説明

免疫原性が減少したズブチリシン・カールスバーグタンパク質

本発明はズブチリシン・カールスバーグタンパク質においてCD4T細胞エピトープを同定する方法を提供する。本発明は、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質(Carlsberg protein)内に組込まれた場合、ヒトにおいて変化した免疫原性反応、好ましくは低免疫原性反応を生じる変性ペプチドを生成する方法も提供する。特に、本発明ALCALASE(登録商標)酵素の免疫原性を減少させるために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明はズブチリシン・カールスバーグタンパク質におけるCD4T細胞エピトープを同定する方法を提供する。本発明は、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質(Carlsberg protein)内に組込まれた場合、ヒトにおいて変化した免疫原性反応、好ましくは低免疫原性反応を生じる変性ペプチドを生成する方法も提供する。特に、本発明ALCALASE(登録商標)酵素の免疫原性を減少させるために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。
【0002】
発明の背景
工業的、医薬的及び商業的用途に用いられるタンパク質の普及及び重要性は増加してきている。しかしながら、これによりこれらのタンパク質に対する多く個体への感作を生じ、広範囲にわたってこれらのタンパク質に対するアレルギー反応の発生が生じている。例えば、いくつかのプロテアーゼは特定個体の超過敏反応に関連する。結果として、プロテアーゼの工業的(例えば、洗濯用洗剤、化粧品、織物処理等)有用性及び改善されたプロテアーゼ(例えば、一般的な洗剤条件下でより効果的にシミを除去する変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を提供しようとする分野で行われる広範囲の研究にも関わらず、工業上のプロテアーゼの使用は問題を含むものであった。
【0003】
これらの問題を軽減するために多くの研究が行われてきた。プロテアーゼ使用の免疫原性の潜在性を減少させるために追及された方法は改善された生成プロセスを含み、粉塵及び/または空中に浮遊するプロテアーゼを運ぶ噴霧器の作業場濃度を制御及び最小限にすることにより潜在的な接触を減少させ、プロテアーゼ生成物から生じる塵または。噴霧の量を減少させる造粒プロセスを改善し、及び最終生成物における潜在的なアレルギー/免疫原性汚染物質のレベルを減少させるために再生プロセスを改善させることを含む。しかしながら、プロテアーゼ自身のアレルギー性/免疫原性を減少させる努力は比較的うまくいっていなかった。あるいは、過敏症の個体の免疫グロブリン(IgE)により認識されるプロテアーゼのエピトープをマスクするための努力(PCT公報WO92/10755;WO94/10191;WO96/17929;WO99/49056及びWO01/07578を参照)または問題のあるプロテアーゼにポリマーまたはペプチド/タンパク質を付着させることにより抗原決定基の性質を増大または変化させるための努力が行われてきた。
【0004】
いくつかの研究により特定タンパク質のアレルギー性/免疫原性を減少し、いくつかの個体にアレルギー反応を引き起こすエピトープを同定する方法が提供されてきたが、これらのエピトープを同定するために使用される分析は通常、以前に抗原に曝露された人々の血清中のIgE及びIgGの測定を含む。しかしながら、Ig反応が開始されると、感作は既に発生している。従って、高められた免疫反応を生じるタンパク質を同定する必要性及び減少された免疫反応を生じるタンパク質を生成する必要性がある。
【0005】
発明の概要
本発明はズブチリシン・カールスバーグタンパク質においてCD4T細胞エピトープを同定する方法を提供する。本発明は、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質(Carlsberg protein)内に組込まれた場合、ヒトにおいて変化した免疫原性反応、好ましくは低免疫原性反応を生じる変性ペプチドを生成する方法も提供する。特に、本発明ALCALASE(登録商標)酵素の免疫原性を減少させるために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。本発明は、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質配列に組込まれた場合、もはやCD4T細胞反応を開始することができず、または少なくともアレルギー反応が減少した変性ペプチドを生成する方法も提供する。特に、本発明は野生型ズブチリシン・カールスバーグの免疫原性を減少するために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。
【0006】
1の実施態様において、本発明はALCALASE(登録商標)酵素のT細胞エピトープを提供する。これらのエピトープはここで説明する種々の配列で提供され(図2及び3を参照)、限定されないが、ペプチド番号5(配列番号6)、ペプチド番号26(配列番号27)、ペプチド番号37(配列番号38)、ペプチド番号50(配列番号51)、ペプチド番号51(配列番号52)、及びペプチド番号79(配列番号80)などがある。他の実施態様において、本発明はALCALASE(登録商標)酵素内の置換に適した同定エピトープの変性配列を提供する。
【0007】
さらに別の実施態様において、本発明はT細胞エピトープ及びT細胞非エピトープを同定するための分析システムを提供し、限定されないが、分化樹状細胞とヒトCD4及び/またはCD8T細胞及び目的のペプチド(例えば、ALCALASE(登録商標)酵素由来ペプチド)とを混合する工程を有する方法を含む。より具体的には、免疫反応が減少した目的ペプチドを提供し、T細胞エピトープが認識され、以下の工程を含む:(a)1の血液源から樹状細胞溶液及びCD4及び/またはCD8T細胞溶液を得る工程;(b)樹状細胞の分化を促進させる工程;(c)分化樹状細胞、CD4T細胞及び/またはCD8T細胞の溶液と目的ペプチド(例えば、ALCALASE(登録商標)の少なくとも一部を含むペプチド)を混合する工程;及び(d)工程(c)のT細胞の増殖を測定する工程。(例えば、WO99/53038;及びStrickler et al.,J.Immunother.,23:654−660[2000]を参照)。
【0008】
本発明の他の実施態様において、ALCALASE(登録商標)酵素の全部または一部に対応する一連のペプチドオリゴマーを提供する。例えば、ペプチドライブラリーはALCALASE(登録商標)酵素の全部または関連部分をカバーして生成される。1の側面において、ペプチドを生成する方法はペプチドライブラリー中に重複を導入することであり、例えば、ALCALASE(登録商標)酵素分子全体に対応する代表的ペプチドが作成されるまで、ALCALASE(登録商標)酵素のアミノ酸配列1−15に対応する第1のペプチド、ALCALASE(登録商標)酵素のアミノ酸配列4−18に対応する第2のペプチド、ALCALASE(登録商標)酵素のアミノ酸配列7−21に対応する第3のペプチド、ALCALASE(登録商標)酵素のアミノ酸配列10−24に対応する第4のペプチド等を生成する。ここに提供する分析において個々に各ペプチドを分析することにより、T細胞により認識されるエピトープの位置を正確に同定することが可能である。上述の例において、その隣接部分に比べて1の特定ペプチドの反応が大きいと、3アミノ酸内に対するエピトープアンカー領域の同定が促進される。これらのエピトープの位置決定後、各エピトープ内の1以上のアミノ酸を変性させることが可能である。修飾エピトープはそれから野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質の基幹内に再組込みできる。特に好ましい実施態様において、最終的な修飾ズブチリシン・カールスバーグタンパク質は最初の野生型タンパク質により生成されるものと比較して異なるT細胞反応を生じ、好ましくは減少したT細胞反応を生じる。さらに、本発明は、最初から望ましい低T細胞エピトープ潜在性を有し、その天然型で使用できるタンパク質を同定する方法を提供する。
【0009】
当業界に公知の種々のin vitro及びin vivo分析は本発明に従う修飾タンパク質の免疫反応の減少を確かめるために使用できる。in vivo分析は、限定されないが、HLAクラスII反応及びより具体的にはHLA−DR3/DQ2マウスT細胞反応を含む。適当なin vitro分析は限定されないが、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)分析を含む(Herman et al.,J.Immunol.,163:6275−6282[1999];Sonderstrup et al.,Immunol.Rev.,172:335−343[1999];Taneja and David,Immunol.Rev.,169:67−79[1999];Taurog et al.,Immunol.Rev.169:209−223[1999];Cosgrove,et al.Cell 66:1051−1066[1991];及びGrusby et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:3913−3917[1993]を参照)。
【0010】
本発明はさらに免疫原性が減少した修飾ズブチリシン・カールスバーグ組成物を提供する。特に、本発明はALCALASE(登録商標)酵素に対する免疫反応を減少させるここに記載したエピトープを含むALCALASE(登録商標)酵素組成物を提供する。
【0011】
本発明は、細菌性ズブチリシンの少なくとも1のT細胞エピトープを同定する方法も提供し、以下の工程を含む:(i)1の血液源から樹状細胞溶液及びナイーブCD4+及び/またはCD8+T細胞の溶液を得る工程;(ii)分化樹状細胞溶液を生成するために樹状細胞を分化させる工程;(iii)分化樹状細胞及びナイーブナイーブCD4+及び/またはCD8+T細胞の溶液とズブチリシン・カールスバーグのペプチド断片を混合する工程;及び(iv)工程(iii)のT細胞の増殖を測定する工程。いくつかの好ましい実施態様において、細菌性ズブチリシン・カールスバーグはバチルス属のメンバー由来である。特に好ましい実施態様において、バチルスはB.ズブチリス、B.リケニホルミス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステロサーモフィラス、B.アルカロフィラス(alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス、B.clausii、B.ハロデュランス、B.メガテリウム、B.コアグランス、B.サーキュランス、B.レンタス及びB.チューリンゲンシスからなる群より選択される。別の好ましい実施態様において、細菌性ズブチリシン・カールスバーグは配列番号1に示される配列の少なくとも一部を含む。
【0012】
本発明のさらに細菌性ズブチリシン・カールスバーグの免疫原性を減少させる方法を提供し、以下の工程を含む:(a)(i)in vitroで少なくとも1のサイトカインに曝露することにより分化された接着性単球由来樹状細胞とT細胞エピトープを含む少なくとも1のペプチドを接触させることにより、及び(ii)樹状細胞及びペプチドとナイーブT細胞を接触させることにより、タンパク質中の少なくとも1のT細胞エピトープを同定する工程であって、ここで、ナイーブT細胞は接着性単球由来樹状細胞と同じ供給源から得たものであり、それによりT細胞増殖はペプチドに反応する;及び(b)T細胞エピトープを中性化するためにズブチリシン・カールスバーグを修飾し、変異体タンパク質を生成する工程であって、変異体タンパク質がナイーブT細胞より少ないまたは実質的に等しい基準増殖を誘発するようにする。いくつかの好ましい実施態様において、細菌性ズブチリシン・カールスバーグはバチルス属のメンバー由来である。特に好ましい実施態様において、バチルスはバチルスはB.ズブチリス、B.リケニホルミス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステロサーモフィラス、B.アルカロフィラス(alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス、B.clausii、B.ハロデュランス、B.メガテリウム、B.コアグランス、B.サーキュランス、B.レンタス及びB.チューリンゲンシスからなる群より選択される。別の好ましい実施態様において、細菌性ズブチリシン・カールスバーグは配列番号1に示される配列の少なくとも一部を含む。いくつかの実施態様において、細菌性ズブチリシン・カールスバーグのエピトープは、細菌性ズブチリシンの相同体に類似の配列を有するT細胞エピトープのアミノ酸配列を置換することにより修飾され、置換は実質的にT細胞エピトープに属する主要な3次構造を擬態する。別の実施態様において、細菌性ズブチリシン・カールスバーグは、配列番号2、配列番号90、配列番号15、配列番号30、及び配列番号40からなる群より選択される少なくとも1のエピトープを改変させることにより修飾される。さらに別の実施態様において、エピトープは少なくとも1のエピトープに対応する残基のアミノ酸配列を置換することにより修飾される。さらに別の実施態様において、エピトープは少なくとも1のエピトープに対応する残基のアミノ酸配列を欠失することにより修飾される。他の実施態様において、エピトープは少なくとも1のエピトープにアミノ酸を付加することにより修飾される。
【0013】
本発明は変性ズブチリシン・カールスバーグ酵素も提供する(すなわち、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)。いくつかの好ましい実施態様において、これらの変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素は、配列番号2、配列番号90、配列番号15、配列番号30、及び配列番号40からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む少なくとも1のエピトープにおいて少なくとも1の変異を含む。実際に、本発明は多数の変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素を提供する。特に好ましい実施態様において、これらの変異体
酵素は野生型ズブチリシン・カールスバーグ酵素と比較して減少した免疫原性/アレルギー性を示す。これらの変異体酵素は、パーソナル/消費者ケア用品から工業的生産及び使用にわたる多数の製品及び方法に使用できる。
【0014】
発明の説明
本発明はズブチリシン・カールスバーグタンパク質においてCD4T細胞エピトープを同定する方法を提供する。本発明は、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質(Carlsberg protein)内に組込まれた場合、ヒトにおいて変化した免疫原性反応、好ましくは低免疫原性反応を生じる変性ペプチドを生成する方法も提供する。特に、本発明ALCALASE(登録商標)酵素の免疫原性を減少させるために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。本発明は、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質配列に組込まれた場合、もはやCD4T細胞反応を開始することができず、または少なくともアレルギー反応が減少した変性ペプチドを生成する方法も提供する。特に、本発明は野生型ズブチリシン・カールスバーグの免疫原性を減少するために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。
【0015】
定義
別段に定めない限り、ここで用いる全ての技術及び科学用語は本発明が属する技術の当業者により通常理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Singleton and Sainsbury,Dictionary of Microbiology and molecular Biology,第2版、John Wiley and Sons,NY(1994);及びHale and Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)は当業者にとってここで用いる用語の多くの一般的な辞書となるものである。ここに記載した方法及び物質に類似または同等のものは本発明の実施に用いることができるが、好ましい方法及び物質についてここに記載する。従って、下記に定義される用語は本明細書の全体を参照することによりさらに詳細に説明される。また、文脈で明らかに示さない限り、ここで用いる単数形は複数のものも含むものとする。
【0016】
ここで用いる“バチルス属”は当業界に公知の全てのメンバーを含み、限定されないが、B.ズブチリス、B.リケニホルミス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステロサーモフィラス、B.アルカロフィラス(alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス、B.clausii、B.ハロデュランス、B.メガテリウム、B.コアグランス、B.サーキュランス、B.レンタス及びB.チューリンゲンシスを含む。バチルス属は分類上再編成を受け続けることは当然認識されることである。従って、当該属は再分類された種を含むものとし、限定されないが、今は“ゲオバチルス・ステロサーモフィラス”の名前であるB.ステロサーモフィラスなどの生物を含む。酸素の存在下、耐性内生胞子の生成はバチルス属の決定的な特徴と考えられるが、この特徴は最近命名されたAlicyclobacillus、Amphibacillus、Aneurinibacillus、Anoxybacillus、Brevibacillus、Filobachillus、Gracilibacillus、Halobacillus、Paenibacillus、Salibacillus、Thermobacillus、Ureibacillus、及びVirgibacillusにも適用する。
【0017】
ここで用いる“野生型ズブチリシン・カールスバーグ(Carlsberg)”の語は、i)公知のズブチリシン・カールスバーグタンパク質、例えば、Novoから市販のALCALASE(登録商標)酵素(配列番号1);ジェネンコーから市販のMAXATASE(登録商標)酵素;及びKali−Chemieから市販のOPTIMASE(登録商標)酵素など;ii)ALCALASE(登録商標)に類似の触媒活性を有し、配列番号1に少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を有し、好ましくは配列番号1に少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有するズブチリシン・カールスバーグタンパク質;及びiii)ズブチリシン・カールスバーグタンパク質の変異体を含む。
【0018】
ここで用いる“ALCALASE(登録商標)”の語はセリンプロテアーゼ、SwissProtアクセッション番号P00780を有するバチルス・リケニフォルミス由来のズブチリシン・カールスバーグをいう。合計タンパク質は379のアミノ酸残基を有する。プレタンパク質は105アミノ酸残基を含み、及び成熟タンパク質は274アミノ酸残基を含む(図1、配列番号1を参照、Jacobs et al.,Nucleic Acids Res.,13:8913−8926[1985]、及びSmith et al.,J.Biol.Chem.,243:2184−2191[1968]も参照)。
【0019】
ここで用いる“修飾野生型ズブチリシン・カールスバーグ”、“修飾ALCALASE(登録商標)”及び“修飾変異体”とは野生型ズブチリシン・カールスバーグ及び特にALCALASE(登録商標)の少なくとも1の有意なT細胞エピトープが変性されているタンパク質をいう。
【0020】
ここで用いる“野生型”及び“天然”タンパク質は天然に見つかるタンパク質をいう。“野生型配列”及び“野生型遺伝子”の語はここでは交換可能に用いられ、宿主細胞に天然、または自然に生じる配列をいう。いくつかの実施態様において、野生型配列はタンパク質工学プロジェクトの開始点である目的配列をいう。天然(すなわち、前駆体)タンパク質をエンコードする遺伝子は当業界に公知の一般的な方法に従って得ることができる。当該方法は通常、目的タンパク質の領域をエンコードする推定上の配列を有する標識プローブを合成し、タンパク質を発現する生物からゲノムライブラリーを調製し、及び当該プローブに対してハイブリダイゼーションすることにより目的遺伝子のライブラリーをスクリーニングすることを含む。陽性ハイブリダイズクローンをそれから位置付けて、配列を決定する。
【0021】
“組換え体”、“組換えズブチリシン”及び“組換えプロテアーゼ”とはタンパク質、ズブチリシンまたはプロテアーゼをエンコードするDNA配列を天然アミノ酸配列中に1以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入をエンコードする変異体(または変性体)DNA配列を生成するために修飾した、タンパク質、ズブチリシンまたはプロテアーゼをいう。当該修飾を生じるための適当な方法、及びここに記載の方法と組み合わされる方法は、限定されないが、ここに引用するものとする米国特許第4,760,025号(US RE34,606)、米国特許第5,204,015号、及び米国特許第5,185,258号に記載される方法がある。
【0022】
“非ヒトズブチリシン”及びそれらのエンコードするDNA配列は多くの原核及び真核生物から得られる。原核生物の適当な例としては、グラム陰性細菌(例えば、大腸菌及びシュードモナス種)及びグラム陽性細菌(例えば、マイクロコッカス種及びバチルス種)などがある。ズブチリシン及びそれらの遺伝子を得ることができる真核生物の例としては、サッカロマイセス・セレヴィシエ及びアスペルギルス種などの真菌がある。
【0023】
ここで用いる“サンプル”の語はその最も広い意味で用いる。しかしながら、好ましい実施態様において、該語は分析、同定、修飾及び/またはその他のペプチドと比較されるペプチド(例えば、ペプセット内の、目的のタンパク質の配列を含むペプチド)を含むサンプル(例えば、アリコート)に関して用いる。従って、ほとんどの場合、該語は目的のタンパク質またはペプチドを含む材料に関して用いる。
【0024】
ここで用いる“バックグラウンドレベル”及び“バックグラウンド反応”とは試験タンパク質のデータセットにおける所定のペプチドに対する平均反応者比率をいう。この値は試験したドナー全員に関して編集して、セット内の反応者比率を平均することにより決定される。例として、3%のバックグラウンド比率は100人のドナーについて試験した場合、データセット内のペプチドに関して3つの陽性(2.95以上のSI)反応が平均してあるであろうことを示す。
【0025】
ここで用いる、“抗原提示細胞(APC)”とは、その表面に抗原を提示し、抗原がT細胞の表面上の受容体により認識されるようにする免疫系の細胞をいう。抗原提示細胞は、限定されないが、樹状細胞、相互連結細胞、活性化B細胞及びマクロファージを含む。
【0026】
ここで用いる、“Tリンパ球”及び“T細胞”とは、T細胞前駆体(再配列されていないT細胞受容体遺伝子を有するThy1陽性細胞など)由来のTリンパ球系統から成熟T細胞(すなわち、CD4またはCD8シングルポジティブ、表面TCR陽性細胞)内の細胞を包含する。
【0027】
ここで用いる“CD4T細胞”及び“CD4 T細胞”とは、ヘルパーT細胞をいい、一方“CD8T細胞”及び“CD8 T細胞”とは細胞障害性T細胞をいう。
【0028】
ここで用いる“T細胞増殖”とは、抗原の有無に関わらず、抗原提示細胞を用いたT細胞培養時に生成されたT細胞の数をいう。
【0029】
ここで用いる“基準T細胞増殖”とは、ペプチドまたはタンパク質抗原が存在しない中で、抗原提示細胞に曝露された個体反応において通常見られるT細胞増殖の程度をいう。本目的において、基準T細胞増殖レベルは抗原の不存在下、抗原提示細胞に反応したT細胞増殖として各個人に関して各サンプルに基づき測定される。
【0030】
ここで用いる“T細胞エピトープ”とは、抗原を含むペプチド(すなわち、免疫原)に対する免疫反応の開始においてT細胞受容体により認識される、ペプチドまたはタンパク質の特徴をいう。本発明を特定のメカニズムに限定する趣旨ではないが、T細胞によるT細胞エピトープの認識はT細胞が、抗原提示細胞上で発現するクラスIまたはクラスII MHC(すなわち、HLA)分子に結合する抗原のペプチド断片を認識するメカニズムによるものと一般的に考えられている(例えば、Moeller,Immunol.Rev.,98:187[1987]を参照)。
【0031】
ここで用いる、“変化したT細胞エピトープ”とは、前駆体ペプチドまたは目的ペプチドとは異なり、目的の変異体ペプチドがヒトまたはその他の動物において異なる免疫反応を生じるエピトープアミノ酸配列をいう。変化した免疫反応は変化した免疫原性及び/またはアレルギー性を含むと考える(すなわち、増加または減少した全体的な免疫反応)。いくつかの実施態様において、変化したT細胞エピトープは同定エピトープ内の残基から選択されたアミノ酸の置換及び/または欠失を含む。別の実施態様において、変化したT細胞エピトープはエピトープ内に1以上の残基の付加を含む。
【0032】
ここで用いる、“弱有意性T細胞エピトープ”とは試験ドナープール内の反応がバックグラウンド反応率よりも大きいが、バックグラウンド率の3倍よりも低いエピトープをいう。
【0033】
ここで用いる、“Bリンパ球”及び“B細胞”とは、プレ細胞(lg重鎖遺伝子を配列し始めるB220細胞)などのB細胞前駆体由来のB細胞系列から成熟B細胞及び形質細胞内の細胞を包含する。
【0034】
ここで用いる“B細胞増殖”とは、抗原の存在の有無に関わらず、抗原提示細胞を用いたB細胞の培養時に生成されたB細胞の数をいう。
【0035】
ここで用いる“基準B細胞増殖”とは、ペプチドまたはタンパク質抗原が存在しない中で、抗原提示細胞に曝露された個体反応において通常見られるB細胞増殖の程度をいう。本目的において、基準B細胞増殖レベルは抗原の不存在下、B細胞増殖として各個人に関して各サンプルに基づき測定される。
【0036】
ここで用いる“B細胞エピトープ”とは、抗原を含むペプチド(すなわち、免疫原)に対する免疫反応においてB細胞受容体により認識される、ペプチドまたはタンパク質の特徴をいう。
【0037】
ここで用いる、“変化したB細胞エピトープ”とは、前駆体ペプチドまたは目的ペプチドとは異なり、目的の変異体ペプチドがヒトまたはその他の動物において異なる(すなわち、変化した)免疫反応を生じるエピトープアミノ酸配列をいう。変化した免疫反応は変化した免疫原性及び/またはアレルギー性を含むと考える(すなわち、増加または減少した全体的な免疫反応)。いくつかの実施態様において、変化したB細胞エピトープは同定エピトープ内の残基から選択されたアミノ酸の置換及び/または欠失を含む。別の実施態様において、変化したB細胞エピトープはエピトープ内に1以上の残基の付加を含む。
【0038】
ここで用いる、“有意なエピトープ”とは試験ドナープール内の反応率がバックグラウンド反応率の約3倍以上であるエピトープ(すなわち、T細胞またはB細胞エピトープ)をいう。
【0039】
ここで用いる“変化した免疫反応”とは、増加または減少した免疫反応をいう。タンパク質及びペプチドは、それらが引き起こすT細胞及び/またはB細胞反応が母体(例えば、前駆体)タンパク質またはペプチド(例えば、目的のタンパク質)により引き起こされたものより大きい場合、“増加した免疫反応”を示す。この高い反応の最終結果は変異体タンパク質またはペプチドに対する直接の増加した抗体反応である。タンパク質及びペプチドはそれらが引き起こすT細胞及び/またはB細胞反応が母体(例えば、前駆体)タンパク質またはペプチドにより引き起こされたものより少ない場合、“減少した免疫反応”を示す。好ましい実施態様において、この低い反応の最終結果は変異体タンパク質またはペプチドに対する直接の減少した抗体反応である。いくつかの好ましい実施態様において、母体タンパク質は野生型タンパク質またはペプチドである。
【0040】
ここで用いる、“in vivoでの免疫原性の減少”とは、生きた生物内で(例えば、生きた動物を用いることが必要)少なくとも部分的に起こる分析により測定して免疫反応の減少示すことをいう。典型的な“in vivo”分析はマウスモデルにおける変性免疫反応の測定などである。
【0041】
ここで用いる、“in vitroでの免疫原性の減少”とは、生きた生物の外側の人口的な環境内(すなわち、生きた動物の使用は必要でない)で起こる分析により測定して免疫反応の減少示すことをいう。典型的なin vitro分析は目的ペプチドに対するヒト末梢血単核細胞による増殖反応の試験などである。
【0042】
ここで用いる、“目的タンパク質”とは、分析、同定及び/または修飾されるタンパク質(例えば、プロテアーゼ)をいう。天然及び組換えタンパク質は本発明で使用できる。実際、本発明はヒト(またはその他の動物)の免疫反応を特徴付ける及び/または調節するために望ましいタンパク質を用いることができる。いくつかの実施態様において、ホルモン、サイトカイン、抗体、酵素、構造タンパク質及び結合タンパク質などのタンパク質が本発明で使用できる。いくつかの実施態様において、ホルモンは、限定されないが、インスリン、エリスロポエチン(EPO)、スロモポエチン(Thromopoietin)(TPO)及び黄体形成ホルモン(LH)などが本発明で使用できる。さらに別の実施態様において、サイトカインは限定されないが、インターフェロン(例えば、IFN−α及びIFN−β)、インターロイキン(例えば、IL−1〜IL−15)、腫瘍壊死因子(例えば、TNF−α及びTNF−β)、及びGM−CSFなどが本発明で使用できる。さらに別の実施態様において、抗体(すなわち、免疫グロブリン)は、限定されないが、ヒト及びヒト化抗体、任意のクラスの抗体由来断片(例えば、一本鎖抗体)などが本発明で使用できる。さらに別の実施態様において、構造タンパク質、限定されないが、食物アレルゲン(例えば、Ber e1[ブラジルナッツアレルゲン]及びAra H1[ピーナッツアレルゲン])などが本発明で使用できる。別の実施態様において、タンパク質は工業的及び/または薬剤酵素である。いくつかの実施態様において、酵素の好ましいクラスは、限定されないが、プロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、フェノールオキシダーゼ、オキシダーゼ、パーミアーゼ、プルラナーゼ、イソメラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ラクタマーゼ及びレダクターゼなどがある。
【0043】
ここで用いる“タンパク質”とは、アミノ酸からなり、当業者によりタンパク質として認識される任意の組成物をいう。“タンパク質”、“ペプチド”及びポリペプチドの語はここでは交換可能に用いられる。アミノ酸は完全な名称(例えば、アラニン)または一般に認められる1文字(例えば、A)、または3文字(例えば、ala)省略形で言及される。ペプチドはタンパク質の一部であり、当業者であれば本文中の該語の使用は当然理解する。“タンパク質”の語は成熟型タンパク質及びプロ及びプレプロ型の関連タンパク質を包含する。プレプロ型のタンパク質は、タンパク質のアミノ末端に作動可能に連結するプロ配列、及びプロ配列のアミノ末端に作動可能に連結する“プレ”または“シグナル”配列を有する成熟型のタンパク質を含む。好ましい実施態様において、タンパク質はプロテアーゼである。いくつかの特に好ましい実施態様において、プロテアーゼはズブチリシンであり、一方、別の特に好ましい実施態様において、プロテアーゼはズブチリシン・カールスバーグである。
【0044】
ここで用いる“野生型”及び“天然”タンパク質は天然に見られるタンパク質である。“野生型配列”及び“野生型遺伝子”の語はここで交換可能に用いられ、宿主細胞において天然または元からある配列をいう。いくつかの実施態様において、野生型配列はタンパク質工学プロジェクトの出発点である目的の配列をいう。
【0045】
ここで用いる“プロテアーゼ”とは天然プロテアーゼ及び組換えプロテアーゼをいう。プロテアーゼは一般的に、タンパク質またはペプチドのペプチド結合を切断する働きを有するカルボニルヒドロラーゼである。天然プロテアーゼは、限定されないが、α−アミノアシルペプチドヒドロラーゼ、ペプチジルアミノ酸ヒドロラーゼ、アシルアミノヒドロラーゼ、セリンカルボキシペプチダーゼ、メタロカルボキシペプチダーゼ、チオールプロテイナーゼ、カルボキシルプロテイナーゼ及びメタロプロテイナーゼなどの例を含む。セリン、メタロ、チオール及び酸プロテアーゼはエンド及びエキソプロテアーゼもまた含まれる。実際、いくつかの好ましい実施態様において、キモトリプシン及びズブチリシンなどのセリンプロテアーゼは使用できる。これらのセリンプロテアーゼの両方は、アスパラギン酸、ヒスチジン及びセリンを含む触媒の三点セットを有する。ズブチリシンプロテアーゼにおいて、カルボキシ末端から読むこれらのアミノ酸の相対オーダーはアスパラギン酸−ヒスチジン−セリンであり、一方、キモトリプシンプロテアーゼにおいて、カルボキシ末端から読むこれらのアミノ酸の相対オーダーはヒスチジン−アルパラギン酸−セリンである。ズブチリシンは通常、細菌、真菌または酵母源から得られるが、ここで用いる“ズブチリシン”とは、上に定義したズブチリシンプロテアーゼの触媒三点セットを有するセリンプロテアーゼをいう。さらに、ヒトズブチリシンはズブチリシン触媒活性を有するヒト起源のタンパク質であり、例えば、ヒト由来プロテアーゼのケキシンファミリーである。ズブチリシンは当業界に公知であり、例えば、バチルス・アミロリケファシエンスズブチリシン(BPN’)、バチルス・レンタスズブチリシン、バチルス・ズブチリスズブチリシン、バチルス・リケニフォルミスズブチリシン(例えば、米国特許第4,760,025号(RE34,606)、米国特許第5,204,015号、米国特許第5,185,258号、EP0 328 299、及びWO89/06279を参照)。本発明のいくつかの好ましい実施態様において、該語はズブチリシンに関して用い、一方、特に好ましい実施態様において、該語はALCALASE(登録商標)酵素をいう。
【0046】
ここで用いる“タンパク質”とは、アミノ酸からなり、当業者によりタンパク質として認識される任意の組成物をいう。“タンパク質”、“ペプチド”及びポリペプチドの語はここでは交換可能に用いられる。ペプチドはタンパク質の一部であり、当業者であれば本文中の該語の使用は当然理解する。“タンパク質”の語は成熟型タンパク質及びプロ及びプレプロ型の関連タンパク質を包含する。プレプロ型のタンパク質は、タンパク質のアミノ末端に作動可能に連結するプロ配列、及びプロ配列のアミノ末端に作動可能に連結する“プレ”または“シグナル”配列を有する成熟型のタンパク質を含む。ここで用いる、機能的に類似のタンパク質は“関連タンパク質”と考える。いくつかの実施態様において、これらのタンパク質は異なる属及び/または種に由来し(例えば、B.ズブチリスズブチリシン及びB.レンタスズブチリシン)、生物分類間の違いを含む(例えば、細菌性ズブチリシン及び真菌ズブチリシン)。別の実施態様において、関連タンパク質は同じ種から得られる。実際に、本発明はいかなる供給源由来の関連タンパク質にも限定するものではない。
【0047】
ここで用いる、“誘導体”の語は、前駆体タンパク質(例えば、天然プロテアーゼ)に1以上のアミノ酸をC及び/またはN末端に付加、1以上のアミノ酸をアミノ酸配列中の1以上の異なる部位で置換、及び/またはタンパク質の末端またはアミノ酸配列中の1以上の部位で1以上のアミノ酸が欠失、及び/またはアミノ酸配列中の1以上の部位で1以上のアミノ酸を挿入することにより得られたタンパク質(例えば、プロテアーゼ)をいう。プロテアーゼ誘導体の調製は好ましくは、天然タンパク質をエンコードするDNA配列を修飾し、DNA配列を適当な宿主に形質転換、及び修飾DNA配列を発現させて誘導体プロテアーゼを形成させることにより達成される。
【0048】
関連(及び誘導体)タンパク質の1の種類としては “変異体タンパク質”がある。好ましい実施態様において、変異体タンパク質は親タンパク質と異なり、お互い少数のアミノ酸残基が異なる。アミノ酸残基の違いの数は1以上であり、好ましくは、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50以上のアミノ酸残基である。1の好ましい実施態様において、変異体間の異なるアミノ酸の数は1〜10である。特に好ましい実施態様において、関連タンパク質及び特に変異体タンパク質は少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%アミノ酸配列同一性を含む。さらに、ここで用いる関連タンパク質または変異体タンパク質は顕著な領域の数が他の関連タンパク質または親タンパク質とは異なるタンパク質をいう。例えば、いくつかの実施態様において、変異体タンパク質は、親タンパク質とは異なる1、2、3、4、5または10の対応する顕著な領域を有する。1の実施態様において、変異体の顕著な対応領域はバックグランドレベルの免疫反応しか生じない。
【0049】
ここで用いる“対応する”とはタンパク質またはペプチドの列挙した位置での残基または他のタンパク質またはペプチドの列挙した残基に類似、相同または同等である残基をいう。
【0050】
ここで用いる“対応領域”とは通常、関連タンパク質または親タンパク質内の類似位置をいう。
【0051】
ここで用いる、“類似配列”とは、目的タンパク質と類似の機能、三次構造及び/または保存残基を与えるタンパク質内の配列をいう。特に好ましい実施態様において、類似配列はエピトープの、またはその近くの配列を含む。例えば、αへリックスまたはβシート構造を含むエピトープ領域において、類似配列内の置換アミノ酸は好ましくは同じ特異構造を維持する。該語は核酸配列及びアミノ酸配列についてもいう。
【0052】
ここで用いる“相同タンパク質”とは、目的タンパク質(例えば、プロテアーゼ)と類似の触媒作用、構造、抗原性及び/または免疫反応を有するタンパク質(例えば、プロテアーゼ)をいう。目的の相同体及びタンパク質(例えば、プロテアーゼ)は必ずしも進化に関連することは意図されない。従って、該語は異なる種から得られた同じ機能的タンパク質を包含するものである。いくつかの好ましい実施態様において、目的タンパク質に類似の三次及び/または一次構造を有する相同体を同定することは、相同体と類似断片を有する目的タンパク質におけるエピトープの置換が変化による破壊を減少させるので、望ましい。従って、ほとんどの場合において、相同体に近いタンパク質はエピトープ置換の最も望ましい供給源となる。もしくは、所定のタンパク質のヒト類似体に目を向けることは有益である。
【0053】
好ましい実施態様において、ここで用いる“相同体”とはALCALASE(登録商標)酵素と類似の触媒作用、構造及び/または用途を有する酵素を意味する。いくつかの好ましい実施態様において、本発明のALCALASE(登録商標)酵素相同体は野生型ALCALASE(登録商標)酵素に実質的に類似の三次及び/または一次構造を有する。有意なALCALASE(登録商標)酵素エピトープは相同性酵素を類似断片と置換できる。このタイプの置換は親ズブチリシンの変化が破壊するのを減少できる。ほとんどの場合において、厳密に相同なタンパク質はエピトープ置換の最も望ましい供給源となる。
【0054】
ここで用いる“相同性遺伝子”とは、異なるが通常関連する種由来の少なくとも遺伝子の対をいい、お互い対応し、お互い同一または非常に類似したものとなっている。該語は種形成(すなわち、新しい種の発達)により分離された遺伝子(例えば、オーソロガス遺伝子)及び遺伝子重複により分離された遺伝子(例えば、)を包含する。
【0055】
ここで用いる“オーソログ”及び“オーソロガス遺伝子”とは、種形成により共通の祖先の遺伝子(すなわち、相同性遺伝子)から進化した、異なる種における遺伝子をいう。通常、オーソログは進化の過程において同じ機能を保有する。オーソログの同定は新しく配列決定されたゲノムの遺伝子機能について信頼性のある予測を行うために使用できる。
【0056】
ここで用いる、“パラログ”及び“パラロガス遺伝子”とはゲノム内の重複により関連する遺伝子をいう。オーソログは進化の過程において同じ機能を保有するが、パラログは、同じ機能が元々の遺伝子に関連することが多くても、新しい機能を発展させる。パラログ遺伝子の例としては、限定されないが、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ及びトロンビンをエンコードする遺伝子などがあり、これらは全てセリンプロテイナーゼであり、同じ種内で一緒に起こる。
【0057】
配列間の相同性の程度は当業界に公知の適当な方法を用いて決定できる(例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.,2:482[1981];Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.,48:443[1970];Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444[1988];Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group,マディソン,ウィスコンシン州)のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTAなどのプログラム;及びDevereux et al.,Nucl.Acid Res.,12:387−395[1984]を参照)。
【0058】
例えば、PILEUPは配列相同性レベルを決定するのに有用なプログラムである。PILEUPは、進行性、対合アラインメントを用いて関連配列のグループから複数の配列アラインメントを作成する。また、当該アラインメントを作成するために用いる集積性関係を示す系図をプロットできる。PILEUPはFengとDoolittleの進行性アラインメント法の簡略化を用いる(Feng and Doolittle,J.Mol.Evol.,35:351−360[1987])。当該方法はHigginsとSharpにより説明された方法と類似している(Higgins and Sharp,CABIOS 5:151−153[1989])。有用なPILEUPパラメーターは、初期設定ギャップウェイト3.00、初期設定ギャップ長さウェイト0.10及び加重ウェイトギャップを含む。有用なアルゴリズムの他の例としては、Altschul et al.により説明されるBLASTアルゴリズムである(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403−410、[1990];及びKarlin etal.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5787[1993])。特に有用なBLASTプログラムはWU−BLAST−2プログラムである(Altschul et al.,Meth.Enzymol.,266:460−480[1996]を参照)。パラメーター“W”、“T”及び“X”はアラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTプログラムは初期設定として、語長(W)が11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915[1989]を参照)アラインメント(B)として50、期待値(E)として10、M’5、N’−4及び両ストランドの比較を用いる
【0059】
ここで用いる“核酸配列同一性比率(%)”とは、当該配列のヌクレオチド残基と同一である、候補配列におけるヌクレオチド残基の比率として定義される。
【0060】
ここで用いる“ハイブリダイゼーション”の語は核酸ストランドが塩基対合により相補的ストランドに結合するプロセスをいい、当業界に公知である。
【0061】
ここで用いる“最大ストリンジェンシー”とは、約Tm−5℃(プローブのTmより5℃低い)で通常起こるハイブリダイゼーションのレベルをいい、“高ストリンジェンシー”はTmより約5℃〜10℃低く、“中ストリンジェンシー”はTmより約10℃〜20℃低く、及び“低ストリンジェンシー”はTmより約20℃〜25℃低い。当業者に理解されるように、最大ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは同一のポリヌクレオチド配列を同定または検出するために使用でき、中または低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションはポリヌクレオチド配列相同体を同定または検出するために使用できる。
【0062】
2つの核酸またはポリペプチドに関する語句“実質的に類似”及び“実質的に同一”は、一般的にポリヌクレオチドまたはポリペプチドが参照(すなわち、野生型)配列と比較して、少なくとも75%配列同一性、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは95%、最も好ましくは97%、時には98%及び99%程度の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。配列同一性は標準パラメーターを用いてBLAST、ALIGN及びCLUSTALなどの公知のプログラムを使用して決定できる(例えば、Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403−410[1990];Henikoff et al.,Proc.Natl.Acad Sci.USA 89:10915[1989];Karin et al.,Proc.Natl Acad.Sci USA 90:5873[1993];及びHiggins et al.,Gene73:237−244[1988]を参照)。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは全米バイオテクノロジー情報センターより公共に入手可能である。また、データベースはFASTAを用いて調査できる(Pearson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444−2448[1988])。
【0063】
いくつかの実施態様において、“同等残基” とは、前駆体タンパク質(すなわち目的タンパク質)の三次構造レベルで相同性を決定することにより定義され、その三次構造はX線結晶学により決定される。同等残基は前駆体タンパク質及びその他のタンパク質の特定アミノ酸残基の2以上の主鎖原子の原子座標が配列後0.13nm及び好ましくは0.1nm内であるものとして定義される。配列はベストモデルに合わせ、タンパク質の非水素タンパク質原子の原子座標が最大重複を与えるようにランク付けした後に達成される。ほとんどの実施態様において、ベストモデルは、利用可能な最高解像度での実験回折データに関して最も低いR因子を与える結晶モデルである。
【0064】
いくつかの実施態様において、修飾は好ましくは前駆体酵素のアミノ酸配列をエンコードする“前駆体DNA配列”に対して行うが、前駆体タンパク質を操作することにより行うことができる。保存されていない残基の場合、1以上のアミノ酸の置換は天然に見られる配列に一致しないアミノ酸配列を有する変異体を生成する置換に限定される。保存残基の場合、当該置換は天然配列を生じないはずである。本発明により提供される誘導体はさらにプロテアーゼの特徴を変化させる化学修飾を含む。
【0065】
いくつかの好ましい実施態様において、タンパク質遺伝子は適当な発現プラスミド内に連結される。クローンタンパク質遺伝子はそれから宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトしてタンパク質遺伝子を発現するために用いる。このプラスミドは、プラスミド複製に必要な公知の要素を含むという意味で宿主において複製し、またはプラスミドは宿主染色体中に統合するために設計される。必須要素が効率的な遺伝子発現のために提供される(例えば、目的遺伝子に作動可能に連結するプロモーター)。いくつかの実施態様において、これらの必須要素は、認識される場合(すなわち、宿主により転写される場合)該遺伝子自身の相同性プロモーター、外来性の転写ターミネーター(真核宿主細胞のポリアデニル化領域)として供給され、またはタンパク質遺伝子の内生ターミネーター領域により供給される。いくつかの実施態様において、抗菌剤含有培地中での成長により、プラスミド感染宿主細胞の連続培養持続を可能とする抗生物質耐性遺伝子などの選択遺伝子も含む。
【0066】
本発明は言及した特定の微生物株由来のものに等しい変化した免疫原性を有するプロテアーゼを包含する。“同等”であるとは、中から高ストリンジェンシー条件下で図1に示すいずれかの配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズでき、依然としてヒトT細胞に対する変化した免疫反応を維持できるポリヌクレオチドによりプロテアーゼがエンコードされることを意味する。“同等”であるとは、プロテアーゼが少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97、または少なくとも99%同一性をエピトープ配列及び当該エピトープを有する変異体プロテアーゼ(すなわち、修飾されたアミノ酸配列を有する)に対して含むことを意味する。
【0067】
ここで用いる、“ハイブリッドプロテアーゼ”及び“融合プロテアーゼ”の語は、少なくとも2の異なるまたは“母体”タンパク質から設計されたタンパク質をいう。好ましい実施態様において、これらの母体タンパク質は他方の相同体である。例えば、いくつかの実施態様において、好ましいハイブリッドプロテアーゼまたは融合タンパク質はタンパク質のN末端及びタンパク質相同体のC末端を含む。いくつかの好ましい実施態様において、2つの末端は完全長活性タンパク質に対応して組み合わされる。別の好ましい実施態様において、相同体は実質的に類似だが同一ではないT細胞エピトープを共有する。従って、1の実施態様において、本発明はC末端に1以上のT細胞エピトープを有する目的プロテアーゼを提供するが、C末端はより作用の弱いT細胞エピトープを有する相同体のC末端で置換されており、またはC末端にT細胞エピトープを持たない、またはほとんど持たない。従って、相同体間のT細胞エピトープを同定できれば、異なる免疫原性反応を生じる種々の変異体が形成できることが当業者であれば理解される。さらに、内部及び1以上の相同体が本発明の変異体を生成するために使用できることが理解される。
【0068】
本発明の変異体はタンパク質変異体の成熟型、及び当該タンパク質変異体のプロ及びプレプロ型を含む。プレプロ型は、タンパク質変異体の発現、分泌及び成熟を促進するので好ましい構造である。
【0069】
ここで用いる、“プロ配列”とは、除去された場合、タンパク質の“成熟”型が生じる、タンパク質の成熟型のN末端部分に結合するアミノ酸配列をいう。多くのタンパク質分解酵素は翻訳プロ酵素生成物として自然に見られ、翻訳後処理がない場合、この状態で発現する。プロテアーゼ変異体などの生成タンパク質変異体の好ましいプロ配列はバチルス・リケニフォルミスズブチリシンカールスバーグの推定上のプロ配列であるが、その他のプロ配列は本発明で使用できる。
【0070】
ここで用いる“シグナル配列”及び“プレ配列”とは、タンパク質のN末端部分、またはプロタンパク質のN末端部分に結合するアミノ酸配列をいい、タンパク質の成熟またはプロ型の分泌に関連し得るものである。シグナル配列のこの定義は機能的なものであり、天然条件下でタンパク質の分泌実施に関連する、タンパク質遺伝子のN末端部分によりエンコードされるそれら全てのアミノ酸配列を含むものとする。本発明はそのような配列を利用し、ここに記載するタンパク質変異体の分泌をもたらす。
【0071】
ここで使用する、タンパク質変異体の“プレプロ”型はタンパク質のアミノ末端に作動可能に連結するプロ配列、及びプロ配列のアミノ末端に作動可能に連結する“プレ”または“シグナル”配列を有するタンパク質の成熟型からなる。
【0072】
ここで用いる“調節要素”の語は、核酸配列の発現のいくつかの側面を制御する遺伝要素をいう。例えば、プロモーターは作動可能に連結したコドン領域の転写の開始を促進する調節要素である。他の調節要素はスプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、及び終結シグナルなどがある。
【0073】
ここで用いる“発現ベクター”とは、適当な宿主においてDNA発現をもたらすことができる適当な制御配列に作動可能に連結したDNA配列を含むDNA構築体をいう。当該制御配列は転写をもたらすプロモーター、当該転写を制御する任意のオペレーター配列、適当なmRNAリボソーム結合部位をエンコードする配列及び転写及び翻訳の終了を制御する配列を含む。ベクターはプラスミド、ファージ粒子、または簡単な潜在的ゲノム挿入である。いったん適当な宿主内に形質転換されると、ベクターは複製し、宿主ゲノムと独立して機能し、または場合によってはそれ自身のゲノム中に統合される。本明細書において、“プラスミド”及び“ベクター”は、プラスミドが現在最も一般的に使用されているベクターの形態であるので、交換可能に用いる場合もある。しかしながら、本発明は同等の機能を有し、当業界に公知な、またはこれから公知になるその他の発現ベクターの形態も含むものとする。
【0074】
ここで用いる、“宿主細胞”とは通常、当業界に公知の方法で、酵素的に活性なエンドプロテアーゼを分泌できなくするように好ましく操作された原核または真核宿主である(例えば、米国特許第4,760,025号(RE34,606)を参照)。タンパク質を発現するために好ましい宿主細胞は酵素的に活性な中性タンパク質中に不足しているバチルス株BG2036及びアルカリ性プロテアーゼ(ズブチリシン)である。株BG2036の構築は米国特許第5,264,366号に詳細に説明されている。タンパク質を発現するためのその他の宿主細胞はバチルス・ズブチリスI168(米国特許第4,760,025号8RE34,606及び米国特許第5,264,366号に記載)、及び適当なバチルス株を含み、B.リケニフォルミス、B.レンタス、及びその他のバチルス種等に含まれるものなどである。
【0075】
宿主細胞は当業界に公知の組換えDNA技術を用いて構築したベクターを用いて形質転換またはトランスフェクトする。形質転換宿主細胞はタンパク質変異体をエンコードするベクターの複製または所望のタンパク質変異体の発現が可能である。タンパク質変異体のプレまたはプレプロ型をエンコードするベクターの場合、当該変異体は、発現した場合、宿主細胞から宿主細胞培地中に通常分泌される。
【0076】
核酸配列を細胞中に挿入する内容に関して“導入する”の語は形質転換、形質導入またはトランスフェクションを意味する。形質転換の意味はプロトプラスト形質転換、塩化カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、naked DNA及びその他当業界に公知のものを含む(Chang and Cohen(1979)Mol.Gen.Genet.168:111−115;Smith et al.,(1986)Appl.and Env.Microbiol.51:634;及びFerrari et al.による総論(1989)Genetics,57−72頁、Bacillus ed.C.Harwood,Plenum Publishing Corporationを参照)。
【0077】
プロテアーゼに関する実施態様において、変異体プロテアーゼ活性は種々の市販基質(限定されないが、カゼイン、ケラチン、エラスチン及びコラーゲンなど)を用いてプロテアーゼ相互作用を調べることにより測定及び目的プロテアーゼと比較できる。実際に、プロテアーゼ活性は当業界に公知の適当な方法により測定できる。プロテアーゼ活性を測定する典型的な例としては、限定されないが、スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−paraニトロアニリド(SAAPFpNA)(引用)分析、及び2,4,6−トリニトロベンゼンスルホネートナトリウム塩(TNBS)分析などがある。SAAPFpNA分析において、プロテアーゼはペプチドとp−ニトロアニリン間の結合を切断して、405nmに可視黄色吸収を生じる。TNBS呈色反応法において、該分析は基質から遊離アミノ基を含むポリペプチドへの酵素加水分解を測定する。これらのアミノ基はTNBSと反応して黄色複合体を形成する。従って、反応して色が深くなるほど、より多くの活性が測定される。黄色は当業界に公知の種々の分析器または分光光度計により測定できる。
【0078】
変異体プロテアーゼのその他の特性は当業界に公知の方法により測定できる。典型的な特性は、限定されないが、熱安定性、アルカリ安定性、及び種々の基質における特定プロテアーゼの安定性または緩衝溶液または生成物形成などである。
【0079】
ここに記載する酵素安定性分析手順と組み合わせた場合、ランダム変異により得られる変異体は酵素活性を維持しながら増加または減少したアルカリまたは熱安定性を示すものを同定できる。
【0080】
アルカリ安定性は公知の手順により、またはここに記載の方法により測定できる。アルカリ安定性の実質的な変化は、前駆体タンパク質と比較した場合、変異体の酵素活性半減期が少なくとも約5%以上の増加または減少(ほとんどの実施態様において、好ましくは増加)することにより証明される。
【0081】
熱安定性は公知の手順により、またはここに記載の方法により測定できる。熱安定性の実質的な変化は前駆体タンパク質と比較して比較的高温及び中性pHに曝露された場合、変異体の触媒活性の半減期が約5%以上増加または減少(ほとんどの実施態様において、好ましくは増加)することにより証明される。
【0082】
ここで用いる、“パーソナルケア製品”とは、髪、肌、頭皮、歯の洗浄に用いる製品を意味し、限定されないが、シャンプー、ボディーローション、シャワー用ジェル、局所用保湿剤、歯磨き粉、及び/またはその他の局所用洗剤などがある。いくつかの特に好ましい実施態様において、これらの製品はヒトが利用するものであり、一方、他の実施態様において、これらの製品はヒト以外の動物にも使用できる(例えば、獣医用途)。
【0083】
ここで用いる“スキンケア組成物”とは、肌を洗浄及び/または保湿するための局所用途に用いる製品を意味する。当該組成物は、限定されないが、保湿体用洗浄剤、シャワー用ジェル、ボディーローション、保湿顔用クリーム、メイク落とし及びローションなどがある。
【0084】
ここで用いる“洗浄組成物”は、布、皿、コンタクトレンズ、その他の固体基質、髪(シャンプー)、肌(石けん及びクリーム)、歯(マウスウォッシュ、歯磨き粉)等の基質から望ましくない成分を除去するために用いることができる組成物である。
【0085】
ここで用いる“洗浄組成物物質”の語は特定タイプの望ましい洗浄組成物及び製品の形態(例えば、液体、顆粒、スプレー組成物)に関して選択する液体、固体、または気体物質をいい、当該物質は該組成物に使用されるプロテアーゼ酵素と適合するものでもある。洗浄組成物物質の特定の選択は表面、洗浄する品目または布、及び使用時の洗浄状態に関する(例えば、洗浄洗剤使用により)組成物の望ましい形態を考慮することにより容易に行える。
【0086】
ここで用いる“硬い表面(hard surface)用洗浄組成物”の語は床、壁、浴室タイル等の硬い表面を洗浄するための洗剤組成物をいう。当該組成物は限定されないが、固体、液体、エマルジョン等などの形態で提供される。
【0087】
ここで用いる“食器洗い組成物”とは、皿を洗浄するための全ての形態の組成物をいい、限定されないが、顆粒及び液体形状を含む。
【0088】
ここで用いる“布洗浄組成物”とは、布を洗浄するための全ての形態の洗剤組成物をいい、限定されないが、顆粒、液体及びバー状形態を含む。ここで用いる“布”とは任意の繊維材料をいう。
【0089】
ここで用いる“適合する(compatible)”とは、洗浄組成物物質が、プロテアーゼが通常の使用状態で望むとおりの有効でなくなる程度までプロテアーゼ酵素のタンパク質分解活性を減少させないことを意味する。具体的な洗浄組成物物質については以下に詳細を説明する。
【0090】
ここで用いる“プロテアーゼ酵素の有効量”とは、特定用途(パーソナルケア製品、洗浄組成物等)において必要な酵素活性を達成するために必要なプロテアーゼ酵素(例えば、ズブチリシンカールスバーグ)の量をいう。当該有効量は当業者により容易に確認され、使用する特定酵素、洗浄用途、洗浄組成物の特定組成、及び液体または乾燥(例えば、顆粒、バー状)組成物のどちらが良いか等の多くの要素に基づくものである。
【0091】
ここで用いる“非布洗浄組成物”とは硬い表面用洗浄組成物、食器洗い組成物、口内洗浄組成物、入れ歯洗浄組成物、及びパーソナル洗浄組成物を含む。
【0092】
ここで用いる“口内洗浄組成物”とは、歯磨剤、練歯磨き、歯磨きジェル、歯磨き粉、マウスウォッシュ、マウススプレー、マウスジェル、チューイングガム、薬用キャンディー、香料袋(sachets)、タブレット、バイオジェル、病気予防ペースト、歯の治療溶液等をいう。
【0093】
ここで用いる“薬学的に許容できる”とは、薬剤、薬品、及び/または不活性成分を意味し、該語の記載は、ヒト及びその他の動物の組織に接触して使用するために適しており、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応等がなく、妥当な利益/危険度比と釣り合いのとれたものをいう。
【0094】
本発明のタンパク質変異体の多くは種々の洗剤組成物を形成するのに有用である。多数の公知の化合物は本発明のタンパク質変異体を含む組成物において有用な適した界面活性剤である。これらは非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両性イオン洗剤を含む(例えば、米国特許第4,404,128号、及び米国特許第4,261,868号を参照)。適当な洗剤処方は米国特許第5,204,015号に記載されている。当業者は洗浄組成物として使用できる別の処方についてよく知っている。一般的な洗浄組成物に加えて、本発明のタンパク質変異体は天然または野生型タンパク質を使用する任意の目的において使用できることが当業者であれば容易に理解できる。従って、これらの変異体は、例えば、バーまたは液体石けん用途、食器用処方、表面洗浄用途、コンタクトレンズ洗浄溶液または製品、ペプチド加水分解、廃棄物処理、織物用途、融合切断酵素としてタンパク質製品等に使用できる。実際に、本発明の変異体はいかなる特定の使用にも限定されるものではない。例えば、本発明の変異体は減少したアレルギー性/免疫原性に加えて、高められた洗剤組成物性能を含む(前駆体と比較して)。ここで用いる、洗剤の高められた性能とは、標準洗浄サイクル後の通常評価により測定して、特定酵素に敏感なシミ(例えば、草または血液)の洗浄が増加したものとして定義される。
【0095】
タンパク質、特に本発明のプロテアーゼは、約0.01〜約5重量%(好ましくは0.1重量%〜0.5重量%)のレベルでpHが6.5〜12.0の公知の粉末及び液体洗剤中に処方できる。いくつかの実施態様において、これらの洗剤洗浄組成物はさらに、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼまたはエンドグリコシダーゼなどの酵素及びビルダー及び安定剤を含む。
【0096】
従来の洗浄組成物にタンパク質を添加することによりいかなる特別な用途限定も生じない。言い換えれば、当該洗剤に適した温度及びpHは、pHが上述の範囲内であり、温度が記載したタンパク質の変性温度以下である限り、本発明の組成物にも適している。さらに、本発明のタンパク質は洗剤なしで洗浄組成物に使用することができ、単独またはビルダー及び安定剤との組み合わせで使用できる。
【0097】
1の実施態様において、本発明は本発明の変異体タンパク質を含む織物処理用組成物を提供する。当該組成物は絹またはウールの処理に使用できる(例えば、米国再発行特許第216,034号、欧州特許第134,267号、米国特許第4,533,359号、及び欧州特許第344,259号を参照)。これらの変異体は、当業界に公知の方法を用いてタンパク質分解活性及びこれらの用途に関するそれらの安定性に関してスクリーニングできる。
【0098】
上述の通り、本発明のタンパク質は、その前駆体DNAによりエンコードされる天然タンパク質と比較した場合、変化した免疫反応(例えば、抗原性及び/または免疫原性)を示す。いくつかの好ましい実施態様において、当該タンパク質(例えば、プロテアーゼ)は減少したアレルギー性/免疫原性を示す。当業者は本発明のプロテアーゼの使用はタンパク質の免疫特性について大部分が決定されるであろうことを容易に理解する。例えば、減少した免疫反応を示すプロテアーゼは洗浄組成物において使用できる。ここに記載する1以上のプロテアーゼ変異体の有効量はタンパク性シミ除去が必要な種々の表面を洗浄するために有用な組成物に使用できる。当該洗浄組成物は、硬い表面を洗浄するための洗剤組成物、布を洗浄する洗剤組成物、食器洗い用組成物、口内洗浄組成物、及び入れ歯洗浄組成物を含む。
【0099】
減少したアレルギー性/免疫原性を有する1以上の関連及び/または変異体タンパク質の有効量で、本発明の方法に従いランク付けされたものは、爪及び髪などの角質材料に適当される種々の組成物において使用でき、限定されないが、ヘアスプレー組成物、ヘアシャンプー及び/またはコンディショニング組成物、育毛調節用途組成物及び脂漏症、皮膚炎及び/またはフケを処理する目的で髪及び頭皮に適用される組成物として有用なものがある。
【0100】
ここに記載する1以上のプロテアーゼ変異体の有効量は肌または髪への局所用途に適した組成物に含んで使用できる。これらの組成物はクリーム、ローション、ジェル等の形態となることができ、水溶液組成物として処方でき、または水性連続相中に1以上の油相を含むエマルジョンとして処方できる。
【0101】
さらに、減少したアレルギー性/免疫原性を有する関連及び/または変異体タンパク質はその他の用途で使用でき、医薬用途、ドラッグデリバリー用途及びその他のヘルスケア用途などがある。
【0102】
スキンケア活性
いくつかの実施態様において、本発明により提供される組成物は約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約2重量%〜約8重量%のレベルでスキンケア活性を含む。ここで使用する適当なスキンケア活性の非限定的な例として、ビタミンB成分、パンテノール、ビタミンE、ビタミンE酢酸、レチノール、レチニルプロピオネート、レチニルパルミテート、レチノイン酸、ビタミンC、テオブロミン、α−ヒドロキシ酸、ファルネソール、フィタントリオール、サリチル酸、パルミチル ペプタペプチド−3及びこれらの混合物などがある。
【0103】
B3化合物
ここで用いる“ビタミンB化合物”とは以下の式を有する化合物を意味する:
【数1】

【0104】
ここでRは−CONH(すなわち、ナイアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)または−CHOH(すなわち、ニコチニルアルコール)、それらの誘導体及び前述のいずれかの塩である。前述のビタミンB化合物の典型的な誘導体としては、ニコチン酸エステルを含み、ニコチン酸の非血管拡張エステル、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシド及びナイアシンアミドN−オキシドなどがある。
【0105】
ニコチン酸の適当なエステルとしては、C−C22のニコチン酸エステル、好ましくはC−C16、より好ましくはC−Cアルコールがある。アルコールは好ましくは、直鎖または分岐鎖、環式または非環式、飽和または不飽和(芳香族を含む)及び置換または非置換のアルコールである。当該エステルは好ましくは非血管拡張性である。ここで用いる、“非血管拡張性”とは、対象組成物を肌に適用後、当該エステルが通常、目に見える炎症反応を生じないということを意味する(すなわち、通常の集団の大部分が目に見える炎症反応を経験しないが、当該化合物は裸眼では確認できない血管拡張を生じ得る)。ニコチン酸の非血管拡張性エステルはトコフェロールニコチネート及びイノシトールヘキサニコチネートを含み、トコフェロールニコチネートが好ましい。ビタミンB化合物のより完全な説明はWO98/22085にある。好ましいB化合物はナイアシンアミド及びトコロフェロールニコチネートである。
【0106】
レチノイド
他の適当なスキンケア活性はレチノイドである。ここで用いる、“レチノイド”は、肌においてビタミンAの生物学的活性を有するビタミンAまたはレチノイド様化合物の天然及び/または合成類似体の全て、及びこれらの化合物の幾何異性体及び立体異性体を含む。レチノイドがここに記載の組成物に含まれる場合、通常は約0.005%〜約2%、より好ましくは0.01%〜約2%レチノイドを含む。レチノールは好ましくは約0.01%〜約0.15%の量で用い、レチノールエステルは好ましくは約0.01%〜約2%(例えば、約1%)の量で用いる。
【0107】
レチノイドは好ましくはレチノール、レチノールエステル(例えば、レチノールのC−C22アルキルエステル、レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネートがある)、レチナール及び/またはレチノイン酸(全てのトランスレチノイン酸及び/または13−シス−レチノイン酸)であり、より好ましくはレチノイン酸以外のレチノイドである。これらの化合物は当業界に公知であり、多数の供給元から入手可能である(例えば、Sigma Chemical Company(セントルイス、ミズーリ州)、及びBoehringer Mannheim(インディアナポリス、インディアナ州)。好ましいレチノイドは、レチノール、レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネート、レチナール、レチノイン酸及びこれらの組み合わせを含む。より好ましいレチノイドはレチノール、レチノイン酸プロピオネート、レチノイン酸及びレチニルパルミテートが含まれる。レチノイドは実質的に純度の材料として含むことができ、または天然源(例えば、植物)から適当な物理的及び/または化学的単離により得られた抽出物として含むことができる。
【0108】
キャリア
本発明の組成物は安全で有効量の皮膚科学的に許容できるキャリアであって、必須物質及び任意のその他の物質が肌または髪に適当な濃度で運ばれることを可能にするために組込む範囲で肌及び/または髪への局所用途に適したものを使用できることがさらに考えられる。従って、当該キャリアは、選択した標的上に適当な濃度で確実に均一塗布または分布できるように必須成分の希釈剤、分散剤、溶媒等として作用する。
【0109】
本発明で利用されるキャリアの種類は当該組成物に望ましい製品形態のタイプに依存する。本発明はいかなる特定形態のキャリアにも限定されるものではないが、最も一般的には、固体、半固体または液体である。適当なキャリアは液体または半固体であり、クリーム、ローション、ジェル、スティック、軟膏、ペースト及びムース状などである。好ましくは、キャリアはローション、クリームまたはジェルの形態であり、より好ましくは粒子が沈殿するのを防ぐために十分な濃さまたは収量を有する。キャリアはそれ自身が不活性であり、またはそれ自身が皮膚科学的利点を有する。キャリアは直接肌及び/または髪に適当してもよく、または織布または不織布繊維または布を通して適当してもよい。また、パッチ、マスクまたはラップの形態であってもよい。また、エアゾール化または肌及び/または髪上にスプレーしてもよい。キャリアはここに記載した必須成分と物理的及び化学的に適合性を有するものでもあり、過度に安定性、効率またはその他の本発明の組成物に関する使用利点を損なうものであるべきでない。
【0110】
好ましいキャリアは皮膚科学的に許容できる、親水性希釈剤を含む。適当な親水性希釈剤は、水、C−C一価アルコール及び低分子量グリコール及びポリオールなどの有機親水性希釈剤が挙げられ、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、分子量200〜600)、ポリプロピレングリコール(例えば、分子量425〜2025)、グリセロール、ブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6−ヒキサメトリオール(hexametriol)、エタノール、イソプロパノール、ソルビトールエステル、エトキシル化エーテル、プロポキシル化エーテル及びこれらの組み合わせなどを含む。希釈剤は好ましくは液体である。水は好ましい希釈剤である。組成物は好ましくは少なくとも約20%の親水性希釈剤を含む。
【0111】
適当なキャリアは親水性相、特に水相及び疎水性相(脂質、油または油性物質)を含むエマルジョンも含む。当業界に公知であるように、親水性相は疎水性相中に分散し、または反対に、組成物成分に応じて、それぞれ親水性または疎水性の分散及び連続相を形成する。エマルジョン技術において、公知の語“分散相”とは、相が連続相に囲まれて、懸濁した小さい粒子または小滴として存在することを意味する。分散相は内部または不連続相としても公知である。エマルジョンは水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンであり、または含むことができ(例えば、三相またはその他の複数相エマルジョン)、シリコーン中水型エマルジョンなどである。水中油型エマルジョンは通常約1%〜約60%(好ましくは約1%〜約30%)の所望の疎水性相及び約1%〜約99%(好ましくは約40%〜約90%)の連続親水性相を含み、油中水型エマルジョンは通常、約1〜約98%(好ましくは約40%〜約90%)の所望の親水性相及び約1%〜約50%(好ましくは約1%〜約30%)の連続疎水性相を含む。
【0112】
保湿剤
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は好ましくは約0.01%〜約20%、より好ましくは約0.1%〜約15%及び特に好ましくは約0.5%〜約10%のレベルで存在する保湿剤を含む。好ましい保湿剤は、限定されないが、多価アルコール、尿素、DまたはDLパンテノール、パントテン酸カルシウム、ロイヤルゼリー、パンテチン、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、ピリドキシン、パントイルラクトース・ビタミンB複合体、ヘキサン−1,2,6−トリオール、グアニジンまたはその誘導体及びこれらの混合物から選択される化合物を含む。
【0113】
ここで使用するために適当な多価アルコールは、ポリアルキレングリコール、及びより好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体を含み、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びこれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、エリトリトール、トレイトール、ペンタエリトリトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール(例えば、1,3−ブチレングリコール)、ヘキサントリオール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール)、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、エトキシル化グリセリン、プロパン−1,3ジオール、プロポキシル化グリセリン及びこれらの混合物などがある。上述の多価アルコールのアルコキシル化誘導体に本発明での使用に適している。本発明の好ましい多価アルコールはグリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン及びプロポキシル化グリセリン、及びこれらの混合物から選択される。
【0114】
本発明で有用な適した保湿剤はナトリウム2−ピロリドン−5−カルボキシレート(NaPCA)、グアニジン、グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び第4アルキルアンモニウム)、乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び第4アルキルアンモニウム)、種々の形態のアロエベラ(例えば、アロエベラジェル)、ヒアルロン酸及びその誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウムなどの塩誘導体)、ラクトアミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミン、尿素、パンテノール及びその誘導体及びこれらの混合物である。
【0115】
保湿剤の少なくとも一部(組成物の約5重量%以下)は微粒子架橋疎水性アクリル酸塩またはメタクリル酸塩コポリマーとの混合物の形態で組込むことができ、それ自身、好ましくは約0.1〜約10%の量で存在し、水または分散相に加えることができる。このコポリマーは特に、効果的な保湿利点を与えるのを助けつつ、光沢を減少させ、油分を制御するのに有用であり、ここに引用するWO96/03964にさらに詳細が記載されている。
【0116】
皮膚軟化剤
いくつかの実施態様において、本発明の水中油型エマルジョンの実施態様は約1%〜約20%、好ましくは約1.5%〜約15%、より好ましくは約0.1%〜約8%及びさらにより好ましくは約0.5%〜約5%の皮膚科学的に許容される皮膚軟化剤を含む。皮膚軟化剤は皮膚を円滑にする傾向があり、滑らかさ及び柔軟性を増加させ、乾燥を防止または軽減し、及び/または肌を保護する傾向がある。皮膚軟化剤は通常、水と不混和性であり、高分子量の油性またはワックス性物質及び皮膚軟化剤は局所用組成物に粘着特性を与えることができる。多種多様の適当な皮膚軟化剤が公知であり、本発明で使用できる。例えば、Sagarin,Cosmetics,Science and Technology,第2版、Vol.1、第32〜43頁(1972)は皮膚軟化剤としての使用に適した物質の多数の例を含む。さらに、WO00/24372で議論されている全ての皮膚軟化剤は本発明の使用に適したものと考えられるが、好ましい例についてさらに以下に詳細を概説する:
i)約7〜約40炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖炭化水素、例えばドデカン、スクアラン、コレステロール、水素化ポリイソブチレン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタヘキサコンタン、イソヘキサペンタコンタヘクタン、及びC−C40分岐鎖炭化水素であるC−C40イソパラフィン。本発明の使用に適した分岐鎖炭化水素はイソペンタコンタオクタクタン、流動パラフィン及びこれらの混合物から選択される。Permethyl(登録商標)の商標で販売されており、Presperse Inc.,South Plainfield,N.J.から市販の分岐鎖脂肪族炭化水素は本発明の使用に適している。
ii)C−C30カルボン酸、C12−C15安息香酸アルキル及びC−C30ジカルボン酸のC−C30アルコールエステル、例えば、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソステアリル、オクタン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸トリデシル、オクタン酸ミリスチル、ペラルゴン酸オクチル、イソノナン酸オクチル、ミリスチン酸ミリスチル、ネオペンタン酸ミリスチル、オクタン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、プロピオン酸ミリスチル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸メチル、ベヘン酸ベヘニル、マレイン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル及びジリノール酸ジイソプロピル及びこれらの混合物。
iii)糖類及び関連物質のC−C30モノ−及びポリ−エステル。これらのエステルは糖またはポリオール部分及び1以上のカルボン酸部分から得られる。構成酸及び糖に応じて、これらのエステルは室温で液体または固体である。例としては、テトラオレイン酸グルコース、オレイン酸のガラクトーステトラエステル、テトラオレイン酸ソルビトール、テトラオレイン酸スクロース、ペンタオレイン酸スクロース、ヘキサオレイン酸スクロース、ヘプタオレイン酸スクロース、オクタオレイン酸スクロース、ソルビトールヘキサエステルがあり、カルボン酸エステル部分はモル比が1:2のパルミトレイン酸とアラキジン酸及びスクロースのオクタエステル(octaester)であり、エステル化カルボン酸部分はモル比が1:3:4のラウリン酸、リノレン酸及びベヘン酸である。その他の物質は綿実油またはスクロースの大豆油脂肪酸エステルを含む。当該物質のその他の例としては、WO96/16636に記載されている。特に好ましい物質はINCLの名前のスクロースポリコットンシーデート(polycottonseedate)により公知である。
iv)植物油及び水素化植物油。植物油及び水素化植物油の例としては、ベニバナ油、ココナッツ油、綿実油、メンハーデン油、パーム核油、ヤシ油、ピーナッツ油、大豆油、菜種油、リンシード油、ぬか油、松根油、ゴマ油、ヒマワリ油、前述の供給源から部分及び完全に水素化された油、及びこれらの混合物が挙げられる。
v)溶性またはコロイド性−溶性保湿剤。例としては、ヒアルロン酸及びでんぷんグラフトポリアクリル酸ナトリウム、例えばCelanese Superabsorbent Materials,Portsmith,VAから市販のSanwet(登録商標)IM−1000、IM−1500及びIM−2500があり、米国特許第4,076,663号に記載されている。
【0117】
本発明で使用する好ましい皮膚軟化剤はイソヘキサデカン、イソオクタコンタン、流動パラフィン、イソノナン酸イソノニル、オクタン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸トリデシル、オクタン酸ミリスチル、イソノナン酸オクチル、ミリスチン酸ミリスチル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸イソプロピル、C12〜C15安息香酸アルキル及びこれらの混合物である。本発明で使用する特に好ましい皮膚軟化剤はイソヘキサデカン、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸イソプロピル、流動パラフィンまたはこれらの混合物である。
【0118】
乳化剤/界面活性剤
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は乳化剤及び/または界面活性剤を含み、通常は連続水相内の分散相が分散及び懸濁するのを助ける。界面活性剤は製品が肌洗浄を目的とするものである場合も有用である。以下、便宜上、乳化剤は“界面活性剤”の語に含むものとする。従って、“界面活性剤”とは乳化剤として用いるか、肌洗浄などその他の界面活性目的であるかに関わらず、表面活性剤をいう。公知または従来の界面活性剤は、選択した物質が組成物の必須成分と化学的及び物理的に適合性であり、所望の性質を与える場合、本発明の組成物に使用できる。適当な界面活性剤は非シリコーン由来物質及びその混合物を含む。WO00/24372に説明されている全ての界面活性剤は本発明での使用に適していると考えられる。
【0119】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は約0.05〜約15%の界面活性剤または界面活性剤の混合物を含む。選択した正確な界面活性剤または界面活性剤混合物は組成物のpH及び存在するその他の成分に依存する。
【0120】
本発明で有用な非イオン性界面活性剤は、糖またはでんぷんポリマー(すなわち、グリコシド)を含む長鎖アルコール(例えば、C−C30アルコール)の縮合生成物として広く定義できるものである。その他の有用な非イオン性界面活性剤は脂肪酸を含むアルキレンオキシド(すなわち、脂肪酸のアルキレンオキシドエステル)の縮合生成物を含む。これらの物質は一般式RCO(X)nOHを有し、RはC10−C30アルキル基、Xが−OCHCH−(すなわち、エチレングリコールまたはオキシドから得られる)または−OCHCHCH−(すなわち、プロピレングリコールまたはオキシドから得られる)、及びnが約6〜約200の整数である。その他の非イオン性界面活性剤は2モルの脂肪酸を含むアルキレンオキシドの縮合生成物(すなわち、脂肪酸のアルキレンオキシドジエステル)である。これらの物質は一般式RCO(X)OOCRを有し、RはC1030アルキル基、Xは−OCHCH−(すなわち、エチレングリコールまたはオキシドから得られる)または−OCHCHCH−(すなわち、プロピレングリコールまたはオキシドから得られる)、及びnが約6〜約100の整数である。ここで使用する乳化剤は最も好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル及びスクロース脂肪酸エステルの混合物に基づく脂肪酸エステルブレンドであり、特にステアリン酸ソルビタンとスクロースココエートのブレンドである。これは商標名Arlatone2121でICIから市販されている。さらに適した例として、セテアリルアルコール、セテアリルグルコシドの混合物が挙げられ、例えば、商標名Montanov68でSeppicから市販及びEmulgade PL68/50でHenkelから市販のものがある。
【0121】
いくつかの実施態様において、本発明で有用な親水性界面活性剤は代わりにまたはさらに、当業界に公知の多種多様の陽イオン性、陰イオン性、両性イオン及び両性界面活性剤を含む(例えば、米国特許第5,011,681号、米国特許第4,421,769号及び米国特許第3,755,560号を参照)。多種多様の陰イオン性界面活性剤も本発明の組成物において使用できる(例えば、米国特許第3,929,678号を参照)。典型的な陰イオン性界面活性剤はイセチオン酸アルキル(例えば、C12−C30)、アルキル及びアルキルエーテルサルフェート及びこれらの塩、アルキル及びアルキルエーテルホスフェート及びこれらの塩、アルキルメチルタウリン酸(例えば、C12−C30)及び脂肪酸の石けん(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩などのアルカリ金属塩)を含む。
【0122】
両性及び両性イオン界面活性剤も本発明の組成物で使用できる。本発明の組成物で使用できる両性及び両性イオン界面活性剤の例として、脂肪族第2及び第3アミンの誘導体として広く説明されるものがあり、ここで脂肪族ラジカルは直鎖または分岐鎖であり、脂肪族置換基の一つは約8〜約22の炭素原子(好ましくはC〜C18)を含み、1つは陰イオン水可溶化基(anionic water solubilizing group)(例えば、カルボキシ、スルホネート、ホスフェート、またはホスホネート)を含む。例としては、アルキルイミノ酢酸、イミノジアルカノエート及びアミノアルカノエート、イミダゾリニウム及びアンモニウム誘導体が挙げられる。その他の適当な両性及び両性イオン界面活性剤はベタイン、サルテイン(sultaine)、ヒドロキシサルテイン、及び分岐及び非分岐アルカノイルサルコシン及びこれらの混合物からなる群より選択されるものを含む。
【0123】
いくつかの実施態様において、本発明のエマルジョンは乳化剤または界面活性剤を含んだシリコーンをさらに含む。多種多様なシリコーン乳化剤が本発明で使用できる。これらのシリコーンエマルジョンは通常有機的に修飾したオルガノポリシロキサンであり、当業者にはシリコーン界面活性剤としても公知である。有用なシリコーン乳化剤はジメチコンコポリマーなどがある。これらの物質は、酸化ポリエチレン鎖、酸化ポリプロピレン鎖、これらの鎖の混合物及び酸化エチレン及び酸化プロピレンの両方から得られる部分を含むポリエーテル鎖などのポリエーテル側鎖を含むように修飾されたポリジメチルシロキサンである。その他の例としては、アルキル修飾ジメチコンコポリマー(すなわち、C−C30ペンダント側鎖を含む化合物)を含む。さらに別の有用なジメチコンコポリマーは種々の陽イオン、陰イオン、両性及び両性イオンペンダント部分を有する物質を含む。
【0124】
ポリマー増粘剤
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は少なくとも1のポリマー増粘剤(thickening agent)を含む。本発明で有用なポリマー増粘剤の数平均分子量は好ましくは20,000以上、より好ましくは50,000以上及び特に100,000以上である。いくつかの実施態様において、本発明の組成物は組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約8重量%及び最も好ましくは約0.5重量%〜約5重量%のポリマー増粘剤またはこれらの混合物を含む。
【0125】
本発明で使用する好ましいポリマー増粘剤は非イオン性増粘剤及び陰イオン性増粘剤またはこれらの混合物を含む。適当な非イオン性増粘剤はポリアクリルアミドポリマー、架橋ポリ(N−ビニルピロリドン)、多糖類、天然または合成ゴム、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルアルコールを含む。適当な非イオン性増粘剤はアクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、カルボキシビニルポリマー及びアルキルビニルエーテル及び無水マレイン酸の架橋コポリマーを含む。本発明の使用に特に好ましい増粘剤は、ポリアクリルアミド及びイソパラフィン及びSepigel305の商標名でSeppic Corporationから市販のラウレス−7及びアクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー及びCARBOPOL(登録商標)樹脂の商標名でB.F.Goodrich Companyから市販のカルボキシビニルポリマーまたはこれらの混合物などの非イオン性ポリアクリルアミドポリマーである。いくつかの実施態様において、適当なCARBOPOL(登録商標)樹脂は疎水的に修飾する。別の適当な樹脂はWO98/22085に記載されている。これらの樹脂の混合物は本発明で使用できると考えられる。
【0126】
シリコーン油
いくつかの実施態様において、本発明は少なくとも1のシリコーン油相を含む。シリコーン油相は通常、組成物の約0.1%〜約20%、好ましくは約0.5〜約10%、より好ましくは約0.5%〜約5%を含む。各シリコーン油相は好ましくは1以上のシリコーン成分を含む。
【0127】
いくつかの実施態様において、シリコーン成分は流動体であり、直鎖、分岐鎖及び環式シリコーンを含む。本発明で有用な適当なシリコーン流動体はポリアルキルシロキサン流動体、ポリアリールシロキサン流動体、環式及び線状ポリアルキルシロキサン、ポリアルコキシル化シリコーン、アミノ及び第4アンモニウム変性シリコーン、ポリアルキルアリールシロキサンまたはポリエーテルシロキサンコポリマー及びこれらの混合物を含むシリコーンを含む。シリコーン流動体は揮発性または不揮発性である。シリコーン流動体は通常、重量平均分子量が約200,000以下である。適当なシリコーン流動体は分子量が約100,000以下、好ましくは約50,000以下、最も好ましくは約10,000以下である。好ましくはシリコーン流動体は重量平均分子量が約100〜約50,000及び好ましくは約200〜約40,000のシリコーン流動体から選択される。通常、シリコーン流動体の粘度は25℃で、約0.65〜約600,000mm−1であり、好ましくは約0.65〜約10,000mm−1である。粘度は、Dow Corning Corporate Test Method CTM0004に記載のガラス毛細管粘度計手段により測定できる。本発明で使用できる適当なポリジメチルシロキサンは、例えばGeneral Electric CompanyからSF及びViscasil(登録商標)シリーズとして市販及びDow CorningからDow Corning 200シリーズとして市販のものがある。25℃で約0.65〜30,000mm.s−1の粘度を有する、本質的に不揮発性ポリアルキルアリールシロキサン(例えば、ポリメチルフェニルシロキサン)も有用である。これらのシロキサンは例えば、General Electric CompanyからSF1075メチルフェニル流動体として、またはDow Corningから556コスメティックグレード流動体として市販されている。本発明での使用に適した環式ポリジメチルシロキサンは約3〜約7(CHSiO部分を組込んだ環状構造を有するものである。
【0128】
シリコーンゴムも本発明で使用できる。ここで“シリコーンゴム”の語は、約200,000以上及び好ましくは約200,000〜約4,000,000の重量平均分子量を有する高分子量シリコーンを意味する。本発明は不揮発性ポリアルキル及びポリアリールシロキサンゴムを含む。好ましい実施態様において、シリコーン油相はシリコーンゴムまたはシリコーンゴムを含むシリコーンの混合物を含む。通常、シリコーンゴムは25℃で約1,000,000mm−1以上の粘度を有する。シリコーンゴムは当業界に公知のジメチコン(例えば、米国特許第4,152,416号を参照)、及びGeneral Electricシリコーンゴム製品データシートSE30、SE33、SE54及びSE76に記載のシリコーンゴムを含む。シリコーンゴムの具体的な例として、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)−(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)(メチルビニルシロキサン)コポリマー及びこれらの混合物を含む。本発明に使用する好ましいシリコーンゴムは、約200,000〜約4,000,000の分子量を有するシリコーンゴムであり、ジメチコノール、ジメチコンコポリオール、ジメチコン、及びこれらの混合物から選択される。
【0129】
ここでシリコーン相は好ましくはシリコーンゴム−流動体ブレンドの一部として組成物中に組込まれたシリコーンゴムを含む。シリコーンゴムがシリコーンゴム−流動体ブレンドの一部として組込まれた場合、シリコーンゴムは、シリコーンゴム−流動体ブレンドの好ましくは約5重量%〜約40重量%、特に約10重量%〜約20重量%を構成する。本発明の適当なシリコーンゴム−流動体ブレンドは特に以下からなる混合物である:
(i)ジメチコノール、フルオロシリコーン及びジメチコン及びこれらの混合物から選択された約200,000〜約4,000,000の分子量を有するシリコーン;及び
(ii)シリコーン流動体のキャリアであって、当該キャリアの粘度は約0.65mm−1〜約100mm−1である。
【0130】
ここで、i)対ii)の比は約10:90〜約20:80であり、ここでシリコーンゴムベースの成分の最終的な粘度は約100mm−1〜約100,000mm−1であり、好ましくは500mm−1〜約10,000mm−1である。
【0131】
さらに、本発明のシリコーン油相での使用に適したシリコーン成分は架橋ポリオルガノシロキサンポリマーであり、任意で流動キャリア中に分散させる。通常、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーはそのキャリア(もしあれば)と一緒に用い、組成物の0.1%〜約20%、好ましくは約0.5%〜約10%、より好ましくは約0.5〜約5%を含む。当該ポリマーは架橋剤により架橋されたポリオルガノシロキサンポリマーを含む。適当な架橋剤はWO98/22085に記載されたものを含む。本発明の使用に適したポリオルガノシロキサンポリマーの例としては、メチルビニルジメチコン、メチルビニルジフェニルジメチコン、及びメチルビニルフェニルメチルジフェニルジメチコンがある。
【0132】
本発明のシリコーン油相の使用に適した別のシリコーン成分の分類としては、少なくとも1のポリジオルガノシロキサン断片及び少なくとも1のポリオキシアルキレン断片を含むポリジオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレンコポリマーを含む。適当なポリジオルガノシロキサン断片及びこれらのコポリマーはWO98/22085に記載のものを含む。適当なポリジオルガノシロキサン−ポリアルキレンコポリマーはBelsil(登録商標)の商標名でWacker−Chemie BmbH,Munichから及びAbil(登録商標)でTh.Goldschmidt Ltd.,イングランドから市販されており、例えば、Belsil(登録商標)6031及びAbil(登録商標)B88183である。本発明の使用に特に好ましいコポリマー流動体ブレンドはCTFA表記ジメチコン/ジメチコンコポリオールを有するDow Corning DC3225Cを含む。
【0133】
サンスクリーン
さらに別の実施態様において、本発明は有機サンスクリーンを含んだ組成物を提供する。いくつかの実施態様において、適当なサンスクリーンはUVA吸収特性及び/またはUVB吸収特性を含む。サンスクリーン活性の正確な量は組成物に望ましい太陽光線保護指数(すなわち、“SPF”)及び望ましいUV保護レベルに応じて変化する。本発明の組成物は好ましくはSPFが少なくとも10、好ましくは少なくとも15である。SPFは紅斑に対するサンスクリーンの光保護指数に一般的に用いられる。SPFは保護した肌に生じる紅斑が最小限となるように必要とされる紫外線エネルギーの、同じ個体における保護されていない肌に同じ最小限の紅斑を生じるために必要な紫外線エネルギーに対する比として定義される(Fed.Reg.,43,No.166、38206−38269頁、1978年8月25日を参照)。使用するサンスクリーンの量は一般的には約2%〜約20%、より一般的には約4%〜14%である。適当なサンスクリーンは、限定されないが、Wenninger and McEwen(編集)、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第7版、第2巻、1672頁(コスメティック、トイレタリー、アンド フレグランス・アソシエーション,Inc.,ワシントン、D.C.、1977)に記載されているものがある。
【0134】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は約320nm〜約400nmの波長を有するUV線を吸収するUVA吸収サンスクリーン活性剤を含む。適当なUVA吸収サンスクリーン活性剤はジベンゾイルメタン誘導体、アントラニル酸メチル及びホモメチル、1−N−アセチルアントラニレート及びこれらの混合物などのアントラニル酸誘導体から選択される。ジベンゾイルメタンスンスクリーン活性剤の例は米国特許第4,387,089号及びLowe and Shaath(編集)、Sunscreens:Development,Evaluation,and Regulatory Aspects,Marcel Dekker,Inc(1990)に記載されている。UVA吸収サンスクリーン活性剤は好ましくは広域スペクトラムUVA保護を与えるような量で、独立して、または組成物に存在できる他のUV保護活性剤と組み合わせて存在する。
【0135】
適当なUVAサンスクリーン活性剤はジベンゾイルメタンサンスクリーン活性剤及びそれらの誘導体である。限定されないが、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルベタン、2,5−ジメチルジベンゾイルベタン、4,4’−ジイソプロピルベンゾイルメタン、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベン−ゾイルメタン、2−メチルー5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−4’−tert−ブチル−4’メトキシジベンゾイルメタン及びこれらの混合物から選択したものが挙げられる。好ましくはジベンゾイルサンスクリーン活性剤は、4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン及びこれらの混合物から選択されたものを含む。好ましいサンスクリーン活性剤は4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンである。
【0136】
サンスクリーン活性剤4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンは、ブチルメトキシジベンゾイルメタンまたはアボベンゾン(Avobenzone)としても知られ、PARSOL(登録商標)1789の商標名でGivaudan Roure(インターナショナル)S.A.(Basel,スイス)から、及びEUSOLEX(登録商標)9020でMerck&Co.,Inc(Whitehouse Station,NJ)から市販されている。サンスクリーン4−イソプロピルジベンゾイルメタンは、イソプロピルジベンゾイルメタンとしても知られ、EUSOLEX(登録商標)8020の商標名でMerckから市販されている。
【0137】
さらに別の実施態様において、本発明の組成物は約290nm〜約320nmの波長を有するUV線を吸収するUVBサンスクリーン活性剤を含む。当該組成物は、独立して、または組成物に存在できるその他のUV保護活性剤と組み合わせて安全で効果的にUVB保護を与える量のUVBサンスクリーン活性成分を含む。いくつかの実施態様において、当該組成物はUVB吸収有機サンスクリーンの約0.1重量%〜約16重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約12重量%、及び最も好ましくは約0.5重量%〜約8重量%を含む。
【0138】
種々のUVBサンスクリーン活性剤は本発明での使用に適している。当該有機サンスクリーン活性剤の非限定的例としては、米国特許第5,087,372号、米国特許第5,073,371号、米国特許第5,073,372号及びSgarin et al.,Cosmetics Scienece and Technology,チャプターVIII、189頁、以下参照に記載されているものを含む。別の有用なサンスクリーンは米国特許第4,937,370号及び米国特許第4,999,186号に記載されているものを含む。好ましいUVBサンスクリーン活性剤は、2−エチルへキシル−2−シアノ−3,2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、オキシベンゾン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、4,4’−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンフル、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ぶ)、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−スルホン酸(PBSA)、桂皮酸及びそれらの誘導体、例えば、2−エチルヘキシル−p−メトキシ桂皮酸及びオクチル−p−メトキシ桂皮酸、TEAサリチル酸、オクチルジメチチルPABA、カンフル誘導体及びそれらの誘導体及びこれらの混合物から選択される。好ましい有機サンスクリーン活性剤は2−メチルへキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ぶ)、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−スルホン酸(PBSA)、オクチル−p−メトキシ桂皮酸及びこれらの混合物である。酸性サンスクリーンの塩及び酸中和形態も本発明で有用である。
【0139】
本発明のいくつかの実施態様において、組成物はさらに、UV線への曝露上、光分解を防止し、それによりUVA保護効果を維持するために、UVAサンスクリーンを安定化させるのに有用な物質を含む。多種多様な化合物がこれら安定化特性を与えるものとして言及されている。これらの化合物はUVAサンスクリーン及び組成物全体の両方を補完するように選択することが考えられる。適当な安定化剤としては、限定されないが、米国特許第5,972,316号、第5,968,485号、第5,935,556号、第5,827,508号及びWO00/06110に記載されているものを含む。本発明で使用するための安定化剤の好ましい例としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ぶ)、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−3,3−ビス(4−メトキシフェニル)アクリレート、及びこれらの混合物を含む。2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートは最も好ましい。
【0140】
いくつかの実施態様において、肌を改善するために本発明に有用な組成物のいずれかに物質を添加し、特に高められた耐性を有するこれらの組成物は水により洗い落とされるか、こすり落とされる。当該利点を与える好ましい物質はエチレン及びアクリル酸のコポリマーである(米国特許第4,663,157号を参照)。
【0141】
有機サンスクリーンに加えて、いくつかの実施態様において、本発明の組成物はさらに無機物理的サンブロックを含む。適当な物理的サンブロックの非限定的な例は、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary、第6版、1995、1026−28頁及び1103頁、及びSayre et al.,J.Soc.Cosmet.Chem.,41:103−109(1990)に記載されている。好ましい無機物理的サンブロックは酸化亜鉛及び二酸化チタン及びこれらの混合物を含む。
【0142】
物理的サンブロックは、使用される場合、本組成物が皮膚上で透けて見えるような(すなわち、白くない)量で存在し、好ましくは約5%以下である。二酸化チタニウムを使用する場合、アナターゼ、ルチルまたはアモルファス構造を有することができる。物理的サンブロック粒子(例えば、二酸化チタニウム及び酸化亜鉛)は種々の物質で被覆または非被覆でき、限定されないが、アミノ酸、アルミニウム化合物、例えばアルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等、カルボン酸及びその塩、卵ステアリン酸及びその塩、レシチンなどのリン脂質、有機シリコーン化合物、シリカ及びケイ酸塩などの無機シリコーン化合物及びこれらの混合物を含む。好ましい二酸化チタニウムはTayca(日本)から市販されており、MTミクロイオン化シリーズ(例えば、MT100SAS)でTri−Kインダストリーズ(Emerson,NJ)により流通されている。いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、無機サンスクリーンの約0.1重量%〜約10重量%を含み、より好ましくは約0.1重量%〜約4重量%、及び最も好ましくは約0.5重量%〜約2.5重量%を含む。
【0143】
抗菌及び抗真菌作用剤
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は抗菌及び/または抗真菌作用剤を含む。本発明に有用な抗菌及び抗真菌作用剤の非限定的な例は、限定されないが、β−ラクタム剤、キノロン剤、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロバニリド(trichlorobanilide)、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタンブトール、ヘキサミジン、イセチオン酸塩、メトロニダゾール、ペンタミジン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネオマイシン(lineomycin)、メタサイクリン、メテンアミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、ネチルミシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾール、塩酸テトラサイクリン、亜鉛エリスロマイシン、エリスロマイシン・エストレート、ステアリン酸エリスロマイシン、硫酸アミカシン、塩酸ドキシサイクリン、硫酸カプレオマイシン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩酸クロルテトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸クリンダマイシン、塩酸エタンブトール、塩酸メトロニダゾール、塩酸ペンタミジン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸カナマイシン、塩酸リネオマイシン(lineomycin)、塩酸メタサイクリン、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、塩酸ミノサイクリン、硫酸ネオマイシン、硫酸ネチルミシン、硫酸パロモマイシン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸ミコナゾール、塩酸アマンファジン(amanfadine)、硫酸アマンファジン、octopirox、パラクロロメタ(parachlorometa)キシレノール、ナイスタチン、トルナフテート、クロトリマゾール、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ピロクトン・オラミン、硫化セレン、ケトコナゾール、トリクロカーボン、トリクロサン、亜鉛パイリシオン、イトラコナゾール、アジアティック酸、ヒノキチオール、mipirocin、塩化clinacycin、過酸化ベンゾイル、過酸化ベンジル、ミノサイクリン、フェノキシイソプロパノール、及びこれらの混合物及び欧州特許第0 680 745に記載されているものを含む。
【0144】
その他の任意の成分
いくつかの実施態様において、中和剤、香料及び着色料などの種々の任意の成分が本発明の組成物で使用できる。製品が肌の柔軟性/円滑性を高める追加成分は好ましい。さらに、製品の風合いにマイナスの影響を与えないような成分は好ましい。従って、コラーゲン及びエラスチンなどの高レベルのタンパク質は本発明に有用な組成物に通常、好ましいものではない。
【0145】
また、いくつかの実施態様において、本発明の組成物は約0.01%〜約10%、好ましくは約0.1%〜約5%のパンテノール保湿剤も含む。好ましい実施態様において、パンテノール保湿剤はD−パンテノール([R]−2,4−ジヒドロキシ−N−[3−ヒドロキシプロピル]−3,3−ジメチルブタマイド)、DL−パンテノール、パントテン酸カルシウム、ロイヤルゼリー、パンテチン、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、ピリドキシン及びパントイルラクトースから選択される。
【0146】
本発明で親水性ゲル化剤を含む酸性基を中和するのに適した中和剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、tris−バッファー及びトリエタノールアミンを含む。
【0147】
その他の任意の物質としては、角質溶解薬、好ましくは約0.1%〜約5%のレベルの例えば、Germall 115などの水溶性または可溶性保存料、ヒドロキシ安息香酸のメチル、エチル、プロピル及びブチルエステル、ベンジルアルコール、商標名Glydant PlusでLonzaから市販のDMDMヒダントイン・ヨードプロパニルブチルカーバネート、EDTA、Euxyl(登録商標)K400、Bromopol(2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール)及びフェノキシプロパノール、Irgasan(登録商標)及びフェノキシエタノールなどの抗菌剤(好ましくは0.1%〜約5%のレベル);ヒアルロン酸などの溶性またはコロイド性溶性保湿剤、及びセラニーズ(Celanese)Superabsorbent Materials,Portsmith,VAから市販の、及び米国特許第4,076,663号記載のSanwet(登録商標)IM−1000、IM−1500及びIM−2500などのでんぷんグラフトポリアクリル酸ナトリウム;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE及びその誘導体などのビタミン及びフィタントリオールなどのそれらの構成単位及びビタミンK及び脂肪族アルコールドデカトリエノールなどのそれらの成分;α及びβヒドロキシ酸;アロエベラ;スフィンゴシン及びフィトスフィンゴシン、コレステロール;肌美白剤;N−アセチルシステイン;着色剤;トリクロサン及びトリクロロカーボンとしても公知のTCC/TCSなどの抗菌剤;香料及び香料可溶化剤などがある。αヒドロキシ酸の例としては、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸アンモニウムと併用したグリコール酸、α−ヒドロキシエタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒロドキシカプリル酸、ヒドロキシカプリル酸、混合フルーツ酸、トリ−αヒドロキシフルーツ酸、トリプルフルーツ酸、サトウキビ抽出物、架橋脂肪酸α nutriumにおける1−αヒドロキシ酸及びグリコマーを含むαヒドロキシ及び植物を含む。αヒドロキシ酸の好ましい例はグリコール酸及び乳酸である。αヒドロキシ酸は10%以下のレベルで用いるのが好ましい。
【0148】
いくつかの実施態様において、抗炎症剤の本発明の組成物に安全かつ効果的な量で添加され、好ましくは組成物の約0.1%〜約5%、より好ましくは約0.1%〜約2%である。抗炎症剤は本発明の肌の風合い利点を高める(例えば、当該物質は肌の色合いまたは色をより均一にし、期待に沿うように寄与する)。本組成物に使用される抗炎症剤の正確な量は当該物質は効力がかなり異なるので、使用する特定の抗炎症剤に応じて変わる。
【0149】
さらに別の実施態様において、本発明の組成物はさらに酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーを含む。酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、角質層の落屑または質感変化の増加を引き起こすUV線に対する保護、及び肌ダメージを引き起こすその他の環境要因に対する保護を与えるために特に有用である。本組成物の約0.1%〜約10%、より好ましくは約1%〜約5%が適した量である。酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーはアスコルビン酸(ビタミンC)及びその塩などの化合物を含む。
【0150】
本発明のいくつかの実施態様においてキレート剤を含有させることは、過度の落屑または皮膚質感変化に寄与し得るUV線に対する保護及び肌ダメージを引起しうるその他の環境要因に対する保護を与えるために特に有用である。本組成物の約0.01%〜約1%、より好ましくは約0.05%〜約0.5%が適した量である。本発明で有用な典型的なキレートは米国特許第5,487,884号に記載されている。本発明の組成物に有用な好ましいキレート剤はエチレンジアミン4酢酸(EDTA)、フリルジオキシム及びそれらの誘導体を含む。
【0151】
さらに別の実施態様において、本発明の組成物は美白剤(skin lightenig agent)を含む。使用される場合、組成物は約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.2%〜約5%、さらに好ましくは約0.5%〜約2%の美白剤を含む。適当な美白剤は当業界に公知であり、コジック酸、アルブチン、アスコルビン酸及びそれらの誘導体(例えば、アスコルビン酸リン酸マグネシウム)を含む。本発明での使用に適した別の美白剤は、それぞれここに引用するWO95/34280及びWO95/23780に記載されたものも含む。トリクロサン及びトリクロロカーボンとしても公知のTCC/TCSなどの抗菌剤も本発明の組成物において有用である。
【0152】
その他の任意の物質としては顔料を含み、水溶性である場合、油相成分の合計レベルに寄与し、かつ含まれる。本発明の組成物での使用に適した顔料は有機及び/または無機である。“顔料”の語には低色またマット表面処理剤などの光沢を有する物質、及び光散乱剤も含まれる。好ましくは、本発明の組成物は屈折指数約1.3〜約1.7を有する粒子材料を含み、当該粒子材料は組成物中に分散され、約2〜約30μmの粒子サイズ中央値を有する。好ましくは、本発明で有用な微粒子は比較的狭い分布を有し、粒子の50%以上は各々の中央値の側面が3μm内となることを意味する。また、粒子の50%以上、好ましくは60%以上及びさらに好ましくは70%以上が各々の中央値の規定したサイズ範囲となることが好ましい。適当な粒子材料は有機またはオルガノシリコーンを含み、好ましくはオルガノシリコーンポリマーを含む。好ましい粒子は流動、固体、物質である。“固体”とは粒子が空洞でないことを意味する。空洞粒子中心の空洞は屈折指数に悪影響を有し、従って、肌または組成物上の粒子の視覚上の影響を有し得る。適当な有機粒子物質は上述の、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリアミド、ポリテン(ポリエチレン)、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリ(ビニリデンクロリド)から作られるものを含む。前述物質のモノマー由来コポリマーも使用できる。無機物質はシリカ及び窒化ホウ素を含む。本発明に有用な市販の微粒子物質の代表的な例としては、中央粒子サイズが約4.5μmであるTospearl(登録商標)145及びエチレン/アクリル酸コポリマーの中央粒子サイズが約10μmであるEA−209(登録商標)(Kobo)、商標名Orgasol2002でElf Atochem、フランスから市販のNylon−12、またはこれらの混合物である。
【0153】
適当な顔料のさらなる例としては、二酸化チタニウム、前もって分散させた二酸化チタニウム(Kobo)(例えば、Kobo GWL75CAP)、酸化鉄、アシグルタミン酸酸化鉄、群青、D&C染料、カルミン、及びこれらの混合物を含む。組成物の種類に応じて、顔料の混合物を使用することも多い。保湿、肌触り、肌の風合い及びエマルジョン適合性の観点から本発明で使用する好ましい顔料は処理済顔料である。顔料はアミノ酸、シリコーン、レシチン及びエステル油などの化合物を用いて処理できる。
【0154】
好ましくは、本発明の組成物のpHは約6.1〜約10.0の範囲であり、ここで最終生成物のpHは酸性、塩基性または緩衝塩を必要に応じて加えることにより調節する。
【0155】
組成物の調製
本発明の組成物は当業界に公知の標準技術により調製する。通常、水相及び/または油相は別々に調製し、分割した類似相の物質を任意の順番で加える。最終生成物がエマルジョンである場合、2つの相はそれから勢いよくかき混ぜながら混合する。高揮発性の処方中の成分、または高温で加水分解しやすい成分は、該当する場合、乳化後、処理の最後の方で穏やかにかき混ぜながら加えることができる。
【0156】
減少したアレルギー性/免疫原性を有するプロテアーゼも織物処理に用いることができる。“織物処理”とは織物や、布または衣類に織る、フェルトまたは編み込むことができる個々の糸または繊維を所望の特性を生じるように処理する方法を含む。当該所望の特性の例としては、“ストーン・ウォッシング”、けば取り、脱毛、糊抜き、軟化及び当業界に公知のその他の織物処理がある。
【0157】
本発明の1の実施態様において、ここで同定されるエピトープは免疫反応を誘導するために用いる(例えば、当該エピトープの1つまたは2つを含むプロテアーゼに対する抗体を生じることが望ましい場合)。当該抗体は、1または2のこれらの領域またはそれらと相同性が高い領域を含むその他のプロテアーゼのスクリーニングに使用できる。従って、本発明は1または2の以下の配列を含むプロテアーゼを提供する:バチルス・アミロリケファシエンスズブチリシンの(i)残基70−84及び/または(ii)残基109−123。本発明は単離中性エピトープ、組換えタンパク質、または合成ペプチド発現特異エピトープ領域を利用する免疫学的検定において具現化でき、これらまたは高相同性領域を含むタンパク質に対する個人の感作を評価する。
【0158】
他の実施態様において、本発明のエピトープ断片は当該断片に結合及び提示できるMHC分子を有する抗原提示細胞の検出に用いる。例えば、エピトープ断片は検出ラベルを含むことができる(例えば、放射性ラベル)。標識化断片はそれから、目的細胞を用いて培養し、そして標識断片を結合(または提示)する細胞を検出する。
【0159】
発明の詳細な説明
本発明はズブチリシン・カールスバーグタンパク質においてCD4T細胞エピトープを同定する方法を提供する。本発明は、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質(Carlsberg protein)内に組込まれた場合、ヒトにおいて変化した免疫原性反応、好ましくは低免疫原性反応を生じる変性ペプチドを生成する方法も提供する。特に、本発明ALCALASE(登録商標)酵素の免疫原性を減少させるために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。本発明は、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質配列に組込まれた場合、もはやCD4T細胞反応を開始することができず、または少なくともアレルギー反応が減少した変性ペプチドを生成する方法も提供する。特に、本発明は野生型ズブチリシン・カールスバーグの免疫原性を減少するために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。
【0160】
1の実施態様において、本発明はALCALASE(登録商標)酵素のT細胞エピトープを提供する。これらのエピトープはここで説明する種々の配列で提供され(図2及び3を参照)、限定されないが、ペプチド番号1(配列番号2)、ペプチド番号7(配列番号87)、ペプチド番号14(配列番号15)、ペプチド番号29(配列番号30)、ペプチド番号39(配列番号40)などがある。他の実施態様において、本発明はALCALASE(登録商標)酵素内の置換に適した同定エピトープの変性配列を提供する。
【0161】
本発明は野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質におけるCD4T細胞エピトープを同定する方法を提供する。本発明はさらに、もはやCD4T細胞反応を開始できないペプチドを生成する方法を提供する。特に、本発明はALCALASE(登録商標)酵素の免疫原性を減少させるために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。
【0162】
タンパク質に対する抗体の開発は活性化抗原提示細胞(APC)の表面上で提示されるタンパク質由来のペプチド断片から始める一連の事象を必要とする。ペプチドは抗原提示細胞の表面上の特異タンパク質に関連し、すなわち、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)(ヒトにおいて、MHCは“ヒト白血球抗原”(HLA)システムという)におけるタンパク質に関連する。結合ペプチドは第2の細胞型、T細胞と相互作用できる。具体的には、T細胞はその表面上でCD4タンパク質を発現することにより認識されるサブタイプである(すなわち、CD4T細胞)。相互作用がうまくいった場合、特異CD4T細胞は成長及び分割(すなわち、増殖)し、抗体生成細胞(すなわち、B細胞)と相互作用できるようになる。その相互作用がうまくいくと、B細胞は増殖し、元来のタンパク質に特異的な抗体の生成の中心となる。従って、抗体の最終的な生成は1のペプチド配列(すなわち、エピトープ)に特異なCD4T細胞の活性化の開始に応じたものとなる。ここに記載した組成物及び方法を用いることにより、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質などの標的タンパク質由来のどのペプチドが特定のCD4T細胞の活性化を開始できるかを予測できるようになる。
【0163】
本発明のいくつかの好ましい実施態様において、ズブチリシン・カールスバーグタンパク質は以下を含む:i)ALCALASE(登録商標)酵素(配列番号1);ii)ALCALASE(登録商標)酵素と類似の触媒活性を有し、配列番号1と少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%アミノ酸配列同一性を有し、好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する、ズブチリシン・カールスバーグタンパク質;及びiii)ズブチリシン・カールスバーグタンパク質の変異体。
【0164】
ズブチリシンは通常、ペプチド結合を切断する働きを有するセリンプロテアーゼ(一般的に細菌及び真菌性)である。ズブチリシンのアミノ酸配列は全体的に相同ではないが、ズブチリシンは同じまたは類似のタンパク質分解活性を示し、セリンプロテアーゼ、キモトリプシンの関連分類からそれらを区別する触媒三点セットを有する共通のアミノ酸配列を有する。触媒三点セットは、アミノからカルボキシ末端へ読んで、アスパラギン酸−ヒスチジン−セリンである。本発明の野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質及びその修飾タンパク質はこの触媒三点セットを有する。
【0165】
P00780及び図1(配列番号1)に示すように、ALCALASE(登録商標)酵素と類似の触媒活性を有するズブチリシン・カールスバーグタンパク質はバチルス・リケニフォルミスから得られるズブチリシン・カールスバーグタンパク質を含み、限定されないが、EMBLアクセッションコードX91262、EMBLアクセッションコードX91261及びEMBLアクセッションコードX91260を有するズブチリシンがある。これらのズブチリシンの触媒ドメインはALCALASE(登録商標)酵素と90%以上のアミノ酸配列同一性を有する。好ましい実施態様において、これらの野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質は、同定された有意な配列番号1のALCALASE(登録商標)酵素エピトープと共通した少なくとも1及び好ましくは1〜6の有意なエピトープを有する。
【0166】
本発明のいくつかの実施態様において、ズブチリシン・カールスバーグタンパク質の変異体は天然(例えば、バチルス・リケニフォルミス株から得たもの)であり、一方、他の実施態様において、それらは遺伝子組換え変異体(例えば、組換えタンパク質)である。これらの変異体は1以上のアミノ酸残基の変異を含む組換えタンパク質を含み、変異アミノ酸残基は有意なエピトープ以外の位置に見られる。例えば、いくつかの実施態様において、変異体は配列番号1の位置1−15、19−33、40−54、85−99及び115−129に対応する位置のアミノ酸残基に1以上の変異を含む。他の実施態様において、変異体は配列番号1の位置1−15、19−33、40−54、85−99及び115−129に対応する位置のアミノ酸残基に2以上のアミノ酸変異を含む。さらに別の実施態様において、変異体は配列番号1の位置1−15、19−33、40−54、85−99及び115−129に対応する位置のアミノ酸残基に2〜10または2〜6のアミノ酸変異を含む。いくつかの実施態様において、変異はアミノ酸またはアミノ酸配列の置換、欠失及び/または挿入を含み、変異は酵素の変性表現型を生じる。例えば、いくつかの実施態様において、変異は高められた酵素活性、高められた熱安定性、増加したアルカリ安定性及び/または所望の特性を生じる。
【0167】
修飾野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質を生じる1以上の有意エピトープに対する変異または修飾で、修飾ALCALASEまたは修飾変異体ズブチリシン・カールスバーグを含むものは、以下のものを含むことができる、a)エピトープ中の1以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入によるエピトープの修飾、またはb)相同タンパク質由来の類似配列を置換することによるエピトープの修飾であって、類似配列はT細胞認識に起因して親野生型ズブチリシン・カールスバーグよりも少ない免疫反応を生じる。
【0168】
本発明のいくつかの実施態様において、有意エピトープは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、及び15程度のエピトープ中のアミノ酸残基の置換、欠失及び/または挿入により修飾される。例えば、1の好ましい実施態様において、ペプチド番号39(配列番号40)であって、配列番号1の位置115−129に対応するアミノ酸残基を変異させる。変異アミノ酸配列は位置115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128及び/または129のうち1以上の置換を含む。他の実施態様において、変異ペプチドは115−129の位置の2以上の置換を含む。他の好ましい実施態様において、ペプチド番号7(配列番号8;配列番号1の位置19−33のアミノ酸残基に対応)を変異させる。これらの実施態様において、変異アミノ酸配列は19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、及び/または33(例えば、位置19−33)の1以上の位置の置換を含む。置換は異なるアミノ酸で野生型アミノ酸残基を置換することにより行う。いくつかの好ましい実施態様において、置換は中性L−アミノ酸の1つを用いるのが好ましい(すなわち、Ala、Asn、Asp、Cys、Glu、Gly、Phe、His、Ile、Lys、Leu、Met、Gln、Ser、Thr、Trp、Tyr及びVal)。さらに別の実施態様において、変異ペプチドはペプチド番号7であり、配列番号1の位置19−33に対応する1以上のアミノ酸残基の欠失を含む。さらに別の実施態様において、変異ペプチドはペプチド7及び8に対応し、配列QGFKGANVKVAVLDTGIQ(配列番号90)を有する。従って、目的エピトープにおいて、変異体ズブチリシン・カールスバーグタンパク質に減少した免疫原性を与える種々の修飾がされる。
【0169】
本発明のさらに別の実施態様において、修飾野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質は相同プロテアーゼ由来の類似エピトープ断片の置換を含み、類似エピトープ断片は、野生型母体で置換されたエピトープ比較して減少した免疫反応(例えば、減少したT細胞反応)を生じる。例えば、いくつかの実施態様において、ペプチド番号7(すなわち、配列番号1の位置19−33に対応する)はB.アミロリケファシエンス由来のズブチリシンBPN’またはB.ズブチリス由来のズブチリシン168などの他の相同ズブチリシンから得た類似断片と置換し、ここで類似断片は有意エピトープではない。いくつかの実施態様において、相同プロテアーゼは原核生物から得られ、一方他の実施態様において、真核生物から得られる。適当な原核生物の例としては、限定されないが、大腸菌及びシュードモナス種などのグラム陰性細菌、及びミクロコッカス種及びバチルス種などのグラム陽性細菌を含む。
【0170】
いくつかの実施態様において、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質のエピトープは当業界に公知の方法により修飾される(例えば、Zoller et al.,Nucl.Acids Res.,10:6487−6500[1982];及びYuckenberg et al.,(1991)、McPherson(編集)、Directed Mutagenesis:A Practical Approach,[1991]、27−48頁を参照)。上述の通り、これらの修飾はアミノ酸残基欠失、置換及び/または挿入を含む。例えば、1以上のアミノ酸残基は部位特異アミノ酸置換により修飾される。実際に、市販の変異誘発キットはこれらの変異体タンパク質の生成に使用できる。
【0171】
いくつかの実施態様において、置換、挿入及び/または欠失に関して同定されたアミノ酸残基は保存残基であり、一方、他の実施態様においてはそうでない。保存残基でない残基に関する好ましい実施態様において、1以上のアミノ酸置換は天然に見られるアミノ酸配列に対応しないアミノ酸配列を含む修飾ペプチドを生成する置換に制限される。保存残基の場合、当該置換は天然配列を生じない。
【0172】
カセット式変異誘発も本発明の修飾タンパク質の構築を促進するために本発明に使用できる。この方法に従い、タンパク質をエンコードする天然遺伝子が得られ、全体または一部が配列決定される。そして、当該配列はエンコードされるタンパク質において1以上のアミノ酸の変異(例えば、欠失、挿入または置換)を作ることが望ましい点に関してスキャンする。この点のフランキング配列は、発現した場合種々の変異体をエンコードするオリゴヌクレオチドプールを用いて当該遺伝子の短断片を置換する制限酵素認識部位の存在に関して評価する。当該制限酵素認識部位は好ましくは遺伝子断片の置換を促進するために当該タンパク質遺伝子内に固有のものである。しかしながら、当該タンパク質遺伝子内で過度に冗長でない任意の制限酵素認識部位が、制限酵素消化により生成した当該遺伝子断片が適当な配列に再構築できるのであれば、適宜、本発明で使用できる。制限酵素認識部位が選択した点から都合のよい距離内(例えば、10〜15ヌクレオチド)の位置に存在しない場合、当該部位は遺伝子内のヌクレオチドを置換することにより生じ、リーディングフレームまたはエンコードされるアミノ酸のいずれも最終構築物において変化しないようにする。いくつかの実施態様において、配列を変化させて所望の配列に合わせるための遺伝子の変異は一般的な公知の方法に従い、M13プライマー伸長により達成される。適当なフランキング領域の位置を示し、2つの都合の良い制限酵素認識部位配列に達するために必要な変化を評価する課題は遺伝子コードの冗長性、遺伝子の制限酵素マップ及び多数の異なる制限酵素により通常行われる。都合の良いフランキング制限酵素認識部位が利用可能である場合、上述の方法は制限酵素認識部位を含まないフランキング領域と一緒にのみ使用することが必要であることに留意する。しかしながら、本発明はこれらの方法に限定するものではなく、その他の適当な当業界に公知の方法が本発明に使用できる。
【0173】
いくつかの実施態様において、DNA(天然または組換え体)をいったんクローンすると、変異すべき位置の側面にある制限酵素認識部位は同族源の制限酵素を用いて消化し、多数の末端相補的オリゴヌクレオチドカセットを遺伝子内に連結させる。突然変異誘発は、全てのオリゴヌクレオチドは同じ制限酵素認識部位を有するように合成でき、制限酵素認識部位を作成するために合成リンカーは必要でないので、この方法により単純化される。
【0174】
変性エピトープを含むペプチドを本発明の分析法において分析する場合、好ましくは野生型ズブチリシンを含むペプチドよりも少ないT細胞増殖を生じる。より好ましくは、変性した場合、当該エピトープはサンプルの基準T細胞増殖の3倍少ない、好ましくは基準T細胞増殖よりも2倍少ない、及び最も好ましくは基準T細胞増殖よりも少ないまたは実質的に等しいT細胞増殖を生じる。
【0175】
いくつかの実施態様において、野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質及びそれらの修飾タンパク質は当業界に公知の方法に従いタンパク質分解活性に関してスクリーニングする。当該方法は、限定されないが、pNA分析及びジメチルカゼイン(DMC)分析法を含む(Rothgeb et al.,J.Am Oil Chem.Soc.,65:806[1988])。
【0176】
組換えDNA技術の適用は、タンパク質またはペプチドをエンコードするDNA配列を変化させることにより、タンパク質またはペプチド(すなわち、目的タンパク質またはペプチド)配列の素早い操作の手助けをする。修飾ALCALASE(登録商標)酵素などの修飾ズブチリシン・カールスバーグタンパク質をコードする遺伝子へのこの方法の適用によりエピトープ配列の変化が容易になり、もはやCD4T細胞を活性化させることができなくなる。好ましい実施態様において、これらの変化はヒトの抗体結合(Bab)及び/または中和抗体(Nab)反応を生じるズブチリシン・カールスバーグの傾向を減少させる。従って、特に好ましい実施態様において、本発明はALCALASE(登録商標)酵素タンパク質配列におけるCD4T細胞エピトープを同定する組成物及び方法を提供し、及びもはやCD4T細胞反応を開始できないペプチドの生成は、組換えDNA技術によりALCALASE(登録商標)酵素に組込まれた場合、抗体の生成を開始するALCALASE(登録商標)酵素の機能を減少させるものと考えられる。
【0177】
従って、特定の実施態様において、修飾野生型ズブチリシン・カールスバーグ(特に修飾ALCALASE(登録商標)酵素)をエンコードするDNA配列は宿主細胞内で複製可能な発現ベクターにより宿主細胞中に導入される。当業者であれば、バチルス宿主細胞などの宿主細胞への使用に適したベクターを良く知っている(例えば、Harwood and Cutting(編集)、Molecular Biological Methods for Bacillus,John Wiley&Sons,(1990)、92頁を参照)。形質転換技術はChang and Cohen,Mol.Gen.Genet.,168:11−115[1979];及びSmith et al.,Appl.and Env.Microbiol.,51:634[1986]にさらに説明されている。いくつかの実施態様において、DNA配列は発現ベクター内に挿入せず、宿主細胞に直接導入される。当該方法は当業界に公知であり、限定されないが、塩化カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、naked DNAなどがある。
【0178】
いくつかの実施態様において、本発明の修飾野生型ズブチリシン・カールスバーグタンパク質はさらに単離及び/または精製される。これは当業界に公知の分離技術により達成され、限定されないが、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、疎水性分離、沈殿、ろ過、精密ろ過、ゲル・エレクトロフォレーシス、及びその他の適した方法が含まれる。別の実施態様において、タンパク質をいったん単離及び/または精製すると、さらなる構成成分を目的組成物を得るために修飾タンパク質に加える。
【0179】
ALCALASE(登録商標)酵素などのズブチリシン・カールスバーグタンパク質の多数の用途が存在し、限定されないが、液体及び粉末洗剤、織物処理製剤、従来の洗浄組成物及びパーソナルケア組成物が含まれる。本発明の修飾エピトープを含むズブチリシンはALCALASE(登録商標)酵素が使用できる任意の目的において使用できることは当然に理解されることである。
【0180】
実験
以下の実施例は本発明の特定の好ましい実施態様及び側面を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【0181】
以下の実験的記載において、以下の省略形は、eq(同等物)、M(モル濃度)、μM(マイクロモル濃度)、N(通常)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、μmol(マイクロモル)、nmol(ナノモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、kg(キログラム)、μg(マイクログラム)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、μl(マイクロリットル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメートル)、nm(ナノメートル)、℃(摂氏温度)、h(時間)、min(分)、sec(秒)、msec(ミリ秒)、xg(時間比重(times gravity)、Ci(Curies)、OD(光学密度)、Dulbecco’s phosphate buffered solution(ダルベッコリン酸緩衝液)(DPBS)、HEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸])、HBS(HEPES緩衝生理食塩水)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、Tris−HCl(tris[ヒドロキシメチル]アミノメタン−塩酸塩)、クレノウ(Klenow)(DNAポリメラーゼI大(Klenow)断片)、rpm(1分当たりの回転数)、EGTA(エチレングリコール−bis(β−アミノエチルエーテル)N、N、N’、N’−テトラ酢酸)、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、ATCC(米国菌培養収集所、ロックビル、メリーランド州)、Cedar Lane(Cedar Lane Laboratories,オンタリオ、カナダ)、Gibco/Life Technologies(Gibco/Life Technologies、グランドアイランド、NY)、Sigma(Sigma Chemical Co.,St.Louis,ミズーリ州)、Pharmacia(Pharmacia Biotech,Piscataway,ニュージャージー)、プロクター&ギャンブル(プロクター アンド ギャンブル、シンシナティ、OH)、ジェネンコー(ジェネンコー・インターナショナル、パロ アルト、カリフォルニア)、Endogen(Endogen、ウォバーン、マサチューセッツ)、Cedarlane(Cedarlane、トロント、カナダ)、Dynal(Dynal、ノルウェー)、Novo(Novo Industries A/S、コペンハーゲン、デンマーク)、Biosynthesis(Biosynthesis、ルイビル、テキサス)、TriLuc Beta(TriLuc Beta、Wallac、フィンランド)、DuPont/NEN(DuPont/NEN Research Products,ボストン、マサチューセッツ)、TomTec(ハムデン、コネチカット)及びStratagene(Stratagene、ラ・ホーヤ、カリフォルニア)である。
【0182】
実施例1
ヒトT細胞を用いるALCALASE(登録商標)におけるペプチドT細胞エピトープを同定するための分析システムに用いる細胞調製
新しいヒト末梢血細胞をALCALASE(登録商標)酵素への曝露状態が未知の92人のヒトから収集した。これらの細胞を実施例3に記載するように、ALCALASE(登録商標)における抗原エピトープを決定するために試験した。末梢血単核細胞(24時間以下、室温で保存)を以下の通り調製して使用した:1単位の全血由来の約30mlの軟膜調製物溶液を50mlのダルベッコリン酸緩衝液(DPBS)に加え、2つの管に分割した。当該サンプルを12.5mlの室温リンフォプレップ(Lymphoprep)密度分離培地(Nycomed;密度1.077g/ml)下に置いた。当該管を600×重力(g)で30分間遠心分離した。2つの相の接合部分を回収、プールし、DPBSで洗浄した。最終的な溶液の細胞密度を当業界に公知の血球計算板により測定した。存続性を当業界に公知のトリパンブルー排除により測定した。
【0183】
得られた溶液から、分化樹状細胞培養物を密度が75mlの培養フラスコの溶液当たり10細胞である末梢血単核細胞サンプルから以下の通り調製した:
(1)50mlの血清フリーAIM V培地(Gibco/BRL)を1:100希釈β−メルカプトエタノール(Gibco/BRL)を用いて捕捉した。フラスコを2時間、37℃で、5%CO中に倒して、フラスコ壁に単球を付着させた;
(2)単球細胞の樹状細胞への分化を以下の通り行った:非付着細胞を除去し、得られた付着細胞(単球)を30mlのAIM V、800単位/mlのGM−CSF(Endogen)及び500単位/mlのIL−4(Endogen)と混合し;得られた混合物を5日間、37℃で5%CO中で培養した。培養の5日後、サイトカインTNFα(Endogen)を0.2単位/mlに加え、及びサイトカインIL−1α(Endogen)を最終濃度50単位/mlに加え、当該混合物を37℃、5%CO中で、もう2日間培養した。
(3)7日目に、マイトマイシンCを100mM EDTA含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、濃度50マイクログラム/mlまで加え、分化中の樹状細胞培養物の成長を止めた。当該溶液を60分間、37℃、5%CO中で培養した。樹状細胞を穏やかにフラスコを湯出しすることにより、プラスティック表面から除去した。樹状細胞をそれから、5分間、600×gで遠心分離し、DPBSで洗浄し、上述の通り計算した。
(4)調製した樹状細胞を、100マイクロリットル合計体積のAIM V培地中、ウェル当たり2×10細胞/ウェル濃度で96−ウェル丸底プレート内に置いた。
【0184】
CD4T細胞は、Dynal CD4T細胞エンリッチメントキット(Dynal)により提供される試薬を用いて、樹状細胞を調製するために用いる末梢血細胞サンプルの凍結アリコートから調製した。得られたCD4T細胞溶液を遠心分離し、AIM V培地中で再懸濁させ、当該細胞密度を当業界に公知の方法を用いて測定した。CD4T細胞懸濁液をそれから、AIM V培地中で2×10細胞/mlに再懸濁させ、96ウェルプレートの効率的な操作を容易にする。
【0185】
実施例2
分析システムに用いるALCALASE(登録商標)におけるT細胞エピトープの同定
実施例3に記載の分析に用いるペプチドをALCALASE(登録商標)酵素の完全長アミノ酸配列(配列番号1)に基づいて調製し、ALCALASE(登録商標)の全体配列を含む15マーを合成的に調製した。連続ペプチドは12アミノ酸が重複した。合計88のペプチド(配列番号2〜89)を作成し、その配列を図2に示す。
ペプチド抗原を2mg/mlのDMSO原液として調製した。まず、0.5マイクロリットルの原液を分化樹状細胞を前もって加えた96ウェルプレートの各ウェル中に入れた。そして、上述の通り調製した100マイクロリットルの希釈CD4T細胞溶液を各ウェルに加えた。有用な対照は希釈DMSOを含まないもの、及び破傷風トキソイド溶性対照を含む。
【0186】
20マイクロリットル合計体積で各ウェルの最終濃度は以下の通りである:
2×10 CD4 T細胞
2×10 樹状細胞 (R:Sが10:1)
5μM ペプチド
実施例3
ヒトT細胞を用いるALCALASE(登録商標)酵素におけるペプチドT細胞エピトープを同定する分析
いったん分析試薬(すなわち、細胞、ペプチド等)を調製し、96ウェルプレート中に分配すると、当該分析が行われた。対照は樹状細胞とCD4 T細胞だけ(DMSOキャリアを含む)を含み、及び約5Lf/mLで破傷風トキソイド(Wyeth−Ayerst,フィラデルフィア、ペンシルベニア州)を含む。
【0187】
培養物を5日間、37℃、5%CO中で培養した。トリチウム化チミジン(NEN)を0.5マイクロCi/ウェルで加えた。培養物を集菌し、Wallac TriBeta シンチレーション検出システムを用いて次の日に混合のため評価した。
【0188】
全ての試験は少なくとも2回行った。記録した試験の全ては、抗原破傷風トキソイドに対して堅調な陽性対照反応を示した。反応は各実験内で平均し、それから基準反応に対して標準化した。陽性事象(すなわち、増殖反応)は、当該反応が基準反応の少なくとも2.95倍の場合、記録した。
【0189】
ALCALASE(登録商標)酵素から調製したペプチドに対する免疫反応(すなわち、T細胞増殖)は92人のドナーに関して集計し、図3に示した。6つの有意なエピトープを同定した。特に関心のあるものとして同定されたペプチドは、図2及び3に示すようにペプチド1、7及び8、14、29及び39を含む。これらのペプチドは以下の配列に対応する。
【表1】

【0190】
このペプチドセットに対する全体的な反応のバックグラウンド率は、試験したドナーについて2.35±2.56%であった。上の表において、ペプチド7〜8は18アミノ酸の連続配列である(ペプチド番号7、3つの固有アミノ酸はペプチド番号8に寄与させる)。このペプチド7と8の組み合せは両ペプチドに関して観測された反応が優れていたので組み合わせた。
【0191】
実施例4
変異体ペプチドの分析
ペプチド番号7及び29はさらなる分析のために選択する。変性ペプチドのセットはペプチド番号7及びペプチド番号29の配列に基づいて構築し、ここでアミノ酸残基は親配列から修飾する。これはMimostopes(サンディエゴ)などの製造供給元により達成できる。アラニンスキャンを各ペプチドについて行う(例えば、Herris,et al.,Immunol.,84:555−561[1995];及び)Maillere et al.,Mol.Immunol.,32:1073−1080[1995]を参照)。当該分析は実施例3に説明の通り行い、ドナーサンプルのセット上の変性ペプチドを利用する。増殖性反応を照合する。
【0192】
1の実施態様において、変性ペプチドは、少なくとも1及び好ましくは3つ全ての以下の基準に合致する場合、低アレルギー性タンパク質分子(すなわち、本発明に従う修飾ズブチリシンタンパク質)を作成するのに有用であると考えられる:(1)親ペプチドに約2.92以上の刺激指数(SI)で反応するドナー全員が約1.0以下のSIで変性ペプチドに反応する;(2)親ペプチドに弱くしか反応しない(SIが約1.0以上だが、約2.95以下である)ドナー全員が約1.0以下のSIで変性ペプチドに反応する;及び(3)親ペプチドに対して反応しないドナー全員が変性ペプチドに対しても反応しない。SIは対照ペプチドと比較した、ペプチドのT細胞増殖性反応の指標である。SIは各ペプチド、各ドナーに関して計算する。
【0193】
実施例5
エピトープペプチド番号とHLAの関連
上述の分析試験ラウンドにおける試験ドナー全員のHLA−DR及びDQ発現は市販のPCRベースのHLA割出しキット(Bio−Synthesis)を用いて評価する。いくつかの実施態様において、ペプチド番号に対する反応者と非反応者間の個々のHLA−DR及びDQ抗原の表現型頻度を自由度1でカイ二乗分析を用いて試験する。ペプチド番号に対応するエピトープに対して反応する増加または減少可能性は問題のHLA抗原が反応及び非反応ドナーサンプルの両方に存在し、対応エピトープがHLA関連エピトープであると考えられるときに計算する。
【0194】
エピトープ関連HLA対立遺伝子を発現する反応者及び非反応者における個々のペプチドに対する増殖反応の大きさも分析できる。“ペプチドに対する個々の反応者”とは2.95以上の刺激指数により定義される。HLA対立遺伝子に関連するエピトープを発現するドナーの増殖性反応は関連対立遺伝子を発現しないペプチド反応者よりも高いと考えられる。
【0195】
上述より、本発明はALCALASE(登録商標)などの野生型ズブチリシン・カールスバーグにおけるT細胞エピトープを同定する方法及び組成物を提供することが明らかである。いったん抗原エピトープを同定すると、エピトープを所望により修飾し、修飾エピトープのペプチド配列は野生型ズブチリシン・カールスバーグ内に組込み、修飾配列がもはやCD4T細胞反応を開始できないようにし、ここでCD4T細胞反応は野生型母体と比較して著しく減少している。特に、本発明はALCALASE(登録商標)の免疫原性を減少させるために適した方法及び組成物を含む手段を提供する。
【0196】
実施例6
突然変異体ズブチリシンによるジメチルカゼイン(“DMC”)の加水分解
本発明に記載した方法により単離及び精製された、突然変異体ズブチリシンを市販合成基質、ジメチルカゼイン(Sigma C−9801)を加水分解する能力について分析する。5mg/ml DMC基質溶液を適当な緩衝液中で調製する(5mg/ml DMC、0.005%(w/w)Tween 80(登録商標)(ポリオキシエチレン・ソルビタンモノ−オレアート、Sigma P−1754)。適当なDMC基質緩衝液を調製する(例えば、pH5.5の50mM 酢酸ナトリウム;pH6.5の50mM N−tris(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(“TES”);pH7.5の50mM ピペラジン−N−N’−bis−2−エタンスルホン酸(“PIPES”);及びpH8.5の50mM Tris)。試験を始めるために、200μlの所望のpH基質をマイクロタイタープレート(例えば、96ウェルプレート)のウェル中に入れ、酵素添加前に20分間、37℃で前もって培養する。2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸塩(“TNBS”)呈色反応法をSpectra Max250分光光度計における活性を測定するために用いる。この分析は遊離アミノ基を含むペプチド内のDMCの酵素的加水分解を測定する。これらのアミノ基は2,4,6−トリニトロ−ベンゼンスルホン酸と反応して黄色複合体を形成する。
【0197】
従って、反応の色が濃いほど、より多くの活性が測定される。TNBS検出分析は37℃、2時間の培養後、上澄み上で行うことができる。1mg/mlのTNBS溶液は、1000ml中で加熱により溶解させた、2.4g NaOH、45.4g Na・10HOを含む溶液中で調製する。この溶液から、60μlを96ウェルマイクロタイタープレート内に分割する。そして、上述の10μlの培養酵素溶液を各ウェルに加え、室温で20分間混合する。それから、20μlのNaHPO溶液(2000ml中、70.4g NaHPO・HO及び1.2g NaSO)をウェル中で1分間混合し、反応を停止させ、Spectra Max250 分光光度計における405nmの吸収を測定する。ブランク(同じTNBS溶液だが、酵素を含まない)も調製し、試験する。加水分解は以下の式により、種々の酵素濃度(0、2.5、5、7.5及び10ppm)で測定する:
吸収405(酵素溶液) − 吸収405(酵素なし)
公知の突然変異体由来ズブチリシン(例えば、特性付けられた変異ズブチリシン)と比較した当該基質を加水分解する突然変異体の能力はこの方法で測定できる。
【0198】
実施例7
変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素によるコラーゲン、エラスチン及びケラチンの加水分解
上述の方法により単離及び精製した突然変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素は、例えば、ウシコラーゲン(Sigma C−9879)、ウシエラスチン(Sigma E−1625)及び/またはウシケラチン(ICN Biomedical 902111)などの市販基質を加水分解する能力について分析されることが多い。5mg/mlの基質溶液を調製する(0.005% Tween 80(登録商標)中)。各基質を当業界に公知の適当なpHで調製する(例えば、pH5.5、6.5、7.5及び8.5)。試験のため、1.5mlの各基質を37℃で24ウェルCostarプレート内に移す。プレートは酵素を添加する前に37℃、20分で前もって培養する。上述のTNBS検出分析を37℃で2時間培養した後に上澄みについて行う。
【0199】
これらの分析は当該基質を加水分解するために、公知の突然変異体由来のズブチリシンに対する突然変異体の比較能力を示すのに使用できると考えられる。ほとんどの場合、突然変異酵素は、お互い及び野生型酵素と比較して、種々のpH、及び種々の酵素濃度で通常、コラーゲン、エラスチン及びケラチン基質の顕著な加水分解を示すことが考えられる。
【0200】
実施例8
ピペラジン−N−N’−ビス−2−エタンスルホン酸(“PIPES”)緩衝液における変異体タンパク質の熱安定性
これらの実験では、PIPES中のタンパク質(例えば、ズブチリシン・カールスバーグ)変異体の熱安定性について測定する。通常、これらの測定はストラタジーン・ロボサイクラー(Stratagene Robocycler)のタイプのPCRサーモサイクラーを用いて行う。5.0ppm酵素、5.0ppm酵素(例えば、目的変異体及び対照変異酵素)の安定性は5つの時点(例えば、5、10、20、40及び60分)、pH6.5で各温度について試験する。例えば、サンプルは42〜56℃の範囲で2度毎及び42℃〜56℃の温度でその他の各温度で、PCRサーモサイクラー勾配(gradient)において試験する。これらの実験では、50mM PIPES緩衝液を調製する(50mM PIPES、0.005% Tween80(登録商標)。通常、pHは6.5に調節する。しかしながら、本発明は特定の方法に限定されるものではなく、酵素の熱安定性を測定するための種々の方法が当業界に公知である。
【0201】
サンプルは標準スクシニル−ala−ala−パラ−ニトロアニリド(“SAAPFpNA”)分析(例えば、Delmar,Anal.Biochem.,94:316−320[1979];及びAchtstetter,Arch.Biochem.Biophys.,207:445−54[1981]を参照)を用いて、pH6.5及び25℃で分析する。サンプルを約300ミリOD/分まで希釈する。熱安定性は通常、以下の通り測定して酵素半減期(分)として表す: H.L.=2/傾き、ここで傾きは各温度についてのv時間率の曲線の傾きである。
【0202】
これらの方法を用いることにより、突然変異体の安定性は対照変異酵素及び/または野生型酵素に関して容易に比較できる。
【0203】
実施例9
N−tris(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(“TES”)におけるズブチリシン・カールスバーグ変異体の熱安定性
これらの実験では、TES中の変異体の安定性を測定する。上述の通り、5.0ppm酵素(例えば、目的変異体及び対照)を各温度について、pH6.5、5つの時点(例えば、5、10、20、40及び60分)で試験する。例えば、サンプルをPCRサーモサイクラー勾配において、42〜56℃の範囲で2℃毎に試験し、42℃〜56℃の温度でその他の各温度で試験する。TES緩衝液は50mM TES(Sigma T1375)、0.005% Tween80(登録商標)を混合することにより調製する。通常、pHは6.5に調節する。
【0204】
変異体の熱安定性は、当業界に公知のスクシニル−ala−ala−pro−phe−パラ−ニトロアニリド(“AAPFpNA”)を用いて、測定して、余剰変異体の活性として測定でき、Sigma番号S−7388(mol.wt.624.6g/モル)(例えば、Delmar et al.,Anal.Biochem.,94:316−320[1979];及びAchtstetter,Arch.Biochem.Biophys.,207:445−454[1981]を参照)などの試薬を用いてpH6.5、25℃の温度で試験できる。反応において形成される(黄)p−ニトロンアニリド(pNA)は410nm:SpectraMax250分光光度計を用いてε=8,480M−1.cm−1、()で分光光度法で測定し、サンプルは約300mOD/分に希釈される。熱安定性は上述の通り酵素半減期(分)として表す。上述に示したように、これらの実験は変異体酵素調製物と対照変異酵素及び/または野生型酵素の安定性を比較するための手段を提供する。
【0205】
実施例10
ボディウォッシュ溶液及びその他のパーソナルケア製品におけるズブチリシン・カールスバーグ変異体の安定性
種々のズブチリシン・カールスバーグ変異体の安定性を以下の手順を用いて測定した。
【0206】
溶液安定性の測定方法
これらの実験では、ズブチリシン・カールスバーグ及び突然変異体を少なくとも2つの研究において試験し、第1の研究は45℃で30分間試験し、第2の研究は50℃で30分間試験する。これらの試験に関して、50/50(w/w)ボディウォッシュ溶液を市販のボディウォッシュ(例えば、商標名ZEST(登録商標)でプロクター&ギャンブルから市販のボディウォッシュ)と脱イオン水を混合することにより調製する。緩衝液ブレンドのpHは約6.8である。
【0207】
試験する酵素は希釈し、50w/w%ボディウォッシュ:脱イオン水溶液中の最終的な濃度が、10μlの酵素/ボディウォッシュ溶液をSAAPFpNA分析終点法を用いて分析した場合、0.5〜1.0のOD405変化を生じるようにする。いったん希釈物の量を確認すると、200μlの希釈混合物を96ウェルマイクロタイタープレートウェル中に加える。プレートは密封して、第1の研究について40℃の水槽中及び第2の研究について50℃の水槽中に置く。プレートは所望の時間後(例えば、30または40分)後に水槽から取り除き、10μlのサンプルを終点法により分析する。活性持続率は最終活性を最初の活性で割り、100倍して計算する。
【0208】
いくつかの実施態様において、前述の実施例の分析により測定した特定残基を含む変異体は増加した量の酵素活性持続を示し、従って、対照よりも大きな熱安定性を有する。例えば、50℃で、いくつかの変異体化合物はより大きな活性持続率を有し、一方、安定化残基変異体を有さない対照変異体酵素及び/または野生型酵素はより低い活性持続率を有する。いくつかの実施態様において、全ての酵素は50℃のボディウォッシュの存在下で高められた安定性を有するが、異なる安定性変異体を含む対照の突然変異体酵素−[エピトープ変異体]はさらに優れた安定性を有する。
【0209】
実際に、減少した免疫原性を有する本発明の変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素が使用できる多数の用途が存在する。洗剤及びその他の洗浄調製物に加えて、減少した免疫原性を有する変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素はパーソナルケア製品にも使用できる。以下の表は試験での使用に適した種々の製品の組成を提供する。これらの表において、“微量成分”の語はpH調整剤、保存料、粘度調整剤及び香料を包含する。これらの表において特に示さない限り、量はおおよその重量%を表し(製造元が提供する通り)、有効数字を示すものではない。
【表2】

【0210】

【0211】

【0212】

【0213】

【0214】
実施例11
洗浄組成物
上述の組成物に加え、本発明は特定の性質を有する洗浄組成物を開発する手段を提供する。実際に、本発明は修飾プロテアーゼ(例えば、ズブチリシン・カールスバーグ)を含む種々の洗浄組成物を提供する。特に好ましい実施態様において、効果的な量の1以上の上述のプロテアーゼ酵素はタンパク性のシミ除去が必要な種々の表面を洗浄するのに有用な組成物に含まれる。当該洗浄組成物は硬い表面を洗浄する洗剤組成物、繊維を洗浄する洗剤組成物;食器洗剤組成物;口内洗浄組成物;及び入れ歯洗浄用組成物を含む。これらの組成物は特定の使用目的に適した形態で提供される。好ましくは、本発明の洗浄組成物は約0.0001%〜約10%の1以上、より好ましくは約0.001%〜約1%、及びさらに好ましくは約0.001%〜約0.1%のプロテアーゼ酵素を含む。プロテアーゼ酵素が使用できる種々の洗浄組成物のいくつかの例としては下記にさらに詳細に説明する。ここで使用する全ての割合、比率、及び比は別に定めない限り重量によるものとする。
【0215】
A. 硬い表面、皿及び繊維用の洗浄組成物
本発明のプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は高い泡立ち及び/または不溶性基質の優れた除去が望まれる洗剤組成物において使用できる。従って、本発明のプロテアーゼ酵素は硬い表面用洗浄剤、食器洗い用組成物、織物洗浄組成物等の十分な処方を提供するために種々の従来の成分を用いて使用できる。これらの組成物は特定用途に許容される形態(例えば、液体、顆粒、バー等)での使用に適している。さらに、これらの組成物は界面活性剤の30重量%〜60重量%程度を含む市販の“濃縮”洗剤での使用にも適している。
【0216】
いくつかの実施態様において、洗浄組成物は種々の陰イオン、非イオン、両性イオン等の界面活性剤を含む。当該界面活性剤は通常、組成物の約0.1%〜約60%、好ましくは約1%〜約35%のレベルで存在する。適当な界面活性剤は、限定されないが、従来のC11−C18アルキルベンゼンスルホネート及び第1級及びランダムアルキルアルホネート、C10−C18第2級(2,3)アルキルスルホネート、式CH(CH)x(CHOSO).sup.−M.sup.+)CH及びCH(CH)y(CHOSO.sup.−M.sup.+)CHCHを含み、ここでx及び(y+1)は少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、及びMは水可溶化カチオン、特にナトリウム、C10−C18アルキルアルコキシ硫酸(特にEO1−7エトキシ硫酸)、C10−C18アルキルアルコキシカルボキシレート(特にEO1−7エトキシカルボキシレート)、C10−C18アルキルポリグリコシド、及びそれらの対応する硫酸ポリグリコシド、C12−C18αスルホン酸脂肪酸エステル、C12−C18アルキル及びアルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及び混合エトキシ/プロポキシ)、C12−C18ベタイン及びスルホベタイン(“sultaine”)、C10−C18酸化アミン、C−C24サルコシン(特にオレオイルサルコシン)等である。さらに、前述の酸化アミン及び/またはベタインまたはsultaineと組み合わせての当該界面活性剤の使用も好ましく、設計者の要望に応じる。その他の従来の有用な界面活性剤も当業界に公知であり、限定されないが、C10−C18N−メチルグルカミドなどの特に有用な界面活性剤を含む(米国特許第5,194,639号を参照)。
【0217】
いくつかの実施態様において、本発明の組成物は酸化エチレンと疎水性部分の縮合物である陰イオン性界面活性剤の分類メンバーを含み、5〜17、好ましくは6〜14、より好ましくは7〜14の範囲の平均親水性−親油性比率(HLB)を有する界面活性剤を提供する。疎水性(親油性)部分は脂肪族または芳香族であり、任意の特定疎水性基と縮合したポリオキシエチレン基の長さは親水性と疎水性成分の所望比率を有する水溶性化合物を生じるために容易に調節できる。特に好ましくは3〜8モルの酸化エチレンをアルコール1モル当たりに含むC−C15第1級アルコールエトキシレート(または混合エトキシ/プロポキシ)であり、特に好ましくは6〜8モルの酸化エチレンをアルコール1モル当たりに含むC14−C15第1級アルコール、35モルの酸化エチレンをアルコール1モル当たりに含むC12−C15第1級アルコール及びこれらの混合物である。
【0218】
洗剤洗浄組成物に有用なその他の種々の成分は本発明の組成物に使用でき、その他の活性成分、キャリア、可溶化剤、加工助剤、染料または顔料、液体製剤のための溶剤等を含む。泡立ちを追加するために、C10−C16アルキルアミドなどの泡立ち促進剤を組成物に混合でき、通常約1%〜約10%のレベルである。C10−C14モノエタノール及びジエタノールアミドは当該泡立ち促進剤の一般的な分類を示す。上述の酸化アミン、ベタイン及びsultainesなどの界面活性剤を補助する高い泡立ちを有する当該泡立ち促進剤の使用も有益である。所望により、MgCl、MgSO等などの溶性マグネシウム塩は追加の泡立ちを与えるために通常、約0.1%〜約2%のレベルで添加できる。
【0219】
本発明の液体洗剤組成物は通常、水及びその他の溶媒をキャリアとして含む。低分子量第1級または第2級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノール)は適している。一価アルコールは界面活性剤を可溶化するために好ましいが、約2〜約6炭素原子及び約2〜約6ヒドロキシ基などを含むポリオール(例えば、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、グリセリン及び1,2−プロパンジオール)も本発明の洗剤に使用できる。いくつかの実施態様において、組成物は約90%または約10%〜約50%の当該キャリアを含む。
【0220】
本発明の洗剤組成物は好ましくは水洗浄での使用中、洗浄水が約6.8〜約11.0のpHを有するように処方するのが好ましい。従って、最終的な製品はこの範囲で一般的に処方される。推奨使用レベルでpHを制御する技術は緩衝液、アルカリ、酸等の使用を含み、当業界に公知である。
【0221】
本発明の硬い表面用洗剤組成物及び繊維洗浄組成物を設計する場合、設計者は約5重量%〜約50重量%のレベルで種々のビルダーを使用するかもしれない。一般的なビルダーは1〜10ミクロンゼオライト、ポリカルボキシレート、例えば、クエン酸及びオキシジスクシネート、層状ケイ酸塩、ホスフェート等を含む。その他の従来のビルダーは当業界に公知であり、本発明の組成物に含めるために適している。
【0222】
同様に、設計者は種々の他の酵素を使用することが考えられ、例えば、セルラーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、パーオキシダーゼ、及びプロテアーゼなどがあり、当該組成物中、通常約0.001重量%〜約1重量%のレベルである。種々の洗剤及び繊維ケア酵素は洗濯洗剤業界で公知であり、本発明の組成物に含めるために適している。
【0223】
種々の漂白成分、例えば、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸塩等も本発明の組成物で使用できる。これらの漂白成分は通常約1重量%〜約15重量%のレベルで存在する。所望により、当該組成物は漂白活性剤も含むことができ、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート等があり、当業界に公知である。当該化合物の使用レベルは通常、約1重量%〜約10重量%である。
【0224】
種々の土汚れ離型剤、特に陰イオン性オリゴエステル型、種々のキレート剤、特にアミノホスホネート及びエチレンジアミンジスクシネート、種々の粘土汚れ離型剤、特にエトキシル化テトラエチレンペントアミン、種々の分散剤、特にポリアクリル酸及びポリアスパラギン酸塩、種々の漂白剤、特に陰イオン性漂白剤、種々の転染阻害剤、例えば、ポリビニルピロリドン、種々の泡立ち抑制剤、特にシリコーン及び第2級アルコール、種々の繊維軟化剤、特にスメクタイト粘土及び粘土floculatingポリマー(例えば、ポリ(オキシエチレン))等は全て本発明の組成物に使用でき、最も一般的には約1重量%〜約35重量%のレベルである。
【0225】
酵素安定化剤も本発明の洗浄組成物に使用できる。当該酵素安定化剤は限定されないが、プロピレングリコール(好ましくは約1%〜約10%)、ギ酸ナトリウム(好ましくは約0.1%〜約1%)及びギ酸カルシウム(好ましくは約0.1%〜約1%)を含む。
【0226】
1.硬い表面用洗浄組成物
好ましい実施態様において、本発明の硬い表面用洗浄組成物は効果的な量の1以上のプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含み、好ましくは組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約5重量%、さらにより好ましくは約0.001重量%〜約1重量%の活性プロテアーゼ酵素を含む。1以上のプロテアーゼ酵素を含むことに加え、当該硬い表面用洗浄組成物は通常、界面活性剤及び水溶性金属イオン封鎖ビルダーを含む。しかしながら、スプレー窓拭き用洗剤などのある特殊化製品において、界面活性剤は、ガラス表面上に薄膜/縞むらを生じ得るので使用しない場合もある。
【0227】
界面活性剤成分は、存在する場合、本発明の組成物の0.1%程度で含むことができるが、一般的には組成物は約0.25%〜約10%、より好ましくは約1%〜約5%の界面活性剤を含む。
【0228】
一般的には組成物は約0.5%〜約50%の洗浄ビルダーを含み、好ましくは約1%〜約10%を含む。好ましくは、pHは約8〜12の範囲である。水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは塩酸などの従来のpH調節剤は調節が必要な場合用いることができる。
【0229】
いくつかの実施態様において、少なくとも1の溶媒が組成物中に含まれる。有用な溶媒は限定されないが、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルーエーテルなどのグリコールエーテル及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどのジオールを含む。使用する場合、当該溶媒は通常、約0.5%〜約15%、好ましくは約3%〜約11%のレベルで存在する。
【0230】
さらに、イソプロパノールまたはエタノールなどの高揮発性溶媒は、表面へ組成物を“そのままの濃度で”適用した後に当該表面を流さない場合、表面から組成物のより速い蒸発を促進するために本発明の組成物で使用できる。使用する場合、揮発性溶媒は通常、組成物において約2%〜約12%のレベルで存在する。
【0231】
本発明の硬い表面用洗浄組成物の実施態様は以下の非限定的な例により説明する。以下の例において、実施例中の“プロテアーゼ#”の言及は0.10、0.20、0.10、0.05、0.03及び0.02パーセントのプロテアーゼ変異体に反応する減少した免疫原性を有する本発明の組成物に有用な変異体に対するものである。
【表3】

【0232】
上述の実施例のいくつかの実施態様において、本発明に有用な他のプロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果で置き換えられる。さらに、上述の実施例のいくつかの実施態様において、本発明に有用な減少した免疫原性プロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は上述の処方において実質的に類似の結果で置き換えられる。
【0233】
以下の表は硬い表面用洗浄及びカビ取りに適したサンプル組成物を提供する。当該製品組成物は通常、約pH7である。
【表4】

【0234】
これらの実施例で、本発明で有用なプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)の任意の組み合わせは実質的に類似の結果で置き換えられる。
【0235】
2.食器洗い用組成物
本発明の別の実施態様において、1以上のプロテアーゼ酵素(例えば、変異ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含む食器洗い用組成物を提供する。本発明の好ましい食器洗い用組成物の実施態様を以下に示す。プロテアーゼは0.5、0.4、0.1、0.05、0.03及び0.02パーセントで含まれる。これらの組成物では、製品pHは7に調節する。
【表5】

【0236】
上述の実施例のいくつかの実施態様において、本発明に有用なプロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は上述の処方で置換され、実質的に類似の結果を有する。さらに、上述の実施例のいくつかの実施態様において、本発明で有用なプロテアーゼ酵素の組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は、とりわけ、上述の処方で置換され、実質的に類似の結果を有する。
【表6】

【0237】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【0238】
3.織物洗浄組成物
本発明はさらに、1以上のプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含む織物洗浄組成物を提供する。
【0239】
a.顆粒織物洗浄
本発明の顆粒織物洗浄組成物は効果的な量の1以上のプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含み、好ましくは組成物の約0.001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.005重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約1重量%の活性プロテアーゼ酵素を含む。1以上のプロテアーゼ酵素に加えて、顆粒織物洗浄組成物は通常、少なくとも1の界面活性剤、1以上のビルダー及び場合によっては、漂白剤を含む。本発明の顆粒織物洗浄組成物の実施態様は以下の実施例により説明する。
【表7】

【0240】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【表8】

【0241】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【表9】

【0242】

【0243】
別の実施態様において、以下のような凝集顆粒織物洗浄組成物を提供する。成分は重量%に関して与える。組成物1:硫酸アルキル(8.0)、アルキルエトキシ硫酸(2.0)、3及び7回エトキシル化したC25とC45アルコールの混合物(6.0)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(2.5)、ゼオライト(17.0)、層状ケイ酸塩/クエン酸塩(16.0)、炭酸塩(7.0)、マレイン酸アクリル酸コポリマー(5.0)、土汚れ除去ポリマー(0.4)、カルボキシメチルセルロース(0.4)、ポリ(4−ビニルピロリジン)−N−オキシド(0.1)、ビニルイミダゾール及びビニルピロリドンのコポリマー(0.1)、PEG−2000(0.2)、プロテアーゼ#(4%プリル)(0.5)、リパーゼ(0.2)、セルラーゼ(0.2)、テトラセチルエチレンジアミン(6.0)、過炭酸塩(22.0)、エチレンジアミン2琥珀酸(0.3)、泡立ち抑制剤(3.5)、2ナトリウム−4,4’−bis(2−モルホリノ−4−アニリノ−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2,2’−ジスルホン酸(0.25)、2ナトリウム−4,4’−bis(2−スルホスチリル)ビフェニル(0.05)及び水、香料及び微量成分の組み合わせ(100まで調整)。
【0244】
別の顆粒織物洗浄組成物において、以下の成分を提供する。成分は重量%に関する。組成物2:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(7.6)、C16−C18硫酸アルキル(1.3)、7回エトキシル化したC14−C15アルコール(4.0)、coco−アルキル−ジメチルヒドロキシエチル塩化アンモニウム(1.4)、分散剤(0.07)、シリコーン流動体(0.8)、クエン酸3ナトリウム(5.0)、ゼオライト4A(15.0)、マレイン酸アクリル酸コポリマー(4.0)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(0.4)、過ホウ酸塩(15.0)、テトラアセチルエチレンジアミン(5.0)、スメクタイト粘土(10.0)、ポリ(オキシエチレン)(分子量300,000)(0.3)、プロテアーゼ#(4%プリル)(0.4)、リパーゼ(0.2)、アミラーゼ(0.3)、セルラーゼ(0.2)、ケイ酸ナトリウム(3.0)、炭酸ナトリウム(10.0)、カルボキシメチルセルロース(0.2)、漂白剤(0.2)及び香料及び微量成分の混合物(100まで調整)。
【0245】
さらに別の顆粒織物洗浄組成物において、以下の成分を提供する。成分は重量%に関する。組成物2:直鎖アルキルベンゼン(6.92)、タローアルキル硫酸(2.05)、7回エトキシル化したC14−C15アルコール(4.4)、3回エトキシル化したC12−C15アルキルエトキシ硫酸(0.16)、ゼオライト(20.2)、クエン酸塩(5.5)、炭酸塩(15.4)、ケイ酸塩(3.0)、マレイン酸アクリル酸コポリマー(4.0)、カルボキシメチルセルラーゼ(0.31)、土汚れ除去ポリマー(0.30)、プロテアーゼ#(4%プリル)(0.2)、リパーゼ(0.36)、セルラーゼ(0.13)、過ホウ酸テトラヒドレート(11.64)、過ホウ酸モノヒドレート(8.7)、テトラアセチルエチレンジアミン(5.0)、ジエチレントラミンペンタメチルホスホン酸(0.38)、硫酸マグネシウム(0.40)、漂白剤(0.19)、香料、シリコーン及び泡立ち抑制剤の混合物(0.85)及び微量成分(100まで調整)。
【0246】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【0247】
b.液体織物洗浄組成物
本発明の液体織物洗浄組成物は効果的な量の1以上プロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含み、好ましくは組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約1重量%、及び最も好ましくは約0.001重量%〜約0.1重量%を含む。当該液体織物洗浄組成物は通常、さらに陰イオン性界面活性剤、脂肪酸、水溶性洗剤ビルダー及び水を含む。本発明の液体織物洗浄組成物の実施態様は以下の例により説明する。
【表10】

【0248】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【表11】

【0249】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【0250】
c.バー状織物洗浄組成物
本発明のバー状織物洗浄組成物は汚れた織物を手洗いするのに適しており、効果的な量の1以上プロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含み、好ましくは組成物の約0.001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約1重量%を含む。本発明のバー状織物洗浄組成物の実施態様は以下の例により説明する。
【表12】

【0251】
本発明のバー状織物洗浄組成物は汚れた織物を手洗いするのに適しており、効果的な量の1以上プロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含み、好ましくは組成物の約0.001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約1重量%を含む。本発明のバー状織物洗浄組成物の実施態様は以下の例により説明する。
【0252】
B.他の洗浄組成物
上述の硬い表面用洗浄、食器洗い用及び織物洗浄組成物に加え、1以上のプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は不溶性基質を加水分解することが望ましい種々のその他の洗浄組成物の成分として使用できる。当該他の洗浄組成物は、限定されないが、口内洗浄組成物、入れ歯洗浄組成物、及びコンタクトレンズ洗浄組成物、並びにその他のパーソナルケア洗浄組成物を含む。
【0253】
1.口内洗浄組成物
本発明の他の実施態様において、薬学的に許容できる量の1以上のプロテアーゼ酵素(変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は歯または入れ歯からタンパク性のシミを除去するのに有用な組成物に含まれる。好ましくは、本発明の口内洗浄組成物は組成物の約0.0001重量%〜約20重量%の1以上のプロテアーゼ酵素、より好ましくは約0.001重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは約0.01重量%〜約5重量%及び薬学的に許容できるキャリアを含む。通常、口内洗浄組成物の口内洗浄成分の薬学的に許容できる口内洗浄キャリア成分は組成物の約50重量%〜約99.99重量%、好ましくは約65重量%〜約99.99重量%、より好ましくは約65重量%〜約99重量%を含む。
【0254】
薬学的に許容できる口内洗浄キャリア成分及び方法の口内洗浄組成物に含むことができる任意の成分は当業界に公知である。多種多様な組成物の種類、キャリア成分及び口内洗浄組成物に有用な任意の成分が米国特許第5,096,700号、米国特許第5,028,414号、及び米国特許第5,028,415号に記載されており、その全てをここに引用するものとする。本発明の口内洗浄組成物の実施態様は以下の例により説明する。
【表13】

【0255】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【表14】

【0256】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【表15】

【0257】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【表16】

【0258】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【0259】
2.入れ歯洗浄組成物
さらに別の実施態様において、本発明は1以上のプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含む口腔の外側の入れ歯を洗浄するための種々の入れ歯組成物を提供する。当該入れ歯洗浄組成物は効果的な量で1以上のプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含み、好ましくは組成物の約0.0001重量%〜約50重量%の1以上のプロテアーゼ酵素、より好ましくは約0.001重量%〜約35重量%、さらにより好ましくは約0.01重量%〜約20重量%及び入れ歯洗浄キャリアを含む。発泡錠など種々の入れ歯洗浄組成物形態は当業界に公知であり(例えば、ここに引用する米国特許第5,055,305号を参照)、通常は1以上のプロテアーゼ酵素を入れ歯からタンパク性シミを除去するために含めるのが好ましい。本発明の入れ歯洗浄組成物の実施態様は以下の例により説明する。
【表17】

【0260】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【0261】
3.パーソナル洗浄組成物
本発明の別の実施態様において、肌を洗浄するためのパーソナル洗浄組成物は1以上のプロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含む。当該組成物は通常、組成物の約0.001重量%〜約5重量%プロテアーゼ酵素(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)を含み、好ましくは約0.005重量%〜約2重量%、及び最も好ましくは約0.1重量%〜約0.8重量%を含む。ここに記載のプロテアーゼ酵素を含むことができる好ましいパーソナル洗浄組成物は限定されないが、米国特許出願第08/121,623号及び第08/121,624号に記載のものを含む。種々の組成物が本発明で考えられるが、石けん成分を含む1の液体パーソナル洗浄組成物は以下を含む(重量%):石けん(KまたはNa)(15.00)、30%ラウレート、30%ミリステート、25%パルミテート、15%ステアレート、脂肪酸(上述の比)(4.50)、Naラウリルサルコシネート(6.00)、ナトリウムラウレス−3硫酸(0.66)、コカミドプロピルベタイン(1.33)、グリセリン(15.00)、プロピレングリコール(9.00)、ポリクオタニウム10(0.80)、エチレングリコールジステアレート(EDTA)(1.50),プロピルパラベン(0.10)、メチルパラベン(0.20)、プロテアーゼ#(0.10)、KOHまたはNaOH(pHを調節する必要がある場合)、硫酸カルシウム(3)、酢酸(3)及び水(100に調整)。
【0262】
他の実施態様において、パーソナル洗浄バーが本発明により提供される。本発明により種々の組成物が考えられるが、石けん成分を含む1のバー状パーソナル洗浄組成物は以下を含む(重量%):ココイルイソチオン酸ナトリウム(47.20)、セテアリル硫酸ナトリウム(9.14)、パラフィン(9.05)、ナトリウム石けん(in situ)(3.67)、イセチオン酸ナトリウム(5.51)、塩化ナトリウム(0.45)、二酸化チタニウム(0.4)、3ナトリウムEDTA(0.1)、エチドロン酸3ナトリウム(0.1)、香料(1.20)、NaSO(0.87)、プロテアーゼ#(0.10)及び水及び微量成分の混合物(100に調整)。
【0263】
上述の処方において、本発明で有用な減少された免疫原性プロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)はそこで置換され、実質的に類似の結果を有する。また、上述の処方において、ここに挙げる本発明で有用なプロテアーゼの組み合わせ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)は実質的に類似の結果を有して置換できる。
【0264】
実施例12
洗浄性能試験
本発明組成物で有用な変異体の洗浄性能を当業界に公知の適当な手段により評価できる。EMPA116(綿上の血液/ミルク/カーボンブラック)布見本(Testfabrics,Inc.,Middlesex,N.J.07030)からのシミ除去を測定する1の適当な方法をこの実施例で説明する。
【0265】
6つのEMPA116見本を3回41/2インチに切断し、端をピンクにし、15gpg硬度(Ca++:Mg++::3:1:::w:w)、1000mlの水、7gの洗剤及び必要に応じて酵素を含むModel 7243S Terg−Tometer(United States Testing Co.,Inc.,Hoboken、N.J.)の各ポット内に入れる。洗剤基礎はmfk Testgewebe GmbH(Krefeld,ドイツ)からのWFK1洗剤であり、以下の成分を含む(最終製剤の%):ゼオライトA(25%)、硫酸ナトリウム(25%)、ソーダ灰(10%)、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(8.8%)、アルコールエトキシレート(7−8EO)(4.5%)、ナトリウム石けん(3%)、及びケイ酸ナトリウム(SiO:NaO::3.3:1)(3%)。
【0266】
この基礎洗剤に以下の追加ができる(最終製剤の%):過ホウ酸ナトリウムモノヒドレート(13%)、コポリマー(Sokalan CP5)(4%)、TAED(Mykon ATC Green)(3%)、酵素(0.5%)及び漂白剤(Tinopal AMS−GX)(0.2%)。
【0267】
過ホウ酸ナトリウムモノヒドレートは種々の市販元から得ることができ、デグサ社(Degussa Corporation),Ridgefield−Parkなどがある。Sokalan CP5はBASF Corporation、Parsippany,N.J.から得られる。Mykon ATC Green(TAED、テトラアセチルエチレンジアミン)はWaraick International,Limited,イングランドから得られる。T inopal AMS GXはCiba−Geigy Corportion、Greensboro,N.C.から得られる。
【0268】
1の適した試験方法において、6つのEMPA 116見本を酵素を用いて洗剤中で30分間、60℃で洗浄し、1000mlの水の中で5分毎に2回ゆすぐ。酵素は標準曲線に関して最終濃度0.05〜1ppmで加え、通常の分析に関して0.25ppmで加える。見本は乾燥及び圧縮し、見本からの反射率をミノルタChroma Meter、モデルCR−200(ミノルタ・コーポレーション、Ramsey,NJ)のLスケールについてL値を用いて測定する。いくつかの実施態様において、試験酵素の性能はB.アミロリケファシエンス(BPN’)プロテアーゼの性能の比率として記録し、B.アミロリケファシエンス(BPN’)プロテアーゼ量を同じシミ除去性能が必要な変異体プロテアーゼ(変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)量で割って100倍することにより計算する。
【0269】
実施例13
液体洗剤製剤中の変異体ズブチリシン・カールスバーグ安定性
この実施例は液体洗剤製剤中での不活性化に対するプロテアーゼ(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)安定性をバチルス・アミロリケファシエンスズブチリシン及びその変異体酵素と比較する方法を提供する。他の方法が本発明で使用できるので、本発明はこの方法に限定されるものではない。
【0270】
この方法において、研究用の洗剤製剤は市販の洗濯用洗剤である(例えば、Tide(登録商標)Ultra液体洗濯用洗剤(プロクター&ギャンブル))。いくつかの実施態様において、in situプロテアーゼを不活性化させるために洗剤製剤の熱処理が必要である。これは96℃で4.5時間の間、洗剤を培養することにより達成される。20グラム/リットル酵素の範囲の試験用B.アミロリケファシエンスズブチリシン及び変異体(例えば、変異体ズブチリシン・カールスバーグ酵素)の濃縮調製物は、室温で最終濃度が洗剤製剤中、0.3グラム/リットル酵素になるように熱処理した洗剤にそれから加える。プロテアーゼを加えた熱処理洗剤はそれから50℃で水槽中で培養する。アリコートを0、24、46、76及び112時間の間隔で培養管から取り除き、0.1M Tris−HCl緩衝液中に、pH8.6、25℃で溶解させた1.2mMの合成ペプチド基質suc−Ala−Ala−Pro−phe−p−ニトロアニリドを含む1cmキュベットに加えることにより酵素活性を分析する。初期線状反応速度は時間の関数として410nmで反応生成物p−ニトロアニリンの吸収を観測することにより分光光度法に従う。好ましい実施態様において、好ましい変異体は天然B.アミロリケファシエンス酵素よりも不活性化に対して著しく大きい安定性が観測される。2つの酵素に関する洗濯用洗剤製剤における不活性化の推測半減期は特定の試験条件下で測定する。
【0271】
上述の明細書中の全ての文献及び特許はここに引用するものとする。本発明で説明した方法及びシステムの種々の修正及び変形は本発明の範囲及び概念を逸脱することなく当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい実施態様と関連して説明したが、本発明は当該特定の実施態様に過度に限定されるべきでないことは当然のことである。実際に、本発明を実施するために分子生物学、免疫学、処方設計及び/また関連分野の当業者に明らかな種々の形態の変更は本発明の範囲内であるとする。
【図面の簡単な説明】
【0272】
【図1】図1は、ALCALASE(登録商標)酵素に見られるズブチリシン・カールスバーグの成熟タンパク質配列である(配列番号1)。この図において、成熟ポリペプチドは位置106で始まり、下線残基により示される(AQTVP)。
【図2】図2は配列番号1の配列に基づいて合成された、ペプチドのそれぞれ配列番号2−89に対応する、ペプチド番号1−88のアミノ酸配列である。
【図3】図2に示すペプチドの分析結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌性ズブチリシンの少なくとも1のT細胞エピトープを同定する方法であって、前記ズブチリシンはズブチリシン・カールスバーグを含み、以下の工程を含む:
(i)1のヒト血液源から樹状細胞溶液及びナイーブCD4+及び/またはCD8+T細胞溶液を得る工程;
(ii)前記樹状細胞を分化して、分化樹状細胞溶液を生成する工程;
(iii)分化樹状細胞及び前期ズブチリシン・カールスバーグのペプチド断片を有する前記ナイーブCD4+及び/またはCD8+T細胞溶を混合する工程;及び
(iv)工程(iii)の前記T細胞の増殖を測定する工程。
【請求項2】
前記細菌性ズブチリシン・カールスバーグがバチルス属のメンバーから得られる、請求項1の方法。
【請求項3】
バチルスがB.ズブチリス、B.リケニホルミス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステロサーモフィラス、B.アルカロフィラス(alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス、B.clausii、B.ハロデュランス、B.メガテリウム、B.コアグランス、B.サーキュランス、B.レンタス及びB.チューリンゲンシスからなる群より選択される、請求項2の方法。
【請求項4】
前記細菌性バチルス・カールスバーグが配列番号1に示す配列の少なくとも一部を含む、請求項1の方法。
【請求項5】
細菌性ズブチリシン・カールスバーグの免疫原性を減少させる方法であって、以下の工程を含む:
(a)以下の方法により前記タンパク質中の少なくとも1のT細胞エピトープを同定する工程(i)in vitroで少なくとも1のサイトカインに曝露することにより分化された接着性単球由来樹状細胞と前記T細胞エピトープを含む少なくとも1のペプチドを接触させる、及び(ii)前記樹状細胞及び前期ペプチドとナイーブT細胞を接触させ、ここで、前記ナイーブT細胞は前記接着性単球由来樹状細胞と同じ供給源から得たものであり、それにより前記T細胞増殖は前記ペプチドに反応する;及び
(b)前記T細胞エピトープを中性化するために前記ズブチリシン・カールスバーグを修飾し、変異体タンパク質を生成する工程であって、前記変異体タンパク質が前記ナイーブT細胞より少ないまたは実質的に等しい基準増殖を誘発するようにする工程。
【請求項6】
前記細菌性ズブチリシンがバチルス属のメンバー由来である、請求項5の方法。
【請求項7】
バチルスがB.ズブチリス、B.リケニホルミス、B.レンタス、B.ブレビス、B.ステロサーモフィラス、B.アルカロフィラス(alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス、B.clausii、B.ハロデュランス、B.メガテリウム、B.コアグランス、B.サーキュランス、B.レンタス及びB.チューリンゲンシスからなる群より選択される、請求項6の方法。
【請求項8】
前記細菌性ズブチリシン・カールスバーグが配列番号1に示される配列の少なくとも一部を含む、請求項5の方法。
【請求項9】
(a)前記T細胞エピトープのアミノ酸配列を前記細菌性ズブチリシンの相同体由来の類似配列で置換し、前記置換がT細胞エピトープの主要な3次構造属性を擬態するようにすることにより前記細菌性ズブチリシン・カールスバーグの前記エピトープを修飾する、請求項5の方法。
【請求項10】
前記細菌性ズブチリシン・カールスバーグが、配列番号2、配列番号90、配列番号15、配列番号30、及び配列番号40からなる群より選択される少なくとも1のエピトープを改変することにより修飾される、請求項5の方法。
【請求項11】
前記エピトープが少なくとも1の前記エピトープに対応する残基のアミノ酸配列を置換することにより修飾される、請求項10の方法。
【請求項12】
前記エピトープが少なくとも1の前記エピトープに対応する残基のアミノ酸配列を欠失することにより修飾される、請求項10の方法。
【請求項13】
前記エピトープが少なくとも1の前記エピトープにアミノ酸を付加することにより修飾される、請求項10の方法。
【請求項14】
修飾ズブチリシン・カールスバーグ酵素であって、前記ズブチリシン・カールスバーグは配列番号2、配列番号90、配列番号15、配列番号30、及び配列番号40からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む少なくとも1のエピトープにおいて少なくとも1の変異を含む。
【請求項15】
前記修飾ズブチリシン・カールスバーグがバチルス属の生物内で発現する、請求項14の修飾ズブチリシン・カールスバーグ。
【請求項16】
前記修飾ズブチリシン・カールスバーグにより生じる免疫反応が野生型修飾ズブチリシン・カールスバーグにより生じる前期免疫反応より少ない、請求項14の修飾ズブチリシン・カールスバーグ。
【請求項17】
前記修飾ズブチリシン・カールスバーグにより生じる免疫反応が野生型修飾ズブチリシン・カールスバーグにより生じる前期免疫反応より大きい、請求項14の修飾ズブチリシン・カールスバーグ。
【請求項18】
請求項14の前記修飾ズブチリシン・カールスバーグをエンコードする核酸を含む組成物。
【請求項19】
請求項18の核酸を含む発現ベクター。
【請求項20】
請求項19の発現ベクターを用いて形質転換した宿主細胞。
【請求項21】
洗浄組成物、パーソナルケア組成物及びヘルスケア組成物からなる群より選択される組成物であって、請求項14の修飾ズブチリシン・カールスバーグを含む組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−513691(P2006−513691A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−571434(P2003−571434)
【出願日】平成15年2月26日(2003.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/005861
【国際公開番号】WO2003/072746
【国際公開日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【出願人】(500284580)ジェネンコー・インターナショナル・インク (67)
【Fターム(参考)】