説明

制御装置

【課題】電源ユニットの出力ラインにおける地絡などの故障に対し、電源の保護及び故障の検知を行う。
【解決手段】サブ電源供給ラインLSに、サブ電源101側をソースとして第1MOSFET102を直列に接続し、第1MOSFET102のドレインにドレインを接続させて第2MOSFET103を直列に接続する。制御ユニット200内のサブ電源供給ラインLSにも、サブ電源101側をソースとして第3MOSFET202を直列に接続し、第3MOSFET202のドレインにドレインを接続させて第4MOSFET203を直列に接続し、第1〜第4MOSFETを制御することで、サブ電源101の電力を負荷201に対して供給する。各MOSFETのドレイン電圧、及び、第2MOSFET103と第3MOSFET202との間の電圧をモニタし、MOSFETの故障及びサブ電源供給ラインLSの故障を診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に電源を供給する電源ユニット、及び、該電源ユニットを含む制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メインバッテリ(メイン電源)の電力を、遮断機(リレー)を設けたメイン電源供給ラインを介してインバータ&モータ負荷に供給すると共に、サブバッテリ(サブ電源)の電力を、4つの半導体スイッチ(MOSFET)を直列に設けたサブ電源供給ラインを介して前記インバータ&モータ負荷に供給する二重系電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1のように、4つの半導体スイッチ(MOSFET)を制御ユニット内に備える場合、サブ電源の出力を制御ユニット側に出力するラインに地絡などの故障が発生した場合に、サブ電源の保護及び故障の検知を十分に行えないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、電源を含む電源ユニットの出力ラインにおける地絡などの故障に対し、電源の保護及び故障の検知を行える電源ユニット及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本願発明では、電源ユニットが、電源と、前記電源と負荷とを接続する電源供給ラインと、前記電源側をソースとして前記電源供給ラインに直列に接続した電源側半導体スイッチと、前記電源側半導体スイッチのドレインにドレインを接続して前記電源供給ラインに直列に接続した負荷側半導体スイッチと、前記電源側半導体スイッチ及び前記負荷側半導体スイッチのオン・オフを制御すると共に、前記電源側半導体スイッチと前記負荷側半導体スイッチとの間のドレイン電圧、及び、前記負荷側半導体スイッチのソース電圧をモニタし、故障診断を行う制御手段と、を含むようにした。
【発明の効果】
【0007】
上記発明によると、電源ユニットの出力ラインにおける地絡などの故障に対し、電源の保護及び故障の検知を行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態における制御装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるメイン電源からサブ電源への切り替え動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の一実施形態における診断のためのMOSFETのオン・オフ制御パターンを示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における診断内容と診断時点との相関を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態における診断ロジックを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【図8】電源ユニットと制御ユニットとを含む制御装置の参考例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、サブ電源101を備えた電源ユニット100と、該電源ユニット100からの電力をインバータ201に供給する制御ユニット200とを含む制御装置300の全体構成図である。
制御ユニット200に、電源ユニット100に内蔵したサブ電源101に接続するサブ電源供給ラインLSを接続すると共に、電源ユニット100(サブ電源101)とは別体のメイン電源400に接続するメイン電源供給ラインLMを接続し、制御ユニット200は、インバータ201に対して、サブ電源101又はメイン電源400からの電力を選択的に供給する。
【0010】
メイン電源400はバッテリ(蓄電池)であり、このメイン電源400を充電する発電機401を設けてある。一方、サブ電源101は、キャパシタ(コンデンサ)で構成されるが、サブ電源101も、発電機を備えたバッテリとすることができる。
前記インバータ201(負荷)は、三相モータなどの電動モータ301を駆動するモータインバータであり、インバータ201は、ドライバ212を介して制御される。電動モータ301は、例えば、車両の電動ブレーキ装置において、ブレーキパッドをディスクに押圧して制動力を発生させる電動モータ(特開2008−238987号公報参照)や、車両においてエンジンに接続された変速機構に作動油圧を供給するためのオイルポンプを駆動する電動モータ(特開2009−293649号公報)や、自動変速機に搭載されるシフトバイワイヤ装置においてスプールを駆動する電動モータ(特開2010−156451号公報参照)などである。
【0011】
但し、インバータ201と電動モータ301との組み合わせを、車両の電動ブレーキ装置や変速機構におけるインバータ及びモータに限定するものではなく、また、電源供給を行う負荷を、インバータ201と電動モータ301との組み合わせに限定するものではなく、例えば、船舶,ロボット,工作機械,ビデオカメラ等に用いる負荷であってもよく、また、負荷は、電力エネルギーを消費するものであれば良く、モータなどの電動アクチュエータの他、ヒータや光源などであってもよい。
更に、制御ユニット200を電動モータ301の収容する筐体に対して一体的に取り付けることができ、また、制御ユニット200の外部にインバータ201又はインバータ201及びドライバ212を配置することができる。
【0012】
電源ユニット100内のサブ電源供給ラインLSに、サブ電源101側をソースとして第1MOSFET(電源側MOSFET、SW1)102を直列に接続してあり、更に、第1MOSFET102のドレインにドレインを接続して第2MOSFET(負荷側MOSFET、SW2)103を直列に接続してある。
即ち、サブ電源101からインバータ201に向けて、第1MOSFET102のソース、第1MOSFET102のドレイン、第2MOSFET103のドレイン、第2MOSFET103のソースの順で接続してある。
【0013】
半導体スイッチである第1MOSFET102及び第2MOSFET103は、ゲートにマイナス電圧がかかるとオン状態になってソース・ドレイン間に電流が流れるPチャンネルMOSFETであり、それぞれ寄生ダイオード102a,103aを備えている。
第1MOSFET102の寄生ダイオード102aは、インバータ201からサブ電源101に向かう電流を流し、第2MOSFET103の寄生ダイオード103aは、サブ電源101からインバータ201に向かう電流を流す。
【0014】
電源ユニット100は、CPU,ROM,RAMなどを含むマイコン(マイクロコンピュータ)104を備え、マイコン104は、第1MOSFET102及び第2MOSFET103のオン・オフ(ゲートの印加電圧)を制御する。
また、マイコン104は、第1MOSFET102と第2MOSFET103との間のサブ電源供給ラインLSにおける電圧、換言すれば、第1MOSFET102及び第2MOSFET103のドレイン電圧をA/D変換して読み込み、更に、第2MOSFET103のソース電圧(第2MOSFET103と後述する第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSにおける電圧)をA/D変換して読み込み、これら電圧値をモニタして、第1MOSFET102・第2MOSFET103の短絡・オープン故障の有無、及び、第2MOSFET103(電源ユニット100)と第3MOSFET202(制御ユニット200)との間におけるサブ電源供給ラインLSの地絡故障の有無の診断を含む故障診断を行う。
【0015】
マイコン104は、A/D変換による電圧モニタ、及び、第1MOSFET102及び第2MOSFET103のオン・オフ制御を、I/F(インターフェース)105a〜105dを介して行う。
また、メイン電源400の電力を、メイン電源供給ラインLMからレギュレータ106を介し、マイコン104の動作電源として供給する。
【0016】
制御ユニット200に、メイン電源400と発電機401とを並列に接続したメイン電源供給ラインLM、及び、サブ電源101,第1MOSFET102,第2MOSFET103を直列に接続したサブ電源供給ラインLSを、コネクタCLM,CLSを介して着脱可能に接続し、制御ユニット200内で、メイン電源供給ラインLM及びサブ電源供給ラインLSは、相互に並列にインバータ201に接続する。
コネクタCLSとインバータ201との間のサブ電源供給ラインLSに、コネクタCLS(サブ電源101)側をソースとして第3MOSFET(SW3)202を直列に接続し、更に、第3MOSFET202のドレインにドレインを接続して第4MOSFET(SW4)203を直列に接続してある。
即ち、コネクタCLSからインバータ201に向けて、第3MOSFET202のソース、第3MOSFET202のドレイン、第4MOSFET203のドレイン、第4MOSFET203のソースの順で接続してある。
【0017】
半導体スイッチである第3MOSFET202及び第4MOSFET203は、第1MOSFET102及び第2MOSFET103と同様に、ゲートにマイナス電圧がかかるとオン状態になって、ソース・ドレイン間に電流が流れるPチャンネルMOSFETであり、それぞれ寄生ダイオード202a,203aを備える。
第3MOSFET202の寄生ダイオード202aは、インバータ201からサブ電源101に向かう電流を流し、第4MOSFET203の寄生ダイオード203aは、サブ電源101からインバータ201に向かう電流を流す。
【0018】
コネクタCLMとインバータ201との間のメイン電源供給ラインLMに、リレー(遮断機)204を直列に接続し、このリレー204の接点204aを駆動する巻線(電磁コイル)204bを、サブ電源供給ラインLSから分岐して制御ユニット200内のマイコン(マイクロコンピュータ)205に至る回路に介装してある。そして、マイコン205は、巻線(電磁コイル)204bへの通電・通電停止、即ち、リレー204のオン・オフを制御する。
マイコン205は、CPU,ROM,RAMなどを含み、ドライバ212を介してインバータ201を制御する一方、リレー204のオン・オフ(巻線204bへの通電・通電停止)を制御すると共に、第3MOSFET202及び第4MOSFET203のオン・オフ(ゲートの印加電圧)を制御する。
【0019】
第4MOSFET203と、巻線(電磁コイル)204bを備えた回路の接続点J1との間のサブ電源供給ラインLSから、マイコン205に対して動作電源を供給するためのマイコン電源ラインLCPUを分岐延設し、このマイコン電源ラインLCPUには、レギュレータ206を介装してある。
また、コネクタCLMとリレー204との間のメイン電源供給ラインLMと、第4MOSFET203と巻線(電磁コイル)204bを備えた回路の接続点J1との間のサブ電源供給ラインLSとを接続するマイコン用メイン電源ラインLMCを設けてある。
【0020】
マイコン用メイン電源ラインLMCには、スイッチSW211及びダイオード207を直列に接続してあり、更に、ダイオード207とサブ電源供給ラインLSとの間に、コンデンサ208を並列に接続してある。
これにより、メイン電源400の電力を、スイッチSW211及びダイオード207を介してマイコン205に供給すると共に、メイン電源400の電力をコンデンサ208に蓄積し、メイン電源400からの電力供給が途絶えても、コンデンサ208に蓄積した電力でマイコン205の動作を継続できるようにしてある。更に、サブ電源101の電力を、サブ電源供給ラインLSを介してマイコン205に供給することが可能となっている。
【0021】
インバータ201が、例えば車両に設けたモータ及びインバータである場合、スイッチSW211は、車両の運転者が操作するメインスイッチであり、このスイッチSW211がオンすることで、マイコン205にメイン電源400の電力を供給し、マイコン205が起動する。
ダイオード207は、コンデンサ208に蓄積した電力がメイン電源供給ラインLMに流れ込むことを防ぐ。
【0022】
また、ダイオード207とコンデンサ208の接続点J2との間と、コネクタCLSと第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSとを接続するバイアス電圧印加ラインLBを設けてあり、このバイアス電圧印加ラインLBには、抵抗209を介装してある。
バイアス電圧印加ラインLBに設けた抵抗209によって、メイン電源400の電圧よりも低いバイアス電圧を、第2MOSFET103と第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSに印加する。
【0023】
マイコン205は、第3MOSFET202と第4MOSFET203との間のサブ電源供給ラインLSにおける電圧、換言すれば、第3MOSFET202及び第4MOSFET203のドレイン電圧をA/D変換して読み込み、更に、コネクタCLSと第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSの電圧(第3MOSFET202のソース電圧)をA/D変換して読み込み、これら電圧値をモニタして、第3MOSFET202・第4MOSFET203の短絡・オープン故障の有無の診断を含む故障診断を行う。
また、マイコン205は、マイコン用メイン電源ラインLMCの分岐点J3と、リレー204との間のメイン電源供給ラインLMの電圧、即ち、メイン電源400の電圧をA/D変換して読み込み、インバータ201の電源を、メイン電源400とサブ電源101とのいずれを用いるかを判断する。
【0024】
マイコン205は、A/D変換による電圧モニタ、第3MOSFET202及び第4MOSFET203のオン・オフ制御、及び、リレー204のオン・オフ制御を、I/F(インターフェース)210a〜210fを介して行う。
更に、制御ユニット200のマイコン205と、電源ユニット100のマイコン104とを接続する通信ラインCLを設けてあり、マイコン205及びマイコン104は、通信ラインCLを介して相互に通信できるようになっている。
【0025】
マイコン205は、メイン電源400の電圧低下時(メイン電源供給ラインLMの故障時)に、リレー204をオフ(開成)して、メイン電源400とインバータ201との接続を断つ一方、第3MOSFET202及び第4MOSFET203をオン状態に制御し、かつ、マイコン104に第1MOSFET102及び第2MOSFET103のオン指令を出力することで、第1MOSFET〜第4MOSFET102,103,202,203が全てオン状態になるようにして、サブ電源101の電力をインバータ201に供給し、インバータ201に対する電力供給が途絶えないようにする。
【0026】
ここで、例えば、サブ電源供給ラインLSに、半導体スイッチであるMOSFETを1個だけ設けた場合、このMOSFETをオフ制御しても、寄生ダイオードを介して、サブ電源101の電力の流れ出し、又は、メイン電源400の電力のサブ電源101への流れ込みが発生してしまう。
しかし、本実施形態のように、一対のMOSFETを、相互のドレインを接続させるように、サブ電源供給ラインLSに直列に接続すると、相互の寄生ダイオードの向き(電流の順方向)が逆になり、一方の寄生ダイオードにおける電流の流れを、他方の寄生ダイオードがブロックし、MOSFETが寄生ダイオードを備えていても、寄生ダイオードを介したサブ電源101の電力の流れ出し、又は、メイン電源400の電力のサブ電源101への流れ込みを抑制して、サブ電源101を保護できる。
【0027】
具体的には、電源ユニット100からの流れ出し電流は、第2MOSFET103及び第4MOSFET203の寄生ダイオードを流れることになるが、電源ユニット100単体でも、第1第1MOSFET102の寄生ダイオードがサブ電源101の電力の流れ出しをブロックし、更に、制御ユニット200と電源ユニット100とを接続した状態では、第1MOSFET102及び第3MOSFET202の寄生ダイオードがサブ電源101の電力の流れ出しをブロックするから、たとえ第1MOSFET102及び第3MOSFET202とのいずれか一方が短絡故障しても、サブ電源101からの電力の流れ出しを抑制できる。
また、インバータ201を介したメイン電源400の電力のサブ電源101への流れ込み電力は、第1MOSFET102及び第3MOSFET202の寄生ダイオードを流れることになるが、第2MOSFET103及び第4MOSFET203の寄生ダイオードによってブロックされるため、たとえ第2MOSFET103と4MOSFET203とのいずれか一方が短絡故障しても、インバータ201を介したメイン電源400の電力のサブ電源101への流れ込みを抑制できる。
【0028】
更に、一対のMOSFETを、電源ユニット100側と、制御ユニット200側との双方に設ければ、電源ユニット100単体でサブ電源101を保護でき、更に、電源ユニット100を制御ユニット200に組み合わせたときに、4個のMOSFETのいずれか1個に例えば短絡故障が発生しても、サブ電源101とメイン電源400との間で、電力の流れ出し・流れ込みが発生することを抑制できる。
【0029】
図2は、リレー204よりもインバータ201側のメイン電源供給ラインLM(以下、メイン電源出力ラインMSOUTという)にショート(地絡)故障が発生した場合のMOSFETのオン・オフ制御を示すタイムチャートである。
マイコン205は、内蔵のA/D変換器によってメイン電源供給ラインLMの電圧VMをモニタし、時点t1において、メイン電源供給ラインLMの電圧VMが設定電圧Vthよりも低いと判断すると、電圧VMが設定電圧Vthよりも低い状態の継続時間の計測を開始する。
【0030】
そして、時点t2において、継続時間が設定時間Tth(Tth=t2−t1)に達したことを検出すると、メイン電源出力ラインMSOUTに地絡などの故障が発生したものと推定できるので、リレー204をオフ(開成)すると共に、電源ユニット100のマイコン104に対して、メイン電源出力ラインMSOUTの地絡故障に伴うサブ電源101の供給指令を出力する。
設定電圧Vthを、マイコン205の最低動作電圧を下回らない範囲に設定し、更に、設定時間Tthだけメイン電源供給ラインLMの電圧VMの低下を放置し、リレー204をオン状態に保持させても、コンデンサ208に蓄えておいた電力で、マイコン205が動作を継続できるように設定してある。
【0031】
マイコン205は、リレー204をオフ制御してから、リレー204が実際にオフ(開成)状態になるまでの動作遅れ時間Td1が経過し、実際にリレー204がオフ状態になったものと推定できるようになってから(時点t3以降で)、第3MOSFET202、第4MOSFET203をオン制御し、また、電源ユニット100のマイコン104に対して、第1MOSFET102及び第2MOSFET103のオン指令を出力する。
上記の遅延時間Td1を設けることで、実際にリレー204がオフ状態になる前に、サブ電源101の電力をインバータ201に供給することを抑制し、これによって、メイン電源供給ラインLM(メイン電源出力ラインMSOUT)における地絡部分にサブ電源101の電力が流れ、サブ電源101の電力を無駄に消費することが抑制する。
【0032】
ここで、メイン電源供給ラインLMの電圧が正常であって、メイン電源400の電力をインバータ201に供給している状態から、第3MOSFET202をオン状態に保持させれば、電源ユニット100側でサブ電源101の電力供給が可能になった時点(第1MOSFET102及び第2MOSFET103が実際にオンになった時点)で、オン状態に保持した第3MOSFET202のソース・ドレイン間、及び、第4MOSFET203の寄生ダイオード203aを介して、サブ電源101の電力をインバータ201に供給させることが可能である。
【0033】
即ち、第3MOSFET202をオン状態に保持しておけば、電源ユニット100側でサブ電源101の電力供給が可能になった時点で、第4MOSFET203が未だオン状態に切り替わっていなかったとしても、直ちにサブ電源101の電力をインバータ201に供給させることができ、メイン電源400からサブ電源101への切り替え応答を早めることができ、以って、インバータ201に供給する電圧の低下をより小さく抑制できる。
一方、メイン電源供給ラインLMの電圧VMが正常であれば、第1MOSFET102及び第2MOSFET103を、共にオフ状態(ソース・ドレイン間に電流が流れない状態)に保持し、電源ユニット100と制御ユニット200との間のサブ電源供給ラインLSが地絡したとしても、寄生ダイオード103aを介してサブ電源101の電力が地絡箇所に流れてしまうことを、寄生ダイオード102aでブロックできるようにする。
【0034】
次に、電源ユニット100及び制御ユニット200で行われる電圧モニタに基づく故障診断、具体的には、第1MOSFET102〜第4MOSFET203の短絡・オープン故障の有無、及び、第2MOSFET103(電源ユニット100)と第3MOSFET202(制御ユニット200)との間におけるサブ電源供給ラインLSの地絡故障の有無の診断を、詳細を説明する。
尚、故障診断は、例えば、制御ユニット200のマイコン205に電源投入し、マイコン205が起動したときに実行し、更に、メイン電源供給ラインLMの電圧が正常である状態で定期的(一定時間毎)に実行させることができる。
また、故障診断のためのMOSFET102,103,202,203のオン・オフ制御では、マイコン205がMOSFET202,203のオン・オフを制御し、MOSFET102,103については、マイコン205からの指令を受けたマイコン104がオン・オフ制御する。
【0035】
故障診断のためのMOSFET102,103,202,203のオン・オフ制御においては、例えば図3に示すように、予め定めたパターンでMOSFET102,103,202,203のオン・オフ制御状態を既定の時間毎に切り替え、MOSFET102,103,202,203のいずれをオンさせているかによって、診断対象部分と、電圧モニタ箇所とを順次切り替えて診断させることができる。
尚、図4は、図3に示したパターンでMOSFET102,103,202,203をオン・オフ制御したときに、各タイミングでの診断内容を示し、また、図5は、診断のためのMOSFETのオン・オフ制御パターン、診断対象、診断結果、診断タイミングの相関を示し、以下では、これら図3〜図5を参照しつつ、故障診断の詳細を説明する。
【0036】
「電源ユニット100及び制御ユニットによる第2MOSFET103と第3MOSFET202との間の地絡診断」
MOSFET102,103,202,203が全てオフの状態であれば、第2MOSFET103と第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSには、バイアス電圧が発生する。
そこで、MOSFET102,103,202,203が全てオフに制御している状態(図3の時点t1及び/又は時点t9)において、電源ユニット100のマイコン104及び制御ユニット200のマイコン205は、第2MOSFET103と第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSの電圧をそれぞれにモニタし、電圧が発生していない場合には地絡の発生を診断し、バイアス電圧に相当する電圧(バイアス電圧の電圧を含む既定範囲内の電圧)が発生していれば、地絡故障はないものと診断する。
【0037】
上記の地絡発生状態であっても、第1MOSFET102及び第4MOSFET203によって地絡箇所へのメイン電源400及びサブ電源101の電力の流れ込みは阻止できるものの、サブ電源101の電力をインバータ201に供給できない状態であるので、電源ユニット100及び制御ユニット200は、MOSFET102,103,202,203のオン制御を禁止し、サブ電源101の供給不能状態になっていることをランプ等の警告手段を用いて運転者等に警告する。
また、上記の地絡発生状態であって、サブ電源101の電力をインバータ201に供給できない場合には、メイン電源400の電力を優先度の低い他の負荷に供給することを禁止して、メイン電源400の電圧低下を未然に抑制したり、発電機401における発電量を増大させたりして、インバータ201の電力確保を図ることができる。
ここで、例えば、マイコン104とマイコン205との少なくとも一方で、地絡故障の発生を診断したときに、診断結果を他方に送信し、地絡故障の診断結果を受けたマイコンは、たとえ自らの診断で地絡故障を診断していない状態であっても、MOSFETのオン制御を禁止することが好ましい。
【0038】
「電源ユニット100による第1MOSFET102の故障診断」
MOSFET102,103,202,203は、サブ電源101からレギュレータ206に向かって、ソース、ドレイン、ドレイン、ソース、ソース、ドレイン、ドレイン、ソースの順に接続してある。
このため、第1MOSFET102のソースには、サブ電源101の電圧が常時印加され、第1MOSFET102のオフ動作が正常であれば、第1MOSFET102のドレイン側(第1MOSFET102と第2MOSFET103との間)に電圧は発生しない。
従って、電源ユニット100のマイコン104は、少なくともMOSFET102,103が共にオフの状態で(図3の時点t1及び/又は時点t4において)、第1MOSFET102と第2MOSFET103との間の電圧をモニタし、電圧が発生していない場合、即ち、サブ電源101の電圧よりも低い電圧閾値(>0)を下回るLow状態であれば、第1MOSFET102のオフ動作が正常であると判定する。
【0039】
一方、第1MOSFET102と第2MOSFET103との間に、サブ電源101の電圧に相当する電圧(サブ電圧101の電圧を含む既定範囲内の電圧)が発生している場合、即ち、サブ電源101の電圧よりも低い電圧閾値(>0)を上回るHigh状態であれば、電源ユニット100のマイコン104は、第1MOSFET102の短絡故障(ソース・ドレイン間にゲート電圧とは無関係に電流が流れる故障)を判定する(図4の時点t1及び時点t4、図5の「SW1OFF診断」を参照)。
尚、第1MOSFET102が短絡(ショート)故障していても、第2MOSFET103及び第4MOSFET203によって、メイン電源400の電力のサブ電源101側への流れ込みを阻止でき、また、第3MOSFET202をオフ制御することで、サブ電源101のメイン電源400側への流れ出しを阻止できる。
【0040】
また、第1MOSFET102が正常にオン動作するか否かの診断は、少なくとも第2MOSFET103がオフである状態(図3の時間t2及び/又は時間t5)で行い、第1MOSFET102をオンさせたときの第1MOSFET102のドレインの電圧をモニタすることで確認できる。
第1MOSFET102をオンした時に、第1MOSFET102のドレイン側(第1MOSFET102と第2MOSFET103との間)にサブ電源101の電圧相当の電圧(サブ電圧101の電圧を含む既定範囲内の電圧)が発生すれば、第1MOSFET102は正常にオン動作したことになり、逆に、オンさせたときに電圧が発生しなければ、第1MOSFET102のオープン故障(オン制御してもソース・ドレイン間に電流が流れない故障)を判定する。
【0041】
即ち、電源ユニット100のマイコン104は、第1MOSFET102のオン制御状態で、第1MOSFET102のドレイン側の電圧が、サブ電源101の電圧よりも低い電圧閾値(>0)を上回るHigh状態であれば、第1MOSFET102が正常にオン動作していると診断し、前記電圧閾値を下回るLow状態であれば、第1MOSFET102のオープン故障を判定する(図4の時点t2及び時点t5、図5の「SW1ON診断」を参照)。
そして、第1MOSFET102のオープン故障状態では、サブ電源101の電力をインバータ201に供給できないので、電源ユニット100のマイコン104は、第1MOSFET102及び第2MOSFET103をオフ状態に保持すると共に、制御ユニット200に対してMOSFET202,203のオフ保持を要求する信号を出力し、全てのMOSFETがオフ状態に保持されるようにし、更に、サブ電源101の電力供給が不能であることを警告する。
【0042】
「電源ユニット100による第2MOSFET103の故障診断」
第1MOSFET102,第3MOSFET202及び第4MOSFET203がオフの状態において、第2MOSFET103のソースにはバイアス電圧が発生する。
従って、第2MOSFET103のオフ動作が正常に機能していれば、この第2MOSFET103のドレイン側に電圧は発生しない。
そこで、電源ユニット100のマイコン104は、少なくとも第1MOSFET102及び第2MOSFET103が共ににオフである状態(図3の時間t1及び/又は時間t4)において、第2MOSFET103のドレイン電圧をモニタし、電圧が発生していない場合、即ち、バイアス電圧よりも低い電圧閾値(>0)を下回るLow状態であれば、第2MOSFET103のオフ動作が正常であると判定する。
【0043】
一方、第2MOSFET103のオフ制御状態で、第2MOSFET103のドレイン電圧がバイアス電圧相当(バイアス電圧を含む既定範囲内の電圧)である場合、即ち、バイアス電圧よりも低い電圧閾値(>0)を上回るHigh状態であれば、第2MOSFET103はオフ制御状態で実際にはオンしていることになり、第2MOSFET103の短絡故障を判定する(図4の時点t1及び時点t4、図5の「SW2OFF診断」を参照)。
尚、第2MOSFET103が短絡(ショート)故障していても、第4MOSFET203によって、メイン電源400の電力のサブ電源101側への流れ込みを阻止でき、また、第1MOSFET102及び第3MOSFET202をオフ制御することで、サブ電源101のメイン電源400側への流れ出しを阻止できる。
【0044】
次に、少なくとも第1MOSFET102及び第4MOSFET203がオフの状態において、第2MOSFET103をオンすると(図3の時間t3及び/又は時間t6)、第2MOSFET103のドレイン(第1MOSFET102と第1MOSFET102との間)には、バイアス電圧が発生することになるから、モニタ電圧がバイアス電圧相当になっている場合、即ち、バイアス電圧よりも低い電圧閾値(>0)を上回るHigh状態である場合、第2MOSFET103は正常にオン動作していると判定できる。
一方、第2MOSFET103をオン制御しても、第2MOSFET103のドレイン(第1MOSFET102と第1MOSFET102との間)に電圧が発生しなかった場合、バイアス電圧よりも低い電圧閾値(>0)を下回るLow状態であれば、第2MOSFET103は、オン制御してもソース・ドレイン間に電流が流れないオープン故障状態であると判定する(図4の時点t3及び時点t6、図5の「SW2ON診断」を参照)。
【0045】
尚、第2MOSFET103のオープン故障状態において、第2MOSFET103の寄生ダイオード103aは、サブ電源101からインバータ201に向かう電流を流すが、寄生ダイオード103aに負荷電流を継続して流すと、第2MOSFET103が過熱するなどの不具合が発生する可能性があるので、第2MOSFET103のオープン故障状態においても、第1〜第4MOSFETをオフ状態に保持し、サブ電源101の電力のインバータ201への供給を禁止することが好ましい。
【0046】
「制御ユニット200による第3MOSFET202の故障診断」
第1MOSFET102,第2MOSFET103及び第4MOSFET203がオフの状態において、第3MOSFET202のソースにはバイアス電圧が発生する。
従って、第3MOSFET202のオフ動作が正常に機能していれば、この第3MOSFET202のドレイン側に電圧は発生しない。そこで、第1MOSFET102〜第4MOSFET203がオフの状態(図3の時間t1及び/又は時間t9)において、マイコン205は、第3MOSFET202のドレイン電圧(第3MOSFET202と第4MOSFET203との間の電圧)をモニタし、電圧が発生していない場合、即ち、バイアス電圧よりも低い電圧閾値(>0)を下回るLow状態であれば、第3MOSFET202はオフ制御状態で実際にオフしていて、オフ動作が正常であると判断できる。
【0047】
一方、第3MOSFET202のオフ制御状態で、第3MOSFET202のドレイン電圧がバイアス電圧相当である場合、即ち、バイアス電圧よりも低い電圧閾値(>0)を上回るHigh状態であれば、第3MOSFET202はオフ制御状態で実際にはオンしていることになり、第3MOSFET202の短絡故障を判定する(図4の時点t1及び時点t9、図5の「SW3OFF診断」を参照)。
第3MOSFET202が短絡故障している場合、サブ電源101からメイン電源400に向けての電力の流れ出しは、第1MOSFET202でブロックすることができ、サブ電源101とメイン電源400とを切り替えてインバータ201に電源供給することが可能である。
【0048】
次に、少なくとも第1MOSFET102及び第4MOSFET203がオフである状態で、第3MOSFET202をオンすると(図3の時間t3及び/又は時間t7)、第3MOSFET202のドレイン(第3MOSFET202と第4MOSFET203との間)には、バイアス電圧が発生することになるから、モニタ電圧がバイアス電圧相当になっている場合、即ち、バイアス電圧よりも低い電圧閾値(>0)を上回るHigh状態であれば、第3MOSFET202は正常にオン動作していると判定できる。
一方、第3MOSFET202をオン制御しても、第3MOSFET202のドレイン(第3MOSFET202と第4MOSFET203との間)に電圧が発生しなかった場合、バイアス電圧よりも低い電圧閾値(>0)を下回るLow状態であれば、第3MOSFET202は、オン制御してもソース・ドレイン間に電流が流れないオープン故障状態であると判定する(図4の時点t3及び時点t7、図5の「SW3ON診断」を参照)。
【0049】
第3MOSFET202がオープン故障している場合、第1〜第4MOSFETをオン制御しても、サブ電源101の電力をインバータ201に供給できないので、マイコン205は第3,第4MOSFETのオン制御を禁止すると共に、マイコン104に対して第1,第2MOSFETのオン制御の禁止を要求する信号を出力することで、第1〜第4MOSFETのオン制御を禁止し、更に、サブ電源101の電力をインバータ201に供給できない故障の発生を警告する。
【0050】
「制御ユニット200による第4MOSFET203の故障診断」
第4MOSFET203のソースには、リレー204を経由してメイン電源400の電圧が常時印加される。従って、第4MOSFET203のオフ動作が正常であれば、第4MOSFET203のドレイン側(第3MOSFET202と第4MOSFET203との間)に電圧は発生しない。
そこで、第1〜第4MOSFET102,103,202,203のオフ状態(図3の時間t1及び/又は時間t9)で、第4MOSFET203のドレイン側に電圧が発生していない場合、即ち、メイン電源400の電圧よりも低い電圧閾値(>0)を下回るLow状態であれば、マイコン205は、第4MOSFET203は正常にオフ動作しているものと判定する。
【0051】
一方、第4MOSFET203のドレイン側にメイン電源400の電圧相当の電圧(メイン電源400の電圧を含む既定範囲内の電圧)が発生している場合、即ち、メイン電源400の電圧よりも低い電圧閾値(>0)を上回るHigh状態であれば、第4MOSFET203をオフ制御しているにも関わらず、第4MOSFET203のソース・ドレイン間に電流が流れていることになり、マイコン205は、第4MOSFET203の短絡故障を判定する(図4の時点t1及び時点t9、図5の「SW4OFF診断」を参照)。
第4MOSFET203が短絡故障している場合、メイン電源400からサブ電源101への電力の流れ込みは、第2MOSFET202でブロックすることができ、サブ電源101とメイン電源400とを切り替えてインバータ201に電源供給することが可能である。
【0052】
また、第4MOSFET203のオン動作が正常であるか否かは、少なくとも第3MOSFET202がオフである状態で、第4MOSFET203をオンさせ(図3の時間t2及び/又は時間t8)、第4MOSFET203のドレイン電圧をモニタすることで確認できる。
即ち、第4MOSFET203のオン時に、第4MOSFET203のドレイン(第3MOSFET202と第4MOSFET203との間)にメイン電源400の電圧相当の電圧が発生した場合、即ち、メイン電源400の電圧よりも低い電圧閾値(>0)を上回るHigh状態であれば、第4MOSFET203は正常にオン動作していると判定できる。
【0053】
一方、第4MOSFET203をオン制御しても、第4MOSFET203のドレイン(第3MOSFET202と第4MOSFET203との間)に電圧が発生しない場合、即ち、メイン電源400の電圧よりも低い電圧閾値(>0)を下回るLow状態であれば、マイコン205は、第4MOSFET203はオン制御してもソース・ドレイン間に電流が流れないオープン故障状態であると判定する。
尚、第4MOSFET103のオープン故障状態において、第4MOSFET203の寄生ダイオード203aは、サブ電源101からインバータ201に向かう電流を流すが、寄生ダイオード203aに負荷電流を継続して流すと、第4MOSFET203が過熱するなどの不具合が発生する可能性があるので、第4MOSFET203のオープン故障状態においても、第1〜第4MOSFETをオフ状態に保持し、サブ電源101の電力のインバータ201への供給を禁止することが好ましい。
【0054】
以上のようにして、第1MOSFET102〜第4MOSFET203の短絡・オープン故障の有無と共に、第2MOSFET103(電源ユニット100)と第3MOSFET202(制御ユニット200)との間におけるサブ電源供給ラインLSの地絡故障の有無を診断する。
従って、実際にはサブ電源101の電力をインバータ201に供給することができない状態であるのに、第1MOSFET102〜第4MOSFET203をオン制御してしまうことを抑制でき、また、サブ電源101及びメイン電源400を保護することができる。
【0055】
上記実施形態では、第2MOSFET103と第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSにバイアス電圧を印加するための手段(抵抗209)を、制御ユニット200側に備えるようにしたが、図6又は図7に示すように、電源ユニット100側に、バイアス電圧を印加するための手段(抵抗209)を設けることができる。
図6に示す実施形態では、メイン電源供給ラインLMと、コネクタCLSと第2MOSFET103との間のサブ電源供給ラインLSとを、抵抗209を介して接続し、第2MOSFET103と第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSにバイアス電圧を印加する。
【0056】
また、図7に示す実施形態では、メイン電源供給ラインLMと、第2MOSFET103と第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSとを、抵抗209を介して接続し、第2MOSFET103と第3MOSFET202との間のサブ電源供給ラインLSにバイアス電圧を印加する。
尚、上記実施形態では、半導体スイッチとして、本実施形態ではMOSFETを用いたが、JFETやMESFETなどの他のFETを半導体スイッチとして用いてもよい。
【0057】
図8は、サブ電源101を備えた電源ユニット100と、該電源ユニット100からの電力をインバータ201に供給する制御ユニット200とを含む制御装置300の参考例を示し、上記実施形態と同一要素には、同一符号を付してある。
図8に示した制御装置では、電源ユニット100内に、リレー(遮断機)204とメイン電源400とを直列に接続するメイン電源供給ラインLMと並列なサブ電源供給ラインLSを設けてあり、更に、メイン電源供給ラインLMと直列に接続される、第3MOSFET153と第4MOSFET154との直列回路を電源ユニット100内に設けてある。ここで、第3MOSFET153のドレインにドレインを接続して第4MOSFET154を直列に接続してある。
【0058】
また、サブ電源供給ラインLSと直列に接続される、第1MOSFET151とダイオード152との直列回路を電源ユニット100内に設けてある。ここで、第1MOSFET151は、サブ電源101側をソースとしてサブ電源供給ラインLSに直列接続され、ダイオード152は、サブ電源101から制御ユニット200(インバータ201)に向けて電流を流すように設定してある。
上記図8の構成では、電源ユニット100に内蔵する第3MOSFET153と第4MOSFET154は、メイン電源400の電力をインバータ201に供給するラインに介装されるから、容量として大きなものを用いる必要があり、MOSFETからの放熱用として設けるヒートシンクも大型のものを用いる必要があるため、電源ユニット100が大型化してしまうという問題がある。
【0059】
これに対し、図1,図6,図7に示した本実施形態の制御装置300では、メイン電源400の電力を、インバータ201に供給するラインに介装される第3MOSFET202と第4MOSFET203は制御ユニット200に内蔵され、電源ユニット100には、メイン電源400からの電力供給をスイッチングする半導体スイッチを備えないので、電源ユニット100を小型化・低価格化でき、電源ユニット100の汎用性を高めることができる。
【0060】
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)
電源と、
前記電源と負荷とを接続するための電源供給ラインと、
前記電源供給ラインに直列接続され、オンするとソース・ドレイン間に電流を流し、オフすると寄生ダイオードにより前記電源に向かう電流を流す第1半導体スイッチと、
前記第1半導体スイッチの負荷側の前記電源供給ラインに直列接続され、オンするとソース‐ドレイン間に電流を流し、オフすると寄生ダイオードにより前記電源からの放電電流を流す第2半導体スイッチと、
前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチをオン・オフ制御すると共に、前記第1半導体スイッチと第2半導体スイッチとの間の電圧、及び、第2半導体スイッチの負荷側の電圧をモニタして、前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチの故障、及び、前記第2半導体スイッチの負荷側の電源供給ラインの故障を診断する制御手段と、
を含む電源ユニット。
【0061】
上記構成によると、電源の電力を外部の負荷に供給するための電源供給ラインに、寄生ダイオードの向きが相互に反転している2つの半導体スイッチ(例えば、MOSFET)を介装してあるので、寄生ダイオードを備えた半導体スイッチを用いつつ、寄生ダイオードを介した電力の流れ出し・流れ込みを阻止することができる。更に、前記第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチの故障、及び、前記第2半導体スイッチの負荷側の電源供給ラインの故障を診断することで、電源の電力を負荷に供給できる状態で、第1半導体スイッチ及び第2半導体スイッチのオン制御を許可し、電源の保護を図ることができる。
【0062】
(ロ)請求項(イ)記載の電源ユニットと、前記電源ユニットに外部接続する制御ユニットとを含む制御装置であって、
前記制御ユニットは、
前記電源ユニットの電源供給ラインに連結され、前記負荷に接続するサブ電源供給ラインと、
前記サブ電源供給ラインに直列接続され、オンするとソース・ドレイン間に電流を流し、オフすると寄生ダイオードにより前記電源ユニット側に向かう電流を流す第3半導体スイッチと、
前記第3半導体スイッチの負荷側の前記サブ電源供給ラインに直列接続され、オンするとソース・ドレイン間に電流を流し、オフすると寄生ダイオードにより前記電源ユニット側からの放電電流を流す第4半導体スイッチと、
前記電源ユニットの電源とは個別に設けたメイン電源と前記負荷とを接続する電源供給ラインであって、前記サブ電源供給ラインと並列に設けたメイン電源供給ラインと、
前記メイン電源供給ラインに設けたリレーと、
前記リレー,前記第3半導体スイッチ及び第4半導体スイッチをオン・オフ制御すると共に、前記第3半導体スイッチと第4半導体スイッチとの間の電圧、及び、第3半導体スイッチの電源ユニット側の電圧をモニタして、前記第3半導体スイッチ及び第4半導体スイッチの故障、及び、前記第3半導体スイッチの電源ユニット側のサブ電源供給ラインの故障を診断するメイン制御手段と、
を含み、
前記第1半導体スイッチ〜第4半導体スイッチT及び前記リレーを制御することで、前記電源ユニットの電源と前記メイン電源とのいずれか一方を、前記負荷に接続する制御装置。
【0063】
上記構成によると、制御ユニット内のサブ電源供給ラインに、寄生ダイオードの向きが相互に反転している2つの半導体スイッチ(例えば、MOSFET)を介装してあるので、電源ユニット側の2つの半導体スイッチと協働して、寄生ダイオードを介したサブ電源からの電力の流れ出し・サブ電源への電力の流れ込みを阻止することができ、更に、第3半導体スイッチと第4半導体スイッチとの間における電圧が、第3半導体スイッチ及び第4半導体スイッチのオン・オフ制御状態に見合う電圧になっているか否かに基づき、第3半導体スイッチ及び第4半導体スイッチの故障診断を行い、また、第3半導体スイッチの電源ユニット側の電圧から、電源ユニットと接続するサブ電源供給ラインの故障を診断する。
【0064】
(ハ)請求項(ロ)記載の制御装置において、前記第2半導体スイッチと第3半導体スイッチとの間にバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段を、前記電源ユニットと制御ユニットとのいずれか一方に備えた制御装置。
【0065】
上記構成によると、メイン電源の電力を負荷に供給している状態で、第2半導体スイッチと第3半導体スイッチとの間にバイアス電圧を印加するので、第2半導体スイッチと第3半導体スイッチとの間のラインの故障、更に、第2半導体スイッチ及び第3半導体スイッチの故障を、バイアス電圧をモニタしたか否かに基づいて診断できる。
【符号の説明】
【0066】
100…電源ユニット、101…サブ電源、102…第1MOSFET(電源側半導体スイッチ)、103…第2MOSFET(負荷側半導体スイッチ)、104…マイコン(制御手段、サブ制御手段)、200…制御ユニット、201…インバータ(負荷)、202…第3MOSFET(第3半導体スイッチ)、203…第4MOSFET(第4半導体スイッチ)、204…リレー、205…マイコン(メイン制御手段)209…抵抗(バイアス電圧印加手段)、301…電動モータ、400…メイン電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源と負荷とを接続する電源供給ラインと、
前記電源側をソースとして前記電源供給ラインに直列に接続した電源側半導体スイッチと、
前記電源側半導体スイッチのドレインにドレインを接続して前記電源供給ラインに直列に接続した負荷側半導体スイッチと、
前記電源側半導体スイッチ及び前記負荷側半導体スイッチのオン・オフを制御すると共に、前記電源側半導体スイッチと前記負荷側半導体スイッチとの間のドレイン電圧、及び、前記負荷側半導体スイッチのソース電圧をモニタし、故障診断を行う制御手段と、
を含む電源ユニット。
【請求項2】
前記負荷側半導体スイッチのソース側にバイアス電圧を印加し、前記制御手段が、前記負荷側半導体スイッチのソース電圧に基づき、前記負荷側半導体スイッチのソース側の電源供給ラインにおける故障を診断し、かつ、前記電源側半導体スイッチと前記負荷側半導体スイッチとのいずれか一方をオンさせたときの前記ドレイン電圧に基づいて、前記電源側半導体スイッチ及び/又は前記負荷側半導体スイッチの故障を診断する請求項1記載の電源ユニット。
【請求項3】
電源ユニットと、前記電源ユニットに外部接続した制御ユニットとを含む制御装置であって、
前記電源ユニットは、
サブ電源と、
前記サブ電源と負荷とを接続するサブ電源供給ラインと、
前記サブ電源側をソースとして前記サブ電源供給ラインに直列に接続した第1半導体スイッチと、
前記第1半導体スイッチのドレインにドレインを接続して前記サブ電源供給ラインに直列に接続した第2半導体スイッチと、
前記第1半導体スイッチ及び前記第2半導体スイッチのオン・オフを制御すると共に、前記第1半導体スイッチと前記第2半導体スイッチとの間のドレイン電圧、及び、前記第2半導体スイッチのソース電圧をモニタし、故障診断を行うサブ制御手段と、
を含み、
前記制御ユニットは、
前記電源ユニットのサブ電源供給ラインに接続し、前記サブ電源と負荷とを接続するサブ電源供給ラインと、
前記サブ電源側をソースとして前記サブ電源供給ラインに直列に接続した第3半導体スイッチと、
前記第3半導体スイッチのドレインにドレインを接続して前記サブ電源供給ラインに直列に接続した第4半導体スイッチと、
前記サブ電源とは個別のメイン電源と前記負荷とを接続する電源供給ラインであって、前記サブ電源供給ラインと並列に設けたメイン電源供給ラインと、
前記メイン電源供給ラインに設けたリレーと、
前記リレー,前記第3半導体スイッチ及び前記第4半導体スイッチのオン・オフを制御すると共に、前記第3半導体スイッチと前記第4半導体スイッチとの間のドレイン電圧、及び、第3半導体スイッチのソース電圧をモニタし、故障診断を行うメイン制御手段と、
を含む制御装置。
【請求項4】
前記第2半導体スイッチと前記第3半導体スイッチとの間のサブ電源供給ラインにバイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段を、前記電源ユニットと前記制御ユニットとのいずれか一方に備えた請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記電源ユニットのサブ制御手段が、前記第2半導体スイッチのソース電圧に基づき、前記第2半導体スイッチと前記第3半導体スイッチとの間のサブ電源供給ラインにおける故障を診断し、かつ、前記第1半導体スイッチと前記第2半導体スイッチとのいずれか一方をオンさせたときの前記ドレイン電圧に基づいて、前記第1半導体スイッチ及び/又は前記第2半導体スイッチの故障を診断する請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御ユニットのメイン制御手段が、前記第3半導体スイッチのソース電圧に基づき、前記第2半導体スイッチと前記第3半導体スイッチとの間のサブ電源供給ラインにおける故障を診断し、かつ、前記第3半導体スイッチと前記第4半導体スイッチとのいずれか一方をオンさせたときの前記ドレイン電圧に基づいて、前記第3半導体スイッチ及び/又は前記第4半導体スイッチの故障を診断する請求項4又は5記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御ユニットのメイン制御手段が、前記メイン電源を前記負荷に接続しているときに、前記第3半導体スイッチをオン状態に保持する請求項3〜6のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項8】
前記電源ユニットのサブ制御手段及び前記制御ユニットのメイン制御手段が、電圧レベルをA/D変換器を介してモニタする請求項3〜7のいずれか1つに記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102478(P2013−102478A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−282186(P2012−282186)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2010−210755(P2010−210755)の分割
【原出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】