説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ダマシン法によるCu配線構造の形成において、Cu−Mn合金をバリアメタル膜に組み合わせて欠陥の自己修復および密着性の向上を図る際に、Mnの拡散によるCu配線パターンの抵抗増加を抑制する配線の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板上方に形成された酸素を含む絶縁膜21と、前記絶縁膜に形成された凹部21Tと、凹部の内壁に形成された高融点金属膜22と、高融点金属膜上に形成された銅とマンガンと窒素を含む金属膜23と、金属膜上に形成され、凹部を充填する銅膜24Aと、を含む構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に半導体装置に係り、特に多層配線構造を有する半導体装置およびその製造に関する
【背景技術】
【0002】
今日の半導体集積回路装置においては、共通基板上に莫大な数の半導体素子が形成されており、これらを相互接続するために、多層配線構造が使われている。
【0003】
多層配線構造では、配線層を構成する配線パターンを埋設した層間絶縁膜が積層される。
このような多層配線構造では、下層の配線層と上層の配線層とが、層間絶縁膜中に形成されたビアコンタクトにより接続される。
【0004】
特に最近の超微細化・超高速半導体装置では、多層配線構造中における信号遅延(RC遅延)の問題を軽減するため、層間絶縁膜として低誘電率膜(いわゆるlow−k膜)が使われる。これと共に、配線パターンとして、低抵抗の銅(Cu)パターンが使われている。
【0005】
このようにCu配線パターンを低誘電率層間絶縁膜中に埋設した多層配線構造においては、Cu層のドライエッチングによるパターニングが困難であるため、層間絶縁膜中に予め配線溝あるいはビアホールを形成するいわゆるダマシン法あるいはデュアルダマシン法が使われる。ダマシン法あるいはデュアルダマシン法では、このようにして形成された配線溝あるいはビアホールをCu層で充填し、その後、層間絶縁膜上の余剰なCu層を化学機械研磨(CMP)により除去する。
その際、Cu配線パターンが層間絶縁膜に直接に接すると、Cu原子が層間絶縁膜中に拡散し、短絡などの問題を惹起するため、Cu配線パターンが形成される配線溝あるいはビアホールの側壁面および底面を、導電性の拡散バリア、いわゆるバリアメタル膜により覆い、Cu層を、かかるバリアメタル膜上に堆積することが一般になされている。バリアメタル膜としては、一般的にタンタル(Ta)やチタン(Ti)、タングステン(W)などの高融点金属、あるいはこれら高融点金属の導電性窒化物が用いられる。
【0006】
一方、最近の45nm世代あるいはそれ以降の超微細化・超高速半導体装置では、微細化に伴い層間絶縁膜中に形成される配線溝あるいはビアホールの大きさが著しく縮小されてきている。
【0007】
これに伴って、このような比抵抗の大きなバリアメタル膜を使って所望の配線抵抗の低減を実現しようとすると、これら微細な配線溝あるいはビアホールに形成されるバリアメタル膜の膜厚を可能な限り減少させる必要がある。
【0008】
一方、バリアメタル膜は、配線溝あるいはビアホールの側壁面および底面を連続的に覆う必要がある。
【0009】
このような事情に関連して特許文献1は、層間絶縁膜中に形成された配線溝あるいはビアホールを、銅マンガン合金層(Cu−Mn合金層)により直接に覆っている。
【0010】
この特許文献1では、かかるCu−Mn合金層と層間絶縁膜との界面に、厚さが2〜3nmで組成がMnSixyのマンガンシリコン酸化物層を、前記Cu−Mn合金層中のMnと層間絶縁膜中のSiおよび酸素との自己形成反応により、拡散バリア膜として形成する技術が記載されている。
【0011】
しかしこの技術では、自己形成される層がMnSixOyの組成を有し、膜中に含まれる金属元素、すなわちマンガン(Mn)の濃度が低いことに起因して、Cu膜に対する密着性が不十分である問題が認識されている。
【0012】
このため特許文献2には、Cu−Mn合金層とTaやTiなどの高融点金属バリアメタル膜を組みあわせた構成の構造が記載されている。
【0013】
このようにCu−Mn合金層とTaやTiなどの高融点金属バリアメタル膜を組みあわせた構造では、以下のような事情で、耐酸化性が向上する好ましい特徴も得られる。
【0014】
近年、信号遅延(RC遅延)を回避する目的で、層間絶縁膜を構成する低誘電率材料として、多孔質低誘電率膜の使用が提案されている。しかし、このような多孔質低誘電率材料は密度が低く、製造時にプラズマ処理を行うとダメージを受けやすい問題を有している。ダメージを受けた膜は、その表面や内部に水分を吸着しやすくなる。
【0015】
このためこのような多孔質低誘電率膜上に形成されたバリアメタル膜は、多孔質誘電体膜中に吸着された水分の影響を受けて酸化しやすく、拡散バリアとしての性能、およびCu配線層あるいはビアプラグに対する密着性が劣化しやすい。
【0016】
ところが、先に説明したCu−Mn合金層をこのような構造において用いると、Cu−Mn合金層中のMnが、バリアメタル膜の酸化部分と反応し、拡散バリアとしての性能およびCu配線層あるいはビアプラグに対する高い密着性を維持することが可能となる。そこで、このようなCu−Mn合金層を用いたダマシン法あるいはデュアルダマシン法によるCu配線層あるいはビアプラグの形成が研究されている。
【特許文献1】特開2005-277390
【特許文献2】特開2007-27259
【非特許文献1】Low Resistive and Highly Reliable Cu Dual-Damascene InterconnectTechnology Using Self-Formed MnSixOy Barrier Layer., T. Usui, et al.,proceeding of IEEE IITC, 2005, p188
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、このようなCu−Mn合金層を用いた構造よりなるダマシン法あるいはデュアルダマシン法においては、前記合金層中のMn原子が実質的に全てバリアメタル膜の酸化部分と反応すれば、形成されるCu配線層あるいはCuビアプラグ中の残留Mn濃度は低くなり、確実に低い抵抗値を実現できる。しかし、前記合金層中に多量のMnが残留した場合には、前記合金層からMnがCu配線層あるいはビアプラグに拡散し、抵抗値の上昇が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一の側面によれば半導体装置は、半導体基板上方に形成された酸素を含む絶縁膜と、前記絶縁膜に形成された凹部と、前記凹部の内壁に形成された高融点金属膜と、前記高融点金属膜上に形成された銅とマンガンと窒素を含む金属膜と、前記金属膜上に形成され、前記凹部を充填する銅膜とを含む。
【0019】
他の側面によれば半導体装置の製造方法は、半導体基板上方に酸素を含む絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜に凹部を形成する工程と、前記凹部の内壁に高融点金属膜を形成する工程と、前記高融点金属膜上に、銅とマンガンと窒素を含む金属膜を形成する工程と、前記金属膜を形成後、少なくとも前記凹部を埋める銅膜を形成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0020】
前記高融点金属膜上に形成される金属膜が、銅とマンガンと窒素を含むことにより、前記金属膜から前記凹部を充填する銅膜中へのマンガンの拡散を抑制することが可能となり、前記銅膜の抵抗値の増大を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1の実施形態]
最初に本発明の関連技術を説明する。
【0022】
図1は、図2に示すダマシン法により形成したCu配線パターン14Bについて、Pure−Cu条件に対するCu−Mn合金適応時の配線抵抗上昇率について示す図であり、配線幅を様々に変化させている。ただし図2のCu−Mn合金適応時のCu配線パターン14Bは、本発明の関連技術に係る図3A〜3Dのプロセスにより形成される。
【0023】
図3Aを参照するに、SiO2などの絶縁膜11中には配線溝やビアプラグなどの凹部11Tが形成されている。以下の説明では前記凹部11Tは配線溝であるとして説明するが、孤立したビアプラグなどであってもよい。また前記絶縁膜11の表面は、前記凹部11Tの表面および底面を含め、Taなどの高融点金属あるいはその導電性窒化物よりなるバリアメタル膜12により覆われている。前記バリアメタル膜12は、前記凹部11Tを、その断面形状に整合した断面形状で覆う。
【0024】
次に図3Bに示すように、前記図3Aの構造上に前記バリアメタル膜12を覆ってCu−Mn合金よりなるCu−Mn合金層13が、前記凹部11Tの断面形状に整合した断面形状で形成される。
【0025】
次に図3Cに示すように、前記図3Bの構造上にCu層14が、前記Cu−Mn合金層13上に電解メッキ法により、前記凹部11Tを充填するように形成される。
【0026】
次に図3Dに示すように、前記絶縁膜11上のバリアメタル膜12,Cu−Mn合金層13およびCu層が、化学機械研磨(CMP)法により研磨される。前記図3Dの化学機械研磨は、前記絶縁膜11の表面が露出するまで継続される。その結果、図3Dに示すように前記絶縁膜11表面の凹部11Tを、バリアメタル膜12、Cu-Mn合金層13を介して充填するCuパターン14Aが形成される。
【0027】
さらに図3Dの構造は例えば400℃の温度で熱処理される。これにより、図3Eに示すように、前記Cu−Mn合金層13中のMn(マンガン)原子が前記バリアメタル膜12表面の酸化物と反応し、例えば組成がTaMnで概略的に表されるMn酸化物が形成される。またその際、前記Cu−Mn合金層13とCuパターン14Aは連続した単一のCu配線パターン14Bに変化する。
【0028】
さて再び図1を参照するに、図3Dの状態から図3Eの状態へと移行する際の抵抗値の上昇率は、配線幅Wが狭い場合に小さく、大きい場合には大きいことがわかる。これは、図4に示すように、前記配線幅Wが狭い場合には領域IにおけるようにCu−Mn合金層13を含むCu配線パターン14Bの体積に対するバリアメタル膜12の表面積の比率が比較的大きいことに起因すると考えられる。すなわち、領域Iにおいては前記バリアメタル膜12とCu配線パターン14Bとの界面の面積が、前記Cu配線パターン14Bの体積に比較して領域IIにおけるよりも大きい。このため、前記Cu−Mn合金層13中のMn原子は実質的に全て、図3Eの熱処理の際に前記バリアメタル膜12表面の酸化物と反応する。その結果、前記Cu配線パターン14B中のMn濃度が効率的に低下する。これに対し領域IIにおいては、Cu配線パターン14Bの体積に対する前記バリアメタル膜12の表面積の比が小さい。このため、Cu−Mn合金層13中のMn原子の一部のみが前記バリアメタル膜12表面の酸化物と反応するが、未反応のMn原子がCu配線パタ―ン14B中に残留してしまう。このため、図3Eの熱処理工程に伴い、図1に示すように大きな配線抵抗率の上昇が生じるものと考えられる。
【0029】
図5は、前記図2のCu配線パターン14Bについて、図3Eの熱処理条件を、「As−depo」,「ANL1」,「ANL2」,「ANL3」,「ANL4」と、様々に変化させた場合の、純粋なCuに対する抵抗値の上昇率のシミュレーション結果を示す。ただし「As−depo」は、熱処理なしを示し、「ANL1」、「ANL2」、「ANL3」、「ANL4」と数字が大きくなるにつれ、大きな熱負荷がかかっていることを示す。なお簡単のため、合金元素は他物質と反応し析出しないとしている。
【0030】
図5を参照するに、熱処理が進行するにつれてCu配線パターン14Bの抵抗値が増大しているのがわかる。実際の配線においては熱負荷に伴う、合金元素とバリアメタル,絶縁膜との反応によるCu配線からの合金元素排出、結晶粒粗大化、合金元素の粒界偏析などによる抵抗の低減が起こるため、図5には従わない。図5はあくまで合金元素の拡散現象のみに着目したものである。
【0031】
図5に関連して、図6は、前記図2の構造において、前記図3Eの熱処理工程の際の線A−Bに沿った合金元素原子の拡散をシミュレートした結果を示す。
【0032】
図6を参照するに、合金元素原子が熱処理の進行と共に前記図3Dに示すCu合金層13からCuパターン14Aへと拡散しているのがわかる。図6のシミュレーション結果を勘案すると、前記図5のCu配線パターン14Bの熱処理に伴う抵抗値の増大は、このようなMn原子の拡散に起因するものであると考えられる。
【0033】
このように、ダマシン法により、バリアメタル膜にCu−Mn合金層を組み合わせて形成したCu配線パターンでは、前記Cu−Mn合金層中のMn原子をバリアメタル膜の酸化部分や欠陥などと反応させて欠陥を自己修復させる際に、残留Mn原子がCu配線パターン中に拡散するのを抑制することが、配線抵抗を低減させる上で大きな課題となる。
本発明では、Cu−Mn−N合金層を使うことにより、Mn原子のCu配線層中への拡散を効果的に抑制する。
【0034】
図7A〜図7Eは、本発明の第1の実施形態によるCu配線パタ―ンのダマシン法による形成工程を示す図である。
【0035】
図7Aを参照するに、絶縁膜21中には配線溝などの凹部21Tが形成されている。また前記絶縁膜21の表面は、前記凹部21Tの表面および底面を含め、TaやTi,Wなどの高融点金属、あるいはその導電性窒化物よりなる、厚さが1nm〜10nmのバリアメタル膜22により覆われている。ここで前記絶縁膜21は、Mnとの反応により酸化物を形成できるように酸素を含むものであるのが好ましい。例えば前記絶縁膜21はTEOSを原料としたプラズマCVD法により形成されるシリコン酸化膜などであってもよい。また前記絶縁膜21は、SiOC膜など、シリコン酸化膜をベースとする低誘電率膜であってもよい。さらに前記絶縁膜は、塗布工程やプラズマCVD工程により形成される有機あるいは無機の、いわゆるlow−K膜とよばれる低誘電率膜であってもよい。このような無機低誘電率膜としては、上記SiOC膜の他に、オルガノシロキサン系材料膜や水素化シロキサン系材料膜などが挙げられる。有機低誘電率膜としては、例えばダウケミカル社のSiLK(商品名)やハネウェル社のFLARE(商品名)などの芳香族ポリエーテル膜などを使うことができる。
【0036】
前記バリアメタル膜22は、所々に前記絶縁膜21を露出する欠陥を有するものであってもよい。また前記バリアメタル膜22は所々に酸化膜を有するものであってもよい。前記バリアメタル膜22は、前記凹部21Tを、その断面形状に整合した断面形状で覆う。前記バリアメタル膜22は、典型的には前記高融点金属のターゲットを使ったスパッタ法により形成されるが、MOCVD法やALD(atomic layer deposition)法により形成されてもよい。前記バリアメタル膜は前記高融点金属膜と導電性窒化物膜の積層膜であってもよい。
【0037】
次に図7Bに示すように、前記図7Aの構造上に前記バリアメタル膜22を覆って、窒素(N)を含むCu−Mn合金よりなるCu−Mn−N合金層23が、前記凹部21Tの断面形状に整合した断面形状で形成される。
【0038】
より具体的には、Mnを0.1〜10原子%の濃度で含んだCu−Mn合金をターゲットとして使い、全圧が10-3Paで窒素濃度が20%のアルゴン(Ar)/窒素混合ガス雰囲気中、−20℃の基板で5kWのパワーを投入してスパッタを行うことにより、Mnを0.1原子%〜10原子%の濃度で、またNを2%以下の濃度で含むCu−Mn−N合金層が、前記Cu−Mn−N層23として、例えば5nm〜40nm、好ましくは約10nmの膜厚に形成される。なお、前記Cu−Mn−N合金層23は、スパッタ法以外にも、MOCVD法やALD法によっても形成することができる。また前記スパッタ法では、前記Arガスに代えて他の希ガス、例えばヘリウム(He)ガスやネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガスやクリプトン(Kr)ガスを使うことも可能である。
【0039】
次に図7Cに示すように、前記図7Bの構造上にCu層24が、電解メッキ法などにより、前記凹部21Tを充填するように形成される。
【0040】
次に図7Dに示すように、前記絶縁膜21上のCu層24,Cu−Mn−N合金層23およびバリアメタル膜22が、化学機械研磨(CMP)法により順次研磨される。前記図7Dの化学機械研磨は、前記絶縁膜21の表面が露出するまで継続される。その結果、図7Dに示すように前記絶縁膜21表面の凹部21Tを、バリアメタル膜22およびCu−Mn−N合金層23を介して充填するCuパターン24Aが形成される。
【0041】
さらに図7Dの構造は例えば400℃の温度で熱処理される。これにより、図7Eに示すように、前記Cu−Mn−N合金層23中のMnが前記バリアメタル膜22表面の酸化物あるいは欠陥において露出した絶縁膜21と反応し、例えば組成がTaMnあるいはMnSixyで概略的に表されるMn酸化物が形成される。これにより、前記バリアメタル膜22中の欠陥などが修復される。またその際、前記Cu−Mn−N合金層23とCuパターン24Aは連続したCu配線パターン24Bに変化する。また先にも説明したように、Mn原子がバリアメタル膜22の酸化部分と反応することで、Cu配線パターン24Bとバリアメタル膜22との間に強固な結合が生じ、密着性が向上する。
【0042】
図8は、前記図7Eの試料に対し線C−Dに沿って行ったSIMS分析の結果を示す。ただし図8A中、左の縦軸(対数軸)は、N,O(酸素),Mnの濃度を、右の縦軸(対数軸)は、Cu(銅)の2次イオン強度を示す。図8Aの実験では前記バリアメタル膜22を省略しており、Cu−Mn−N合金層23が直接にSiO2膜21に接している。この実験の場合は、前記Cu−Mn−N合金層23中のMn原子がSiO2膜21と反応して層23と層21の界面に形成されるマンガンシリコン酸化物がCuの拡散バリア膜として作用する。以下に説明する結果は、特定の幅Wや深さtの場合に限定されるものではない。
【0043】
図8を参照するに、前記Cu−Mn合金層23がNを含むCu−Mn−N合金層である場合、図7Eの熱処理工程後においてもMnの分布の大部分は、前記Cu−Mn―N合金層23の当初の位置に限定される。
【0044】
これに対し図9は、前記Cu−Mn層23として、窒素を含まないCu−Mn合金層を形成した場合の、同様なSIMSプロファイルを示す。前記窒素を含まないCu−Mn合金層23は、前記Cu−Mn合金をターゲットとしたスパッタを、窒素を含まないAr雰囲気中において実行することにより形成されている。
【0045】
図9を参照するに、図7Eの熱処理後には前記Cu−Mn合金層中のMn原子がCu配線層24Bの奥深くまで拡散しており、例えばCu配線層24Bの表面で比較した場合、Mn濃度が100倍ないし1000倍も増大していることがわかる。
【0046】
図8,9より、前記Cu−Mn合金層23としてNを含むCu−Mn−N合金層を使うことにより、Mn原子のCu配線層24B中への拡散を効果的に抑制できることが確認された。先の図5,図6の関係を勘案すると、Cu配線パターン24B中においてMn原子の拡散を抑制することにより、Mn濃度の増加に起因するCu配線パターン24Bの抵抗値の増大を効果的に抑制できることがわかる。
【0047】
なお前記図8においては、当初のCu−Mn−N合金層23とCu層24との界面近傍に酸素の濃集が見られ、これに対応して図7Eの構造では、前記Cu−Mn−N合金層23とCuパターン24Aとの界面であった部分に、酸素濃集部23Oxが生じていることに注意すべきである。これは前記Cu−Mn−N合金層23が形成された際に表面に結合していた雰囲気中の残留酸素の痕跡を示している。
【0048】
図10は、前記図7Bの工程でCu−Mn−N合金層23を形成する際の、Ar/窒素混合雰囲気中における窒素の濃度(分圧)と、Cu配線パターン24Bのシート抵抗との関係を示す。ただし図10においてシート抵抗は、窒素を含まないCu−Mn合金層を前記層23として使った場合を100%として規格化してある。図10の結果は、前記Cu配線パターン24Bの幅Wが3μm、深さtが150nmの場合についてのものである。
【0049】
図10を参照するに、スパッタの際に7%以上の濃度で窒素ガスをArガスに混合しておくことで、得られるCu配線パターン24Bのシート抵抗を10%近く低減することができるのがわかる。
【0050】
なお図7Cに示すCu層24の形成を、図11A,11Bに示すように、前記Cu−Mn−N合金層23上に別にCuシード層24Sをスパッタ法やMOCVD法、あるいはALD法などにより形成し、前記Cuシード層24Sを電極に前記Cu層24の電解メッキを行うようにすることも可能である。この場合には、Cu層24の電解メッキが、抵抗値の低いCuシード層24Sを電極にして実行されるため、成膜のスループットを向上させることができる。この場合、前記Cu−Mn−N合金層23に対して熱処理を行うと、前記Cuシード層24SとCu層24の区別は消失し、図7Eと同一の構成のCu配線パターン24Bが得られる。
【0051】
本実施形態では、前記Cuパターン24A,24BはCu配線パターンを形成するものとして説明したが、上記の説明は、これらがCuビアプラグであった場合でも成立する。
[第2の実施形態]
図12A〜12Fは本発明の第2の実施形態によるCu配線パターンのダマシン法による形成工程を示す。ただし図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0052】
図12Aは前記図7Aに対応しており、前記絶縁膜21中に形成された凹部21Tの側壁面および底面が、TaやTiなどの高融点金属膜あるいはその導電性窒化物膜よりなるバリアメタル膜22により覆われている。先の実施形態と同様に、前記バリアメタル膜22は、高融点金属膜とその導電性窒化物膜の積層膜であってもよい。また前記バリアメタル膜22は、所々に酸化物や、絶縁膜21を露出する欠陥を有するものであってもよい。
【0053】
次に図12Bに示すように前記図12Aの構造上にCu−Mn合金をターゲットとしたスパッタをAr雰囲気中で実行することにより、Nを含まないCu−Mn合金層23Mが、前記バリアメタル膜22を覆って、前記凹部21Tの断面形状に整合した断面形状で、前記Cu−Mn−N合金層23の例えば半分の5nmの膜厚で形成される。
【0054】
次に図12Cに示すように、前記図12Bの構造上に先の図7Bと同様にして、Nを含むCu−Mn−N合金層23Nが、Arガスと窒素ガスの混合雰囲気中で実行されるスパッタにより、例えば5nmの膜厚に、前記Cu−Mn合金層23Mの断面形状に整合した断面形状で形成される。
【0055】
さらに図12Dに示すように前記Cu−Mn−N合金層23NおよびCu−Mn合金層23M上に電解メッキを行うことにより、前記凹部21Tを充填してCu層24が形成される。
【0056】
さらに図12Eに示すように、前記絶縁膜21上のCu層24,Cu−Mn−N合金層23N,Cu−Mn合金層23Mおよびバリアメタル膜22が、化学機械研磨(CMP)法により順次研磨される。前記図12Eの化学機械研磨は、前記絶縁膜21の表面が露出するまで継続される。その結果、図12Eに示すように前記絶縁膜21表面の凹部21Tを、バリアメタル膜22、Cu−Mn合金層23MおよびCu−Mn−N合金層23Nを介して充填するCuパターン24Aが形成される。
【0057】
さらに図12Eの構造は例えば400℃の温度で熱処理される。これにより、図12Fに示すように、前記Cu−Mn合金層23MとCu−Mn−N合金層23N中のMnが前記バリアメタル膜22表面の酸化物あるいは欠陥で露出された絶縁膜21と反応する。その結果、例えば組成がTaMnあるいはMnSixyで概略的に表されるMn酸化物が形成される。すなわち欠陥の自己修復がなされる。またその際、前記Cu−Mn合金層23M,Cu−Mn−N合金層23NおよびCuパターン24Aは連続したCu配線パターン24Bに変化する。その際、前記Cu−Mn−N合金層23Nが、前記Cu−Mn合金層23MとCuパターン24Aの間に介在しているため、図7Eの場合と同様に、Mnの前記Cuパターン24Aへの拡散が前記Cu−Mn―N合金層23Nにより阻止される。このためMn原子の分布は、酸素濃集部23Oxにより指示される前記Cu−Mn−N合金層23NおよびCu−Mn合金層23Mの当初の位置近傍の領域24bに主として限定される。前記Cu層24Bにおいては、前記領域24bから離れるにつれてMnの濃度が急激に減少する。
【0058】
本実施形態においても、図11A,11Bで説明したように、別にMnやNを含まないCu層24Sをシード層として形成することも可能である。
【0059】
本実施形態では、前記Cuパターン24A,24BはCu配線パターンを形成するものとして説明したが、上記の説明は、これらがCuビアプラグであった場合でも成立する。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第1あるいは第2の実施形態を多層配線構造を有する半導体装置の製造に適用した例を、本発明の第3の実施形態として説明する。
【0060】
図13A〜13Kは、前記図7Eあるいは図12Fの工程に引き続いて実行される本発明の第3の実施形態による多層配線構造の形成工程を示す。なお図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0061】
図13Aを参照するに、本実施形態では前記図7Dあるいは図12Eの構造上にSiCよりなるエッチングストッパ膜25を、前記Cu配線パターン24Aを覆うように、10〜100nmの膜厚に形成する。このようなエッチングストッパ膜25の成膜は、典型的には400℃の温度で実行される。またその際の熱熱処理により、前記Cu−Mn−N合金層23あるいは23M、23N中のMn原子は、前記バリアメタル膜22中に移動する。これに伴い、前記Cu配線パターン24B中においては当初のCu−Mn−N合金層23あるいは23Mおよび23Nは消滅するが、当初のCu−Mn−N合金層23あるいは23Nの表面に対応する位置に、Mn酸化物の薄い層が、図13Aに破線23Oxで示すように、前記バリアメタル膜22の表面から、当初のCu−Mn−N合金層23の膜厚あるいは23Mおよび23Nの合計膜厚に対応する距離だけ離間して形成される。なお本実施形態では前記絶縁膜21は基板20上に形成されている。
【0062】
次に図13Bに示すように、前記図13Aの構造上に厚さが100〜300nmの層間絶縁膜26と、厚さが10〜100nmのSiCあるいはSiN膜よりなるエッチングストッパ膜27と、厚さが100〜300nmの層間絶縁膜28とを、例えばプラズマCVD法により順次形成する。さらに前記層間絶縁膜26中に、前記エッチングストッパ膜27を露出する配線溝28Tを、ドライエッチングプロセスにより、所望の幅で形成する。
【0063】
かかる層間絶縁膜26,28としては、TEOSを原料としたプラズマCVD法により形成されるシリコン酸化膜、あるいはプラズマCVD法や塗布法により形成される、比誘電率が3以下の有機あるいは無機絶縁膜を使うことができる。
【0064】
次に、図13Cに示すように、前記配線溝28T中に露出されたエッチングストッパ膜27中に、所定のビアホールに対応した開口部27Vを形成する。さらに図13Dに示すように、前記エッチングストッパ膜27をハードマスクに、前記層間絶縁膜26中にビアホール26Vを、前記エッチングストッパ膜25が露出するように形成する。
【0065】
さらに図13Eに示すように、前記ビアホール26Vの底部において前記エッチングストッパ膜25を除去してCu配線パターン24Bを露出させる。その後、図13Fに示すように、前記層間絶縁膜28上に、前記配線溝28Tの側壁面および底面、および前記ビアホール26Vの側壁面および底面を連続して覆うように、TaやTiよりなるバリアメタル膜28Bが、前記配線溝28Tおよびビアホール26Vの断面形状に整合した形状で、スパッタ法あるいはALD法により、約1〜15nmの膜厚に形成される。なお前記バリアメタル膜28Bは、金属膜には限定されず、TaNやTiNなど、Ta,Ti,Zr,Ruから選択される一又は複数の金属元素を含む金属膜の他に、導電性金属窒化膜、あるいはこれらの積層膜であってもよい。前記バリアメタル膜28Bは、先のバリアメタル膜22と同様に、酸化物や欠陥を含んでいてもよい。
【0066】
次に図13Gに示すように、前記図13Fの構造上にはCu−Mn−N合金層28Mが前記バリアメタル膜28Bを、前記配線溝28Tおよびビアホール28Vの断面形状に整合した形状で覆うように、Ar/窒素混合ガスなど、窒素を含む雰囲気中で行われるスパッタ法により、約1〜15nmの膜厚に形成される。
【0067】
さらに図13Hに示すように、前記図13Gの構造上にはCu層28C1が前記Cu−Mn−N合金層28Mを覆うように、前記配線溝28Tおよびビアホール26Vの断面形状に整合した形状で、スパッタ法あるいはCVD法により、25〜65nmの膜厚に形成される。また前記図13Hの構造上に、図13Iに示すように、Cu層28C2が、前記Cu層28C1をメッキシード層とした電解メッキ法により、前記配線溝28Tおよびビアホール26Vを充填するように形成される。
【0068】
さらに図13Jに示すように、前記層間絶縁膜28上の前記Cu層28C1,28C2、Cu−Mn−N合金層28Mおよびバリアメタル膜28Bが、前記層間絶縁膜28の表面が露出するまで、CMPにより研磨・除去される。また図13Kに示すように、前記図13Jの構造上にSiN膜あるいはSiC膜よりなるキャップ層29が、典型的には400℃の基板温度で実行されるプラズマCVD法により形成される。
【0069】
このようなキャップ層29の形成に伴う熱により、前記配線溝28Tおよびビアホール26V中において、前記Cu層28C1およびCu層28C2は融合し、単一のCu配線パターン28Cあるいはこれから連続的に延出するCuビアプラグ28Vを形成する。
【0070】
また、このようなキャップ層29の形成に伴う熱により、前記Cu−Mn−N合金層28M中のMn原子は、前記バリアメタル膜28Bに移動し、前記層間絶縁膜26,28およびエッチングストッパ膜25,27からの酸素により、Mn酸化物の形で、前記バリアメタル膜28B中、あるいは前記バリアメタル膜28BとCu配線パターン28CあるいはCuビアプラグ28Vとの界面、あるいは前記バリアメタル膜28Bと層間絶縁膜26あるいは28の界面、あるいは前記バリアメタル膜28Bとエッチングストッパ膜25あるいは27との界面、あるいはCu配線パターン28Cとキャップ層29の界面に、安定に析出する。
【0071】
また、前記バリアメタル膜28Bに欠陥が存在するような場合には、かかる欠陥が、このようにして析出したMn酸化物により、自己修復される。
【0072】
さらに、このように前記Cu−Mn−N金属層28M中のMn原子が前記バリアメタル膜28Bに移動するのに伴い、前記Cu−Mn−N合金層28Mの当初の表面に対応する位置には、先に説明した図13Gの工程において前記Cu−Mn−N合金層28Mの表面に形成された酸化層に対応するMn酸化層28Oxが、前記バリアメタル膜28Bの表面から、当初のCu−Mn−N合金層28Mの膜厚に対応する距離だけ離間して、形成されている。
その結果、図13Kに示すように、前記Cu配線パターン28Cは、当初のCu−Mn−N合金層28Mが存在していた領域28c1に形成されたCu層と、当初のCu層28C1,28C2が存在していた領域28c2に形成されたCu層とより構成される。
【0073】
本実施形態では、前記Cu−Mn−N層28MがNを含んでいるため、図13Kのような熱処理工程が実行されても、前記Cu−Mn−N層28M中のMn原子がCu配線パターン28CあるいはCuビアプラグ28Vの奥深くまで拡散することがなく、Cu配線パターン28CあるいはCuビアプラグ28Vにおける抵抗値の増大が抑制される。
【0074】
トランジスタが形成されたシリコン基板などの半導体基板上において、このような工程を繰り返すことにより、本発明では図14に示す半導体装置40を製造することが可能となる。
【0075】
図14を参照するに、シリコン基板41上には素子分離構造41Iにより素子領域41Aが画成されており、前記素子領域41Aにおいては前記シリコン基板41上に、それぞれゲート絶縁膜42A,42B,42Cを介して、ゲート電極43A,43B,43Cが形成されている。
【0076】
また前記素子領域41Aにおいては前記シリコン基板41中、前記ゲート電極43A,43B,43Cに隣接して、p型あるいはn型の拡散領域41a,41b,41cが形成されている。
【0077】
前記ゲート電極43A,43B,43Cは、それぞれSiONなどの絶縁膜44A,44B,44Cにより覆われる。さらに前記シリコン基板41上には、前記ゲート電極43A〜43Cを、前記絶縁膜44A〜44Cをそれぞれ介して覆うように、シリコン酸化膜などよりなる絶縁膜44が形成されている。また、前記絶縁膜44には前記拡散領域41bを露出するビアホール44V1、前記拡散領域41cを露出するビアホール44V2が形成されている。これらビアホール44V1、44V2の側壁面および底面は、例えばTiおよびTiNより成るバリアメタル膜46B1により連続的に覆われており、さらに前記ビアホール44V1、42V2は、タングステン46V1、46V2によりそれぞれ充填されている。
【0078】
前記絶縁膜44上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜45を介して、多孔質膜を含む無機あるいは有機絶縁膜よりなる層間絶縁膜46が形成される。
【0079】
前記層間絶縁膜46中には、配線溝46T1および46T2が、所定の配線パターンに沿って形成されている。さらに前記絶縁膜44には前記配線溝46T1に対応して、前記エッチングストッパ膜45を貫通して、前記拡散領域41bを露出するビアホール44V1が形成される。また前記絶縁膜44には前記配線溝46T2に対応して、前記エッチングストッパ膜45を貫通して、前記拡散領域41cを露出するビアホール44V2が形成されている。
【0080】
前記配線溝46T1およびビアホール44V1の側壁面および底面はTaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜46B1により覆われている。前記配線溝46T1およびビアホール44V1は、前記バリアメタル膜46B1を介して、Cu配線パターン46C1およびこれに連続するCuビアプラグ46V1により充填されている。
【0081】
同様に、前記配線溝46T2およびビアホール44V2の側壁面および底面は、TaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜46B2により覆われている。前記配線溝46T2およびビアホール44V2は、前記バリアメタル膜46B2を介して、Cu配線パターン46C2およびこれに連続するCuビアプラグ46V2により充填されている。
【0082】
前記層間絶縁膜46上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜47を介して、多孔質膜を含む無機あるいは有機絶縁膜よりなる層間絶縁膜48が形成される。前記層間絶縁膜48上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜49を介して、多孔質膜を含む無機あるいは有機絶縁膜よりなる層間絶縁膜50が形成されている。
【0083】
前記層間絶縁膜50中には、配線溝50T1,50T2および50T3が、所定の配線パターンに沿って形成されている。さらに前記絶縁膜48には前記配線溝50T1に対応して、前記エッチングストッパ膜49を貫通して、前記Cu配線パターン46C1を露出するビアホール48V1が形成される。また前記絶縁膜48には前記配線溝50T2に対応して、前記エッチングストッパ膜49を貫通して、前記Cu配線パターン46C1を露出するビアホール48V2が形成されている。また前記絶縁膜48中には前記配線溝50T3に対応して、前記エッチングストッパ膜49を貫通して、前記Cu配線パターン46C2を露出するビアホール48V3が形成されている。
【0084】
前記配線溝50T1およびビアホール48V1の側壁面および底面は、連続してTaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜50B1により連続的に覆われている。前記配線溝50T1およびビアホール48V1は、前記バリアメタル膜50B1を介して、Cu配線パターン50C1およびこれに連続するCuビアプラグ50V1により充填されている。
【0085】
同様に、前記配線溝50T2およびビアホール48V2の側壁面および底面は、連続してTaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜50B2により連続的に覆われている。前記配線溝50T2およびビアホール48V2は、前記バリアメタル膜50B2を介して、Cu配線パターン50C2およびこれに連続するCuビアプラグ50V2により充填されている。
【0086】
同様に、前記配線溝503およびビアホール48V3の側壁面および底面は、TaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜50B3により連続的に覆われている。前記配線溝50T3およびビアホール48V3は、前記バリアメタル膜50B3を介して、Cu配線パターン50C3およびこれに連続するCuビアプラグ50V3により充填されている。
【0087】
前記層間絶縁膜50上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜51を介して、多孔質膜を含む無機あるいは有機絶縁膜よりなる層間絶縁膜52が形成される。
前記層間絶縁膜52上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜53を介して、多孔質膜を含む無機あるいは有機絶縁膜よりなる層間絶縁膜54が形成されている。
【0088】
前記層間絶縁膜54中には、配線溝54T1および54T2が、所定の配線パターンに沿って形成されている。さらに前記絶縁膜52には前記配線溝54T1に対応して、前記エッチングストッパ膜53を貫通して、前記Cu配線パターン50C2を露出するビアホール52V1が形成されている。また前記絶縁膜52には前記配線溝54T2に対応して、前記エッチングストッパ膜53を貫通して、前記Cu配線パターン50C3を露出するビアホール52V2が形成されている。
【0089】
前記配線溝54T1およびビアホール52V1の側壁面および底面は、連続してTaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜54B1により連続的に覆われている。前記配線溝54T1およびビアホール52V1は、前記バリアメタル膜54B1を介して、Cu配線パターン54C1およびこれに連続するCuビアプラグ54V1により充填されている。
【0090】
同様に、前記配線溝54T2およびビアホール52V2の側壁面および底面は、連続してTaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜54B2により連続的に覆われている。前記配線溝54T2およびビアホール52V2は、前記バリアメタル膜54B2を介して、Cu配線パターン54C2およびこれに連続するCuビアプラグ54V2により充填されている。
【0091】
前記層間絶縁膜54上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜55を介して、多孔質膜を含む無機あるいは有機絶縁膜よりなる層間絶縁膜56が形成されている。前記層間絶縁膜56上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜57を介して、多孔質膜を含む無機あるいは有機絶縁膜よりなる層間絶縁膜58が形成されている。
【0092】
前記層間絶縁膜58中には、配線溝58T1および58T2が、所定の配線パターンに沿って形成されている。さらに前記絶縁膜56には前記配線溝58T1に対応して、前記エッチングストッパ膜57を貫通して、前記Cu配線パターン54C1を露出するビアホール56V1が形成されている。また前記絶縁膜56には前記配線溝58T2に対応して、前記エッチングストッパ膜57を貫通して、前記Cu配線パターン54C1を露出するビアホール56V2が形成されている。同様に、前記絶縁膜56には前記配線溝58T3に対応して、前記エッチングストッパ膜57を貫通して、前記Cu配線パターン54C2を露出するビアホール56V3が形成されている。
【0093】
前記配線溝58T1およびビアホール56V1の側壁面および底面は、連続してTaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜58B1により連続的に覆われている。前記配線溝58T1およびビアホール56V1は、前記バリアメタル膜58B1を介して、Cu配線パターン58C1およびこれに連続するCuビアプラグ58V1により充填されている。
【0094】
同様に、前記配線溝54T2およびビアホール52V2の側壁面および底面は、連続してTaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜54B2により連続的に覆われている。前記配線溝54T2およびビアホール52V2は、前記バリアメタル膜54B2を介して、Cu配線パターン54C2および54V2により充填されている。
【0095】
さらに前記層間絶縁膜58上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜59を介して、多孔質膜を含む無機あるいは有機絶縁膜よりなる層間絶縁膜60が形成されている。前記層間絶縁膜60上には、SiNあるいはSiCよりなるエッチングストッパ膜61を介して、SiO2などの別の層間絶縁膜62が形成されている。
【0096】
前記別の層間絶縁膜62中には、配線溝62Tが、所定の配線パターンに沿って形成されている。さらに前記層間絶縁膜60には前記配線溝62Tに対応して、前記エッチングストッパ膜59を貫通して、前記Cu配線パターン58C3を露出するビアホール60V1が形成される。
【0097】
前記配線溝62Tおよびビアホール60V1の側壁面および底面は、連続してTaやTi、ZrやRuなどの高融点金属元素を少なくとも一つ含むバリアメタル膜68Bにより連続的に覆われている。前記配線溝62Tおよびビアホール61V1は、前記バリアメタル膜62Bを介して、AlやCuよりなる配線パターン62Cおよびこれに連続するCuあるいはAlよりなるビアプラグ62Vにより充填されている。
【0098】
さらに前記別の層間絶縁膜62上には、前記配線パターン62Cを覆うように、SiNなどよりなるキャップ膜63が、プラズマCVD法などにより、形成されている。
【0099】
図14の半導体装置40では、前記Cu配線パターン46C1〜46C2,50C1〜50C3,54C1〜54C2,58C1〜58C3・・・などの形成の際に、それぞれのバリアメタル膜に隣接して、先に説明したCu−Mn−N合金層23あるいは28Mに相当するCu−Mn−N合金層を形成している。
【0100】
このため、前記キャップ膜63の形成の際に、前記Mn原子は前記隣接するバリアメタル膜に移動し、当初のCu−Mn−N合金層の表面に相当する部分にのみ、Mn酸化物の薄い層46Ox1〜46Ox2,50Ox1〜50Ox3,54Ox1〜54Ox2,58Ox1〜58Ox3が、図14中に破線で示すように残留する特徴的な断面構造が得られる。またその際に、前記Cu−Mn−N合金層がNを含んでいるため、前記Mn原子がCu配線パターンあるいはCuビアプラグに奥深く拡散するのが抑制され、Cu配線パターンあるいはCuビアプラグの抵抗の増大が抑制される。
【0101】
なお、本実施形態において、前記図13Hの工程で、前記配線溝28Tおよびビアホール26Vの充填を、単一あるいは複数回に分けた、例えばMOCVD法によるCu層の堆積により実行することも可能である。この場合は、前記配線溝28Tおよびビアホール26Vは、MOCVD法により堆積したCu層により充填され、図13Iの電解メッキ工程を省略できる。
【0102】
また本実施形態では、前記図13Hに示される配線溝28Tおよびビアホール26V中におけるCu層28C1がスパッタリング法で形成され、前記配線溝28T、ビアホール26Vを電解メッキ法で充填した後、熱処理が施される。
【0103】
同様に、図14の半導体装置40でも、前記Cu配線パターン46C1〜46C2,50C1〜50C3,54C1〜54C2,58C1〜58C3・・・などの形成の際に、先に説明したCu層Cu膜22C1あるいはCu層26C1に相当するCu層をスパッタリング法で形成し、さらには電解メッキ法を用いてCu層を充填する場合にも同様な熱処理を施す。
【0104】
なお、以上の説明では、Cu−Mn合金層を使ってバリアメタル膜の欠陥を自己修復する場合の、Nの導入によるMnの拡散抑制技術について説明したが、本発明のような窒素の導入は、Cu−Al合金層を使ってバリアメタル膜の欠陥を自己修復する場合においても、Alの拡散の抑制に有効である。
【0105】
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記1)
半導体基板上方に形成された酸素を含む絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成された凹部と、
前記凹部の内壁に形成された高融点金属膜と、
前記高融点金属膜上に形成された銅とマンガンと窒素を含む金属膜と、
前記金属膜上に形成され、前記凹部を充填する銅膜と、
を含む半導体装置。
(付記2)
前記金属膜は、単層または複数層よりなる付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記金属膜は、0.3nm〜10nmの膜厚を有する付記1または2記載の半導体装置。
(付記4)
前記高融点金属膜は、Ti,Ta,Zr,Ruから選択される少なくとも一つの元素を含む付記1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
(付記5)
前記金属膜は、前記銅膜の近傍の第1の側に、前記第1の側と反対の第2の側におけるよりも多くの窒素を含む付記2〜4のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
(付記6)
前記金属膜と前記銅膜との界面には酸素の濃集部が形成されており、前記銅膜中においてマンガンは、前記酸素の濃集部から300nm以内の領域に主として含まれる付記1〜5のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
(付記7)
半導体基板上方に酸素を含む絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部の内壁に高融点金属膜を形成する工程と、
前記高融点金属膜上に、銅とマンガンと窒素を含む金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を形成後、少なくとも前記凹部を埋める銅膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記金属膜は、窒素含有雰囲気中にてスパッタリング法を用いて形成される付記7記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
さらに前記金属膜と前記銅膜との間に、銅からなるシード層を形成する工程を有する付記7または8記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記窒素含有雰囲気は、窒素ガスおよびアンモニアガスのいずれかを含む付記9記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記窒素含有雰囲気は、窒素ガスを7%以上の分圧で含む付記10記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
さらに前記絶縁膜上において前記銅膜の平坦化を行う工程を含む付記7〜11のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】関連技術を説明する図である。
【図2】前記関連技術によるCu配線パターンの試料を示す図である。
【図3A】図2の試料を形成する工程を示す図(その1)である。
【図3B】図2の試料を形成する工程を示す図(その2)である。
【図3C】図2の試料を形成する工程を示す図(その3)である。
【図3D】図2の試料を形成する工程を示す図(その4)である。
【図3E】図2の試料を形成する工程を示す図(その5)である。
【図4】図1の結果を説明する図である。
【図5】前記関連技術の課題を説明する図である。
【図6】前記関連技術の課題を説明する別の図である。
【図7A】第1の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その1)である。
【図7B】第1の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その2)である。
【図7C】第1の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その3)である。
【図7D】第1の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その4)である。
【図7E】第1の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その5)である。
【図8】Cu−Mn−N合金層を使った場合のMnの拡散抑制効果を示す図である。
【図9】図8の比較対照例を示す図である。
【図10】Cu−Mn−N合金層の形成条件を示す図である。
【図11A】第1の実施形態の変形例によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その1)である。
【図11B】第1の実施形態の変形例によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その2)である。
【図12A】第2の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その1)である。
【図12B】第2の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その2)である。
【図12C】第2の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その3)である。
【図12D】第2の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その4)である。
【図12E】第2の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その5)である。
【図12F】第2の実施形態によるCu配線パターンの形成工程を示す図(その6)である。
【図13A】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図13B】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図13C】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図13D】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図13E】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図13F】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図13G】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その7)である。
【図13H】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その8)である。
【図13I】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その9)である。
【図13J】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その10)である。
【図13K】第3の実施形態による半導体装置の製造工程を示す図(その11)である。
【図14】第3の実施形態による半導体装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0107】
11,21 絶縁膜
11T,21T 凹部
12,22 バリアメタル膜
13,23M Cu−Mn合金層
14,24 Cu層
14A,24A Cuパターン
14B,24B Cu配線パターン
23,23N Cu−Mn−N合金層
23Ox 酸素濃集部
24b 領域
25,27 エッチングストッパ膜
26,28 層間絶縁膜
27V開口部
28C1 Cuシード層
28C2 Cu電解メッキ層
28B バリアメタル膜
Cu−Mn−N合金層
28T 配線溝
28C1,28C2 Cu領域
29 キャップ層
40 半導体装置
41A 素子領域
41I 素子分離構造
41a,41b,41c 拡散領域
42A,42B,42C ゲート絶縁膜
43A,43B,43C ゲート電極
44,44A,44B,44C 絶縁膜
44V1〜44V2,48V1〜48V3,56V1〜56V2,60V ビアホール
45,47,49,51,53,57,59,61 エッチングストッパ膜
46,48,50,52,54,56,58,60 層間絶縁膜
46C1〜46C2,50C1〜50C3,54C1〜54C2,58C1〜58C3 Cu配線パターン
46T1〜46T2,50T1〜50T3,54T1〜54T2,58T1〜58T3,62T 配線溝
46V1〜46V2,48V1〜48V3,54V1〜54V2,58V1〜58V3,62V Cuビアプラグ
46B1〜46B2,50B1〜50B3,54B1〜54B2,58B1〜58B3,62B バリアメタル膜
63 キャップ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上方に形成された酸素を含む絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成された凹部と、
前記凹部の内壁に形成された高融点金属膜と、
前記高融点金属膜上に形成された銅とマンガンと窒素を含む金属膜と、
前記金属膜上に形成され、前記凹部を充填する銅膜と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記金属膜は、単層または複数層よりなる請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属膜は、0.3nm〜10nmの膜厚を有する請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記高融点金属膜は、Ti,Ta,Zr,Ruから選択される少なくとも一つの元素を含む請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属膜は、前記銅膜の近傍の第1の側に、前記第1の側と反対の第2の側におけるよりも多くの窒素を含む請求項2〜4のうち、いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板上方に酸素を含む絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部の内壁に高融点金属膜を形成する工程と、
前記高融点金属膜上に、銅とマンガンと窒素を含む金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を形成後、少なくとも前記凹部を埋める銅膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属膜は、窒素含有雰囲気中にてスパッタリング法を用いて形成される請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記窒素含有雰囲気は、窒素ガスおよびアンモニアガスのいずれかを含む請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
さらに前記金属膜と前記銅膜との間に、銅からなるシード層を形成する工程を有する請求項6〜8のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
さらに前記絶縁膜上において前記銅膜の平坦化を行う工程を含む請求項6〜9のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図13I】
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【図13J】
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【図13K】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−10250(P2010−10250A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165449(P2008−165449)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】