説明

半導体回路装置、その製造方法及びそのシミュレーション方法

【課題】レイアウト変更によって半導体回路装置を構成するトランジスタの電流駆動能力をPMISトランジスタ及びNMISトランジスタでそれぞれ最適化できるようにする。
【解決手段】半導体回路装置は、半導体基板1に形成された第1の活性領域3及びその上に形成された第1のゲート電極6pを有するPMISトランジスタ40と、第1の活性領域3と間隔をおいて形成された第2の活性領域4及びその上に形成された第2のゲート電極6nを有するNMISトランジスタ50と、第1のゲート電極6pの両側方で且つその側面から所定の距離以内の領域にそれぞれ形成されたダミーゲート10と、MISトランジスタ40、50を覆うように形成された応力を有するライナ膜11とを有している。ダミーパターンは、第2のゲート電極の両側方における所定の距離以内の領域には形成されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計レイアウトの最適化によりトランジスタの能力を向上する半導体回路装置、その製造方法及びそのシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロプロセッサに代表される大規模集積化回路(LSI:Large Scale Integrated Circuit)は、一般にセルと呼ばれ、それぞれ基本機能を持つ複数の単位回路を組み合わせることにより構成されている。LSI回路の高性能化及び高集積化に伴い、該LSI回路の根幹を成すセルの回路設計を高精度に行なうためのコンピュータ援用設計(CAD:Computer Aided Design)ツールの役割が重要度を増してきている。
【0003】
設計精度に深く関わるCADツールの1つに回路シミュレータがある。回路シミュレータは、設計されたセル及びLSI回路を対象として、MIS(metal insulator semicondoctor)トランジスタ、容量素子及び抵抗素子等の各素子の接続情報、並びにトランジスタサイズすなわちトランジスタ幅とトランジスタ長、容量値及び抵抗値等の各素子の特性情報を含むネットリストに基づいて、実際に製造されたセル及びLSI回路の動作を想定したシミュレーションを行なう。
【0004】
ネットリストは、例えば、設計されたセルのマスクレイアウトデータから、配置された各素子の特性情報と接続情報とを回路情報抽出装置(LPE:layout parameter extractor)によって抽出することにより生成される。
【0005】
MISトランジスタの特性情報として、MISトランジスタの複雑な電気特性を回路シミュレータ上で高精度に再現するために、数多くの電気特性式(以下、トランジスタモデルと呼ぶ。)が開発されている。このトランジスタモデルにより、所望のトランジスタの特性を再現するには、該トランジスタモデルに含まれるモデルパラメータを所望のトランジスタの特性に合わせて最適化する(以下、モデルパラメータの抽出と呼ぶ。)必要がある。
【特許文献1】特開2000−112114号公報
【特許文献2】特開2003−264242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年の半導体回路装置の微細化されたMISトランジスタの製造プロセスにおいては、特許文献2に示されているように、素子分離膜である例えばトレンチ素子分離(STI:shallow trench isolation)により生じる応力によって、素子の特性が変動するように、従来のMISトランジスタにおける電流駆動能力の決定要因であったトランジスタ幅Wとトランジスタ長Lとのスケーリングだけでは、MISトランジスタの電流駆動能力を決定することができないという問題がある。
【0007】
STIによる応力と同様に、MISトランジスタの電流駆動能力を決定する要因を突き止めなければ、レイアウトに起因した特性ばらつきが増大し、また、回路シミュレーションの誤差が増大するため、半導体回路装置の適切な設計が困難となる。
【0008】
例えば、STIによる応力以外にも、MISトランジスタはそれを構成する材料によって、チャネル領域に種々のストレス(応力)が掛かっていることが知られている。このストレスのうちのいくつかを図12を用いて説明する。図12に示すように、シリコンからなる半導体基板101の上部に形成されたSTIからなる素子分離領域102により区画されてなる活性領域の上には、ゲート絶縁膜103を介在させたポリシリコンからなるゲート電極104と、該ゲート電極104の両側面上に形成された絶縁性のサイドウォール105とが形成されている。半導体基板101の活性領域におけるゲート電極104の両側方には、ソースドレイン拡散層106が形成され、該ソースドレイン拡散層106の上部にはシリサイド層107が形成されている。また、半導体基板101の主面上には、ゲート電極104及びサイドウォール105を含む前面にわたって絶縁膜108が形成されている。
【0009】
絶縁膜108は、例えばゲート電極104又はソースドレイン拡散層106と上層配線とを電気的に接続するためのコンタクトホールを層間絶縁膜(図示せず)に形成する際のエッチング時のエッチストップ膜として形成される。このようなトランジスタの全体を被覆して形成される絶縁膜108によっても、チャネル領域101aに対してストレスが掛かる。絶縁膜108はその組成によってストレスの性質が異なるが、近年の半導体回路装置に用いられるシリコン窒化膜の場合は、一般にチャネル領域101aのゲート長方向(2つのソースドレイン拡散層106を結ぶ方向)に対して引っ張りストレスが生じる。このとき、絶縁膜108に窒化シリコンを用いた場合の絶縁膜108によるチャネル領域101aに対する引っ張りストレスは、絶縁膜108におけるソースドレイン拡散層106の上側からゲート長方向に連続する平坦部分が長い程大きい。
【0010】
また、ポリシリコンからなるゲート電極104及びシリコンからなるソースドレイン拡散層106の各抵抗値を低減するために用いられるシリサイド技術においても、シリサイド層107によってチャネル領域101aに引っ張りストレスが生じる。このシリサイド層107によるチャネル領域101aに対する引っ張りストレスは、シリサイド層107のゲート長方向の寸法が長い程大きい。
【0011】
本発明は、前記従来の問題を解決し、半導体製造プロセスを変更することなく、レイアウト変更によって、半導体回路装置を構成するトランジスタの電流駆動能力をPMISトランジスタ及びNMISトランジスタでそれぞれ最適化できると共に、本発明の半導体回路装置に適用可能なシミュレーション環境を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明は、半導体回路装置のMISトランジスタを覆う絶縁膜を、PMISトランジスタにのみ活性領域上にゲート長方向に連続する平坦部分の長さを所定の範囲以下とする構成とする。
【0013】
具体的に、本発明に係る第1の半導体回路装置は、半導体基板に形成された第1の活性領域及び該第1の活性領域の上に形成された第1のゲート電極を有するPMISトランジスタと、半導体基板に形成され、第1の活性領域と間隔をおいて形成された第2の活性領域及び該第2の活性領域の上に形成された第2のゲート電極を有するNMISトランジスタと、半導体基板上における第1のゲート電極の両側方で且つ該第1のゲート電極の側面から第1の所定の距離以内の領域にそれぞれ形成されたダミーパターンと、半導体基板の上にPMISトランジスタ及びNMISトランジスタを覆うように形成され、応力を有する絶縁膜とを備え、ダミーパターンは、第2のゲート電極の両側方における第1の所定の距離以内の領域には形成されていないことを特徴とする。
【0014】
第1の半導体回路装置によると、PMISトランジスタ及びNMISトランジスタを覆う絶縁膜に対して、PMISトランジスタにのみ第1の活性領域上にゲート長方向に連続する平坦部分の長さが第1の所定の距離以内となる。さらに、ダミーパターンはNMISトランジスタを構成する第2のゲート電極の両側方における第1の所定の距離以内の領域には形成されていない。これにより、後述するように、PMISトランジスタにおいては、絶縁膜の平坦部分がゲート長方向に第1の所定の距離と比べて等しいか小さくなるため、PMISトランジスの電流駆動能力が向上する。一方、NMISトランジスタにおいては、絶縁膜の平坦部分がゲート長方向に第1の所定の距離と比べて大きくなるため、NMISトランジスの電流駆動能力が向上する。
【0015】
第1の半導体回路装置において、ダミーパターンは、各ゲート電極の機能を持たないダミーゲートパターンであり且つ電気的に浮遊状態にあることが好ましい。
【0016】
また、第1の半導体回路装置において、ダミーパターンは、各ゲート電極の機能を持たないダミーゲートパターンであり且つ電源端子と接続されていることが好ましい。
【0017】
第1の半導体回路装置において、第1の活性領域及び第2の活性領域は平面方形状であって、且つ、第1の活性領域における第1のゲート電極の側方に位置する領域及び第2の活性領域における第2のゲート電極の側方に位置する領域の各上部はシリサイド化されており、第1のゲート電極の一側面と第1の活性領域における一側面と対向する辺との距離は第2の所定の距離以下であり、第2のゲート電極の一側面と第2の活性領域における一側面と対向する辺との距離は第2の所定の距離よりも大きいことが好ましい。
【0018】
本発明に係る第2の半導体回路装置は、半導体基板に形成された第1の活性領域、並びに該第1の活性領域の上に互いに間隔をおいて形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極を有するPMISトランジスタと、半導体基板に形成され、第1の活性領域と間隔をおいて形成された第2の活性領域及び該第2の活性領域の上に互いに間隔をおいて形成された第3のゲート電極及び第4のゲート電極を有するNMISトランジスタと、半導体基板上における第1のゲート電極に対する第2のゲート電極の反対側の領域で且つ第1のゲート電極の側面から第1の所定の距離以内の領域に形成された第1のダミーパターンと、半導体基板上における第2のゲート電極に対する第1のゲート電極の反対側の領域で且つ第2のゲート電極の側面から第1の所定の距離以内の領域に形成された第2のダミーパターンと、半導体基板の上にPMISトランジスタ、NMISトランジスタ、第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンを覆うように形成され、応力を有する絶縁膜とを備え、第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンは、第3のゲート電極及び第4のゲート電極における互いに対向する対抗面の反対側の側面から第1の所定の距離以内の領域には形成されていないことを特徴とする。
【0019】
第2の半導体回路装置によると、2本のゲート電極を互いに間隔をおいて併置されたPMISトランジスタ及びNMISトランジスタを覆う絶縁膜に対して、PMISトランジスタにのみ外側に設けられた第1及び第2のダミーパターンによって、第1の活性領域上にゲート長方向に連続する平坦部分の長さが第1の所定の距離以内となる。さらに、第1及び第2のダミーパターンはNMISトランジスタを構成する第3及び第4のゲート電極における外側の両側方の第1の所定の距離以内の領域には形成されていない。これにより、PMISトランジスタにおいては、絶縁膜の平坦部分がゲート長方向に第1の所定の距離と比べて等しいか小さくなるため、PMISトランジスの電流駆動能力が向上する。一方、NMISトランジスタにおいては、絶縁膜の平坦部分がゲート長方向に第1の所定の距離と比べて大きくなるため、NMISトランジスの電流駆動能力が向上する。
【0020】
第2の半導体回路装置において、第1のゲート電極と第1のダミーパターンとの間隔及び第2のゲート電極と第2のダミーパターンとの間隔は、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間隔と同一であることが好ましい。
【0021】
第2の半導体回路装置において、第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンは、各ゲート電極の機能を持たないダミーゲートパターンであり且つ電気的に浮遊状態にあることが好ましい。
【0022】
また、第2の半導体回路装置において、第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンは、各ゲート電極の機能を持たないダミーゲートパターンであり且つ電源端子と接続されていることが好ましい。
【0023】
第2の半導体回路装置において、第1の活性領域及び第2の活性領域は、平面方形状であって、且つ、第1の活性領域における第1のゲート電極及び第2のゲート電極の側方に位置する領域、及び第2の活性領域における第3のゲート電極及び第4のゲート電極の側方に位置する領域の各上部はシリサイド化されており、第1のゲート電極及び第2のゲート電極における互いの対向側面の反対側の各側面と第1の活性領域における各側面とそれぞれ対向する辺との距離はそのいずれもが第2の所定の距離以下であり、第3のゲート電極及び第4のゲート電極における互いの対向側面の反対側の各側面と第2の活性領域における各側面とそれぞれ対向する辺との距離はそのいずれもが第2の所定の距離よりも大きいことが好ましい。
【0024】
第1又は第2の半導体回路装置において、絶縁膜が有する応力は引っ張り内部応力であることが好ましい。
【0025】
この場合に、絶縁膜はシリコン窒化膜であることが好ましい。
【0026】
第1又は第2の半導体回路装置において、第1の所定の距離及び第2の所定の距離は、それぞれ0.5μmであることが好ましい。
【0027】
本発明に係る第1の半導体回路装置の製造方法は、少なくとも上部にシリコンからなる半導体層を有する半導体基板の上部に素子分離絶縁膜を形成することにより、素子分離絶縁膜により区画された第1の活性領域及び第2の活性領域を形成する工程(a)と、第1の活性領域及び第2の活性領域の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極形成用の導電膜を順次形成する工程(b)と、導電膜に対してパターニングを行なって、第1の活性領域の上に、導電膜から、第1のゲート電極と、該第1のゲート電極の両側方で且つ該第1のゲート電極の側面から第1の所定の距離以内の領域にダミーゲートパターンとを形成すると共に、第2の活性領域の上に第2のゲート電極を形成する工程(c)と、第1のゲート電極及び第2のゲート電極をマスクとして、第1の活性領域及び第2の活性領域に不純物イオンを注入して、第1の活性領域及び第2の活性領域にそれぞれソースドレイン拡散層を形成することにより、第1の活性領域にPMISトランジスタを形成すると共に、第2の活性領域にNMISトランジスタを形成する工程(d)と、半導体基板の上にPMISトランジスタ及びNMISトランジスタを覆うように、応力を有する絶縁膜を形成する工程(e)とを備え、工程(c)において、第2のゲート電極の両側方における第1の所定の距離以内の領域には前記ダミーゲートパターンが形成されないことを特徴とする。
【0028】
第1の半導体回路装置の製造方法は、工程(c)において、導電膜をパターニングした後、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の各側面上に絶縁性のサイドウォールを形成する工程を含むことが好ましい。
【0029】
本発明に係る第2の半導体回路装置の製造方法は、少なくとも上部にシリコンからなる半導体層を有する半導体基板の上部に素子分離絶縁膜を形成することにより、素子分離絶縁膜により区画された第1の活性領域及び第2の活性領域を形成する工程(a)と、第1の活性領域及び第2の活性領域の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極形成用の導電膜を順次形成する工程(b)と、導電膜に対してパターニングを行なって、第1の活性領域の上に、導電膜から、互いに間隔をおいて並行に延びる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、第1のゲート電極に対して第2のゲート電極の反対側の領域で且つ第1のゲート電極の側面から所定の距離以内の領域に第1のダミーゲートパターンと、第2のゲート電極に対して第1のゲート電極の反対側の領域で且つ第2のゲート電極の側面から所定の距離以内の領域に第2のダミーゲートパターンとを形成すると共に、第2の活性領域の上に、導電膜から互いに間隔をおいて並行に延びる第3のゲート電極及び第4のゲート電極を形成する工程(c)と、第1のゲート電極、第2のゲート電極、第3のゲート電極及び第4のゲート電極をマスクとして、第1の活性領域及び第2の活性領域に不純物イオンを注入して、第1の活性領域及び第2の活性領域にそれぞれソースドレイン拡散層を形成することにより、第1の活性領域にPMISトランジスタを形成すると共に、第2の活性領域にNMISトランジスタを形成する工程(d)と、半導体基板の上にPMISトランジスタ及びNMISトランジスタを覆うように、応力を有する絶縁膜を形成する工程(e)とを備え、工程(c)において、第3のゲート電極及び第4のゲート電極における互いに対向する対抗面の反対側の側面から所定の距離以内の領域には第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンが形成されないことを特徴とする。
【0030】
第2の半導体回路装置の製造方法は、工程(c)において、導電膜をパターニングした後、第1のゲート電極、第2のゲート電極、第3のゲート電極及び第4のゲート電極の各側面上にそれぞれ絶縁性のサイドウォールを形成する工程を含むことが好ましい。
【0031】
第2の半導体回路装置の製造方法は、工程(d)と工程(e)との間に、ソースドレイン拡散層の上に金属膜を堆積した後、堆積した金属膜に対して熱処理を行なうことにより、ソースドレイン拡散層の上部を金属シリサイド化する工程(f)をさらに備えていることが好ましい。
【0032】
第1又は第2の半導体回路装置の製造方法において、絶縁膜は引っ張り内部応力を有する窒化膜であることが好ましい。
【0033】
本発明に係る半導体回路装置のシミュレーション方法は、MISトランジスタを含む半導体回路装置の動作をシミュレーションする半導体回路装置のシミュレーション方法を対象とし、電気特性式を作成する際に、MISトランジスタを構成する第1のゲート電極の少なくとも一方の側方に第2のゲート電極又はダミーゲートパターンが配置される場合は、第1のゲート電極と第2のゲート電極又はダミーゲートパターンとの間の距離を変数として電気特性式に付加し、一方、第1のゲート電極の側方に第2のゲート電極及びダミーゲートパターンが配置されない場合は、第1のゲート電極と第2のゲート電極又はダミーゲートパターンとの間の距離を無限大と仮定した変数を電気特性式に付加する工程(a)と、半導体回路装置に含まれる複数の素子における素子特性及び接続情報が記述されたネットリストを作成する際に、第1のゲート電極の側方に第2のゲート電極又はダミーゲートパターンが配置される場合は、第1のゲート電極と第2のゲート電極又はダミーゲートパターンとの間の距離を抽出し、一方、第1のゲート電極の側方に第2のゲート電極及びダミーゲートパターンが配置されない場合は、第1のゲート電極と第2のゲート電極又はダミーゲートパターンとの間の距離を無限大と仮定して抽出し、抽出した距離をネットリストに付加する工程(b)と、第1のゲート電極と第2のゲート電極又はダミーパターンとの距離が付加された電気特性式及びネットリストを用いて、MISトランジスタの動作シミュレーションを行なう工程(c)とを備えていることを特徴とする。
【0034】
本発明の半導体回路装置のシミュレーション方法によると、工程(a)において、第1のゲート電極の少なくとも一方の側方に第2のゲート電極又はダミーゲートパターンが配置される場合は、それらの間の距離を変数として電気特性式に付加し、一方、第2のゲート電極及びダミーゲートパターンが配置されない場合は、それらの間の距離を無限大と仮定した変数を電気特性式に付加する。また、工程(b)において、第1のゲート電極の側方に第2のゲート電極又はダミーゲートパターンが配置される場合は、それらの間の距離を抽出し、一方、第2のゲート電極及びダミーゲートパターンが配置されない場合は、それらの間の距離を無限大と仮定して抽出し、抽出した距離をネットリストに付加する。これにより、MISトランジスタを覆う絶縁膜の平坦部分の長さを考慮したMISトランジスタモデル及びネットリストによって、半導体回路装置に対して高精度の回路シミュレーションを実現することが可能となる。
【0035】
本発明の半導体回路装置のシミュレーション方法は、MISトランジスタを構成するソース拡散層及びドレイン拡散層が金属シリサイド化される場合において、工程(a)は、金属シリサイド化されたソース拡散層及びドレイン拡散層における各ゲート長方向の長さを変数として電気特性式に付加する工程を含み、工程(b)は、金属シリサイド化されたソース拡散層及びドレイン拡散層における各ゲート長方向の長さを抽出し、抽出した長さ寸法をネットリストに付加する工程を含むことが好ましい。
【0036】
本発明の半導体回路装置のシミュレーション方法は、工程(c)よりも前に、無限大として仮定された変数を有限の基準値に置き換える工程(d)をさらに備えていることが好ましい。
【0037】
本発明の半導体回路装置のシミュレーション方法において、基準値は2μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る半導体回路装置によると、PMISトランジスタ及びNMISトランジスタに共に高い電流駆動能力を得られるため、より高性能な半導体回路装置を得ることができる。
【0039】
本発明に係る半導体回路装置のシミュレーション方法によると、本発明に係る半導体回路装置を対象とするシミュレーション環境を実現できるため、本発明の半導体回路装置の最適設計を高精度に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1(a)〜図1(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体回路装置であって、相補型MIS(CMIS)からなるセルであって、(a)は平面構成を示し、(b)は(a)のIb−Ib線におけるPMISトランジスタ40を含む領域の断面構成を示し、(c)は(a)におけるIc−Ic線におけるNMISトランジスタ50を含む領域の断面構成を示している。
【0042】
図1(a)〜図1(c)に示すように、例えばシリコン(Si)からなる半導体基板1の主面上には、STIからなる素子分離領域2によって囲まれてなり、PMISトランジスタ40を構成する平面方形状の第1の活性領域3と、NMISトランジスタ50を構成する平面方形状の第2の活性領域4とがその対向辺同士を互いに平行に且つ間隔をおいて形成されている。
【0043】
第1の活性領域3及び第2の活性領域4の上には、PMISトランジスタ40用の第1のゲート電極6p及びNMISトランジスタ50用の第2のゲート電極6nを構成する幅がLのゲートポリシリコン膜6が、第1の活性領域3及び第2の活性領域4の各中央部分の上をその対向辺と直交し且つ素子分離領域2の上に跨るように形成されている。なお、第1のゲート電極6pはp型のポリシリコン膜からなり、第2のゲート電極6nはn型のポリシリコン膜からなる。
【0044】
図1(a)及び図1(b)に示すように、素子分離領域2上で且つ第1の活性領域3における第1のゲート電極6pとそれぞれ平行な対向辺の外側には、幅がLのゲートポリシリコンからなるダミーゲート10が形成されている。
【0045】
図1(b)及び図1(c)に示すように、第1のゲート電極6p及び第2のゲート電極6nと第1の活性領域3及び第2の活性領域4との間には、それぞれ酸化シリコン(SiO2 )からなるゲート絶縁膜5が形成されている。また、ゲートポリシリコン膜6及びダミーゲート10の各側面上には酸化シリコン又は窒化シリコン(Si34)からなるサイドウォール7がそれぞれ形成されている。
【0046】
第1の活性領域3及び第2の活性領域4の上部における各ゲート電極6p、6nの両側方部分には、ソースドレイン拡散層8がそれぞれイオン注入により形成されており、各ソースドレイン拡散層8の上部には、金属シリサイド層9がそれぞれ形成されている。ここで、シリサイド用の金属にはニッケル又はコバルト等を用いることができる。ここで、PMISトランジスタ40のソースドレイン拡散層8はp型のソースドレイン拡散層であり、NMISトランジスタ50のソースドレイン拡散層8はn型のソースドレイン拡散層である。
【0047】
PMISトランジスタ40、NMISトランジスタ50及び各ダミーゲート10は、例えば引っ張り内部応力を有する窒化シリコンからなるライナ膜11が形成されている。ここで、引っ張り内部応力を有するライナ膜11とは、該ライナ膜11がゲート電極直下のゲート長方向のチャネル領域に対して引っ張り応力を印加する応力を有していることを意味する。
【0048】
また、図1(a)に示すように、ゲートポリシリコン膜6における第1の活性領域3及び第2の活性領域4との間の部分にはゲートコンタクト12が形成され、各ソースドレイン拡散層8の上にはソースドレインコンタクト13が形成されている。これにより、PMISトランジスタ40及びNMISトランジスタ50におけるゲート端子、ソース端子及びドレイン端子が図示しない上層配線と接続されている。
【0049】
以上説明したように、第1の実施形態に係る半導体回路装置は、ゲートポリシリコン膜6が、第1の活性領域3上においては第1のゲート電極6pを構成し、第2の活性領域4上においては第2のゲート電極6nを構成する。これにより、PMISトランジスタ40は、第1のゲート電極6pによりゲート長がLとなり、第1の活性領域3によりゲート幅がWpとなる。同様に、NMISトランジスタ50は、第2のゲート電極6nによりゲート長がLとなり、第2の活性領域4によりゲート幅がWnとなる。
【0050】
なお、本実施形態に係る半導体回路装置において、ダミーゲート10は、ゲート絶縁膜5をその下部に介在させていないことを除いて各ゲート電極6p、6nと同一の構造を有している電極パターンであるが、半導体回路装置とは電気的に接続されておらず浮遊状態にある。すなわち、半導体回路装置において、PMISトランジスタ40及びNMISトランジスタ50のような能動素子若しくは抵抗素子のような受動素子又は素子の一部を構成しないダミーパターンである。
【0051】
なお、図1(a)に示すように、第1の実施形態に係る半導体回路装置は、ダミーゲート10の側面から第1のゲート電極6pの側面までの距離Aが、該第1のゲート電極6pの側面からソースドレインコンタクト13の中心位置までの距離Cの2倍としている。
【0052】
以下、図1(b)及び図1(c)に基づいて、第1の実施形態に係る半導体回路装置におけるPMISトランジスタ40とNMISトランジスタ50とを比較しながらレイアウトの特徴を説明する。
【0053】
図1(b)及び図1(c)において、ライナ膜12におけるソースドレイン拡散層8の上側からゲート長方向に延びる平坦な部分(以下、「ライナ膜平坦部」と略記する。)の長さは、PMISトランジスタ40の長さTpと比べて、NMISトランジスタ50の長さTnの方が長い。すなわち、PMISトランジスタ40の長さTpは、第1のゲート電極6pの両側に間隔をおいて配置されたダミーゲート10によって、ライナ膜平坦部の長さとして制限されている。一方、NMISトランジスタ90の長さTnは、第2のゲート電極6nの両側にダミーゲート10を配置していないため、ライナ膜平坦部が隣接する他のセル(図示せず)にまで続くため、PMISトランジスタ40と比べて十分に長くなっている。
【0054】
このように、第1の実施形態によると、PMISトランジスタ40とNMISトランジスタ50とにおいて、ライナ膜平坦部の長さを容易に且つ確実に調整でき、さらに、PMISトランジスタ40のライナ膜平坦部の長さをNMISトランジスタ50の場合と比べて短くすることができる。
【0055】
なお、各ソースドレイン拡散層8の上部に形成された金属シリサイド層11におけるゲート長方向の長さは、PMISトランジスタ40はSpであり、NMISトランジスタ50はSnであり、これらは同一である。
【0056】
図2に一般に使用されているチャネル領域の晶帯軸が<110>方向であるMISトランジスタにおけるドレイン電流(Id)特性のライナ膜平坦部長さ依存性を示す。図2において、横軸はライナ膜平坦部の長さ(単位μm)を表わし、縦軸はライナ膜平坦部の基準の長さ(2μm)を100とした場合のドレイン電流特性の変化量を表わしている。図2に示すように、ライナ膜平坦部の長さが短くなる程、●印で示したPMISトランジスタ40はその電流駆動能力が向上し、逆に○印で示したNMISトランジスタ50はその電流駆動能力が低下していることが確認できる。
【0057】
これは、通常は、ライナ膜11として窒化シリコンが用いられ、該窒化シリコンの収縮力(引っ張り応力)によって、MISトランジスタにおける各ソースドレイン拡散層8の上側からゲート長方向に延びる平坦部分が長い程、MISトランジスタのチャネル領域に生じる引っ張り応力が大きくなるからである。図2から分かるように、ゲート長方向の応力によるMISトランジスタの特性変化は、PMISトランジスタ40とNMISトランジスタ50とでは変化の方向が反対であり、PMISトランジスタ40については、圧縮応力が大きい、すなわち引っ張り応力が小さい程、電流駆動能力が向上する。逆に、NMISトランジスタ50については、圧縮応力が小さい、すなわち引っ張り応力が大きい程、電流駆動能力が向上する。従って、ライナ膜平坦部の長さに依存する応力に応じて、MISトランジスタとしてより高い電流駆動能力を得るには、PMISトランジスタ40についてはライナ膜平坦部の長さをより短くし、逆に、NMISトランジスタ50については長くすることが望ましい。
【0058】
この現象は、各ソースドレイン拡散層8の上部に形成された金属シリサイド層9のゲート長方向の長さにも生じる。図3はチャネル領域の晶帯軸が<110>方向であるMISトランジスタにおけるドレイン電流(Id)特性の金属シリサイド層9のチャネル方向長さ(以下、「シリサイド長」と略記する。)依存性を示している。図3において、横軸はシリサイド長(単位μm)を表わし、縦軸は金属シリサイド層9の基準の長さ(2μm)を100とした場合のドレイン電流特性の変化量を表わしている。図3から分かるように、シリサイド長が短くなる程、●印で示したPMISトランジスタ40は電流駆動能力が向上し、逆に○印で示したNMISトランジスタ50は電流駆動能力が低下している。
【0059】
これは、通常は、金属シリサイド層11の収縮力(引っ張り応力)によって、シリサイド長がゲート長方向に長い程、チャネル領域に生じる引っ張り応力が大きくなるからである。従って、シリサイド長のゲート長方向に依存する応力に応じて、MISトランジスタとしてより高い電流駆動能力を得るには、PMISトランジスタ40については、シリサイド長をより短くし、逆に、NMISトランジスタ50についてはより長くすることが望ましい。
【0060】
なお、図2及び図3に示したシミュレーションによる結果は、素子分離領域2により生じる応力は無視している。
【0061】
以上説明したように、半導体回路装置を構成するMISトランジスタのレイアウト、特にPMISトランジスタ40において、第1のゲート電極6pの両側にそれぞれ所定の間隔以内の領域にダミーゲート10を配置することにより、電流駆動能力を高めることができる。これにより、MISトランジスタ、とりわけPMISトランジスタ40は、その電流駆動能力が向上した分だけ、信号伝播時間の遅延を抑制できるため、より高性能な半導体回路装置を得ることができる。
【0062】
なお、第1の実施形態においては、ダミーゲート10の側面から第1のゲート電極6pの側面までの距離Aは、該第1のゲート電極6pの側面からソースドレインコンタクト13の中心位置までの距離Cの2倍としたが、3倍以下であればよい。また、図2からは0.7μm以下、より好ましくは0.5μm以下とすることが好ましい。逆に、NMISトランジスタ50については、ダミーゲート10を素子分離領域2の上に設ける必要が生じた場合には、ダミーゲート10の側面から第2のゲート電極6nの側面までの距離Aを0.5μm、より好ましくは0.7μmよりも大きくすることが好ましい。
【0063】
また、図3から分かるように、PMISトランジスタ40においては、シリサイド長は0.7μm以下、より好ましくは0.5μm以下が好ましい。逆に、NMISトランジスタ50については、シリサイド長を0.5μm、より好ましくは0.7μmよりも大きくすることが好ましい。
【0064】
また、第1の実施形態においては、各ダミーゲート10は半導体回路装置と電気的に接続していないが、MISトランジスタの動作として不活性であれば、電気的に接続しても構わない。例えば、複数のダミーゲート10の少なくとも1つを電源線と接続しても、本発明の効果は変わらない。
【0065】
(第1の実施形態の第1変形例)
図4は第1の実施形態の第1変形例に係る半導体回路装置の平面構成を示している。図4において、図1(a)と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0066】
図4に示すように、PMISトランジスタ40を構成する第1の活性領域3と、NMISトランジスタ50を構成する第2の活性領域4とをそれぞれゲート長方向に拡張すると共に、第1のゲート電極6pと並行に配置された各ダミーゲート10を第1の活性領域3の上に形成する。各ダミーゲート10は電気的に不活性であるため、PMISトランジスタ40のトランジスタとしての機能には影響しない。
【0067】
本変形例においては、NMISトランジスタ50において、金属シリサイド層9のゲート長方向の長さをより長くすることができるため、より高い電流駆動能力を得ることができる。
【0068】
PMISトランジスタ40においても、NMISトランジスタ50と同様に、ダミーゲート10を設けないレイアウトと比べると、該ダミーゲート10を設けることにより、ライナ膜11におけるソースドレイン拡散層8の上側からゲート長方向に延びる平坦部分の長さと、シリサイド長とをいずれも短くすることができるため、さらに高い電流駆動能力を得ることができる。
【0069】
(第1の実施形態の第2変形例)
図5は第1の実施形態の第2変形例に係る半導体回路装置の平面構成を示している。図5において、図1(a)と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0070】
図5に示すように、第1の活性領域3の上には、第1のゲート電極6p1及び第2のゲート電極6p2が並行に形成され、第2の活性領域4の上にも、第3のゲート電極6n1及び第4のゲート電極6n2が並行に形成されている。これにより、第1の活性領域3には、第1のPMISトランジスタ40A及び第2のPMISトランジスタ40Bが形成され、第2の活性領域4には、第1のNMISトランジスタ50A及び第2のNMISトランジスタ50Bが形成される。
【0071】
このような構成であっても、各PMISトランジスタ40A、40Bには本発明を適用することができる。なお、各NMISトランジスタ50A、50Bにおいては、第3のゲート電極6n1及び第4のゲート電極6n2の外側の領域において、本発明が適用されることになる。
【0072】
(第1の実施形態の第3変形例)
図6は第1の実施形態の第3変形例に係る半導体回路装置の平面構成を示している。図6において、図1(a)と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0073】
第3変形例は、第1変形例と同様に、第2変形例に対して各PMISトランジスタ40A、40Bを構成する第1の活性領域3と、各NMISトランジスタ50A、50Bを構成する第2の活性領域4とをそれぞれゲート長方向に拡張すると共に、第1のゲート電極6p1及び第2のゲート電極6p2とそれぞれ並行に配置された各ダミーゲート10を第1の活性領域3の上に形成する。これにより、各PMISトランジスタ40A、40B及び各NMISトランジスタ50A、50Bの電流駆動能力を高めることができる。
【0074】
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体回路装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0075】
図7(a)、図7(b)、図8(a)及び図8(b)は本実施形態に係る半導体回路装置のセル部分の製造方法の工程順の断面構成を示している。図7及び図8において、(a)及び(c)はPMISトランジスタ40の製造工程を示し、(b)及び(d)はNMISトランジスタ50の製造工程を示している。
【0076】
まず、図7(a)及び図7(b)に示すように、半導体基板1の上部に、STIからなる素子分離領域2を公知の方法で形成し、その後、各MISトランジスタの閾値電圧を制御する不純物イオン注入する。例えば、第1の活性領域3にはリン(P)又はヒ素(As)からなるn型不純物をイオン注入し、第2の活性領域4にはボロン(B)又はボロンを含む化合物からなるp型不純物をイオン注入する。ここで、閾値電圧制御用の不純物イオンの注入順序は問われない。その後、半導体基板1における第1の活性領域3及び第2の活性領域4の上に、熱酸化法により膜厚が3nmのゲート絶縁膜8を形成する。続いて、化学的気相堆積(CVD)法により、ゲート絶縁膜8の上に、膜厚が200nmのゲートポリシリコン膜6を堆積する。
【0077】
次に、図7(c)及び図7(d)に示すように、リソグラフィ法及びドライエッチングにより、堆積したゲートポリシリコン膜6を、第1の活性領域3上においては、第1のゲート電極6pと該第1のゲート電極6pの両側に0.5μm以下の間隔をおいてダミーゲート10をそれぞれ形成すると共に、第2の活性領域4上においては、第2のゲート電極6nを形成する。ここでは、各ダミーゲート10は第1の活性領域3の外側の素子分離領域1上に形成される。
【0078】
次に、図8(a)及び図8(b)に示すように、第1の活性領域3に対して第1のゲート電極6pをマスクとしてp型不純物をイオン注入することにより、p型のLDD(lightly doped drain)拡散層又はエクステンション拡散層を形成する。続いて、第2の活性領域4に対して第2のゲート電極6nをマスクとしてn型不純物をイオン注入することにより、n型のLDD拡散層又はエクステンション拡散層を形成する。さらに、図示はしていないが、各トランジスタの耐圧を向上させるために、第1の活性領域3に対しては、p型のLDD拡散層又はエクステンション拡散層におけるチャネル領域側の端部の下側に、n型のポケット拡散層を設けてもよく、第2の活性領域4に対しても、n型のLDD拡散層又はエクステンション拡散層におけるチャネル領域側の端部の下側に、p型のポケット拡散層を設けてもよい。続いて、CVD法により、半導体基板1の上にゲートポリシリコン膜6(各ゲート電極6p、6n)及び各ダミーゲート10を含む全面にわたって、酸化シリコン又は窒化シリコンからなる絶縁膜を堆積し、ドライエッチングによる異方性のエッチバックを行なって、各ゲート電極6p、6nの両側面及び各ダミーゲート10の両側面上に、絶縁膜からなるサイドウォール7をそれぞれ形成する。その後、第1の活性領域3に対して第1のゲート電極6p及びサイドウォール7をマスクとしてp型不純物をイオン注入することにより、p型のソースドレイン拡散層8を形成する。続いて、第2の活性領域4に対して第2のゲート電極6n及びサイドウォール7をマスクとしてn型不純物をイオン注入することにより、n型のソースドレイン拡散層8を形成する。ここでも、p型不純物及びn型不純物のイオン注入の順序は問われない。その後、注入した各不純物イオンの活性化を図る熱処理行なう。続いて、スパッタ法又は真空蒸着法により、各ソースドレイン拡散層8の上面に選択的に例えばニッケルからなる金属膜を堆積し、堆積した金属膜に対してシリサイド化を図る熱処理を行なって、各ソースドレイン拡散層8の上部に金属シリサイド層9を形成する。このとき、第1のゲート電極6p、第2のゲート電極6n及び各ダミーゲート10上にも金属シリサイド層が形成されるが図示は省略してある。
【0079】
次に、図8(c)及び図8(d)に示すように、低圧CVD(LP−CVD)法により、半導体基板1の上に、それぞれサイドウォール7が形成されたゲートポリシリコン膜6(各ゲート電極6p、6n)及びダミーゲート10を含む全面にわたって膜厚が30nmの窒化シリコンからなるライナ膜11を堆積する。
【0080】
このように、第1の実施形態に係る半導体回路装置の製造方法によると、PMISトランジスタ40を構成する第1のゲート電極6pの両側方にダミーゲート10を所定の距離(0.5μm)以内に間隔をおいて配置される。一方、NMISトランジスタ50を構成する第2のゲート電極6nの両側方にはダミーパターン10が所定の距離以内の領域には配置されない。これにより、PMISトランジスタ40及びダミーゲート10並びにNMISトランジスタ50が、引っ張り内部応力を有するライナ膜11で覆われることにより、PMISトランジスタ40及びNMISトランジスタ50に対して共に高い電流駆動能力を得られる半導体回路装置のセルを製造することが可能となる。
【0081】
このように、第1の実施形態においては、ライナ膜11をエッチストップ膜としての機能の他に、その内部応力を利用してMISトランジスタの動作特性を向上させる機能を付与することができる。
【0082】
なお、ライナ膜11となる窒化シリコン膜の成膜法として、LP−CVD法に代えてプラズマCVD法を用いると、ライナ膜は圧縮内部応力を持つ。このため、本実施形態に係るダミーゲート10は、NMISトランジスタ50においてライナ膜平坦部の長さが所定の距離以下となるように配置し、一方、PMISトランジスタ40においては配置しないか、配置する場合にはライナ膜平坦部の長さが所定の距離を超える位置に配置する必要がある。
【0083】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0084】
第2の実施形態においては、本発明の第1の実施形態に係る半導体回路装置の動作をシミュレーションする回路シミュレーション環境について説明する。ここでは、回路シミュレーションを行なうのに必要なMISトランジスタモデル、該MISトランジスタモデルのパラメータ抽出方法及び回路情報を記述するネットリストについて説明する。
【0085】
まず、回路シミュレーション環境について説明する。ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長によるMISトランジスタの特性変化は、図2及び図3に示した通りである。すなわち、ライナ膜11に引っ張り応力を有する窒化シリコンを用いる場合には、PMISトランジスタにあっては、ライナ膜平坦部の長さを所定の距離以下とすることにより、その電流駆動能力を向上することができる。同様に、PMISトランジスタにあっては、ソースドレイン拡散層上部のシリサイド長を所定の距離以下とすることにより、その電流駆動能力を向上することができる。この特性変化を、ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長を変数とした電流特性式としてモデル化し、MISトランジスタモデルに組み込むことにより、ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長を変数に持つMISトランジスタの電気特性のシミュレーションが可能となる。
【0086】
半導体回路装置の設計データであるマスクレイアウトデータからは、MISトランジスタを構成するゲート電極の両側方に、ダミーゲートを含む他のゲートポリシリコン膜が配置されるか否かを判定し、配置される場合には該ゲート電極と他のゲートポリシリコン膜との距離からライナ膜平坦部の長さを抽出し、配置されない場合には無限大に相当する基準値をネットリストに付加して出力することが可能となる。
【0087】
また、ゲート電極と他のゲートポリシリコン膜との間に活性領域の端部が存在する否かを判定し、存在する場合にはゲート電極と活性領域の端部との距離からシリサイド長を抽出し、存在しない場合にはゲート電極と他のゲートポリシリコン膜との距離からシリサイド長を抽出し、いずれか一方をネットリストに付加して出力することが可能となる。
【0088】
このライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長が付加されたMISトランジスタモデルとネットリストとを組み合わせることによって、半導体回路装置の回路シミュレーションによる、ライナ膜平坦部及びシリサイド長が考慮された高精度な半導体回路装置の設計が可能となる。以下、具体的に説明する。
【0089】
以下に示す式(1)は本発明に係るMISトランジスタモデルのドレイン電流を表わす電気特性式である。
【0090】
d =f(Vd,Vg,Vs,Vb,L,W,T,S)……(1)
ここで、Vd はドレイン電圧を、Vg はゲート電圧を、Vs はソース電圧を、Vb は基板電圧を、Lはゲート長を、Wはゲート幅を、Tはライナ膜平坦部の長さを、Sはシリサイド長をそれぞれ表わしている。このように、第2の実施形態に係る半導体回路装置のシミュレーション方法においては、ライナ膜平坦部の長さTとシリサイド長Sとを電気特性式の変数に追加してドレイン電流量を変化させることにより、MISトランジスタのドレイン電流特性におけるライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長依存性を表わすことができる。
【0091】
図9(a)及び図9(b)は本発明の第2の実施形態に係るMISトランジスタモデルにおけるモデルパラメータを抽出する抽出対象のレイアウトパターンの一例を示している。図9において、図1(a)と同一の構成部材には同一の符号を付している。ここでは、図9(a)に示すトランジスタモデルを第1のPMISトランジスタモデル401とし、
図9(b)に示すトランジスタモデルを第2のPMISトランジスタモデル402とする。第1のPMISトランジスタモデル401と第2のPMISトランジスタモデル402との相違点は、各PMISトランジスタモデル401、402における第1のゲート電極6pの側面と、該第1のゲート電極6pの両側方に間隔をおいて配置されたダミーゲート10の側面との距離である。すなわち、ライナ膜平坦部の長さTが両者では異なっており、図9(b)の距離TLの方が、図9(a)の距離TSよりも長い。ここで、距離TS及びTLが第1のゲート電極6p及びダミーゲート10との両側面から離れた位置で定義されているのは、サイドウォール7の厚さを考慮しているためである。
【0092】
例えば、PMISトランジスタモデル式におけるパラメータの抽出には、PMISトランジスタモデルの電気特性の測定が必要であり、図9(a)及び図9(b)に示した2つのPMISトランジスタモデル401、402のパラメータ抽出用パターンから、ライナ膜平坦部の長さTのみを変数としたPMISトランジスタの電気特性の測定が可能となる。
【0093】
図9(c)は図9(a)及び図9(b)に示す各PMISトランジスタモデルのモデルパラメータ抽出用のレイアウトパターンを用いて行なったパラメータ抽出結果を表わすグラフである。実線のグラフがPMISトランジスタモデルの電気特性を表わしている。図9(c)において、ドレイン電流Id の数値が基準値の100を示すレイアウトパターンが図9(b)と対応しており、残りの4つのプロットが、図9(a)に示すレイアウトパターンにおけるライナ膜平坦部の長さを4通りに変えながら測定した結果を表わしている。
【0094】
なお、第2の実施形態においては、ライナ膜平坦部の長さT及びシリサイド長Sの基準寸法を、図2及び図3に示した電気特性により2μmとしたが、適用する半導体回路装置の電気特性に応じて基準値を設定することができる。
【0095】
また、第2の実施形態においては、PMISトランジスタの特性を測定するパターン例を示したが、NMISトランジスタに対しても同様に、モデルパラメータ抽出パターンを作成して、NMISトランジスタモデルパラメータを抽出することができる。
【0096】
このように、第2の実施形態によると、MISトランジスタにおけるライナ膜平坦部の長さT及びシリサイド長Sを変数とした電気特性を測定可能なパターンから測定し、その後の工程で得られた電気特性の測定結果に、本実施形態に係るMISトランジスタモデルの電気特性を適用(合わせ込み)することにより、MISトランジスタモデルに対してライナ膜平坦部の長さT及びシリサイドの長さS依存性を付与することができる。
【0097】
なお、シリサイド長のデータは必ずしも、電気特性式及びネットリストに追加する必要はない。
【0098】
図10は本発明の第2の実施形態に係る半導体回路装置を構成する各素子の特性情報及び接続情報を示す回路シミュレーション用ネットリストの一例を示している。図10に示すネットリスト25において、「M」で始まる行は、MISトランジスタの記述であることを示しており、左から順に、MISトランジスタ識別情報、ドレイン、ゲート、ソース、基板の各端子接続情報、MISトランジスタモデル名、ゲート幅、ゲート長、ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長を示している。ここで、ゲート幅、ゲート長、ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長に付した単位「u」は「μm」を表わす。
【0099】
図10に示すネットリスト25によると、式(1)に示すMISトランジスタモデルに、ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長を変数として与えることができる。これにより、ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長を考慮したMISトランジスタモデル及びネットリストによって、半導体回路装置の設計工程において、ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長を考慮した高精度な回路シミュレーションを実現することが可能となる。
【0100】
図11は本発明の第2の実施形態に係る回路情報抽出装置のブロック構成を示している。図11に示すように、第2の実施形態に係る回路情報抽出装置20は、半導体回路装置のマスクレイアウトデータ24を入力として、回路素子認識部21によりMISトランジスタを認識する。続いて、ライナ膜平坦部の長さ及びシリサイド長をそれぞれ抽出する長さ寸法抽出部22により抽出して、ライナ膜平坦部の長さをパラメータTとして得ると共に、シリサイド長をパラメータSとして得る。続いて、回路素子認識部21によって認識されたMISトランジスタの各端子接続情報及びトランジスタサイズと、長さ寸法抽出部22によって抽出されたライナ膜平坦部の長さT及びシリサイド長Sとを、図10に示したようにネットリスト25に出力する。
【0101】
ここで、長さ寸法抽出部22の動作について説明する。
【0102】
長さ寸法抽出部22は、半導体回路装置のマスクレイアウトデータ24から、回路素子認識部21により認識されたMISトランジスタのゲート電極の両側方に、ダミーゲートを含む他のゲートポリシリコン膜が配置されるか否かを判定し、配置される場合には該ゲート電極と他のゲートポリシリコン膜との距離からライナ膜平坦部の長さTを抽出する。配置されない場合には無限大と対応する基準値(例えば2μm)をネットリスト25に付加して出力する。次に、ゲート電極と他のゲートポリシリコン膜との間に活性領域の端部が存在する否かを判定し、存在する場合には該ゲート電極と活性領域の端部との距離からシリサイド長を抽出し、存在しない場合には該ゲート電極と他のゲートポリシリコン膜との距離からシリサイド長Sを抽出して、いずれか一方をネットリスト25に付加して出力する。
【0103】
このように、第2の実施形態に係る回路情報抽出装置20によると、半導体回路装置のマスクレイアウトデータ24から、MISトランジスタのライナ膜平坦部の長さT及びシリサイド長Sを付加したネットリスト25を機械的に得ることができる。
【0104】
なお、回路素子認識部21は、公知のLPEを用いることができる。但し、回路素子認識部21は、マスクレイアウトデータ24のデータ量が少ない場合には、必ずしも必要ではない。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係る半導体回路装置及びその製造方法は、PMIS及びNMISトランジスタに共に高い電流駆動能力を得られるため、より高性能な半導体回路装置を得ることができ、本発明に係る半導体回路装置のシミュレーション方法は、本発明に係る半導体回路装置を対象とするシミュレーション環境を実現できるため、本発明の半導体回路装置の最適設計を高精度に実現することができるという効果を有し、設計レイアウトの最適化によりトランジスタの能力を向上する半導体回路装置、その製造方法及びそのシミュレーション方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体回路装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線における断面図であり、(c)はIc−Ic線における断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体回路装置におけるドレイン電流特性のライナ膜平坦部の長さ依存性を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体回路装置におけるドレイン電流特性のシリサイド長依存性を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る半導体回路装置を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る半導体回路装置を示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る半導体回路装置を示す平面図である。
【図7】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る半導体回路装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図8】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る半導体回路装置の製造方法を示す工程順の断面図である。
【図9】(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係る半導体回路装置の回路シミュレーションに用いるMISトランジスタモデルにおけるモデルパラメータを抽出するレイアウトパターンの一例を示しス平面図である。(c)は(a)及び(b)により得られたトランジスタモデルの特性を示すグラフである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る半導体回路装置のシミュレーション方法に用いるネットリストである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る半導体回路装置のシミュレーション方法を実現する回路情報抽出装置を示すブロック図である。
【図12】従来例に係る半導体回路装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0107】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3 第1の活性領域
4 第2の活性領域
5 ゲート絶縁膜
6 ゲートポリシリコン膜
6p 第1のゲート電極
6n 第2のゲート電極
6p1 第1のゲート電極
6p2 第2のゲート電極
6n1 第3のゲート電極
6n2 第4のゲート電極
7 サイドウォール
8 ソースドレイン拡散層
9 金属シリサイド層
10 ダミーゲート
11 ライナ膜(絶縁膜)
12 ゲートコンタクト
13 ソースドレインコンタクト
40 PMISトランジスタ
40A 第1のPMISトランジスタ
40B 第2のPMISトランジスタ
50 NMISトランジスタ
50A 第1のPMISトランジスタ
50B 第2のPMISトランジスタ
401 第1のPMISトランジスタモデル
402 第2のPMISトランジスタモデル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成された第1の活性領域及び該第1の活性領域の上に形成された第1のゲート電極を有するPMISトランジスタと、
前記半導体基板に形成され、前記第1の活性領域と間隔をおいて形成された第2の活性領域及び該第2の活性領域の上に形成された第2のゲート電極を有するNMISトランジスタと、
前記半導体基板上における前記第1のゲート電極の両側方で且つ該第1のゲート電極の側面から第1の所定の距離以内の領域にそれぞれ形成されたダミーパターンと、
前記半導体基板の上に前記PMISトランジスタ及びNMISトランジスタを覆うように形成され、応力を有する絶縁膜とを備え、
前記ダミーパターンは、前記第2のゲート電極の両側方における前記第1の所定の距離以内の領域には形成されていないことを特徴とする半導体回路装置。
【請求項2】
前記ダミーパターンは、前記各ゲート電極の機能を持たないダミーゲートパターンであり且つ電気的に浮遊状態にあることを特徴とする請求項1に記載の半導体回路装置。
【請求項3】
前記ダミーパターンは、前記各ゲート電極の機能を持たないダミーゲートパターンであり且つ電源端子と接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体回路装置。
【請求項4】
前記第1の活性領域及び第2の活性領域は平面方形状であって、且つ、前記第1の活性領域における前記第1のゲート電極の側方に位置する領域及び前記第2の活性領域における前記第2のゲート電極の側方に位置する領域の各上部はシリサイド化されており、
前記第1のゲート電極の一側面と前記第1の活性領域における前記一側面と対向する辺との距離は、前記第2の所定の距離以下であり、
前記第2のゲート電極の一側面と前記第2の活性領域における前記一側面と対向する辺との距離は、前記第2の所定の距離よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体回路装置。
【請求項5】
半導体基板に形成された第1の活性領域、並びに該第1の活性領域の上に互いに間隔をおいて形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極を有するPMISトランジスタと、
前記半導体基板に形成され、前記第1の活性領域と間隔をおいて形成された第2の活性領域及び該第2の活性領域の上に互いに間隔をおいて形成された第3のゲート電極及び第4のゲート電極を有するNMISトランジスタと、
前記半導体基板上における前記第1のゲート電極に対する前記第2のゲート電極の反対側の領域で且つ前記第1のゲート電極の側面から第1の所定の距離以内の領域に形成された第1のダミーパターンと、
前記半導体基板上における前記第2のゲート電極に対する前記第1のゲート電極の反対側の領域で且つ前記第2のゲート電極の側面から前記第1の所定の距離以内の領域に形成された第2のダミーパターンと、
前記半導体基板の上に前記PMISトランジスタ、NMISトランジスタ、第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンを覆うように形成され、応力を有する絶縁膜とを備え、
前記第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンは、前記第3のゲート電極及び第4のゲート電極における互いに対向する対抗面の反対側の側面から前記第1の所定の距離以内の領域には形成されていないことを特徴とする半導体回路装置。
【請求項6】
前記第1のゲート電極と前記第1のダミーパターンとの間隔及び前記第2のゲート電極と前記第2のダミーパターンとの間隔は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間隔と同一であることを特徴とする請求項5に記載の半導体回路装置。
【請求項7】
前記第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンは、前記各ゲート電極の機能を持たないダミーゲートパターンであり且つ電気的に浮遊状態にあることを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体回路装置。
【請求項8】
前記第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンは、前記各ゲート電極の機能を持たないダミーゲートパターンであり且つ電源端子と接続されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体回路装置。
【請求項9】
前記第1の活性領域及び第2の活性領域は、平面方形状であって、且つ、前記第1の活性領域における前記第1のゲート電極及び第2のゲート電極の側方に位置する領域、及び前記第2の活性領域における前記第3のゲート電極及び第4のゲート電極の側方に位置する領域の各上部はシリサイド化されており、
前記第1のゲート電極及び第2のゲート電極における互いの対向側面の反対側の各側面と前記第1の活性領域における前記各側面とそれぞれ対向する辺との距離は、そのいずれもが前記第2の所定の距離以下であり、
前記第3のゲート電極及び第4のゲート電極における互いの対向側面の反対側の各側面と前記第2の活性領域における前記各側面とそれぞれ対向する辺との距離は、そのいずれもが前記第2の所定の距離よりも大きいことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の半導体回路装置。
【請求項10】
前記絶縁膜が有する応力は、引っ張り内部応力であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体回路装置。
【請求項11】
前記絶縁膜はシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項10に記載の半導体回路装置。
【請求項12】
前記第1の所定の距離及び第2の所定の距離は、それぞれ0.5μmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体回路装置。
【請求項13】
少なくとも上部にシリコンからなる半導体層を有する半導体基板の上部に素子分離絶縁膜を形成することにより、前記素子分離絶縁膜により区画された第1の活性領域及び第2の活性領域を形成する工程(a)と、
前記第1の活性領域及び第2の活性領域の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極形成用の導電膜を順次形成する工程(b)と、
前記導電膜に対してパターニングを行なって、前記第1の活性領域の上に、前記導電膜から、第1のゲート電極と、該第1のゲート電極の両側方で且つ該第1のゲート電極の側面から第1の所定の距離以内の領域にダミーゲートパターンとを形成すると共に、前記第2の活性領域の上に第2のゲート電極を形成する工程(c)と、
前記第1のゲート電極及び第2のゲート電極をマスクとして、前記第1の活性領域及び第2の活性領域に不純物イオンを注入して、前記第1の活性領域及び第2の活性領域にそれぞれソースドレイン拡散層を形成することにより、前記第1の活性領域にPMISトランジスタを形成すると共に、前記第2の活性領域にNMISトランジスタを形成する工程(d)と、
前記半導体基板の上に前記PMISトランジスタ及びNMISトランジスタを覆うように、応力を有する絶縁膜を形成する工程(e)とを備え、
前記工程(c)において、前記第2のゲート電極の両側方における前記第1の所定の距離以内の領域には前記ダミーゲートパターンが形成されないことを特徴とする半導体回路装置の製造方法。
【請求項14】
前記工程(c)において、前記導電膜をパターニングした後、前記第1のゲート電極及び第2のゲート電極の各側面上に絶縁性のサイドウォールを形成する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の半導体回路装置の製造方法。
【請求項15】
少なくとも上部にシリコンからなる半導体層を有する半導体基板の上部に素子分離絶縁膜を形成することにより、前記素子分離絶縁膜により区画された第1の活性領域及び第2の活性領域を形成する工程(a)と、
前記第1の活性領域及び第2の活性領域の上に、ゲート絶縁膜及びゲート電極形成用の導電膜を順次形成する工程(b)と、
前記導電膜に対してパターニングを行なって、前記第1の活性領域の上に、前記導電膜から、互いに間隔をおいて並行に延びる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極に対して前記第2のゲート電極の反対側の領域で且つ前記第1のゲート電極の側面から所定の距離以内の領域に第1のダミーゲートパターンと、前記第2のゲート電極に対して前記第1のゲート電極の反対側の領域で且つ前記第2のゲート電極の側面から前記所定の距離以内の領域に第2のダミーゲートパターンとを形成すると共に、前記第2の活性領域の上に、前記導電膜から互いに間隔をおいて並行に延びる第3のゲート電極及び第4のゲート電極を形成する工程(c)と、
前記第1のゲート電極、第2のゲート電極、第3のゲート電極及び第4のゲート電極をマスクとして、前記第1の活性領域及び第2の活性領域に不純物イオンを注入して、前記第1の活性領域及び第2の活性領域にそれぞれソースドレイン拡散層を形成することにより、前記第1の活性領域にPMISトランジスタを形成すると共に、前記第2の活性領域にNMISトランジスタを形成する工程(d)と、
前記半導体基板の上に前記PMISトランジスタ及びNMISトランジスタを覆うように、応力を有する絶縁膜を形成する工程(e)とを備え、
前記工程(c)において、前記第3のゲート電極及び第4のゲート電極における互いに対向する対抗面の反対側の側面から前記所定の距離以内の領域には前記第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンが形成されないことを特徴とする半導体回路装置の製造方法。
【請求項16】
前記工程(c)において、前記導電膜をパターニングした後、前記第1のゲート電極、第2のゲート電極、第3のゲート電極及び第4のゲート電極の各側面上にそれぞれ絶縁性のサイドウォールを形成する工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の半導体回路装置の製造方法。
【請求項17】
前記工程(d)と前記工程(e)との間に、
前記ソースドレイン拡散層の上に金属膜を堆積した後、堆積した前記金属膜に対して熱処理を行なうことにより、前記ソースドレイン拡散層の上部を金属シリサイド化する工程(f)をさらに備えていることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の半導体回路装置の製造方法。
【請求項18】
前記絶縁膜は、引っ張り内部応力を有する窒化膜であることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載の半導体回路装置の製造方法。
【請求項19】
MISトランジスタを含む半導体回路装置の動作をシミュレーションする半導体回路装置のシミュレーション方法であって、
電気特性式を作成する際に、前記MISトランジスタを構成する第1のゲート電極の少なくとも一方の側方に第2のゲート電極又はダミーゲートパターンが配置される場合は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極又は前記ダミーゲートパターンとの間の距離を変数として前記電気特性式に付加し、一方、前記第1のゲート電極の側方に前記第2のゲート電極及びダミーゲートパターンが配置されない場合は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極又は前記ダミーゲートパターンとの間の距離を無限大と仮定した変数を前記電気特性式に付加する工程(a)と、
前記半導体回路装置に含まれる複数の素子における素子特性及び接続情報が記述されたネットリストを作成する際に、前記第1のゲート電極の側方に前記第2のゲート電極又は前記ダミーゲートパターンが配置される場合は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極又は前記ダミーゲートパターンとの間の距離を抽出し、一方、前記第1のゲート電極の側方に前記第2のゲート電極及びダミーゲートパターンが配置されない場合は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極又は前記ダミーゲートパターンとの間の距離を無限大と仮定して抽出し、抽出した距離を前記ネットリストに付加する工程(b)と、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極又は前記ダミーパターンとの距離が付加された前記電気特性式及びネットリストを用いて、前記MISトランジスタの動作シミュレーションを行なう工程(c)とを備えていることを特徴とする半導体回路装置のシミュレーション方法。
【請求項20】
前記MISトランジスタを構成するソース拡散層及びドレイン拡散層が金属シリサイド化される場合において、
前記工程(a)は、金属シリサイド化された前記ソース拡散層及びドレイン拡散層における各ゲート長方向の長さを変数として前記電気特性式に付加する工程を含み、
前記工程(b)は、金属シリサイド化された前記ソース拡散層及びドレイン拡散層における各ゲート長方向の長さを抽出し、抽出した長さ寸法を前記ネットリストに付加する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の半導体回路装置のシミュレーション方法。
【請求項21】
前記工程(c)よりも前に、無限大として仮定された変数を有限の基準値に置き換える工程(d)をさらに備えていることを特徴とする請求項19又は20に記載の半導体回路のシミュレーション方法。
【請求項22】
前記基準値は2μmであることを特徴とする請求項21に記載の半導体回路のシミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−123442(P2007−123442A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311679(P2005−311679)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】