説明

共有分配を伴うコート/現像モジュール

【課題】半導体基板処理動作中に流体を分配する装置。
【解決手段】当該装置は、複数の流体源に結合された複数の分配ノズルを備える中央流体分配バンクと、中央流体分配バンクの第1の側に位置された第1の処理チャンバとを含む。また、当該装置は、中央流体分配バンクの第2の側に位置された第2の処理チャンバと、中央流体分配バンクと第1の処理チャンバと第2の処理チャンバとの間で並進するようになっている分配アームとを含む。さらに、当該装置は、第1の処理チャンバと第2の処理チャンバとの間に位置された分配アームアクセスシャッタを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は一般に半導体処理設備の分野に関する。特に、本発明は、半導体基板上へ流体を分配する方法及び装置に関する。単なる一例として、方法及び装置は、中央流体分配バンクを共有するコート/現像モジュール内の2つの処理チャンバに対して適用された。しかし、本発明が多くの幅広い適用可能範囲を有していることは言うまでもない。
【背景技術】
【0002】
[0002]電子デバイスを形成するプロセスの一部は、一般に、制御された処理環境で基板(例えば半導体ウエハ)を連続的に処理できる能力を有するマルチチャンバ処理システム(例えばクラスタツール)内で行われる。フォトレジスト材料を堆積(すなわち、コーティング)して現像するために使用され且つ一般にトラックリソグラフィツールとして知られる典型的なクラスタツールはメインフレームを含んでおり、メインフレームは、ポッド/カセット装着デバイスとメインフレームに接続される複数の処理チャンバとの間で基板を搬送する複数の基板受け渡しロボットを収容している。クラスタツールは、しばしば、制御された処理環境内において繰り返し可能な態様で基板を処理できるように使用される。制御された処理環境は、搬送中及び様々な基板処理ステップの完了中に基板表面の汚染を最小にすることを含む多くの利点を有している。したがって、制御された環境内での処理は、形成される欠陥の数を減らすとともに、デバイスの歩留りを高める。
【0003】
[0003]トラックリソグラフィツール内に一般に含められる2つのタイプの処理チャンバは基板コーティングモジュール及び基板現像モジュールであり、時として、これらはコート/現像モジュールと総称される。一般に、コートモジュールでは、基板の上面にフォトレジスト層又は他のコーティング層を形成するためにスピンコーティングプロセスが使用される。1つの方法は、1分間当たりの回転数(RPM)が最大で数千回転まで回転されるスピンチャック上に基板を装着する。基板の中心領域に対して液体(例えばフォトレジスト)が数ミリメートル塗布されるとともに、スピンチャックの回転動作が基板の表面上にわたって液体を分配する。その後のステップにおいてコーティングが処理され、当業者に周知のように基板上に特徴が形成される。現像モジュールでは、フォトレジストの露光後に、基板の表面に現像剤が塗布される。コート/現像モジュールは、多数の類似性を有するとともに、他にも要因があるが、分配流体の様々な粘度に対応する異なるノズル構造を含む相違点を有している。
【0004】
[0004]幾つかの既に知られたコート/現像モジュールでは、フォトレジスト又は他のコーティング液体を分配するために単一のスピンボールがシステムに対して取り付けられる。幾つかのフォトレジストコーティング用途では、異なる厚さ及び材料を含む多くの異なるコーティング剤を供給することが望ましい。特に、300mm基板への生産移行により、異なるコーティング液体の数が増大した。したがって、幾つかのコート/現像モジュール、特にフォトレジストコートモジュールにおいて、分配システムは、異なるフォトレジストを分配する多数の異なる分配ノズルを含んでいる場合がある。また、様々な濃度の溶液及び溶剤とともにフォトレジストを供給する多くの他の分配ノズルが含められる場合もある。
【0005】
[0005]幾つかのコート/現像モジュールにおいて、分配ノズルは、特定の半導体プロセスに関連する許容誤差にしたがった正確な許容誤差で製造される。これらのモジュールのうちの幾つかにおける分配ノズルの数及び品質の結果として、分配システムのコストがスピンボールのコストよりもかなり大きくなる場合がある。
【0006】
[0006]一般に、コート/現像用途は、所定の回転速度を得るために基板を回転させて、コーティング流体を分配し、その後、分配ステップが完了された後、所定の期間にわたって基板を回転させ続ける。前述したように、基板の回転は、基板の表面上にわたってコーティング流体を分散させるために利用される。これらのプロセスでは、基板回転がレジストを分配する間、分配システムは活動していない。したがって、幾つかの分配システムでは、最も高価なシステム構成要素すなわち分配装置内に含まれる構成要素が処理時間のかなりの部分にわたってアイドル状態にある。
【0007】
[0007]他の既に知られたコートモジュールは複数のスピンボールを使用する。2つのスピンチャックが1つのケーシング内に配置されたコーティング装置の1つの例が米国特許第5,250,114号に記載されている。ウエハは、ケーシングの外側に配置された1つのロボットによりスピンチャックに対してロード及びアンロードされる。レジスト液体を分配するための1つのレジストノズルは、2つのローラを取り囲むエンドレスベルトに取り付けられたノズルアームに対して取り付けられている。エンドレスベルトはモータによって駆動される。モータ及びエンドレスベルトの使用により、ノズルアームは両方のスピンチャックを扱うことができる。
【0008】
[0008]米国特許第5,205,114号に示されたシステムは幾つかの問題をかかえている。第1に、システムは、1つのレジストを分配する1つのレジストノズルだけを備えている。したがって、システムは、異なる材料から成るコーティング剤を含む多数の異なるコーティング剤を供給しない。第2に、スピンチャックとケーシング内に収容された他のアイテムとの間に設けられる唯一の分離体は、各スピンチャックを取り囲むカップである。カップはコーティング中に所定の位置まで上昇される。このカップ構造は、ウエハ表面から撒き散らされる液体粒子のための何らかの封じ込めを行う場合があるが、ウエハの近傍の雰囲気の制御はこの構造によって行われない。その結果、浮遊粒子及び溶剤霧は、一方のスピンチャックから他方のスピンチャックへと自由に移動し、或いは、1つのノズルが待機する待機トレンチからいずれかのウエハへと自由に移動する。
【0009】
[0009]したがって、改良されたコート/現像モジュール及び当該コート/現像モジュールを動作させる改良された方法の必要性が技術的に存在する。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本発明によれば、半導体処理設備の分野に関連する技術が提供される。特に、本発明は、半導体基板上へ流体を分配する方法及び装置を含んでいる。単なる一例として、方法及び装置は、中央流体分配バンクを共有するコート/現像モジュール内の2つの処理チャンバに対して適用された。しかし、本発明が多くの幅広い適用可能範囲を有していることは言うまでもない。
【0011】
[0011]本発明の特定の実施形態では、半導体基板処理動作中に流体を分配する装置が提供される。装置は、複数の流体源に結合された複数の分配ノズルを備える中央流体分配バンクと、中央流体分配バンクの第1の側に位置された第1の処理チャンバとを含んでいる。また、装置は、中央流体分配バンクの第2の側に位置された第2の処理チャンバと、中央流体分配バンクと第1の処理チャンバと第2の処理チャンバとの間で並進するようになっている分配アームとを含んでいる。
【0012】
[0012]本発明の他の実施形態では、複数の分配ノズルを含む中央流体分配バンクと、第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバと、分配アームとを備える装置を使用して半導体基板上へ流体を分配する方法が提供される。方法は、複数の分配ノズルから第1の分配ノズルを選択するステップと、第1の処理チャンバ内の第1の位置へ分配アームを移動させるステップとを含んでいる。また、方法は、第1の分配ノズルから第1の流体を分配するステップと、中央流体分配バンクの上側の第2の位置へ分配アームを戻すステップとを含んでいる。
【0013】
[0013]更に他の特定の実施形態では、半導体処理動作中に流体を分配する装置が提供される。装置は、複数の流体源に結合された複数の分配ノズルを備える中央流体分配バンクと、中央流体分配バンクの第1の側に位置された第1の処理チャンバと、中央流体分配バンクと上記第1の処理チャンバとの間で並進するようになっている第1の分配アームとを含んでいる。また、装置は、中央流体分配バンクの第2の側に位置された第2の処理チャンバと、中央流体分配バンクと第2の処理チャンバとの間で並進するようになっている第2の分配アームとを含んでいる。
【0014】
[0014]本発明の代替の実施形態ではトラックリソグラフィツールが提供される。トラックリソグラフィツールは、複数の基板を収容するFOUPを受けるようになっているフロントエンドモジュールと、複数の処理ツールを備える中央モジュールと、スキャナに対して結合されたリアモジュールとを含んでいる。トラックリソグラフィツールは、フロントエンドモジュールから基板を受けるとともに、当該基板を処理ツール及び/又はリアモジュールのいずれかへ供給するようになっている少なくとも1つのロボットも含んでおり、複数の処理ツールのうちの1つは、半導体基板処理動作中に流体を分配する装置である。上記装置は、複数の流体源に結合された複数の分配ノズルを備える中央流体分配バンクと、中央流体分配バンクの第1の側に位置された第1の処理チャンバと、中央流体分配バンクの第2の側に位置された第2の処理チャンバと、中央流体分配バンクと第1の処理チャンバと第2の処理チャンバとの間で並進するようになっている分配アームとを含んでいる。
【0015】
[0015]従来技術よりも優れた本発明によれば多くの利点が達成される。例えば、本技術によれば、幾つかの共通の構成要素を共有することができ、それにより、システムコスト、複雑さ、フットプリントを減少させることができる。また、本発明の実施形態は、各処理チャンバ毎に設けられる重複システムの数を減少しつつシステムの信頼性を高める。これら及び他の利点については、本明細書の全体にわたって、特に以下において、更に詳しく説明する。
【0016】
[0016]本発明のこれら及び他の実施形態並びにその利点及び特徴の多くについては、以下の本文及び添付図面と併せて更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明の一実施形態に係る流体分配装置の簡略化された斜視図である。
【図1B】本発明の他の実施形態に係る流体分配装置の簡略化された斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る流体分配装置の簡略化された概略平面図である。
【図3A】本発明の一実施形態に係る第1の動作モードにおける流体分配装置の簡略化された概略平面図である。
【図3B】本発明の他の実施形態に係る第2の動作モードにおける流体分配装置の簡略化された概略平面図である。
【図4A】本発明の一実施形態に係る流体分配装置を動作させる方法を示す簡略化されたフローチャートである。
【図4B】本発明の他の実施形態に係る流体分配装置を動作させる方法を示す簡略化されたフローチャートである。
【図5】本発明の更に他の実施形態に係る流体分配装置を動作させる方法を示す簡略化されたフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係る流体分配装置の簡略化された概略平面図である。
【図7】本発明の多数の態様を示すトラックリソグラフィツールの一実施形態の平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る流体分配装置の動作を示す簡略化されたタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0028]本発明によれば、半導体処理設備の分野に関連する技術が提供される。特に、本発明は、半導体基板上に流体を分配する方法及び装置を含んでいる。単なる一例として、方法及び装置は、中央流体分配バンクを共有するコート/現像器モジュールの2つの処理チャンバに適用された。しかしながら、本発明が非常に幅広い適用範囲を有していることは言うまでもない。
【0019】
[0029]図7は、有利に使用できる本発明の多数の態様を示すトラックリソグラフィツール710の一実施形態の平面図である。図7に示されるトラックリソグラフィ710の一実施形態は、フロントエンドモジュール(時として、ファクトリインタフェースと称される)750と、中央モジュール850と、リアモジュール(時として、スキャナインタフェースと称される)900とを含んでいる。フロントエンドモジュール750は、一般に、1つ以上のポッドアセンブリ又はFOUP805(例えばアイテム805A〜D)と、フロントエンドロボット808と、フロントエンド処理ラック752とを含んでいる。中央モジュール850は、一般に、第1の中央処理ラック852と、第2の中央処理ラック854と、中央ロボット807とを含んでいる。リアモジュール900は、一般に、リア処理ラック902とバックエンドロボット809とを含んでいる。一実施形態において、トラックリソグラフィツール710は、フロントエンド処理ラック752内の処理モジュールにアクセスするようになっているフロントエンドロボット808と;フロントエンド処理ラック752、第1の中央処理ラック852、第2の中央処理ラック854及び/又はリア処理ラック902内の処理モジュールにアクセスするようになっている中央ロボット807と;リア処理ラック902内の処理モジュールにアクセスするとともに、場合によってステッパ/スキャナ705との間で基板をやりとりするようになっているバックエンドロボット809とを含んでいる。一実施形態において、シャトルロボット810は、1つ以上の処理ラック(例えば、フロントエンド処理ラック752、第1の中央処理ラック852など)内に保持された2つ以上の隣接する処理モジュール間で基板を受け渡すようになっている。一実施形態においては、フロントエンドロボット808の周囲及びポッドアセンブリ805とフロントエンド処理ラック752との間の環境を制御するためにフロントエンド筐体804が使用される。
【0020】
[0030]また、図7は、本発明の態様で見出される想定し得るプロセスチャンバ構造の更なる詳細も含んでいる。例えば、フロントエンドモジュール750は、一般に、1つ以上のポッドアセンブリ又はFOUP805と、フロントエンドロボット808と、フロントエンド処理ラック752とを含んでいる。1つ以上のポッドアセブリ805は、一般に、トラックリソグラフィツール710内で処理される1つ以上の基板「W」又はウエハを収容できる1つ以上のカセット806を受け入れるようになっている。フロントエンド処理ラック752は、基板処理シーケンスで見出される様々な処理ステップを実行するようになっている複数の処理モジュール(例えばベークプレート790、チルプレート780など)を含んでいる。一実施形態において、フロントエンドロボット808は、ポッドアセンブリ805内に装着されたカセット間及びフロントエンド処理ラック752内に保持された1つ以上の処理モジュール間で基板を受け渡すようになっている。
【0021】
[0031]中央モジュール850は、一般に、中央ロボット807と、第1の中央処理ラック852と、第2の中央処理ラック854とを含んでいる。第1の中央処理ラック852及び第2の中央処理ラック854は、基板処理シーケンスで見出される様々な処理ステップを実行するようになっている様々な処理モジュール(例えば、コータ/現像器モジュール100、ベークモジュール790、チルプレート780など)を含んでいる。一実施形態において、中央ロボット807は、フロントエンド処理ラック752、第1の中央処理ラック852、第2の中央処理ラック854及び/又はリア処理ラック902の間で基板を受け渡すようになっている。1つの態様において、中央ロボット807は、中央モジュール850の第1の中央処理ラック852と第2の中央処理ラック854との間の中心位置に位置決めされている。
【0022】
[0032]リアモジュール900は、一般に、リアロボット809及びリア処理ラック902を含んでいる。リア処理ラック902は、一般に、基板処理シーケンスで見出される様々な処理ステップを実行するようになっている処理モジュール(例えば、コータ/現像器モジュール760、ベークモジュール790、チルプレート780など)を含んでいる。一実施形態において、リアロボット809は、リア処理ラック900とステッパ/スキャナ705との間で基板を受け渡すようになっている。カリフォルニア州のサンノゼにあるキャノンUSA社、カリフォルニア州のベルモントにあるニコンプレシジョン社、アリゾナ州のテンペにあるASMLUS社から購入されてもよいステッパ/スキャナ705は、例えば集積回路(IC)の製造で使用されるリソグラフィック投影装置である。スキャナ/ステッパツール705は、クラスタツール内の基板上に堆積された感光材料(レジスト)を何らかの形態の電磁放射線に晒して、基板表面上に形成される集積回路(IC)デバイスの個々の層に対応する回路パターンを形成する。
【0023】
[0033]一実施形態では、クラスタツール710内の全ての構成要素及びクラスタツール710内で行われるプロセスを制御するためにコントローラ801が使用される。コントローラ801は、一般に、ステッパ/スキャナ705と通信し、クラスタツール810内で行われるプロセスの態様を監視して制御するようになっているとともに、基板処理シーケンス全体の全ての態様を制御するようになっている。一般にマイクロプロセッサベースのコントローラであるコントローラ801は、ユーザから及び/又は処理チャンバのうちの1つにおける様々なセンサから入力を受けるとともに、様々な入力及びコントローラのメモリ内に保持されたソフトウェア命令にしたがって処理チャンバの構成要素を適切に制御するように構成されている。コントローラ801は、一般に、様々なプログラムを保持し、プログラムを処理し、必要なときにプログラムを実行するためにコントローラによって利用されるメモリ及びCPU(図示せず)を含んでいる。メモリ(図示せず)は、CPUに接続されており、ランダムアクセスメモリ(RAM)や読み出し専用メモリ(ROM)などの直ぐに利用できるメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクク、又は、任意の他の形態のデジタル記憶装置、ローカルストレージ又はリモートストレージのうちの1つ以上であってもよい。ソフトウェア命令及びデータは、CPUに命令するためにコード化してメモリ内に記憶することができる。従来の態様でプロセッサをサポートするために、CPUにはサポート回路(図示せず)も接続されている。サポート回路としては、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステムなどを挙げることができ、これらは全て当分野において周知である。コントローラ801によって読み取ることができるプログラム(又はコンピュータ命令)は、どのタスクが処理チャンバ内で実行できるのかを決定する。好ましくは、プログラムは、コントローラ801によって読み取り可能なソウトウェアであり、定められた規則及び入力データに基づいてプロセスを監視して制御するための命令を含んでいる。
【0024】
[0034]更に、図7は、処理チャンバ110、111の両方でフォトレジストコートステップ又は現像ステップを行うようになっていてもよい第2の中央処理ラック854に装着されたコータ/現像器モジュール100を示している。この構造は、2つの処理チャンバ110、111で見出される共通の構成要素の一部を共有することができ、それにより、システムコスト、複雑度及びツールのフットプリントを減少させることができるため有益である。図7に示されるように、また、以下で更に詳しく説明するように、処理チャンバ110、111内にはそれぞれ2つのスピンチャック130、131が設けられている。2つの処理チャンバ間には共有中央流体分配バンク112が位置されており、また、分配アームアセンブリ118は中央流体分配バンクからノズルを選択して両方のスピンチャックを扱うことができる。本発明の実施形態において、中央ロボット807は、両方の処理チャンバ110、111に独立にアクセスすることができる。
【0025】
[0035]図1Aは、本発明の一実施形態に係る流体分配装置の簡略化された斜視図である。流体分配装置100はフレーム105を含むものとして示されている。更なる構成要素が本発明の実施形態によって設けられるが、明確にするため、全ての構成要素は図示されていない。例えば、フレームの側面に一般に存在する吸気ポート及び排気ポート並びに給電部は図1Aに示されていない。構成要素の幾つかに関する更なる詳細が図2で与えられている。
【0026】
[0036]図1Aに示されるように、2つの別個の処理チャンバ110、111は、中央流体分配バンク112の左側及び右側のそれぞれにおいてフレーム105内に位置されている。一部のコート/現像器モジュールでは、処理チャンバ110、111が処理ステーションと称される。ここでは、処理チャンバ及び処理ステーションという用語が置き換え可能に使用される。単なる一例として、本発明は、一対のコート/現像ボールが中央流体分配バンクの両側に水平に配置されたコータ/現像器モジュールに適用されているが、これは本発明において必須のものではない。特定の実施形態において、コートモジュールは、異なるフォトレジスト及び異なる濃度の溶剤と組み合わされたフォトレジストを用いるフォトレジストモジュールである。当業者に明らかなように、中央流体分配バンクによって分配される流体は、液体、蒸気、霧又は液滴の形態で供給されてもよい。
【0027】
[0037]他の実施形態において、処理チャンバは、例えば有機流体及び無機流体、混合有機/無機流体、水溶性流体などを使用してコーティングプロセスを行うようになっていてもよい処理モジュールである。単なる一例として、これらの流体は、ボトム反射防止コーティング(BARC)、レジスト、トップ反射防止コーティング(TARC)、現像、シュリンクコート、PIQ(登録商標)(ポリイソインドロキナゾリンジオン)、スピンオンガラス、スピンオン誘電体、スピンオンハードマスクなどを含むスピンオン材料を含むプロセスで利用されてもよい。また、化学メッキプロセス及び電気化学メッキプロセス並びにウェットクリーン等において使用される流体を含む他の流体を利用するプロセスも本発明の範囲内に含まれる。
【0028】
[0038]図1Aに示される実施形態において、処理チャンバ110、111は、一般に、コータモジュール又は現像器モジュールとともに米国仮出願第60/639,109号に記載された処理構成要素の全てを含んでいる。また、2つのチャンバは中央流体分配バンク112を共有している。中央流体分配バンクは多くの分配ノズル114を含んでいる。各スピンチャック130、131は、シャフト(図示せず)を介してモータ(図示せず)に結合されるとともに、スピンチャックの面と垂直な軸を中心に回転するようになっている。幾つかの実施形態において、スピンチャック130、131は、基板が回転されている間に基板を保持するようになっている真空源に接続されたシール面を含んでいる。
【0029】
[0039]コントローラ(図示せず)は、スピンチャックのタイミング及び回転速度を所定の態様で制御できるように設けられてモータに接続されている。幾つかの実施形態において、回転速度は、時間に応じて変化してもよく或いは一定であってもよい。一実施形態において、回転モータは、最大で約50,000RPM/sの加速度をもって300mm半導体基板を約1回転/分(RPM)〜約5,000RPMの間で回転させるようになっている。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。
【0030】
[0040]分配アームアセンブリ118はモータ105、106、107によって3次元で作動される。モータ105は、時として縦方向と称される第1の方向でガイドレール119に沿って分配アームアセンブリを移動させるために使用される。モータは、分配アームアセンブリを所定の速度で正確に反復可能に移動させるように選択される。一実施形態において、ガイドレールに沿う分配アームアセンブリの移動は、分配アームアセンブリが両方のウエハの中心に達するのに十分である。幾つかの実施形態では、当業者に周知のように、動作ストッパ、位置フィードバック、インターロックが設けられる。
【0031】
[0041]モータ106は、時として垂直方向と称される第2の(垂直)方向でエクステンションアーム117を移動させるために使用される。モータは、エクステンションアームを所定の速度で正確に反復可能に移動させるように選択される。一実施形態において、垂直方向でのエクステンションアームの移動は、グリッパアセンブリが分配ノズルに達し、且つ分配ノズルをカップの上縁、エクステンションアームアクセスドア、他の障害物よりも上側に持ち上げるのに十分である。幾つかの実施形態では、当業者に周知のように、動作ストッパ、位置フィードバック、インターロックが設けられる。
【0032】
[0042]モータ107は、時として横方向と称される第3の方向でグリッパアセンブリ108を移動させるために使用される。図1Aに示されるように、グリッパアセンブリ107は、エクステンションアーム220に沿って移動できるとともに、ノズルホルダアセンブリ117よりも上側の第1の位置及びノズルホルダアセンブリ116よりも上側の第2の任意の位置で示されている。モータは、グリッパアセンブリを所定の速度で正確に反復可能に移動させるように選択される。一実施形態において、横方向でのグリッパアセンブリの移動は、グリッパアセンブリが両方のノズルバンクに達するのに十分である。垂直方向に向けられた1つのノズルバンクが利用される実施形態において、グリッパアセブリの移動は、グリッパアセンブリがバンク内の全てのノズルに達するのに十分である。幾つかの実施形態では、当業者に周知のように、動作ストッパ、位置フィードバック、インターロックが設けられる。
【0033】
[0043]図1Bは、本発明の他の実施形態に係る流体分配装置の簡略化された斜視図である。図1Bに示されるように、フレーム105の内側には分配アームアクセスシャッタ122、123が設けられている。分配アームアクセスシャッタ122は、第1の処理チャンバ110と中央流体分配バンク112との間に位置されている。分配アームアクセスシャッタ123は、中央流体分配バンクと第2の処理チャンバ111との間に位置されている。本発明の実施形態において、分配アームアクセスシャッタは、開位置と閉位置との間で移動できるとともに、これらの位置の間で位置決めされる。図1Bに示されるように、分配アームアクセスシャッタ122は開位置と閉位置との間の約半分の位置にある。分配アームアクセスシャッタ123は閉位置で示されている。分配アームアクセスシャッタが開位置にある場合、分配アームアセンブリは処理チャンバと中央流体分配バンクとの間で自由に移動できる。
【0034】
[0044]図2は、本発明の一実施形態に係る流体分配装置の簡略化された概略平面図である。図2を参照すると、カップ140、141は、適した剛性及び耐溶剤性によって特徴付けられる材料から製造される。例えば、本発明の幾つかの実施形態において、カップ140、141は、プラスチック材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリプロピレン、又は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF))、セラミック材料、プラスチック材料でコーティングされた金属(例えば、PVDF又はHalarのいずれかでコーティングされたアルミニウム又はSSTなど)、又は、流体分配システム112から供給される処理流体と適合する他の材料から製造される。
【0035】
[0045]リフトアセンブリ(図示せず)は、一般に、エアシリンダ又はサーボモータなどのアクチュエータ(図示せず)と、リニアボールベアリングスライドなどのガイド(図示せず)とを含んでおり、これらは、回転可能なスピンチャック130、131を所望の位置へと昇降させるようになっている。したがって、リフトアセンブリは、筐体100の外側に位置された外部ロボットを用いて基板を交換するため、処理中にカップ内の回転可能なスピンチャク上に装着された基板を位置決めするとともに基板をカップの上端よりも上側に持ち上げるようになっている。外部ロボットに取り付けられるロボットブレード(図示せず)は、ロボットアクセスシャッタ120、121を介して装置100内に入る。
【0036】
[0046]図2に示されるように、プレウェットノズル115はエクステンションアームアセンブリ118の先端に位置されている。幾つかの実施形態において、プレウェットノズルは、エクステンションアームに結合された構成要素を介して配管にされる。これらの実施形態では、単一のプレウェットノズルがエクステンションアーム上に存在するため、個々の分配ノズルのそれぞれの構造が簡略化される。特に、幾つかの実施形態では、プレウェットノズルが各分配ノズルの一部として含められない。以下で更に十分に説明するように、エクステンションアームは、伸縮アームであり、したがって、プレウェットノズル115をガイド機構119から所望の距離に制御可能に位置決めすることができる。また、バックサイドリンス(BSR)ノズル138は、スピンチャック130、131上に位置決めされた基板の下側に位置されるボールの部位上に含められる。BSRノズルは、クリーニングステップ中に基板の裏面に塗布される溶剤を供給する。一実施形態では、エッジビード除去(EBR)アーム150が各処理チャンバの角部に設けられる。図2に示されるように、EBRアームは、EBRアームの基端に位置されたピボット152を中心に回転して、スピンチャック上に装着された基板のエッジ上の位置にEBRアームの先端を位置決めする。基板上に存在するエッジビードを除去するため、EBRアームの先端に位置されたノズルを通じてEBR流体が分配される。
【0037】
[0047]ガス流分配システムは、筐体100及び処理チャンバ110、111を通じてガスの均一な流れを供給するようになっている。特定の実施形態において、ガス流分配システムは、温度及び/又は湿度が制御された空気を供給ポート160を通じて供給する。カップ排気部162は処理チャンバからの空気の除去を行う。カップドレーン164はカップからの流体の除去を行う。図2に示されるように、温度及び/又は湿度が制御された空気、カップ排気部、カップドレーンに関連して4つのポートが示されている。幾つかの実施形態ではシステムフットプリントを減らすために4つの分配システムが垂直に積み重ねられるため、この例図が与えられている。したがって、例えば、図示のカップ排気部のそれぞれは、4つの分配システムのうちの1つにおけるカップに対して結合される。
【0038】
[0048]図2に示される様々な空気及び流体処理構成要素は4つの別個のポートとして示されているが、これは本発明において必須のものではない。他の実施形態において、空気及び流体処理構成要素は、全体のシステム構造に応じて異なる数で設けられる。また、ポートは各グループ内で寸法が均一に示されているが、これは本発明において必須のものではない。更に、他の実施形態では、別個のポートを大きな共用ポートへと組み合わせることが行われる。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。
【0039】
[0049]また、当業者に明らかなように、温度及び湿度が制御されたガス、例えば空気の処理チャンバへの供給は、一般に、様々な空気流パラメータの監視及び制御にまで及ぶ。単なる一例として、本発明の一実施形態では、チャンバの環境が監視されるとともに、溶剤分圧及び蒸気濃度、空気流速度、空気流量、とりわけ差圧を含むパラメータが制御されて、所望の空気温度及び湿度が達成される。更に、幾つかの実施形態では、チャンバ環境に加えて、基板上に存在する膜からの静電放電が制御される。したがって、処理チャンバ環境及び基板パラメータ、特にチャックスピン速度などのファクタの制御により、コーティング特性を制御することができる。
【0040】
[0050]また、アクセスポートのためのシールとロボットアームがアクセスポートを通過するためのアクセスとを交互に行うため、2つのチャンバのそれぞれはロボットアクセスシャッタ120/121を含んでいる。基板が処理できる状態にあり且つ基板を処理するために処理チャンバを利用できる場合には、ロボットアクセスシャッタが開かれる。その上に基板が支持されるロボットアーム(図示せず)は、アクセスポートを通じて移動されることにより、処理チャンバの外側の位置から一方のスピンチャック上の位置へと基板を移動させる。当業者に周知の方法を利用して、ロボットアームがスピンチャック上に基板を配置して処理チャンバから出るとともに、ロボットアクセスシャッタが閉じられる。
【0041】
[0051]ロボットアクセスシャッタ120、121を使用して、ロボットは、基板を処理チャンバ110、111内へ独立に交互にロードすることができる。幾つかの実施形態では、処理チャンバ110内でコート/現像プロセスが行われる間、ロボットアクセスシャッタ121が開かれて、基板が処理チャンバ111内へロードされる。或いは、処理チャンバ111内でコート/現像プロセスが行われる間、ロボットアクセスシャッタ120は処理チャンバ110へ独立にアクセスできるようにする。本発明の実施形態を使用すると、基板のローディング及び処理が2つの処理チャンバで同時に行われるため、システムスループットが高められる。
【0042】
[0052]図2に示されるように、2つの処理チャンバのそれぞれは、スピンチャック130、131のそれぞれと中央流体分配バンク112との間に位置される分配アームアクセスシャッタ122、123も含んでいる。図1に示される実施形態では分配アームアクセスシャッタが設けられていないが、幾つかの実施形態において、分配アームアクセスシャッタは、システムの動作中に中央流体分配バンクから処理チャンバを分離させるためにシールドを行う。一般に、分配アームアクセスシャッタは、分配アームアセンブリ118を処理チャンバ内へ移動させることができるようにするために開かれ、分配ステップが終了して分配アームアセンブリが中央流体分配バンク領域へ戻った後に閉じられる。一般に、コートプロセスは、基板を所望の回転速度まで加速させ、例えばレジストなどのコーティング流体を数秒間にわたって分配するとともに、基板を数十秒間にわたって連続回転させることを含んでいる。単なる一例として、本発明の一実施形態では、基板が500RPMの速度に達するまで回転され、レジストが約3秒間にわたって分配されるとともに、基板が約60秒間にわたって1800RPMの回転速度に維持される。この実施形態では、レジスト流体が分配された後、分配アームが中央流体分配バンクへと戻り、基板が約55秒間にわたって回転し続けている間に分配アームアクセスシャッタが閉じられる。
【0043】
[0053]本発明の幾つかの実施形態において、分配アームアクセスシャッタ122、123は、中央流体分配バンク内に存在する液体からの分離を行うだけでなく、各処理チャンバ内での更なる粒子制御も行う。例えば、一実施形態において、分配アームアクセスシャッタは、中央流体分配バンクから処理チャンバ内への浮遊粒子の流れを制限する処理チャンバのためのシールを行う。したがって、分配アームアクセスシャッタは、処理チャンバ間のクロストークを最小限に抑えるとともに、汚染物質がチャンバ境界を横切って移動しないようにする。また、分配アームアクセスシャッタは、処理チャンバ間での流れを実質的に制限し、それにより、それぞれの処理チャンバと中央流体分配バンクとの間での空気の流れを減少させる。一般に、他にも理由はあるが、許容できる耐用年数を与えるため、分配アームアクセスシャッタはアルミニウムなどの化学的耐性のある材料から形成される。
【0044】
[0054]図1Bでは開位置と閉位置との間で垂直にスライドするものとして示されているが、これは本発明において必須のものではない。他の実施形態において、分配アームアクセスシャッタは様々な位置間を直線軌道で、回転軌道で、斜めの軌道等で移動される。幾つかの実施形態において、分配アームアクセスシャッタは、特定の用途に応じて、空気圧、ソレノイド又はモータによって作動される。一般に、分配アームアクセスシャッタの動きは1つ以上のインターロックとともに制御される。特定の実施形態において、インターロックは、機械的な、電気的な、又は、ソフトウェアのスイッチ或いは制御装置を使用して動作する。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。
【0045】
[0055]また、本発明の実施形態により各基板の近傍における温度及び/又は湿度の独立制御が行われる。幾つかのコーティングプロセスにおいて、仕上げコーティングに関連するパラメータは、コーティングプロセスの温度、基板の近傍の湿度、又は、これらの両方の関数である。本発明の実施形態は、処理チャンバ110、111において独立した温度及び/又は湿度制御を行う。したがって、特定のプロセスにおいて異なる温度及び/又は湿度設定が必要とされるコーティングプロセスの場合、本発明の実施形態は必要な制御を行う。単なる一例として、処理チャンバ110では、コーティングプロセスが、コーティングされる基板の周囲環境の温度及び湿度の制御を必要としてもよく、同時に、現像プロセスが温度の制御のみを必要としてもよい。更に他の実施形態では、温度、湿度、又は、これらの両方のいずれかが2つの処理チャンバ内で独立に制御されてもよい。
【0046】
[0056]幾つかの実施形態において、処理チャンバ内の温度及び/又は湿度は、ロボットアームアクセスドアの使用による分配動作の前、最中、後に制御されてもよい。所定の温度及び/又は湿度で動作するようになっているプロセスにおいて、アクセスドアは、分配アームの侵入を許すように開くことができ、流体分配ステップ中に部分的に閉じることができ、分配アームが処理チャンバから出ることができるように再び完全に開くことができ、また、分配プロセスの終了中に完全に閉じることができる。
【0047】
[0057]中央流体分配バンク112は、1つ以上のノズルホルダアセンブリ116内に収容される複数のノズル114を含んでいる。米国仮出願第60/639,109号に更に十分に記載されるように、コータ又は現像器モジュールで使用される流体分配システムは、1つ以上の処理流体をスピンチャック130上に装着された基板の表面へ供給する1つ以上の流体源アセンブリ(図示せず)を含んでいてもよい。本発明の幾つかの実施形態では、分配アームのホーム位置が中央流体分配バンク領域内にある。したがって、ロボットアクセスドア120、121を通じた基板ローディング及びアンローディング動作中、分配アームは中央流体分配バンク領域内のホーム位置に位置される。
【0048】
[0058]図1に示されるように、本発明の一実施形態では2つの分配ノズルバンクが設けられる。ノズルホルダアセンブリ116内に収容された各ノズル114は、一般に、配管要素(供給チューブ、ポンプ、フィルタ、吸引バック弁、流体源などを含む)に対して接続されるとともに、1つのタイプの処理流体を分配するようになっている。特定の実施形態において、処理流体は、フォトレジスト、溶剤、コーティング、現像剤などである。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。左側処理チャンバ内又は右側処理チャンバ内のいずれかに分配アームを位置決めできるため、各中央流体分配バンクは両方の処理チャンバを扱うことができ、それにより、各処理チャンバ内で必要とされる冗長性(重複)が減少される。
【0049】
[0059]当業者であれば分かるように、様々なプロセスにおいて利用されるノズル構造は一般に特定の用途の特徴に応じて異なる。単なる一例として、レジストノズルバンクは一般に4個〜10個のノズルを含んでいる。本発明の特定の実施形態において、レジストノズルバンクは10個を越えるノズルを含んでいる。一般に、レジストノズルは、レジスト、反射防止コーティング、スピンオン材料(例えばSOG及びSOD)を含む様々な化学物質を分配するようになっている。一方、現像ノズルバンクは一般に1個〜3個のノズルを含んでいる。幾つかの実施形態では、4個以上の現像ノズルが現像ノズルバンク内に含まれる。また、幾つかの現像ノズルバンクは特定の用途に適した多くのリンスラインを含んでいる。
【0050】
[0060]ノズルの構造は、レジストであろうと現像であろうと、特定の用途に適するように構造において類似性を共有してもよい。また、分配動作が行われている時間は、一般に、数秒の期間にわたって起こるレジスト動作に伴って変化し、一方、現像動作は数百秒の期間にわたって起こってもよい。したがって、本発明の実施形態は、特定の分配アセンブリの機能に適したノズルを中央流体分配バンクに備えている。
【0051】
[0061]図1及び図2に示されるように、中央流体分配バンクは多数の分配ノズルを含んでいる。図1A、図1B、図2に示される実施形態において、分配ノズルは、ノズルの2つのグループ、具体的には、ノズルホルダアセンブリ116内に収容される5個のノズルから成る第1のグループと、ノズルホルダアセンブリ117内に収容される5個のノズルから成る第2のグループとを成して配置されている。図示のように、分配ノズルは、ノズルホルダアセンブリ内で縦方向に配列されている。すなわち、ノズルホルダアセンブリの長手寸法は、スピンチャック130の中心をスピンチャック131の中心に接続するラインと平行に合わせられている。スピンチャックがそれらの対応する処理チャンバの内側に中心付けられる実施形態において、ノズルホルダアセンブリは、第1の処理チャンバの中心と第2の処理チャンバの中心とを接続するラインと平行に位置合わせされる。ノズルホルダアセンブリを基準付けることができる他の基準フレームはガイド機構119の長さである。図1に示されるように、ノズルホルダアセンブリ116、117はガイド機構119の長さと平行に位置合わせされる。
【0052】
[0062]図1〜3は各ノズルホルダアセンブリ116が5個のノズル114を含む構造を示しているが、他の実施形態において、ノズルホルダアセンブリ116は、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく更に少ない数のノズル又は更に多くの数のノズルを含んでいてもよい。例えば、一実施形態では、1つのバンク当たりに8個のノズルを含む2つのバンクが設けられる。また、図1ではノズルホルダアセンブリがガイド機構119の長さと平行に位置合わせされるように示されているが、これは本発明において必須のものではない。代替の実施形態では、ノズルホルダアセンブリがガイド機構の長さに対して垂直に位置合わせされる。また、特定の一実施形態では、8個のノズルを含む単一のバンクが設けられる。この特定の実施形態において、単一のノズルバンクは、ノズルホルダアセンブリがガイド機構の長さに対して垂直に位置合わせされた状態で配置される。これらの代替の実施形態については以下で更に詳しく説明する。
【0053】
[0063]図1に示されるように、ノズル分配バンクに設けられる分配ノズルの全ては、スピンチャックを含む平面と平行の1つの平面内に配列される。しかしながら、これは本発明において必須のものではない。代替の実施形態(図示せず)においては、分配ノズルが垂直に積み重ねられ、第1の数のノズルが第1の平面内に配列され、第2の数のノズルが第2の平面内に配列される。また、幾つかの実施形態では、ノズルが垂直に積み重ねられるとともに横方向に千鳥状に配置され、それにより、特定の用途に適したノズルにアクセスできるようになっている。
【0054】
[0064]図3Aは、本発明の一実施形態に係る第1の動作モードにおける流体分配装置の簡略化された概略平面図である。本発明の特定の実施形態では、流体分配装置がコータ/現像器モジュールである。図3Aに示されるように、時としてノズルアームアセンブリと称される分配アームアセンブリ118は、スピンチャック130上に保持された基板210上へ処理流体を分配するために右側処理チャンバ上に位置決めされる。分配アームアセンブリ118はアーム220及びノズル保持機構222を含んでいてもよい。分配アームアセンブリ118は、分配アームアセンブリ118を移動させてガイド機構226に沿う任意の位置に位置決めするようになっているアクチュエータ224に対して取り付けられている。一実施形態において、システムコントローラ(図示せず)は、処理中に基板210の上側にノズル114を正確に位置決めするとともに、ノズル保持機構がノズルホルダアセンブリ116からノズル114を拾い上げ且つ外し落とすことができるようにするべく、分配アームアセンブリ118を垂直に移動させるようになっている。前述したように、分配アームアクセスシャッタ123は、垂直に移動して閉じるとともに、処理中に一方の処理チャンバ111を中央流体分配バンク112及び他方のプロセスモジュール110から分離させて処理中の基板の二次汚染を防止するようになっている。
【0055】
[0065]図3Bは、本発明の他の実施形態に係る第2の動作モードにおける流体分配装置の簡略化された概略平面図である。図3Bに示されるように、分配アームアセンブリ118は、スピンチャック130上に保持された基板310上に処理流体を分配するために左側処理チャンバ110上に位置決めされる。分配アームアクセスシャッタ122は、垂直に移動して閉じるとともに、処理中に処理チャンバ110を中央流体分配バンク112及び他方の処理チャンバ111から分離させて処理中の基板の二次汚染を防止するようになっている。
【0056】
[0066]図6は、本発明の他の実施形態に係る流体分配装置の簡略化された概略平面図である。図6に示されるように、流体分配装置は、図2に示される装置と幾つかの共通点を共有する。例えば、図6に示される装置は、多くの分配ノズルを備える中央流体分配バンク612と、ホーム領域614と、中央流体分配バンク及びホーム領域の両側に位置された2つの処理チャンバとを含んでいる。図6に示されるように、中央流体分配バンクは単一のノズルホルダアセンブリ616を含んでおり、この場合、ノズルホルダアセンブリの長い寸法は、処理チャンバ610の中心と処理チャンバ611の中心とを接続するラインに対して略垂直である。
【0057】
[0067]また、図6に示されるアセンブリは、共有中央流体分配バンク内に収容されたノズルホルダアセンブリにアクセスして、当該ノズルホルダアセンブリから1つの分配ノズル618を選択するとともに、当該分配ノズルを取り外し可能に結合するようになっている2つのノズルアームアセンブリ620、622を含んでいる。各分配アームアセンブリは、選択された分配ノズルを関連する基板の表面上の所望の位置へ並進させるためにモータ(図示せず)により作動される。例えば、分配アームアセンブリ620がスピンチャック630に関連付けられるとともに、分配アームアセンブリ622がスピンチャック632に関連付けられる。図6に示されるように、分配アームアセンブリ622は、ホーム領域に位置されており、分配ノズルに結合されていない。一方、分配アームアセンブリ620は、ノズルホルダアセンブリ内の場所640に最初に位置されていた分配ノズルに結合されている。また、分配アームアセンブリ620は、分配ノズルから分配されるコーティング流体を基板650の中心に衝突させるための位置へと移動されてしまっている。
【0058】
[0068]図6に示される実施形態では、ホーム位置及び中央流体分配バンクに対して分配アームアセンブリを個別にアクセスさせるために分配アームアクセスシャッタが分割されている。更なる実施形態では、当業者に明らかなように、更なる移動可能な或いは移動不可能な仕切りが含められている。単なる一例として、中央流体分配バンク612とホーム位置614との間に位置された移動不可能な仕切り660は、中央流体分配バンクとホーム領域との間の環境分離を行う。図6に示される実施形態において、各分配ノズルは、異なる流体溶液を供給するように配管されている。或いは、複数のノズルが同じポンプを共有して例えば特定のレジストなどの同じ流体を分配してもよい。したがって、図6に示される流体分配装置は多種多様なコートプロセス及び現像プロセスを行うことができる。
【0059】
[0069]図4Aは、本発明の一実施形態に係る流体分配装置を動作させる方法を示す簡略化されたフローチャートである。本方法は、ステップ410において、多数の分配ノズルを備える中央流体分配バンクを設けることを含んでいる。特定の実施形態において、中央流体分配バンクは、16個の異なるレジストを供給する16個のノズルを含んでいる。他の実施形態では、16個のノズルが設けられるが、各ノズルによって1つのレジストが供給される。この場合、溶剤の濃度は各ノズルによって異なる。他の実施形態において、中央流体分配バンクは、特定の用途に応じて更に少ない数或いは更に多い数のノズルを含んでいる。また、方法は、中央流体分配バンクの第1の側に位置される第1の処理チャンバを設けるとともに、中央流体分配バンクの第2の側に位置される第2の処理チャンバを設けることも含んでいる(ステップ412)。この場合、第1の側は第2の側と反対の側である。更に、方法は、ステップ414において、ホーム位置に配置される分配アームアセンブリを設けることも含んでいる。本発明の実施形態では、ホーム位置が中央流体分配バンク領域内にあり、分配アームアセンブリが中央流体分配バンクと第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバとの間で並進するようになっている。ホーム位置は、中央流体分配バンク領域内の特定の場所に限定されないが、分配ノズルの近傍の一般的な場所であることは言うまでもない。
【0060】
[0070]ステップ416では、中央流体分配バンク内に位置された複数の分配ノズルから1つの分配ノズルが選択され、選択されたノズルが分配アームアセンブリに対して結合される。本発明の実施形態において、第1の分配ノズルを選択するステップは、分配アームアセンブリのエクステンションアーム内に組み込まれたグリッパアセンブリを使用してノズルを分配アームに対して取り外し可能に結合することを含んでいる。前述したように、分配アームアセンブリは3次元で移動するようになっており、それにより、分配アームアセンブリは、ノズルホルダアセンブリから選択されたノズルを持ち上げることができるとともに、当該ノズルをいずれかの処理チャンバへと移動させることができる。一実施形態では、選択されたノズルをノズルホルダアセンブリから除去して当該ノズルを流体分配ステップの前に基板表面から所定の距離に位置決めするために垂直方向での並進が利用される。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。ステップ418において、分配アームアセンブリは、分配アームアセンブリに結合されたモータの作動によって並進される。分配アームアセンブリは、第1の処理チャンバ内の第1の位置に分配ノズルを位置決めするために移動される。
【0061】
[0071]幾つかの実施形態において、方法は、スピンチャック130上に装着された基板の中央領域上に位置付けられた第1の分配位置にノズルを位置決めすることを含んでいるが、これは本発明において必須のものではない。代替の実施形態は処理チャンバ110内の他の位置を利用する。
【0062】
[0072]スピンチャックは、基板回転速度を所定の値にするように回転される。一実施形態において、スピンチャックは、最大で約50,000RPM/sの加速度をもって基板を加速させ、それにより、基板を静止位置から約5,000RPMの回転速度へと至らせる。或いは、加速度は約10RPM/s〜約50,000RPM/sの範囲であり、回転速度は約1RPM〜約5,000RPMの範囲である。無論、加速度及び回転速度は特定の用途に依存している。
【0063】
[0073]溶剤プレウェットが利用される実施形態において、第1の位置は、分配アームアセンブリ上に存在する溶剤プレウェットノズルを分配位置に位置決めするように選択される。特定の実施形態において、分配位置は、溶剤プレウェットノズルが基板の中心上に位置決めされる位置である。溶剤プレウェットノズルが位置決めされた後、回転する基板上に溶剤が分配される。その後、分配アームアセンブリが作動されて、分配アームアセンブリが移動され、基板の中心上に分配ノズルが位置決めされた後、分配ノズルから流体が分配される。
【0064】
[0074]ステップ420において、コーティング流体は、一般にスピンチャック130上に装着された基板の中心部上で、選択された分配ノズルから分配される。スピンチャックは、基板の表面上にわたってコーティング流体を広げるように分配動作中に回転される。回転速度は、時間に応じて変えることができてもよく或いは一定であってもよい。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。ステップ422では分配アームがホーム位置に戻され、選択された分配ノズルが中央流体分配バンクに戻される。
【0065】
[0075]図4Bは、本発明の他の実施形態に係る流体分配装置を動作させる方法を示す簡略化されたフローチャートである。図4Bのステップ450〜460は図4Aのステップ410〜420に匹敵している。図4Bに示される代替の実施形態では、分配アームアセンブリを中央流体分配バンクへ戻し且つ選択された分配ノズルを中央流体分配バンクへ戻すのではなく、ステップ462において、スピンチャック131上に装着された第2の基板の中心領域上に位置付けられた第3の位置へと分配アームアセンブリが並進される。溶剤プレウェットが利用される実施形態において、第2の位置は、分配ノズル位置の調整前に第2の基板の中心上へ溶剤を分配でき且つ分配ノズルからコーティング流体を分配できるように選択される。
【0066】
[0076]第1の分配動作に類似する態様で、基板回転速度が所定の値に至るようにスピンチャック131が回転される。分配パラメータは、用途に応じて、第1の分配ステップ中に使用される分配パラメータと同じであってもよく或いは異なっていてもよい。ステップ464では、任意のプレウェット溶剤及びコーティング流体が、一般にスピンチャック131上に装着された基板の中心部分上で、選択された分配ノズルから分配される。基板の表面上にわたってコーティング流体を広げるために、分配動作中にスピンチャックが回転される。回転速度は、時間に応じて変えることができてもよく或いは一定であってもよい。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。第2の分配ステップ後、ステップ466において分配アームアセンブリが中央流体分配バンク上のホーム位置に戻されるとともに、選択された分配ノズルが中央流体分配バンクに戻される。
【0067】
[0077]先の実施例は第1の分配ステップ及び第2の分配ステップのために1つの選択された分配ノズルを利用するが、これは本発明において必須のものではない。他の実施形態では、第1の分配ステップにおいて第1の分配ノズルが選択され且つ第2の分配ステップにおいて第2の分配ノズルが選択されるようにステップ460とステップ462との間にステップが挿入される。また、更に他の代わりの実施形態において、流体を基板上へ分配する方法は、第2の分配ステップ後に停止されず、3つ以上の分配ステップにわたって続けられる。分配ステップは、処理チャンバ間で交互に成されてもよく、或いは、同じ或いは異なるコーティング流体を用いて1つの処理チャンバ内で複数の一連の分配ステップを特徴付けてもよい。複数の分配ノズル、複数の処理チャンバ、及び、中央流体分配バンク領域内の分配アームアセンブリのためのホーム位置に関する可能なバリエーションは当業者にとって明らかである。
【0068】
[0078]基板は、任意の適切なロボットを使用して2つの処理チャンバ内にロードできる。例えば、一実施形態において、中央ロボットは、両方の処理チャンバに対して本発明の一実施形態では交互に基板を受け渡すようになっている。幾つかの実施形態では、基板が中央ロボットにより処理チャンバ内へロードされる間、分配アームアセンブリが中央流体分配バンク領域内のホーム位置に位置決めされる。ロボットローディング及びアンローディングプロセス中、分配アームアクセスドアが一般に閉じられたままに保たれ、それにより、処理チャンバと中央流体分配バク領域との間での空気及び浮遊粒子の移動が制限される。
【0069】
[0079]ステップの前述したシーケンスは、半導体基板上へ流体を分配するための本発明の一実施形態に係る方法を与える。図示のように、本方法は、本発明の一実施形態に係る2つの処理チャンバによって共有される中央流体分配バンクを利用する方法を含むステップの組み合わせを使用する。また、本明細書に記載された請求項の範囲から逸脱することなく、複数のステップが加えられ、1つ以上のステップが除去され、又は、1つ以上のステップが異なるシーケンスで設けられる他の代替案を与えることができる。本方法の更なる詳細は、本明細書の全体にわたって見出すことができる。
【0070】
[0080]図5は、本発明の更に他の実施形態に係る流体分配装置を動作させる方法を示す簡略化されたフローチャートである。方法は、ステップ510において、中央流体分配バンクを設けることを含んでいる。中央流体分配バンクは多くの分配ノズルを備えている。特定の実施形態において、中央流体分配バンクは16個の異なるレジストを供給する16個のノズルを含んでいる。他の実施形態では、16個のノズルが設けられるが、各ノズルによって単一のレジストが供給される。この場合、溶剤の濃度は各ノズルによって異なる。他の実施形態において、中央流体分配バンクは、特定の用途に応じて更に少ない数或いは更に多い数のノズルを含んでいる。また、方法は、中央流体分配バンクの第1の側に位置される第1の処理チャンバを設ける(ステップ512)とともに、中央流体分配バンクの第2の側に位置される第2の処理チャンバを設ける(ステップ514)ことも含んでいる。特定の実施形態において、第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバは中央流体分配バンクの両側に位置されている。
【0071】
[0081]更に、方法は、中央流体分配バンクと第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバとの間で並進するようになっている分配アームアセンブリをホーム位置に設ける(ステップ516)こと、及び、複数の分配ノズルから1つの分配ノズルを選択することも含んでいる。本発明の実施形態において、分配ノズルを選択するステップは、分配アームアセンブリのエクステンションアーム内に組み込まれたグリッパアセンブリを使用してノズルを分配アームに対して取り外し可能に結合することを含んでいる(ステップ518)。また、幾つかの実施形態において、グリッパアセンブリは、ノズルをグリッパアセンブリに結合した後、垂直方向及び横方向に並進される。一実施形態では、選択された分配ノズルに結合されたチューブをノズルホルダアセンブリ内の他の分配ノズルに結合されたチューブから分離するために垂直方向での並進が利用され、それにより、粒子総数が減少される。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。
【0072】
[0082]特定の一実施形態では、各処理チャンバ毎に別個の温度環境及び湿度環境を与えるように第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバが制御される。したがって、一実施形態では、中央流体分配バンクと両方の処理チャンバとの間に分配アームアクセスシャッタが設けられ、それにより、処理チャンバのための環境制御が行われる。ステップ520では、中央流体分配バンクと第1の処理チャンバとの間に位置された第1の分配アームアクセスシャッタが開かれる。第1の分配アームアクセスシャッタが開くと、選択されたノズルを中央流体分配バンクから第1の処理チャンバ内の第1の位置へ移動させるための分配アームアセンブリのための経路が与えられる(ステップ522)。一般に、第1の分配位置は、分配ノズルがスピンチャック130上に装着された基板の中心領域上に配置される位置であるが、これは本発明において必須のものではない。他の実施形態は、処理チャンバ110内の他の位置、例えば溶剤プレウェットノズルが基板の中心上に位置決めされる位置を利用する。
【0073】
[0083]スピンチャックは、基板回転速度を所定の値にするように回転される。一実施形態において、スピンチャックは、最大で約50,000RPM/sの加速度をもって基板を加速させ、それにより、基板を静止位置から約5,000RPMの回転速度へと至らせる。或いは、加速度は約10RPM/s〜約50,000RPM/sの範囲であり、回転速度は約1RPM〜約5,000RPMの範囲である。無論、加速度及び回転速度は特定の用途に依存している。
【0074】
[0084]ステップ524において、コーティング流体は、一般にスピンチャック130上に装着された基板の中心部上で、分配ノズルから分配される。スピンチャックは、基板の表面上にわたってコーティング流体を広げるように分配動作中に回転される。回転速度は、時間に応じて変えることができてもよく或いは一定であってもよい。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。ステップ526では分配アームアセンブリがホーム位置へと並進される。特定の実施形態において、流体分配後に基板が回転されている時間は、分配アームアセンブリが分配位置から中央流体分配バンク領域へと移動するための並進時間よりも短い。したがって、この特定の実施形態では、分配ステップ後に分配アームアセブリが第1の処理チャンバから出るとともに、スピンステップの完了前に第1の分配アームアクセスシャッタが閉じられる。
【0075】
[0085]ステップ530では、中央流体分配バンクと第2の処理チャンバとの間に位置された第2の分配アームアクセスシャッタが開かれる。第2の分配アームアクセスシャッタが開くと、選択されたノズルを中央流体分配バンクから第2の処理チャンバ内の第2の位置へ移動させるための分配アームアセンブリのための経路が与えられる(ステップ532)。一般に、第2の分配位置は、分配ノズルがスピンチャック131上に装着された基板の中心領域上に配置される位置であるが、これは本発明において必須のものではない。他の実施形態は、処理チャンバ111内の他の位置、例えば溶剤プレウェットノズルが基板の中心上に位置決めされる位置を利用する。処理チャンバ110に関連して説明したように、スピンチャック131は、基板回転速度を所定の値にするように回転される。
【0076】
[0086]ステップ534において、コーティング流体は、一般にスピンチャック131上に装着された基板の中心部上で、分配ノズルから分配される。スピンチャックは、基板の表面上にわたってコーティング流体を広げるように分配動作中に回転される。回転速度は、時間に応じて変えることができてもよく或いは一定であってもよい。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。ステップ536では分配アームアセンブリがホーム位置へと並進される。特定の実施形態において、流体分配後に基板が回転されている時間は、分配アームアセンブリが分配位置から中央流体分配バンク領域へと移動するための並進時間よりも短い。したがって、この特定の実施形態では、分配ステップ後に分配アームアセブリが第2の処理チャンバから出るとともに、スピンステップの完了前に第2の分配アームアクセスシャッタが閉じられる(ステップ538)。幾つかの実施形態では、ステップ540において、選択された分配ノズルが分配アームアセンブリから取り外される。
【0077】
[0087]ステップの上記シーケンスは、本発明の一実施形態にしたがって多くの半導体基板上へ流体を分配する方法を与える。図示のように、方法は、本発明の一実施形態にしたがって2つの環境的に制御された処理チャンバによって共有される中央流体分配バンクを利用する方法を含むステップの組み合わせを使用する。また、本明細書に記載された請求項の範囲から逸脱することなく、複数のステップが加えられ、1つ以上のステップが除去され、又は、1つ以上のステップが異なるシーケンスで設けられる他の選択肢を与えることができる。本方法の更なる詳細は、本明細書の全体にわたって見出すことができる。
【0078】
[0088]他の実施形態において、分配アームアクセスシャッタは、各コーティングプロセス中に開かれ、部分的に閉じられ、再び開かれる。この特定の実施形態では、分配アームが処理チャンバ内に入った後に分配アームアクセスシャッタが部分的に閉じられるとともに、流体が分配された後に中央流体分配バンクに隣接する処理チャンバの側へと分配アームが移動される。この実施形態では、コーティングプロセス中、コーティングプロセスが完了されるのを分配アームが処理チャンバの側で待っている間、分配アームアクセスシャッタは部分的に閉じられたままである。コーティングプロセスの完了後、分配アームアクセスシャッタが開かれ、分配アームが中央流体分配バンク領域へ戻る。この場合、第1の分配ノズルが中央流体分配バンクに戻され、分配アームアクセスシャッタが再び閉じられる。この特定の実施形態では、分配アームアクセスシャッタが開かれている時間及び処理チャンバが中央流体分配バンク領域に対して露出されている時間が最小限に抑えられ、それにより、中央流体分配バンク領域又は他の処理チャンバのいずれかからの二次汚染が減少される。
【0079】
[0089]先の実施例は第1の分配ステップ及び第2の分配ステップのために1つの選択された分配ノズルを利用するが、これは本発明において必須のものではない。他の実施形態では、第1の分配ステップにおいて第1の分配ノズルが選択され且つ第2の分配ステップにおいて第2の分配ノズルが選択されるようにステップ528とステップ530との間にステップが挿入される。また、更に他の代わりの実施形態において、流体を基板上へ分配する方法は、第2の分配ステップ後に停止されず、3つ以上の分配ステップにわたって続けられる。分配ステップは、処理チャンバ間で交互に成されてもよく、或いは、同じ或いは異なるコーティング流体を用いて1つの処理チャンバ内で複数の一連の分配ステップを特徴付けてもよい。複数の分配ノズル、複数の処理チャンバ、及び、中央流体分配バンク領域内の分配アームアセンブリのためのホーム位置に関する可能なバリエーションは当業者にとって明らかである。
【0080】
[0090]図8は、本発明の一実施形態に係る流体分配装置の動作を示す簡略化されたタイミング図である。この図は、プロセスフローの単なる一例であり、本明細書に記載された請求項の範囲を限定するものではない。また、図8に示される図は、一定の倍率で描かれておらず、互いに関連する一連の時限事象を単に表わしている。図8の(A)は、図2に示されるガイドレール119に沿う分配アームアセンブリの動きを示している。図2及び図8の(B)を参照すると、分配アームアセンブリの左右方向の速度をプラス及びマイナスの速度としてそれぞれ時間の関数でプロットすることにより、分配アームアセンブリの左側(処理チャンバ110を扱うため)及び右側(処理チャンバ111を扱うため)への動きが示されている。
【0081】
[0091]図8の(A)に示される実施形態では、時間t0において、分配アームアセンブリがホーム位置から左へ所定時間にわたって並進されて停止される。当業者に明らかなように、ホーム位置から処理チャンバ110内の分配位置までの距離に応じて、上記所定時間と移動速度とが関連付けられる。明確のため、図の面内におけるガイドレールと直交する方向及び垂直方向(図2に関して)での分配ノズル及び分配アームアセンブリの動きは図8の(A)に示されていないが、当業者であれば分かるように、これらの動きは前述したように含められる。
【0082】
[0092]図8の(B)に示されるように、処理チャンバ110(PC1)内のスピンチャックの回転速度が時間の関数として示されている。一実施形態において、処理チャンバ110内のチャックの回転は、分配アームアセンブリが所望の位置に位置されて停止されるまで開始されない。他の実施形態では、分配アームアセンブリが依然として動いている状態の間にスピンプロセスが始められる。また、前述したように、幾つかの実施形態において、分配アームアセンブリは、プレウェットプロセスのための溶剤が分配される第1の位置からレジスト又は他の流体が分配される第2の位置へと移動される。図8の(B)に示される実施形態では、分配アームアセンブリの動きが停止されてしまう前に、処理チャンバ110内のスピンチャックのためのスピンプロセスが時間t1において開始される。スピンチャックは、加速されて、分配プロセス中に第1の所定の時間にわたって一定の回転速度R1に維持されるとともに、第2の所定の時間にわたって更に高い第2の回転速度R2まで加速される。無論、回転速度及び時間は特定の用途によって決まる。
【0083】
[0093]図8の(C)は、分配ノズルから分配される流体の量を時間の関数として示している。図8の(A)と(C)とを比較すれば分かるように、分配アームアセンブリはこの分配ステップ中に処理チャンバ110(PC1)内に位置される。図8の(C)に示されるように、処理チャンバ110内のスピンチャックが第1の速度R1で回転している間に流体分配ステップが行われる。明確のため、溶剤プレウェットなどの更なる分配ステップはこの図から省かれている。また、流体分配ステップ中、分配される流体の量は時間に応じて一定として示されているが、当業者であれば分かるように、これは本発明において必須のものではない。代替の実施形態では、時間に応じた分配量が他の機能的な関係に従い、これにより、例えば特定のプロセスに適するように時間に応じて分配量が増大及び/又は減少される。
【0084】
[0094]図8の(D)及び(E)は、処理チャンバ111(PC2)内のスピンチャックの回転速度、及び、分配ノズルから分配される流体の時間に応じた量を示している。図2及び図8の(A)を参照すると、時間t3では、分配アームアセンブリが左側処理チャンバ110から右方向に並進され、それにより、分配ノズルが処理チャンバ111内の所望の位置へ移動される。図示のように、分配アームアセブリを処理チャンバ110から処理チャンバ111へと移動させるために利用される時間は、分配アームアセンブリをホーム位置から処理チャンバ111へ移動させるために本来必要とされる時間よりも長い。幾つかの実施形態において、この時間の増大は、概ね等しい速度であるが長い距離にわたって移動する分配アームアセンブリの動きに起因している。無論、代替の実施形態では、当業者に明らかなように、速度と距離と時間とが関連付けられる。また、図8の(A)に示される時間t3における分配アームアセンブリの並進は一定の速度で起こるように示されている。他の実施形態では、分配アームアセンブリの動きがホーム位置で停止され、前述したように分配ノズルが交換されるとともに、動きが左方向で継続する。当業者は、多くの変形、変更、代替案を認識している。
【0085】
[0095]時間t4では、処理チャンバ111内のスピンチャックが第1の回転速度R3まで回転され、また、時間t5において流体が分配された後、回転速度が速度R4まで更に増大される。図示のように、2つの処理チャンバ内でのスピンプロセスは重複されている。したがって、本発明の幾つかの実施形態では、共有分配構造の使用により、他にも利点があるが、システムスループットが高められる。時間t6では、分配アームアセンブリがホーム位置へ並進される。
【0086】
[0096]本明細書で説明した実施例及び実施形態は単なる例示的な目的のためのものである。それに鑑みて様々な変形又は変更が当業者に想起され、また、それらの変形又は変更はこの出願の思想及び範囲並びに添付の請求項の範囲内に含められるべきである。本発明は、添付の請求項によって示される場合を除き限定されないものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板処理動作中に流体を分配する装置であって、
第1の処理チャンバと、
第2の処理チャンバと、
分配アームアセンブリと、
前記第1の処理チャンバと前記第2の処理チャンバとの間に位置されるとともに、開位置と閉位置との間で移動可能な分配アームアクセスシャッタと、
を備え、
前記分配アームアセンブリが、前記分配アームアクセスシャッタが前記開位置にあるときに前記第1の処理チャンバから前記第2の処理チャンバへ移動できる、装置。
【請求項2】
前記第1の処理チャンバと前記第2の処理チャンバとの間に位置された中央流体分配バンクを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中央流体分配バンクが、複数の流体源に結合された複数の分配ノズルを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の処理チャンバと前記第2の処理チャンバとの間に位置された第2の分配アームアクセスシャッタを更に備え、前記分配アームアクセスシャッタが前記第1の処理チャンバと前記中央流体分配バンクとの間に位置され、前記第2の分配アームアクセスシャッタが前記中央流体分配バンクと前記第2の処理チャンッバとの間に位置されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の流体源が、有機、無機、混合、及び、水溶性から成るグループから選択される流体を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記分配アームアセンブリが、複数の分配ノズルから選択された少なくとも1つのノズルを保持するようになっている、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記分配アームアセンブリが複数の部分を備え、各部分がモータによって作動され、少なくとも1つのノズルが3次元で移動できる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の処理チャンバ及び/又は前記第2の処理チャンバで行われるプロセスが、フォトレジスト、現像剤、BARC、TARC、シュリンクコート、スピンオン材料、及び、ポリイソインドロキナゾリンジオンから成るグループから選択されるプロセスである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の処理チャンバが、第1の基板を保持して回転させるようになっている第1のスピンチャックを備え、前記第2の処理チャンバが、第2の基板を保持して回転させるようになっている第2のスピンチャックを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
分配ノズルと、第1の処理チャンバと、第2の処理チャンバと、前記第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバ間に位置された分配アームアクセスシャッタとを備える装置を使用して半導体基板上へ流体を分配する方法であって、
前記分配アームアクセスシャッタを開くステップと、
前記分配ノズルを前記第1の処理チャンバ内の第1の位置へ移動させるステップと、
前記分配ノズルから流体を分配するステップと、
前記第1の処理チャンバと前記第2の処理チャンバとの間の第2の位置へと前記分配ノズルを移動させるステップと、
前記分配アームアクセスシャッタを閉じるステップと、
を備える方法。
【請求項11】
選択する前記ステップが、前記第1の分配ノズルの上側に前記分配アームを位置決めする工程と、ノズルをつかむ工程と、前記中央流体分配バンクから前記第1の分配ノズルを取り出す工程とを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の処理チャンバと前記第2の処理チャンバとの間に位置された第2の分配アームアクセスシャッタを設けるステップと、
前記第2の分配アームアクセスシャッタを開くステップと、
前記分配ノズルを前記第2の処理チャンバ内の第3の位置へ移動させるステップと、
前記分配ノズルから流体を分配するステップと、
前記第1の処理チャンバと前記第2の処理チャンバとの間の第4の位置へと前記分配ノズルを移動させるステップと、
前記第2の分配アームアクセスシャッタを閉じるステップと、
を更に備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
半導体基板処理動作中に流体を分配するための制御環境装置であって、
第1の処理チャンバと、
第2の処理チャンバと、
ホーム位置を有する分配アームアセンブリと、
前記ホーム位置と前記第1の処理チャンバとの間に位置された第1の分配アームアクセスシャッタと、
前記ホーム位置と前記第1の処理チャンバとの間に位置された第2の分配アームアクセスシャッタと、
を備え、
前記第1の処理チャンバ内の第1の温度及び前記第2の処理チャンバ内の第2の温度が独立に制御される、制御環境装置。
【請求項14】
供給ポートの第1の組が温度制御された空気を前記第1の処理チャンバへ供給し、供給ポートの第2の組が温度制御された空気を前記第2の処理チャンバへ独立に供給する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の処理チャンバ内の第1の湿度及び前記第2の処理チャンバ内の第2の湿度が独立に制御される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の処理チャンバが第1の排気系を備え、前記第2の処理チャンバが第2の排気系を備え、前記第1の排気系及び第2の排気系が独立に制御される、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の分配アームアクセスシャッタと前記第2の分配アームアクセスシャッタとの間に位置された中央流体分配バンクを更に備える、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記中央流体分配バンクが、複数の流体源に結合された複数の分配ノズルを備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の処理チャンバ及び前記第2の処理チャンバが前記中央流体分配バンクの両側に位置されている、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の処理チャンバが、第1の基板を保持して回転させるようになっている第1のスピンチャックを備え、前記第2の処理チャンバが、第2の基板を保持して回転させるようになっている第2のスピンチャックを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項21】
複数の基板を収容するFOUPを受けるようになっているフロントエンドモジュールと、
複数の処理ツールを備える中央モジュールと、
スキャナに対して結合されたリアモジュールと、
前記フロントエンドモジュールから基板を受けるとともに、当該基板を処理ツール及び/又は前記リアモジュールのいずれかへ供給するようになっている少なくとも1つのロボットと、
を備え、
前記複数の処理ツールのうちの1つが半導体基板処理動作中に流体を分配する装置であり、前記装置が、
第1の処理チャンバと、
第2の処理チャンバと、
分配アームアセンブリと、
前記第1の処理チャンバと前記第2の処理チャンバとの間に位置されるとともに、開位置と閉位置との間で移動可能な分配アームアクセスシャッタと、
を備え、
前記分配アームアセンブリが、前記分配アームアクセスシャッタが前記開位置にあるときに前記第1の処理チャンバから前記第2の処理チャンバへ移動できる、トラックリソグラフィツール。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−139076(P2011−139076A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6873(P2011−6873)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【分割の表示】特願2007−548557(P2007−548557)の分割
【原出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】