説明

半導体装置の製造方法

【課題】3種類のゲート絶縁膜を有するMOS型半導体装置の製造において、トランジスタの特性異常等を防止できるようにする。
【解決手段】トレンチ分離領域105によって互いに分離されている入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上に、相対的に最も厚い第1のゲート酸化膜106を形成する。その後、第1の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜106を除去した後、第1の内部MOSFET活性領域上に、相対的に2番目に厚い第2のゲート酸化膜108を形成する。その後、第2の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜106を除去した後、第2の内部MOSFET活性領域上に、相対的に最も薄い第3のゲート酸化膜110を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに膜厚が異なる3種類のゲート絶縁膜を有するMOS型半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOS型半導体装置においては、互いに膜厚が異なる2種類のゲート絶縁膜を同一チップ上に作り分けるプロセスが一般的に用いられてきている。例えばデザインルールが0.18μm世代においては、1.8Vで動作する内部回路には厚さ3.5nm程度の薄膜ゲート絶縁膜を有するMOSFETが設けられると共に、3.3Vで動作する入出力回路には厚さ8nm程度の厚膜ゲート絶縁膜を有するMOSFETが設けられてきた(特許文献1参照)。
【0003】
図13(a)〜(c)は、第1の従来例に係る半導体装置の製造方法、具体的には、互いに膜厚が異なる2種類のゲート絶縁膜を有するMOS型半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0004】
まず、図13(a)に示すように、内部回路のMOSFETの活性領域(以下、内部MOSFET活性領域と称する)と入出力回路のMOSFETの活性領域(以下、入出力MOSFET活性領域と称する)とを有するシリコン基板10に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。これにより、シリコン基板10の表面が熱酸化される結果、内部MOSFET活性領域及び入出力MOSFET活性領域のそれぞれの上に厚さ6nm程度の第1のゲート酸化膜11を形成できる。
【0005】
次に、図13(b)に示すように、入出力MOSFET活性領域を覆うレジストパターン12をマスクとして、第1のゲート酸化膜11に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なうことにより、内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜11を除去する。これにより、内部MOSFET活性領域の基板表面が露出する。
【0006】
次に、レジストパターン12を除去した後、図13(c)に示すように、シリコン基板10に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。このとき、入出力MOSFET活性領域上には第1のゲート酸化膜11が形成されているので、内部MOSFET活性領域の基板表面が熱酸化される。その結果、内部MOSFET活性領域上に厚さ3.5nm程度の第2のゲート酸化膜13を形成できる。また、第1のゲート酸化膜11は厚さ8nm程度まで厚くなる。すなわち、第2のゲート酸化膜13は厚膜化した第1のゲート酸化膜11よりも薄い。
【0007】
その後、図示は省略しているが、周知の技術を用いて、ゲート電極、ソース・ドレイン電極、層間絶縁膜及び金属配線等を形成することによって、相対的に厚い第1のゲート酸化膜11を有する入出力MOSFETと、相対的に薄い第2のゲート酸化膜13を有する内部MOSFETとを備えた半導体装置の製造を完了する。
【0008】
しかしながら、第1の従来例においては、MOSFETの微細化に伴って内部回路のゲート絶縁膜が薄膜化される結果、ゲートリーク電流の増大に起因して内部回路の消費電力が増大する傾向がみられる。このため、システムLSIに代表されるMOS型半導体装置において、微細化(高集積度化)と低消費電力化とを両立させて高機能化を実現することが困難になってきている。
【0009】
そこで、内部回路において微細化と低消費電力化とを両立させるため、ゲート絶縁膜の薄膜化により駆動力の向上を優先したMOSFETと、消費電力の抑制を優先したMOSFETとの2種類のMOSFETによって内部回路を構成し、各MOSFETを目的又は用途に応じて使い分けることが検討されている。ここで、ゲートリーク電流に起因する消費電力の増大を抑制するためには、ゲート絶縁膜を厚くすることが最も有効な手段であるので、内部回路において、互いに膜厚が異なる2種類のゲート絶縁膜を作り分けることが必要となる。例えばデザインルールが0.10μm世代においては、1.0〜1.2Vで動作する内部回路を構成するMOSFETのゲート絶縁膜として、厚さ1.6nmの薄膜ゲート絶縁膜と厚さ2.4nmの厚膜ゲート絶縁膜とを用いることにより、微細化と低消費電力化とを両立させることができる。一方、入出力回路においては3.3V又は2.5V等の高電圧動作が要求されるため、厚さ8nm程度のゲート絶縁膜を有するMOSFETが必要となる。従って、1つのチップにおいて、内部回路と入出力回路とを合わせて、互いに膜厚が異なる3種類のゲート絶縁膜を作り分ける必要が生じている。
【0010】
このような3種類のゲート絶縁膜の作りわけを実現するために、3回の熱酸化工程を用いた半導体装置の製造方法が提案されている(非特許文献1参照)。
【0011】
図14(a)〜(c)及び図15(a)〜(c)は、第2の従来例に係る半導体装置の製造方法、具体的には、互いに膜厚が異なる3種類のゲート絶縁膜を有するMOS型半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0012】
まず、図14(a)に示すように、LOCOS法等によりシリコン基板20に素子分離領域(図示省略)を形成し、それにより、入出力MOSFET活性領域と第1の内部MOSFET活性領域と第2の内部MOSFET活性領域とを区画する。その後、素子分離領域形成に用いたマスク窒化膜やパッド酸化膜(両方とも図示省略)をウェットエッチングにより除去して、各MOSFET活性領域の基板表面を露出させる。
【0013】
次に、図14(b)に示すように、入出力MOSFET活性領域と、厚膜ゲート絶縁膜が設けられる第1の内部MOSFET活性領域と、薄膜ゲート絶縁膜が設けられる第2の内部MOSFET活性領域とを有するシリコン基板20に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。これにより、シリコン基板20の表面が熱酸化される結果、入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上に第1のゲート酸化膜21を形成できる。
【0014】
次に、図14(c)に示すように、入出力MOSFET活性領域を覆う第1のレジストパターン22をマスクとして、第1のゲート酸化膜21に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なうことにより、第1の内部MOSFET活性領域上及び第2の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜21を除去する。これにより、第1及び第2の内部MOSFET活性領域の基板表面が露出する。
【0015】
次に、第1のレジストパターン22を除去した後、図15(a)に示すように、シリコン基板20に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。このとき、入出力MOSFET活性領域上には第1のゲート酸化膜21が形成されているので、第1の内部MOSFET活性領域の基板表面及び第2の内部MOSFET活性領域の基板表面が熱酸化される。その結果、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上に第2のゲート酸化膜23を形成できる。このとき、第1のゲート酸化膜21は若干厚くなる。また、第2のゲート酸化膜23は厚膜化した第1のゲート酸化膜21よりも薄い。
【0016】
次に、図15(b)に示すように、入出力MOSFET活性領域及び第1の内部MOSFET活性領域を覆う第2のレジストパターン24をマスクとして、第2のゲート酸化膜23に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なうことにより、第2の内部MOSFET活性領域上の第2のゲート酸化膜23を除去する。これにより、第2の内部MOSFET活性領域の基板表面が露出する。
【0017】
次に、第2のレジストパターン24を除去した後、図15(c)に示すように、シリコン基板20に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。このとき、入出力MOSFET活性領域上には第1のゲート酸化膜21が形成されていると共に第1の内部MOSFET活性領域上には第2のゲート酸化膜23が形成されているので、第2の内部MOSFET活性領域の基板表面が熱酸化される。その結果、第2の内部MOSFET活性領域上に第3のゲート酸化膜25を形成できる。このとき、第1のゲート酸化膜21及び第2のゲート酸化膜23はそれぞれ若干厚くなる。また、第3のゲート酸化膜25は厚膜化した第2のゲート酸化膜23よりも薄い。
【0018】
その後、図示は省略しているが、周知の技術を用いて、ゲート電極、ソース・ドレイン電極、層間絶縁膜及び金属配線等を形成することによって、相対的に最も厚い第1のゲート酸化膜21を有する入出力MOSFETと、相対的に2番目に厚い第2のゲート酸化膜23を有する第1の内部MOSFETと、相対的に最も薄い第3のゲート酸化膜25を有する第2の内部MOSFETとを備えた半導体装置の製造を完了する。
【特許文献1】特開平1−168054号公報(第2−3ページ、第1Aー1H図)
【非特許文献1】A.Ono 他、A Multi-gate Dielectric Technology Using Hydrogen Pre-treatment for 100nm generation System-on-a-Chip 、2001 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers、2001年、第79−80ページ(特に図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、第2の従来例においては、トランジスタの特性異常やゲート絶縁膜の信頼性劣化等が生じるという問題がある。以下、その理由について図面を参照しながら説明する。図16は、第2の従来例を用いて製造された半導体装置における、薄膜ゲート絶縁膜を有する第2の内部MOSFETの断面構成(ゲート幅方向)を示している。図16に示すように、素子分離領域26により囲まれた第2の内部MOSFET活性領域(シリコン基板20)の上には、第3のゲート酸化膜25(図15(c)参照)を介してゲート電極27が形成されている。また、ゲート電極27の側面には絶縁性のサイドウォール28が形成されている。
【0020】
さて、第2の従来例において、厚膜ゲート絶縁膜が設けられる第1の内部MOSFET活性領域の基板表面はウェットエッチングによって2回露出する。それに対して、薄膜ゲート絶縁膜が設けられる第2の内部MOSFET活性領域の基板表面はウェットエッチングによって3回露出する。このため、第2の内部MOSFET活性領域の基板表面ラフネスは第1の内部MOSFET活性領域と比べて大きくなる。また、図16に示すように、素子分離領域26における第2の内部MOSFET活性領域の近傍、つまり素子分離領域26の端部は第1の内部MOSFET活性領域と比べて掘り下げられやすい。その結果、相対的に最も薄い第3のゲート酸化膜25を有する第2の内部MOSFETにおいては、素子分離領域26の端部の掘り下げ量の増大に起因して、第3のゲート酸化膜25の膜厚が不均一になると共に第3のゲート酸化膜25における素子分離領域26の近傍でゲート電圧印加時に電界集中が生じる。このような基板表面ラフネスの増大、ゲート絶縁膜の膜厚不均一又は局所的な電界集中等が、トランジスタの特性異常やゲート絶縁膜の信頼性劣化の原因となる。さらに、同じ大きさのゲート電圧が印加される第1の内部MOSFET及び第2の内部MOSFETのそれぞれの活性領域でウェットエッチング回数が異なることによって、各内部MOSFETのプロセスマージンの設定が困難になるという問題も生じる。
【0021】
前記に鑑み、本発明は、3種類のゲート絶縁膜を有するMOS型半導体装置の製造において、トランジスタの特性異常又はゲート絶縁膜の信頼性劣化を防止できるようにすると共にプロセスマージンの設定を容易に行なるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板に、素子分離領域により互いに分離された、第1の活性領域、第2の活性領域及び第3の活性領域を形成した後、第1の活性領域、第2の活性領域及び第3の活性領域のそれぞれの上に第1のゲート絶縁膜を形成する工程と、第2の活性領域上の第1のゲート絶縁膜を除去した後、第2の活性領域上に第1のゲート絶縁膜よりも薄い第2のゲート絶縁膜を形成する工程と、第2のゲート絶縁膜を形成する工程よりも後に、第3の活性領域上の第1のゲート絶縁膜を除去した後、第3の活性領域上に第2のゲート絶縁膜よりも薄い第3のゲート絶縁膜を形成する工程と、第1の活性領域、第2の活性領域及び第3の活性領域のそれぞれの上に、第1のゲート絶縁膜、第2のゲート絶縁膜及び第3のゲート絶縁膜のそれぞれを介して、第1のゲート電極、第2のゲート電極及び第3のゲート電極を形成する工程とを備えている。
【0023】
本発明の半導体装置の製造方法によると、第2の従来例と比べて、以下のような効果が得られる。
【0024】
すなわち、ゲート絶縁膜除去のために行なわれるウェットエッチング等により第3の活性領域が露出する回数を低減できる。このため、第3の活性領域の基板表面ラフネスを小さくできる。また、トレンチ分離領域の露出部における第3の活性領域の近傍、つまりトレンチ分離領域の端部の掘り下げ量を低減できるので、第3のゲート絶縁膜の膜厚を均一にできると共に第3のゲート絶縁膜におけるトレンチ分離領域の近傍でゲート電圧印加時に電界集中が生じることを防止できる。従って、基板表面ラフネスの増大、ゲート絶縁膜の膜厚不均一又は局所的な電界集中等に起因する、トランジスタの特性異常又はゲート絶縁膜の信頼性劣化を防止できる。さらに、第3の活性領域が露出する回数と第2の活性領域が露出する回数とが同じになるため、第2の活性領域及び第3の活性領域のそれぞれに形成されるMOSFETに対して同じ大きさのゲート電圧が印加されるような場合、該各MOSFETのプロセスマージンの設定を容易に行なうことができる。
【0025】
本発明の半導体装置の製造方法において、素子分離領域はトレンチ分離領域であってもよい。
【0026】
本発明の半導体装置の製造方法において、第1、第2又は第3のゲート絶縁膜は、各ゲート絶縁膜の設けられる活性領域の表面を熱酸化させることにより形成されることが好ましい。
【0027】
このようにすると、各ゲート絶縁膜を簡単且つ確実に形成できる。
【0028】
本発明の半導体装置の製造方法において、所定の活性領域上の第1のゲート絶縁膜を除去する工程は、該所定の活性領域以外の他の活性領域を覆うレジストパターンをマスクとして、第1のゲート絶縁膜に対してウェットエッチングを行なう工程を含むことが好ましい。
【0029】
このようにすると、他の活性領域の表面(ゲート酸化膜が形成されている場合はその表面)を保護しながら、所定の活性領域上の第1のゲート絶縁膜を確実に除去できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、最も薄い第3のゲート絶縁膜が設けられる第3の活性領域がウェットエッチングによって露出する回数を低減できるため、第3の活性領域の基板表面ラフネスを小さくできる。また、トレンチ分離領域の露出部における第3の活性領域の近傍の掘り下げ量を低減できるので、第3のゲート絶縁膜の膜厚を均一にできると共に第3のゲート絶縁膜におけるトレンチ分離領域の近傍でゲート電圧印加時に電界集中が生じることを防止できる。従って、トランジスタの特性異常又はゲート絶縁膜の信頼性劣化を防止できる。さらに、第2及び第3の活性領域が露出する回数が同じになるため、第2及び第3の活性領域に形成される各MOSFETに対して同じ大きさのゲート電圧が印加されるような場合、該各MOSFETのプロセスマージンの設定を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法、具体的には、互いに膜厚が異なる3種類のゲート絶縁膜を有するMOS型半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1(a)〜(c)、図2(a)〜(c)、図3(a)〜(c)及び図4(a)〜(c)は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0033】
まず、図1(a)に示すように、シリコン基板100上に、厚さ15nm程度のパッド酸化膜101及び厚さ120nm程度のマスク窒化膜102を順次形成する。
【0034】
次に、図1(b)に示すように、シリコン基板100における、入出力MOSFET活性領域となる部分、厚膜ゲート絶縁膜が設けられる第1の内部MOSFET活性領域となる部分、及び、薄膜ゲート絶縁膜が設けられる第2の内部MOSFET活性領域となる部分を覆うマスクパターン(図示省略)、つまり素子分離形成領域の上側に開口部を有するマスクパターンを用いて、マスク窒化膜102、パッド酸化膜101及びシリコン基板100に対して順次ドライエッチングを行なって素子分離溝103を形成する。これにより、シリコン基板100に、素子分離溝103により互いに分離された、入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域が形成される。
【0035】
次に、図1(c)に示すように、シリコン基板100の上に全面に亘ってシリコン酸化膜104を、素子分離溝103が完全に埋まるように堆積した後、図2(a)に示すように、CMP(chemical mechanical polishing )法等を用いて、マスク窒化膜102上のシリコン酸化膜104を除去する。これにより、素子分離溝103に埋め込まれたシリコン酸化膜104よりなるトレンチ分離領域105が形成されると共に、各MOSFET活性領域上のマスク窒化膜102が露出する。その後、図2(b)に示すように、ウェットエッチング又はドライエッチングによりマスク窒化膜102を除去してパッド酸化膜101を露出させる。
【0036】
次に、図2(c)に示すように、パッド酸化膜101に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なってパッド酸化膜101を除去する。これにより、各MOSFET活性領域の基板表面が露出する。また、このとき、トレンチ分離領域105の露出部における各MOSFET活性領域の近傍もウェットエッチングにより除去される(領域R1、R2及びR3参照)。
【0037】
尚、図2(c)に示すウェットエッチング工程においては、パッド酸化膜101を確実に除去するために、50%程度のオーバーエッチング(エッチング膜厚:22.5nm相当)を行なう。
【0038】
次に、図3(a)に示すように、シリコン基板100に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。これにより、シリコン基板100の表面が熱酸化される結果、入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上に例えば厚さ7nm程度の第1のゲート酸化膜106を形成できる。
【0039】
次に、図3(b)に示すように、入出力MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域を覆う第1のレジストパターン107をマスクとして、第1のゲート酸化膜106に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なうことにより、第1の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜106のみを除去する。これにより、第1の内部MOSFET活性領域の基板表面のみが露出する。また、このとき、トレンチ分離領域105の露出部における第1の内部MOSFET活性領域の近傍がウェットエッチングによってさらに除去される(領域R4参照)。
【0040】
尚、図3(b)に示すウェットエッチング工程においては、第1の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜106を確実に除去するために、50%程度のオーバーエッチング(エッチング膜厚:10.5nm相当)を行なう。
【0041】
次に、第1のレジストパターン107を除去した後、図3(c)に示すように、シリコン基板100に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。このとき、入出力MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上には第1のゲート酸化膜106が形成されている状態で、第1の内部MOSFET活性領域の基板表面が熱酸化される。その結果、第1の内部MOSFET活性領域上に、例えば厚さ1.6nm程度の第2のゲート酸化膜108を形成できる。一方、この熱処理によって第1のゲート酸化膜106は例えば厚さ7.4nm程度まで厚くなる。すなわち、第2のゲート酸化膜108は厚膜化した第1のゲート酸化膜106よりも薄い。
【0042】
次に、図4(a)に示すように、入出力MOSFET活性領域及び第1の内部MOSFET活性領域を覆う第2のレジストパターン109をマスクとして、第1のゲート酸化膜106に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なうことにより、第2の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜106のみを除去する。これにより、第2の内部MOSFET活性領域の基板表面のみが露出する。また、このとき、トレンチ分離領域105の露出部における第2の内部MOSFET活性領域の近傍がウェットエッチングによってさらに除去される(領域R5参照)。
【0043】
尚、図4(a)に示すウェットエッチング工程においては、第2の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜106を確実に除去するために、50%程度のオーバーエッチング(エッチング膜厚:11.1nm相当)を行なう。
【0044】
次に、第2のレジストパターン109を除去した後、図4(b)に示すように、シリコン基板100に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。このとき、入出力MOSFET活性領域上には第1のゲート酸化膜106が形成されていると共に第1の内部MOSFET活性領域上には第2のゲート酸化膜108が形成されている状態で、第2の内部MOSFET活性領域の基板表面が熱酸化される。その結果、第2の内部MOSFET活性領域上に、例えば厚さ1.6nm程度の第3のゲート酸化膜110を形成できる。一方、この熱処理によって、第1のゲート酸化膜106は例えば厚さ7.8nm程度まで厚くなると共に第2のゲート酸化膜108は例えば厚さ2.8nm程度まで厚くなる。すなわち、第3のゲート酸化膜110は厚膜化した第2のゲート酸化膜108よりも薄い。
【0045】
次に、図4(c)に示すように、入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上に、相対的に最も厚い第1のゲート酸化膜106、相対的に2番目に厚い第2のゲート酸化膜108、及び相対的に最も薄い第3のゲート酸化膜110のそれぞれを介して、第1のゲート電極111A、第2のゲート電極111B及び第3のゲート電極111Cを形成する。その後、第1のゲート電極111A、第2のゲート電極111B及び第3のゲート電極111Cのそれぞれの側面に第1のサイドウォール112A、第2のサイドウォール112B及び第3のサイドウォール112Cを形成する。
【0046】
その後、図示は省略しているが、周知の技術を用いて、ソース・ドレイン電極、層間絶縁膜及び金属配線等を形成することによって、第1のゲート酸化膜106を有するMOSFETよりなる入出力回路と、第2のゲート酸化膜108及び第3のゲート酸化膜110の2種類のゲート酸化膜を有する2種類のMOSFETよりなる内部回路とを備えた半導体装置の製造を完了する。
【0047】
図5は、図4(c)に示す工程断面図と対応する平面図である。すなわち、図4(c)は図5におけるI−I線の断面図である。また、図6は図5におけるII−II線の断面図である。
【0048】
図5及び図6に示すように、トレンチ分離領域105によって互いに分離された、入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれには、ソース領域及びドレイン領域となる、第1の不純物拡散層113A、第2の不純物拡散層113B及び第3の不純物拡散層113Cが設けられている。尚、各ゲート電極111A、111B及び111Cは、図4(c)及び図5に示すように、ゲート幅方向において、それぞれの両端部がトレンチ分離領域105とオーバーラップするように設けられている。また、第3のゲート電極111Cの形成時に、例えば図6に示すように、第3のゲート酸化膜110における第3のゲート電極111Cの下側部分以外の他の部分が除去され、それによりパターン化された第3のゲート酸化膜110aが形成されていてもよい。同様に、第1のゲート電極111A及び第2のゲート電極111Bの形成時に、第1のゲート酸化膜106及び第2のゲート酸化膜108をパターン化してもよい。
【0049】
[表1]は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法における、各工程での絶縁膜(パッド酸化膜若しくはゲート酸化膜)の膜厚又はウェットエッチング量(エッチング膜厚)と、ウェットエッチングによるシリコン基板の露出回数と、ウェットエッチング量の合計とを各MOSFET活性領域について示している。
【0050】
【表1】

【0051】
すなわち、第1の実施形態においては、[表1]に示すように、入出力MOSFET活性領域の基板表面は、ウェットエッチングによって第2の従来例と同様に1回露出する(ウェットエッチング量:22.5nm相当)。また、厚膜ゲート絶縁膜が設けられる第1の内部MOSFET活性領域の基板表面も、ウェットエッチングによって第2の従来例と同様に2回露出する(合計ウェットエッチング量:33.0nm相当)。それに対して、薄膜ゲート絶縁膜が設けられる第2の内部MOSFET活性領域の基板表面は、ウェットエッチングによって第2の従来例よりも1回少ない2回だけ露出する(合計ウェットエッチング量:33.6nm相当)。言い換えると、トレンチ分離領域105を構成するシリコン酸化膜における各MOSFET活性領域の近傍部分がウェットエッチングにより除去される回数は、入出力MOSFET活性領域では1回であり、第1及び第2の内部MOSFET活性領域ではそれぞれ2回ずつである。その結果、第1の実施形態における第2の内部MOSFET活性領域での合計ウェットエッチング量は第2の従来例と比較して約5%削減される。
【0052】
以上に説明したように、第1の実施形態によると、トレンチ分離領域105によって互いに分離されている入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上に、相対的に最も厚い第1のゲート酸化膜106を形成する。その後、第1の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜106を除去した後、第1の内部MOSFET活性領域上に、相対的に2番目に厚い第2のゲート酸化膜108を形成する。その後、第2の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜106を除去した後、第2の内部MOSFET活性領域上に、相対的に最も薄い第3のゲート酸化膜110を形成する。すなわち、薄いゲート酸化膜ほど後の工程で形成する一方、第2の内部MOSFET活性領域上に最も薄い第3のゲート酸化膜110を形成する直前まで、最も厚い第1のゲート酸化膜106を第2の内部MOSFET活性領域上にも残存させている。このため、第2の従来例(各MOSFET活性領域上に第1のゲート酸化膜を形成した後、第1及び第2の内部MOSFET活性領域上の第1のゲート酸化膜を除去し、その後、第1及び第2の内部MOSFET活性領域上に第2のゲート酸化膜を形成した後、第2の内部MOSFET活性領域上の第2のゲート酸化膜を除去し、その後、第2の内部MOSFET活性領域上に第3のゲート酸化膜を形成する(図14及び15参照))と比べて、以下のような効果が得られる。
【0053】
すなわち、ゲート酸化膜除去のために行なわれるウェットエッチング等により第2の内部MOSFET活性領域が露出する回数を低減できる。このため、第2の内部MOSFET活性領域の基板表面ラフネスを小さくできる。また、トレンチ分離領域105の露出部における第2の内部MOSFET活性領域の近傍、つまりトレンチ分離領域105の端部の掘り下げ量を低減できるので、第3のゲート酸化膜110の膜厚を均一にできると共に第3のゲート酸化膜110におけるトレンチ分離領域105の近傍でゲート電圧印加時に電界集中が生じることを防止できる。従って、基板表面ラフネスの増大、ゲート絶縁膜の膜厚不均一又は局所的な電界集中等に起因する、トランジスタの特性異常又はゲート絶縁膜の信頼性劣化を防止できる。さらに、第2の内部MOSFET活性領域が露出する回数と第1の内部MOSFET活性領域が露出する回数とが同じになるため、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれに形成されるMOSFETに対して同じ大きさのゲート電圧が印加されるような場合、該各MOSFETのプロセスマージンの設定を容易に行なうことができる。
【0054】
また、第1の実施形態によると、以上に述べた効果を第2の従来例と比べて工程数を増やすことなく実現できる。
【0055】
また、第1の実施形態によると、第1、第2及び第3のゲート酸化膜106、108及び110は、該各ゲート酸化膜が設けられる活性領域の基板表面を熱酸化させることにより形成されているため、各ゲート酸化膜を簡単且つ確実に形成できる。
【0056】
また、第1の実施形態によると、所定の活性領域上の第1のゲート酸化膜106を除去する工程(図3(b)又は図4(a)に示す工程)において、該所定の活性領域以外の他の活性領域を覆うレジストパターンをマスクとして、第1のゲート酸化膜106に対してウェットエッチングを行なう。このため、他の活性領域の表面(ゲート酸化膜が形成されている場合はその表面)を保護しながら、所定の活性領域上の第1のゲート酸化膜106を確実に除去できる。
【0057】
尚、第1の実施形態において、互いに膜厚が異なる3種類のゲート絶縁膜を有する3種類のMOSFETとして、1種類のゲート絶縁膜を有する1種類の入出力MOSFETと、2種類のゲート絶縁膜を有する2種類の内部MOSFETとを形成したが、3種類のMOSFETの目的又は用途は特に限定されるものではない。また、3種類のゲート絶縁膜のそれぞれの膜厚についても大小関係以外は特に限定されないことは言うまでもない。例えば、3種類のMOSFETとして、2種類のゲート絶縁膜を有する2種類の入出力MOSFETと、1種類のゲート絶縁膜を有する1種類の内部MOSFETとを形成してもよい。具体的には、最も薄いゲート絶縁膜(例えば膜厚1.6nm)を内部MOSFET活性領域上に形成し、2番目に厚いゲート絶縁膜(例えば膜厚3.6nm)を第1の入出力MOSFET活性領域上に形成し、最も厚いゲート絶縁膜(例えば膜厚7.8nm)を第2の入出力MOSFET活性領域上に形成してもよい。すなわち、この場合、第2の入出力MOSFET活性領域が「特許請求の範囲」の「第1の活性領域」と対応し、第1の入出力MOSFET活性領域が「特許請求の範囲」の「第2の活性領域」と対応し、内部MOSFET活性領域が「特許請求の範囲」の「第3の活性領域」と対応する。
【0058】
また、第1の実施形態において、シリコン基板100に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なうことによって、各活性領域上にSiOよりなるゲート酸化膜を形成したが、これに代えて、シリコン基板100に対して酸化窒化雰囲気中で熱処理を行なうことによって、各活性領域上にSiONよりなるゲート絶縁膜を形成してもよい。
【0059】
また、第1の実施形態において、シリコン基板100に素子分離領域としてトレンチ分離領域105を形成したが、これに代えて、例えばLOCOS法を用いてシリコン基板100に素子分離領域を形成した場合にも同様の効果が得られる。
【0060】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法、具体的には、互いに膜厚が異なる3種類のゲート絶縁膜を有するMOS型半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0061】
図7(a)〜(c)、図8(a)〜(c)、図9(a)〜(c)及び図10(a)〜(c)は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0062】
まず、図7(a)に示すように、シリコン基板200上に、厚さ15nm程度のパッド酸化膜201及び厚さ120nm程度のマスク窒化膜202を順次形成する。
【0063】
次に、図7(b)に示すように、シリコン基板200における、入出力MOSFET活性領域となる部分、厚膜ゲート絶縁膜が設けられる第1の内部MOSFET活性領域となる部分、及び、薄膜ゲート絶縁膜が設けられる第2の内部MOSFET活性領域となる部分を覆うマスクパターン(図示省略)、つまり素子分離形成領域の上側に開口部を有するマスクパターンを用いて、マスク窒化膜202、パッド酸化膜201及びシリコン基板200に対して順次ドライエッチングを行なって素子分離溝203を形成する。これにより、シリコン基板200に、素子分離溝203により互いに分離されており且つパッド酸化膜201により表面が覆われた、入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域が形成される。
【0064】
次に、図7(c)に示すように、シリコン基板200の上に全面に亘ってシリコン酸化膜204を、素子分離溝203が完全に埋まるように堆積した後、図8(a)に示すように、CMP法等を用いて、マスク窒化膜202上のシリコン酸化膜204を除去する。これにより、素子分離溝203に埋め込まれたシリコン酸化膜204よりなるトレンチ分離領域205が形成されると共に、各MOSFET活性領域上のマスク窒化膜202が露出する。その後、図8(b)に示すように、ウェットエッチング又はドライエッチングによりマスク窒化膜202を除去してパッド酸化膜201を露出させる。
【0065】
次に、図8(c)に示すように、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域を覆う第1のレジストパターン206をマスクとして、パッド酸化膜201に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なうことにより、入出力MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201のみを除去する。これにより、入出力MOSFET活性領域の基板表面のみが露出する。また、このとき、トレンチ分離領域205の露出部における入出力MOSFET活性領域の近傍もウェットエッチングにより除去される(領域R6参照)。
【0066】
尚、図8(c)に示すウェットエッチング工程においては、入出力MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201を確実に除去するために、50%程度のオーバーエッチング(エッチング膜厚:22.5nm相当)を行なう。
【0067】
次に、第1のレジストパターン206を除去した後、図9(a)に示すように、シリコン基板200に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。このとき、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上にはパッド酸化膜201が形成されている状態で、入出力MOSFET活性領域の基板表面が熱酸化される。その結果、入出力MOSFET活性領域上に、例えば厚さ7nm程度の第1のゲート酸化膜207を形成できる。一方、パッド酸化膜201は例えば厚さ17nm程度まで厚くなる。
【0068】
次に、図9(b)に示すように、入出力MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域を覆う第2のレジストパターン208をマスクとして、パッド酸化膜201に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なうことにより、第1の内部MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201のみを除去する。これにより、第1の内部MOSFET活性領域の基板表面のみが露出する。また、このとき、トレンチ分離領域205の露出部における第1の内部MOSFET活性領域の近傍がウェットエッチングによって除去される(領域R7参照)。
【0069】
尚、図9(b)に示すウェットエッチング工程においては、第1の内部MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201を確実に除去するために、50%程度のオーバーエッチング(エッチング膜厚:25.5nm相当)を行なう。
【0070】
次に、第2のレジストパターン208を除去した後、図9(c)に示すように、シリコン基板200に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。このとき、入出力MOSFET活性領域上には第1のゲート酸化膜207が形成されていると共に第2の内部MOSFET活性領域上にはパッド酸化膜201が形成されている状態で、第1の内部MOSFET活性領域の基板表面が熱酸化される。その結果、第1の内部MOSFET活性領域上に、例えば厚さ1.0nm程度の第2のゲート酸化膜209を形成できる。一方、この熱処理によって第1のゲート酸化膜207は例えば厚さ7.2nm程度まで厚くなる(パッド酸化膜201の厚さはほとんど増えない)。すなわち、第2のゲート酸化膜209は厚膜化した第1のゲート酸化膜207よりも薄い。
【0071】
次に、図10(a)に示すように、入出力MOSFET活性領域及び第1の内部MOSFET活性領域を覆う第3のレジストパターン210をマスクとして、パッド酸化膜201に対してフッ酸を含む溶液によるウェットエッチングを行なうことにより、第2の内部MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201のみを除去する。これにより、第2の内部MOSFET活性領域の基板表面のみが露出する。また、このとき、トレンチ分離領域205の露出部における第2の内部MOSFET活性領域の近傍がウェットエッチングによって除去される(領域R8参照)。
【0072】
尚、図10(a)に示すウェットエッチング工程においては、第2の内部MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201を確実に除去するために、50%程度のオーバーエッチング(エッチング膜厚:25.5nm相当)を行なう。
【0073】
次に、第3のレジストパターン210を除去した後、図10(b)に示すように、シリコン基板200に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なう。このとき、入出力MOSFET活性領域上には第1のゲート酸化膜207が形成されていると共に第1の内部MOSFET活性領域上には第2のゲート酸化膜209が形成されている状態で、第2の内部MOSFET活性領域の基板表面が熱酸化される。その結果、第2の内部MOSFET活性領域上に、例えば厚さ1.6nm程度の第3のゲート酸化膜211を形成できる。一方、この熱処理によって、第1のゲート酸化膜207は例えば厚さ7.5nm程度まで厚くなると共に第2のゲート酸化膜209は例えば厚さ2.4nm程度まで厚くなる。すなわち、第3のゲート酸化膜211は厚膜化した第2のゲート酸化膜209よりも薄い。
【0074】
次に、図10(c)に示すように、入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれの上に、相対的に最も厚い第1のゲート酸化膜207、相対的に2番目に厚い第2のゲート酸化膜209、及び相対的に最も薄い第3のゲート酸化膜211のそれぞれを介して、第1のゲート電極212A、第2のゲート電極212B及び第3のゲート電極212Cを形成する。その後、第1のゲート電極212A、第2のゲート電極212B及び第3のゲート電極212Cのそれぞれの側面に第1のサイドウォール213A、第2のサイドウォール213B及び第3のサイドウォール213Cを形成する。
【0075】
その後、図示は省略しているが、周知の技術を用いて、ソース・ドレイン電極、層間絶縁膜及び金属配線等を形成することによって、第1のゲート酸化膜207を有するMOSFETよりなる入出力回路と、第2のゲート酸化膜209及び第3のゲート酸化膜211の2種類のゲート酸化膜を有する2種類のMOSFETよりなる内部回路とを備えた半導体装置の製造を完了する。
【0076】
図11は、図10(c)に示す工程断面図と対応する平面図である。すなわち、図10(c)は図11におけるIII−III線の断面図である。また、図12は図11におけるIV−IV線の断面図である。
【0077】
図11及び図12に示すように、トレンチ分離領域205によって互いに分離された、入出力MOSFET活性領域、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれには、ソース領域及びドレイン領域となる、第1の不純物拡散層214A、第2の不純物拡散層214B及び第3の不純物拡散層214Cが設けられている。尚、各ゲート電極212A、212B及び212Cは、図10(c)及び図11に示すように、ゲート幅方向において、それぞれの両端部がトレンチ分離領域205とオーバーラップするように設けられている。また、第3のゲート電極212Cの形成時に、例えば図12に示すように、第3のゲート酸化膜211における第3のゲート電極212Cの下側部分以外の他の部分が除去され、それによってパターン化された第3のゲート酸化膜211aが形成されていてもよい。同様に、第1のゲート電極212A及び第2のゲート電極212Bの形成時に、第1のゲート酸化膜207及び第2のゲート酸化膜209をパターン化してもよい。
【0078】
[表2]は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法における、各工程での絶縁膜(パッド酸化膜若しくはゲート酸化膜)の膜厚又はウェットエッチング量(エッチング膜厚)と、ウェットエッチングによるシリコン基板の露出回数と、ウェットエッチング量の合計とを各MOSFET活性領域について示している。
【0079】
【表2】

【0080】
すなわち、第2の実施形態においては、[表2]に示すように、入出力MOSFET活性領域の基板表面は、ウェットエッチングによって第2の従来例と同様に1回露出する(ウェットエッチング量:22.5nm相当)。また、厚膜ゲート絶縁膜が設けられる第1の内部MOSFET活性領域の基板表面は、ウェットエッチングによって第2の従来例よりも1回少ない1回だけ露出する(合計ウェットエッチング量:25.5nm相当)。さらに、薄膜ゲート絶縁膜が設けられる第2の内部MOSFET活性領域の基板表面は、ウェットエッチングによって第2の従来例よりも2回少ない1回だけ露出する(合計ウェットエッチング量:25.5nm相当)。言い換えると、トレンチ分離領域205を構成するシリコン酸化膜における各MOSFET活性領域の近傍部分がウェットエッチングにより除去される回数は、入出力MOSFET活性領域並びに第1及び第2の内部MOSFET活性領域でそれぞれ1回ずつである。その結果、第2の実施形態における第1及び第2の内部MOSFET活性領域での合計ウェットエッチング量は第2の従来例と比較して大きく削減される。
【0081】
以上に説明したように、第2の実施形態によると、トレンチ分離領域205によって互いに分離されている各MOSFET活性領域の表面を覆うパッド酸化膜201のうち、入出力MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201を除去した後、入出力MOSFET活性領域上に、相対的に最も厚い第1のゲート酸化膜207を形成する。その後、第1の内部MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201を除去した後、第1の内部MOSFET活性領域上に、相対的に2番目に厚い第2のゲート酸化膜209を形成する。その後、第2の内部MOSFET活性領域上のパッド酸化膜201を除去した後、第2の内部MOSFET活性領域上に、相対的に最も薄い第3のゲート酸化膜211を形成する。すなわち、薄いゲート酸化膜ほど後の工程で形成する一方、第1及び第2の内部MOSFET活性領域の上にそれぞれ第2のゲート酸化膜209及び第3のゲート酸化膜211を形成する直前まで、パッド酸化膜201を第1及び第2の内部MOSFET活性領域の上にそれぞれ残存させている。このため、第2の従来例と比べて、以下のような効果が得られる。
【0082】
すなわち、パッド酸化膜又はゲート酸化膜を除去するために行なわれるウェットエッチング等により第1及び第2の内部MOSFET活性領域が露出する回数を低減できる。このため、第1及び第2の内部MOSFET活性領域の基板表面ラフネスを小さくできる。また、トレンチ分離領域205の露出部における第1及び第2の内部MOSFET活性領域の近傍の掘り下げ量を低減できるので、第2のゲート酸化膜209の膜厚及び第3のゲート酸化膜211の膜厚をそれぞれ均一にできると共に第2のゲート酸化膜209及び第3のゲート酸化膜211のそれぞれにおけるトレンチ分離領域205の近傍でゲート電圧印加時に電界集中が生じることを防止できる。従って、基板表面ラフネスの増大、ゲート絶縁膜の膜厚不均一又は局所的な電界集中等に起因する、トランジスタの特性異常又はゲート絶縁膜の信頼性劣化を防止できる。さらに、第2の内部MOSFET活性領域が露出する回数と第1の内部MOSFET活性領域が露出する回数とが同じになるため、第1の内部MOSFET活性領域及び第2の内部MOSFET活性領域のそれぞれに形成されるMOSFETに対して同じ大きさのゲート電圧が印加されるような場合、該各MOSFETのプロセスマージンの設定を容易に行なうことができる。
【0083】
また、第2の実施形態によると、第1、第2及び第3のゲート酸化膜207、209及び211は、該各ゲート酸化膜が設けられる活性領域の基板表面を熱酸化させることにより形成されているため、各ゲート酸化膜を簡単且つ確実に形成できる。
【0084】
また、第2の実施形態によると、所定の活性領域上のパッド酸化膜201を除去する工程(図8(c)、図9(b)又は図10(a)に示す工程)において、該所定の活性領域以外の他の活性領域を覆うレジストパターンをマスクとして、パッド酸化膜201に対してウェットエッチングを行なう。このため、他の活性領域の表面(ゲート酸化膜が形成されている場合はその表面)を保護しながら、所定の活性領域上のパッド酸化膜201を確実に除去できる。
【0085】
尚、第2の実施形態において、互いに膜厚が異なる3種類のゲート絶縁膜を有する3種類のMOSFETとして、1種類のゲート絶縁膜を有する1種類の入出力MOSFETと、2種類のゲート絶縁膜を有する2種類の内部MOSFETとを形成したが、3種類のMOSFETの目的又は用途は特に限定されるものではない。また、3種類のゲート絶縁膜のそれぞれの膜厚についても大小関係以外は特に限定されないことは言うまでもない。例えば、3種類のMOSFETとして、2種類のゲート絶縁膜を有する2種類の入出力MOSFETと、1種類のゲート絶縁膜を有する1種類の内部MOSFETとを形成してもよい。具体的には、最も薄いゲート絶縁膜(例えば膜厚1.6nm)を内部MOSFET活性領域上に形成し、2番目に厚いゲート絶縁膜(例えば膜厚3.6nm)を第1の入出力MOSFET活性領域上に形成し、最も厚いゲート絶縁膜(例えば膜厚7.8nm)を第2の入出力MOSFET活性領域上に形成してもよい。
【0086】
また、第2の実施形態において、シリコン基板200に対して酸化雰囲気中で熱処理を行なうことによって、各活性領域上にSiOよりなるゲート酸化膜を形成したが、これに代えて、シリコン基板200に対して酸化窒化雰囲気中で熱処理を行なうことによって、各活性領域上にSiONよりなるゲート絶縁膜を形成してもよい。
【0087】
また、第2の実施形態において、シリコン基板200に素子分離領域としてトレンチ分離領域205を形成したが、これに代えて、例えばLOCOS法を用いてシリコン基板200に素子分離領域を形成した場合にも同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、互いに膜厚が異なる3種類のゲート絶縁膜を有するMOS型半導体装置の製造方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図5】図4(c)に示す断面図と対応する平面図である。
【図6】図5におけるII−II線の断面図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図8】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図9】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図10】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図11】図10(c)に示す断面図と対応する平面図である。
【図12】図11におけるIV−IV線の断面図である。
【図13】(a)〜(c)は第1の従来例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図14】(a)〜(c)は第2の従来例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図15】(a)〜(c)は第2の従来例に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図16】第2の従来例に係る半導体装置の製造方法における問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0090】
100 シリコン基板
101 パッド酸化膜
102 マスク窒化膜
103 素子分離溝
104 シリコン酸化膜
105 トレンチ分離領域
106 第1のゲート酸化膜
107 第1のレジストパターン
108 第2のゲート酸化膜
109 第2のレジストパターン
110 第3のゲート酸化膜
110a パターン化された第3のゲート酸化膜
111A 第1のゲート電極
111B 第2のゲート電極
111C 第3のゲート電極
112A 第1のサイドウォール
112B 第2のサイドウォール
112C 第3のサイドウォール
113A 第1の不純物拡散層
113B 第2の不純物拡散層
113C 第3の不純物拡散層
200 シリコン基板
201 パッド酸化膜
202 マスク窒化膜
203 素子分離溝
204 シリコン酸化膜
205 トレンチ分離領域
206 第1のレジストパターン
207 第1のゲート酸化膜
208 第2のレジストパターン
209 第2のゲート酸化膜
210 第3のレジストパターン
211 第3のゲート酸化膜
211a パターン化された第3のゲート酸化膜
212A 第1のゲート電極
212B 第2のゲート電極
212C 第3のゲート電極
213A 第1のサイドウォール
213B 第2のサイドウォール
213C 第3のサイドウォール
214A 第1の不純物拡散層
214B 第2の不純物拡散層
214C 第3の不純物拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に、素子分離領域により互いに分離された、第1の活性領域、第2の活性領域及び第3の活性領域を形成した後、前記第1の活性領域、前記第2の活性領域及び前記第3の活性領域のそれぞれの上に第1のゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の活性領域上の前記第1のゲート絶縁膜を除去した後、前記第2の活性領域上に前記第1のゲート絶縁膜よりも薄い第2のゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第2のゲート絶縁膜を形成する工程よりも後に、前記第3の活性領域上の前記第1のゲート絶縁膜を除去した後、前記第3の活性領域上に前記第2のゲート絶縁膜よりも薄い第3のゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の活性領域、前記第2の活性領域及び前記第3の活性領域のそれぞれの上に、前記第1のゲート絶縁膜、前記第2のゲート絶縁膜及び前記第3のゲート絶縁膜のそれぞれを介して、第1のゲート電極、第2のゲート電極及び第3のゲート電極を形成する工程とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記素子分離領域はトレンチ分離領域であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1のゲート絶縁膜を形成する工程は、前記第1の活性領域、前記第2の活性領域及び前記第3の活性領域のそれぞれの表面を熱酸化させる工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2の活性領域上の前記第1のゲート絶縁膜を除去する工程は、前記第1の活性領域及び前記第3の活性領域を覆うレジストパターンをマスクとして、前記第1のゲート絶縁膜に対してウェットエッチングを行なう工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2のゲート絶縁膜を形成する工程は、前記第2の活性領域の表面を熱酸化させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第3の活性領域上の前記第1のゲート絶縁膜を除去する工程は、前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域を覆うレジストパターンをマスクとして、前記第1のゲート絶縁膜に対してウェットエッチングを行なう工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第3のゲート絶縁膜を形成する工程は、前記第3の活性領域の表面を熱酸化させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−88494(P2007−88494A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293690(P2006−293690)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【分割の表示】特願2002−311381(P2002−311381)の分割
【原出願日】平成14年10月25日(2002.10.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】