半導体装置の製造方法及び半導体装置
【課題】疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄くし、且つ、Cu配線上に支障なくキャップメタルを成膜できるようにする。
【解決手段】配線層間絶縁膜(第1の配線層間絶縁膜3)に配線形成用溝(第1層配線形成用溝21)を形成する。配線形成用溝内にCu配線(第1層配線4)を形成し、Cu配線の構成材料のうち配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去する。Cu配線上及び配線層間絶縁膜上にSi−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層(第1の有機ポリマー層6)を形成する。Cu配線上の絶縁膜層を選択的に除去し、Cu配線上にキャップメタル(第1のキャップメタル5)を選択的に形成する。
【解決手段】配線層間絶縁膜(第1の配線層間絶縁膜3)に配線形成用溝(第1層配線形成用溝21)を形成する。配線形成用溝内にCu配線(第1層配線4)を形成し、Cu配線の構成材料のうち配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去する。Cu配線上及び配線層間絶縁膜上にSi−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層(第1の有機ポリマー層6)を形成する。Cu配線上の絶縁膜層を選択的に除去し、Cu配線上にキャップメタル(第1のキャップメタル5)を選択的に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のCu配線上に、例えばCoを含む金属材料によりキャップメタルを成膜する技術が知られている。
【0003】
Cu配線上にキャップメタルを成膜する技術においては、そのキャップメタルの成膜工程における選択性を十分に確保することが困難であり、本来成膜されないことが好ましい配線層間絶縁膜上にも、キャップメタルの成膜箇所が生じてしまうことがあるという課題がある。Cu表面と配線層間絶縁膜表面の両方に対し、同様の無電界めっき処理がなされてしまうことが、その課題を生じる理由である。
【0004】
非特許文献1、2には、配線層間絶縁膜の主要部であるポーラスな低誘電率膜の上に形成されるキャップ膜としての絶縁膜材料の特性が記載されている。このキャップ膜は、Cu配線を構成するCu膜をCMPする際の低誘電率膜の剥がれや吸湿等に対する保護機能を有するものである。
【0005】
非特許文献1では、このキャップ膜を疎水性の材料とすることにより、キャップメタルとしてのCoWPをCu配線上に選択的に形成でき、配線間リーク電流のレベルを改善(抑制)できることが記載されている。
【0006】
非特許文献2にも、配線層間絶縁膜として疎水性のSiOC膜を用いることにより、Cu配線上のキャップメタル(CoWP膜)の選択成膜性を改善(向上)できることが記載されている。
【0007】
非特許文献3には、CMP後のCuの表面に対してTMCTS(1,3,5,7−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】N. Kawahara et al.," A Novel CoWP Cap Integration for Porous Low−W/Cu Interconnects With NH3 Plasma Treatment and Low−k Top (LKT) Dielectric Structure", Int. Interconnect Tech. Conf. 7.16 (2006) p.152.
【非特許文献2】S. Kondo et al.," Direct CMP on Porous Low−k Film for Damage−less Cu Integration", Int. Interconnect Tech. Conf. 8.2 (2006) p.164.
【非特許文献3】T. Kikkawa et al., "Advanced Scalable Ultralow−k/Cu Interconnect Technology for 32 nm CMOS ULSI Using Self−Assembled Porous Silica and Self−Aligned CoWP Barrier", International Electron Devices Meeting, 4.5 (2005) p. 99.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1、2に記載されているように、配線層間絶縁膜の表層部に疎水性のキャップ膜を形成することにより、キャップメタル(CoWP膜)の成膜時の選択性を改善することができる。しかし、キャップ膜は、一般に、CMP時にCuとともに削られるため、ある程度厚く(例えば50nm以上の膜厚に)形成されていることが好ましい。また、配線層間絶縁膜の表面の疎水化を実現するキャップ膜の材料としては、SiO2(k〜4.2)、SiOC(k〜2.9)が挙げられる。これらの材料は、配線層間絶縁膜を構成する材料としては、(特に、45nm CMOS世代以降の半導体装置の配線層間絶縁膜の構成材料としては、)比誘電率が大きい。このように比誘電率の大きい材料が低誘電率膜上に厚く形成されていると、隣り合うCu配線間の容量が増加する。この結果、回路の遅延時間が大きくなり、半導体装置の性能を十分に引き出すことが困難となる。従って、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層は、できるだけ薄いことが好ましい。
【0010】
これに対し、CMP後に、配線層間絶縁膜としての低誘電率膜上に、非特許文献3に記載されているようなTMCTS処理を実施すれば、配線層間絶縁膜の表面にTMCTSの薄膜を形成するだけで、配線層間絶縁膜表面の疎水化を行うことができる。つまり、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄くしたいという要求を満たすことができる。しかしながら、非特許文献3の技術では、TMCTS処理により、配線層間絶縁膜上だけでなく、Cu上にもTMCTSの薄膜が付着してしまう。このため、Cu上のTMCTS膜の存在により、その後のキャップメタルの成膜工程において、Cuとキャップメタル(CoWP)との反応が阻害されてしまう。つまり、Cu上にCoWPを成長させることができないか、或いは成長させることが可能であってもその成長速度が非常に遅くなってしまうと考えられる。
【0011】
このように、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄くし、且つ、Cu配線上に支障なくキャップメタルを成膜できるようにすることは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、配線層間絶縁膜に配線形成用溝を形成する第1工程と、前記配線形成用溝内にCu配線を形成する第2工程と、前記Cu配線の構成材料のうち、前記配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去する第3工程と、前記Cu配線上及び前記配線層間絶縁膜上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層を形成する第4工程と、前記Cu配線上の前記絶縁膜層を選択的に除去する第5工程と、前記Cu配線上にキャップメタルを選択的に形成する第6工程と、をこの順に行うことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0013】
この半導体装置の製造方法によれば、配線層間絶縁膜上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層、すなわち疎水性の絶縁膜層を形成した後で、キャップメタルの形成を行うので、配線層間絶縁膜上へのキャップメタルの成膜を好適に抑制することができる。これにより、配線間リーク電流のレベルを改善(抑制)し、絶縁破壊信頼性(絶縁破壊耐性)を向上することができるとともに、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)等の信頼性寿命を長くすることができる。しかも、Cu配線上の絶縁膜層を選択的に除去した後で、キャップメタルの形成を行うので、Cu配線上には支障なくキャップメタルを成膜することができる。従って、キャップメタルをCu配線上に選択的に形成することができる。また、Cu配線の構成材料のうち、配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去した後で、絶縁膜層を形成するので、この絶縁膜層はその除去工程において膜厚が削られない。このため、絶縁膜層は必要最小限の膜厚で良い。要するに、この半導体装置の製造方法によれば、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄くすることができ、且つ、Cu配線上に支障なくキャップメタルを成膜できるようになる。
【0014】
また、本発明は、複数のCu配線と、前記Cu配線の間に配置されている配線層間絶縁膜と、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含み、前記配線層間絶縁膜上に形成され、前記Cu配線上には形成されていない絶縁膜層と、前記Cu配線上に形成されているキャップメタルと、を有していることを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄することができ、且つ、Cu配線上に支障なくキャップメタルを成膜できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を説明するための断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図3】CMP後の紫外線照射処理で用いる紫外線の適切な波長範囲を説明するための図である。
【図4】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を説明するための断面図、図2は第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図、図3はCMP後の紫外線照射処理で用いる紫外線の適切な波長範囲を説明するための図である。
【0019】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、配線層間絶縁膜(例えば、第1の配線層間絶縁膜3)に配線形成用溝(例えば、第1層配線形成用溝21)を形成する第1工程と、配線形成用溝内にCu配線(例えば、第1層配線4)を形成する第2工程と、Cu配線の構成材料のうち、配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去する第3工程と、Cu配線上及び配線層間絶縁膜上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層(例えば、第1の有機ポリマー層6)を形成する第4工程と、Cu配線上の絶縁膜層を選択的に除去する第5工程と、Cu配線上にキャップメタル(例えば、第1のキャップメタル5)を選択的に形成する第6工程と、をこの順に行う。
また、本実施形態に係る半導体装置100は、複数のCu配線(例えば、第1層配線4)と、Cu配線の間に配置されている配線層間絶縁膜(例えば、第1の配線層間絶縁膜3)と、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含み、配線層間絶縁膜上に形成され、Cu配線上には形成されていない絶縁膜層(例えば、第1の有機ポリマー層6)と、Cu配線上に形成されているキャップメタル(例えば、第1のキャップメタル5)と、を有している。
以下、詳細に説明する。
【0020】
図1を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0021】
先ず、図1(a)に示す半導体基板1上に、図示は省略するが、トランジスタ等のアクティブ素子、これら素子の分離用の絶縁膜領域、シリサイド層等を選択的に形成する。次に、これらアクティブ素子、絶縁膜領域及びシリサイド層等の上に、第1の層間絶縁膜2を形成する。次に、この第1の層間絶縁膜2にコンタクト開口部(図示略)を形成する。
【0022】
次に、図1(a)に示すように、第1の層間絶縁膜2上に第1の配線層間絶縁膜3を形成する。この第1の配線層間絶縁膜3は、比誘電率kが3以下、好ましくは比誘電率kが2.7以下の低誘電率膜とする。この第1の配線層間絶縁膜3は、例えば、ポーラスな低誘電率膜(ポーラス低誘電率膜)であり、例えば、膜厚が5nm乃至20nmのポーラスシリカ(空孔を含むシリカ)である。ここで、空孔を含むシリカとは、SiO2膜が多孔質状に形成されたものを意味する。なお、空孔を含むシリカには、シリル化処理によって、膜の表面と、空孔の内周と、エッチングにより露出した表面(後述する第1層配線形成用溝21の形成により露出した内周側面及び底部)と、のうちの少なくとも何れか1箇所に有機膜が形成されている。この有機膜は、例えば、メチル基を含む。
【0023】
次に、図1(b)に示すように、第1の配線層間絶縁膜3に第1層配線形成用溝21を選択的に形成する。この第1層配線形成用溝21は、第1の配線層間絶縁膜3の表裏を貫通して第1の層間絶縁膜2に達する深さとする。
【0024】
次に、図1(b)に示すように、第1層配線形成用溝21内に、Cuを主な材料とする金属材料によりCu配線(第1層配線4)を形成する。この第1層配線4は、具体的には、例えば、第1層配線形成用溝21の底面及び側面にTaN層(図示略)を形成し、このTaN層上にTa層(図示略)を形成し、このTa層上に、第1層配線形成用溝21内の残りの部分を埋めるCu層(図示略)を形成することによって、構成することができる。Cu層の形成においては、先ず、Ta層上にシードCu層を形成した後に、このシードCu層上にCu層を成膜する。なお、TaN層及びTa層はバリアメタルを構成する。なお、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度とすることが挙げられる。
【0025】
次に、第1層配線4の構成材料(例えば、TaN、Ta及びCu)のうち、第1層配線形成用溝21以外の箇所に形成された部分をCMP(Chemical Mechanical Polish)により除去する。
【0026】
次に、第1層配線4上及び第1の配線層間絶縁膜3上に、第1の有機ポリマー層6を形成する。この第1の有機ポリマー層6は、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層である。この第1の有機ポリマー層6は、疎水性を示す。
【0027】
この第1の有機ポリマー層6は、例えば、第1の配線層間絶縁膜3及び第1層配線4の表面をSi−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む有機ポリマーのガス雰囲気に曝す処理を行うことによって形成することができる。また、このガス雰囲気処理は、例えば、250℃以上400℃以下の温度条件下で行うことが好ましく、特に350℃近辺(例えば、335℃以上365℃以下)の温度条件下で行うことが好ましい。この温度条件は、例えば、半導体基板1の温度の条件とすることができる。
【0028】
この有機ポリマーは、例えば、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS:Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)とヘキサメチルジシラザン(HMDS:Hexa−Methyl−Disilazane)とのうちの少なくとも何れか一方を含むことが好ましい。このうちTMCTSは、例えば、1,3,5,7テトラメチルシクロテトラシロキサン(1,3,5,7−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)、又は、2,4,6,8テトラメチルシクロテトラシロキサン(2,4,6,8−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)である。
【0029】
第1の有機ポリマー層6は、例えば、上述の温度条件下で、上述の材料により形成するため、該第1の有機ポリマー層6は、例えば、TMCTSとHMDSとのうちの少なくとも一方が焼成されたものとなる。
【0030】
このように、CMP後に第1の有機ポリマー層6を形成するので、第1の有機ポリマー層6はCMPにおいて削られない。このため、第1の有機ポリマー層6は必要最小限の膜厚(例えば、10nm以下)で良い。よって、配線間容量の増大を抑制することができる。
【0031】
次に、図1(b)に示すように、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6を選択的に除去し、該第1の有機ポリマー層6を第1の配線層間絶縁膜3上に選択的に残留させる処理を行う。この処理は、例えば、不活性ガス雰囲気(希ガス雰囲気)中で第1の有機ポリマー層6に紫外線を照射する紫外線照射処理とすることができる。
【0032】
Cu−Oの結合エネルギーは、269.0(kJ/mol)であり、Si−Oの結合エネルギーの799.6(kJ/mol)、C−Oの結合エネルギーの1076.5(kJ/mol)と比較してかなり低い。このため、紫外線照射処理で照射する紫外線の波長と照射時間とを適切に設定することにより、第1層配線4の表層のCu−Oの結合は切断する一方で、第1の配線層間絶縁膜3の表層のSi−Oの結合、及び、C−Oの結合は維持することができる。よって、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6は気化して第1層配線4上から除去される。こうして、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6を選択的に除去し、第1の配線層間絶縁膜3上の第1の有機ポリマー層6は選択的に残留させることができる。
【0033】
ここで、図3を参照して、紫外線照射処理で照射する紫外線の適切な波長範囲の例を説明する。図3は、Cu−Oの結合、Si−Oの結合、及び、C−Oの結合がそれぞれ切断される紫外線の波長範囲を示す。図3に示すように、Cu−Oの結合は約450nm以下の波長の光線が照射されると切断される。同様に、Si−Oの結合は約150nm以下の波長の光線が照射されると切断され、C−Oの結合は約115nm以下の波長の光線が照射されると切断される。従って、Cu−Oの結合は切断できるがSi−O及びC−Oの結合は切断できない波長の紫外線を第1の有機ポリマー層6に照射することにより、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6は選択的に除去する一方で、第1の配線層間絶縁膜3上の第1の有機ポリマー層6は選択的に残留させることができる。そこで、紫外線照射処理では、具体的には、例えば、図3に波長範囲Aとして示すように、200nm乃至400nmの波長範囲の紫外線を第1の有機ポリマー層6に照射する。なお、このような紫外線照射処理において第1の有機ポリマー層6に照射する光には、波長範囲Aよりも波長が長い光線(可視光等)が含まれていても良い。また、紫外線照射処理の時間は、例えば、30秒以上10分以下とすることができる。なお、紫外線照射処理においては、照射される光線により第1の有機ポリマー層6等が加熱されることはあっても、例えば、ヒーター等を用いた特別な加熱処理は行う必要がない。また、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6が除去されると第1層配線4の表面のCuが露出するが、この紫外線照射処理を不活性ガス雰囲気(希ガス雰囲気)中、窒素ガス雰囲気中、又は真空中(例えば、100Torr以下)で行うことにより、第1層配線4の表層のCuが酸化されてしまうといった不具合の発生を抑制することができる。
【0034】
こうして、第1の有機ポリマー層6を、第1層配線4上からは選択的に除去し、第1の配線層間絶縁膜3上には選択的に残留させることができる。
【0035】
次に、図1(c)に示すように、第1層配線4上に第1のキャップメタル5を選択的に形成する。第1のキャップメタル5の形成は、例えば、無電界めっき法により行うことができる。この無電解めっき法は、例えば、第1のキャップメタル5の構成材料と硫酸とを含む硫酸系溶液(以下、めっき液)を第1層配線4の表面に接触させる処理によって行うことができる。この処理は、例えば、そのめっき液を半導体基板1の全体にかける(注ぐ)ことにより、或いは、半導体基板1の全体をそのめっき液に浸すことにより行うことができる。なお、無電界めっき法に、還元性の薬液(例えばヒドラジン)による処理を組み合わせて、第1のキャップメタル5を形成することも可能である。
【0036】
第1のキャップメタル5の材料は、例えば、Coを含む高融点金属であることが好ましい。このような高融点金属を第1のキャップメタル5の材料とすることにより、第1層配線4の酸化等を好適に抑制することができる。より具体的には、第1のキャップメタル5の材料は、CoWPとCoWBとのうちの少なくとも何れか一方を含むことが好ましい。第1のキャップメタル5は、具体的には、例えば、5nm乃至30nmの膜厚のCoWPとすることができる。
【0037】
ここで、第1の配線層間絶縁膜3上に選択的に残留している第1の有機ポリマー層6は、疎水性である。このため、第1のキャップメタル5の形成の際には、この第1の有機ポリマー層6によって、第1のキャップメタル5の構成材料は、第1の配線層間絶縁膜3上からは、はじかれて、第1層配線4上に選択的に付着する。すなわち、無電解めっき法により第1のキャップメタル5を形成する場合には、第1の配線層間絶縁膜3上ではめっき液を短時間で乾燥させることができるので、めっき液中の第1のキャップメタル5の材料が第1の配線層間絶縁膜3上に残留してしまうことを抑制することができる。よって、第1のキャップメタル5を第1層配線4上に選択的に形成することができる。
【0038】
次に、図1(c)に示すように、第1層配線4上の第1のキャップメタル5の上、及び、第1の配線層間絶縁膜3上の第1の有機ポリマー層6の上に、第1のバリア絶縁膜7を形成する。第1のバリア絶縁膜7の材料は、例えば、SiCとすることができる。第1のバリア絶縁膜7の膜厚は、例えば、50nm程度とすることができる。
【0039】
次に、第1のバリア絶縁膜7の上にビア層間膜8を形成する。ビア層間膜8は、例えば、ポーラスSiOCにより構成することができる。このビア層間膜8の膜厚は、例えば、200nm以上500nm以下とすることができる。
【0040】
次に、ビア層間膜8上に第2の配線層間絶縁膜10を形成する。第2の配線層間絶縁膜10の材質及び膜厚は、第1の配線層間絶縁膜3と同様である。
【0041】
次に、図1(d)に示すように、第2層配線形成用溝15とビアホール9とを形成する。第2層配線形成用溝15は、第2の配線層間絶縁膜10の表裏を貫通してビア層間膜8に達する深さに形成する。ビアホール9は、ビア22(図1(e))の形成箇所にのみ形成する。このビアホール9は、図1(d)に示すように、第2層配線形成用溝15の底面から第1のキャップメタル5に達する深さに、第2層配線形成用溝15と連続的に形成する。
【0042】
次に、図1(e)に示すように、ビアホール9内にビア22を形成するとともに、第2層配線形成用溝15内に第2層配線12を形成する。これらビア22及び第2層配線12は、第1層配線4と同様の金属材料により構成される。具体的には、例えば、ビア22の形成箇所以外においては第1層配線形成用溝21の底面及び側面にTaN層(図示略)を形成する。また、ビア22の形成箇所においてはビアホール9の底面と、ビアホール9及び第1層配線形成用溝21の側面にTaN層(図示略)を形成する。そして、このTaN層上にTa層(図示略)を形成し、このTa層上に、第1層配線形成用溝21内及びビアホール9内の残りの部分を埋めるCu層(図示略)を形成することによって、ビア22及び第2層配線12を形成する。Cu層の形成においては、先ず、Ta層上にシードCu層を形成した後に、このシードCu層上にCu層を成膜する。なお、TaN層及びTa層はバリアメタルを構成する。なお、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度とすることができる。
【0043】
次に、第2層配線12の構成材料(例えば、TaN、Ta及びCu)のうち、第2層配線形成用溝15以外の箇所に形成された部分をCMPにより除去する。
【0044】
次に、第2層配線12上及び第2の配線層間絶縁膜10上に、第2の有機ポリマー層13を形成する。この第2の有機ポリマー層13の材質は、第1の有機ポリマー層6と同様である。第2の有機ポリマー層13は、第1の有機ポリマー層6と同様の方法により、第2層配線12上及び第2の配線層間絶縁膜10上に形成することができる。
【0045】
次に、図1(e)に示すように、第2層配線12上の第2の有機ポリマー層13を選択的に除去し、該第2の有機ポリマー層13を第2の配線層間絶縁膜10上に選択的に残留させる処理を行う。この処理は、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6を選択的に除去し、該第1の有機ポリマー層6を第1の配線層間絶縁膜3上に選択的に残留させる処理と同様に行うことができる。
【0046】
次に、図1(f)に示すように、第2層配線12上に第2のキャップメタル23を選択的に形成する。第2のキャップメタル23の材質及び膜厚は、第1のキャップメタル5と同様である。第2のキャップメタル23は、第1のキャップメタル5を第1層配線4上に選択的に形成するのと同様の方法により、第2層配線12上に選択的に形成することができる。
【0047】
次に、図1(f)に示すように、第2層配線12上の第2のキャップメタル23の上、及び、第2の配線層間絶縁膜10上の第2の有機ポリマー層13の上に、第2のバリア絶縁膜14を形成する。第2のバリア絶縁膜14の材質及び膜厚は、第1のバリア絶縁膜7と同様である。
【0048】
以上により、第1の実施形態に係る半導体装置100を製造することができる。
【0049】
次に、以上のような製造方法によって製造される第1の実施形態に係る半導体装置100の構成を説明する。
【0050】
図2に示すように、第1の実施形態に係る半導体装置100は、半導体基板1を有し、この半導体基板1には、図示は省略するがトランジスタ等のアクティブ素子、素子分離用の絶縁膜領域、シリサイド層等が選択的に形成されている。
【0051】
更に、これらアクティブ素子、絶縁膜領域及びシリサイド層の上には、第1の層間絶縁膜2が形成されている。この第1の層間絶縁膜2には、図示は省略するがコンタクト開口部が形成されている。
【0052】
更に、第1の層間絶縁膜2上には、第1の配線層間絶縁膜3が形成されている。この第1の配線層間絶縁膜3は、比誘電率kが3以下、好ましくは比誘電率kが2.7以下の低誘電率膜である。この第1の配線層間絶縁膜3は、例えば、ポーラスな低誘電率膜(ポーラス低誘電率膜)とすることができる。このポーラス低誘電率膜は、具体的には、例えば、膜厚が5nm乃至20nmのポーラスシリカ(空孔を含むシリカ)である。
【0053】
この第1の配線層間絶縁膜3には、選択的に第1層配線形成用溝21が形成され、この第1層配線形成用溝21内には、Cuを主な材料とする金属材料によりCu配線(第1層配線4)が形成されている。この第1層配線4は、具体的には、例えば、第1層配線形成用溝21の底面及び側面に形成されたTaN層と、このTaN層上に形成されたTa層(図示略)と、このTa層上に第1層配線形成用溝21内の残りの部分を埋めるように形成されたCu層(図示略)と、を有している。これらTaN層及びTa層はバリアメタルを構成する。なお、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度である。
【0054】
第1層配線4の上面には、第1のキャップメタル5が選択的に形成されている。第1のキャップメタル5の材料としては、例えば、Coを含む高融点金属が挙げられる。より具体的には、第1のキャップメタル5の材料は、CoWPとCoWBとのうちの少なくとも何れか一方を含むことが好ましい。第1のキャップメタル5は、具体的には、例えば、5nm乃至30nmの膜厚のCoWPとすることができる。
【0055】
また、第1層配線4の間隔に位置する第1の配線層間絶縁膜3の上面には、第1の有機ポリマー層6が選択的に形成されている。この第1の有機ポリマー層6は、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層である。この第1の有機ポリマー層6は、例えば、焼成されたTMCTS(1,3,5,7−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane、又は、2,4,6,8−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)と、焼成されたHMDS(Hexa−Methyl−Disilazane)と、のうちの少なくとも何れか一方により構成されている。なお、第1の有機ポリマー層6は、第1層配線4上には形成されていない。
【0056】
第1のキャップメタル5及び第1の有機ポリマー層6の上には、第1のバリア絶縁膜7が形成されている。第1のバリア絶縁膜7の材料は、例えば、SiCとすることができ、その膜厚は、例えば、50nm程度とすることができる。
【0057】
第1のバリア絶縁膜7の上には、ビア層間膜8が形成されている。ビア層間膜8は、例えば、ポーラスSiOCにより構成することができ、その膜厚は、例えば、200nm以上500nm以下とすることができる。
【0058】
ビア層間膜8にはビアホール9が形成され、ビアホール9内にはビア22が形成されている。ビア22の下端はキャップメタル5に接触している。このビア22は、第1層配線4と同様の材質により構成され、例えば、ビアホール9の底面及び側面に形成されたTaN層(図示略)と、このTaN層上に形成されたTa層(図示略)と、このTa層上に、ビアホール9内の残りの部分を埋めるように形成されたCu層(図示略)と、を有する。また、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度とすることができる。
【0059】
ビア層間膜8上には、第2の配線層間絶縁膜10が形成されている。第2の配線層間絶縁膜10の材質及び膜厚は、第1の配線層間絶縁膜3と同様である。第2の配線層間絶縁膜10には、第2の配線層間絶縁膜10の表裏を貫通してビア層間膜8に達する深さの第2層配線形成用溝15が形成されている。
【0060】
第2層配線形成用溝15内には、第2層配線12が形成されている。この第2層配線12は、第1層配線4と同様の金属材料により構成され、例えば、第1層配線形成用溝21の底面及び側面に形成されたTaN層(図示略)と、このTaN層上に形成されたTa層(図示略)と、このTa層上に、第2層配線形成用溝15内の残りの部分を埋めるように形成されたCu層(図示略)と、を有する。これらTaN層及びTa層はバリアメタルを構成する。また、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度とすることができる。なお、ビア22の形成箇所では、ビアホール9と連続的に第2層配線形成用溝15が形成されており、当該第2層配線形成用溝15内の第2層配線12はビア22と一体形成されている。
【0061】
第2層配線12上には、第2のキャップメタル23が選択的に形成されている。第2のキャップメタル23の材質及び膜厚は、第1のキャップメタル5と同様である。
【0062】
また、第2層配線12の間隔に位置する第2の配線層間絶縁膜10の上面には、第2の有機ポリマー層13が選択的に形成されている。この第2の有機ポリマー層13の材料は、第1の有機ポリマー層6と同様である。
【0063】
第2のキャップメタル23上、及び、第2の有機ポリマー層13上には、第2のバリア絶縁膜14が形成されている。第2のバリア絶縁膜14の材質及び膜厚は第1のバリア絶縁膜7と同様である。
【0064】
なお、図2及び図1(f)では、配線層が2層(第1層配線4及び第2層配線12の2層)である例を示しているが、第1層配線4上のバリア絶縁膜7から、第2のバリア絶縁膜14の直下(第2のキャップメタル23及び第2の有機ポリマー層13)までの構造を縦方向に繰り返し形成することにより、3層以上の多層配線構造とすることができる。更に、その上にセミグローバル層やグローバル層、さらには、アルミパッドやパッシベーション膜が形成される場合もあるが、これらについては、周知の構造を用いることができるため、図示及び詳細な説明を省略する。
【0065】
以上のような第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層、すなわち疎水性の絶縁膜層としての第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を形成した後で、第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の形成を行うので、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上への第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の成膜を好適に抑制することができる。これにより、配線間リーク電流のレベルを改善(抑制)し、絶縁破壊信頼性(絶縁破壊耐性)を向上することができるとともに、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)等の信頼性寿命を長くすることができる。
【0066】
なお、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上への第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の成膜の抑制効果は、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)が親水性の場合(例えば、ポーラスシリカにより構成される場合)に、特に有効である。
【0067】
また、第1層配線4(第2層配線12)上の第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を選択的に除去した後で、第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の形成を行うので、第1層配線4(第2層配線12)上には支障なく第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)を成膜することができる。従って、第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)を第1層配線4上(第2層配線12上)に選択的に形成することができる。
【0068】
また、第1層配線4(第2層配線12)の構成材料のうち、第1層配線形成用溝21(第2層配線形成用溝15)以外の箇所に形成された部分を除去した後で、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を形成するので、この第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)はその除去工程(CMP)において削られない。このため、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)は必要最小限の膜厚(例えば、10nm以下)で良い。よって、配線間容量の増大を抑制することができる。
【0069】
このような配線間容量の抑制効果は、例えば、酸化膜系の材料を第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)の主要部分に用いる場合に、極めて有効である。例えば、ポーラスシリカを第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)を構成する主要な低誘電率(Low−k)材料として用いた場合、SiO2を第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上のキャップ膜の材料とした場合(第2の実施形態参照)、主要な低誘電率材料に関わりなく、CMPにより第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上のキャップ膜が完全に除去された場合(第2の実施形態参照)、及び、主要な低誘電率材料自体をCMPでCuと一緒に削る場合においても適用可能である。
【0070】
このように、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、疎水化のために第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)の表面に形成する層をできるだけ薄くすることができ、且つ、第1層配線4(第2層配線12)上に支障なく第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)を成膜できるようになる。
【0071】
また、このような第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置100は、複数の第1層配線4(第2層配線12)と、第1層配線4(第2層配線12)の間に配置されている第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)と、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含み、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上に形成され、第1層配線4(第2層配線12)上には形成されていない第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)と、第1層配線4(第2層配線12)上に形成されている第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)と、を有している。
【0072】
このような第1の実施形態に係る半導体装置100によれば、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の効果が得られる。
【0073】
このような半導体装置100は、例えば、高性能MPU(Micro Processing Unit)、デジタルコンシューマ、低消費電力向け半導体チップ全般、車載向け高信頼性LSI(Large Scale Integration)等の用途に好適に適用できる。
【0074】
〔第2の実施形態〕
図4は第2の実施形態に係る半導体装置200の構成を示す断面図である。
【0075】
本実施形態に係る半導体装置200においては、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上に、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)が形成されている。また、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)は、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)上に形成されている。本実施形態に係る半導体装置200は、その他の点については第1の実施形態に係る半導体装置100と同様に構成されている。
【0076】
以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下に説明する点でのみ第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と相違し、その他の点では第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0077】
本実施形態の場合、第1の層間絶縁膜2上に第1の配線層間絶縁膜3を形成した後、この第1の配線層間絶縁膜3上に第1のキャップ絶縁膜25を形成する。キャップ絶縁膜25は、例えば、SiO2、SiC、SiCO、SiN、SiCNのうちの少なくとも何れか1つにより構成することができる。
【0078】
このキャップ絶縁膜25は、CMPの際の研磨によるダメージから第1の配線層間絶縁膜3を保護する機能と、CMPの際の水分から第1の配線層間絶縁膜3を保護する機能とを有する。
【0079】
次に、第1層配線形成用溝21を形成する。本実施形態の場合の第1層配線形成用溝21は、第1のキャップ絶縁膜25及び第1の配線層間絶縁膜3の表裏を貫通して第1の層間絶縁膜2に達する。次に、第1層配線形成用溝21内に第1層配線4を形成する。
【0080】
次に、第1層配線4の構成材料のうち、第1層配線形成用溝21以外の箇所に形成された部分をCMPにより除去する。
【0081】
次に、第1層配線4上及び第1のキャップ絶縁膜25上に第1の有機ポリマー層6を形成する。
【0082】
次に、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6を選択的に除去することにより、該第1の有機ポリマー層6を第1のキャップ絶縁膜25上に選択的に残留させる。
【0083】
次に、第1層配線4上に第1のキャップメタル5を選択的に形成する。次に、第1層配線4上の第1のキャップメタル5の上、及び、第1のキャップ絶縁膜25上の第1の有機ポリマー層6の上に、第1のバリア絶縁膜7を形成する。
【0084】
次に、第1のバリア絶縁膜7の上にビア層間膜8を形成し、ビア層間膜8上に第2の配線層間絶縁膜10を形成する。更に、第2の配線層間絶縁膜10上に第2のキャップ絶縁膜26を形成する。第2のキャップ絶縁膜26の材質は第1のキャップ絶縁膜25と同様である。
【0085】
次に、第2層配線形成用溝15とビアホール9とを形成する。本実施形態の場合の第2層配線形成用溝15は、第2のキャップ絶縁膜26及び第2の配線層間絶縁膜10の表裏を貫通してビア層間膜8に達する。更に、ビアホール9は、ビア22の形成箇所に形成する。ビアホール9は、第2層配線形成用溝15の底面から第1のキャップメタル5に達する深さとなるよう、第2層配線形成用溝15と連続的に形成する。
【0086】
次に、ビアホール9内にビア22を形成するとともに、第2層配線形成用溝15内に第2層配線12を形成する。
【0087】
次に、第2層配線12の構成材料のうち、第2層配線形成用溝15以外の箇所に形成された部分をCMPにより除去する。
【0088】
次に、第2層配線12上及び第2のキャップ絶縁膜26上に、第2の有機ポリマー層13を形成する。
【0089】
次に、第2層配線12上の第2の有機ポリマー層13を選択的に除去し、該第2の有機ポリマー層13を第2のキャップ絶縁膜26上に選択的に残留させる。
【0090】
次に、第2層配線12上に第2のキャップメタル23を選択的に形成した後、第2層配線12上の第2のキャップメタル23の上、及び、第2のキャップ絶縁膜26上の第2の有機ポリマー層13の上に、第2のバリア絶縁膜14を形成する。
【0091】
以上のような第2の実施形態によれば、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上に第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)を形成する場合において、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)上への第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の成膜の抑制効果は、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)が親水性の場合に、特に有効である。なお、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)がSiOC等、疎水性の材料により構成されている場合にも、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合が第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)の表面に存在すると、さらに疎水性を高めることができるため、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)上への第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の成膜の抑制効果を更に向上させることができる。
【0093】
また、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)もまた、CMP工程で水分や圧力の影響でダメージを受ける可能性もある。このダメージを受けた第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)の表面に対して、第1の有機ポリマー層6を形成することにより、このダメージを受けた第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)の状態を回復させることができる。このダメージの回復は、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)の表面において、ダメージにより結合が切れた箇所に、例えば、OとCとメチル基とを含む有機ポリマーを結合させて、その表面を修復及び疎水化させる処理である。このようにダメージを回復させることにより、リーク電流の抑制効果、及び、配線間容量の抑制効果を更に向上させることができる。
【0094】
なお、第2の実施形態では、第1のキャップ絶縁膜25の一部は、CMPによって第1層配線4の構成材料とともに除去しても良い。すなわち、例えば、第1のキャップ絶縁膜25の表層部を除去したり、或いは、第1のキャップ絶縁膜25を半導体装置200の面内において位置選択的に除去したりしても良い。
【0095】
或いは、図示は省略するが、第2の実施形態の製造工程において、第1のキャップ絶縁膜25の全部をCMPにより除去しても良い。この場合、半導体装置の構造は、結果的に、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様の構造となる。
【0096】
また、上記の各実施形態では、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を第1層配線4(第2層配線12)上から選択的に除去する処理として、紫外線照射処理を行う例を説明したが、例えば、150℃以上400℃以上の熱処理を行うことによっても、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を第1層配線4(第2層配線12)上から選択的に除去することができる。また、この熱処理も、不活性ガス雰囲気(希ガス雰囲気)中、窒素ガス雰囲気中、又は、真空中で行うことにより、第1層配線4(第2層配線12)上の第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)の除去後に露出する第1層配線4(第2層配線12)の表面のCuが酸化されてしまうといった不具合の発生を抑制することができる。また、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を第1層配線4(第2層配線12)上から選択的に除去する処理は、このような熱処理と紫外線照射処理とを組み合わせて行うようにしても良い。
【0097】
また、上記の各実施形態では、Cu拡散バリア絶縁膜として第1及び第2のバリア絶縁膜7、14を形成する例を説明したが、第1及び第2のバリア絶縁膜7、14は形成せずに、Cuの拡散をCu表面のキャップメタル(第1のキャップメタル5、第2のキャップメタル23)だけで抑制することも可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 半導体基板
2 第1の層間絶縁膜
3 第1の配線層間絶縁膜
4 第1層配線
5 第1のキャップメタル
6 第1の有機ポリマー層
7 第1のバリア絶縁膜
8 ビア層間膜
9 ビアホール
10 第2の配線層間絶縁膜
12 第2層配線
13 第2の有機ポリマー層
14 第2のバリア絶縁膜
15 第2層配線形成用溝
21 第1層配線形成用溝
22 ビア
23 第2のキャップメタル
25 第1のキャップ絶縁膜
26 第2のキャップ絶縁膜
100、200 半導体装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置のCu配線上に、例えばCoを含む金属材料によりキャップメタルを成膜する技術が知られている。
【0003】
Cu配線上にキャップメタルを成膜する技術においては、そのキャップメタルの成膜工程における選択性を十分に確保することが困難であり、本来成膜されないことが好ましい配線層間絶縁膜上にも、キャップメタルの成膜箇所が生じてしまうことがあるという課題がある。Cu表面と配線層間絶縁膜表面の両方に対し、同様の無電界めっき処理がなされてしまうことが、その課題を生じる理由である。
【0004】
非特許文献1、2には、配線層間絶縁膜の主要部であるポーラスな低誘電率膜の上に形成されるキャップ膜としての絶縁膜材料の特性が記載されている。このキャップ膜は、Cu配線を構成するCu膜をCMPする際の低誘電率膜の剥がれや吸湿等に対する保護機能を有するものである。
【0005】
非特許文献1では、このキャップ膜を疎水性の材料とすることにより、キャップメタルとしてのCoWPをCu配線上に選択的に形成でき、配線間リーク電流のレベルを改善(抑制)できることが記載されている。
【0006】
非特許文献2にも、配線層間絶縁膜として疎水性のSiOC膜を用いることにより、Cu配線上のキャップメタル(CoWP膜)の選択成膜性を改善(向上)できることが記載されている。
【0007】
非特許文献3には、CMP後のCuの表面に対してTMCTS(1,3,5,7−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】N. Kawahara et al.," A Novel CoWP Cap Integration for Porous Low−W/Cu Interconnects With NH3 Plasma Treatment and Low−k Top (LKT) Dielectric Structure", Int. Interconnect Tech. Conf. 7.16 (2006) p.152.
【非特許文献2】S. Kondo et al.," Direct CMP on Porous Low−k Film for Damage−less Cu Integration", Int. Interconnect Tech. Conf. 8.2 (2006) p.164.
【非特許文献3】T. Kikkawa et al., "Advanced Scalable Ultralow−k/Cu Interconnect Technology for 32 nm CMOS ULSI Using Self−Assembled Porous Silica and Self−Aligned CoWP Barrier", International Electron Devices Meeting, 4.5 (2005) p. 99.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非特許文献1、2に記載されているように、配線層間絶縁膜の表層部に疎水性のキャップ膜を形成することにより、キャップメタル(CoWP膜)の成膜時の選択性を改善することができる。しかし、キャップ膜は、一般に、CMP時にCuとともに削られるため、ある程度厚く(例えば50nm以上の膜厚に)形成されていることが好ましい。また、配線層間絶縁膜の表面の疎水化を実現するキャップ膜の材料としては、SiO2(k〜4.2)、SiOC(k〜2.9)が挙げられる。これらの材料は、配線層間絶縁膜を構成する材料としては、(特に、45nm CMOS世代以降の半導体装置の配線層間絶縁膜の構成材料としては、)比誘電率が大きい。このように比誘電率の大きい材料が低誘電率膜上に厚く形成されていると、隣り合うCu配線間の容量が増加する。この結果、回路の遅延時間が大きくなり、半導体装置の性能を十分に引き出すことが困難となる。従って、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層は、できるだけ薄いことが好ましい。
【0010】
これに対し、CMP後に、配線層間絶縁膜としての低誘電率膜上に、非特許文献3に記載されているようなTMCTS処理を実施すれば、配線層間絶縁膜の表面にTMCTSの薄膜を形成するだけで、配線層間絶縁膜表面の疎水化を行うことができる。つまり、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄くしたいという要求を満たすことができる。しかしながら、非特許文献3の技術では、TMCTS処理により、配線層間絶縁膜上だけでなく、Cu上にもTMCTSの薄膜が付着してしまう。このため、Cu上のTMCTS膜の存在により、その後のキャップメタルの成膜工程において、Cuとキャップメタル(CoWP)との反応が阻害されてしまう。つまり、Cu上にCoWPを成長させることができないか、或いは成長させることが可能であってもその成長速度が非常に遅くなってしまうと考えられる。
【0011】
このように、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄くし、且つ、Cu配線上に支障なくキャップメタルを成膜できるようにすることは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、配線層間絶縁膜に配線形成用溝を形成する第1工程と、前記配線形成用溝内にCu配線を形成する第2工程と、前記Cu配線の構成材料のうち、前記配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去する第3工程と、前記Cu配線上及び前記配線層間絶縁膜上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層を形成する第4工程と、前記Cu配線上の前記絶縁膜層を選択的に除去する第5工程と、前記Cu配線上にキャップメタルを選択的に形成する第6工程と、をこの順に行うことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0013】
この半導体装置の製造方法によれば、配線層間絶縁膜上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層、すなわち疎水性の絶縁膜層を形成した後で、キャップメタルの形成を行うので、配線層間絶縁膜上へのキャップメタルの成膜を好適に抑制することができる。これにより、配線間リーク電流のレベルを改善(抑制)し、絶縁破壊信頼性(絶縁破壊耐性)を向上することができるとともに、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)等の信頼性寿命を長くすることができる。しかも、Cu配線上の絶縁膜層を選択的に除去した後で、キャップメタルの形成を行うので、Cu配線上には支障なくキャップメタルを成膜することができる。従って、キャップメタルをCu配線上に選択的に形成することができる。また、Cu配線の構成材料のうち、配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去した後で、絶縁膜層を形成するので、この絶縁膜層はその除去工程において膜厚が削られない。このため、絶縁膜層は必要最小限の膜厚で良い。要するに、この半導体装置の製造方法によれば、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄くすることができ、且つ、Cu配線上に支障なくキャップメタルを成膜できるようになる。
【0014】
また、本発明は、複数のCu配線と、前記Cu配線の間に配置されている配線層間絶縁膜と、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含み、前記配線層間絶縁膜上に形成され、前記Cu配線上には形成されていない絶縁膜層と、前記Cu配線上に形成されているキャップメタルと、を有していることを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、疎水化のために配線層間絶縁膜の表面に形成する層をできるだけ薄することができ、且つ、Cu配線上に支障なくキャップメタルを成膜できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を説明するための断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図3】CMP後の紫外線照射処理で用いる紫外線の適切な波長範囲を説明するための図である。
【図4】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一連の工程を説明するための断面図、図2は第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図、図3はCMP後の紫外線照射処理で用いる紫外線の適切な波長範囲を説明するための図である。
【0019】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、配線層間絶縁膜(例えば、第1の配線層間絶縁膜3)に配線形成用溝(例えば、第1層配線形成用溝21)を形成する第1工程と、配線形成用溝内にCu配線(例えば、第1層配線4)を形成する第2工程と、Cu配線の構成材料のうち、配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去する第3工程と、Cu配線上及び配線層間絶縁膜上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層(例えば、第1の有機ポリマー層6)を形成する第4工程と、Cu配線上の絶縁膜層を選択的に除去する第5工程と、Cu配線上にキャップメタル(例えば、第1のキャップメタル5)を選択的に形成する第6工程と、をこの順に行う。
また、本実施形態に係る半導体装置100は、複数のCu配線(例えば、第1層配線4)と、Cu配線の間に配置されている配線層間絶縁膜(例えば、第1の配線層間絶縁膜3)と、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含み、配線層間絶縁膜上に形成され、Cu配線上には形成されていない絶縁膜層(例えば、第1の有機ポリマー層6)と、Cu配線上に形成されているキャップメタル(例えば、第1のキャップメタル5)と、を有している。
以下、詳細に説明する。
【0020】
図1を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0021】
先ず、図1(a)に示す半導体基板1上に、図示は省略するが、トランジスタ等のアクティブ素子、これら素子の分離用の絶縁膜領域、シリサイド層等を選択的に形成する。次に、これらアクティブ素子、絶縁膜領域及びシリサイド層等の上に、第1の層間絶縁膜2を形成する。次に、この第1の層間絶縁膜2にコンタクト開口部(図示略)を形成する。
【0022】
次に、図1(a)に示すように、第1の層間絶縁膜2上に第1の配線層間絶縁膜3を形成する。この第1の配線層間絶縁膜3は、比誘電率kが3以下、好ましくは比誘電率kが2.7以下の低誘電率膜とする。この第1の配線層間絶縁膜3は、例えば、ポーラスな低誘電率膜(ポーラス低誘電率膜)であり、例えば、膜厚が5nm乃至20nmのポーラスシリカ(空孔を含むシリカ)である。ここで、空孔を含むシリカとは、SiO2膜が多孔質状に形成されたものを意味する。なお、空孔を含むシリカには、シリル化処理によって、膜の表面と、空孔の内周と、エッチングにより露出した表面(後述する第1層配線形成用溝21の形成により露出した内周側面及び底部)と、のうちの少なくとも何れか1箇所に有機膜が形成されている。この有機膜は、例えば、メチル基を含む。
【0023】
次に、図1(b)に示すように、第1の配線層間絶縁膜3に第1層配線形成用溝21を選択的に形成する。この第1層配線形成用溝21は、第1の配線層間絶縁膜3の表裏を貫通して第1の層間絶縁膜2に達する深さとする。
【0024】
次に、図1(b)に示すように、第1層配線形成用溝21内に、Cuを主な材料とする金属材料によりCu配線(第1層配線4)を形成する。この第1層配線4は、具体的には、例えば、第1層配線形成用溝21の底面及び側面にTaN層(図示略)を形成し、このTaN層上にTa層(図示略)を形成し、このTa層上に、第1層配線形成用溝21内の残りの部分を埋めるCu層(図示略)を形成することによって、構成することができる。Cu層の形成においては、先ず、Ta層上にシードCu層を形成した後に、このシードCu層上にCu層を成膜する。なお、TaN層及びTa層はバリアメタルを構成する。なお、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度とすることが挙げられる。
【0025】
次に、第1層配線4の構成材料(例えば、TaN、Ta及びCu)のうち、第1層配線形成用溝21以外の箇所に形成された部分をCMP(Chemical Mechanical Polish)により除去する。
【0026】
次に、第1層配線4上及び第1の配線層間絶縁膜3上に、第1の有機ポリマー層6を形成する。この第1の有機ポリマー層6は、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層である。この第1の有機ポリマー層6は、疎水性を示す。
【0027】
この第1の有機ポリマー層6は、例えば、第1の配線層間絶縁膜3及び第1層配線4の表面をSi−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む有機ポリマーのガス雰囲気に曝す処理を行うことによって形成することができる。また、このガス雰囲気処理は、例えば、250℃以上400℃以下の温度条件下で行うことが好ましく、特に350℃近辺(例えば、335℃以上365℃以下)の温度条件下で行うことが好ましい。この温度条件は、例えば、半導体基板1の温度の条件とすることができる。
【0028】
この有機ポリマーは、例えば、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS:Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)とヘキサメチルジシラザン(HMDS:Hexa−Methyl−Disilazane)とのうちの少なくとも何れか一方を含むことが好ましい。このうちTMCTSは、例えば、1,3,5,7テトラメチルシクロテトラシロキサン(1,3,5,7−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)、又は、2,4,6,8テトラメチルシクロテトラシロキサン(2,4,6,8−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)である。
【0029】
第1の有機ポリマー層6は、例えば、上述の温度条件下で、上述の材料により形成するため、該第1の有機ポリマー層6は、例えば、TMCTSとHMDSとのうちの少なくとも一方が焼成されたものとなる。
【0030】
このように、CMP後に第1の有機ポリマー層6を形成するので、第1の有機ポリマー層6はCMPにおいて削られない。このため、第1の有機ポリマー層6は必要最小限の膜厚(例えば、10nm以下)で良い。よって、配線間容量の増大を抑制することができる。
【0031】
次に、図1(b)に示すように、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6を選択的に除去し、該第1の有機ポリマー層6を第1の配線層間絶縁膜3上に選択的に残留させる処理を行う。この処理は、例えば、不活性ガス雰囲気(希ガス雰囲気)中で第1の有機ポリマー層6に紫外線を照射する紫外線照射処理とすることができる。
【0032】
Cu−Oの結合エネルギーは、269.0(kJ/mol)であり、Si−Oの結合エネルギーの799.6(kJ/mol)、C−Oの結合エネルギーの1076.5(kJ/mol)と比較してかなり低い。このため、紫外線照射処理で照射する紫外線の波長と照射時間とを適切に設定することにより、第1層配線4の表層のCu−Oの結合は切断する一方で、第1の配線層間絶縁膜3の表層のSi−Oの結合、及び、C−Oの結合は維持することができる。よって、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6は気化して第1層配線4上から除去される。こうして、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6を選択的に除去し、第1の配線層間絶縁膜3上の第1の有機ポリマー層6は選択的に残留させることができる。
【0033】
ここで、図3を参照して、紫外線照射処理で照射する紫外線の適切な波長範囲の例を説明する。図3は、Cu−Oの結合、Si−Oの結合、及び、C−Oの結合がそれぞれ切断される紫外線の波長範囲を示す。図3に示すように、Cu−Oの結合は約450nm以下の波長の光線が照射されると切断される。同様に、Si−Oの結合は約150nm以下の波長の光線が照射されると切断され、C−Oの結合は約115nm以下の波長の光線が照射されると切断される。従って、Cu−Oの結合は切断できるがSi−O及びC−Oの結合は切断できない波長の紫外線を第1の有機ポリマー層6に照射することにより、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6は選択的に除去する一方で、第1の配線層間絶縁膜3上の第1の有機ポリマー層6は選択的に残留させることができる。そこで、紫外線照射処理では、具体的には、例えば、図3に波長範囲Aとして示すように、200nm乃至400nmの波長範囲の紫外線を第1の有機ポリマー層6に照射する。なお、このような紫外線照射処理において第1の有機ポリマー層6に照射する光には、波長範囲Aよりも波長が長い光線(可視光等)が含まれていても良い。また、紫外線照射処理の時間は、例えば、30秒以上10分以下とすることができる。なお、紫外線照射処理においては、照射される光線により第1の有機ポリマー層6等が加熱されることはあっても、例えば、ヒーター等を用いた特別な加熱処理は行う必要がない。また、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6が除去されると第1層配線4の表面のCuが露出するが、この紫外線照射処理を不活性ガス雰囲気(希ガス雰囲気)中、窒素ガス雰囲気中、又は真空中(例えば、100Torr以下)で行うことにより、第1層配線4の表層のCuが酸化されてしまうといった不具合の発生を抑制することができる。
【0034】
こうして、第1の有機ポリマー層6を、第1層配線4上からは選択的に除去し、第1の配線層間絶縁膜3上には選択的に残留させることができる。
【0035】
次に、図1(c)に示すように、第1層配線4上に第1のキャップメタル5を選択的に形成する。第1のキャップメタル5の形成は、例えば、無電界めっき法により行うことができる。この無電解めっき法は、例えば、第1のキャップメタル5の構成材料と硫酸とを含む硫酸系溶液(以下、めっき液)を第1層配線4の表面に接触させる処理によって行うことができる。この処理は、例えば、そのめっき液を半導体基板1の全体にかける(注ぐ)ことにより、或いは、半導体基板1の全体をそのめっき液に浸すことにより行うことができる。なお、無電界めっき法に、還元性の薬液(例えばヒドラジン)による処理を組み合わせて、第1のキャップメタル5を形成することも可能である。
【0036】
第1のキャップメタル5の材料は、例えば、Coを含む高融点金属であることが好ましい。このような高融点金属を第1のキャップメタル5の材料とすることにより、第1層配線4の酸化等を好適に抑制することができる。より具体的には、第1のキャップメタル5の材料は、CoWPとCoWBとのうちの少なくとも何れか一方を含むことが好ましい。第1のキャップメタル5は、具体的には、例えば、5nm乃至30nmの膜厚のCoWPとすることができる。
【0037】
ここで、第1の配線層間絶縁膜3上に選択的に残留している第1の有機ポリマー層6は、疎水性である。このため、第1のキャップメタル5の形成の際には、この第1の有機ポリマー層6によって、第1のキャップメタル5の構成材料は、第1の配線層間絶縁膜3上からは、はじかれて、第1層配線4上に選択的に付着する。すなわち、無電解めっき法により第1のキャップメタル5を形成する場合には、第1の配線層間絶縁膜3上ではめっき液を短時間で乾燥させることができるので、めっき液中の第1のキャップメタル5の材料が第1の配線層間絶縁膜3上に残留してしまうことを抑制することができる。よって、第1のキャップメタル5を第1層配線4上に選択的に形成することができる。
【0038】
次に、図1(c)に示すように、第1層配線4上の第1のキャップメタル5の上、及び、第1の配線層間絶縁膜3上の第1の有機ポリマー層6の上に、第1のバリア絶縁膜7を形成する。第1のバリア絶縁膜7の材料は、例えば、SiCとすることができる。第1のバリア絶縁膜7の膜厚は、例えば、50nm程度とすることができる。
【0039】
次に、第1のバリア絶縁膜7の上にビア層間膜8を形成する。ビア層間膜8は、例えば、ポーラスSiOCにより構成することができる。このビア層間膜8の膜厚は、例えば、200nm以上500nm以下とすることができる。
【0040】
次に、ビア層間膜8上に第2の配線層間絶縁膜10を形成する。第2の配線層間絶縁膜10の材質及び膜厚は、第1の配線層間絶縁膜3と同様である。
【0041】
次に、図1(d)に示すように、第2層配線形成用溝15とビアホール9とを形成する。第2層配線形成用溝15は、第2の配線層間絶縁膜10の表裏を貫通してビア層間膜8に達する深さに形成する。ビアホール9は、ビア22(図1(e))の形成箇所にのみ形成する。このビアホール9は、図1(d)に示すように、第2層配線形成用溝15の底面から第1のキャップメタル5に達する深さに、第2層配線形成用溝15と連続的に形成する。
【0042】
次に、図1(e)に示すように、ビアホール9内にビア22を形成するとともに、第2層配線形成用溝15内に第2層配線12を形成する。これらビア22及び第2層配線12は、第1層配線4と同様の金属材料により構成される。具体的には、例えば、ビア22の形成箇所以外においては第1層配線形成用溝21の底面及び側面にTaN層(図示略)を形成する。また、ビア22の形成箇所においてはビアホール9の底面と、ビアホール9及び第1層配線形成用溝21の側面にTaN層(図示略)を形成する。そして、このTaN層上にTa層(図示略)を形成し、このTa層上に、第1層配線形成用溝21内及びビアホール9内の残りの部分を埋めるCu層(図示略)を形成することによって、ビア22及び第2層配線12を形成する。Cu層の形成においては、先ず、Ta層上にシードCu層を形成した後に、このシードCu層上にCu層を成膜する。なお、TaN層及びTa層はバリアメタルを構成する。なお、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度とすることができる。
【0043】
次に、第2層配線12の構成材料(例えば、TaN、Ta及びCu)のうち、第2層配線形成用溝15以外の箇所に形成された部分をCMPにより除去する。
【0044】
次に、第2層配線12上及び第2の配線層間絶縁膜10上に、第2の有機ポリマー層13を形成する。この第2の有機ポリマー層13の材質は、第1の有機ポリマー層6と同様である。第2の有機ポリマー層13は、第1の有機ポリマー層6と同様の方法により、第2層配線12上及び第2の配線層間絶縁膜10上に形成することができる。
【0045】
次に、図1(e)に示すように、第2層配線12上の第2の有機ポリマー層13を選択的に除去し、該第2の有機ポリマー層13を第2の配線層間絶縁膜10上に選択的に残留させる処理を行う。この処理は、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6を選択的に除去し、該第1の有機ポリマー層6を第1の配線層間絶縁膜3上に選択的に残留させる処理と同様に行うことができる。
【0046】
次に、図1(f)に示すように、第2層配線12上に第2のキャップメタル23を選択的に形成する。第2のキャップメタル23の材質及び膜厚は、第1のキャップメタル5と同様である。第2のキャップメタル23は、第1のキャップメタル5を第1層配線4上に選択的に形成するのと同様の方法により、第2層配線12上に選択的に形成することができる。
【0047】
次に、図1(f)に示すように、第2層配線12上の第2のキャップメタル23の上、及び、第2の配線層間絶縁膜10上の第2の有機ポリマー層13の上に、第2のバリア絶縁膜14を形成する。第2のバリア絶縁膜14の材質及び膜厚は、第1のバリア絶縁膜7と同様である。
【0048】
以上により、第1の実施形態に係る半導体装置100を製造することができる。
【0049】
次に、以上のような製造方法によって製造される第1の実施形態に係る半導体装置100の構成を説明する。
【0050】
図2に示すように、第1の実施形態に係る半導体装置100は、半導体基板1を有し、この半導体基板1には、図示は省略するがトランジスタ等のアクティブ素子、素子分離用の絶縁膜領域、シリサイド層等が選択的に形成されている。
【0051】
更に、これらアクティブ素子、絶縁膜領域及びシリサイド層の上には、第1の層間絶縁膜2が形成されている。この第1の層間絶縁膜2には、図示は省略するがコンタクト開口部が形成されている。
【0052】
更に、第1の層間絶縁膜2上には、第1の配線層間絶縁膜3が形成されている。この第1の配線層間絶縁膜3は、比誘電率kが3以下、好ましくは比誘電率kが2.7以下の低誘電率膜である。この第1の配線層間絶縁膜3は、例えば、ポーラスな低誘電率膜(ポーラス低誘電率膜)とすることができる。このポーラス低誘電率膜は、具体的には、例えば、膜厚が5nm乃至20nmのポーラスシリカ(空孔を含むシリカ)である。
【0053】
この第1の配線層間絶縁膜3には、選択的に第1層配線形成用溝21が形成され、この第1層配線形成用溝21内には、Cuを主な材料とする金属材料によりCu配線(第1層配線4)が形成されている。この第1層配線4は、具体的には、例えば、第1層配線形成用溝21の底面及び側面に形成されたTaN層と、このTaN層上に形成されたTa層(図示略)と、このTa層上に第1層配線形成用溝21内の残りの部分を埋めるように形成されたCu層(図示略)と、を有している。これらTaN層及びTa層はバリアメタルを構成する。なお、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度である。
【0054】
第1層配線4の上面には、第1のキャップメタル5が選択的に形成されている。第1のキャップメタル5の材料としては、例えば、Coを含む高融点金属が挙げられる。より具体的には、第1のキャップメタル5の材料は、CoWPとCoWBとのうちの少なくとも何れか一方を含むことが好ましい。第1のキャップメタル5は、具体的には、例えば、5nm乃至30nmの膜厚のCoWPとすることができる。
【0055】
また、第1層配線4の間隔に位置する第1の配線層間絶縁膜3の上面には、第1の有機ポリマー層6が選択的に形成されている。この第1の有機ポリマー層6は、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層である。この第1の有機ポリマー層6は、例えば、焼成されたTMCTS(1,3,5,7−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane、又は、2,4,6,8−Tetra−Methyl−Cyclo−Tetra−Siloxane)と、焼成されたHMDS(Hexa−Methyl−Disilazane)と、のうちの少なくとも何れか一方により構成されている。なお、第1の有機ポリマー層6は、第1層配線4上には形成されていない。
【0056】
第1のキャップメタル5及び第1の有機ポリマー層6の上には、第1のバリア絶縁膜7が形成されている。第1のバリア絶縁膜7の材料は、例えば、SiCとすることができ、その膜厚は、例えば、50nm程度とすることができる。
【0057】
第1のバリア絶縁膜7の上には、ビア層間膜8が形成されている。ビア層間膜8は、例えば、ポーラスSiOCにより構成することができ、その膜厚は、例えば、200nm以上500nm以下とすることができる。
【0058】
ビア層間膜8にはビアホール9が形成され、ビアホール9内にはビア22が形成されている。ビア22の下端はキャップメタル5に接触している。このビア22は、第1層配線4と同様の材質により構成され、例えば、ビアホール9の底面及び側面に形成されたTaN層(図示略)と、このTaN層上に形成されたTa層(図示略)と、このTa層上に、ビアホール9内の残りの部分を埋めるように形成されたCu層(図示略)と、を有する。また、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度とすることができる。
【0059】
ビア層間膜8上には、第2の配線層間絶縁膜10が形成されている。第2の配線層間絶縁膜10の材質及び膜厚は、第1の配線層間絶縁膜3と同様である。第2の配線層間絶縁膜10には、第2の配線層間絶縁膜10の表裏を貫通してビア層間膜8に達する深さの第2層配線形成用溝15が形成されている。
【0060】
第2層配線形成用溝15内には、第2層配線12が形成されている。この第2層配線12は、第1層配線4と同様の金属材料により構成され、例えば、第1層配線形成用溝21の底面及び側面に形成されたTaN層(図示略)と、このTaN層上に形成されたTa層(図示略)と、このTa層上に、第2層配線形成用溝15内の残りの部分を埋めるように形成されたCu層(図示略)と、を有する。これらTaN層及びTa層はバリアメタルを構成する。また、TaN層及びTa層の膜厚は、例えば、それぞれ5nm程度とすることができる。なお、ビア22の形成箇所では、ビアホール9と連続的に第2層配線形成用溝15が形成されており、当該第2層配線形成用溝15内の第2層配線12はビア22と一体形成されている。
【0061】
第2層配線12上には、第2のキャップメタル23が選択的に形成されている。第2のキャップメタル23の材質及び膜厚は、第1のキャップメタル5と同様である。
【0062】
また、第2層配線12の間隔に位置する第2の配線層間絶縁膜10の上面には、第2の有機ポリマー層13が選択的に形成されている。この第2の有機ポリマー層13の材料は、第1の有機ポリマー層6と同様である。
【0063】
第2のキャップメタル23上、及び、第2の有機ポリマー層13上には、第2のバリア絶縁膜14が形成されている。第2のバリア絶縁膜14の材質及び膜厚は第1のバリア絶縁膜7と同様である。
【0064】
なお、図2及び図1(f)では、配線層が2層(第1層配線4及び第2層配線12の2層)である例を示しているが、第1層配線4上のバリア絶縁膜7から、第2のバリア絶縁膜14の直下(第2のキャップメタル23及び第2の有機ポリマー層13)までの構造を縦方向に繰り返し形成することにより、3層以上の多層配線構造とすることができる。更に、その上にセミグローバル層やグローバル層、さらには、アルミパッドやパッシベーション膜が形成される場合もあるが、これらについては、周知の構造を用いることができるため、図示及び詳細な説明を省略する。
【0065】
以上のような第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層、すなわち疎水性の絶縁膜層としての第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を形成した後で、第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の形成を行うので、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上への第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の成膜を好適に抑制することができる。これにより、配線間リーク電流のレベルを改善(抑制)し、絶縁破壊信頼性(絶縁破壊耐性)を向上することができるとともに、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)等の信頼性寿命を長くすることができる。
【0066】
なお、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上への第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の成膜の抑制効果は、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)が親水性の場合(例えば、ポーラスシリカにより構成される場合)に、特に有効である。
【0067】
また、第1層配線4(第2層配線12)上の第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を選択的に除去した後で、第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の形成を行うので、第1層配線4(第2層配線12)上には支障なく第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)を成膜することができる。従って、第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)を第1層配線4上(第2層配線12上)に選択的に形成することができる。
【0068】
また、第1層配線4(第2層配線12)の構成材料のうち、第1層配線形成用溝21(第2層配線形成用溝15)以外の箇所に形成された部分を除去した後で、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を形成するので、この第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)はその除去工程(CMP)において削られない。このため、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)は必要最小限の膜厚(例えば、10nm以下)で良い。よって、配線間容量の増大を抑制することができる。
【0069】
このような配線間容量の抑制効果は、例えば、酸化膜系の材料を第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)の主要部分に用いる場合に、極めて有効である。例えば、ポーラスシリカを第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)を構成する主要な低誘電率(Low−k)材料として用いた場合、SiO2を第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上のキャップ膜の材料とした場合(第2の実施形態参照)、主要な低誘電率材料に関わりなく、CMPにより第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上のキャップ膜が完全に除去された場合(第2の実施形態参照)、及び、主要な低誘電率材料自体をCMPでCuと一緒に削る場合においても適用可能である。
【0070】
このように、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、疎水化のために第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)の表面に形成する層をできるだけ薄くすることができ、且つ、第1層配線4(第2層配線12)上に支障なく第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)を成膜できるようになる。
【0071】
また、このような第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法により製造される半導体装置100は、複数の第1層配線4(第2層配線12)と、第1層配線4(第2層配線12)の間に配置されている第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)と、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含み、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上に形成され、第1層配線4(第2層配線12)上には形成されていない第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)と、第1層配線4(第2層配線12)上に形成されている第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)と、を有している。
【0072】
このような第1の実施形態に係る半導体装置100によれば、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の効果が得られる。
【0073】
このような半導体装置100は、例えば、高性能MPU(Micro Processing Unit)、デジタルコンシューマ、低消費電力向け半導体チップ全般、車載向け高信頼性LSI(Large Scale Integration)等の用途に好適に適用できる。
【0074】
〔第2の実施形態〕
図4は第2の実施形態に係る半導体装置200の構成を示す断面図である。
【0075】
本実施形態に係る半導体装置200においては、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上に、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)が形成されている。また、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)は、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)上に形成されている。本実施形態に係る半導体装置200は、その他の点については第1の実施形態に係る半導体装置100と同様に構成されている。
【0076】
以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下に説明する点でのみ第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と相違し、その他の点では第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0077】
本実施形態の場合、第1の層間絶縁膜2上に第1の配線層間絶縁膜3を形成した後、この第1の配線層間絶縁膜3上に第1のキャップ絶縁膜25を形成する。キャップ絶縁膜25は、例えば、SiO2、SiC、SiCO、SiN、SiCNのうちの少なくとも何れか1つにより構成することができる。
【0078】
このキャップ絶縁膜25は、CMPの際の研磨によるダメージから第1の配線層間絶縁膜3を保護する機能と、CMPの際の水分から第1の配線層間絶縁膜3を保護する機能とを有する。
【0079】
次に、第1層配線形成用溝21を形成する。本実施形態の場合の第1層配線形成用溝21は、第1のキャップ絶縁膜25及び第1の配線層間絶縁膜3の表裏を貫通して第1の層間絶縁膜2に達する。次に、第1層配線形成用溝21内に第1層配線4を形成する。
【0080】
次に、第1層配線4の構成材料のうち、第1層配線形成用溝21以外の箇所に形成された部分をCMPにより除去する。
【0081】
次に、第1層配線4上及び第1のキャップ絶縁膜25上に第1の有機ポリマー層6を形成する。
【0082】
次に、第1層配線4上の第1の有機ポリマー層6を選択的に除去することにより、該第1の有機ポリマー層6を第1のキャップ絶縁膜25上に選択的に残留させる。
【0083】
次に、第1層配線4上に第1のキャップメタル5を選択的に形成する。次に、第1層配線4上の第1のキャップメタル5の上、及び、第1のキャップ絶縁膜25上の第1の有機ポリマー層6の上に、第1のバリア絶縁膜7を形成する。
【0084】
次に、第1のバリア絶縁膜7の上にビア層間膜8を形成し、ビア層間膜8上に第2の配線層間絶縁膜10を形成する。更に、第2の配線層間絶縁膜10上に第2のキャップ絶縁膜26を形成する。第2のキャップ絶縁膜26の材質は第1のキャップ絶縁膜25と同様である。
【0085】
次に、第2層配線形成用溝15とビアホール9とを形成する。本実施形態の場合の第2層配線形成用溝15は、第2のキャップ絶縁膜26及び第2の配線層間絶縁膜10の表裏を貫通してビア層間膜8に達する。更に、ビアホール9は、ビア22の形成箇所に形成する。ビアホール9は、第2層配線形成用溝15の底面から第1のキャップメタル5に達する深さとなるよう、第2層配線形成用溝15と連続的に形成する。
【0086】
次に、ビアホール9内にビア22を形成するとともに、第2層配線形成用溝15内に第2層配線12を形成する。
【0087】
次に、第2層配線12の構成材料のうち、第2層配線形成用溝15以外の箇所に形成された部分をCMPにより除去する。
【0088】
次に、第2層配線12上及び第2のキャップ絶縁膜26上に、第2の有機ポリマー層13を形成する。
【0089】
次に、第2層配線12上の第2の有機ポリマー層13を選択的に除去し、該第2の有機ポリマー層13を第2のキャップ絶縁膜26上に選択的に残留させる。
【0090】
次に、第2層配線12上に第2のキャップメタル23を選択的に形成した後、第2層配線12上の第2のキャップメタル23の上、及び、第2のキャップ絶縁膜26上の第2の有機ポリマー層13の上に、第2のバリア絶縁膜14を形成する。
【0091】
以上のような第2の実施形態によれば、第1の配線層間絶縁膜3(第2の配線層間絶縁膜10)上に第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)を形成する場合において、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)上への第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の成膜の抑制効果は、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)が親水性の場合に、特に有効である。なお、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)がSiOC等、疎水性の材料により構成されている場合にも、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合が第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)の表面に存在すると、さらに疎水性を高めることができるため、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)上への第1のキャップメタル5(第2のキャップメタル23)の成膜の抑制効果を更に向上させることができる。
【0093】
また、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)もまた、CMP工程で水分や圧力の影響でダメージを受ける可能性もある。このダメージを受けた第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)の表面に対して、第1の有機ポリマー層6を形成することにより、このダメージを受けた第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)の状態を回復させることができる。このダメージの回復は、第1のキャップ絶縁膜25(第2のキャップ絶縁膜26)の表面において、ダメージにより結合が切れた箇所に、例えば、OとCとメチル基とを含む有機ポリマーを結合させて、その表面を修復及び疎水化させる処理である。このようにダメージを回復させることにより、リーク電流の抑制効果、及び、配線間容量の抑制効果を更に向上させることができる。
【0094】
なお、第2の実施形態では、第1のキャップ絶縁膜25の一部は、CMPによって第1層配線4の構成材料とともに除去しても良い。すなわち、例えば、第1のキャップ絶縁膜25の表層部を除去したり、或いは、第1のキャップ絶縁膜25を半導体装置200の面内において位置選択的に除去したりしても良い。
【0095】
或いは、図示は省略するが、第2の実施形態の製造工程において、第1のキャップ絶縁膜25の全部をCMPにより除去しても良い。この場合、半導体装置の構造は、結果的に、第1の実施形態に係る半導体装置100と同様の構造となる。
【0096】
また、上記の各実施形態では、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を第1層配線4(第2層配線12)上から選択的に除去する処理として、紫外線照射処理を行う例を説明したが、例えば、150℃以上400℃以上の熱処理を行うことによっても、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を第1層配線4(第2層配線12)上から選択的に除去することができる。また、この熱処理も、不活性ガス雰囲気(希ガス雰囲気)中、窒素ガス雰囲気中、又は、真空中で行うことにより、第1層配線4(第2層配線12)上の第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)の除去後に露出する第1層配線4(第2層配線12)の表面のCuが酸化されてしまうといった不具合の発生を抑制することができる。また、第1の有機ポリマー層6(第2の有機ポリマー層13)を第1層配線4(第2層配線12)上から選択的に除去する処理は、このような熱処理と紫外線照射処理とを組み合わせて行うようにしても良い。
【0097】
また、上記の各実施形態では、Cu拡散バリア絶縁膜として第1及び第2のバリア絶縁膜7、14を形成する例を説明したが、第1及び第2のバリア絶縁膜7、14は形成せずに、Cuの拡散をCu表面のキャップメタル(第1のキャップメタル5、第2のキャップメタル23)だけで抑制することも可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 半導体基板
2 第1の層間絶縁膜
3 第1の配線層間絶縁膜
4 第1層配線
5 第1のキャップメタル
6 第1の有機ポリマー層
7 第1のバリア絶縁膜
8 ビア層間膜
9 ビアホール
10 第2の配線層間絶縁膜
12 第2層配線
13 第2の有機ポリマー層
14 第2のバリア絶縁膜
15 第2層配線形成用溝
21 第1層配線形成用溝
22 ビア
23 第2のキャップメタル
25 第1のキャップ絶縁膜
26 第2のキャップ絶縁膜
100、200 半導体装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層間絶縁膜に配線形成用溝を形成する第1工程と、
前記配線形成用溝内にCu配線を形成する第2工程と、
前記Cu配線の構成材料のうち、前記配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去する第3工程と、
前記Cu配線上及び前記配線層間絶縁膜上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層を形成する第4工程と、
前記Cu配線上の前記絶縁膜層を選択的に除去する第5工程と、
前記Cu配線上にキャップメタルを選択的に形成する第6工程と、
をこの順に行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第5工程には、前記絶縁膜層に紫外線を照射する紫外線照射処理が含まれることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第5工程には、150℃以上400℃以下の熱処理が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第5工程を不活性ガス雰囲気中、窒素ガス雰囲気中又は真空中で行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第4工程は、前記配線層間絶縁膜及び前記Cu配線の表面を、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む有機ポリマーのガス雰囲気に曝すことによって行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機ポリマーは、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)とヘキサメチルジシラザン(HMDS)とのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第4工程を、250℃以上400℃以下の温度条件下で行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第6工程には、無電界めっき法により前記キャップメタルを形成する処理が含まれることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記無電解めっき法には、前記キャップメタルの構成材料と硫酸とを含む溶液を前記Cu配線の表面に接触させる処理が含まれることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記配線層間絶縁膜はポーラス低誘電率膜であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記配線層間絶縁膜は、ポーラス低誘電率膜と、前記ポーラス低誘電率膜上に形成され該ポーラス低誘電率膜を保護するキャップ絶縁膜と、を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記キャップ絶縁膜を、SiO2、SiC、SiCO、SiN、SiCNのうちの少なくとも何れか1つにより構成することを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第3工程では、前記キャップ絶縁膜の一部又は全部を除去することを特徴とする請求項11又は12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ポーラス低誘電率膜は、ポーラスシリカを含むことを特徴とする請求項10乃至13の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第6工程では、Coを含む高融点金属により前記キャップメタルを形成することを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記高融点金属には、CoWPとCoWBとのうちの少なくとも何れか一方が含まれることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
複数のCu配線と、
前記Cu配線の間に配置されている配線層間絶縁膜と、
Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含み、前記配線層間絶縁膜上に形成され、前記Cu配線上には形成されていない絶縁膜層と、
前記Cu配線上に形成されているキャップメタルと、
を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
前記絶縁膜層は、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)とヘキサメチルジシラザン(HMDS)とのうちの少なくとも一方により構成されていることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記配線層間絶縁膜は、ポーラス低誘電率膜であることを特徴とする請求項17又は18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記配線層間絶縁膜は、ポーラス低誘電率膜と、前記ポーラス低誘電率膜上に形成され該ポーラス低誘電率膜を保護するキャップ絶縁膜と、を有することを特徴とする請求項17又は18に記載の半導体装置。
【請求項1】
配線層間絶縁膜に配線形成用溝を形成する第1工程と、
前記配線形成用溝内にCu配線を形成する第2工程と、
前記Cu配線の構成材料のうち、前記配線形成用溝以外の箇所に形成された部分を除去する第3工程と、
前記Cu配線上及び前記配線層間絶縁膜上に、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む絶縁膜層を形成する第4工程と、
前記Cu配線上の前記絶縁膜層を選択的に除去する第5工程と、
前記Cu配線上にキャップメタルを選択的に形成する第6工程と、
をこの順に行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第5工程には、前記絶縁膜層に紫外線を照射する紫外線照射処理が含まれることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第5工程には、150℃以上400℃以下の熱処理が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第5工程を不活性ガス雰囲気中、窒素ガス雰囲気中又は真空中で行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第4工程は、前記配線層間絶縁膜及び前記Cu配線の表面を、Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含む有機ポリマーのガス雰囲気に曝すことによって行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機ポリマーは、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)とヘキサメチルジシラザン(HMDS)とのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第4工程を、250℃以上400℃以下の温度条件下で行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第6工程には、無電界めっき法により前記キャップメタルを形成する処理が含まれることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記無電解めっき法には、前記キャップメタルの構成材料と硫酸とを含む溶液を前記Cu配線の表面に接触させる処理が含まれることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記配線層間絶縁膜はポーラス低誘電率膜であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記配線層間絶縁膜は、ポーラス低誘電率膜と、前記ポーラス低誘電率膜上に形成され該ポーラス低誘電率膜を保護するキャップ絶縁膜と、を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記キャップ絶縁膜を、SiO2、SiC、SiCO、SiN、SiCNのうちの少なくとも何れか1つにより構成することを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第3工程では、前記キャップ絶縁膜の一部又は全部を除去することを特徴とする請求項11又は12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ポーラス低誘電率膜は、ポーラスシリカを含むことを特徴とする請求項10乃至13の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第6工程では、Coを含む高融点金属により前記キャップメタルを形成することを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記高融点金属には、CoWPとCoWBとのうちの少なくとも何れか一方が含まれることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
複数のCu配線と、
前記Cu配線の間に配置されている配線層間絶縁膜と、
Si−O、C−O、Si−CH3、Si−H、Si−C及びC−Hのうちの少なくとも何れか1つの結合を含み、前記配線層間絶縁膜上に形成され、前記Cu配線上には形成されていない絶縁膜層と、
前記Cu配線上に形成されているキャップメタルと、
を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
前記絶縁膜層は、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)とヘキサメチルジシラザン(HMDS)とのうちの少なくとも一方により構成されていることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記配線層間絶縁膜は、ポーラス低誘電率膜であることを特徴とする請求項17又は18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記配線層間絶縁膜は、ポーラス低誘電率膜と、前記ポーラス低誘電率膜上に形成され該ポーラス低誘電率膜を保護するキャップ絶縁膜と、を有することを特徴とする請求項17又は18に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−29245(P2011−29245A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170753(P2009−170753)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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