿って延びるコアと、前記アンダークラッド層と協働して前記コアを囲むオーバークラッド層と、前記コアを横断する溝の壁面に設けられたミラーと、前記基板に設けられた導体パターンと、前記コアと反対側の前記基板の実装面に実装され、前記ミラーを介して前記コアと光学的に結合された光電変換素子と、前記実装面に実装され、前記導体パターンの一部を介して前記光電変換素子と電気的に接続されたICチップと、前記アンダークラッド層とは反対側の前記オーバークラッド層の表面上における、前記光電変換素子及び前記ICチップと対向する領域に設けられた金属箔と、前記金属箔の表面上における前記光電変換素子及び前記ICチップと対向する領域に、前記金属箔の一部が露出した状態で積層される非金属製の補強部材とを備える光電変換モジュールが提供される。
【0009】
また本発明の一態様によれば、少なくとも一方の表面にアンダークラッド層を有するとともに可撓性及び透光性を有し複数の基板へと分割される材料基板、前記基板の各々に対応して設けられ前記アンダークラッド層に沿って延びるコア、及び、前記アンダークラッド層と協働して前記コアを囲むオーバークラッド層を含む、材料シートを用意する工程と、前記材料基板に導体パターンを形成する工程と、前記材料シートに、前記コアを横断する溝を形成してから前記溝の壁面にミラーを形成する工程と、前記コアと反対側の前記材料基板の実装面に、前記ミラーを介して前記コアと光学的に結合される複数の光電変換素子を実装する工程と、前記実装面に、前記導体パターンの一部を介して前記光電変換素子と電気的に接続される複数のICチップを実装する工程と、前記アンダークラッド層とは反対側の前記オーバークラッド層の表面上における、前記光電変換素子及び前記ICチップと対向する領域に、前記基板同士の境界を跨いで金属箔を接着する工程と、前記金属箔上における前記光電変換素子及び前記ICチップと対向する領域に、前記金属箔の一部が露出した状態で、前記基板同士の境界を跨いで非金属製の補強部材を接着する工程と、前記金属箔及び前記補強部材とともに前記材料シートを切断し、前記材料基板を前記基板に分割する工程とを備える光電変換モジュールの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放熱性に優れ、且つ、大量生産に適した光電変換モジュール、及び、光電変換モジュールの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の光電変換モジュールを備える光アクティブケーブルの概略的な外観を示す斜視図である。
【図2】図1の光アクティブケーブルの光トランシーバ近傍を拡大して示す概略的な斜視図である。
【図3】図2の光トランシーバを分解して示す概略的な斜視図である。
【図4】図3中の第1実施形態の光電変換モジュールの外観を概略的に示す斜視図である。
【図5】図4の光電変換モジュールを他の方向からみた外観を概略的に示す斜視図である。
【図6】図5の光電変換モジュールを分解して示す概略的な斜視図である。
【図7】コネクタに取り付けられた状態の図4の光電変換モジュールの概略的な断面図である。
【図8】図4の光電変換モジュールの製造方法を説明するための概略的な図である。
【図9】第2実施形態の光電変換モジュールの外観を概略的に示す斜視図である。
【図10】コネクタに取り付けられた状態の図9の光電変換モジュールの概略的な断面図である。
【図11】コネクタに取り付けられた状態の第3実施形態の光電変換モジュールの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、光アクティブケーブル10の構成を概略的に示す斜視図である。光アクティブケーブル10は、1本の光ケーブル12と、光ケーブル12の両端に取り付けられた2個の光トランシーバ14からなる。光アクティブケーブル10は、例えば、デジタルAV機器同士の接続に適用される。
【0013】
図2は、光ケーブル12の一部とともに、光トランシーバ14を拡大して示す斜視図である。
光トランシーバ14は例えば金属製のハウジング16を有し、ハウジング16は例えば箱形状を有する。ハウジング16の一端からは、シール部材18を介して光ケーブル12が延出する一方、ハウジング16の他端には、開口が形成されている。
ハウジング16の開口内には、例えば1枚の回路基板20の端部が位置している。回路基板20の端部は、デジタルAV機器に設けられたスロットに挿入可能である。
【0014】
図3は、光トランシーバ14を分解して概略的に示す斜視図であり、ハウジング16は、例えば相互に分離可能な第1ケース16a及び第2ケース16bからなる。
回路基板20は、例えばガラスエポキシ製のリジッドな基板であって、第2ケース16bに対して固定されている。回路基板20には、例えば銅等の金属からなる所定の導体パターンが形成されており、導体パターンは、回路基板20の端部に配置された複数の電極端子22を含む。電極端子22は、デジタルAV機器に設けられた電極端子に電気的に接続される。
【0015】
また、回路基板20には、電極端子22に電気的に繋がっているコネクタ24が取り付けられており、コネクタ24に、第1実施形態の光電変換モジュール26の一端が接続されている。
一方、光ケーブル12は、少なくとも1本の光ファイバー28を含み、本実施形態では1本の光ファイバー28を含む。光ファイバー28は、シール部材18を通じて、ハウジング16の内部まで延びている。そして、ハウジング16の内部に位置する光ファイバー28の先端は、光電変換モジュール26の他端に固定されている。
なお、光電変換モジュール26の他端側と回路基板20との間には、例えばガラス製の支持部材29が配置されている。支持部材29は、光電変換モジュール26に対し、接着剤を用いて固定されている。
【0016】
〔光電変換モジュール〕
光電変換モジュール26は、光ファイバー28から受け取った光信号を電気信号に変換し、電極端子22を通じてデジタルAV機器に伝送する機能、或いは、デジタルAV機器から受け取った電気信号を光信号に変換して光ファイバー28に伝送する機能を有する。
図4は、光電変換モジュール26の第2ケース16b側を示す斜視図である。光電変換モジュール26は、FPC基板(フレキシブルプリント回路基板)30を含み、FPC基板30は、例えば、ポリイミド製の可撓性及び透光性を有するフィルム32と、フィルム32に設けられた例えば銅等の金属からなる導体パターン33とからなる。
【0017】
FPC基板30の導体パターン33は、フィルム32の一端部に形成された複数の電極端子34を含み、電極端子34がコネクタ24に接続される。
なお導体パターン33は、例えば、フィルム32に成膜された金属膜をエッチングすることにより作製することができる。
【0018】
FPC基板30の一方の面には、所定の位置にIC(集積回路)チップ35及び光電変換素子36が例えばフリップチップ実装され、ICチップ35及び光電変換素子36は導体パターン33に電気的に接続されている。従って、ICチップ35は、導体パターン33及びコネクタ24を通じて、回路基板20に電気的に接続される。
【0019】
光電変換素子36は、ICチップ35の一辺の近傍に沿うように配置され、ICチップ35及び光電変換素子36は、図中に一点鎖線で示した、樹脂製のポッティング部材37によって覆われている。2つの光トランシーバ14のうち一方の光電変換モジュール26では、光電変換素子36は、LD(レーザダイオード)等の発光素子であって、ICチップ35は、発光素子のための駆動回路を構成している。つまり、一方の光トランシーバ14は発信器である。
【0020】
他方の光トランシーバ14の光電変換モジュール26では、光電変換素子36は、PD(フォトダイオード)等の受光素子であって、ICチップ35は、受光素子が出力した電気信号を増幅する増幅回路を構成している。つまり、他方の光トランシーバ14は受信器である。
光電変換素子36は、面発光型若しくは面受光型であり、自身の光の出射面若しくは入射面がFPC基板30の面と対向するように配置されている。
【0021】
図5は、図4とは反対側の光電変換モジュール26の外観を概略的に示す斜視図であり、図6は、光電変換モジュール26を分解して概略的に示す斜視図である。
図5及び図6を参照すると、FPC基板30の他方の面には、全域に渡って、シート状のポリマー光導波路部材40が一体に積層されている。ポリマー光導波路部材40の端部には、光ファイバー28の数に対応して、1本の保持溝が形成され、保持溝内に光ファイバー28の先端部が配置されている。
【0022】
ポリマー光導波路部材40には、FPC基板30とは反対側の面にて開口するV溝が形成され、V溝の壁面には例えば金属膜が蒸着によって形成されている。金属膜はミラー42を構成し、ミラー42を介して、光電変換素子36と光ファイバー28が光学的に結合される。
【0023】
そして、FPC基板30とは反対側のポリマー光導波路部材40の面には、金属箔44が積層されている。金属箔44は、少なくとも、ICチップ35及び光電変換素子36と対向するFPC基板30の領域に積層される。
つまり、金属箔44は、少なくとも、FPC基板30の長手方向、即ち、ICチップ35及び光電変換素子36の配列方向にて、ICチップ35とは反対側の光電変換素子36の端から、光電変換素子36とは反対側のICチップ35の端まで延び、長手方向とは直交する幅方向にて、ICチップ35及び光電変換素子36の全幅に渡って延びている。
【0024】
本実施形態では、金属箔44は、長手方向にて、保持溝とは反対側のFPC基板30の端からV溝を超えて延び、幅方向にて、ポリマー光導波路部材40及びFPC基板30の全幅に渡って延びている。
【0025】
金属箔44は、ダイシング装置によって切断可能な厚さを有し、好ましくは、8μm以上50μm以下の厚さを有する。また、金属箔44は、単一の金属又は合金からなるが、好ましくは銅からなる。
【0026】
ポリマー光導波路部材40と反対側の金属箔44の面には、板状の補強部材46が積層されている。
補強部材46は、少なくとも、ICチップ35及び光電変換素子36と対向する金属箔44の領域に積層される。
【0027】
つまり、補強部材46は、少なくとも、FPC基板30の長手方向、即ち、ICチップ35及び光電変換素子36の配列方向にて、ICチップ35とは反対側の光電変換素子36の端から、光電変換素子36とは反対側のICチップ35の端まで延び、長手方向とは直交する幅方向にて、ICチップ35及び光電変換素子36の全幅に渡って延びている。
本実施形態では、補強部材46は、長手方向にて、保持溝とは反対側のFPC基板30の端の所定距離だけ手前からV溝を超えて延び、幅方向にて、ポリマー光導波路部材40及びFPC基板30の全幅に渡って延びている。
【0028】
補強部材46は、FPC基板30が変形することによる、ICチップ35及び光電変換素子36の接続不良が発生するのを防止するのに十分な強度を有し、且つ、ダイシング装置によって切断可能であればよい。補強部材46は、非金属製であり、例えば、ガラス及びセラミックス等からなる。補強部材46は、好ましくは、200μm以上1500μm以下の厚さを有するガラス板からなる。
【0029】
なお、金属箔44の一部(延出部)は、補強部材46の端から延出させられている。このため、補強部材46は金属箔44よりも小さく、本実施形態では、好ましい態様として、電極端子34側にて、金属箔44の延出部が補強部材46の端から延出している。
【0030】
FPC基板30に対する金属箔44の固定、及び、金属箔44に対する補強部材46の固定には、両面テープ又は接着剤を用いることができる。接着剤としては、いずれも熱硬化型樹脂を用いることができるが、補強部材46が透明であれば、金属箔44に対する補強部材46の固定には、UV硬化型樹脂を用いることもできる。
【0031】
また、本実施形態では、FPC基板30に対し、保持溝を覆うように、板状の固定部材48が取り付けられている。固定部材48も接着剤を用いて固定することができる。
【0032】
図7は、コネクタ24に接続された状態の光電変換モジュール26の概略的な断面図である。
ポリマー光導波路部材40は、アンダークラッド層49、コア50、及び、オーバークラッド層52を含む。アンダークラッド層49は、FPC基板30のフィルム32に積層され、四角形の横断面形状を有するコア50がアンダークラッド層49上を延びている。
【0033】
コア50の数は、光ファイバー28の数に対応して1本であり、光ファイバー28の先端部と同軸上に位置している。オーバークラッド層52は、アンダークラッド層49と協働してコア50を囲むように、アンダークラッド層49及びコア50の上に積層されている。
アンダークラッド層49、コア50、及び、オーバークラッド層52の材料としては、特に限定されることはないが、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂及びポリイミド系樹脂等を用いることができる。
なお、光ファイバー28は、コア53とコア53を囲むクラッド54とからなり、ポリマー光導波路部材40のコア50と光ファイバー28のコア53とが同軸上に配置され、相互に光学的に結合される。
【0034】
コネクタ24に含まれる複数の電極端子55は、例えば半田によって、回路基板20の導体パターンに接続される。そして、コネクタ24に光電変換モジュール26が接続されている状態では、コネクタ24の電極端子55のうち一部は、光電変換モジュール26の電極端子34に接触させられる。一方、金属箔44の延出部も、コネクタ24の電極端子55のうち一部に接触させられる。
【0035】
ICチップ35及び光電変換素子36は、FPC基板30の導体パターン33に対し、例えばAuからなるバンプによって接続されている。光電変換素子36とFPC基板30との隙間には、透光性を有する充填剤(アンダーフィル)が充填されている。充填剤は、ポッティング部材37の材料が光電変換素子36とFPC基板30との間に流入することを阻止し、光電変換素子36のための光路を確保する。
【0036】
一方、図7に示したように、ポリマー光導波路部材40と金属箔44の間、及び、金属箔44と補強部材46の間には、接着剤からなる接着層60,62がそれぞれ存在する。また、固定部材48とポリマー光導波路部材40の間にも接着層64が存在する。なお、接着層60,62,64の厚さは可及的に薄いことが好ましく、図7では、説明のために、接着層60,62,64の厚さが誇張して描かれている。
【0037】
以下、図8を参照して、上述した光電変換モジュール26の好ましい製造方法について説明する。
まず、図8(a)に示したように、材料シート70を準備する。材料シート70は、切断することによって、複数のFPC基板30及びポリマー光導波路部材40へと分割される。つまり、材料シート70は、複数のFPC基板30及びポリマー光導波路部材40の集合体からなり、FPC基板30の集合体に、ポリマー光導波路部材40の集合体を積層することによって作製される。
【0038】
なお、FPC基板30の集合体は、フィルム32及び導体パターン33の集合体であるが、導体パターン33の集合体は、フィルム32の集合体に、ポリマー光導波路部材40の集合体を積層する前に形成してもよく、後に形成してもよい。
【0039】
そして、用意した材料シート70に、保持溝を形成するとともにV溝を形成し、V溝に金属膜を蒸着してミラー42を作製する(加工工程)。加工工程の後、材料シート70の一方の面(実装面)に、図示しないけれども、複数のICチップ35及び光電変換素子36をフリップチップ実装する(実装工程)。
【0040】
実装工程の後、図8(b)に示したように、材料シート70に対し、金属箔44の材料である大型の材料箔72を接着剤を用いて貼る(金属箔積層工程)。それから、図8(c)に示したように、材料箔72上に、補強部材46の材料である大型の材料補強部材74を接着剤を用いて貼る(補強部材積層工程)。なお、材料箔72及び材料補強部材74は、材料シート70におけるFPC基板30同士の境界を跨いで、材料シート70に積層される。
【0041】
補強部材積層工程の後、図8(d)の一点鎖線に沿って材料シート70をダイシング装置で切断し(ダイシング工程)、これにより、図8(e)に示す光電変換モジュール26が一括して複数個得られる。
なお、ダイシング装置は、円盤状のダイシングブレードが回転することによって、材料シート70を材料箔72及び材料補強部材74とともに同時に切断する。
【0042】
上述した第1実施形態の光電変換モジュール26では、補強部材46が、ICチップ35及び光電変換素子36と対向するFPC基板30の領域(実装領域)に、金属箔44を介して積層されている。補強部材46は、FPC基板30の実装領域の変形を防止するので、ICチップ35及び光電変換素子36とFPC基板30との間の接続が破壊されることが防止される。
【0043】
一方、上述した第1実施形態の光電変換モジュール26では、ICチップ35及び光電変換素子36において発生した熱は、FPC基板30を通じて金属箔44に流れ込む。そして、熱の流れは、金属箔44から、コネクタ24を通じて回路基板20に伝わる。従って、ICチップ35及び光電変換素子36で発生した熱は、ICチップ35及び光電変換素子36から周囲へと効率的に輸送され、ICチップ35及び光電変換素子36の温度上昇が防止される。この結果として、この光電変換モジュール26は安定に動作する。
【0044】
上述した第1実施形態の光電変換モジュール26の製造方法では、金属箔44の材料である材料箔72及び補強部材46の材料である材料補強部材74が、ダイシング装置によって、材料シート70とともに切断される。この製造方法によれば、光電変換モジュール26は容易に大量生産される。
【0045】
また、上述した第1実施形態の光電変換モジュール26の製造方法では、材料箔72及び材料補強部材74が、接着剤又は両面テープを用いて材料シート70に容易に積層される。この点においても、光電変換モジュール26は容易に大量生産される。
その上、上述した第1実施形態の光電変換モジュール26の製造方法では、補強部材46がガラス板からなるので、材料箔72と材料補強部材74の間の接着剤としてUV硬化樹脂を用いれば、更に生産性が向上する。
【0046】
更に、上述した第1実施形態の光電変換モジュール26の製造方法では、材料箔72及び材料補強部材74が、材料シート70とともに切断されるので、金属箔44及び補強部材46の両側縁が、FPC基板30及びポリマー光導波路部材40の両側縁に一致する。このため、光電変換モジュール26では、外形形状のばらつきが抑制される。また、光電変換モジュール26が小型であっても、金属箔44及び補強部材46のFPC基板30への積層が容易であり、光電変換モジュール26は小型化に適する。
【0047】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は類似の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、第2実施形態の光電変換モジュール80の外観を概略的に示す斜視図である。光電変換モジュール80の金属箔82は、光電変換モジュール26の金属箔44よりも長く、光ファイバー28側においても、補強部材46から延出している。
【0048】
図10は、コネクタ24に接続された状態の光電変換モジュール80の概略的な断面を示しており、光ファイバー28側の金属箔82の延出部には、シート状の伝熱部材84が積層されている。伝熱部材84は、例えば熱伝導性樹脂からなり、金属箔82の延出部の表面に密着するとともに、第1ケース16aの内面にも密着している。
【0049】
また、コネクタ24側の金属箔82の延出部と第1ケース16aとの間にも、シート状の伝熱部材86が配置されている。伝熱部材86も、例えば熱伝導性樹脂からなり、金属箔82の延出部の表面に密着するとともに、第1ケース16aの内面にも密着している。
光電変換モジュール80は、材料箔72よりも大きな材料箔を用いることを除いて、光電変換モジュール26と同じ製造方法により製造することができる。
【0050】
第2実施形態の光電変換モジュール80では、ICチップ35及び光電変換素子36において発生した熱は、FPC基板30を通じて金属箔82に流れ込む。そして、熱の流れは、金属箔82から、コネクタ24を通じて回路基板20へと伝わるとともに、伝熱部材84,86を通じて第1ケース16aへと伝わる。
【0051】
従って、ICチップ35及び光電変換素子36で発生した熱は、ICチップ35及び光電変換素子36から周囲へとより一層効率的に輸送され、ICチップ35及び光電変換素子36の温度上昇が防止される。この結果として、この光電変換モジュール80は安定に動作する。
【0052】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一又は類似の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、コネクタ24に接続された状態での、第3実施形態の光電変換モジュール90の概略的な断面を示している。第1実施形態及び第2実施形態の光電変換モジュール26,80では、FPC基板30がフィルム32を含んでいたけれども、第3実施形態の光電変換モジュール90では、ポリマー光導波路部材92のアンダークラッド層94に直接導体パターン33が形成されている。すなわち、FPC基板30のフィルム32とアンダークラッド層49を同一の材料によって構成してもよい。
【0053】
そこで本明細書では、第1実施形態及び第2実施形態のようにフィルム32上にアンダークラッド層49が設けられている場合には、フィルム32とアンダークラッド層49を合わせて「基板」というものとし、第3実施形態のようにアンダークラッド層94がフィルムを兼ねている場合には、アンダークラッド層94を「基板」という。つまり「基板」は、少なくとも一方の表面にアンダークラッド層を有していればよい。
【0054】
本発明は、上述した第1乃至第3実施形態に限定されることはなく、第1乃至第3実施形態を適宜組み合わせた形態や、これらの形態に変更を加えた形態も含む。
例えば、第1実施形態及び第3実施形態の光電変換モジュール26,90においても、コネクタ24側の金属箔44の延出部に第2実施形態の放熱部材86を積層してもよい。
【0055】
また、第2実施形態の光電変換モジュール80では、金属箔82が、コネクタ24側に延出部を有していたけれども、光ファイバー28側にのみ、延出部を有していてもよい。
つまり、金属箔は、コネクタ24側及び光ファイバー28側のうち、いずれか一方又は両方に延出部を有していてもよい。
【0056】
上述した第1乃至第3実施形態の光電変換モジュール26,80,90では、1つの光電変換素子36が実装されていたが、複数の光電変換素子36が実装されていてもよい。また、光電変換素子36として、複数の光電変換要素を有するアレイ素子が実装されていてもよい。これらの場合、光電変換素子36又は光電変換要素の数に応じて、ポリマー光導波路部材40,92中のコア50及び光ファイバー28の数が調整される。
【0057】
また、光ケーブル12は、光ファイバー28の他にメタル線を含む光電気複合ケーブルであってもよい。この場合、メタル線の両端は、回路基板20に固定される。
【0058】
最後に、本発明の光電変換モジュールは、デジタルAV機器以外のネットワーク機器、情報処理機器、及び、家電製品にも適用可能である。より詳しくは、光電変換モジュールは、パーソナルコンピュータ、スイッチングハブ、及び、HDMI(登録商標:高解像度マルチメディアインターフェース)ケーブル等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
20 回路基板
26 光電変換モジュール
28 光ファイバー
30 FPC基板
32 フィルム(基板)
33 導体パターン
35 ICチップ
36 光電変換素子
40 ポリマー光導波路部材
42 ミラー
44 金属箔
46 補強部材
49 アンダークラッド層(基板)
50 コア
52 オーバークラッド層
60,62,64 接着層
84 伝熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の表面にアンダークラッド層を有するとともに、可撓性及び透光性を有する基板と、
前記アンダークラッド層に沿って延びるコアと、
前記アンダークラッド層と協働して前記コアを囲むオーバークラッド層と、
前記コアを横断する溝の壁面に設けられたミラーと、
前記基板に設けられた導体パターンと、
前記コアと反対側の前記基板の実装面に実装され、前記ミラーを介して前記コアと光学的に結合された光電変換素子と、
前記実装面に実装され、前記導体パターンの一部を介して前記光電変換素子と電気的に接続されたICチップと、
前記アンダークラッド層とは反対側の前記オーバークラッド層の表面上における、前記光電変換素子及び前記ICチップと対向する領域に設けられた金属箔と、
前記金属箔の表面上における前記光電変換素子及び前記ICチップと対向する領域に、前記金属箔の一部が露出した状態で積層される非金属製の補強部材と
を備える光電変換モジュール。
【請求項2】
前記金属箔の厚さは、8μm以上50μm以下である、
請求項1に記載の光電変換モジュール。
【請求項3】
前記補強部材はガラスからなる、
請求項1又は2に記載の光電変換モジュール。
【請求項4】
前記補強部材は、200μm以上1500μm以下の厚さを有するガラス板からなる、
請求項3に記載の光電変換モジュール。
【請求項5】
前記金属箔は、接着剤又は両面テープを介して前記オーバークラッド層に積層されている、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の光電変換モジュール。
【請求項6】
前記基板は、前記アンダークラッド層を構成する材料のみからなる
請求項1乃至5の何れか一項に記載の光電変換モジュール。
【請求項7】
少なくとも一方の表面にアンダークラッド層を有するとともに可撓性及び透光性を有し複数の基板へと分割される材料基板、前記基板の各々に対応して設けられ前記アンダークラッド層に沿って延びるコア、及び、前記アンダークラッド層と協働して前記コアを囲むオーバークラッド層を含む、材料シートを用意する工程と、
前記材料基板に導体パターンを形成する工程と、
前記材料シートに、前記コアを横断する溝を形成してから前記溝の壁面にミラーを形成する工程と、
前記コアと反対側の前記材料基板の実装面に、前記ミラーを介して前記コアと光学的に結合される複数の光電変換素子を実装する工程と、
前記実装面に、前記導体パターンの一部を介して前記光電変換素子と電気的に接続される複数のICチップを実装する工程と、
前記アンダークラッド層とは反対側の前記オーバークラッド層の表面上における、前記光電変換素子及び前記ICチップと対向する領域に、前記基板同士の境界を跨いで金属箔を接着する工程と、
前記金属箔上における前記光電変換素子及び前記ICチップと対向する領域に、前記金属箔の一部が露出した状態で、前記基板同士の境界を跨いで非金属製の補強部材を接着する工程と、
前記金属箔及び前記補強部材とともに前記材料シートを切断し、前記材料基板を前記基板に分割する工程と
を備える光電変換モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−163739(P2012−163739A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23590(P2011−23590)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】