説明

化学気相蒸着装置及び半導体エピ薄膜の製造方法

【課題】本発明は、化学気相蒸着装置及びこれを利用する半導体エピ薄膜の製造方法に関する。
【解決手段】本発明に係る化学気相蒸着装置は、所定のサイズの内部空間を有する内部管と当該内部管を覆って気密を維持する上部管とを有する反応チャンバーと、上記内部管内に配置され複数のウエハが所定の間隔に積載されて備えられるウエハホルダーと、上記ウエハの表面に半導体エピ薄膜を成長させるように上記反応チャンバー内部に外部からの反応ガスを供給する少なくとも一つのガスラインと当該ガスラインと連通して当該反応ガスを上記ウエハのそれぞれに噴射する複数の噴射ノズルとを有するガス供給部とを含み、上記ウエハの表面に成長される上記半導体エピ薄膜は、第1の導電型半導体層、活性層、第2の導電型半導体層の順に形成された発光構造物を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学気相蒸着装置及びこれを利用する半導体エピ薄膜の製造方法に関する。より詳細には、金属有機化合物を利用して、基板の両面に薄膜を成長させることができる化学気相蒸着装置及びこれを利用する半導体エピ薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物系(Ga(Al、In)N)発光素子(LED)は、携帯電話キーパッドをはじめ、LCD用からTV用バックライトユニット(BLU)及び照明装置に至るまで、需要が爆発的に増加している。このような傾向に伴い、発光素子に応用可能な窒化物半導体又は酸化物半導体(例えば、GaN及びZnO)をエピ薄膜として成長させるのに用いられるサファイアウエハを4インチから6インチに変える等の大口径サファイアウエハの導入が研究中である。
【0003】
現在の化学気相蒸着法は、4インチのサファイアウエハを一度に約10枚程度成長させることができる水準で生産が進行されているが、サファイアウエハを保持するサセプタ(susceptor)の構造上、大量生産に限界があるという短所がある。
【0004】
さらに、大口径ウエハの場合、窒化物半導体と、成長用基板として用いられるサファイア基板との大きな熱膨張係数の差によって発生する大きな熱応力及び薄膜成長時に発生する格子定数の差による固有応力によって、ウエハの反り現象(bowing effect)やクラックの発生等の問題及び性能の劣化のため、使用に限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、多数の、例えば数百枚の、ウエハ上に半導体薄膜を一度に成長させることができることで、大量生産が可能な化学気相蒸着装置、及び、これを利用する半導体エピ薄膜の製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、ウエハの一面のみに薄膜が成長されて熱応力の差によって発生するウエハの反り現象を抑制して、ウエハが破損されることを防止し、これにより大口径ウエハの使用が可能な化学気相蒸着装置、及び、これを利用する半導体エピ薄膜の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る化学気相蒸着装置は、予め定められたサイズの内部空間を有する内部管、及び、当該内部管を覆って気密を維持する上部管を有する反応チャンバーと、上記内部管内に配置され複数のウエハを予め定められた間隔に積載するウエハホルダーと、上記反応チャンバー内部に外部からの反応ガスを供給する少なくとも一つのガスライン、及び、当該ガスラインと連通して当該反応ガスを上記ウエハのそれぞれに噴射する複数の噴射ノズルを有するガス供給部とを含む。また、当該化学気相蒸着装置は、上記噴射ノズルから噴射される上記反応ガスが上記各ウエハの上面と下面に噴射されて流れるように当該反応ガスの流れを案内するガイド部を含むことができる。
【0008】
上記ガイド部は、上記複数の噴射ノズルのそれぞれと上記ウエハとの間に配置され、当該ウエハから当該複数の噴射ノズルのそれぞれへと断面積が減少するように当該複数の噴射ノズルのそれぞれに向かってそれぞれ傾斜して相接する上部傾斜面と下部傾斜面とを含むことができる。
【0009】
また、上記ガイド部は、上記積載されたウエハの各側面と向かい合うように、当該ウエハの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられることができる。
【0010】
また、上記ガイド部は、上記積載されたウエハ間の空間と向かい合うように、当該ウエハの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられることができる。
【0011】
また、上記ガイド部は、上記ウエハホルダーから上記複数の噴射ノズルへと伸びて上記ウエハの積載方向に沿って垂直に配列されて備えられることができる。
【0012】
また、上記ガイド部は、少なくとも一対の支持ピンによって上記ウエハの積載方向に沿って垂直に配列されて備えられ、上記複数の噴射ノズルと向かい合うように、上記ウエハホルダーに取り外し可能に取り付けられることができる。
【0013】
上記ガス供給部は、上記ウエハの積載方向に沿って垂直に伸び、上記複数の噴射ノズルは、上記積載されたウエハの各側面と向かい合うように、当該ウエハの積載間隔に対応して配列されることができる。
【0014】
また、上記ガス供給部は、上記ウエハの積載方向に沿って垂直に伸び、上記複数の噴射ノズルは、上記積載されたウエハ間に位置するように配列されることができる。
【0015】
また、上記ガス供給部は、上記反応ガスを冷却させるように、上記ガスラインの縁に沿って備えられて冷媒が流れる冷却ラインをさらに含むことができる。
【0016】
また、上記ガス供給部は、上記冷却ラインの内部に配置され、第1の反応ガスを供給する第1のガスラインと、第2の反応ガスを供給する第2のガスラインとを含むことができる。
【0017】
また、上記ガス供給部は、一つ以上備えられ、それぞれ、同一の反応ガスを供給するか又は相違する反応ガスを区分して供給することができる。
【0018】
また、上記ガス供給部は、上記ガスラインと連通し、上記ウエハを囲むように各ウエハの縁に沿ってウエハと水平に備えられて反応ガスを噴射する補助ラインをさらに備えることができる。
【0019】
上記補助ラインは、上記ウエハより大きな直径の環状を有し、内周面に沿って複数の噴射ノズルを備えることができる。
【0020】
また、上記補助ラインは、上記積載されたウエハ間に位置したり、上記ウエハの各側面と向かい合ったりするように、当該ウエハの積載間隔に対応して配列されることができる。
【0021】
なお、上記ウエハの上面と下面にそれぞれ形成される薄膜は、第1の導電型半導体層、活性層、第2の導電型半導体層の順に成長された半導体層を含むことができる。
【0022】
本発明の実施形態に係る化学気相蒸着装置は、上記ウエハホルダーと連結されて当該ウエハホルダーを回転させる回転駆動部をさらに含むことができる。
【0023】
本発明の実施形態に係る半導体エピ薄膜の製造方法は、ウエハホルダーに垂直方向に沿って予め定められた間隔に配列された複数のガイド部を備える段階と、上記ウエハホルダーに複数のウエハを予め定められた間隔で積載して取り付け、当該ウエハホルダーを反応チャンバーの内部管内に配置する段階と、上記内部管と上記ウエハホルダーとの間で上記ウエハの積載方向に沿って垂直に伸びて備えられるガス供給部を介して外部からの反応ガスを上記ウエハに噴射する段階と、上記複数のガイド部を介して上記ガス供給部から噴射される上記反応ガスが各ウエハの上面と下面に流れるように当該反応ガスの流れを案内して各ウエハの上面と下面に薄膜を成長させる段階とを含むことができる。
【0024】
上記複数のガイド部を備える段階において、上記複数のガイド部は、それぞれ、上記ガス供給部と上記ウエハとの間に配置され、当該ウエハから当該ガス供給部へと断面積が減少するように当該ガス供給部に向かってそれぞれ傾斜して相接する上部傾斜面と下部傾斜面とを含むことができる。
【0025】
また、上記複数のガイド部を備える段階において、上記複数のガイド部は、それぞれ、上記積載されたウエハの各側面と向かい合ったり、上記積載されたウエハ間の空間と向かい合ったりするように、当該ウエハの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられることができる。
【0026】
上記反応ガスを上記ウエハに噴射する段階において、上記ガス供給部は、上記反応チャンバー内部に上記反応ガスを供給する少なくとも一つのガスラインと、当該ガスラインと連通して当該反応ガスを上記ウエハのそれぞれに噴射する複数の噴射ノズルとを有することができる。
【0027】
上記複数の噴射ノズルは、上記積載されたウエハの各側面と向かい合ったり、上記積載されたウエハ間に位置したりするように、当該ウエハの積載間隔に対応して配列されることができる。
【0028】
上記ガス供給部は、上記反応ガスを冷却させるように、上記ガスラインの縁に沿って備えられて冷媒が流れる冷却ラインをさらに含むことができる。
【0029】
また、上記ガス供給部は、一つ以上備えられ、それぞれ、同一の反応ガスを供給するか又は相違する反応ガスを区分して供給することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る化学気相蒸着装置によると、数枚のウエハのみが取り付けられるサセプタと異なり、例えば数百枚のウエハが積載されるウエハホルダーによって数百枚のウエハ上に半導体膜を一度に成長させることができるため、大量生産が可能であるという長所がある。
【0031】
また、ウエハの表面に薄膜を成長させる上で、熱応力の差によるウエハの反り現象の発生を抑制してウエハが破損されることを防止し、これにより、大口径ウエハの使用が可能であるという長所がある。
【0032】
さらに、ウエハの両面に薄膜を成長させることによって、単一のウエハから二つの半導体層が得られるため、生産性が向上する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る化学気相蒸着装置を示す概略断面図である。
【図2】図1の化学気相蒸着装置を示す概略平面図である。
【図3】図1中のガス供給部を示す概略図である。
【図4】(a)および(b)は、積載された各ウエハに対してガス供給部の噴射ノズルが配置される位置を示す断面図である。
【図5】(a)から(d)は、ガス供給部を介して各ウエハの表面に薄膜が蒸着される原理を示す概略断面図である。
【図6】(a)および(b)は、図5においてウエハの上面又は上面と下面にそれぞれ薄膜が成長された状態を示す概略断面図である。
【図7】図6中のエピ薄膜がなす発光構造物の構造をより詳細に示す図面である。
【図8】(a)および(b)は、図1中のガス供給部の変形例を示す概略図である。
【図9】図1中のガス供給部の他の変形例を示す概略図である。
【図10】図1中のガス供給部の他の変形例を示す概略図である。
【図11】図1中のガス供給部のさらに他の変形例を示す概略図である。
【図12】図1中のガス供給部のさらに他の変形例を示す概略図である。
【図13】図1中のガス供給部のさらに他の変形例を示す概略図である。
【図14】(a)および(b)は、本発明の他の実施形態に係る化学気相蒸着装置を示す概略図である。
【図15】図14中のガイド部を示す概略図である。
【図16】(a)および(b)は、図14の断面図である。
【図17】図14の他の実施形態に係る化学気相蒸着装置を示す概略図である。
【図18】図14の他の実施形態に係る化学気相蒸着装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態に係る化学気相蒸着装置及びこれを利用する半導体エピ薄膜の製造方法について、図面を参照して詳述する。
【0035】
しかしながら、本発明の実施形態は、多様な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、この発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0036】
したがって、図面における構成要素の形状及びサイズなどは、より明確な説明のために誇張されることがある。なお、図面上において同一の構成と機能を有する構成要素は、同一の参照符号を付して示す。
【0037】
図1から図5を参照して、本発明の一実施形態に係る化学気相蒸着装置を説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る化学気相蒸着装置を示す概略断面図、図2は、図1の化学気相蒸着装置を示す概略平面図、図3は、図1中のガス供給部を示す概略図である。図4は、積載された各ウエハに対してガス供給部の噴射ノズルが配置される位置を示す断面図、図5は、ガス供給部を介して各ウエハの表面に薄膜が蒸着される原理を示す概略断面図である。
【0039】
図1から図3を参照すると、本発明の実施形態に係る化学気相蒸着装置1は、反応チャンバー10と、ウエハホルダー20と、ガス供給部30とを含み、当該ウエハホルダー20と連結されて当該ウエハホルダー20を回転させる回転駆動部50をさらに含むことができる。また、上記反応チャンバー10の縁に沿って備えられて当該反応チャンバー10の内部を加熱する加熱手段60をさらに含むことができる。これによって、上記反応チャンバー10は、高い温度均一性を維持することができる。
【0040】
上記反応チャンバー10は、所定のサイズの内部空間を有し、上部及び下部が開放された円筒状構造の内部管11と、当該内部管11を覆って気密を維持するように下部が開放された外部管12との二重構造で構成される。外部管12は、内部管11の底部から水平に延びる領域に、気密シールを介して接してもよい。また、上記内部管11の下部には、ベースプレート13が開閉可能に備えられる。上記内部管11、外部管12及びベースプレート13は、石英(quartz)又は炭化ケイ素(SiC)からなることができる。
【0041】
上記ウエハホルダー20には、薄膜の成長のための複数のウエハWが所定の間隔に積載されて備えられ、ウエハWが積載された上記ウエハホルダー20は、上記ベースプレート13の開閉によって上記内部管11内に配置されたり外部に排出されたりすることができる。上記ウエハホルダー20は、高温及び高圧雰囲気の反応チャンバー10内で熱変形されないように、石英等の材質からなることができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
このように、本発明に係る化学気相蒸着装置によると、ウエハホルダー20を介して数百枚のウエハWを所定の間隔に積載するため、従来のようにサセプタ上にウエハWを数枚のみ取り付けて成長させるのに比べ、大量生産が可能であるという長所を有する。ウエハホルダー20に搭載されるウエハWの数は、数百枚に限定されず、数百枚より多くてよく、また、少なくてもよい。
【0043】
上記ウエハホルダー20は、断熱板によって保護される回転駆動部50と連結され、当該回転駆動部50から加えられる回転力によって上記内部管11内で所定の速度で回転することができる。これにより、エピ薄膜80が、ウエハWの表面全体にわたってより均一に成長できるようにする。
【0044】
上記ガス供給部30は、上記ウエハの表面に半導体エピ薄膜を成長させるように、上記反応チャンバー10内部に外部からの反応ガスGを供給する少なくとも一つのガスライン31と、当該ガスライン31と連通して上記反応ガスGを上記ウエハWに噴射する複数の噴射ノズル33とを含む。また、上記ガス供給部30は、上記反応ガスGを冷却させるように、上記ガスライン31の縁に沿って備えられる冷却ライン32をさらに含むことができる。
【0045】
具体的には、上記ガスライン31と上記冷却ライン32とを含む上記ガス供給部30は、上記内部管11と上記ウエハホルダー20との間で上記ウエハWの積載方向に沿って垂直に伸びて備えられる。また、上記ガス供給部30は、上記冷却ライン32の内部にガスライン31が配置される二重構造を有する。これによって、冷媒Cが流れる上記冷却ライン32が、上記反応ガスGが流れる上記ガスライン31を囲んで冷却させることによって、上記反応ガスGが高温雰囲気下においてガスライン31に沿って上記反応チャンバー10内部に供給される途中で反応を起こしてガスライン31内部に蒸着されることを防止する。
【0046】
上記反応ガスGは、窒化物半導体(Ga(Al、In)N)の合金形態及びドーピングソースとして用いられるものとして、TMGa、TEGa、TMIn、TMAl、SiH4、Cp2Mg、DEZn、NH、H、N2等を含むことができる。すなわち、窒化物半導体の原料ガスがガスライン31を介して噴射ノズル33から反応チャンバー10内に供給されてよい。また、上記反応ガスGは、酸化物半導体(Zn(Cd、Mg)O)の合金形態及びドーピングソースとして用いられるものとして、DEZn、TMGa、TEGa、TMIn、TMAl、Cd[(EPiPrN](E=S、Se)、TMSb、CpMg、N、Ar、O、NO、O等を含むことができる。すなわち、酸化物半導体の原料ガスがガスライン31を介して噴射ノズル33から反応チャンバー10内に供給されてよい。
【0047】
上記複数の噴射ノズル33は、上記ガス供給部30、具体的には、上記冷却ライン32の長手方向に沿って当該冷却ライン32の表面から突出して各ウエハWの位置に対応する位置に備えられ、それぞれが上記ガスライン31と連通される。噴射ノズル33は、冷却ライン32の表面から突出せず、冷却ライン32の壁面と同一面に噴射ノズル33のガス噴射部が設けられてもよい。
【0048】
図4(a)に示されるように、上記複数の噴射ノズル33は、上記積載されたウエハWの各側面と向かい合うように、当該ウエハWの積載間隔に対応して配列されることができる。また、図4(b)に示されるように、上記複数の噴射ノズル33は、上記積載されたウエハW間に位置するように配列されることもできる。このような構造によって、上記噴射ノズル33は、それぞれ、上記ウエハWの表面に反応ガスGを噴射して、各ウエハWの表面にエピ薄膜80を形成する。
【0049】
具体的には、図5(a)及び図5(b)に示されるように、上記噴射ノズル33は、各ウエハWの一面、即ち、上面に反応ガスGを噴射することで、ウエハWの上面のみにエピ薄膜80を形成することができる。また、図5(c)及び図5(d)に示されるように、各ウエハWの上面と下面に反応ガスGを噴射することで、各ウエハWの上面と下面にエピ薄膜80を同時に形成することもできる。即ち、複数の噴射ノズル33のそれぞれは、積載されたそれぞれのウエハWに対応して配置され、各ウエハWの上面と下面に反応ガスGが流れるように噴射することによって、各ウエハWの上面と下面の両面にそれぞれエピ薄膜80が成長することができるようにする。また、複数の噴射ノズル33のそれぞれが、複数のウエハWのそれぞれの側面と、複数のウエハWの一つ及び当該一つと隣接するウエハWの中間の位置との間に設けられてもよい。反応チャンバー10が縦型である場合、反応ガスGは重力によって下に流れやすい。そこで、一例として、複数の噴射ノズル33のそれぞれが、複数のウエハWのそれぞれの側面に対応する位置より、わずかに下側の位置に設けられてもよい。また、一例として、複数の噴射ノズル33のそれぞれが、複数のウエハWの一つ及び当該一つと隣接するウエハWの中間の位置よりわずかに下側の位置に設けられてもよい。これにより、複数のウエハWのそれぞれの上面及び下面にエピ薄膜が形成されるときに、反応ガスGが重力の影響で下側に流れても、複数のウエハWのそれぞれの上面及び下面に形成されるエピ薄膜の膜厚を均一にできる。
【0050】
このように、ウエハWの上面と下面の両面にそれぞれエピ薄膜80が形成される場合、単一のウエハWから、二つのエピ薄膜からなる発光構造物80'が得られるため、生産性が向上して大量生産に有利な長所がある。
【0051】
さらに、このようなウエハWの両面におけるエピ薄膜80の成長は、応力fによるウエハWの変形を防止することができる。即ち、従来の化学気相蒸着装置のように、ウエハWの一面のみにエピ薄膜80が成長する場合、エピ薄膜に強い応力fが作用して凹状になる反り現象(bowing effect)が発生し、このような現象は、大口径化されるほど激しくなるため、ウエハの破損又は性能の劣化等の問題が発生することがある。しかしながら、本実施形態のように、ウエハWの両面にエピ薄膜80を成長させる場合、ウエハWの上面と下面から発生する応力fが相互緩和されることで、従来の問題点を解決することができる。特に、ウエハWの大口径化が可能であるため、生産性が向上する長所を有する。
【0052】
図6は、図5においてウエハの上面又は上面と下面にそれぞれ薄膜が成長された状態を示す概略断面図、図7は、図6中のエピ薄膜がなす発光構造物の構造をより詳細に示す図面である。
【0053】
図6及び図7に示されるように、上記ウエハWの表面に成長される上記エピ薄膜80は、第1の導電型半導体層81、活性層82、第2の導電型半導体層83の順に形成される発光構造物80'を含む。当該発光構造物80'は、上記第1の導電型半導体層81及び上記第2の導電型半導体層83の上に、それぞれ形成される第1の電極84及び第2の電極85をさらに含むことができる。
【0054】
上記第1及び第2の導電型半導体層81、83は、それぞれ、n型及びp型半導体層になり、窒化物半導体からなることができる。したがって、本実施形態に係る第1及び第2の導電型は、それぞれ、n型及びp型を意味するものとして理解されることができるが、これに制限されるものではない。
【0055】
上記第1の導電型半導体層81は、AlInGa(1−x−y)Nの組成式(ここでは、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を有するn型不純物がドーピングされた半導体物質からなることができ、代表的には、GaN、AlGaN及びInGaNがある。また、第1の導電型半導体層81のドーピングに用いられる不純物としては、Si、Ge、Se、Te又はC等が用いられることができる。
【0056】
上記第1の導電型半導体層81上に形成される活性層82は、電子と正孔とが再結合して光を発光するための層であって、通常、InGaN層を量子井戸層(Quantum well layer)とし、(Al)GaN層を量子障壁層(Quantum barrier layer)とし、これらを交互に配置させて形成された多重量子井戸構造(MQW)を有する。青色発光ダイオードにおいては、InGaN/GaN等の多重量子井戸構造、紫外線発光ダイオードにおいては、GaN/AlGaN、InAlGaN/InAlGaN及びInGaN/AlGaN等の多重量子井戸構造が用いられている。このような活性層82の効率の向上においては、In又はAlの組成比率を変化させることで光の波長を調節したり、活性層82内の量子井戸層の深さ、活性層の数、厚さ等を変化させることで発光構造物の内部量子効率を向上させている。
【0057】
上記第2の導電型半導体層83は、上記第1の導電型半導体層81と同様に、AlInGa(1−x−y)Nの組成式(ここでは、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を有するp型不純物がドーピングされた半導体物質からなることができ、代表的には、GaN、AlGaN及びInGaNがある。このような第2の導電型半導体層83のドーピングに用いられる不純物としては、Mg、Zn又はBe等がある。すなわち、化学気相蒸着装置1の反応チャンバー10において、ウエハホルダー20に配置されたウエハW上に、n型不純物がドーピングされた窒化物半導体で形成された第1の導電型半導体層81、窒化物半導体で形成され多重量子井戸構造を有する活性層、及び、p型の不純物がドーピングされた窒化物半導体で形成された第2の導電型半導体層83が、MOCVD法で連続的に形成されてよい。
【0058】
上記第1の導電型半導体層81及び上記第2の導電型半導体層83の上には、電流の供給のための第1の電極84及び第2の電極85がそれぞれ形成されて、当該第1及び第2の導電型半導体層81、83とそれぞれ電気的に連結される。これにより、第1の電極84及び第2の電極85を介して電流を供給することで、光を放出することができる。具体的には、上記第1の電極84は、メサエッチングされて一部が露出される上記第1の導電型半導体層81上に形成され、上記第2の電極85は、上記第2の導電型半導体層83上に形成される透明電極層86上に形成されることができる。
【0059】
上記第1の電極84は、上記第1の導電型半導体層81上に、Ti、Cr、Al、Cu及びAuからなる群から選択される物質からなる単一層又は複数層で形成されることができる。
【0060】
上記第2の電極85は、以後、発光構造物をパッケージングして発光素子パッケージを製作する時、ワイヤーボンディングによってリード上に搭載される最外郭電極層であって、一般的にAu又はAuを含む合金を材料として形成されることができる。
【0061】
上記透明電極層86は、第2の導電型半導体層83の上面の略全領域に形成されることが好ましく、比較的高いエネルギーバンドギャップを有する第2の導電型半導体層83との接触抵抗を低くするのに適し、且つ上記活性層82から生成される光が上部に放出されるために良好な透光性を有する物質で形成されることが要求される。
【0062】
一般的に、上記透明電極層86は、接触抵抗は比較的高いが、良好な透光性を確保するために、インジウム−スズ系酸化物(ITO)、インジウム酸化物(IO)、スズ系酸化物(SnO)、亜鉛系酸化物(ZnO)及びインジウム−亜鉛系酸化物(IZO)からなる群から選択される酸化物からなる少なくとも一つの層で形成されることが好ましい。上記透明電極層86は、動作電圧の減少及び光の外部放出効率を向上させることができる。
【0063】
本実施形態においては、上記発光構造物をなす第1及び第2の導電型半導体層81、83が窒化物半導体からなると説明しているが、これに限定されず、酸化物半導体からなることもできる。
【0064】
以下、図8から図13を参照して、上記ガス供給部の他の変形例を説明する。
【0065】
図8は、図1中のガス供給部の変形例を示す概略図、図9及び図10は、図1中のガス供給部の他の変形例を示す概略図、図11から図13は、図1中のガス供給部のさらに他の変形例を示す概略図である。
【0066】
図8に示されるように、上記ガス供給部30'は、第1の反応ガスG1を供給する第1のガスライン31−1と、第2の反応ガスG2を供給する第2のガスライン31−2とを含み、当該第1及び第2のガスライン31−1、31−2は、上記冷却ライン32内部に配置されることができる。具体的には、上記ガス供給部30'は、図3に示されるような、単一のガスライン31が備えられるものとは異なり、二つ以上のガスライン31−1、31−2が冷却ライン32内部に備えられることで、第1の反応ガスG1と第2の反応ガスG2とを区分して供給できるものである。図面においては、二つのガスライン31−1、31−2が備えられるものとして示されているが、これに限定されず、反応ガスの種類に応じてガスラインの数は増加されることができる。
【0067】
図9及び図10は、図1中のガス供給部の他の変形例を示す概略図である。
【0068】
図9及び図10に示されるように、上記ガス供給部30は、一つ以上備えられ、それぞれ、同一の反応ガスを供給するか又は相違する反応ガスを区分して供給することができる。即ち、図2に示されるように、単一のガス供給部30が備えられるものとは異なり、二つ以上のガス供給部30が、内部管11とウエハホルダー20との間でウエハWの積載方向に沿って垂直に伸びて備えられることができる。この場合、各ガス供給部30は、相違する反応ガスを区分して供給することができる。また、上記各ガス供給部30は、図3に示されるように、単一のガスライン31を備えたり、図8に示されるように、複数のガスライン31−1、31−2を備えたりすることができる。ガスライン35−1の内径と、ガスライン35−2の内径とが等しくよい。他の例として、ガスライン35−2の内径が、ガスライン35−2の内径より小さくてもよい。
【0069】
図11、図12及び図13は、図1中のガス供給部のさらに他の変形例を示す概略図である。
【0070】
図11、図12及び図13に示されるように、上記ガス供給部30''は、上記ガスライン31及び上記冷却ライン32と連通し、上記ウエハWを囲むようにそれぞれのウエハWの縁に沿ってウエハと水平に備えられて反応ガスGを噴射する補助ライン34をさらに含むことができる。具体的には、上記補助ライン34は、上記内部管11と上記ウエハホルダー20との間でウエハWの積層方向に沿って垂直に伸びるガス供給部30''から、各ウエハWの縁を囲むように、垂直に伸びて備えられる。
【0071】
上記補助ライン34は、上記ウエハWより大きな直径の環状を有する。また、 上記補助ライン34は、上記ガスライン31と連通して供給された反応ガスGを噴射する複数の噴射ノズル33を備える補助ガスライン35と、上記冷却ライン32と連通して上記反応ガスGを冷却させるように上記補助ガスライン35の縁に沿って備えられて冷媒Cが流れる補助冷却ライン36とを含むことができる。
【0072】
さらに、図13に示されるように、上記補助ライン34は、第1の反応ガスG1を供給する第1の補助ガスライン35−1と、第2の反応ガスG2を供給する第2の補助ガスライン35−2とを含むことで、上記第1の反応ガスG1と第2の反応ガスG2とを区分して供給するようにすることができる。第1の補助ガスライン35−1の内径が、第2の補助ガスライン35−2の内径より、小さくてよい。他の例として、第1の補助ガスライン35−1の内径と、第2の補助ガスライン35−2の内径とが、等しくてもよい。
【0073】
上記補助ライン34は、上記積載されたウエハW間に位置したり、上記各ウエハWの各側面と向かい合ったりするように、当該ウエハWの積載間隔に対応して配列されることができる。
【0074】
以下、図14から図18を参照して、本発明の他の実施形態に係る化学気相蒸着装置を説明する。
【0075】
図14は、本発明の他の実施形態に係る化学気相蒸着装置を示す概略図、図15は、図14中のガイド部を示す概略図、図16は、図14の断面図、図17及び図18は、図14の他の実施形態に係る化学気相蒸着装置を示す概略図である。
【0076】
図14の実施形態に係る化学気相蒸着装置の基本的な構造は、図1の実施形態と実質的に同一である。但し、噴射ノズルから噴射される反応ガスの流れを案内するガイド部70をさらに備えるという点で相違する。したがって、以下では、図1の実施形態と重複する部分に関する説明は省略し、ガイド部70に関する構成を中心に説明する。
【0077】
図14に示されるように、上記ガイド部70は、上記噴射ノズル33から噴射される上記反応ガスGが、上記各ウエハWの上面と下面に噴射されて流れるように、当該反応ガスGの流れを案内する。具体的には、上記ガイド部70は、上記噴射ノズル33と上記ウエハWとの間に配置され、当該ウエハWから当該噴射ノズル33へと断面積が減少するように当該噴射ノズル33に向かってそれぞれ傾斜して相接する上部傾斜面71と下部傾斜面72とを含む。したがって、上記ガイド部70は、図示されているように、断面が三角形の構造を有し、上部傾斜面71と下部傾斜面72とが相接する頂点が上記噴射ノズル33に向かう構造に備えられる。
【0078】
図14に示されるように、複数の上記ガイド部70は、上記ウエハホルダー20から上記噴射ノズル33へと伸びて上記ウエハWの積載方向に沿って垂直に配列されて備えられることができる。具体的には、上記ガス供給部30と向かい合う上記ウエハホルダー20の外側面と接して一体的に備えられることができる。一例として、ウエハホルダー20の、ウエハWが配置される位置に対して反対側の表面に、複数のガイド部70のそれぞれの断面の三角形の一辺が接して設けられる。これにより噴射ノズル33のそれぞれから反応チャンバー10に導入された反応ガスの流れが、複数のガイド部70のそれぞれによって、制御されてよい。
【0079】
また、図15に示されるように、上記ガイド部70は、少なくとも一対の支持ピンPによって上記ウエハWの積載方向に沿って垂直に配列されて備えられ、上記噴射ノズル33と向かい合うように、上記ウエハホルダー20に取り外し可能に取り付けられることもできる。
【0080】
上記ガイド部70は、反応ガスGを噴射する上記噴射ノズル33の配置構造に対応して配置される。即ち、図16(a)に示されるように、上記複数の噴射ノズル33が、上記積載されたウエハWの側面と向かい合う構造に配列される場合、上記ガイド部70は、前面である頂点が上記噴射ノズル33と向かい合い、後面が上記積載されたウエハWの各側面と向かい合うように、当該ウエハWの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられることができる。図16(a)に示した複数のガイド部70と複数の噴射ノズル33とは、それぞれの中心が一致しているが、複数のガイド部70のそれぞれは、複数の噴射ノズル33のそれぞれの中心より上側又は下側に設けられてもよい。例えば、複数のガイド部70のそれぞれが、複数の噴射ノズル33のそれぞれの中心より下側に設けられることにより、反応ガスが重力によって下側にながれても、複数のガイド部70の上側に流れる反応ガスと、複数のガイド部70の下側に流れる反応ガスとの量が同じになるから、複数のウエハWのそれぞれの上面及び下面に、均一な膜厚のエピ薄膜80を形成できる。
【0081】
また、図16(b)に示されるように、上記複数の噴射ノズル33が、上記積載されたウエハW間に位置するように配列される場合、上記ガイド部70もまた、上記積載されたウエハW間の空間と向かい合うように、当該ウエハWの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられることができる。したがって、上記ガイド部70は、上記噴射ノズル33から噴射される反応ガスGが各ウエハWの上面と下面に流れるように方向を案内し、これにより、各ウエハWの上面と下面の両面にエピ薄膜80が成長されることができるのである。図16(b)に示した複数のガイド部70と複数の噴射ノズル33とは、それぞれの中心が一致しているが、複数のガイド部70のそれぞれは、複数の噴射ノズル33のそれぞれの中心より上側又は下側に設けられてもよい。例えば、複数のガイド部70のそれぞれが、複数の噴射ノズル33のそれぞれの中心より下側に設けられることにより、反応ガスが重力によって下側にながれても、複数のガイド部70の上側に流れる反応ガスと、複数のガイド部70の下側に流れる反応ガスとの量が同じになるから、複数のウエハWのそれぞれの上面及び下面に、均一な膜厚のエピ薄膜80を形成できる。また、図16(a)及び図16(b)において、複数のガイド部70と複数の噴射ノズル33とは、それぞれの中心が一致し、複数のガイド部70のそれぞれの断面が上下対象な三角形ではなく、複数のガイド部70の上面及び下面がウエハWの表面に対する角度が相互に異なってもよい。例えば、複数のガイド部70の上面がウエハWの表面に対する角度より、複数のガイド部70の下面がウエハWの表面に対する角度が大きく、ウエハWの下面に流れる反応ガスGの流量を、ウエハWの上面に流れる反応ガスGを多くしてもよい。
【0082】
上記ガス供給部30''が補助ライン34を備える場合、上記ガイド部70は、図18に示されるように、上記補助ライン34と上記ウエハホルダー20との間で環状に上記ウエハWの縁に沿って備えられることができる。即ち、上記ウエハWより大きく上記補助ライン34より小さい直径の環状を有することができる。
【0083】
以下、図1から図18に示される化学気相蒸着装置を参照して、本発明の一実施形態に係る化学気相蒸着装置を利用する半導体エピ薄膜の製造方法を説明する。
【0084】
まず、ウエハホルダー20に複数のウエハWを所定の間隔に積載して取り付け、当該ウエハホルダー20を、ガス供給部30が備えられた反応チャンバー10の内部管11内に配置する。上記ウエハホルダー20は、上記内部管11の下部に開閉可能に取り付けられるベースプレート13によって当該内部管11内に配置されたり排出されたりすることができる。
【0085】
この場合、上記ガス供給部30と上記ウエハホルダー20との間には、上記ガス供給部から噴射される反応ガスの流れを案内するためのガイド部70をさらに備えることができる。
【0086】
上記ガイド部70は、上記ウエハWから上記ガス供給部30へと断面積が減少するように当該ガス供給部30に向かってそれぞれ傾斜して相接する上部傾斜面71と下部傾斜面72とを含むことができる。また、上記ガイド部70は、上記積載されたウエハWの各側面と向かい合ったり、上記積載されたウエハW間の空間と向かい合ったりするように、当該ウエハWの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられることができる。上記ガイド部70の具体的な配置構造については、前述した化学気相蒸着装置1で詳述したため、本実施形態においては、これに関する説明を省略する。
【0087】
次に、上記内部管11と上記ウエハホルダー20との間で上記ウエハWの積載方向に沿って垂直に伸びて備えられる上記ガス供給部30を介して外部からの反応ガスGを上記ウエハWに噴射する。
【0088】
上記ガス供給部30は、上記反応チャンバー10内部に上記反応ガスGを供給する少なくとも一つのガスライン31と、当該ガスライン31と連通して当該反応ガスGを上記ウエハWのそれぞれに噴射する複数の噴射ノズル33とを有する。また、上記ガス供給部30は、上記反応ガスGを冷却させるように、上記ガスライン31の縁に沿って備えられて冷媒Cが流れる冷却ライン32をさらに含むことができる。ここで、上記複数の噴射ノズル33は、上記積載されたウエハWの各側面と向かい合ったり、上記積載されたウエハW間に位置したりするように、当該ウエハWの積載間隔に対応して配列されることができる。上記ガス供給部30は、一つ又はそれ以上備えられ、それぞれ、同一の反応ガスGを供給するか又は相違する反応ガスGを区分して供給することができる。
【0089】
次に、上記ガス供給部30から噴射される上記反応ガスGが、各ウエハWの表面、具体的には、各ウエハWの上面又は上面と下面に沿って流れるようにすることで、各ウエハWの表面に半導体エピ薄膜80を成長させる。ここで、各ウエハWの表面に成長される上記半導体エピ薄膜80は、第1の導電型半導体層81、活性層82、第2の導電型半導体層83の順に成長されて、発光構造物80'を形成する。一例として、複数のウエハWのそれぞれの表面に、第1の導電型半導体層81、活性層82、及び、第2の導電型半導体層83が、MOCVD法で、連続的に形成される。次いで、上記第1の導電型半導体層81及び上記第2の導電型半導体層83の上に、それぞれ第1の電極84及び第2の電極85を形成することで、当該第1の導電型半導体層81及び当該第2の導電型半導体層83と電気的に連結されるようにする。このような発光構造物は、以後、ダイシング工程を経て、個別素子として単体化(singulating)され、複数の発光素子チップとして製造される。
【0090】
このように、本発明に係る化学気相蒸着装置1は、ウエハホルダー20を介して積載される数百枚のウエハのそれぞれに対応して噴射ノズル33を備え、 反応ガスGを噴射することによって、各ウエハWの表面に半導体エピ薄膜80が成長されることができるようにする。
【0091】
また、本発明に係る化学気相蒸着装置1は、各噴射ノズル33と向かい合うガイド部70をさらに備えることによって、噴射ノズル33から噴射される反応ガスGが各ウエハWの上面と下面に流れるように案内して、ウエハWの上面と下面にエピ薄膜80が成長することができるようにする。
【0092】
したがって、本発明に係る化学気相蒸着装置によると、ウエハの大量生産が可能であるため、生産性が向上し、特に、大口径ウエハの場合においても、エピ薄膜がウエハの両面で成長して応力を緩和させるため、ウエハの反り変形が発生せず、品質に優れる。
【0093】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。例えば、反応チャンバー10の排気口は、下方に限らず、上方に設けられてもよい。また、反応チャンバー10は縦型に限らず、横型であってもよい。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0094】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、および、方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0095】
1 化学気相蒸着装置
10 反応チャンバー
11 内部管
12 外部管
13 ベースプレート
20 ウエハホルダー
30 ガス供給部
31 ガスライン
32 冷却ライン
33 噴射ノズル
34 補助ライン
35 補助ガスライン
36 補助冷却ライン
50 回転駆動部
60 加熱手段
70 ガイド部
71 上部傾斜面
72 下部傾斜面
80 エピ薄膜
81 導電型半導体層
82 活性層
83 導電型半導体層
84 電極
85 電極
86 透明電極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められたサイズの内部空間を有する内部管、及び、前記内部管を覆って気密を維持する上部管を有する反応チャンバーと、
前記内部管内に配置され、複数のウエハを予め定められた間隔に積載するウエハホルダーと、
前記ウエハの表面に半導体エピ薄膜を成長させるように、前記反応チャンバー内部に外部からの反応ガスを供給する少なくとも一つのガスライン、及び、前記ガスラインと連通して前記反応ガスを前記ウエハのそれぞれに噴射する複数の噴射ノズルを有するガス供給部と、
を含む、化学気相蒸着装置。
【請求項2】
前記ガス供給部は、前記ウエハの配置方向に沿って垂直に伸び、前記複数の噴射ノズルは、積載される前記ウエハの各側面と向かい合うように、前記ウエハの積載間隔に対応して配列される、請求項1に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項3】
前記ガス供給部は、前記複数のウエハの積載方向に沿って垂直に伸び、前記複数の噴射ノズルは、積載される前記ウエハ間に位置するように配列される、請求項1に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項4】
前記ガス供給部は、前記反応ガスを冷却させるように、前記ガスラインの縁に沿って備えられて冷媒が流れる冷却ラインをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項5】
前記ガス供給部は、第1の反応ガスを供給する第1のガスラインと、第2の反応ガスを供給する第2のガスラインとを含み、前記第1のガスライン及び前記第2のガスラインは、前記冷却ラインの内部に配置される、請求項4に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項6】
前記ガス供給部は、一つ以上備えられ、それぞれ、同一の反応ガスを供給するか又は相違する反応ガスを区分して供給する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項7】
前記ガス供給部は、前記ガスライン及び前記冷却ラインと連通し、前記複数のウエハを囲むように、前記ウエハの縁に沿ってウエハと水平に備えられて反応ガスを噴射する補助ラインをさらに含む、請求項4から5のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項8】
前記補助ラインは、前記複数のウエハより大きな直径の環状を有し、前記ガスラインと連通して供給された反応ガスを噴射する複数の噴射ノズルを備える補助ガスラインと、前記冷却ラインと連通して前記反応ガスを冷却させるように前記補助ガスラインの縁に沿って備えられて冷媒が流れる補助冷却ラインとを含む、請求項7に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項9】
前記補助ガスラインは、第1の反応ガスを供給する第1の補助ガスラインと、第2の反応ガスを供給する第2の補助ガスラインとを含む、請求項8に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項10】
前記補助ラインは、積載される前記ウエハ間に位置したり、前記ウエハの各側面と向かい合ったりするように、前記ウエハの積載間隔に対応して配列される、請求項7から9のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項11】
前記複数の噴射ノズルから噴射される前記反応ガスが、前記ウエハのそれぞれの上面と下面に噴射されて流れるように、前記反応ガスの流れを案内するガイド部をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項12】
前記ガイド部は、前記複数の噴射ノズルのそれぞれと前記ウエハとの間に配置され、前記ウエハから前記複数の噴射ノズルのそれぞれへと断面積が減少するように前記複数の噴射ノズルのそれぞれに向かってそれぞれ傾斜して相接する上部傾斜面と下部傾斜面とを含む、請求項11に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項13】
前記ガイド部は、前記積載されたウエハの各側面と向かい合うように、前記ウエハの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられる、請求項11又は12に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項14】
前記ガイド部は、前記積載されたウエハ間の空間と向かい合うように、前記ウエハの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられる、請求項11又は12に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項15】
前記ガイド部は、前記ウエハホルダーから前記複数の噴射ノズルへと伸びて、前記ウエハの積載方向に沿って垂直に配列されて備えられる、請求項11から14のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項16】
前記ガイド部は、少なくとも一対の支持ピンによって前記ウエハの積載方向に沿って垂直に配列されて備えられ、前記複数の噴射ノズルと向かい合うように、前記ウエハホルダーに取り外し可能に取り付けられる、請求項11から15のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項17】
前記ウエハホルダーと連結されて前記ウエハホルダーを回転させる回転駆動部をさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項18】
前記ウエハの表面に成長される前記半導体エピ薄膜は、第1の導電型半導体層、活性層、第2の導電型半導体層の順に形成された発光構造物を含む請求項1から17のいずれか一項に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項19】
前記発光構造物は、前記第1の導電型半導体層上及び前記第2の導電型半導体層上にそれぞれ形成される第1の電極及び第2の電極をさらに含む、請求項18に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項20】
前記第1の電極は、メサエッチングされて一部が露出される前記第1の導電型半導体層上に形成され、前記第2の電極は、前記第2の導電型半導体層上に形成される透明電極層上に形成される、請求項19に記載の化学気相蒸着装置。
【請求項21】
ウエハホルダーに複数のウエハを予め定められた間隔で積載して取り付け、内部空間を有する内部管と、前記内部管を覆って気密を維持する上部管とを有する反応チャンバーの前記内部管内に前記ウエハホルダーを配置する段階と、
前記内部管と前記ウエハホルダーとの間で前記ウエハの積載方向に沿って垂直に伸びて備えられるガス供給部を介して外部からの反応ガスを前記ウエハに噴射する段階と、
前記ガス供給部から噴射される前記反応ガスが、各ウエハの表面に沿って流れるようにすることで、各ウエハの表面に半導体エピ薄膜を成長させる段階と、
を含み
前記ウエハの表面に成長される前記半導体エピ薄膜は、第1の導電型半導体層、活性層、第2の導電型半導体層の順に成長されて発光構造物を形成する、半導体エピ薄膜の製造方法。
【請求項22】
前記ウエハホルダーを内部管内に配置する段階は、
前記ウエハホルダーに、垂直方向に沿って予め定められた間隔に配列された複数のガイド部を備える段階をさらに含む、請求項21に記載の半導体エピ薄膜の製造方法。
【請求項23】
前記複数のガイド部を備える段階において、
前記複数のガイド部は、それぞれ、前記積載されたウエハの各側面と向かい合ったり、前記積載されたウエハ間の空間と向かい合ったりするように、前記ウエハの積載間隔に対応して垂直に配列されて備えられる、請求項22に記載の半導体エピ薄膜の製造方法。
【請求項24】
前記反応ガスを前記ウエハに噴射する段階において、
前記ガス供給部は、前記反応チャンバー内部に前記反応ガスを供給する少なくとも一つのガスラインと、前記ガスラインと連通して前記反応ガスを前記ウエハのそれぞれに噴射する複数の噴射ノズルとを有する、請求項21から23のいずれか一項に記載の半導体エピ薄膜の製造方法。
【請求項25】
前記複数の噴射ノズルは、積載された前記ウエハの各側面と向かい合ったり、積載された前記ウエハ間に位置したりするように、前記ウエハの積載間隔に対応して配列される、請求項24に記載の半導体エピ薄膜の製造方法。
【請求項26】
前記ガス供給部は、前記反応ガスを冷却させるように、前記ガスラインの縁に沿って備えられて冷媒が流れる冷却ラインをさらに含む、請求項24または25に記載の半導体エピ薄膜の製造方法。
【請求項27】
前記ガス供給部は、一つ以上備えられ、それぞれ、同一の反応ガスを供給するか又は相違する反応ガスを区分して供給する、請求項21に記載の半導体エピ薄膜の製造方法。
【請求項28】
前記半導体エピ薄膜を成長させる段階は、
前記第1の導電型半導体層上及び前記第2の導電型半導体層上に、それぞれ第1の電極及び第2の電極を形成する段階をさらに含む、請求項21から27のいずれか一項に記載の半導体エピ薄膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−23369(P2012−23369A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151169(P2011−151169)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(509156538)サムソン エルイーディー カンパニーリミテッド. (114)
【Fターム(参考)】