説明

医用診断支援装置、医用診断支援方法、及び放射線診断装置

【課題】検査/治療前のシミュレーション機能、及び検査/治療中のガイド機能を備えた医用診断支援装置及び放射線診断装置を提供する。
【解決手段】被検体を撮影して得た3次元画像データから観察対象となる血管部の画像データを抽出する抽出部と、抽出された血管部の3次元画像を表示可能な表示部と、抽出された血管部の3次元画像をユーザの指定した表示角度で表示部に表示する表示方向設定部と、抽出された血管部にカテーテルを挿入したときのカテーテルの進行をシミュレートして、カテーテルの位置と進行方向を示すマーカを血管部の3次元画像に重畳するシミュレーション画像生成部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用診断において、特に被検体にカテーテルを挿入して各種疾患の検査・治療を行う際に、シミュレーション画像又はガイド画像を表示して検査者を支援し、安全性を向上した医用診断支援装置及び医用診断支援方法に関する。また、医用診断支援装置を適用したX線CT装置、X線循環器診断装置等の放射線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線CT装置、X線循環器診断装置等を用いた医用システムでは、コンピュータによる画像診断が行われており、被検体を撮影した画像データを参照しながら診断を行ったり、検査者に対する検査・治療の支援を行っている。
【0003】
例えば、虚血性心疾患の診断では、外科的な手術に比べて侵襲性が低いカテーテルを用いた検査又は治療が行われている。カテーテル検査/治療では、例えば被検体の冠動脈にカテーテルを挿入して造影剤を注入し、この被検体にX線を照射することで得られた冠動脈の2次元透視像を見ながら病変部(血管の狭窄箇所等)を検索するようにしている。
【0004】
そして、検索された病変部には、ステントを留置して狭窄箇所を拡張する治療が行われている。ステントは血管内の狭窄箇所に挿入され、バルーン付きのカテーテルを使用してステントを拡張することで血管径を維持するものである。また、上記検査は、病変検索時や治療時のほかに、治療後に経過確認や病変進行を確認する際にも行われ、複数回実施されるのが一般的である。
【0005】
しかしながら、カテーテル検査/治療は外科的な手術に比べて侵襲性が低いと言われているが、カテーテル操作やステント留置(拡張操作)が原因で合併症を発症することがあるため、検査回数を少しでも減らすことが望まれている。
【0006】
また、検査/治療中は、造影剤を注入しながらX線を照射することによって2次元透視像を得て、それを見ながら診断が行われるが、照射角度によっては十分な情報が得られない場合があり、その都度、照射方向を変更して透視し直す必要がある。このため検査時間が長くなり、造影剤注入やX線被爆による患者(被検体)への負担も増加することになる。
【0007】
尚、造影剤の投与による血管の撮影に関連して、X線CT装置において3Dボリューム画像上から造影血管領域である冠動脈のみを抽出する血管抽出アルゴリズムが、非特許文献1に記載されている。
【0008】
【非特許文献1】O. Wink, W. J. Niessen, M. A. Viergever, "Fast Delineation and Visualization of Vessels in 3-D Angiographic Images", IEEE Trans. Med. Imaging, Vol.19, No.4, p.337-346, Apr., 2000.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、カテーテル検査/治療は、カテーテル操作やステント留置(拡張操作)が原因で合併症を発症することがあるため、検査回数を少しでも減らすことが望まれている。また検査/治療中は、造影剤を注入しながらX線を照射して2次元透視像を得ているが、角度によっては十分な情報が得られない場合があり、その都度、照射方向を変更して透視し直す必要があるため、検査時間が長くなり、患者(被検体)への負担が増加していた。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みて成されたもので、検査/治療前のシミュレーション機能及び検査/治療中のガイド機能を備えることにより、カテーテル検査/治療の安全性を向上し、検査/治療時間の短縮と被検体への負担を低減した医用診断支援装置、及び放射線診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1記載の本発明の医用診断支援装置は、被検体を撮影して得た3次元画像データから観察対象となる血管部の画像データを抽出する抽出部と、前記抽出部によって抽出された血管部のレンダリング画像を表示可能な表示部と、前記抽出された血管部のレンダリング画像をユーザの指定した表示角度で前記表示部に表示する表示方向設定部と、前記抽出部によって抽出された血管部にカテーテルを挿入したときの前記カテーテルの進行をシミュレートして、前記カテーテルの位置と進行方向を示すマーカを前記血管部のレンダリング画像に重畳するシミュレーション画像生成部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項13記載の本発明の放射線診断装置は、X線診断装置によって被検体の透視画像データを生成する投影画像データ生成部と、前記被検体をX線CT装置、あるいは磁気共鳴診断装置によって撮影して得た3次元画像データを入手し、観察対象となる血管部の画像データを抽出する抽出部と、前記抽出部によって抽出された血管部のレンダリング画像の表示角度をユーザの指定に基づいて設定する表示方向設定部と、前記投影画像データ生成部によって生成した前記血管部の透視画像とともに、前記ユーザによって指定された表示角度の血管部のレンダリング画像を表示可能な表示部と、を具備したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項15記載の本発明の医用診断支援方法は、被検体を撮影して得た3次元画像データから観察対象となる血管部の画像データを抽出し、前記抽出した血管部にカテーテルを挿入したときの前記カテーテルの進行をシミュレーシュンして前記カテーテルの位置と進行方向を示すマーカを作成し、前記抽出された血管部の3次元画像をユーザの指定した表示角度で表示部に表示し、前記血管部の3次元画像に前記マーカを重畳して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カテーテル検査/治療を行う前に、検査/治療に必要な情報をユーザに提供して支援することができ、検査/治療の安全性を確保するともに検査/治療時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の医用診断支援装置が適用された医用システムを示すシステム構成図である。図1の医用システムは、放射線診断装置として、X線CT装置100、X線循環器診断装置200等のモダリティを有する。これらモダリティは、ネットワークNWに接続され、このネットワークNWには医用画像情報(画像データや付帯情報を含む)を保管する医用画像サーバ300が接続されている。さらにネットワークNWには、画像観察端末(ビューア)400、入出力端末500等が接続されている。
【0017】
X線CT装置100、X線循環器診断装置200は、被検体を撮影して画像データを生成するものである。画像データは、医用画像サーバ300に保管される。また画像観察端末400は医用画像サーバ300に保管された画像データや患者情報を取り込んで処理し、各種の情報を表示するものである。また入出力端末500は、ネットワークNW上の各装置にログインして情報の入出力を行うPCである。
【0018】
図1のシステムにおいて、医師は入出力端末500を利用して例えば放射線検査のオーダを出し、技師はオーダに基づきX線CT装置100やX線循環器診断装置200を操作して検査を実施する。X線CT装置100等のモダリティで撮影された医用画像データは、医用画像サーバ300に格納される。
【0019】
また医用画像データには、患者ID、患者名、年齢、性別、検査部位等の付帯情報が付されて医用画像サーバ300に保存され、付帯情報を基に各種の検索が可能になっている。さらに画像観察端末400は、例えば医用画像リスト、患者リストの作成処理や、ユーザ(医師、技師、オペレータ等)の要求によって画像データ等の各種情報を表示部に表示する。また、シミュレーション機能及びガイド機能を備え、ユーザが検査、治療を行う際の支援用の画像を表示部に表示する。
【0020】
図2は、放射線診断装置であるX線CT装置100の一実施形態を示す構成図である。図2において、X線CT装置100は、架台(ガントリ)11を有し、この架台11内には回転リング12が設けられ、図示しない回転機構によって回転する。回転リング12内には、有効視野領域内に載置された被検体Pに対してX線を発生するX線管13が取り付けられている。
【0021】
また、X線管13に対向して放射線検出器14が配置されており、回転リング12の中心部分は開口して、そこに寝台の天板15に載置された被検体Pが挿入される。被検体Pを透過したX線は放射線検出器14で検出されて電気信号に変換され、データ収集部(以下DASと称す)16で増幅され、デジタルデータに変換される。尚、X線管13と放射線検出器14を含む部分は撮影部を構成する。
【0022】
放射線検出器14は、複数の検出器モジュールから構成されている。検出器モジュールは、それぞれシンチレータアレイ、フォトダイオードアレイから成る複数の検出素子アレイを含み、複数の検出器モジュールは、X線管13の焦点を中心とした円弧に沿って配列される。
【0023】
DAS16からのデジタルデータ(投影データ)は、データ伝送装置17を介してコンピュータシステム20に伝送される。また、架台11には、架台駆動部18及びスリップリング19が設けられている。
【0024】
コンピュータシステム20はコンソールに設けられ、データ伝送装置17からの投影データは、前処理部21に供給される。前処理部21では投影データに対してデータ補正等の前処理を行いバスライン201上に出力する。
【0025】
バスライン201には、システム制御部22、入力部23、データ記憶部24、再構成処理部25、画像データ処理部26、表示部27等が接続されている。
【0026】
システム制御部22はホストコントローラとして機能し、コンピュータシステム20の各部の動作や、架台駆動部18及び高電圧発生部28を制御する。データ記憶部24は断層画像等のデータを記憶するものであり、再構成処理部25は投影データから3D画像データを再構成する。画像データ処理部26はデータ記憶部24に保存されたデータ、または再構成したあとの画像データを処理する。表示部27は画像データ処理によって得られた画像等を表示する。
【0027】
入力部23はキーボード、マウス等を有し、ユーザによって操作され、データ処理する上で各種の設定を行う。また、患者の状態や検査方法等の各種情報を入力する。
【0028】
高電圧発生部28は、スリップリング19を介してX線管13に電力を供給し、X線の曝射に必要な電力(管電圧、管電流)を与える。X線管13は、被検体Pの体軸方向に平行なスライス方向と、それに直交するチャンネル方向の2方向に広がるビームX線を発生する。
【0029】
またバスライン201には、ネットワークインターフェース29が設けられ、X線CT装置100はネットワークNW(図1)に接続可能になっており、X線CT装置100によって撮影した画像データや再構成処理した画像データは、医用画像サーバ300に格納される。
【0030】
X線CT装置100では、スキャン範囲を設定してボリュームスキャン(3Dスキャン)を行い、再構成処理部25で再構成することでその範囲内の3D(3次元)画像を得ることができる。
【0031】
またX線CT装置100では、血管等の器官の観察を目的として被検体に造影剤を投与して撮影することがある。造影剤の投与による血管の撮影では、造影血管のX線CT画像データが再構成され、さらにX線CT画像データから3D画像データが作成される。
【0032】
3D画像データの作成方法としては、例えば、任意の方向に投影処理を行い投影経路中の最大値を表示する最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)、又は最小値を投影する最小値投影法(Minimum Intensity Projection)、加算平均投影法(X-ray Projection)がある。
【0033】
造影血管の観察には、MIPにより作成された3D画像(MIP画像)が頻繁に用いられる。また、画素値(CT値)や不透明度(オパシティ)を用いて立体感のある画像を再構成して可視化するVR法(Volume Rendering)やSVR法(Shaded Volume Rendering)も用いられている。SVR法は、動態観察に適しており、例えば心臓の壁運動の動画を影付きで表示することができる。
【0034】
図3は、本発明の放射線診断装置であるX線循環器診断装置200の一実施形態を示す構成図である。図3において、X線循環器診断装置200は、被検体Pに対してX線を発生するためのX線発生部30と、被検体Pを透過したX線を2次元的に検出するとともに検出結果に基づいてX線投影データを生成するX線検出部40を備えている。
【0035】
X線発生部30は、X線管31とX線絞り器32を有するX線照射部と、高電圧制御部33と高電圧発生器34と有する高電圧発生部を備えている。X線管31は、X線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧により加速してタングステン陽極に衝突させX線を発生する。
【0036】
X線検出部40は、平面検出器41と、平面検出器41から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器42と、電荷・電圧変換器42の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器43と、平面検出器21からライン単位でパラレルに読み出されデジタル変換されたX線投影データを時系列信号に変換するパラレル・シリアル変換器44を備えている。
【0037】
X線発生部30と、X線検出部40はアーム(Cアーム)50に保持されており、アーム50は、例えば被検体Pの体軸方向に移動可能であり、また被検体Pの周囲を回転可能である。尚、X線発生部30とX線検出部40を含む部分は撮影部を構成する。
【0038】
またX線循環器診断装置200は、移動機構部60を備えている。移動機構部60は、絞り移動制御部61と機構制御部62を有し、絞り移動制御部61は、X線絞り器32における絞り羽根等の移動制御を行ない、機構制御部62は、被検体Pを載置する天板51の移動機構63や、撮影系移動機構64の移動制御を行う。
【0039】
さらにX線循環器診断装置200は、画像データ生成・記憶部52、入力部53、システム制御部54、及びモニタ55を備えている。画像データ生成・記憶部52は、パラレル・シリアル変換器45からのX線投影データに基づいて透視画像データの生成と保存を行ない、この画像データ生成・記憶部52において生成された透視画像データをモニタ55に表示する。
【0040】
入力部53は医師等のユーザが各種コマンドの入力等を行なうもので、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック等の入力デバイスや、表示パネルあるいは各種スイッチ等を備えたインタラクティブなインターフェースを有する。また、システム制御部54は、バスライン56を介してX線循環器診断装置200の各ユニットを統括的に制御する。
【0041】
バスライン56には、ネットワークインターフェース57が接続され、X線循環器診断装置200はネットワークNW(図1)に接続可能になっており、X線循環器診断装置200によって撮影した画像データは、医用画像サーバ300に格納可能である。
【0042】
次に本発明の主要部の構成と機能について説明する。図4は、シミュレーション機能を備えた医用診断支援装置70を示すブロック図である。医用診断支援装置70は、例えば画像観察端末400内に設けられ、カテーテル検査/治療前のシミュレーションを行うものである。
【0043】
図4において、71は冠動脈抽出部であり、記憶装置81に保存されている3次元(3D)画像データを読み込み、その画像データのCT値に基づいて冠動脈(LCA:左冠動脈、RCA:右冠動脈)を抽出する。記憶装置81は、X線CT装置100で収集・再構成された3次元画像データを保存するものであり、図1の医用画像サーバ300であっても良い。
【0044】
冠動脈抽出部71には冠動脈芯線算出部72が接続され、冠動脈芯線算出部72は、冠動脈抽出部71で抽出された冠動脈の芯線を算出する。また冠動脈芯線算出部72は、カテーテル位置管理部73に接続され、このカテーテル位置管理部73には、カテーテル位置/方向算出部74、カテーテル移動判別部75が接続されている。
【0045】
カテーテル位置管理部73は、入力部82、冠動脈芯線算出部72、カテーテル位置/方向算出部74、カテーテル移動判別部75から提供された情報をもとに、現在のカテーテルの位置とカテーテルの進むべき方向を決定する。入力部82は、例えばマウスやキーボードを有し、ユーザ(医師、技師等)によって操作される。図では、マウス821を有する例を示している。
【0046】
カテーテル位置管理部73は、入力部82からカテーテル位置/方向の更新要求があった場合、カテーテル移動判別部75に判別情報を提供し、カテーテル移動判別部75からカテーテル位置/方向の更新が可能か否かの情報を得る。
【0047】
またカテーテル位置管理部73は、カテーテル移動判別部75によってカテーテルの位置/方向の更新が可能と判断された場合、もしくは、カテーテル位置/方向が1度も設定されていない初期状態の場合には、カテーテル位置/方向算出部74に算出情報を提供し、カテーテル位置/方向算出部74から現在のカテーテル位置/方向の情報を得る。
【0048】
カテーテル位置/方向算出部74は、カテーテル位置管理部73から提供された情報に基づいて、カテーテルの位置と方向を算出する。また、カテーテル移動判別部75は、カテーテル位置管理部73から提供された情報に基づいて、カテーテル位置/方向が更新(移動)可能か否か、つまりカテーテルの進行可否を判別する。
【0049】
さらにカテーテル位置管理部73は、オーバーレイ作成部76に接続され、オーバーレイ作成部76は、冠動脈の3次元画像上に表示するオーバーレイ画像を作成する。3次元画像としては、例えばIP(Intensity Projection)やSVR(Shaded Volume Rendering)による画像が用いられ、オーバーレイ画像としてはカテーテルの位置と方向を示す矢印(マーカ)画像が作成される。これら3次元画像とオーバーレイ画像のデータは表示部83に供給されて表示される。
【0050】
かくして、冠動脈芯線算出部72、カテーテル位置管理部73、カテーテル位置/方向算出部74、カテーテル移動判別部75、オーバーレイ作成部76は、シミュレーション画像生成部を構成する。
【0051】
また、医用診断支援装置70には、セグメント作成部77、画像表示方向設定部78が設けられている。セグメント作成部77は、入力部82から提供された情報及びカテーテル位置管理部73からの情報に基づいて、冠動脈の3次元画像上に表示するセグメントデータを作成する。画像表示方向設定部78は、表示部83を制御して冠動脈の3次元画像の表示角度を切り替える。
【0052】
医用診断支援装置70では、ユーザに対して事前にX線CT装置100で撮影した画像データを利用して、任意の角度から見た冠動脈の3次元画像を表示することができる。また検査・治療前にカテーテルの挿入シミュレーションを行う。
【0053】
次に医用診断支援装置70の動作を図5のフローチャートを参照して説明する。図5は、X線CT画像データから冠動脈を抽出し、抽出した冠動脈の画像を利用してカテーテル検査のシミュレーションを行う手順を示すものである。
【0054】
シミュレーション画像は、血管内の状況に合わせてカテーテルの進行具合を表示するものであり、カテーテルの先端部を回転させたりしながら病変部(例えば血管の狭窄箇所)まで進行させ、病変部に到達して時点でセグメント(ステント)を表示する。
【0055】
図5のステップS1では、まず、被検体の造影血管画像を収集するために、X線CT装置100において造影剤投与を伴うスキャンが実行され、被検体の3次元画像データが再構成される。再構成された3次元画像データは記憶装置81に保存される。
【0056】
ステップS2では、記憶装置81に保存された3次元画像データを読み出し、3次元画像(3D投影画像および3Dボリューム画像)が表示部83に表示される。3D投影画像としては、最大値投影法(Maximum Intensity Projection)、最小値投影法(Minimum Intensity Projection)または加算平均投影法(X-ray Projection)を切換えて表示することが可能である。これら投影法を総称してIP(Intensity Projection)と呼ぶ。一方、3Dボリューム画像としては、影付きボリュームレンダリング(volume rendering)画像(SVR:Shaded Volume Rendering)を表示するものとする。
【0057】
表示された3D投影画像および3Dボリューム画像には、造影血管とともにシミュレーション上、削除すべき領域が含まれる。また3D投影画像は、3Dボリューム画像で表示されている領域を投影画像として表示するものとする。そのため、3Dボリューム画像に対して領域抽出などのセグメント処理が実行された場合、必然的に3D投影画像の表示も更新される。
【0058】
次のステップS3では、画像データのCT値に基づいて、3Dボリューム画像上から造影血管領域である冠動脈(LCA:左冠動脈,RCA:右冠動脈)のみを抽出する。血管抽出アルゴリズムは、例えば非特許文献1に記載された方法などを利用する。
【0059】
ステップS4では、シミュレーションを行うために必要なパラメータを設定する。各パラメータを設定するGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)の例を図6(a)に示す。GUIは、画面上に操作画面を表示し、各種のパラメータ設定を行うものであり、設定するパラメータとしては例えば図6(a)の左画面に示すように、以下の(a)〜(e)に記載する項目がある。
【0060】
(a)冠動脈の指定:シミュレーション対象となる冠動脈(LCAもしくはRCA)を指定する。
【0061】
(b)開始/終了位置:シミュレーションする範囲(開始位置および終了位置)を指定する。
【0062】
(c)判別条件(衝突角):シミュレーション時にカテーテルが移動可能か否かの判別を行う際の条件であり、カテーテル先端と血管内壁との角度を指定する。
【0063】
(d)判別条件(カテ位置−内壁):シミュレーション時にカテーテルが移動可能か否かの判別を行う際の条件であり、カテーテルと血管内壁間の距離を指定する。
【0064】
(e)ステント長:病変部(狭窄箇所)に留置するステントの長さを設定する。
【0065】
次にステップS5では、ステップS4(項目a)でシミュレーション対象となる冠動脈が指定されたことに伴い、3Dボリューム画像上から指定された冠動脈(LCAもしくはRCA)のみを抽出する。
【0066】
ステップS6では、ステップS4(項目b)で指定されたシミュレーション範囲において、抽出された冠動脈の芯線を抽出する。抽出された芯線は、シミュレーション時のカテーテルの移動経路となる。尚、芯線抽出アルゴリズムは、例えば非特許文献1に記載された方法を利用する。
【0067】
ステップS7では、ステップS6と同様にステップS4(項目b)において指定されたシミュレーション範囲(ここでは、開始位置のみ)を用いて、初期カテーテルの位置と方向を設定する。
【0068】
図7(a)は、血管内でのカテーテルの位置と方向を示す図であり、初期カテーテル位置とは、ステップS4(項目b)で指定された開始位置oのことであり、芯線(点線)上に位置する。カテーテル方向とは、カテーテル位置oを基点として、芯線ベクトルpからある一定の角度θ1で表されたベクトルqのことであり、カテーテル先端部を意味する。
【0069】
即ち、ここでは入力情報に基づき芯線(点線)上にカテーテル位置oを決定する。次にカテーテル位置から直線で数cm離れた芯線上の点Pを求め、芯線ベクトルpを算出する。芯線上の点Pは、カテーテル位置oからシミュレーション終了位置の方向に検索する。
【0070】
またカテーテル位置oを基点として、芯線ベクトルpからθ1だけ傾いたベクトルqを算出する。結果、算出されたベクトルqをカテーテル先端部とする。角度θ1については、シミュレーションの環境設定などで任意に変更できるものとする。
【0071】
カテーテル位置/方向が設定されると、次のステップS8では、ユーザからの新たな入力(カテーテル位置/方向更新要求)を待つ“待機状態”となる。
【0072】
ステップS8において、更新要求があると、ステップS9では、入力部82のマウスからの入力情報に基づいて更新可能か否かの判断を行う。この判断の条件は2つあり、ステップS4(項目c、項目d)で設定された値を用いて行われる。
【0073】
先ず、項目cで設定された衝突角の判断を行う。衝突角は、図7(b)に示すように、カテーテル先端のベクトルqと冠動脈の内壁の接線ベクトルrが成す角度θ2を表し、2つのベクトルの成す角度θ2が、設定された角度よりも鋭角であった場合にカテーテルの移動は不可能と判断される。鋭角であるとカテーテルの先端によって血管内壁を傷つける可能性があるため、カテーテルの移動は不可能とする。
【0074】
即ち、ここではカテーテル先端部が血管内壁と接する位置から数mm離れた内壁上の点Sを求め、内壁ベクトルθ2を算出する。上記内壁上の点Sは、カテーテル先端部が内壁に接した位置からシミュレーション終了位置の方向に検索する。
【0075】
算出された角度θ2が指定された角度より鋭角であった場合、カテーテル位置/方向更新不可と判断する。上記、カテーテル先端部が内壁と接する位置から内壁上の点Sまでの距離、角度θ2については、シミュレーションの環境設定などで任意に変更できるものとする。
【0076】
次に、項目dで設定された「カテ位置−内壁」の判断を行う。図7(c)で示すように、「カテ位置−内壁」は、冠動脈の芯線上に位置するカテーテル位置oから設定されたカテーテル先端部のベクトルが鈍角であっても、冠動脈の内壁に接するまでの距離が、設定された距離よりも長い場合は、カテーテルの移動が不可能と判断される。つまりカテーテルが進もうとする血管本流から支流方向へ行くことを阻止する。
【0077】
即ち、ここではカテーテル位置oから血管内壁に接するまでの距離を算出する。その結果、算出された内壁までの距離が指定された長さより長かった場合、カテーテル位置/方向の更新不可と判断する。カテ位置−内壁として指定された値は、図7(c)のような分岐点の判断に用いられるため、分岐境界線T(分岐していなかった場合の内壁)を考慮して設定することが望ましい。
【0078】
上記2つの条件のいずれかに該当した場合、カテーテル位置の更新要求は破棄され、ステップS8に戻る。
【0079】
ステップS9での判断処理は、入力部82からの入力情報が“カテーテル位置更新要求”である場合にのみ行い、“カテーテル方向更新要求”である場合には無条件で更新されるものとする。
【0080】
入力部82は、例えばマウス821(図4参照)を有し、入力部82からの入力情報は、カテーテル位置の前進/後退および、カテーテル先端方向の回転の3つを想定している。例えば、マウス821の左ボタンをクリックすることでカテーテルの位置を1ステップ前進させ、押し続けることで連続前進させる。またマウス821の右ボタンをクリックすることでカテーテルの位置を1ステップ後退させ、押し続けることで連続後退させる。
【0081】
またホイール822は、カテーテル先端部の方向を指示することができ、ホイール822を上方向に回転させることで、芯線を軸としてカテーテル先端を左方向に回転させ、下方向に回転させることで芯線を軸としてカテーテル先端を右方向に回転させる。
【0082】
尚、マウスに限らず、ユーザが移動量や回転角を指定することができるGUIなどを用いることも可能である。
【0083】
ステップS9において、“カテーテル位置/方向更新可能”が成立した場合、ステップS10では、現在のカテーテル位置/方向情報および入力情報に基づいて、更新後のカテーテル位置/方向が設定される。
【0084】
ステップS10においてカテーテル位置/方向が更新されると、ステップS11では、カテーテル位置がステップS4の項目bで設定された終了位置に達したか否かの判断が行われる。終了位置に達した場合には、これ以降、カテーテル位置/方向の更新要求は受け付けず、ステップS12へ進む。終了位置に達していない場合には、ステップS8に戻り、新たな更新要求を待つ。
【0085】
ステップS12では、カテーテル位置が終了位置に達したことにより、病変部(血管の狭窄箇所)にステントを留置することを想定し、ステップS4の項目eで設定されたステント長を用いてセグメントデータXを作成する。
【0086】
セグメントデータXの作成は、図8(a)で示すように行われる。即ち、作成するセグメントデータの長さはステップS4の項目eで設定されたステント長に相当する。また、作成位置は芯線上の2つの点を直線で結んだ位置となる。
【0087】
図8(a)で示すように芯線上の2つの点は、シミュレーション終了位置から数cm手前の点Uと、その点から項目eで設定された長さだけ離れた芯線上の点Vである。この点UからVまでの距離がユーザによって指定されたステント長である。点U及びVを直線で結んだ位置にセグメントデータXを作成する。結果、作成されたセグメントデータXを膨張前のステントとみなし、ステント留置が行われたものとする。
【0088】
次にステントを膨張して病変部(狭窄箇所)を治療することを想定し、ユーザの膨張要求に基づいて、作成したセグメントデータXを図8(b)で示すように膨張させる。セグメントデータXは、セグメントデータを作成する際に用いた2つの点U−Vを直線で結び、その直線に対して垂直に交わる方向に膨張させる。
【0089】
この結果、図8(c)で示すようにセグメントデータXが血管径とほぼ同等の太さで表示され、ステントの膨張によって病変部(狭窄箇所)が治療されたように表示される。
【0090】
また、入力情報については、GUIにより膨張要求を入力することを想定しているが、GUIに限定せず、マウス281のボタンクリックなどで入力してもよい。
【0091】
尚、シミュレーション終了位置から点Uまでの距離、及びセグメントデータXのCT値、膨張率については、シミュレーションの環境設定などで任意に変更できるものとする。特に、CT値については、画像の収集条件などに依存するために具体的な数値は記載しないが、本発明は抽出後の冠動脈に対して行われるため、冠動脈のCT値以上に設定し、かつそのCT値に対する透明度を不透明にする必要がある。
【0092】
次に、シミュレーション範囲(開始/終了)の設定方法について説明する。図5のステップS4において、シミュレーションに必要なパラメータについて述べたが、ここでは、シミュレーション範囲(開始/終了)の設定方法について詳しく説明する。
【0093】
3Dボリューム画像から、指定された冠動脈(LCA又はRCA)が抽出されると、3Dボリューム画像上には、開始/終了位置オーバーレイが表示される。この開始/終了位置オーバーレイは、図8(a)で示すように冠動脈の芯線(点線)と、この芯線上に位置するカーソルZ(×印)で表わされる。
【0094】
シミュレーション範囲を設定する場合、ユーザは3D画像上に表示されたカーソルZ(図8(a))をマウス821でドラッグし、シミュレーションを開始する位置に移動する。そして図6(a)の開始ボタンを選択すると、カーソルZが表示されている位置が、シミュレーション開始位置として設定される。
【0095】
同様に、カーソルZをマウスでドラッグしてシミュレーションを終了する位置に移動し、図6(a)の終了ボタンを選択する。この結果、カーソルZが表示されている位置が、シミュレーション終了位置として設定される。カーソルZは、開始及び終了位置の設定が完了すると非表示となる。また図6(a)のクリアボタンを選択することで、設定した開始/終了位置を破棄することが可能となる。
【0096】
次にカテーテル位置のオーバーレイ表示について説明する。
【0097】
シミュレーション範囲(開始/終了)の設定が終了すると、図9で示すように、カテーテルの位置と方向を示すオーバーレイYが3D投影画像及び3Dボリューム画像(SVR)上に表示される。尚、図9(a)は3D投影画像を示し、図9(b)は3Dボリューム画像であるSVR画像を示している。
【0098】
表示されたオーバーレイ画像Yは、検査/治療中のカテーテルの先端部とみなされ、ユーザからの入力情報に基づいて、その都度、表示位置/方向を更新ながら表示される。オーバーレイ画像Yは、カテーテル位置がシミュレーション終了位置(病変部)に達した際は、マーカ(矢印)の表示に代えてセグメント(図8(c))の画像Xが表示される。
【0099】
尚、オーバーレイ画像Yの表示例としては、カテーテルの位置と方向を示す矢印形状のマーカが適しているが、カテーテルの位置と方向を表現できる形状であればどんな形でも良い。
【0100】
次に3Dボリューム画像の表示方向について説明する。本発明では、3Dボリューム画像を表示する際に予め複数の表示角度パターンを用意し、任意の角度方向から見た3D画像を表示することができる。表示角度パターンは、被検体を複数の角度方向から見たときの3D画像を意味するものであり、X線CT装置100で再構成処理することにより複数の角度方向から見た冠動脈の3D画像を得ることができる。
【0101】
上記表示角度は、X線循環器診断装置200で冠動脈撮影を行う際の一般的な照射角度と同じであり、実際のカテーテル検査/治療の再現に必要な情報を提供することが可能となる。
【0102】
図6(a)の右の画面は、表示角度パターンを指定する際のGUIを示すものであり、囲み数字1〜8は冠動脈(LCA)を指定する際の被検体の撮影方向を示している。例えば数字1の部分にカーソルを当てた場合は、被検体に正面からX線を照射したときの3D画像を選択することができる。
【0103】
図10は、X線循環器診断装置200でのX線の照射方向を説明する概略説明図である。図10(a)は、X線循環器診断装置200を被検体の側面から見た図であり、図10(b)は被検体の頭部側から見た図である。
【0104】
図10において、アーム50には、X線発生部30とX線検出部40が取り付けられ、寝台51を挟むようにX線発生部30とX線検出部40が対向しており、アーム50は、図10(a)で示すように被検体のCranial(頭部)方向とCaudal(脚部)方向に回転可能である。また図10(b)で示すように被検体の周囲を左右(L−R)方向に回転可能になっている。
【0105】
例えば、X線検出器40がCranial方向とCaudal方向の中間位置にあり、かつL−Rの中間位置にあるときを基準に考えると、この基準ラインA上にある位置は、図6(a)の数字1の点に相当する。また図6(a)の数字2は、基準ラインAに対して、右(R)に30度回転した表示角度を示している。
【0106】
同様に数字3は右(R)に30度とCaudal方向に30度回転し、数字4はCaudal方向に30度回転し、数字5はCranial方向に35〜40度回転した表示角度をそれぞれ示している。他の数字についても、L−R方向とCranial−Caudal方向に所定の角度回転したときの表示角度を示している。
【0107】
また、図6(b)の右の画面は、冠動脈(RCA)を指定する際の被検体の撮影方向を示している。図6(b)の数字9は、基準ラインAに対して、左(L)に50〜60度回転した表示角度を示しており、数字10はCranial方向に30〜40度回転し、数字11は右(R)方向に30度回転した表示角度を示している。したがって、図6(a),(b)の右画面において、表示角度(数字1〜11)を選択することにより、ユーザが希望する角度の3D画像を表示することができる。
【0108】
また図6(a),(b)おける回転ボタンを選択することで、それぞれの表示角度パターンをさらに+90°回転した方向で表示することも可能である。この場合は、回転ボタンを選択した状態で各数字のボタンを選択することで、選択された数字の角度に3Dボリューム画像を回転後、さらにスクリーン座標系の例えばX軸で+90°回転した角度で表示することができる。したがって検査/治療時の透視画像からは得ることのできない、冠動脈の奥行き方向に対する重なり状態を表示することができる。
【0109】
図9に示す3D画像の表示角度は、図6(a),(b)に右画面で示すGUIにて指定することができ、シミュレーション対象となる冠動脈(LCA又はRCA)の違いによって、指定できる表示角度も異なる。尚、実際の表示画面としては、図9(a)又は(b)の画像と、図6(a)又は(b)のGUIが同一画面に表示され、表示角度の指定が容易になるようにしている。
【0110】
こうして本発明の第1の実施形態では、図4に示す医用診断支援装置70を画像観察端末400に備えることで、ユーザは事前にX線CT装置100で撮影した画像データを利用して、検査・治療前に3D画像の表示とともにカテーテルの挿入シミュレーションを行うことができる。
【0111】
尚、図4に示す構成をX線CT装置100に備えることにより、シミュレーション機能を有する放射線診断装置を提供することができる。この場合、図4に示す医用診断支援装置70は、図2の画像データ処理部26内に組み込み、記憶装置81、入力部82、表示部83は、図2のデータ記憶部24、入力部23、表示部27で兼用すればよい。
【実施例2】
【0112】
本発明の第2の実施形態は、カテーテル検査/治療中のガイド機能を備えた放射線診断装置に関するものであり、前述のシミュレーション機能の一部を利用したものである。
【0113】
即ち、図4に示す医用診断支援装置70をX線循環器診断装置200に備えることにより、ガイド機能を有する放射線診断装置を提供するものである。この場合、図4に示す医用診断支援装置70と記憶装置81は、図3の画像データ生成・記憶部52内に組み込み、入力部82、表示部83は、図3の入力部53とモニタ55で兼用すればよい。
【0114】
この実施形態では、X線循環器診断装置200によって得られた実際の透視像を表示するともに、X線CT装置100で事前に収集され、再構成された3次元画像データを読み込み、その画像データのCT値に基づいて冠動脈の3次元画像を任意の表示角度で表示することができる。冠動脈の3次元画像は、カテーテル挿入時のガイド画像となる。
【0115】
第2の実施形態では、図4の主に冠動脈抽出部71と画像表示方向設定部78を使用する。冠動脈抽出部71は、記憶装置に保存されているX線CT装置100で収集/再構成された3次元画像データを読み込み、その画像データのCT値に基づいて冠動脈(LCA:左冠動脈,RCA:右冠動脈)を抽出し、モニタ55に冠動脈の3次元画像(例えばSVR:Shaded Volume Rendering)を表示する。
【0116】
また画像表示方向設定部78は、冠動脈の3次元画像をユーザによって指定された表示角度で表示するように設定する。また冠動脈の3次元画像は、X線循環器診断装置200によって得られた透視像と共に表示部83に表示される。
【0117】
これにより、ユーザは冠動脈の3次元画像を見ながら、その表示角度を任意に変えることでカテーテル検査/治療を行うことができる。また実際の透視像も表示されるため、カテーテル検査/治療の支援をすることができる。
【0118】
図11は、第2の実施形態によるX線循環器診断装置200の動作を説明するフローチャートである。図11のステップS21では、先ず被検体の造影血管画像を収集するために、X線CT装置100により造影剤投与を伴うスキャンが実行され、被検体の3次元画像データが再構成される。再構成された3次元画像データは記憶装置81に保存される。
【0119】
次に、ステップS22では、記憶装置81に保存された3次元画像データに基づく3Dボリューム画像が表示される。3Dボリューム画像は、影付きボリュームレンダリング画像(SVR:Shaded Volume Rendering)を表示するものとする。
【0120】
表示された3Dボリューム画像には、造影血管とともにシミュレーション上削除すべき領域が含まれる。そこで、ステップS23では、画像データのCT値に基づいて3Dボリューム画像上から造影血管領域(冠動脈(LCA:左冠動脈,RCA:右冠動脈))のみを抽出する。冠動脈抽出アルゴリズムについては非特許文献1に記載されている方法等を用いる。
【0121】
次に、ガイド機能を行うためにステップS24では、必要なパラメータを設定する。ここでは、ガイド対象となる冠動脈(LCAもしくはRCA)の指定を行う。冠動脈(LCAもしくはRCA)の指定については、図6のGUI(左画面)の中のLCAもしくはRCAのいずれかの項目を選択する。
【0122】
最後に、ステップS25では、ステップS24においてガイド機能対象となる冠動脈が指定されたことに伴い、3Dボリューム画像上から指定された冠動脈(LCAもしくはRCA)のみを抽出し、カテーテル検査/治療中のガイド画像として表示する。
【0123】
上記ガイド機能では、3Dボリューム画像の表示方向を設定することができる。表示方向の設定についてはシミュレーション時の3Dボリューム画像の表示角度の設定と同様に、図6のGUI(右画面)を利用して行う(ここでの説明は割愛する)。
【0124】
こうして表示部83には、図12(a)で示すX線循環器診断装置200によって得られた透視像と、図12(b)で示す冠動脈の3次元画像がともに表示される。
【0125】
さらに、シミュレーション時に病変部(狭窄箇所)として特定した箇所(図7(c)のセグメントデータに相当)を、ガイド機能時の3Dボリューム画像上にオーバーレイ画像として表示しても良い。これにより、病変部の位置が予め特定されるため、カテーテルを挿入する経路が把握し易くなる。
【0126】
また、このオーバーレイ画像は常に表示されているのではなく、ユーザの入力情報に基づいて表示/非表示できるものとし、形状についても、病変部が把握でき、かつ、ガイド機能としてユーザに提供する情報量を著しく減少させないものであれば良い。
【実施例3】
【0127】
実施例1では、静止画像を用いたシミュレーションについて説明した。しかしながら、実際のカテーテル操作は、心臓などが動いているため、動きのある透視画像を見ながら行われる。したがって、シミュレーションにおいても、静止画の代わりに動画を用いるほうがよりリアルなイメージを提供することができる。
【0128】
また、カテーテル操作中には、血管を見やすくするために造影剤が注入される。したがって、造影剤の注入による血管画像の変化をシミュレートすることによっても、よりリアルなイメージを提供することができる。尚、シミュレーション時には、カテーテル操作時のX線透視画像を想定したMIP画像も表示される。したがって、MIP画像においても造影剤の注入による血管画像の変化をシミュレートすることによって、よりリアルなイメージを提供することができる。
【0129】
そこで、本実施の形態3では、動画像を用いるとともに造影剤の注入をシミュレートすることによって、よりリアルなイメージを提供することができる医用診断支援装置について説明する。
【0130】
まず、本実施の形態3に係る医用診断支援装置の構成について説明する。図13は、本実施の形態3に係る医用診断支援装置の構成を示すブロック図である。尚、ここでは説明の便宜上、図4に示した各部と同様の役割を果たす機能部については同一符号を付すこととしてその詳細な説明を省略する。
【0131】
ただし、この医用診断支援装置90は、複数の時相のSVR画像をシネ表示する。したがって、この医用診断支援装置90の各機能部は、複数時相の画像データを対象として機能する。例えば、記憶装置81は、複数時相の画像データを記憶し、冠動脈抽出部71は、複数時相の各時相で冠動脈を抽出する。
【0132】
図13に示すように、この医用診断支援装置90は、図4に示した医用診断支援装置70と比較して、さらに表示制御部91とユーザインタフェース部92とを有する。
表示制御部91は、冠動脈抽出部71が画像データから抽出した複数時相の冠動脈画像を表示部83に繰り返しシネ表示(動画表示)する。ここで、複数時相の画像データとしては、1回の造影剤の注入による描出変化を表す分の画像データが用いられる。図14は、1回の造影剤の注入による描出変化を心電図波形及び冠動脈流速変化と対応させて表した図である。表示制御部91は、図14に示す描出変化に対応する動画像を繰り返し表示する。
【0133】
具体的には、この表示制御部91は、SVR画像の描画条件の1つである不透明度(0.0〜1.0)を図14に示す描出変化に対応させて時相毎に設定し、各時相において、現在のカテーテル位置から抹消血管までの冠動脈のみを抽出して表示する。術中、R1のタイミングで造影剤を注入した場合、冠動脈の流速により、R1−R2間で冠動脈が勢いよく描出され、約3心拍後には冠動脈は完全に描出されなくなる。この造影剤による描出変化を不透明度の設定に適用する。例えば、時相データ数が30時相(R−R間の時相データ数が10時相)と仮定した場合、造影剤注入時(1時相目)の不透明度を最小値(0.0)、7時相目付近を最大値(1.0)、最終時相を最小値(0.0)に設定する。
【0134】
このように、表示制御部91が、不透明度を時相毎に設定し、各時相において、現在のカテーテル位置から抹消血管までの冠動脈のみを抽出してシネ表示することによって、心臓の動きやカテーテルからの造影剤の注入状況を反映した画像を表示することができる。
【0135】
尚、ここでは、最大値を1.0に設定するが、最大値の1.0は固定ではなく、任意に変更することができる。カテーテルの操作では、少しずつ造影剤を注入することが多く、不透明度が最大値までは達しないことも多い。最大値を可変とすることによって、より造影剤の注入状況を反映した画像を表示することができる。
【0136】
また、この表示制御部91は、術中のX線透視画像を想定したMIP画像を表示する際に、各時相の画像データの輝度を変えてシネ表示する。具体的には、ユーザに以下の手順で輝度を設定させ、ユーザにより設定された輝度(最大値/最小値)を基に、表示制御部91は全ての時相の輝度を設定する。
(1)1時相目の画像を表示し、輝度(最小値)を設定する。
(2)図15に示すパラメータ設定GUI上の最小輝度ボタンを選択する。
(3)7時相目付近の画像データを表示し、輝度(最大値)を設定する。
(4)図15に示すパラメータ設定GUI上の最大輝度ボタンを選択する。
【0137】
尚、この表示制御部91は、オーバーレイ作成部76が作成したオーバーレイ、セグメント作成部77が作成したセグメントを表示部83に表示する。また、この表示制御部91は、表示方向設定部78の指示に基づいて冠動脈の表示角度を切り替える。
ユーザインタフェース部92は、ユーザの指示に基づいてシミュレーション用パラメータを設定する。例えば、このユーザインタフェース部92は、ステントの長さや判別条件などを設定する。
【0138】
また、このユーザインタフェース部92は、図16に示すように、シミュレーションの開始/終了位置を全時相の画像に対して設定する。具体的には、ユーザは、1時相目の画像に対して実施の形態1で説明した方法で開始/終了位置を設定する。すると、このユーザインタフェース部92は、1時相目の画像データ上で指定された開始/終了位置の情報から、冠動脈のどの血管に対して設定されたのかを判別し、さらに、開始位置から終了位置までの距離を算出することで、全ての時相の画像データに対して開始/終了位置を設定する。尚、開始/終了位置が冠動脈のどの血管に対して設定されたかの判別は、冠動脈を抽出した際に、左冠動脈前室間枝(LAD)や左冠動脈回旋枝(LCX)などの詳細を抽出しておくことによって行うことができる。
【0139】
次に、医用診断支援装置90の動作を図17のフローチャートを参照して説明する。図17は、X線CT画像データから冠動脈を抽出し、抽出した冠動脈の画像を利用してカテーテル検査のシミュレーションを開始するまでの手順を示すものである。
【0140】
図17のステップS31では、まず、シネ表示を行うために、X線CT装置100において造影剤投与を伴うスキャンが実行され、被検体の複数時相の3次元画像データが再構成される。再構成された複数時相の3次元画像データは記憶装置81に保存される。
【0141】
ステップS32では、記憶装置81に保存された1時相目の3次元画像データを読み出し、1時相目の3次元画像(3D投影画像および3Dボリューム画像)が表示部83に表示される。次のステップS33では、画像データのCT値に基づいて、各時相の3Dボリューム画像上から造影血管領域である冠動脈を抽出する。
【0142】
ステップS34では、シミュレーションを行うために必要なパラメータ、即ち、対象とする冠動脈(LCAもしくはRCA)、開始/終了位置、判別条件、ステント長などを設定する。ここで、開始/終了位置については、ユーザは1時相目だけを指定し、他の時相については、医用診断支援装置90が自動的に設定する。
【0143】
次にステップS35では、ステップS34でシミュレーション対象として指定された冠動脈(LCAもしくはRCA)を各時相で抽出する。ステップS36では、ステップS34で指定されたシミュレーション範囲において、抽出された冠動脈の芯線を各時相で抽出する。ステップS37では、各時相の開始位置に基づいて、初期カテーテルの位置と方向を各時相で設定する。そして、シネ表示を開始するとともに、ユーザからの入力(カテーテル位置/方向更新要求)を待つ“待機状態”となる。
【0144】
上述してきたように、本実施の形態3では、複数時相の画像データを用いて冠動脈の3次元画像をシネ表示することとしたので、よりリアルなイメージのシミュレーション環境を提供することができる。また、造影剤による描出変化をSVR画像の不透明度およびMIP画像の輝度を用いて表すとともにカテーテルの位置から先の抹消血管までの冠動脈のみを描出することとしたので、さらにリアルなイメージのシミュレーション環境を提供することができる。尚、SVR画像やMIP画像などの3D画像表示を透視投影表示することによって、より術中に近い感覚が得られるようにすることもできる。
【0145】
以上、述べたように本発明では、カテーテル検査を行う前に、検査(治療)に必要な情報を十分に得ることができ、シミュレーション画像又はガイド画像を見ることで検査/治療の支援を行うことができ、安全性の向上に寄与することができる。また検査/治療時間の短縮と被検体への負担低減を図ることができる。
【0146】
尚、以上の説明では冠動脈の画像を抽出する例を説明したが、他の血管部の画像を抽出してシミュレーション画像又はガイド画像を表示することもできる。また本発明の実施形態は以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の医用診断支援装置が適用された医用システムを示す構成図。
【図2】本発明の放射線診断装置であるX線CT装置の一例を示すブロック図。
【図3】本発明の放射線診断装置であるX線循環器診断装置の一例を示すブロック図。
【図4】本発明の医用診断支援装置の一実施形態を示すブロック図。
【図5】同実施形態の動作を説明するフローチャート。
【図6】同実施形態に係るパラメータ設定用のGUI画面を示す説明図。
【図7】同実施形態に係るカテーテルの位置と方向の更新判断を説明する説明図。
【図8】同実施形態に係るセグメントデータの作成と膨張を説明する説明図。
【図9】同実施形態に係る表示部でのシミュレーション画像を示す説明図。
【図10】本発明の放射線診断装置であるX線循環器診断装置の動きを概略的に説明する説明図。
【図11】本発明の放射線診断装置の他の実施形態の動作を説明するフローチャート。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る表示部でのガイド画像を示す説明図。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る医用診断支援装置の構成を示すブロック図。
【図14】1回の造影剤の注入による描出変化を心電図波形及び冠動脈流速変化と対応させて表した図。
【図15】第3の実施形態に係るパラメータ設定用のGUI画面を示す説明図。
【図16】全時相の画像データに対する開始/終了位置の設定を示す図。
【図17】第3の実施形態に係る医用診断支援装置の動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0148】
100 X線CT装置(放射線診断装置)
200 X線循環器診断装置(放射線診断装置)
300 医用画像サーバ
400 画像観察端末
500 PC
70,90 医用診断支援装置
71 冠動脈抽出部
72 冠動脈芯線算出部
73 カテーテル位置管理部
74 カテーテル位置/方向算出部
75 カテーテル移動判別部
76 オーバーレイ作成部
77 セグメント作成部
78 表示方向設定部
81 記憶装置
82 入力部
83 表示部
91 表示制御部
92 ユーザインタフェース部
821 マウス
822 ホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮影して得た3次元画像データから観察対象となる血管部の画像データを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された血管部のレンダリング画像を表示可能な表示部と、
前記抽出された血管部のレンダリング画像をユーザの指定した表示角度で前記表示部に表示する表示方向設定部と、
前記抽出部によって抽出された血管部にカテーテルを挿入したときの前記カテーテルの進行をシミュレートして、前記カテーテルの位置と進行方向を示すマーカを前記血管部のレンダリング画像に重畳するシミュレーション画像生成部と、
を具備した医用診断支援装置。
【請求項2】
前記表示角度は、X線診断装置で被検体を撮影するときの撮影角度に対応させた請求項1記載の医用診断支援装置。
【請求項3】
前記表示部に表示される前記血管部のレンダリング画像は、X線投影画像又は3Dボリューム画像である請求項1記載の医用診断支援装置。
【請求項4】
前記表示部に表示される前記血管部のレンダリング画像は、X線投影画像又は3Dボリューム画像である請求項2記載の医用診断支援装置。
【請求項5】
前記被検体を撮影して得た3次元画像データは、X線CT装置、あるいは磁気共鳴診断装置において収集された画像データを再構成したデータで成り、前記被検体を異なる複数の角度方向から見たときのレンダリング画像を含み、
前記表示方向設定部は、前記ユーザによって指定された表示角度の前記血管部のレンダリング画像を選択して前記表示部に供給する請求項1記載の医用診断支援装置。
【請求項6】
前記異なる複数の角度方向は、X線診断装置で被検体を複数の撮影方向から撮影するときの撮影角度に対応させた請求項5記載の医用診断支援装置。
【請求項7】
前記シミュレーション画像生成部は、
前記抽出部によって抽出された血管の芯線を算出する芯線算出部と、
前記抽出された血管部内でのカテーテルの位置と方向を算出するカテーテル位置/方向算出部と、
前記血管部の状況に応じて前記カテーテルの進行可否を判別するカテーテル移動判別部と、
前記芯線算出部によって得られた芯線情報及びユーザからの入力情報に基づいて、前記カテーテル位置/方向算出部及び前記カテーテル移動判別部と協同して前記カテーテルの位置を決定するカテーテル位置管理部と、
前記カテーテル位置管理部によって得られた情報に基づいて、前記カテーテルの位置と進行方向を示すマーカ情報を生成するオーバーレイ作成部と、
を具備した請求項1記載の医用診断支援装置。
【請求項8】
前記シミュレーション画像生成部は、前記シミュレーションを行うために必要なパラメータを設定するGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)によって、少なくとも前記カテーテルの先端と前記血管内壁間の距離、及び前記血管内壁に対する前記カテーテルの先端の衝突角をユーザにより設定可能にし、前記設定したパラメータをもとに前記カテーテルの進行可否を判別する請求項7記載の医用診断支援装置。
【請求項9】
前記カテーテル位置管理部によって得られた情報、及びユーザからの入力情報に基づいて前記カテーテルが前記血管部の病変部に到達した際に、ステントを表すセグメントデータを作成するセグメント作成部を備え、前記マーカに代えて前記セグメントデータに基づく画像を前記血管部のレンダリング画像に重畳して表示する請求項7記載の医用診断支援装置。
【請求項10】
前記セグメント作成部は、ユーザからの入力情報に基づいて前記ステントの長さを設定可能にした請求項9記載の医用診断支援装置。
【請求項11】
前記抽出部は、複数時相の3次元画像データから観察対象となる血管部の画像データをそれぞれ抽出し、
前記表示部は、複数時相のレンダリング画像を動画表示し、
前記シミュレーション画像生成部は、複数時相のレンダリング画像のそれぞれに前記マーカを重畳する請求項1記載の医用診断支援装置。
【請求項12】
前記抽出部により抽出された画像データおよび前記シミュレーション画像生成部によりシミュレートされたカテーテルの進行に基づいて、カテーテルから注入される造影剤の動きをシミュレートするレンダリング画像を生成する造影剤シミュレーション画像生成部を備え、
前記表示部は、前記造影剤シミュレーション画像生成部により生成されたレンダリング画像を動画表示する請求項11記載の医用診断支援装置。
【請求項13】
X線診断装置によって被検体の透視画像データを生成する投影画像データ生成部と、
前記被検体をX線CT装置、あるいは磁気共鳴診断装置によって撮影して得た3次元画像データを入手し、観察対象となる血管部の画像データを抽出する抽出部と、
前記抽出部によって抽出された血管部のレンダリング画像の表示角度をユーザの指定に基づいて設定する表示方向設定部と、
前記投影画像データ生成部によって生成した前記血管部の透視画像とともに、前記ユーザによって指定された表示角度の血管部のレンダリング画像を表示可能な表示部と、
を具備したことを特徴とする放射線診断装置。
【請求項14】
前記被検体の血管部にカテーテルを挿入して検査又は治療を行う際に、前記血管部のレンダリング画像をガイド画像として表示する請求項13記載の放射線診断装置。
【請求項15】
被検体を撮影して得た3次元画像データから観察対象となる血管部の画像データを抽出し、
前記抽出した血管部にカテーテルを挿入したときの前記カテーテルの進行をシミュレーシュンして前記カテーテルの位置と進行方向を示すマーカを作成し、
前記抽出された血管部の3次元画像をユーザの指定した表示角度で表示部に表示し、前記血管部の3次元画像に前記マーカを重畳して表示する、
ことを含んだ医用診断支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−22733(P2009−22733A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102782(P2008−102782)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】