説明

半導体装置の製造方法及び基板処理装置

【課題】ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜する場合、ゲルマニウム原料の使用量を抑制すると共に金属膜との結合力を強くし、生産性を向上することが可能となる半導体装置の製造方法及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】処理室内に基板を搬入する搬入工程S14と、処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して、基板上に第一膜を成膜する第一成膜工程S22と、処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスを供給して、第一膜上に第二膜を成膜する第二成膜工程S24と、基板を処理室内から搬出する搬出工程S30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する工程を有する半導体装置の製造方法及び基板処理装置に関し、特に、ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を基板上に成膜する工程を有する半導体装置の製造方法及び基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の半導体装置(デバイス)を製造する工程においては例えば減圧CVD法(化学気相成長法)によって、縦型減圧CVD装置を用いて、基板上に膜を形成することが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなCVD装置を用いて、例えば基板上に、ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜する場合、ボロンドープシリコンゲルマニウム膜の膜厚や抵抗率の制御が困難になるという問題があった。
また、ゲルマニウム原子が過剰に含有している膜は金属膜との結合力が弱くなる為、デバイスを製造する際の生産性悪化(歩留まり悪化)への問題があり、同時にゲルマニウム原料が高価である為、使用量を抑制する要求がある。
【0004】
本発明の目的は上記課題を解決するものであって、ゲルマニウム原料の使用量を抑制すると共に
金属膜との結合力を強くし、生産性を向上することが可能となる半導体装置の製造方法及び基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、処理室内に基板を搬入する搬入工程と、処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して基板上に第一膜を成膜する第一成膜工程と処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスを供給して第一膜上に第二膜を成膜する第二成膜工程と、基板を処理室内から搬出する搬出工程とを有する半導体装置の製造方法。
【0006】
本発明の他の態様によれば、基板を処理する処理室と、処理室内にシリコン原子含有ガスを供給するシリコン原子含有ガス供給系と、処理室内にボロン原子含有ガスを供給するボロン原子含有ガス供給系と、処理室内にゲルマニウム原子含有ガスを供給するゲルマニウム原子含有ガス供給系と、シリコン原子含有ガス供給系とボロン原子含有ガス供給系とゲルマニウム原子含有ガス供給系が処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して基板上に第一膜を成膜し、処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスを供給して第一膜上に第二膜を成膜し、第一膜及び第二膜の成膜条件を変更できるように制御するコントローラを有する基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる半導体装置の製造方法及び基板処理装置によれば、ゲルマニウム原料の使用量を抑制すると共に金属膜との結合力の問題を解決できる。また連続バッチ間の膜厚と抵抗率を安定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下に本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態で好適に用いられる基板処理装置としてのバッチ式縦型減圧CVD装置の反応炉12の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
【0009】
この減圧CVD装置は、反応ガスとしてモノシラン(SiH)ガス等のシリコン原子含有ガスと三塩化ホウ素(BCl)ガス等のボロン原子含有ガスとモノゲルマン(GeH)ガス等のゲルマニウム原子含有ガスを使用して、反応炉内で支持具としてのボートに複数枚のウエハを垂直方向に積層支持した状態で、反応炉体下部よりガスを導入し垂直方向に上昇させ、そのガスを用いて、熱CVD法により、ウエハ上に、第一膜としてボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜等のボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜し、第一膜上に、第二膜としてボロンドープポリシリコン膜等のボロンドープシリコン膜を成膜して抵抗膜を形成するものである。
【0010】
図1に示されているように、ホットウォール炉を構成し、基板としてのウエハ4を加熱する、4ゾーンに分かれた加熱機構(加熱手段)としてのヒータ6(6a〜6d)の内側に、反応炉12の外筒である石英製の反応管すなわちアウターチューブ1が、管軸を垂直にしてヒータ6と同心に設置されている。アウターチューブ1の内側には、反応炉12の内筒である石英またはSiC製の反応管すなわちインナーチューブ2が、管軸を垂直にしてアウターチューブ1と同心に設置されている。処理室としての処理室1aはアウターチューブ1およびインナーチューブ2内に形成されている。この2種のチューブの間を真空排気装置としてのメカニカルブースタポンプ(MBP)7およびドライポンプ(DP)8を用いて真空引き可能にしてある。従って、インナーチューブ2内側に導入される反応ガスは、インナーチューブ2内を垂直に上昇し、2種のチューブの間を下降して排気される。
【0011】
アウターチューブ1の下方には、アウターチューブ1と同心にステンレス製のマニホールド(インレットアダプタ)15が設置されている。マニホールド15は、インナーチューブ2とアウターチューブ1に係合しており、これらを支持するように設けられている。なお、マニホールド15とアウターチューブ1との間にはシール部材としてのOリング11bが設けられている。アウターチューブ1とインナーチューブ2とマニホールド15により反応容器が形成される。
【0012】
複数枚のウエハ4が装填される支持具としての石英製又はSiC製のボート3は、ウエハ4を処理する際に、図1に示されているようにインナーチューブ2内に収容される。ウエハ4が反応ガスに晒された時に、気相中およびウエハ4表面での反応により、ウエハ4表面上に膜が形成される。なお、ボート3の複数枚のウエハ4が装填される領域よりも下方の領域に装填される複数枚の断熱板5は、ウエハ4が存在するウエハ配列領域内の温度を均一化するためのものである。
【0013】
また、図1中、10はボート回転軸であり、ステンレス製の蓋(シールキャップ)11を貫通して、回転機構17に連結されている。また、蓋11は搬入搬出装置(昇降装置)としてのボートエレベータ18に連結されている。このボートエレベータ18により、ボート3、回転軸10、蓋11及び回転機構17が一体となって昇降させられ、ボート3を反応炉12内(処理室1a内)に搬入し、あるいは反応炉12内から搬出させるようになっている。蓋11は、ボート3を反応炉12内に搬入した状態において、マニホールド15にシール部材としてのOリング11aを介して密着して反応炉12内を密閉するようになっている。また、回転機構17により、回転軸10を介してボート3が反応炉12内で回転させられるようになっている。
【0014】
なお、ボート3には、ウエハ4を支持するスロットが、複数個、例えば100〜200
個設けられている。一番下のスロットから数えて例えば5〜10スロット目までが下部ダミー領域D1であり、この下部ダミー領域D1に属するスロットにはダミーウエハ4が支持される。また、一番上のスロットから数えて例えば5〜10スロット目までが上部ダミー領域D2であり、この上部ダミー領域D2に属するスロットにはダミーウエハ4が支持される。また、下部ダミー領域D1と上部ダミー領域D2との間の領域が製品ウエハ領域Pであり、この製品ウエハ領域Pに属するスロットには製品ウエハ4が支持される。なお、ボート3のウエハ配列領域(D2、P、D1)よりも下方には、複数枚の断熱板5を支持する複数のスロットが設けられており、断熱板5は、後述する4つに分かれたヒータゾーンのうちLゾーンに対応するヒータ6dよりも下側に配置される。また、図1中のトップ領域T、センター領域C、ボトム領域Bとは、それぞれ、製品ウエハ領域Pにおける上部領域、中央部領域、底部領域のことを示している。
【0015】
また、ヒータ6の4つに分かれたヒータゾーンのうち、一番下のL(Lower)ゾーン(ヒータ6dに対応)は製品ウエハ4が存在せず下部ダミーウエハ4だけが存在する領域に対応しており、下から二番目のCL(Center Lower)ゾーン(ヒータ6cに対応)は下部ダミーウエハ4と製品ウエハ4とが混在する領域に対応しており、下から三番目すなわち上から二番目のCU(Center Upper)ゾーン(ヒータ6bに対応)は製品ウエハ4と上部ダミーウエハ4とが混在する領域に対応しており、下から四番目すなわち一番上のU(Upper)ゾーン(ヒータ6aに対応)は製品ウエハ4とダミーウエハ4が共に存在しない領域に対応している。
【0016】
シリコン原子(Si)含有ガスとしてのモノシラン(SiH)ガスを供給するノズル13は、例えば石英製であり、長さの異なるものが複数本反応炉12内に設けられており、それぞれがマニホールド15を貫通するようにマニホールド15に取り付けられている。ノズル13は複数本、ここでは合計5本設けられており、そのうちの1本のノズル(ショートノズル)13aは、ヒータと対向する領域より下方であって反応管下方のマニホールド15と対向する領域に設けられている。その他の4本のノズル(ロングノズル)13bは、少なくとも一部がヒータ6と対向する領域に設けられており、それぞれのガス噴出口(先端部)が垂直方向において重ならない位置に、ここでは等間隔に設けられており、SiHガスを処理室1a内の垂直方向における複数箇所から途中供給可能に構成されている。なお、ノズル13aは、ガス噴出口が水平方向を向くように開口しており、SiHガスをウエハ表面と平行な方向、すなわち水平方向に向かって噴出させるように構成されている。また、ノズル13bは、ガス噴出口が鉛直方向上方を向くように開口しており、SiHガスをウエハ表面と垂直な方向、すなわち鉛直方向に向かって噴出させるように構成されている。5本のノズル13は、5本に別れたガスライン20に接続されている。このガスライン20は、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ21及びバルブ22を介してモノシラン(SiH)ガス源23に接続されている。この構成により、SiHガスの供給流量、濃度、分圧を処理室1a内の各位置において制御することができる。主に、モノシランガス源23、バルブ22、マスフローコントローラ21、ガスライン20、ノズル13により、ガス供給系としてのシリコン原子含有ガス供給系が構成される。
【0017】
ボロン原子(B)含有ガスとしての三塩化ホウ素(BCl)ガスを供給するノズル14は、例えば石英製であり、長さの異なるものが複数本反応炉12内に設けられており、それぞれがマニホールド15を貫通するようにマニホールド15に取り付けられている。ノズル14は複数本、ここでは合計5本設けられており、そのうちの1本のノズル(ショートノズル)14aは、ヒータと対向する領域より下方であって反応管下方のマニホールド15と対向する領域に設けられている。その他の4本のノズル(ロングノズル)14bは、少なくとも一部がヒータ6と対向する領域に設けられており、それぞれのガス噴出口(先端部)が垂直方向において重ならない位置に、ここでは等間隔に設けられており、B
Clガスを処理室1a内の垂直方向における複数箇所から途中供給可能に構成されている。なお、ノズル14aは、ガス噴出口が水平方向を向くように開口しており、BClガスをウエハ表面と平行な方向、すなわち水平方向に向かって噴出させるように構成されている。また、ノズル14bは、ガス噴出口が鉛直方向上方を向くように開口しており、BClガスをウエハ表面と垂直な方向、すなわち鉛直方向に向かって噴出させるように構成されている。また、BClガスを供給するノズル14a、14bの形状と、SiHガスを供給するノズル13a、13bの形状は、それぞれ同一形状であり、ノズル14a、14bのガス噴出口(先端部)と、ノズル13a、13bのガス噴出口(先端部)は、それぞれ垂直方向において同じ位置(同じ高さ)に配置されている。5本のノズル14は、5本に別れたガスライン27に接続されている。このガスライン27は、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ28及びバルブ29を介して三塩化ホウ素(BCl)ガス源30に接続されている。この構成により、BClガスの供給流量、濃度、分圧を処理室1a内の各位置において制御することができる。主に、三塩化ホウ素ガス源30、バルブ29、マスフローコントローラ28、ガスライン27、ノズル14により、ガス供給系としてのボロン原子含有ガス供給系が構成される。
【0018】
ゲルマニウム原子(Ge)含有ガスとしてのモノゲルマン(GeH)ガスを供給するノズル13は、シリコン原子含有ガスとしてのモノシラン(SiH)ガスを供給するノズル13と共用としている。5本のノズル13は、5本に別れたガスライン20を介して5本に別れたガスライン51にそれぞれ接続されている。このガスライン51は、流量制御器(流量制御手段)としてのマスフローコントローラ52及びバルブ53を介してモノゲルマン(GeH)ガス源54に接続されている。この構成により、GeHガスの供給流量、濃度、分圧を処理室1a内の各位置において制御することができる。主に、モノゲルマンガス源54、バルブ53、マスフローコントローラ52、ガスライン51、ノズル13により、ガス供給系としてのゲルマニウム原子含有ガス供給系が構成される。
【0019】
前述したメカニカルブースタポンプ7とドライポンプ8とは、一端がマニホールド15に接続された排気管16に設けられている。さらに、この排気管16には圧力検出器としての圧力センサ19と、メインバルブ9が設けられている。このメインバルブ9には、APC(automatic pressure control)バルブが用いられており、圧力センサ19により検出された圧力に基づいて反応炉12内の圧力を所定値となるよう自動的に弁の開度を調節するようになっている。
【0020】
なお、ヒータ6(6a〜6d)、メインバルブ9、メカニカルブースタポンプ7、ドライポンプ8、マスフローコントローラ21、24、28、42、バルブ22、25、29、43、ボートエレベータ18、回転機構17等の基板処理装置を構成する各部の動作の制御は、制御部(制御手段)としてのコントローラ31により行う。
【0021】
次に上記基板処理装置を用いて、半導体装置の製造工程の一工程として基板上に、第一膜として膜中にゲルマニウム原子割合が大きいボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜し、第一膜上に、第二膜としてボロンドープシリコン膜を成膜して抵抗膜を形成する際の成膜方法について説明する。成膜手順を図2に示す。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ31により制御される。
【0022】
まず搬入工程について説明する。ステップS10において、複数枚のウエハ4をボート3に装填(投入)し、ステップS12において、リアクター内、すなわち反応炉12内を処理温度に安定化させた後、ステップS14においてウエハ4を装填したボート3を反応炉12内、すなわち処理室1a内に搬入する。次にステップS16において処理室1a内の排気を開始し、ステップS18において、ボート3やチューブ1、2に吸着した水分等を脱離させるために窒素(N)ガスパージを行う。すなわち、ノズル40より処理室1
a内にNガスを供給しつつ排気管16より処理室1a内を排気する。
【0023】
次に所定の膜厚を有する抵抗膜を形成する工程について述べる。まず、抵抗膜は第一成膜工程で第一膜を成膜してその後、第二成膜工程で第二膜を成膜して形成する。
まず、第一成膜工程について説明する。ステップS20において第一膜を成膜する為、SiHガスとBClガスとGeHガスの供給流量を所定のガス比率になるようにガスマスフローコントローラ21及びマスフローコントローラ28及びマスフローコントローラ52を設定し、ノズル13、ノズル14より処理室1a内にSiHガスとBClガスとGeHガスをそれぞれ供給しつつ排気管16より処理室1a内を排気して処理室1a内の圧力を安定化させ、ステップS22において、熱CVD法によりウエハ4上に第一膜としてボロンドープシリコンゲルマニウム膜、すなわち、ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜の成膜を行う。第一膜の膜厚が所定の膜厚になったところで第一成膜工程は完了する。
【0024】
続いて第二成膜工程について説明する。第一成膜工程が完了後、第一膜上に第二膜を成膜する為にステップS24において、マスフローコントローラ52を設定してGeHガスの供給を停止しつつ、SiHガスとBClガスの供給流量を所定のガス比率になるようにガスマスフローコントローラ21及びマスフローコントローラ28を設定し、ノズル13、ノズル14より処理室1a内にSiHガス、BClガスをそれぞれ供給しつつ排気管16より処理室1a内を排気して処理室1a内の圧力を安定化させ、熱CVD法により第一膜上に第二膜としてボロンドープシリコン膜、すなわち、ボロンドープポリシリコン膜の成膜を行う。第一膜及び第二膜で形成する抵抗膜の膜厚が所定の膜厚になったところで第二成膜工程は完了する。
【0025】
第一膜で膜中のゲルマニウム原子割合が大きい膜を形成することでポリ化(多結晶化)を促進させ、その第一膜上に成膜する第二膜は第一膜に応じてポリ化(多結晶化)ができる為、従来技術でポリ化(多結晶化)する為には処理温度500℃以下で処理する必要があったが、更に低温条件の処理温度(480℃以下)でゲルマニウム原料の使用量を抑制しつつポリ化(多結晶化)を行なうことができる。また従来ゲルマニウム原子のグレインサイズが大きい為、例えばボロンシリコンゲルマニウム単膜のようにゲルマニウム原子が膜中に過剰に存在するとポリ化(多結晶化)した膜表面は大きな凹凸を生じ、形成した膜とその膜の上部に成膜される金属膜との結合力が弱くなることでデバイスの生産性悪化(歩留まり悪化)の問題が発生していたが、本実施形態で第二膜のボロンドープポリシリコン膜を成膜することで抵抗膜中のゲルマニウム原子割合を最適な量にすることができ、第二膜が凹凸の小さいポリ化(多結晶化)した膜表面を形成するため、形成する抵抗膜表面とその抵抗膜上部に形成される金属膜との結合力が強くなり、デバイスの生産性悪化(歩留まり悪化)の問題を解決することができる。
また第一膜としてボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜し、第一膜上に第二膜としてボロンドープシリコン膜を成膜して抵抗膜を形成する際に、第一膜と第二膜とを成膜して所定の膜厚を有する抵抗膜を形成し抵抗膜中の第一膜の膜厚の割合を変更して、所定の抵抗値を確保できる。
【0026】
最後に、搬出工程について説明する。第二成膜工程を完了後、ステップS26において、反応管内及び配管内をNガスでサイクルパージし、ステップS28において、リアクター内、すなわち処理室1a内に所定の供給量になるようにマスフローコンローラ24を設定してNガスを供給して処理室1a内を大気圧まで戻す。処理室1a内が大気圧に戻ったら、ステップS30において成膜後のウエハ4を支持したボート3を処理室1a内から処理室1a外へ搬出し、ステップS32において成膜後のウエハ4を自然冷却する。最後にステップS34において成膜後のウエハ4をボート3から取り出す。
【0027】
なお、一例まで、本実施形態の反応炉12にてウエハ4を処理する際の処理条件、すなわちウエハ4上に第一膜としてボロンドープポリシリコンゲルマニウム(B Doped Poly-SiGe)膜を成膜する際の処理条件としては、
処理温度:400〜480℃、
処理圧力:10〜200Pa、
SiHガス供給流量(合計):100〜2000sccm、
GeHガス供給流量(合計):100〜5000sccm、
BClガス供給流量(合計):0.1〜500sccm、
が例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハ4に成膜処理がなされる。
【0028】
また、一例まで、本実施形態の反応炉12にて第一膜上に第二膜としてボロンドープポリシリコン(B Doped Poly-Si)膜を成膜する際の処理条件としては、
処理温度:400〜480℃、
処理圧力:10〜200Pa、
SiHガス供給流量(合計):100〜2000sccm、
BClガス供給流量(合計):0.1〜500sccm、
が例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハ4に成膜処理がなされる。
【0029】
上述の実施形態では、第一膜としてボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜する際に、シリコン原子含有ガスとしてSiHガスを用い、ボロン原子含有ガスとしてBClガスを用い、ゲルマニウム原子含有ガスとしてGeHガスを用いる例について説明したが、シリコン原子含有ガスとしてはSiガスやSiHClガスを用いてもよく、ボロン原子含有ガスとしてはBガスやBFガスを用いてもよく、ゲルマニウム原子含有ガスとしてGeガスを用いるようにしてもよい。
【0030】
また上述の形態では、第二膜としてボロンドープシリコン膜を成膜する際にシリコン原子含有ガスとしてSiHガスを用い、ボロン原子含有ガスとしてBClガスを用いる例について説明したが、シリコン原子含有ガスとしてはSiガスやSiHClガスを用いてもよく、ボロン原子含有ガスとしてはBガスやBFガスを用いるようにしてもよい。
【0031】
ところで、 IC、LSI等の半導体装置(デバイス)を製造する工程においては、例えば減圧CVD法(化学気相成長法)によって、縦型減圧CVD装置を用いて、基板上に膜を形成することが行われているが、近年、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)の電荷を蓄積するキャパシタ部分と、上部配線との接合に用いられるドーピングされたポリシリコンの処理温度の低温化(500℃以下)が進み、低温でキャリアの活性化が可能なボロン原子をドープしたポリシリコン膜、すなわち、ボロンドープポリシリコン膜や、ボロン原子をドープしたポリシリコンゲルマニウム膜、すなわち、ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜が用いられている。これらの膜は、例えば500℃以下の処理温度で、成膜後の熱処理を実施することなくキャリアの活性化が可能なため、ロジック・トランジスタやキャパシタの劣化を抑えることが可能となっている。
【0032】
一方、半導体デバイスの微細化に伴い、デバイス間の上部配線幅は年々縮まっており、上部配線との接合に用いられるドーピングされたポリシリコンの表面モフォロジが悪化すると、上部配線の断線や、接合部の抵抗値増大といった問題が発生する。またウエハ面内や面間方向での膜特性としての膜厚値やシート抵抗及び抵抗率の均一性が悪化すると、デバイスの生産性悪化(歩留まり悪化)といった問題が発生する。また量産現場においては、毎生産バッチでの膜特性が均一に安定して得られることと、生産バッチにかかるコスト
をできる限り低く抑えることが必須条件であり、生産性を改善する上での重要なファクターとなっている。
【0033】
本発明者は、ボロンドープシリコンゲルマニウム膜の膜中のゲルマニウム原子割合が過剰に大きいことがポリシリコンの表面モフォロジの悪化につながり、この為、金属膜との結合力が弱まることと、バッチ間の膜特性が不安定になることに起因していることを知得した。
【0034】
そこで、ボロンドープシリコンゲルマニウム膜中のゲルマニウム原子割合を抑制しつつ、低温条件(480℃以下)でのポリ化(多結晶化)を行う為、基板上に第一膜として膜中にゲルマニウム原子割合が大きい、つまり高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜し、第一膜上に第二膜としてボロンドープシリコン膜を成膜して抵抗膜を形成する成膜方法を行なった。これにより低温条件(480℃以下)において金属膜との結合力を保ったままポリ化(多結晶化)することができるようになった。
【0035】
本実施形態によれば、以下に示す効果のうち少なくとも1つ以上の効果を奏する
・ 第一膜で高濃度のゲルマニウム原子を含有する膜を形成することでポリ化(多結晶化)を促進させ、その第一膜上に成膜する第二膜は第一膜に応じてポリ化(多結晶化)ができる為、従来技術でポリ化(多結晶化)する為には処理温度500℃以下で処理する必要があったが、更に低温条件の処理温度(480℃以下)でゲルマニウム原料の使用量を抑制しつつポリ化(多結晶化)を行なうことができる。例えばボロンドープシリコンゲルマニウム単膜では、ゲルマニウム原子のグレインサイズが大きい為ゲルマニウム原子割合が大きい場合、下地膜表面に均一にポリ化(多結晶化)できず、成膜後の膜表面は大きな凹凸が発生し、その膜上部に成膜される金属膜との結合力は弱くなる問題があった。本実施形態により均一にポリ化(多結晶化)し、平坦な表面を有する抵抗膜ができる。これにより金属膜との結合力が強くなり、デバイスの生産性向上(歩留まり向上)になる。尚低温条件では、ポリ化(多結晶化)せずアモルファス状態の膜ができ、アモルファス状態では導電することができないが、本実施形態の抵抗膜を形成することで低温条件でもポリ化(多結晶化)することができ、導電することができる。
第一膜として高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜し、第一膜上に第二膜としてボロンドープシリコン膜を成膜して抵抗膜を形成する際に第一膜と第二膜とを成膜して所定の膜厚を有する抵抗膜を形成し抵抗膜中の第一膜の膜厚の割合を変更して、所定の抵抗値を確保できる。
(3)また、ボロンドープシリコンゲルマニウム単膜で連続バッチ間での膜厚と抵抗率は不安定であったが、本実施形態の抵抗膜を形成することで金属膜との結合力が強くなり連続バッチ間での膜厚と抵抗率の安定性は向上できる。
(4)所定の膜厚の範囲に応じ、ゲルマニウム原料の使用量を抑制しつつ、所定の膜厚及び膜特性を確保することができる。
(5)金属膜同士が結合する場合、ボイド発生率が高く、デバイス強度が弱まってしまう問題があった。金属膜間に上述の抵抗膜を形成することによりボイド発生率を低減し、デバイス強度を高めることができる。
(6)シリコン膜中にボロン原子を含有しつつ成膜することができる為、成膜処理後に高温イオン注入処理は不要になり、その後の高温での熱処理も行なう必要なくボロンドープシリコン膜を成膜することができ、成膜時のサーマルバジェットの問題を抑制することができる。
【0036】
また、上述の形態では第一膜を成膜し連続して第二膜の成膜を行なっているが、この場合、処理室内に残留しているゲルマニウム原子による第二膜へのオートドープの影響が考えられ、第二膜に微量のゲルマニウム原子が含有してしまい、目的の抵抗膜を安定して成膜することが困難になる。これを解決する為に、第一膜を成膜後、ガスマスフローコン
トローラ21及びマスフローコントローラ28及びマスフローコントローラ52を設定してSiHガスとBClガスとGeHガスの供給を停止し、一度処理室1a内を真空置換し、残留しているゲルマニウム原子を排気した後、SiHガスとBClガスの供給流量をガスマスフローコントローラ21及びマスフローコントローラ28で設定して、ノズル13、ノズル14より処理室1a内にSiHガス、BClガスをそれぞれ供給しつつ排気管16より処理室1a内を排気して処理室1a内の圧力を安定化させ、熱CVD法により第一膜上に第二膜としてボロンドープシリコン膜、すなわち、ボロンドープポリシリコン膜の成膜を行なうことが望ましい。これにより第一膜の成膜完了後に残留しているゲルマニウム原子による第二膜へのオートドープ発生を抑制し、目的の抵抗膜を安定して成膜することができる。
【0037】
(第2実施形態)
第1実施形態で、第二膜はボロンドープシリコン膜としたが、ゲルマニウム原子を含有した、ボロンドープシリコンゲルマニウム膜にしても良い。但し、第二膜のゲルマニウム原子割合は第一膜のゲルマニウム原子割合より小さいとする。基板処理装置の構成は、第1実施形態における基板処理装置の構成と同一である。よって、ここでは、その説明を省略する。
【0038】
次に上記基板処理装置を用いて、半導体装置の製造工程の一工程として基板上に、第一膜としてゲルマニウム原子割合の大きい、つまり高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコン膜を成膜し、第一膜上に、第二膜として第一膜よりゲルマニウム原子割合の小さい、つまり低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜して抵抗膜を形成する際の成膜方法について説明する。成膜手順は第1実施形態(図2)に類似している。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ31により制御される。
【0039】
まず搬入工程について説明する。ステップS10において、複数枚のウエハ4をボート3に装填(投入)し、ステップS12において、リアクター内、すなわち反応炉12内を成膜温度に安定化させた後、ステップS14においてウエハ4を装填したボート3を反応炉12内、すなわち処理室1a内に搬入する。次にステップS16において処理室1a内の排気を開始し、ステップS18において、ボート3やチューブ1、2に吸着した水分等を脱離させるために窒素(N)ガスパージを行う。すなわち、ノズル40より処理室1a内にNガスを供給しつつ排気管16より処理室1a内を排気する。
【0040】
次に所定の膜厚を有する抵抗膜を形成する工程について述べる。まず、抵抗膜は第一成膜工程で第一膜を成膜してその後、第二成膜工程で第二膜を成膜して形成する。
まず、第一成膜工程について説明する。ステップS20において第一膜を成膜する為、SiHガスとBClガスとGeHガスの供給流量を所定のガス比率になるようにガスマスフローコントローラ21及びマスフローコントローラ28及びマスフローコントローラ52を設定し、ノズル13、ノズル14より処理室1a内にSiHガスとBClガスとGeHガスをそれぞれ供給しつつ排気管16より処理室1a内を排気して処理室1a内の圧力を安定化させ、ステップS22において、熱CVD法によりウエハ4上に第一膜としてゲルマニウム原子割合の大きい高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜、すなわち、高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜の成膜を行う。第一膜の膜厚が所定の膜厚になったところで第一成膜工程は完了する。
【0041】
続いて第二成膜工程について説明する。第一成膜工程が完了後、第一膜上に第二膜を成膜する為にステップS24において、SiHガスとBClガスとGeHガスの供給流量を所定のガス比率になるようにガスマスフローコントローラ21及びマスフローコン
トローラ28及びマスフローコントローラ52を設定し、ノズル13、ノズル14より処理室1a内にSiHガス、BClガス、GeHガスをそれぞれ供給しつつ排気管16より処理室1a内を排気して処理室1a内の圧力を安定化させ、熱CVD法により第一膜上に第二膜として第一膜よりゲルマニウム原子割合の小さい低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜、すなわち、低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜の成膜を行う。第一膜及び第二膜で形成する抵抗膜の膜厚が所定の膜厚になったところで第二成膜工程は完了する。
【0042】
第一膜で膜中のゲルマニウム原子割合が大きい膜を形成することでポリ化(多結晶化)を促進させ、その第一膜上に成膜する第二膜は第一膜に応じてポリ化(多結晶化)ができる為、従来技術ではポリ化(多結晶化)する為には処理温度500℃以下で処理する必要があったが、更に低温条件の処理温度(480℃以下)でゲルマニウム原料の使用量を抑制しつつポリ化(多結晶化)を行なうことができる。また従来ゲルマニウム原子のグレインサイズが大きい為例えばボロンシリコンゲルマニウム単膜のようにゲルマニウム原子が膜中に過剰に存在するとポリ化(多結晶化)した膜表面は大きな凹凸を生じ、形成した膜とその膜の上部に成膜される金属膜との結合力が弱くなることでデバイスの生産性悪化(歩留まり悪化)の問題が発生していたが、本実施形態で第二膜の低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜を成膜することで膜中のゲルマニウム原子割合を最適な量にすることができ、第二膜が凹凸の小さいポリ化(多結晶化)した膜表面を形成するため、形成する抵抗膜表面とその抵抗膜上部に形成される金属膜との結合力が強くなり、デバイスの生産性悪化(歩留まり悪化)の問題を解決することができる。
また第一膜として高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜し、第一膜上に第二膜として低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜して抵抗膜を形成する際に、第一膜と第二膜とを成膜して所定の膜厚を有する抵抗膜を形成し抵抗膜中の第一膜の膜厚の割合を変更して、所定の抵抗値を確保できる。また第二膜に低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜することでゲルマニウム原子が抵抗膜中に存在することになる。これにより抵抗率値の小さい抵抗膜を形成できることや成膜する時の処理温度を更に低温化できることが考えられる。
【0043】
最後に、搬出工程について説明する。第二成膜工程を完了後、ステップS26において、反応管内及び配管内をNガスでサイクルパージし、ステップS28において、リアクター内、すなわち処理室1a内に所定の供給量になるようにマスフローコンローラ24を設定してNガスを供給して処理室1a内を大気圧まで戻す。処理室1a内が大気圧に戻ったら、ステップS30において成膜後のウエハ4を支持したボート3を処理室1a内から処理室1a外へ搬出し、ステップS32において成膜後のウエハ4を自然冷却する。最後にステップS34において成膜後のウエハ4をボート3から取り出す。
【0044】
なお、一例まで、本実施形態の反応炉12にてウエハ4を処理する際の処理条件、すなわちウエハ4上に第一膜として成膜する高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム(B Doped Poly-SiGe)膜の処理条件としては、
処理温度:400〜480℃、
処理圧力:10〜200Pa、
SiHガス供給流量(合計):100〜2000sccm、
GeHガス供給流量(合計):100〜5000sccm、
BClガス供給流量(合計):0.1〜500sccm、
が例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハ4に成膜処理がなされる。
【0045】
なお、一例まで、本実施形態の反応炉12にて第一膜上に第二膜として成膜する低濃度
ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム(B Doped Poly-SiGe)膜の処理条件としては
処理温度:400〜480℃、
処理圧力:10〜200Pa、
SiHガス供給流量(合計):100〜2000sccm、
GeHガス供給流量(合計):100〜5000sccm、
BClガス供給流量(合計):0.1〜500sccm、
が例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハ4に成膜処理がなされる。
但し第二膜は第一膜よりゲルマニウム原子の割合が小さい、つまり低濃度ゲルマニウム原子含有膜である為、第二膜のGeHガスの供給量の最大供給量の上限は第一膜のGeHガス供給量の最大供給量上限より小さくなる。
【0046】
上述の実施の形態では、第一膜として高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜する際に、シリコン原子含有ガスとしてSiHガスを用い、ボロン原子含有ガスとしてBClガスを用い、ゲルマニウム原子含有ガスとしてGeHガスを用いる例について説明したが、シリコン原子含有ガスとしてはSiガスやSiHClガスを用いてもよく、ボロン原子含有ガスとしてはBガスやBFガスを用いてもよく、ゲルマニウム原子含有ガスとしてGeガスを用いるようにしてもよい。
【0047】
同様に、上述の形態では、第二膜として低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜する際にシリコン原子含有ガスとしてSiHガスを用い、ボロン原子含有ガスとしてBClガスを用い、ゲルマニウム原子含有ガスとしてGeHガスを用いる例について説明したが、シリコン原子含有ガスとしてはSiガスやSiHClガスを用いてもよく、ボロン原子含有ガスとしてはBガスやBFガスを用いてもよく、ゲルマニウム原子含有ガスとしてGeガスを用いるようにしてもよい。
【0048】
本実施形態によれば、以下に示す効果のうち少なくとも1つ以上の効果を奏する
(1)第一膜で高濃度のゲルマニウム原子を含有する膜を形成することでポリ化(多結晶化)を促進させ、その第一膜上に成膜する第二膜は第一膜に応じてポリ化(多結晶化)ができる為、従来技術でポリ化(多結晶化)する為には処理温度500℃以下で処理する必要があったが、更に低温条件の処理温度(480℃以下)でゲルマニウム原料の使用量を抑制しつつポリ化(多結晶化)を行なうことができる。例えばボロンドープシリコンゲルマニウム単膜では、ゲルマニウム原子のグレインサイズが大きい為ゲルマニウム原子割合が大きい場合、下地膜表面に均一にポリ化(多結晶化)できず、成膜後の膜表面は大きな凹凸が発生し、その膜上部に成膜される金属膜との結合力は弱くなる問題があったが、本実施形態により均一にポリ化(多結晶化)し、平坦な表面を有する抵抗膜ができる。これにより金属膜との結合力が強くなり、デバイスの生産性向上(歩留まり向上)になる。尚低温条件では、ポリ化(多結晶化)せずアモルファス状態の膜ができ、アモルファス状態では導電することができないが、本実施形態の抵抗膜を形成することで低温条件でもポリ化(多結晶化)することができ、導電することができる。
(2)第一膜として高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜し、第一膜上に第二膜として低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜して抵抗膜を形成する際に第一膜と第二膜とを成膜して所定の膜厚を有する抵抗膜を形成し抵抗膜中の第一膜の膜厚の割合を変更して、所定の抵抗値を確保できる。また第二膜に低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜することでゲルマニウム原子が抵抗膜中に存在することになる。これにより抵抗率値の小さい抵抗膜を形成できることや成膜する時の処理温度を更に低温化できることが考えら
れる。
(3)また、ボロンドープシリコンゲルマニウム単膜で連続バッチ間での膜厚と抵抗率は不安定であったが、本実施形態の抵抗膜を形成することで金属膜との結合力が強くなり連続バッチ間での膜厚と抵抗率の安定性は向上できる。
(4)所定の膜厚の範囲に応じ、ゲルマニウム原料の使用量を抑制しつつ、所定の膜厚及び膜特性を確保することができる。
(5)金属膜同士が結合する場合、ボイド発生率が高く、デバイス強度が弱まってしまう問題があった。金属膜間に上述の抵抗膜を形成することによりボイド発生率を低減し、デバイス強度を高めることができる。
(6)シリコン膜中にボロン原子を含有しつつ成膜することができる為、成膜処理後に高温イオン注入処理は不要になり、その後の高温での熱処理も行なう必要なくボロンドープシリコン膜を成膜することができ、成膜時のサーマルバジェットの問題を抑制することができる。
【0049】
また、上述の形態では第一膜を成膜し連続して第二膜の成膜を行なっているが、この場合、処理室内に残留しているゲルマニウム原子による第二膜へのオートドープの影響が考えられ、第二膜に微量のゲルマニウム原子が含有してしまい第二膜のゲルマニウム原子が多くなってしまうことで、目的の抵抗膜を安定して成膜することが困難になる。これを解決する為に、第一膜を成膜後、ガスマスフローコントローラ21及びマスフローコントローラ28及びマスフローコントローラ52を設定してSiHガスとBClガスとGeHガスの供給を停止し、一度処理室1a内を真空置換し、残留しているゲルマニウム原子を排気した後、SiHガスとBClガスの供給流量を所定のガス比率になるようにガスマスフローコントローラ21及びマスフローコントローラ28及びマスフローコントローラ52で設定して、ノズル13、ノズル14より処理室1a内にSiHガス、BClガスをそれぞれ供給しつつ排気管16より処理室1a内を排気して処理室1a内の圧力を安定化させ、熱CVD法により第一膜上に第二膜として低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜、すなわち、低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜の成膜を行なうことが望ましい。これにより第一膜の成膜完了後に残留しているゲルマニウム原子による第二膜へのオートドープ発生を抑制し、目的の抵抗膜を安定して成膜することができる。
【0050】
上述の形態では、第一膜と第二膜で二つの膜で形成する抵抗膜を形成したが、第一膜を成膜時に供給するゲルマニウム原子含有ガスを徐々に減少しつつ成膜を実施して成膜完了時に供給を停止するようにして徐々にゲルマニウム原子割合を減少して成膜してもよい。これにより、抵抗膜は一つの膜で形成することができる。また残留しているゲルマニウム原子のオートドープの問題を軽減することができ、それに伴う処理室内の真空置換することが必要なく、処理時間を短縮することができつつ、生産性を向上ができると考えられる。
【0051】
尚、本発明はGeHガスを供給するノズルを、SiHガスを供給するノズルと共用とする例について説明したが、GeHガスを供給するノズルは、SiHガスを供給するノズルとは別々に設けるようにしてもよい。
【0052】
尚、本発明は第一膜を成膜する第一成膜工程と第二膜を成膜する第二成膜工程とは、前記処理室内の温度を変動させても良いが一定の温度で制御することが望ましい。温度を変更し、温度が安定するまでには所定時間が必要となる。第一及び第二成膜工程での処理温度を一定とすることは異なる温度で処理した時と比べ設定温度に安定するために必要な時間を短縮することができ、生産性を向上できる。
【0053】
尚、本発明はバッチ式装置に限らず枚葉式装置にも適用できる。
【0054】
(実施例)
図1に示す第1実施形態の基板処理装置を用いて、12インチウエハに対してウエハ上に第一膜としてボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜を成膜し、第一膜上に第二膜としてボロンドープポリシリコン膜を成膜して抵抗膜を形成した。尚、第一膜の成膜条件は処理温度:450℃、処理圧力:40Pa、第二膜の成膜条件は処理温度:450℃、処理圧力:60Paとした。
【0055】
図3に上述のような抵抗膜を形成した時の抵抗膜全体の抵抗率と、抵抗膜中のボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜の膜厚割合との関係を示す。縦軸に抵抗率、横軸に抵抗膜構造を形成する膜全体の膜厚(ボロンドーププリシリコンゲルマニウム膜の膜厚とボロンドープポリシリコン膜の膜厚の和、THKBdopePolySiGe+THKBdopePolySi)に対するボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜の膜厚(THKBdopePolySiGe)の割合(THKBdopePolySiGe/(THKBdopePolySiGe+THKBdopePolySi))を示している。また図4に抵抗膜の構造の例を示す。
【0056】
図3に示すように抵抗膜中のボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜の膜厚割合の増加に従い、抵抗率は減少する傾向が見られる。これはバンドギャップの違いからゲルマニウム原子のほうがシリコン原子よりもキャリア移動度が高いため、ゲルマニウム原子を含有する第一膜の膜厚が増加するに従い、ゲルマニウム原子割合は増加する為、抵抗膜全体の抵抗率が低下すると考えられる。またこれにより抵抗膜を形成する時に、第一膜と第二膜とを成膜して所定の膜厚を有する抵抗膜を形成し抵抗膜中の第一膜の膜厚の割合を変更して、所定の抵抗率を確保できる。
【0057】
次に様々な成膜条件で抵抗膜を形成した場合のポリ化(多結晶化)の様子について述べる。
まず、第一条件として、第一膜の高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜と第二膜のボロンドープシリコン膜で抵抗膜を形成した場合を述べる。
【0058】
図5は第一条件において第一膜のゲルマニウム原子割合、つまりゲルマニウム原子含有濃度(以下ゲルマニウム原子含有濃度と示す)を変更した場合の抵抗率とゲルマニウム原子含有濃度の関係を示す。またそれぞれの条件で抵抗膜を形成した時の表面モフォロジの観察結果を示す。 尚、第一又は第二膜の成膜条件は処理温度:450℃、処理圧力:第一膜が40Pa、第二膜が60Paとした。
図5は縦軸に抵抗膜の抵抗率(抵抗膜の膜厚値とシート抵抗値の積、μohm・cm)で、横軸は第一膜のゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜のゲルマニウム原子含有濃度(原子百分率、以下at%で示す)を示し、丸印(●)は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した時のそれぞれの第一膜のゲルマニウム原子含有濃度における抵抗率を示している。また、それぞれの条件で形成した抵抗膜の表面モフォロジ観察の結果も示す。
図5より抵抗率は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなるに従い低下する傾向が見られる。これはゲルマニウム原子の原料ガスであるモノゲルマンのほうがモノシランよりもガス分解温度が低いため、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなることで、より分解されたガスの割合が増加し、結晶の核付けが容易になりポリ化(多結晶化)するためである。またバンドギャップの違いからゲルマニウム原子のほうがシリコン原子よりもキャリア移動度が高いため、ゲルマニウム原子含有濃度が高いほど抵抗率が低下していると考えられる。また、それぞれの条件で形成した抵抗膜の表面モフォロジの結果についても、同様にゲルマニウム原子含有濃度が高くなるにつれて不連続な部分が少なくなり、ポリ化(多結晶化)していることが分かる。
【0059】
次に、上述の抵抗膜の形成した条件において連続バッチ間の膜特性の安定性評価の結果について述べる。図6は連続バッチ間の膜厚の安定性について、図7は連続バッチ間の抵抗率の安定性について示す。ここで対象とする膜は、上述の抵抗膜を形成する条件の内、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が7at%の場合と29at%の場合である。ここで安定性を示す指標としてRtR値(対象となる値のバラつき度合と平均値との商)で示し、この値が±1.0%以下の値である時、連続バッチ間で膜特性が安定であるとする。図6は縦軸に膜厚(nm)と横軸にバッチ回数を示すRUN No.とし、丸印(●)は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度7at%の場合、四角印(■)は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度29at%の場合をあらわしている。また図6中に各条件におけるRtR値を示し、ゲルマニウム原子含有濃度7at%の場合は±1.38%、ゲルマニウム原子含有濃度29at%の場合は±0.24%となる。
【0060】
続いて図7は縦軸に抵抗率(μohm・cm)と横軸にバッチ回数を示すRUN No.とし、丸印(●)はゲルマニウム原子含有濃度7at%の場合、四角印(■)はゲルマニウム原子含有濃度29at%の場合をあらわしている。また図7中に各条件におけるRtR値を示し、ゲルマニウム原子含有濃度7at%の場合は±2.73%、ゲルマニウム原子含有濃度29at%の場合は±0.41%となる。
【0061】
図6と図7に示すように、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなることでRtR値は±1.0%以下になり、連続バッチ間における膜厚と抵抗率は共に安定していることが分かる。これより、形成する抵抗膜の第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高いことが重要であり、抵抗膜の第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高濃度であることは低温条件(480℃以下)において、容易にポリ化(多結晶化)し、連続バッチ間の膜特性の安定性を向上することができる。
【0062】
次に第二条件として、第一膜の高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜と第二膜の第一膜よりゲルマニウム原子割合の小さい、つまり低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜で抵抗膜を形成した場合において述べる。
【0063】
図8は第一膜の高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜と第二膜の低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜で形成した抵抗膜において第一膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した場合の抵抗率と第一膜のゲルマニウム原子含有濃度の関係を示す。この時の第二膜のゲルマニウム原子含有濃度は29at%とし、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度の変更による抵抗率の結果の検討を行なった。尚、第一又は第二膜の成膜条件は処理温度:450℃、処理圧力:40Pa、とした。図8は縦軸に抵抗膜の抵抗率(μohm・cm)で、横軸は第一膜の高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜のゲルマニウム原子含有濃度(at%)を示し、丸印(●)は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した時のそれぞれの第一膜のゲルマニウム原子含有濃度における抵抗率を示している。
図8より、抵抗率は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなるに従い低下する傾向が見られる。これはゲルマニウム原子の原料ガスであるモノゲルマンのほうがモノシランよりもガス分解温度が低いため、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなることで、より分解されたガスの割合が増加し、結晶の核付けが容易になりポリ化(多結晶化)するためと考えられる。
【0064】
次に、上述の抵抗膜の形成した条件において連続バッチ間の膜特性の安定性評価の結果について述べる。図9は連続バッチ間の膜厚の安定性について、図10は連続バッチ間の抵抗率の安定性について示す。ここで対象とする膜は、上述の抵抗膜の形成条件の内、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が58at%の場合と100at%の場合であり、第二
膜のゲルマニウム原子含有濃度が29at%の場合である場合を示す。
図9は縦軸に膜厚(nm)と横軸にバッチ回数を示すRUN No.とし、丸印(●)は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度58at%の場合、四角印(■)は100at%の場合をあらわしている。また図9中に各条件におけるRtR値を示し、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度100at%の場合は±0.11%、58at%の場合は±0.14%となる。
【0065】
続いて図10は縦軸に抵抗率(μohm・cm)と横軸にバッチ回数を示すRUN No.とし、丸印(●)は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度58at%の場合、四角印(■)は100at%の場合をあらわしている。また図10中に各条件におけるRtR値を示し、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度58at%の場合は±0.73%、100at%の場合は±0.13%となる。
【0066】
図9、図10に示すように、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなることで、RtR値は±1.0%以下になり、連続バッチ間における膜厚と抵抗率は共に安定していることが分かり、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高濃度であるほどRtR値がより良い値を示す、つまり膜特性が安定することが分かる。これより、抵抗膜の第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高いことが重要であり、抵抗膜の第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高濃度であることは低温条件(480℃以下)において、容易にポリ化(多結晶化)し、連続バッチ間の膜特性の安定性を向上することができる。
【0067】
次に第二条件において、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した場合について述べる。図11は第一膜の高濃度ゲルマニウム原子含有濃度ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜と第二膜の低濃度ゲルマニウム原子含有濃度ボロンドープシリコンゲルマニウム膜で形成した抵抗膜において第二膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した場合の抵抗率と第二膜のゲルマニウム原子含有濃度の関係を示す。この時の第一膜のゲルマニウム原子含有濃度は58at%とし、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度の変更による抵抗率の結果の検討を行なった。尚、第一又は第二膜の成膜条件は処理温度:450℃、処理圧力:40Pa、とした。図11は縦軸に抵抗膜の抵抗率(μohm・cm)で、横軸は第二膜の低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜のゲルマニウム原子含有濃度(at%)を示し、丸印(●)は第二膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した時のそれぞれの第二膜のゲルマニウム原子含有濃度における抵抗率を示している。
図11より抵抗率は第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなるに従い低下する傾向が見られる。これはゲルマニウム原子の原料ガスであるモノゲルマンのほうがモノシランよりもガス分解温度が低いため、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなることで、より分解されたガスの割合が増加し、結晶の核付けが容易になりポリ化(多結晶化)するためと考えられる。
【0068】
次に、上述の抵抗膜の形成条件において連続バッチ間の膜特性の安定性評価の結果について述べる。図12は連続バッチ間の膜厚の安定性について、図13は連続バッチ間の抵抗率の安定性について示す。ここで対象とする膜は、上述の抵抗膜の形成条件の内、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が58at%の場合で、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が29at%の場合と22at%の場合である。図12は縦軸に膜厚(nm)と横軸にバッチ回数を示すRUN No.とし、丸印(●)はゲルマニウム原子含有濃度22at%の場合、四角印(■)はゲルマニウム原子含有濃度29at%の場合をあらわしている。また図12中に各条件におけるRtR値を示し、ゲルマニウム原子含有濃度22at%の場合は±0.45%、ゲルマニウム原子含有濃度29at%の場合は±0.11%となる。
【0069】
続いて図13は縦軸に抵抗率(μohm・cm)と横軸にバッチ回数を示すRUN No
.とし、丸印(●)はゲルマニウム原子含有濃度22at%の場合、四角印(■)はゲルマニウム原子含有濃度29at%の場合をあらわしている。また図13中に各条件におけるRtR値を示し、ゲルマニウム原子含有濃度22at%の場合は±0.99%、ゲルマニウム原子含有濃度29at%の場合は±0.73%となる。
【0070】
図12、図13に示すように、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなることで、RtR値は±1.0%以下になり、連続バッチ間における膜厚と抵抗率は共に安定していることが分かり、高濃度であるほどRtR値がより良い値を示すが、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した場合に比べ、大きな変化はない。このことから、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高濃度であることが重要であり、この場合は第二膜のゲルマニウム電子含有濃度が低濃度であっても連続バッチ間において膜厚と抵抗率は共に安定すると考えられる。つまり抵抗膜の第二膜のゲルマニウム原子含有濃度に関わらず、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高いことが重要であり、抵抗膜の第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高濃度であることは低温条件(480℃以下)において、容易にポリ化(多結晶化)し、連続バッチ間の膜特性の安定性を向上することができると考えられる。
【0071】
次に第二条件において、低温条件下で第二膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した場合の影響について評価した結果を述べる。図14は低温条件下にて第一膜の高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜と第二膜の低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープシリコンゲルマニウム膜で形成した抵抗膜において第二膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した場合の抵抗率と第二膜のゲルマニウム原子含有濃度の関係を示す。この時の第一膜のゲルマニウム含有濃度は70at%とし、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度の変更による抵抗率の結果の検討を行なった。尚、第一又は第二膜の成膜条件は処理温度:420℃、処理圧力:40Pa、とした。
図11は縦軸に抵抗膜の抵抗率(μohm・cm)で、横軸は第二膜の低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜のゲルマニウム原子含有濃度(at%)を示し、丸印(●)は第二膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した時のそれぞれの第二膜のゲルマニウム原子含有濃度における抵抗率を示している。また、各条件での表面モフォロジ観察の結果も示す。
図14より抵抗率は第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなるに従い低下する傾向が見られる。これはゲルマニウム原子の原料ガスであるモノゲルマンのほうがモノシランよりもガス分解温度が低いため、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が高くなることで、より分解されたガスの割合が増加し、結晶の核付けが容易になりポリ化(多結晶化)するためである。またバンドギャップの違いからゲルマニウム原子のほうがシリコンよりもキャリア移動度が高いため、ゲルマニウム原子含有濃度が高いほど抵抗率が低下していると考えられる。また、各々の表面モフォロジの結果についても、同様にゲルマニウム原子含有濃度が高くなるにつれて不連続な部分が少なくなり、ポリ化(多結晶化)していることが分かる。
【0072】
次に、上述の抵抗膜の形成条件において連続バッチ間の膜特性の安定性評価の結果について述べる。図15は連続バッチ間の膜厚の安定性について、図16は連続バッチ間の抵抗率の安定性について示す。ここで対象とする膜は、上述の抵抗膜の形成条件の内、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が70at%の場合で、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が37at%の場合と47at%の場合である。図15は縦軸に膜厚(nm)と横軸にバッチ回数を示すRUN No.とし、丸印(●)はゲルマニウム原子含有濃度37at%の場合、四角印(■)はゲルマニウム原子含有濃度47at%の場合をあらわしている。また図15中に各条件におけるRtR値を示し、ゲルマニウム原子含有濃度37at%の場合は±0.56%、ゲルマニウム原子含有濃度47at%の場合は±0.30%となる。
【0073】
続いて図16は縦軸に抵抗率(μohm・cm)と横軸にバッチ回数を示すRUN No.とし、丸印(●)はゲルマニウム原子含有濃度37at%の場合、四角印(■)はゲルマニウム原子含有濃度47at%の場合をあらわしている。また図16中に各条件におけるRtR値を示し、ゲルマニウム原子含有濃度37at%の場合は±0.67%、ゲルマニウム含有濃度47at%の場合は±0.13%となる。
【0074】
図15、図16に示すように、第二膜のゲルマニウム含有濃度が高くなることで、RtR値は±1.0%以下になり、連続バッチ間における膜厚と抵抗率は共に安定していることが分かり、高濃度であるほどRtR値がより良い値を示すが、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度を変更した場合に比べ、大きな変化はない。このことから、第一膜のゲルマニウム原子含有量が高濃度であることが重要であり、この場合は第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が低濃度であっても連続バッチ間において膜厚と抵抗率は共に安定すると考えられる。これより、低温条件下においても第二膜のゲルマニウム原子含有濃度に関わらず、抵抗膜の第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高いことが重要であり、抵抗膜の第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高濃度であることは低温条件(480℃以下)において、容易にポリ化(多結晶化)し、連続バッチ間の膜特性の安定性を向上することができると考えられる。
【0075】
図17は形成する抵抗膜表面の状態図を示す図であり、特に処理温度が420℃、450℃における表面モフォロジの結果と第二膜のゲルマニウム原子含有濃度の関係について述べる。この時の抵抗膜は第一膜としてゲルマニウム原子含有濃度58at%の高濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜であり、第二膜としてボロンドーププロシリコン膜又は様々なゲルマニウム含有濃度の低濃度ゲルマニウム原子含有ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜が成膜して抵抗膜を形成している。
図17は縦軸に処理温度(摂氏度、℃)であり、横軸は第二膜のゲルマニウム原子含有濃度(at%)を示し、形成した抵抗膜の表面状態をアモルファス化安定領域とポリ化(多結晶化)安定領域とその両者が混在する混晶領域の三つの領域を実線で区切って示している。またそれぞれの抵抗膜の形成条件での表面モフォロジ観察の結果も示している。
【0076】
まず、抵抗膜の表面モフォロジ観察の結果とゲルマニウム原子含有濃度の関係について述べる。処理温度450℃における第二膜のゲルマニウム原子含有濃度依存性は図17中のモフォロジ結果に示されるようにそれぞれ第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が(A)は20at%の場合、(B)は29at%の場合を示している。(A)(B)のモフォロジ観察の結果から、ゲルマニウム原子含有濃度が高くなるに従い、ポリ化(多結晶化)し易くなることが分かる。次に処理温度420℃については図17中のモフォロジ結果はそれぞれ第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が、(C)は29at%の場合、(D)は37at%の場合、(E)は47at%の場合を示し、(C)(D)(E)のモフォロジ観察の結果から、処理温度が450℃の場合と同様にゲルマニウム原子含有濃度が高くなるに従い、ポリ化(多結晶化)しやすくなることが分かる。
【0077】
次に抵抗膜の処理温度とゲルマニウム原子含有濃度との関係について述べる。処理温度450℃の場合に比べ、処理温度が420℃の場合のほうが、ポリ化(多結晶化)するのみ必要なゲルマニウム原子含有濃度の下限値が高くなっている。これは、処理温度が低くなることにより、比較的ガス分解温度の高い原料ガスであるモノシランガスが十分に分解されなくなることで核付けする結晶核が不足する。結晶核の核付けを十分に起こす為に、モノシランガスよりガス分解温度が低い原料ガスのモノゲルマンガスを多く供給すること、つまりゲルマニウム原子含有濃度を高くすることで低温条件においてポリ化(多結晶化)を促進できる。このことは更に低温度で処理した場合においても同じ傾向が見られると考えられる。
【0078】
上述の内容を纏めると、以下のことが言える。
・ 抵抗膜において第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高濃度であることが重要であり、それを実施することでポリ化(多結晶化)は促進され、形成する抵抗膜の連続バッチ間における膜特性である膜厚と抵抗率の安定性は向上する。
・ 第一膜のゲルマニウム原子含有濃度に比べ、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度の連続バッチ間の膜特性の安定性への影響は小さく、第二膜にゲルマニウム原子が含有しない場合、もしくは第二膜のゲルマニウム原子含有濃度が低濃度である場合も安定した膜特性を有する抵抗膜を形成することができる。
・ 低温条件においても(1)と同様に第一膜のゲルマニウム原子含有濃度が高濃度であることによりポリ化(多結晶化)が促進され、連続バッチ間における膜特性である抵抗膜の膜厚と抵抗率の安定性は向上する。
・ しかし、処理温度が低温になるに従い、ゲルマニウム原子含有濃度は高濃度になる問題がある。これにより抵抗膜、特に第二膜に関して過剰にゲルマニウム原子が含まれることになり、抵抗膜上部に成膜される金属膜との結合力は低下して、生産性悪化(歩留まり悪化)に繋がることが考えられる。
・ これらの内容から、第一膜のゲルマニウム原子含有濃度の範囲は29at%以上であり、100at%以下であることが望ましい。また第二膜のゲルマニウム原子含有濃度の範囲は22at%以上であり、58at%以下であることが望ましく、第二膜のゲルマニウム原子含有濃度は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度より低いことが望ましい。
・ また成膜時の基板温度が380℃未満の場合、ポリ化(多結晶化)した膜を得るために高濃度のゲルマニウム原子含有濃度が必要になり、それに伴い抵抗膜表面と金属膜との結合力が低下する。一方、基板温度が480℃より高い場合、サーマルバジェットの問題が起こりやすい。その為、第一膜及び第二膜の成膜時の基板温度は380℃以上であり、480℃以下であることが望ましい。
・ さらに好ましくは第一膜及び第二膜の基板温度が400℃以上であり、450℃以下であることが望ましく、よりいっそう適切な金属膜との結合力が得ることができ、サーマルバジェットの問題を解決できる。
・ さらに好ましくは第一膜及び第二膜の基板温度が、420℃以上であり、450℃以下であることが望ましく、よりいっそう適切な金属膜との結合力が得ることができ、サーマルバジェットの問題を解決できるとともに、抵抗膜を安定して成膜することができる。
・ さらに好ましくは第一膜及び第二膜の基板の温度を同じ温度で制御した状態で行なうことが望ましい。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0079】
本発明の一態様によれば、処理室内に基板を搬入する搬入工程と、前記処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して、前記基板上に第一膜を成膜する第一成膜工程と、前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスと前記ボロン原子含有ガスを供給して、前記第一膜上に第二膜層を成膜する第二成膜工程と、前記基板を前記処理室内から搬出する搬出工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0080】
好ましくは、前記第一成膜工程では、前記シリコン原子含有ガスとしてSiHガス又はSiガスまたはSiHClガスを用い、前記ボロン原子含有ガスとしてBClガス又はBガスまたはBFガスを用い、前記ゲルマニウム原子含有ガスとしてGeHガス又はGeガスを用いて、前記第一膜としてボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜する。
【0081】
好ましくは、前記第一成膜工程では、前記シリコン原子含有ガスとしてSiHガスを
用い、前記ボロン原子含有ガスとしてBClガスを用い、前記ゲルマニウム原子含有ガスとしてGeHガスを用いて前記第二膜としてボロンドープシリコンゲルマニウム膜を成膜する。
【0082】
好ましくは、前記第二成膜工程では、前記シリコン原子含有ガスとしてSiHガス又はSiガスまたはSiHClガスを用い、前記ボロン原子含有ガスとしてBClガス又はBガスまたはBFガスを用いて前記第二膜としてボロンドープシリコン膜を成膜する。
【0083】
好ましくは、前記第二成膜工程では、前記シリコン原子含有ガスとしてSiHガスを用い、前記ボロン原子含有ガスとしてBClガスを用い、前記第二膜としてボロンドープシリコン膜を成膜する。
【0084】
好ましくは第一膜のゲルマニウム原子含有濃度は29at%以上であり、80at%以下であることが望ましい。第二膜のゲルマニウム原子含有濃度は29at%以上であり、58at%以下であることが望ましく、但し第二膜のゲルマニウム原子含有濃度は第一膜のゲルマニウム原子含有濃度より低いことが望ましい。
【0085】
好ましくは第一膜及び第二膜の成膜時の基板温度は380℃以上であり、480℃以下であることが望ましく、第一膜及び第二膜の基板の温度を同じ温度で制御した状態で行なうことが望ましい。
【0086】
本発明の他の態様によれば、処理室内に基板を搬入する搬入工程と、前記処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して、前記基板上に第一膜を成膜する第一成膜工程と、前記処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して、前記第一膜上に第二膜を成膜する第二成膜工程と前記基板を前記処理室内から搬出する搬出工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0087】
本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する前記処理室と、前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスを供給するシリコン原子含有ガス供給系と、前記処理室内に前記ボロン原子含有ガスを供給するボロン原子含有ガス供給系と、前記処理室内に前記ゲルマニウム原子含有ガスを供給するゲルマニウム原子含有ガス供給系と、前記シリコン原子含有ガス供給系と前記ボロン原子含有ガス供給系とゲルマニウム原子含有ガス供給系が前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスと前記ボロン原子含有ガスと前記ゲルマニウム原子含有ガスを供給して前記基板上に前記第一膜を形成する第一成膜工程をし、前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスと前記ボロン原子含有ガスを供給して前記第一膜上に第二膜の成膜し、第一膜及び第二膜の成膜条件を変更できるように制御するコントローラとを有する基板処理装置。
【0088】
本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する前記処理室と、前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスを供給するシリコン原子含有ガス供給系と、前記処理室内に前記ボロン原子含有ガスを供給するボロン原子含有ガス供給系と、前記処理室内に前記ゲルマニウム原子含有ガスを供給するゲルマニウム原子含有ガス供給系と、前記シリコン原子含有ガス供給系と前記ボロン原子含有ガス供給系とゲルマニウム原子含有ガス供給系が前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して前記基板上に第一膜を成膜する第一成膜工程をし、前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスと前記ボロン原子含有ガスと前記ゲルマニウム原子含有ガスを供給して前記第一膜上に前記第一膜よりゲルマニウム原子割合の小さい第二膜の成膜し、第一膜及び第二膜の成膜条件を変更できるように制御するコントローラとを有する基板処理装置。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における成膜手順を示すフローチャートである。
【図3】ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜とボロンドープポリシリコン膜で形成した抵抗膜の抵抗率と抵抗膜中のボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜の膜厚の割合との関係を示した図である。
【図4】ボロンドープポリシリコンゲルマニウム膜とボロンドープポリシリコン膜で形成した抵抗膜の例を示した図である。
【図5】第一条件で形成した抵抗膜において第一膜のゲルマニウム原子含有濃度依存を示した図である。
【図6】図5の場合の、抵抗膜の膜厚の連続バッチ間の安定性を示した図である。
【図7】図5の場合の、抵抗膜の抵抗率の連続バッチ間の安定性を示した図である。
【図8】第二条件で形成した抵抗において第一膜のゲルマニウム原子含有濃度依存を示した図である。
【図9】図8の場合の、抵抗膜の膜厚の連続バッチ間の安定性を示した図である。
【図10】図8の場合の、抵抗膜の抵抗率の連続バッチ間の安定性を示した図である。
【図11】第二条件で形成した抵抗膜において第二膜のゲルマニウム原子含有濃度依存を示した図である。
【図12】図11の場合の、抵抗膜の膜厚の連続バッチ間の安定性を示した図である。
【図13】図11の場合の、抵抗膜の抵抗率の連続バッチ間の安定性を示した図である。
【図14】低温条件下で成膜した場合の第二条件で形成した抵抗膜において第二膜のゲルマニウム原子含有濃度依存を示した図である。
【図15】図14の場合の、抵抗膜の膜厚の連続バッチ間の安定性を示した図である。
【図16】図14の場合の、抵抗膜の抵抗率の連続バッチ間の安定性を示した図である。
【図17】各処理温度での抵抗膜表面の状態を示した図である。
【0090】
1a 処理室
4 ウエハ
6 ヒータ
12 反応炉
20 ガスライン
21 マスフローコントローラ
22 バルブ
23 モノシランガス(SiH4)源
27 ガスライン
28 マスフローコントローラ
29 バルブ
30 三塩化ホウ素ガス(BCl3)源
31 コントローラ
41 ガスライン
42 マスフローコントローラ
43 バルブ
51 ガスライン
52 マスフローコントローラ
53 バルブ
54 モノゲルマンガス(GeH4)源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に基板を搬入する搬入工程と、
前記処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して前記基板上に第一膜を成膜する第一成膜工程と
前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスと前記ボロン原子含有ガスを供給して前記第一膜上に第二膜を成膜する第二成膜工程と、
前記基板を前記処理室内から搬出する搬出工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第一膜はボロン原子含有シリコンゲルマニウム膜であり
前記第二膜はボロン原子含有シリコン膜である請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第一膜の膜中のゲルマニウム原子割合が29%以上であり100%以下である請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第一及び第二の成膜工程で、
前記シリコン原子含有ガスはSiHガス又はSiガス又はSiHClガスであり、
前記ボロン原子含有ガスはBCl3ガス又はB26ガス又はBF3ガスであり、
前記ゲルマニウム原子含有ガスはGeHガス又はGeガスである、
請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
処理室内に基板を搬入する搬入工程と、
前記処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して基板上に第一膜を成膜する第一成膜工程と、
前記処理室内にシリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して前記第一膜上に前記第一膜よりゲルマニウム原子割合が小さい、第二膜を成膜する第二成膜工程と、
前記基板を前記処理室内から搬出する搬出工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第一膜はボロン原子含有シリコンゲルマニウム膜であり、
前記第二膜は前記第一膜より膜中のゲルマニウム原子割合が小さいボロン原子含有シリコンゲルマニウム膜である請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
第二膜中の膜中のゲルマニウム原子割合が22%以上であり、58%以下であり、前記第二膜の膜中の前記ゲルマニウム原子割合は前記第一膜の膜中の前記ゲルマニウム原子割合より小さい、請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第一及び第二の成膜工程で、
前記シリコン原子含有ガスはSiHガス又はSiガス又はSiHClガスであり、
前記ボロン原子含有ガスはBCl3ガス又はB26ガス又はBF3ガスであり、
前記ゲルマニウム原子含有ガスはGeHガス又はGeガスである、
請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第一膜と前記第二膜とを成膜して所定の膜厚を有する抵抗膜を形成し、前記抵抗膜中の前記第一膜の膜厚の割合を変更して、所定の抵抗値を確保する請求項1乃至8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第一成膜工程及び前記第二成膜工程では、前記基板の温度は380℃以上であり、480℃以下であり、前記基板の温度を同じ温度で制御した状態で行なう請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
基板を処理する前記処理室と、
前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスを供給するシリコン原子含有ガス供給系と、
前記処理室内に前記ボロン原子含有ガスを供給するボロン原子含有ガス供給系と、
前記処理室内に前記ゲルマニウム原子含有ガスを供給するゲルマニウム原子含有ガス供給系と、
前記シリコン原子含有ガス供給系と前記ボロン原子含有ガス供給系とゲルマニウム原子含有ガス供給系が前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスと前記ボロン原子含有ガスと前記ゲルマニウム原子含有ガスを供給して前記基板上に前記第一膜を成膜し、前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスと前記ボロン原子含有ガスを供給して前記第一膜上に第二膜を成膜し、第一膜及び第二膜の成膜条件を変更できるように制御するコントローラとを有する基板処理装置。
【請求項12】
基板を処理する前記処理室と、
前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスを供給するシリコン原子含有ガス供給系と、
前記処理室内に前記ボロン原子含有ガスを供給するボロン原子含有ガス供給系と、
前記処理室内に前記ゲルマニウム原子含有ガスを供給するゲルマニウム原子含有ガス供給系と、
前記シリコン原子含有ガス供給系と前記ボロン原子含有ガス供給系とゲルマニウム原子含有ガス供給系が前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスとボロン原子含有ガスとゲルマニウム原子含有ガスを供給して前記基板上に第一膜を成膜し、前記処理室内に前記シリコン原子含有ガスと前記ボロン原子含有ガスと前記ゲルマニウム原子含有ガスを供給して前記第一膜上に前記第一膜より膜中のゲルマニウム原子割合が小さい第二膜を成膜し、第一膜及び第二膜の成膜条件を変更できるように制御するコントローラと、を有する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−177331(P2010−177331A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16436(P2009−16436)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】