説明

内燃機関の制御装置

【課題】簡易な構成で安価に適量のオゾンを供給することができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】燃焼室(12)から排出される排気又は燃焼室(12)内に吸入される吸気にオゾンを供給するオゾン供給装置(18a、18b)を備えた内燃機関(11)の制御装置(20)であって、オゾン供給装置(18a、18b)によるオゾンの供給を制御するオゾン供給制御手段(ステップS2)と、内燃機関(11)を始動する始動部(16)の動作を制御する始動部制御手段(ステップS4)とを備え、始動部制御手段(ステップS4)はオゾン供給制御手段(ステップS2)によるオゾンの供給制御と協調して始動部(16)の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関に吸入される吸気を過給する方法として、吸気中の酸素をオゾンに変換したり吸気にオゾンを供給したりする方法が知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、内燃機関の負荷に応じてオゾンの発生量を制御するオゾン発生装置に係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−171810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、適量のオゾンを発生することができない事態が生じていた。すなわち、例えば内燃機関の負荷が最大負荷であってこの最大負荷に応じた量のオゾンを発生する必要がある場合に、その量がオゾン発生装置の発生可能なオゾンの限界量を超えているときには適量のオゾンを発生することができなかった。
【0005】
そのため、いかなる内燃機関の負荷にも対応するためにはオゾン発生装置を大型にする必要があり、それに伴いオゾン発生装置及びその制御部が複雑且つ高価になる問題があった。
【0006】
本発明は、このような技術的課題を鑑みてなされたもので、簡易な構成で安価に適量のオゾンを供給することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0008】
本発明は、燃焼室(12)から排出される排気又は燃焼室(12)内に吸入される吸気にオゾンを供給するオゾン供給装置(18a、18b)を備えた内燃機関(11)の制御装置(20)であって、前記オゾン供給装置(18a、18b)によるオゾンの供給を制御するオゾン供給制御手段(ステップS2)と、前記内燃機関(11)を始動する始動部(16)の動作を制御する始動部制御手段(ステップS4)と、を備え、前記始動部制御手段(ステップS4)は、前記オゾン供給制御手段(ステップS2)によるオゾンの供給制御と協調して前記始動部(16)の動作を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オゾン供給装置によるオゾンの供給制御と協調して内燃機関の始動を制御している。このように内燃機関側を制御しているので、高価なオゾン発生装置を用いることなく簡易な構成で安価に適量のオゾンを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るECUの制御ロジックの第1の例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るECUの制御ロジックの第2の例を示すフローチャートである。
【図4】図2(図3)のステップS1の制御ロジックを示す図である。
【図5】図3のステップS13の制御ロジックの第1の例を示すフローチャートである。
【図6】図3のステップS13の制御ロジックの第2の例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るECUの制御ロジックを実行したときのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(システムの概略構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御システム1の概略構成を示す図である。図1に示す制御システム1は、内燃機関本体(内燃機関)11、吸気管13、排気管14、触媒15、内燃機関始動部(始動部)16、排気2次空気導入装置17、オゾン供給装置18a、18b、オゾンセンサ19、ECU(Engine Control Unit、内燃機関の制御装置)20などを備えた構成である。この制御システム1は、自動車等の車両に搭載される。
【0013】
以下、制御システム1の各構成要素について説明する。
【0014】
内燃機関本体11は、吸気管13を流通してきた吸気(吸入空気)と燃料噴射装置(不図示)により噴射された燃料との混合気を燃焼室12内に導入し、燃焼室12内でこの混合気を燃焼させて車両の動力を発生させる火花点火式内燃機関や自己着火式内燃機関である。燃焼室12内で燃焼した混合気は排気管14に排気として排出される。
【0015】
吸気管13は、内燃機関本体11の燃焼室12内に導入される吸気の通路である。排気管14は、内燃機関本体11の燃焼室12から導出される排気の通路である。
【0016】
触媒15は、排気管14の下流側に介装された排気浄化装置である。この触媒15は、排気管14を流通してきた排気中のHC(炭化水素)やNOx(窒素酸化物)を浄化する。
【0017】
内燃機関始動部16は、内燃機関本体11を始動させる装置である。例えば内燃機関本体11を始動させる電気モータである自動スタータ(エンジンスタータ)、吸気中に燃料を噴射する燃料噴射装置、燃焼室12内の混合気の燃焼のために点火する点火装置、吸気弁や排気弁の動弁系を駆動する動弁系駆動装置などである。
【0018】
排気2次空気導入装置17は、排気管14の合流部14aに空気を導入する装置である。この排気2次空気導入装置17によって排気管14に新鮮な空気を導入することで、排気管14を流通する排気中の未燃燃料を燃焼させることができる。
【0019】
オゾン供給装置18aは、排気2次空気導入装置17の上流側に配設され、排気2次空気導入装置17を介して排気管14にオゾンを供給する装置である。このオゾン供給装置18aは、陰極管に高電圧を印加することで空気中の酸素からオゾンを発生させて供給する公知のオゾン供給装置である。なお、陰極管に高電圧を印加する際には、HID(High Intensity Discharge lamp)照明灯に用いる公知の昇圧回路等を使用する。
【0020】
オゾン供給装置18bは、吸気管13にオゾンを供給する装置である。このオゾン供給装置18bも、前述のオゾン供給装置18aと同様に公知のオゾン供給装置である。
【0021】
オゾンセンサ19は、オゾン供給装置18aにより供給されたオゾンのオゾン濃度を検出する公知のセンシング装置である。
【0022】
ECU20は、制御システム1における各種制御を行うマイクロコントローラである。本実施形態におけるECU20は、車両の使用者のプッシュスタータキーの押下などによる内燃機関始動指示を受けてオゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給や内燃機関始動部16の動作を制御するものである。このECU20の制御ロジックについては図2から図6を用いて説明する。
【0023】
(ECU20の制御ロジックの第1の例)
図2は、本発明の一実施形態に係るECU20の制御ロジックの第1の例を示すフローチャートである。ここでは、ECU20がオゾン供給装置18a、18b及び内燃機関始動部16に対して実行する制御内容の第1の例を説明する。
【0024】
まずステップS1においてECU20は、内燃機関始動指示を検出する(S1)。ステップS1では、内燃機関本体11に対する始動指示を検出する。具体的な内容は後述する。
【0025】
続いてステップS2に進んでECU20は、オゾン供給装置18a、18bの動作を開始する(S2)。ステップS2では、オゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給を開始する。
【0026】
続いてステップS3に進んでECU20は、所定のタイミングか否かを判定する(S3)。ステップS3では、ステップS4の開始タイミングか否かを判定することで、ステップS2に係る動作の開始時間と後述のステップS4に係る動作の開始時間との間に時間差を設けている。所定のタイミングに係る補足内容については後述する。
【0027】
ステップS3においてYESの場合には(S3、YES)、ステップS4へ進む。また、ステップS3においてNOの場合には(S3、NO)、ステップS3へ戻って再び判定処理を繰り返す。
【0028】
ステップS4に進むとECU20は、内燃機関始動部16の動作を開始する(S4)。ステップS4では、内燃機関始動部16の動作を開始して内燃機関本体11を始動させる。内燃機関始動部16が自動スタータである場合には、この自動スタータによるクランキングを開始する。
【0029】
以上に示されるように制御ロジックの第1の例に係るECU20は、オゾン供給装置18a、18b及び内燃機関始動部16を制御するに際し、オゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給制御に協調させて内燃機関始動部16による内燃機関本体11の始動を制御している。
【0030】
ここでステップS2及びS4に示されるようにECU20は、オゾン供給装置18aによるオゾンの供給を内燃機関始動部16による内燃機関本体11の始動より先に実行している。これにより、燃焼室12から排出される排気が排気管14に到達するより先にオゾンが排気管14に供給される。そのため、触媒15が活性する前の排気中のNOxやHCを低減することができるとともに、オゾンを用いてHCを酸化することで排気管14を昇音させることができる。
【0031】
また、このようにオゾン供給装置18aによるオゾンの供給を先に実行することで、オゾン供給装置18aがオゾンの供給に時間を要する安価なものである場合であっても必要量のオゾンを供給することができる。さらにこれに伴い、クランキング等に大電流消費を伴う内燃機関始動部16の電源供給装置(不図示)を大型にする必要もなくなる。
【0032】
なお、ステップS2においてオゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給を開始するが、この際のオゾン供給装置18aによるオゾンの供給量は、ステップS4により内燃機関本体11が始動してから触媒15が活性又は排気管14において触媒15の上流側に配設された空燃比センサ(不図示)が活性するまでの間に燃焼室12から排出される排気中のNOx及びHCを還元するのに必要な化学的当量比の量にすることが望ましい。このように構成するのは、オゾン供給装置18aによる電力消費量の低減やオゾン供給量の適量化やステップS4に係る内燃機関始動部16の始動タイミングの過剰な遅延の防止を実現するとともに、オゾンの供給効果を高めるためである。
【0033】
また、ステップS3に係る所定のタイミングとは、オゾン供給装置18aの場合、ステップS4により内燃機関本体11が始動して燃焼室12から排出された排気が排気管14の合流部14aに到達する時期と、ステップS2でオゾンの供給を開始したオゾン供給装置18aから供給されたオゾンが排気管14の合流部14aに到達する時期と、が一致するように設定されたタイミングであることが望ましい。このように構成するのは、ステップS2とステップS4との間の始動時間の遅延を最小限にするとともに、始動性の改善や始動時の有害物排出量の低減のためである。ただし、オゾン供給装置18aが故障診断中であるときは、この所定のタイミングよりも短い時間になるように構成してもよい。オゾン供給装置18aの無駄なエネルギー消費の回避やオゾンの無駄な排出の防止のためである。
【0034】
(ECU20の制御ロジックの第2の例)
図3は、本発明の一実施形態に係るECU20の制御ロジックの第2の例を示すフローチャートである。ここでは、ECU20がオゾン供給装置18a、18b及び内燃機関始動部16に対して実行する制御内容の第2の例を説明する。なお、以下では前述の第1の例(図2)と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0035】
ステップS13に進むとECU20は、オゾン供給量が所定値以上か否かを判定する(S13)。ステップS13では、オゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給量が所定値以上になったか否かを判定する。具体的な内容は後述する。
【0036】
ステップS13においてYESの場合には(S13、YES)、ステップS4へ進む。また、ステップS13においてNOの場合には(S13、NO)、ステップS13へ戻って再び判定処理を繰り返す。
【0037】
以上に示されるように制御ロジックの第2の例に係るECU20は、オゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給制御に協調させて内燃機関始動部16による内燃機関本体11の始動を制御するに際し、ステップS13のようにオゾン供給量をトリガーとして内燃機関始動部16の始動を制御している。以下、ステップS1及びS13の処理について具体的に説明する。
【0038】
(ステップS1の制御ロジック)
図4は、図2(図3)のステップS1の制御ロジックを示す図である。ここではステップS1に係るECU20の制御内容を具体的に説明する。
【0039】
ECU20は、図4に示されるように、ステップS1−1、S1−2又はS1−3のいずれか一以上の条件を満たす場合に、ステップS1−4において内燃機関始動指示有りと判定する。
【0040】
すなわち、車両の使用者によるプッシュスターター(スタートボタン)の押下を検出したとき(S1−1においてON=1)、車両がアイドルストップシステムを備えているときにはこのアイドルストップシステムから内燃機関本体11の始動要求信号を受けたとき(S1−2において有り=1)、又は、車両がハイブリッドシステム等の統合システムを備えているときにはこの統合システムから内燃機関本体11の始動要求信号を受けたとき(S1−3において有り=1)、のいずれか一以上の条件を満たす場合に、ECU20は内燃機関本体11に対する始動指示を検出する。
【0041】
以上に示されるようにステップS1においてECU20は、車両の使用者や車両が備える各種システムからの内燃機関本体11に対する始動指示を検出する。
【0042】
(ステップS3の制御ロジックの第1の例)
図5は、図3のステップS13の制御ロジックの第1の例を示すフローチャートである。ここではステップS13に係るECU20の制御内容の第1の例を具体的に説明する。
【0043】
まずステップS13−1においてECU20は、オゾン供給装置18a、18bが動作中か否かを判定する(S13−1)。ステップS13−1では、ステップS2で動作を開始したオゾン供給装置18a、18bが動作中か否かを判定する。ステップS13−1においてYESの場合には(S13−1、YES)、ステップS13−2へ進む。また、ステップS13−1においてNOの場合には(S13−1、NO)、ステップS13−1へ戻って再び判定処理を繰り返す。
【0044】
ステップS13−2に進むとECU20は、オゾン供給装置18a、18bの動作時間をカウントする(S13−2)。ステップS13−2では、ECU20の内部タイマーなどを用いて動作時間をカウントする。
【0045】
ステップS13−3に進んでECU20は、ステップS13−2でカウントを開始した動作時間のカウント値が所定値以上か否かを判定する(S13−3)。ステップS13−3においてYESの場合には(S13−3、YES)、ステップS13−4へ進む。また、ステップS13−3においてNOの場合には(S13−3、NO)、ステップS13−3へ戻って再び判定処理を繰り返す。
【0046】
ステップS13−4に進むとECU20は、オゾン供給量は所定値以上と判定して(S13−4)、処理を終了する。その後、続く図3のステップS4へ進む。
【0047】
以上に示されるように第1の例に係るステップS13においてECU20は、オゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給が開始されてからの経過時間に基づきオゾン供給量が一定の供給量に達したか否かを判定している。
【0048】
(ステップS3の制御ロジックの第2の例)
図6は、図3のステップS13の制御ロジックの第2の例を示すフローチャートである。ここでは、ステップS13に係るECU20の制御内容の第2の例を具体的に説明する。
【0049】
まずステップS13−11においてECU20は、オゾンセンサ19の出力値が所定値以上か否かを判定する(S13−11)。ステップS13−11においてYESの場合には(S13−11、YES)、ステップS13−12へ進む。また、ステップS13−11においてNOの場合には(S13−11、NO)、ステップS13−11へ戻って再び判定処理を繰り返す。
【0050】
ステップS13−12に進むとECU20は、オゾン供給量は所定値以上と判定して(S13−12)、処理を終了する。その後、続く図3のステップS4へ進む。
【0051】
以上に示されるように第2の例に係るステップS13においてECU20は、オゾンセンサ19により検出されるオゾン濃度に係る信号を用いてオゾン供給量が一定の供給量に達したか否かを判定している。
【0052】
(制御ロジックを実行時のタイムチャート)
図7は、本発明の一実施形態に係るECU20の制御ロジックを実行したときのタイムチャートである。図7(a)は内燃機関始動要求信号を示す。図7(b)はオゾン供給装置18a、18bの動作状態を示す。図7(c)は内燃機関始動部16の動作状態を示す。
【0053】
なお、以下ではフローチャートとの対応が分かりやすくするために、フローチャートのステップ番号にSを付して記載する。
【0054】
時刻t1において、内燃機関本体11に対する始動要求を検出する(S1)。
【0055】
時刻t2において、オゾン供給装置18a、18bの動作を開始する(S2)。
【0056】
所定のタイミングになると(S3、YES)、時刻t3において内燃機関始動部16の動作を開始する(S4)。
【0057】
以上に示されるように本実施形態に係るECU20は、オゾン供給装置18a、18b及び内燃機関始動部16を制御するに際し、オゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給制御に協調させて内燃機関始動部16による内燃機関本体11の始動を制御している。また、オゾン供給装置18aによるオゾンの供給を内燃機関始動部16による内燃機関本体11の始動より先に実行している。
【0058】
(まとめ)
以上、各図を用いて説明してきたが、本実施形態によればECU20は、オゾン供給装置18a、18bによるオゾンの供給制御と協調して内燃機関本体11の始動を制御している。このように内燃機関本体11側を制御しているので、高価なオゾン供給装置18a、18bを用いることなく簡易な構成で安価に適量のオゾンを供給することができる。
【0059】
また、本実施形態によればオゾン供給装置18aは、燃焼室12から排気を導出する排気管14にオゾンを供給している。オゾン供給装置18aが排気管14にオゾンを供給することで、触媒15が活性する前の排気中のNOxやHCを低減することができる。
【0060】
また、本実施形態によればECU20は、オゾン供給装置18aによるオゾンの供給を開始したあとの所定のタイミングで、内燃機関始動部16の動作を開始している。つまり、オゾン供給装置18aによるオゾンの供給を内燃機関始動部16による内燃機関本体11の始動より先に実行している。そのため、オゾン供給装置18aがオゾンの供給に時間を要する安価なものである場合であっても必要量のオゾンを供給できる。さらにこれに伴い、クランキング等に大電流消費を伴う内燃機関始動部16の電源供給装置(不図示)を大型にする必要もなくなる。
【0061】
また、本実施形態によれば、上記の所定のタイミングとは、オゾン供給装置18aから供給されたオゾンが排気管14に到達する時間と、内燃機関始動部16により始動された内燃機関本体11において燃焼室12から排出された排気が排気管14に到達する時間と、が一致するように設定されたタイミングであるようにしている。このように構成することで、オゾン供給装置18aの始動時間に対する内燃機関始動部16の始動時間の遅延を最小限にするとともに、始動性の改善や始動時の有害物排出量の低減を実現することができる。また、オゾン供給装置18aの無駄なエネルギー消費の回避やオゾンの無駄な排出を防止することができる。
【0062】
また、本実施形態によればECU20は、内燃機関本体11が始動してから所定時間経過までに排出される排気中のNOx及びHCの還元に必要な化学的当量比のオゾンを供給するようオゾン供給装置18aを制御している。このように構成することで、オゾン供給装置18aによる電力消費量の低減やオゾン供給量の適量化や内燃機関始動部16の始動タイミングの過剰な遅延の防止を実現するとともに、オゾンの供給効果を高めることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば上記の所定時間とは、触媒15が活性又は空燃比センサが活性するまでの時間であるようにしている。このように構成することで、触媒15等が活性するまでの過剰なオゾンの供給を防止することができる。
【0064】
また、本実施形態によればオゾン供給装置18bは、燃焼室12内に吸気を導入する吸気管13にオゾンを供給している。オゾン供給装置18bが吸気管13にオゾンを供給することで、低温重質のガソリン燃料やアルコール燃料など始動困難な条件での始動性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば内燃機関本体11は、火花点火式内燃機関又は自己着火式内燃機関であるようにしている。このように構成することで、ガソリン又はエタノール等の火花点火式内燃機関や自己着火式内燃機関においてオゾンの供給による始動性向上、有害排出物低減効果が得られる。
【0066】
また、本実施形態によれば内燃機関始動部16は、エンジンスタータ、燃料噴射装置、点火装置、又は動弁系駆動装置であるようにしている。このように構成することで、内燃機関始動部16はエンジンスタータに限らず適用できる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0068】
例えば、上記説明において、図1のようにオゾン供給装置18aが排気2次空気導入装置17の上流側に配設した場合を例に説明してきたが、この場合には限らない。オゾン供給装置18aは排気2次空気導入装置17の内部などに配設してもよい。
【符号の説明】
【0069】
11 内燃機関本体(内燃機関)
12 燃焼室
13 吸気管
14 排気管
15 触媒
16 内燃機関始動部(始動部)
18a、18b オゾン供給装置
19 オゾンセンサ
20 ECU(内燃機関の制御装置)
ステップS2(オゾン供給制御手段)
ステップS4(始動部制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室から排出される排気又は燃焼室内に吸入される吸気にオゾンを供給するオゾン供給装置を備えた内燃機関の制御装置であって、
前記オゾン供給装置によるオゾンの供給を制御するオゾン供給制御手段と、
前記内燃機関を始動する始動部の動作を制御する始動部制御手段と、
を備え、
前記始動部制御手段は、前記オゾン供給制御手段によるオゾンの供給制御と協調して前記始動部の動作を制御することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記オゾン供給装置は、燃焼室から排気を導出する排気管にオゾンを供給することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記始動部制御手段は、前記オゾン供給制御手段が前記オゾン供給装置によるオゾンの供給を開始したあとの所定のタイミングで、前記始動部の動作を開始することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記所定のタイミングとは、前記オゾン供給装置から供給されたオゾンが前記排気管に到達する時間と、前記始動部により始動された内燃機関において前記燃焼室から排出された排気が前記排気管に到達する時間と、が一致するように設定されたタイミングであることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記オゾン供給制御手段は、前記内燃機関が始動してから所定時間経過までに排出される排気中の窒素酸化物及び炭化水素の還元に必要な化学的当量比のオゾンを供給するよう前記オゾン供給装置を制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記所定時間とは、触媒が活性又は空燃比センサが活性するまでの時間であることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記オゾン供給装置は、燃焼室内に吸気を導入する吸気管にオゾンを供給することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記内燃機関は、火花点火式内燃機関又は自己着火式内燃機関であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項9】
前記始動部は、エンジンスタータ、燃料噴射装置、点火装置、又は動弁系駆動装置であることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−168981(P2010−168981A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11708(P2009−11708)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】