説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の信頼性及び生産性を向上させる。
【解決手段】本発明では、半導体基板上に形成させた第1の絶縁膜内に金属配線を配設し、配設した金属配線の表面に第1のプラズマ処理を施し、第1のプラズマ処理を施した金属配線の表面にシリコン系ガスを晒し、シリコン系ガスを晒した金属配線の表面に第2のプラズマ処理を施し、金属配線上にシリコン含有層を形成し、シリコン含有層上に第2の絶縁膜を形成するようにした。これにより、半導体装置の微細化に伴うエレクトロマイグレーションが抑制されると共に、ストレスマイグレーションが充分抑制され、半導体装置の電気的信頼性が向上し、生産性の高い半導体装置の製造方法が実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に多層配線構造の半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の多層配線構造は、高集積化及び高速化が進み微細化が進んでいる。
微細化が進むにつれ配線間隔が狭くなり、配線の抵抗、配線間の寄生容量が半導体装置の信号伝送速度に大きく影響するようになっている。
【0003】
配線の抵抗、配線間の寄生容量から生ずる配線遅延を回避するために、最近では、配線材料をアルミニウム(Al)から、より抵抗が低い銅(Cu)を用いる傾向にある。そして、層間絶縁層については、低誘電率材料(Low−k材)を用いる傾向にある。
【0004】
銅を配設した半導体装置については、銅の拡散を防止するため、層間絶縁層と銅配線の界面に銅バリア膜を形成するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
このような銅バリア膜については、以下の製造工程で形成される。
【0005】
図11は銅配線上の銅バリア膜形成工程の要部断面模式図である。この図には、低誘電率材料で構成された層間絶縁層内に、例えば、鍍金法により銅配線を形成させた後に、銅配線上に銅バリア膜が形成される工程が示されている。
【0006】
先ず、図(A)に示すように、層間絶縁層100内に配設された銅配線101表面には、自然酸化膜102が形成されているので、これを除去する。
還元用ガスとしては、例えば、アンモニア(NH3)を用いる。そして、アンモニアをプラズマにより活性化し、活性化ガスを銅配線101表面に照射させ、自然酸化膜102を除去する。
【0007】
次に、銅バリア膜を形成する前処理として、図(B)に示すように、表面が露出した銅配線101表面に、シラン(SiH4)ガスを晒し、銅配線101表面にシリコン(Si)を固溶させた中間層103を形成する。この中間層103は、後述する銅バリア膜と銅配線101表面とのバッファ層としての機能を有し、例えば、それらの密着性を良好にさせる。
【0008】
そして、図(C)に示すように、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により、炭化シリコン(SiC)で構成された銅バリア膜104を形成する。
このように銅配線101上には、銅バリア膜104が形成されるので、銅バリア膜104上に、例えば、層間絶縁膜を積層させても、当該層間絶縁膜への銅拡散が防止される。
【0009】
ところが、シランの金属表面での反応性は高く、銅配線101表面での反応が過剰に促進する場合がある。その結果、銅配線101表面或いは内部に高抵抗の銅シリサイド(CuxSiy)が形成する場合がある。また、異常成長によって、銅配線101を短絡させる場合もある。
【0010】
この問題を回避するために、中間層103を形成する原料ガスとして、シランより反応性の低いトリメチルシラン(Si(CH33H)を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
この開示例では、上述したように、中間層103を形成する原料ガスとして、トリメチルシランを用い、銅シリサイド成長を抑制し、非晶質の中間層103を銅バリア膜104と銅配線101との界面に形成している。
【特許文献1】特開2003−347299号公報
【特許文献2】特開2006−287022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、これらの特許文献に記載された方法で半導体装置を製造した場合、信頼性試験において良好な結果を得ることが困難であることが、発明者らによって確認された。
【0013】
また、シランを用いる前処理法では、上述したように金属表面での反応性が高く、プロセス制御が難しい点も課題である。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、半導体装置の電気的信頼性を向上させ、且つ生産性の高い半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では上記課題を解決するために、図1に例示するフローで実現可能な半導体装置の製造方法が提供される。本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成した第1の絶縁膜内に金属配線を配設する工程と、前記金属配線の表面をシリコン系ガスに晒す工程と、前記シリコン系ガスを晒した前記金属配線の表面にプラズマ処理を施す工程と、次いで、全面に第2の絶縁膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
図1に示す半導体装置の製造方法によれば、半導体基板上に形成させた第1の絶縁膜内に金属配線が配設され、金属配線の表面にシリコン系ガスが晒され、シリコン系ガスを晒した金属配線の表面にプラズマ処理が施され、金属配線上にシリコン含有層が形成され、シリコン含有層上に第2の絶縁膜が形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、半導体基板上に形成させた第1の絶縁膜内に金属配線を配設し、金属配線の表面にシリコン系ガスを晒し、シリコン系ガスを晒した金属配線の表面にプラズマ処理を施し、金属配線上にシリコン含有層を形成し、シリコン含有層上に第2の絶縁膜を形成するようにした。
【0017】
これにより、半導体装置の電気的信頼性が向上し、生産性の高い半導体装置の製造方法が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
最初に、本発明の半導体装置の製造方法の基本原理について説明する。
図1は半導体装置の製造方法の基本原理を説明するためのフロー図である。
【0019】
先ず、半導体基板上に形成させた低誘電率の層間絶縁膜内に材質が銅で構成された金属配線を配設する(ステップS1)。
次に、層間絶縁膜内に配設した金属配線の表面に、還元性のプラズマ処理を施す(ステップS2)。その結果、金属配線の表面に形成された自然酸化膜が除去される。尚、この還元性のプラズマ処理は、本発明には必須の構成要件ではない。
【0020】
次いで、還元性のプラズマ処理を施した金属配線の表面に、シリコン系ガスを導入し、金属配線の表面をシリコン系ガスに晒す(ステップS3)。
続いて、シリコン系ガスを晒した金属配線の表面に、プラズマ処理を施し、金属配線上にシリコン含有層を形成する(ステップS4)。
【0021】
そして、シリコン含有層上に、金属配線のバリア膜となる絶縁膜を形成する(ステップS5)。
次に、上記の半導体装置の製造方法の基本原理を基に、以下に示す図2から図5を用いて、半導体装置の製造方法の具体的な方法について説明する。なお、図2から図5には同一の部材に、同一の符号を付している。
【0022】
図2は銅配線を埋設するための溝部形成工程の要部断面模式図である。
先ず、図(A)には、本発明の半導体装置の製造方法で用いる基板の一例が示されている。
【0023】
基板10の下地基材は、シリコンやガリウムヒ素(GaAs)等で構成された半導体基材11(ウエハ状基材)であり、半導体基材11内には、半導体基材11に素子を画定するための素子分離領域12が形成されている。そして、素子分離領域12によって確定された活性領域内には、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ20が形成されている。
【0024】
ここで、MOSトランジスタ20は、ソース・ドレイン領域13a,13b及びゲート電極21を有し、ゲート長は、例えば、約65nmである。また、ゲート絶縁膜22の膜厚は、例えば、約2nmである。なお、MOSトランジスタ20を高速に動作させるために、ソース・ドレイン領域13a,13bの表面及びゲート電極21の上層にコバルトシリサイド(CoxSiy)やニッケルシリサイド(NixSiy)等の低抵抗シリサイド層を形成させてもよい。
【0025】
半導体基材11及びMOSトランジスタ20上には、例えば、PSG(Phospho Silicate Glass)で構成される膜厚が約1.5μmの層間絶縁膜23がCVD法により形成されている。
【0026】
そして、層間絶縁膜23内には、ソース・ドレイン領域13aと電気的な接続をするコンタクトプラグ24が窒化チタン(TiN)で構成されたバリアメタル膜25を介して形成されている。コンタクトプラグ24は、例えば、タングステン(W)で構成されている。
【0027】
次に、上記の基板10を処理する方法について説明する。
図(B)には、層間絶縁膜23上に低誘電率の層間絶縁膜が形成される工程が示されている。
【0028】
先ず、層間絶縁膜23上に、後述するエッチング用のストッパ膜30を膜厚が約50nmになるように成膜する。ストッパ膜30の材質は、酸化シリコン(SiO2)、炭素含有酸化シリコン(SiOC)、炭化シリコン、窒化シリコン(SiN)等である。
【0029】
続いて、スピンオンプロセスにより、ストッパ膜30上に、第1の低誘電率層間絶縁膜31を膜厚が約250nmとなるように堆積する。
ここで、第1の低誘電率層間絶縁膜31の材質としては、MSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ(触媒化成社製NCS)、ALCAP−S(旭化成社製ポーラスシリカ)、Silk(ダウケミカル社製ポリアリエルエーテル)、FLARE(アライドシグナル社製ポリアリエルエーテル)等を用いる。
【0030】
そして、第1の低誘電率層間絶縁膜31を堆積させた基板10を1〜30分間、250〜400℃の加熱処理を行う。
続いて、第1の低誘電率層間絶縁膜31上に、例えば、酸化シリコンで構成されるCMP(Chemical Mechanical Polishing)犠牲膜32を膜厚が約30nmとなるように形成する。
【0031】
図(C)には、銅配線を埋設するための溝部が形成される工程が示されている。
CMP犠牲膜32上に、フォトレジスト膜33を塗布した後、フォトリソグラフィによりフォトレジスト膜33を配線溝が形成できるようにパターニングする。
【0032】
パターニングされたフォトレジスト膜33をマスクとして、CMP犠牲膜32、第1の低誘電率層間絶縁膜31、ストッパ膜30の順にエッチングを行い、コンタクトプラグ24及び層間絶縁膜23の表面を露出させ、第1の低誘電率層間絶縁膜31内に配線溝34を形成する。
【0033】
ここで、エッチング用のガスとして、例えば、フッ化炭素(CF4)を用い、投入パワーが約250W、圧力が約20mTorrでRIE(Reactive Ion Etching)によりエッチングをする。そして、フォトレジスト膜33は、アッシングによって除去する(図示しない)。
【0034】
図3は銅配線形成工程の要部断面模式図である。
図(A)には、銅層が配線溝34内に形成される工程が示されている。
配線溝34の内壁に、例えば、バリアメタル膜40を膜厚が約30nmとなるように形成する。ここで、バリアメタル膜40の材質は、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、チタン(Ti)、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン(WN)、ジルコニウム(Zr)、窒化ジルコニウム(ZrN)またはこれらの積層膜である。
【0035】
次に、例えば、銅で構成されるシード層41を膜厚が約30nmとなるように、スパッタ法によりバリアメタル膜40上に形成する。
そして、シード層41上に、例えば、膜厚が約500nmとなるように銅層42を例えば、鍍金により形成する。
【0036】
図(B)には、CMPにより銅配線が配設される工程が示されている。
前工程でCMP犠牲膜32上面から上層に形成された銅層42、シード層41及びバリアメタル膜40をCMPにより除去して、配線溝34内に第1の金属配線である銅配線43を形成する。
【0037】
次に、銅配線43上に銅バリア膜を形成させる具体的な製造工程について説明するが、次からの図面では銅配線43上の銅バリア膜の形成工程を詳細に説明するために、第1の低誘電率層間絶縁膜31と銅配線43の部分を拡大させた図面を用いて説明する。
【0038】
図4は銅配線上の銅バリア膜形成工程の要部断面模式図である。
図(A)では、銅配線43表面に形成している自然酸化膜を除去する工程が示されている。
【0039】
銅配線43表面の前処理として、銅配線43表面に形成している自然酸化膜(図示しない)を除去する。
具体的には、水素(H2)またはアンモニアの少なくとも一種を含有するガスをプラズマにより活性化し、活性化したプラズマガスを銅配線43表面に照射させることにより自然酸化膜を除去する。この還元性プラズマ処理により、自然酸化膜が還元し、金属表面が露出する。
【0040】
ここで、還元性プラズマ処理の処理温度としては、300〜450℃に設定する。但し、後述するシリコン含有層形成時の処理温度と整合させるために、350〜400℃に設定してもよい。これにより、温調工程が短縮または省略され、半導体製造の効率が上昇する。
【0041】
次に、図(B)では、シリコン系ガスを用いて、銅配線43表面をシリコン化する工程が示されている。
シリコン系ガスとしては、有機系シランガスを用いることが望ましい。そして、銅配線43表面をシリコン化するために、シリコン系ガスに銅配線43表面を晒す。特に、有機系シランガスは、通常のシランガスよりも金属表面での反応性が劣り、通常のシランガスを用いた場合に比べて、プロセスマージンが広がる特徴がある。従って、300〜450℃の温度範囲でも、プロセス条件の調整により、必要な量のシリコンを銅配線43表面に供給することができる。
【0042】
ここで、有機系シランガスとはシランの構造の一部を有機基で置換した構造のガスであり、例えば、テトラメチルシラン(4MS)、トリメチルシリルアセチレン(TMSA)、トリメチルシラン(3MS)、ジメチルシラン(2MS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、ジメチルジメトキシラン(DMDMOS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ジメチルジエトキシラン(DMDEOS)、ジメチルフェニルシラン(DMPS)、ジフェニルジメトキシラン(DPDMOS)、ジフェニルジエトキシシラン(DPDEOS)、フェニルジエトキシシラン(PDEOS)、ジエトキシメチルシラン(DEMS)等が挙げられる。本実施の形態では、これらのガスの少なくとも一種を用いる。
【0043】
また、これらの有機系シランガスの希釈ガスとして、窒素(N2)、アンモニア、水素、希ガス、炭化水素(Cxy)等の少なくとも一種のガスを用いてもよい。
なお、有機系シランガスまたは有機系シランガスに希釈ガスを混合させたガスの全圧は、0.5〜50Torrである。
【0044】
例えば、テトラメチルシランを窒素で希釈させた例では、流量比4MS:N2が約1000sccm:9000sccmであり、圧力が約1.5Torrとなるように設定する。
【0045】
また、希釈させたガスを晒す処理時間については、1〜60secに設定する。但し、シリコン自体の過剰な成長(例えば、シリコン微結晶成長、アモルファスシリコン成長)を抑制するには、約10secに設定するのが好ましい。
【0046】
このような処理により、銅配線43表面とシリコン系ガスとの選択的な反応が起こり、銅配線43表面にシリコンが供給される。
次に、銅配線43表面を所定の条件下でのプラズマ処理を施す。
【0047】
図(C)にはシリコン化された銅配線表面にプラズマ処理が施される工程が示されている。
ここで、本実施例でプラズマ処理に用いた処理装置(図示しない)は、平行平板型のプラズマ処理装置であり、上部電極と下部電極とを備えている。しかし、プラズマ処理は他の形態の装置を用いてもよい。
【0048】
上部電極は、シャワープレート構造を備えた電極であり、交流電圧を印加することができる。また、プラズマ処理に用いるガスが上部電極の複数のピンホールから対向する下部電極に向かい、導入できるようになっている。
【0049】
一方、下部電極は、基板10を支持するステージ構造を備えた電極であり、交流電圧または直流電圧を印加することにより、基板10にバイアス電圧を印加することができる。
具体的なプラズマ処理は、先ず、銅配線43表面がシリコン化された基板10を下部電極上に設置する。そして、プラズマ処理装置にプラズマ処理に用いるガスを導入する。
【0050】
ここで、プラズマ処理に用いるガスは、窒素、アンモニア、亜酸化窒素(N2O)、二酸化炭素(CO2)、酸素、水素、希ガス、炭化水素の少なくとも一種のガスを用いる。
但し、ベースとなるガスは、窒素、アンモニア、水素、希ガス、炭化水素の少なくとも一種のガスを用い、全圧が0.5〜50Torrになるように設定する。
【0051】
例えば、アンモニアと窒素の混合ガスを処理ガスのベースとした場合は、流量比NH3:N2が約4000sccm:1600sccmであり、圧力が約2.3Torrとなるように調節する。
【0052】
残りの亜酸化窒素、二酸化炭素または酸素については、酸化性が他のガスより高いため、銅配線43表面にダメージを与える可能性がある。
従って、亜酸化窒素、二酸化炭素または酸素については、上記のベースとなるガスを用いてプラズマ処理を行った後に、亜酸化窒素、二酸化炭素または酸素の少なくとも一種のガスをベースとなるガスに添加させ、全圧が0.5〜50Torrになるように設定してもよい。
【0053】
また、処理温度については、300〜450℃に設定する。但し、後述する銅バリア膜形成時の処理温度と整合させるために、350〜400℃に設定してもよい。これにより、温調工程が短縮または省略され、半導体製造の効率が上昇する。
【0054】
次に、上部電極に単周波、または上部電極または下部電極に異なる周波数の交流電圧を印加し、プラズマ処理用のガスを活性化させる。
例えば、上部電極に単周波の交流電圧を印加する場合は、基板10に0.02〜0.8W・cm-2の高周波(10〜300MHz)の交流電圧が印加されるように、上部電極に交流電圧を印加する。
【0055】
上部電極または下部電極に異なる周波数の交流電圧を印加する場合は、基板10に0.02〜0.8W・cm-2の高周波の交流電圧が印加されるように、上部電極に交流電圧を印加し、基板10に約1.6W・cm-2以下の低周波(100〜500kHz)の交流電圧が印加されるように下部電極に交流電圧を印加する。
【0056】
但し、プラズマ処理に関しては、イオン衝撃による銅配線43表面及び第1の低誘電率層間絶縁膜31表面のダメージを防止するために、より低いパワーの高周波の交流電圧でプラズマ処理が行うのが望ましい。
【0057】
具体的には、基板10に0.02〜0.4W・cm-2の交流電圧(周波数13.56MHz)が印加されるように上部電極に交流電圧を印加しながら、処理時間を約20秒以下に設定する。このとき、下部電極には、電圧を印加しない。
【0058】
このようなプラズマ処理により銅配線43表面に、中間層であるシリコン含有層44が形成する。
シリコン含有層44の膜厚については、0.1〜10nmになるように、上記のプラズマ処理によって調節する。但し、シリコン含有層44を含めた銅配線43の抵抗が過剰に高くならないためには、シリコン含有層44の膜厚を0.1〜3.0nmに調節するのが好ましい。なお、処理時間は3〜60秒で行う。
【0059】
そして、シリコン含有層44の成分とその含有量については、プラズマ処理用のガスの組み合わせや処理条件を調整することにより変更できる。例えば、シリコン含有層44に含まれる成分としては、シリコン以外に銅、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)で構成される場合と、シリコン以外に銅、酸素、炭素で構成される場合等がある。
【0060】
また、このようなシリコン含有層44の成分を調節することにより銅配線43と後述する銅バリア膜との密着性を制御することができる(後述)。
図(D)には、銅バリア膜をシリコン含有層に形成する工程が示されている。
【0061】
プラズマCVDにより、シリコン含有層44上に銅バリア膜50を形成する。ここで、処理温度を300〜450℃に設定する。または、図(A)〜図(D)の一連の工程を同じ温度で処理するために、350〜400℃に設定してもよい。これにより、温調工程が短縮または省略され、半導体製造の効率が上昇する。
【0062】
プラズマCVDで用いる原料ガスは、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、トリメチルシラン、ジメチルシラン、テトラメトキシシラン、ジメチルジメトキシラン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルジエトキシラン、ジメチルフェニルシラン、ジフェニルジメトキシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン等の少なくとも一種の有機系シランガスを酸素または二酸化炭素または酸素及び二酸化炭素の混合ガスで希釈させたガスを用いる。さらに、その希釈ガスに窒素を添加させたガスを用いてもよい。
【0063】
ここで、銅バリア膜50の成分は、窒化シリコン、酸素含有炭化シリコン(SiCO)、窒素含有炭化シリコン(SiCN)、炭化シリコン、炭素含有酸化シリコンの少なくとも一種の絶縁体である。
【0064】
但し、銅配線間の寄生容量を低減させるには、誘電率がより低い、酸素含有炭化シリコン、窒素含有炭化シリコン、炭化シリコン、炭素含有酸化シリコンの少なくとも一種の絶縁体を銅バリア膜50として形成させるのが好ましい。または、低誘電率である窒化ボロン(BN)膜をプラズマCVD法により形成させてもよい。
【0065】
そして、その膜厚については、全体の誘電率を抑え、且つバリア性を備えるよう、5〜70nm、より好ましくは10〜30nmになるように設定する。
なお、銅配線43と銅バリア膜50との間に過剰な密着力を抑制したい場合には、シリコン含有層44と銅バリア膜50との間に、アモルファスシリコン層を形成させてもよい。アモルファスシリコン層を形成すると、シリコン含有層44と銅バリア膜50との間に発生した過剰な密着力が抑制され、半導体装置のストレスマイグレーション耐性がより向上すると考えられる。
【0066】
このように本実施の形態では、銅配線43表面上に有機シランを流すことにより、シリコン元素を供給し、次いでプラズマ処理をすることによりシリコン含有層44を形成し、その上に銅バリア膜50を形成させている。
【0067】
本願発明の方法によって従来手法よりも優れた信頼性が得られた詳細な理由については明確にはなっていないが、発明者らの考える本発明のメカニズムについて説明する。配線を構成する銅は結晶粒界を有し、結晶粒界には微小な空孔が存在している場合がある。このような空孔は結晶粒界に沿って移動し易く、銅配線表面に集中し、ボイドを形成する恐れがあり、ボイドの発生は信頼性に大きな影響を与える。
【0068】
本発明者らは、銅配線の表面に供給されるシリコンは結晶粒界に侵入し、空孔が結晶粒界に沿って移動することを防止する機能(トラッピング機能)を有すると考えている。しかし、従来技術によって銅配線表面に供給されたシリコン元素は、それ自身が銅配線中に拡散し、上記トラッピング機能を十分に果さない可能性がある。
【0069】
これに対して、シリコン元素を銅配線表面に供給した後プラズマ処理を行うと、銅元素とシリコン元素が何らかの結合状態を有することによりシリコン元素の固定化が行われ、それによって結晶粒界上の空孔の移動が、上記トラッピング機能によって抑制されるのではないかと考えられる。
【0070】
その結果、ストレスマイグレーションによる銅配線43表面でのボイドの発生を抑制し、半導体装置の電気的信頼性がより向上したと考えられる。本発明の手法を用いた場合に、従来手法に比べて信頼性等を向上させることができたことを示すデータについては、後述する。
【0071】
実施例の説明に戻る。図4に示す一連の製造工程は、300〜450℃の温度範囲内で連続的に処理している。その結果、温調工程を短縮することができ、半導体装置の生産性が向上する。或いは、図4に示す一連の製造工程については、300〜450℃中の一定の温度で連続的に処理してもよい。その結果、図4に示す一連の製造工程における温調工程を省略することができ、半導体装置の生産性がより向上する。
【0072】
ところで、このようなシリコン含有層44を形成する部位は、図4に示す銅配線43上のみではなく、その上層に積層させる他の部位にも形成させることができる。
続いて、銅配線43の上層に積層させる他の部位に、シリコン含有層を形成させる製造プロセスについて説明する。
【0073】
図5は銅配線形成工程の要部断面模式図である。
図(A)では配線溝及びコンタクトホールを埋設するための溝部が形成される工程が示されている。
【0074】
銅バリア膜50上に、第1の低誘電率層間絶縁膜31と同一の成分、製造方法により第2の低誘電率層間絶縁膜51を膜厚が約250nmとなるように形成する。
第2の低誘電率層間絶縁膜51上に、例えば、酸化シリコンで構成されるストッパ膜52を膜厚が約30nmとなるように形成する。
【0075】
そして、ストッパ膜52上に、第1の低誘電率層間絶縁膜31と同一成分、製造方法により第3の低誘電率層間絶縁膜53を膜厚が約170nmとなるように形成する。
さらに、第3の低誘電率層間絶縁膜53上に、例えば、酸化シリコンで構成されるCMP犠牲膜54を膜厚が約50nmとなるように成膜する。
【0076】
そして、図示するように、第3の低誘電率層間絶縁膜53と第2の低誘電率層間絶縁膜51については、フォトリソグラフィにより、それぞれ配線溝55、コンタクトホール56を形成する。
【0077】
図(B)では銅層が配線溝55及びコンタクトホール56内に鍍金により埋設される工程が示されている。
配線溝55及びコンタクトホール56の内壁に、例えば、タンタルで構成されるバリアメタル膜60を形成した後、シード層61を形成する。そして、銅層62を配線溝55及びコンタクトホール56内に鍍金により形成させ、銅層62と銅配線43とを電気的に接続させる。
【0078】
図(C)では銅配線上に銅バリア膜が形成される工程が示されている。
CMPにより第3の低誘電率層間絶縁膜53表面が露出するまで研磨し、第3の低誘電率層間絶縁膜53内に第2の金属配線である銅配線63を配設する。そして、銅配線63上に、図4を用いて説明したと同一の方法によりシリコン含有層64を形成する。さらに、シリコン含有層64上に、銅バリア膜65を形成する。この銅バリア膜65の成分は、窒化シリコン、酸素含有炭化シリコン、窒素含有炭化シリコン、炭化シリコン、または炭素含有酸化シリコンの少なくとも一種の絶縁体である。
【0079】
但し、銅配線間の寄生容量を低減させるには、誘電率がより低い、酸素含有炭化シリコン、窒素含有炭化シリコン、炭化シリコン、または炭素含有酸化シリコンの少なくとも一種の絶縁体を銅バリア膜65として形成させるのが好ましい。または、低誘電率である窒化ボロン膜をプラズマCVD法により形成させてもよい。
【0080】
このように、シリコン含有層の形成については、第1の低誘電率層間絶縁膜31に配設した銅配線43表面のみではなく、他の部位、即ち第3の低誘電率層間絶縁膜53に配設した銅配線63表面にも形成させることができる。
【0081】
また、シリコン含有層の形成については、図5(A)に示すように、第3の低誘電率層間絶縁膜53に配線溝55を形成した後に、第2の低誘電率層間絶縁膜51にコンタクトホール56を形成させる場合についても、適用可能であり、ダマシン法を利用する配線形成の順序に特に限定されるものではない。
【0082】
なお、上記の実施の形態では、材質が銅である銅配線43,63を形成させているが、材質が銅と他の金属との合金、タングステン、タングステンと他の金属との合金等の電極配線を形成させてもよい。
【0083】
次に、還元性のプラズマ処理を施した金属配線の表面に、有機系シランガス(4MS)を導入し、その後に、図4(C)に示すプラズマ処理を施した場合と、当該プラズマ処理を施さない場合の比較検討を行ったので、その結果について説明する。
【0084】
ここでは、その比較をするために、ウエハプロセスで複数個作製した半導体装置A並びに半導体装置Bの2種を用意した。
先ず、半導体装置Aは、図1に示すフローにより作製した半導体装置であり、具体的には、還元性のプラズマ処理を施した金属配線の表面に、有機系シランガス(4MS)を導入し、その後に、図4(C)に示すプラズマ処理を施し、半導体装置内に上記のシリコン含有層を形成させたものである。
【0085】
一方、半導体装置Bは、図1に示すフローから、図4(C)に示すプラズマ処理を省略して、半導体装置内にシリコン含有層を形成させたものである。
即ち、半導体装置A並びに半導体装置Bの比較検討をすることにより、図4(C)に示すプラズマ処理有無の効果を比較することができる。
【0086】
なお、半導体装置A及び半導体装置Bの銅配線表面に形成した自然酸化膜の除去、シリコン含有層の形成、及び銅バリア膜の形成については、約400℃の温度条件下で連続的に行った。また、銅バリア膜は、酸素含有炭化シリコン膜を形成させた。
【0087】
図6は半導体装置の不良率の比較例を説明するための図である。
この図の横軸は、サンプル種であり、縦軸は複数の半導体装置の不良率(%)を示している。
【0088】
例えば、半導体装置Aでは、不良率が数%であるのに対し、半導体装置Bでは、不良率が15%になっている。従って、図1に示す製造方法で作製した半導体装置Aの方が、ストレスマイグレーション耐性が向上し、大きく不良率が低下することが分かった。
【0089】
図7は密着性試験結果を説明する図である。この横軸は、サンプル種であり、縦軸は密着力(kg/cm2)を示している。
密着性試験については、上記の半導体装置A対応させた模擬サンプルA、半導体装置Bに対応させた模擬サンプルBを作製し、それらの評価を行った。
【0090】
先ず、サンプルAでは、シリコンウエハ上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜内に銅配線を配設させた基板に、有機系シランガスを導入した。そして、図4(C)で説明したプラズマ処理を施して、銅配線と銅バリア膜との間に上記のシリコン含有層を形成させ、さらに上記の銅バリア膜を形成させた。
【0091】
一方、サンプルBでは、シリコンウエハ上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜内に銅配線を配設させた基板に、有機系シランガスを導入した。そして、図4(C)で説明したプラズマ処理を省略し、銅配線と銅バリア膜との間にシリコン含有層を形成させ、さらに上記の銅バリア膜を形成させた。
【0092】
サンプルAでは、密着力が約636kg/cm2であるのに対し、サンプルBでは、密着力が約586kg/cm2である。従って、半導体装置Aに対応したサンプルAの方が、密着性が良好になり、半導体装置Aについては、エレクトロマイグレーション耐性もより向上することが分かった。
【0093】
また、図8はプラズマ処理の方法による不良率の影響を説明するための図である。
この図の横軸は、サンプル種であり、縦軸は複数の半導体装置の不良率(%)を示している。
【0094】
この図に示す半導体装置Cと半導体装置Aとは、共に図1に示すフローで作製した半導体装置であるが、半導体装置Cにおいては、図4(C)に示すプラズマ処理において、上部電極に高周波の交流電圧を印加すると共に、下部電極に低周波の交流電圧を印加し、被処理体である基板に自己バイアスが印加された状態で作製している。一方、半導体装置Aにおいては、図4(C)に示すプラズマ処理において、上部電極のみに高周波の交流電圧を印加させてプラズマ処理を行っている。
【0095】
図示するように、半導体装置Aでは、不良率が数%であるのに対し、半導体装置Cでは、不良率が10%に増加する。従って、図4(C)で説明したプラズマ処理において、上部電極のみに高周波の交流電圧を印加させたプラズマ処理を施した半導体装置Aの方が、ストレスマイグレーション耐性が向上し、半導体装置Cより不良率が低下することが分かった。
【0096】
次に、無機系のシランガスを用いてシリコン含有層を形成させた場合と、有機系シランガスを用いてシリコン含有層を形成させた場合の比較検討についても行ったので、その結果を説明する。
【0097】
その比較をするために、無機系のシランガスを用いて上記のシリコン含有層を形成させ、ウエハプロセスで複数個作製した半導体装置D(図1のステップS3を有機系シランガスではなく、通常のシランガスを晒した半導体装置)と、有機系シランガスを用いて上記のシリコン含有層を形成させ、ウエハプロセスで複数個作製した半導体装置A(図1のフローにより作製した半導体装置)の2種のサンプルの比較検討を行った。
【0098】
なお、半導体装置A及び半導体装置Dの銅配線表面に形成した自然酸化膜の除去、シリコン含有層の形成、及び銅バリア膜の形成については、約400℃の温度条件下で連続的に行った。また、銅バリア膜は、酸素含有炭化シリコン膜を形成させた。
【0099】
図9は半導体装置の不良率の比較例を説明するための図である。
この図の横軸は、サンプル種であり、縦軸は複数の半導体装置の不良率(%)を示している。
【0100】
例えば、半導体装置Aでは、不良率が数%であるのに対し、半導体装置Dでは、不良率が80%である。従って、シリコンを供給するガスとして、4MSのような有機シランを使用して作製した半導体装置Aの方が、ストレスマイグレーション耐性が向上し、大きく不良率が低下することが分かった。
【0101】
次に、半導体装置A及び半導体装置Dに形成させたシリコン含有層の成分についての分析結果について説明する。
図10はシリコン含有層の成分の一例を説明する図であり、(A)は半導体装置Aのシリコン含有層の成分であり、(B)は半導体装置Dのシリコン含有層の成分である。この図は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)から、その成分を分析したものである。
【0102】
例えば、半導体装置A、半導体装置Dは共に、炭素、窒素、酸素、シリコン、銅を含有しているが、シリコンまたは窒素については、半導体装置Dの方が半導体装置Aより多く含有していることが分かった。
【0103】
半導体装置Aの方が半導体装置Dより不良率(%)が低下することを照らし合わせると、シリコン含有層の成分によって、半導体装置の不良率(%)等が左右すると考えられる。
【0104】
即ち、シリコン含有層を銅配線表面に形成する際には、図4を用いて説明した具体的な製造条件を調節し、シリコン含有層の成分を制御することにより、密着性が向上し、半導体装置の不良率、寿命増加率が改善され得ることが分かった。
【0105】
このように、本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の微細化に伴うエレクトロマイグレーションが抑制されると共に、ストレスマイグレーションが充分抑制され、半導体装置の電気的信頼性が向上する。また、半導体装置の生産性を向上させることができる。
【0106】
(付記1) 半導体基板上に形成した第1の絶縁膜内に金属配線を配設する工程と、
前記金属配線の表面をシリコン系ガスに晒す工程と、
前記シリコン系ガスを晒した前記金属配線の表面にプラズマ処理を施す工程と、
次いで、全面に第2の絶縁膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0107】
(付記2) 前記金属配線を配設する工程の後、前記シリコン系ガスに晒す工程の前に、還元性プラズマ処理を行うことを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記シリコン系ガスは、有機系シランガスであることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0108】
(付記4) 前記有機系シランガスは、テトラメチルシラン(4MS)、トリメチルシリルアセチレン(TMSA)、トリメチルシラン(3MS)、ジメチルシラン(2MS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、ジメチルジメトキシラン(DMDMOS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ジメチルジエトキシラン(DMDEOS)、ジメチルフェニルシラン(DMPS)、ジフェニルジメトキシラン(DPDMOS)、ジフェニルジエトキシシラン(DPDEOS)、フェニルジエトキシシラン(PDEOS)、ジエトキシメチルシラン(DEMS)の少なくとも一つであることを特徴とする付記3記載の半導体装置の製造方法。
【0109】
(付記5) 前記シリコン系ガスを窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、希ガス、炭化水素(CXY)の少なくとも一種のガスで希釈して、前記金属配線の表面を前記シリコン系ガスに晒すことを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0110】
(付記6) 前記シリコン系ガスに前記金属配線の表面を晒す時間が1〜60秒であることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記プラズマ処理では、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)、希ガス、炭化水素(CXY)の少なくとも一種のガスを用いることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0111】
(付記8) 前記プラズマ処理では、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、希ガス、炭化水素(CXY)の少なくとも一種のガスを用いて前記プラズマ処理を行った後、亜酸化窒素(N2O)、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)の少なくとも一種のガスをさらに添加させて前記プラズマ処理を行うことを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0112】
(付記9) 前記プラズマ処理の処理時間が3〜60秒であることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記金属配線は銅(Cu)を主成分とする配線であり、前記プラズマ処理により、前記金属配線上に銅(Cu)、シリコン(Si)、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)を主たる成分とするシリコン含有層または銅、シリコン、酸素、炭素を主たる成分とするシリコン含有層が形成されることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0113】
(付記11) 前記シリコン含有層の膜厚が0.1〜10nmであることを特徴とする付記10記載の半導体装置の製造方法。
(付記12) 前記第2の絶縁膜の材質が窒化シリコン(SiN)、酸素含有炭化シリコン(SiCO)、窒素含有炭化シリコン(SiCN)、炭化シリコン(SiC)、炭素含有酸化シリコン(SiOC)、窒化ボロン(BN)の少なくとも一種の絶縁体であることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0114】
(付記13) 前記プラズマ処理においては、上部電極と下部電極とに交流電圧を印加することにより行い、前記上部電極に高周波の交流電圧を印加させ、前記下部電極上で、前記プラズマ処理を行うことを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0115】
(付記14) 前記高周波の周波数が10〜300MHzであることを特徴とする付記13記載の半導体装置の製造方法。
(付記15) 前記高周波の交流電圧の電力が0.02〜0.8W・cm-2であることを特徴とする付記13記載の半導体装置の製造方法。
【0116】
(付記16) 前記上部電極に高周波の交流電圧を印加すると共に、前記下部電極に低周波の交流電圧を印加する場合は、前記下部電極の交流電圧の電力が1.6W・cm-2以下で、前記プラズマ処理を行うことを特徴とする付記13記載の半導体装置の製造方法。
【0117】
(付記17) 前記低周波の周波数が100〜500KHz以下であることを特徴とする付記16記載の半導体装置の製造方法。
(付記18) 前記還元性プラズマ処理を施す工程、前記シリコン系ガスに晒す工程、前記プラズマ処理を施し、前記シリコン含有層を形成する工程、及び前記シリコン含有層上に前記第2の絶縁膜を形成する工程を300〜450℃中の一定の温度で連続的に処理することを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【0118】
(付記19) 前記還元性プラズマ処理を施す工程、前記シリコン系ガスに晒す工程、前記プラズマ処理を施し、前記シリコン含有層を形成する工程、及び前記シリコン含有層上に前記第2の絶縁膜を形成する工程のそれぞれの処理温度が300〜450℃であることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】半導体装置の製造方法の基本原理を説明するためのフロー図である。
【図2】銅配線を埋設するための溝部形成工程の要部断面模式図である。
【図3】銅配線形成工程の要部断面模式図である(その1)。
【図4】銅配線上の銅バリア膜形成工程の要部断面模式図である(その1)。
【図5】銅配線形成工程の要部断面模式図である(その2)。
【図6】半導体装置の不良率の比較例を説明するための図である(その1)。
【図7】密着性試験結果を説明する図である。
【図8】プラズマ処理の方法による不良率の影響を説明するための図である。
【図9】半導体装置の不良率の比較例を説明するための図である(その2)。
【図10】シリコン含有層の成分の一例を説明する図であり、(A)は半導体装置Aのシリコン含有層の成分であり、(B)は半導体装置Dのシリコン含有層の成分である。
【図11】銅配線上の銅バリア膜形成工程の要部断面模式図である(その2)。
【符号の説明】
【0120】
10 基板
11 半導体基材
12 素子分離領域
13a,13b ソース・ドレイン領域
20 MOSトランジスタ
21 ゲート電極
22 ゲート絶縁膜
23 層間絶縁膜
24 コンタクトプラグ
25,40,60 バリアメタル膜
30,52 ストッパ膜
31 第1の低誘電率層間絶縁膜
32,54 CMP犠牲膜
33 フォトレジスト膜
34,55 配線溝
41,61 シード層
42,62 銅層
43,63 銅配線
44,64 シリコン含有層
50,65 銅バリア膜
51 第2の低誘電率層間絶縁膜
53 第3の低誘電率層間絶縁膜
56 コンタクトホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成した第1の絶縁膜内に金属配線を配設する工程と、
前記金属配線の表面をシリコン系ガスに晒す工程と、
前記シリコン系ガスを晒した前記金属配線の表面にプラズマ処理を施す工程と、
次いで、全面に第2の絶縁膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記シリコン系ガスは、有機系シランガスであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記有機系シランガスは、テトラメチルシラン(4MS)、トリメチルシリルアセチレン(TMSA)、トリメチルシラン(3MS)、ジメチルシラン(2MS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、ジメチルジメトキシラン(DMDMOS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ジメチルジエトキシラン(DMDEOS)、ジメチルフェニルシラン(DMPS)、ジフェニルジメトキシラン(DPDMOS)、ジフェニルジエトキシシラン(DPDEOS)、フェニルジエトキシシラン(PDEOS)、ジエトキシメチルシラン(DEMS)の少なくとも一つであることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記シリコン系ガスを窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、希ガス、炭化水素(CXY)の少なくとも一種のガスで希釈して、前記金属配線の表面を前記シリコン系ガスに晒すことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記プラズマ処理では、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)、希ガス、炭化水素(CXY)の少なくとも一種のガスを用いることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記プラズマ処理では、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、水素(H2)、希ガス、炭化水素(CXY)の少なくとも一種のガスを用いて前記プラズマ処理を行った後、亜酸化窒素(N2O)、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)の少なくとも一種のガスをさらに添加させて前記プラズマ処理を行うことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属配線は銅(Cu)を主成分とする配線であり、前記プラズマ処理により、前記金属配線上に銅(Cu)、シリコン(Si)、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)を主たる成分とするシリコン含有層または銅、シリコン、酸素、炭素を主たる成分とするシリコン含有層が形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2の絶縁膜の材質が窒化シリコン(SiN)、酸素含有炭化シリコン(SiCO)、窒素含有炭化シリコン(SiCN)、炭化シリコン(SiC)、炭素含有酸化シリコン(SiOC)、窒化ボロン(BN)の少なくとも一種の絶縁体であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記金属配線を配設する工程の後、前記シリコン系ガスに晒す工程の前に、還元性プラズマ処理を行うことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記還元性プラズマ処理を施す工程、前記シリコン系ガスに晒す工程、前記プラズマ処理を施し、前記シリコン含有層を形成する工程、及び前記シリコン含有層上に前記第2の絶縁膜を形成する工程を300〜450℃中の一定の温度で連続的に処理することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−235480(P2008−235480A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71425(P2007−71425)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】