説明

処理液混合装置、基板処理装置および処理液混合方法並びに記憶媒体

【課題】混合槽で生成される処理液の混合比率を一定に保つ。
【解決手段】まず排出弁23,24,25を開弁し、供給弁26〜31を閉弁して、原料液体A,B,Cを排出弁23,24,25から外部に排出する。その後、LFC20,21,22が検出する原料液体A,B,Cの流量が全て所定の流量に達した後に、排出弁23,24,25を閉弁し、供給弁17,29,31を開弁して、供給弁17,29,31を通して原料液体A,B,Cを第2の混合槽3に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の原料液体を所定の比率で混合して処理液を生成する処理液混合装置、処理液混合方法および処理液混合プログラムを格納する記憶媒体、並びに処理液混合装置を備える基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶パネルなどの製造工程には、洗浄やエッチングなど、処理液を被処理体に塗布して、あるいは被処理体を処理液に浸漬して行う液処理工程がある。このような液処理工程で使用される処理液は複数種の原料液体を所定の比率で混合して生成される。処理液には、例えば、洗浄工程で使用される主な処理液だけでも、下表に示すような各種のものがある。
【0003】
【表1】

【0004】
このような多種の処理液を予め生成して、プラント内の各基板処理装置に供給しようとすれば、処理液別に専用の配管が必要になり、その結果、プラント内に多数の配管が輻輳するので現実的ではない。そこで、プラントには処理液の原料となる原料液体を各基板処理装置に供給する配管を備えるとともに、各基板処理装置には処理液混合装置を備えて、当該基板処理装置に必要な処理液を生成している。
【0005】
また、処理液の混合比率(濃度)を一定に保つために、数種の原料液体が混合される混合槽と、前記混合槽に複数種の原料液体をそれぞれ予め設定された量だけ供給する流量制御手段と、前記流量制御手段によって供給量が設定された各原料液体の前記混合槽への供給時間が同じになるよう制御する供給時間制御手段を備える処理液混合装置が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−275569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の処理液混合装置は、混合槽に供給される各原料液体の総量(=積算流量)を所定の量に保つとともに、各原料液体の混合槽への供給時間が同じになるように制御しているが、各原料液体の混合槽への供給流量を一定に保つような配慮はなされていない。
【0007】
また一般に、流量制御手段は原料液体の送出を開始してから徐々に流量が増加し、所定の流量に到達すると、以後一定流量の送出を続ける。また、送出を開始してから所定の送出流量に到達するのに要する時間は、設定流量が大きくなると長くなる傾向がある。
【0008】
そのため、特許文献1に記載の処理液混合装置では、供給時間のある時点で、混合槽へ供給される各原料液体の流量の比率は、処理液の混合比率とは必ずしも一致しなかった。特に供給時間の初期においては、設定流量の大きい原料液体の流量は設定流量に達せず、設定流量の小さい原料液体の流量は設定流量に達するので、設定流量の小さい原料液体の流量が相対的に大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、混合槽で生成される処理液の混合比率(濃度)を一定に保てる処理液混合装置、処理液混合方法、基板処理装置、並びに処理液混合槽を制御するプログラムを格納する記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る処理液混合装置は、複数種の原料液体を混合する混合槽と、前記複数種の原料液体の供給源から前記混合槽へ前記複数種の原料液体を個別に供給する供給流路にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を所定の流量に調整する流量調整手段と、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を検出する流量検出手段と、前記供給流路の前記流量調整手段と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体を外部に排出する排出弁と、前記供給流路の前記排出弁と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を開閉する供給弁と、前記混合槽への前記複数種の原料液体の供給を開始する際に、まず各供給流路の前記供給弁を閉弁し、各供給流路の前記排出弁を開弁するとともに、その後、前記流量検出手段が検出する前記複数種の原料液体の流量が全て所定の流量に達した後に、各供給流路の前記排出弁を閉弁し、各供給流路の前記供給弁を開弁する制御手段を備えるものである。
【0011】
また、前記制御手段は、前記流量検出手段が検出する流量が全て所定の流量に達した時に、前記排出弁を閉弁し、前記供給弁を開弁するようにしてもよい。
【0012】
また、前記制御手段は、前記流量検出手段が検出する流量が全て所定の流量に達し、さらに所定時間が経過した時に、前記排出弁を閉弁し、前記供給弁を開弁するようにしてもよい。
【0013】
また、前記制御手段は、前記流量調整手段の設定流量と時間‐流量特性に応じた時間差をおいて、原料液体毎に前記排出弁を開弁するようにしてもよい。
【0014】
また、前記制御手段は、前記流量調整手段の設定流量が大きい順に、前記排出弁を開弁するようにしてもよい。
【0015】
本発明に係る基板処理装置は、前述の処理液混合装置を備えるものである。
【0016】
本発明に係る処理液混合方法は、複数種の原料液体を混合する混合槽と、前記複数種の原料液体の供給源から前記混合槽へ前記複数種の原料液体を個別に供給する供給流路にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を所定の流量に調整する流量調整手段と、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を検出する流量検出手段と、前記供給流路の前記流量調整手段と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体を外部に排出する排出弁と、前記供給流路の前記排出弁と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を開閉する供給弁を備える処理液混合装置を用いる処理液混合方法において、前記混合槽への前記複数種の原料液体の供給を開始する際に、まず各供給流路の前記供給弁を閉弁し、各供給流路の前記排出弁を開弁し、その後、前記流量検出手段が検出する前記複数種の原料液体の流量が全て所定の流量に達した後に、各供給流路の前記排出弁を閉弁し、各供給流路の前記供給弁を開弁するものである。
【0017】
また、前記流量検出手段が検出する流量が全て所定の流量に達した時に、前記排出弁を閉弁し、前記供給弁を開弁するようにしてもよい。
【0018】
また、前記流量検出手段が検出する流量が全て所定の流量に達し、さらに所定時間が経過した時に、前記排出弁を閉弁し、前記供給弁を開弁するようにしてもよい。
【0019】
また、前記流量調整手段の設定流量と時間‐流量特性に応じた時間差をおいて、原料液体毎に前記排出弁を開弁するようにしてもよい。
【0020】
また、前記流量調整手段の設定流量が大きい順に、前記排出弁を開弁するようにしてもよい。
【0021】
また、本発明に係る記憶媒体は、複数種の原料液体を混合する混合槽と、前記複数種の原料液体の供給源から前記混合槽へ前記複数種の原料液体を個別に供給する供給流路にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を所定の流量に調整する流量調整手段と、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を検出する流量検出手段と、前記供給流路の前記流量調整手段と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体を外部に排出する排出弁と、前記供給流路の前記排出弁と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を開閉する供給弁を備える処理液混合装置を制御するコンピュータで実行されるプログラムを格納した記憶媒体において、前記プログラムは、前記混合槽への前記複数種の原料液体の供給を開始する際に、まず各供給流路の前記供給弁を閉弁し、各供給流路の前記排出弁を開弁するステップと、前記流量検出手段が検出する前記複数種の原料液体の流量が全て所定の流量に達した後に、各供給流路の前記排出弁を閉弁し、各供給流路の前記供給弁を開弁するステップを有するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、全ての原料液体の流量が所定の流量に達した後で、原料液体を混合槽に供給するので、原料液体の供給開始当初から所定の混合比率(濃度)の処理液が生成される。
【0023】
さらに、複数の流量制御手段の時間‐流量特性に応じた時間差をおいて、原料液体の送出を開始することで、特定の原料液体の流量が所定の流量に達した後、他の原料液体流量が所定の流量に達するまで、混合槽への原料液体の供給を待つ時間が小さい、あるいは待つ必要がない。そのため当該特定の原料液体の廃棄量を最小にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る基板処理装置の概念的な構成図である。
【0026】
図1に示すように、基板処理装置1は、原料液体A、原料液体B、原料液体Cを混合して処理液を生成する第1及び第2の混合槽2,3に閉ループ状の往復流路4,5をそれぞれ連通連結するとともに、各往復流路4,5に流出流路6,7の始端部と流入流路8,9の終端部とをそれぞれ連通連結し、流出流路6,7の終端部と流入流路8,9の始端部との間に共通の循環流路10を連通連結し、この循環流路10に基板処理装置1の処理対象であるウェハ11を処理液で処理するための第1及び第2の薬液処理部12,13をそれぞれ連通連結している。
【0027】
第1及び第2の混合槽2,3には、図示しないA,B,C液供給源から送出される原料液体A,B,Cを個別に供給するA液供給流路14、B液供給流路15及びC液供給流路16が連通連結され、前記A,B,C液供給源と第1及び第2の混合槽2,3の間には送出弁17,18,19を備えて、A,B,C液供給流路14,15,16への原料液体A,B,Cの送出を開始/停止する。
【0028】
A,B,C液供給流路14,15,16の送出弁17,18,19と第1及び第2の混合槽2,3の間には、LFC(流量制御器)20,21,22、排出弁23,24,25、及び供給弁26〜31を備えている。
【0029】
LFC20,21,22はA,B,C液供給流路14,15,16に原料液体A,B,Cが制御部32で設定された流量(設定流量)だけ流れるように調整するとともに、A,B,C液供給流路14,15,16を流れる原料液体A,B,Cの流量を検出して制御部32にフィードバックする装置である。つまり、LFC20,21,22は、流量調整手段の機能と、流量検出手段の機能を兼ね備えている。
【0030】
排出弁23,24,25、及び供給弁26〜31は制御部32によって開閉制御される弁であり、排出弁23,24,25が開弁されて、供給弁26〜31が閉弁されると、A,B,C液供給流路14,15,16を流れる原料液体A,B,Cは外部に排出される。逆に、排出弁23,24,25が閉弁されて、供給弁26〜31が開弁されると、A,B,C液供給流路14,15,16を流れる原料液体A,B,Cは第1及び第2の混合槽2,3に供給される。つまり、排出弁23,24,25、及び供給弁26〜31の開閉を選択することによって、A,B,C液供給流路14,15,16を流れる原料液体A,B,Cの流出先を変更することができる。なお、送出弁17,18,19も制御部32によって開閉制御される。
【0031】
往復流路4,5は、往路側流路33,34と復路側流路35,36とで構成され、往路側流路33,34には、ヒータ37,38とポンプ39,40と開閉弁41,42を順に備えている。これらのヒータ37,38、ポンプ39,40及び開閉弁41,42は制御部32に接続されて、駆動制御あるいは開閉制御される。
【0032】
往路側流路33,34のポンプ39,40と開閉弁41,42の間には、流出流路6,7の始端部が接続され、流出流路6,7は開閉弁43,44を備えている。開閉弁43,44は制御部32に接続されて、開閉制御される。
【0033】
また、復路側流路35,36には、流入流路8,9の終端部が接続され、流入流路8,9は開閉弁45,46を備えている。開閉弁45,46は制御部32に接続されて、開閉制御される。
【0034】
さらに、流出流路6,7の終端部は互いに接続され、その接続部分には、循環流路10の始端部を接続している。また、流入流路8,9の始端部も互いに接続され、その接続部分に循環流路10の終端部を接続している。これにより、第1及び第2の混合槽2,3に往復流路4,5、流出流路6,7及び流入流路8,9を介して循環流路10を共通に連通させている。
【0035】
循環流路10の終端部には内部の処理液の濃度を検出するための濃度センサ47が備えられ、濃度センサ47は制御部32に接続されている。
【0036】
また、循環流路10の中途部には第1及び第2の薬液処理部12,13の供給流路48,49が接続され、供給流路48,49は開閉弁50,51を備えている。第1及び第2の薬液処理部12,13及び開閉弁50,51は、は制御部32に接続されて、駆動制御あるいは開閉制御される。
【0037】
基板処理装置1は、以上のように構成されて、制御部32に設けた記憶媒体32a(メモリー、ハードディスク、ディスク状メモリーなど)に格納された処理液供給プログラムに従って、処理液の混合生成及び第1及び第2の薬液処理部12,13への供給動作を実行する。
【0038】
図2は、処理液供給プログラムによる処理液の供給動作を示すフローチャートである。以下、図2を参照しながら、処理液供給プログラムによる処理液の供給動作を説明する。なお、基板処理装置1は、第1の混合槽2から第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給している状態と、第2の混合槽3から第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給している状態を交互に切り替えて運転されるが、ここでは第1の混合槽2における処理液の生成が完了して、第1の混合槽2から第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給している状態から、第2の混合槽3から第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給している状態に切り替える場合について説明する。
【0039】
(第1混合槽供給ステップS1)
処理液供給プログラムでは、まず、第1の混合槽2から第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給する。
【0040】
この時、制御装置32はポンプ39を駆動するとともに、往復流路4の開閉弁41を閉弁状態とし、流出流路6の開閉弁43、流入流路8の開閉弁45を開弁状態とするとともに、供給流路48,49の開閉弁50,51を開閉して、第1の混合槽2→往路側流路33→流出流路6→循環流路10→流入流路8→復路側流路35→第1の混合槽2の順で処理液を流動させるとともに、循環流路10から供給流路48,49を介して第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給する。
【0041】
(第2混合槽処理液生成ステップS2)
第1の混合槽2から第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給している間に、第2の混合槽3では、原料液体A,B,Cを所定の比率で混合して処理液を生成するとともに、生成された処理液を攪拌調温する。
【0042】
まず、制御装置32は所定の流量を設定し、次に排出弁23,24,25を開弁状態、供給弁26〜31は閉弁状態とする。送出弁17,18,19から送出される原料液体A,B,Cは排出弁23,24,25を通って外部に排出される。
【0043】
排出弁23,24,25を開くと、A,B,C液供給流路14,15,16を流れる原料液体A,B,Cの流量は徐々に増加し、やがて設定流量に達する。原料液体A,B,Cの流量が設定流量に達したのを、LFC20,21,22で検出したら、制御部32は、排出弁23,24,25を閉弁すると同時に供給弁27,29,31を開弁して、原料液体A,B,Cを第2の混合槽3に供給する。この後、LFC20,21,22は原料液体A,B,Cの流量が設定流量を保つように調整を続ける。所定量の処理液が第2の混合槽3に溜まると、制御装置32は供給弁27,29,31を閉じて、混合槽3への原料液体A,B,Cを第2の混合槽3への供給を停止する。なお、排出弁23,24,25および供給弁27,29,31の開閉の詳細なシーケンスは、後述する。
【0044】
第2の混合槽3に所定量の処理液が溜まって、原料液体A,B,Cの第2の混合槽3への供給を停止すると、制御部32はヒータ38とポンプ40を駆動するとともに、流出流路7の開閉弁44、流入流路9の開閉弁46を閉弁状態とし、往復流路5の開閉弁42を開弁状態として、第2の混合槽3→往路側流路34→復路側流路36→第2の混合槽3の順で処理液を流動させて、処理液を攪拌調温する。
【0045】
(処理液切替ステップS3)
第1の混合槽2内の処理液が不足してくると、処理液の供給源を第1の混合槽2から第2の混合槽3へ切替える。
【0046】
この時、制御装置32は第1の混合槽2に接続した往路側流路33の開閉弁41と流出流路6の開閉弁43を閉弁状態とするとともに、第2の混合槽3に接続した往路側流路34の開閉弁42を閉弁状態、流入流路9の開閉弁46を開弁状態とし、さらに、流入流路8の開閉弁45を閉弁状態とし、第2の混合槽3に接続した流出流路7の開閉弁44を開弁状態として、第2の混合槽3→往路側流路34→流出流路7→循環流路10→流入流路9→復路側流路36→第2の混合槽3の順で処理液を流動させる。
【0047】
(第2混合槽供給ステップS4)
次に、第2の混合槽3から第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給する。
【0048】
供給流路48,49の開閉弁50,51を開閉して、循環流路10から供給流路48,49を介して第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給する。
【0049】
(第1混合槽処理液生成ステップS5)
第2の混合槽3から第1及び第2の薬液処理部12,13に処理液を供給している間に、第1の混合槽2で新たな処理液を生成するとともに、生成された処理液を往復流路4を介して循環させて、攪拌調温する。
【0050】
まず、制御装置32は排出弁23,24,25を開弁状態とする。この時、供給弁26〜31は閉弁状態であるから、送出弁17,18,19から送出される原料液体A,B,Cは排出弁23,24,25を通って外部に排出される。
【0051】
排出弁23,24,25を開くと、A,B,C液供給流路14,15,16を流れる原料液体A,B,Cの流量は徐々に増加し、やがて設定流量に達する。原料液体A,B,Cの流量が設定流量に達したのを、LFC20,21,22で検出したら、制御部32は、排出弁23,24,25を閉弁すると同時に、供給弁26,28,30を開弁して、原料液体A,B,Cを第1の混合槽2に供給する。この後LFC20,21,22は原料液体A,B,Cの流量が設定流量を保つように調整を続ける。所定量の処理液が第1の混合槽2に溜まると、制御装置32は供給弁26,28,30を閉じて、原料液体A,B,Cの第1の混合槽2への供給を停止する。なお、排出弁23,24,25および供給弁26,28,30の開閉の詳細なシーケンスは、第2混合槽処理液生成ステップS2と同様である。
【0052】
第1の混合槽2に所定量の処理液が溜まって、原料液体A,B,Cの第1の混合槽2への供給を停止すると、制御部32はヒータ37とポンプ39を駆動するとともに、流出流路6の開閉弁43、流入流路8の開閉弁45を閉弁状態とし、往復流路4の開閉弁41を開弁状態として、第1の混合槽2→往路側流路33→復路側流路35→第1の混合槽2の順で処理液を流動させて、処理液を攪拌調温する。
【0053】
以上、説明の便宜のために、処理液の供給動作を、第1の混合槽2内の処理液を薬液処理部12,13に供給しながら、第2の混合槽3で処理液を生成する段階から始めて、処理液の供給源を第1の混合槽2から第2の混合槽3へ切り替える段階に進み、第2の混合槽3内の処理液を薬液処理部12,13に供給しながら、第1の混合槽2で処理液を生成する段階に進む例を説明した。基板処理装置1を連続運転する場合は、この後、処理液の供給源を第2の混合槽3から第1の混合槽2へ切り替える段階を経て、再び、第1の混合槽2内の処理液を薬液処理部12,13に供給しながら、第2の混合槽3で処理液を生成する段階を繰り返す。つまり、第1の混合槽2と第2の混合槽3を交互に使用して、一方の混合槽内の処理液を薬液処理部12,13に供給しながら、他方の混合槽で処理液を生成する
【0054】
さて、第2混合槽処理液生成ステップS2における各弁の詳細な操作シーケンスの例を説明する前に、操作シーケンスを決定するための前提条件を仮定する。すなわち、次のように仮定する。
【0055】
(1)基板処理装置1で使用する処理液は、例えば、原料液体A,B,Cを容積比で、3:6:8の比率で混合して生成される。
(2)原料液体A,B,Cを前記比率で混合するために、第1又は第2の混合槽2,3に、原料液体A,B,Cをそれぞれ、毎分12リットル、24リットルおよび32リットルの割合で供給する。
(3)原料液体Aの送出を開始してから、送出量が毎分12リットルに達するまでの所要時間は約5秒である。原料液体Bの送出を開始してから、送出量が毎分24リットルに達するまでの所要時間は約20秒である。原料液体Cの送出を開始してから、送出量が毎分32リットルに達して安定するまでの所要時間は約20秒である。
【0056】
図3は、第2混合槽処理液生成ステップS2における各弁の詳細な操作シーケンスを示すフローチャートである。また、図4は、第2混合槽処理液生成ステップS2における原料液体A,B,Cの流量の時間変化と各弁の操作タイミングの関係を示すタイムチャートである。以下、図3及び図4を参照しながら各弁の詳細な操作シーケンスを説明する。
【0057】
(流量設定ステップS21)
制御部32は、LFC20,21,22に原料液体A,B,Cの流量をそれぞれ、毎分12リットル、24リットルおよび32リットルの割合で送出するように設定する。なお、同一の流量設定で基板処理装置1を連続運転する場合は、このステップを毎回実行する必要はない。
【0058】
(送出開始ステップS22)
次に制御部32は、排出弁23,24,25を開弁する。この時、供給弁27〜31は閉弁されているから、送出弁17,18,19から送出される原料液体A,B,Cは排出弁23,24,25を通って外部に排出される。
【0059】
また、排出弁23,24,25を開くと、LFC20,21,22を通って、A,B,C液供給流路14,15,16を流れる原料液体A,B,Cの流量は徐々に増加し、やがて設定流量に達する。
【0060】
(供給開始ステップS23)
LFC20,21,22が検出するA,B,C液供給流路14,15,16内の原料液体A,B,Cの流量が全て設定流量に達したら、制御部32は、排出弁23,24,25を閉弁すると同時に供給弁27,29,31を開弁して、原料液体A,B,Cを第2の混合槽3に供給する。
【0061】
以上のように、基板処理装置1は、A,B,C液供給流路14,15,16内の原料液体A,B,Cの流量が全て設定流量に達してから、A,B,C液供給流路14,15,16内の原料液体A,B,Cを第2の混合槽3に供給するので、供給開始直後から第2の混合槽3には、所定の混合比率(濃度)の処理液が生成される。そのため、第2の混合槽内の処理液の混合比率(濃度)は短時間で均一になる。そのため、処理液を即座に薬液処理部12,13に供給開始することができる。
【0062】
さて、前述の送出開始ステップS22では、排出弁23,24,25を同時に開弁している。一方、一般にLFC20,21,22の送出開始から設定流量に達するのに要する時間は設定流量が大きくなるにつれて、長くなる傾向がある。例えば、前述の例では、送出弁17が開いてからLFC20を通って送出される原料液体Aの流量が所定の毎分12リットルに達して安定するまでの所要時間は約5秒である。これに対して、LFC21を通って送出される原料液体Bの流量が毎分24リットルに達して安定するまでの所要時間、及びLFC22を通って送出される原料液体Cの流量が毎分32リットルに達して安定するまでの所要時間は共に約20秒である。そのため、原料液体Aの流量が所定の毎分12リットルに達した後も、原料液体B,Cの流量が所定流量に達するまで、A液供給流路14では排出弁23を開いて原料液体Aを外部に排出し続けなければならない。
【0063】
そこで、原料液体A,B,Cの流量が同時に所定の流量に達するように、LFC20,21,22の設定流量と時間‐流量特性に応じた時間差をおいて、送出弁17,18,19を開弁するようにすれば、外部に排出される原料液体Aの量を削減することができる。
【0064】
例えば、図5に示すように、まず排出弁24,25を開弁して、原料液体B,Cの送出を開始して、その15秒後に排出弁23を開弁して、原料液体Aの送出を開始するようにすれば、排出弁24,25の開弁から約20秒後に、原料液体A,B,Cの流量はほぼ同時に設定流量に達するので、原料液体A,B,Cを第2の混合槽3に供給開始することができる。このため、図4に示した操作シーケンスに比べて、原料液体Aの排出時間を短縮して、原料液体Aの損失を削減することができる。
【0065】
なお、ここでは原料液体A,B,C原料液体の流量が全て設定流量に達した時に、原料液体A,B,Cの混合槽への供給を開始する例を示したが、原料液体A,B,Cの流量が全て設定流量に達してから、更に所定時間が経過した後で、原料液体の混合槽への供給を開始すれば、原料液体A,B,Cの流量が更に安定するので、処理液の混合比率(濃度)の均一性が更に向上する。
【0066】
また、本実施形態では、混合槽を2基備えて、2基の混合槽を交互に使って、処理液の生成を行う例を示したが、本発明は混合槽を1基だけ備えた基板処理装置にも適用が可能である。
【0067】
また、本発明の処理液混合装置は、混合した処理液が短時間で均一化されるので、原料液体の供給完了後、短時間で処理液を薬液処理部に供給することができる。あるいは、混合槽に原料液体を供給しながら、同時に当該混合槽からを薬液処理部に供給することができる。そのため、混合槽を1基だけ備える場合、あるいは2基ある混合槽の一方が故障した場合であっても、薬液処理の中断時間を最小化することができる。あるいは薬液処理装置を無停止で運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る基板処理装置の概念的な構成図である。
【図2】処理液供給プログラムによる処理液の供給動作を示すフローチャートである。
【図3】第2混合槽攪拌調温ステップS2における各弁の詳細な操作シーケンスを示すフローチャートである。
【図4】第2混合槽処理液生成ステップS2における原料液体A,B,Cの流量の時間変化と各弁の操作タイミングの関係を示すタイムチャートである。
【図5】第2混合槽処理液生成ステップS2における各弁の操作タイミングの改善例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 基板処理装置
2 第1の混合槽
3 第2の混合槽
4,5 往復流路
6,7 流出流路
8,9 流入流路
10 循環流路
11 ウェハ
12 第1の薬液処理部
13 第2の薬液処理部
14 A液供給流路
15 B液供給流路
16 C液供給流路
17,18,19 送出弁
15 B液供給源
16 C液供給源
20,21,22 LFC(流量制御器)
23,24,25 排出弁
26〜31 供給弁
32 制御部
33,34 往路側流路
35,36 復路側流路
37,38 ヒータ
39,40 ポンプ
41〜46 開閉弁
47 濃度センサ
48,49 供給流路
50,51 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の原料液体を混合する混合槽と、
前記複数種の原料液体の供給源から前記混合槽へ前記複数種の原料液体を個別に供給する供給流路にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を所定の流量に調整する流量調整手段と、
前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を検出する流量検出手段と、
前記供給流路の前記流量調整手段と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体を外部に排出する排出弁と、
前記供給流路の前記排出弁と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を開閉する供給弁と、
前記混合槽への前記複数種の原料液体の供給を開始する際に、まず各供給流路の前記供給弁を閉弁し、各供給流路の前記排出弁を開弁するとともに、その後、前記流量検出手段が検出する前記複数種の原料液体の流量が全て所定の流量に達した後に、各供給流路の前記排出弁を閉弁し、各供給流路の前記供給弁を開弁する制御手段を備える
ことを特徴とする処理液混合装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記流量検出手段が検出する流量が全て所定の流量に達した時に、前記排出弁を閉弁し、前記供給弁を開弁する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理液混合装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記流量検出手段が検出する流量が全て所定の流量に達し、さらに所定時間が経過した時に、前記排出弁を閉弁し、前記供給弁を開弁する
ことを特徴とする請求項1に記載の処理液混合装置。
【請求項4】
前記流量調整手段の設定流量と時間‐流量特性に応じた時間差をおいて、原料液体毎に前記排出弁を開弁する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の処理液混合装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記流量調整手段の設定流量が大きい順に、前記排出弁を開弁する
ことを特徴とする請求項4に記載の処理液混合装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の処理液混合装置を備える基板処理装置。
【請求項7】
複数種の原料液体を混合する混合槽と、
前記複数種の原料液体の供給源から前記混合槽へ前記複数種の原料液体を個別に供給する供給流路にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を所定の流量に調整する流量調整手段と、
前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を検出する流量検出手段と、
前記供給流路の前記流量調整手段と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体を外部に排出する排出弁と、
前記供給流路の前記排出弁と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を開閉する供給弁を備える処理液混合装置を用いる処理液混合方法において、
前記混合槽への前記複数種の原料液体の供給を開始する際に、まず各供給流路の前記供給弁を閉弁し、各供給流路の前記排出弁を開弁し、その後、前記流量検出手段が検出する前記複数種の原料液体の流量が全て所定の流量に達した後に、各供給流路の前記排出弁を閉弁し、各供給流路の前記供給弁を開弁する
ことを特徴とする処理液混合方法。
【請求項8】
前記流量検出手段が検出する流量が全て所定の流量に達した時に、前記排出弁を閉弁し、前記供給弁を開弁する
ことを特徴とする請求項7に記載の処理液混合方法。
【請求項9】
前記流量検出手段が検出する流量が全て所定の流量に達し、さらに所定時間が経過した時に、前記排出弁を閉弁し、前記供給弁を開弁する
ことを特徴とする請求項7に記載の処理液混合方法。
【請求項10】
前記流量調整手段の設定流量と時間‐流量特性に応じた時間差をおいて、原料液体毎に前記排出弁を開弁する
ことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の処理液混合方法。
【請求項11】
前記流量調整手段の設定流量が大きい順に、前記排出弁を開弁する
ことを特徴とする請求項10に記載の処理液混合方法。
【請求項12】
複数種の原料液体を混合する混合槽と、
前記複数種の原料液体の供給源から前記混合槽へ前記複数種の原料液体を個別に供給する供給流路にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を所定の流量に調整する流量調整手段と、
前記供給流路を流れる前記原料液体の流量を検出する流量検出手段と、
前記供給流路の前記流量調整手段と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を流れる前記原料液体を外部に排出する排出弁と、
前記供給流路の前記排出弁と前記混合槽の間にあって、前記供給流路を開閉する供給弁を備える処理液混合装置を制御するコンピュータで実行されるプログラムを格納した記憶媒体において、
前記プログラムは、
前記混合槽への前記複数種の原料液体の供給を開始する際に、まず各供給流路の前記供給弁を閉弁し、各供給流路の前記排出弁を開弁するステップと、
前記流量検出手段が検出する前記複数種の原料液体の流量が全て所定の流量に達した後に、各供給流路の前記排出弁を閉弁し、各供給流路の前記供給弁を開弁するステップを有する
ことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−172459(P2009−172459A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10950(P2008−10950)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】