説明

内燃機関の空燃比制御装置

【課題】カット処理の終了後におけるNOxの排出量をより少なくすることのできる内燃機関の空燃比制御装置を提供する。
【解決手段】車両用内燃機関への燃料の供給をカットするカット処理の終了後に車両の走行状態が加速状態と非加速状態とのいずれにあるかを判定する(ステップS210)。この処理を通じて加速状態にある旨判定されたとき及び非加速状態にある旨判定されたときのいずれにおいてもリッチ処理を実行するが、車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする(ステップS220)。車両が非加速状態にあるときには車両の走行状態が定常走行状態と減速状態とのいずれにあるかを判定し(ステップS230)、車両が定常走行状態にあるときのリッチ度合いを車両が減速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする(ステップS250)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三元触媒に吸蔵されている酸素を同触媒から放出させるべく混合気の空燃比をリッチにする処理を行う内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関においては、三元触媒により、排気中に含まれる一酸化炭素(CO)および炭化水素(HC)が酸化されるとともに窒素酸化物(NOx)が還元される。この三元触媒では、同触媒の雰囲気が理論空燃比であるときにはHC,CO,NOxの浄化反応を同時に行うことができるが、同触媒の雰囲気が理論空燃比からずれたときにはHC,CO,NOxの浄化反応を同時に行うことができない。
【0003】
そこで従来、このような空燃比のずれにより排気浄化効率が低下することを抑制するため、一時的な空燃比のずれから生じる酸素の過不足を補うことのできる酸素吸蔵能力を有する三元触媒が採用されている。
【0004】
一方、近年の車両の内燃機関には、燃費の向上などを目的として減速時やアイドルストップ時などに燃料供給を一時的に停止する燃料カット制御(カット処理)が採用されている。このような内燃機関に上述の三元触媒を採用した場合には、燃料カット時に供給される酸素によって同触媒が酸化雰囲気に変化する。そして、酸化雰囲気に変化した触媒ではNOxの浄化を十分に行うことができないため、燃料カット制御の終了にともない三元触媒にNOxが流れ込んだ際には、これが浄化されずに排出されてエミッションの悪化をまねくようになる。
【0005】
そこで、かかるエミッション悪化を抑制するため、特許文献1には燃料カット制御の終了後に混合気の空燃比をリッチにすべくリッチ処理を行う内燃機関の空燃比制御装置が提案されている。これは、空燃比をリッチにしてCO,HCの排出を増やすことにより、燃料カット期間に三元触媒に吸蔵された酸素をこれらCO,HCとの酸化反応で消費させて同触媒を還元状態に変化させ、NOxの排出を抑制しようとしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−130221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載の空燃比制御装置では、燃料カットからの復帰が車両の加速によるものではない場合、すなわち機関回転速度の低下によるものである場合には、空燃比のリッチ化を行わないことにより燃費の向上を図るようにしているが、このような制御を採用した場合にはNOxの排出量が十分に低減されないことが本願発明者により確認されている。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カット処理の終了後におけるNOxの排出量をより少なくすることのできる内燃機関の空燃比制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、車両用内燃機関への燃料の供給をカットするカット処理が終了したことに基づいて三元触媒に吸蔵されている酸素を同触媒から放出させるべく混合気の空燃比をリッチにするリッチ処理を行う内燃機関の空燃比制御装置において、前記カット処理の終了後に車両の走行状態が加速状態と非加速状態とのいずれにあるかを判定する第1の処理と、この処理を通じて加速状態にある旨判定されたとき及び非加速状態にある旨判定されたときのいずれにおいても前記リッチ処理を実行し、このリッチ処理において車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする第2の処理とを行う制御手段を備え、前記制御手段は、前記第2の処理に際して車両が非加速状態にあるときには車両の走行状態が定常走行状態と減速状態とのいずれにあるかを判定し、車両が定常走行状態にあるときのリッチ度合いを車両が減速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくすることを要旨としている。
【0010】
上記発明では、カット処理の終了後における車両の走行状態が加速状態及び非加速状態のいずれであってもリッチ処理を実行するようにしているため、例えばカット処理の終了が機関回転速度の低下によるものである場合においても、混合気のリッチ化を通じて三元触媒からの酸素の放出が図られるようになる。一方、車両が加速状態にあるときには非加速状態にあるときよりもNOxの排出量が多くなるため、加速状態においてのリッチ度合いが非加速状態においてのリッチ度合いと同じものに設定された場合には、混合気のリッチ化により三元触媒からの酸素の放出が図られるとはいえ、これがNOxを十分に浄化させるに至らないことに起因してNOx排出量の増大をまねくことが本願発明者により確認されている。この点、上記発明では、リッチ処理において車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくするようにしているため、カット処理の終了後に車両が加速状態にあるときにもNOxの排出量を少なくすることができるようになる。このように、上記発明によれば、加速状態及び非加速状態のいずれにおいてもNOxの排出量の減少が図られるため、カット処理の終了後におけるNOxの排出量をより少なくすることができるようになる。
【0011】
また、車両が定常走行状態にあるときには減速状態にあるときよりもNOxの排出量が多くなるため、定常走行状態においてのリッチ度合いが減速状態においてのリッチ度合いと同じものに設定された場合には、混合気のリッチ化により三元触媒からの酸素の放出が図られるとはいえ、これがNOxを十分に浄化させるに至らないことに起因してNOx排出量の増大をまねくことが本願発明者により確認されている。この点、上記発明では、リッチ処理において車両が定常走行状態にあるときのリッチ度合いを車両が減速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくするようにしているため、カット処理の終了後に車両が定常走行状態にあるときにもNOxの排出量を的確に減少させることができるようになる。また、減速状態にあるときには過度にリッチ化されることが抑制されるため、燃費の向上を図ることができるようになる。
【0012】
(2)請求項2に記載の発明は、車両用内燃機関への燃料の供給をカットするカット処理が終了したことに基づいて三元触媒に吸蔵されている酸素を同触媒から放出させるべく混合気の空燃比をリッチにするリッチ処理を行う内燃機関の空燃比制御装置において、前記カット処理の終了後に車両の走行状態が加速状態と非加速状態とのいずれにあるかを判定する第1の処理と、この処理を通じて加速状態にある旨判定されたとき及び非加速状態にある旨判定されたときのいずれにおいても前記リッチ処理を実行し、このリッチ処理において車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする第2の処理とを行う制御手段を備え、前記制御手段は、前記第2の処理に際して車両が非加速状態にあるときには車両の走行状態がアイドル状態と減速状態とのいずれにあるかを判定し、車両がアイドル状態にあるときのリッチ度合いを車両が減速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくすることを要旨としている。
【0013】
上記発明では、カット処理の終了後における車両の走行状態が加速状態及び非加速状態のいずれであってもリッチ処理を実行するようにしているため、例えばカット処理の終了が機関回転速度の低下によるものである場合においても、混合気のリッチ化を通じて三元触媒からの酸素の放出が図られるようになる。一方、車両が加速状態にあるときには非加速状態にあるときよりもNOxの排出量が多くなるため、加速状態においてのリッチ度合いが非加速状態においてのリッチ度合いと同じものに設定された場合には、混合気のリッチ化により三元触媒からの酸素の放出が図られるとはいえ、これがNOxを十分に浄化させるに至らないことに起因してNOx排出量の増大をまねくことが本願発明者により確認されている。この点、上記発明では、リッチ処理において車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくするようにしているため、カット処理の終了後に車両が加速状態にあるときにもNOxの排出量を少なくすることができるようになる。このように、上記発明によれば、加速状態及び非加速状態のいずれにおいてもNOxの排出量の減少が図られるため、カット処理の終了後におけるNOxの排出量をより少なくすることができるようになる。
【0014】
また、車両がアイドル状態にあるときには減速状態にあるときよりもNOxの排出量が多くなるため、アイドル状態においてのリッチ度合いが減速状態においてのリッチ度合いと同じものに設定された場合には、混合気のリッチ化により三元触媒からの酸素の放出が図られるとはいえ、これがNOxを十分に浄化させるに至らないことに起因してNOx排出量の増大をまねくことが本願発明者により確認されている。この点、上記発明では、リッチ処理において車両がアイドル状態にあるときのリッチ度合いを車両が減速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくするようにしているため、カット処理の終了後に車両がアイドル状態にあるときにNOxの排出量を的確に減少させることができるようになる。また、減速状態にあるときには過度にリッチ化されることが抑制されるため、燃費の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態にかかる内燃機関の空燃比制御装置をその周辺構成とともに示すブロック図。
【図2】同実施の形態の電子制御装置による燃料カット制御及びリッチ化空燃比制御について、その実行態様の一例を示すタイミングチャート。
【図3】同実施の形態の電子制御装置による「燃料カット制御処理」について、その手順を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態の電子制御装置による「リッチ化空燃比制御処理」について、その手順を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態の「リッチ化空燃比制御処理」による目標空燃比と加速度との相関関係を示す相関図。
【図6】同実施の形態の「リッチ化空燃比制御処理」による目標空燃比と酸素吸蔵量との相関関係を示す相関図。
【図7】同実施の形態の「リッチ化空燃比制御処理」による目標空燃比と車両の走行状態との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜図7を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に示されるように、内燃機関10には、シリンダ11とピストン12とによって燃焼室13が形成されている。また、吸気通路20には燃料を同吸気通路20に噴射する燃料噴射弁40が設けられている。この燃料噴射弁40から噴射された燃料は吸気通路20に吸入された空気と混合されて燃焼室13に供給される。このように供給された燃料は点火プラグ14により点火され、燃焼した後に排気通路30に排出される。
【0017】
吸気通路20において燃料噴射弁40よりも上流側の部分には、吸入空気量を調整するスロットルバルブ21と、同スロットルバルブ21を開閉駆動するアクチュエータ22とが設けられている。スロットルバルブ21にはその開度を検出するスロットルセンサ21aが取り付けられている。また、スロットルバルブ21よりも上流側には吸入空気量を検知する吸入空気量センサ20aが取り付けられている。
【0018】
排気通路30には、排気を浄化する三元触媒31として、触媒担体がセリア等の酸素吸蔵材により被覆されたものが設けられている。この三元触媒31は、その雰囲気が理論空燃比(ストイキ)のときに排気中のCO,HC,NOxを同時に浄化すること、すなわちCO,HCの酸化とNOxの還元とを同時に行うことができる。また、同触媒31を通過する排気の空燃比がリーンのときには排気中の酸素を吸蔵し、この吸蔵した酸素を排気の空燃比がリッチのときに放出することができる。
【0019】
排気通路30において三元触媒31よりも上流側の部分には、排気の空燃比に応じたリニアな出力特性を持つ排気空燃比センサ32が設けられ、同触媒31よりも下流側の部分には、三元触媒31を通過した排気の空燃比の酸素濃度を検出する酸素センサ33が設けられている。この酸素センサ33は、排気の空燃比が理論空燃比近傍であるときにその出力電圧が大きく変化するセンサであって、具体的には、排気の空燃比が理論空燃比よりもリッチのときには約1V程度の電圧を出力し、空燃比が理論空燃比よりもリーンのときには出力電圧が略0Vとなるセンサである。
【0020】
内燃機関10には、上述した点火プラグ14及び燃料噴射弁40及びアクチュエータ22をはじめとして各種の装置を統括的に制御する電子制御装置50が備えられている。この電子制御装置50には、演算ユニット(CPU)の他に、各種制御プログラムや演算マップ及び制御の実行に際して算出されるデータ等を記憶保持するメモリが設けられている。また、先の吸入空気量センサ20a及びスロットルセンサ21a及び排気空燃比センサ32及び酸素センサ33の出力信号に加え、機関回転速度センサ51による機関回転速度に応じた出力信号、及びアクセルポジションセンサ52によるアクセルペダルの踏み込み量に応じた出力信号、及び車速センサ53による車両の速度に応じた出力信号等が入力される。
【0021】
そして、電子制御装置50は、各種センサからの信号に基づき、燃料噴射弁40の燃料噴射態様の制御として、混合気の空燃比を目標空燃比に収束させるべく燃料噴射量を調整する空燃比制御、及び燃料消費率の向上を図るべく燃料供給をカットする燃料カット制御等を行う。また、この他には例えば、スロットルバルブ21の開度を運転状態に応じた目標開度に維持すべくアクチュエータ22を駆動するスロットル制御を行う。なお、本実施の形態において、電子制御装置50が制御手段に相当する。
【0022】
上記空燃比制御としては、目標空燃比を理論空燃比に設定して燃料噴射量を調整する基本空燃比制御と、目標空燃比をリッチ側の空燃比に設定して燃料噴射量を調整するリッチ化空燃比制御とが行われる。内燃機関の運転中、通常は基本空燃比制御が実行され、空燃比をリッチ化する要求が検出されたとき、基本空燃比制御に代えてリッチ化空燃比制御が実行される。ちなみに、これら基本空燃比制御及びリッチ化空燃比制御は具体的には次のように行われる。すなわち、吸入空気量センサ20aの出力信号に基づいて吸入空気量を推定し、この推定した吸入空気量に対して目標空燃比AFt(理論空燃比またはリッチ側の空燃比)を得るために必要となる燃料噴射量の基本値を算出し、排気空燃比センサ32を通じて検出された実際の空燃比と目標空燃比AFtとの乖離量に基づいて燃料噴射量の補正値を算出し、これら燃料噴射量の基本値及び補正値に基づいて最終的な燃料噴射量を算出し、この算出した量の燃料を噴射させるべく燃料噴射弁40の噴射期間を調整する。
【0023】
ここで、燃料カット制御が実行されたときには、これにともない三元触媒31に吸蔵される酸素量が増大して触媒の雰囲気が酸化雰囲気となることもある。この場合には、三元触媒31によるNOxの浄化能力が低下しているため、燃料カット制御の終了後におけるエミッションの悪化を抑制するうえでは、同制御の終了にともない空燃比制御として上記リッチ化空燃比制御を行うことが必要となる。
【0024】
そこで、電子制御装置50は、内燃機関の運転状態に基づいて燃料カット制御を行うことにより燃料消費率の向上を図る一方、この制御の実行に基づいて空燃比をリッチ化する要求があるか否かを監視し、同要求があるときにはリッチ化空燃比制御を通じて燃料カット制御後におけるエミッションの悪化の抑制を図るようにしている。
【0025】
以下、図2〜図7を参照して、電子制御装置50による燃料カット制御及びリッチ化空燃比制御内容の詳細な内容について説明する。
まず、図2を参照して、燃料カット制御及びリッチ化空燃比制御の概要について説明する。
【0026】
電子制御装置50は、タイミングt0において燃料カットの実行条件が成立している旨判定したとき、これに基づいて燃料カットを開始し、タイミングt1において燃料カットの終了条件が成立している旨判定するまでの間、燃料カットを継続して実行する。この期間中は三元触媒31に対して空気のみが供給されるため、三元触媒31に吸蔵される酸素量(酸素吸蔵量)QO2が増加するとともに排気の空燃比はリーンになる。
【0027】
そして、タイミングt1において燃料カットを終了したとき、これに基づいてリッチ化空燃比制御を開始し、タイミングt2において同制御の終了条件が成立している旨判定するまでの間、混合気の空燃比AFをリッチに維持する。具体的には、空燃比AFの目標値(目標空燃比AFt)を理論空燃比AFs(14.7)よりもリッチ側の値(<14.7)に設定し、実際の空燃比をこれに収束させるべく燃料噴射量を調整する。なお、リッチ側の目標空燃比AFtと理論空燃比AFsとの差の絶対値ΔAF=|AFt−AFs|がリッチ度合いに相当し、リッチ度合いが大きいほど吸入空気量に対する燃料噴射量が多くなるように制御される。
【0028】
このようにリッチ化空燃比制御を行うことにより、三元触媒31に吸蔵されている酸素が同触媒31から放出されるため、燃料カットの実行にともない低下した三元触媒31のNOx浄化能力を回復させることができる。
【0029】
次に、図3に示す「燃料カット制御処理」のフローチャートに基づいて、燃料カット制御の詳細について説明する。
本処理では、まず燃料カット実行条件が成立しているか否かを判定する(ステップS100)。具体的には、機関回転速度センサ51による機関回転速度が実行許可速度Ne以上且つ車両が減速状態にあることを上記実行条件とし、これが成立しているか否かを判定する。なお、車両が減速状態にあるか否かについては、例えば車速センサ53の出力信号に基づいて判定することができる。
【0030】
燃料カット実行条件が成立している旨判定した場合には(ステップS100:YES)、燃料カットを開始する(ステップS110)。すなわち、燃料噴射弁40による燃料噴射を停止して内燃機関10への燃料供給をカットするカット処理を行う。一方、燃料カット実行条件が成立していない旨判定した場合は(ステップS100:NO)、燃料カット実行条件が成立している旨の結果が得られるまでステップS100の判定処理を一定の時間周期毎に繰り返し実行する。
【0031】
燃料カットを開始した場合(ステップS110)には、続いて、燃料カット終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップS120)。具体的には、機関回転速度センサ51による機関回転速度が実行許可速度Neを下回ったこと、または車両が加速状態にあることを上記終了条件とし、これが成立しているか否かを判定する。なお、車両が加速状態にあるか否かについては、ステップS100での処理と同様、例えば車速センサ53の出力信号に基づいて判定することができる。
【0032】
燃料カット終了条件が成立していない旨判定した場合には(ステップS120:NO)、燃料カット終了条件が成立している旨の結果が得られるまでステップS120の判定処理を一定の時間周期毎に繰り返し実行する。そして、この判定処理を通じて燃料カット終了条件が成立している旨判定した場合には(ステップS120:YES)、燃料カットを終了する(ステップS130)。すなわち、燃料噴射弁40による燃料噴射を再開して内燃機関10に燃料を供給する。
【0033】
次に、図4に示す「リッチ化空燃比制御処理」のフローチャートに基づいて、リッチ化空燃比制御の詳細について説明する。
本処理では、まず上記燃料カット制御処理による燃料カットが終了したか、すなわちステップS120の処理からステップS130の処理に移行したか否かを判定する(ステップS200)。燃料カット終了条件が成立していない旨判定した場合には(ステップS200:NO)、燃料カット終了条件が成立している旨の結果が得られるまでステップS200の判定処理を一定の時間周期毎に繰り返し実行する。
【0034】
そして、燃料カットが終了した旨判定した場合には(ステップS200:YES)、車両が加速状態にあるか否かを判定する(ステップS210)。具体的には、車速センサ53による現在の車速と過去の車速との差(車速差△Spd)を算出し、この車速差△Spdが「0」よりも大きいことに基づいて車両が加速状態にある旨判定する。ちなみに、車速差△Spdを算出するうえでの上記現在と過去との間隔は、車両の走行状態の把握が可能となる期間が予め設定される。そして、ステップS210の処理に際しては、この期間だけ前に検出された車速が上記過去の車速として用いられ、この車速と最新の車速とに基づいて車速差△Spdが算出される。なお、ステップS210の処理は、車両の走行状態が加速状態と非加速状態とのいずれにあるかを判定する第1の処理に相当する。
【0035】
そして、車両が加速状態にある旨判定した場合(ステップS210:YES)には、リッチ度合いを「大」に設定する(ステップS220)。すなわち、車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする。また、このときの車両の加速度が大きくなるにつれてリッチ度合いを増大させる。具体的には、図5に示すマップに基づいて、車両の加速度に応じて空燃比AFc0minから空燃比AFc0maxまでのいずれかの値を加速状態においての目標空燃比AFt(空燃比AFc0)として選択する。空燃比AFc0minから空燃比AFc0maxまでの値は、いずれも理論空燃比AFsよりも大きい値として設定される(図7参照)。
【0036】
一方、車両が加速状態にない旨判定した場合、すなわち非加速状態にある旨判定した場合には(ステップS210:NO)、続いて車両が減速状態にあるか否かを判定する(ステップS230)。
【0037】
上記判定処理を通じて、車両が減速状態にある旨判定した場合には(ステップS230:YES)、リッチ度合いを「小」に設定する(ステップS240)。すなわち、減速状態においての目標空燃比AFtとして、加速状態においての目標空燃比AFc0よりも小さく且つ理論空燃比AFsよりも大きい空燃比AFa0を設定する(図7参照)。
【0038】
一方、車両が減速状態にない旨判定した場合、すなわち車両が定常走行状態にある旨判定した場合には(ステップS230:NO)、リッチ度合いを「中」に設定する(ステップS250)。すなわち、定常走行状態においての目標空燃比AFtとして、加速状態においての目標空燃比AFc0よりも小さく且つ減速状態においての目標空燃比AFa0よりも大きい空燃比AFb0を設定する(図7参照)。なお、上記定常走行状態にはアイドル状態も含まれる。
【0039】
車両の走行状態に応じたリッチ度合いの設定処理(ステップS220またはS240またはS250)を行った後、三元触媒31に吸蔵されている酸素量QO2を推定する(ステップS260)。具体的には、燃料カットの実行期間ΔT(=t1−t0)と、三元触媒31の酸素吸蔵能力であって同触媒31が単位期間あたりに吸蔵することのできる酸素量との乗算によって算出する。
【0040】
そして、車両の走行状態に基づいて設定したステップS220またはS240またはS250によるリッチ度合いを上記推定した酸素量QO2に応じた値に変更する(ステップS270)。すなわち、車両が加速状態及び非加速状態のいずれにあるときにも、推定した酸素量QO2に基づいてリッチ度合いを変化させる。具体的には、図6に示されるように、酸素吸蔵量QO2が多くなるほどリッチ度合いが大きくなるように変更する。ここでは、リッチ度合いは係数として設定され、基準の酸素吸蔵量QO2Sのときのリッチ度合いに相当する係数が1に設定されるとともに、この基準の酸素吸蔵量QO2Sよりも酸素吸蔵量QO2が多くなるにつれ、1よりも大きな値の係数が設定される。そして、この設定された係数と目標空燃比との乗算によって最終的な目標空燃比AFtが算出される。
【0041】
このようにして、車両の走行状態に応じたリッチ度合いの設定処理(ステップS220またはS240またはS250)と、三元触媒31の酸素吸蔵量QO2に応じたリッチ度合いの設定処理(ステップS270)とにより、リッチ化空燃比制御においての最終的な目標空燃比AFtは図7に示すように設定される。
【0042】
すなわち、車両が減速状態にあるとき、目標空燃比AFtの基本値として空燃比AFa0が設定され、これが酸素吸蔵量QO2に応じて空燃比AFa1から空燃比AFa2までの間のいずれかに変更され、変更後の値が減速状態においての最終的な目標空燃比AFtとして設定される。換言すると、酸素吸蔵量QO2が最小の吸蔵量QO2minのときには基本値としての空燃比AFa0がこれに応じた空燃比AFa1とされ、酸素吸蔵量QO2が最大の吸蔵量QO2maxのときには基本値としての空燃比AFa0がこれに応じた空燃比AFa2とされることにより、結果として減速状態においての最終的な目標空燃比AFtが空燃比AFa1から空燃比AFa2までのいずれかの値に設定される。
【0043】
また、車両が定常走行状態にあるとき、目標空燃比AFtの基本値として空燃比AFb0が設定され、これが酸素吸蔵量QO2に応じて空燃比AFb1から空燃比AFb2までの間のいずれかに変更され、変更後の値が定常走行状態においての最終的な目標空燃比AFtとして設定される。換言すると、酸素吸蔵量QO2が最小の吸蔵量QO2minのときには基本値としての空燃比AFb0がこれに応じた空燃比AFb1とされ、酸素吸蔵量QO2が最大の吸蔵量QO2maxのときには基本値としての空燃比AFb0がこれに応じた空燃比AFb2とされることにより、結果として定常走行状態においての最終的な目標空燃比AFtが空燃比AFb1から空燃比AFb2までのいずれかの値に設定される。なお、本実施の形態のリッチ化空燃比制御処理によれば、空燃比AFb1から空燃比AFb2までのいずれの値も減速状態の目標空燃比AFtよりも大きくなる。
【0044】
また、車両が加速状態にあるとき、目標空燃比AFtの基本値として図5の空燃比AFc0minからAFc0maxのいずれかが設定され、これが酸素吸蔵量QO2に応じて空燃比AFc1から空燃比AFc2までの間のいずれかに変更され、変更後の値が加速状態においての最終的な目標空燃比AFtとして設定される。換言すると、目標空燃比AFtの基本値が空燃比AFc0minのとき且つ酸素吸蔵量QO2が最小の吸蔵量QO2minのときには同空燃比AFc0minが吸蔵量QO2minに応じた空燃比AFc1とされ、目標空燃比AFtの基本値が空燃比AFc0maxのとき且つ酸素吸蔵量QO2が最大の吸蔵量QO2maxのときには同空燃比AFc0maxが吸蔵量QO2maxに応じた空燃比AFc2とされることにより、結果として加速状態においての最終的な目標空燃比AFtが空燃比AFc1から空燃比AFc2までのいずれかの値に設定される。なお、本実施の形態のリッチ化空燃比制御処理によれば、空燃比AFc1から空燃比AFc2までのいずれの値も定常走行状態の目標空燃比AFtよりも大きくなる。
【0045】
ステップS270の処理を通じて最終的な目標空燃比AFtを設定した後、三元触媒31を通過した排気の空燃比がリッチか否かを判定する(ステップS280)。具体的には、酸素センサ33の出力信号がリッチを示すものであることに基づいて、排気の空燃比がリッチである旨判定する。そして、排気の空燃比がリッチではない旨、すなわち未だリーンである旨判定した場合には(ステップS280:NO)、空燃比がリッチである旨の結果が得られるまでステップS280の判定処理を一定の時間周期毎に繰り返し実行する。そして、この判定処理を通じて空燃比がリッチである旨判定した場合には(ステップS280:YES)、三元触媒31に吸蔵されていた酸素が十分に放出された旨判定し、これをもって本リッチ処理を一旦終了する。
【0046】
以上説明した実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施の形態では、燃料カットの終了後における車両の走行状態が加速状態及び非加速状態のいずれであっても混合気のリッチ化を実行するようにしている(ステップS220またはS240またはS250)ため、例えば燃料カットの終了が機関回転速度の低下によるものである場合においても、混合気のリッチ化を通じて三元触媒31からの酸素の放出を図ることができるようになる。すなわち、燃料カットの終了後における車両の走行状態が非加速状態のとき、NOxの排出量が加速状態と比較して少ないことに基づいて混合気のリッチ化が実行されず、これによってNOxの排出量の増大をまねくことを的確に抑制することができるようになる。
【0047】
また、リッチ化空燃比制御において車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくするようにしている(ステップS220)ため、燃料カットの終了後に車両が加速状態にあるとき、すなわち燃焼室13からのNOxの排出量が多くなるときにも、三元触媒31を通過するNOxの量を少なくすることができるようになる。このように、加速状態及び非加速状態のいずれにおいてもNOxの排出量の減少が図られるため、燃料カットの終了後におけるNOxの排出量をより少なくすることができるようになる。
【0048】
(2)混合気の燃焼に伴うNOxの発生量は、車両の加速度が大きくなるにつれて多くなる傾向を示す。本実施の形態では、この点に鑑み車両の加速度が大きくなるにつれてリッチ度合いを増大させるようにしている(ステップS220)ため、NOxの排出量をより的確に減少させることができるようになる。
【0049】
(3)本実施の形態では、車両が定常走行状態にあるときのリッチ度合いを車両が減速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくするようにしている(ステップS250)ため、燃料カットの終了後に車両が定常走行状態にあるときにNOxの排出量を的確に減少させることができるようになる。また、減速状態にあるときには過度にリッチ化されることが抑制されるため、燃費の向上を図ることができるようになる。
【0050】
(4)本実施の形態では、三元触媒31を通過した排気の空燃比がリーンからリッチとなることに基づいて前記リッチ処理を終了するようにしている(ステップS280)ため、三元触媒31から確実に酸素を放出させることができるようになる。
【0051】
(5)本実施の形態では、三元触媒31に吸蔵されている酸素の量QO2を推定し、車両が加速状態及び非加速状態のいずれにあるときにもこの推定した酸素の量QO2に基づいてリッチ度合いを変化させるようにしている(ステップS270)。これにより、三元触媒31に吸蔵されている酸素量QO2が多いときにはより迅速に酸素を消費させるとともに、少ないときには比較的緩やかに触媒31の酸素を放出させることができるようになる。
【0052】
すなわち、内燃機関10の運転状態に依存する三元触媒31へのNOxの流入量に加えて、同触媒31の酸素吸蔵量QO2に依存する同触媒31のNOx浄化能力をさらに考慮するようにしているため、NOxの排出量をより的確に減少させることができるようになる。また、三元触媒31に吸蔵されている酸素の量QO2が少ないときには過度にリッチ化されることが抑制されるため、燃費の向上を図ることができるようになる。
【0053】
(その他の実施の形態)
なお、この発明にかかる内燃機関の空燃比制御装置は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
【0054】
・上記実施の形態では、図5及び図6のマップに基づき、図7に示されるように加速状態においての目標空燃比AFtを設定する例を示した。しかし、車両の加速度と目標空燃比AFtとの関係を示すマップは、車両の加速度が大きくなるにつれてリッチ度合いを増大させる態様であればよく、図5に示すマップの例に限られない。さらに、酸素吸蔵量QO2と目標空燃比AFtとの関係を示すマップについても、酸素吸蔵量QO2が多くなるにつれてリッチ度合いを増大させる態様であればよく、図6に示すマップの例に限られない。いずれにおいても、実験等によって定めた他のマップを採用することができる。また、マップを通じて目標空燃比AFtを算出する態様に代えて、車両の加速度及び酸素吸蔵量と目標空燃比AFtとの関係を規定した演算式に基づいて目標空燃比AFtを算出することもできる。
【0055】
・上記実施の形態では、車両が加速状態にある旨判定した場合には、車両の加速度が大きくなるにつれてリッチ度合いを図5のマップに基づき増大させる例を示した。しかし、車両が加速状態である旨判定された場合には、加速度の大小に関連なくリッチ度合いを一律とし、同一の目標空燃比AFtを設定する態様を採用してもよい。これであっても、リッチ度合いを「大」に設定することによって、上記実施の形態による(1)及び(3)〜(5)の作用効果を奏することができる。
【0056】
・上記実施の形態では、車両が非加速状態にある旨判定した後に、さらに減速状態であるか否かを判定する例を示した。しかし、車両の走行状態を加速状態と非加速状態とにのみ分類するとともに各走行状態に応じたリッチ度合いを設定する態様を採用することもできる。この場合であっても、加速状態にあるときのリッチ度合いを非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくすることにより、上記実施の形態による(1)及び(2)及び(4)及び(5)の作用効果を奏することができる。
【0057】
・上記実施の形態では、ステップS230において車両が減速状態にない旨判定した場合には、その後リッチ度合いを一律に「中」に(目標空燃比AFtを空燃比AFb0に)設定する例を示した。しかし、定常走行状態にあると判定した後にさらにこの定常走行状態が一定速度で走行している定速走行状態かアイドル状態かを判定するとともに、それら走行状態におけるNOx排出量の違いに応じて異なる目標空燃比AFtを設定してもよい。なお、走行状態についての判定は、車速センサ53や吸入空気量センサ20a等の出力に基づいて行うことができる。
【0058】
・上記実施の形態では、燃料カットの終了とともに空燃比のリッチ化を開始するようにしたが、同リッチ化の開始タイミングを燃料カットの終了タイミングに一致させなくとも上記実施の形態の作用効果に準じた作用効果を奏することはできる。
【0059】
・上記実施の形態では、リッチ処理の開始から終了までにわたりリッチ度合い(目標空燃比AFt)を一定に維持する例を示した。しかし、リッチ処理の開始後において車両の走行状態を繰り返し判定するとともに、この判定結果に応じてリッチ度合い(目標空燃比AFt)を更新する態様を採用してもよい。この態様であれば、走行状態に応じて適宜リッチ度合いを修正することができ、より的確にNOx排出量を減少させることができるようになる。
【0060】
・上記実施の形態では、三元触媒31の上流には排気空燃比センサ32を設けるとともに、下流には酸素センサ33を設ける例を示したが、この例に限られない。例えば、上流および下流のいずれにも排気空燃比センサを設けることもできる。
【0061】
・上記実施の形態では、酸素センサ33の出力に基づき、すなわち同センサの出力がリーンからリッチに変化したとき(図2のタイミングt2)に混合気のリッチ化を終了する例を示した。しかし、リッチ化空燃比制御を開始してからの燃料噴射弁40による燃料噴射量の積算値が判定値に達した旨判定したことに基づきリッチ化を終了するようにしてもよい。また、リッチ処理の実行期間を酸素吸蔵量QO2等に基づき予め設定するとともに、リッチ処理を開始してからの経過期間が同期間に達している旨判定したことに基づいてリッチ処理を終了するようにしてもよい。
【0062】
・上記実施の形態では、車両の走行状態を車速センサ53の出力に基づき判定する例を示した。しかし、機関回転速度センサ51及びアクセルポジションセンサ52及び吸入空気量センサ20aの少なくとも一つの出力に基づき車両の速度変化を判定することにより、走行状態を判定することもできる。また、車両に加速度センサを設けるとともにこの加速度センサからの出力に基づき判定してもよい。
【0063】
・上記実施の形態では、ステップS260において、三元触媒31に吸蔵されている酸素量QO2をカット処理の実行期間ΔTと三元触媒31が保持する酸素吸蔵能力によって推定する例を示した。しかし、酸素吸蔵量QO2の推定方法はこの例に限られず、例えば、三元触媒31に吸着される酸素量の収支から、すなわち吸着酸素量から脱離酸素量を減ずることにより推定することもできる。
【0064】
・上記実施の形態では、車両の走行状態に応じて設定した目標空燃比AFtを酸素吸蔵量QO2に応じて変更する例を示したが、酸素吸蔵量QO2によって変更しない態様を採用することもできる。具体的には、図4のフローチャートにおいて、ステップ260及びステップ270の処理を省略することもできる。これであっても、上記実施の形態による(1)〜(4)の作用効果に準ずる作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0065】
10…内燃機関、11…シリンダ、12…ピストン、13…燃焼室、14…点火プラグ、20…吸気通路、20a…吸入空気量センサ、21…スロットルバルブ、21a…スロットルセンサ、22…アクチュエータ、30…排気通路、31…三元触媒、32…排気空燃比センサ、33…酸素センサ、40…燃料噴射弁、50…電子制御装置、51…機関回転速度センサ、52…アクセルポジションセンサ、53…車速センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内燃機関への燃料の供給をカットするカット処理が終了したことに基づいて三元触媒に吸蔵されている酸素を同触媒から放出させるべく混合気の空燃比をリッチにするリッチ処理を行う内燃機関の空燃比制御装置において、
前記カット処理の終了後に車両の走行状態が加速状態と非加速状態とのいずれにあるかを判定する第1の処理と、この処理を通じて加速状態にある旨判定されたとき及び非加速状態にある旨判定されたときのいずれにおいても前記リッチ処理を実行し、このリッチ処理において車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする第2の処理とを行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記第2の処理に際して車両が非加速状態にあるときには車両の走行状態が定常走行状態と減速状態とのいずれにあるかを判定し、車両が定常走行状態にあるときのリッチ度合いを車両が減速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする
ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
【請求項2】
車両用内燃機関への燃料の供給をカットするカット処理が終了したことに基づいて三元触媒に吸蔵されている酸素を同触媒から放出させるべく混合気の空燃比をリッチにするリッチ処理を行う内燃機関の空燃比制御装置において、
前記カット処理の終了後に車両の走行状態が加速状態と非加速状態とのいずれにあるかを判定する第1の処理と、この処理を通じて加速状態にある旨判定されたとき及び非加速状態にある旨判定されたときのいずれにおいても前記リッチ処理を実行し、このリッチ処理において車両が加速状態にあるときのリッチ度合いを車両が非加速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする第2の処理とを行う制御手段を備え、
前記制御手段は、前記第2の処理に際して車両が非加速状態にあるときには車両の走行状態がアイドル状態と減速状態とのいずれにあるかを判定し、車両がアイドル状態にあるときのリッチ度合いを車両が減速状態にあるときのリッチ度合いよりも大きくする
ことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−214582(P2011−214582A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171677(P2011−171677)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2007−295924(P2007−295924)の分割
【原出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】