説明

半導体外観検査装置、外観検査方法及び半導体製造装置

【課題】半導体製造工程の所定の工程の前後で増加又は消失した欠陥を特定することが可能な半導体外観検査装置、外観検査方法及び半導体製造装置を提供する。
【解決手段】半導体製造装置1において所定の処理が施される試料2の表面を撮像した画像に基づいてこの試料2上に存在する欠陥を検出する半導体外観検査装置20を、所定の処理の前後の一方で撮像された画像における欠陥の検出を行う欠陥検出部28と、所定の処理の前後の他方で撮像された画像のうち、欠陥検出部28により検出された欠陥箇所の画像を抽出する画像抽出部32と、を備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程において試料表面に形成されるパターンを撮像した撮像画像に基づいて、パターンに現れる欠陥を検出する半導体外観検査装置、外観検査方法及びこのような外観検査装置を備える半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体ウエハ上に多数のチップ(ダイ)を形成する。各ダイには何層にも渡ってパターンが形成される。完成したダイは、プローバとテスタにより電気的な検査が行われ、不良ダイは組み立て工程から除かれる。
半導体製造工程では、歩留まりが非常に重要であり、上記の電気的な検査の結果は製造工程にフィードバックされて各工程の管理に使用される。しかし、半導体製造工程は多数の工程で形成されており、製造を開始してから電気的な検査が行われるまで非常に長時間を要するため、電気的な検査により工程に不具合があることが判明した時には既に多数のウエハは処理の途中であり、検査の結果を歩留まりの向上に十分に生かすことができない。
【0003】
そこで、途中の工程で形成したパターンを撮像し、この撮像画像に基づいて検査して欠陥を検出する外観検査が行われる。全工程のうちの複数の工程で外観検査を行なえば、前の検査の後で発生した欠陥を検出することができ、検査結果を迅速に工程管理に反映することができる。
【0004】
図1に、本特許出願の出願人により、特開2004−177397号公報(下記特許文献1)にて提案される外観検査装置と同様の従来の外観検査装置の概略構成図を示す。図示するように、外観検査装置20には2次元又は3次元方向に自在に移動可能なステージ21の上面に試料台(チャックステージ)22が設けられている。この試料台22の上に、検査対象となる試料である半導体ウエハ3を載置して固定する。ステージの上部には1次元又は2次元のCCDカメラなどを用いて構成される撮像部24が設けられており、撮像部24は半導体ウエハ3上に形成されたパターンの画像信号を発生させる。
【0005】
図2に示すように、半導体ウエハ3上には、複数のダイ3aが、X方向とY方向にそれぞれ繰返し、マトリクス状に配列されている。各ダイには同じパターンが形成されるので、隣接するダイの対応する部分の画像を比較するのが一般的である(ダイ・トゥ・ダイ比較)。両方のダイに欠陥がなければグレイレベル差は閾値より小さいが、一方に欠陥があればグレイレベル差は閾値より大きくなる(シングルディテクション)。これではどちらのダイに欠陥があるか分からないので、更に異なる側に隣接するダイとの比較を行ない、同じ部分のグレイレベル差が閾値より大きくなればそのダイに欠陥があることが分かる(ダブルディテクション)。
【0006】
さらに半導体メモリなどは、1つのダイ3a内にセルと呼ばれる基本単位を繰り返した構成を有し、セルに対応した基本パターンを有する。このようなセルが配列されるパターンを検査する場合にはダイ・トゥ・ダイ比較を行わず、隣接するセル同士で対応する画像データを比較することにより欠陥の有無を判定する(セル・トゥ・セル比較)。
【0007】
撮像部24は1次元のCCDカメラを備え、カメラが半導体ウエハ3に対してX方向又はY方向に一定速度で相対的に移動(スキャン)するようにステージ21を移動する。画像信号は多値のディジタル信号(グレイレベル信号)に変換された後に画像記憶部25に記憶される。
差分検出部26は、隣接する2つのダイ(セル・トゥ・セル比較では隣接する2つのセル)を含む範囲のグレイレベル信号(検査画像信号)が画像記憶部25に記憶されると、これら隣接する2つのダイ(又はセル)のそれぞれの同じ部分の小さな部分画像(ロジカルフレームと呼ばれる)のグレイレベル信号(基準画像信号)を画像記憶部25から読み出して、差分検出部26に入力する。実際には微小な位置合わせ処理などが行われるがここでは詳しい説明は省略する。
【0008】
差分検出部26には隣接する2個のダイ(又はセル)の同じ部分の部分画像のグレイレベル信号が入力される。差分検出部26は、その一方を検査画像とし他方を参照画像として、各々の対応する画素同士のグレイレベル信号の差(グレイレベル差)が演算して、検出閾値計算部27と欠陥検出部28に出力する。検出閾値計算部27は、グレイレベル差の分布に応じて自動的に検出閾値を決定し、欠陥検出部28に出力する。欠陥検出部28は、グレイレベル差を決定された閾値と比較し、欠陥かどうかを判定する。そして欠陥検出部28は、欠陥と判定された部分について、各欠陥毎に、その欠陥の位置やグレイレベル差、検出時の検出閾値やこの検出閾値を決定する際に使用される欠陥検出パラメータや、欠陥が存在する欠陥箇所の画像データなどを含む欠陥情報を出力する。
【0009】
半導体パターンは、メモリセル部、論理回路部、配線部、アナログ回路部などのパターンの種類に応じてノイズレベルが異なるのが一般的である。半導体パターンの部分と種類の対応関係は設計データにより分かる。そこで、例えば、検出閾値計算部27は部分毎に、その部分のグレイレベル差の分布に応じて検出閾値を自動的に決定し、欠陥検出部28は部分毎に決定された閾値で判定を行なう。
【0010】
【特許文献1】特開2004−177397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の外観検査は、多数の工程からなる半導体製造工程の途中の複数の工程で行われるが、ある工程の処理前に既に存在していた欠陥が、その処理以前に行われた外観検査(以下「先の外観検査」と示す)で検出されずに、その処理以後の外観検査(以下「後の外観検査」と示す)で検出されることがある。
これは例えば、先の外観検査の際に既に欠陥が存在していたにもかかわらず、先の検査では比較的大きな検出閾値が使用されたために検出されなかったところ、後の外観検査で比較的小さい検出閾値が使用されたためにこの欠陥を検出した場合などに生じうる。
【0012】
ここで、先の外観検査では検出した欠陥箇所についての欠陥情報だけを生成するので、後の外観検査で検出した欠陥箇所が先の外観検査の時点でどのような状態であったかは分からない。このため、後の外観検査で検出した欠陥が本当に当該工程によって発生したものなのか、それとも当該工程以前に発生していたが先の外観検査で検出されなかったのかが分からず、当該工程に不具合があるのか否かを確実に知ることができなかった。
【0013】
また外観検査は全ての工程において行うわけではなく、複数の工程毎にとばして行うので、ある工程で欠陥が発生しても外観検査を受ける前に、その後の例えば金属膜堆積工程などで隠されてしまい、その後の外観検査において検出できなくなる問題があった。
【0014】
上記問題点に鑑みて、本発明では、半導体製造工程の所定の工程の前後で増加又は消失した欠陥を特定することが可能な半導体外観検査装置、外観検査方法及び半導体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明では、半導体製造工程において施される所定の処理の前後の一方で撮像された画像における欠陥を検出し、所定の処理の前後の他方で撮像された画像から欠陥を検出した箇所の画像を抽出する。
例えば、処理後の撮像画像で欠陥検出を行い、この欠陥検出箇所の部分の画像を処理前の撮像画像の中から抽出することにより、この抽出した画像を観察すればこの欠陥箇所に処理前から欠陥があった否かを判定することが可能となる。
また例えば処理前の撮像画像で欠陥検出を行い、この欠陥検出箇所の部分の画像を処理後の撮像画像の中から抽出することにより、この抽出した画像を観察すれば、処理前の撮像画像で検出した欠陥箇所に、処理後にもまだ欠陥が存在するか否かを判定することが可能となり、検出した欠陥がこの処理の前後で消滅したか否かを判定することが可能となる。
【0016】
本発明の第1形態に係る半導体外観検査装置によれば、半導体製造工程において所定の処理が施される試料の表面を撮像した画像に基づいて、この試料上に存在する欠陥を検出する半導体外観検査装置であって、所定の処理の前後の一方で撮像された画像における欠陥の検出を行う欠陥検出部と、所定の処理の前後の他方で撮像された画像のうち欠陥検出部により欠陥が検出された箇所の画像を抽出する画像抽出部と、を備える半導体外観検査装置が提供される。
【0017】
本発明の第2形態に係る半導体製造装置によれば、半導体製造工程において試料に所定の処理を施して半導体装置を製造する半導体製造装置であって、所定の処理の前後の一方において撮像された試料の撮像画像における欠陥の検出を行う欠陥検出部と、所定の処理の前後の他方において撮像された試料の撮像画像のうち、欠陥検出部により欠陥が検出された箇所の画像を抽出する画像抽出部と、を備える半導体製造装置が提供される。
【0018】
上記の半導体外観検査装置及び半導体製造装置は、所定の処理の前における試料の撮像画像を記憶する画像記憶部と、所定の処理の少なくとも後において試料の表面を撮像する撮像部と、を備えて構成されてよい。
所定の処理の前における試料の撮像画像は、撮像部が所定の処理前に試料の表面を撮像することによって取得されてもよいが、例えば前の工程で他の外観検査装置が撮像した画像を入力して使用してもよい。
【0019】
上記の半導体外観検査装置を、試料に所定の処理を施して半導体装置を製造する半導体製造装置の一部として設けてもよい。
このように半導体製造装置に設けられた半導体外観検査装置の欠陥検出部や、上記半導体製造装置の欠陥検出部は、この半導体製造装置で行った所定の処理の後に撮像された画像における欠陥の検出を行い、これらの画像抽出部は、所定の処理の前に撮像された撮像画像のうちから、欠陥検出部により欠陥が検出された箇所の画像を抽出することとしてよい。
【0020】
そしてこれら半導体外観検査装置や半導体製造装置は、所定の処理後の画像で欠陥が検出された欠陥箇所に、所定の処理の前に撮像された撮像画像が欠陥を含むか否かに応じて、検出された欠陥がこの半導体製造装置の処理の間に発生した欠陥であるか否かを判定する欠陥発生判定部をさらに備えてもよい。
さらに、これら半導体外観検査装置や半導体製造装置は、半導体製造装置の処理の間に発生した欠陥の検出結果に応じてこの半導体製造装置の異常を検出する異常検出部を備えてもよい。
この異常検出部は、半導体製造装置の処理の間に発生した欠陥の数、種類、分布及び大きさのいずれかに応じて半導体製造装置の異常を検出するように構成でき、さらにこれら欠陥の種類、分布及び大きさのいずれかに応じて半導体製造装置の異常箇所を判定するように構成することも可能である。
【0021】
本発明の第3形態に係る外観検査方法によれば、半導体製造工程において所定の処理が施される試料の表面を撮像した画像に基づいて、この試料上に存在する欠陥を検出する外観検査方法であって、所定の処理の前後の一方で撮像された画像における欠陥を検出し、所定の処理の前後の他方で撮像された画像から欠陥を検出した箇所の画像を抽出する、外観検査方法が提供される。
【0022】
上記外観検査方法において、所定の処理後に撮像された撮像画像において欠陥検出を行い、欠陥が検出された欠陥箇所に、所定の処理の前に撮像された撮像画像が欠陥を含むか否かに応じて、所定の処理の間に増加した欠陥を検出することとしてよい。
このとき、所定の処理の間に増加した欠陥の検出結果に応じて、所定の処理を行う半導体製造装置の異常を検出することとしてよい。
このために、所定の処理の間に増加した欠陥の数、種類、分布及び大きさのいずれかに応じて半導体製造装置の異常を検出することとしてよく、さらに増加した欠陥の種類、分布及び大きさのいずれかに応じて半導体製造装置の異常箇所を判定することとしてもよい。
【0023】
または、上記外観検査方法において、所定の処理前に撮像された撮像画像において欠陥検出を行い、欠陥が検出された欠陥箇所に、所定の処理の後に撮像された撮像画像が欠陥を含むか否かに応じて、所定の処理の間に消失した欠陥を検出してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、半導体製造工程の所定の工程の後で検出した欠陥が、当該検査の後に発生した欠陥であることを判定することが可能となり、不具合のある工程を精度良く特定することが可能となる。また、本発明によって半導体製造工程の所定の工程において消失してしまう欠陥を捉えることが可能となる。
【0025】
上記の半導体外観検査装置を、試料に所定の処理を施して半導体装置を製造する半導体製造装置の一部として設けることによって、記憶するべき撮像画像のデータ量を節約することが可能となる。すなわち、所定の処理の前後の一方における撮像画像から他方で検出された欠陥箇所の画像を抽出するには、少なくとも当該処理の間だけ処理前に取得した撮像画像を保存しておく必要がある。
しかし、半導体ウエハなどの試料は複数枚(25枚程度が一般的である)を1つのカセットに収容して取り扱うのが通常であるため、半導体外観検査装置を半導体装置と別個独立の装置とすると、1カセット分の試料の全てについて撮像画像を保存できるように構成しなければ取り扱いに不便である。
ここで、外観検査装置に用いられる撮像画像は非常に高解像度の画像データであるため、1枚1枚の撮像画像のデータ量が非常に大きくなり、カセット内全ての試料の撮像画像を保存できる記憶媒体を利用するのは現実的でない。
上述のとおり半導体外観検査装置を半導体製造装置の一部として設ければ、当該半導体製造装置内で処理している試料の枚数分だけの画像を保存すれば足りるので、保存データ量を大幅に節約することが可能となる。
【0026】
また従来では、所定の工程において検出した欠陥が真に当該工程で発生した欠陥であるか否かを判定できなかったため、これら検出した欠陥に基づいて当該工程を行う半導体製造装置の異常の有無や異常箇所を自動的に特定することは困難であったが、本発明によって当該工程に不具合があるか否かを精度良く判定できるため、これら検出した欠陥の欠陥数、大きさ、種類またはその分布に基づいて、当該工程を行う半導体製造装置の異常の有無や異常箇所を精度良く自動的に特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例を説明する。図3は、本発明の実施例による半導体製造装置の概略構成図である。
半導体製造装置1は、例えば、リソグラフィ装置、CVD装置、PVD装置、CMP装置などの、試料である半導体ウエハに所定の処理を行う従来の半導体製造装置である試料処理部10と、半導体ウエハの表面を撮像した画像に基づいてウエハ上に存在する欠陥を検出する、本発明に係る半導体外観検査装置である半導体外観検査部20と、半導体製造装置1へのウエハの搬入出及び装置1内でのウエハの搬送を行う搬送部40と、を備えて構成される。
【0028】
半導体ウエハは、複数枚(例えば25枚)がウエハカセット50に収納された状態で、半導体製造装置1に装着される。ウエハカセット50が半導体製造装置1の搬送部40に装着されると、搬送部40の第1ウエハアーム41は、カセット50内からウエハを1枚だけ取り出して経路91に沿って半導体外観検査部20に搬送する。
半導体外観検査部20に搬送された半導体ウエハは、そこで、試料処理部10による処理前におけるウエハ表面の撮像が行われる。その後に搬送部40の第2ウエハアーム42により経路92に沿って試料処理部10に搬送されて、リソグラフィ工程、CVD工程、PVD工程、CMP工程などの当該半導体製造装置1に特有の所定の処理が施される。
【0029】
所定の処理が施された後、半導体ウエハは、第1ウエハアーム41により経路93に沿って半導体外観検査部20に搬送される。
半導体外観検査部20では、試料処理部10による処理後におけるウエハ表面の撮像が行われる。撮像が済んだ後、半導体外観検査部20は、試料処理部10による処理後の撮像画像(以下「処理後の撮像画像」と記す)における欠陥の検出を行う。そして、試料処理部10による処理前の撮像画像(以下「処理前の撮像画像」と記す)のうちから、処理後の撮像画像で検出された欠陥箇所の画像を抽出する。そして抽出した画像に基づいて、検出された欠陥が試料処理部10の前後において増加した欠陥であるか否かを判定する。半導体外観検査部20の構成は後述する。
半導体外観検査部20による検査が終了したウエハは、第1ウエハアーム41により経路93に沿ってウエハカセット50に戻される。
【0030】
図4は、図3に示す半導体外観検査部20の第1構成例である。図4に示すように、半導体外観検査部20は、2次元又は3次元方向に自在に移動可能なステージ21と、その上面に設けられた試料台(チャックステージ)22と、ステージの上部には1次元又は2次元のCCDカメラなどを用いて構成される撮像部24と、撮像部24により撮像された、処理後の撮像画像を記憶するための第1画像記憶部25と、第1画像記憶部25に記憶された画像の隣接する2つのダイ(セル・トゥ・セル比較では隣接する2つのセル)に対応する部分の画像を比較してその差分信号(グレイレベル差信号)を計算する差分検出部26と、差分検出部26によるグレイレベル差信号の分布に応じて自動的に検出閾値を決定する検出閾値計算部27と、グレイレベル差と閾値とを比較して欠陥かどうかを判定する欠陥検出部28と、を備えている。
これら各構成要素25〜28の機能は、図1を参照して説明した従来の外観検査装置の各構成要素25〜28の機能と同様であるため、詳しい説明は省略する。
なお、第1画像記憶部25に複数枚のウエハ3の画像を記憶して、これらのウエハ画像同士を比較しても欠陥検出を行うことができる。このとき差分検出部26は、1つのウエハ画像と他のウエハ画像の各々対応する部分の画像同士を比較してそのグレイレベル差信号を計算し、欠陥検出部28は、このグレイレベル差と閾値とを比較してこの部分に欠陥があるか否かを判定する。
【0031】
半導体外観検査部20は、さらに第2画像記憶部31と、画像抽出部32と、欠陥情報出力部33とを備える。
第2画像記憶部31は、試料処理部10による処理前に、第1ウエハアーム41がウエハカセット50から取り出して半導体外観検査部20に搬送した半導体ウエハ3の表面を撮像して得た処理前の撮像画像を記憶する。
【0032】
画像抽出部32は、欠陥検出部28が上述の通り処理後の撮像画像において検出した欠陥情報を入力する。そして、第2画像記憶部31に記憶された処理前の撮像画像のうちの、入力した欠陥情報が示す欠陥箇所の部分画像を抽出する。
欠陥情報出力部33は、欠陥検出部28が検出した欠陥の欠陥情報に併せて、当該欠陥について画像抽出部32が抽出した部分画像を出力する。例えば欠陥情報出力部33は、画像抽出部32が抽出した部分画像をCRTなどの表示装置に表示したり、プリンタなどにより印刷したり、あるいは自動欠陥分類装置や、歩留管理装置やホスト装置などの外部のコンピュータ装置に出力する。
【0033】
このような抽出画像を表示または印刷することによって、これを観察するオペレータは、抽出画像を見て当該欠陥が本半導体製造装置1による処理によって発生した欠陥なのか、それとも処理の前からあった欠陥なのかを判断することが可能となる。
また、このような抽出画像を、自動欠陥分類装置や歩留管理装置に出力することによって、これらの装置において抽出画像において欠陥検出を行い、当該欠陥が本半導体製造装置1による処理によって発生した欠陥なのか、それとも処理の前からあった欠陥なのかを判断することが可能となる。
【0034】
当該欠陥が本半導体製造装置1による処理によって発生したのか否かの判断を、半導体外観検査部20自身で行ってもよい。このために半導体外観検査部20は、欠陥検出部28が検出した欠陥箇所に、処理前の撮像画像においても欠陥があるか否かを判断して、その欠陥の有無に応じて、欠陥検出部28が検出した欠陥が半導体製造装置1の処理の間に発生した欠陥であるか否かを判定する欠陥発生判定部34を備える。
欠陥発生判定部34による欠陥有無の判断は次のようにしてよい。例えば、欠陥検出部28は、欠陥の検出箇所における処理後の部分画像を欠陥情報に含めておき、欠陥発生判定部34は、画像抽出部32により抽出された範囲の部分画像と欠陥情報に含まれる部分画像との差分を検出して、差分が小さい場合は半導体製造装置1による処理前から当該欠陥箇所に欠陥があったと判断し、差分が大きい場合は半導体製造装置1による処理前には当該欠陥箇所に欠陥がなかったと判断してよい。
【0035】
または欠陥発生判定部34は、差分検出部26、検出閾値計算部27及び欠陥検出部28が行う画像比較処理と同様の処理を、第2画像記憶部31に保存された処理前の撮像画像上で行って、画像抽出部32により抽出された範囲に欠陥があるか否かを判断してよい。
このとき欠陥発生判定部34は、入力した欠陥情報が示す欠陥が発見された箇所のみについて、この位置及びその周囲の画像と、これに対応する部分の参照画像(例えば、ダイ・トゥ・ダイ比較においては隣接ダイの対応部分であり、セル・トゥ・セル比較においては隣接セルの対応部分)との間で画像比較を行うこととしてよい。
【0036】
さらに、半導体外観検査部20は、半導体製造装置1の処理の間に発生したと判断された欠陥の検出結果に応じて、半導体製造装置1の異常を検出する異常検出部35を備えてもよい。異常検出部35は、これら欠陥の数、種類、分布及び大きさのいずれかに応じて半導体製造装置1の異常を検出することが可能である。
例えば、検出された欠陥数が所定の数以上となったときに、半導体製造装置1に不具合があると判定して、半導体製造装置1の異常を検出することとしてよい。または、所定の面積よりも大きな異常欠陥が発生したときに半導体製造装置1の異常を検出することとしてよい。
【0037】
または例えば欠陥の形状等の種類や大きさによって、欠陥の原因物質などが推測できる場合には、原因物質を使用する箇所を異常箇所として判定することも可能である。また欠陥の集中箇所及び程度等の分布によって、例えばガスの吹き出し口などにゴミがたまったなどの異常箇所を特定することも可能である。
異常検出部35は、半導体製造装置1の異常を検出した場合にその旨及び異常箇所を示す異常検出信号を出力する。この異常検出信号は、表示装置に表示されオペレータに半導体製造装置1のメンテナンスを促す警報信号として使用してもよく、あるいは異常検出信号に応答して半導体製造装置1のメンテナンス(例えば装置内の特定箇所を自動的にクリーニングするなど)を開始させるための、半導体製造装置1の自己診断信号として使用してもよい。
【0038】
なお、これら差分検出部26、検出閾値計算部27、欠陥検出部28、画像抽出部32、欠陥情報出力部33、欠陥発生判定部34及び異常検出部35は、それぞれの機能を実現するように構成されたハードウエア回路で実現することも可能であり、また単一又は複数の情報処理装置(コンピュータなど)によって実行されてぞれぞれの機能を実現するソフトウェアモジュールとして実現することも可能である。
または、図4において第1画像記憶部25及び第2画像記憶部31を個別の構成要素として図示したが、これらは同じ記憶装置に記憶領域を分けて実現してもよい。
【0039】
これまでの説明は、第1画像記憶部25には処理後の撮像画像を記憶し、第2画像記憶部31には処理前の撮像画像を記憶して、処理後の撮像画像において欠陥検出を行い、処理前の撮像画像のうちから、処理後の撮像画像で欠陥が検出された箇所の画像を抽出することとした。
しかし、これに代えて第1画像記憶部25には処理前の撮像画像を記憶し、第2画像記憶部31には処理後の撮像画像を記憶することとしてもよい。そして差分検出部26、欠陥閾値計算部27及び欠陥検出部28により処理前の撮像画像において欠陥検出を行い、第2画像記憶部31に記憶された処理後の撮像画像のうちから、欠陥検出部28により欠陥が検出された箇所の画像を抽出することとしてもよい。そして欠陥情報出力部33は、このように抽出された画像を当該欠陥についての欠陥情報に併せて出力することとしてよい。
このように抽出された画像における欠陥の有無を判定することにより、半導体製造装置1の処理の間に消失した欠陥を検出することが可能となる。このような検出処理を欠陥発生判定部34で行ってもよい。
【0040】
上述の通り半導体外観検査部20は半導体製造装置1に付属して備えられるが、このように個々の半導体製造装置1に付属させることにより、この半導体製造装置1の処理の前における試料の撮像画像を、比較的少ない記憶容量で、処理の後まで保持することができるメリットがある。すなわち半導体外観検査部20を半導体製造装置1と別個の装置として設けた場合には、半導体ウエハ3を扱う単位であるウエハカセット50の収容枚数(25枚程度が一般的である)分の記憶容量が必要であるが、半導体外観検査部20を半導体製造装置1に組み込むことにより、記憶しておく撮像画像の枚数は、現在処理中のウエハと、搬送部40にあるウエハと、外観検査中のウエハのせいぜい3枚分の撮像画像を記憶できれば足りる。
【0041】
しかし、大容量の記憶装置や記憶媒体を使用して、大量の枚数のウエハの撮像画像を取り扱うことができれば、半導体外観検査部20を半導体製造装置1と別個の装置として構成することも可能であり、またこのように別個の装置として構成した場合には、処理後の撮像画像のみを自らの撮像部24によって取得し、処理前の撮像画像は、例えば前の工程で他の外観検査装置が撮像した画像を入力して使用してもよい。
図5にこのような半導体外観検査部20の第2構成例を示す。
【0042】
半導体外観検査部20は、処理前の撮像画像を入力するための画像入力部36を備え、画像入力部36から入力された処理前の撮像画像は第2画像記憶部31に記憶される。画像入力部36は、例えば前の工程で他の外観検査装置が撮像した画像を記憶した記憶媒体(DVDディスクやブルーレイディスク、フラッシュメモリ)などを読み取ることが可能なドライブ装置で実現してもよく、このような撮像画像をネットワーク経由で受信するためのネットワークアダプタ装置で実現してもよい。
そして撮像部24は、半導体製造装置1による特定の処理後の撮像画像を取得するために使用され、第1画像記憶部25には処理後の撮像画像が記憶される。
その他の構成要素については、図4に示す半導体外観検査部20の第1構成例と同様であるため説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、半導体製造工程において試料表面に形成されるパターンを撮像した撮像画像に基づいて、パターンに現れる欠陥を検出する半導体外観検査装置、外観検査方法及びこのような外観検査装置を備える半導体製造装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】従来の半導体外観検査装置の概略構成図である。
【図2】半導体ウエハ上のダイの配列を示す図である。
【図3】本発明の実施例による半導体製造装置の概略構成図である。
【図4】図3に示す半導体外観検査部の第1構成例である。
【図5】図3に示す半導体外観検査部の第2構成例である。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体製造装置
3 半導体ウエハ
10 試料処理部
20 半導体外観検査部
40 搬送部
41 第1ウエハアーム
42 第2ウエハアーム
50 ウエハカセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造工程において所定の処理が施される試料の表面を撮像した画像に基づいて、この試料上に存在する欠陥を検出する半導体外観検査装置であって、
前記所定の処理の前後の一方で撮像された画像における欠陥の検出を行う欠陥検出部と、
前記所定の処理の前後の他方で撮像された画像のうち、前記欠陥検出部により欠陥が検出された箇所の画像を抽出する画像抽出部と、
を備えることを特徴とする半導体外観検査装置。
【請求項2】
前記所定の処理の前における前記試料の撮像画像を記憶する画像記憶部と、
前記所定の処理の少なくとも後において前記試料の表面を撮像する撮像部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体外観検査装置。
【請求項3】
前記撮像部が前記所定の処理の前後において前記試料の表面を撮像し、
前記画像記憶部は、該撮像部が撮像した前記所定の処理の前における前記試料の撮像画像を記憶する、
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体外観検査装置。
【請求項4】
前記試料に前記所定の処理を施して半導体装置を製造する半導体製造装置に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体外観検査装置。
【請求項5】
前記欠陥検出部は、前記所定の処理の後に撮像された画像における欠陥の検出を行うことを特徴とする請求項4に記載の半導体外観検査装置。
【請求項6】
前記欠陥が検出された欠陥箇所に、前記所定の処理の前に撮像された前記撮像画像が欠陥を含むか否かに応じて、検出された前記欠陥が前記半導体製造装置の処理の間に発生した欠陥であるか否かを判定する欠陥発生判定部を、さらに備えることを特徴とする請求項5に記載の半導体外観検査装置。
【請求項7】
前記半導体製造装置の処理の間に発生した欠陥の検出結果に応じて前記半導体製造装置の異常を検出する異常検出部を、さらに備えることを特徴とする請求項6に記載の半導体外観検査装置。
【請求項8】
前記異常検出部は、前記半導体製造装置の処理の間に発生した欠陥の数、種類、分布及び大きさのいずれかに応じて前記半導体製造装置の異常を検出することを特徴とする請求項7に記載の半導体外観検査装置。
【請求項9】
前記異常検出部は、前記半導体製造装置の処理の間に発生した欠陥の種類、分布及び大きさのいずれかに応じて前記半導体製造装置の異常箇所を判定することを特徴とする請求項7に記載の半導体外観検査装置。
【請求項10】
半導体製造工程において試料に所定の処理を施して半導体装置を製造する半導体製造装置であって、
前記所定の処理の前後の一方において撮像された前記試料の撮像画像における欠陥の検出を行う欠陥検出部と、
前記所定の処理の前後の他方において撮像された前記試料の撮像画像のうち、前記欠陥検出部により欠陥が検出された箇所の画像を抽出する画像抽出部と、
を備えることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項11】
前記所定の処理の前において撮像された前記試料の撮像画像を記憶する画像記憶部と、
前記所定の処理の少なくとも後において前記試料の表面を撮像する撮像部と、
を備えることを特徴とする請求項10に記載の半導体製造装置。
【請求項12】
前記撮像部が前記所定の処理の前後において前記試料の表面を撮像し、
前記画像記憶部は、該撮像部が撮像した前記所定の処理の前における前記試料の撮像画像を記憶する、
ことを特徴とする請求項11に記載の半導体製造装置。
【請求項13】
前記欠陥検出部は、前記所定の処理の後に撮像された画像における欠陥の検出を行うことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項14】
前記欠陥が検出された欠陥箇所に、前記所定の処理の前に撮像された前記撮像画像が欠陥を含むか否かに応じて、検出された前記欠陥が前記所定の処理の間に発生した欠陥であるか否かを判定する欠陥発生判定部を、さらに備えることを特徴とする請求項13に記載の半導体製造装置。
【請求項15】
前記所定の処理の間に発生した欠陥の検出結果に応じて自装置の異常を検出する異常検出部を、さらに備えることを特徴とする請求項14に記載の半導体製造装置。
【請求項16】
前記異常検出部は、前記所定の処理の間に発生した欠陥の数、種類、分布及び大きさのいずれかに応じて自装置の異常を検出することを特徴とする請求項15に記載の半導体製造装置。
【請求項17】
前記異常検出部は、前記所定の処理の間に発生した欠陥の種類、分布及び大きさのいずれかに応じて自装置の異常箇所を判定することを特徴とする請求項15に記載の半導体製造装置。
【請求項18】
半導体製造工程において所定の処理が施される試料の表面を撮像した画像に基づいて、この試料上に存在する欠陥を検出する外観検査方法であって、
前記所定の処理の前後の一方で撮像された画像における欠陥を検出し、
前記所定の処理の前後の他方で撮像された画像から、前記欠陥を検出した箇所の画像を抽出する、
ことを特徴とする外観検査方法。
【請求項19】
前記所定の処理の後に撮像された画像において欠陥の検出を行い、
前記欠陥が検出された欠陥箇所に、前記所定の処理の前に撮像された前記撮像画像が欠陥を含むか否かに応じて、前記所定の処理の間に増加した欠陥を検出することを特徴とする請求項18に記載の外観検査方法。
【請求項20】
前記所定の処理の間に増加した欠陥の検出結果に応じて、前記所定の処理を行う半導体製造装置の異常を検出することを特徴とする請求項19に記載の外観検査方法。
【請求項21】
前記所定の処理の間に増加した欠陥の数、種類、分布及び大きさのいずれかに応じて前記半導体製造装置の異常を検出することを特徴とする請求項20に記載の外観検査方法。
【請求項22】
前記所定の処理の間に増加した欠陥の種類、分布及び大きさのいずれかに応じて前記半導体製造装置の異常箇所を判定することを特徴とする請求項20に記載の外観検査方法。
【請求項23】
前記所定の処理の前に撮像された画像において欠陥の検出を行い、
前記欠陥が検出された欠陥箇所に、前記所定の処理の後に撮像された前記撮像画像が欠陥を含むか否かに応じて、前記所定の処理の間に消失した欠陥を検出することを特徴とする請求項18に記載の外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−187549(P2007−187549A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5757(P2006−5757)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】