説明

内部電源回路、半導体装置、及び半導体装置の製造方法

【課題】ウェハ上に半導体装置を形成した後、その内部回路の遅延量を制御可能とする。
【解決手段】内部電源回路11は、内部電源配線30Aを介して半導体装置10の内部回路12に電源電圧VAを供給する内部電源回路であって、それぞれ互いに異なる温度依存性を有する複数のリファレンス電位VAREFを生成可能に構成されたリファレンス電位発生回路16と、リファレンス電位発生回路16により生成されたリファレンス電位VAREFを基準として電源電圧VAを生成する内部電源発生回路15Aと、リファレンス電位発生回路16に生成させるリファレンス電位VAREFを選択する制御回路18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部電源回路、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関し、特に内部回路の遅延量を制御できる内部電源回路、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAMなどの半導体装置は、外部から入力される電圧(外部電圧)の他、外部電圧を昇圧又は降圧することにより得られる内部電圧も用いて動作するように構成されている。内部電圧の具体的な値は、ヒューズトリミングなどを用いて製造時点で調整される(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−150799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体装置には多数の内部回路が含まれる。各内部回路の出力信号は、入力信号に対してある程度の遅延を有するが、この遅延の量にはプロセス変動を原因とするバラツキがあるため、ウェハ上に半導体装置を形成した後、その内部回路の遅延量を制御可能とすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による内部電源回路は、内部電源配線を介して半導体装置の内部回路に電源電圧を供給する内部電源回路であって、それぞれ互いに異なる温度依存性を有する複数のリファレンス電位を生成可能に構成されたリファレンス電位発生回路と、前記リファレンス電位発生回路により生成された前記リファレンス電位を基準として前記電源電圧を生成する内部電源発生回路と、前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を選択する制御回路とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明による半導体装置は、上記各内部電源回路のうちいずれか少なくとも一方と、該内部電源回路から供給される電源電圧により動作する内部回路とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一側面による半導体装置の製造方法は、それぞれ互いに異なる温度依存性を有する複数のリファレンス電位の中のひとつを生成し、電源電圧を生成する内部電源発生回路に供給するリファレンス電位発生回路と、前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を示すリファレンス電位情報を記憶する記憶回路とを備える半導体装置の製造方法であって、前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を選択する選択ステップと、前記内部電源発生回路により生成された電源電圧を内部回路に供給した場合の、該内部回路の遅延量を測定する測定ステップと、前記測定ステップの測定結果に基づき、前記記憶回路にリファレンス電位情報を書き込む書込ステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の一側面による半導体装置の製造方法は、温度変化に伴って電圧が変化するものであってその変化量が調整可能とされた第1の電圧と、温度変化に伴って変化しない第2の電圧との和として定義される電源電圧を用いる半導体装置の製造方法であって、第1の温度において前記第2の電圧を決定するステップと、前記第1の温度とは異なる第2の温度において前記変化量を調整するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体装置をウェハ上に形成した後、内部回路の遅延量を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態による半導体装置の機能ブロックと、半導体装置のテストを行うテスタの機能ブロックとを示す概略ブロック図である。
【図2】(a)は、本発明の実施の形態によるリファレンス遅延回路の回路構成の一例を示す論理回路図である。(a)は、本発明の実施の形態によるリファレンス遅延回路の入力信号と出力信号の例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態によるリファレンス電位発生回路の機能ブロックを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態による電圧発生回路を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態による電圧発生回路の機能の一部を実現する他の回路を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態による第1選択回路を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態による第2選択回路を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態による第3選択回路を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態による第3選択回路を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態による第4選択回路を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態によるリファレンス電圧の調節による遅延時間の調整動作を示すフローチャートである。
【図12】横軸に温度、縦軸に電圧を取り、電圧VBEと電圧VBE−VBERを描画した図である。
【図13】横軸に温度、縦軸に電圧を取り、図12に記載した電圧VBE−VBERに加え、電圧VDLYR+α(VBE−VBER)を描画した図である。
【図14】横軸に温度、縦軸に電圧を取り、リファレンス電位VAREFを描画したものである。
【図15】本発明の実施の形態による内部回路を示す図である。
【図16】テスタに代えてコントローラを用いる変形例による半導体装置のシステム構成図である。
【図17】本発明の実施の形態の変形例による半導体装置の機能ブロックと、半導体装置のテストを行うテスタの機能ブロックとを示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態による半導体装置10の機能ブロックと、半導体装置10のテストを行うテスタ50の機能ブロックとを示す概略ブロック図である。
【0013】
半導体装置10は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory),SRAM(Static Random Access Memory),FLASHメモリ(FLASH memory)などの半導体記憶装置であり、図1に示すように、内部電源回路11、内部回路12、コマンドデコーダ13a、及びアドレスラッチ回路13bを備える。また、半導体装置10は、外部端子として電源端子10a、コマンド端子10b、アドレス端子10c、及びデータ入出力端子10dを有している。電源端子10aは、外部電源電圧VDDが供給される端子であり、供給された外部電源電圧VDDは外部電源配線30Xを介して内部電源回路11、内部回路12などに供給される。また、コマンド端子10b及びアドレス端子10cは、それぞれコマンドCMD及びアドレスADDが入力される端子である。データ入出力端子10dは、内部回路12に入力されるデータDQ又は内部回路12から入力されるデータDQを入出力する端子であるが、後述するテストモード時においては内部電源回路11のモニタ用端子としても用いられる。
【0014】
内部電源回路11は、外部電源電圧VDDから1又は複数の内部電源電圧VA〜VCを発生し、半導体装置10の内部回路12に出力する回路である。内部電源回路11には、外部電源電圧VDDより低い電圧値の内部電源電圧VXXを生成する降圧レギュレータに相当する回路や、外部電源電圧VDDより高い電圧値の内部電源電圧VPPを生成するVPPジェネレータに相当する回路などが含まれている。内部電源回路11の詳細については後述する。
【0015】
内部回路12は、半導体装置10の主たる機能を実現するための回路である。一例として半導体装置10がDRAMである場合、内部回路12は、メモリセルアレイやその周辺回路が該当する。内部回路12の動作電源としては、外部から供給される外部電源電圧VDDの他、内部電源回路11から供給される内部電源電圧VA〜VCが用いられる。
【0016】
コマンドデコーダ13aは、外部から供給されるコマンドCMDをデコードして各種内部コマンドICMDを生成する回路であり、生成された内部コマンドICMDは内部電源回路11や内部回路12に供給される。例えば半導体装置10がDRAMである場合、コマンドCMDとしては、アクティブコマンド、リードコマンド、ライトコマンド、プリチャージコマンドなどの他、テストモードにエントリするためのテストコマンドが含まれる。内部コマンドICMDのうち、テストモードを示すコマンドITESTは、内部電源回路11に供給される。
【0017】
アドレスラッチ回路13bは、外部から供給されるアドレスADDをラッチし、これを内部回路12に供給する回路である。テストモードにエントリしている場合、ラッチされたアドレスADDは内部電源回路11に供給され、後述するテストコード信号TCODEn(nは自然数。)として用いられる。
【0018】
次に、内部電源回路11について詳細に説明する。
【0019】
内部電源回路11は、図1に示すように、ヒューズ回路14、内部電源発生回路15A〜15C、リファレンス電位発生回路16、テスト制御回路17、信号選択回路18、リファレンス遅延回路19、及びテスト入出力制御回路20を備える。
【0020】
ヒューズ回路14は複数のヒューズを含み、製造工程でのヒューズトリミングによりコード信号FCODEn(nは自然数。)を不揮発的に記憶する記憶回路である。コード信号FCODEnは、リファレンス電位発生回路16に生成させるリファレンス電位を示す情報(リファレンス電位情報)である。
【0021】
内部電源発生回路15A〜15Cは、外部電源配線30Xより供給される外部電源電圧VDDを受けて、それぞれ内部電源電圧VA〜VCを発生する回路であり、それぞれが上述した降圧レギュレータやVPPジェネレータに相当する。内部電源電圧VA〜VCのリファレンス電位VAREF〜VCREFは、後述するリファレンス電位発生回路16から供給される。内部電源発生回路15A〜15Cは、それぞれ異なる内部電源配線30A〜30Cに接続されており、対応する内部電源配線に内部電源電圧VA〜VCを供給する。なお、内部電源発生回路の数は3つに限られるものではない。
【0022】
リファレンス電位発生回路16は、リファレンス電位VAREF〜VCREFを発生し、内部電源発生回路15A〜15Cに対して出力する回路である。リファレンス電位発生回路16は、リファレンス電位ごとに、それぞれ互いに異なる温度依存性を有する複数の電位を生成可能に構成されており、その中から後述するコード信号VINn(nは自然数。)により選択される電位を生成してリファレンス電位とする。
【0023】
また、後に詳しく説明するが、リファレンス電位発生回路16は、温度依存性を有する電圧VBEと温度依存性を実質的に有しない電圧VBERとを生成するように構成されている。電圧VBERの具体的な値もコード信号VINnにより選択される。リファレンス電位発生回路16は、これらの電圧の差分電圧VBE−VBERを出力端子16aから出力する。
【0024】
テスト制御回路17は、テスト信号ITESTが活性化している場合にアドレスADDをテストコード信号TCODEnとして出力する回路である。テスト信号ITESTはテストモード時に活性化される信号であり、テスト制御回路17を介して信号選択回路18、リファレンス遅延回路19、及びテスト入出力制御回路20に出力される。テストコード信号TCODEnは、コード信号FCODEnと同様、リファレンス電位発生回路16に生成させるリファレンス電位を示すリファレンス電位情報であり、信号選択回路18に出力される。
【0025】
信号選択回路18は、テスト制御回路17の出力であるテストコード信号TCODEnと、ヒューズ回路14の出力であるヒューズコード信号FCODEnのいずれか一方を選択し、コード信号VINnとしてリファレンス電位発生回路16に出力する。具体的には、テストモードにエントリしてない通常動作モードにおいては、ヒューズコード信号FCODEnを選択し、これをコード信号VINnとしてリファレンス電位発生回路16に出力する。一方、テストモードにエントリしている場合(テスト信号ITESTが活性化している期間。)には、テストコード信号TCODEnを選択し、これをコード信号VINnとしてリファレンス電位発生回路16に出力する。信号選択回路18は、このようにしてコード信号VINnを出力することで、リファレンス電位発生回路16に生成させるリファレンス電位を選択する制御回路として機能する。
【0026】
リファレンス遅延回路19は、入力信号TDLY0を遅延させ、出力信号TDLY10として出力端子19aから出力する回路である。
【0027】
図2(a)は、リファレンス遅延回路19の回路構成の一例を示す論理回路図である。同図に示すように、リファレンス遅延回路19はインバータチェーン19bとOR回路19cとを有する。なお、インバータチェーン19bとOR回路19cの電源電圧としては、図2(a)に示すように、内部電源発生回路15Aにより生成される電源電圧VAを用いる。
【0028】
インバータチェーン19bには入力信号TDLY0が入力される。OR回路19cの一方の入力端子にはインバータチェーン19bの出力端子が接続され、他方の入力端子には入力信号TDLY0が入力される。以上の構成により、図2(b)に示すように、OR回路19cの出力端子に現れる出力信号TDLY10は、入力信号TDLY0を一定時間D(遅延時間)遅延させた信号となる。遅延時間Dは、主としてインバータチェーン19bでの信号の遅延量によって決まるが、インバータチェーン19bは電源電圧として電圧VAを用いており、インバータチェーン19bでの信号の遅延量は電源電圧に依存することから、遅延時間Dは電圧VAの値に応じて変化する。
【0029】
図1に戻る。テスト入出力制御回路20は、テスト信号ITESTの活性化に応答して、リファレンス電位発生回路16の出力端子16aをデータ入出力端子10dに接続する。また、リファレンス遅延回路19の出力端子19aも同様にデータ入出力端子10dに接続する。この接続がなされると、テスタ50は、出力端子16aに出力される電圧VBE−VBERと、出力端子19aに出力される電圧TDLY10とを直接モニタすることが可能になる。
【0030】
また、テスト入出力制御回路20は、テスタ50から入力信号TDLY0を供給され、供給された入力信号TDLY0をリファレンス遅延回路19へ出力する処理も行う。
【0031】
以下、リファレンス電位発生回路16について詳細に説明する。
【0032】
図3は、リファレンス電位発生回路16の機能ブロックを示す図である。同図では、リファレンス電位VAREFの生成に関わる部分のみを示している。同図に示すように、リファレンス電位発生回路16は電圧発生回路40、第1〜第4選択回路41〜44を有している。
【0033】
電圧発生回路40は、負の温度依存性を有する電圧VBEと、互いに異なる電圧値を有する複数の定電圧VBERm(mは1〜Mの自然数。)と、互いに異なる電圧値を有する複数の定電圧(1/2)VDLYRk(kは1〜Kの自然数。)とを生成する。
【0034】
図4は、電圧発生回路40の具体的な回路を示す図である。同図に示すように、電圧発生回路40はオペアンプ60,61と、ダイオード接続されたPNP型バイポーラトランジスタ62,63と、抵抗64〜67及び68〜68(Pは自然数。)とを有している。
【0035】
オペアンプ60の出力端子と非反転入力端子との間には接点aを通る帰還回路が設けられ、抵抗64は接点aとオペアンプ60の出力端子との間に挿入される。同様に、オペアンプ60の出力端子と反転入力端子との間には接点bを通る帰還回路が設けられ、抵抗65は接点bとオペアンプ60の出力端子との間に挿入される。
【0036】
トランジスタ62はダイオード接続されており、ベースとコレクタはグランドに、エミッタは接点aにそれぞれ接続されている。トランジスタ63もダイオード接続されており、ベースとコレクタはグランドに、エミッタは抵抗66を介して接点bにそれぞれ接続されている。
【0037】
オペアンプ60の出力端子はオペアンプ61の非反転入力端子にも接続される。オペアンプ61の出力端子には、グランドとの間に抵抗67及び68〜68がこの順で直列に接続されている。抵抗67はオペアンプ61の反転入力端子と接続されているが、その接続点は可変とされている。これにより、オペアンプ61の出力電圧VFが調整可能となっている。
【0038】
以上の構成により、オペアンプ60の出力電圧VBGR及びオペアンプ61の出力電圧VFは温度や外部電源電圧VDDの変化に依存しない定電圧となり、接点aに現れる電圧は負の温度依存性(温度が高いほど電圧が低くなる特性。)を有する電圧となる。電圧発生回路40は、この接点aに現れる電圧を電圧VBEとして出力する。なお、電圧VBEの温度に対する変化の割合は一定となる。
【0039】
一方、定電圧VBERm及び定電圧(1/2)VDLYRkは、電圧VFの抵抗分割により生成される。すなわち、電圧発生回路40は、直列に接続された抵抗67及び68〜68の接続点ごとに取り出し線を有しており、この取り出し線に現れる電圧を定電圧VBERm及び定電圧(1/2)VDLYRkとして出力する。定電圧VBERm及び定電圧(1/2)VDLYRkの具体的な値は、抵抗67及び68〜68の抵抗値を適宜選択することにより決定すればよい。
【0040】
なお、電圧VBEは、図5に示す回路によって生成することも可能である。図5に示す回路は、外部電源配線30Xとグランドとの間に定電流源69とダイオード70とが直列接続された構成を有している。電圧VBEは、定電流源69とダイオード70との接続点から取り出される。これによっても、電圧VBEは負の温度依存性を有し、温度に対する変化の割合が一定である電圧となる。
【0041】
図3に戻る。リファレンス電位発生回路16には、信号選択回路18からコード信号VINnが入力される。コード信号VINnは、上述したようにリファレンス電位発生回路16に生成させるリファレンス電位を示すリファレンス電位情報であるが、より具体的には、それぞれ第1〜第4選択回路41〜44に対応する4つのコード信号VIN1〜4を含んで構成される。
【0042】
コード信号VIN1は、複数の定電圧VBERmのうち第1選択回路41が選択すべきものを示す情報である。第1選択回路41は、コード信号VIN1に応じて複数の定電圧VBERmの中から一の定電圧を選択し、定電圧VBERとして第3選択回路43に出力する。
【0043】
コード信号VIN2は、複数の定電圧(1/2)VDLYRkのうち第2選択回路42が選択すべきものを示す情報である。第2選択回路42は、コード信号VIN2に応じて複数の定電圧(1/2)VDLYRkの中から一の定電圧を選択し、定電圧(1/2)VDLYRとして第4選択回路44に出力する。
【0044】
コード信号VIN3は、リファレンス電位VAREFの温度に対する変化係数αを示す情報である。第3選択回路43は、まず初めに電圧発生回路40が生成した電圧VBEと、第1選択回路41から入力された定電圧VBERとの差分電圧VBE−VBERを生成する。さらに、差分電圧VBE−VBERを抵抗分割することにより、複数の電圧(q/Q)(VBE−VBER)(qは1〜Qの自然数。)を生成する。第3選択回路43は、コード信号VIN3に応じて複数の電圧(q/Q)(VBE−VBER)の中から一の電圧を選択し、電圧α(VBE−VBER)として第4選択回路44及びテスト入出力制御回路20に出力する。
【0045】
コード信号VIN4は、リファレンス電位VAREFの温度依存性が正負いずれであるかを示す情報である。第4選択回路44は、コード信号VIN4により示される温度依存性が正である場合には、入力されている定電圧(1/2)VDLYRと電圧α(VBE−VBER)とを用いて電圧VDLYR−α(VBE−VBER)を生成し、電圧VAREFとして内部電源発生回路15Aに出力する。一方、コード信号VIN4により示される温度依存性が負である場合には、電圧VDLYR+α(VBE−VBER)を生成し、電圧VAREFとして内部電源発生回路15Aに出力する。
【0046】
以下、第1〜第4選択回路41〜44のより具体的な回路構成について説明する。
【0047】
図6は、第1選択回路41の具体的な回路を示す図である。同図に示すように、第1選択回路41は、それぞれ接地電位及び電圧VBER1〜VBERMが入力されるトランスファーゲート71〜71を有している。各トランスファーゲート71〜71の出力は第3選択回路43に接続されている。また、各トランスファーゲート71〜71のゲートにはそれぞれ、コード信号VIN1を構成するコード信号成分VIN1(0)〜(M)が入力される。
【0048】
コード信号成分VIN1(0)〜(M)は、1つのみが活性化し、残りが不活性となるよう構成されている。したがって、コード信号成分VIN1(m)(mは1〜Mの自然数。)が活性化すると、対応するトランスファーゲート71が導通状態、他のトランスファーゲートが非導通状態となることから、第3選択回路43には電圧VBERmが電圧VBERとして出力される。コード信号成分VIN1(0)が活性化した場合には、対応するトランスファーゲート71が導通状態、他のトランスファーゲートが非導通状態となることから、第3選択回路43には接地電位が電圧VBERとして出力される。
【0049】
図7は、第2選択回路42の具体的な回路を示す図である。同図に示すように、第2選択回路42は、それぞれ電圧(1/2)VDLYR1〜(1/2)VDLYRKが入力されるトランスファーゲート72〜72を有している。各トランスファーゲート72〜72の出力は第4選択回路44に接続されている。また、各トランスファーゲート72〜72のゲートにはそれぞれ、コード信号VIN2を構成するコード信号成分VIN2(1)〜(K)が入力される。
【0050】
コード信号成分VIN2(1)〜(K)は、1つのみが活性化し、残りが不活性となるよう構成されている。したがって、コード信号成分VIN2(k)(kは1〜Kの自然数。)が活性化すると、対応するトランスファーゲート72が導通状態、他のトランスファーゲートが非導通状態となることから、第4選択回路44には電圧(1/2)VDLYRkが電圧(1/2)VDLYRとして出力される。
【0051】
図8及び図9は、第3選択回路43の具体的な回路を示す図である。これらの図に示すように、第3選択回路43は、ボルテージフォロア73,76と、減算回路75と、抵抗74,74,77〜77と、トランスファーゲート78〜78とを有している。
【0052】
ボルテージフォロア73の非反転入力端子には電圧発生回路40から電圧VBEが入力される。したがってボルテージフォロア73の出力端子の電位は電圧VBEとなる。
【0053】
抵抗74,74は同じ抵抗値を有し、ボルテージフォロア73の出力端子とグランドとの間に直列接続されている。したがって、抵抗分割により抵抗74,74の接続点の電圧は(1/2)VBEとなり、この電圧(1/2)VBEは減算回路75の非反転入力端子に入力される。
【0054】
減算回路75の反転入力端子は、第1選択回路41の出力端子と減算回路75自身の出力端子にそれぞれ同じ抵抗値Rを有する抵抗を介して接続される。反転入力端子には電圧VBERが供給され、非反転入力端子には上述したように電圧(1/2)VBEが供給されるので、減算回路75の出力端子の電位は電圧VBE−VBERとなる。この電圧VBE−VBERはボルテージフォロア76の非反転入力端子に入力される。したがってボルテージフォロア76の出力端子の電位も電圧VBE−VBERとなる。
【0055】
抵抗77〜77はいずれも同じ抵抗値を有し、ボルテージフォロア76の出力端子とグランドとの間に直列接続されている。したがって、各抵抗の接続点の電位は、グランド側から順に(1/Q)(VBE−VBER),・・・,((Q−1)/Q)(VBE−VBER)となる。つまり、(1/Q)(VBE−VBER)間隔の複数の電圧が生成される。
【0056】
生成された(1/Q)(VBE−VBER)間隔の複数の電圧(接地電位を含む。)は、図9に示すように、低い電圧から順にトランスファーゲート78〜78に入力される。各トランスファーゲート78〜78の出力は第4選択回路44及びテスト入出力制御回路20に接続されている。また、各トランスファーゲート78〜78のゲートにはそれぞれ、コード信号VIN3を構成するコード信号成分VIN3(0)〜(Q)が入力される。
【0057】
コード信号成分VIN3(0)〜(Q)は、1つのみが活性化し、残りが不活性となるよう構成されている。したがって、コード信号成分VIN3(q)(qは1〜Qの自然数。)が活性化すると、対応するトランスファーゲート78が導通状態、他のトランスファーゲートが非導通状態となることから、第4選択回路44及びテスト入出力制御回路20には電圧α(VBE−VBER)(α=q/Q)が出力される。コード信号成分VIN3(0)が活性化した場合には、対応するトランスファーゲート78が導通状態、他のトランスファーゲートが非導通状態となることから、第4選択回路44及びテスト入出力制御回路20には接地電位が出力される。
【0058】
図10は、第4選択回路44の具体的な回路を示す図である。同図に示すように、第4選択回路44は、反転増幅器79と、ボルテージフォロア80と、減算回路81,82と、トランスファーゲート83,83とを有している。
【0059】
反転増幅器79の反転入力端子は、第3選択回路43の出力端子と反転増幅器79自身の出力端子にそれぞれ同じ抵抗値Rを有する抵抗を介して接続される。したがって、反転入力端子には電圧α(VBE−VBER)が供給される。非反転入力端子は接地される。以上の構成により、反転増幅器79の出力端子の電位は、入力電圧の符号を反転した−α(VBE−VBER)となる。この電圧−α(VBE−VBER)はボルテージフォロア80の非反転入力端子に入力される。したがってボルテージフォロア80の出力端子の電位も電圧−α(VBE−VBER)となる。
【0060】
減算回路81の反転入力端子は、ボルテージフォロア80の出力端子と減算回路81自身の出力端子にそれぞれ同じ抵抗値Rを有する抵抗を介して接続される。したがって、反転入力端子には電圧−α(VBE−VBER)が供給される。非反転入力端子は第2選択回路42に接続され、電圧(1/2)VDLYRが供給される。以上の構成により、減算回路81の出力端子の電位はVDLYR+α(VBE−VBER)となる。
【0061】
減算回路82の反転入力端子は、第3選択回路43の出力端子と減算回路82自身の出力端子にそれぞれ同じ抵抗値Rを有する抵抗を介して接続される。したがって、反転入力端子には電圧α(VBE−VBER)が供給される。非反転入力端子は第2選択回路42に接続され、電圧(1/2)VDLYRが供給される。以上の構成により、減算回路82の出力端子の電位はVDLYR−α(VBE−VBER)となる。
【0062】
減算回路81,82の出力はそれぞれトランスファーゲート83,83に入力される。各トランスファーゲート83,83の出力は内部電源発生回路15Aに接続されている。また、各トランスファーゲート83,83のゲートにはそれぞれ、コード信号VIN4を構成するコード信号成分VIN4(1),(2)が入力される。
【0063】
コード信号成分VIN4(1),(2)は、一方のみが活性化し、他方が不活性となるよう構成されている。したがって、コード信号成分VIN4(1)が活性化すると、トランスファーゲート81が導通状態、トランスファーゲート81が非導通状態となることから、内部電源発生回路15Aには電圧VDLYR+α(VBE−VBER)が出力される。一方、コード信号成分VIN4(2)が活性化すると、トランスファーゲート81が導通状態、トランスファーゲート81が非導通状態となることから、内部電源発生回路15Aには電圧VDLYR−α(VBE−VBER)が出力される。
【0064】
以上が本実施形態による半導体装置10の構成である。
【0065】
テスタ50(図1)は、ウェハ状態で半導体装置10の遅延時間測定テストを行うための装置である。テスタ50は、コマンド端子10bを介して半導体装置10にテストコマンドを供給するとともに、アドレス端子10cを介して半導体装置10にテストコード信号を生成するためのアドレス信号ADDを供給する。また、テスト中においては、データ入出力端子10dを介してリファレンス遅延回路19の遅延時間D(図2(b))をモニタし、これに基づいてテストコード信号を生成するためのアドレス信号ADDの更新を行う。テスト時には、電源端子10aを介して、半導体装置10への外部電源電圧VDDの供給も行う。
【0066】
また、テスタ50はレジスタ51を有している。レジスタ51は、テストに使用する各種データや、テストの結果得られたデータを記憶する記憶手段である。テストに使用する各種データには、リファレンス遅延回路19の遅延時間D(図2)の最適値を示すデータなどが含まれる。
【0067】
以下、フローチャートを参照しながら、リファレンス電圧VAREFの調節によるリファレンス遅延回路19の遅延時間Dの調整動作について詳しく説明する。初めにこの動作の概要について説明しておくと、テスタ50は、周囲温度を適宜変更しながらコード信号VIN1〜VIN4の値を適宜選択することにより、リファレンス電位発生回路16に生成させるリファレンス電位VAREFを変更する。そして、その都度リファレンス遅延回路19の遅延時間Dを測定し、測定の結果最適な遅延時間Dの温度依存性が得られるコード信号の値(リファレンス電位情報)を、ヒューズ回路14に記憶させる。遅延時間Dの調整動作は、おおまかには以上の動作により行われる。
【0068】
さて、図11は、リファレンス電圧VAREFの調節による遅延時間Dの調整動作を示すフローチャートである。遅延時間Dの調整動作は、テスタ50を用いた判定動作と、図示しないトリミング装置を用いたヒューズ回路14への書き込み動作に大別される。
【0069】
テスタ50を用いた判定動作では、まず初めに半導体装置10の周囲温度を低温(動作補償範囲内の最低温度。例えば−20℃。)とする。次に、テスタ50は、コマンド端子10bを介して半導体装置10にテストコマンドを供給する。これにより、半導体装置10はテストモードにエントリし、テスト信号ITESTが活性化される。この状態で、テスタ50は、アドレス端子10cを介して半導体装置10にテストコード信号TCODEnを供給する。最初に与えるテストコード信号TCODEnの値としては、レジスタ51に記憶された規定値を使用すればよい。テスタ50は、この低温状態でテスト入出力制御回路20から出力される信号をモニタし、リファレンス電位発生回路16の出力端子16aから出力される電圧VBE−VBERを測定する(ステップS1)。
【0070】
テスタ50は、測定結果に基づき、電圧VBE−VBERが0となっているか否かを判定する(ステップS2)。0となっていなければ、テストコード信号TCODEnを変更することによりコード信号VIN1の値を調節し、それによって第1選択回路41から第3選択回路43に入力される電圧VBERの値を変更し(ステップS3)、再度測定を行う(ステップS1)。
【0071】
図12は、横軸に温度、縦軸に電圧を取り、電圧VBEと電圧VBE−VBERを描画したものである。同図に示すように、電圧VBEは負の温度依存性を有する。テスタ50は、ステップS1〜S3の処理により−20℃のときの電圧VBEの値に等しい定電圧VBERを検索する。こうして得られた定電圧VBERを電圧VBEから減じて得られる電圧VBE−VBERは、温度に対する変化率が電圧VBEと同じであり、かつ−20℃での値が0の電圧となる。
【0072】
図11に戻る。ステップS2の判定の結果、電圧VBE−VBERが0となっていた場合には、テスタ50は当該テストコード信号TCODEn(コード信号VIN1)をレジスタ51に一時的に記憶させる。次に、テスタ50は、データ入出力端子10dを介してリファレンス遅延回路19に信号TDLY0を入力し、これに応じてリファレンス遅延回路19から出力される信号TDLY10をデータ入出力端子10dを介して取得する。そして、これらの信号からリファレンス遅延回路19の遅延時間Dを測定する(ステップS4)。
【0073】
テスタ50は、測定結果に基づき、遅延時間Dが適切な値となっているか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、レジスタ51に予め最適範囲データを記憶しておき、測定結果と比較することで判定すればよい。適切な値となっていなければ、テストコード信号TCODEnを変更することによりコード信号VIN2の値を調節し、それによって第2選択回路42から第4選択回路44に入力される電圧(1/2)VDLYRの値を変更し(ステップS6)、再度測定を行う(ステップS4)。
【0074】
図13は、図12と同様に、横軸に温度、縦軸に電圧を取り、図12にも記載した電圧VBE−VBERに加え、電圧VDLYR+α(VBE−VBER)を描画したものである。ただし、ここではα=1としている。同図に示すように、−20℃において電圧VBE−VBERの値は0となっているが、−20℃で適切な遅延時間Dを得られるリファレンス電位VAREFの値は必ずしも0ではない。
【0075】
テスタ50は、ステップS4〜S6の処理において電圧VBE−VBERに加算する定電圧VDLYRの値を適宜変更することにより、−20℃のときに適切な遅延時間Dを得られる定電圧VDLYRの値を検索する。こうして得られた定電圧VDLYRを電圧VBE−VBERに加算して得られる電圧VDLYR+(VBE−VBER)は、−20℃において適切な遅延時間Dを得られるリファレンス電位VAREFとなる。
【0076】
図11に戻る。ステップS5の判定の結果、遅延時間Dが適切な値となっていた場合には、テスタ50は当該テストコード信号TCODEn(コード信号VIN2)をレジスタ51に一時的に記憶させる。次に、半導体装置10の周囲温度を高温(動作補償範囲内の最高温度。例えば90℃。)とする。テスタ50は、この高温状態で、再度リファレンス遅延回路19の遅延時間Dを測定する(ステップS7)。
【0077】
テスタ50は、測定結果に基づき、遅延時間Dが適切な値となっているか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、レジスタ51に予め最適範囲データを記憶しておき、測定結果と比較することで判定すればよい。適切な値となっていなければ、テストコード信号TCODEnを変更することによりコード信号VIN3,4の値を調節し、それによって電圧α(VBE−VBER)の係数α(0,1/Q,2/Q,・・・,(Q−1)/Q,Q/Q)(コード信号VIN3)及び符号(コード信号VIN4)を変更し(ステップS9)、再度測定を行う(ステップS7)。
【0078】
図14は、図12や図13と同様に、横軸に温度、縦軸に電圧を取り、リファレンス電位VAREFを描画したものである。同図にはQ=2の場合を示しており、リファレンス電位VAREF=VDLYR+(VBE−VBER)の場合を含め、各係数αの値及び電圧α(VBE−VBER)の符号に対応するリファレンス電位VAREF(5パターン)を描画している。
【0079】
テスタ50は、ステップS7〜S9の処理において90℃のときに適切な遅延時間Dを得られる係数αの値及び電圧α(VBE−VBER)の符号を検索する。図14のようにQ=2とした場合には、各係数αの値及び電圧α(VBE−VBER)の符号の組み合わせが5パターンしかないため、図示した点P1〜P5の中で最適なものを検索することになるが、Qの値をより大きくすれば、より多くの点の中から検索することが可能になる。こうして得られたリファレンス電位VAREFは、−20℃と90℃の両方において、適切な遅延時間Dを得られるリファレンス電位VAREFとなる。
【0080】
ステップS8の判定の結果、遅延時間Dが適切な値となっていた場合には、テスタ50は当該テストコード信号TCODEn(コード信号VIN3,4)をレジスタ51に一時的に記憶させる。これにより、テスタ50を用いた判定動作が完了する。
【0081】
最後に、以上の処理の結果最終的に得られたテストコード信号TCODEnをテスタ50から図示しないトリミング装置に送信し、トリミング装置は、受信したテストコード信号TCODEnに基づいてヒューズ回路14のヒューズトリミングを行う(ステップS10)。つまり、ヒューズ回路14から出力されるヒューズコード信号FCODEnが、最終的に得られたテストコード信号TCODEnと同じ値となるよう、ヒューズ回路14のヒューズトリミングを行う。これにより、ヒューズ回路14には、少なくとも−20℃と90℃の両方で適切な遅延時間Dを得られるリファレンス電位VAREFを生成するためのリファレンス電位情報が書き込まれることになる。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態による半導体装置10によれば、ヒューズトリミングによりリファレンス電位VAREFを制御し、低温でも高温でもリファレンス遅延回路19の遅延時間Dが適切な値となるようにすることが可能になる。そして、このリファレンス電位VAREFに基づいて生成された内部電源電圧VAにより動作する内部回路12
(図1)についても、その遅延量を適切なものに制御することが可能になっている。具体的には、内部回路12が、温度の上昇に伴って動作速度を低速化させるべき回路である場合には、リファレンス電位VAREFが温度の上昇に伴って小さくなる負の温度依存性を持つようにすればよい。また、内部回路12が、温度の上昇に伴って動作速度を高速化させるべき回路である場合には、リファレンス電位VAREFが温度の上昇に伴って大きくなる正の温度依存性を持つようにすればよい。さらに、内部回路12が、温度の上昇に関わらず実質的に同一の動作速度を維持すべき回路である場合には、リファレンス電位VAREFが温度の上昇に関わらず実質的に変化しない温度依存性を持つようにすればよい。
【0083】
ここで、内部回路12の具体的な例を挙げ、その遅延量の制御についてより具体的に説明する。
【0084】
図15は、センスアンプ回路22に供給するタイミング信号を生成するタイミング信号生成回路12Xを示す図である。この例では、タイミング信号生成回路12Xが内部回路12である。タイミング信号生成回路12Xは、半導体装置10の周囲温度が高いほど、遅延量を大きくすべき回路(温度の上昇に伴って動作速度が低速化する回路)のひとつに数えられる。以下、詳しく説明する。
【0085】
センスアンプ回路22は、メモリセルアレイ23内のメモリセルに蓄積された電荷によってビット線に生ずるデータ(電位差)を増幅し、ローカルIO線に出力する回路である。また、タイミング信号生成回路12Xは、リードコマンド又はライトコマンドが入力されたことを示すタイミング通知信号に応じて、センスアンプ回路22を活性化させるためのセンスアンプイネーブル信号SAEを生成する回路である。
【0086】
メモリセルに蓄積された電荷によってビット線に生ずるデータの量(電位差量)は、半導体装置10の周囲温度が高いほど小さくなる。そのため、センスアンプ回路22の活性化タイミングは、周囲温度が高いほど遅らせることが望ましい。
【0087】
本発明では、テスタ50からの制御により、リファレンス電位VAREFが負の温度依存性を有するようにする。これにより、周囲温度が高いほど電源電圧VAの電位が低くなり、その結果、タイミング信号生成回路12Xの遅延量が大きくなる。したがって、センスアンプイネーブル信号SAEの出力タイミングが遅延し、センスアンプ回路22の活性化タイミングが遅延する。すなわち、周囲温度が高いほど、センスアンプ回路22の活性化タイミングを遅延させることが実現される。
【0088】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0089】
例えば、上記実施の形態では電力供給部の活性化情報をヒューズ回路14に書き込んでいるが、ここでいうヒューズ回路には、レーザートリミングヒューズや、電気的に切断/導通するヒューズ(アンチヒューズを含む。)が含まれる。アンチヒューズ回路は電気的な信号処理により情報を保存するものであるため、テスタ50と半導体装置10とを繋いだままの状態でリファレンス電位情報を書き込めるというメリットがある。
【0090】
また、上記実施の形態では半導体装置10がまだウェハ状態であるときに、テスタ50を用いてリファレンス電位の調節を行ったが、図16に示すように、半導体装置10がコンピュータなどに組み込まれた後、コンピュータのコントローラ(CPU)90を用いて調節を行うこととしてもよい。図16に示したROM(Read Only Memory)91は、上述した判定動作などをコンピュータに実行させるためのプログラムを格納する記憶手段であり、コントローラ90はROM91内のプロクラムに従って、リファレンス電位の調節処理を行う。なお、このようにする場合には、コントローラ90がリファレンス電位情報を書き込めるよう、ヒューズ回路14に代え、書き換え可能なデータ保存手段であるレジスタ(ラッチ回路)14aなどを用いることが好ましい。
【0091】
また、上記実施の形態では、リファレンス電位VAREFのみに着目して遅延量の制御を行う例を示したが、他のリファレンス電位(VBREF,VCREFなど)についても同様に遅延量の制御を行うことが好ましい。この場合、リファレンス遅延回路19に入力する内部電源電圧を適宜切り替え可能に構成することが好ましい。
【0092】
図17は、リファレンス電位VAREF,VBREFについて遅延量の制御を行うようにした半導体装置10の例を示している。なお、同図では内部電源発生回路15Cは省略している。
【0093】
図17の例では、リファレンス遅延回路19は、内部電源配線30A,30Bとスイッチ21を介して接続されている。リファレンス遅延回路19の電源電圧は、スイッチ21の切り替えにより電源電圧VA,VBのいずれか一方となる。なお、図17には明示していないが、スイッチ21はテスタ50から切り替え可能に構成される。
【0094】
内部電源電圧VAにより動作する内部回路12Aの遅延量が適切なものになるようリファレンス電位VAREFを制御する場合、テスタ50からスイッチ21を切り替え、電源電圧VAがリファレンス遅延回路19に供給されるようにする。また、内部電源電圧VBにより動作する内部回路12Bの遅延量が適切なものになるようリファレンス電位VBREFを制御する場合、テスタ50からスイッチ21を切り替え、電源電圧VBがリファレンス遅延回路19に供給されるようにする。こうすることで、テスタ50は、内部回路12A,12B両方の遅延量を適切なものに制御することができるようになる。
【0095】
なお、このように内部回路の遅延量は電源電圧ごとに制御可能であることから、例えば、電源電圧VAを供給する内部回路12Aについては、上述したタイミング信号生成回路12Xのように温度が高いほど遅延量が大きくなる(温度の上昇に伴って動作速度が低速化する)ようにし、電源電圧VBを供給する内部回路12Bについては温度が高いほど遅延量が小さくなる(温度の上昇に伴って動作速度が高速化する)ようにする、というような制御も可能である。
【符号の説明】
【0096】
10 半導体装置
10a 電源端子
10b コマンド端子
10c アドレス端子
10d データ入出力端子
11 内部電源回路
12,12A,12B 内部回路
12X タイミング信号生成回路
13a コマンドデコーダ
13b アドレスラッチ回路
14 ヒューズ回路
15A〜15C 内部電源発生回路
16 リファレンス電位発生回路
17 テスト制御回路
18 信号選択回路
19 リファレンス遅延回路
19b インバータチェーン
19c OR回路
20 テスト入出力制御回路
22 センスアンプ回路
23 メモリセルアレイ
30A〜30C 内部電源配線
30X 外部電源配線
40 電圧発生回路
41〜44 第1〜第4選択回路
50 テスタ
51 レジスタ
60,61 オペアンプ
62,63 PNP型バイポーラトランジスタ
64〜67,68〜68,77〜77 抵抗
69 定電流源
70 ダイオード
71〜71,72〜72,78〜72,83,83 トランスファーゲート
73,76,80 ボルテージフォロア
75,81,82 減算回路
79 反転増幅器
90 コントローラ
91 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電源配線を介して半導体装置の内部回路に電源電圧を供給する内部電源回路であって、
それぞれ互いに異なる温度依存性を有する複数のリファレンス電位を生成可能に構成されたリファレンス電位発生回路と、
前記リファレンス電位発生回路により生成された前記リファレンス電位を基準として前記電源電圧を生成する内部電源発生回路と、
前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を選択する制御回路とを備えることを特徴とする内部電源回路。
【請求項2】
前記複数のリファレンス電位は、互いに逆の温度依存性を有する第1及び第2のリファレンス電位を含むことを特徴とする請求項1に記載の内部電源回路。
【請求項3】
前記複数のリファレンス電位は、温度に対する変化率が互いに異なる複数のリファレンス電位を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の内部電源回路。
【請求項4】
前記複数のリファレンス電位は、所定温度での電位が互いに異なる複数のリファレンス電位を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内部電源回路。
【請求項5】
前記制御回路は、前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を示す情報を記憶する記憶回路の記憶内容に基づいて、前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を選択することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の内部電源回路。
【請求項6】
前記制御回路は、外部から入力されるテストコード信号に基づいて、前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を選択することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の内部電源回路。
【請求項7】
前記リファレンス電位発生回路は、温度依存性を有する第1の電圧と、温度依存性を有しない第2及び第3の電圧とを発生する電圧発生回路を有し、前記第2の電圧の電圧値と、前記第3の電圧の電圧値と、前記第1の電圧から前記第2の電圧を減算してなる第4の電圧に乗算する変化係数と、前記第4の電圧に前記変化係数を乗算してなる第5の電圧の符号とを選択可能に構成され、
前記リファレンス電位は、前記第5の電圧に前記第3の電圧を加算することにより生成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の内部電源回路。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の内部電源回路と、
前記内部電源回路から供給される電源電圧により動作する内部回路とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
それぞれ互いに異なる温度依存性を有する複数のリファレンス電位の中のひとつを生成し、電源電圧を生成する内部電源発生回路に供給するリファレンス電位発生回路と、
前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を示すリファレンス電位情報を記憶する記憶回路とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を選択する選択ステップと、
前記内部電源発生回路により生成された電源電圧を内部回路に供給した場合の、該内部回路の遅延量を測定する測定ステップと、
前記測定ステップの測定結果に基づき、前記記憶回路にリファレンス電位情報を書き込む書込ステップとを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記選択ステップは、
周囲温度を第1の温度とした状態で、前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を選択する第1の選択ステップと、
周囲温度を前記第1の温度とは異なる第2の温度とした状態で、前記リファレンス電位発生回路に生成させる前記リファレンス電位を選択する第2の選択ステップとを含み、
前記書込ステップは、前記第1及び第2の選択ステップそれぞれにおける前記測定ステップの測定結果に基づき、前記記憶回路に前記リファレンス電位情報を書き込むことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体装置は、前記内部電源発生回路により生成された電源電圧により動作するインバータチェーンを有する遅延回路を備え、
前記測定ステップは、前記遅延回路の遅延時間を測定することにより、前記内部回路の遅延量を測定することを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
温度変化に伴って電圧が変化するものであってその変化量が調整可能とされた第1の電圧と、温度変化に伴って変化しない第2の電圧との和として定義される電源電圧を用いる半導体装置の製造方法であって、
第1の温度において前記第2の電圧を決定するステップと、
前記第1の温度とは異なる第2の温度において前記変化量を調整するステップとを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
それぞれ互いに異なる温度依存性を有する第1及び第2のリファレンス電位を生成可能に構成されたリファレンス電位発生回路と、
前記第1のリファレンス電位を受けて生成された第1の電源電圧を受けて動作する第1の内部回路と、
前記第2のリファレンス電位を受けて生成された第2の電源電圧を受けて動作する第2の内部回路とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
前記第1のリファレンス電位の温度依存性は、温度の上昇に伴って小さくなる負の温度依存性であり、前記第1の内部回路は温度の上昇に伴って動作速度が低速化することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体装置は、
データを保持するメモリセルと、
前記メモリセルのデータを第1のタイミング信号に対応して読み出し及び増幅するセンスアンプ回路とをさらに備え、
前記第1の内部回路は前記第1のタイミング信号を出力することを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第2のリファレンス電位の温度依存性は、温度の上昇に伴って大きくなる正の温度依存性であり、前記第2の内部回路は温度の上昇に伴って動作速度が高速化することを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第2のリファレンス電位の温度依存性は、温度の上昇に関わらず実質的に変化しない温度依存性であり、前記第2の内部回路は温度の上昇に関わらず実質的に動作速度が変化しないことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−282317(P2010−282317A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133732(P2009−133732)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】