説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】半導体装置の外部からの水分がパッド上の開口部に浸入した場合でも、開口部の側面に露出している窒化チタン膜が酸化チタン膜に変化することを抑制することができ、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供する。また、パッドの表面保護膜にクラックが発生することを抑制し、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供する。
【解決手段】開口部OP2の径を開口部OP1の径よりも小さくし、かつ、開口部OP2を開口部OP1に内包されるように形成する。これにより、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARの側面を、開口部OP2を形成している表面保護膜PAS2で覆うことができる。この結果、反射防止膜ARの側面を露出することなく、パッドPDを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、パッドを有する半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007−103593号公報(特許文献1)には、異種の金属膜からなる積層膜に対するボンディングパッドの保護膜の開口を保護膜の減損を生じることなく形成し、かつ、ダイシング工程などの水溶液に浸される工程において、金属膜の溶解を回避することができる技術が記載されている。具体的には、アルミニウム膜と、アルミニウム膜上に堆積されたTi膜やTiN膜などの反射防止膜を含む導体膜上に、保護膜が形成されている。そして、この保護膜には、下層の反射防止膜を除去してアルミニウム膜を露出する保護膜開口部が形成されている。このとき、保護膜の除去領域が、反射防止膜の除去領域の内側となるように、反射防止膜を除去するエッチング工程が、保護膜の堆積前に行なわれるとしている。
【0003】
特開2006−303452号公報(特許文献2)には、アルミニウムを含む配線層からなるボンディングパッドを備える半導体装置の製造方法において、歩留まりを向上する技術が記載されている。具体的には、半導体基板上に、アルミニウム膜からなる最上層配線とこの最上層配線上に反射防止膜とを形成する。そして、この反射防止膜の一部をエッチングして除去する。その後、反射防止膜および反射防止膜が形成されていない最上層配線の一部上を覆い、かつ、最上層配線の他の一部を露出するような開口部を有するパッシベーション膜を形成する。さらに、半導体基板を複数の半導体チップに分離する。このような工程を経ることにより、開口部内で反射防止膜が露出しなくなり、最上層配線と反射防止膜との電池反応による最上層配線の溶出を抑制することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−103593号公報
【特許文献2】特開2006−303452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体チップでは、半導体基板上にMISFETなどの半導体素子を形成し、半導体素子の上層に配線層を形成する。そして、配線層の最上層にボンディングパッド(パッドという)を形成することが行なわれる。このように構成されている半導体チップは、例えば、配線基板上に搭載され、配線基板に形成されている端子と半導体チップに形成されているパッドとは、例えば、金線よりなるボンディングワイヤで接続される。そして、配線基板上に搭載された半導体チップは、樹脂部材(レジン)で封止される。
【0006】
半導体チップでは、最上層の配線層を覆うように表面保護膜(パッシベーション膜)を形成し、この表面保護膜の一部に開口部を形成することにより、開口部から露出するパッドを形成している。パッドは、例えば、アルミニウム膜と反射防止膜からなる積層膜から構成されており、開口部から露出する反射防止膜は、パッドとボンディングワイヤとの接続抵抗を低下させるために除去されている。したがって、表面保護膜の開口部から露出するパッドの表面はアルミニウム膜が露出している一方、表面保護膜に覆われているパッドの一部上には反射防止膜が形成されている。このことは、表面保護膜に形成された開口部の底面では反射防止膜が除去されているが、開口部の側面には反射防止膜が露出していることになる。
【0007】
このように構成されているパッドを覆うように樹脂部材(レジン)が形成されており、パッドを含む半導体チップ内に水分などが浸入しないようになっている。ところが、近年この樹脂部材(レジン)として環境保護の観点からハロゲンフリー部材が使用されるようになってきている。具体的には、電気・電子機器の廃棄物の収集と回収を規定し、さらに、分別回収された廃棄物から除外すべき物質に臭素系難燃剤を含有するプラスチックがWEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)指令によって規定されている。このため、半導体チップを封止するパッケージ材料である樹脂部材(レジン)に対して、ハロゲンフリー部材を使用する要求が拡大している。このように半導体チップを封止するパッケージ材料をハロゲンフリー部材に変更した結果、顕在化していなかった新規な課題が存在することを本発明者は見出した。つまり、半導体チップを樹脂封止した後、製品として組み立て工程を実施することより、製品である半導体装置が完成する。その後、高温(85℃〜130℃)、高湿(85%)の環境下で半導体装置に電圧を印加する電圧印加試験が半導体装置の信頼性を確保するために行なわれる。
【0008】
このとき、半導体チップを封止する樹脂部材(レジン)にハロゲンフリー部材を使用すると、半導体チップの不良が顕在化したのである。具体的に、パッドは、アルミニウム膜と反射防止膜である窒化チタン膜(TiN膜)の積層膜から構成され、表面保護膜に形成された開口部の底面では窒化チタン膜が除去されてアルミニウム膜が露出している。一方、表面保護膜で覆われている領域ではアルミニウム膜と窒化チタン膜の積層膜が形成されている。したがって、表面保護膜に形成された開口部の側面には反射防止膜である窒化チタン膜が露出することになる。
【0009】
このように構成されているパッドは樹脂部材(レジン)で封止されているが、高温・高湿環境下での電圧印加試験において、樹脂部材(レジン)を通って水分がパッド上の開口部に浸入する。すると、開口部の側面に露出している窒化チタン膜が浸入した水分と化学反応を起こし酸化チタン膜が形成される。この酸化チタン膜は、窒化チタン膜よりも体積が大きくなるので、開口部の側面に露出している反射防止膜は体積膨張する。この反射防止膜の体積膨張が大きくなると、反射防止膜上に形成されている表面保護膜に過大な応力が印加され、この応力が大きくなり臨界点を超えると表面保護膜にクラックが発生する。表面保護膜にクラックが発生すると、このクラックから大量の水分が表面保護膜の下層に形成されているアルミニウム膜に達し、アルミニウム膜が腐食する問題点が発生する。このような現象が生じると、半導体装置の信頼性が低下し、さらには、半導体チップの不良となる問題点が発生する。
【0010】
以上のようなメカニズムによるクラックの発生は、ハロゲンフリー部材を使用していない従来の樹脂部材(レジン)で半導体チップを封止する場合は顕在化していなかった。ところが、ハロゲンフリー部材を使用した樹脂部材(レジン)で半導体チップを封止し、この構成のもと、高温・高湿条件下で電圧印加試験を行なうと、上述したメカニズムによって表面保護膜にクラックが発生する現象が顕在化することを本発明者は新たに見出したのである。
【0011】
本発明の目的は、半導体チップを封止する樹脂部材(レジン)にハロゲンフリー部材を使用する場合であっても、表面保護膜にクラックが発生することを抑制し、半導体装置の信頼性を向上できる技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
代表的な実施の形態による半導体装置の一例は、(a)半導体基板の上層に形成されたパッドと、(b)前記パッド上に第1開口部が形成された第1表面保護膜と、(c)前記パッド上に第2開口部が形成され、前記パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された第2表面保護膜と、(d)前記第2開口部内を含む前記第2表面保護膜上に形成された樹脂部材とを備える。そして、前記パッドは、(a1)第1導体膜と、(a2)前記第1導体膜上に形成された反射防止膜とを有する。このとき、前記第1開口部の内部領域に前記第2開口部が内包されており、前記第1開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されている。さらに、前記樹脂部材は、ハロゲンフリー部材から構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、他の代表的な半導体装置の一例として、半導体基板は配線形成領域とガードリング形成領域を有している。前記配線形成領域には、(a1)前記半導体基板の上層に形成された第1パッドと、(b1)前記第1パッド上に第1開口部が形成された第1表面保護膜と、(c1)前記第1パッド上に第2開口部が形成され、前記第1パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された第2表面保護膜とが形成されている。また、前記第1パッドは、(a11)第1導体膜と、(a12)前記第1導体膜上に形成された反射防止膜とを有している。また、前記第1開口部の内部領域に前記第2開口部が内包されている。また、前記第1開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されている。また、前記ガードリング形成領域には、(a2)前記半導体基板の上層に形成された第2パッドと、(b2)前記第2パッド上に第3開口部が形成された前記第1表面保護膜と、(c2)前記第3開口部を埋め込み、前記第2パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された前記第2表面保護膜とが形成されている。また、前記第2パッドは、(a21)前記第1導体膜と、(a22)前記第1導体膜上に形成された前記反射防止膜とを有している。また、前記第3開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されていることを特徴とするものである。
【0016】
また、他の代表的な半導体装置の一例として、(a)半導体基板の上層に形成されたパッドと、(b)前記パッド上に第1開口部が形成された第1表面保護膜と、(c)前記パッド上に第2開口部が形成され、前記パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された第2表面保護膜とを備えている。また、前記パッドは、(a1)第1導体膜と、(a2)前記第1導体膜上に形成された反射防止膜とを有している。また、前記第1開口部の内部領域に前記第2開口部が内包されており、前記第1開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されている。また、前記パッドには、プローブを接触させるプローブ接触領域と、ワイヤを接続するワイヤ接続領域が存在している。また、前記第1開口部および前記第2開口部は、前記プローブ接触領域と前記ワイヤ接続領域にわたって形成されている。また、前記ワイヤ接続領域の前記第2開口部の大きさは、前記プローブ接触領域の前記第2開口部の大きさよりも小さいことを特徴とするものである。
【0017】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法の一例は、(a)半導体基板の上層に第1導体膜を形成する工程と、(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることによりパッドを形成する工程とを備える。そして、(d)前記パッドを覆うように第1表面保護膜を形成する工程と、(e)前記第1表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出する第1開口部を前記第1表面保護膜に形成する工程と、(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜を除去する工程とを備える。さらに、(g)前記第1開口部内を含む前記第1表面保護膜上に第2表面保護膜を形成する工程と、(h)前記第2表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記第2表面保護膜に形成する工程とを備える。続いて、(i)前記第2開口部を形成した前記第2表面保護膜を覆うように樹脂部材を形成する工程とを備える。ここで、前記(i)工程で形成される前記樹脂部材は、ハロゲンフリー部材であることを特徴とするものである。
【0018】
また、他の代表的な半導体装置の製造方法の一例は、(a)半導体基板の上層に第1導体膜を形成する工程と、(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることによりパッドを形成する工程と、(d)前記パッドを覆うように第1表面保護膜を形成する工程と、(e)前記第1表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出する第1開口部を前記第1表面保護膜に形成する工程と、(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜を除去する工程と、(g)前記第1開口部内を含む前記第1表面保護膜上に第2表面保護膜を形成する工程と、(h)前記第2表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記第2表面保護膜に形成する工程と、(i)前記第2開口部から露出する前記パッドの表面をエッチングする工程とを備えることを特徴とするものである。
【0019】
また、他の代表的な半導体装置の製造方法の一例は、(a)配線を形成する配線形成領域と、ガードリングを形成するガードリング形成領域とを有する半導体基板の領域に第1導体膜を形成する工程と、(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることにより、前記配線形成領域に第1パッドを形成し、前記ガードリング形成領域に第2パッドを形成する工程と、(d)前記第1パッドおよび前記第2パッドを覆うように第1表面保護膜を形成する工程と、(e)前記第1表面保護膜をパターニングすることにより、前記第1パッドの一部を露出する第1開口部と、前記第2パッドの一部を露出する第3開口部を、前記第1表面保護膜に形成する工程と、(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜と、前記第3開口部から露出する前記反射防止膜とを除去する工程と、(g)前記第1開口部内および前記第3開口部内を含む前記第1表面保護膜上に第2表面保護膜を形成する工程と、(h)前記第2表面保護膜をパターニングすることにより、前記第1パッドを露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記第2表面保護膜に形成するとともに、前記第3開口部には前記第2表面保護膜を埋め込んだままとする工程とを備えることを特徴とするものである。
【0020】
また、他の代表的な半導体装置の製造方法の一例は、(a)半導体基板の上層に第1導体膜を形成する工程と、(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることによりパッドを形成する工程と、(d)前記パッドを覆うように第1表面保護膜を形成する工程と、(e)前記第1表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出する第1開口部を前記第1表面保護膜に形成する工程と、(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜を除去する工程と、(g)前記第1開口部内を含む前記第1表面保護膜上に第2表面保護膜を形成する工程と、(h)前記第2表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記第2表面保護膜に形成する工程とを備えている。また、前記パッドには、プローブを接触させるプローブ接触領域と、ワイヤを接続するワイヤ接続領域が存在している。また、前記第1開口部および前記第2開口部は、前記プローブ接触領域と前記ワイヤ接続領域にわたって形成されている。前記ワイヤ接続領域の前記第2開口部の大きさは、前記プローブ接触領域の前記第2開口部の大きさよりも小さいことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0022】
半導体装置の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来の半導体チップに形成されたパッドを含む領域を図示する断面図である。
【図2】パッド形成領域近傍を示す断面図であり、従来技術の課題を説明するための図である。
【図3】パッド形成領域近傍を示す断面図であり、従来技術の課題を説明するための図である。
【図4】パッド形成領域近傍を示す断面図であり、従来技術の課題を説明するための図である。
【図5】実施の形態1における半導体チップのレイアウト構成を示す図である。
【図6】実施の形態1におけるパッドの構成を示す図である。
【図7】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
【図8】実施の形態1における半導体チップに形成されたパッド形成領域近傍を示す断面図である。
【図9】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す斜視図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す斜視図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】図21において、パッド形成領域近傍を示す断面図である。
【図23】図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図26】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
【図27】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図28】従来技術の課題を説明する図である。
【図29】実施の形態3における半導体装置の有用点を説明する図である。
【図30】実施の形態3における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図34】実施の形態4における半導体チップのレイアウト構成を示す図である。
【図35】図34のB−B線で切断した断面図である。
【図36】実施の形態4における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図39】図38に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図41】図40に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図42】実施の形態5における半導体装置を示す断面図である。
【図43】実施の形態5の変形例における半導体装置を示す断面図である。
【図44】実施の形態6におけるパッドの構成を示す図である。
【図45】実施の形態7における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0025】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0026】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0027】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0028】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態1における半導体装置を説明する前に、本発明者が見出した新規な課題について図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、従来の半導体チップに形成されたパッドを含む領域を図示する断面図である。図1において、図示しない半導体基板には、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子が形成され、このMISFET上に多層配線が形成されている。図1では、多層配線の最上層付近を図示している。図1において、層間絶縁膜IL1にはプラグPLG1が形成されており、プラグPLG1を形成した層間絶縁膜IL1上に配線WLが形成されている。この配線WLはプラグPLG1と電気的に接続されている。そして、配線WLを形成した層間絶縁膜IL1上には層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2にプラグPLG2が形成されている。このプラグPLG2は、配線WLと電気的に接続されている。続いて、プラグPLG2を形成した層間絶縁膜IL2上に最上層配線TWLが形成されている。この最上層配線TWLは、プラグPLG2と電気的に接続されており、例えば、窒化チタン膜TNとアルミニウム膜ALと反射防止膜ARからなる積層膜から構成されている。このとき、反射防止膜ARは、例えば、窒化チタン膜から構成されている。
【0031】
このように構成された最上層配線TWL上には、例えば、酸化シリコン膜からなる表面保護膜PAS1と、例えば、窒化シリコン膜からなる表面保護膜PAS2が形成されている。そして、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2とを貫通して最上層配線TWLに達する開口部OP1が形成されている。開口部OP1では、最上層配線TWLの構成要素である反射防止膜ARが除去されている。つまり、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2に形成された開口部OP1の底部には最上層配線TWLを構成するアルミニウム膜ALが露出することになる。最上層配線TWLのうち、アルミニウム膜ALが露出した開口部OP1の底部がパッドPDとなる。
【0032】
パッドPDには、例えば、金線からなるワイヤWが接続されており、このパッドPDとワイヤWとの接触抵抗を下げるために、パッドPD形成領域では、最上層配線TWLの反射防止膜ARが除去されているのである。ワイヤWを接続したパッドPDを含む開口部OP1内と表面保護膜PAS2の表面を覆うように樹脂MRが形成されている。
【0033】
以上のように構成されている半導体装置において、製品が完成した後、高温(85℃〜130℃)、高湿(85%)の環境下で半導体装置に電圧を印加する電圧印加試験が半導体装置の信頼性を確保するために行なわれる。このとき、図1に示す構造の従来型の半導体装置で課題が存在することが明らかとなった。
【0034】
この課題について説明する。図2は、パッドPD形成領域近傍を示す断面図である。図2において、最上層配線TWLのうち開口部OP1の底部に露出する領域がパッドPDとなっている。このパッドPDでは、反射防止膜ARが除去され、反射防止膜ARの下層に形成されているアルミニウム膜ALが露出している。一方、開口部OP1の外側には表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2が最上層配線TWLの表面を覆っている。この覆われている領域では、反射防止膜ARが除去されずに残存している。すなわち、反射防止膜ARは、開口部OP1の外部では表面保護膜PAS1の下層に残存しているのに対し、開口部OP1の底部が露出する開口部OP1の内部では、除去されている。したがって、開口部OP1の側面には、反射防止膜ARの側面が露出することになる。この状態で、開口部OP1内を含む表面保護膜PAS2上は樹脂MRで覆われている。
【0035】
このとき、半導体装置に対して、高温・高湿の環境下で電圧印加試験を行なうと、半導体装置の外部にある水分が樹脂MRを介して半導体装置の内部に浸入してくる。特に、樹脂MRで封止されている開口部OP1の内部は窪んでいるため、樹脂MRを介して浸入してきた水分が開口部OP1の角部に溜まりやすくなっている。開口部OP1の角部に水分が溜まると、この開口部OP1の側面に露出している反射防止膜ARと水分とが直接接触することになる。反射防止膜ARは、例えば、窒化チタン膜から構成されているので、図3に示すように、開口部OP1の側面に露出している窒化チタン膜が浸入した水分と化学反応を起こし酸化チタン膜TOXが形成される。この酸化チタン膜TOXは、窒化チタン膜よりも体積が大きくなるので、開口部OP1の側面に露出している反射防止膜ARは体積膨張する(微小なクラックCKの発生)。さらに、図4に示すように、窒化チタン膜から酸化チタン膜への化学反応が進むと、この反射防止膜ARの体積膨張が大きくなる。すると、反射防止膜AR上に形成されている表面保護膜に過大な応力が印加され、この応力が大きくなり臨界点を超えると表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2にわたって大きなクラックCKが発生する。
【0036】
このように表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2にクラックCKが発生すると、本来表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2で覆われている最上層配線TWLにも水分が浸入する。このため、最上層配線TWLを構成するアルミニウム膜ALの腐食が進み、半導体チップの不良となる。また、反射防止膜ARが表面保護膜PASから剥がれてしまうといった不良も発生しやすくなる。
【0037】
以上のようなメカニズムによって半導体チップの不良が発生すると考えられるが、樹脂MRにハロゲンフリー部材を使用しない従来構造では、この問題は顕在化していなかった。ところが、本発明者は、樹脂MRにハロゲンフリー部材を使用すると、上述したメカニズムによる半導体チップの不良が顕在化することを新たに見出した。つまり、樹脂MRの材料をハロゲンフリー部材に変更すると、上述したメカニズムによる半導体チップの不良が起こりやすくなるのである。
【0038】
近年、樹脂MR(レジン)として環境保護の観点からハロゲンフリー部材が使用されるようになってきている。具体的には、電気・電子機器の廃棄物の収集と回収を規定し、さらに、分別回収された廃棄物から除外すべき物質に臭素系難燃剤を含有するプラスチックがWEEE指令によって規定されている。このため、半導体チップを封止するパッケージ材料である樹脂MR(レジン)に対して、ハロゲンフリー部材を使用する要求が拡大している。したがって、今後、半導体装置を封止する樹脂として、ハロゲンフリー部材からなる樹脂MRを採用することが多くなると考えられる。樹脂MRとしてハロゲンフリー部材が多用されるようになると、上述したメカニズムによる半導体チップの不良が無視できなくなることが予想される。
【0039】
そこで、本実施の形態1では、半導体チップを封止する樹脂MRにハロゲンフリー部材を使用する場合であっても、上述したメカニズムによる半導体チップの不良を低減できる技術的思想を提供するものである。具体的に、本実施の形態1では、樹脂MRにハロゲンフリー部材を使用しても半導体チップの不良が増加しないように、パッドの構造に工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態1における技術的思想について図面を参照しながら説明する。
【0040】
図5は、本実施の形態1における半導体チップCHPの平面レイアウト構成を示す図である。図5において、半導体チップCHPは四辺形状をしており、半導体チップCHPの4辺に沿って複数のパッドPDが形成されている。半導体チップCHPの内部には、内部回路領域ICAが配置されている。内部回路領域ICAは、複数のパッドPDから、I/O領域(図示せず)を介して、電源や信号を受け取っている。また、I/O領域は、内部回路領域ICA内、または、パッドPDの下の領域に配置されている。また、内部回路領域ICAの周辺には、基準電源配線Vssと電源配線Vddが環状に配置されている。
【0041】
図6は、図5におけるパッドPDの拡大図である。パッドPDは、開口部OP2によって、その表面が露出している。また、電気的特性検査においてプローブ(探針)を接触させるプローブ接触領域PROと、ワイヤボンディング工程において、ワイヤを接続するワイヤ接続領域PDRが存在する。また、パッドPDは最上層配線で形成されており、内部回路領域ICAに向かって、同層の配線で電気的に接続されている。
【0042】
図7は、本実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。図7に示すように、本実施の形態1における半導体装置は、配線基板WB上に半導体チップCHPが搭載されている。そして、半導体チップCHPに形成されているパッドPDと、配線基板WBに形成されている端子TEとがワイヤWで接続されている。配線基板WBの表面(主面)に形成されている端子TEは、配線基板WBの裏面に形成されている半田ボールSBと電気的に接続されている。配線基板WBの裏面に形成されている半田ボールSBは、外部接続端子として機能する部材であり、半田ボールSBと半導体チップCHPに形成されているパッドPDとは、ワイヤWおよび端子TEを介して電気的に接続されていることになる。そして、半導体チップCHPに形成されているパッドPDは、半導体チップCHPの内部に形成されている多層配線を介して半導体基板上に形成されているMISFETなどの半導体素子と電気的に接続されている。このことから、半導体チップCHPに形成されている集積回路はパッドPDと接続され、さらに、パッドPDは配線基板WBに形成されている半田ボール(外部接続端子)と、ワイヤWおよび端子TEを介して接続されているので、結局、半導体チップCHPに形成されている集積回路は、外部接続端子である半田ボールSBと接続されていることになる。このため、半導体チップCHPに形成されている集積回路を外部接続端子に接続された外部機器から制御することが可能となる。
【0043】
本実施の形態1では、配線基板WBの材料をハロゲンフリー部材としている。このように配線基板WBとしてハロゲンフリー部材を使用するのは、環境保護の観点を考慮したものである。ここで、配線基板WBに使用するハロゲンフリー部材とは、塩素の含有率が0.09重量%以下で、臭素の含有率が0.09重量%以下であり、かつ、塩素と臭素の総量が0.15重量%以下である材料として定義される。
【0044】
次に、半導体チップCHPを搭載した配線基板WBの主面側は、半導体チップCHPを封止するように樹脂MRが形成されている。この樹脂MRは、外部からの衝撃や不純物の浸入から半導体チップCHPを保護するために設けられるものである。この樹脂MRを構成する材料も、近年の環境保護の重要性から、ハロゲンフリー部材が使用されている。このとき、樹脂MRを構成するハロゲンフリー部材の定義と、配線基板WBを構成するハロゲンフリー部材の定義とは材料の相違から多少異なる。配線基板WBで使用するハロゲンフリー部材とは、上述したように、塩素の含有率が0.09重量%以下で、臭素の含有率が0.09重量%以下であり、かつ、塩素と臭素の総量が0.15重量%以下である材料である。これに対し、樹脂MRに使用するハロゲンフリー部材とは、塩素の含有率が0.09重量%以下で、臭素の含有率が0.09重量%以下であり、かつ、アンチモンの含有率が0.09重量%以下である材料として定義される。いずれにしても、本実施の形態1における半導体装置では、配線基板WBを構成する材料と、樹脂MRを構成する材料とをハロゲンフリー部材から構成することにより、環境を汚染しない材料を使用していることになる。すなわち、本明細書で用いている配線基板WBと樹脂MRの材料は、前述のWEEE指令によって規定されている材料である。
【0045】
続いて、半導体チップCHPのパッドPD近傍の構造について図8を参照しながら説明する。図8は、半導体チップCHPのパッドPD近傍の構造を示す断面図であり、図6におけるA−A断面に対応する断面図である。まず、半導体チップCHPには、板状の半導体基板にMISFET(ロジックICやメモリを含む)などの半導体素子が形成されており、この半導体素子を形成した半導体基板上に層間絶縁膜を介して多層配線が形成されている。図8では、この多層配線のうち最上層配線とその1層下層の配線が図示されている。
【0046】
図8において、層間絶縁膜IL1にはプラグPLG1が形成されている。この層間絶縁膜IL1は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、プラグPLG1は、この層間絶縁膜IL1に形成されたコンタクトホールに導体膜を埋め込むことにより形成されている。具体的には、コンタクトホールの内壁に、例えば、チタン膜や窒化チタン膜などのバリア導体膜を形成し、このバリア導体膜上に、タングステン膜やアルミニウム膜などの金属膜を埋め込むことにより、プラグPLG1が形成されている。バリア導体膜とは、例えば、後の工程でコンタクトホールへ埋め込む膜の材料である金属膜がシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する膜のことである。このように構成されているプラグPLG1は、下層の配線を介して、半導体基板に形成されているMISFETなどの半導体素子と電気的に接続されている。
【0047】
次に、プラグPLG1を形成した層間絶縁膜IL1上には配線WLが形成されており、この配線WLを覆うように層間絶縁膜IL2が形成されている。配線WLは、例えば、チタン/窒化チタン膜と、アルミニウム膜と、チタン/窒化チタン膜との積層膜から形成されている。そして、層間絶縁膜IL2は、層間絶縁膜IL1と同様に、例えば、酸化シリコン膜から形成されている。層間絶縁膜IL2には、配線WLに達するプラグPLG2が形成されており、このプラグPLG2は、プラグPLG1と同様に、バリア導体膜を介して金属膜をコンタクトホール(スルーホール)に埋め込むことにより形成されている。
【0048】
なお、本実施の形態では、アルミニウム膜を主とする配線構造を例示しているが、これに限られるものではない。例えば、銅を主成分とするデュアルダマシン構造の配線構造を採用してもよい。その場合、最上層配線と同層のパッドPDのみアルミニウム配線構造であるが、それより下層の配線は全て銅を主成分とするデュアルダマシン構造の配線構造となる。デュアルダマシン構造の配線構造の場合は、層間絶縁膜IL1内に、配線溝と接続孔が形成される。その後、配線溝内と接続孔内に、銅を主成分とする導体膜をめっき法によって形成し、配線溝外部と接続孔外部の導体膜をCMP法等によって研磨する。これによって、配線溝内と接続孔内に、配線WLとプラグPLG1とが一体化形成されたデュアルダマシン構造の配線構造を形成することができる。また、層間絶縁膜IL1と導体膜の間に、銅の拡散を防止する機能を有するバリアメタル膜を形成してもよい。バリアメタル膜は、例えば、窒化タンタル、タンタルまたはそれらの積層膜からなる。
【0049】
続いて、プラグPLG2を形成した層間絶縁膜IL2上には最上層配線TWLが形成されている。この最上層配線TWLは、プラグPLG2を介して配線WLと電気的に接続されている。このとき、配線WLは、プラグPLG1および下層配線を介して半導体素子と接続されていることから、最上層配線TWLは、半導体素子と電気的に接続されていることとなり、半導体素子と、最上層配線を含む多層配線とを電気的に接続することにより、半導体チップCHPに集積回路が形成されている。
【0050】
最上層配線TWLは、例えば、窒化チタン膜TNと、この窒化チタン膜TN上に形成されたアルミニウム膜ALと、このアルミニウム膜AL上に形成された反射防止膜ARとの積層膜から形成されている。そして、この最上層配線TWL上には、表面保護膜(パッシベーション膜)PAS1が形成されており、この表面保護膜PAS1上に表面保護膜PAS2が形成されている。表面保護膜PAS1は、例えば、酸化シリコン膜から形成されており、表面保護膜PAS2は、例えば、窒化シリコン膜から形成されている。
【0051】
次に、最上層配線TWLの一部を開口して形成されたパッドPDの構成について説明する。図8に示すように、最上層配線TWL上に形成されている表面保護膜PAS1に開口部OP1が形成されている。つまり、表面保護膜PAS1を貫通して底部に最上層配線TWLを露出する開口部OP1が表面保護膜PAS1に形成されている。この開口部OP1の底部に露出する反射防止膜ARは除去されている。したがって、表面保護膜PAS1に形成された開口部OP1の底部には、最上層配線TWLを構成するアルミニウム膜ALが露出していることになる。すなわち、開口部OP1の内部にある底面では、最上層配線TWLの一部を構成する反射防止膜ARが除去され、アルミニウム膜ALが露出している。一方、開口部OP1の外側では、表面保護膜PAS1の下層に反射防止膜ARが残存している。したがって、開口部OP1の内部と外部との境界である開口部OP1の側面には、反射防止膜ARの側面が露出することになる。
【0052】
続いて、表面保護膜PAS1上には表面保護膜PAS2が形成されており、この表面保護膜PAS2には開口部OP2が形成されている。この開口部OP2は、開口部OP1に内包されるように形成されている。つまり、開口部OP2の大きさは、開口部OP1の大きさよりも小さくなっており、開口部OP1の内部には、表面保護膜PAS2の一部が形成されている。具体的には、表面保護膜PAS1に形成された開口部OP1よりも、表面保護膜PAS2に形成された開口部OP2の方が小さく、開口部OP2が開口部OP1に内包されていることから、開口部OP1の側面は表面保護膜PAS2によって覆われることになる。そして、表面保護膜PAS2に形成された開口部OP2の底部には、最上層配線TWLを構成するアルミニウム膜ALが露出し、この開口部OP2の大きさで規定されるパッドPDが形成されている。すなわち、本実施の形態1では、表面保護膜PAS1に形成された開口部OP1の径と、表面保護膜PAS2に形成された開口部OP2の径が異なることから、径の小さい開口部OP2の底面だけが露出することになり、この開口部OP2の底部に露出した最上層配線TWLによりパッドPDが形成される。
【0053】
パッドPDには、ワイヤWが接続されており、ワイヤWが接続されたパッドPD上を含む表面保護膜PAS2上は樹脂MRによって封止されている。
【0054】
ここで、本実施の形態1における特徴は、表面保護膜PAS1に形成した開口部OP1の径と、表面保護膜PAS2に形成した開口部OP2の径とを異なる径にした点にある。さらに、具体的な本実施の形態1の特徴は、開口部OP2の径を開口部OP1の径よりも小さくし、かつ、開口部OP2を開口部OP1に内包されるように形成した点にある。これにより、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARの側面を、開口部OP2を形成している表面保護膜PAS2で覆うことができる。つまり、開口部OP1に内包されるように開口部OP2を形成していることから、パッドPDは、開口部OP2により規定され、開口部OP1の側面は表面保護膜PAS2で覆われることになる。この結果、反射防止膜ARの側面を露出することなく、パッドPDを形成することができるのである。これにより、開口部OP1の側面に形成される反射防止膜ARが露出することなく表面保護膜PAS2に覆われていることになる。このことから、パッドPDが露出する開口部OP2の角部に水分が浸入しても、この浸入した水分が開口部OP1の側面に達せず、開口部OP1の側面に形成されている反射防止膜ARと直接接触することはない。したがって、反射防止膜ARである窒化チタン膜が水分と反応して酸化チタン膜になることを抑制することができる。このことは、反射防止膜ARの体積膨張を抑制できることを意味し、反射防止膜ARの体積膨張に起因したクラックの発生、および、反射防止膜ARと表面保護膜PAS1との剥離を抑制することができる。
【0055】
すなわち、本実施の形態1の特徴は、開口部OP2を開口部OP1に内包されるように形成する点にあるが、別の言い方をすれば、反射防止膜ARの側面、および、表面保護膜PAS1の側面を表面保護膜OP2で覆うように形成している。
【0056】
例えば、図1に示すように、表面保護膜PAS1を開口する開口部OP1の径と、表面保護膜PAS2を開口する開口部OP2の径が同じで、かつ、ぴったり重なるように形成される場合、反射防止膜ARの側面は、開口部OP1(開口部OP2と同じ)の側面から露出することになる。この場合、開口部OP1の角部に水分が浸入して溜まると、溜まった水分と反射防止膜AR(窒化チタン膜)が直接接触することになる。すると、反射防止膜ARを構成する窒化チタン膜が水分と化学反応を起こし、酸化チタン膜に変化する。酸化チタン膜の体積は、窒化チタン膜の体積よりも大きいため、反射防止膜ARの体積が膨張する。この結果、反射防止膜ARの体積膨張に起因して表面保護膜PAS1から表面保護膜PAS2に達する大きなクラックが発生したり、反射防止膜ARと表面保護膜PAS1との剥離が発生したりする。
【0057】
これに対し、本実施の形態1のように表面保護膜PAS1に形成されている開口部OP1よりも、表面保護膜PAS2に形成されている開口部OP2に形成されている開口部OP2を小さくし、かつ、開口部OP2を開口部OP1に内包するように構成することにより、開口部OP1の側面を表面保護膜PAS2で覆うことができる。つまり、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARの側面を表面保護膜PAS2で覆うことができるのである。これにより、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARと開口部OP2の角部に浸入してくる水分との直接接触を避けることができ、反射防止膜ARの化学反応による体積膨張を抑制することができる。この結果、反射防止膜ARの体積膨張に起因した表面保護膜PAS1から表面保護膜PAS2にわたる大きなクラックの発生、および、反射防止膜ARと表面保護膜PAS1からの剥離を抑制することができる。特に、このようなクラックの発生や剥離の発生は、樹脂MRにハロゲンフリー部材を使用した半導体装置で半導体チップの不良として顕在化するが、本実施の形態1によれば、反射防止膜ARとパッドPDに溜まる水分とを物理的に離すことで、樹脂MRにハロゲンフリー部材を使用した製品においても有効に作用する。
【0058】
本実施の形態1では、表面保護膜PAS2に形成した開口部OP2を、表面保護膜PAS1に形成した開口部OP1に内包するように構成することで、反射防止膜ARと、パッドPDに溜まる水分とを物理的に離すことができるが、このような構成は、2層にわけて表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2とを形成しているからこそ実現可能なものである。つまり、表面保護膜を1層から構成する場合は、異なる開口部を形成することができないので、この開口部の側面から反射防止膜が露出することになり、開口部の角部に浸入した水分と反射防止膜が直接接触する。このため、クラックの発生や剥離の発生が問題となる。これに対し、本実施の形態1では、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2の2層から表面保護膜を構成しているので、表面保護膜PAS1に形成する開口部OP1と、表面保護膜PAS2に形成する開口部OP2とを異なるものにすることができるのである。すなわち、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2の2層から構成することにより、反射防止膜ARが露出する開口部OP1の径を大きくし、かつ、開口部OP2を開口部OP1に内包されるように構成することができるのである。
【0059】
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0060】
まず、半導体基板上に通常の半導体製造技術を使用することによりMISFETなどの半導体素子を形成する。その後、半導体素子を形成した半導体基板上に多層配線を形成する。図9では、多層配線を構成する一部の配線が図示されている。この配線の製造工程について説明する。図9に示すように、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、この層間絶縁膜IL1にコンタクトホール(スルーホール)を形成する。その後、コンタクトホール内を含む層間絶縁膜IL1上に、例えば、チタン/窒化チタン膜からなるバリア導体膜と、例えば、アルミニウム膜からなる金属膜を形成し、コンタクトホール内にバリア導体膜と金属膜を埋め込む。次に、層間絶縁膜IL1上に形成されている不要なバリア導体膜と金属膜とを、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により除去する。これにより、層間絶縁膜IL1に埋め込んだプラグPLG1を形成することができる。
【0061】
続いて、プラグPLG1を形成した層間絶縁膜IL1上に、チタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜およびチタン/窒化チタン膜からなる積層膜を形成する。積層膜を構成するチタン/窒化チタン膜およびアルミニウム膜は、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、層間絶縁膜IL1上に形成した積層膜をパターニングする。これにより、層間絶縁膜IL1上にプラグPLG1と接続する配線WLを形成することができる。
【0062】
次に、配線WLを形成した層間絶縁膜IL1上に層間絶縁膜IL2を形成する。層間絶縁膜IL2は、例えば、酸化シリコン膜から形成されており、例えば、CVD法により形成することができる。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、この層間絶縁膜IL2にコンタクトホール(スルーホール)を形成する。その後、コンタクトホール内を含む層間絶縁膜IL2上に、例えば、チタン/窒化チタン膜からなるバリア導体膜と、例えば、アルミニウム膜からなる金属膜を形成し、コンタクトホール内にバリア導体膜と金属膜を埋め込む。次に、層間絶縁膜IL2上に形成されている不要なバリア導体膜と金属膜とを、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により除去する。これにより、層間絶縁膜IL2にプラグPLG2を形成することができる。このようにして図9に示す多層配線の一部が形成される。次に、多層配線の最上層配線を形成する工程について説明する。
【0063】
まず、図10に示すように、プラグPLG2を形成した層間絶縁膜IL2上に窒化チタン膜TNを形成する。窒化チタン膜TNは、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。そして、この窒化チタン膜TN上にアルミニウム膜ALを形成する。このアルミニウム膜ALも、例えば、スパッタリング法を使用することにより形成することができる。その後、アルミニウム膜AL上に反射防止膜ARを形成する。この反射防止膜ARは、アルミニウム膜などの反射率の高い膜をパターニングする際、アルミニウム膜からの反射光の散乱により、アルミニウム膜上に形成されているレジスト膜の露光精度が劣化することを防止するために設けられる膜である。つまり、アルミニウム膜上に反射防止膜ARを形成することにより、アルミニウム膜からの不所望な反射を抑制でき、レジスト膜のパターニング精度を確保できるのである。この反射防止膜ARは、例えば、窒化チタン膜から形成され、例えば、スパッタリング法により形成することができる。
【0064】
また、各膜の膜厚は、例えば、窒化チタン膜TNが75nm、アルミニウム膜ALが600〜2000nm(好ましくは800nm〜1000nm)、反射防止膜ARである窒化チタン膜が30〜100nm程度である。
【0065】
続いて、図11に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、窒化チタン膜TN、アルミニウム膜ALおよび反射防止膜ARをパターニングする。このとき、反射防止膜AR上にレジスト膜が形成され、このレジスト膜に対してマスクを介して露光光が照射されることにより、レジスト膜が加工される。このとき、レジスト膜の下層に反射防止膜ARが形成されているので、さらに下層にあるアルミニウム膜ALからの反射光を抑制することができ、レジスト膜の加工精度が向上する。この結果、加工したレジスト膜をマスクにした窒化チタン膜TN、アルミニウム膜ALおよび反射防止膜ARのパターニングを精度良く行なうことができ、窒化チタン膜TN、アルミニウム膜ALおよび反射防止膜ARからなる最上層配線TWLを形成することができる。
【0066】
次に、図12に示すように、最上層配線TWLを形成した層間絶縁膜IL2上に表面保護膜PAS1を形成する。この表面保護膜PAS1は、最上層配線TWLを覆うように形成される。表面保護膜PAS1は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えば、プラズマCVD法により形成することができる。表面保護膜PAS1は、半導体基板の内部に形成された半導体素子や多層配線を機械的応力や不純物の浸入から保護するために設けられる膜である。この表面保護膜PAS1の膜厚は、例えば、200nm程度である。
【0067】
その後、図13に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、表面保護膜PAS1をパターニングする。具体的に、表面保護膜PAS1のパターニングは、最上層配線TWLの表面の一部を露出する開口部OP1を形成するように行なわれる。このとき、酸化シリコン膜からなる表面保護膜PAS1のエッチングは、CHF、CF、OおよびArを含むエッチングガスによって行なわれる。
【0068】
続いて、図14に示すように、開口部OP1から露出する反射防止膜ARをエッチングすることにより除去する。窒化チタン膜からなる反射防止膜ARのエッチングは、Cl、Arを含むエッチングガスによって行なわれる。開口部OP1の底部に露出する反射防止膜ARを除去するのは、その後の工程で、最上層配線TWLにワイヤを接続する際、金線よりなるワイヤと最上層配線TWLとの接触抵抗を下げるためである。つまり、反射防止膜ARを除去しない場合には、窒化チタン膜とワイヤが接触することとなり接触抵抗が増加してしまうため、反射防止膜ARを除去して、アルミニウム膜とワイヤを接触させて、接触抵抗を下げるようにしているのである。また、アルミニウム膜とワイヤを直接接触させた方がワイヤの接着力が高まる。
【0069】
なお、反射防止膜ARである窒化チタン膜を除去した後に露出するアルミニウム膜ALの表面に防蝕処理を施すため、HOとOを含むガスによる防蝕処理が実施される。これによりアルミニウム膜ALの表面に薄い酸化アルミニウム膜(図示せず)が形成される。
【0070】
次に、図15に示すように、開口部OP1を形成した表面保護膜PAS1上に表面保護膜PAS2を形成する。この表面保護膜PAS2は開口部OP1を埋め込むように形成される。表面保護膜PAS2は、例えば、窒化シリコン膜から形成されており、例えば、プラズマCVD法により形成することができる。この表面保護膜PAS2も表面保護膜PAS1と同様に、半導体基板の内部に形成された半導体素子や多層配線を機械的応力や不純物の浸入から保護するために設けられる膜である。この表面保護膜PAS2の膜厚は、例えば、500〜1500nm程度であり、好ましくは600nm程度である。
【0071】
その後、図16に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成する。このとき、表面保護膜PAS2に形成される開口部OP2の大きさ(径)は、表面保護膜PAS1に形成される開口部OP1の大きさ(径)よりも小さく、かつ、開口部OP2は、開口部OP1に内包されるように形成される。この結果、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARは、表面保護膜PAS2で覆われることになる。表面保護膜PAS2に形成された開口部OP2の底部には最上層配線TWLを構成するアルミニウム膜ALが露出し、このアルミニウム膜ALが露出した領域がパッドPDとなる。なお、開口部OP2を形成する表面保護膜PAS2のエッチングは、CHF、CF、OおよびArを含むエッチングガスを使用して行なわれる。以上のようにして多層配線の最上層にパッドPDを形成することができる。
【0072】
また、開口部OP2を形成した後に、露出するアルミニウム膜ALの表面に防蝕処理を施すため、HOとOを含むガスによる防蝕処理が実施される。これによりアルミニウム膜ALの表面に薄い酸化アルミニウム膜(図示せず)が形成される。上述の図14で説明した防蝕処理は必ず行う必要はないが、開口部OP2を形成した後には、後工程の作業となるため、半導体ウェハを放置する時間が長いので、必ず防蝕処理を実施しておくことが望ましい。
【0073】
この後、半導体ウェハをプローブテストする工程を行う。本実施の形態のように、パッドPDにワイヤ接続領域PDRとプローブ接触領域PROとを設けた場合には、プローブテストの際に、プローブ接触領域PROに複数個のプローブ痕が形成される。この時、アルミニウム膜ALの表面の酸化アルミニウム膜が削り取られる。そうすると、プローブ接触領域PROではアルミニウム膜ALが削られた状態で露出することになり、アルミニウム膜ALが外部から浸入する水分に起因する電気化学反応が発生する可能性が高くなる。更に、プローブ接触領域PROに近い窒化チタン膜ARは影響を受けやすくなり、チタン異常酸化の経路となりやすい。ここで、プローブ接触領域PROは、ワイヤ接続領域PDRよりも内部回路領域ICAに近い位置であるため、本実施の形態のような対策を行うことが、より効果的である。なお、パッドPDにワイヤ接続領域PDRとプローブ接触領域PROを設ける構成については、他の実施の形態でも同様に用いて良い。また、本実施の形態では、半導体チップCHPをワイヤボンディングによって接続するため、ワイヤ接続領域PDRは半導体チップCHPの端部(半導体ウェハの段階では、チップ領域を区画するダイシングライン)に近い位置に配置することが望ましい。
【0074】
続いて、本実施の形態1では、半導体ウェハWFの裏面研削を実施する。具体的に、図17に示すように、グラインダGDを使用して半導体ウェハWFの裏面を研削する。その後、図18に示すように、半導体ウェハWFをダイサーDでダイシングする。これにより、図19に示すような複数の半導体チップCHPを得る。図19では、1つの半導体チップCHPが示されており、この半導体チップCHPの主面側(素子形成面側)にパッドPDが形成されている。
【0075】
次に、図20に示すように、配線基板WB上に半導体チップCHPを搭載する。このとき、配線基板WBのチップ搭載面側には端子TEが形成されている。配線基板WBの材料はハロゲンフリー部材を使用している。このように配線基板WBとしてハロゲンフリー部材を使用するのは、環境保護の観点を考慮したものである。ここで、配線基板WBに使用するハロゲンフリー部材とは、塩素の含有率が0.09重量%以下で、臭素の含有率が0.09重量%以下であり、かつ、塩素と臭素の総量が0.15重量%以下である材料として定義される。
【0076】
そして、図21に示すように、半導体チップCHPに形成されているパッドPDと、配線基板WBに形成されている端子TEとを、金線などからなるワイヤWで接続する。具体的には、図22に示すように、表面保護膜PAS2に形成された開口部OP2の底部に露出しているパッドPDにワイヤWが接続される。このとき、パッドPDの表面では、反射防止膜ARが除去されてアルミニウム膜ALが露出しているので、アルミニウム膜ALとワイヤWが直接接触することから、パッドPDとワイヤWとの接触抵抗を下げることができる。
【0077】
その後、図23に示すように、半導体チップCHPおよびワイヤWを覆うように樹脂MRで封止する。この樹脂MRは、外部からの衝撃や不純物の浸入から半導体チップCHPを保護するために設けられるものである。この樹脂MRを構成する材料も、近年の環境保護の重要性から、ハロゲンフリー部材が使用されている。樹脂MRに使用するハロゲンフリー部材とは、塩素の含有率が0.09重量%以下で、臭素の含有率が0.09重量%以下であり、かつ、アンチモンの含有率が0.09重量%以下である材料として定義される。
【0078】
続いて、図24に示すように、配線基板WBの裏面(チップ搭載面とは反対側の面)に外部接続端子となる半田ボールSBを形成する。そして、図25に示すように、配線基板WBを個片化することにより、図7に示すような本実施の形態1における半導体装置を製造することができる。
【0079】
このようにして完成したパッケージ(半導体装置)は、様々な温度条件で使用されるため、広範囲な温度変化に対応しても正常に動作する必要がある。このことから、製品が完成した後、高温(85℃〜130℃)、高湿(85%)の環境下で半導体装置に電圧を印加する電圧印加試験が半導体装置の信頼性を確保するために行なわれる。
【0080】
このとき、図8に示すように、本実施の形態1では、表面保護膜PAS1に形成されている開口部OP1よりも、表面保護膜PAS2に形成されている開口部OP2に形成されている開口部OP2を小さくし、かつ、開口部OP2を開口部OP1に内包するように構成している。これにより、開口部OP1の側面を表面保護膜PAS2で覆うことができる。つまり、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARの側面を表面保護膜PAS2で覆うことができるのである。これにより、電圧印加試験において、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARと開口部OP2の角部に浸入してくる水分との直接接触を避けることができ、反射防止膜ARの化学反応による体積膨張を抑制することができる。この結果、反射防止膜ARの体積膨張に起因した表面保護膜PAS1から表面保護膜PAS2にわたる大きなクラックの発生、および、反射防止膜ARと表面保護膜PAS1からの剥離を抑制することができる。特に、このようなクラックの発生や剥離の発生は、樹脂MRにハロゲンフリー部材を使用した半導体装置で半導体チップの不良として顕在化するが、本実施の形態1によれば、反射防止膜ARとパッドPDに溜まる水分とを物理的に離すことで、樹脂MRにハロゲンフリー部材を使用した製品においてもクラックの発生や剥離の発生を有効に防止できる顕著な効果を得ることができる。
【0081】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、表面保護膜PAS1に開口部OP1を形成し、開口部OP1の底部に露出する反射防止膜ARを除去した後、表面保護膜PAS2を形成している。そして、この表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成することにより、開口部OP2の底部にアルミニウム膜ALが露出したパッドPDを形成している。このとき、パッドPD形成領域に露出しているアルミニウム膜ALの表面は、開口部OP1から露出する反射防止膜ARを除去し、さらに、防蝕処理を施すことにより清浄化されている。
【0082】
しかし、本実施の形態2では、その後、この清浄化した表面を有するアルミニウム膜AL上に表面保護膜PAS2を形成し、この表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成している。このとき、開口部OP2からアルミニウム膜ALが露出するが、このアルミニウム膜ALの表面は、清浄化された後、表面保護膜PAS2が形成され、その後、再び、開口部OP2によって露出することになる。前記実施の形態1では、開口部OP2を形成した後に露出するアルミニウム膜ALの表面に対して清浄化する処理を実施していない。つまり、一端清浄化したアルミニウム膜ALの表面に表面保護膜PAS2が形成され、この表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成して再びアルミニウム膜ALの表面が露出される。この場合、清浄化されたアルミニウム膜ALの表面に表面保護膜PAS2が形成されるので、アルミニウム膜ALの表面に変質層が形成されるおそれがある。このような変質層がアルミニウム膜ALの表面に形成されると、パッドPDを構成するアルミニウム膜ALとワイヤを構成する金線との接触強度および接触抵抗が劣化するおそれがある。
【0083】
そこで、本実施の形態2は、清浄化されたアルミニウム膜AL上に表面保護膜PAS2を形成し、この表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成した後、再び、露出するアルミニウム膜ALの表面をエッチングして清浄化処理を実施することを特徴としている。具体的には、図16で説明した防蝕処理を行う前に、露出しているアルミニウム膜ALの表面をエッチングする。
【0084】
図26は、本実施の形態2における半導体チップCHPのパッドPD近傍の構造を示す断面図である。図26に示す半導体チップCHPの構造は、前記実施の形態1である図8に示す半導体チップCHPの構造とほぼ同様である。図26に示す半導体チップCHPと図8に示す半導体チップCHPの異なる点は、図26では、開口部OP2から露出するパッドPDの表面がエッチングされて溝WDが形成されているのに対し、図8では、パッドPDの表面に溝が形成されていない点である。つまり、本実施の形態2では、図26に示すように、パッドPDの表面に溝WDが形成されている。これは、表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成した後、開口部OP2の底部に露出するアルミニウム膜ALの表面に対してエッチングを施した結果である。すなわち、本実施の形態2では、アルミニウム膜ALの表面に表面保護膜PAS2を形成することによって、アルミニウム膜ALの表面に変質層が形成されるおそれがある。したがって、表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成した後、この開口部OP2から露出するアルミニウム膜ALの表面には変質層が形成されているおそれがある。このため、開口部OP2から露出するアルミニウム膜ALにエッチング処理を施して、アルミニウム膜ALの表面に形成されている変質層を除去している。このエッチング処理の結果、開口部OP2から露出するアルミニウム膜ALの表面に溝WDが形成される。このようにして本実施の形態2では、開口部OP2から露出するアルミニウム膜ALの表面を清浄化することができるので、パッドPDを構成するアルミニウム膜ALと、ワイヤWを構成する金線との接触強度の強化および接触抵抗の低減を実現することができる。
【0085】
本実施の形態2における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について説明する。本実施の形態2における半導体装置の製造工程は、前記実施の形態1における半導体装置の製造工程とほぼ同様である。つまり、図9から図16までの工程は前記実施の形態1と同様である。続いて、本実施の形態2では、図27に示すように、表面保護膜PAS2に形成した開口部OP2から露出するアルミニウム膜ALの表面に対してエッチング処理を実施する。具体的に、アルミニウム膜ALの表面に対して、ClおよびArを含むエッチングガスでエッチングし、その後、HOとOを含むガスで防蝕処理を行なう。これにより、開口部OP2から露出するアルミニウム膜ALの表面がエッチングされ、アルミニウム膜ALの表面に形成されている変質層を除去することができる。この結果、開口部OP2から露出するアルミニウム膜ALの表面に溝WDが形成される。その後の工程は、前記実施の形態1と同様である。以上のようにして、本実施の形態2における半導体装置を製造することができる。
【0086】
なお、アルミニウム膜ALの表面に溝WDを形成した後に、前記実施の形態1の図16で説明した防蝕処理を行うことが、より望ましい。
【0087】
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、図8に示すように、開口部OP2を開口部OP1に内包されるように形成し、反射防止膜ARが露出する開口部OP1の側面を表面保護膜OP2で覆うように形成している。このように構成することにより、前記実施の形態1では、電圧印加試験において、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARと開口部OP2の角部に浸入してくる水分との直接接触を避けることができ、表面保護膜PAS1から表面保護膜PAS2にわたる大きなクラックの発生、および、反射防止膜ARと表面保護膜PAS1からの剥離を抑制することができる顕著な効果が得られるとしている。
【0088】
本実施の形態3では、開口部OP2を開口部OP1に内包されるように形成し、反射防止膜ARが露出する開口部OP1の側面を表面保護膜OP2で覆うように構成する特徴に対して、さらなる改良(工夫)を加えることにより、別の効果も奏することについて説明する。
【0089】
まず、本実施の形態3における半導体装置の特徴を説明する前に、その技術的思想を想到するに至った背景技術について説明する。近年の半導体チップでは、集積度の向上および半導体特性の向上に伴い、単位面積あたりのパッド数が増加し、さらに、個々のパッドの面積が縮小してきている。このため、最先端のプロセスを適用して形成された半導体チップでは、従来製品に比べて、ワイヤボンディング工程において、ワイヤがパッドの中央部に接続されずにずれるポテンシャルが高くなっている。このようにワイヤがパッドの中央部からずれて接続される場合、ワイヤは、パッドだけでなく、パッドの周囲に形成されている表面保護膜に乗り上げるおそれが高くなる。ワイヤが表面保護膜に乗り上げて形成される場合、ワイヤボンディングの衝撃によって表面保護膜にクラックが発生して表面保護膜が破壊されるおそれがあるという問題点が発生する。
【0090】
具体的に図面を参照しながらこの問題点について説明する。図28は従来構造において、ワイヤが表面保護膜に乗り上げる状態を示す断面図である。図28において、最上層配線TWL上の一部が開口されてパッドPDが形成されている。つまり、最上層配線TWL上には、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2が形成され、この表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2に開口部OP1が形成されている。そして、この開口部OP1の底部に露出している最上層配線TWLがパッドPDとなっている。このとき、表面保護膜PAS1の膜厚はパッドPDの厚さに比べて薄くなっており、かつ、最上層配線TWLと層間絶縁膜IL2との段差を覆うカバレッジも悪くなっている。したがって、表面保護膜PAS1上に形成される表面保護膜PAS2のカバレッジも下地である表面保護膜PAS1のカバレッジを反映して悪くなる。
【0091】
この状態で、ワイヤボンディング工程を実施し、ワイヤがパッドPDの中央部からずれて一部が表面保護膜PAS2上に乗り上げる場合を考える。近年、半導体装置の微細化が進み、パッドPDの面積も縮小していく傾向がある。従って、ワイヤをパッドPDに接続する際に、表面保護膜PAS2上に乗り上げ易くなる。また、ワイヤはパッドPDに接続した後、超音波振動によって接着させるため、必ずパッドPDの中央に形成されるとは限らず、接着中にワイヤの位置がずれやすい。この場合、表面保護膜PAS2上にワイヤが乗り上げることから、ボンディングの際、表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2に衝撃が加わる。具体的に、表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2には、上下方向の圧力も加わるとともに、左右方向の圧力も加わる。このとき、左右方向の圧力によって、最上層配線TWLと層間絶縁膜IL2との段差部においては、横方向にずれるような応力が加わることになる。いまの場合、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2の総膜厚はパッドPDよりも薄く、かつ、段差部のカバレッジも悪くなっているので、段差部に加わる横方向の応力に対する耐性が弱く、この耐性の弱い段差部に集中して応力が加わることになる。この結果、段差部を覆っている表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2にクラックCKが発生する。このように表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2にクラックCKが発生すると、表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2が破壊され、半導体チップCHが不良となる。
【0092】
そこで、本実施の形態3では、表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2の構成を工夫することにより、ワイヤの一部が表面保護膜PAS2に乗り上げる場合であってもクラックの発生しにくい半導体装置を提供するものである。以下に、本実施の形態3における半導体装置の特徴的構成について説明する。
【0093】
図29は、本実施の形態3における半導体チップCHPのパッドPD近傍の構造を示す断面図である。図29において、本実施の形態3の第1特徴点は、表面保護膜HDPの膜厚が厚くなっている点である。具体的に、表面保護膜HDPの膜厚は、パッドPD(最上層配線TWL)の膜厚よりも、同等か、厚くなっており、例えば、700〜1000nm程度となっている。これにより、表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2とを合わせた総膜厚は、パッドPD(最上層配線TWL)よりも厚くなっている。また、表面保護膜HDPの膜厚は、表面保護膜PAS2の膜厚よりも厚くなっている。
【0094】
なお、図29では前記実施の形態1、2で記載した表面保護膜PAS1を形成していない例を示しているが、表面保護膜HDPを形成する前に、薄く表面保護膜PAS1を形成してもよい。その場合、表面保護膜HDPの膜厚を、表面保護膜PAS1の膜厚よりも厚くすることで、良好なカバレッジ特性を得ることができる。
【0095】
この結果、例えば、図29に示すように、表面保護膜PAS2上にワイヤWの一部が乗り上げても最上層配線TWLと層間絶縁膜IL2との段差部を覆っている表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2にクラックが発生することを抑制することができる。これは、表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2の総膜厚が厚くなると、ワイヤWの一部が表面保護膜PAS2上に乗り上げた場合、左右方向に働く応力を緩和できるからでる。つまり、表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2の総膜厚が厚くなると、ワイヤWの一部が表面保護膜PAS2上に乗り上げた場合に加わる力の方向が垂直方向に近づくため、左右方向に働く力の成分が小さくなると考えられるからである。したがって、表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2の左右方向にずれようとする応力が緩和される結果、最上層配線TWLと層間絶縁膜IL2との段差部を覆っている表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2にクラックが発生しにくくなるのである。特に、表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2との合わせた総膜厚が1000nm以上にすれば、クラックの発生を充分に抑制することができる。
【0096】
続いて、クラックの発生を抑制できる第2特徴点は、表面保護膜HDPを高密度プラズマCVD法で形成した酸化シリコン膜を使用する点である。ここでいう高密度プラズマCVD法とは、例えば、表面保護膜PAS2を形成するプラズマCVD法よりも高密度のプラズマを使用する方法である。具体的に、高密度プラズマCVD法は、高周波電界・磁界を用いてガスを高密度にプラズマ化し、この高密度にプラズマ化したガスの化学反応により膜を堆積させる方法であり、高密度プラズマの発生方法としては、誘導結合プラズマ法(ICP:induction coupled plasma)や電子サイクロトロン共鳴法(ECR:electron cyclotron resonance)がある。
【0097】
この高密度プラズマCVD法で形成される膜はカバレッジが良好であるという特性がある。したがって、表面保護膜HDPを高密度プラズマCVD法で形成した酸化シリコン膜から形成することにより、最上層配線TWLと層間絶縁膜IL2との段差部を覆うカバレッジ特性を良好にすることができる。例えば、表面保護膜HDPのカバレッジ特性は、表面保護膜PAS2のカバレッジ特性よりも良好であり、表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2の中で最もカバレッジ特性が良好である。このことから、最上層配線TWLと層間絶縁膜IL2との段差部に加わる横方向の応力に対する耐性を強くすることができ、ワイヤWの一部が表面保護膜PAS2上に乗り上げる場合であっても、最上層配線TWLと層間絶縁膜IL2との段差部にクラックが発生することを抑制できるのである。
【0098】
次に、クラックの発生を抑制できる第3特徴点は、表面保護膜HDPに形成された開口部OP1の大きさ(径)よりも表面保護膜PAS2に形成された開口部OP2の大きさ(径)を小さくし、かつ、開口部OP2が開口部OP1に内包されるように形成する点である。これにより、開口部OP1の側面は、表面保護膜PAS2で覆われることになり、さらに、パッドPDと表面保護膜HDPの境界を表面保護膜PAS2によるステップ形状とすることができる。これにより、ワイヤWの一部が表面保護膜PAS2上に乗り上げた場合、表面保護膜PAS2および表面保護膜HDPに加わる応力を分散させることができる。この結果、応力の集中によるクラックの発生を抑制できるのである。
【0099】
この第3特徴点は、前記実施の形態1の観点から言えば、電圧印加試験において、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARと開口部OP2の角部に浸入してくる水分との直接接触を避ける構成ということができ、表面保護膜PAS1から表面保護膜PAS2にわたる大きなクラックの発生、および、反射防止膜ARと表面保護膜PAS1からの剥離を抑制することができる構成である。そして、この第3特徴点は、本実施の形態3の観点から言えば、ワイヤWの一部が表面保護膜PAS2上に乗り上げた場合、表面保護膜PAS2および表面保護膜HDPに加わる応力を分散させることができる構成であり、応力の集中によるクラックの発生を抑制できる構成ということができる。このように第3特徴点は、観点の違う別の効果を奏する構成ということができる。そして、本実施の形態3では、第3特徴点の構成をさらに改良して、第1特徴点および第2特徴点を加えることにより、ワイヤWの一部が表面保護膜PAS2に乗り上げてもクラックの発生を充分に抑制できる構成とすることができるのである。
【0100】
本実施の形態3における半導体装置は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について説明する。図9から図11までの工程は前記実施の形態1と同様である。
【0101】
次に、図30に示すように、最上層配線TWLを形成した層間絶縁膜IL2上に表面保護膜HDPを形成する。この表面保護膜HDPは、最上層配線TWLを覆うように形成される。表面保護膜HDPは、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えば、高密度プラズマCVD法により形成することができる。表面保護膜HDPは、半導体基板の内部に形成された半導体素子や多層配線を機械的応力や不純物の浸入から保護するために設けられる膜である。このとき、表面保護膜HDPの膜厚は最上層配線TWLの膜厚よりも厚くなっており、さらに、高密度プラズマCVD法により形成しているので、最上層配線TWLと層間絶縁膜IL2との段差部を覆うカバレッジ特性は良好である。なお、表面保護膜HDPを形成する前に、前記実施の形態1、2と同様に、表面保護膜PAS1を薄く形成してもよい。
【0102】
その後、図31に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、表面保護膜HDPをパターニングする。具体的に、表面保護膜HDPのパターニングは、最上層配線TWLの表面の一部を露出する開口部OP1を形成するように行なわれる。このとき、酸化シリコン膜からなる表面保護膜HDPのエッチングは、CHF、CF、OおよびArを含むエッチングガスによって行なわれる。
【0103】
続いて、開口部OP1から露出する反射防止膜ARをエッチングすることにより除去する。窒化チタン膜からなる反射防止膜ARのエッチングは、Cl、Arを含むエッチングガスによって行なわれる。開口部OP1の底部に露出する反射防止膜ARを除去するのは、その後の工程で、最上層配線TWLにワイヤを接続する際、金線よりなるワイヤと最上層配線TWLとの接触抵抗を下げるためである。つまり、反射防止膜ARを除去しない場合には、窒化チタン膜とワイヤが接触することとなり接触抵抗が増加してしまうため、反射防止膜ARを除去して、アルミニウム膜とワイヤを接触させて、接触抵抗を下げるようにしているのである。なお、反射防止膜ARである窒化チタン膜を除去した後に露出するアルミニウム膜ALの表面に防蝕処理を施すため、HOとOを含むガスによる防蝕処理が実施される。
【0104】
次に、図32に示すように、開口部OP1を形成した表面保護膜HDP上に表面保護膜PAS2を形成する。この表面保護膜PAS2は開口部OP1を埋め込むように形成される。表面保護膜PAS2は、例えば、窒化シリコン膜から形成されており、例えば、プラズマCVD法により形成することができる。この表面保護膜PAS2も表面保護膜HDPと同様に、半導体基板の内部に形成された半導体素子や多層配線を機械的応力や不純物の浸入から保護するために設けられる膜である。このとき、表面保護膜HDPと表面保護膜PAS2とを合わせた総膜厚は、アルミニウム膜ALより厚く、例えば、1000nm以上となっている。
【0105】
その後、図33に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成する。このとき、表面保護膜PAS2に形成される開口部OP2の大きさ(径)は、表面保護膜HDPに形成される開口部OP1の大きさ(径)よりも小さく、かつ、開口部OP2は、開口部OP1に内包されるように形成される。この結果、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARは、表面保護膜PAS2で覆われることになる。表面保護膜PAS2に形成された開口部OP2の底部には最上層配線TWLを構成するアルミニウム膜ALが露出し、このアルミニウム膜ALが露出した領域がパッドPDとなる。なお、開口部OP2を形成する表面保護膜PAS2のエッチングは、CHF、CF、OおよびArを含むエッチングガスを使用して行なわれる。以上のようにして多層配線の最上層にパッドPDを形成することができる。その後の工程は、前記実施の形態1と同様である。以上のようにして、本実施の形態3における半導体装置を製造することができる。
【0106】
なお、本実施の形態3に開示した技術を、前記実施の形態1および前記実施の形態2と組み合わせて行うことも可能であり、より顕著な効果を得ることができる。
【0107】
(実施の形態4)
前記実施の形態1〜3では、パッドPD近傍の構成について説明したが、本実施の形態4ではガードリング近傍の構成について説明する。まず、ガードリングの構成について説明する。図34は、半導体チップCHPの平面レイアウト構成を示す図である。図34は、前記実施の形態1の図5で示した平面レイアウト図とほぼ同様であるが、半導体チップCHPの周辺領域に沿ってガードリングGRが形成されている。そして、ガードリングGRで囲まれた内側領域にパッドPDが形成されている。このパッドPDは、半導体チップCHPの4辺に沿って形成されている。つまり、半導体チップCHPの4辺に沿って複数のパッドPDが形成されており、このパッドPDの外側を囲むようにガードリングGRが形成されている。このガードリングGRは、半導体チップCHPの内部領域に外部からの不純物や水分が浸入することを防止するために設けられるものであり、防護壁として機能する。すなわち、ガードリングGRで囲まれた半導体チップCHPの内側領域には、パッドPDを含む集積回路が形成されており、この集積回路を形成している領域に不純物(異物)や水分が浸入しないように集積回路を形成している外側領域にガードリングGRが形成されているのである。このように半導体チップCHPにガードリングGRを設けることにより、半導体チップCHPに形成されている集積回路を保護することができ、集積回路の信頼性を向上することができる。
【0108】
次に、具体的に、ガードリングGRの構造について説明する。図35は、図34のB−B線で切断した断面図である。図35において、半導体基板1S上に、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜ILAが形成されており、この層間絶縁膜ILAにプラグPLGAが形成されている。そして、このプラグPLGAを形成した層間絶縁膜ILA上に、配線層と同じ材料から形成されているガードリングGR1が形成されている。このガードリングGR1は、他の配線層と同工程で形成されてものであり、例えば、チタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜およびチタン/窒化チタン膜の積層膜から形成されている。続いて、ガードリングGR1を形成した層間絶縁膜ILA上に、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜ILBが形成されており、この層間絶縁膜ILBを貫通してガードリングGR1に達するプラグPLGBが形成されている。さらに、プラグPLGBを形成した層間絶縁膜ILB上には、ガードリングGR2が形成されており、このガードリングGR2を形成した層間絶縁膜ILB上に、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜ILCが形成されている。そして、この層間絶縁膜ILCにはプラグPLGCが形成されており、このプラグPLGCは、ガードリングGR2と電気的に接続されている。同様にして、プラグPLGCを形成した層間絶縁膜ILC上には、ガードリングGR3が形成され、ガードリングGR3を覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1が形成されている。この層間絶縁膜IL1には、プラグPLG1が形成されており、プラグPLG1はガードリングGR3と接続されている。プラグPLG1を形成した層間絶縁膜IL1上には、ガードリングGR4が形成されており、このガードリングGR4を形成した層間絶縁膜IL1上に、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL2が形成されている。層間絶縁膜IL2には、プラグPLG2が形成されており、プラグPLG2とガードリングGR4が接続されている。そして、プラグPLG2を形成した層間絶縁膜IL2上にガードリングTGRが形成されている。このガードリングTGRは、最上層配線と同層で形成された膜であり、最上層配線と同様に、窒化チタン膜TN、アルミニウム膜ALおよび反射防止膜ARからなる積層膜から構成されている。反射防止膜ARは、例えば、窒化チタン膜から形成される。このようにガードリングは、半導体基板1S上に形成されているプラグPLGから最上層に形成されているガードリングTGRまでが接続された構造となっている。つまり、半導体基板1S上に形成されたプラグPLG1から、ガードリングGR1、プラグPLGB、ガードリングGR2、プラグPLGC、ガードリングGR3、プラグPLG1、ガードリングGR4、プラグPLG2およびガードリングTGRが接続されて防護壁が形成されている。これにより、半導体チップの内部領域への不純物の浸入を阻止することができる。
【0109】
次に、ガードリングTGRの上部の構成について説明する。ガードリングTGR上には、例えば、酸化シリコン膜からなる表面保護膜PAS1が形成されており、この表面保護膜PAS1に開口部OP3が形成されている。この開口部OP3から露出する反射防止膜ARは除去されている。そして、開口部OP3を形成した表面保護膜PAS1上に、例えば、窒化シリコン膜からなる表面保護膜PAS2が形成されている。この表面保護膜PAS2は、開口部OP3を埋め込むように形成されており、ガードリングTGRは、表面保護膜PAS2で覆われている。
【0110】
このように構成されているガードリングの特徴は、ガードリングTGRの上部に形成されている表面保護膜PAS1には開口部OP3が形成されているのに対し、開口部OP3を形成した表面保護膜PAS1上に形成されている表面保護膜PAS2には開口部が形成されておらず、ガードリングTGRが表面保護膜PAS2で覆われている点にある。これにより、ガードリングTGRの上部に形成されている表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2からの不純物の浸入を充分に阻止できる。
【0111】
例えば、不純物の浸入経路として、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2との界面が考えられるが、本実施の形態4によれば、表面保護膜PAS1には、ガードリングTGR上で開口部OP3が形成されているので、表面保護膜PAS1は分断されている。そして、この開口部OP3を形成した表面保護膜PAS1上に表面保護膜PAS2が形成されていることになるが、開口部OP3が存在するため、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2との界面は、開口部OP3によって分断されることになる。このことは、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2との界面を介する不純物の浸入経路が分断されていることを意味している。したがって、本実施の形態4では、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2の界面を通って不純物が浸入することを抑制できるのである。
【0112】
本実施の形態4におけるガードリングは上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図面を参照しながら説明する。具体的に、パッドPDを形成するパッド形成領域と、ガードリングGRを形成するガードリング形成領域を対比しながら、本実施の形態4における半導体装置の製造方法について説明する。
【0113】
まず、図9から図11に示す工程を経ることにより、図36に示すような構造を形成する。具体的に、パッド形成領域に最上層配線TWLを形成し、ガードリング形成領域にガードリングTGRを形成する。このとき、最上層配線TWLとガードリングTGRとは同一工程で形成される。
【0114】
次に、図37に示すように、最上層配線TWLおよびガードリングTGR上を覆うように層間絶縁膜IL2上に表面保護膜PAS1を形成する。つまり、パッド形成領域では、最上層配線TWLを形成した層間絶縁膜IL2上に表面保護膜PAS1を形成し、ガードリング形成領域では、ガードリングTGRを形成した層間絶縁膜IL2上に表面保護膜PAS1を形成する。表面保護膜PAS1は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えば、プラズマCVD法により形成することができる。表面保護膜PAS1は、半導体基板の内部に形成された半導体素子や多層配線を機械的応力や不純物の浸入から保護するために設けられる膜である。
【0115】
その後、図38に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、表面保護膜PAS1をパターニングする。具体的に、表面保護膜PAS1のパターニングは、パッド形成領域において、最上層配線TWLの表面の一部を露出する開口部OP1を形成するように行なわれ、ガードリング形成領域において、ガードリングTGRの表面の一部を露出する開口部OP3を形成するように行なわれる。このとき、酸化シリコン膜からなる表面保護膜PAS1のエッチングは、CHF、CF、OおよびArを含むエッチングガスによって行なわれる。
【0116】
続いて、図39に示すように、パッド形成領域では、開口部OP1から露出する反射防止膜ARをエッチングすることにより除去する。同様に、ガードリング形成領域においても、開口部OP3から露出する反射防止膜ARをエッチングすることにより除去する。窒化チタン膜からなる反射防止膜ARのエッチングは、Cl、Arを含むエッチングガスによって行なわれる。なお、反射防止膜ARである窒化チタン膜を除去した後に露出するアルミニウム膜ALの表面に防蝕処理を施すため、HOとOを含むガスによる防蝕処理が実施される。
【0117】
次に、図40に示すように、パッド形成領域に開口部OP1を形成し、かつ、ガードリング形成領域に開口部OP3を形成した表面保護膜PAS1上に表面保護膜PAS2を形成する。この表面保護膜PAS2は開口部OP1と開口部OP3を埋め込むように形成される。表面保護膜PAS2は、例えば、窒化シリコン膜から形成されており、例えば、プラズマCVD法により形成することができる。この表面保護膜PAS2も表面保護膜PAS1と同様に、半導体基板の内部に形成された半導体素子や多層配線を機械的応力や不純物の浸入から保護するために設けられる膜である。
【0118】
その後、図41に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、パッド形成領域に形成されている表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成する。一方、ガードリング形成領域に形成されている表面保護膜PAS2には開口部を形成しない。このとき、パッド形成領域において、表面保護膜PAS2に形成される開口部OP2の大きさ(径)は、表面保護膜PAS1に形成される開口部OP1の大きさ(径)よりも小さく、かつ、開口部OP2は、開口部OP1に内包されるように形成される。この結果、パッド形成領域において、開口部OP1の側面に露出する反射防止膜ARは、表面保護膜PAS2で覆われることになる。表面保護膜PAS2に形成された開口部OP2の底部には最上層配線TWLを構成するアルミニウム膜ALが露出し、このアルミニウム膜ALが露出した領域がパッドPDとなる。なお、開口部OP2を形成する表面保護膜PAS2のエッチングは、CHF、CF、OおよびArを含むエッチングガスを使用して行なわれる。
【0119】
一方、ガードリング形成領域では、開口部OP3を埋め込んだ表面保護膜PAS2をそのまま残存させる。これにより、ガードリング形成領域では、ガードリングTGRの上部に形成されている表面保護膜PAS1には開口部OP3が形成されているのに対し、開口部OP3を形成した表面保護膜PAS1上に形成されている表面保護膜PAS2には開口部が形成されておらず、ガードリングTGRが表面保護膜PAS2で覆われている。このため、ガードリングTGRの上部に形成されている表面保護膜PAS1および表面保護膜PAS2からの不純物の浸入を充分に阻止できる。例えば、不純物の浸入経路として、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2との界面が考えられるが、本実施の形態4によれば、表面保護膜PAS1には、ガードリングTGR上で開口部OP3が形成されているので、表面保護膜PAS1は分断されている。そして、この開口部OP3を形成した表面保護膜PAS1上に表面保護膜PAS2が形成されていることになるが、開口部OP3が存在するため、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2との界面は、開口部OP3によって分断されることになる。このことは、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2との界面を介する不純物の浸入経路が分断されていることを意味している。したがって、本実施の形態4では、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2の界面を通って不純物が浸入することを抑制できるのである。以上のようにして、パッド形成領域にパッドPDを形成し、ガードリング形成領域にガードリング構造を形成することができる。その後の工程は、前記実施の形態1と同様である。このようにして、本実施の形態4における半導体装置を製造することができる。
【0120】
本実施の形態4では、パッド形成領域に形成される表面保護膜PAS1に開口部OP1を形成する工程と、表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成する工程との2工程が存在する。このように表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2を加工する2工程が存在することから、図35に示すように、ガードリングTGRの上部に形成されている表面保護膜PAS1に開口部OP3を形成し、開口部OP3を形成した表面保護膜PAS1上に形成されている表面保護膜PAS2には開口部を形成せずにガードリングTGRを表面保護膜PAS2で覆うように構成できる。
【0121】
例えば、図1に示す従来構造のように、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2とを一緒に加工して開口部OP1を形成する場合、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2とを加工する工程は1つである。この場合、ガードリング形成領域で開口部を形成しないとすると、ガードリングTGRを覆うように表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2が形成されていることになる。そして、表面保護膜PAS1には開口部が形成されていないことから、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2との界面はガードリングTGR上で分断されることはない。したがって、この構造では、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2との界面を介して不純物が半導体チップの内側領域に浸入するおそれが高くなる。だからといって、ガードリング形成領域においても、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2とを貫通する開口部を形成すると、この開口部から内部に不純物が浸入しやすくなってしまう。
【0122】
これに対し、本実施の形態4では、パッド形成領域に形成される表面保護膜PAS1に開口部OP1を形成する工程と、表面保護膜PAS2に開口部OP2を形成する工程との2工程が存在する。このことを利用して、本実施の形態4では、ガードリングTGRの上部に形成されている表面保護膜PAS1に開口部OP3を形成し、開口部OP3を形成した表面保護膜PAS1上に形成されている表面保護膜PAS2には開口部を形成せずにガードリングTGRを表面保護膜PAS2で覆うように構成できる。このため、本実施の形態4によれば、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2の界面がガードリングTGR上で分断されるので、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2の界面を介した不純物の浸入を効果的に抑制することができるのである。
【0123】
なお、本実施の形態4に開示した技術を、前記実施の形態1〜3と組み合わせて行うことも可能であり、より顕著な効果を得ることができる。
【0124】
(実施の形態5)
図42は、実施の形態5の半導体装置を示す断面図である。本実施の形態5では、ガードリング形成領域の反射防止膜ARと表面保護膜PAS1を除去せずに残しており、表面保護膜PAS1に開口部OP3を形成していない。そして、表面保護膜PAS2については、ガードリングTGR上に開口部OP4が形成されている構造になっている。
【0125】
通常の製造工程では、ダイシング工程おいて半導体ウェハを複数の半導体チップCHPに個別化する。その際に、窒化シリコン膜からなる表面保護膜PAS2をダイシングすると、表面保護膜PAS2に応力が発生し、内部回路領域ICA上の表面保護膜PAS2にクラックが発生してしまうような不具合が生じる恐れがある。従って、表面保護膜PAS2に開口部OP4を設けておくことにより、半導体チップCHPの端部からの応力を、内部回路領域ICA上に伝達できないようにすることができる。なお、この開口部OP4は、ガードリングTGR上に形成されていることから、内部回路領域ICAの全体を囲むように形成されている。
【0126】
ここで、反射防止膜ARと表面保護膜PAS1には開口部OP3を形成していないが、このようにすることで、ガードリングTGR上の反射防止膜AR(窒化チタン膜)が酸化されることを防ぐことができる。すなわち、ガードリングTGR上の全体に表面保護膜PAS1を形成しておくことが望ましい。
【0127】
次に、本実施の形態5における半導体装置の製造方法について説明する。図36〜図37までの製造工程は、前記実施の形態4と同様である。そして、図38〜図39の工程で、反射防止膜ARと表面保護膜PAS1をエッチングせずに残しておく。その後、図40のように表面保護膜PAS2を形成し、図41で開口部OP2を形成する工程と同工程で、開口部OP4を形成することができる。
【0128】
なお、本実施の形態5の図42で説明した技術を、前記実施の形態1〜3と組み合わせて行うことも可能であり、より顕著な効果を得ることができる。
【0129】
次に、図43は、本実施の形態5の変形例である半導体装置を示した断面図である。この変形例では、ガードリング形成領域の構造は前述の実施の形態4と同様であり、ガードリング形成領域と、半導体チップCHPの端部との間の表面保護膜PAS2の構造を、図43で示したような構造としている。すなわち、図43に示すように、ガードリング形成領域と、半導体チップCHPの端部(ダイシングライン)との間では、表面保護膜PAS1が形成されており、その上の表面保護膜PAS2には開口部OP4が形成されている。このような構造とすることで、ガードリング形成領域にて、表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2の界面を介した不純物の浸入を効果的に抑制することができるとともに、ダイシング工程における表面保護膜PAS2のクラックの発生を防止することができる。この変形例における半導体装置の製造方法は、上述した図42の場合の製造工程と同様の方法で行うことができる。
【0130】
なお、この変形例では、表面保護膜PAS1の下にはガードリングTGR等の配線構造が無いため、表面保護膜PAS1にも開口部OP3を形成してもよい。その場合、表面保護膜PAS2の開口部OP4の位置は、表面保護膜PAS1の開口部OP3の内側でも構わないし、外側でも構わない。また、その場合の製造方法を以下に示す。図36〜図37までの製造工程は、前記実施の形態4と同様である。そして、図38〜図39の工程で、表面保護膜PAS1をエッチングして、開口部OP3を形成する。その後、図40のように表面保護膜PAS2を形成し、図41で開口部OP2を形成する工程と同工程で、開口部OP4を形成することができる。
【0131】
また、変形例である図43で説明した技術を、前述の実施の形態1〜4と組み合わせて行うことも可能であり、より顕著な効果を得ることができる。
【0132】
(実施の形態6)
本実施の形態6では、パッドPDの表面領域のうちプローブを接触させるプローブ接触領域に形成されている開口部と、ワイヤを接続するワイヤ接続領域に形成されている開口部の大きさを相違させる例について説明する。
【0133】
図6は、前記実施の形態1で説明したパッドPDの表面領域の一例を示す図である。図6に示すように、パッドPDの表面領域には、電気的特性検査においてプローブ(探針)を接触させるプローブ接触領域PROと、ワイヤボンディング工程において、ワイヤを接続するワイヤ接続領域PDRが存在する。このようなパッドPDに対して、前記実施の形態1〜4に示すような開口部OP1と開口部OP2を形成する(図8、図26または図29参照)。このとき、プローブ接触領域PROにおいて露出する開口部OP2の大きさ(径)と、ワイヤ接続領域PDRにおいて露出する開口部OP2の大きさ(径)とは同じサイズとなっている。
【0134】
ここで、本発明者が検討した結果、例えば、前記実施の形態3で説明したように、図29における最上層配線TWLの端部から開口部OP2の側面までの距離X(最上層配線TWLの領域のうち表面保護膜PAS1と表面保護膜PAS2で覆われている領域の長さ)と、ワイヤWの一部が表面保護膜PAS1上に乗り上げた場合に発生するクラックとの間に相関関係があることを新規に見出した。具体的には、距離Xが長ければ長いほど、クラックの発生が抑制される傾向があることを見出したのである。
【0135】
そこで、この知見に基づき、本発明者はパッドPDの構成に工夫を施した。以下に、この工夫を施した本実施の形態6におけるパッドPDの構成について説明する。なお、本実施の形態6で説明する技術は、前記実施の形態3で説明した構造(図29)に限られるものではなく、他の実施の形態(例えば、図8または図26)においても適用可能である。
【0136】
図44は、本実施の形態6におけるパッドPDの表面領域を示す図である。図44において、パッドPDの表面領域には、図6と同様に、プローブ接触領域PROとワイヤ接続領域PDRが存在する。そして、本実施の形態6の特徴は、プローブ接触領域PROにおいて露出する開口部OP2の大きさ(径)よりも、ワイヤ接続領域PDRにおいて露出する開口部OP2の大きさ(径)を小さくすることにある。つまり、本実施の形態6では、プローブ接触領域PROの露出面積よりもワイヤ接続領域PDRの露出面積を小さくすることに特徴がある。
【0137】
これにより、ワイヤ接続領域PDRでは、図29に示す距離Xが大きくなる。言い換えれば、ワイヤ接続領域PDRにおける開口部OP1から開口部OP2の長さが、プローブ接触領域PROにおける開口部OP1から開口部OP2の長さよりも大きくなるようにしている。すなわち、ワイヤ接続領域PDRの表面保護膜PAS2がアルミニウム膜ALに接している面積は、プローブ接触領域PROの表面保護膜PAS2がアルミニウム膜ALに接している面積よりも大きい。この結果、ワイヤWの一部がパッド接続領域PDRからはみ出して表面保護膜PAS2上に乗り上げてもクラックの発生を抑制できるのである。
【0138】
ここで、ワイヤ接続領域PDRだけでなくプローブ接触領域PROの露出面積も小さくすることが考えられる。しかし、プローブ接触領域PROは、信頼性の高い電気的特性検査を実施するために、しっかりプローブをパッドPDに接触させる必要がある。つまり、プローブ接触領域PROの露出面積を不必要に小さくすると、プローブの接触面積が小さくなり、信頼性の高い電気的特性検査を実施できなくなるおそれがある。このことから、本実施の形態6では、プローブ接触領域PROの大きさを確保しながら、ワイヤ接続領域PDRの露出面積だけを小さくしている。これにより、プローブを使用した電気的特性検査の信頼性を確保するとともに、ワイヤWの位置ずれによるクラックの発生を抑制できるという顕著な効果が得られるのである。
【0139】
本実施の形態6における半導体装置は上記のように構成されており、その製造方法は、前記実施の形態1〜5における半導体装置の製造方法とほぼ同様である。異なる点は、開口部OP1と開口部OP2のパターニングを多少変更して、パッドPD内のプローブ接触領域PROの露出面積よりも、パッドPD内のワイヤ接続領域PDRの露出面積を小さくするように加工する点である。このようにして、本実施の形態6における半導体装置を製造することができる。
【0140】
(実施の形態7)
本実施の形態は、反射防止膜AR(窒化チタン膜)の表面に、反射防止絶縁膜ARIが形成されている点が、前記実施の形態1〜6と相違する。以下に、前記実施の形態1との違いを比較して説明する。
【0141】
図45は、本実施の形態7の半導体装置を示している。反射防止絶縁膜ARIは、例えば酸窒化シリコン膜(SiON)からなり、反射防止膜ARと同様に、レジストマスク形成時の反射防止機能を備えている。
【0142】
このような反射防止絶縁膜ARIは、例えば、反射防止膜ARである窒化チタン膜を30nm以下のように薄く形成した場合に効果がある。窒化チタン膜ARを薄くすると、水分と化学反応を起こして酸化チタン膜TOXが形成された場合でも、その体積の膨張が少なくて済むというメリットがある。しかし、反射防止膜ARを薄くすると、その上にレジスト材料を塗布した際に、その材料が透過して下地のアルミニウム膜ALの表面が変質する恐れがある。このため、反射防止の機能を有するとともに、レジスト材料の透過を防ぐ機能を有する膜として反射防止絶縁膜ARIを形成している。これにより、半導体装置の信頼性を更に向上させることができる。なお、反射防止絶縁膜ARIの膜厚は、例えば、30〜50nm程度であり、反射防止膜ARの膜厚よりも厚く形成することが望ましい。
【0143】
また、反射防止膜ARを形成せずに、反射防止絶縁膜ARIのみを形成してもよい。その場合、酸化チタン膜TOXが形成されなくなるという効果がある。
【0144】
また、本実施の形態7では、反射防止絶縁膜ARIの材料として、酸窒化シリコン膜を例示したが、上記の機能を有するものであれば、例えば炭窒化シリコン膜(SiCN)のような他の材料で形成することも可能である。
【0145】
なお、反射防止絶縁膜ARIは、図10で反射防止膜ARを形成する際に、その上に形成することができる。その後、図14のように開口部OP1から露出する反射防止絶縁膜ARIと反射防止膜ARを除去する。その後の工程は、前記実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0146】
本実施の形態7に開示した技術は、前記実施の形態1〜6と組み合わせて行うことも可能であり、より顕著な効果を得ることができる。
【0147】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。なお、前記実施の形態1〜7を組み合わせてもよい。
【0148】
例えば、本実施の形態1〜7では、パッドPDにワイヤを接続する例を開示したが、金や半田からなるバンプ電極を形成することもできる。その場合、ワイヤ接続領域PDRにバンプ電極が形成される。また、バンプ電極を使用するパッケージ形態は、内部回路領域ICAとの抵抗遅延を考慮して、ワイヤ接続領域PDRが内部回路領域ICAに近いほうが望ましい。すなわち、バンプ電極で形成する場合には、図6および図44で示したワイヤ接続領域PDRとプローブ接触領域PROの位置が逆になる。
【0149】
また、表面保護膜PAS2として窒化シリコン膜を開示したが、他の材料として、酸窒化シリコン膜で形成しても良い。
【0150】
また、本実施の形態1〜7に開示された発明は、ハロゲンフリーの部材を使用しない場合であっても、その効果を奏することは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0152】
1S 半導体基板
AL アルミニウム膜
AR 反射防止膜
ARI 反射防止絶縁膜
CHP 半導体チップ
CK クラック
D ダイサー
GD グラインダ
GR ガードリング
GR1 ガードリング
GR2 ガードリング
GR3 ガードリング
GR4 ガードリング
HDP 表面保護膜
ICA 内部回路領域
IL1 層間絶縁膜
IL2 層間絶縁膜
ILA 層間絶縁膜
ILB 層間絶縁膜
ILC 層間絶縁膜
MR 樹脂
OP1 開口部
OP2 開口部
PAS1 表面保護膜
PAS2 表面保護膜
PD パッド
PDR パッド接続領域
PLG1 プラグ
PLG2 プラグ
PRO プローブ接触領域
SB 半田ボール
TE 端子
TGR ガードリング
TN 窒化チタン膜
TOX 酸化チタン膜
TWL 最上層配線
Vdd 電源配線
Vss 基準電源配線
W ワイヤ
WB 配線基板
WD 溝
WF 半導体ウェハ
WL 配線
X 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板の上層に形成されたパッドと、
(b)前記パッド上に第1開口部が形成された第1表面保護膜と、
(c)前記パッド上に第2開口部が形成され、前記パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された第2表面保護膜と、
(d)前記第2開口部内を含む前記第2表面保護膜上に形成された樹脂部材とを備え、
前記パッドは、
(a1)第1導体膜と、
(a2)前記第1導体膜上に形成された反射防止膜とを有し、
前記第1開口部の内部領域に前記第2開口部が内包されており、
前記第1開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されている半導体装置であって、
前記樹脂部材は、ハロゲンフリー部材から構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1開口部の側面から露出する前記反射防止膜の側面は、前記第2表面保護膜で覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記ハロゲンフリー部材は、塩素の含有率が0.09重量%以下で、臭素の含有率が0.09重量%以下であり、かつ、アンチモンの含有率が0.09重量%以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜はアルミニウム膜であり、前記反射防止膜は窒化チタン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1表面保護膜は酸化シリコン膜であり、前記第2表面保護膜は窒化シリコン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記半導体基板は、端子を有する配線基板上に搭載されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置であって、
前記パッドと前記端子とはボンディングワイヤで接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項6記載の半導体装置であって、
前記配線基板はハロゲンフリー部材から構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置であって、
前記配線基板を構成しているハロゲンフリー部材は、塩素の含有率が0.09重量%以下で、臭素の含有率が0.09重量%以下であり、かつ、塩素と臭素の総量が0.15重量%以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
(a)半導体基板の上層に形成されたパッドと、
(b)前記パッド上に第1開口部が形成された第1絶縁膜と、
(c)前記パッド上に第2開口部が形成され、前記パッドおよび前記第1絶縁膜上に形成された表面保護膜とを備え、
前記パッドは、
(a1)第1導体膜と、
(a2)前記第1導体膜上に形成された反射防止膜とを有し、
前記第1開口部の内部領域に前記第2開口部が内包されており、
前記第1開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されている半導体装置であって、
前記第1絶縁膜と前記表面保護膜は、プラズマCVD法により形成される膜であり、
前記第1絶縁膜は、前記表面保護膜を形成する場合よりも高密度のプラズマを使用して形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置であって、
前記第1絶縁膜と前記表面保護膜のうち、前記第1絶縁膜は最もカバレッジ特性のよい膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項10記載の半導体装置であって、
前記第1絶縁膜と前記表面保護膜を合わせた総膜厚は、前記第1導体膜の膜厚よりも厚いことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項10記載の半導体装置は、さらに、
前記第2開口部内を含む前記表面保護膜上に形成された樹脂部材を備え、
前記樹脂部材は、ハロゲンフリー部材から構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
半導体基板は配線形成領域とガードリング形成領域を有し、
前記配線形成領域には、
(a1)前記半導体基板の上層に形成された第1パッドと、
(b1)前記第1パッド上に第1開口部が形成された第1表面保護膜と、
(c1)前記第1パッド上に第2開口部が形成され、前記第1パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された第2表面保護膜とが形成され、
前記第1パッドは、
(a11)第1導体膜と、
(a12)前記第1導体膜上に形成された反射防止膜とを有し、
前記第1開口部の内部領域に前記第2開口部が内包され、
前記第1開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されており、
前記ガードリング形成領域には、
(a2)前記半導体基板の上層に形成された第2パッドと、
(b2)前記第2パッド上に第3開口部が形成された前記第1表面保護膜と、
(c2)前記第3開口部を埋め込み、前記第2パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された前記第2表面保護膜とが形成され、
前記第2パッドは、
(a21)前記第1導体膜と、
(a22)前記第1導体膜上に形成された前記反射防止膜とを有し、
前記第3開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置であって、
前記第2開口部内を含む前記第2表面保護膜上に形成された樹脂部材を備え、
前記樹脂部材は、ハロゲンフリー部材から構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項14記載の半導体装置であって、
前記ガードリング形成領域と前記半導体基板の端部との間の領域において、前記第2表面保護膜に、前記ガードリング形成領域を囲むように第4開口部が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
(a)半導体基板の上層に形成されたパッドと、
(b)前記パッド上に第1開口部が形成された第1表面保護膜と、
(c)前記パッド上に第2開口部が形成され、前記パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された第2表面保護膜とを備え、
前記パッドは、
(a1)第1導体膜と、
(a2)前記第1導体膜上に形成された反射防止膜とを有し、
前記第1開口部の内部領域に前記第2開口部が内包されており、
前記第1開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されている半導体装置であって、
前記パッドには、プローブを接触させるプローブ接触領域と、ワイヤを接続するワイヤ接続領域が存在し、
前記第1開口部および前記第2開口部は、前記プローブ接触領域と前記ワイヤ接続領域にわたって形成され、
前記ワイヤ接続領域の前記第2開口部の大きさは、前記プローブ接触領域の前記第2開口部の大きさよりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置であって、
前記第2開口部内を含む前記第2表面保護膜上に形成された樹脂部材を備え、
前記樹脂部材は、ハロゲンフリー部材から構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項17記載の半導体装置であって、
前記プローブ接触領域は、前記ワイヤ接続領域よりも、前記半導体基板の端部から遠い領域であることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
請求項17記載の半導体装置であって、
前記反射防止膜と前記第1表面保護膜との間に、反射防止絶縁膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
半導体基板は配線形成領域とガードリング形成領域を有し、
前記配線形成領域には、
(a1)前記半導体基板の上層に形成された第1パッドと、
(b1)前記第1パッド上に第1開口部が形成された第1表面保護膜と、
(c1)前記第1パッド上に第2開口部が形成され、前記第1パッドおよび前記第1表面保護膜上に形成された第2表面保護膜とが形成され、
前記第1パッドは、
(a11)第1導体膜と、
(a12)前記第1導体膜上に形成された反射防止膜とを有し、
前記第1開口部の内部領域に前記第2開口部が内包され、
前記第1開口部の内部領域では前記反射防止膜が除去されており、
前記ガードリング形成領域には、
(a2)前記半導体基板の上層に形成された第2パッドと、
(b2)前記第2パッド上に形成された前記第1表面保護膜と、
(c2)前記第1表面保護膜上に形成され、第4開口部を有する前記第2表面保護膜とが形成され、
前記第2パッドは、
(a21)前記第1導体膜と、
(a22)前記第1導体膜上に形成された前記反射防止膜とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
(a)半導体基板の上層に第1導体膜を形成する工程と、
(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、
(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることによりパッドを形成する工程と、
(d)前記パッドを覆うように第1表面保護膜を形成する工程と、
(e)前記第1表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出する第1開口部を前記第1表面保護膜に形成する工程と、
(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜を除去する工程と、
(g)前記第1開口部内を含む前記第1表面保護膜上に第2表面保護膜を形成する工程と、
(h)前記第2表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記第2表面保護膜に形成する工程と、
(i)前記第2開口部を形成した前記第2表面保護膜を覆うように樹脂部材を形成する工程とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記(i)工程で形成される前記樹脂部材は、ハロゲンフリー部材であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
(a)半導体基板の上層に第1導体膜を形成する工程と、
(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、
(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることによりパッドを形成する工程と、
(d)前記パッドを覆うように第1絶縁膜を形成する工程と、
(e)前記第1絶縁膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出する第1開口部を前記第1絶縁膜に形成する工程と、
(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜を除去する工程と、
(g)前記第1開口部内を含む前記第1絶縁膜上に表面保護膜を形成する工程と、
(h)前記表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記表面保護膜に形成する工程とを備え、
前記(d)工程は、プラズマCVD法により前記第1絶縁膜を形成し、
前記(g)工程は、プラズマCVD法により前記表面保護膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記(d)工程で形成される前記第1絶縁膜は、前記(g)工程で形成される前記表面保護膜よりも高密度のプラズマを使用して形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
(a)半導体基板の上層に第1導体膜を形成する工程と、
(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、
(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることによりパッドを形成する工程と、
(d)前記パッドを覆うように第1表面保護膜を形成する工程と、
(e)前記第1表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出する第1開口部を前記第1表面保護膜に形成する工程と、
(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜を除去する工程と、
(g)前記第1開口部内を含む前記第1表面保護膜上に第2表面保護膜を形成する工程と、
(h)前記第2表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記第2表面保護膜に形成する工程と、
(i)前記第2開口部から露出する前記パッドの表面をエッチングする工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
(a)配線を形成する配線形成領域と、ガードリングを形成するガードリング形成領域とを有する半導体基板の領域に第1導体膜を形成する工程と、
(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、
(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることにより、前記配線形成領域に第1パッドを形成し、前記ガードリング形成領域に第2パッドを形成する工程と、
(d)前記第1パッドおよび前記第2パッドを覆うように第1表面保護膜を形成する工程と、
(e)前記第1表面保護膜をパターニングすることにより、前記第1パッドの一部を露出する第1開口部と、前記第2パッドの一部を露出する第3開口部を、前記第1表面保護膜に形成する工程と、
(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜と、前記第3開口部から露出する前記反射防止膜とを除去する工程と、
(g)前記第1開口部内および前記第3開口部内を含む前記第1表面保護膜上に第2表面保護膜を形成する工程と、
(h)前記第2表面保護膜をパターニングすることにより、前記第1パッドを露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記第2表面保護膜に形成するとともに、前記第3開口部には前記第2表面保護膜を埋め込んだままとする工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項26】
(a)半導体基板の上層に第1導体膜を形成する工程と、
(b)前記第1導体膜上に反射防止膜を形成する工程と、
(c)前記第1導体膜と前記反射防止膜をパターニングすることによりパッドを形成する工程と、
(d)前記パッドを覆うように第1表面保護膜を形成する工程と、
(e)前記第1表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出する第1開口部を前記第1表面保護膜に形成する工程と、
(f)前記第1開口部から露出する前記反射防止膜を除去する工程と、
(g)前記第1開口部内を含む前記第1表面保護膜上に第2表面保護膜を形成する工程と、
(h)前記第2表面保護膜をパターニングすることにより、前記パッドの一部を露出し、かつ、前記第1開口部に内包される第2開口部を前記第2表面保護膜に形成する工程とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記パッドには、プローブを接触させるプローブ接触領域と、ワイヤを接続するワイヤ接続領域が存在し、
前記第1開口部および前記第2開口部は、前記プローブ接触領域と前記ワイヤ接続領域にわたって形成され、
前記ワイヤ接続領域の前記第2開口部の大きさは、前記プローブ接触領域の前記第2開口部の大きさよりも小さいことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項27】
請求項26記載の半導体装置の製造方法であって、
前記プローブ接触領域は、前記ワイヤ接続領域よりも、ダイシングラインから遠い領域であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項28】
請求項26記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(b)工程と前記(c)工程の間に、前記反射防止膜上に反射防止絶縁膜を形成する工程を有し、
前記(f)工程で、前記第1開口部から露出する前記反射防止絶縁膜、および、前記反射防止膜を除去することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate


【公開番号】特開2010−272621(P2010−272621A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121850(P2009−121850)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】